JP2022181916A - 帯電ローラ及び画像形成装置 - Google Patents

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明典 宮本
Akinori Miyamoto
将人 前島
Masahito Maejima
雄也 長友
Yuya Nagatomo
浩章 石田
Hiroaki Ishida
達也 井上
Tatsuya Inoue
幹洋 赤崎
Mikihiro Akasaki
雅美 羽野
Masami Uno
正史 福田
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Abstract

【課題】帯電ローラの表面の摩耗や汚染を抑制しつつ、帯電ローラの表面の層が剥離することを抑制することができる帯電ローラを提供する。【解決手段】帯電ローラ30は、導電性を有する芯金31と、芯金31の外周部に形成された弾性層32と、弾性層32の外周部に形成された樹脂製の中間層33と、中間層33の外周部に形成され、テトラへドラルアモルファスカーボンで構成された炭素層34を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真方式を用いてシートに画像を形成する画像形成装置に好適な帯電ローラと、この帯電ローラを備える画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置においては、次のように画像を形成する。即ち、まず感光体の表面に接触して配置される帯電ローラに電圧を印加して感光体の表面を帯電させる。次に、感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成し、静電潜像に対してトナーを付着させることによりトナー像を形成する。その後、トナー像をシートに転写することにより画像を形成する。
ここで帯電ローラとして、導電性を有する支持体の上に、弾性体で構成された弾性層を形成することで、感光体と帯電ローラとの接触性を安定させる構成が知られている。また特許文献1では、帯電ローラの弾性層をダイヤモンドライクカーボン層で被覆する構成が記載されている。これにより帯電ローラの表面を高硬度として摩耗を抑制し、且つ、低摩擦として離型性を高めてトナーによる汚染を抑制する。
特開2006-235045号公報
特許文献1の構成では、弾性層に対してダイヤモンドライクカーボン層を直接的に被覆している。このような構成を採用する場合、ダイヤモンドライクカーボン層の弾性層に対するブリードが生じやすくなり、弾性層からダイヤモンドライクカーボン層が剥離しやすくなる。
そこで本発明は、帯電ローラの表面の摩耗や汚染を抑制しつつ、帯電ローラの表面の層が剥離することを抑制することができる帯電ローラを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る帯電ローラの代表的な構成は、感光体の表面に接触して配置され、該表面を帯電させる帯電ローラにおいて、導電性を有する支持体と、前記支持体の外周部に形成された弾性層と、前記弾性層の外周部に形成された樹脂製の中間層と、前記中間層の外周部に形成されたテトラへドラルアモルファスカーボン層と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、帯電ローラにおいて、表面の摩耗や汚染を抑制しつつ、表面の層が剥離することを抑制することができる。
画像形成装置の断面概略図である。 帯電ローラの断面概略図である。 帯電ローラに帯電バイアスを印加する給電部の構成と、帯電ローラにおける炭素層の被覆範囲を示す図である。 テトラへドラルアモルファスカーボンの模式的構造図である。 炭素のsp3構造の模式的構造図と、炭素のsp3混成軌道における四つの軌道を示す図である。 炭素のsp2構造の模式的構造図と、炭素のsp2混成軌道における三つの軌道を示す図である。 炭素層の厚みの適正値を検証した結果を示す表である。 炭素層の体積抵抗、硬度の適正値と、適正な被覆範囲の検証結果を示す表である。 炭素層の適正な被覆範囲を検証した際に使用した実験装置の構成を示す図である。 帯電ローラにおける炭素層の被覆範囲を示す図である。 炭素層の拡大図と、炭素層と中間層の断面図である。 炭素層の厚みと粒子の平均粒径と炭素層の海部の表面の十点平均粗さRzの適正値の検証結果を示す表である。 炭素層と中間層の断面図である。 帯電ローラの表面にかかる負荷を測定した結果を示すグラフである。 炭素層の厚みを示す図である。 帯電ローラの割れと表面の摩耗に関する検証結果を示す表である。 炭素層の厚みを示す図である。 帯電ローラの表面の摩耗量の測定に使用した実験装置の構成を示す図である。
(第1実施形態)
<画像形成装置>
以下、まず本発明の第1実施形態に係る帯電ローラを備える画像形成装置の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
画像形成装置Aは、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKの4色のトナーを中間転写ベルトに転写した後、シートに画像を転写して画像を形成する中間タンデム方式の画像形成装置である。なお、以下の説明において、上記各色のトナーを使用する部材には添え字としてY、M、C、Kを付するものの、各部材の構成や動作は使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じであるため、区別を要する場合以外は添え字を適宜省略する。
図1は、画像形成装置Aの断面概略図である。図1に示す様に、画像形成装置Aは、シートSにトナー像を形成する画像形成部100を備える。画像形成部100は、感光体としての感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)、帯電ローラ30(30Y、30M、30C、30K)、現像ローラ4Ya、4Ma、4Ca、4Kaを有する現像部としての現像装置4(4Y、4M、4C、4K)を備える。また画像形成部100は、クリーニングブレード9(9Y、9M、9C、9K)、一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)、レーザスキャナユニット3(3Y、3M、3C、3K)、中間転写ベルト6、二次転写ローラ7(転写部)、二次転写対向ローラ8を備える。
本実施形態において、感光ドラム1は、負帯電性の有機感光体であり、アルミニウムなどの基体上に感光層を積層した構成である。感光ドラム1は、後述する帯電ローラ30による帯電後の電位が-600Vであり、レーザスキャナユニット3によるレーザ光の照射部分(画像部分、露光部分)の電位が-200Vとなる。感光ドラム1の回転速度は240mm/secである。感光ドラム1の回転軸線方向において、感光ドラム1上の画像形成幅は300mmであり、画像濃度が100%部分の感光ドラム1上のトナー量の載り量は約0.4mg/cmである。トナーの帯電量は、約-30μC/gである。
次に、画像形成装置Aの画像形成動作について説明する。まず不図示の制御部に画像形成ジョブ信号が入力されると、シートカセット10に収納されたシートSが、ピックアップローラ11、給送ローラ12、搬送ローラ13、14によってレジストローラ15に送られる。その後、レジストローラ15は、所定のタイミングで二次転写ローラ7と二次転写対向ローラ8から形成される二次転写部にシートSを搬送する。
一方、画像形成部100においては、まず感光ドラム1Yが回転を開始し、感光ドラム1Yに接触する帯電ローラ30Yが感光ドラム1Yから摩擦力を受けて感光ドラム1Yと共に回転する。この状態で、帯電ローラ30Yに帯電バイアスが印加されることによって感光ドラム1Yの表面が帯電される。次に、不図示の画像読取部、又は、不図示の外部機器から送信された画像データに応じてレーザスキャナユニット3Y(露光部)が感光ドラム1Yの表面にレーザ光を照射することで、感光ドラム1Yの表面に静電潜像が形成される。
