JP2022185276A - 遠心送風機 - Google Patents

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Abstract

【課題】騒音を低減し、効率を向上することの可能な遠心送風機を提供する。【解決手段】遠心送風機1は、主板10とシュラウド20と複数の翼30を備える。主板10は、駆動部40の出力するトルクにより回転可能に設けられる。シュラウド20は、主板10に対向して設けられ、中央に空気が流入する開口部21を有する。複数の翼30は、シュラウド20と主板10との間で、回転中心となる軸心CLの周りに所定の間隔で配置され、シュラウド20および主板10に接続される。そして、主板10の外径Dmおよびシュラウド20の外径Dsはいずれも、複数の翼30の後縁32同士を回転方向に結んだ円の外径D2よりも大きく形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、遠心送風機に関するものである。
従来、羽根車の回転の軸心方向の一方から取り込んだ空気を軸心から遠ざかる方向へ吹き出す遠心送風機が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の遠心送風機は、羽根車を構成する複数の翼の後縁同士を回転方向に結んだ円の外径(以下、「翼後縁の外径」という)と、主板の外径と、シュラウドの外径とが同一に形成されている。
特開2020-180588号公報
一般に、遠心送風機では、翼の前縁側から翼同士の間の流路(以下、「翼間流路」という)に吸い込まれた気流は、ほとんど動圧であり、翼間流路を流れる途中で静圧成分が増える。特許文献1に記載の遠心送風機のように、翼後縁の外径と主板の外径とシュラウドの外径とが同一である場合、翼間流路を流れて羽根車から外側へ吹き出された気流は、その羽根車より外側で流路が急拡大する構成となる。そのため、特許文献1に記載の遠心送風機の構成では、羽根車より外側の流路の急拡大により気流の乱れおよび渦損失が大きく、それにより静圧が大きく減少してしまう。したがって、特許文献1に記載の遠心送風機は、騒音悪化、効率低下を引き起こすことが懸念される。
本発明は上記点に鑑みて、遠心送風機において、騒音を低減し、効率を向上することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明によると、遠心送風機において、
駆動部の出力するトルクにより回転可能に設けられる主板(10)と、
主板に対向して設けられ、中央に空気が流入する開口部(21)を有する環状のシュラウド(20)と、
シュラウドと主板との間で、回転中心となる軸心(CL)の周りに所定の間隔で配置され、シュラウドおよび主板に接続される複数の翼(30)と、を備え、
主板の外径(Dm)およびシュラウドの外径(Ds)はいずれも、複数の翼の後縁同士を回転方向に結んだ円の外径(D2)よりも大きく形成されている。
これによれば、翼の後縁よりも外側にシュラウドと主板をそれぞれ延長することで、翼の後縁よりも外側に、シュラウドと主板とで挟まれた流路(以下、「延長流路」という)が形成される。そのため、翼間流路を流れて後縁から延長流路に吹き出された気流は、羽根車とその羽根車よりも外側の空気の影響を受けて静圧が上昇する。したがって、この遠心送風機は、羽根車の外側で流路が急拡大することによる気流の乱れおよび渦損失が抑制されるので、騒音を防ぎ、効率を向上できる。
なお、主板の外径とは、主板のうち軸心に対して外方に位置する主板外縁部の外径をいう。また、シュラウドの外径とは、シュラウドのうち軸心に対して外方に位置するシュラウド外縁部の外径をいう。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態に係る遠心送風機の平面図である。 図1のII―II線の断面図である。 図1のIII―III線の断面においてモータ、基板などを除いた断面図である。 図3と同一の部位において、羽根車の各値について説明するための説明図である。 円錐ディフューザの拡がり角度と圧力損失係数との関係を示すグラフである。 円錐ディフューザの模式図である。 翼間流路の入口の流路総面積を示すイメージ図である。 翼間流路の途中の流路総面積を示すイメージ図である。 翼間流路の出口の流路総面積を示すイメージ図である。 図3のVII部分の拡大図である。 比較例の遠心送風機において図3に対応する部位の断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
