以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。尚、本明細書において、「前あるいは前方」とは座及び背凭れのそれぞれにおいて椅子及び当該椅子の座に座った着座者にとっての前あるいは前向きであり、「後あるいは後方」とは同様に椅子及び着座者にとっての後あるいは後向きである。また、前後方向と水平面内において直交する方向は座及び背凭れのそれぞれにおいて着座者あるいは椅子にとっての左右方向あるいは幅方向である。また、座及び背凭れにおいて、内側とは着座者側あるいは椅子の中心を通過する前後方向の鉛直面に向かう側であり、外側とは着座者から離れる側あるいは椅子の中心を通過する前後方向の鉛直面から離れる側である。さらに、「上」及び「下」は肘掛け、座及び背凭れのそれぞれにおいて椅子及び着座者にとっての上及び下であり、鉛直面内の上と下である。
図1~図2に本発明を適用した椅子の一実施形態を示す。この椅子は、例えば、キャスターを備える脚1と、該脚1に支えられるメインフレーム(支持基部)2と、該メインフレーム2に対して揺動可能に支持されて相互に連動する座3及び背凭れ4とを有する。メインフレーム2の前方側には背凭れ反力機構5の初期反力を調節可能とする反力調整機構6及びその反力調整操作軸7が、後方には背凭れ4のロッキング範囲を規制するロッキング範囲調節機構8及びロッキング範囲を切替える操作軸(以下、ロッキング範囲切替操作軸9と呼ぶ)がそれぞれメインフレーム2の横から外に突出するように備えられている。また、背凭れ4の背フレームとメインフレーム2との間にはカバー部材10が備えられている。
ここで、メインフレーム2は、本実施形態の場合、合成樹脂で成形されている。合成樹脂としては、構造物としての機械的剛性を担保するため、例えばPA6-GF(ポリアミド6)などのガラス繊維入り強化ナイロン等の剛性を備えた合成樹脂で成形されることが好ましい。勿論、これに特に限られるものでは無く、アルミダイキャストや、鋼材などを溶接付で箱形あるいはそれ以外の形状に成形することによってメインフレーム2を構成しても良い。
本実施形態のメインフレーム2は、例えば、構造物としての機械的剛性特に捻り剛性などを高めると共に内側に反力調整機構6などを収容するため、例えば図15及び図16に示すように、前後左右の周壁部2Aと底壁部2Bと前後方向に配置された中仕切り壁2C及びこれらを連結する補強用のリブ2Dとを有する箱形を成している。このメインフレーム2の後部側には、さらに脚柱のガススプリングが嵌合される後部側の脚柱支持筒部2Eと、緩衝ブロック41を取り付けるための凹み19とが設けられている。
また、メインフレーム2の前部側には、左右の中仕切り壁2Cの間で反力調整操作軸7の中間軸部52を少なくとも圧縮コイルばね65の膨張方向に受け支える中間軸受け部11が設けられている。背凭れ反力機構5の反力ばね即ち圧縮コイルばね65には、大きな力がかかることから、圧縮コイルばね65を受け止める軸、即ち本実施形態の反力調整操作軸7には剛性が求められる。このため、通常は鉄などの金属部材が用いられるのであるが、椅子の軽量化や分別廃棄の促進などの観点から、部品の樹脂化が求められている。しかし、構造物としての機械的剛性を担保するため、例えばPA6-GF(ポリアミド6)などのガラス繊維入り強化ナイロン等の剛性を備えた合成樹脂で成形したとしても、金属シャフトに比べると撓み易いという問題が生ずる。そこで、反力調整操作軸7の中間軸部52を少なくとも圧縮コイルばね65の膨張方向に受け支える中間軸受け部11を設ける事により、反力調整操作軸7の中間軸部52を両端の軸受け部分と共に3点支持することで撓み難くすることが好ましい。
中間軸受け部11は、少なくとも圧縮コイルばね65の力を受け支えるものであり、本実施形態の場合には、圧縮コイルばね65側に向かって開放された半円形の開放型軸受けで構成されている。例えば、軸受け部とリブとを兼ねる左右の立壁11Aと前壁11B、及びメインフレームの後方へ向けて迫り出すオーバーハング部11Cとで構成されている。左右の立壁11Aが半円形に抉られた形状を成すことで軸受け部11Dが形成されている。オーバーハング部11Cは反力調整操作軸7にかかる上向きの圧縮コイルばね65の力を受け支える。本実施形態の場合、立壁11Aと前壁11B、及びオーバーハング部11Cはメインフレーム2の底壁部2Bと一体成形されることにより、底壁部2Bから起立するように設けられている。勿論、中間軸受け部11は、メインフレーム2とは別体に形成され、底壁部2Bにビス止めあるいは溶接付などで固定されるようにしても良い。
メインフレーム2の前部の左右の側壁部2Aには、下から見て後方に向けて傾斜した長孔12が設けられ、アウターシェル71とメインフレーム2とを回転自在に連結する座回転軸42を貫通させるように設けられている。
また、メインフレーム2の一方の周壁部2A例えば右側の周壁部2Aには、反力調整機構6の反力調整操作軸7を横から挿入させるための円形の貫通孔(丸孔13と呼ぶ)が開けられ、その内側の中仕切り壁2Cには上縁が抉られた半円状の開放型軸受け部14が設けられている。さらに、反対側の中仕切り壁2Cにも上縁が抉られた半円状の開放型軸受け部14が設けられている。したがって、メインフレーム2内に挿入される反力調整操作軸7は丸孔13並びに中仕切り壁2Cの半円状の開放型軸受け部14によって受け支えられる。同時に、図8に示す操作軸押さえ43によって反力調整操作軸7の上半分が受け支えられ、中仕切り壁2Cの開放型軸受け部14との間で反力調整操作軸7が回転自在に挟持されると共に軸方向に抜け外れないように保持される。
ここで、操作軸押さえ43には、例えば図10及び図11に示すように、反力調整操作軸7の軸部55,59を受け支える半円形の軸受部(開放型軸受け部44)が両端に備えられ、反力調整操作軸7の軸部56と軸部59とを上から押さえつけることにより、中仕切り壁2Cの半円状の開放型軸受け部14との間で反力調整操作軸7が回転可能に受け支えられる。また、操作軸押さえ43の内周面には、反力調整操作軸7の規制突起(ストッパ)54と当接して反力調整操作軸7の回動を一定の範囲(例えば概ね270°の範囲)内に規制する規制突起(ストッパ)49が設けられている(図6参照)。これによって、反力調整操作軸7はメインフレーム2に対して一定範囲内で揺動可能に取り付けられる。