次に、現像装置4Yの現像ローラ4Yaに-500Vの現像バイアスが印加されることにより感光ドラム1Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーが付着され、感光ドラム1Yの表面にイエローのトナー像が形成される。感光ドラム1Yの表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ5Yにトナーの正規の帯電極性と逆極性である正極性の一次転写バイアスが印加されることによって中間転写ベルト6に一次転写される。一次転写後に感光ドラム1Yに残留したトナーは、クリーニングブレード9Yによって掻き取られる。
同様のプロセスにより、感光ドラム1M、1C、1Kにも、各色の画像データに応じてレーザスキャナユニット3M、3C、3Kからレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。そして現像装置4M、4C、4Kによってマゼンダ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。その後、一次転写ローラ5M、5C、5Kに一次転写バイアスが印加されることで、これらのトナー像が中間転写ベルト6上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これにより中間転写ベルト6の表面に画像データに応じたフルカラーのトナー像が形成される。
その後、中間転写ベルト6が二次転写対向ローラ8から駆動力を受けて周回移動することで、フルカラーのトナー像が二次転写部に送られる。そして二次転写部において二次転写ローラ7にトナーの正規の帯電極性と逆極性である正極性の二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像がシートSに転写される。
トナー像が転写されたシートSは、定着装置16に搬送され、定着装置16において加熱、加圧処理が施され、これによりシートS上のトナー像がシートSに定着される。その後、トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ17によって排出トレイ18に排出される。
<帯電ローラ>
次に、帯電ローラ30の構成について説明する。
図2は、帯電ローラ30の断面概略図である。図3(a)は、帯電ローラ30に給電を行う給電装置60の構成を示す図である。図3(b)は、帯電ローラ30と給電装置60の軸受64との関係を示す図である。図3(b)において、ハッチング部分は、帯電ローラ30における炭素層34の被覆範囲を示す。
図2、図3に示す様に、帯電ローラ30は、芯金31を有し、芯金31の外周部における両端部を除く部分に弾性層32が形成され、弾性層32の外周部に中間層33が形成され、芯金31の外周部と中間層33の外周部に炭素層34が形成された構成である。炭素層34は、テトラへドラルアモルファスカーボンで形成されたテトラへドラルアモルファスカーボン層である。なお、剥離防止や電気抵抗の調整のため、各層の間に他の層を設ける構成としてもよい。
給電装置60は、帯電ローラ30の一端部と他端部にそれぞれ設けられたU字状の二つの軸受64と、二つの軸受64をそれぞれ付勢する二つのバネ63と、電極板62と、電源61を有する。電極板62は、ステンレス鋼で形成されていて導電性を有し、電源61に接続されている。二つの軸受64は、共にプラスチック材料で形成されており、一方の軸受64は成形時にカーボンファイバーが分散されることで導電性を有している。バネ63は、金属製であって導電性を有し、軸受64と電極板62との間に設けられている。
芯金31(支持体)は、円柱形状で導電性を有する帯電ローラ30の軸であって、本実施形態においては表面がニッケルメッキされた鋼製で形成されている。芯金31の両端部は、二つの軸受64にそれぞれ回転自在に保持されている。また二つの軸受64は、二つのバネ63(第1付勢部材、第2付勢部材)によって感光ドラム1に向かってそれぞれ付勢されている。この付勢力により、軸受64に保持されている帯電ローラ3は、感光ドラム1の表面に圧接する。帯電バイアスを印加する場合、電源61から電極板62に電圧が印加され、これによってバネ63と軸受64を介して芯金31に電流が流れる。つまり軸受64は、芯金31に接触して配置され、芯金31に給電を行う給電部である。
また図3(b)に示す様に、帯電ローラ30の炭素層34は、芯金31における導電性を有する方の軸受64との接触部には被覆されていない。これは後述する通り、炭素層34は絶縁性が高いため、芯金31における軸受64との接触部に炭素層34が被覆されていると電流が流れにくくなり、帯電ローラ30における感光ドラム1の帯電性能が低下するためである。なお、芯金31の所定の位置で炭素層34を被覆しない方法は、炭素層34の被覆時に被覆したくない位置にマスクをかけられることで行われる。
弾性層32は、ゴムや熱可塑性エラストマーなどの弾性体で形成される。弾性層32の材料は限定しないものの、以下の材料が好適に用いられる。ポリウレタン、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン-ブタジエンゴム又はエピクロルヒドリンゴム等を基材ゴムとするゴム組成物。或いは、熱可塑性エラストマーであって、種類に制限はなく、汎用のスチレン系エラストマー及びオレフィン系エラストマーなどから選択される一種又は複数種の熱可塑性エラストマー。また必要な弾性力に応じて、ソリッドゴムや発泡ゴムを用いてもよい。
また弾性層32に導電性付与剤を添加して導電性を付与してもよい。弾性層32に添加される導電性付与剤は限定しないものの、以下のものが好適に用いられる。ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム。変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等のハロゲン化ベンジル塩等の第四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、脂肪族スルホン酸塩。高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤。高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤等の帯電防止剤。LiCF3SO3、NaClO4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCN、NaClなどのLi+、Na+、K+等の周期律表第1族の金属塩、あるいはNH4+塩等の電解質。またCa(ClO4)2などのCa2+、Ba2+等の周期律表第2族の金属塩、及びこれらの帯電防止剤が少なくとも一個以上の水酸基、カルボキシル基、一級ないし二級アミン基等のイソシアネートと反応する活性水素を有する基を持ったもの。更にこれらなどと1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールとその誘導体等の錯体あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のモノオールとの錯体等のイオン導電性付与剤、又はケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属及び金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーなど。この場合、これら導電性付与剤の配合量は、組成物の種類に応じて適宜選定されるものの、通常は弾性層32の体積抵抗率が10~10Ω・cm、好ましくは10~10Ω・cmとなるように調整される。
