JP2022183697A - 制御装置、水中航走体及び制御方法 - Google Patents

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Keisuke Mochizuki
祐成 佐々木
Yusei Sasaki
丈泰 安達
Takeyasu Adachi
伊智郎 粟屋
Ichiro Awaya
昌宏 中田
Masahiro Nakada
章央 栗田
Akihisa Kurita
浩然 松岡
Hironori Matsuoka
雄紀 石川
Yuki Ishikawa
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Abstract

【課題】揺動抑制と省エネルギー性能を両立する制御装置を提供する。【解決手段】制御装置は、船体の位置と目標位置との差に基づいて制御指令値を算出するフィードバック制御器と、前記船体の制御軸間の相互干渉を打ち消す非干渉補償値を算出する非干渉制御器と、外乱を打ち消す外乱補償値を算出する外乱推定器と、速度飽和が生じないような速度飽和補償値を算出する速度飽和補償器と、前記船体に生じる揺動および/または前記アクチュエータの動作に基づいて、非干渉制御器、外乱推定器および速度飽和補償器のうちの少なくとも1つのパラメータを調整する制御系調整器と、を有する。【選択図】図1

Description

本開示は、制御装置、水中航走体及び制御方法に関する。
水中航走体の運転では、波浪等の外乱による船体の揺動を抑制する必要がある。非特許文献1には、外乱を推定する外乱推定器が開示されている。非特許文献2には、水中航走体の状態推定を行って、外乱を推定する方法が開示されている。また、特許文献3、4には、水中航走体に加わる外乱の方向、大きさ、周波数などを推定し、推定した外乱を打ち消す舵角などの制御指令を生成する制御装置が開示されている。
また、水中航走体の運転中に、深度、ロール角、ピッチ角、方位角等に関する制御軸に対して制御を行うと、特定の軸間に相互干渉が生じることがある。例えば、各軸に対して揺動を抑制する制御を行ったとしても、相互干渉の影響で揺動の収束に時間が掛かることがある。これに対し、特許文献1には、船体の状態に応じて軸間の干渉を補償する舵角指令を算出し、軸間の干渉力を非干渉化する制御方法が開示されている。
また、水中航走体の舵が舵角指令の変化に追従できる範囲には制限があり、制限を超える舵角指令が入力されると、実際の舵角が追従できず、速度飽和が生じる。これに対し、特許文献2には、速度飽和が生じる舵角指令を追従可能な範囲の指令値に補償する速度飽和補償器が開示されている。速度飽和補償器を用いることにより、舵の急峻な動きを抑制し、速度飽和の発生を回避することができる。
特開2019-25928号公報 特許第5984608号公報 特開2014-12491号公報 特開2014-21649号公報
大西公平、「外乱オブザーバによるロバスト・モーションコントロール」、日本ロボット学会誌、第11巻、第4号、1993年、p.486-493 中村昌彦他、「小型AUV"MR-X1"の測線上航走性能向上に関する研究」、日本船舶海洋工学会論文集、第12号、2010年、p.165-173
外乱推定器に基づいて外乱補償することにより、船体の揺動を抑制することができる。しかしながら、例えば、揺動に高周波成分がある場合に揺動に対処しようとすると舵を頻繁に動作させなければならず、省エネルギー性能が悪化する。船体の揺動抑制性能と省エネルギー性能のバランスを調整可能な制御が求められている。
本開示は、上記課題を解決することができる制御装置、水中航走体及び制御方法を提供する。
本開示の制御装置は、船体の位置と目標位置との差に基づいて制御指令値を算出するフィードバック制御器と、前記船体の制御軸間の相互干渉を打ち消すための非干渉補償値を算出する非干渉制御器と、前記船体の作用する外乱の力を推定し、前記外乱を打ち消すための外乱補償値を算出する外乱推定器と、前記制御指令値に基づいて前記船体のアクチュエータを制御したときに速度飽和が生じないような速度飽和補償値を算出する速度飽和補償器と、前記船体に生じる揺動および/または前記アクチュエータの動作に基づいて、前記非干渉制御器、前記外乱推定器および前記速度飽和補償器のうちの少なくとも1つのパラメータを調整する制御系調整器と、を有する。
本開示の水中航走体は、上記の制御装置を備える。
本開示の制御方法は、非干渉制御器と、外乱推定器と、速度飽和補償器と、を有する制御装置によって実行される制御方法であって、船体の位置と目標位置との差に基づいて制御指令値を算出するステップと、前記非干渉制御器が、前記船体の制御軸間の相互干渉を打ち消すための非干渉補償値を算出するステップと、前記外乱推定器が、前記船体の作用する外乱の力を推定し、前記外乱を打ち消すための外乱補償値を算出するステップと、前記速度飽和補償器が、前記制御指令値に基づいて前記船体のアクチュエータを制御したときに速度飽和が生じないような速度飽和補償値を算出するステップと、前記船体に生じる揺動および/または前記アクチュエータの動作に基づいて、前記非干渉制御器、前記外乱推定器および前記速度飽和補償器のうちの少なくとも1つのパラメータを調整するステップと、を有する。
上述の制御装置、水中航走体及び制御方法によれば、揺動抑制性能と省エネルギー性能のバランスを調整することができる。例えば、揺動抑制と省エネルギー性能とを両立することができる。
実施形態に係る制御システムの一例を示す図である。 実施形態に係る評価指標値の一例を示す図である。 実施形態に係る制御系切り替えについて説明する図である。 実施形態に係る制御システムの動作の一例を示すフローチャートである。