また、操作軸押さえ43には、本実施形態の場合、反力調整操作軸7の反力調整カム51に対向配置させるようにスライダ66を収容してばね軸方向に案内するスライダハウジング50が設けられている。このスライダハウジング50は、例えば矩形筒形のケースであり、左右の中仕切り壁2Cの上に被さる部分の間に跨がるように配置されて操作軸押さえ43と一体成形されている。勿論、スライダハウジング50は、操作軸押さえ43と一体成形される場合に限られず、別体成形したものを操作軸押さえ43に組み付けたり、あるいはメインフレーム2に対して組み付け若しくはメインフレーム2と一体成形するようにしても良いことは言うまでもない。
尚、操作軸押さえ43には、メインフレーム2の左右の中仕切り壁2Cにそれぞれ被せられる位置に、一対の突起45が中仕切り壁2Cの厚みとほぼ同等の間隔を開けてそれぞれ備えられることにより、中仕切り壁2Cが挟まる凹部48が形成されている。また、操作軸押さえ43の基端部側(座回転軸42側)にもメインフレーム2のねじ孔15を設けたボス部を上から包囲するように嵌合されるコ形の取付座部47が形成されている。したがって、取付座部47をねじ孔15を設けたボス部に、また一対の突起45の間即ち凹部48に中仕切り壁2Cを嵌め込むように上から被せて、前後左右の4点の透孔46からビス孔15にビスをねじ込むことでがたつきなく固定することができる。
さらに、図16に示すように、メインフレーム2の後部の一方の側壁部例えば左側の側壁部2Aには、ロッキング範囲調節機構8のロッキング範囲切替操作軸9を貫通させる丸孔16が開けられ、他方の側壁部となる右側の側壁部2A及び中仕切り壁2Cには、ロッキング範囲切替操作軸9の先端部分が受け支えられる半円状の軸受け部受け17と先端が貫通する丸孔18が設けられている。緩衝ブロック41(樹脂ダンパ)を収容する凹み19は、メインフレーム2の側壁によって囲まれた凹部であり、底面には緩衝ブロック41のピン部41aを嵌め込むための孔20が設けられている。緩衝ブロック41は凹部19に嵌入されると共に底の孔20にピン部41aを嵌め込むことでメインフレーム2に固定される。
メインフレーム2の内部、具体的には左右の中仕切り壁2Cの内側には、圧縮コイルばね65を含む反力機構60が収められる空所2Fが形成され、メインフレーム2に揺動自在に支持されている背凭れ支持部材(背支桿とも呼ばれる)21のばね受けアーム21Bとメインフレーム2に回転自在に支持される反力調整操作軸7とこれらの間に配置されて背凭れ4の後傾に連動して背凭れ4を押し戻そうとする力を発生させる手段例えば圧縮コイルばね65などが収容可能とされている。
ここで、メインフレーム2は、本実施形態の場合、後部の脚柱支持筒部2Eで脚柱(換言すれば、ガススプリング)に連結されて水平面内で回転自在に支持される一方、前方が座回転軸42を介して座3のアウターシェル71に回転自在に連結されると共に、座3の座回転軸42で連結されている箇所よりも後方で背凭れ支持部材21の座支持軸21Dに係合されることにより、座3と背凭れ4とが連動して揺動自在にメインフレーム2に支持されるように設けられている。つまり、背凭れ回転軸25を介して背凭れ支持部材21が揺動するのに連係されて、座3が斜め後方に引っ張られて持ち上げられるように支持されている。これによって、背凭れ4を後傾させるときに座3を持ち上げるように連動させることによって背ロッキングに対する抵抗を使用者の体重に比例させる体重感応式(あるいは感知式)反力付与機構61が構成される。
(背凭れ)
背凭れ4は、本実施形態の場合、例えば図1及び図2に示すように、内側が空所となっている正面視矩形の枠体を構成する背フレーム4aと該背フレーム4aに張り渡されて背凭れ面を構成するメッシュ張地(図示省略)とから成り、背凭れ支持部材21を介してメインフレーム2に揺動可能に搭載されている。背フレーム4aは、構造物としての機械的剛性を担保するため、例えばPA6-GF(ポリアミド6)などのガラス繊維入り強化ナイロン等の剛性を備えた合成樹脂で成形されることが好ましい。
本実施形態における背フレーム4aは、例えば底辺の前面側に背凭れ支持部材21の後部を収容する凹部90を有し、背凭れ支持部材21の後部を嵌合させた状態で背凭れ支持部材21の後方から背フレーム4aの底辺を貫通させるように背面プレート21Cのナット24に対しビス止めすることで背凭れ支持部材21に連結される構造が採られている。これによって、背フレーム4aは背凭れ支持部材21に対して前後左右上下方向にがたつきなく固定される。
背凭れ支持部材21は、メインフレーム2を横方向に貫通する背凭れ回転軸25によって、メインフレーム2に対して揺動自在に取り付けられている。背凭れ支持部材21は、背凭れ回転軸25よりも後側に背凭れ4が取り付けられると共に、背凭れ回転軸25よりも前側で座3と連係させられて背凭れ4の後傾に伴って座3を引き上げる構造とされている。具体的には、例えば背凭れ支持部材21のプレート部材21Aは、背凭れ回転軸25を貫通させる貫通孔21Fを境に、貫通孔21Fよりも後側の辺に対して貫通孔21Fよりも前側の辺を斜め上方へ向けて傾斜させた、略ヘ形に屈曲した形状を成し、初期位置状態(着座者が存在しない状態)においては、座3と背凭れ4とをそれぞれ初期位置に保ち、背凭れ4が後傾する際に座3を持ち上げる力を座3に付与する位置関係に設定されている。
具体的に、本実施形態の場合、背凭れ支持部材21は、図17に示すように、メインフレーム2の両側に配置される一対のプレート部材21Aと、これらを前方で連結する座支持軸部21Dと、後方で連結する背取付けプレート21Cと、反力機構の圧縮ばね機構の一端を受け支えるばね受けアーム21Bとで構成されている。ばね受けアーム21Bは、本実施形態の場合、例えば概ね三角形(く形)を成し、頂点のコーナー部分に座支持軸部21Dを貫通させると共に、垂下状態にある一方の辺の端部(頂点に相当する位置)には後ばねマウント63を係合するためのばね支持軸21Eが、斜め後ろ下に向けて傾斜状態にある他辺の端部(頂点に相当する位置)には背凭れ回転軸25を貫通させる貫通孔21Fが設けられている。つまり、背凭れ支持部材21とばね受けアーム21Bとはメインフレーム2に対して回転可能に支持されると共に互いの角度関係を一定に保たれたままに背凭れ回転軸25を回転中心として同時に揺動するように設けられている。