中間層33の材料は、炭素層34のブリードを弾性層32よりも抑制可能な材料であれば限定されず、有機系、水系のいずれも使用可能であるものの、以下の材料が好適に用いられる。ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ素樹脂及びシリコーン樹脂など。また中間層33に導電性付与剤を添加して導電性を付与してもよい。中間層33に添加される導電性付与剤は限定しないものの、以下のものが好適に用いられる。ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウムなどの金属又は金属酸化物。なお、導電性付与剤として有機系溶剤を用いる場合、分散性を考慮し、導電性付与剤の表面をシランカップリング処理等の表面処理を施すことが好ましい。また中間層33の電気抵抗値は、弾性層32よりも高い電気抵抗値であると帯電性を安定させることができる。中間層33の電気抵抗値は、体積抵抗率で10~1015Ω・cmであることが求められ、10~1014Ω・cmであると好ましい。
<弾性層と中間層の形成方法>
次に、帯電ローラ30の弾性層32と中間層33の形成方法の一例について説明する。
まず弾性層32の形成方法について説明する。弾性層32の形成に際しては、まずオープンロールを用いて下記の成分を20分間混練する。エピクロルヒドリンゴム(ダイソー株式会社製のエピクロマーCG102)100部、充填剤としての炭酸カルシウム30部、研磨性改善のための補強材としての着色グレードカーボン(東海カーボン株式会社製のシーストSO)2部、酸化亜鉛5部、可塑剤としてのDOP(フタル酸ジオクチル)10部、老化防止剤としての2-メルカプトベンズイミダゾール1部、次の化学式1で示される過塩素酸四級アンモニウム塩3部。
(化学式1)
Figure 2022181916000002
次に、下記の成分を加えてオープンロールを用いて15分間混練する。加硫促進剤としてのジベンゾチアジルジスルフィド(大内新興化学工業株式会社製のノクセラーDM-P)1部、加硫促進剤としてのテトラメチルチウラムモノスルフィド(大内新興化学工業株式会社製のノクセラーTS)0.5部、加硫剤としての硫黄1部。
次に、上記の工程で得られた混練物をゴム押出機で円筒形に押し出した後に裁断し、加硫缶を用いて温度160℃の水蒸気で一次加硫を40分間行って、一次加硫チューブを得る。その後、芯金31の外周部における弾性層32の形成部分に金属とゴムとの熱硬化性接着剤(株式会社東洋化学研究所製のメタロックU-20)を塗布し、温度80℃で30分間乾燥後、更に温度120℃で1時間乾燥する。そして芯金31を一次加硫チューブに挿入して電気オーブンによって温度160℃で2時間加熱し、二次加硫と接着剤硬化を行って未研磨品を得る。その後、未研磨品のゴム部分の両端をカットした後、ゴム部分を回転砥石で研磨し、導電性の弾性層32が芯金31の外周部に形成される。
次に、中間層33の形成方法について説明する。中間層33の形成に際しては、まず導電性酸化スズ粉体(石原産業株式会社製のSN-100P)50部に、トリフルオロプロピルトリメトキシシランの1%イソプロピルアルコール溶液450部を加えて、ペイントシェーカーで48時間分散する。次に、分散液を500メッシュの網でろ過し、この溶液をナウターミキサーで攪拌しながら100℃の湯浴で温め、アルコールを飛ばして乾燥させ、表面にシランカップリング剤を付与し、表面処理導電性酸化スズ粒子を得る。
またラクトン変性アクリルポリオール(ダイセル化学工業株式会社製のプラクセルDC2009(水酸基価90KOHmg/g))145部を、455部のメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解し、固形分24.17質量%の溶液とする。このアクリルポリオール溶液200部に対し、表面処理導電性酸化スズ粒子50部とシリコーンオイル(東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製のSH-28PA)0.01部を加える。
次に、上述した工程によって得られた混合物を450mLのマヨネーズビンに入れてペイントシェーカーを使用し、冷却しながら12時間分散する。その後、この分散液330部に下記の成分を混合してボールミルで1時間撹拌する。イソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(IPDI)(デグサ・ヒュルス製のベスタナートB1370)27部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(HDI)(旭化成工業株式会社製のデュラネートTPA-B80E)17部。
次に、この混合液を200メッシュの網でろ過し、固形分濃度が43質量%の表面層用塗料を得る。この表面層用塗料をディッピングによって弾性層32の表面に引き上げ速度400mm/minで塗工する。その後、30分間風乾した後、回転軸線方向を反転させて引き上げ速度400mm/minで再度塗工し、30分間風乾後、オーブンによって温度160℃で1時間乾燥する。最後に、室温25℃、相対湿度50%の環境下で48時間静置する。これにより弾性層32の外周部に中間層33が形成される。
なお、帯電ローラ30の弾性層32や中間層33の形成方法は、上述した方法に限定されるものではないものの、各成分を含む塗料を調製し、塗料をディッピング法、スプレー法、ロールコート法などによって塗布して塗膜を形成する方法が好ましい。また弾性層32と中間層33との間に他の層を形成したい場合、形成したい層の成分を有する塗料を用いてディッピング法、スプレー法、ロールコート法を繰り返せばよい。
<炭素層>
次に、帯電ローラ30の炭素層34の構成について説明する。
帯電ローラ30の炭素層34は、上述した通り、テトラへドラルアモルファスカーボンで(ta-C:Tetrahedral Amorphous Carbon)で形成されている。テトラへドラルアモルファスカーボンは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond Like Carbon)の一種である。通常、ダイヤモンドライクカーボンは、水素を若干含有したダイヤモンド結合とグラファイト結合が混在したアモルファス構造をとる。
図4は、テトラへドラルアモルファスカーボンの模式的構造図である。図4に示す様に、テトラへドラルアモルファスカーボンは、三次元構造を有するものの、ミクロ的にみると四面体結晶構造を有し、マクロ的にみるとアモルファス構造を有する。テトラへドラルアモルファスカーボンは、ダイヤモンド結合となるsp3結合と、グラファイト結合となるsp2結合が混在している。つまりテトラへドラルアモルファスカーボンは、硬度に感度を持つダイヤンド結合と、摺動性に感度を持つグラファイト結合を有するため、両者の組成割合によって摩擦、摩耗特性が異なる。両者の違いは、原子価結合法において原子価状態の軌道関数の違いを現している。
炭素は、四本の共有結合をとることができ、結合状態によって数種類の同素体をとり得る。図5(a)に示す様に、炭素がsp3混成軌道を形成して三次元的な結晶構造をとる場合、ダイヤモンドの結晶構造(sp3構造)となる。ダイヤモンドの結晶構造では、一つの炭素が四面体の中心にあるとすると、最近接の炭素原子はその四面体の頂点上に存在する。また炭素原子間は共有結合で結合し、結合長は0.154nm(1.54Å)である。
図5(b)は、炭素のsp3混成軌道における四つの軌道を示す図である。図5(b)において、ドットが付された軌道がp軌道であり、ドットが付されていない軌道がs軌道である。図5(b)に示す様に、sp3混成軌道は、一つのs軌道と三つのp軌道の重ね合わせで構成されており、次の式1-1~1-4で示す四つの混成軌道が波動関数Ψnによって定式化されている。
