JP2022185412A - 蛍光プレート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも発光効率が高く、且つ簡易な製造方法で実現できる蛍光プレートを提供する。【解決手段】蛍光プレートは、無機系の蛍光体材料からなる複数の蛍光体粒と、複数の蛍光体粒を連結するように位置する酸化マグネシウム粒と、蛍光体粒及び酸化マグネシウム粒よりも含有濃度が低いホウ素含有組成物とを含み、X線回折法によって得られるXRDスペクトルにおいて、偏光角2θ=30.9°における回折強度I30.9に対する、偏光角2θ=25.0°における回折強度I25.0の比率I25.0/I30.9が0.42以下であり、回折強度I30.9に対する、偏光角2θ=38.8°における回折強度I38.8の比率I38.8/I30.9が0.24以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、蛍光プレート及びその製造方法に関する。
従来、蛍光体を含有してなる波長変換部材を有する蛍光発光素子と、半導体レーザ素子からなる励起光源とを備え、励起光源から出射される光(レーザ光)を蛍光体に照射して蛍光を発生させる蛍光光源装置が知られている。このような蛍光光源装置で生成された蛍光は、例えばプロジェクタ用の光源として利用される。
特許文献1には、ガーネット構造を有する酸化物蛍光体(Y3Al512: Ce3+、Lu3Al512: Ce3+等)からなる蛍光体粒子と、酸化マグネシウム粒子との混合粒子を焼成することで、蛍光体粒子が酸化マグネシウム粒子に結着されてなる波長変換部材が開示されている。このような波長変換部材は、蛍光体粒子と酸化マグネシウム粒子を所定の割合で混合した原料粉末を予備成形した後、焼成することにより製造される。
特開2018-180271号公報
従来、プロジェクタ等では、蛍光体とシリコーン樹脂とを混合した蛍光ホイールが利用される場合があった。この蛍光ホイールは、励起光が照射されて蛍光を発する際に生じる熱を排出する観点から、モータ等の駆動系を介して回転制御が行われるのが一般的である。しかし、駆動のための機構が必要となるため、装置構成が複雑化する。かかる観点から、本出願人は固定式の蛍光発光素子の開発を進めている。
蛍光の強度を高めるためには、入射される励起光の強度を高める必要があるが、強度の高い励起光が波長変換部材に対して入射され続けると、波長変換部材の温度が上昇してしまう。蛍光体は、例えば150℃といった高温になると、温度消光と呼ばれる現象が生じ、発光効率が低下することが知られている。従って、高い発光効率を実現するためには、波長変換部材の温度が上昇しないように排熱性を高める必要がある。この事情は、高輝度の蛍光発光素子を実現するためには、より顕著になる。
本発明者の鋭意研究によれば、上述した特許文献1の構造の波長変換部材を含む蛍光発光素子の場合には、高い光取り出し効率が実現できないことを突き止めた。本発明者は、この理由が以下の2点にあると考えている。
第一の理由は、特許文献1に記載された構造の波長変換部材の場合、冷却性能が充分に得られず、上述した温度消光に起因した発光効率の低下が生じたためである。上述したように、特許文献1に記載された波長変換部材は、蛍光体粒子と酸化マグネシウム粒子とが結着した状態であるため、これらの粒子間に気孔が多く存在している。このため、蛍光体粒子から生じた熱が酸化マグネシウム粒子に伝達しにくいため、高い冷却性能が得られなかったものと考えられる。
第二の理由は、酸化マグネシウムの粒子が励起光を散乱することにより、励起光が蛍光体粒子に対して高い光量で入射されなかったためである。
なお、特許文献1によれば、一次焼成後、焼成温度を一次焼成温度の±150℃としてHIP(熱間静水圧プレス)処理を施すことで、光の散乱が抑制できると記載されている。しかし、この方法を行うには、焼成処理後に、チャンバから焼成後のプレートを取り出した後、別の装置(HIP装置)内にプレートを搬入する必要がある等、製造工程が煩雑化する。
本発明は、上記の課題に鑑み、従来よりも発光効率が高く、且つ簡易な製造方法で実現できる蛍光プレートを提供することを目的とする。また、本発明は、このような蛍光プレートの製造方法を提供することを別の目的とする。
本発明に係る蛍光プレートは、
無機系の蛍光体材料からなる複数の蛍光体粒と、
複数の前記蛍光体粒を連結するように位置する酸化マグネシウム粒と、
前記蛍光体粒及び前記酸化マグネシウム粒よりも含有濃度が低いホウ素含有組成物とを含み、
X線回折法によって得られるXRDスペクトルにおいて、偏光角2θ=30.9°における回折強度I30.9 に対する、偏光角2θ=25.0°における回折強度I25.0 の比率であるI25.0 /I30.9 が0.42以下であり、前記回折強度I30.9 に対する、偏光角2θ=38.8°における回折強度I38.8 の比率であるI38.8 /I30.9 が0.24以下であることを特徴とする。
本明細書において、単に「粒」と記載されている場合には、他の「粒子」と分離して存在している「粒子」と、粒子同士が結合することで「粒子」としては分離されていないものの、「粒界」によって境界の識別が可能な「狭義の粒」とを含む概念である。
詳細は後述するが、前記蛍光プレートによれば、従来よりも粒成長が促進されているため、気孔の少ない極めて緻密な構造が実現されている。これにより、特許文献1に記載された構造と比較して高い排熱性が実現される。更に、緻密性が高められていることで、従来よりも物理的な強度が向上し、破損のおそれが低下する。