第1実施形態の遠心送風機について説明する。以下、遠心送風機を単に「送風機1」という。図1~図3に示すように、本実施形態の送風機1は、主板10、シュラウド20、複数の翼30などにより構成される羽根車2と、その羽根車2を回転させる駆動部としてのモータ40と、羽根車2およびモータ40などを収容するケース50とを備えている。この送風機1は、例えば、車両用シート空調装置、空調装置または換気装置など、種々の用途に用いられる。
なお、以下の説明では、羽根車2の回転の軸心CLに垂直な仮想平面上において軸心CLを中心とした仮想円を定義し、その仮想円における径方向の軸心CL側を「径方向内側」といい、その仮想円における径方向の軸心CLとは反対側を「径方向外側」という。また、軸心CLが延びる方向を「軸心方向」という。
羽根車2の構成について説明する。羽根車2の主板10は、駆動部としてのモータ40の出力するトルクにより回転可能に設けられている。主板10は、モータ40の回転軸41に固定される中央部11と、その中央部11の径方向外側の外壁に固定される固定部12と、その固定部12より径方向外側に設けられて複数の翼30に接合される環状部13とを有している。主板10の中央部11は、回転軸41側から径方向外側に向かって上ケース53の空気吸込口51から次第に遠ざかる山型に形成されている。そのため、主板10の中央部11は、上ケース53の空気吸込口51から吸い込まれた空気を、複数の翼30同士の間に形成される流路(以下、「翼間流路3」という)に導くガイド面として機能する。なお、主板10の中央部11は、後述するモータロータ42の一部を構成している。また、主板10の固定部12は、その固定部12と一体に成形された複数の翼30およびシュラウド20と、モータロータ42との固定に用いられる。
シュラウド20は、主板10に対して軸心方向に対向するように設けられている。シュラウド20は、環状に形成されており、中央に空気が流入する開口部21を有している。シュラウド20は、開口部21側の内周縁から主板10とは反対側に向かって筒状に延びるシュラウド筒部22を有している。また、シュラウド20は、シュラウド筒部22よりも径方向外側の位置に、主板10とは反対側に向かって筒状に突出する複数のシュラウド側突起23を有している。本実施形態では、3個のシュラウド側突起23が設けられている。
複数の翼30は、シュラウド20と主板10との間に設けられ、羽根車2の回転中心となる軸心CLの周りに所定の間隔で配置されている。複数の翼30は、前縁31から後縁32に向かって回転方向後向きに延びている。すなわち、本実施形態の羽根車2は、ターボファンである。
翼30のうち軸心方向シュラウド20側の端部33は、シュラウド20に接続されている。翼30のうち軸心方向主板10側の端部34は、主板10の固定部12および環状部13に接続されている。したがって、本実施形態の羽根車2は、クローズドファンである。
ここで、図2に示すように、本実施形態では、シュラウド20の開口部21の内径をDs1とする。また、複数の翼30の後縁32同士を回転方向に結んだ円の外径(以下、「翼後縁32の外径」という)をD2とする。このとき、本実施形態の送風機1は、次の式1の関係を有している。
Ds1/D2≦0.7 ・・・(式1)
すなわち、本実施形態の送風機1は、翼30の前縁31から後縁32までの長さを長くした大風量型のターボファンである。本実施形態の送風機1(すなわち、ターボファン)は、羽根車2から吹き出される気流の静圧が大きいといった特徴を有している。なお、Ds1/D2の最小値については、特に規定しないが、シュラウド20の開口部21から吸い込まれる空気が狙いの風量となる値に設定される。
また、本実施形態では、シュラウド20のうち軸心CLに対して外方に位置するシュラウド外縁部27の外径(以下、「シュラウド20の外径」という)をDsとする。また、主板10のうち軸心CLに対して外方に位置する主板外縁部16の外径(以下、「主板10の外径」という)をDmとする。このとき、本実施形態の送風機1は、次の式2および式3の関係を有している。
Ds>D2 ・・・(式2)
Dm>D2 ・・・(式3)