Figure 2022181916000003
これに対して図6(a)に示す様に、炭素がsp2混成軌道を形成して正六角形の平面構造をとる場合、グラファイトの結晶構造(sp2構造)となる。グラファイトの結晶構造は、層状の六方晶構造である。炭素原子間は、層内では共有結合で結合し、層間ではファンデルワールス力で結合している。
図6(b)は、炭素のsp2混成軌道における三つの軌道を示す図である。図6(b)において、ドットが付された軌道がp軌道であり、ドットが付されていない軌道がs軌道である。図6(b)に示す様に、sp2混成軌道は、一つのs軌道と二つのp軌道の重ね合わせで構成されており、次の式2-1~2-3で示す三つの混成軌道が定式化されている。
Figure 2022181916000004
このようにテトラへドラルアモルファスカーボンは、ダイヤンド結合とグラファイト結合を有するため、常温において空気や水などに対して不活性、耐腐食性、低摩耗性、自己潤滑性、高硬度、表面平滑性という優れた性質を持つ。またテトラへドラルアモルファスカーボンは、化学的吸着や酸化反応等が起きにくい特性を持ち、摩耗や傷の発生による部分的機能劣化に対しても耐性が高い。従って、帯電ローラ30の表面にテトラへドラルアモルファスカーボン層である炭素層34を形成することにより、帯電ローラ30に上述した優れた性質を持たせることができ、表面の摩耗やトナーによる汚染を抑制することができる。
またテトラへドラルアモルファスカーボン層である炭素層34は、弾性層32の外周部に直接的に形成されておらず、弾性層32よりも炭素層34のブリードが起きにくい樹脂製の中間層33の外周部に形成されている。このように炭素層34を中間層33の上に形成することにより、炭素層34のブリードを抑制し、炭素層34の剥離を抑制することができる。従って、本実施形態の構成によれば、帯電ローラ30の表面の摩耗や汚染を炭素層34によって抑制しつつ、帯電ローラ30の表面の層である炭素層34が剥離することを抑制することができる。
本実施形態では、炭素層34をFCVA(:Filtered Cathodic Vacuum Arc Technology)法で形成している。FCVA法は、バキュームアーク放電によって黒鉛から炭素プラズマを発生させ、そこからイオン化した炭素を抽出、堆積させてテトラへドラルアモルファスカーボン層を形成する方法である。なお、テトラへドラルアモルファスカーボン層の形成方法はここで説明した方法に限られず、PVD(:Physical Vapor Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの方法で形成してもよい。また炭素層34を被覆する際の成膜温度は、0℃以上80℃以下が好ましく、40℃以上80℃以下がより好ましい。本実施形態では、成膜温度を40℃以上80℃以下とし、成膜スピードを1.5nm/secとして、中間層33の外周部に炭素層34を被覆した。
また本実施形態において、弾性層32の表面の十点平均粗さRzを7μmとし、炭素層34の表面の十点平均粗さRzを8.3μmとした。ここで帯電ローラ30の各層の表面の十点平均粗さRz(JIS B0601(1994))の測定方法は次の通りである。即ち、まずレーザ顕微鏡(株式会社キーエンス製のVK-X1000)を用いて、50倍の対物レンズで各層の表面画像を撮影し、横273μm×縦204μmの面積の二次元高さデータを取得し、表面の曲率に対して自動補正を行う。次に、株式会社キーエンス製の解析アプリケーションで帯電ローラ30の回転軸線方向における各層の3箇所の位置(中央部と各端部から2cmの位置)で、帯電ローラ30の回転方向に120度刻みで3箇所ずつ、合計で9枚の画像を撮影する。次に、9枚の画像の各々で10箇所を選択して各画像で十点平均粗さを求める。その後、各画像の十点平均粗さの総和を、画像数である9で割ることで十点平均粗さRzを求めた。
<炭素層の厚み>
次に、帯電ローラ30の炭素層34の厚みの適正値を検証した結果について説明する。
本検証においては、帯電ローラ30の中間層33と炭素層34の厚みを振って画像を形成し、帯電ローラ30の汚れ、異常放電、炭素層34の剥離、画像のがさつきの有無を評価した。本検証で使用した画像形成装置Aは、キヤノン株式会社製のフルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5500である。当該装置のシートSの出力スピードは264mm/secであり、画像解像度は600dpiである。また画像形成時に感光ドラム1の表面の暗部電位VDを約-500Vとするために、帯電ローラ30には-600Vの直流電圧と、1500Hz、1800Vppの交流電圧を重畳した帯電バイアスが印加される。また当該装置が備える感光ドラム1は、アルミニウムシリンダーにOPC層をコートし、その上にOCL層をコートした反転現像方式のものである。
帯電ローラ30の炭素層34の厚みの測定は、帯電ローラ30を裁断して直接測定するのが望ましいものの、切断時の弾性層32の変形によって正確な厚みの測定が困難であるため、次の方法で測定した。即ち、炭素層34の被覆時のチャンバー内に10×10mmのシリコンウエハーを帯電ローラ30が被覆を受ける方向と同じ方向に設置し、帯電ローラ30とシリコンウエハーを同時に被覆する。そして炭素層34が被覆されたシリコンウエハーを断面が崩れないように切断し、株式会社日立ハイテクフィールディング製の走査電子顕微鏡を用いて炭素層34の厚み(膜厚)を測定した。
帯電ローラ30の汚れの評価は、23℃、5%RHの低温低湿環境の下で画像比率が30%の二種類の試験画像をそれぞれ10万枚連続で出力し、目視で画像の帯電ムラを評価した。一つ目の試験画像は、帯電ローラ30によって感光ドラム1の表面に形成する暗部電位に直接現像させたアナログハーフトーン画像である。具体的には、現像ローラの電位を約-500Vに設定することにより暗部電位に現像させる。この条件の場合、帯電ローラ30の汚れによって発生する帯電ムラが画像に直接反映されるため、厳しい条件で汚れを評価できる。
二つ目の試験画像は、通常の露光工程を経て画像形成する方法を用いたデジタルハーフトーン画像である。具体的には、感光ドラム1の表面を暗部電位として約-500Vに帯電させた後、全面像露光により明部電位として約-230Vにする。そして現像ローラの電位を約-370Vに設定することで明部電位に現像させる。二つの試験画像は、ともにX-riteで測定した反射濃度が0.3乃至0.6の範囲のハーフトーン画像となるよう調整している。
図7(a)は、帯電ローラ30の汚れの評価結果を示す表である。図7(a)に示す評価ランクに係る評価は次の通りである。「A」は、アナログハーフトーン画像、及び、デジタルハーフトーン画像で帯電ムラが出ない評価である。「B」は、アナログハーフトーン画像でスジ状の帯電ムラが出るものの、デジタルハーフトーン画像では出ない評価である。「C」は、アナログハーフトーン画像で帯電ムラができ、デジタルハーフトーン画像で帯電ムラがうっすら出るものの実用上問題無い評価である。「D」は、アナログハーフトーン画像で帯電ムラができ、デジタルハーフトーン画像でも帯電ムラがはっきり確認できる評価である。
図7(a)に示す様に、炭素層34の厚みが中間層33の厚みと同等の場合、帯電ローラ30の汚れに伴う帯電ムラが発生しやすいことが判明した。また、炭素層34の厚みを0.7μm以下とすることで、帯電ローラ30の汚れに伴う帯電ムラが発生しにくいことが判明した。これは炭素層34の厚みが厚い場合、炭素層34の表面プロファイルを中間層33の表面プロファイルに追随させにくくなる。この結果、帯電ローラ30の適正な表面粗さが維持できずに帯電ローラ30と感光ドラム1との接触面積が増加して、汚れが発生しやすくなるためと考えられる。