また、上記の蛍光プレートによれば、酸化マグネシウム粒子の粒成長が促進されることから、気孔の割合が少なくなるため、従来よりも励起光の散乱を抑制する作用が得られる。
前記蛍光プレートは、相対密度が90%以上であるのが好ましく、95%以上であるのがより好ましい。本明細書において、「相対密度」とは、理論密度に対する焼結体の見かけ密度の比率を指す。相対密度を90%以上と高くすることで、内部に存在する気孔の量が少なくなり、高い排熱性が実現される。
前記酸化マグネシウム粒の粒度分布は、0.5μm~1μmに単一のピークを示すものとするのが好ましく、0.6μm~1μmに単一のピークを示すものとするのがより好ましい。更に、前記酸化マグネシウム粒の平均粒径は、0.5μm~1μmであるのが好ましく、0.6μm~0.8μmであるのがより好ましい。
前記蛍光体粒は、好適には窒化物蛍光体であり、典型的には、化学式La3Si611又は(La,Y)3Si611で規定される窒化物蛍光体である。
前記蛍光体粒は、Ce3+で賦活された前記窒化物蛍光体と、Eu2+で賦活された前記窒化物蛍光体とを含むものとしても構わない。
前記蛍光プレート内において、全体質量に対する前記蛍光体粒の質量割合(濃度)が30質量%以下であるのが好ましく、25質量%以下であるのがより好ましい。
蛍光体粒の質量割合が30質量%を超える程度に蛍光プレート内に存在すると、蛍光体同士が接触しプレス圧力が酸化マグネシウム粒子に加わらなくなるので酸化マグネシウム粒子の焼結が進まなくなる場合がある。なお、蛍光体粒子の質量割合があまりに低いと高い蛍光輝度が得られなくなるため、10質量%以上とするのが好ましい。
本発明に係る蛍光プレートの製造方法は、
前記蛍光体材料からなる第一粒子と、酸化マグネシウムからなる第二粒子と、酸化ホウ素からなる第三粒子とを少なくとも含む混合粉を得る工程(a)と、
前記混合粉を、上部パンチ、下部パンチ、及び筒状ダイを含む成形機内に投入して加圧することで、板形状の成形体にする工程(b)と、
前記成形体を、不活性ガス雰囲気で焼結する工程(c)とを含み、
前記工程(a)は、前記混合粉全体に対する前記第一粒子の濃度が10質量%~30質量%、前記混合粉全体に対する前記第二粒子の濃度が70質量%~90質量%、前記混合粉全体に対する前記第三粒子の濃度が0.1質量%~5質量%となるように、前記第一粒子、前記第二粒子及び前記第三粒子を混合する工程であることを特徴とする。
混合粉に少量の酸化ホウ素からなる第三粒子を含めることで、酸化マグネシウムの焼結が促進される。特に、蛍光体粒の周辺に存在する酸化マグネシウムの焼結が促進されるため、より緻密な蛍光プレートが得られる。この結果、高い冷却性能を有し、且つ強固な蛍光プレートが実現される。
更に、前記工程(c)を不活性ガス雰囲気で行うことで、還元雰囲気になりにくく、酸化マグネシウムの組成変化を抑制できる。酸化マグネシウムが組成変化を生じると、蛍光体粒で発生した蛍光の一部を吸収し、光取り出し効率が低下してしまうおそれがある。
前記不活性ガスとしては、窒素(N2)又はアルゴン(Ar)が好適に利用されるが、より好ましくは窒素である。前記蛍光体材料が窒化物蛍光体である場合、前記工程(c)を窒素雰囲気で行うことで、蛍光体からの窒素の脱離を抑制することができる。
上記方法によれば、1回の焼結処理で蛍光プレートを製造できるため、簡易な製造工程で実現できる。
前記工程(b)は、前記混合粉を、前記上部パンチ、前記下部パンチ、及び前記筒状ダイが非カーボン製である前記成形機に投入する工程を含むものとしても構わない。
上記の方法によれば、前記工程(c)が実行される雰囲気を還元雰囲気にしづらくする効果が高められる。これにより、酸化マグネシウムの組成変化を生じにくくする効果が高められ、光取り出し効率が向上する。
本発明によれば、従来よりも発光効率が高く、且つ簡易な方法で製造可能な蛍光プレートが提供される。
本発明の蛍光プレートを含む蛍光発光素子を搭載した、蛍光光源装置の一実施形態の構成を模式的に示す図面である。 蛍光発光素子の構成の一例を模式的に示す断面図である。 蛍光プレートの模式的な断面図である。 蛍光プレートのSEM像である。 蛍光プレートに含まれる酸化マグネシウムの粒度分布を示すグラフである。 比較例の蛍光プレートのSEM像である。 比較例の蛍光プレートに含まれる酸化マグネシウムの粒度分布を示すグラフである。 成形機の模式的な図面である。 サンプル#A4のXRDスペクトルである。 図9のXRDスペクトルの一部を拡大し、同定候補の物質のXRDスペクトルと重ね合わせた図面である。 酸化ホウ素の混合量(添加量)と内部量子効率の相対値の関係を示すグラフである。 酸化ホウ素の混合量(添加量)と、I25.0 /I30.9の値の関係を示すグラフである。 、酸化ホウ素の混合量(添加量)と、I38.8 /I30.9の値の関係を示すグラフである。 2種類の組成の蛍光体粒を含む波長変換部材に対して、励起光を照射したときの発光スペクトルの一例である。 プロジェクタの構成例を模式的に示す図面である。
本発明の蛍光プレートの実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の各図において、図面上の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
[構造]
