JP2022184569A - 硬化型組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低粘度で硬化性に優れ、その硬化膜が凝集力に優れ、具体的には剥離強度に優れ、糊残りのない再剥離性に優れる多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含む硬化型組成物の提供、好ましくは活性エネルギー線硬化型組成物の提供。【解決手段】下記(A)成分を含む硬化型組成物。(A)成分:ポリオール、有機ポリイソシアネート、並びにグリセリン(メタ)アクリレート及びジグリセリン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物の混合物であって、水酸基価が20~300mgKOH/gである混合物(a1)の反応物【選択図】なし

Description

本発明は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート〔以下、「多官能ウレタン(メタ)アクリレート」という〕を含む硬化型組成物に関し、好ましくは活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
本発明の組成物は、種々の用途に使用可能であり、特に従来の多官能ウレタン(メタ)アクリレートよりも速硬化性を有し、硬化膜は強度や凝集力に優れた組成物が得られ、そのため、接着剤、粘着剤、及び封止剤として好ましく使用でき、これら技術分野に属する。
尚、本明細書においては、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレート、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と呼ぶ。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、硬化性、硬化膜の引張強度、伸び率、強靭性に優れるため、コーティング剤、インキ、粘着剤、接着剤、及び封止剤等の種々な硬化型組成物、特に活性エネルギー線硬化型組成物に使用されている。
これらの用途のうち、粘着剤は、貼付した後に剥離できる機能を生かして、各種ラベル及びテープ等に使用されており、その中でも、接着力の弱い粘着剤は再剥離性粘着剤とも呼ばれ、貼付してからある期間の後に被着体から容易に剥がすことができる機能を有するため、建築、自動車製造及び電子機器等の用途において、マスキングテープや保護フィルムとして広く用いられている。
再剥離性粘着剤のより具体的な用途としては、重ね合わせ面に一般情報及び親展情報等を印刷してある折り畳みシートの対向面を再剥離可能に貼り合わせる再剥離性粘着加工紙があり、近年、通知物作成の自動化や個人情報の保護等の観点から、各種通知書に多用されている。
この再剥離性粘着加工紙は、その重ね合わせ面同士が接着するように、重ね合わせ面の所定部分に感圧性を有する再剥離性粘着剤層が設けられている。この再剥離性粘着剤層を対接させ強圧をかけることにより、通常の取り扱い時には相互に接着し、引き剥がすことにより再剥離が可能となる。
粘着剤は、その形態によって溶剤型粘着剤やエマルション型粘着剤、無溶剤型粘着剤等に大別されるが、使用溶剤やエネルギーコスト削減の点から、無溶剤型粘着剤の一種である活性エネルギー線硬化型粘着剤に注目が集まっている。
活性エネルギー線硬化型粘着剤は、溶剤型粘着剤やエマルション型粘着剤とは異なり、粘着剤層を形成する際に、溶剤や水等の溶媒を除去する工程を要しないという特長があることから、近年、環境対応型粘着剤として、画像表示装置、家電製品、情報機器、自動車内外装部材、建材、及びラベル等の様々な分野で使用されている。
無溶剤型の粘着剤組成物として、多官能ウレタン(メタ)アクリレートを主成分とした無溶剤型の組成物が知られている。
特許文献1には、2官能ウレタン(メタ)アクリレートと1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「単官能(メタ)アクリレート」という)からなる組成物が開示されている。しかし、当該特許の組成物は、無溶剤かつ低粘度であるものの、硬化性が低いため、粘着剤層中に未反応の(メタ)アクリレートが残存しやすく、粘着テープとしての使用に際し臭気や糊残りなどの性能の点で問題があった。
このように、粘着剤の原料として用いられる従来の2官能ウレタン(メタ)アクリレートは、分子中の(メタ)アクリロイル基数が少ないため、硬化性と凝集力が低く、糊残りしやすいという点で改善の余地があった。
特開2014-5368号公報
本発明者らは、低粘度で硬化性に優れ、その硬化膜が凝集力に優れ、具体的には剥離強度に優れ、糊残りのない再剥離性に優れる多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含む硬化型組成物を見出すため、好ましくは活性エネルギー線硬化型組成物を見出すため鋭意検討を行ったのである。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリオール、有機ポリイソシアネート、並びにグリセリン(メタ)アクリレート及び/又はジグリセリン(メタ)アクリレートのウレタン化反応で得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレートを必須成分として含有する硬化型組成物が、低粘度で硬化性に優れ、その硬化膜が凝集力に優れ、具体的には剥離強度に優れ、糊残りのない再剥離性に優れることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物によれば、低粘度で硬化性に優れ、その硬化膜が凝集力に優れ、具体的には剥離強度に優れ、糊残りのない再剥離性に優れるというの性能を同時に満足することができる。このため、本発明の組成物は、粘着剤、接着剤、及び封止剤等の用途に好ましく使用することができる。
本発明は、下記(A)成分を含む硬化型組成物に関する。
(A)成分:ポリオール、有機ポリイソシアネート、並びにグリセリン(メタ)アクリレート及びジグリセリン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物の混合物であって、水酸基価が20~300mgKOH/gである混合物(a1)の反応物
以下、(A)成分、硬化型組成物、使用方法、及び用途について説明する。
1.(A)成分
本発明の(A)成分は、ポリオール、有機ポリイソシアネート、並びにグリセリン(メタ)アクリレート及びジグリセリン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物の混合物であって、水酸基価が20~300mgKOH/gである混合物(a1)〔以下、「混合物(a1)」という〕の反応物である。
以下、ポリオール、有機ポリイソシアネート、混合物(a1)、及び(A)成分の製造方法について説明する。
1-1.ポリオール
ポリオールとしては、低分子量ジオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエン骨格を有するジオール等が挙げられる。
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール及びヒドロキシピバリン酸ネオペンチグリコールエステル等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、オキシアルキレン単位を2個以上有するポリアルキレングリコールが挙げられ、具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、カーボネートと前記の低分子ジオールとの反応生成物が挙げられる。カーボネートの具体例としては、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、並びにジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、前記の低分子量ジオール、ポリエーテルポリオール及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種と、酸成分との反応物が挙げられる。酸成分の具体例としては、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等、ポリカーボネートジオールとカプロラクトンの開環反応物等が挙げられる。
ポリエン骨格を有するジオールとしては、ポリブタジエン骨格を有するジオール、ポリイソプレン骨格を有するジオール、水素添加型ポリブタジエン骨格を有するジオール及び水素添加型ポリイソプレン骨格を有するジオール等が挙げられる。
上記ポリオールは、1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。
1-2.有機ポリイソシアネート
有機ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート及びトリイソシアネート等が挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等、並びに、これら化合物のビウレット体、イソシアヌレート体、及びトリメチロールプロパン等の多価アルコールとの反応物等が挙げられる。
脂環式イソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、2,5(2,6)-ビス(イソシアナートメチル)ビシクロ[2 ,2,1]ヘプタン、水素化トリレンジイソシアネート、水素化4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び水素化キシリレンジイソシアネート、及び1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、並びに、これら化合物のビウレット体、イソシアヌレート体、及びトリメチロールプロパン等の多価アルコールとの反応物等が挙げられる。