以下、本開示の制御システムについて、図1~図4を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
(システム構成)
図1に水中航走体1の制御システムのブロック図を示す。図1に示すように、水中航走体1は、制御装置10と、機体20と、を備える。制御装置10は、FB(フィードバック)制御器11と、アクチュエータ制御系12と、速度飽和補償器13と、外乱推定器14と、非干渉制御器15と、制御系調整器16と、パラメータ算出部17と、を備える。機体20は、水中航走体1が備えるアクチュエータ、センサ類を含む。
FB制御器11は、水中航走体1の位置と所定の目標位置との差分に基づいて制御指令値を算出する。例えば、FB制御器11は、PID制御等により、水中航走体1の位置を目標位置に一致させるような、深度、ピッチ角、方位角などに関する制御軸(船体運動の6自由度に関するXYZ軸方向および各軸回り方向の何れか)に対する制御指令値を算出する。
アクチュエータ制御系12は、FB制御器11によって算出された制御指令値をアクチュエータへ出力する実際の指令値(実指令値と呼ぶ。)に変換して、アクチュエータ(機体20)を制御する。アクチュエータとは、例えば、水中航走体1が備える複数の舵である。実指令値とは、例えば、それぞれの舵への舵角指令である。図示するように、FB制御器11によって算出された制御指令値は、速度飽和補償器13、外乱推定器14、非干渉制御器15が補償値を出力した場合には、それらの補償値によって補償される。
速度飽和補償器13は、アクチュエータ制御系12へ入力される制御指令値とアクチュエータ制御系12から出力される実指令値を取得し、アクチュエータ制御系12へ入力される制御指令値が速度飽和に至らないように速度飽和補償値を算出し、この値を出力する。速度飽和補償値により、アクチュエータ制御系12へ入力される制御指令値は、アクチュエータの動作が追従可能な範囲となるよう補償される。本実施形態の速度飽和補償器13には、例えば特許文献2に開示がある速度飽和補償部を用いることができる。速度飽和補償器13の構成は、特許文献2に開示されているため本明細書では説明を省略する。速度飽和補償器13は、内部に帯域調整ゲインというパラメータ(特許文献2における理想モデル41の内部のパラメータ)を有している。この帯域調整ゲインの値を大きくすると、アクチュエータの急峻な変化をより強く抑えるように作用する。速度飽和補償器13は、アクチュエータの急峻な動作を抑制する働きがあるため、制御の省エネルギー化に寄与する。帯域調整ゲインの値を大きくすると、省エネルギーの効果が向上する。帯域調整ゲインの値は、制御系調整器16によって調整可能とされている。
外乱推定器14は、アクチュエータ制御系12から出力される実指令値と水中航走体1の状態を示す情報(実際の操舵角、ジャイロセンサや深度計の計測値など)を取得し、船体に作用する外乱の力を推定し、推定した外乱を打ち消すための外乱補償値を算出する。例えば、外乱推定器14は、深度、ピッチ角、方位角の各方向に対する波浪による外乱を推定し、外乱を相殺する外乱補償値をそれぞれの方向ごとに算出する。本実施形態の外乱推定器14における外乱推定方法には特に限定は無く、公知の外乱オブザーバなどを用いることができる(例えば、非特許文献1)。また、推定した外乱を相殺するために必要な舵の制御量等(外乱補償値)を算出する構成についても、一般に水中航走体で採用されている公知の制御器を用いることができる(例えば、特許文献3,4)。また、本実施形態の外乱推定器14は、内部にローパスフィルタ141(図示せず)と、設定可能なパラメータである出力ゲイン142(図示せず)を備えている。一般に外乱推定器14が推定する外乱には複数の周波数成分が含まれている。例えば、ローパスフィルタ141は、各制御軸別に設けられていて、推定された各制御軸方向の外乱の周波数成分のうち、所定の周波数以上の帯域を低減する。外乱推定器14は、ローパスフィルタ141を通過した各制御軸方向の低周波帯域の外乱について、その周波数帯の外乱を打ち消す外乱補償値(例えば、揺動の方向に対応する舵についての補償舵角)を算出する。ローパスフィルタ141を通過する周波数の帯域を上昇させると、より広い周波数帯の揺動を抑制できるが、揺動の高周波成分にも対処しなければならなくなり、舵はそれだけ頻繁に動作することになる。これは、省エネルギー化の観点からは不利益(消費エネルギーが増大)となる。出力ゲイン142は、算出された外乱補償値に乗じて、その値の大きさを調整するためのパラメータである。外乱推定器14は、推定された様々な方向の外乱に対して、その外乱に対処する舵(例えば、深度方向の外乱を制御するための舵、左右方向の外乱を制御するための舵など)ごとに補償舵角を算出する。出力ゲイン142は、これらの舵ごとに用意され、各舵に対する外乱補償値の大きさを調整する。出力ゲイン142の値は、0以上1以下の範囲で設定される。例えば、外乱への対応を行わない場合、出力ゲイン142には0が設定され、外乱をできるだけ相殺する場合には、出力ゲイン142には1が設定される。ローパスフィルタ141の帯域設定と出力ゲイン142の値は、制御系調整器16によって調整可能とされている。