図1は、蛍光プレートを含む蛍光発光素子を搭載した、蛍光光源装置の一実施形態の構成を模式的に示す図面である。図1に示す蛍光光源装置1は、励起光源2と、ダイクロイックミラー3と、蛍光発光素子30とを備える。
励起光源2は、例えば主ピーク波長が400nm~500nmの青色領域の光を出射する半導体レーザ素子を含んで構成される。励起光源2は、必要に応じてコリメートレンズなどの光学系を備える。
蛍光発光素子30は、後述する蛍光プレート10を含んで構成される(図3,図4参照)。励起光源2から出射された励起光21が蛍光発光素子30に照射されると、蛍光プレート10内の蛍光体粒11(図3参照)が励起され、蛍光発光素子30から蛍光22が放射される。蛍光22は、励起光21よりも長波長の光であり、例えば、主ピーク波長が500nm~700nmであり、励起光21よりも帯域幅がブロードである。本明細書において、「主ピーク波長」とは、スペクトル上において最も高い光強度を示す波長を指す。
図1に示される蛍光光源装置1において、ダイクロイックミラー3は、励起光源2から出射される励起光21を透過し、蛍光発光素子30から出射される蛍光22を反射するように構成されている。ダイクロイックミラー3は、ミラー面が例えば励起光21の入射角度に対して45°の角度で傾斜するように配置されている。かかる構成とすることで、蛍光22が蛍光光源装置1の外部に取り出され、例えば図示しない後段の光学系に入射される。ただし、ダイクロイックミラー3は、励起光21を反射して蛍光22を透過する構成であっても構わない。この場合、蛍光発光素子30は、ダイクロイックミラー3で反射された励起光21が入射する位置に設置される。
後述されるように、蛍光発光素子30は、排熱性に優れた蛍光プレート10を備えるため、冷却のために別途の回転ホイールなどに設置する必要がなく、蛍光光源装置1の所定の箇所に固定的に設置できる。
図2は、蛍光発光素子30の構成の一例を模式的に示す断面図である。蛍光発光素子30は、基板31と、接合層32と、反射層33と、蛍光プレート10とを有する。
(基板31)
基板31は、蛍光プレート10で発せられた熱を排熱するために設けられている。基板31は、例えば熱伝導率が90[W/m・K]以上、より具体的には例えば230~400[W/m・K]である材料で構成される。このような材料の例としては、Cu、銅化合物(MoCu、CuW等)、Al、AlN等が挙げられる。
基板31の厚みは、例えば0.5mm~5mmである。また、排熱性などの観点から、基板31の表面における面積は、蛍光プレート10の面積よりも大きいことが好ましい。
(接合層32)
接合層32は、基板31と蛍光プレート10とを接合する層であり、例えばハンダ材料からなる。排熱性等の観点から、接合層32は、例えば熱伝導率が40[W/m・K]以上の材料が用いられることが好ましい。より詳細には、例えば、Sn、Pb等の材料にフラックス又はその他の不純物を混ぜてクリーム状(ペースト状)の形態としたクリームハンダ、Sn-Ag-Cu系ハンダ、Au-Sn系ハンダ等を用いることができる。接合層32の厚みは、例えば20μm~200μmである。
なお、図示していないが、基板31と接合層32との接合性を更に高める観点から、基板31と接合層32との間に、例えばメッキ法によって形成された、Ni/Au膜よりなる金属膜が形成されているものとしても構わない。この金属膜の厚みは、例えばNi/Au=1000nm~5000nm/30nm~1000nmとすることができる。
(反射層33)
反射層33は、蛍光プレート10の面のうちの、基板31に近い側の面に形成されている。この反射層33は、蛍光プレート10で生成された蛍光22のうち、光取り出し面10aとは反対側(基板31側)に進行した蛍光22を反射させて、光取り出し面10aに導くために設けられている。反射層33は、例えば、Al、Ag等の金属膜、又は前記金属膜上に誘電体多層膜を形成した増反射膜などで構成されることができる。
なお、図示していないが、蛍光プレート10と接合層32との接合性を更に高める観点から、蛍光プレート10の面のうちの、基板31に近い側の面、より具体的には、反射層33と蛍光プレート10との間に、例えば蒸着によって形成されたNi/Pt/Au膜、Ni/Au膜よりなる金属膜が形成されているものとしても構わない。この金属膜の厚みは、例えばNi/Pt/Au=30nm/500nm/500nmとすることができる。
(蛍光プレート10)
蛍光プレート10は、反射層33の上層に形成されている。蛍光プレート10は、励起光源2から出射される励起光21が入射されると、蛍光22を出射する。蛍光プレート10は、一例として平板状の構造を示し、典型的には基板31の面に直交する方向から見たときに矩形状を示す。蛍光プレート10の厚みは、例えば0.05mm~1mmである。
図2に示す蛍光プレート10は、基板31とは反対側に位置する面、すなわち光取り出し面10a側において、微細な凹凸加工が施されたモスアイ構造10bを有している。ただし、本発明の蛍光プレート10は、表面にモスアイ構造10bを有するか否かは任意である。
図3は、蛍光プレート10の模式的な断面図である。図4は、蛍光プレート10のSEM写真である。
蛍光プレート10は、蛍光体粒11と、酸化マグネシウム粒12とを含む。なお、図3及び図4には示されていないが、蛍光プレート10は、蛍光体粒11及び酸化マグネシウム粒12に比べて、含有量が微量なホウ素含有組成物を含む。