芳香族イソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、及びジフェニルメタンジイソシアネート等、並びに、これら化合物のビウレット体、イソシアヌレート体、及びトリメチロールプロパン等の多価アルコールとの反応物等が挙げられる。
又、有機ポリイソシアネートとしては、耐光性に優れるという理由で、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートが好ましい。
有機ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネートがより好ましく、組成物が低粘度で、かつ硬化膜の凝集力と屈曲性が優れる点で、ヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。
1-3.混合物(a1)
混合物(a1)は、グリセリン(メタ)アクリレート及びジグリセリン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物の混合物であって、水酸基価が20~300mgKOH/gである混合物である。
混合物(a1)としては、グリセリン(メタ)アクリレートの混合物である場合は、グリセリンジアクリレートを主成分とする混合物が、有機ポリイソシアネートとの反応性に優れる点で好ましい。
ジグリセリン(メタ)アクリレートの混合物である場合は、ジグリセリントリアクリレートを主成分とする混合物が、有機ポリイソシアネートとの反応性に優れる点で好ましい。
混合物(a1)は、グリセリン及び/又はジグリセリン(以下、これらをまとめて「(ポリ)グリセリン」ともいう)と単官能(メタ)アクリレートとのエステル交換反応で得ることができる。又、混合物(a1)は、(ポリ)グリセリンと(メタ)アクリル酸との脱水エステル化反応で得ることもできる。
原料としてグリセリンを使用する場合は、混合物(a1)は、グリセリンのモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、及びトリ(メタ)アクリレートの混合物である。原料としてジグリセリンを使用する場合は、混合物(a1)は、ジグリセリンのモノ(メタ)アクリレート、並びにジグリセリンのジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、及びテトラ(メタ)アクリレートの混合物である。
混合物(a1)は、グリセリン(メタ)アクリレート及びジグリセリン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物の混合物であり、水酸基価が20~300mgKOH/gである。混合物(a1)の水酸基価としては、30~290mgKOH/gが好ましく、40~280mgKOH/gがより好ましい。
混合物(a1)の水酸基価が20mgKOH/gに満たない場合は、得られる(A)成分を含む組成物の凝集力が低下してしまう。又、水酸基価が300mgKOH/gを超過すると、得られる(A)成分の粘度が高くなり過ぎたり、硬化膜の耐水性が低下するという問題が生じる。
尚、本発明において水酸基価とは、JIS K0070-1992に定められた方法に準じて測定した値を意味する。
さらに、グリセリン(メタ)アクリレートの混合物としては、グリセリンジ(メタ)アクリレート(以下、「GLY-DA」ともいう)を含む混合物がより好ましい。
GLY-DAは、下記式(1)又は式(2)で表される化合物である。
Figure 2022184569000001
〔上記式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。〕
Figure 2022184569000002
〔上記式(2)において、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。〕
GLY-DAは特別に精製しない限りは製造時に式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との混合物として得られるため、これらをそのまま使用すればよく、特に式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物の混合比率には制約はなく、任意の割合で使用しても問題はない。
混合物(a1)に含まれるGLY-DAの純度は、下記式(3)を用いて求めた場合に、30%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。GLY-DAの純度を30%以上とすることで、ポリオール及び有機ポリイソシアネートとの反応物である(A)成分を、硬化性に優れ、硬化膜を凝集性に優れるものとすることができる。
GLY-DAの純度(%)
=〔(D×2)/(M+D/2+T/3)〕×100
・・・式(3)
計算式(3)におけるD、M、Tは、紫外線(UV)検出器を備えた高速液体クロマトグラフ(以下、「HPLC」ともいう)を用いて、混合物(a1)を分析して得られる下記の値を意味する。
・D:GLY-DAの210nmにおけるピーク面積
・M:グリセリンモノ(メタ)アクリレートの210nmにおけるピーク面積
・T:グリセリントリ(メタ)アクリレートの210nmにおけるピーク面積
HPLCによるピーク面積は、以下の条件で測定した値を意味する。
・検出器:UV検出器、検出波長210nm
・カラムの種類:炭素数18のアルキル基で修飾されたシリカゲルを充填したカラム
具体的には、Waters(株)製 ACQUITY UPLC BEH C18(Part No.186002350、カラム内径2.1mm、カラム長さ50mm)
・カラムの温度:40℃
・溶離液の組成:0.03重量%トリフルオロ酢酸水溶液とメタノールの混合溶液
・溶離液の流量:0.3mL/分
混合物(a1)としては、種々の製造方法により得られたものを使用することができる。
例えば、エステル交換触媒の存在下における、(ポリ)グリセリンと単官能(メタ)アクリレートとのエステル交換反応により得られるもの、又は、酸性触媒の存在下における、(ポリ)グリセリンと(メタ)アクリル酸との脱水エステル化により得られるもの等が挙げられる。
混合物(a1)としては、前記した製造方法の中でも、(ポリ)グリセリンと単官能(メタ)アクリレートとのエステル交換反応により得られるものが、不純物が少なく、目的とする(メタ)アクリレートを得ることができるため好ましい。
さらに、エステル交換反応としては、下記触媒X及びYの存在下における、(ポリ)グリセリンと単官能(メタ)アクリレートとのエステル交換反応が好ましい。
触媒X:アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体(以下、「アザビシクロ系化合物」ともいう)、アミジン又はその塩若しくは錯体(以下、「アミジン系化合物」ともいう)、ピリジン環を有する化合物又はその塩若しくは錯体(以下、「ピリジン系化合物」ともいう)、及びホスフィン又はその塩若しくは錯体(以下、「ホスフィン系化合物」ともいう)からなる群より選ばれる一種以上の化合物。
触媒Y:亜鉛を含む化合物。
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、並びにN,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、(ポリ)グリセリンの溶解を促進し、極めて良好な反応性を示す炭素数1~2のアルキル基を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、2-メトキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
又、単官能(メタ)アクリレートとしては、アクリレートが反応性に優れるため特に好ましい。
触媒Xとしては、前記した化合物群の中でも、アザビシクロ系化合物、アミジン系化合物及びピリジン系化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物が好ましい。これらの化合物は、触媒活性に優れ、混合物(a1)を好ましく製造できる他、反応終了後に後記する触媒Yと錯体を形成し、当該錯体は吸着等による簡便な方法により反応終了後の反応液から容易に除去できる。特に、アザビシクロ系化合物は、触媒Yとの錯体が反応液に難溶解性であるため、ろ過及び吸着等によりさらに容易に除去することができる。
触媒Xとしては、アザビシクロ系化合物の例である、キヌクリジン、3-キヌクリジノン、3-ヒドロキシキヌクリジン、トリエチレンジアミン(別名:1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン。以下、「DABCO」ともいう)、N-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(以下、「DBU」ともいう)、及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(以下、「DBN」ともいう)、並びにアミジン化合物の例であるN,N-ジメチル-4-アミノピリジン(以下、「DMAP」ともいう)が好ましい。
中でも、殆どの多価アルコールに対して良好な反応性を示し、入手が容易な3-ヒドロキシキヌクリジン、DABCO、N-メチルイミダゾール、DBU及びDMAPがより好ましい。
触媒Yとしては、亜鉛を含む化合物であれば種々の化合物を使用することができるが、反応性に優れることから有機酸亜鉛及び亜鉛ジケトンエノラートが好ましい。
触媒Yとしては、有機酸亜鉛の例である酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、アクリル酸亜鉛及びメタクリル酸亜鉛が好ましく、亜鉛ジケトンエノラートの例である亜鉛アセチルアセトナートが好ましい。