すなわち、シュラウド20は、翼30の後縁32よりも外側に延長されたシュラウド延長部28を有している。また、主板10も、翼30の後縁32よりも外側に延長された主板延長部17を有している。これにより、翼30の後縁32よりも外側に、シュラウド延長部28と主板延長部17とで挟まれた流路(以下、「延長流路4」という)が形成される。そのため、本実施形態の送風機1では、翼間流路3を流れて翼30の後縁32から延長流路4に吹き出された気流は、その延長流路4において、羽根車2とその羽根車2よりも外側の空気の影響を受けて静圧が上昇する。したがって、本実施形態の送風機1は、羽根車2の外側で流路が急拡大することによる気流の乱れおよび渦損失が抑制されるので、騒音を防ぎ、効率を向上できる。
さらに、本実施形態では、図4に示すように、シュラウド20の開口部21におけるシュラウド20と主板10との間の軸心方向の距離をh1とする。また、翼30の後縁32におけるシュラウド20と主板10との間の軸心方向の距離をh2とする。
このとき、本実施形態の送風機1は、次の式4の関係を有している。
(h2*D2-h1*Ds1)/{(D2-Ds1)*(h1-h2)}≦0.15
・・・(式4)
上記の式4の意義について説明する。
翼間流路3における上流側から下流側への面積変化率は、その翼間流路3を流れる気流の乱れの要因になり、送風機1の効率に寄与する圧力損失ΔP[Pa]に影響する。また、一般に、遠心送風機では、「前縁31と主板10との交点から後縁32と主板10との交点までを結んだ直線L1と、主板10の形状との差」は、「前縁31とシュラウド20との交点から後縁32とシュラウド20との交点までを結んだ直線L2と、シュラウド20の形状との差」に対し、小さい。そのため、損失を定義する流路変化の角度θは、主流に対する曲がりよりもシュラウド20側の曲がりの損失が支配的であり、事実、シュラウド20のうち主板10側の面の近傍で剥離損失が発生しやすい事が一般的に知られている。今回、発明者は流路変化を示す角度θを上記の式4として定義することで、流路変化率を規定することを発案した。また、一般文献値より、図5のグラフに示すように、流路変化率を示す角度θは一定値を超えると剥離損失が急に大きくなることが実験的に知られているため、翼間面積変化による圧力損失係数Kを30%以下とするような角度9deg以下とした。
なお、図5のグラフは、図6に示したような円錐ディフューザにおける拡がり角度2θと圧力損失係数Kとの関係を示すグラフなので、拡がり角度2θが18degのときに圧力損失係数Kが0.3(すなわち30%)となっている。これを本実施形態のような送風機1に適応した場合、上述したように損失を定義する流路変化の角度θは主流に対する曲がりよりもシュラウド20側の曲がりの損失が支配的であることから、θ=18÷2=9として、式4の不等式の右辺をtan9deg≒0.15としている。
なお、翼間面積変化による圧力損失ΔP[Pa]は、圧力損失係数K、翼間面積変化による圧力損失無しの場合の昇圧力P[Pa]としたとき、次の式5により求められる。
ΔP=K×P ・・・(式5)
すなわち、圧力損失係数Kを小さくすることで、翼間面積変化による圧力損失ΔPを小さくできる。これにより、本実施形態では、上記の式5に基づいてDs1、D2、h1、h2の各値を設定することで、翼間流路3の面積拡大時の圧力損失を小さくでき、送風機1の効率を向上できる。
なお、図6A~図6Cは、上記の式4の左辺に示された数式の根拠を示すために翼間流路3を回転方向に展開した流路総面積のイメージ図である。図6Aは、翼間流路の入口の流路総面積を示しており、図6Bは、翼間流路の途中の流路総面積を示し、図6Cは、翼間流路の出口の流路総面積を示している。なお、図6A~図6Cにおいて、nは、翼間流路の数(すなわち、翼30の数と同じ)を示している。
続いて、ケース50およびモータ40の構成について説明する。図1~図3に示すように、ケース50は、上ケース53と下ケース54とを有している。上ケース53は、羽根車2のシュラウド20側を覆う部材である。下ケース54は、羽根車2の主板10側を覆うと共に、モータ40および回路基板60を収容する部材である。上ケース53と下ケース54とは、図示しない支柱およびねじなどにより、所定の間隔をあけて固定されている。なお、図1では、上ケース53と下ケース54との間に支柱などが設けられる位置を、符号55を付した円形で示している。
