JP2022182452A - 昇圧制御装置及び昇圧装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022182452000001
【課題】異常発生時における制御モードの切り替え安定性を従来よりも確保することが可能な昇圧制御装置及び昇圧装置を提供する。
【解決手段】上アームスイッチ及び下アームスイッチからなるスイッチングレグを少なくとも1つ備え、上アーム駆動信号によって上アームスイッチのデューティ比が設定され、下アーム駆動信号によって下アームスイッチのデューティ比が設定されることにより入力電圧から出力電圧を生成する昇圧回路の制御装置であって、異常発生を検知すると、下アームスイッチがOFF状態に固定されるように下アーム用デューティ比指令値を設定し、かつ、異常発生前の入力電圧あるいは/及び出力電圧を用いて上アーム用デューティ比指令値を設定するデューティ比設定部とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、昇圧制御装置及び昇圧装置に関する。
下記特許文献1には、車両の電源装置が開示されている。この電源装置は、特許文献1の図1、図2、図4等に示されているように、ハイブリッド制御部31と、電圧センサの出力が過電圧しきい値を超える場合に昇圧コンバータ12に対して動作制限を行なう過電圧保護回路33とを備え、上記ハイブリッド制御部31は、過電圧保護回路33に異常が生じているか否かを判断し、過電圧保護回路33に異常が生じていると判断した場合には、昇圧コンバータ12を通常モードとは異なる退避モードで動作させる。上記退避モードは、少なくとも、電源ラインが電気的に接続された状態に固定されるように昇圧コンバータ12を制御する上アームONモードを含むものである。
特開2009-060726号公報
ところで、背景技術では、上記退避モードにおける車両の退避走行時に昇圧コンバータの上アームON制御を行うが、故障等により機能失陥した状態で昇圧コンバータの制御モードを通常モードから退避モードに切り替えるので、異常発生時における制御モードの切換え安定性を十分に確保できない虞があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、異常発生時における制御モードの切り替え安定性を従来よりも確保することが可能な昇圧制御装置及び昇圧装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、昇圧制御装置に係る第1の解決手段として、上アームスイッチと下アームスイッチとで構成されるスイッチングレグを少なくとも1つ備え、上アーム駆動信号によって前記上アームスイッチのON/OFFデューティ比が設定され、下アーム駆動信号によって前記下アームスイッチのON/OFFデューティ比が設定されることにより入力電圧から出力電圧を生成する昇圧回路を制御する昇圧制御装置であって、異常発生を検知すると、前記下アームスイッチがOFF状態に固定されるように下アーム用デューティ比指令値を設定し、かつ、異常発生前の前記入力電圧あるいは/及び前記出力電圧を用いて上アーム用デューティ比指令値を設定するデューティ比設定部とを備える、という手段を採用する。
本発明では、昇圧制御装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記デューティ比設定部は、異常発生前の前記出力電圧の指令値と異常発生後の前記入力電圧とを平均化処理し、当該平均化処理の結果を用いて前記上アーム用デューティ比指令値を設定する、という手段を採用する。
本発明では、昇圧制御装置に係る第3の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記デューティ比設定部は、異常発生前の前記入力電圧あるいは/及び前記出力電圧と異常発生後の前記入力電圧あるいは/及び前記出力電圧とを平均化処理し、当該平均化処理の結果を用いて前記上アーム用デューティ比指令値を設定する、という手段を採用する。
本発明では、昇圧制御装置に係る第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記デューティ比設定部は、前記入力電圧を検出する入力電圧センサの異常を検出した場合、異常発生前の前記入力電圧と異常発生後の前記入力電圧との平均化処理の結果を前記出力電圧で除算することにより、前記上アーム用デューティ比指令値を設定する、という手段を採用する。
本発明では、昇圧制御装置に係る第5の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記デューティ比設定部は、前記出力電圧を検出する出力電圧センサの異常を検出した場合、異常発生前の前記出力電圧と異常発生後の前記出力電圧との平均化処理の結果で前記入力電圧で除算することにより、前記上アーム用デューティ比指令値を設定する、という手段を採用する。
本発明では、昇圧制御装置に係る第6の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記デューティ比設定部は、前記入力電圧を検出する入力電圧センサ及び前記出力電圧を検出する出力電圧センサの異常を検出した場合、異常発生前の前記入力電圧と異常発生後の前記入力電圧との平均化処理の結果を異常発生前の前記出力電圧と異常発生後の前記出力電圧との平均化処理の結果で除算することにより、前記上アーム用デューティ比指令値を設定する、という手段を採用する。
本発明では、昇圧制御装置に係る第7の解決手段として、上記第1~第6のいずれかの解決手段において、前記上アームスイッチのON/OFFデューティ比が時間経過に伴って徐々に増加するように前記上アーム駆動用デューティ比指令値を設定する、という手段を採用する。
本発明では、昇圧装置に係る解決手段として、上記第1~第7のいずれかの解決手段に係る昇圧制御装置と、該昇圧制御装置によって制御される昇圧回路とを備える、という手段を採用する。