背凭れ支持部材21の背フレーム4aが取り付けられる部分(即ち、背取付座)は、図17に示すように、背凭れ支持部材21の両側のプレート部材21Aの間に横切るように配置されている横連結プレート21Cで構成され、該横連結プレート21Cにナット24を溶接付けにより固着することでねじ穴が設けられている。この横連結プレート21Cを含む背凭れ支持部材21の両側のプレート21Aの後部を背フレーム4aの底辺の前方に開口した凹部(背凭れ支持部材取付座)90に嵌合させて横連結プレート21Cと背凭れ支持部材取付座とを宛がった状態で締結用ねじを背フレーム4aの背後からねじ込むことにより、背凭れ支持部材21と背フレーム4aとを一体化するようにしている。尚、背フレーム4aの底辺部分の背面に表れる締結用ねじを挿入するための孔(図示省略)は、締結用ねじの締め付け後に目隠しプレート91を嵌め込むことで塞がれて外観に現れないように配慮されている。目隠しプレート91は例えば係止爪を有し、該係止爪を背フレームの底辺の背面の凹部の切り欠きなどに引っかけることにより容易に着脱自在に備えられている。
(座構造)
座3は、特定の構造並びに形状に限定されるものではないが、本実施形態の場合、図2に示すように、アウターシェル71と、インナーシェル72と、ウレタンフォームクッション73及び図示していない上張地とで構成され、座回転軸42を介してアウターシェル71とメインフレーム2とを連結することで座回転軸42を中心に揺動可能にメインフレーム2に搭載される。この座3は、前部の座回転軸42を支持するメインフレーム2の孔12を下から見て後方に向けて傾斜した長孔とすることにより、アウターシェル71を介して一定範囲内で上下方向並びに前後方向に移動しながら揺動し得るようにメインフレーム2に搭載されている。
本実施形態のアウターシェル71は、例えば図18に示すように、メインフレーム2を囲うコ形の周壁部74が下向きに突出するように設けられ、周壁部74の内側の凹部75にメインフレーム2と背凭れ支持部材21とが収められるように設けられている。周壁部74の背凭れ側の面には縦方向に切りかかれたスリット76が設けられ、該スリット76の部分を背凭れ支持部材21が通過することで背凭れ支持部材21とアウターシェル71との干渉が起きないように配慮されている。そして、凹部75に収められたメインフレーム2と周壁部74とを横切るように座回転軸42を貫通させて配置することで、メインフレーム2に対してアウターシェル71が回転可能に連結支持される。アウターシェル71には、周壁部74に座回転軸42の両端を支持する軸受部が形成されている。本実施形態の場合、周壁部74は、例えば底部で折り返すように連続的に形成された内壁部と外壁部との二重壁構造で構成され、それらの間に座回転軸42を跨がらせて両端を支持する軸受け部が形成されている。軸受け部は、例えば、周壁部の一方には盲の丸穴77が開けられると共に、周壁部の他方には貫通した丸孔78が開けられている。
丸孔78の位置の周壁部74の外壁部分には、座回転軸42を差し込むための窓状の開口部(以下、開口部80と呼ぶ)が設けられている。この開口部80は、座回転軸42をメインフレーム2とアウターシェル71とに跨がるように差し込んだ後に、抜け止め部材81によって塞がれる。アウターシェル71の形状及び構造は必要に応じて適宜設計されるが、少なくともメインフレーム2の左右の周壁部2Aと一軸上例えば水平方向(横方向)に重なり座回転軸42を介して相互に連結される軸受け部を構成する部分例えば周壁部74が設けられると共に、該軸受け部に座回転軸42を側方から挿通させるための開口部80と、座回転軸42の抜け止めを図る抜け止め部材81を設置するための構造とを有することが好ましい。尚、本実施形態では、軸受け部の一方を盲穴としているが、これに特に限られるものではなく、双方とも貫通した丸孔としてそれぞれ開口部80を設けて抜け止め部材81を嵌め込むことで塞ぐようにしても良い。
座回転軸42を支持する貫通孔78の外側、即ちアウターシェル71の周壁部74の貫通孔78と開口部80との間には、図19~図20に示すように、抜け止め部材81が装着される抜け止め部材挿入穴79が形成されている。この抜け止め部材挿入穴79は、例えば座回転軸42と交差するように配置されると共にアウターシェル71の上面(即ち、インナーシェル及びウレタンフォームが載せられる面)に開口する縦穴であり、上向き方向の抜けに対して引っ掛かる段部(オーバーハング)83が開口部80の上方の周壁部74の外壁部内面に形成されている。他方、抜け止め部材81は、メインフレーム2とアウターシェル71とに跨がるように差し込まれた座回転軸42の端面に当接して軸方向移動を阻止するものである。本実施形態の場合、抜け止め部材81は、座回転軸42の抜け止めを実現する剛性とばね弾性とを有するものであり、例えば図21に示すような返り82を備える縦断面形状レ形の樹脂プレートから成り、抜け止め部材挿入穴79に返り82が挿入されることで先端の返り82の部分が内側に撓み、段部83を乗り越えたところで復元して段部83の下の凹部に収まると同時に段部83に引っ掛かる構造である。本実施形態の場合、返り82は開口部80に嵌まる傾斜面部分86と鉛直方向に立ち上がり段部83に当接される係止部分87とで構成されている。したがって、段部83に抜け止め部材81の返り(逆鉤)82の部分がさしかかったときに、ばね弾性で返り82の係止部分87が入り込んで段部83に引っ掛かることにより、抜け止め部材81が抜け止め部材挿入穴79から抜け出ないように係合される。また、抜け止め部材81の後端には、抜け止め部材挿入穴79の縁に当接する引っ掛かり部85が設けられ、抜け止め部材挿入穴79内に没入しないように設けられている。尚、抜け止め部材挿入穴79の平面形状は特に限定されるものではないが、本実施形態の場合には上から見て矩形の孔である。
