JP2022183764A - 脱離可能な皮膜形成用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 汎用プラスチック基材等の基材に対して、中性水を用いた簡便な方法で容易に皮膜を脱離し、当該基材から皮膜層を容易に取り除くことができる、皮膜形成用組成物の提供。【解決手段】 溶液処理により脱離する皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための脱離可能な皮膜形成用組成物であって、前記皮膜形成用組成物は、剥離促進剤を含有し、前記剥離促進剤は、親水性を有する官能基を有しており、前記官能基は保護基により保護されており、加熱又は光照射により前記保護基が脱保護されると親水性を発揮するものである、皮膜形成用組成物の提供。【選択図】なし

Description

本発明は基材から脱離可能な皮膜を形成するために使用する組成物に関する。
近年海洋に廃棄・投棄されたプラスチックが海水中で分解されて微細化(マイクロプラスチック化)することに起因した海洋プラスチック問題が顕在化している。このマイクロプラスチックは海洋生物の体内に入り込み、濃縮され、食物連鎖を通して海鳥や人間の健康にも影響することが懸念されている。この海洋プラスチック問題を改善する方法の一つがリサイクルである。軟包材やプラスチックボトルなどの資源のリサイクル率を向上させることは、プラスチックが海洋へと混入するのを防ぐことにつながる。しかし、現在のリサイクルでは、プラスチック基材に印刷された皮膜が再生工程において脱離せず、プラスチックに混入することによって色相の悪化や物性の低下を引き起こし、再生プラスチックの価値を低下させているという課題が存在する。リサイクル工程で皮膜のプラスチック基材からの脱離を可能としこの課題を解決することができれば、再生プラスチックの価値が向上し、新規リサイクル業者の参入や自治体の分別回収の整備につながる。これにより、リサイクル率が向上することで、海洋プラスチック問題が改善すると考えられる。そのためリサイクル工程において皮膜が脱離可能な皮膜形成用材料の開発が求められている。
またプラスチック基材に対して広く使用される皮膜形成用材料である有機溶剤系印刷インキは、作業者の健康や環境に対する影響を考慮し、トルエンフリー、メチルエチルケトン(MEK)フリーのものに代替が進んでいるため、上記課題を解決する材料もこのことを考慮して開発を進める必要がある。
従来技術では、熱収縮性PETフィルムに対して印刷したスチレン-アクリル酸樹脂、フェノール樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂をビヒクルとして含む皮膜をアルカリ水で脱離する方法が開示されている(特許文献1)。また同様に熱収縮性PETフィルムに対してスチレン-マレイン酸樹脂、ロジン-マレイン酸樹脂、アクリル酸共重合系樹脂を含有したコート層を印刷層の間に配置し、そのコート層をアルカリ水で脱離する方法が開示されている(特許文献2及び特許文献3)。しかしながらこれら技術は特定の基材に対する特性しか担保されておらず、また容易な脱離法の提供という観点からは十分なものとはいえなかった。ポリオレフィンを含む汎用的なプラスチック基材に対して、簡便な方法で皮膜を脱離し、プラスチック基材から印刷層を容易に取り除くことができる、プラスチック基材のリサイクル方法を提供するには、検討の余地があった。
一方バインダー樹脂として酸価を有するウレタン樹脂を使用したアルカリ水脱離用有機溶剤系印刷インキも開示されている(特許文献4、特許文献5及び特許文献6)。
加えて、上記従来技術ではいずれもアルカリ水による処理を前提としており、リサイクル処理設備の劣化や作業者の人体への悪影響が懸念される。これに対し、中性水で剥離する皮膜層を作成するための水溶性樹脂が開示されている(特許文献7)。
特許第3822738号公報 特許第4653913号公報 特許第4451071号公報 特許第6638802号公報 特許第6631964号公報 特開2020-169280号公報 国際公開第2020/218509号
しかし、上記特許文献7のように中性水で剥離可能な樹脂では、通常使用条件での耐水性に問題があり、該皮膜層を含む包装袋等の製品の輸送中に雨にさらされることで皮膜が剥がれて商品価値が無くなったり、消費者の使用中に皮膜が剥がれて食品等への化学物質の混入の危険性も生じる。
そこで、上記問題を解決するため、汎用プラスチック基材等に対して従来の皮膜形成用材料と同様の物性を有しつつ、通常の使用条件では脱離しないが、特定の条件で処理することにより、容易に中性水を用いて、プラスチック基材等から皮膜層を脱離できる、プラスチック基材等のリサイクル方法の提供が望まれている。
本発明は、上述した海洋プラスチック問題と作業者の健康や環境に対する問題を同時に解決するために、汎用プラスチック基材等の基材に対して、中性水を用いた簡便な方法で容易に皮膜を脱離し、当該基材から皮膜層を容易に取り除くことができる、皮膜形成用材料(皮膜形成用組成物)を提供することを目的とする。
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、皮膜形成用組成物中に、特定の剥離促進剤を含有させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1] 溶液処理により脱離する皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための脱離可能な皮膜形成用組成物であって、
前記皮膜形成用組成物は、剥離促進剤を含有し、 前記剥離促進剤は、親水性を有する官能基を有しており、前記官能基は保護基により保護されており、加熱、冷却、UV照射、IR照射、EB照射、放射線照射、プラズマ処理、電圧印加、酸処理、アルカリ処理、酸化剤処理、及び還元剤処理のうちのいずれかの処理により前記保護基が脱保護されると親水性を発揮するものである、皮膜形成用組成物。[2]前記剥離促進剤の脱保護後に示す親水性が、水への溶解度で評価した場合、1,000ppm以上の溶解度を示す、[1]に記載の皮膜形成用組成物。
[3] 前記処理が、加熱又はUV照射である、[1]又は[2]に記載の皮膜形成用組成物。
[4] 前記官能基が、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基又はその塩、スルホ基又はその塩、及びアミノ基又はその塩の少なくともいずれかである、[1]~[3]のいずれかに記載の皮膜形成用組成物。
[5] 前記保護基が、tert-ブトキシカルボニル(Boc)基である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の皮膜形成用組成物。
[6] 印刷インキ、プライマー、又はオーバープリントワニス(OPV)として用いられる、[1]~[5]のいずれか一項に記載の皮膜形成用組成物。
[7] 前記印刷インキが、有機溶剤系インキ、水系インキ、又はUVインキである、[6]に記載の皮膜形成用組成物。
[8] 基材Aの表面に直接又は他の層を介して、[6]又は[7]に記載の皮膜形成用組成物からなる皮膜を有する印刷物。
[9] 前記皮膜が、印刷層、プライマー層、及びオーバープリントワニス層(OPV層)から選ばれる少なくとも一つである、[8]に記載の印刷物。
[10] [8]又は[9]に記載の印刷物に対して、前記印刷層の前記基材Aが配置されている面とは反対側の面に、基材Bを配置し、前記印刷物と前記基材Bとを積層してなる積層体。
[11] [8]又は[9]に記載の印刷物に対して、加熱、冷却、UV照射、IR照射、EB照射、放射線照射、プラズマ処理、電圧印加、酸処理、アルカリ処理、酸化剤処理、及び還元剤処理のうちのいずれかの処理を施し、その後溶液で処理することにより前記皮膜を基材Aから脱離して得られるリサイクル基材Aの製造方法。
[12] 前記処理が、加熱又はUV照射である、[11]に記載のリサイクル基材Aの製造方法。
[13] [10]に記載の積層体に対して、加熱、冷却、UV照射、IR照射、EB照射、放射線照射、プラズマ処理、電圧印加、酸処理、アルカリ処理、酸化剤処理、及び還元剤処理のうちのいずれかの処理を施し、その後溶液で処理することにより前記皮膜とともに基材Bを脱離して得られるリサイクル基材Aの製造方法。
[14] 前記処理が、加熱又はUV照射である、[13]に記載のリサイクル基材Aの製造方法。
本発明により、汎用プラスチック基材等の基材に対して、中性水を用いた簡便な方法で容易に皮膜を脱離し、プラスチック基材から皮膜層を容易に取り除くことができる、皮膜形成用組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、以下に記載する構成要件の説明は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
(皮膜形成用組成物)
本発明の皮膜形成用組成物は、基材Aの表面に直接又は他の層を介して皮膜を形成するために用いられる。なお、本発明において、他の層とは単一の層でも複数の層であってもよい。 本発明の皮膜形成用組成物により形成される皮膜は、溶液処理により脱離可能である。ここで、溶液処理とは、水(中性水)溶液又はアルカリ溶液からなる溶液を用いて処理することをいう。このように、本発明では、アルカリ溶液だけでなく、中性水を用いても、皮膜を容易に脱離することができる。なお、水溶液の温度は特に制限はなく、非加熱の水(中性水)であっても、20~90℃程度に加熱した温水でも構わない。 皮膜形成用組成物は、剥離促進剤を含有する。該剥離促進剤は、親水性を有する官能基を有しており、官能基は保護基により保護されており、特定の処理、例えば、加熱又は光(UV、IR等)照射などにより保護基が脱保護されると親水性を発揮するものである。
本発明の皮膜形成用組成物から形成される皮膜は、基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成された印刷層を基材Aから取り除くために用いられる。
ここで、印刷層とは、印刷インキを印刷して形成された層をいう。
印刷層を基材Aから取り除く方法としては、例えば、印刷層自体が脱離機能を有しており、印刷層を基材Aから脱離させる方法(以下、パターンAの方法ともいう)や、印刷層と基材Aとの間に別な層を設け、該別な層が脱離機能を有しており、該別な層を脱離させることにより、印刷層も併せて基材Aから脱離させる方法(以下、パターンBの方法ともいう)などが挙げられる。
本発明の皮膜形成用組成物から形成される皮膜は、上記パターンAの方法における印刷層も、上記パターンBの方法における別な層をも対象とする。より具体的には、本発明に係る皮膜としては、印刷層、及び後述するプライマー層やオーバープリントワニス層(OPV層)のいずれをも対象とする。
つまり、本発明の皮膜形成用組成物は、印刷インキ、プライマー、又はOPVのいずれの態様でも用いることができる。
本発明の皮膜形成用組成物は、印刷層、プライマー層、及びOPV層のうちいずれか少なくとも一つの層を形成するために用いていればよく、これらの層のうち、1層もしくは2層以上を本発明の皮膜形成用組成物で形成することができる。
本発明に係る皮膜と基材Aとの配置構成としては、例えば、以下の場合が挙げられる。
・基材A-印刷層(白)-印刷層(カラー)
・基材A-プライマー層-印刷層(白)-印刷層(カラー)
・基材A-印刷層(白)-印刷層(カラー)-OPV層
・基材A-プライマー層-印刷層(白)-印刷層(カラー)-OPV層
・基材A-印刷層(カラー)-印刷層(白)
・基材A-プライマー層-印刷層(カラー)-印刷層(白)
・基材A-印刷層(カラー)-印刷層(白)-OPV層
・基材A-プライマー層-印刷層(カラー)-印刷層(白)-OPV層
・基材A-OPV層
・基材A-印刷層(カラー)
ここで、基材Aは、後述する基材Aを表し、印刷層(白)は、本発明の皮膜形成用組成物を印刷インキとして用い、該皮膜形成用組成物に含有させる着色剤として白インキに使用される着色剤を用いて、該皮膜形成用組成物を印刷して形成した印刷層を表し、印刷層(カラー)は、本発明の皮膜形成用組成物を印刷インキとして用い、該皮膜形成用組成物に含有させる着色剤として白インキに使用される着色剤以外の着色剤を用いて、該皮膜形成用組成物を印刷して形成した印刷層を表し、プライマー層は、本発明の皮膜形成用組成物を後述するプライマーとして用いて形成した層を表し、OPV層は、本発明の皮膜形成用組成物を後述するOPVとして用いて形成した層を表す。
なお、上述した例では、印刷層は、白インキを用いた場合と白インキ以外の着色剤としてカラーインキを用いた場合の2層が積層された例を挙げているが、印刷層はこのように2層以上で形成されている必要はなく、白又はカラーのいずれか1層で形成されている場合であってもよい。
本発明の皮膜形成用組成物は、印刷層を形成する印刷インキとして用いることができるが、該印刷インキの種類としては、本発明の効果が発揮できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶剤系インキや水系インキなどのリキッドインキ、あるいはUV(紫外線硬化型)インキやEB(電子線硬化型)インキなどの活性エネルギー線硬化型インキが挙げられる。
そこで、本発明の皮膜形成用組成物を、有機溶剤系インキとして用いる場合(有機溶剤系組成物)、水系インキとして用いる場合(水系組成物)、UVインキとして用いる場合(UV組成物)のそれぞれに分けて以下説明する。
<有機溶剤系組成物>
本発明の皮膜形成用組成物である有機溶剤系組成物は、溶液処理により脱離する印刷層を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するために用いられる。 有機溶剤系組成物は、剥離促進剤を含有する。
また、有機溶剤系組成物は、剥離促進剤の他、有機溶剤の溶媒、バインダー樹脂を含有し、必要に応じて着色剤やその他の成分を含有する。
<<剥離促進剤>> 剥離促進剤は、親水性を有する官能基を有しており、官能基は保護基により保護されており、特定の条件による処理(つまり特定の処理)により保護基が脱保護されると親水性を発揮するものである。
官能基は、親水性を示すものであれば、特に制限はなく、酸性を示す基であっても塩基性を示す基であっても構わない。例えば、官能基としては、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基又はその塩、スルホ基又はその塩、アミノ基又はその塩等が挙げられる。
保護基は、通常の使用条件では脱離せず、官能基を保護しており、それにより剥離促進剤は親水性を示さないが、特定の条件で処理すると、保護基が外れ官能基が現れ、剥離促進剤の親水性を発揮させることができるものである。例えば、保護基としては、炭素原子数1~10のアルキル基(該アルキル基中に存在する任意の1個又は2個以上の-CH-は、それぞれ独立して酸素原子が隣り合わない限りにおいて、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、1,4-フェニレン、シクロペンタン-1,3-ジイル、シクロブタン-1,4-ジイル又はシクロプロパン-1,2-ジイルで置換されてもよい)が挙げられる。中でもアルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アシル基が好ましい。具体的にはtert-ブトキシカルボニル(Boc)基、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
保護基を脱保護する際の特定の処理としては、特に制限はないが、例えば、加熱、冷却、UV照射、IR照射、EB照射、放射線照射、プラズマ処理、電圧印加、酸処理、アルカリ処理、酸化剤処理、還元剤処理等が挙げられ、これらを単独又は複数組み合わせても良い。中でも、簡便性、安全性の観点から加熱、UV照射が好ましく、加熱がより好ましい。