非干渉制御器15は、6軸間の軸間干渉による揺動を補償する。非干渉制御器15は、例えば、水中航走体1の深度、ピッチ角、方位角をそれぞれ所望の位置に制御しようとする場合に、水中航走体1の状態を示す情報(実際の操舵角、ジャイロセンサや深度計の計測値など)を取得し、各制御軸間に生ずる干渉を低減する非干渉補償値(非干渉化に関係する各舵についての補償舵角)を算出する。非干渉制御器15には、例えば特許文献1に開示がある非干渉制御部を用いることができる。非干渉制御器15の構成は、特許文献1に開示されているため本明細書では説明を省略する。特許文献1に開示された構成に追加して、本実施形態の非干渉制御器15は、内部にローパスフィルタ151(図示せず)と、出力ゲイン152(図示せず)を備えている。一般に非干渉制御器15が取得する水中航走体1の状態を示す情報には複数の周波数成分が含まれている。例えば、ローパスフィルタ151は、各制御軸別に設けられていて、推定された各制御軸方向の複数の周波数成分のうち、所定の周波数以上の帯域を低減する。非干渉制御器15は、ローパスフィルタ151を通過した各制御軸方向の低周波帯域の揺動(軸間干渉によって生じる揺動)について、その周波数帯の揺動を打ち消す非干渉補償値を算出する。ローパスフィルタ151を通過する周波数の帯域を上昇させると、揺動の高周波成分にも対処しなければならなくなり、舵はそれだけ頻繁に動作することになるため、消費エネルギーの増大につながる。出力ゲイン152は、非干渉補償値に乗じて、その大きさを調整するためのパラメータである。出力ゲイン152は、複数の舵ごとに設定することができる。出力ゲイン152の値は、0以上1以下の範囲で設定される。ローパスフィルタ151の帯域設定と出力ゲイン152の値は、制御系調整器16によって調整可能とされている。
図示するように、アクチュエータ制御系12と速度飽和補償器13とで構成される第1のループの外側に外乱推定器14を含む第2のループが構成される。これにより、理想的には第2のループ内では外乱が相殺される。それでも機体20から得られる水中航走体1の状態を示す情報によって揺動が確認される場合には、その揺動は軸間干渉によるものと考えられる。その為、軸間干渉によって生じる揺動の分だけを対象として非干渉補償値を算出することができるように、非干渉制御器15は、最も外側のループに配置される構成となっている。
制御系調整器16は、アクチュエータ制御系12から出力される実指令値と水中航走体1の状態を示す情報(実際の操舵角、ジャイロセンサや深度計の計測値など)を機体20から取得し、以下で説明する評価指標値を算出し、算出した評価指標値に基づいて、速度飽和補償器13の帯域調整ゲインの値、外乱推定器14のローパスフィルタ141の帯域設定および出力ゲイン142の値、非干渉制御器15のローパスフィルタ151の帯域設定および出力ゲイン152の値のうちの何れか1つ又は複数を必要に応じて変更する。この処理をパラメータの調整、または、制御系の切り替えと呼ぶ。
(評価指標)
図2に制御系調整器16が算出する評価指標の一例を示す。
(1)揺動状態の評価値・・・制御系調整器16は、深度計やジャイロセンサの計測値を取得して深度、ピッチ角、方位角などの各制御軸方向の揺動について、所定時間内における計測値のPeak to Peak値(所定時間内に計測された計測値の最大値と最小値の差)またはRMS値(root mean square value)を計算する。計測された制御軸方向別のPeak to Peak値やRMS値が揺動状態の評価値である。
(2)アクチュエータ動作評価値・・・制御系調整器16は、水中航走体1から時々刻々と実際のアクチュエータの動作量(例えば、時々刻々の実際の操舵角)を取得し、所定時間内の総動作量(絶対値積分)、アクチュエータ動作速度の絶対値積分を計算する。これらの値がアクチュエータ動作評価値である。
(3)揺動周波数成分の評価値・・・制御系調整器16は、深度計やジャイロセンサの計測値を取得して、各制御軸方向別に所定時間内の揺動を示す波形データをFFT(高速フーリエ変換)等により周波数成分分析する。周波数成分分析の結果が揺動周波数成分の評価値である。
(4)アクチュエータ補償量の評価値・・・制御系調整器16は、外乱推定器14、非干渉制御器15が出力する時々刻々の補償舵角(それぞれ外乱補償値、非干渉補償値)を取得し、補償舵角のPeak to Peak値を計算する。または(あるいは、Peak to Peak値に加えて)、制御系調整器16は、補償舵角についてFFT等により、周波数成分分析を実行する。補償舵角のPeak to Peak値や周波数成分分析の結果がアクチュエータ補償量の評価値である。
上記の評価指標値の(1)と(3)は、水中航走体1の揺動を示す評価指標値で、アクチュエータ動作に関する(2)と(4)は、省エネルギー性能の評価指標値である。制御系調整器16は、これらの評価指標値を用いて、水中航走体1の揺動抑制と省エネルギー化が両立できるように外乱推定器14、非干渉制御器15のパラメータ調整を行う。また、以下に説明するように、制御系調整器16は、揺動抑制と省エネルギー化の両立を前提としつつ、さらに揺動抑制を重視する制御モードと省エネルギー化を重視する制御モードを切り替えて実行する機能を有しており、制御の目的別に各補償器(速度飽和補償器13、外乱推定器14、非干渉制御器15)のパラメータ(ローパスフィルタ帯域、出力ゲインなど)の調整を行う。
(制御系の切り替えタイミング)
制御系調整器16は、一定時間(例えば5分、10分など)おきに自動的に制御系の切り替え(パラメータの調整)を行う。または、制御系調整器16は、水中航走体1の運用モードの切り替え(例えば、航行と停泊)や制御目的の切り替え(揺動抑制重視か省エネルギー重視)、あるいは海域が変更されるタイミングで自動的に制御系の切り替えを行う。または、制御系調整器16は、ユーザの手動操作によって制御系の切り替えを行う。なお、波浪などによる揺動の周期は、一般的に数秒~数10秒であるため、自動で制御系の切り替えを行う場合、制御装置10の計算周期ではなく、揺動周期よりも長い周期で制御系の切り替えを実行する。