上ケース53は、シュラウド20のうち主板10とは反対側の面を覆う上ケース本体部56と、上ケース本体部56においてシュラウド20の開口部21に対応する位置に設けられる空気吸込口51と、空気吸込口51の内周縁から主板10側に向かって筒状に延びるベルマウス57とを有している。
また、上ケース53は、ベルマウス57よりも径方向外側の位置に、主板10側に向かって筒状に突出する複数のケース側突起52を有している。本実施形態では、2個のケース側突起52が設けられている。2個のケース側突起52は、シュラウド20に設けられた3個のシュラウド側突起23同士の間に設けられている。そのため、上ケース53とシュラウド20との間の隙間流路25には、ケース側突起52とシュラウド側突起23により、ラビリンス部26が形成されている。
ここで、図7に示すように、本実施形態では、ケース側突起52とシュラウド側突起23とを軸心CLに平行な仮想平面Sに投影したとき、ケース側突起52とシュラウド側突起23との重なり代における軸心方向の距離をαとする。また、上ケース本体部56とシュラウド側突起23との間の距離をδとする。このとき、本実施形態の送風機1は、次の式6の関係を有している。
α≧0.5δ ・・・(式6)
これにより、ケース側突起52とシュラウド側突起23との重なり代における軸心方向の距離αを大きくして、ラビリンス部26の流路抵抗を大きくすることが可能となる。このようにした理由は、本実施形態では、翼30の後縁32よりも外側にシュラウド延長部28と主板延長部17とで挟まれた延長流路4を設けたことで、羽根車2より外側に吹き出される気流の静圧成分が増加する。それにより、羽根車2より外側に吹き出される空気と、羽根車2の吸込口側の空気との圧力差が大きくなる。そのため、羽根車2より外側に吹き出された空気が、シュラウド20と上ケース53と間の隙間流路25を流れて羽根車2の吸込口側に逆流する空気(以下「逆流空気」という)の流量が増加することが懸念される。
そこで、本実施形態では、シュラウド20と上ケース53と間の隙間流路25にラビリンス部26を形成し、その構成を上記の式6のように規定することで、逆流空気の流量を低減することができる。したがって、この送風機1は、逆流空気の流量低減により効率を向上すると共に、上ケース53の空気吸込口51から吸い込まれる空気と隙間流路25から吹き出される逆流空気との衝突による騒音の増加を防ぐことができる。
一方、図2に示すように、下ケース54は、羽根車2の主板10側を覆う下ケース本体部58と、その下ケース本体部58の中央に設けられる中央筒部59とを有している。その中央筒部59に対して、モータ40の回転軸41およびモータステータ43が取り付けられている。なお、本実施形態では、モータ40として、例えば、アウターロータ型ブラシレスDCモータが採用されている。
モータ40の回転軸41は、中央筒部59の内側に軸受44を介して回転可能に設けられている。モータ40の回転軸41のうち軸心方向の端部には、モータロータ42が固定されている。モータロータ42は、上述した主板10の中央部11と、その主板10の中央部11の外縁から軸心方向のシュラウド20とは反対側に延びる磁石保持部14と、磁石保持部14の径方向内側に設けられる磁石45とを有している。磁石保持部14の径方向外側の外壁に対して主板10の固定部12が圧入などにより固定されている。これにより、モータロータ42と羽根車2とが接合される。磁石保持部14の径方向内側に設けられる磁石45は、磁石保持部14の周方向に異種の磁極が交互に配置されている。
磁石45の径方向内側には、モータステータ43が設けられている。モータステータ43は、中央筒部59の径方向外側の面に固定されている。モータステータ43は、例えばY結線またはデルタ結線などにより構成された三相コイル46とステータコア461とを有している。三相コイル46には、回路基板60から三相交流電流が供給されるようになっている。
上述した構成において、コネクタ47から回路基板60に電力および駆動信号が供給されると、その回路基板60からモータステータ43の三相コイル46に三相交流電流が供給され、回転軸41とモータロータ42と共に羽根車2が回転する。羽根車2が回転すると、図2に矢印AF1に示すように、上ケース53の空気吸込口51から流入する主流は、翼間流路3および延長流路4を通り、上ケース53と下ケース54との間から径方向外側に吹き出される。