剥離促進剤を含有する皮膜形成用組成物に対して、例えば、100~200℃の加熱を施すことが挙げられ、120~200℃の加熱が好ましく、150~200℃の加熱がより好ましい。
剥離促進剤の好ましい実施態様としては、特定の条件処理により保護基が外れた後(つまり脱保護後)の剥離促進剤が示す親水性の度合い(水への溶解度)が、1,000ppm(1g/L)以上を示す剥離促進剤が挙げられる。
剥離促進剤が示す水への溶解度は、皮膜の脱離促進に寄与するという観点からは、5,000ppm(5g/L)以上であることがより好ましく、10,000ppm(10g/L)以上であることがさらに好ましく、又、塗膜の密着性及び耐水性の観点からは、30%(300g/L)以下が好ましく、20%(200g/L)以下がより好ましく、10%(100g/L)以下がより好ましく、5%(50g/L)以下が最も好ましい。

なお、剥離促進剤の水への溶解度は、例えば、水溶液を用い、35℃の温度条件で脱保護後の剥離促進剤を溶解した際の溶解度を測定する。具体的には、水に脱保護後の剥離促進剤を添加した後、遠心分離機に供し、上清をLC-UV法にて測定し該剥離促進剤の濃度を算出する方法にて測定する。
また、剥離促進剤の好ましい実施態様としては、フェノール性水酸基を有する化合物をtert-ブトキシカルボニル(Boc)基で保護した化合物が挙げられる。
本発明で使用する剥離促進剤として、例えば、食品添加物としても使用し得るバニリンをtert-ブトキシカルボニル(Boc)基で保護した下記式(1)で表される化合物を用いることもできる。
Figure 2022183764000001
<<有機溶剤>>
有機溶剤としては特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。また水混和性有機溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系の各種有機溶剤が挙げられる。これらを単独または2種以上を混合しても用いることができる。
エステル系有機溶剤としては易蒸発性に起因する本発明の有機溶剤系組成物の半乾きを防ぐ観点から炭素原子数5以上のエステル系有機溶剤を含有することがより好ましい。炭素原子数5以上のエステル系有機溶剤としては限定されないが、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチルがさらに好ましく、酢酸ノルマルプロピルが特に好ましい。
本発明の有機溶剤系組成物に対するエステル系有機溶剤の含有量としては1質量%以上が好ましく、3質量%以上が好ましく、5質量%以上が好ましく7質量%以上が好ましく、10質量%以上が好ましく、12質量%以上が好ましく、15質量%以上が好ましく、18質量%以上が好ましく、20質量%以上が好ましい。また35質量%以下が好ましく、32質量%以下が好ましく、30質量%以下が好ましく、28質量%以下が好ましく、25質量%以下が好ましく23質量%以下が好ましい。
本発明の有機溶剤系組成物に対するエステル系有機溶剤の含有量としては1~35質量%が好ましく、3~35質量%が好ましく、5~32質量%が好ましく、7~32質量%が好ましく、10~30質量%が好ましく、12~30質量%が好ましく、15~28質量%が好ましく、18~28質量%が好ましく、20~25質量%が好ましく、20~23質量%が好ましい。
本発明の有機溶剤系組成物をグラビアインキ用途として使用する場合、芳香族炭化水素系有機溶剤を含有せず、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした際の比蒸発速度が100以下であるアルコールを含有することが好ましい。比蒸発速度が100以下であるアルコールを含有することで、網点面積10%以下のハイライト転移性の維持、及びハイライト向上が保持できる。そのメカニズムは以下の2点が挙げられ、まず第一に、
1)本発明の有機溶剤系組成物が基材に転移後、半分の本発明の有機溶剤系組成物がグラビア版のセル内に残る。
2)その残った本発明の有機溶剤系組成物は再びインキパン内の本発明の有機溶剤系組成物に接するまで含有する溶剤が揮発し、半乾き状態になる。更に蒸発速度が速い溶剤から揮発する為、揮発速度が遅い溶剤がインキパン内に残る。
3)この際に、樹脂溶解性が高い溶剤が残っていると、その半乾き組成物が再び本発明の有機溶剤系組成物に接した際に再溶解し、セル内で本発明の有機溶剤系組成物が固まることを防止する。
酢酸ブチルの蒸発速度を100とした際の比蒸発速度が100を超える汎用的なアルコールでは揮発速度が速いため、上記の様なメカニズムは機能することが難しい傾向にある。
第二に、酢酸ブチルの蒸発速度を100とした際の比蒸発速度が100以下であるアルコールは、アルコール1分子内に占める水酸基(アルコール基)の比率が低いことから、ウレタン樹脂の溶解性を高める傾向にある。
なお、印刷時の作業衛生性と包装材料の有害性の両面から、酢酸エチル、酢酸プロピル、イソプロパノール、ノルマルプロパノールなどを使用し、トルエン等の芳香族溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤を使用しないことがより好ましい。
中でもウレタン樹脂、硝化綿への溶解性の観点から、イソプロピルアルコール/酢酸エチル/酢酸ノルマルプロピル/メチルシクロヘキサンの混合液がより好ましい。また、乾燥調整のために組成物全量の10質量%未満であればグリコールエーテル類を添加することも出来る。
<<バインダー樹脂>>
本発明の有機溶剤系組成物は、バインダー樹脂を含有する。
バインダー樹脂としては、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール樹脂、石油樹脂等が挙げられ、これらを適宜組み合わせて使用することができる。中でもウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ロジン系樹脂及びその変性物等を適宜組み合わせて使用することが多い。
基材表側に印刷して皮膜が露出するいわゆる表刷り用途としては、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂、又は(メタ)アクリル樹脂を単独又は組み合わせて使用することが好ましく、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂又はセルロース系樹脂を単独又は組み合わせて使用することがより好ましい。
基材裏側に印刷して接着剤を介してもう一方の基材との間に皮膜が配置されるいわゆる裏刷り用途としては、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂又は(メタ)アクリル樹脂を単独又は組み合わせて使用することが好ましく、ウレタン樹脂を単独又は組み合わせて使用することがより好ましい。
本発明の有機溶剤系組成物におけるウレタン樹脂の含有量は、例えば、グラビア印刷に使用するグラビアインキ用途の場合、グラビアインキの被印刷体への接着性を十分にする観点からインキの総質量に対して固形分換算にて5質量%以上、適度なインキ粘度やインキ製造時・印刷時の作業効率の観点から25質量%以下が好ましく、フレキソ印刷に使用するフレキソインキ用途の場合、フレキソインキの総質量に対して固形分換算にて5質量%以上、30質量%以下であることが好ましい。
本発明の有機溶剤系組成物に用いるウレタン樹脂の数平均分子量は、15,000~100,000の範囲内とすることが好ましい。ウレタン樹脂の数平均分子量が15,000未満の場合には、得られるインキの耐ブロッキング性、ラミネート強度や耐薬品性などが低くなる傾向があり、100,000を超える場合には、得られるインキの粘度が高くなり、所定の印刷濃度が得られない傾向がある。
本発明の有機溶剤系組成物で使用するウレタン樹脂は、その反応原料として、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
ポリエステルポリオールの数平均分子量が3000~7000ものであることが好ましい。ポリエステルポリオールの数平均分子量が3000より小さいと、ウレタン樹脂の皮膜が硬くなる傾向にありポリエステルフィルムへの接着性が低下し易い。数平均分子量が7000より大きい場合、ウレタン樹脂の皮膜が脆弱になる傾向にあり皮膜の耐ブロッキング性が低下し易い。一方で、ポリエステルポリオールはウレタン樹脂100質量部に対して1~50質量部あることが好ましく、ポリエステルポリオールが1質量部未満であると、該ポリウレタン樹脂のケトン、エステル、アルコール系溶剤への溶解性が低下するのに加え、特に高機能バリアーフィルム上での密着性が低下する傾向となる。また皮膜の該溶剤への再溶解性が低下し、印刷物の再現性が低下する傾向となる。また50質量部を超えると、皮膜が過剰に柔らかくなり、耐ブロッキングが劣る傾向と成り易い。
なお、ポリエステルポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
ポリエステルポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有する化合物と多塩基酸とを公知のエステル化反応により得られるものを用いることができる。
上記水酸基を2個以上有する化合物は、鎖伸長剤として用いるものであり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等のグリコール;2-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-イソプロピル-1,4-ブタンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、3,5-ヘプタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等の分岐構造を有するグリコール;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の脂肪族ポリオール;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等の芳香族ポリオールなどの数平均分子量が50~400の範囲の化合物を用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記多塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、これらの酸の無水物等を用いることができる。これらの多塩基酸は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、ポリエーテルポリオールは、その数平均分子量が100~4000のものであることが好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど公知汎用のものでよく、中ではポリエチレングリコールが好ましい。
ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを上記の範囲で含有することにより、特に基材フィルム上での密着性が大幅に向上し、結果として耐ブロッキング性、ラミネート強度が優れるようになる。
ポリエーテルポリオールの数平均分子量が100より小さいと、ウレタン樹脂の皮膜が硬くなる傾向にありポリエステルフィルムへの接着性が低下し易い。数平均分子量が4000より大きい場合、ウレタン樹脂の皮膜が脆弱になる傾向にあり皮膜の耐ブロッキング性が低下し易い。なお、ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、上記ポリエステルポリオールと同様に、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、同条件で測定することにより求めることができる。
本発明の有機溶剤系組成物におけるウレタン樹脂に使用されるジイソシアネート化合物としては、ウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート;5-イソシアナト-1-(イソシアノメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン;)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス-クロロメチル-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等があげられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明の有機溶剤系組成物におけるウレタン樹脂に使用される鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミンなどの他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
更に、本発明の有機溶剤系組成物に使用されるウレタン樹脂のアミン価は、10.0mgKOH/g以下であることが好ましい。アミン価が10.0mgKOH/gを上回ると耐ブロッキング性が劣る傾向と成り易いのに加え、硬化剤添加後の2液安定性が低下する。耐ブロッキング性、2液安定性を良好に保ちつつ、版カブリ性、接着性及び押出しラミネート強度を保持できる観点から1.0~5.0mgKOH/gの範囲がより好ましく、更に好ましくは1.0~3.5mgKOH/gの範囲である。
(メタ)アクリル樹脂としては、各種の(メタ)アクリレートモノマーと、必要に応じて、その他の重合性不飽和基含有化合物を共重合させて得られる。
(メタ)アクリル樹脂を構成するモノマーは、特に限定されず、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、2-アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルモノマーを使用することができる。
なお、上記「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートのいずれか一方または両方を指し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルのいずれか一方または両方を指す。
上記重合性不飽和基含有化合物としては、上記(メタ)アクリルモノマーの他に、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルスチレン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、エチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、N-ビニルピロリドン等のビニルモノマーを使用することもできる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
また、酸価を有するアクリル樹脂(A1)及び(A2)は、カルボキシル基及びカルボキシル基が塩基性化合物によって中和されたカルボキシレート基からなる群より選ばれる1種以上の親水性基を導入することを目的として(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーを共重合させることで得ることができる。
アクリル樹脂(A1)、及び(A2)は、例えば、重合開始剤の存在下、60℃~150℃の温度領域で各種モノマーを重合させることにより製造することができる。重合の方法は、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。また、重合様式は、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。
<<着色剤>>
本発明の有機溶剤系組成物は、さらに着色剤を含有してもよい。