そこで本実施形態では、中間層33の厚みを5μmとし、炭素層34の厚みを中間層33の厚みより薄く、具体的には0.5μm未満として、帯電ローラ30の汚れを抑制している。なお、図7(a)に示す様に、炭素層34の厚みを設計値として0.7μm未満としても、帯電ローラ30の汚れを抑制することができるものの、公差の影響によって炭素層34の厚みが0.7μm以上となる可能性がある。このような理由から、公差の影響による帯電ローラ30の汚れを抑制するために、炭素層34の厚みを0.5μm未満に設定している。
次に、異常放電、炭素層34の剥離、画像のがさつきの評価について説明する。異常放電、炭素層34の剥離の評価は、23℃、5%RHの低温低湿環境の下で画像比率が30%の画像を10万枚連続で出力して目視で評価した。画像のがさつきの評価は、画像比率が30%ハーフトーン画像を1枚形成して目視で評価した。
図7(b)は、異常放電、炭素層34の剥離、画像のがさつきの評価結果を示す表である。図7(b)に示す評価ランクに係る評価は次の通りである。「〇」は、炭素層34の剥離、異常放電、又は、画像のがさつきが全く視認されない評価である。「△」は、これらが一部視認される評価である。「×」は、これらが画像全面で視認される評価である。
図7(b)に示す様に、炭素層34の厚みが10μmの場合、炭素層34の剥離は視認されなかった。一方、白ポチ状の異常放電が画像全面で視認され、画像のがさつきも視認された。また炭素層34の厚みが7μmの場合、炭素層34の剥離は視認されなかったものの、白ポチ状の異常放電が画像の一部で視認され、画像のがさつきは画像全面で視認された。炭素層34の厚みが5μmの場合、炭素層34の剥離、異常放電は視認されなかったものの、画像のがさつきが画像全面で視認された。炭素層34の厚みが5μmの場合、7μm以上の場合と比較して異常放電が抑えられたのは、次の理由に依るものと考えられる。即ち、中間層33の厚みに対して炭素層34の厚みが同等以下となったため、炭素層34の表面プロファイルが中間層33の表面プロファイルに追随し、炭素層34の表面粗さがある程度維持されて異常放電が抑制されたためと考えられる。
また炭素層34の厚みが1μm、0.55μm、0.5μmの場合、炭素層34の剥離、異常放電は視認されなかったものの、画像のがさつきが一部で視認された。炭素層34の厚みが0.49μm~0.03μmの場合、炭素層34の剥離、異常放電、画像のがさつきのいずれも視認されなかった。このように炭素層34の厚みが薄くなることによって画像のがさつきが良化した理由は、帯電ローラ30と感光ドラム1とで形成されるニップの幅が狭まって帯電部分での電位収束性が低下したためと考えられる。また炭素層34の厚みが0.01μmの場合、炭素層34の剥離が一部で視認され、部分的な帯電不良が生じて意図しない領域へのトナーのカブリが生じた。一方、異常放電や画像のがさつきは視認されなかった。この結果、炭素層34の膜みを0.03μm以上0.5μm未満とすることで、炭素層34の剥離、異常放電、画像のがさつきを抑制できることが判明した。
次に、23℃、5%RHの低温低湿環境の下で中間層33の表面の十点平均粗さRzを振ってデジタルハーフトーン画像を出力し、異常放電の発生の有無を検証した結果を説明する。本検証で使用した画像形成装置Aは、キヤノン株式会社製のフルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5500である。この検証で出力されたデジタルハーフトーン画像は、感光ドラム1の表面を暗部電位として約-500Vに帯電させた後、全面像露光により感光ドラム1の明部電位を約-430Vとし、現像ローラの電位を約-370Vに設定することで明部電位に現像させる。デジタルハーフトーンの画像は、X-riteで測定した反射濃度が0.3乃至0.6の範囲のハーフトーン画像となるよう調整した。
図7(c)は、異常放電の検証結果を示す表である。図7(c)に示す評価ランクに係る評価は次の通りである。「〇」は、異常放電の発生が無い評価である。「△」は、異常放電によってスジがうっすら発生するものの実用上問題が無い評価である。「×」は、異常放電によって主走査方向に白黒スジ画像が発生し、帯電不良となっている評価である。
図7(c)に示す様に、中間層33の表面の十点平均粗さRzが1μm未満の場合、異常放電が発生することが判明した。これは上述した通り、中間層33の表面粗さが小さい場合、炭素層34の表面の粗さも小さくなりやすいため、帯電ローラ30と感光ドラム1との接触面積が増えて異常放電が発生しやすくなるためと考えられる。特に、中間層33の表面の十点平均粗さRzが炭素層34の厚みと同等以下の場合、中間層33の表面の凹凸が炭素層34に全て覆われることになる。このため、中間層33の表面の十点平均粗さRzは、炭素層34の厚みよりも大きい値とするのが好ましい。
また中間層33の表面の十点平均粗さRzが30μmの場合、異常放電が発生することが判明した。これは中間層33の表面粗さが過剰に大きい場合、炭素層34の表面の粗さも過剰に大きくなりやすいため、帯電ローラ30と感光ドラム1とが接触する部分は帯電し、接触しない部分は帯電せずに、異常放電が発生したと考えられる。
また中間層33の表面の十点平均粗さRzが1μm以上、20um以下の場合、異常放電が発生しないことが判明した。この結果、帯電ローラ30の炭素層34の厚みを0.5μm未満とし、中間層33の表面の十点平均粗さRzを1μm以上、20um以下とすることにより、異常放電を抑制できることが判明した。
<炭素層の体積抵抗>
次に、帯電ローラ30の炭素層34の体積抵抗の適正値を検証した結果について説明する。
本検証では、炭素層34の体積抵抗を振って画像を形成し、リーク電流の発生と、帯電効率の低下に伴う画像不良(以下、「砂地」という。)の発生の有無を評価した。本検証で使用した画像形成装置Aは、キヤノン株式会社製のフルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5500である。
炭素層34の体積抵抗は、次の方法で測定した。即ち、10×10mmのシリコンウエハー上に炭素層34を蒸着させて、15±2℃、10±3%RHの環境の下で4時間以上放置する。そして炭素層34にプローブを押し当てて、高抵抗測定装置ハイレスターで250Vの電圧を10秒間印加して体積抵抗を測定した。
リーク電流の評価は、30±2℃、80±3%RHの高温高湿度環境の下でピンホール試験を行って評価した。ピンホール試験は、感光ドラム1に直径が約0.5mmのピンホールを形成して電気抵抗が低い部分を形成する。そして帯電ローラ30に直流電圧-700Vと交流電圧2kVpp(600Hz)を重畳した帯電バイアスを印加し、1万枚の画像を形成する。リーク電流が発生する場合、ピンホール部分で帯電電位が低下するため、画像には感光ドラム1の周長に等しい周期で感光ドラム1の回転軸線方向に延びる複数の黒スジが発生する。砂地の評価は、15±2℃、10±3%RHの低温低湿度環境の下でベタ白画像を形成して評価した。
図8(a)は、リーク電流と砂地の評価結果を示す表である。図8(a)に示す評価ランクに係る評価は次の通りである。リーク電流の「〇」は、黒スジが発生していない評価である。リーク電流の「×」は、黒スジが発生している評価である。砂地の「〇」は、砂地が全く視認されない評価である。砂地の「△」は、砂地が画像の一部で視認される評価である。砂地の「×」は、砂地が画像の全面で視認される評価である。
図8(a)に示す様に、炭素層34の体積抵抗が1×10Ω・cmの場合、リーク電流が発生した。炭素層34の体積抵抗が1×10Ω・cmの場合、砂地が画像の一部で視認された。炭素層34の体積抵抗が1×1010Ω・cmの場合、砂地が画像の全面で視認された。