中でも、触媒Yとしては、特に殆どの多価アルコールに対して良好な反応性を示し、入手が容易な酢酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、及び亜鉛アセチルアセトナートが好ましい。
混合物(a1)の製造方法における触媒X及び触媒Yの使用割合は特に制限はないが、触媒Yの1モルに対して、触媒Xを0.005~10.0モル使用することが好ましく、0.05~5.0モル使用することがより好ましい。触媒Yの1モルに対して触媒Xを0.005モル以上使用することで、目的の多官能(メタ)アクリレートの生成量を多くすることができ、10.0モル以下とすることで、副生成物の生成及び反応液の着色を抑制し、反応終了後の精製工程を簡便にすることができる。
触媒X及び触媒Yの組合せとしては、触媒Xがアザビシクロ系化合物であり、触媒Yが有機酸亜鉛である組み合わせが好ましく、アザビシクロ系化合物がDABCOであり、有機酸亜鉛が酢酸亜鉛及び/又はアクリル酸亜鉛である組み合わせが特に好ましい。
この組合せが、混合物(a1)を収率よく得られることに加え、反応終了後の色調に優れる(例えば、黄色味が小さい)ことから、クリアニス及びハードコート等の無色透明性が重要視される用途に好適に使用できる。さらに、上述の触媒は比較的安価に入手可能であることから、経済的に有利な製造方法となる。
混合物(a1)の製造方法における反応温度は40~180℃であることが好ましく、より好ましくは60~160℃である。反応温度を40℃以上にすることで、反応速度を速くすることができ、180℃以下とすることで、原料又は生成物中の(メタ)アクリロイル基の熱重合を抑制し、反応液の着色を抑制でき、反応終了後の精製工程を簡便にすることができる。
混合物(a1)の製造方法における反応圧力は、所定の反応温度を維持できれば特に制限はなく、減圧状態で実施してもよく、又加圧状態で実施してもよい。反応圧力は、0.000001~10MPa(絶対圧力)であることが好ましい。
混合物(a1)の製造方法においては、エステル交換反応の進行に伴い単官能(メタ)アクリレートに由来する1価アルコールが副生することがある。
(ポリ)グリセリンの水酸基の一部(例えば50モル%程度)を(メタ)アクリレート化する場合、該1価アルコールを反応系内に共存させて平衡状態とし、触媒を吸着除去又は失活操作した後、該1価アルコール及び原料の単官能(メタ)アクリレートを留去することで、アクリレート化率が制御された生成物を安定的に製造することが出来る。
混合物(a1)の製造方法では溶媒を使用せずに反応させることもできるが、必要に応じて溶媒を使用してもよい。
溶媒の具体例としては、炭化水素類、エーテル類、クラウンエーテル類、エステル類、ケトン類、カーボネート化合物、スルホン類、スルホキサイド類、尿素類又はその誘導体、ホスフィンオキサイド類、イオン液体、シリコンオイル及び水等が挙げられる。
これらの溶媒の中では、炭化水素類、エーテル類、カーボネート化合物及びイオン液体が好ましい。
これらの溶媒は単独で使用してもよく、二種以上を任意に組み合わせて混合溶媒として使用してもよい。
混合物(a1)の製造方法においては、反応液の色調を良好に維持する目的で系内にアルゴン、ヘリウム、窒素、又は炭酸ガス等の不活性ガスを導入してもよいが、(メタ)アクリロイル基の重合を防止する目的で系内に含酸素ガスを導入してもよい。含酸素ガスの具体例としては、空気、酸素と窒素との混合ガス、及び酸素とヘリウムとの混合ガス等が挙げられる。含酸素ガスの導入方法としては、反応液中に溶存させたり、又は反応液中に吹込む(いわゆるバブリング)方法がある。
混合物(a1)の製造方法においては、(メタ)アクリロイル基の重合を防止する目的で反応液中に重合禁止剤を添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、有機系重合禁止剤、無機系重合禁止剤及び有機塩系重合禁止剤が挙げられる。
有機系重合禁止剤の具体例としては、ハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール及び4-tert-ブチルカテコール等のフェノール系化合物、ベンゾキノン等のキノン化合物、フェノチアジン、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、並びにN-オキシル化合物等が挙げられる。
N-オキシル化合物としては、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル及び4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル等が挙げられる。
重合禁止剤としては、前記した化合物の中でも、N-オキシル化合物を使用することが好ましい。N-オキシル化合物としては、前記した化合物が好ましい。
さらに、重合禁止剤としては、N-オキシル化合物とこれ以外の重合禁止剤とを併用することが好ましい。その場合のN-オキシル化合物以外の重合禁止剤としては、フェノール系化合物及びフェノチアジンが好ましく、フェノール系化合物がより好ましい。
重合禁止剤は、一種を単独で添加しても又は二種以上を任意に組み合わせて添加してもよく、混合物(a1)の製造方法の最初から添加してもよいし、途中から添加してもよい。又、所望の使用量を一括で添加してもよいし、分割して添加してもよい。又、精留塔を経由して連続的に添加してもよい。
重合禁止剤の添加割合としては、反応液の総重量に対して5~30,000wtppmが好ましく、より好ましくは25~10,000wtppmである。重合禁止剤の添加割合を5wtppm以上とすることで、重合禁止効果を発揮することができ、30,000wtppm以下にすることで、反応液の着色を抑制でき、反応終了後の精製工程を簡便にすることができ、又、得られる混合物(a1)の硬化速度の低下を抑制することができる。
1-4.(A)成分の製造方法
(A)成分は、ポリオール、有機ポリイソシアネート及び混合物(a1)を、必要に応じて触媒、溶媒の存在下に加熱・攪拌してウレタン化して製造することができる。
この場合、ポリオール、有機ポリイソシアネート、及び混合物(a1)を一括に仕込んで反応させることもでき(以下、「1段反応」という)、ポリオール及び有機ポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有プレポリマーを製造した後、混合物(a1)を添加することも可能である(以下、「2段反応」という)。
(A)成分の製造方法としては、2段反応で製造することが、反応中に反応液が高粘度となり反応が困難となることがなく、(A)成分を好ましく製造できるため好ましい。
ポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させることにより、分子内に繰り返し単位をもつイソシアネート基含有プレポリマーが生成するが、ポリオール中の水酸基合計量よりも、有機ポリイソシアネート中のイソシアネート基合計量が多くすることで、分子末端にイソシアネート基を有する分子を生成することができ、イソシアネート基含有プレポリマーとして好適に用いることができる。
イソシアネート基含有プレポリマーとしては、通常オリゴマーとされる分子量の化合物を使用することができる。
オリゴマーとポリマーの違いは、分子内の繰り返し単位の数によるものであり、学術的に明確な区分けがあるわけではないが、本発明では分子内の繰り返し単位の数が1~100の分子をオリゴマー、100を超える分子をポリマーと称する。
イソシアネート基含有プレポリマー内の繰り返し単位のコントロールは、ポリオールと有機ポリイソシアネートの比率を調整することで行うことができる。
イソシアネート基含有プレポリマーを製造する際の、ポリオールと有機ポリイソシアネートの割合は、最終的に得ようとする(A)成分の分子量と構造に応じて適宜設定すれば良く、具体的には、ポリオール中の水酸基合計量1モルに対して、有機ポリイソシアネート中のイソシアネート基合計量1.05~2モルが好ましい。
イソシアネート基含有プレポリマーの製造時に、分子量調整の目的で、鎖延長剤を少量配合することもできる。鎖延長剤としては、前記した低分子量ポリオールと同様のものを挙げることができる。
上記反応は無触媒でも進行するが、反応を短時間で効率よく進めるために、合成時に触媒としては、ウレタン化反応で通常使用されるものを使用することができる。
触媒の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート及びジブチルスズジアセチルアセトナート等のスズ化合物、ビスマスジオクテート等のビスマス化合物等、アセチルアセトナート鉄等の鉄化合物、アセチルアセトナート亜鉛等の亜鉛化合物;トリエチルアミン等のアミン化合物等が挙げられる。
上記触媒は、1種のみを使用しても、2種以上を併用しても良い。
触媒の配合量は、触媒量でよく、例えば、反応溶液に対して、0.01~1,000wtppmが好ましく、0.1~1,000wtppmより好ましい。触媒の配合量を0.01wtppm以上とすることで、ウレタン化反応を好ましく進行させることができ、1,000wtppm以下とすることで、得られる(A)成分の着色を抑制することができる。
触媒は、1段反応の場合は、ポリオール、有機ポリイソシアネート、及び混合物(a1)の仕込時に添加し、2段反応の場合は、ポリオール、及び有機ポリイソシアネートの仕込時に添加することが好ましく、さらに製造して得られたイソシアネート基含有プレポリマーと混合物(a1)を反応させるときにも添加することができ、反応時間の短縮の点で好ましい。
本反応により生成する(A)成分の分子量が高くなると、反応混合物が高粘度となり、攪拌が困難となる場合がある、そのため、反応成分中に溶媒を配合することもできる。