本発明の有機溶剤系組成物に使用される着色剤としては、一般のインキ、塗料、及び記録剤などに使用されている無機顔料、有機顔料または染料を挙げることができる。
有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また未酸性処理顔料、酸性処理顔料のいずれも使用することができる。以下に有機顔料として好ましいものの具体的な例を挙げる。
黒色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントブラック9、C.I.ピグメントブラック20等が挙げられる。
藍色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー25、C.I.ピグメントブルー26、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー64、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントブルー80などが挙げられる。
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン8、C.I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントグリーン36などが挙げられる。
赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド20、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド43、C.I.ピグメントレッド46、C.I.ピグメントレッド48、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド48:6、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド49:3、C.I.ピグメントレッド52、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド53:2、C.I.ピグメントレッド53:3、C.I.ピグメントレッド54、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58、C.I.ピグメントレッド58:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:3、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド63:3、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド89、C.I.ピグメントレッド95、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド119、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド136、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド147、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド164、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド181、C.I.ピグメントレッド182、C.I.ピグメントレッド183、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド200、
C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド210、C.I.ピグメントレッド211、C.I.ピグメントレッド213、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド223、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド237、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド239、C.I.ピグメントレッド240、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド247、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド251、C.I.ピグメントレッド253、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド256、C.I.ピグメントレッド257、C.I.ピグメントレッド258、C.I.ピグメントレッド260、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド263、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド266、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド271、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド279、などが挙げられる。
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット5:1、C.I.ピグメントバイオレット13、C.I.ピグメントバイオレット19(γ型、β型)、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット25、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット31、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット38、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントバイオレット50、などが挙げられる。
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー42、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメント、イエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185およびC.I.ピグメントイエロー213等が挙げられる。
橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ37、C.I.ピグメントオオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントレンジ55、C.I.ピグメントオレンジ59、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、又はC.I.ピグメントオレンジ74などが挙げられる。
茶色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、又はC.I.ピグメントブラウン26などが挙げられる。
中でも、好ましい顔料として、黒色顔料としてC.I.ピグメントブラック7、藍色顔料としてC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン7、赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、紫色顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、橙色顔料としてC.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも一種または二種以上を使用することが好ましい。
無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ、アルミニウム、マイカ(雲母)、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカなどが挙げられる。また、ガラスフレークまたは塊状フレークを母材とした上に金属、もしくは金属酸化物をコートした光輝性顔料(メタシャイン;日本板硝子株式会社)を使用できる。墨インキにはカーボンブラック、白インキには酸化チタン、金、銀インキにはアルミニウム、パールインキにはマイカ(雲母)を使用することがコストや着色力の点から好ましい。
顔料の合計含有率は、本発明の有機溶剤系組成物の濃度、着色力を確保する観点から、本発明の有機溶剤系組成物の総量中、好ましくは1質量%以上であり、好ましくは60質量%以下である。
<<その他成分>>
本発明の有機溶剤系組成物は、さらに助剤、酸性添加物等のその他の成分を含んでいてもよい。
助剤としては、耐摩擦性、滑り性等を付与するためのパラフィン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、カルナバワックス等のワックス;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等の脂肪酸アミド化合物;印刷時の発泡を抑制するためのシリコン系、非シリコン系消泡剤;分散剤等を適宜使用することができる。分散剤としては、ノニオン系分散剤が好ましい。
分散剤の酸価は、30mgKOH/g以下が好ましく、25mgKOH/g以下がより好ましく、20mgKOH/g以下がさらに好ましい。また例えば1mgKOH/g以上、さらには3mgKOH/g以上であってもよい。
分散剤の含有量は、上記着色剤100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がより好ましく、20質量部以上がよりに好ましく、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、75質量部以下がより好ましく、70質量部以下がより好ましく、65質量部以下がより好ましく、60質量部以下がより好ましい。
<<<酸性添加物>>>
前記酸性添加物としては、例えば有機酸又は酸性基を有する樹脂を用いることができる。
前記酸性添加物の酸価は1mgKOH/g以上が好ましく、3mgKOH/g以上がより好ましく、5mgKOH/g以上がより好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、40mgKOH/g以上がより好ましく、50mgKOH/g以上がより好ましい。また前記酸価は900mgKOH/g以下が好ましく、850mgKOH/g以下がより好ましく、800mgKOH/g以下がより好ましく、750mgKOH/g以下がより好ましく、700mgKOH/g以下がより好ましく、650mgKOH/g以下がより好ましく、600mgKOH/g以下がより好ましく、550mgKOH/g以下がより好ましい。上記範囲とすることで、溶液脱離性と基材との密着性を両立することができる。
また溶液での脱離性を重視した場合、50mgKOH/g以上が好ましく、100mgKOH/g以上がより好ましく、200mgKOH/g以上がより好ましく、300mgKOH/g以上がより好ましく、400mgKOH/g以上がより好ましく、500mgKOH/g以上がより好ましく、550mgKOH/g以上が特に好ましい。基材との密着性を重視した場合、550mgKOH/g以下が好ましく、500mgKOH/g以下がより好ましく、400mgKOH/g以下がより好ましく、300mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下がより好ましい。
溶液脱離性と基材との密着性を共に重視した場合、酸価の範囲としては1~900mgKOH/gが好ましく、3~850mgKOH/gがより好ましく、5~800mgKOH/gがより好ましく、10~750mgKOH/gがより好ましく、20~700mgKOH/gがより好ましく、30~650mgKOH/gがより好ましく、40~600mgKOH/gがより好ましく、50~550mgKOH/gがより好ましい。
また溶液での脱離性を重視した場合、50~900mgKOH/gが好ましく、65~900mgKOH/gが好ましく、80~900mgKOH/gが好ましく、100~900mgKOH/gがより好ましく、200~900mgKOH/gがより好ましく、300~900mgKOH/gがより好ましく、400~900mgKOH/gがより好ましく、500~900mgKOH/gがより好ましく、550~900mgKOH/gがより好ましい。また基材との密着性を重視した場合、1~550mgKOH/gが好ましく、1~500mgKOH/gがより好ましく、1~400mgKOH/gがより好ましく、1~300mgKOH/gがより好ましく、1~200mgKOH/gがより好ましい。
酸性添加物の分子量は溶液脱離性と基材との密着性を両立する場合、50以上が好ましく、60以上が好ましく、80以上が好ましく、100以上が好ましく、150以上が好ましく、200以上が好ましく、250以上が好ましく、300以上が好ましい。また2000以下が好ましく、1800以下が好ましく、1500以下が好ましく1200以下が好ましく、1000以下が好ましい。分子量の範囲としては、50~2000が好ましく、50~1800が好ましく、50~1500が好ましく、60~1500が好ましく、80~1500が好ましく、100~1500が好ましく、150~1500が好ましく、200~1500が好ましく、250~1500が好ましく、300~1500が好ましく、300~1200が好ましく、300~1000が好ましい。
前記有機酸は酸性基を有する低分子有機化合物を指す。酸性基を有する低分子化合物としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ酸、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、オキソカルボン酸、カルボン酸誘導体等が好ましく挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。
飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸などが挙げられ、不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸などが挙げられ、ヒドロキシ酸としては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などが挙げられ、芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸などが挙げられ、ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸、などが挙げられ、トリカルボン酸としてはアコニット酸、トリマー酸などが挙げられ、オキソカルボン酸としては、ピルビン酸、オキサロ酢酸などが挙げられ、カルボン酸誘導体としては、アミノ酸、ニトロカルボン酸が挙げられ、これらを単数あるいは複数混合して使用することができる。またクエン酸、酪酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、セバシン酸等であればいわゆるスイス条例(Swiss Ordinance)に対応でき、各種規制に対応する物質の使用が好ましい。