一方、炭素層34の体積抵抗が1×10~1×10Ω・cmの場合、リーク電流や砂地が発生せずに良質な画像を形成することができた。この結果、炭素層34の体積抵抗を1×10Ω・cm以上1×10Ω・cm以下とすることで、リーク電流と砂地の発生を抑制できることが判明した。なお、帯電ローラ30の全体の体積抵抗率は、10~10Ω・cmであることが好ましく、10~10Ω・cmであることがより好ましい。本実施形態では、帯電ローラ30の全体の体積抵抗率を10~10Ω・cmとしている。
<炭素層の硬度>
次に、帯電ローラ30の炭素層34の硬度の適正値を検証した結果について説明する。本実施形態において、炭素層34の硬度は、ビッカース硬度で規定している。
本検証では、23℃、5%RHの環境下で炭素層34の硬度を振って二種類の試験画像をそれぞれ10万枚連続で出力し、炭素層34の摩耗、スリップ、画像のがさつきの発生の有無を目視によって評価した。二種類の試験画像は、汚れの評価で述べたアナログハーフトーン画像とデジタルハーフトーン画像である。また本検証で使用した画像形成装置Aは、キヤノン株式会社製のフルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5500である。
ビッカース硬度は、次の方法により測定した。即ち、まず金属製の基材に炭素層34を被覆する。これは弾性層32上では炭素層34のビッカース硬度の測定が困難なためである。次に、Fischer社製のフィッシャースコープH100Vにより対角線136度のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子に連続的に荷重をかけて荷重下での炭素層34に対する押し込み深さを最終荷重の6mNまで段階的に(各点0.1Sの保持時間で273点)直読して測定する。そして試験荷重をF、試験荷重Fで押し込んだ後に試料に残った凹みの表面積をSとして、炭素層34のビッカース硬度HVを次の式3から算出する。
(式3)
HV=F〔kgf〕/S〔mm
図8(b)は、炭素層34の摩耗、スリップ、画像のがさつきの評価結果を示す表である。図8(b)に示す評価ランクに係る評価は、次の通りである。「〇」は、炭素層34の摩耗、スリップ、画像のがさつきが発生していない評価である。「△」は、炭素層34の摩耗、スリップ、画像のがさつきが一部で発生している評価である。「×」は、炭素層34の摩耗、スリップ、画像のがさつきが全面的に発生している評価である。
図8(b)に示す様に、ビッカース硬度が1500より高い場合、画像のがさつきが見られ始めた。またビッカース硬度が2000より高い場合、帯電ローラ30と感光ドラム1との間でスリップが生じて帯電不良が発生した。またビッカース硬度が250未満の場合、炭素層34が摩耗して縦スジ状の画像不良が発生した。
これに対して、ビッカース硬度が250以上、1500未満の場合、炭素層34の摩耗、スリップ、画像のがさつきが見られなかった。この結果、炭素層34のビッカース硬度を250以上、1500未満にすることにより、炭素層34の摩耗、スリップ、画像のがさつきを抑制できることが判明した。
<炭素層の被覆範囲>
次に、芯金31における炭素層34の被覆範囲の適正な範囲を検証した結果について説明する。
本検証では、芯金31における軸受64との接触部に炭素層34を被覆しない本実施形態の構成と、被覆する比較例の構成において、軸受64から帯電ローラ30に電圧を印加した際に流れる電流を測定して、帯電ローラ30の帯電性能を評価した。
本検証は、図9に示す実験装置50を用いて行った。実験装置50は、直径30mmの鏡面金属ローラ51と、高圧を印加可能な高圧部52と、デジタルマルチメータ53を備える。帯電ローラ30が実験装置50に装着されると、帯電ローラ30の回転軸線方向の両端部はそれぞれ6.68Nで鏡面金属ローラ51に向かって付勢され、これにより帯電ローラ30が鏡面金属ローラ51に押し付けられる。
検証方法は、まず帯電ローラ30を23±2℃、53±7%RHの環境下で4時間以上放置する。次に、帯電ローラ30を30rpmで回転させながら、高圧部52から帯電ローラ30に-200Vの直流電圧、300Hz、500Vppの交流電圧をそれぞれ印加する。そして帯電ローラ30の三回転目の直流電流、交流電流の最大値、最小値をデジタルマルチメータ53よって測定する。また非回転状態の帯電ローラ30に対し、高圧部52から-400Vの直流電圧を印加して10秒後の電流値をデジタルマルチメータ53よって測定して電気抵抗を算出する。これを本実施形態の構成と比較例の構成でそれぞれ行う。
図8(c)は、当該検証の結果を示す表である。図8(c)に示す様に、本実施形態の構成では、帯電ローラ30の電気抵抗は0.8MΩとなり、直流電流、交流電流ともに850μAの電流流れて、電流値が基準値内となった。つまり帯電ローラ30による感光ドラム1の帯電性能に問題が生じなかった。
これに対して、比較例の構成では、本実施形態の構成と比較して電気抵抗が大きく上昇し、電気抵抗の上昇幅は炭素層34の厚みが厚くなるにつれて大きくなった。これに伴って、帯電ローラ30に電流が流れずに帯電ローラ30による感光ドラム1の帯電性能が悪化した。このように炭素層34によって電気抵抗が大きく上昇したのは、炭素層34を構成するテトラへドラルアモルファスカーボンは、非金属元素である炭素によるグラファイト構造とダイヤモンド構造のみで構成され、不純物を殆ど含んでいないため、絶縁性が高いためと考えられる。
この結果、本実施形態のように芯金31における軸受64との接触部に炭素層34を被覆しない構成とすることにより、帯電ローラ30に電流を安定的に流すことができ、帯電ローラ30による感光ドラム1の帯電性能を確保できることが判明した。
なお、本実施形態では、芯金31における軸受64との接触部と弾性層32や中間層33が設けられた部分以外の全域に炭素層34を被覆する構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。図10は、帯電ローラ30における炭素層34の被覆範囲を示す図であり、ハッチング部分が炭素層34の被覆範囲を示す。図10に示す様に、少なくとも帯電ローラ30における感光ドラム1との接触部に炭素層34を被覆する構成であれば、上述した帯電ローラ30の表面の摩耗や汚染を抑制する効果を得ることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る帯電ローラの第2実施形態について説明する。第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11(a)は、本実施形態に係る帯電ローラ30の炭素層34の表面の一部を拡大した図である。図11(b)は、帯電ローラ30を図11(a)に示すV-V断面で切断した断面図である。図11に示す様に、本実施形態に係る帯電ローラ30は、第1実施形態の構成に対し、中間層33に粒子33aを混錬した構成である。本実施形態に係る帯電ローラ30を備える画像形成装置Aのその他の構成は、第1実施形態に係る画像形成装置Aと同様である。
炭素層34の表面は、中間層33に粒子33aが混錬されていることにより、粒子33aの形状に応じて突出する。つまり炭素層34の表面は、粒子33aの影響で突出した山部34aと、粒子33aの影響による突出が少なく、又は、粒子33aが存在せずに突出していない領域である海部34bに大別できる。本実施形態において、山部34aと海部34bとの区別は次のように行う。即ち、レーザ顕微鏡によって炭素層34の表面の高さ情報からヒストグラムを求め、ヒストグラムのピークを基準に二値化処理を行って基準値以上を山部34aとし、基準値未満を海部34bとする。なお、ピークが複数存在する場合、下限側のピーク値を基準とする。
中間層33に混錬する粒子33aとしては、絶縁性粒子(1010Ω・cm以上)であるウレタン粒子、ナイロン粒子、アクリル粒子、アクリル/スチレン等の共重合体樹脂からなる粒子を用いるのが好ましい。その他、シリカ粒子、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等の無機系材料を樹脂で固めた粒子を用いることもできる。分散性を向上させるために、導電性付与剤と同様にシランカップリング処理等の前処理を施した方が好ましい。