抜け止め部材挿入穴79は、周壁部74の開口部80と連通しているため、抜け止め部材81を挿入したときに返り82の傾斜面部分86が表面に露出することとなる。本実施形態の場合、抜け止め部材81の返り82の傾斜面部分86の面積は開口部80の開口面積よりも僅かに小さく設定させており、抜け止め部材挿入穴79に抜け止め部材81を押し込んだ際に、返り82の係止部分87が外壁部内面の段部83の下に嵌まり込むと同時に返り82の傾斜面部分86が開口部80に嵌まり込んで塞ぐ構造とされている。これによって、アウターシェル71の周壁部74の外側から開口部80のなかに露出する返り82の傾斜面部分86を指で押し込んで段部83から外れるように操作可能な構造とされている。
また、座3は、図3に示すように、座回転軸42よりも後側でかつ背凭れ回転軸25よりも前側となる座3の前後方向の中程でアウターシェル71の係止部材例えば鉤爪状の係合部84が背凭れ支持部材21の座支持軸部21Dに引っかけられて支持されている。
ここで、背凭れ支持部材21に対するアウターシェル71の後方の連結位置は、背凭れ支持部材21の回転軸(背凭れ回転軸25)よりも前方の座支持軸部21Dに設けられており、背凭れ支持部材21が後傾する際に背凭れ支持部材21の先端側の座支持軸部21Dで座3を持ち上げられる位置にある。即ち、背もたれ4の後傾に伴って座3が持ち上げられ、背もたれ4の後傾動に対して、着座者の体重の一部が抵抗として作用する(ロッキング抵抗が体重感応する)体重感知式反力付与機構を構成するように設けられている。したがって、着座者が背凭れ4に凭れかかるとき、背凭れ支持部材21が背凭れ回転軸25を中心に後傾するように回動することで、座3が斜め後方へ引き上げられるようにして座3の後部側が持ち上げられることにより、背凭れ支持部材21を介して背凭れ4に着座者の体重に比例した反力が付与される。
尚、アウターシェル71は、特定の素材並びに構造に限定されるものではないが、本実施形態の場合には、例えばガラス繊維入り強化ナイロン等の剛性を備えた合成樹脂で成形され、適宜リブ構造を採用することで補強されている。このアウターシェル71とインナーシェルとの連結構造は公知であるため、詳細には図示していないが、例えばアウターシェル71の上面の4箇所に分散配置された係止用の頭部を有するT形の係止爪と、インナーシェルの上からみて前後方向に伸びるT形のスリットとを係合させることによって、即ちT形のスリットにT形の係止爪の頭部を通してから前後方向にスライドさせることで相互に固定されている。
座3とメインフレーム2との組立は、アウターシェル71の凹部75にメインフレーム2を納めるようにアウターシェル71を被せると共に、メインフレーム2の長孔12とアウターシェル71の回転軸用孔(開口部80、貫通孔78及び盲の丸穴77)とを位置合わせして座回転軸42をアウターシェル71の外から開口部80を通して挿入する。そして、座回転軸42を先端側がアウターシェル71の盲の丸穴77に突き当たるまで押し込む。その後、アウターシェル71の上面から抜け止め部材81を抜け止め部材挿入穴79に挿入して、座回転軸42の後端面に当接させながら、返り82が段部83の下に収めまで押し込む。抜け止め部材81が抜け止め部材挿入穴79に装着されると、座回転軸42の軸端面が抜け止め部材81に当接して固定される。その後、アウターシェル71の上にインナーシェル72、クッション73を載せてから上張地で包まれる。次いで、アウターシェル71の中程の鉤爪状の軸受け部84を背凭れ支持部材21の座支持軸21Dに宛がって上から押し込むことにより、鉤爪状の軸受け部84と座支持軸21Dとを回転自在に嵌合させる。これによって、背凭れ回転軸25を中心に背凭れ支持部材21が揺動するのに連係されて、座3が斜め後方に引っ張られて持ち上げられるように支持される。
本実施形態の場合、例えばアウターシェル71をメインフレーム2の前方に座回転軸42を介して回転自在に連結された後に、抜け止め部材81を差し込んでからインナーシェルが載せられ、その上にクッションを載せてから上張地でくるんで固定するようにされている。したがって、メインフレーム2に座3を組み付け座3を組立た後には座回転軸42が抜け落ちることがない。他方、座3とメインフレーム2とを分離する必要が生じた場合には、上張地、ウレタンフォームクッション及びインナーシェルを取り外した状態で、アウターシェル71の外周壁の開口部80に露出している抜け止め部材81の返り82を押し込むことにより返り82を段部83から外せば、抜け止め部材81をアウターシェルの上方へ抜け外せるので、座回転軸42を取り外して座3とメインフレーム2とを分離することができる。尚、本実施形態では、抜け止め部材挿入穴79を縦穴としてアウターシェル71の上面から抜け止め部材81を差し込むようにしているが、これに特に限定されるものではなく、例えばアウターシェル71の前方から抜け止め部材81を差し込むように抜け止め部材挿入穴79並びに段部83を横に形成しても良い。抜け止め部材挿入穴79は軸42と交差する方向に設けられていれば良い。この場合にも、開口部80に露出している抜け止め部材81の返り82を押し込むことにより返り82を段部83から外せば、抜け止め部材81をアウターシェルの上方へ抜け外せるので、座回転軸42を取り外して座3とメインフレーム2とを分離することができる。
(背凭れ反力機構)
背凭れ反力機構5として、特定の様式に限られるものではないが、本実施形態の場合、図3に示すように、背凭れ4が後傾するときにばねを圧縮して背凭れ4を初期位置に押し戻そうとする力(反力)を得るばねを用いた反力機構60と、背凭れ4を後傾させるときに座3を持ち上げるように連動させることによって背ロッキングに対する抵抗を使用者の体重に比例させる体重感応式(あるいは感知式)反力付与機構61とを併用している。勿論、実施形態によっては、いずれか一方の反力機構のみを採用することもある。
具体的には、背凭れ支持部材21の背凭れ回転軸25よりも前方側に、体重感応式反力付与機構61とばねを用いた反力機構60とが組み込まれ、背凭れ支持部材21とメインフレーム2の反力調整操作軸7との間に背凭れ4の後傾に連動して背凭れ4を押し戻そうとする力(反力)を発生させるように設けられている。