本発明によれば、異常発生時における制御モードの切り替え安定性を従来よりも確保することが可能な昇圧制御装置及び昇圧装置を提供することが可能である。
本発明の一実施形態に係る昇降圧装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る昇降圧制御装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る昇圧装置及び昇降圧制御装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る昇圧装置及び昇降圧制御装置の動作及び効果を示す波形図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるPCU1(Power Control Unit)の構成を示すブロック図である。このPCU1は、図示するように電池PとモータM及び発電機Gとの間に設けられ、外部接続用の端子として、電池Pが接続される一対の電池用端子E1、E2、走行モータMが接続される3つのモータ用端子Fu、Fv、Fw、また発電機Gが接続される3つの発電機用端子Hu、Hv、Hwを備えている。
電池Pは、図示するように、プラス電極がプラス極電池用端子E1に接続され、マイナス電極がマイナス極電池用端子E2に接続されている。この電池Pは、リチウムイオン電池等の二次電池であり、PCU1を介した直流電力の充放電とを行う。
走行モータMは、三相電動機であり、駆動用インバータD2の負荷である。この走行モータMは、U相入力端子がU相モータ用端子Fuに接続され、V相入力端子がV相モータ用端子Fvに接続され、またW相入力端子がW相モータ用端子Fwに接続されている。このような走行モータMは、回転軸(駆動軸)が電動車両の車輪に接続されており、当該車輪に走行動力を作用させることにより車輪を回転駆動する。
発電機Gは、三相発電機であり、U相出力端子がU相発電機用端子Huに接続され、V相出力端子がV相発電機用端子Hvに接続され、またW相出力端子がW相発電機用端子Hwに接続されている。この発電機Gは、電動車両に搭載されたエンジン等の動力源の出力軸に接続されており、三相交流電力をPCU1に出力する。
このように、電池PとモータM及び発電機Gとの間で電力変換を行うPCU1は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の電動車両に搭載され、走行動力の動力源である走行モータMを駆動すると共に発電機Gの発電電力を電池Pに充電する。すなわち、PCU1は、電池Pの直流電力を三相交流電力に変換してモータMに出力する力行機能と、交流電力であるモータMの回生電力あるいは/及び発電機Gの発電電力を直流電力変換して電池Pに出力する充電機能とを有する。
このようなPCU1は、内部の構成要素として、昇降圧コンバータD1、駆動用インバータD2、発電用インバータD3、ゲート駆動回路D4及び制御回路D5を備えている。詳細については後述するが、本実施形態に係る昇降圧装置Eは、このようなPCU1の構成要素のうち、ゲート駆動回路D4及び制御回路D5の一部(昇降圧制御機能)と昇降圧コンバータD1とから構成されている。
昇降圧装置Eは、電池Pから入力された所定電圧の電池電力(一次電力)を昇降圧コンバータD1で昇圧し二次電力として駆動用インバータD2に出力する昇圧機能と、駆動用インバータD2あるいは/及び発電用インバータD3から入力される直流電力(二次電力)を昇降圧コンバータD1で降圧し充電電力(一次電力)として電池Pに出力する降圧機能とを有する。
このような昇降圧装置Eの昇圧機能は、本発明に係る昇圧装置に相当する。また、昇降圧コンバータD1は、本発明の昇圧回路に相当する。さらに、上記制御回路D5は、本実施形態に係る昇降圧制御装置に相当し、また本発明に係る昇圧制御装置に相当する。
PCU1の各構成要素についてさらに詳しく説明すると、昇降圧コンバータD1は、所謂磁気結合インターリーブ型チョッパ回路と言われる電力回路であり、図1に示すように第1コンデンサ2、トランス3、4つの変圧用IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)4a~4d、第2コンデンサ5、一次電圧センサ6,二次電圧センサ7及び電流センサ8を備えている。
この昇降圧コンバータD1は、一対の電池用端子E1、E2を介して電池Pから入力された直流電力を昇圧して駆動用インバータD2に出力する昇圧動作と、駆動用インバータD2あるいは/及び発電用インバータD3から入力された直流電力を降圧して一対の電池用端子E1、E2を介して電池Pに出力する降圧動作とを択一的に行う。すなわち、この昇降圧コンバータD1は、電池Pと駆動用インバータD2あるいは/及び発電用インバータD3との間で直流電力を昇圧あるいは降圧して入出力する電力変換回路である。
駆動用インバータD2は、走行モータM(電動機)の相数に対応して3つ(複数)設けられた3つ(複数)のスイッチングレグ(U相駆動用スイッチングレグ、V相駆動用スイッチングレグ及びW相駆動用スイッチングレグ)を備える。この駆動用インバータD2は、力行動作と回生動作とを択一的に行う電力変換回路であり、ゲート駆動回路D4から入力される第1~第6駆動用ゲート信号によって駆動される。
すなわち、駆動用インバータD2は、昇降圧コンバータD1から入力された直流電力を三相交流電力に変換し、3つのモータ用端子Fu、Fv、Fwを介して走行モータMに出力する力行動作と、3つのモータ用端子Fu、Fv、Fwを介して走行モータMから入力された三相交流電力を直流電力に変換して昇降圧コンバータD1に出力する回生動作とを択一的に行う。このような駆動用インバータD2は、昇降圧コンバータD1と走行モータMとの間で直流電力と三相交流電力とを相互変換する電力変換回路である。