後述するように、蛍光プレート10は、蛍光体材料からなる粒子と、酸化マグネシウムからなる粒子を混合し、成形及び焼結の工程を経て製造される。本発明の蛍光プレート10は、微量に酸化ホウ素が混合された状態で、成形及び焼結の工程を経て製造される。この成形及び焼結の過程で、酸化ホウ素と酸化マグネシウムとが反応して、微量のホウ素含有組成物(典型的には、Mg326)が生成される場合がある。
ところで、蛍光光源装置1の利用に伴って、蛍光プレート10が経時的に大気中の水分を吸収することが想定される。かかる現象が進行すると、蛍光プレート10における蛍光22の生成効率が低下するおそれがある。このため、蛍光プレート10による水分の吸収を抑制する観点から、蛍光プレート10の表面近傍をジルコニア(ZrO2)で形成しても構わない。図2を参照して上述したように、蛍光プレート10の表面近傍にモスアイ構造10bが形成されている場合には、モスアイ構造10bがジルコニアで形成される。
蛍光体粒11は、無機系の蛍光体材料からなる。一例として、蛍光体粒11は、組成式La3Si611、又は(La,Y)3Si611で表され、適宜、希土類化合物(Ce3+、Eu2+等)が賦活された窒化物蛍光体(LSN蛍光体)からなる。蛍光体粒11は、蛍光プレート10内において主として分散的に配置される。すなわち、蛍光体粒11は、粒子の性質を残した状態で蛍光プレート10内に存在するものとしても構わない。蛍光体粒11の粒径は、好ましくは4μm~30μm程度であり、より好ましくは5μm~20μmである。ただし、本発明において、蛍光体粒11の粒径は限定されない。
蛍光体粒11は、Ce3+で賦活されたLSN蛍光体と、Eu2+で賦活されたLSN蛍光体とを含むものとしても構わない。これにより、蛍光プレート10から得られる蛍光22の波長をブロード化できる。
製造条件によっては、一部の蛍光体粒11同士が接触する場合もある。しかしながら、蛍光プレート10内に存在する蛍光体粒11のうち、他の蛍光体粒11と接触した状態で存在するものは、全体の10%未満である。本発明は、このように一部の蛍光体粒11同士が隣接して接触する構成を排除するものではない。
本発明の蛍光プレート10が備える酸化マグネシウム粒12は、その平均粒径が、好ましくは0.5μm~1μmであり、より好ましくは0.6μm~0.8μmである。ここで、本明細書における「平均粒径」とは、SEM又はTEMの電子顕微鏡による観察において、数十個の粒子の粒径(長軸の長さ)の測定値の平均値を意味する。
図5は、蛍光プレート10に含まれる酸化マグネシウム粒12の粒度分布を示すグラフである。このグラフは、図4に示すようなSEM像から、複数の酸化マグネシウム粒12の外縁を特定した上で、長軸の長さを計測した結果に基づいて描画されたものである。図5によれば、酸化マグネシウム粒の粒度分布は、0.5μm~1μmに単一のピークを示している。この粒度分布は、より好ましくは、0.6μm~1μmに単一のピークを示す。
蛍光プレート10の製造の際に利用される酸化マグネシウムの粒子は、粒径が30~50nm程度である。これに対し、製造された蛍光プレート10が備える酸化マグネシウム粒12は、その粒径が極めて大きい。つまり、酸化マグネシウム粒12は、粒成長が進行した状態である。この理由としては、後述するように、成形及び焼結を行う対象となる混合体に、酸化ホウ素を微量に含めたことで、粒の成長が進行しやすくなったことが考えられる。
図6は、混合体に酸化ホウ素を含めずに成形及び焼結を行って製造した、比較例の蛍光プレートのSEM写真である。図7は、この比較例の蛍光プレートに含まれる酸化マグネシウム粒の粒度分布を示すグラフである。なお、図6及び図7に示す比較例の蛍光プレートは、表1を参照して後述されるサンプル#A1の蛍光プレートに対応する。
図6のSEM写真によれば、図4のSEM写真と比べて、酸化マグネシウム粒12の粒径が小さいことが確認される。つまり、比較例の蛍光プレートに含まれる酸化マグネシウム粒は、本実施形態の蛍光プレート10が備える酸化マグネシウム粒12よりも、粒成長が進行していないことが分かる。この点は、図7に示す粒度分布を、図5に示す粒度分布と比較しても理解される。
蛍光プレート10に含まれる酸化マグネシウム粒12の濃度(質量割合)は、好ましくは60質量%~90質量%であり、より好ましくは70質量%~80質量%である。後述するように、蛍光プレート10の製造時には、蛍光体粒11を構成する蛍光体粒子と、酸化マグネシウム粒子と、微量の酸化ホウ素の粒子が混合された状態で、加熱により焼結処理が行われる。酸化ホウ素の混合量は、蛍光体粒子と酸化マグネシウム粒子の合計量に対して極めて微量である。このため、実質的には、蛍光プレート10に含まれる酸化マグネシウム粒12の濃度は、製造時に用いられた、蛍光体粒子と酸化マグネシウム粒子の合計質量に対する、酸化マグネシウム粒子の質量の割合にほぼ等しい。
なお、蛍光プレート10に含まれる蛍光体粒11の濃度(質量割合)は、好ましくは10質量%~40質量%であり、より好ましくは20質量%~30質量%である。
蛍光プレート10の相対密度は、好ましくは90%以上である。上述したように、相対密度とは、焼結体すなわち蛍光プレート10の、理論密度に対する見かけ密度の比率であり、例えばJIS R 1634(ファインセラミックスの焼結体密度・開気孔率の測定方法)に準拠した方法によって測定することができる。