ここで、ばねを用いた反力機構60は、反力ばね例えば1本の圧縮コイルばね65を背凭れ支持部材21のばね支持軸21Eとメインフレーム2に取り付けられる固定軸である反力調整操作軸7との間に介在させることで、圧縮コイルばね65を含むばね式反力機構60が備えられ、メインフレーム2に揺動自在に支持されている背凭れ支持部材21とメインフレーム2の前側の固定軸例えば反力調整操作軸7との間に背凭れ4の後傾に連動して背凭れ4を押し戻そうとする力を発生させるように設けられている。
圧縮コイルばね65は、前ばねマウント62及び後ばねマウント63を介して固定軸例えば反力調整操作軸7と背凭れ支持部材21のアーム部21Bのばね支持軸21Eとの間に装着される。尚、前後のばねマウント62,63の間には圧縮コイルばね65の座屈を防ぐためのマウントピン64が装入されている。
前ばねマウント62及び後ばねマウント63は、公知の機械要素であるため詳細な説明は省くが、例えばばねの内側に嵌め込まれる軸部とばねの端を受け止める座とを有し、固定軸例えば反力調整操作軸7あるいは可動軸例えばばね支持軸21Eと係合する手段例えば凹部あるいは凸部若しくはフック部を備えている。本実施形態の場合、反力機構の初期反力調整機構6を備えていることから、固定軸たる反力調整操作軸7とはスライダを介して突き当てられる。そこで、スライダと前ばねマウント62との互いに当接する面には、例えば背凭れ回転軸25と平行な軸心(水平軸)を有する横断面半円形の凸部と凹部とが形成され、凹部と凸部とを嵌合させることで背凭れ回転軸25と直交する面内で(スライダ66と前ばねマウント62との成す)角度を可変とする自在継手が構成されて、スライダ66に対して前ばねマウント62が揺動自在に支承されている。
また、後ばねマウント63は、背面側にばね支持軸21Eに引っかけられるフックとフックの側方に突出してアーム部21Bの間でスペーサの働きを成す軸部とが備えられ、アーム部21Bのばね支持軸21Eに横(幅方向)移動が阻止されるようにして引っかけられることによって、揺動可能に支持されている。
したがって、背凭れ4が後傾することで背凭れ回転軸25を中心にアーム部21Bが回動して前方へ向けて押し出されると、後ばねマウント63を介して圧縮コイルばね65が圧縮される。同時に、背凭れ支持部材21の先端の座支持軸21Dが持ち上げられて座3の後部を持ち上げる。座3は、前端側が回転軸を介してメインフレーム2の後傾する長孔12内に収容されているため、座3をわずかに斜め後方に引き上げるように持ち上げる。このため、背凭れ支持部材21の先端の座支持軸21Dには、座3にかかる着座者の体重がかかる。つまり、背凭れ支持部材の先端には、着座者の体重に比例した力が付与され、背凭れ支持部材21のアーム部21Bを介して背凭れ4に反力が付与される。
(反力機構の初期反力調整機構)
背凭れ反力付与機構5には、初期反力(初期位置状態において付与される圧縮コイルばね65の反発力)を調節可能とする反力調整機構6が備えられる。
反力調整機構6は、圧縮コイルばね65の一端がメインフレーム2側の固定的な部材に当接する位置を変化させることで、初期位置における圧縮コイルばね65の圧縮量(つまり、初期圧縮量)を調整するものである。本実施形態の反力調整機構6は、図8に示すように、カム機構を利用して圧縮コイルばね65の伸縮方向に変位を与えることで初期位置における圧縮コイルばね65の圧縮量を変化させものであり、反力調整操作軸7によって回転する反力調整カム51と従動節としてのスライダ66とで構成されている。
反力調整カム51は、本実施形態の場合、剛性を備えた合成樹脂例えばPA6-GF(ポリアミド6)などのガラス繊維入り強化ナイロン等で反力調整操作軸7と一体成形されている。反力調整カム51は、図14に示すように、反力調整操作軸7の最小軸径例えば本実施形態の場合には先端軸部55の軸径よりも小径のカム基礎円51fを有し、該カム基礎円51fの位置を起点または終点とするものである。本実施形態の反力調整カム51の場合、反力調整操作軸7の揺動範囲(操作軸押さえ43の規制突起49と反力調整操作軸7の規制突起54との間で規制される揺動可能な範囲)内で複数段、例えば4段階程度にカム変位量が切り替えられる多角形のカム輪郭を成す平面カムとして構成されている。
ここで、起点または終点となるカム面51aは、反力調整操作軸7の最小軸部の軸径よりも小径のカム基礎円51fの接線となる平坦面から成り、反力調整操作軸7の回転に伴って切り替えられるカム面51b、51c、51dはスライダ66に与える変位を段階的に増加ないし減少させる。このため、反力調整カムそのものをコンパクトにしながら多段階にカム変位を設定できるとともに、力のモーメント・ねじりモーメントの関係から軽い力でカムを操作できる。しかも、切替操作時以外の状態にあるときには平坦な面と面との接触で面に対し垂直に圧縮コイルばね65からの力が作用することから安定感があり、圧縮コイルばねの初期圧縮量を切り替える際には、変位が漸増しながら切替区間51eを乗り越えることにより、クリック感が生ずる。
勿論、反力調整カム51のカム輪郭面は、図示の如き多角形の断続的な平端面に限られず、連続的な曲面から成る無段階に変位を与えるカム輪郭として、反力調整操作軸7の操作によって、圧縮コイルばね65に与えられる変位、即ち初期圧縮量は無段階に漸増ないし漸減するように変化させられるようにしても良い。この場合にも、反力調整操作軸7の最小軸部の軸径よりも小径のカム基礎円51fとすることにより、反力調整カムそのものをコンパクトにしながら多段階にカム変位を設定できるとともに、力のモーメント・ねじりモーメントの関係から軽い力でカムを操作できる。
反力調整カム51は、本実施形態の場合には、図13に示すように、反力調整操作軸7上に間隔をあけて一対が設けられている。この場合、図9に示すように、反力調整カム51によりスライダ66を離れた2点で押すように操作することとなるので、スライダ66の動きに偏りが生じにくくなり、こじれを起こさずに平行移動させることが容易に可能となる。