発電用インバータD3は、3つの発電機用端子Hu、Hv、Hwを介して発電機Gから入力される三相交流電力を直流電力に変換して昇降圧コンバータD1に出力する電力変換回路である。すなわち、この発電用インバータD3は、昇降圧コンバータD1と発電機Gとの間で直流電力と三相交流電力とを相互変換する電力変換回路であり、ゲート駆動回路D4から入力される第1~第6発電用ゲート信号によって駆動される。
ここで、上述した昇降圧コンバータD1について、さらに詳しく説明する。昇降圧コンバータD1において、第1コンデンサ2は、一端が第1の直流入出力端子E1及びトランス3に接続され、他端が第2の直流入出力端子E2に接続されている。このような第1コンデンサ2の両端は、昇降圧コンバータD1における一次側入出力端子である。
すなわち、この第1コンデンサ2は、電池Pに対して並列接続されており、当該電池Pから昇降圧コンバータD1に入力される直流電力(電池電力)に含まれ得る高周波ノイズを除去する。また、この第1コンデンサ2は、トランス3から入力される直流電力(充電電力)については、含まれ得るリップルを平滑化する。
トランス3は、一次巻線3aと二次巻線3bとを備えており、一次巻線3aの一端及び二次巻線3bの一端が上記第1の直流入出力端子E1及び第1コンデンサ2の一端に接続されている。また、一次巻線3aの他端は、第1の変圧用IGBT4aのエミッタ端子及び第2の変圧用IGBT4bのコレクタ端子に接続され、二次巻線3bの他端は、第3の変圧用IGBT4cのエミッタ端子及び第4の変圧用IGBT4dのコレクタ端子に接続されている。
このようなトランス3は、一次巻線3aと二次巻線3bとが所定の結合係数kで電磁気的に結合している。すなわち、一次巻線3aは、自身の巻き数等に応じた所定の第1自己インダクタンスLaを有し、二次巻線3bは自身の巻き数等に応じた所定の第2自己インダクタンスLbを有している。また、一次巻線3aと二次巻線3bとは、上述した第1自己インダクタンスLa、第2自己インダクタンスLb及び結合係数kに基づく相互インダクタンスMを有している。
4つの変圧用IGBT4a~4dのうち、第1の変圧用IGBT4a及び第2の変圧用IGBT4bは、昇降圧コンバータD1におけるA相変圧用スイッチングレグを構成している。また、第3の変圧用IGBT4c及び第4の変圧用IGBT4dは、昇降圧コンバータD1におけるB相スイッチングレグを構成している。
第1の変圧用IGBT4aは、A相変圧用スイッチングレグにおける上アームスイッチであり、第2の変圧用IGBT4bは、A相変圧用スイッチングレグにおける下アームスイッチである。また、第3の変圧用IGBT4cは、B相変圧用スイッチングレグにおける上アームスイッチであり、第4の変圧用IGBT4dは、B相変圧用スイッチングレグにおける下アームスイッチである。
第1の変圧用IGBT4aは、コレクタ端子が第3の変圧用IGBT4cのコレクタ端子及び第2コンデンサ5の一端に共通接続されており、エミッタ端子が一次巻線3aの他端及び第2の変圧用IGBT4bのコレクタ端子に共通接続され、ゲート端子がゲート駆動回路D4における昇降圧コンバータD1用の第1出力端子に接続されている。このような第1の変圧用IGBT4aは、ゲート駆動回路D4から入力される第1変圧用ゲート信号に基づいてON/OFFデューティ比が制御される半導体スイッチング素子である。
第2の変圧用IGBT4bは、コレクタ端子が一次巻線3aの他端及び第1の変圧用IGBT4aのエミッタ端子に共通接続され、エミッタ端子が第4の変圧用IGBT4dのエミッタ端子、第1コンデンサ2の他端及び第2コンデンサ5の他端に共通接続され、ゲート端子がゲート駆動回路D4における昇降圧コンバータD1用の第2出力端子に接続されている。このような第2の変圧用IGBT4bは、ゲート駆動回路D4から入力される第2変圧用ゲート信号に基づいてON/OFFデューティ比が制御される半導体スイッチング素子である。
第3の変圧用IGBT4cは、コレクタ端子が第1の変圧用IGBT4aのコレクタ端子及び第2コンデンサ5の一端に共通接続され、エミッタ端子が二次巻線3bの他端及び第4の変圧用IGBT4dのコレクタ端子に共通接続され、ゲート端子がゲート駆動回路D4における昇降圧コンバータD1用の第3出力端子に接続されている。このような第3の変圧用IGBT4cは、ゲート駆動回路D4から入力される第3変圧用ゲート信号に基づいてON/OFFデューティ比が制御される半導体スイッチング素子である。
第4の変圧用IGBT4dは、コレクタ端子が二次巻線3bの他端及び第3の変圧用IGBT4cのエミッタ端子に共通接続され、エミッタ端子が第1の変圧用IGBT4aのエミッタ端子、第1コンデンサ2の他端及び第2コンデンサ5の他端に共通接続され、ゲート端子がゲート駆動回路D4における昇降圧コンバータD1用の第4出力端子に接続されている。このような第4の変圧用IGBT4dは、ゲート駆動回路D4から入力される第4変圧用ゲート信号に基づいてON/OFFデューティ比が制御される半導体スイッチング素子である。
このような第1~第4の変圧用IGBT4a~4dは、図示するように各々に還流ダイオードを備えている。すなわち、この還流ダイオードは、各々のIGBTについて、カソード端子がコレクタ端子に接続され、またアノード端子がエミッタ端子に接続されている。このような還流ダイオードは、IGBTがOFF状態の時にアノード端子からカソード端子に還流電流を流すことができる。
第2コンデンサ5は、一端が第1の変圧用IGBT4aのコレクタ端子及び第3の変圧用IGBT4cのコレクタ端子に接続され、他端が第2の変圧用IGBT4bのエミッタ端子、第4の変圧用IGBT4dのエミッタ端子、第1コンデンサ2の他端及び第2の直流入出力端子E2に共通接続されている。このような第2コンデンサ5の両端は、昇降圧コンバータD1における二次側入出力端子である。