ここで、上述した第1実施形態の送風機1と比較するため、図8を参照して、比較例の送風機100について説明する。なお、比較例の送風機100も、第1実施形態と同様にターボファンである。
図8に示すように、比較例の送風機100は、シュラウド20の外径Dsと、主板10の外径Dmと、翼後縁32の外径D2とが、同一に形成されている。そのため、比較例の送風機100では、翼間流路3を流れて羽根車2から外側へ吹き出された気流は、その羽根車2より外側の流路の急拡大による気流の乱れおよび渦損失が大きく、それにより静圧が大きく減少してしまうといった問題がある。そのため、比較例の送風機100は、騒音悪化、効率低下を引き起こすことが懸念される。
そのような比較例の送風機100に対し、本実施形態の送風機1は、次の作用効果を奏することが可能である。
(1)本実施形態の送風機1は、シュラウド20の外径Dsおよび主板10の外径Dmがいずれも、翼後縁32の外径D2よりも大きく形成されている。これによれば、翼30の後縁32よりも外側に、シュラウド延長部28と主板延長部17とで挟まれた延長流路4が形成される。そのため、翼間流路3を流れて後縁32から延長流路4に吹き出された気流は、羽根車2とその羽根車2よりも外側の空気の影響を受けて静圧が上昇する。したがって、本実施形態の送風機1は、羽根車2の外側で流路が急拡大することによる気流の乱れおよび渦損失が抑制されるので、騒音を防ぎ、効率を向上できる。
(2)ところで、本実施形態の送風機1は、翼30の後縁32よりも外側に延長流路4を形成することで、羽根車2より外側に吹き出される気流の静圧成分が増えるので、その羽根車2より外側の空気と、羽根車2の吸込口側の空気との圧力差が大きくなる。そのため、羽根車2より外側に吹き出された空気が、シュラウド20と上ケース53と間の隙間流路25を流れて羽根車2の吸込口側に逆流する逆流空気の流量が増加することが懸念される。
そこで、本実施形態では、シュラウド20と上ケース53と間の隙間流路25に、ケース側突起52とシュラウド側突起23によるラビリンス部26を形成している。これによれば、シュラウド20と上ケース53と間の隙間流路25を逆流する逆流空気の流量を低減することができる。したがって、本実施形態の送風機1は、逆流空気の流量低減により効率を向上すると共に、上ケース53の空気吸込口51から吸い込まれる空気と隙間流路25から吹き出される逆流空気との衝突による騒音の増加を防ぐことができる。
(3)本実施形態では、ケース側突起52とシュラウド側突起23との重なり代における軸心方向の距離αが、上ケース本体部56とシュラウド側突起23との間の距離δの半分以上とされている。これによれば、ケース側突起52とシュラウド側突起23との重なり代を大きくして、ラビリンス部26の流路抵抗を大きくすることで、逆流空気の流量をより低減することができる。
(4)本実施形態では、シュラウド20の開口部21の内径Ds1と、翼後縁32の外径D2は、Ds1/D2≦0.7 の関係を有している。これによれば、翼30の前縁31から後縁32までの長さを長くした大風量型の送風機1において、翼後縁32よりも外側にシュラウド20と主板10をそれぞれ延長することで静圧をより上昇させることが可能となり、騒音低減および効率向上の効果が有効に得られる。
(5)本実施形態では、シュラウド20の開口部21におけるシュラウド20と主板10との間の軸心方向の距離h1、翼30の後縁32におけるシュラウド20と主板10との間の軸心方向の距離h2、シュラウド20の開口部21の内径Ds1、翼後縁32の外径D2は、式4の関係を有している。
(h2*D2-h1*Ds1)/{(D2-Ds1)*(h1-h2)}≦0.15
・・・(式4)
これによれば、本実施形態の送風機1は、翼間流路3の面積拡大時の圧力損失を小さくでき、送風機1の効率を向上できる。
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、送風機1の備える羽根車2をターボファンとして説明したが、これに限らず、例えば斜流ファンとしてもよい。
(2)上記実施形態では、モータ40をアウターロータ型ブラシレスDCモータとして説明したが、これに限らず、例えばインナーロータ型ブラシレスDCモータ、または、ACモータなどとしてもよい。