図13に示すように、一対の反力調整カム51の間には、中間軸受け部11に受支えられる中間軸部52が形成されている。また、反力調整カム51の外側(中央の中間軸部52から離れる方向)には、断面円形の軸部53がそれぞれ設けられている。軸部53及び中間軸部52は、例えば反力調整カム51の最大変位量を与える輪郭部位の頂点を包摂する円(つまり軸径)の軸であり、反力調整カム51と接するスライダ66が外側あるいは内側(左右方向)へ振れて逸脱するのを阻止するように設けられている。また、各軸部53のさらに外側には、反力調整操作軸7の回転を規制する規制突起(ストッパ)54と、操作軸押さえ43の内周面から軸中心へ向けて突出する規制突起(ストッパ)49の相対的な周方向移動(回転)を可能にする直径の軸部56とが設けられ、操作軸押さえ43の規制突起49と軸部56の周りの規制突起54とにより、反力調整操作軸7の回動を一定の範囲(概ね270°の範囲)内に規制するように設けられている(図6参照)。
各軸部56のさらに外側には、反力調整操作軸7の挿入孔である丸孔13から見て奥側の中仕切り壁2Cの半円状の開放型軸受け部14に受け支えられる先端の軸部55と、手前側の中仕切り壁2Cの半円状の開放型軸受け部14に受け支えられる手前側軸部57が設けられている。ここで、奥側の規制突起54は軸部53と同じ高さ(即ち、同じ直径)に、手前側の規制突起54は軸部57と同じ高さ(即ち、同じ直径)とされている。また、中仕切り壁2Cの開放型軸受け部14に支承される軸部57の外側には、操作軸押さえ43の縁の開放型軸受け部44が嵌入される溝を周壁部2Aの丸孔13に支持される軸部58との間で形成するような軸部56と同程度の直径の軸部59とされている。
即ち、本実施形態の反力調整操作軸7は、先端の軸部(先端軸部55と呼ぶ)がメインフレーム内に挿入される軸部の中で最も小径に形成され、軸部53及び中間軸部52が反力調整カム51の最大変位量を与える輪郭部位の頂点を包摂する円(つまり軸径)であり、さらに軸部57及び軸部58が軸部53よりも大径でかつ丸孔13を十分な隙間を設けて貫通できる直径の軸部として形成されている。つまり、本実施形態の反力調整操作軸7は、先端から順々に軸径が大きくなるように形成されており、組み立てロボットなどを使って反力調整操作軸7を丸孔13に対して真っ直ぐに挿入可能とされている。
反力調整操作軸7は、図5に示すように、奥側と手前側(左右)の中仕切り壁2Cの半円状の開放型軸受け部14で先端軸部55と軸部57が受け支えられると同時に操作軸押さえ43の縁の開放型軸受け部44で軸部59と先端軸部55とが上から押さえられることによって、軸方向移動が阻止されつつ回転自在に支持されている。また、軸部58が周壁部2Aの丸孔13に支持されると共に外側のフランジ7Bが周壁部2Aに当接することで、反力調整操作軸7のメインフレーム2内への挿入の位置決めが図られている。
他方、反力調整カム51と接触するスライダ66は、本実施例の場合には、操作軸押さえ43と一体成形されたスライダハウジング50内に収容されることによって、反力調整操作軸7と初期位置状態(着座者が存在しない状態)における背凭れ支持部材21のばね受けアーム21Bの先端のばね支持軸21Eとを結ぶ一軸上を直線移動可能に保持されている。したがって、スライダ66は、背後の前ばねマウント62を介して圧縮コイルばね65に対して反力調整カム51が付与するカム変位と同量の圧縮を与える。
スライダ66は、図9に示すように、左右両端に前方へ向けて突出し反力調整カム51と当接するカム受け面(接触子)66aを有している。ここで、スライダ66の反力調整カム51と接触するカム受け面(接触子)66aは、平坦な面(即ち、平端接触子)であり、中間軸部52を挟んで離隔配置された一対の反力調整カム51と対向するように左右両端のカム受け面66aが突出した略H形のブロック形成されている。また、スライダ66の側面にはレールとして機能するわずかな高さの凸起66cが形成され、スライダ66の内側面の溝に嵌合して前後方向即ちばねの伸縮方向に摺動可能に支持される。尚、カム受け面(接触子)66aは、本実施形態の場合、平端であるが、場合によっては突端あるいは円端でも良い。
上述の反力機構の初期反力調整機構によれば、反力調整操作軸7を回転させることで、反力調整カム51のスライダ66に当接するカム面が切り替えられて圧縮コイルばね65に付与される変位量が増加あるいは減少させられることにより、圧縮コイルばね65の初期圧縮量が切り替えられる。しかも、反力調整カム51は、反力調整操作軸7の最小軸径よりも小径のカム基礎円51fの位置を起点または終点とするものであることから、反力調整操作軸7のハンドル7Aを回す際に、直径が短い分だけ軽い力で切替操作を行うことができる。しかも、反力機構の感知具合をばねの初期反力を調整できるハンドル・グリップ7Aを回すことで、段階的に軽かったり、重くなったりするように切り替えることができる。即ち、反力調整操作軸7のハンドル7Aを回すことで体重感知メカの反力の堅さ調整を可能とするフィーリングを変えることができる。
(背凭れのロッキング範囲調節機構)
メインフレーム2と背凭れ4との間には、例えば図3及び図22に示すように、背凭れ4と連動する部材例えば背凭れ支持部材21の動きを拘束することで背もたれ4がロッキングできる最大後傾位置を調節可能とするロッキング範囲調節機構8が備えられている。
このロッキング範囲調節機構8は、背凭れ4と連動する部材例えば背凭れ支持部材21をメインフレーム2に当接させる位置を変更させることで、背もたれ4がロッキングできる最大後傾位置を規制・調節するものであり、背凭れ4と共に動いてメインフレーム2に当接することで背凭れ4の後傾を阻止する係止ブロック(いわゆる後傾範囲規制部材)26と、係止ブロック26の背凭れ4に対する位置を固定する固定ブロック34とで構成されている。ここで、可動部材たる係止ブロック26と、固定部材たる固定ブロック34の少なくともいずれかは、樹脂部材例えば摺動性の高いポリアセタール樹脂(POM)により構成されていることが好ましい。尚、メインフレーム2側には係止ブロック26が当接する際の衝撃や衝突音を軽減させるための緩衝ブロック41が必要に応じて備えられている。
係止ブロック26は、本実施形態の場合、図22に示すように、背凭れ支持部材21に取り付けられたロッキング範囲切替操作軸9に固定され、背凭れ支持部材21と共に揺動するように備えられると共に、ロッキング範囲切替操作軸9の回転によって同軸を中心に回動するように設けられている。この係止ブロック26は、背もたれがロッキングできる最大後傾位置を段階的に変更するため、ロッキング範囲切替操作軸9の中心から異なる位置にメインフレーム2の緩衝ブロック41と当接する複数の段部例えば4段階の長さの段部28A~28Dを備えている。例えば図24に示すように、係止ブロック26は、ロッキング範囲切替操作軸9の中心即ち回転中心から複数段例えば4段階の長さの段部28A~28Dを有する半扇状のレバー状係止部28を有する。