このような第2コンデンサ5は、第1、第2スイッチングレグから入力される直流電力(昇圧電力)に含まれ得るリップルを平滑化する。また、この第2コンデンサ5は、駆動用インバータD2から入力される直流電力(回生電力)及び発電用インバータD3から入力される直流電力(充電電力)に含まれ得るリップルを平滑化する。
一次電圧センサ6は、昇降圧コンバータD1の一次側つまり電池P側の一次電圧V1を検出する電圧センサであり、昇降圧コンバータD1の状態量である一次電圧V1を制御回路D5に出力する。この一次電圧V1は、昇降圧コンバータD1の昇圧動作における入力電圧である。すなわち、一次電圧センサ6は、本発明の入力電圧センサに相当する。
二次電圧センサ7は、昇降圧コンバータD1の二次側つまり駆動用インバータD2側(発電用インバータD3側)の二次電圧V2を検出する電圧センサであり、昇降圧コンバータD1の状態量である二次電圧V2を制御回路D5に出力する。この二次電圧V2は、昇降圧コンバータD1の昇圧動作における出力電圧である。すなわち、二次電圧センサ7は、本発明の出力電圧センサに相当する。
電流センサ8は、トランス3の一次巻線3aに流れる一次電流と二次巻線3bに流れる二次電流との合計電流をリアクトル電流Iとして検出する電流センサであり、昇降圧コンバータD1の状態量であるリアクトル電流Iを制御回路D5に出力する。このリアクトル電流Iは、昇降圧コンバータD1における一次側から二次側に流れる力行電流あるいは二次側から一次側に流れる回生電流または充電電流に相当する。
続いて、ゲート駆動回路D4は、変圧用ゲート信号生成部9、駆動用ゲート信号生成部10及び発電用ゲート信号生成部11を備える。このゲート駆動回路D4は、制御回路D5から入力される各種Duty指令値(変圧用Duty指令値、駆動用Duty指令値及び発電用Duty指令値)に基づいて、第1~第4変圧用ゲート信号、第1~第6駆動用ゲート信号及び第1~第6発電用ゲート信号を生成する回路である。
変圧用ゲート信号生成部9は、昇降圧コンバータD1に対応するものであり、制御回路D5から入力される変圧用Duty指令値及び変圧用キャリア周波数に基づいて第1~第4変圧用ゲート信号を生成する。この変圧用ゲート信号生成部9は、本発明の駆動信号生成部に相当する。また、第1~第4変圧用ゲート信号のうち、第1、第3変圧用ゲート信号は、本発明の上アーム駆動信号に相当し、第2、第4変圧用ゲート信号は、本発明の下アーム駆動信号に相当する。
すなわち、変圧用ゲート信号生成部9は、変圧用Duty指令値を変圧用キャリア周波数に相当する周期の搬送波(三角波)と比較することにより、変圧用キャリア周波数及び変圧用Duty指令値に応じた繰返し周波数(繰返し周期)及びデューティ比を有するPWM(Pulse Width Modulation)信号を第1~第4変圧用ゲート信号として生成する。
この変圧用ゲート信号生成部9は、第1変圧用ゲート信号を第1変圧用IGBT4aのゲート端子に出力し、第2変圧用ゲート信号を昇降圧コンバータD1の第2変圧用IGBT4bのゲート端子に出力し、第3変圧用ゲート信号を昇降圧コンバータD1の第3変圧用IGBT4cに出力し、第4変圧用ゲート信号を昇降圧コンバータD1の第4変圧用IGBT4dに出力する。
駆動用ゲート信号生成部10は、駆動用インバータD2に対応するものであり、制御回路D5から入力される駆動用Duty指令値及び駆動用キャリア周波数に基づいて第1~第6駆動用ゲート信号生成する。
すなわち、駆動用ゲート信号生成部10は、駆動用Duty指令値を駆動用キャリア周波数に相当する周期の搬送波(三角波)と比較することにより、駆動用キャリア周波数及び駆動用Duty指令値に応じた繰返し周波数(繰返し周期)及びデューティ比を有するPWM信号を第1~第6駆動用ゲート信号として生成する。
発電用ゲート信号生成部11は、発電用インバータD3に対応するものであり、制御回路D5から入力される発電用Duty指令値及び発電用キャリア周波数に基づいて第1~第6発電用ゲート信号生成する。
すなわち、発電用ゲート信号生成部11は、発電用Duty指令値を発電用キャリア周波数に相当する周期の搬送波(三角波)と比較することにより、発電用キャリア周波数及び発電用Duty指令値に応じた繰返し周波数(繰返し周期)及びデューティ比を有するPWM信号を第1~第6発電用ゲート信号として生成する。
制御回路D5は、ゲート駆動回路D4を介して昇降圧コンバータD1、駆動用インバータD2及び発電用インバータD3を制御することにより、走行モータMの駆動制御及び電池Pの充電制御を行う。この制御回路D5は、予め記憶された制御プログラムに基づいて生成した各種Duty指令値(変圧用Duty指令値、駆動用Duty指令値及び発電用Duty指令値)をゲート駆動回路D4に出力する。
すなわち、制御回路D5は、昇降圧コンバータD1に付帯的に設けられる一次電圧センサ6及び二次電圧センサ7の各電圧検出値(一次電圧V1及び二次電圧V2)及び電流センサ8の電流検出値(リアクトル電流I)並びに上位制御装置(図示略)から入力される電動車両の操作情報等に基づいて変圧用Duty指令値、駆動用Duty指令値及び発電用Duty指令値を生成する。なお、このような制御回路D5は、本発明のデューティ比設定部に相当する。
この制御回路D5は、変圧用Duty指令値を変圧用ゲート信号生成部9に出力することにより昇降圧コンバータD1を制御する。また、制御回路D5は、駆動用Duty指令値を駆動用ゲート信号生成部10に出力することにより駆動用インバータD2を制御する。さらに、制御回路D5は、発電用Duty指令値を駆動用ゲート信号生成部10に出力することにより発電用インバータD3を制御する。
また、この制御回路D5は、上述した昇降圧コンバータD1の異常を検出する機能を有する。制御回路D5は、昇降圧コンバータD1の各構成要素のうち、例えば一次電圧V1、二次電圧V2及びリアクトル電流Iに基づいて一次電圧センサ6,二次電圧センサ7及び電流センサ8の異常を検出する。