(制御系切り替え)
図3に本実施形態の制御系の切り替えに際し、調整するパラメータの概要を示す。
(A)制御系調整器16は、制御目的に関係なく、外乱推定器14のローパスフィルタ141と非干渉制御器15のローパスフィルタ151のフィルタ帯域を調整する。
(A1)制御系調整器16は、評価指標値“(3)揺動周波数成分の評価値”に基づいて、各制御軸方向の揺動について、揺動を構成する周波数成分のうち、ピーク値が大きい上位2つの成分である第1の主成分f1と第2の主成分f2を識別する。ここで、第1の主成分f1と第2の主成分f2の周波数がf1<f2の関係であるとする。制御系調整器16は、各制御軸別のローパスフィルタ141とローパスフィルタ151のフィルタ帯域(および近似微分帯域)fを、f1とf2のピーク値の大小関係に関わりなく、周波数の高低関係に基づいてf1<f<f2となるように設定する。ここでf1は船体の揺動を構成する主要な周波成分のうち最も低周波の成分である。水中航走体1の運転において、低周波成分f1の影響が最も支配的であって、上記のようにフィルタ帯域fを設定することにより、この低周波成分に対処する補償値(補償舵角)を算出することができる。また、f1より高周波のf2の揺動にまで対処するとなると揺動抑制効果は向上するものの(その効果に比べて)、アクチュエータ(舵)の動作量が多くなり、エネルギー消費量が増大する。従って、各制御軸別のローパスフィルタ141、151の帯域設定をf2より低周波のfに設定することにより、f2の周波数成分を遮断し、アクチュエータの動作が過剰にならないようにする。このように現実の揺動の周波数成分に応じて、ローパスフィルタ141、151のフィルタ帯域fを調整することにより、揺動抑制と省エネルギー化の両立を図る。
なお、フィルタ帯域fの設定方法は任意である。例えば、制御系調整器16は、f1とf2の平均値をfとしてもよいし、平均値よりも所定値だけf1側またはf2側へ移動した値をfに設定してもよい。または、制御系調整器16は、f1およびf2とfの関係を定めたテーブルや関数を記憶していて、FFT結果のf1およびf2と、事前に定めたテーブルに基づいてfを設定してもよい。
(A2)別の方法として、制御系調整器16は、外乱推定器14で推定した推定外乱値の周波数成分分析の結果から、第1の主成分f1と第2の主成分f2を識別し、f1<f<f2となるフィルタ帯域fを各制御軸別のローパスフィルタ141、151に設定してもよい。
制御系調整器16は、ローパスフィルタ141、151のフィルタ帯域の設定に加え、制御目的に応じてパラメータを調整する。
(制御目的:揺動抑制重視の場合)
(B)制御系調整器16は、外乱推定器14と非干渉制御器15の両方をONとする。つまり、制御系調整器16は、出力ゲイン142と出力ゲイン152の値を1に設定する。これにより、外乱による揺動と制御軸間の干渉による揺動の両方が抑制され、水中航走体1の揺動が抑制される。
(制御目的:省エネルギー重視の場合)
(C)制御系調整器16は、外乱推定器14の出力ゲイン142、非干渉制御器15の出力ゲイン152を、揺動の周波数、補償舵角の周波数や補償舵角の大きさ等に基づいて0~1の間で調整する。
(C1)制御系調整器16は、揺動が高周波となる場合には、その揺動に対応するアクチュエータについての非干渉制御器15の出力ゲイン152を1より小さい値に設定する。揺動が高周波となる場合とは、評価指標値“(3)揺動周波数成分の評価値”から得られる上記の第1の主成分f1と第2の主成分f2のうちのf2のピーク値が所定の閾値以上となる場合である。揺動が高周波となる場合には、軸間干渉に対する補償により揺動が起こることが多いことが分かっている。従って、非干渉制御器15の出力ゲイン152を低下させ、非干渉制御の悪影響を低減する。例えば、深度方向(縦方向)の揺動に関し、f2のピーク値が閾値を超過した場合、深度方向の制御に用いる舵への補償舵角に対する出力ゲイン152の値を1未満とする。なお、具体的な出力ゲイン152の値は、例えば、事前にf2の周波数およびピーク値と出力ゲイン152の関係を定めたテーブルを作成しておき、出力ゲイン152の値を調整する直前の所定期間(例えば、5分や10分)に計測された揺動の周波数成分分析結果の主成分f2と、事前に作成したテーブルに基づいて出力ゲイン152を設定してもよい。
(C2)制御系調整器16は、評価指標値“(4)アクチュエータ補償量の評価値”に基づいて、外乱推定器14が出力する外乱補償値と非干渉制御器15が出力する非干渉補償値のそれぞれについて、揺動の場合と同様に上位2つの主要な周波数成分f1、f2(f1<f2)を識別する。そして、制御系調整器16は、外乱補償値のf2と非干渉補償値f2のうちピーク値が大きい方の補償器の出力ゲインを1より小さい値(例えば0でも良い。)とする。例えば、ある制御軸方向(例えば、深度)について算出された外乱補償値の主成分f2をf214、非干渉補償値の主成分f2をf215としたときに、f214のピーク値<f215のピーク値が成立すれば、出力ゲイン152に1より小さい値を設定する。反対にf214のピーク値>f215のピーク値が成立すれば、出力ゲイン142に1より小さい値を設定する。出力ゲイン142や出力ゲイン152の具体的な値は、例えば、事前に外乱推定器14と非干渉制御器15のそれぞれについて個別に定めたf2の周波数およびピーク値と出力ゲインの大きさの関係を示すテーブルに基づいて決定する。これにより、舵の頻繁動作を招く補償値を小さくまたは0とすることができ、省エネルギー性能を向上することができる。