本実施形態に係る中間層33の形成方法例は、次の通りである。即ち、まず導電性酸化スズ粉体(石原産業株式会社製のSN-100P)50部に、トリフルオロプロピルトリメトキシシランの1%イソプロピルアルコール溶液を450部と、平均粒子径0.8mmのガラスビーズ300部を加えてペイントシェーカーで48時間分散する。次に、分散液を500メッシュの網でろ過し、この溶液をナウターミキサーで攪拌しながら100℃の湯浴で温め、アルコールを飛ばして乾燥させ、表面にシランカップリング剤を付与し、表面処理導電性酸化スズ粒子を得る。
またラクトン変性アクリルポリオール(ダイセル化学工業株式会社製のプラクセルDC2009(水酸基価90KOHmg/g))145部を、メチルイソブチルケトン(MIBK)455部に溶解し、固形分24.17質量%の溶液とする。このアクリルポリオール溶液200部に下記の成分を加える。表面処理導電性酸化スズ粒子50部、シリコーンオイル(東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製のSH-28PA)0.01部、微粒子シリカ(一次粒子径0.02μm)1.2部、架橋アクリル単分散粒子 大粒径粒子(綜研化学株式会社製のケミスノーMX-1000(個数平均粒子径10μm))4.5部、架橋アクリル単分散粒子 小粒径粒子(綜研化学株式会社製のケミスノーMX-500(個数平均粒子径5μm))18部、直径0.8mmのガラスビーズ200部。
次に、得られた混合物を450mLのマヨネーズビンに入れて、ペイントシェーカーを使用して冷却しながら12時間分散する。その後、この分散液330部に下記の成分を混合する。イソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(IPDI)(デグサ・ヒュルス製のベスタナートB1370)27部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(HDI)(旭化成工業株式会社製のデュラネートTPA-B80E)17部。
次に、ボールミルで1時間攪拌し、200メッシュの網で溶液をろ過して、固形分濃度が43質量%である表面層用塗料を得る。この表面層用塗料をディッピングによって弾性層32の表面に引き上げ速度400mm/minで塗工する。その後、30分間風乾した後、回転軸線方向を反転させて引き上げ速度400mm/minで再度塗工し、30分間風乾後、オーブンによって温度160℃で1時間乾燥する。最後に、室温25℃、相対湿度50%の環境下で48時間静置する。これにより弾性層32の外周部に中間層33が形成される。
ここで中間層33が表面となって感光ドラム1と摺擦する帯電ローラ30では、摩耗によって粒子33aが中間層33から剥離しやすくなる。この場合、帯電ローラ30と感光ドラム1との接触面積が増加して異常放電が発生しやすくなる。これに対して本実施形態では、粒子33aが含まれる中間層33を炭素層34で被覆することで、中間層33から粒子33aが剥離することが抑制される。
次に、本実施形態における炭素層34の厚みの適正値を検証した結果を説明する。本検証は、帯電ローラ30の中間層33と炭素層34の厚みを振って画像を形成し、粒子33aの剥離、炭素層34の摩耗、帯電ローラ30の汚れの有無を評価した。本検証で使用した画像形成装置Aは、キヤノン株式会社製のフルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5500である。また本検証で使用した帯電ローラ30の中間層33に混錬された粒子は一種類であって、その平均粒径は15μmである。
中間層33と炭素層34の厚みは、次の方法で測定した。即ち、株式会社日立ハイテクフィールディング製の走査電子顕微鏡を用い、帯電ローラ30の炭素層34から弾性層32までを切断した断面図を撮影して測定した。断面図の撮影は、倍率を2000倍とし、帯電ローラ30の回転軸線方向において20mm刻みで五つの断面図を撮影した。断面図の切断部分は、炭素層34の海部34bとして、図11(b)に示す厚みD1、D2を測定した。また撮影した五つの断面図をそれぞれ二か所ずつ測定し、合計10点の測定値の平均値を中間層33と炭素層34の厚みとした。
粒子33aの剥離や炭素層34の摩耗の評価は、次の方法で行った。まず23℃、5%RHの低温低湿環境下で画像比率が30%の画像を10万枚連続で出力する。そしてレーザ顕微鏡(株式会社キーエンス製のVK-X1000)を用い、50倍の対物レンズで帯電ローラ30の表面画像を撮影する。この時、帯電ローラ30の回転軸線方向における3箇所の位置(中央部と各端部から2cmの位置)で、帯電ローラ30の回転方向に120度刻みで3箇所ずつ、合計で9枚の画像を撮影する。その後、表面の曲率に対して自動補正を行い、横100μm×縦100μmの正方形の領域を各画像で10箇所選択し、粒子33aの剥離と炭素層34の摩耗の有無を目視で評価した。また帯電ローラ30の汚れの評価方法は、第1実施形態で説明した評価方法と同様である。
図12(a)は、粒子33aの剥離、炭素層34の摩耗、帯電ローラ30の汚れの評価結果を示す表である。図12(a)に示す評価ランクに係る評価は次の通りである。剥離については、「〇」は炭素層34に粒子33aの剥離跡が確認できる評価であり、「×」は剥離跡が確認できない評価である。摩耗については、「〇」は炭素層34が摩耗して中間層33の露出が確認できる評価であり、「×」は露出が確認できない評価である。帯電ローラ30の汚れの評価ランクに係る評価は、第1実施形態で説明したものと同じである。
図12(a)に示す様に、炭素層34の厚みが1μm~7μmの場合、帯電ローラ30の汚れが確認された。これは第1実施形態で述べた通り、炭素層34の厚みが厚い場合、炭素層34の表面プロファイルが中間層33の表面プロファイルに追随できなくなり、適正な表面粗さが維持できずに汚染物質の付着確率が上昇するためと考えられる。また炭素層34の厚みが0.01μm~0μmの場合にも帯電ローラ30の汚れが確認された。これは後述する炭素層34の摩耗によって中間層33が露出し、炭素層34による汚れの抑制効果が低下したためと考えられる。一方で、炭素層34の厚みが0.03μm~0.45μmの場合、帯電ローラ30の汚れは見られなかった。
また炭素層34の厚みが0.03μm以上の場合、粒子33aの剥離と炭素層34の摩耗が見られなかった。一方、炭素層34の厚みが0.01μm以下の場合、粒子33aの剥離と炭素層34の摩耗が見られた。これは炭素層34の製法上、表面の平滑性が低い物質を被覆する場合に炭素源に対する向きによって膜厚に差が生じる。また図13に示す様に、炭素層34の厚みは、海部34bにおける粒子33aが存在しない部分と、粒子33aの先端部付近で最も厚くなり、粒子33aの裾部34b1付近で最も薄くなる傾向にある。従って、炭素層34の裾部34b1付近で炭素層34の厚みが極端に薄くなることで、粒子33aの剥離や炭素層34の摩耗が生じたものと考えられる。
この結果、帯電ローラ30において、炭素層34の厚みを0.03μm以上0.45μm以下とすることにより、粒子33aの剥離、炭素層34の摩耗、帯電ローラ30の汚れを抑制できることが判明した。ここで海部34bの裾部34b1の厚みを0.03μm以上にすることで、粒子33aの剥離や炭素層34の摩耗を抑制する効果が高まるため好ましい。
次に、粒子33aの平均粒径の適正値を検証した結果について説明する。本検証は、粒子33aの平均粒径を振って画像を形成し、粒子33aの剥離と帯電ローラ30の汚れの有無を評価した。本検証では、中間層33の厚みは5μmとし、炭素層34の厚みは0.5μmとした。評価方法は、本実施形態で上述した粒子33aの剥離の方法、及び、帯電ローラ30の汚れの評価方法と同様である。