続いて、本実施形態に係る昇降圧制御装置つまり制御回路D5の機能構成について、図2を参照して詳しく説明する。
この制御回路D5は、昇降圧コンバータD1の制御を担う制御構成要素である。この制御回路D5は、昇降圧コンバータD1を駆動する変圧用ゲート信号生成部9を制御するものであり、図2に示すように目標値設定部12、入力部13,電流制御部14、電圧制御部15、Duty制御部16及びキャリア周波数設定部17を備える。
目標値設定部12は、電動自動車の操作量等に基づいて変圧用制御目標値を設定する機能構成要素である。この変圧用制御目標値は、昇降圧コンバータD1が昇圧動作をする場合の昇圧比の目標量又は昇降圧コンバータD1が降圧動作をする場合の降圧比の目標量である。目標値設定部12は、このような変圧用制御目標値X0を電流制御部14に出力する。なお、上記昇圧比又は降圧比は、上述した一次電圧V1と二次電圧V2との比率である。
入力部13は、一次電圧センサ6から入力される一次電圧V1、二次電圧センサ7から入力される二次電圧V2及び電流センサ8から入力されるリアクトル電流Iつまりアナログ信号を時系列的にサンプリングしてデジタル信号に変換する信号変換回路である。この入力部13は、デジタル信号である一次電圧V1、二次電圧V2及びリアクトル電流Iを電圧制御部14及びキャリア周波数設定部17に出力し、またデジタル信号であるリアクトル電流Iを電圧制御部15に出力する。
なお、入力部13は、付加機能として、一定期間に亘ってサンプリングした過去の一次電圧V1、二次電圧V2及びリアクトル電流Iを一時的に記憶する記憶機能を備えている。すなわち、入力部13は、例えば数十サンプルの一次電圧V1、二次電圧V2及びリアクトル電流Iを記憶する記憶容量を有している。
さらに、入力部13は、デジタル値として時系列的に並ぶ過去及び最新(現在)の複数の一次電圧V1、二次電圧V2及びリアクトル電流Iについて移動平均処理あるいはローパスフィルタ処理(平均化処理)を施すことにより、現時点における一次電圧V1及び二次電圧V2の各推定値(一次電圧推定値V1e及び二次電圧推定値V2e)を演算する推定値演算機能を備えている。
電流制御部14は、目標値設定部12から入力される変圧用制御目標値X0、また上記入力部13から入力される一次電圧V1、二次電圧V2及びリアクトル電流Iに基づいて電流指令値X1を演算する演算部である。この電流制御部14は、電流指令値X1を電圧制御部15に出力する。
電圧制御部15は、上記電流指令値X1及びリアクトル電流Iに基づいて電圧指令値X2を演算する演算部である。この電圧制御部15は、電圧指令値X2をDuty制御部16に出力する。Duty制御部16は、上記電圧指令値X2に基づいて第1~第4変圧用ゲート信号(PWM信号)のデューティ比を示すDuty指令値X3、X4を演算する演算部である。
ここで、上述した昇降圧コンバータD1は、磁気結合した一次巻線3aと二次巻線3bとを備えると共にA相変圧用スイッチングレグとB相スイッチングレグとを備える磁気結合インターリーブ型チョッパ回路である。A相変圧用スイッチングレグとB相スイッチングレグとは、位相関係が180°異なる第1、第2変圧用ゲート信号と第3、第4変圧用ゲート信号とによって制御される。
このような昇降圧コンバータD1に対応するため、上記Duty指令値X3、X4は、A相Duty指令値X3とB相Duty指令値X4とからなる。すなわち、A相Duty指令値X3は、第1変圧用ゲート信号及び第2変圧用ゲート信号のデューティ比を指定する指令値であり、B相Duty指令値X4は、第3変圧用ゲート信号及び第4変圧用ゲート信号のデューティ比を指定する指令値である。
キャリア周波数設定部17は、上述した一次電圧V1、二次電圧V2及びリアクトル電流Iに基づいて第1~第4変圧用ゲート信号の繰返し周波数(キャリア周波数fc)を設定する機能構成要素である。このキャリア周波数fcは、変圧用ゲート信号生成部9が第1~第4変圧用ゲート信号の生成に使用する搬送波(三角波)の周波数に相当する発電用キャリア周波数であり、昇降圧コンバータD1を構成するの第1~第4変圧用IGBT6a~6dのスイッチング周波数を指定する物理量である。
すなわち、このキャリア周波数設定部17は、昇降圧コンバータD1(磁気結合インターリーブ型チョッパ回路)の動作状態を示す一次電圧V1、二次電圧V2及びリアクトル電流Iに基づいて、昇降圧コンバータD1(磁気結合インターリーブ型チョッパ回路)のキャリア周波数fcを設定する。
次に、本実施形態に係る昇降圧装置E及び昇降圧制御装置(制御回路D5)の動作について、図3及び図4をも参照して詳しく説明する。
上述したように制御回路D5には、一次電圧センサ6から一次電圧V1が入力され、二次電圧センサ7から二次電圧V2が入力され、また電流センサ8からリアクトル電流Iが常時入力されている。制御回路D5は、一次電圧V1、二次電圧V2及びリアクトル電流Iの各値について、図3に示す異常診断が終了(異常が確定)してから開始する処理(退避運転切り替え処理)を所定のタイムインターバル順次繰り返すことにより、各時刻におけるA相Duty指令値X3及びB相Duty指令値X4を以下のように生成する。
最初に、制御回路D5は、一次電圧V1、二次電圧V2及びリアクトル電流Iの各値が予め設定された正常範囲内であるか否かを評価することにより、一次電圧センサ6、二次電圧センサ7あるいは/及び電流センサ8の異常発生を判断する(ステップS1)。そして、制御回路D5は、一次電圧センサ6、一次電圧センサ6、二次電圧センサ7及び電流センサ8に異常が発生していない場合つまりステップS1の判断が「No」の場合、通常の制御演算処理を行う(ステップS2)。
すなわち、制御回路D5は、上述した目標値設定部12、入力部13,電流制御部14、電圧制御部15、Duty制御部16及びキャリア周波数設定部17によって最終的に生成したA相Duty指令値X3及びB相Duty指令値X4を変圧用ゲート信号生成部9に出力する。そして、変圧用ゲート信号生成部9は、A相Duty指令値X3及びB相Duty指令値X4に基づいて第1~第4変圧用ゲート信号を生成して昇降圧コンバータD1に出力する。