(C3)制御系調整器16は、評価指標値“(2)アクチュエータ動作評価値”に基づいて、外乱推定器14が出力する外乱補償値(例えば、補償舵角の絶対値積分)と非干渉制御器15が出力する非干渉補償値(補償舵角の絶対値積分)のうち値が大きい方の出力ゲインを(C2)の場合と同様にして設定する。例えば、制御系調整器16は、外乱補償値>非干渉補償値であれば、出力ゲイン142に1より小さい値を設定し、外乱補償値>非干渉補償値であれば、出力ゲイン152に1より小さい値を設定する。アクチュエータ動作の増大に寄与する補償器の動作を抑制することで、省エネルギー性能を向上することができる。
(C4)制御系調整器16は、省エネルギー重視での運転中に、評価指標値”(1)揺動評価値”に基づいて、船体の方位角やロール角が、ある閾値以上揺動している場合は、非干渉制御器15の出力ゲイン152を自動的に1とする。方位角やロール角が大きく変化する場合、船体には横からの波が入っている条件となる。この場合は、方位角、ロール角の揺動(外乱)に対する制御が、深度、ピッチ角の制御に干渉するため、横方向の揺動がある閾値以上となった場合は、非干渉制御を自動的にONとする。
(C5)制御系調整器16は、省エネルギー重視での運転中に、評価指標値”(2)アクチュエータ動作評価値“に基づいて、評価指標値(例えば、アクチュエータ動作速度の絶対値積分)が所定の閾値以上だったら、評価指標値と帯域調整ゲインの関係を定めた所定のテーブルに基づいて速度飽和補償器13のパラメータ(帯域調整ゲイン)を変更する。例えば、アクチュエータ動作が大きい状況において、帯域調整ゲインを上げることによって、省エネルギー性能を向上させることができる。
パラメータ算出部17は、制御系調整器16による制御系の切り替えで調整対象となる各種パラメータの値を決定する為のテーブルを作成する。パラメータ算出部17は、外乱情報記憶部171と、シミュレーション評価部172と、を備えている。
外乱情報記憶部171は、水中航走体1の運転中に、出力ゲイン142を0とした状態で外乱推定器14が推定した各制御軸方向別の外乱を示す外乱情報(外乱の波形データ)を取得し、記憶する。
シミュレーション評価部172は、水中航走体1の動作や状態を模擬する船体モデルを有していて、水中航走体1に外乱を与えたときの揺動や、各補償器のパラメータに任意の値を設定して制御を行ったときの水中航走体1の状態を算出することができる。シミュレーション評価部172は、外乱情報記憶部171が記憶する外乱情報を船体モデルに入力し、外乱情報と同じ外乱を水中航走体1に加えたときの揺動を模擬する。また、シミュレーション評価部172は、船体モデルを用いて、模擬した揺動に対し、速度飽和補償器13の帯域調整ゲイン、外乱推定器14のローパスフィルタ141のフィルタ帯域と出力ゲイン142、非干渉制御器15のローパスフィルタ151のフィルタ帯域と出力ゲイン152のそれぞれに様々な値を設定して水中航走体1を運転したときの制御シミュレーションを実行し、各パラメータに設定した値の評価を行う。シミュレーション評価部172は、制御シミュレーション中に算出された揺動やアクチュエータ動作の情報から上述の(1)~(4)の評価指標値を計算し、例えば“(1)揺動状態の評価値”に基づいて揺動が収束するまでの時間(例えば、peak to peak値が閾値以下となるまでの時間)を算出し、“(2)アクチュエータ動作評価値”に基づいて制御実行中のアクチュエータの動作量を算出し、それぞれが所定の基準を満たす場合のパラメータの値を選択する。シミュレーション評価部172は、外乱情報記憶部171が記憶する外乱情報ごとに、各パラメータの値を選択し、その結果をテーブルに登録する。例えば、シミュレーション評価部172は、制御系の切り替え(A1)に関し、主成分f1、f2とローパスフィルタ141,151のフィルタ帯域fの関係を定めたテーブル、(C1)に関し主成分f2と出力ゲイン152の値を定めたテーブル、・・・などを作成する。シミュレーション評価部172は、水中航走体1の速度別に制御シミュレーションを行い、各テーブルを作成してもよい。そして、パラメータ算出部17は、シミュレーション評価部172が作成したテーブルを制御系調整器16へ出力する。制御系調整器16は、シミュレーション評価部172が作成したテーブルに基づいて、上記の制御系の切り替え(A1)~(C5)パラメータ調整を行う。事前にあらゆる種類の外乱を想定してパラメータのテーブルを準備しておくことは難しい。その一方で、例えば同じ海域であれば、所定時間に観測(実際には外乱推定器14により推定)された外乱と同様の外乱が定常的に発生する可能性が高い。パラメータ算出部17によれば、実際に水中航走体1が航行している海域の波浪に応じた外乱に対して適切なパラメータの値を用いて制御を行うことができる。
(動作)
次に制御装置10の動作について説明する。
図4は、実施形態に係る制御システムの動作の一例を示すフローチャートである。
水中航走体1は運転中であり、ユーザ(操縦者)は、制御モード(揺動抑制重視、省エネルギー重視)を事前に制御装置10に指示しているとする。制御装置10は、テーブル作成を行うかどうかを判定する(ステップS1)。ユーザは、テーブル作成を行うかどうかの判断し、作成する場合には、その旨を制御装置10へ入力し、この入力に基づいて、制御装置10はステップS1の判定を行う。例えば、ユーザは、海域の変更や海象の変化などにより、波浪の変化が大きいような場合に、実際の波浪による外乱情報を得るためにテーブル作成指示を制御装置10へ入力する。事前に制御系調整器16が記憶している(標準的な)テーブルで対処できると考えられる場合、ユーザは、テーブル作成指示を行わない。テーブル作成指示が入力されると、制御装置10は、テーブル作成すると判定する。そうでない場合(ステップS1;No)には、ステップS5の処理へ進む。