前記有機酸の酸価は1mgKOH/g以上が好ましく、3mgKOH/g以上がより好ましく、5mgKOH/g以上がより好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、40mgKOH/g以上がより好ましく、50mgKOH/g以上がより好ましく、60mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましく、80mgKOH/g以上がより好ましく、90mgKOH/g以上がより好ましく100mgKOH/g以上が特に好ましい。また前記酸価は900mgKOH/g以下が好ましく、850mgKOH/g以下がより好ましく、800mgKOH/g以下がより好ましく、750mgKOH/g以下がより好ましく、700mgKOH/g以下がより好ましく、650mgKOH/g以下がより好ましく、600mgKOH/g以下がより好ましく、550mgKOH/g以下がより好ましい。上記範囲とすることで、溶液脱離性と基材との密着性を両立することができる。
また溶液での脱離性を重視した場合100mgKOH/g以上が好ましく、150mgKOH/g以上がより好ましく、200mgKOH/g以上がより好ましく、250mgKOH/g以上がより好ましく、300mgKOH/g以上がより好ましく、350mgKOH/g以上がより好ましく、400mgKOH/g以上がより好ましく、450mgKOH/g以上がより好ましく、500mgKOH/g以上がより好ましく、550mgKOH/g以上がより好ましい。基材との密着性を重視した場合、550mgKOH/g以下が好ましく、500mgKOH/g以下がより好ましく、400mgKOH/g以下がより好ましく、300mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下がより好ましい。
溶液脱離性と基材との密着性を共に重視した場合、酸価の範囲としては1~900mgKOH/gが好ましく、3~850mgKOH/gがより好ましく、10~800mgKOH/gがより好ましく、20~750mgKOH/gがより好ましく、30~700mgKOH/gがより好ましく、50~650mgKOH/gがより好ましく、80~600mgKOH/gがより好ましく、100~550mgKOH/gがより好ましい。また溶液での脱離性を重視した場合、100~900mgKOH/gが好ましく、150~900mgKOH/gがより好ましく、200~900mgKOH/gがより好ましく、250~900mgKOH/gがより好ましく、300~900mgKOH/gがより好ましく、350~900mgKOH/gがより好ましく、400~900mgKOH/gがより好ましく、450~900mgKOH/gがより好ましく、500~900mgKOH/gがより好ましく、550~900mgKOH/gがより好ましい。また基材との密着性を重視した場合、1~550mgKOH/gが好ましく、1~500mgKOH/gがより好ましく、1~400mgKOH/gがより好ましく、1~300mgKOH/gがより好ましく、1~200mgKOH/gがより好ましい。
前記有機酸の炭素原子数は3以上が好ましく、4以上が好ましく、5以上が好ましく、6以上が好ましく、7以上が好ましく、8以上が好ましい。前記有機酸の炭素原子数を上記範囲とすることにより、基材との密着性を高めることができる。また前記有機酸の炭素原子数は、20以下が好ましく、18以下が好ましく、16以下が好ましい。前記有機酸の炭素原子数を上記範囲とすることにより、水性媒体との分散性を高めることができる。前記有機酸の炭素原子数の範囲としては3~20が好ましく、3~18が好ましく、4~18が好ましく、5~18が好ましく、6~18が好ましく、6~16が好ましく、7~16が好ましく、8~16が好ましい。
前記有機酸の25℃100gの水に対する溶解度は基材からの脱離性及び皮膜の耐水性を重視した場合、2g未満が好ましく、1.8g未満がより好ましく、1.5g未満がさらに好ましく、1.2g未満が特に好ましい。
前記酸性基を有する樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂(ポリウレタン、ポリウレア又はポリウレタンポリウレアを含む。以下同じ。)、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール樹脂、石油樹脂等の酸価を有する樹脂や、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸あるいはこれらの酸無水物等のカルボキシル基を有する重合性モノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー等の、酸性基を有する重合性モノマーを共重合させた、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(無水)マレイン酸樹脂、テルペン-(無水)マレイン酸樹脂等のラジカル共重合体である樹脂や、酸変性されたポリオレフィン樹脂等が挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。前記酸性基を有する樹脂としてはウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂等の酸価を有する樹脂、スチレン-(無水)マレイン酸樹脂がより好ましい。
前記酸性基を有する樹脂の酸価は1mgKOH/g以上が好ましく、3mgKOH/g以上がより好ましく、5mgKOH/g以上がより好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、40mgKOH/g以上がより好ましく、50mgKOH/g以上が特に好ましい。また前記酸価は300mgKOH/g以下が好ましく、280mgKOH/g以下がより好ましく、260mgKOH/g以下がより好ましく、240mgKOH/g以下がより好ましく、220mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下がより好ましい。上記範囲とすることで、溶液脱離性と基材との密着性を両立することができる。
また溶液での脱離性を重視した場合、50mgKOH/g以上が好ましく、60mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましく、80mgKOH/g以上がより好ましく、90mgKOH/g以上がより好ましく、100mgKOH/g以上が特に好ましい。基材との密着性を重視した場合、200mgKOH/g以下が好ましく、180mgKOH/g以下がより好ましく、160mgKOH/g以下がより好ましく、140mgKOH/g以下がより好ましく、120mgKOH/g以下がより好ましく、100mgKOH/g以下がより好ましい。溶液脱離性と基材との密着性を共に重視した場合、酸価の範囲としては1~300mgKOH/gが好ましく、3~300mgKOH/gが好ましく、5~280mgKOH/gが好ましく、10~260mgKOH/gがより好ましく、20~240mgKOH/gがより好ましく、30~220mgKOH/gがより好ましく、40~200mgKOH/gがより好ましく、50~200mgKOH/gがより好ましい。
また溶液での脱離性を重視した場合、50~300mgKOH/gが好ましく、60~300mgKOH/gがより好ましく、70~300mgKOH/gがより好ましく、80~300mgKOH/gがより好ましく、90~300mgKOH/gがより好ましく、100~300mgKOH/gがより好ましい。また基材との密着性を重視した場合、1~200mgKOH/gが好ましく、1~180mgKOH/gがより好ましく、1~160mgKOH/gがより好ましく、1~140mgKOH/gがより好ましく、1~120mgKOH/gがより好ましく、1~100mgKOH/gがより好ましい。
前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量は、前記酸性基を有する樹脂がウレタン樹脂の場合、500以上が好ましく、1000以上がより好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上がより好ましく、4000以上がより好ましく、5000以上がより好ましく、6000以上がより好ましく、7000以上がより好ましく、8000以上がより好ましく、10000以上がより好ましい。前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、基材への密着性と溶液での脱離性のバランスをとることができる。
また、前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量は、前記酸性基を有する樹脂がウレタン樹脂の場合、100000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、40000以下がより好ましく、30000以下がより好ましく、25000以下がより好ましく、20000以下がより好ましく、18000以下がより好ましい。前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、本発明の有機溶剤系組成物を低粘度化でき、さらに基材への密着性と溶液での脱離性のバランスをとることができる。
前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量の範囲としては、前記酸性基を有する樹脂がウレタン樹脂の場合、500~100000が好ましく、1000~50000がより好ましく、2000~50000がより好ましく、3000~50000がより好ましく、4000~50000がより好ましく、5000~40000がより好ましく、5000~30000がより好ましく、6000~30000がより好ましく、6000~25000がより好ましく、7000~25000がより好ましく、7000~20000がより好ましく、8000~20000がより好ましく、10000~20000がより好ましく、10000~18000がより好ましい。前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、印刷適性を高めることができる。
前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量は、前記酸性基を有する樹脂が(メタ)アクリル樹脂の場合、1000以上が好ましく、3000以上がより好ましく、5000以上がより好ましく、10000以上がより好ましく、20000以上がより好ましく、50000以上がより好ましく、100000以上がより好ましい。前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、基材への密着性と溶液での脱離性のバランスをとることができる。
また前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量は、前記酸性基を有する樹脂が(メタ)アクリル樹脂の場合、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましく、200000以下がより好ましい。前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、本発明の有機溶剤系組成物を低粘度化でき、さらに基材への密着性と溶液での脱離性のバランスをとることができる。
前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量の範囲としては、前記酸性基を有する樹脂が(メタ)アクリル樹脂の場合、3000~1000000が好ましく、5000~500000がより好ましく、10000~200000がより好ましく、20000~100000がより好ましい。前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、印刷適性を高めることができる。
前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量は、前記酸性基を有する樹脂がロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂等の酸価を有する樹脂の場合、500以上が好ましく、700以上がより好ましく、1000以上がより好ましい。前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、基材への密着性と溶液での脱離性のバランスをとることができる。
また前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量は、前記酸性基を有する樹脂がロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂等の酸価を有する樹脂の場合、50000以下が好ましく、30000以下がより好ましく、10000以下がより好ましく、5000以下がより好ましく、2000以下がより好ましい。前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、インキを低粘度化でき、さらに基材への密着性と溶液での脱離性のバランスをとることができる。
前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量の範囲としては、前記酸性基を有する樹脂がロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂等の酸価を有する樹脂の場合、500~50000が好ましく、700~520000がより好ましく1000~10000がより好ましく、1000~5000がより好ましい。前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、印刷適性を高めることができる。
前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量は、前記酸性基を有する樹脂がスチレン-(無水)マレイン酸樹脂の場合、500以上が好ましく、700以上がより好ましく、1000以上がより好ましい。前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、基材への密着性と溶液での脱離性のバランスをとることができる。
また前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量は、前記酸性基を有する樹脂がスチレン-(無水)マレイン酸樹脂の場合、100000以下が好ましく、70000以下がより好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下がより好ましい。前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、本発明の有機溶剤系組成物を低粘度化でき、さらに基材への密着性と溶液での脱離性のバランスをとることができる。
前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量の範囲としては、前記酸性基を有する樹脂がスチレン-(無水)マレイン酸樹脂の場合、500~100000が好ましく、700~30000がより好ましく、1000~50000がより好ましく、1000~30000がより好ましい。前記酸性基を有する樹脂の重量平均分子量を上記範囲とすることで、印刷適性を高めることができる。
酸性添加物の固形分としての含有率は、本発明の有機溶剤系組成物の再溶解性、印刷物のブロッキングの抑制、印刷濃度の向上、及び基材への密着性観点から、本発明の有機溶剤系組成物中、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上がより好ましく、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がより好ましい。上記酸性添加物の固形分としての含有率の範囲としては、0.1~60質量%が好ましく、0.5~55質量%がより好ましく、1~50質量%がより好ましく、1.5~45質量%がより好ましく、2~40質量%がより好ましい。