更に、蛍光プレート10は、X線回折法によって得られるXRDスペクトルにおいて、偏光角2θ=30.9°における回折強度I30.9 に対する、偏光角2θ=25.0°における回折強度I25.0 の比率であるI25.0 /I30.9 が0.42以下である。また、この蛍光プレート10は、回折強度I30.9 に対する、偏光角2θ=38.8°における回折強度I38.8 の比率であるI38.8 /I30.9 が0.24以下である。この点については、蛍光プレート10の製造方法を説明した後、実施例を参照して後述される。
[製造方法]
以下、蛍光プレート10の製造方法について説明する。
(ステップS1)
蛍光体粒11を構成する無機系材料からなる粒子(一例としてLa3Si611で規定されるLSN蛍光体の粒子)と、酸化マグネシウム粒子と、酸化ホウ素粒子とを混合して、混合粉を得る。蛍光体粒子が「第一粒子」に対応し、酸化マグネシウム粒子が「第二粒子」に対応し、酸化ホウ素粒子が「第三粒子」に対応する。
混合粉に対する蛍光体粒子の質量割合は、好ましくは10質量%~30質量%であり、より好ましくは15質量%~25質量%である。
混合粉に対する酸化マグネシウム粒子の質量割合は、好ましくは70質量%~90質量%であり、より好ましくは75質量%~85質量%である。
混合粉に対する酸化ホウ素粒子の質量割合は、好ましくは0.1質量%~5質量%であり、より好ましくは0.1質量%~3質量%であり、特に好ましくは0.1質量%~1質量%である。
混合粉を得る方法としては、ボールミル、Vブレンダーなどの乾式混合法を用いる方法を採用することができる。また、各粒子に所定の溶媒を加えてスラリー状態にした後、ボールミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、二軸混練機などを用いた湿式混合法を用いて混合させた後、得られたスラリーを所定の温度で溶媒を揮発させる方法も採用することができる。
このステップS1が工程(a)に対応する。
(ステップS2)
ステップS1を経て得られた混合粉を加圧下で板形状に成形する。成形方法としては、一軸金型成形又は冷間静水圧成形などの手法を用いることができる。
図8は、このステップS2で利用可能な成形機の模式的な図面である。成形機40は、筒状のダイ41と、上部パンチ42と、下部パンチ43とを備える。ダイ41の内側に粉末状の混合粉45を投入し、下部パンチ43を上部パンチ42側に(方向dの向きに)接近させることで、混合粉45が例えば50MPa~200Mpaで加圧される。これにより、成形処理が行われ、板状の成形体が得られる。
なお、ダイ41、上部パンチ42、及び下部パンチ43としては、グラファイト製のもの(以下では、「グラファイト型」と呼ぶ。)又は、タングステンカーバイド等の非カーボン製のもの(以下では、「超硬型」と呼ぶ。)が採用できる。非カーボン製の装置としては、超硬型の他、セラミック製の装置も採用できる。図示していないが、ダイ41、上部パンチ42、及び下部パンチ43の面のうち、混合粉45が接触する箇所は、モリブデン等のシートで覆われているものとしても構わない。
このステップS2が工程(b)に対応する。
(ステップS3)
次に、成形体を焼結する。例えば、所定の炉又は加熱装置内に成形体を設置して、焼結に必要な温度まで加熱する。一例として、800℃~1200℃程度に加熱される。
また、別の例として、ステップS2とステップS3を並行して行うものとしても構わない。この場合、成形の際の加圧と共に、昇温が行われる。
焼結処理時には、いったん真空にして成形体に含まれる水分を脱離させるのが好ましい。その後、昇温時には、所定の気圧で不活性ガス雰囲気とするのが好適であり、より好ましくは窒素ガス雰囲気である。窒素ガス雰囲気とすることで、焼結処理時に蛍光体粒子を構成する窒素原子の脱離が抑制され、緻密な焼結体が実現される。
上述したように、混合粉45には微量の酸化ホウ素粉末が含まれている。酸化ホウ素は、融点が比較的低く、450℃程度で液化する。液化した酸化ホウ素の液相に沿って、酸化マグネシウム粒子及び蛍光体粒子のそれぞれの構成原子が移動しやすくなる。この結果、粒の成長が促進されてネック形成が容易化し、焼結が進行する。
更に、温度が高温化すると、酸化ホウ素の液相が酸化マグネシウム粒子の焼結を更に促進させる。この結果、従来であれば焼結が進行しにくかった、蛍光体粒11の周囲に位置する酸化マグネシウム粒12についても、焼結を促進できる。これにより、酸化マグネシウム粒12の粒径は比較的大きくなり、蛍光体粒11の周辺に残存する気孔の量を低下でき、緻密な蛍光プレート10が得られる。蛍光体粒11の周辺及び、隣接する蛍光体粒11同士の中間領域に位置する酸化マグネシウム粒12は、実質的に酸化マグネシウムの多結晶体である。
このステップS3が工程(c)に対応する。
(後工程)
上述したように、蛍光プレート10の表面近傍をジルコニア(ZrO2)で形成する場合には、焼結工程の後、研磨処理を経てスパッタリングによってZrO2が蒸着される。
その後、得られた焼結体の一方の面(ZrO2が蒸着されている場合にはZrO2の蒸着面)に対してエッチング処理を施すことで、微細なモスアイ構造10bを有する蛍光プレート10が得られる。得られた蛍光プレート10は、光取り出し面10aとは反対側の面に反射層33が形成され、接合層32を介して基板31に固定される。
ステップS1における粉体の混合工程において、投入される酸化ホウ素の質量割合を異ならせ、他は共通の条件でステップS1~S4を実行することで、蛍光プレート10を得た。蛍光体粒子としては、化学式La3Si611で規定される窒化物蛍光体が採用された。