テーブル作成すると判定した場合(ステップS1;Yes)、まず制御系調整器16が、出力ゲイン142に0を設定する。外乱推定器14では、出力ゲイン142が0となった後も外乱推定処理は継続される。外乱推定器14は、時々刻々、深度方向の揺動を計測する深度計やピッチ角や方位角の揺動を検出するジャイロセンサが計測する計測値を取得し、制御軸方向別に外乱推定を行う(ステップS2)。外乱推定器14は、推定した外乱情報をパラメータ算出部17へ出力する。外乱情報記憶部171は、外乱推定器14から外乱情報を取得して記憶する。外乱情報記憶部171は、水中航走体1の速度と外乱情報とを対応付けて記憶してもよい。外乱情報の採取が終わると、制御系調整器16が、出力ゲイン142に1を設定する。次にシミュレーション評価部172が、推定された外乱情報を船体モデルに与えて、各種パラメータに様々な値を設定しながら制御シミュレーションを行い、制御系切り替え(A1)~(C5)で使用する評価指標値と対応付けて適切なパラメータを決定する(ステップS3)。次にシミュレーション評価部172は、決定したパラメータを登録したテーブルを作成する(ステップS4)。テーブルは、制御系切り替え(A1)~(C5)で設定するパラメータごとに作成される。例えば、制御系切り替え(A2)については、実際に観測(推定)された外乱の範囲で、外乱ごとの主成分f1および主成分f2とローパスフィルタ141のフィルタ帯域fを対応付けたテーブルと、主成分f1および主成分f2とローパスフィルタ151のフィルタ帯域fを対応付けたテーブルが作成される。制御系切り替え(C3)については、実際に観測(推定)された外乱に対する制御シミュレーションで得られた省エネルギー性能の低下を最も防ぐことができる出力ゲイン142や出力ゲイン152の値が登録されたテーブルが作成される。
テーブルが作成されると、あるいはテーブルを作成しない場合、制御系調整器16は、機体20からセンサの計測値などを取得して、上記の(1)~(4)の評価指標値を算出する(ステップS5)。例えば、制御系調整器16は、一定期間(10分など)における(1)~(4)それぞれの評価指標値を算出する。次に制御系調整器16は、算出した評価指標値に基づいて、ローパスフィルタ141、151のフィルタ帯域fの調整(制御系切り替えの(A1)又は(A2))を行う(ステップS6)。次に制御系調整器16は、算出した評価指標値に基づいて、制御目的に応じたパラメータ調整を行う(ステップS7)。例えば、制御目的が揺動重視の場合、制御系調整器16は、制御系切り替えの(B)を行う。制御目的が省エネルギー重視の場合、制御系調整器16は、制御系切り替えの(C1)~(C5)を行う。
制御系調整器16は、ステップS6,S7の処理を一定期間(10分など)ごとに実行する。又は、制御系調整器16は、ステップS6,S7の処理を運転モード、制御目的、海域が変更になったタイミング、ユーザから指示されたタイミングで実行する。制御装置10は、ステップS1~S7の処理を繰り返し行う。
なお、制御目的の設定は、ユーザが手動で切り替えてもよいし、制御系調整器16が(1)~(4)の評価指標値に基づいて自動的に切り替えてもよい。例えば、制御系調整器16は、省エネルギー重視での制御中に“(1)揺動状態の評価値”のPeak to Peak値が閾値を超過する時間の合計が所定時間より長くなると制御モードを揺動抑制重視に切り替えてもよい。又は、制御系調整器16は、揺動抑制重視での制御中に“(2)アクチュエータ動作評価値”が閾値を超過する時間の合計が所定時間より長くなると、制御モードを省エネルギー重視に切り替えてもよい。
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、外乱推定器14によって外乱の直接的な補償を行い、非干渉制御器15によって船体の干渉特性の中での揺動発生の抑制を行いつつ、速度飽和補償器13によってアクチュエータの急峻な動作は抑制し、それらを揺動状態に応じて適切なバランスで運用することで、揺動抑制とアクチュエータ動作の低減(省エネルギー化)の相反事象を両立することができる。また、揺動抑制性能と省エネルギー性能のバランスを任意に調整することができる。
上述の制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置などを備えるコンピュータに実装され、上述した各機能は、プロセッサが、補助記憶装置が記憶するプログラムを実行することにより実現される。プロセッサは、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置に確保する。プロセッサは、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置に確保する。なお、制御装置10の各処理のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアが実行してもよい。
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
<付記>
各実施形態に記載の制御装置、水中航走体、制御方法及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