図4に示すように、昇降圧コンバータD1の昇圧動作時において、第1、第2変圧用ゲート信号は、第1、第2変圧用IGBT4a、4bを同期してON/OFFするようハイ電位とロー電位とを一定周期で繰り返すパルス信号である。これに対して、第3、第4変圧用ゲート信号は、第1、第2変圧用ゲート信号が位相反転した信号であり、第3、第4変圧用IGBT4c、4dを同期してON/OFFするようハイ電位とロー電位とを一定周期で繰り返すパルス信号である。
昇降圧コンバータD1は、このような第1~第4変圧用ゲート信号によって第1~第4変圧用IGBT4a~4dがON/OFF(昇圧スイッチング動作)することによって、一次電圧V1を昇圧して二次電圧V2を生成する。そして、この二次電圧V2は、駆動用インバータD2に入力されて三相交流電力に変換されてモータMに入力される。すなわち、モータMは、昇降圧コンバータD1と駆動用インバータD2との協働によって通常駆動される。
ここで、A相スイッチングレグを構成する第1、第2変圧用IGBT4a、4bを駆動する第1、第2変圧用ゲート信号は、B相スイッチングレグを構成する第3、第4変圧用IGBT4c、4dを駆動する第3、第4変圧用ゲート信号に対して位相が180°異なる。したがって、第1、第2変圧用IGBT4a、4bと第3、第4変圧用IGBT4c、4dとは、位相が180°異なる状態でON/OFFする。
この結果、A相スイッチングレグに接続する一次巻線3aのリアクトル電流(A相リアクトル電流Ia)とB相スイッチングレグに接続する二次巻線3bのリアクトル電流(B相リアクトル電流Ib)とは、リップル電流の位相が180°異なる関係となる。このA相リアクトル電流Iaは、第1変圧用IGBT6aに設けられた還流ダイオードを介して第2コンデンサ5に流れ、またB相リアクトル電流Ibは、第3変圧用IGBT6cに設けられた還流ダイオードを介して第2コンデンサ5に流れる。
すなわち、第2コンデンサ5にはA相リアクトル電流Ia及びB相リアクトル電流Ibの合成電流が流れる。この合成電流の振幅は、A相リアクトル電流IaとB相リアクトル電流Ibとが180°異なる位相関係にあるために極めて小さい。このような昇降圧コンバータD1(磁気結合インターリーブ型チョッパ回路)では、単相構成の一般的なチョッパ回路に比較して出力電流リップルを大幅に低減する。
このような制御回路D5における通常の制御演算処理に基づく昇降圧装置Eの通常動作に対して、ステップS1の判断が「Yes」の場合、つまり一次電圧センサ6、二次電圧センサ7あるいは/及び電流センサ8の異常発生を検知すると、制御回路D5は、この異常が初回異常つまり初めて発生した異常か否かを判断する(ステップS3)。
すなわち、制御回路D5は、一次電圧に基づいて一次電圧センサ6の異常発生を検出した場合、この一次電圧センサ6の異常が車両走行が開始された後に初めて検出されたものなのか否かを判断する。また、制御回路D5は、二次電圧に基づいて二次電圧センサ7の異常発生を検出した場合、この二次電圧センサ7の異常が車両走行が開始された後に初めて検出されたものなのか否かを判断する。さらに、制御回路D5は、リアクトル電流Iに基づいて電流センサ8の異常発生を検出した場合、この電流センサ8の異常が車両走行が開始された後に初めて検出されたものなのか否かを判断する。
そして、制御回路D5は、ステップS3の判断が「Yes」の場合つまり初回異常の場合、制御回路D5は、下アームスイッチ、つまりA相スイッチングレグの第2変圧用IGBT4b及びB相スイッチングレグの第4変圧用IGBT4dをOFF状態に固定するように、A相Duty指令値X3及びB相Duty指令値X4のうち、A相下アーム用Duty指令値X3(下アーム用デューティ比指令値)及びB相下アーム用Duty指令値X4(下アーム用デューティ比指令値)を設定する(ステップS4)。
そして、制御回路D5は、上記ステップS4に続いて、上アームスイッチ、つまりA相スイッチングレグの第1変圧用IGBT4a及びB相スイッチングレグの第3変圧用IGBT4cについて、A相上アーム用Duty指令値X3(上アーム用デューティ比指令値)及びB相上アーム用Duty指令値X4(上アーム用デューティ比指令値)を以下のように設定する(ステップS5)。
すなわち、制御回路D5は、入力部13で演算された一次電圧推定値V1e、二次電圧推定値V2e及びリアクトル電流推定値Ieを用いて上アーム駆動用デューティ比指令値を設定する。これら一次電圧推定値V1e、二次電圧推定値V2e及びリアクトル電流推定値Ieは、異常発生前の一次電圧V1(入力電圧)、二次電圧V2(出力電圧)及びリアクトル電流I、つまり正常な一次電圧V1(入力電圧)、二次電圧V2(出力電圧)及びリアクトル電流Iを用いて演算された信頼性の高い値である。
ここで、例えば一次電圧センサ6の異常発生を検出した場合、制御回路D5は、一次電圧推定値V1e、二次電圧推定値V2e及びリアクトル電流推定値Ieのうち、一次電圧推定値V1eを選択し、当該一次電圧推定値V1eを二次電圧V2で除算することによってA相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4を設定する。
また、例えば二次電圧センサ7の異常発生を検出した場合、制御回路D5は、一次電圧推定値V1e、二次電圧推定値V2e及びリアクトル電流推定値Ieのうち、二次電圧推定値V2eを選択し、一次電圧V1を二次電圧推定値V2eで除算することによってA相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4を設定する。