より詳細には、ステップS2~S3において、グラファイト型の成形機を利用し、酸化ホウ素の質量割合を0.0%~5.0%の範囲内で異ならせることで、それぞれ蛍光プレート10を得た。これらの蛍光プレート10のサンプルは、それぞれ#A1~#A8の符号が付されることで相互に識別される。
また、別のサンプルとして、ステップS1において投入される酸化ホウ素の質量割合をサンプル#A5と同様の0.8質量%とし、ステップS2~S3において超硬型の成形機を利用して蛍光プレート10を得た。この蛍光プレート10のサンプルには、#B1の符号が付されることで、上記#A1~#A8のサンプルと識別される。
なお、各サンプルを識別するための符号内のアルファベット(A,B)は、成形機の種別を示している。すなわち、アルファベット「A」はグラファイト型を用いたサンプルに対応し、アルファベット「B」は超硬型を用いたサンプルに対応する。
各サンプル(#A1~#A8、#B1)の評価結果を表1に示す。なお、いずれの蛍光プレート10のサンプルも、その寸法は、縦×横×厚みが3mm×3mm×0.13mmで共通とした。
Figure 2022185412000002
各サンプルの相対密度は、上記JIS R 1634に準拠した方法によって測定した値が用いられた。また、各サンプルの内部量子効率は、JIS R 1697(白色発光ダイオード用蛍光体の積分球を用いた内部量子効率絶対測定方法)に準拠した方法で測定された。
表1内の「相対値」は、サンプル#A1、すなわち混合粉45に酸化ホウ素粒子を含めずに製造された、比較例としての蛍光プレートにおける内部量子効率を基準値としたときの、各サンプル(#A2~#A8、#B1)の内部量子効率の相対値に対応する。
表1内の「基板強度」は、得られたサンプルに破損が生じているか否かを、目視により観察した結果に対応する。破損が確認されなかったサンプルは「A」、破損が確認されたサンプルは「C」と評価された。
表1内の「明るさ」は、各サンプルの内部量子効率の、所定の基準値との評価結果に対応している。内部量子効率の値が基準値よりも高いサンプルは「A」、内部量子効率の値が基準値と同等のサンプルは「B」、内部量子効率の値が基準値よりも低いサンプルは「C」と評価された。
なお、この検証では、評価基準となる内部量子効率の値は47%と設定された。内部量子効率が47%以上あれば、高い排熱性能が得られるため、従来の蛍光プレートよりも発光効率の高い蛍光プレートが実現される。
表1内の「I25.0 /I30.9」は、各サンプルに対してX線回折法を用いてXRDスペクトルを分析することで得られた、偏光角2θ=30.9°における回折強度I30.9 に対する、偏光角2θ=25.0°における回折強度I25.0 の比率に対応する。同様に、表1内の「I38.8 /I30.9」は、各サンプルに対してX線回折法を用いてXRDスペクトルを分析することで得られた、偏光角2θ=30.9°における回折強度I30.9 に対する、偏光角2θ=38.8°における回折強度I25.0 の比率に対応する。
図9は、サンプル#A4のXRDスペクトルを示す図面である。図10は、図9のXRDスペクトルの一部を拡大し、同定候補となる純物質のXRDスペクトルと重ね合わせた図面である。
図9及び図10によれば、偏光角2θ=30.9°における回折強度I30.9は、LSN蛍光体の材料由来の信号であることが理解される。また、偏光角2θ=38.8°における回折強度I38.8は、Mg326由来の信号であることが理解される。この物質は、製造過程で、含有された酸化ホウ素(B23)と酸化マグネシウムとが反応することで生成されたものと推定される。
また、偏光角2θ=25.0°における回折強度I25.0は、ホウ素(B)のアモルファス由来の信号である。Bアモルファスは、製造の過程でB23が還元されることで生成されたものと推定される。
表1の結果によれば、酸化ホウ素を混合しなかったサンプル#A1は、破損が確認されたのに対し、酸化ホウ素を混合した他のサンプル(#A2~#A8、#B1)は、破損が確認されなかった。これによって、酸化ホウ素を混合することで、粒成長が進行して緻密な蛍光プレートが製造できることが分かる。このことは、サンプル#A1と比べて、他のサンプル(#A2~#A8、#B1)の相対密度が高いことにも現れている。
一方で、表1によれば、酸化ホウ素の混合量を多くしすぎると、蛍光プレート10から取り出される蛍光の光量が低下することが分かる。この点は、サンプル#A5~#A8を比較すると理解される。
この理由として、酸化ホウ素を多く混合したことで、酸化ホウ素と酸化マグネシウムとが反応することで得られるMg326の生成量が増え、蛍光体粒11で生じた蛍光の一部がMg326に吸収されたものと考えられる。
つまり、Mg326の生成量が多い蛍光プレートは、蛍光プレート内で蛍光の一部が吸収される結果、取り出される光量が低下してしまう。上記の検討に鑑みれば、サンプル#A7~#A8において、サンプル#A2~#A6よりも取り出された蛍光光量が低下しているのは、酸化ホウ素の混合量が多かったことで、Mg326の生成量が多くなったことに由来すると推定される。