前記酸性添加物が有機酸である場合、有機酸の固形分としての含有率は、本発明の有機溶剤系組成物中、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上がより好ましく、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、16質量%以下がより好ましく、14質量%以下がより好ましく、12質量%以下がより好ましく、10質量%以下がより好ましい。上記有機酸の固形分としての含有率の範囲としては、0.1~20質量%が好ましく、0.2~18質量%がより好ましく、0.3~16質量%がより好ましく、0.5~14質量%がより好ましく、1~12質量%がより好ましく、1.5~10質量%がより好ましく、2~10質量%がより好ましい。
前記酸性添加物が酸性基を有する樹脂である場合、酸性基を有する樹脂の固形分としての含有率は、本発明の有機溶剤系組成物中、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上がより好ましく、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がより好ましい。上記酸性添加物の固形分としての含有率の範囲としては、0.1~60質量%が好ましく、0.5~55質量%がより好ましく、1~50質量%がより好ましく、1.5~45質量%がより好ましく、2~40質量%がより好ましい。
また上記以外にも必要に応じて水、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、帯電防止剤、粘度調整剤、金属キレート、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、イソシアネート系硬化剤、シランカップリング剤も使用できる。本発明の有機溶剤系組成物の粘度は、離合社製ザーンカップ#4を使用して25℃において測定した数値として、6秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、13秒以上がさらに好ましい。また25秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましく、18秒以下がさらに好ましい。
本発明の有機溶剤系組成物の表面張力は、25mN/m以上が好ましく、33mN/m以上がより好ましい。また50mN/m以下が好ましく、43mN/以下がより好ましい。本発明の有機溶剤系組成物の表面張力を適度に高めることで、基材への本発明の有機溶剤系組成物の濡れ性を維持しつつ、ドットブリッジ(中間調の網点部分で隣り合う網点同士が繋がった印刷面の汚れ)を抑制することができ、本発明の有機溶剤系組成物の表面張力を適度に低くすることで、基材への本発明の有機溶剤系組成物の濡れ性を高め、ハジキを抑制することができる。
本発明の有機溶剤系組成物は、グラビア印刷又はフレキソ印刷用途として用いる場合、グラビア又はフレキソインキの製造に一般的に使用されているアイガーミル、サンドミル、ガンマミル、アトライター等を用いて製造することができる。
本発明の有機溶剤系組成物を調製する際、均一性の観点から、予めバインダー樹脂の少なくとも一部と、着色剤と、有機溶剤の少なくとも一部を混合して、予備組成物(練肉ベースインキ)を調製してもよい。
<<有機溶剤系組成物中の剥離促進剤の含有割合>>
有機溶剤系組成物中における剥離促進剤の含有割合としては、脱離促進に寄与するという観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。一方、密着性という観点からは、多すぎても問題が生じるため、有機溶剤系組成物中における剥離促進剤の含有割合としては、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
<水系組成物>
本発明の皮膜形成用組成物である水系組成物は、溶液での処理により脱離する印刷層を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するために用いられる。 水系組成物は、剥離促進剤を含有する。
また、水系組成物は、剥離促進剤の他、水性媒体、バインダー樹脂を含有し、必要に応じて着色剤やその他の成分を含有する。
<<剥離促進剤>>
水系組成物に含有される剥離促進剤は、上記<有機溶剤系組成物>の<<剥離促進剤>>の欄で記載したと同様の剥離促進剤を用いることができる。
<<水性媒体>>
水性媒体としては、水、親水性有機溶剤、水及び親水性有機溶剤の混合物等が挙げられ、安全性や環境に対する負荷の観点から、水または水及び親水性有機溶剤の混合物が好ましく水であることがより好ましい。
親水性有機溶剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、水と混和するものであることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール及び2-プロパノール等の1価アルコール溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコール溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチルカルビトール等のエーテル溶剤;N-メチル-2-ピロリドン等のアミド溶剤などが挙げられ、好ましくは1価アルコール、なかでも、2-プロパノールが最も好ましい。
水性媒体が水及び親水性有機溶剤を含む場合、水の含有率は、水性媒体中、70質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましいが、例えば100質量%以下、さらには95質量%以下であることも許容される。
<<バインダー樹脂>>
バインダー樹脂としては、硝化綿等のセルロース系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ロジン系樹脂及びその変性物、ケトン樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられ、これらを適宜組み合わせて使用することができる。中でもウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ロジン系樹脂及びその変性物等を適宜組み合わせて使用することが多い。バインダー樹脂は予め水性媒体に分散させておいてもよい。その際、必要に応じて乳化剤を使用してもよい。また、水溶解や水分散の際には、必要に応じてホモジナイザー等の機械を使用してもよい。
なかでも、バインダー樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、アクリル樹脂、セルロース誘導体、アクリル酸エステル系重合体エマルジョン及びポリエステル系ウレタンディスパージョンを使用することが、入手しやすく好ましい。
<<着色剤>>
水系組成物に含有される着色剤は、上記<有機溶剤系組成物>の<<着色剤>>の欄で記載したと同様の着色剤を用いることができる。
なお、顔料の合計含有率は、本発明の水系組成物の濃度、着色力を確保する観点から、本発明の水系組成物の総量中、好ましくは1質量%以上であり、好ましくは60質量%以下である。
<<その他の成分>>
また本発明の水系組成物は、さらに塩基性化合物、有機溶剤(上記水性媒体を除く)、又は助剤等を含んでいてもよい。
塩基性化合物としては、塩基性金属化合物及び有機アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
塩基性金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;塩化ナトリウム、塩化カリウム等の金属塩化物;硫酸銅等の金属硫酸塩などが挙げられる。
アミンとしては、アンモニア;モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等の第1級アミン;ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の第2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン;エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン;モルホリン等の環状アミンなどが挙げられる。
塩基性化合物は、少なくともアミンを含むことが好ましく、少なくともアンモニアを含むことがより好ましい。
有機溶剤としては、例えば芳香族有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤が挙げられる。また水性溶剤であれば、水を主成分として水溶性のアルコール系溶剤等を混合した溶剤が挙げられる。
環境面の実態からはアルコール系溶剤もしくはエステル系溶剤の混合系が最も適している。この溶剤中に水が含まれていてもよい。アルコール系溶剤には、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコールが含まれることが最もよく、エステル系溶剤には、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピルが含まれることが最もよい、アルコール系のみ、エステル系のみの単一系の溶剤も可能で、更に単一溶剤でのインキも可能である。
助剤としては、耐摩擦性、滑り性等を付与するためのパラフィン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、カルナバワックス等のワックス;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等の脂肪酸アミド化合物;印刷時の発泡を抑制するためのシリコン系、非シリコン系消泡剤;分散剤等を適宜使用することもできる。分散剤としては、ノニオン系分散剤が好ましい。
また上記以外にも必要に応じて湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、帯電防止剤、粘度調整剤、金属キレート、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、イソシアネート系硬化剤、シランカップリング剤も使用できる。
水系組成物の粘度は、離合社製ザーンカップ#4を使用して25℃において測定した数値として、6秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、13秒以上がさらに好ましい。また25秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましく、18秒以下がさらに好ましい。
水系組成物の表面張力は、25mN/m以上が好ましく、33mN/m以上がより好ましい。また50mN/m以下が好ましく、43mN/以下がより好ましい。インキの表面張力を適度に高めることで、基材へのインキの濡れ性を維持しつつ、ドットブリッジ(中間調の網点部分で隣り合う網点同士が繋がった印刷面の汚れ)を抑制することができ、インキの表面張力を適度に低くすることで、基材へのインキの濡れ性を高め、ハジキを抑制することができる。
本発明の水系組成物は、グラビア、フレキソ印刷インキの製造に一般的に使用されているアイガーミル、サンドミル、ガンマミル、アトライター等を用いて製造することができる。
本発明の水系組成物を調製する際、均一性の観点から、予めバインダー樹脂の少なくとも一部と、無機粒子Aと、着色剤と、水性媒体の少なくとも一部を混合して、予備組成物(練肉ベースインキ)を調製してもよい。
<<水系組成物中の剥離促進剤の含有割合>>
水系組成物中における剥離促進剤の含有割合としては、脱離促進に寄与するという観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。一方、密着性という観点からは、多すぎても問題が生じるため、有機溶剤系組成物中における剥離促進剤の含有割合としては、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
<UV組成物>
本発明の皮膜形成用組成物であるUV組成物は、溶液での処理により脱離する印刷層を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するために用いられる。 UV組成物は、剥離促進剤を含有する。
また、UV組成物は、剥離促進剤の他、バインダー樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー、光重合開始剤を含有し、必要に応じて着色剤やその他の成分を含有する。
<<剥離促進剤>>
水系組成物に含有される剥離促進剤は、上記<有機溶剤系組成物>の<<剥離促進剤>>の欄で記載したと同様の剥離促進剤を用いることができる。
<<バインダー樹脂>>
バインダー樹脂としては、公知公用の各種バインダー樹脂を利用することができる。ここで述べるバインダー樹脂とは、適切な顔料親和性と分散性を有し、印刷インキに要求されるレオロジー特性を有する樹脂全般を示しており、例えば非反応性樹脂としては、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、石油樹脂、ロジンエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、セルロース誘導体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアマイド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブタジエン-アクリルニトリル共重合体等を挙げることができ、また分子中に少なくとも1つ以上の重合性基を有するエポキシアクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物、ポリエステルアクリレート化合物等を使用することもでき、これらバインダー樹脂は、単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。
<<エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー>>
UV組成物で使用する活性エネルギー線硬化性モノマー及び/又はオリゴマーは、活性エネルギー線硬化性技術分野で使用されるモノマー及び又はオリゴマーであれば特に限定なく使用することができる。特に反応基として(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基等を有するものが好ましい。また反応基数や分子量にも特に限定はなく、反応基数の多いものほど反応性は高いが粘度や結晶性が高くなる傾向にあり、また分子量が高いものほど粘度が高くなる傾向にあることから、所望の物性に応じて適宜組み合わせて使用することができる。例えばUV-LEDのような低エネルギー照射で好適に硬化させるという点では、より反応性の高い3官能以上の活性エネルギー線硬化性モノマーを組み合わせ、用途に応じて印刷基材への接着性、皮膜の柔軟性等の必要物性を得る為に、適宜単官能、2官能のモノマーを単独もしくは併用することが好ましい。