(3)上記実施形態では、シュラウド20は、シュラウド筒部22、シュラウド側突起23などを有するものとして説明したが、これに限らず、シュラウド20は、それらの構成を有していなくても、開口部21を有する環状のものであればよい。
(4)上記実施形態では、主板10は、中央部11、固定部12および環状部13などを有するものとして説明したが、これに限らず、主板10は、例えば、中央部11、固定部12および環状部13などが一体に構成されたものであってもよい
(5)上記実施形態では、送風機1は、ケース50を備えるものとして説明したが、これに限らず、送風機1はケース50を備えていなくてもよい。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
1 遠心送風機
10 主板
20 シュラウド
21 開口部
30 翼
40 電動モータ(駆動部)
CL 軸心
Dm 主板の外径
Ds シュラウドの外径
D2 翼後縁の外径

Claims (6)

  1. 遠心送風機において、
    駆動部(40)の出力するトルクにより回転可能に設けられる主板(10)と、
    前記主板に対向して設けられ、中央に空気が流入する開口部(21)を有する環状のシュラウド(20)と、
    前記シュラウドと前記主板との間で、回転中心となる軸心(CL)の周りに所定の間隔で配置され、前記シュラウドおよび前記主板に接続される複数の翼(30)と、を備え、
    前記主板の外径(Dm)および前記シュラウドの外径(Ds)はいずれも、複数の前記翼の後縁同士を回転方向に結んだ円の外径(D2)よりも大きく形成されている、遠心送風機。
  2. 前記シュラウドのうち前記主板とは反対側の面を覆う上ケース本体部(56)と、前記上ケース本体部において前記開口部に対応する位置に設けられる空気吸込口(51)と、前記上ケース本体部から前記シュラウド側に筒状に突出するケース側突起(52)とを有する上ケース(53)をさらに備え、
    前記シュラウドは、前記上ケース側に筒状に突出するシュラウド側突起(23)を有しており、
    前記ケース側突起と前記シュラウド側突起により、前記シュラウドと前記上ケースと間の隙間流路(25)にラビリンス部(26)が形成されている、請求項1に記載の遠心送風機。
  3. 前記ケース側突起と前記シュラウド側突起とを前記軸心に平行な仮想平面(S)に投影したとき、前記ケース側突起と前記シュラウド側突起との重なり代における軸心方向の距離(α)は、前記上ケース本体部と前記シュラウド側突起との間の距離(δ)の半分以上である、請求項2に記載の遠心送風機。
  4. 前記シュラウドの前記開口部の内径をDs1、
    複数の前記翼の前記後縁同士を回転方向に結んだ円の外径をD2とすると、
    Ds1/D2≦0.7 の関係を有している、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の遠心送風機。
  5. 前記シュラウドの前記開口部における前記シュラウドと前記主板との間の軸心方向の距離をh1、
    前記翼の前記後縁における前記シュラウドと前記主板との間の軸心方向の距離をh2とすると、
    (h2*D2-h1*Ds1)/{(D2-Ds1)*(h1-h2)}≦0.15
    の関係を有している、請求項4に記載の遠心送風機。
  6. 前記ケース側突起と前記シュラウド側突起とを前記軸心に平行な仮想平面(S)に投影したとき、前記ケース側突起と前記シュラウド側突起との重なり代における軸心方向の距離(α)は、前記上ケース本体部と前記シュラウド側突起との間の距離(δ)の半分以上であり、
    前記シュラウドの前記開口部の内径をDs1、
    複数の前記翼の前記後縁同士を回転方向に結んだ円の外径をD2、
    前記シュラウドの前記開口部における前記シュラウドと前記主板との間の軸心方向の距離をh1、
    前記翼の前記後縁における前記シュラウドと前記主板との間の軸心方向の距離をh2とすると、
    Ds1/D2≦0.7の関係、および、
    (h2*D2-h1*Ds1)/{(D2-Ds1)*(h1-h2)}≦0.15
    の関係を有している、請求項2に記載の遠心送風機。
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