ところで、酸化ホウ素のうち、Mg326の生成に利用されなかったホウ素の一部は、Bアモルファスとして蛍光プレート内に残存する。このBアモルファスは、酸化ホウ素が還元さたことで生成されたものと推定される。つまり、Bアモルファスの生成量が多いことは、蛍光プレート10の製造時の雰囲気が、還元雰囲気に近いことを意味する。酸化ホウ素と酸化マグネシウムとによってMg326を生成する反応は、雰囲気の還元性が高いほど進みやすい。つまり、蛍光プレート内のBアモルファスの量が多いことは、Mg326を生成しやすい環境にあったことを示唆するものである。
以上に鑑みれば、Mg326由来の信号である回折強度I38.8、及びBアモルファス由来の信号である回折強度I25.0は、それぞれ蛍光体由来の信号である回折強度I30.9を基準としたときに、相対的に低い値であることが好ましいことが分かる。表1の結果と照合すれば、I25.0 /I30.9 が0.42以下であり、I38.8 /I30.9 が0.24以下であるのが好ましい。
ところで、非カーボン製の超硬型の装置を用いて製造されたサンプル#B1は、酸化ホウ素の混合量が同一(0.8質量%)であるサンプル#A5と比較して、内部量子効率が高く、I25.0 /I30.9の値、及びI38.8 /I30.9の値が共に低い。この結果から、製造時に非カーボン製の装置を用いた場合、カーボン製であるグラファイト型の装置を用いた場合を比べて、還元雰囲気になりにくいと考えられる。
サンプル#A5とサンプル#B1との比較結果を踏まえると、酸化ホウ素の混合量を異ならせて、超硬型の装置を用いて製造した場合の結果が、演算によって推定できる。この推定結果を、下記表2に示す。なお、表2内において、酸化ホウ素の混合量を0.8質量%とした場合の結果は、表1内の#B1と同一であり、実測値である。
Figure 2022185412000003
図11~図13は、それぞれ表1及び表2の結果をグラフ化したものである。図11は、酸化ホウ素の混合量(添加量)と、内部量子効率の相対値の関係をグラフ化したものである。図12は、酸化ホウ素の混合量(添加量)と、I25.0 /I30.9の値の関係をグラフ化したものである。図13は、酸化ホウ素の混合量(添加量)と、I38.8 /I30.9の値の関係をグラフ化したものである。
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
〈1〉 蛍光プレート10は、異なる2種類以上の組成を示す蛍光体粒11を含むものとしても構わない。特に、窒化物蛍光体は、ガーネット構造をもつYAG蛍光体と比較して、長波長化をしたときの温度消光の影響が小さいという性質を示す。このため、窒化物蛍光体は、YAG蛍光体と比較して赤色光の強度を高めることができる。
図14は、2種類の組成の蛍光体粒11を含む蛍光プレート10に対して、励起光21を照射したときの発光スペクトルの一例である。一の組成の蛍光体粒11からは蛍光22aが発せられ、別の組成の蛍光体粒11からは蛍光22bが発せられる。これにより、蛍光22を長波長化することができる。なお、図14では、比較のため、YAG蛍光体に対して励起光が照射された場合の蛍光22yのスペクトルが重ねて表示されている。
2種類の組成の蛍光体粒11としては、例えば、La3Si611と、(La,Y)3Si611とを利用することができる。(La,Y)3Si611は、La3Si611に比べて長波長の蛍光を生成できる。
後述するように、特に蛍光発光素子30をプロジェクタに利用する場合には、蛍光プレート10で得られた蛍光22を用いて白色光が生成される。プロジェクタとして要求される白色光としては、例えばIEC 61966-2-1の規格で規定されたsRGB色空間内において、色度座標上の白色点D65(x=0.3127, y=0.3290)を満たすことが推奨されている。
蛍光プレート10が、単一のLa3Si611からなる蛍光体粒11を含む場合、蛍光プレート10で得られた蛍光22と青色光(例えば励起光21と同じ青色レーザ光)とを重ね合わせて上記規格を満たす白色光を生成しようとすると、G(緑色光)領域及びR(赤色光)領域の液晶フィルタの開閉率を、例えば70%~85%程度に設定する必要が生じる。この場合、一部の光が液晶フィルタで遮られてしまい、光ロスが生じる。
これに対し、蛍光プレート10が、La3Si611と、これよりも長波長側の蛍光の生成が可能な(La,Y)3Si611の2種類の蛍光体を含む場合、これらの混合率を調整することで、生成される白色光の色度値を規格値に近づけることができる。この結果、プロジェクタにおいて、R,G,Bそれぞれの液晶フィルタの開閉率を100%に近づけることが可能となり、光ロスを低減できる。
かかる観点から、蛍光プレート10に含まれる蛍光体粒11のうち、(La,Y)3Si611の混合割合を、30質量%~60質量%とするのが好ましく、35質量%~55質量%とするのがより好ましく、40質量%~50質量%とするのが特に好ましい。
なお、蛍光体粒11に含まれる(La,Y)3Si611の割合を高めるほど、蛍光22のピーク波長は長波長側にシフトする。蛍光体粒11に、上述した割合で(La,Y)3Si611を混合させた場合、蛍光22のピーク波長は、好ましくは540nm~555nmであり、より好ましくは542nm~553nmであり、特に好ましくは、545nm~552nmである。この場合、蛍光22の半値幅は105nm~115nm程度である。上記のような混合割合で(La,Y)3Si611を混合させたときの光利用効率(励起光21の光強度に対する蛍光22の光強度の比率)は、34%を超える値を示す。
同様の観点から、蛍光体粒11を構成する蛍光体材料として、複数の異なる元素で賦活化したものを利用しても構わない。