溶媒としては、ウレタン化反応に関与しないものが好ましく、例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤等の有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒を使用する場合の配合量は、生成する(A)成分の粘度等に応じて適宜設定すれば良いが、反応溶液中に0~70質量%となるように設定することが好ましい。
ここで反応溶液とは、原料化合物のみを使用する場合には、原料化合物の合計量を意味し、原料化合物に加え反応溶媒等を使用する場合は、これらを含めた合計量を意味する。具体的には、ポリオール、有機ポリイソシアネート、混合物(a1)、並びに必要に応じ用いる触媒、溶媒、及び重合禁止剤等を合わせた溶液の意味に用いられる。
溶媒として、上記有機溶媒とともに又は上記有機溶媒に代えて、(メタ)アクリレートを配合することもできる。
(メタ)アクリレートとしては、後述する(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、「(B)成分」という〕を挙げることができる。
これら(メタ)アクリレートの存在下にウレタン化反応を行い、得られた(A)成分と(メタ)アクリレート含む硬化型組成物を製造することができる。当該組成物は、前記有機溶媒を配合する場合と異なり、当該組成物を塗布した後、乾燥する必要がないため好ましい。
溶媒として用いる(メタ)アクリレートを反応溶液に配合する場合の配合量は、最終的に組成物に配合するその他(メタ)アクリレートの割合に応じて適宜設定すれば良いが、例えば、反応溶液中に0~70質量%、さらに0~50質量%となるように設定することが好ましい。
ウレタン化反応では、原料又は生成物の(メタ)アクリロイル基の重合を防止する目的で、重合禁止剤を使用することが好ましく、さらには含酸素ガスを反応液に導入してもよい。含酸素ガスとしては、例えば空気、酸素と窒素の混合ガス、酸素とヘリウムの混合ガス
等が挙げられる。
重合禁止剤としては、有機系重合禁止剤、無機系重合禁止剤、有機塩系重合禁止剤が挙げられる。有機系重合禁止剤の具体例として、ハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルカテコール等のフェノール化合物、ベンゾキノン等のキノン化合物、ガルビノキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル等の安定ラジカル、フェノチアジン、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム等が挙げられる。無機系重合禁止剤の具体例として、塩化銅、硫酸銅及び硫酸鉄が挙げられる。有機塩系重合禁止剤の具体例として、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミン・アルミニウム塩、アンモニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物、ジブチルジチオカルバミン酸銅が挙げられる。これらは、1種のみ単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
重合禁止剤の割合としては、反応液中に5~20,000wtppmが好ましく、25~3,000wtppmがより好ましい。
反応温度は、使用する原料及び目的とする(A)成分の構造や分子量等に応じて適宜設定すれば良いが、通常25~150℃が好ましく、30~120℃がより好ましい。反応時間も、使用する原料及び目的とする(A)成分の構造や分子量等に応じて適宜設定すれば良いが、通常1~70時間が好ましく、より好ましくは、2~30時間である。
本発明における(A)成分の重量平均分子量(以下、「Mw」という)は、組成物の塗工性及び接着力向上の観点から、3,000~200,000であることが好ましく、5,000~100,000であることがより好ましく、10,000~50,000であることがさらに好ましい。
尚、本発明において、Mwとは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」)という)により測定した分子量をポリスチレン換算した値であり、以下の条件で測定した値を意味する。
・検出器:示差屈折系(RI検出器)
・カラムの種類:架橋ポリスチレン系カラム
・カラムの温度:40℃
・溶離液:テトラヒドロフラン
・分子量標準物質:ポリスチレン
(A)成分としては、1種のみ単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
2.硬化型組成物
本発明は、前記(A)成分を含む硬化型組成物に関する。
組成物の製造方法としては、常法に従えば良く、例えば、(A)成分と必要に応じてその他の成分とを撹拌・混合して製造することができる。
この場合、必要に応じて加熱することもできる。加熱温度としては、使用する組成物が含む成分、組成物をコーティングする基材及び使用目的等に応じて適宜設定すればよいが、30℃~80℃が好ましい。
組成物中の(A)成分の含有割合としては、後記する(B)成分〔(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物〕を含有する場合は、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量%中に1~90重量%が好ましく、より好ましくは5~80重量%であり、さらに好ましくは10~50重量%である。
(A)成分の割合を1重量%以上とすることにより、組成物の硬化膜が引張強度や凝集力に優れるものとすることができ、90重量%以下とすることで、組成物が高粘度となることを抑制し、塗工性を好ましいものとすることができる。
組成物の粘度は目的に応じて適宜設定すれば良く、1~100,000mPa・sが好ましい。
尚、本発明において粘度とは、E型粘度計(コーンプレート型粘度計)を使用して25℃で測定した値を意味する。
本発明の組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物及び熱硬化型組成物として使用する
ことができ、活性エネルギー線硬化型組成物として好ましく使用できる。
本発明の組成物は、前記(A)を必須成分とするものであるが、目的に応じて種々の成分を配合することができる。
その他成分としては、(B)成分〔(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物〕、光重合開始剤〔以下、「(C)成分」という〕、有機溶剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料・染料、レベリング剤、シランカップリング剤、表面改質剤及びポリマー等が挙げられる。
以下、これらの成分について説明する。
尚、後記するその他の成分は、例示した化合物の1種のみを使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
1)(B)成分
(B)成分は、前記(A)成分以外のエチレン性不飽和化合物であり、組成物の硬化膜に種々の物性を付与する目的で配合する。本特許における硬化性成分とは、熱又は活性エネルギー線により硬化する成分であり、(A)成分および(B)成分を意味する。
(B)成分におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基及び(メタ)アリル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
尚、下記において、「単官能」とは、エチレン性不飽和基を1個有する化合物を意味し、「○官能」とはエチレン性不飽和基を○個有する化合物を意味し、「多官能」とはエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を意味する。
(B)成分において、単官能エチレン性不飽和化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸、アクリル酸のマイケル付加型のダイマー、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブチルカルビトール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、アルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、パラクミルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノール(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンメチロール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート、N-(2-(メタ)アクリロキシエチル)ヘキサヒドロフタルイミド、N-(2-(メタ)アクリロキシエチル)テトラヒドロフタルイミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレート化合物としては、具体的には、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びノナンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。このほかに、ビスフェノール骨格や、ポリエーテル骨格、ポリアルキレン骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル骨格、ポリエーテル骨格又はポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート、及びポリエステル(メタ)アクリレート等も用いることができる。