具体的には、係止ブロック26は、図23及び図24に示すように、ロッキング範囲切替操作軸9を貫通させる筒部27と、該筒部27から径方向外側へ突出するレバー状係止部28と、筒部27の一端で当該係止ブロック26を他端側へ常時付勢する圧縮コイルばね(図示省略)を内蔵するためのばね収容部32と、筒部27の他端で固定ブロック34の凹部36と嵌合する凸部30とを有し、一端に内蔵される圧縮コイルばね(図示省略)のばね力でロッキング範囲切替操作軸9上を他端側のメインフレーム2に固定された固定ブロック34へ押しつけられて固定(位置決め)されるように設けられている。
固定ブロック34と係止ブロック26との凹凸30,36の形状は、ロッキング範囲切替操作軸9の軸方向には互いに噛み合いつつ一定の大きさの回転が加えられたときには周方向には乗り越えられるものであれば特定の形状に限られるものではないが、本実施形態の場合、例えば蒲鉾形(中高で、断面が半月形を成す)の凸起と凹部との組み合わせから成る。本実施形態の場合、係止ブロック26の筒部27の他端側に1つの蒲鉾形の凸起30が備えられている。他方、固定ブロック34には、図25に示すように、複数例えば4つの蒲鉾形の凹部36がロッキング範囲切替操作軸9(厳密にはロッキング範囲切替操作軸9を貫通させる孔38)を中心に扇形に配置されている。
つまり、本実施形態におけるロッキング範囲調節機構8は、任意の間隔例えば基準となる位置(0°)から6°間隔で4段階に切替可能に設けられている。また、同じ間隔で固定ブロック34の扇形に配置された一群の凹部36の両端(凹部36が連続的に形成された領域の外)には、揺動範囲を規制する度当たりとなる規制ブロック35がそれぞれ形成されている。この規制ブロック35は係止ブロック26の固定基部29の側面と当接することで係止ブロック26の動きを阻止する。尚、固定基部29とレバー状係止部28とは、リブを設けることによって剛性が高められている。尚、係止ブロック26の筒部27の他端面には凸部30よりも低く固定ブロック34の凹部36の周囲の面37に接触する摺動凸部31が備えられ、固定ブロック34と係止ブロック26との間の接触面積を少なくして係止ブロック26の回転に必要とされる力を軽減させている。
レバー状係止部28は、例えば筒部27の中心軸を中心に任意の間隔例えば基準となる位置(0°)から6°間隔で4段階に区切られて回転中心からの長さが順次短くなるようにあるいは長くなるように段階的に形成されたものであり、本実施形態の場合には4段階の長さのレバーが連続的に形成されることによって4段階の長さの段部を有する半扇状のレバー状係止部28が形成されている。レバー状係止部28は、本実施形態の場合、筒部27の例えば中間部に間隔を開けて一対が備えられるとともに互いにリブで連結されて剛性が高められるように設けられ、機械的剛性が高められると共に捻れ難い構造とされている。勿論、レバー状係止部28は、例えば筒部27の中央に1カ所設けるようにしても良い。また、レバー状係止部28は同一平面上で4段階の長さの段部を有している扇状のものに特に限られず、場合によっては4つの異なる平面上で4段階の長さの段部を形成するようにしても良い。
筒部27にはキー溝が形成された軸孔33が設けられる。他方、ロッキング範囲切替操作軸9にも、キー9Aが設けられており、ロッキング範囲切替操作軸9が筒部27に貫通された状態では軸方向に移動可能に支持されるとともに回転方向には共に回転するように設けられている。
ロッキング範囲切替操作軸9は、図27に示すように、筒受け部9Eとフランジ9Fとを有する短尺な第1の軸部9Gと、キー部9Aとフランジ9Dとを有する長尺な第2の軸部9Hとに2分割され、第2の軸部9Hを背凭れ支持部材21の一方のプレート21Aの外から貫通させると共に他方のプレート21Aの近傍まで挿入し、第1の軸部9Gを背凭れ支持部材21の他方のプレート21Aの外から貫通させて他方のプレート21Aの近傍で第2の軸部9Hの先端を筒受け部9Eに嵌入させて連結するようにしている。これによって、背凭れ支持部材21の両側のプレート21Aの外側の面に2枚のフランジ9D,9Fがそれぞれ当接するように配置された状態で設置される。2分割されたロッキング範囲切替操作軸9は、圧入あるいは組み付け後のかしめなどで一体化される。背凭れ支持部材21の外側に突出する第2の軸部9Hには操作レバー9Bが嵌合されてねじ止めされる。この操作レバー9Bとロッキング範囲切替操作軸9との間は、キー9A及びキー溝(図示省略)の嵌合によって、回転方向に連結される。ワッシャから成るフランジ9Dは、軸部を一部潰すことによって形成された抜け止めの凸起9Cによって抜け外れないように設けられている。
背凭れ支持部材21の両側のプレート21Aの貫通孔22には、それぞれキー9Aを通過させる溝が開けられている。これによって、いずれの側のプレート21Aから第2の軸部9Hを挿入するようにしても良い。
固定ブロック34には、図25に示すように、扇状に凹部36を配置した面(いわゆる表面)とは反対側の面に、プレート21Aの孔23と係合する突起状の爪39と、プレート21Aの下縁にあてがわれて引っかかるプレート状の爪40とが設けられている。突起状の爪39は、孔23を貫通する際に窄まるように変形し貫通後に元に戻ってプレート21Aに係合する返り付きの爪部材である。これによって、固定ブロック34は背凭れ支持部材21の貫通孔22の回りに穿孔された一対の孔23に、爪部分39を押し込みながら、プレート21Aの下縁に爪部40を宛がうことで、簡単に取り付けるようにしている。固定ブロック34の背凭れ支持部材21への装着と同時にロッキング範囲切替操作軸9を通過させる孔38と、プレート21Aの孔22とが芯合わせされる。
固定ブロック34の凹部36は、蒲鉾形を成す凹部を係止ブロック26の凸部30と同じピッチで扇状に連続的に配列させたものであるため、凹部36と凹部36との境界部分では小さな曲率半径の頂部となり、図示していないばねで押しつけられる係止ブロック26の凸部30は頂部付近に止まっていることができずにいずれかの底部に落ち込む。このため、切替が確実なものとなる。もっとも、固定ブロック34の凹部36と係止ブロック26の凸部30とは、上述の蒲鉾形の凹凸に限られず、例えば半球状の凹凸であっても良いし、その他の形状であっても良い。