(1)第1の態様に係る制御装置10は、船体の位置と目標位置との差に基づいて制御指令値を算出するフィードバック制御器11と、前記船体の制御軸間の相互干渉を打ち消すための非干渉補償値を算出する非干渉制御器15と、前記船体の作用する外乱の力を推定し、前記外乱を打ち消すための外乱補償値を算出する外乱推定器14と、前記制御指令に基づいて前記船体のアクチュエータを制御したときに速度飽和が生じないような速度飽和補償値を算出する速度飽和補償器13と、前記船体に生じる揺動および/または前記アクチュエータの動作に基づいて、前記非干渉制御器、外乱推定器および速度飽和補償器のうちの少なくとも1つのパラメータを更新する制御系調整器16と、を有する。
これにより、揺動抑制性能と省エネルギー性能のバランスを調整することができる。
(2)第2の態様に係る制御装置10は、(1)の制御装置であって、前記制御指令を前記速度飽和補償値によって補償する前記速度飽和補償器を含む第1の制御ループと、前記外乱補償値によって補償した前記制御指令を前記第1の制御ループへ与える前記外乱推定器を含む第2の制御ループと、前記非干渉補償値によって補償した前記制御指令を前記第2の制御ループへ与える前記非干渉制御器を含む第3の制御ループと、を有する。
これにより、適切に制御軸間の干渉を非干渉化することができ、その結果、効果的に外乱を抑制することができる。
(3)第3の態様に係る制御装置は、(1)~(2)の制御装置であって、前記船体の揺動の周波数成分分析の結果に基づいて、上位2つの主成分を選択し、前記2つの主成分の間の周波数を前記外乱推定器が備えるローパスフィルタおよび前記非干渉制御器が備えるローパスフィルタのフィルタ帯域に設定する。
これにより、揺動抑制とアクチュエータ動作の低減(省エネルギー化)の相反事象を両立することができる。
(4)第4の態様に係る制御装置は、(1)~(3)の制御装置であって、前記制御系調整器は、制御目的が揺動抑制の場合、前記外乱推定器が備える出力ゲインおよび前記非干渉制御器が備える出力ゲインの値に1を設定する。
これにより、揺動を抑制することができる。
(5)第5の態様に係る制御装置は、(1)~(4)の制御装置であって、前記制御系調整器は、制御目的が省エネルギー化の場合、前記外乱推定器が備える出力ゲインまたは前記非干渉制御器が備える出力ゲインの値に1より小さい値を設定する。
これにより、アクチュエータ動作を抑制することができる。
(6)第6の態様に係る制御装置は、(5)の制御装置であって、前記制御系調整器は、制御目的が省エネルギー化の場合、前記船体の揺動の周波数解析の結果に基づいて、上位2つの主成分を選択し、そのうち周波数が高い成分の周波数が閾値以上の場合、前記非干渉制御器が備える出力ゲインの値に1より小さい値を設定する。
非干渉制御器が出力する補償値の影響による過剰なアクチュエータ動作を抑制することができる。
(7)第7の態様に係る制御装置は、(5)~(6)の制御装置であって、前記制御系調整器は、制御目的が省エネルギー化の場合、前記外乱補償値の高周波成分が前記非干渉補償値の高周波成分より大きいか又は前記外乱補償値が前記非干渉補償値より大きい場合、前記外乱推定器の出力ゲインの値に1より小さい値を設定し、前記非干渉補償値の高周波成分が前記外乱補償値の高周波成分より大きいか又は前記非干渉補償値が前記外乱補償値より大きい場合、前記非干渉制御器の出力ゲインの値に1より小さい値を設定する。
これにより、アクチュエータ動作を大きくする原因となる補償値の影響を低減し、省エネルギー性能を向上することができる。
(8)第8の態様に係る制御装置は、(5)~(7)の制御装置であって、前記制御系調整器は、制御目的が省エネルギー化の場合、船体の方位角またはロール角が、所定の閾値以上揺動している場合、前記非干渉制御器の出力ゲインを1とする。
軸間干渉が生じる状況では、省エネルギー化を目的とする制御下でも、非干渉制御器をONとし、軸間干渉を抑制する。
(9)第9の態様に係る制御装置は、(1)~(8)の制御装置であって、前記制御系調整器は、省エネルギー制御を向上させる場合、速度飽和を補償する作用が強くなるように速度飽和補償器のパラメータを調整する。
これにより、アクチュエータの急峻な動作を抑制し、省エネルギー性能を向上することができる。
(10)第10の態様に係る制御装置は、(1)~(9)の制御装置であって、前記外乱推定器が推定した外乱に基づいて、前記船体に生じる揺動を算出し、前記非干渉制御器、前記外乱推定器および前記速度飽和補償器のうちの少なくとも1つの前記パラメータに様々な値を設定しつつ、算出した前記揺動に対して前記船体を制御するシミュレーションを実行し、前記シミュレーション結果に基づいて、前記パラメータの値を評価して、様々に設定した前記パラメータの値のうち、所定の基準を満たす値を決定するパラメータ算出部、をさらに有する。
これにより、非干渉制御器、外乱推定器および速度飽和補償器のパラメータに適切な値を設定することができる。
(11)第11の態様に係る水中航走体は、(1)~(10)の何れか1つに記載の制御装置を備える。
(12)第12の態様に係る制御方法は、非干渉制御器と、外乱推定器と、速度飽和補償器と、を有する制御装置によって実行される制御方法であって、船体の位置と目標位置との差に基づいて制御指令値を算出するステップと、前記非干渉制御器が、前記船体の制御軸間の相互干渉を打ち消すための非干渉補償値を算出するステップと、前記外乱推定器が、前記船体の作用する外乱の力を推定し、前記外乱を打ち消すための外乱補償値を算出するステップと、前記速度飽和補償器が、前記制御指令値に基づいて前記船体のアクチュエータを制御したときに速度飽和が生じないような速度飽和補償値を算出するステップと、前記船体に生じる揺動および/または前記アクチュエータの動作に基づいて、前記非干渉制御器、前記外乱推定器および前記速度飽和補償器のうちの少なくとも1つのパラメータを調整するステップと、を有する。