3官能以上(メタ)アクリレート化合物としては、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば種々の化合物が挙げられ、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート;並びに
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基を有し3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と有機ポリイソシアネートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記における、アルキレンオキサイド付加物の例としては、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
又、前記有機ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体等を挙げることができる。
(B)成分の含有割合は、(A)成分及び(B)成分(以下、(A)成分及び(B)成分をまとめて「硬化性成分」という)の合計量100重量部中に0~99重量%であり、より好ましくは20~95重量%であり、さらに好ましくは50~90重量%である。
(B)成分の含有割合が10質量%に満たないと組成物が高粘度となり塗工性が低下してしま、99重量%を超えると、組成物の引張強度や凝集力が低下してしまうことがある。
2)(C)成分
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用し、さらに電子線硬化型組成物として使用する場合は、(C)成分(光重合開始剤)を含有させず、電子線により硬化させることも可能である。
本発明の組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合において、特に、活性エネルギー線として紫外線及び可視光線を用いたときには、硬化の容易性やコストの観点から、(C)成分を更に含有することが好ましい。
活性エネルギー線として電子線を使用する場合には、必ずしも配合する必要はないが、硬化性を改善させるため必要に応じて少量配合することもできる。
(C)成分の具体例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-1-(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチループロピオニル)ベンジル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)]フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)ブタン-1-オン、3,6-ビス(2-メチル-2-モルホリノプロピオニル)-9-n-オクチルカルバゾール、フェニルグリオキシ酸メチル、エチルアントラキノン及びフェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル-2-ベンゾフェノン、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルフォニル)プロパン-1-オン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン及び4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルチオキサントン、3-[3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イル-オキシ]-2-ヒドロキシプロピル-N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフルオロチオキサントン等のチオキサントン系化合物等が挙げられる。
これら化合物の中でも、α-ヒドロキシフェニルケトン類が、大気下において、薄膜のコーティングであっても表面硬化性が良好で好ましく、具体的には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンがより好ましい。
又、硬化膜の膜厚を厚くする必要がある場合、例えば50μm以上とする必要がある場合は、硬化膜内部の硬化性を向上させる目的や、紫外線吸収剤や顔料を併用する場合は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物や、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)]フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタンー1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン等を併用することが好ましい。
(C)成分の含有割合は、硬化性成分合計量100重量部に対して0.01~15重量部が好ましく、より好ましくは0.1~10重量部である。(C)成分の割合を0.01重量部以上にすることで、組成物の光硬化性を良好にし、密着性に優れるものとすることができ、15重量部以下とすることで、硬化膜の内部硬化性が良好にすることができ、基材との密着性を良好にすることができる。
3)熱重合開始剤
組成物を熱硬化型組成物として使用する場合には、熱重合開始剤を配合することができる。
本発明の組成物は、熱重合開始剤を配合し、加熱硬化させることもできる。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
有機過酸化物の具体例としては、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)2-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(m-トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジ-メチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、α、α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾジ-t-オクタン、アゾジ-t-ブタン等が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
これら熱重合開始剤の使用量としては、硬化性成分合計量100重量部に対して、10重量部を超えないことが好ましい。
熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合によっては光重合開始剤と併用し、光硬化させた後にさらに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともできる。
4)成分
本発明の組成物は、基材への塗工性を改善する等の目的で、有機溶剤を含む組成物を用いることができる。
有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等のアルコール化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノエーテル化合物;ダイアセトンアルコール等のアセトンアルコール;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン化合物;ジブチルエーテル等のエーテル化合物;並びにN-メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの中でも、アルキレングリコールモノエーテル化合物、ケトン化合物が好ましく、アルキレングリコールモノエーテル化合物がより好ましい。
有機溶剤の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、10~1,000重量部であることが好ましく、50~500重量部であることがより好ましく、50~300重量部であることがさらに好ましい。上記範囲であると、組成物を塗工に適当な粘度とすることができ、後記する公知の塗布方法で組成物を容易に塗布することができる。
5)酸化防止剤
酸化防止剤は、硬化膜の耐熱性、耐候性等の耐久性を向上させる目的で配合する。
酸化防止剤としては、たとえばフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、たとえば、ジt-ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール類を挙げることができる。市販されているものとしては、(株)アデカ製のAO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-60、AO-70、AO-80等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン等のホスフィン類や、亜リン酸トリアルキルや亜リン酸トリアリール等が挙げられる。これらの誘導体で市販品としては、たとえば(株)アデカ製、アデカスタブPEP-4C、PEP-8、PEP-24G、PEP-36、HP-10、260、522A、329K、1178、1500、135A、3010等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオエーテル系化合物が挙げられ、市販品としては(株)アデカ製AO-23、AO-412S、AO-503A等が挙げられる。
これらは1種を用いても2種類以上を用いてもよい。これら酸化防止剤の好ましい組合せとしては、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との併用、及びフェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤の併用が挙げられる。