具体的には例えば、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、重合性オリゴマー等の、ランプ方式で実績のあるものが、本発明においても使用することが可能である。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合性オリゴマーとしては、アミン変性ポリエーテルアクリレート、アミン変性エポキシアクリレート、アミン変性脂肪族アクリレート、アミン変性ポリエステルアクリレート、アミノ(メタ)アクリレートなどのアミン変性アクリレート、チオール変性ポリエステルアクリレート、チオール(メタ)アクリレートなどのチオール変性アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオレフィン(メタ)アクリレート、ポリスチレン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また活性エネルギー線硬化性モノマー及び又はオリゴマーとして、4官能以上の(メタ)アクリレートは、上質紙、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙等の紙への印刷用途において、硬化性や強度の向上に大きく寄与するため使用することが好ましく、インキ固形分全量に対し15~70質量%の範囲で使用することが好ましい。一方、プラスチックへの印刷用途においては、硬化塗膜の架橋密度が上昇するに従って、基材と硬化塗膜との密着性が減少するため、4官能以上の(メタ)アクリレートの含有量を適宜減少させる必要がある。この場合、4官能以上の(メタ)アクリレートはインキ固形分全量に対し0~50質量%の範囲で使用することが好ましい。
<<光重合開始剤>>
使用する紫外線光源の種類、紫外線光源の照射強度、紫外線の照射積算光量、色、印刷膜厚、衛生性などを鑑みて、適宜、汎用の光重合開始剤を含有させることができる。
一例を挙げると、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、フェニル グリオキシリック アシッド メチル エステル、オキシフェニル酢酸、2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ピペリジノフェニル)-ブタン-1-オン、1-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-メチル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-(4-モルフォリニル-1-プロパノンなどの化合物が挙げられる。
また、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、エチル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート等のアシルフォスフィンオキサイド化合物が挙げられる。
また、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-ジイソプロピルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9Hチオキサントン-2-イロキシ-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミン塩酸塩等のチオキサントン化合物が挙げられる。
また、4,4’-ビス-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の4,4’-ジアルキルアミノベンゾフェノン類、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド等のベンゾフェノン化合物が挙げられる。
それ以外には、例えばベンゾフェノン、4-メチル-ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、2,3,4-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(1,3-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、〔4-(メチルフェニルチオ)フェニル〕フェニルメタノン、ジエトキシアセトフェノン、ジブトキシアセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテルなどが挙げられる。
<<着色剤>>
UV組成物に含有される着色剤は、上記<有機溶剤系組成物>の<<着色剤>>の欄で記載したと同様の着色剤を用いることができる。
なお、顔料の合計含有率は、本発明のUV組成物の濃度、着色力を確保する観点から、本発明のUV組成物の総量中、好ましくは1質量%以上であり、好ましくは60質量%以下である。
<<その他の成分>>
また本発明のUV組成物は、さらに増感剤、光開始助剤、ワックス、分散剤、重合禁止剤等のその他の添加剤を含んでいてもよい。
光増感剤や三級アミン等の光開始助剤を含有させてもよい。
光増感剤としては、特に限定されないが、チオキサントン系、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、アントラキノン系、クマリン系などが挙げられる。
これらの中でも、特に2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物や、ミヒラーケトン、4,4’-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなど4,4’-ジアルキルアミノベンゾフェノン類が好ましく、性能、安全性や入手しやすさなどの観点から、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4,4’-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが特に好ましい。
い。
その他の添加剤としては、例えば耐摩擦性、ブロッキング防止性、スベリ性、スリキズ防止性を付与する添加剤としては、カルナバワックス、木ろう、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、およびシリコーン化合物などの合成ワックス等を例示することができる。
また例えば、インキの保存安定性を付与する添加剤としては、(アルキルフェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-tert-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等の重合禁止剤が例示される。
<<UV組成物中の剥離促進剤の含有割合>>
UV組成物中における剥離促進剤の含有割合としては、脱離促進に寄与するという観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。一方、密着性という観点からは、多すぎても問題が生じるため、有機溶剤系組成物中における剥離促進剤の含有割合としては、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
なお、本発明と同様に基材から除去される組成物としてレジストインキが挙げられるが、当該レジストインキは一部を残して予め基材から塗膜を除去し、基材を加工することを目的としたものであり、皮膜全体を脱離させ、基材をリサイクルすることを目的とした本発明の皮膜形成用組成物とは根本的に用途・目的が異なるため、本発明の周知技術には該当しない。
本発明の皮膜形成用組成物は、プライマー層を形成するプライマー用組成物として用いることもできる。
<プライマー用組成物>
プライマー層を形成するために本発明の皮膜形成用組成物を用いる場合には、本発明の皮膜形成用組成物であるプライマー用組成物としては、上記剥離促進剤を含有する。
プライマー用組成物としては、剥離促進剤の他、特に限定なく市販流通しているプライマーを用いることができる。
プライマーの一般的な組成としては、バインダー樹脂、有機溶剤や水性溶剤等の溶剤、添加剤等を含む。
バインダー樹脂は、例えば、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール樹脂、石油樹脂等の樹脂や、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸あるいはこれらの酸無水物等のカルボキシル基を有する重合性モノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー等の重合性モノマーを共重合させた、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(無水)マレイン酸樹脂、テルペン-(無水)マレイン酸樹脂等のラジカル共重合体である樹脂や、酸変性されたポリオレフィン樹脂等が挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。
溶剤は、有機溶剤又は水であればよく、例えば、上記<有機溶剤系組成物>の<<有機溶剤>>又は<水系組成物>の<<水性媒体>>の欄で説明したものと同様の有機溶剤又は水を用いることができる。
添加剤としては、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、ブロッキング防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤等があげられる。
プライマー層に、上記剥離促進剤を含有させる場合は、その添加量はプライマー層の特性を損なわない範囲において適宜決定すればよいが、例えば、プライマー層用組成物の総質量に対して、0.1~10質量%の範囲であることが好ましい。
また、酸性基を有する樹脂や低分子化合物が添加されたプライマーも好ましく使用することができる。酸性基を有する樹脂や低分子化合物としては、プライマーの主成分である上記剥離促進剤や有機溶剤等と容易に混合できれば特に限定なく使用することができる。
酸性基を有する樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール樹脂、石油樹脂等に酸価を付与した樹脂や、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸あるいはこれらの酸無水物等のカルボキシル基を有する重合性モノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー等の、酸性基を有する重合性モノマーを共重合させた、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(無水)マレイン酸樹脂、テルペン-(無水)マレイン酸樹脂等のラジカル共重合体である樹脂や、酸変性されたポリオレフィン樹脂等(前記バインダー樹脂を除く)が挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。
酸性基を有する低分子化合物としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ酸、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、オキソカルボン酸、カルボン酸誘導体等の有機酸が好ましく挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。
飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸などが挙げられ、不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸などが挙げられ、ヒドロキシ酸としては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などが挙げられ、芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸などが挙げられ、ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸、などが挙げられ、トリカルボン酸としてはアコニット酸、トリマー酸などが挙げられ、オキソカルボン酸としては、ピルビン酸、オキサロ酢酸などが挙げられ、カルボン酸誘導体としては、アミノ酸、ニトロカルボン酸が挙げられ、これらを単数あるいは複数混合して使用することができる。またクエン酸、酪酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、セバシン酸等であればいわゆるスイス条例(Swiss Ordinance)に対応でき、各種規制に対応する物質の使用が好ましい。
基材上にプライマー層を形成するには、上記の各成分を用いて調整した溶液を基材に塗布し乾燥する。塗布量は、0.1~5μm(乾燥厚さ)程度であるが、0.1未満では均一に塗布することが困難であり、5μmを越えると不経済的であるため実用的ではない。塗布は通常の塗布方法、例えば、グラビア、凸版、フレキソ、ロールコータ、リバースコータ、スプレー方式などが用いられる。プライマー層の形成と、その上への印刷は連続式(インライン)あるいは、プライマー層の形成と印刷とを別々に行っても良い。
本発明の皮膜形成用組成物は、OPV層を形成するOPV用組成物として用いることもできる。
<OPV用組成物>
オーバープリントワニス層(OPV層)を形成するために本発明の皮膜形成用組成物を用いる場合には、本発明の皮膜形成用組成物であるOPV用組成物としては、上記剥離促進剤を含有する。
OPV用組成物としては、剥離促進剤の他、特に限定なく市販流通しているOPVを用いることができる。OPVの一般的な組成としては、バインダー樹脂、有機溶剤や水性溶剤等の溶剤、添加剤等を含む。
バインダー樹脂としては、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール樹脂、石油樹脂等の樹脂や、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸あるいはこれらの酸無水物等のカルボキシル基を有する重合性モノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー等の、酸性基を有する重合性モノマーを共重合させた、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(無水)マレイン酸樹脂、テルペン-(無水)マレイン酸樹脂等のラジカル共重合体である樹脂や、酸変性されたポリオレフィン樹脂等が挙げられ、これらを適宜組み合わせて使用することができる。中でも(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ロジン系樹脂及びその変性物等を適宜組み合わせて使用することが好ましい。
溶剤は、有機溶剤又は水であればよく、例えば、上記<有機溶剤系組成物>の<<有機溶剤>>又は<水系組成物>の<<水性媒体>>の欄で説明したと同様の有機溶剤又は水を用いることができる。
添加剤としては、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、ブロッキング防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤等があげられる。
OPV層に、上記剥離促進剤を含有させる場合は、その添加量はOPV層の特性を損なわない範囲において適宜決定すればよいが、例えば、OPV層用組成物に対して0.1~10質量%の範囲であることが好ましい。
また、酸性基を有する樹脂や低分子化合物が添加されたOPVも好ましく使用することができる。酸性基を有する樹脂や低分子化合物としては、OPVの主成分である上記バインダー樹脂や有機溶剤等と容易に混合できれば特に限定なく使用することができる。