尚、メインフレーム2側に備えられる緩衝ブロック41は、本実施形態の場合、例えばゴム弾性を示す蒲鉾型の樹脂ブロックであり、メインフレーム2の後端部に形成された側壁に囲まれた凹み19に収容される。樹脂ブロック41の底面には押し込みピン部41aが一体成形されており、凹部19の底面の孔20に押し込みピン部41aを嵌め込むことでメインフレーム2に固定される。この緩衝ブロック41は係止ブロック26のレバー状係止部28がメインフレーム2に突き当たる際の衝撃並びに音を緩和するものであり、場合によっては省かれることもあれば、またレバー状係止部28の段部そのものにそれぞれ備えられることもある。
以上のように構成された本実施形態のロッキング範囲調節機構8によれば、ロッキング範囲切替操作軸9の回転により、メインフレーム2の緩衝ブロック41に当接するレバー状係止部28の段部を複数の段部28A~28Dのなかから選択すれば、固定ブロック34の対応する位置の凹部36に係止ブロック26の凸部30が嵌め込まれて、レバー状係止部28の傾斜角度が固定される。したがって、背凭れ4が後傾されようとすると、該当する角度のレバー状係止部28の段部(28A~28Dのいずれか)がメインフレーム2の緩衝ブロック41に当接し、それ以上の背凭れのロッキングを阻止することができる。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、相対的に回転する2部材の間の位置固定の機構として、背凭れ4と連動する部材例えば背凭れ支持部材21の動きを拘束することで背もたれ4がロッキングできる最大後傾位置を調節可能とするロッキング範囲調節機構8のロッキング範囲切替操作軸の位置決め部材として適用した例を挙げて主に説明したが、これに特に限られず、椅子の機能を発揮させる操作部材であれば実施可能であり、例えば背フレームとヘッドレストとの間の位置決め部材にも適用できる。
また、上述の実施形態では、抜け止め部材81は、座回転軸42の一端に配置されるようにしているがこれに特に限定されるものではなく、座回転軸42を支持する軸受け孔を共に貫通孔として、座回転軸42の両端にそれぞれ抜け止め部材81を差し込んで抜け止めを図ることも可能である。
また、上述の実施形態では、相対的に回転する2部材を連結する軸の抜け防止構造の一例として座アウターシェル71とメインフレーム2との間を連結する座回転軸42に適用した例を挙げて主に説明したが、これに特に限られず、その他の椅子の構成部材の間の連結構造例えば座アウターシェル71と背凭れ支持部材21との間の連結構造や、ヘッドレストと背フレームとの間の連結構造、あるいは相互に回転しない2部材を連結する軸の抜け止め構造に適用することも可能である。
また、上述の実施形態では、係止ブロック26を固定ブロック34へ向けて常時付勢する手段として筒部27の軸方向に作用する圧縮コイルばねを用いた例を挙げているが、これに特に限られるものではなく、例えば板ばねを組み込んだり、あるいはその他のばね弾性を呈するもの例えばボールプランジャのようなものを係止ブロック26の凸部30に用いることで代用しても良い。
また、反力調整カム部51は、反力調整操作軸7に間隔を開けて一対設け、それら一対のカム部の間に中間軸部52と中間軸受け部11とが設けられているが、このようなカム構造に特に限られず、1つの反力調整カム部51を設けると共に該反力調整カム部51を挟むようにその両隣に一対のバックアップ部即ち中間軸部52と中間軸受け部11を設けるようにしても良い。この場合には、スライダ66の前面の例えば中央に反力調整カム部51と当接する平端な面が形成されることとなる。
また、上述の実施形態では、反力調整操作軸7と反力調整カム部51などは、合成樹脂で一体成形されているが、これに特に限られず、金属の削り出しや鍛造加工などによる一体加工品で構成しても良いし、場合によっては2部材以上で構成するようにしても良い。
また、上述の実施形態では、背もたれは枠状の背フレームとこれに張られるメッシュ状張地とで構成されるものを例示したが、この背凭れ構造れ特に限られるものではなく、例えば枠状の背フレームに穴あきシェルを固定した背凭れ構造や背板にクッションを固定して張地でくるんだ背構造でも良い。
また、上述の実施形態では、背凭れ反力付与機構5には、初期反力(初期位置状態において付与される圧縮コイルばね65の反発力)を調節可能とする反力調整機構6が備えられているが、反力調整機構6を備える必要がないときにはメインフレーム2の固定軸との間で構成するようにしても良い。
前ばねマウント62及び後ばねマウント63は、公知の機械要素であるため詳細な説明は省くが、例えばばねの内側に嵌め込まれる軸部とばねの端を受け止める座とを有し、固定軸例えば反力調整操作軸7あるいは可動軸例えばばね支持軸21Eと係合する手段例えば凹部あるいは凸部若しくはフック部を備えている。本実施形態の場合、反力機構の初期反力調整機構6を備えていることから、固定軸たる反力調整操作軸7とはスライダを介して突き当てられる。そこで、スライダ66と前ばねマウント62との互いに当接する面には、例えば背凭れ回転軸25と平行な軸心(水平軸)を有する横断面半円形の凸部62aと凹部66bとが形成され、凹部と凸部とを嵌合させることで背凭れ回転軸25と直交する面内で(スライダ66と前ばねマウント62との成す)角度を可変とする自在継手が構成されて、スライダ66に対して前ばねマウント62が揺動自在に支承されている。
反力調整機構6は、圧縮コイルばね65の一端がメインフレーム2側の固定的な部材に当接する位置を変化させることで、初期位置における圧縮コイルばね65の圧縮量(つまり、初期圧縮量)を調整するものである。本実施形態の反力調整機構6は、図8に示すように、カム機構を利用して圧縮コイルばね65の伸縮方向に変位を与えることで初期位置における圧縮コイルばね65の圧縮量を変化させるものであり、反力調整操作軸7によって回転する反力調整カム51と従動節としてのスライダ66とで構成されている。