酸化防止剤の含有割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して0.01~5重量部が好ましく、より好ましくは0.1~1重量部である。
含有割合を0.1重量部以上とすることで、組成物の耐久性を向上させることができ、一方、5重量部以下とすることで、硬化性や密着性を良好にすることができる。
6)紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、硬化膜の耐光性を向上させる目的で配合する。
紫外線吸収剤としては、BASF社製TINUVIN400、TINUVIN405、TINUVIN460、TINUVIN479等のトリアジン系紫外線吸収剤や、TINUVIN900、TINUVIN928、TINUVIN1130等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
紫外線吸収剤の含有割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して0.01~5重量部が好ましく、より好ましくは0.1~1重量部である。含有割合を0.01重量%以上とすることで、硬化膜の耐光性を良好なものとすることができ、一方、5重量%以下とすることで、組成物の硬化性に優れるものとすることができる。
7)顔料・染料
顔料としては、有機顔料及び無機顔料等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー及びピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料;リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット及びパーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン及びチオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料;キナクリドンレッド及びキナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッド及びペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料;イソインドリノンエロー及びイソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料;ピランスロンレッド及びピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料;チオインジゴ系有機顔料;縮合アゾ系有機顔料;ベンズイミダゾロン系有機顔料;キノフタロンエロー等のキノフタロン系有機顔料、イソインドリンエロー等のイソインドリン系有機顔料;並びにその他の顔料として、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド及びジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
又、前記無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック及び合成鉄黒等を挙げることができる。尚、前記フィラーで例示したカーボンブラックは、無機顔料としても使用することができる。
染料としては、従来から知られた種々の化合物を使用することができる。
8)シランカップリング剤
シランカップリング剤は、硬化膜と基材との界面接着強度を改善する目的で配合する。
シランカップリング剤としては、基材との接着性向上に寄与できるものであれば特に限
シランカップリング剤としては、具体的には、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤の配合割合は、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して0.1~10重量部が好ましく、より好ましくは1~5重量部である。
配合割合を0.1重量部以上にすることで、組成物の接着力を向上させることができ、一方、10重量部以下とすることで、接着力の経時変化を防止することができる。
9)表面改質剤
本発明の組成物は、塗布時のレベリング性を高める目的や、硬化膜の滑り性を高めて耐擦傷性を高める目的等のため、表面改質剤を添加してもよい。
表面改質剤としては、表面調整剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、スベリ性付与剤、防汚性付与剤等が挙げられ、これら公知の表面改質剤を使用することができる。
それらのうち、シリコーン系表面改質剤及びフッ素系表面改質剤が好適に挙げられる。具体例としては、シリコーン鎖とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するシリコーン系ポリマー及びオリゴマー、シリコーン鎖とポリエステル鎖とを有するシリコーン系ポリマー及びオリゴマー、パーフルオロアルキル基とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するフッ素系ポリマー及びオリゴマー、並びに、パーフルオロアルキルエーテル鎖とポリアルキレンオキサイド鎖とを有するフッ素系ポリマー及びオリゴマー等が挙げられる。
又、滑り性の持続力を高めるなどの目的で、分子中にエチレン性不飽和基、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する表面改質剤を使用してもよい。
表面改質剤の含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.01~1.0重量部であることが好ましい。上記範囲であると、塗膜の表面平滑性に優れる。
10)ポリマー
本発明の組成物は、得られる硬化膜の耐カール性をより改良する目的等で、ポリマーをさらに含有していてもよい。
好適なポリマーとしては、(メタ)アクリル系ポリマーが挙げられ、好適な構成モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、N-(2-(メタ)アクリロキシエチル)テトラヒドロフタルイミド等が挙げられる。(メタ)アクリル酸を共重合したポリマーの場合、グリシジル(メタ)アクリレートを付加させて(メタ)アクリロイル基をポリマー鎖に導入してもよい。
ポリマーの含有割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.01~10重量部であることが好ましい。上記範囲であると、得られる硬化膜の耐カール性により優れる。
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良い。
例えば、基材に組成物を塗布した後、活性エネルギー線を照射するか又は加熱することにより硬化させて硬化させる方法等が挙げられる。
具体的には、コーティング剤及び接着剤等の用途の場合には、適用される基材に組成物を通常の塗装方法により塗布した後、活性エネルギー線硬化型組成物の場合には活性エネルギー線を照射して硬化させる方法、又熱硬化型組成物の場合は加熱して硬化させる方法等が挙げられる。成形材料等の用途の場合には、所定の型枠に組成物を注入した後、活性エネルギー線硬化型組成物の場合には活性エネルギー線を照射することにより硬化させる方法、又熱硬化型組成物の場合は加熱して硬化させる方法等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射方法や加熱方法は、従来の硬化方法として知られている一般的
な方法を採用すれば良い。
又、組成物に(C)成分(光重合開始剤)及び熱重合開始剤を併用し、これを活性エネルギー線照射した後、加熱硬化させることにより、基材との密着性を向上させる方法も採用することができる。
本発明の組成物が適用できる基材としては、種々の材料に適用でき、プラスチック、木材、金属、無機材料及び紙等が挙げられる。
プラスチックの具体例としては、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース及びジアセチルセルロース等のセルロースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ノルボルネン等の環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。
木材としては、自然の木材及び合成木材等が挙げられる。
金属としては、鋼板、アルミ及びクロム等の金属、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物等が挙げられる。
無機材料としては、ガラス、モルタル、コンクリート及び石材等が挙げられる。
これらの中でも、プラスチック基材が特に好ましい。
基材に対する組成物硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜設定すればよい。硬化膜の厚さとしては、使用する基材や製造した硬化膜を有する基材の用途に応じて選択すればよいが、1~500μmであることが好ましく、5~200μmであることがより好ましい。
本発明の組成物の基材への塗工方法としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、バーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ディップコーター、ロールコーター、スピンコーター、フローコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、リップコーター、グラビアコーター及びマイクログラビアコーター等で塗工する方法が挙げられる。