酸性基を有する樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール樹脂、石油樹脂等に酸価を付与した樹脂や、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸あるいはこれらの酸無水物等のカルボキシル基を有する重合性モノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー等の、酸性基を有する重合性モノマーを共重合させた、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(無水)マレイン酸樹脂、テルペン-(無水)マレイン酸樹脂等のラジカル共重合体である樹脂や、酸変性されたポリオレフィン樹脂等(前記バインダー樹脂を除く)が挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。
酸性基を有する低分子化合物としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ酸、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、オキソカルボン酸、カルボン酸誘導体等の有機酸が好ましく挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。
飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸などが挙げられ、不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸などが挙げられ、ヒドロキシ酸としては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などが挙げられ、芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸などが挙げられ、ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸、などが挙げられ、トリカルボン酸としてはアコニット酸、トリマー酸などが挙げられ、オキソカルボン酸としては、ピルビン酸、オキサロ酢酸などが挙げられ、カルボン酸誘導体としては、アミノ酸、ニトロカルボン酸が挙げられ、これらを単数あるいは複数混合して使用することができる。またクエン酸、酪酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、セバシン酸等であればいわゆるスイス条例(Swiss Ordinance)に対応でき、各種規制に対応する物質の使用が好ましい。
(基材への印刷)
本発明の皮膜形成用組成物は、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、布、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である一方で、版を使用せずインクジェットノズルからインキを吐出するインクジェット方式向けに使用することもできるが、あまり好ましくない。即ち、インクジェットインキの場合、ノズルから吐出したインク滴が、直接基材に密着し印刷物を形成するのに対し、本発明の皮膜形成用組成物は、印刷インキを一旦印刷版又は印刷パターンに密着・転写した後、インキのみを再度基材に密着させ、必要に応じて乾燥させ印刷物とするものである。
本発明の皮膜形成用組成物を用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。
(印刷物及び積層体)
本発明の皮膜形成用組成物を基材Aの表面に直接又は他の層を介して印刷することで皮膜を有する印刷物を得ることができる。印刷物の皮膜側に基材Bを配置する形で積層することで積層体を得ることができる。積層体は印刷物の皮膜と基材Bとが接着剤層を介して積層されていても良い。
本発明の皮膜形成用組成物を用いて印刷された印刷物及び当該印刷物を用いて構成された積層体の実施形態としては、限定されるわけではないが、例えば、下記態様が好ましく挙げられる。
上述したとおり、基材Aの表面に直接又は他の層を介して皮膜を形成する態様としては、以下のとおりである。
<表刷り>
・基材A-印刷層(白)-印刷層(カラー)
・基材A-プライマー層-印刷層(白)-印刷層(カラー)
・基材A-印刷層(白)-印刷層(カラー)-OPV層
・基材A-プライマー層-印刷層(白)-印刷層(カラー)-OPV層
・基材A-印刷層(カラー)-印刷層(白)
・基材A-プライマー層-印刷層(カラー)-印刷層(白)
・基材A-印刷層(カラー)-印刷層(白)-OPV層
・基材A-プライマー層-印刷層(カラー)-印刷層(白)-OPV層
基材Aと基材Bとの間に、皮膜を配する態様としては、以下のとおりである。
<裏刷り・ラミネート>
・基材A-印刷層(白)-印刷層(カラー)-接着剤層-基材B
・基材A-プライマー層-印刷層(白)-印刷層(カラー)-接着剤層-基材B
・基材A-印刷層(白)-印刷層(カラー)-OPV層-接着剤層-基材B
・基材A-プライマー層-印刷層(白)-印刷層(カラー)-OPV層-接着剤層-基材B
・基材A-印刷層(カラー)-印刷層(白)-接着剤層-基材B
・基材A-プライマー層-印刷層(カラー)-印刷層(白)-接着剤層-基材B
・基材A-印刷層(カラー)-印刷層(白)-OPV層-接着剤層-基材B
・基材A-プライマー層-印刷層(カラー)-印刷層(白)-OPV層-接着剤層-基材B
・基材A-印刷層(白)-印刷層(カラー)-樹脂C層-基材B
・基材A-プライマー層-印刷層(白)-印刷層(カラー)-樹脂C層-基材B
・基材A-印刷層(白)-印刷層(カラー)-OPV層-樹脂C層-基材B
・基材A-プライマー層-印刷層(白)-印刷層(カラー)-OPV層-樹脂C層-基材B
・基材A-印刷層(カラー)-印刷層(白)-樹脂C層-基材B
・基材A-プライマー層-印刷層(カラー)-印刷層(白)-樹脂C層-基材B
・基材A-印刷層(カラー)-印刷層(白)-OPV層-樹脂C層-基材B
・基材A-プライマー層-印刷層(カラー)-印刷層(白)-OPV層-樹脂C層-基材B
・基材A-印刷層(白)-印刷層(カラー)-基材B
・基材A-プライマー層-印刷層(白)-印刷層(カラー)-基材B
・基材A-印刷層(白)-印刷層(カラー)-OPV層-基材B
・基材A-プライマー層-印刷層(白)-印刷層(カラー)-OPV層-基材B
・基材A-印刷層(カラー)-印刷層(白)-基材B
・基材A-プライマー層-印刷層(カラー)-印刷層(白)-基材B
・基材A-印刷層(カラー)-印刷層(白)-OPV層-基材B
・基材A-プライマー層-印刷層(カラー)-印刷層(白)-OPV層-基材B
・基材A-OPV層
・基材A-印刷層(カラー)
印刷層(白)印刷層(カラー)、プライマー層、及びOPV層は、上述した通りである。
以下、基材A、基材B、接着剤層、及び樹脂C層について説明する。
<基材A>
基材Aとしては、プラスチック基材が好ましく、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂などの生分解性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂又はそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムや積層体が好適に使用でき、本発明の皮膜形成用組成物の脱離性を重視するとポリプロピレン又はポリエチレンがより好ましい。これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1~500μmの範囲であればよい。
基材Aの印刷面には、コロナ放電処理がされていることが好ましく、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
<基材B>
基材Bとしては、基材Aと同様のものが挙げられ、同一または異なっていても良いが、プラスチック基材であることが好ましく、熱可塑性樹脂基材であることがより好ましい。
積層体が押出ラミネートである場合、後述する樹脂Cと同一であっても良い。また金属箔や蒸着膜層の金属箔層とラミネートされていても良い。
<樹脂C>
樹脂Cとしては熱可塑性樹脂であることが好ましく、ポリオレフィンがより好ましく、ポリプロピレンもしくはポリエチレンおよびこの変性樹脂が特に好ましい。
<接着剤層>
接着剤層を形成するための接着剤としては、特に限定なく市販流通している反応性接着剤であれば使用可能だが、中でも、ポリイソシアネート組成物とポリオール組成物とのいわゆる2液型、あるいはポリイソシアネートの1液型反応性接着剤が好ましい。
一般的な反応性接着剤で使用されるポリイソシアネート組成物は、主成分としてポリイソシアネート化合物を含有する組成物であり、反応性接着剤用のポリイソシアネート化合物として知られているものであれば特に限定なく使用できる。具体的なポリイソシアネート化合物の例としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の分子構造内に芳香族構造を持つポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO基)の一部をカルボジイミドで変性した化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の分子構造内に脂環式構造を持つポリイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の直鎖状脂肪族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのNCO基の一部をカルボジイミドで変性した化合物;前記各種のポリイソシアネートのイソシアヌレート体;前記各種のポリイソシアネートに由来するアロファネート体;前記各種のポリイソシアネートに由来するビゥレット体;前記各種のポリイソシアネートをトリメチロールプロパン変性したアダクト体;前記各種のポリイソシアネートと後述のポリオール成分との反応生成物であるポリイソシアネートなどが挙げられる。
一般的な反応性接着剤で使用されるポリオール組成物は、主成分としてポリオール化合物を含有する組成物であり、反応性接着剤用のポリオール化合物として知られているものであれば特に限定なく使用できる。具体的なポリオール化合物の例としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール等のグリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等のビスフェノール;ダイマージオールや、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエーテル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシルアルカン、ひまし油又はそれらの混合物から選ばれるポリマーポリオールを挙げることができる。
中でも、溶液により溶解あるいは加水分解しやすいことから、反応性接着剤の構成成分のいずれかがエステル結合を有することが好ましく、後述する皮膜の脱離工程において短時間で容易に単層フィルムに分離させることができる。
反応性接着剤の構成成分のいずれかがエステル結合を有するとは、具体的には、エステル結合を有するポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステル(ポリウレタン)ポリオール、アクリルポリオール等のポリオール化合物を有するポリオール組成物や、前記エステル結合を有するポリオール化合物と、前記各種のポリイソシアネートとの反応生成物であるポリイソシアネート化合物を有するポリイソシアネート組成物のいずれかまたは両方を含有する反応性接着剤であることが挙げられる。
反応性接着剤には、顔料、シランカップリング剤、チタネート系カップチング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂等の接着促進剤、レベリング剤、コロイド状シリカ、アルミナゾルなどの無機微粒子、ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子、消泡剤、タレ性防止剤、湿潤分散剤、粘性調整剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、難燃剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防錆剤、蛍光性増白剤、無機系熱線吸収剤、防炎剤、帯電防止剤、脱水剤などの添加剤が使用されている場合もある。
また、反応性接着剤には、希釈用の溶解性の高い有機溶剤で希釈されたドライラミネート用接着剤や、希釈用の有機溶剤を殆ど含まない無溶剤型ラミネート接着剤、希釈剤が水である水性接着剤等があるが、いずれも使用することができる。
積層体中の基材A、印刷層(白)、印刷層(カラー)、プライマー層、接着剤層、OPV層、樹脂C層、又は基材Bは、それぞれバリア層を介していても良い。バリア層としては無機蒸着層やバリアコート層が挙げられ、それらを単独又は複数組み合わせて使用しても良い。
無機蒸着層は、酸素ガス、水蒸気ガスの透過を防ぐガスバリア性を有する層であり、無機物または無機酸化物からなる蒸着層である。無機物または無機酸化物としてはアルミニウム、アルミナ、シリカ等が挙げられ、これらは1種または2種以上を併用することができる。無機蒸着層は2層以上設けられていてもよい。無機蒸着層が2層以上設けられている場合、それぞれは同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
バリアコート層は無機蒸着層を保護し、酸素、水蒸気等のガスバリア性を高めることができる。このようなガスバリアコート層は、例えば金属アルコキシドと水溶性高分子との混合物を、ゾルゲル法触媒、水や有機溶剤等の溶媒の存在下でゾルゲル法により重縮合して得られる金属アルコキシドの加水分解物、金属アルコキシドの加水分解重縮合物等の樹脂組成物から形成される。
(基材Aからの皮膜の脱離方法)
本発明は、印刷物に対して、特定の処理、例えば加熱又は光(UV、IR等)照射などを施し、その後溶液処理により皮膜を基材Aから脱離して、リサイクル基材Aを製造することができる。
より具体的には、本発明は、印刷物に対して、加熱、冷却、UV照射、IR照射、EB照射、放射線照射、プラズマ処理、電圧印加、酸処理、アルカリ処理、酸化剤処理、及び還元剤処理のうちのいずれかの処理を施し、その後溶液処理により皮膜を基材Aから脱離して、リサイクル基材Aを製造することができる。
上述したように、加熱又は光照射などの特定の処理(以下、特定の処理等ともいう)により、剥離促進剤における親水性が発揮させるようになるため、特定の処理等の前では溶液処理(例えば、温水又はアルカリ水処理)してもプラスチック基材から皮膜は剥離しない。しかし、特定の処理等を施すと、溶液処理(例えば、温水又はアルカリ水処理)により、皮膜はプラスチック基材から容易に剥離することができるようになる。
ここで、剥離促進剤における保護基を脱保護する際に施す特定の処理等の条件としては、例えば、120~200℃の加熱を施す等が挙げられる。より簡便かつ効果的な方法として、120℃以上の加熱を施すことが好ましく、150℃以上の加熱を施すことがより好ましく、経済性、安全性の観点から、200℃以下の加熱であることが好ましい。加熱を施す際の時間としては、1~24時間であることが好ましい。
印刷物に対して、上記特定の処理等を施し、その後溶液処理により皮膜を基材Aから剥離する。
例えば、本発明の皮膜形成用組成物を用いて印刷層が形成されている場合には、印刷物に対して、溶液処理により印刷層を基材Aから脱離して、リサイクル基材Aを製造することができる。また、例えば、本発明の皮膜形成用組成物を用いてプライマー層又はOPV層が形成されている場合には、印刷物に対して、溶液処理によりプライマー層又はOPV層を基材Aから脱離することにより、プライマー層又はOPV層とともに印刷層を脱離することができ、リサイクル基材Aを製造することができる。
また本発明は、印刷物と基材Bとを接着剤層等を介して皮膜を内側に配置する形で積層した積層体に対して、特定の処理等を施し、その後溶液処理により皮膜とともに基材Bを脱離して、リサイクル基材Aを製造することができる。