さらに、一次電圧センサ6及び二次電圧センサ7の異常発生を検出した場合、制御回路D5は、一次電圧推定値V1e、二次電圧推定値V2e及びリアクトル電流推定値Ieのうち、一次電圧推定値V1e及び二次電圧推定値V2eを選択する。そして、制御回路D5は、一次電圧推定値V1eを二次電圧推定値V2eで除算することによってA相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4を設定する。
一方、上述したステップS3の判断結果が「No」の場合、つまり2回目以降の異常の場合、制御回路D5は、下アームスイッチ(第2変圧用IGBT4b及び第4変圧用IGBT4d)をOFF状態に固定するように、下アーム用デューティ比指令値(A相下アーム用Duty指令値X3及びB相下アーム用Duty指令値X4)を設定する(ステップS6)。
そして、制御回路D5は、このステップS6の処理が完了すると、異常発生時における上アーム用デューティ比指令値(A相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4)が100%以下か否かを評価する(ステップS7)。
そして、制御回路D5は、このステップS7の判断が「Yes」の場合つまり上アーム用デューティ比指令値(A相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4)が100%以下の場合、上アームスイッチ(第1変圧用IGBT4a及び第3変圧用IGBT4c)について、上アーム用デューティ比指令値(A相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4)を以下のように設定する(ステップS8)。
すなわち、制御回路D5は、現在の上アーム用デューティ比指令値Dnに対して予め設定された値Δd(Duty増加量)を加算することにより、上アーム用デューティ比指令値(A相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4)を時間経過に伴って徐々に増加させる。
一方、制御回路D5は、このステップS7の判断が「No」の場合、つまり上アーム用デューティ比指令値(A相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4)が100%に到達した場合、異常診断処理を終了させる。
このような異常診断処理が繰り返されることによって、上アーム用デューティ比指令値(A相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4)は、異常発生時からの時間経過に従って徐々に増加し、最終的に100%に到達する。この結果、昇降圧コンバータD1の昇圧動作は、完全に停止する。
ここで、図4に示すように、一次電圧センサ6、二次電圧センサ7あるいは/及び電流センサ8の異常発生時刻teから制御回路D5における異常検出時刻tsまでの間には時間差(タイムラグ)が発生する。この異常発生時刻teから異常検出時刻tsまでの期間は、制御回路D5の制御モードが通常モードから退避モードに切り替わる制御モード移行期間であり、電動車両の運転状態が通常運転から退避運転に切り替わる運転状態移行期間でもある。
この切替期間において、制御回路D5は正常な一次電圧V1、二次電圧V2あるいは/及びリアクトル電流Iを取得することができないので、制御回路D5が生成するDuty指令値は、正常性に欠けるものとなる。
そして、制御回路D5は、異常検出時刻ts以降において、下アームスイッチ(第2変圧用IGBT4b及び第4変圧用IGBT4d)をOFF状態に固定するように下アーム用デューティ比指令値(A相下アーム用Duty指令値X3及びB相下アーム用Duty指令値X4)を設定する。この結果、昇降圧コンバータD1は、昇圧動作を停止する。
そして、制御回路D5は、異常センサ(一次電圧センサ6、二次電圧センサ7あるいは/及び電流センサ8)における異常発生前の検出値に基づいて生成された推定値(一次電圧推定値V1e、二次電圧推定値V2eあるいは/及びリアクトル電流推定値Ie)及び正常センサの検出値を用いて上アーム用デューティ比指令値(A相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4)を生成する。
すなわち、制御回路D5は、異常センサの検出値をそのまま用いることなく上アーム用デューティ比指令値(A相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4)を生成する。この結果、上アーム用デューティ比指令値(A相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4)は、時間の経過とともに単調増加するように設定されて100%に至る。
この結果として、昇降圧コンバータD1の出力電圧(二次電圧V2)は、図4に示すように、異常検出時刻ts以降の退避運転(退避モード)において単調減少して一次電圧V1に至る。なお、異常センサの検出値をそのまま用て上アーム用デューティ比指令値(A相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4)を生成した場合、図4に二点鎖線で示すように運転状態移行期間(制御モード移行期間)から退避運転(退避モード)に移行する際に、昇降圧コンバータD1の出力電圧(二次電圧V2)が一時的に上昇する虞がある。
本実施形態によれば、一次電圧センサ6、二次電圧センサ7あるいは/及び電流センサ8の異常発生時における制御モードの切り替え安定性を従来よりも確保することが可能である。したがって、本実施形態によれば、一次電圧センサ6、二次電圧センサ7あるいは/及び電流センサ8の異常発生時における電動車両の走行安定性を従来よりも向上させることが可能である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、昇降圧コンバータD1、駆動用インバータD2、発電用インバータD3、ゲート駆動回路D4及び制御回路D5を備えるPCU1に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、例えば単独の昇圧回路、当該昇圧回路にゲート信号を出力するゲート駆動回路及び当該ゲート駆動回路にDuty指令値を出力する制御回路を備える昇圧装置にも適用可能である。