〈2〉 本発明の蛍光プレート10を含む蛍光発光素子30は、例えばプロジェクタに利用できる。図15は、プロジェクタの構成の一例を模式的に示す図面である。プロジェクタ50は、励起光源2と、蛍光発光素子30と、ダイクロイックミラー3と、色分解合成光学系53と、投影光学系55とを備える。なお、図15に示す例では、ダイクロイックミラー3と蛍光発光素子30との間に、位相差板51が設けられている。位相差板51は、例えば1/4波長板である。
励起光源2から出射された励起光21は、ダイクロイックミラー3で反射された後、蛍光発光素子30に向かう。蛍光発光素子30は、入射された励起光21の一部を励起光21よりも長波長の蛍光22に変換して出射する。また、励起光21の一部は蛍光発光素子30で反射される。ここで、励起光21は、ダイクロイックミラー3と蛍光発光素子30の間で位相差板51を2回通過することで、偏光状態が変換される。例えば、励起光源2から出射された時点の励起光21をP偏光とし、ダイクロイックミラー3を、P偏光の励起光21を反射し、S偏光の励起光21及び蛍光22を透過するように設計しておくことで、蛍光発光素子30から出射された励起光21及び蛍光22は、白色光20としてダイクロイックミラー3を通過して後段の色分解合成光学系53に導かれる。
色分解合成光学系53は、図示しないが、光分解光学系と、液晶パネルと、光合成光学系とを含む。光分解光学系が、入射された白色光20を、R・G・Bの3色の光に分離して、それぞれの色ごとに設けられた液晶パネルに導かれ、液晶パネルにおいて、画像変調される。画像変調されたR・G・Bそれぞれの光は、光合成光学系で合成されて、画像表示光25として投影光学系55によってスクリーン(不図示)に投影される。
なお、図15では、励起光21の一部と蛍光22とを合成して白色光20としたが、励起光21と同等の波長を示す別の光源(青色光源)を準備し、この青色光源から出射された青色光と蛍光22とが合成されることで、白色光20が生成されるものとしても構わない。
1 :蛍光光源装置
2 :励起光源
3 :ダイクロイックミラー
10 :蛍光プレート
10a :光取り出し面
10b :モスアイ構造
11 :蛍光体粒
12 :酸化マグネシウム粒
20 :白色光
21 :励起光
22,22a,22b,22y :蛍光
25 :画像表示光
30 :蛍光発光素子
31 :基板
32 :接合層
33 :反射層
40 :成形機
41 :ダイ
42 :上部パンチ
43 :下部パンチ
45 :混合粉
50 :プロジェクタ
51 :位相差板
53 :色分解合成光学系
55 :投影光学系

Claims (7)

  1. 無機系の蛍光体材料からなる複数の蛍光体粒と、
    複数の前記蛍光体粒を連結するように位置する酸化マグネシウム粒と、
    前記蛍光体粒及び前記酸化マグネシウム粒よりも含有濃度が低いホウ素含有組成物とを含み、
    X線回折法によって得られるXRDスペクトルにおいて、偏光角2θ=30.9°における回折強度I30.9 に対する、偏光角2θ=25.0°における回折強度I25.0 の比率であるI25.0 /I30.9 が0.42以下であり、前記回折強度I30.9 に対する、偏光角2θ=38.8°における回折強度I38.8 の比率であるI38.8 /I30.9 が0.24以下であることを特徴とする、蛍光プレート。
  2. 相対密度が90%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の蛍光プレート。
  3. 前記酸化マグネシウム粒の粒度分布が、0.5μm~1μmに単一のピークを示すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の蛍光プレート。
  4. 前記蛍光体粒は、化学式La3Si611で規定される窒化物蛍光体で構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の蛍光プレート。
  5. 前記蛍光体粒は、Ce3+で賦活された前記窒化物蛍光体と、Eu2+で賦活された前記窒化物蛍光体とを含んで構成されることを特徴とする、請求項4に記載の蛍光プレート。
  6. 請求項1又は2に記載の蛍光プレートの製造方法であって、
    前記蛍光体材料からなる第一粒子と、酸化マグネシウムからなる第二粒子と、酸化ホウ素からなる第三粒子とを少なくとも含む混合粉を得る工程(a)と、
    前記混合粉を、上部パンチ、下部パンチ、及び筒状ダイを含む成形機内に投入して加圧することで、板形状の成形体にする工程(b)と、
    前記成形体を、不活性ガス雰囲気で焼結する工程(c)とを含み、
    前記工程(a)は、前記混合粉全体に対する前記第一粒子の濃度が10質量%~30質量%、前記混合粉全体に対する前記第二粒子の濃度が70質量%~90質量%、前記混合粉全体に対する前記第三粒子の濃度が0.1質量%~5質量%となるように、前記第一粒子、前記第二粒子及び前記第三粒子を混合する工程であることを特徴とする、蛍光プレートの製造方法。
  7. 前記工程(b)は、前記混合粉を、前記上部パンチ、前記下部パンチ、及び前記筒状ダイが非カーボン製である前記成形機に投入する工程を含むことを特徴とする、請求項6に記載の蛍光プレートの製造方法。
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