本発明の組成物を硬化させるための活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線及び電子線等が挙げられるが、紫外線が好ましい。
紫外線照射装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線(UV)無電極ランプ、発光ダイオード(LED)等が挙げられる。
照射エネルギーは、活性エネルギー線の種類や配合組成に応じて適宜設定すべきものであるが、一例として高圧水銀ランプを使用する場合を挙げると、UV-A領域の照射エネルギーで10~10,000mJ/cm2が好ましく、100~2,000mJ/cm2がより好ましい。
4.用途
本発明の組成物は、種々の用途に使用することができ、具体的には、コーティング剤、粘着剤、接着剤、及び封止剤等の用途が挙げられる。
本発明の組成物は、好ましくは活性エネルギー線硬化型組成物として使用することができ、硬化性に優れ、その硬化膜は、引張強度、及び凝集力に優れるため、粘着剤、接着剤、及び封止剤として、より好ましく使用することができる。
好適な用途としては、例えば、表示板用前面板、建材用途、照明器具、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末のディスプレイや筐体、家電製品の筐体、眼鏡等の各種レンズに用いられる粘着剤、接着剤、及び封止剤が挙げられる。
表示板用前面板の具体例としては、電光掲示板、ディスプレイ、看板、広告及び標識等が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下においては、「部」とは重量部を意味する。
1.製造例
1)製造例1〔混合物(a1)の製造〕
撹拌機、温度計、ガス導入管、精留塔及び冷却管を取付けた3リットルのフラスコに、グリセリン〔阪本薬品工業(株)製精製グリセリン(商品名))。以下、「GLY」という。〕を302.75部(3.29モル)、2-メトキシエチルアクリレート(以下、「MCA」という)を2312.84部(17.77モル)、触媒XとしてDABCOを6.51部(0.06モル)、触媒Yとしてアクリル酸亜鉛を24.07部(0.12モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(以下、「MEHQ」という)を1.19部(0.01モル)、フェノチアジンを0.21部(0.002モル)仕込み、含酸素ガス(酸素を5容量%、窒素を95容量%)を液中にバブリングさせた。
反応液温度100~130℃の範囲で加熱撹拌させながら、反応系内の圧力を110~760mmHgの範囲で調整し、MCAとエステル交換反応の進行に伴い副生した2-メトキシエタノール(以下、「MEL」という)との混合液を精留塔及び冷却管を介して反応系から抜出した。又、該抜出液と同重量のMCAを反応系に随時追加した。加熱撹拌開始から18時間後に反応系内の圧力を常圧に戻して抜出を終了した。
GLYの水酸基のアクリレート化率を、MELの生成量から求めた結果、57モル%であった。
反応液を室温まで冷却して沈殿物をろ過分離した後、ろ液に含まれる触媒X及び触媒Yを吸着除去するために珪酸アルミニウム〔協和化学工業(株)製キョーワード700SEN-S(商品名)。以下、「700SEN-S」という。〕を58.7部投入して撹拌し、さらに70~100℃の範囲で1時間加熱撹拌した。吸着処理後の珪酸アルミニウムをろ過分離した後、ろ液を攪拌機、温度計、ガス導入管、留出用の冷却管、及び減圧用の管を接続したフラスコに入れ、温度70~100℃、圧力0.001~100mmHgの範囲で、乾燥空気をバブリングさせながら10時間の減圧蒸留を行い、未反応のMCAを含む留出液を分離した。釜液に珪藻土〔昭和化学工業(株)製ラヂオライト(商品名)。以下、「ラヂオライト」という。〕を5.0部添加して加圧ろ過を行い、得られたろ液を混合物(a1)とした。混合物(a1)の収量は647部であった。以下、これを混合物(a1-1)という。
仕込んだGLY302.75部が全てグリセリンジアクリレート(以下、「GLY-DA」ともいう)に変換された場合の収量は658部であるが、これを基準に算出した上記混合物(a1-1)の収率は98%であった。
UV検出器を備えたHPLCを用いて、混合物(a1-1)に含まれるGLY-DAの純度を下記計算式(3)より算出した結果、63%であり、グリセリントリアクリレート(以下、「GLY-TA」という)は23%であり、グリセリンモノアクリレート(以下、「GLY-MA」という)14%であった。
得られた混合物(a1-1)は、粘度が41mPa・s(25℃)であり、水酸基価が240mgKOH/gであった。GPC測定によるMwは309であった。
尚、HPLC、粘度、水酸基価及びGPCは、下記の方法に従い測定した。
◆HPLC測定条件
・装置:Waters(株)製 ACQUITY UPLC
・検出器:UV検出器
・検出波長:210nm
・カラム:Waters(株)製 ACQUITY UPLC BEH C18(Part No.186002350、カラム内径2.1mm、カラム長さ50mm)
・カラムの温度:40℃
・溶離液の組成:0.03重量%トリフルオロ酢酸水溶液及びメタノールの混合溶液
・溶離液の流量:0.3mL/分
◆混合物(a1-1)に含まれるGLY-DAの純度算出方法
GLY-DAの純度%
=〔(D/2)/(M+D/2+T/3)〕×100 ・・・式(3)
計算式(1)における記号及び用語は、以下を意味する。
・D:GLY-DAの210nmにおけるピーク面積
・M:GLY-MAの210nmにおけるピーク面積
・T:GLY-TAの210nmにおけるピーク面積
◆粘度測定条件
E型粘度計を使用し、25℃での粘度を測定した。
◆水酸基価測定条件
JIS K0070-1992に準じて測定した。即ち、試料にアセチル化試薬を加えて温浴槽中で加熱処理する。放冷後、フェノールフタレイン溶液を指示薬として水酸化カリウムエタノール溶液で酸を滴定して水酸基価を求めた。
尚、JIS K0070-1992に記載の方法の5倍量のピリジンを使用した。
◆GPC測定条件
・装置:Waters(株)製 GPC システム名 1515 2414 717P RI
・検出器:RI検出器
・カラム:ガードカラム 昭和電工(株)製 Shodex KFG(8μm 4.6×10mm)、本カラム2種類 Waters(株)製 styragel HR 4E THF(7.8×300mm)+styragel HR 1THF(7.8×300mm)
・カラムの温度:40℃
・溶離液組成:THF(内部標準として硫黄を0.03%含むもの)、流量0.75mL/分
2)製造例2((A)成分の製造)
攪拌機、温度計、攪拌機、温度計、酸素濃度が5%の酸素/窒素混合ガス(以下、5%ONという)配管を装備した1Lフラスコに、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIという)を59.99g、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(以下、BHTという)を0.26g、希釈剤として利用するノニルフェノキシエチルアクリレート(東亞合成(株)製アロニックスM-111。以下、M-111という)を220.41g仕込んだ。
5%ONを吹き込みながら内容物を攪拌してフラスコ内を70℃にした。
トリス(アセチルアセトナート)鉄〔日本化学産業(株)製ナーセム第二鉄。以下、ナーセムという〕0.005gを添加して、その後に、水酸基価が55mgKOH/gのポリエステルジオール(ネオペンチルグリコール及びアジピン酸を原料とする。DIC(株)製商品名:ポリライトOD-X-2044)を徐々に添加した。最終的にポリエステルを440.51g仕込んだ。その後、1,4-ブタンジオールを2.43g添加して、フラスコ内の温度を80℃に昇温した。
GPCによるMwが3.2万を越えた段階で混合物(a1-1)を11.89g添加した。この時、ナーセムも0.005g再度添加した。
その後のIR計測により、イソシアネート基が消失したことを確認して合成を終了した。
得られた反応混合物は、GPCによるMwが4.3万の4官能ウレタンアクリレート(以下、「A-1」という)とM-111の30%を含む混合物であった。
3)製造例3((A)成分の製造)
攪拌機、温度計、5%ON配管を装備した1Lフラスコに、IPDIを59.99g、BHTを0.26g、希釈剤として利用するM-111を220.41g仕込んだ。
5%ONを吹き込みながら内容物を攪拌してフラスコ内を70℃にした。
ナーセム0.005gを添加して、その後に水酸基価が55mgKOH/gの製造例2で使用したものと同じポリエステルジオールを徐々に添加した。最終的にポリエステルを440.51g仕込んだ。その後、フラスコ内の温度を80℃に昇温した。
GPCによる内容物のMwが0.8万を越えた段階で混合物(a1-1)を11.89g添加した。この時、ナーセムも0.005g再度添加した。
その後のIR計測により、イソシアネート基が消失したことを確認して合成を終了した。
得られた反応混合物は、GPCによるMwが1.0万の4官能ウレタンアクリレート(以下、「A-2」という)とM-111の30%を含む混合物であった。
4)製造例4(ポリエステル系2官能ウレタンアクリレートの製造)
攪拌機、温度計、5%ON配管を装備した1Lフラスコに、IPDIを59.99g、BHTを0.26g、希釈剤として利用するM-111を220.41g仕込んだ。
5%ONを吹き込みながら内容物を攪拌してフラスコ内を70℃にした。
ナーセム0.005gを添加して、その後に水酸基価が55mgKOH/gの製造例2で使用したものと同じポリエステルジオールを徐々に添加した。最終的にポリエステルを440.51g仕込んだ。その後、1,4-ブタンジオールを2.43g添加して、フラスコ内の温度を80℃に昇温した。
GPCによる分子量計測で内容物のMwが3.2万を越えた段階で2-ヒドロキシエチルアクリレート(以下、HEA」という)を11.36g添加した。この時、ナーセムも0.005g再度添加した。