1・・・水中航走体、10・・・制御装置、11・・・FB制御器、12・・・アクチュエータ制御系、13・・・速度飽和補償器、14・・・外乱推定器、15・・・非干渉制御器、16・・・制御系調整器、17・・・パラメータ算出部、171・・・外乱情報記憶部、172・・・シミュレーション評価部

Claims (12)

  1. 船体の位置と目標位置との差に基づいて制御指令値を算出するフィードバック制御器と、
    前記船体の制御軸間の相互干渉を打ち消すための非干渉補償値を算出する非干渉制御器と、
    前記船体の作用する外乱の力を推定し、前記外乱を打ち消すための外乱補償値を算出する外乱推定器と、
    前記制御指令値に基づいて前記船体のアクチュエータを制御したときに速度飽和が生じないような速度飽和補償値を算出する速度飽和補償器と、
    前記船体に生じる揺動および/または前記アクチュエータの動作に基づいて、前記非干渉制御器、前記外乱推定器および前記速度飽和補償器のうちの少なくとも1つのパラメータを調整する制御系調整器と、
    を有する制御装置。
  2. 前記制御指令値を前記速度飽和補償値によって補償する前記速度飽和補償器を含む第1の制御ループと、前記外乱補償値によって補償した前記制御指令値を前記第1の制御ループへ与える前記外乱推定器を含む第2の制御ループと、前記非干渉補償値によって補償した前記制御指令値を前記第2の制御ループへ与える前記非干渉制御器を含む第3の制御ループと、を有する請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記船体の揺動の周波数成分分析の結果に基づいて、上位2つの主成分を選択し、前記2つの主成分の間の周波数を前記外乱推定器が備えるローパスフィルタおよび前記非干渉制御器が備えるローパスフィルタのフィルタ帯域に設定する、
    請求項1または請求項2に記載の制御装置。
  4. 前記制御系調整器は、制御目的が揺動抑制の場合、前記外乱推定器が備える出力ゲインおよび前記非干渉制御器の出力ゲインの値に1を設定する、
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御装置。
  5. 前記制御系調整器は、制御目的が省エネルギー化の場合、前記外乱推定器が備える出力ゲインまたは前記非干渉制御器の出力ゲインの値に1より小さい値を設定する、
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載の制御装置。
  6. 前記制御系調整器は、前記船体の揺動の周波数解析の結果に基づいて、上位2つの主成分を選択し、そのうち周波数が高い成分の周波数が閾値以上の場合、前記非干渉制御器の出力ゲインの値に1より小さい値を設定する、
    請求項5に記載の制御装置。
  7. 前記制御系調整器は、前記外乱補償値の高周波成分のピーク値が前記非干渉補償値の高周波成分のピーク値より大きいか又は前記外乱補償値が前記非干渉補償値より大きい場合、前記外乱推定器の出力ゲインの値に1より小さい値を設定し、
    前記非干渉補償値の高周波成分のピーク値が前記外乱補償値の高周波成分のピーク値より大きいか又は前記非干渉補償値が前記外乱補償値より大きい場合、前記非干渉制御器の出力ゲインの値に1より小さい値を設定する、
    請求項5または請求項6に記載の制御装置。
  8. 前記制御系調整器は、船体の方位角またはロール角が、所定の閾値以上揺動している場合、前記非干渉制御器の出力ゲインを1とする、
    請求項5から請求項7の何れか1項に記載の制御装置。
  9. 前記制御系調整器は、省エネルギー制御を向上させる場合、速度飽和を補償する作用が強くなるように速度飽和補償器のパラメータを調整する、
    請求項1から請求項8の何れか1項に記載の制御装置。
  10. 前記外乱推定器が推定した外乱に基づいて、前記船体に生じる揺動を算出し、前記非干渉制御器、前記外乱推定器および前記速度飽和補償器のうちの少なくとも1つのパラメータに様々な値を設定しつつ、算出した前記揺動に対して前記船体を制御するシミュレーションを実行し、前記シミュレーション結果に基づいて、前記パラメータの値を評価して、様々に設定した前記パラメータの値のうち、所定の基準を満たす値を決定するパラメータ算出部、
    をさらに有する請求項1から請求項9の何れか1項に記載の制御装置。
  11. 請求項1から請求項10の何れか1項に記載の制御装置を備える水中航走体。
  12. 非干渉制御器と、外乱推定器と、速度飽和補償器と、を有する制御装置によって実行される制御方法であって、
    船体の位置と目標位置との差に基づいて制御指令値を算出するステップと、
    前記非干渉制御器が、前記船体の制御軸間の相互干渉を打ち消すための非干渉補償値を算出するステップと、
    前記外乱推定器が、前記船体の作用する外乱の力を推定し、前記外乱を打ち消すための外乱補償値を算出するステップと、
    前記速度飽和補償器が、前記制御指令値に基づいて前記船体のアクチュエータを制御したときに速度飽和が生じないような速度飽和補償値を算出するステップと、
    前記船体に生じる揺動および/または前記アクチュエータの動作に基づいて、前記非干渉制御器、前記外乱推定器および前記速度飽和補償器のうちの少なくとも1つのパラメータを調整するステップと、
    を有する制御方法。
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