(2)上記実施形態では、異常発生前の一次電圧V1(入力電圧)、二次電圧V2(出力電圧)及びリアクトル電流Iを用いて一次電圧推定値V1e、二次電圧推定値V2e及びリアクトル電流推定値Ieを演算したが、本発明はこれに限定されない。一次電圧推定値V1e、二次電圧推定値V2e及びリアクトル電流推定値Ieの演算に際して、異常発生前の一次電圧V1(入力電圧)、二次電圧V2(出力電圧)及びリアクトル電流Iに異常発生後の一次電圧V1(入力電圧)、二次電圧V2(出力電圧)及びリアクトル電流Iを加えてもよい。
異常発生前の各検出値の影響が主になるように異常発生前の各検出値と異常発生後の各検出値との時間割合を設定し、異常発生前の各検出値と異常発生後の各検出値とに移動平均処理あるいはローパスフィルタ処理(平均化処理)を施することにより、一次電圧推定値V1e、二次電圧推定値V2e及びリアクトル電流推定値Ieを取得してもよい。
(3)上記実施形態では、一次電圧センサ6、二次電圧センサ7及び電流センサ8の異常発生を検出したが、本発明はこれに限定されない。一次電圧センサ6、二次電圧センサ7及び電流センサ8の一部、例えば一次電圧センサ6の異常発生のみを検出し、一次電圧推定値V1eと二次電圧V2とを用いてA相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4を生成してもよい。
(4)上記実施形態では、異常が初回か否かに応じてA相上アーム用Duty指令値X3及びB相上アーム用Duty指令値X4の生成方法を変えたが、本発明はこれに限定されない。
E 昇降圧装置
D1 昇降圧コンバータ
D2 駆動用インバータ
D3 発電用インバータ
D4 ゲート駆動回路(駆動信号生成部)
D5 制御回路(昇降圧制御装置、デューティ比設定部)
E1、E2 電池用端子
Fu、Fv、Fw モータ用端子
G 発電機
Hu、Hv、Hw 発電機用端子
P 電池
M 走行モータ
1 PCU(パワーコントロールユニット)
2 第1コンデンサ
3 トランス
3a 一次巻線
3b 二次巻線
4a~4d 変圧用IGBT
5 第2コンデンサ
6 一次電圧センサ(入力電圧センサ)
7 二次電圧センサ(出力電圧センサ)
8 電流センサ
9 変圧用ゲート信号生成部
10 駆動用ゲート信号生成部
11 発電用ゲート信号生成部
12 目標値設定部
13 入力部
14 電流制御部
15 電圧制御部
16 Duty制御部
17 キャリア周波数設定部

Claims (8)

  1. 上アームスイッチと下アームスイッチとで構成されるスイッチングレグを少なくとも1つ備え、上アーム駆動信号によって前記上アームスイッチのON/OFFデューティ比が設定され、下アーム駆動信号によって前記下アームスイッチのON/OFFデューティ比が設定されることにより入力電圧から出力電圧を生成する昇圧回路を制御する昇圧制御装置であって、
    異常発生を検知すると、前記下アームスイッチがOFF状態に固定されるように下アーム用デューティ比指令値を設定し、かつ、異常発生前の前記入力電圧あるいは/及び前記出力電圧を用いて上アーム用デューティ比指令値を設定するデューティ比設定部と
    を備えることを特徴とする昇圧制御装置。
  2. 前記デューティ比設定部は、異常発生前の前記出力電圧の指令値と異常発生後の前記入力電圧とを平均化処理し、当該平均化処理の結果を用いて前記上アーム用デューティ比指令値を設定することを特徴とする請求項1に記載の昇圧制御装置。
  3. 前記デューティ比設定部は、異常発生前の前記入力電圧あるいは/及び前記出力電圧と異常発生後の前記入力電圧あるいは/及び前記出力電圧とを平均化処理し、当該平均化処理の結果を用いて前記上アーム用デューティ比指令値を設定することを特徴とする請求項1に記載の昇圧制御装置。
  4. 前記デューティ比設定部は、前記入力電圧を検出する入力電圧センサの異常を検出した場合、異常発生前の前記入力電圧と異常発生後の前記入力電圧との平均化処理の結果を前記出力電圧で除算することにより、前記上アーム用デューティ比指令値を設定することを特徴とする請求項3に記載の昇圧制御装置。
  5. 前記デューティ比設定部は、前記出力電圧を検出する出力電圧センサの異常を検出した場合、異常発生前の前記出力電圧と異常発生後の前記出力電圧との平均化処理の結果で前記入力電圧で除算することにより、前記上アーム用デューティ比指令値を設定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の昇圧制御装置。
  6. 前記デューティ比設定部は、前記入力電圧を検出する入力電圧センサ及び前記出力電圧を検出する出力電圧センサの異常を検出した場合、異常発生前の前記入力電圧と異常発生後の前記入力電圧との平均化処理の結果を異常発生前の前記出力電圧と異常発生後の前記出力電圧との平均化処理の結果で除算することにより、前記上アーム用デューティ比指令値を設定することを特徴とする請求項3に記載の昇圧制御装置。
  7. 前記上アームスイッチのON/OFFデューティ比が時間経過に伴って徐々に増加するように前記上アーム用デューティ比指令値を設定することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の昇圧制御装置。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の昇圧制御装置と、
    該昇圧制御装置によって制御される昇圧回路と
    を備えることを特徴とする昇圧装置。

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