例えば、本発明の皮膜形成用組成物を用いて印刷層が形成されている場合には、積層体に対して、溶液処理により印刷層を基材Aから脱離することにより、印刷層とともに基材Bを脱離して、リサイクル基材Aを製造することができる。また、例えば、本発明の皮膜形成用組成物を用いてプライマー層又はOPV層が形成されている場合には、積層体に対して、溶液処理によりプライマー層又はOPV層を基材Aから脱離することにより、プライマー層又はOPV層とともに印刷層及び基材Bを脱離することができ、リサイクル基材Aを製造することができる。
脱離工程としては、印刷物又は積層体を、水(中性水)溶液又はアルカリ溶液からなる溶液を用いて浸漬処理する。溶液の温度は特に制限はなく、非加熱であっても、20~90℃程度に加熱していてもよい。例えば、20~90℃の加熱撹拌または超音波振動させながら該溶液に浸漬することにより印刷物又は積層体から皮膜層を脱離することができる。尚、加熱撹拌及び超音波振動は同時に行ってもよい。加熱温度としては30℃以上が好ましく、40℃以上が好ましく、50℃以上が好ましく、60℃以上が好ましく、加熱撹拌と超音波振動を同時に行うことがより好ましい。
脱離工程において使用するアルカリ溶液は、限定されるわけではないが、pH9以上が好ましく、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸水素カリウム水溶液、炭酸二水素ナトリウム水溶液、炭酸二水素カリウム水溶液等が好ましい。水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸水素カリウム水溶液、炭酸二水素ナトリウム水溶液、炭酸二水素カリウム水溶液等は0.5質量%~10質量%の濃度の水溶液が好ましく、1質量%~5質量%の濃度の水溶液がより好ましい。
また、アルカリ溶液は、水溶性有機溶剤を含有していてもよい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(カルビトール)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(ジエチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、メチレンジメチルエーテル(メチラール)、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、ジアセトンアルコール、アセトニルアセトン、アセチルアセトン、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(メチルセロソルブアセテート)、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(メチルカルビトールアセテート)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(カルビトールアセテート)、エチルヒドロキシイソブチレートおよび乳酸エチルなどを例示することができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
水溶液又はアルカリ溶液からなる溶液を、20~90℃の加熱または超音波振動させた状態で、例えば処理槽中で、対象とする印刷物又は積層体を浸漬させる。加熱方法としては特に限定なく、熱線、赤外線、マイクロ波等による公知の加熱方法が採用できる。また超音波振動は、例えば処理槽に超音波振動子を取り付け上記溶液に超音波振動を付与する方法等が採用できる。
また浸漬時には、溶液は撹拌されていることが好ましい。撹拌方法としては、例えば、処理槽内に収容した印刷物又は積層体の分散液を、撹拌羽根により機械的撹拌する方法、水流ポンプにより水流撹拌する方法、窒素ガス等の不活性ガス等によるバブリング方法などが挙げられ、効率的に剥離させるためにこれらを併用しても良い。
印刷物又は積層体を溶液に浸漬する時間は、印刷物の構成にもよるが、一般的には2分~48時間の範囲であることが多い。なお本発明においては、印刷物における皮膜が基材から100%完全に脱離する必要はないが、皮膜100質量%のうち、60質量%以上脱離することが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
脱離工程において、溶液に浸漬する回数は、1回でも数回に分けて行ってもよい。即ち、浸漬回数を1回行ったのち、分離したフィルム基材を回収する工程を行ってもよいし、浸漬回数を数回行ったのちフィルム基材を回収する工程を行ってもよい。また脱離工程において複数回、浸漬を行う場合は、上記アルカリ溶液の濃度を変更してもよい。また脱離工程中に、水洗や乾燥等、公知の工程を適宜加えてもよい。
本発明の皮膜形成用組成物により形成された皮膜中には、上記剥離促進剤が存在している。上述したように、加熱処理等により、剥離促進剤における親水性が発揮させるようになるため、加熱処理等の前の通常の使用状態では溶液処理してもプラスチック基材から皮膜は容易には剥離しないが、加熱処理等を施すと、溶液処理(特に水溶液処理でも)により、皮膜はプラスチック基材から容易に剥離することができる。
尚、剥離促進剤を加熱しBoc基の脱保護を図る際、係る脱保護ではイソブテン及び二酸化炭素のガスとして脱離されるが、そのガスの影響で、皮膜自体に空隙や破壊が生じ、そのことも皮膜がプラスチック基材から容易に剥離できることに貢献しているのではないかと考えられる。
このように、本発明の皮膜形成用組成物は、健康や環境を害する溶剤の含有量を一定以下に抑え、かつ汎用的なプラスチック基材に対する特性は従来の皮膜形成用材料と変わりなく維持したまま、さらに、剥離促進剤を含有していることで、水(中性水)を用いた溶液処理でもプラスチック基材から印刷層を容易に取り除くことができる皮膜層を形成することができる。
以下に、本発明の内容および効果を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。なお下記に示す「部」とは「質量部」を表す。
実施例で用いた剥離促進剤の物性を下記表1に示す。
<剥離促進剤>
(合成例1)剥離促進剤(I-1)の合成
Organic Letter,2015,17,98-101に記載の方法により、前駆体(i-1)から剥離促進剤(I-1)を得た。なお、剥離促進剤(I-1)の脱保護後に示す親水性(前駆体(i-1)が示す親水性に相当)は、水への溶解度として測定した結果、10,000ppm以上の溶解度を示した。
Figure 2022183764000002
(合成例2)~(合成例3)剥離促進剤(I-2)及び(I-3)の合成
Tetrahedron,70,2014,8097-8107に記載の方法により、前駆体(i-2)から剥離促進剤(I-2)を得た。なお、剥離促進剤(I-2)の脱保護後に示す親水性(前駆体(i-2)が示す親水性に相当)は、水への溶解度として測定した結果、1,000ppm以上の溶解度を示した。
また同様の方法により前駆体(i-3)から剥離促進剤(I-3)を得た。なお、剥離促進剤(I-3)の脱保護後に示す親水性(前駆体(i-3)が示す親水性に相当)は、水への溶解度として測定した結果、1,000ppm以上の溶解度を示した。
Figure 2022183764000003
Figure 2022183764000004
(合成例4)~(合成例5)剥離促進剤(I-4)~(I-5)の合成
合成例1と同様の合成方法により、下記に記載の前駆体(i-4)~(i-5)から剥離促進剤(I-4)~(I-5)を得た。
Figure 2022183764000005
Figure 2022183764000006
(実施例1~15、比較例1~3)
以下のバインダー樹脂、顔料、溶媒、分散剤を下記表2(表3、表4及び表5も同様)に記載の配合比により使用し、実施例1~15、比較例1~3を調製した。
<バインダー樹脂>
・樹脂1:塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学社製ソルバインA、不揮発分15%、NPAC溶解物)
・樹脂2:硝化綿ワニス(Nobel社製ニトロセルロースDLX5-8、不揮発分44%、酢酸エチル:IPA溶解物)
・樹脂3:ウレタン樹脂(DIC社製尿素ウレタン樹脂、数平均分子量14,000、不揮発分30%、酢酸エチル:IPA溶解物)
・樹脂4:ウレタン樹脂(DIC社製尿素ウレタン樹脂、数平均分子量19,000、不揮発分30%、酢酸エチル:IPA溶解物)
・樹脂5:アクリル樹脂(DIC社製アクリディックWCL-1419、数平均分子量16,000、不揮発分42%、酢酸エチル:IPA溶解物)
<顔料>
・藍:フタロシアニン系藍色顔料(FASTOGEN BLUE LDB35 10藍顔料(DIC社製))
<溶媒>
溶剤1:イソプロピルアルコール
溶剤2:酢酸エチル
<その他>
分散剤:(顔料親和性ブロック共重合体)
<剥離試験評価>
調製した実施例1~15、比較例1~3の印刷インキをFlexoproof100テスト印刷機(Testing Machines,Inc.社製)を用いて、基材Aに、縦240mm×横80mmのベタ絵柄を印刷後、ドライヤーで乾燥し印刷層1を形成し、下記構成1の印刷物を得た。得られた実施例及び比較例の印刷物について、下記手法で各フィルム使用時のインキ剥離性について評価した。各実施例及び比較例の印刷物の評価結果を下記表2~4に示す。
<<印刷物の構成>>
・構成1:基材A-印刷層1
基材A:コロナ処理ポリプロピレン二軸延伸フィルム(東洋紡績(株)製 パイレンP2161 厚さ20μm)(OPP)
<評価項目:加熱処理前剥離性試験>
[剥離処理液]
下記条件で剥離試験を実施し、剥離のしやすさを評価した。
・水道水、85℃(処理液)
[剥離試験条件]
剥離試験は、処理時間を15分として評価を行った。なお処理5分以内に剥離すればかなり高い性能であることを示す。
印刷物を20mm×20mmのサイズにカットした試験片を溶液に浸漬してスターラーで撹拌した。撹拌後に剥離状態を確認した後、指で印刷物を擦り、擦ることで塗膜が剥離するかも確認した。
上記の条件におけるインキ塗膜の剥離性を下記評価基準に従い評価した。
[評価基準]
3:15分の撹拌によりインキ塗膜は擦ると完全に脱離する
2:15分の撹拌によりインキ塗膜は擦ると部分的に脱離する
1:15分の撹拌によりインキ塗膜は擦っても脱離を確認できない
<評価項目:加熱処理後剥離性試験>
印刷物をオーブンで150℃1時間加熱処理を行った後、上記<評価項目:加熱処理前剥離性試験>と同様の方法で加熱処理後のインキ塗膜の剥離性を上記評価基準に従い評価した。
加熱処理前剥離性試験及び加熱処理後剥離性試験の結果を、下記表1~4に示す。
なお、実用化の観点からは、加熱処理後剥離性試験の評価2以上が必要となる。
Figure 2022183764000007
Figure 2022183764000008
Figure 2022183764000009
Figure 2022183764000010
(実施例16~20、比較例4)
以下のバインダー樹脂、顔料、及びその他の成分を下記表5に記載の配合比により使用し、実施例16~20、及び比較例4を調製した。
<バインダー樹脂>
・樹脂6:水性スチレン-アクリル樹脂エマルジョン(固形分中酸価:68mgKOH/g,固形分40質量部)
・樹脂7:水性ウレタン樹脂エマルジョン(固形分中酸価:23mgKOH/g,重量平均分子量17000,固形分40質量部)
<顔料>
・藍:フタロシアニン系藍色顔料(FASTOGEN BLUE LDB35 10藍顔料(DIC社製))
<その他>
・ワックス:(ポリエチレン系ワックス)
・添加剤:(顔料親和性ブロック共重合体)
調製した実施例16~20、比較例4の印刷インキを、実施例1と同様な方法で印刷物を得て、得られた印刷物について、実施例1と同様な方法でインキの剥離性について評価した。評価結果を下記表5に示す。
Figure 2022183764000011
上記結果より、本発明の皮膜形成用組成物により形成された皮膜は、加熱処理前は中性水によっても容易に脱離せず、十分な耐水性を有することから、実使用に耐えうるものであることが分かる。また、加熱処理を施すことで、中性水により容易に脱離できることが確認できた。
以上より、本発明の皮膜形成用組成物を使用すれば、加熱処理を施すことで、水(中性水)溶液での処理によって容易に脱離でき、かつプラスチック基材等から印刷層を容易に取り除くことができる皮膜を形成することができる。また、本発明の皮膜形成用組成物を使用することで、トルエン、MEKフリーの印刷インキを提供することができる。

Claims (14)

  1. 溶液処理により脱離する皮膜を基材Aの表面に直接又は他の層を介して形成するための脱離可能な皮膜形成用組成物であって、 前記皮膜形成用組成物は、剥離促進剤を含有し、 前記剥離促進剤は、親水性を有する官能基を有しており、前記官能基は保護基により保護されており、加熱、冷却、UV照射、IR照射、EB照射、放射線照射、プラズマ処理、電圧印加、酸処理、アルカリ処理、酸化剤処理、及び還元剤処理のうちのいずれかの処理により前記保護基が脱保護されると親水性を発揮するものである、皮膜形成用組成物。
  2. 前記剥離促進剤の脱保護後に示す親水性が、水への溶解度で評価した場合、1,000ppm以上の溶解度を示す、請求項1に記載の皮膜形成用組成物。
  3. 前記処理が、加熱又はUV照射である、請求項1又は2に記載の皮膜形成用組成物。
  4. 前記官能基が、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基又はその塩、スルホ基又はその塩、及びアミノ基又はその塩の少なくともいずれかである、請求項1~3のいずれか一項に記載の皮膜形成用組成物。
  5. 前記保護基が、tert-ブトキシカルボニル(Boc)基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の皮膜形成用組成物。
  6. 印刷インキ、プライマー、又はオーバープリントワニス(OPV)として用いられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の皮膜形成用組成物。
  7. 前記印刷インキが、有機溶剤系インキ、水系インキ、又はUVインキである、請求項6に記載の皮膜形成用組成物。
  8. 基材Aの表面に直接又は他の層を介して、請求項6又は7に記載の皮膜形成用組成物からなる皮膜を有する印刷物。
  9. 前記皮膜が、印刷層、プライマー層、及びオーバープリントワニス層(OPV層)から選ばれる少なくとも一つである、請求項8に記載の印刷物。
  10. 請求項8又は9に記載の印刷物に対して、前記印刷層の前記基材Aが配置されている面とは反対側の面に、基材Bを配置し、前記印刷物と前記基材Bとを積層してなる積層体。
  11. 請求項8又は9に記載の印刷物に対して、加熱、冷却、UV照射、IR照射、EB照射、放射線照射、プラズマ処理、電圧印加、酸処理、アルカリ処理、酸化剤処理、及び還元剤処理のうちのいずれかの処理を施し、その後溶液で処理することにより前記皮膜を基材Aから脱離して得られるリサイクル基材Aの製造方法。
  12. 前記処理が、加熱又はUV照射である、請求項11に記載のリサイクル基材Aの製造方法。
  13. 請求項10に記載の積層体に対して、加熱、冷却、UV照射、IR照射、EB照射、放射線照射、プラズマ処理、電圧印加、酸処理、アルカリ処理、酸化剤処理、及び還元剤処理のうちのいずれかの処理を施し、その後溶液で処理することにより前記皮膜とともに基材Bを脱離して得られるリサイクル基材Aの製造方法。
  14. 前記処理が、加熱又はUV照射である、請求項13に記載のリサイクル基材Aの製造方法。
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