その後のIR計測により、イソシアネート基が消失したことを確認して合成を終了した。
得られた反応混合物は、GPCによるMwが4.1万の2官能ウレタンアクリレート(以下、「A’-1」という)とM-111の30%を含む混合物であった。
5)製造例5(ポリエステル系2官能ウレタンアクリレートの製造)
攪拌機、温度計、5%ON配管を装備した1Lフラスコに、IPDIを59.99g、BHTを0.26g、希釈剤として利用するM-111を220.41g仕込んだ。
5%ONを吹き込みながら内容物を攪拌してフラスコ内を70℃にした。
ナーセム0.005gを添加して、その後に水酸基価が55mgKOH/gの製造例2で使用したものと同じポリエステルジオールを徐々に添加した。最終的にポリエステルジオールを440.51g仕込んだ。その後、フラスコ内の温度を80℃に昇温した。
GPCによる分子量計測で内容物のMwが0.8万を越えた段階でHEAを11.36g添加した。この時、ナーセムも0.005g再度添加した。
その後のIR計測により、イソシアネート基が消失したことを確認して合成を終了した。
得られた反応混合物は、GPCによるMwが0.9万の2官能ウレタンアクリレート(以下、「A’-2」という)とM-111の30%を含む混合物であった。
2.実施例及び比較例
1)活性エネルギー線硬化型組成物の製造
下記表1に示す化合物を表1に示す割合で撹拌・混合し、活性エネルギー線硬化型組成物を製造した。
得られた組成物を使用し、後記する評価を行った。それらの結果を表2に示す。
Figure 2022184569000003
尚、表1における数字は部数を意味する。略号は、前記で定義したもの以外は、下記を意味する。
・M-113:ノニルフェノールEO変性(n=4)アクリレート、東亞合成製「アロニックスM-113」
・M-313:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ及びトリアクリレート、東亞合成製「アロニックスM-313」
・HCPK:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、IGM RESINS社製Omnirad184
2)組成物の評価方法
(1)粘度
表1で得られた組成物を、E型粘度計を使用して、25℃において粘度を測定した。それらの結果を表2に示す。
3)硬化膜の評価方法
◆粘着シートの製造
表1で得られた組成物を、膜厚20μmとなるよう、幅300mm×長さ300mmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔東レ(株)製、ルミラーT60(厚み50μm)。以下、「PET」という〕にアプリケーターで塗布して塗膜を形成させた。
次に、幅300mm×長さ300mmの離型PETフィルム〔東レフィルム加工(株)製、セラピールBKE(厚み38μm)。以下、「離型PET」という〕をラミネートした。
その後、アイグラフィックス(株)製のコンベア式紫外線照射装置(160W/cm高圧水銀灯、ランプ高さ25cm、UV-A領域の照射強度200mW/cm2(ヘレウス(株)製UV POWER PUCKの測定値)を用いて、離型PET側よりUV-A領域の照射エネルギー200mJ/cm2の紫外線照射を行い、粘着シートを得た。
得られた粘着シートの離型PETを剥離し、後記する評価を行った。
(2)アクリロイル基反応率
硬化膜のアクリロイル基反応率を、赤外線吸収スペクトル測定〔μ―ATR法〕により測定した。赤外線吸収スペクトル測定装置としては、パーキンエルマージャパン(株)製Spectrum100を使用した。
得られた紫外線吸収スペクトルを使用し、下記式(1)によりアクリロイル基反応率を算出した。
アクリロイル基反応率={1-(B2/A2)/(B1/A1)]×100・・・(1)
A1:組成物の-C=Oに由来する1724cm-1のピーク高さ
B1:組成物の-CH=CH2に由来する1405cm-1のピーク高さ
A2:硬化膜の-C=Oに由来する1724cm-1のピーク高さ
B2:硬化膜の-CH=CH2に由来する1405cm-1のピーク高さ
この値が100%に近ければ近いほど、重合反応に寄与する不飽和二重結合が消失していることを表し、組成物が十分な硬化性を有していることを示す。
(3)剥離強度
得られた粘着シートを使用して、粘着力を、JIS Z 0237:2009に準拠して測定した。
具体的には、被着体としてコート白ボール紙〔北越紀州製紙(株)製、マリコート。以下、「ボール紙」という〕を用い、23℃、50%RHの条件において、180°剥離強度(剥離速度:300mm/min)を測定した。
剥離強度の測定は、インストロンジャパン カンパニィリミテッド(株)製万能材料試験機インストロン5564を使用した。
(4)再剥離性
前記(3)の剥離強度測定と同様の条件でPETを剥がした後のボール紙の表面状態を目視で観察し、以下の2水準で評価を行った。
〇:ボール紙の表面に糊残りが見られない。
×:ボール紙の表面に糊残りが見られる。
Figure 2022184569000004
実施例1及び同2の結果から明らかなように、本発明の組成物は硬化性に優れるものであり、粘着剤として用いた場合、凝集力が高いため剥離強度が高く、かつ糊残りが少ないため再剥離性も優れていた。
これに対して、比較例1及び同2の組成物は、(A)成分を含まない組成物であるが、硬化性が低く、残存する未反応モノマーの影響により凝集力が低下して糊残りが発生し、剥離強度、再剥離性とも不十分であった。
本発明の組成物は、硬化型組成物に関するものであり、特に活性エネルギー線硬化型組成物として好ましく使用することができる。さらに、本発明の組成物の具体的用途としては、粘着剤、接着剤、及び封止剤等の種々な硬化型組成物に好ましく使用できる。

Claims (12)

  1. 下記(A)成分を含む硬化型組成物。
    (A)成分:ポリオール、有機ポリイソシアネート、並びにグリセリン(メタ)アクリレート及びジグリセリン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物の混合物であって、水酸基価が20~300mgKOH/gである混合物(a1)の反応物
  2. 有機ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートである請求項1に記載の硬化型組成物。
  3. 前記混合物(a1)が、下記触媒X及びYの存在下に、グリセリン又はジグリセリンと1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とをエステル交換反応させて得られる(メタ)アクリレート混合物であって、水酸基価が20~300mgKOH/gの混合物である請求項1又は請求項2に記載の硬化型組成物。
    触媒X:アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体、アミジン又はその塩若しくは錯体、ピリジン環を有する化合物又はその塩若しくは錯体、及びホスフィン又はその塩若しくは錯体よりなる群から選ばれる一種以上の化合物。
    触媒Y:亜鉛を含む化合物。
  4. 前記1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートである請求項3に記載の硬化型組成物。
  5. 前記触媒Xが、アザビシクロ構造を有する環状3級アミン又はその塩若しくは錯体、アミジン又はその塩若しくは錯体、及びピリジン環を有する化合物又はその塩若しくは錯体よりなる群から選ばれる一種以上の化合物である請求項3又は請求項4に記載の硬化型組成物。
  6. 前記触媒Yが、有機酸亜鉛又は/及び亜鉛ジケトンエノラートである請求項3~請求項5のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
  7. (A)成分が、
    ポリオール及び有機ポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基を有するプレポリマーを製造したものと、
    グリセリン(メタ)アクリレート及びジグリセリン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の化合物の混合物であって、水酸基価が20~300mgKOH/gである混合物(a1)との反応物
    である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
  8. (A)成分の重量平均分子量が3,000~200,000である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
  9. さらに、下記(B)成分を含む請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
    (B)成分:(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物
  10. 請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の組成物を含む活性エネルギー線硬化型組成物。
  11. さらに、光重合開始剤を、(A)成分合計量100重量部に対して、又は(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して0.1~10重量部含む請求項10に記載の活性エネルギー線硬化型硬化型組成物。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の組成物を含む活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
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