図12(b)は、粒子33aの剥離と、帯電ローラ30の汚れの評価結果を示す表である。図12(b)に示す評価ランクに係る評価は、図12(a)に示す評価ランクに係る評価と同様である。図12(b)に示す様に、粒子33aの平均粒径を10μm以上、20μm以下とする場合、帯電ローラの汚れが見られずに、粒子33aの剥離も生じなかった。
これに対して粒子33aの平均粒径が5μm以下の場合、帯電ローラ30の汚れが見られた。これは粒子33aの平均粒径が中間層33の厚みと同等以下の場合、中間層33の表面粗さが小さくなり、これに伴って炭素層34の表面粗さも小さくなるため、帯電ローラ30に汚染物質が付きやすくなって汚れやすくなると考えられる。つまり帯電ローラ30の汚れを抑制するために、中間層33の厚みをW2、粒子33aの平均粒径をW3とする場合、W2<W3とするのが好ましい。また第1実施形態で説明した通り、炭素層34の厚みが中間層33の厚み以下の方が、帯電ローラ30の汚れを抑制する観点から好ましい。つまり炭素層34の厚みをW1とする場合、W1<W2<W3とするのが好ましい。
また粒子33aの平均粒径が30μmの場合、粒子33aの剥離が確認された。これは粒子33aが大きい程、炭素層34の裾部34b1の厚みが薄くなるため、粒子33aが大き過ぎると粒子33aの剥離が生じやすくなるためと考えられる。この結果、中間層33の厚みが5μm、炭素層34の厚みが0.5μmの場合、粒子33aの平均粒径を8~20μmとするのが好ましいことが判明した。
次に、炭素層34の海部34bの表面の十点平均粗さRzの適正値を検証した結果について説明する。本検証は、海部34bの表面の十点平均粗さRzを振って画像を形成し、帯電ローラ30の汚れの有無を評価した。炭素層34の厚みは0.5μmとした。帯電ローラ30の海部43bの十点平均粗さRzの測定方法は、第1実施形態で説明した十点平均粗さRzの測定方法と同様である。評価方法は、本実施形態で上述した帯電ローラ30の汚れの評価方法と同様である。
図12(c)は、帯電ローラ30の汚れの評価結果を示す表である。図12(c)に示す評価ランクに係る評価は、図12(a)に示す評価ランクに係る評価と同様である。図12(c)に示す様に、海部34bの表面の十点平均粗さRzが3μm以下の場合、帯電ローラ30の汚れが見られなかった。一方、海部34bの表面の十点平均粗さRzが5μm以上の場合、帯電ローラ30の汚れが見られた。このように海部34bの表面の十点平均粗さRzが大きい場合に帯電ローラ30が汚れやすいのは、海部34bに進入したトナーや外添剤が詰まりやすくなるためと考えられる。この結果、海部34bの十点平均粗さRzを3μ以下とするのが好ましいことが判明した。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る帯電ローラの第3実施形態について説明する。第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
上述した通り、帯電ローラ30は、バネ63によって芯金31の両端部が軸受64を介して感光ドラム1に向かって付勢されており、これにより帯電ローラ30と感光ドラム1との接触状態を安定させている。しかし、このような構成では、帯電ローラ30の回転軸線方向において、帯電ローラ30の中央部よりも端部に負荷がかかりやすくなる。これは次に説明する測定結果からも分かる。
図14は、バネ63の一つ当たりの付勢力を350gf~700gfの間で振って、帯電ローラ30の回転軸線方向における44箇所の位置で帯電ローラ30の表面にかかる負荷を測定した結果を示すグラフである。図14に示す横軸の0.0の位置は、帯電ローラ30の回転軸線方向の中央部を示す。本測定は、ニッタ株式会社製のI-SCANシートを帯電ローラ30と感光ドラム1との間に挟み込んで面圧分布を測定したものであり、測定箇所の間の区間は近似している。図14に示す様に、いずれのバネ63の付勢力であっても、帯電ローラ30の回転軸線方向において、中央部よりも端部に負荷がかかりやすいことが確認された。
このように帯電ローラ30の両端部が感光ドラム1に向かって付勢される構成では、帯電ローラ30の端部にかかる負荷が大きくなって応力が集中しやすくなる。従って、帯電ローラ30の端部で割れや撓みが生じやすくなる。そこで本実施形態に係る帯電ローラ30は、帯電ローラ30の回転軸線方向において、炭素層34の端部の厚みを中央部の厚みよりも厚くする構成である。本実施形態に係る帯電ローラ30を備える画像形成装置Aのその他の構成は、第1実施形態に係る画像形成装置Aの構成と同様である。
図15に示す様に、本実施形態の帯電ローラ30は、炭素層34の厚みを、帯電ローラ30の表面にかかる負荷に応じて、帯電ローラ30の回転軸線方向の中央部から端部に段階的に厚くなるように構成されている。このように帯電ローラ30の負荷がかかりやすい部分で強度が高い炭素層34を厚く被覆することにより、帯電ローラ30の端部の割れや撓みを抑制することができる。
次に、帯電ローラ30と感光ドラム1との接触領域における炭素層34の端部の厚みを振って画像比率30%のSRA3サイズのデジタルハーフトーン画像を40万枚連続で形成したときの帯電ローラ30の端部の割れと画像への影響を検証した結果について説明する。本検証は、23℃、5%RHの環境下でキヤノン株式会社製のフルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5500を使用して行った。デジタルハーフトーン画像は、X-rite社製の500series densitometerで測定した反射濃度が0.3乃至0.6の範囲の画像となるよう調整した。
図16(a)は、当該検証の結果を示す表である。図16(a)に示す評価ランクに係る評価は次の通りである。「〇」は、画像不良が見られない評価である。「×」は、割れによる画像不良が顕在化した評価である。図16(a)に示す様に、炭素層34を帯電ローラ30の感光ドラム1との接触領域の端部に被覆することにより、当該接触領域の端部の割れを抑制し、これに伴う画像不良を抑制できることが確認された。
なお、本実施形態では、帯電ローラ30の中間層33の外周部の全域に炭素層34を形成する構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、帯電ローラ30と感光ドラム1との接触領域において帯電ローラ30にかかる負荷が所定以上の領域にのみ炭素層34を形成する構成としてもよい。図16(b)は、炭素層34を有する帯電ローラ30と炭素層34を有しない帯電ローラ30において、バネ63の付勢力を振って画像比率30%のSRA3サイズのデジタルハーフトーン画像を40万枚連続で形成した時の帯電ローラ30の割れと画像への影響を検証した結果を示す表である。図16(b)に示す様に、炭素層34を有しない帯電ローラ30では、バネ63の付勢力を問わず、帯電ローラ30にかかる負荷が10gf以上の場合に割れが発生し、これに伴う画像不良が顕在化した。一方、負荷が10gf以下の場合、炭素層34を有しない構成であっても、割れや画像不良が生じなかった。これは帯電ローラ30にかかる負荷が小さく、応力集中による疲労が少ないためと考えられる。このような結果から、本検証では、帯電ローラ30にかかる負荷が10gf以上の領域にのみ炭素層34を形成する構成とすることで、帯電ローラ30の端部の割れやこれに伴う画像不良が抑制されることが判明した。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る帯電ローラの第4実施形態について説明する。第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
上述した通り、帯電ローラ30は、バネ63によって芯金31の両端部が軸受64を介して感光ドラム1に向かって付勢されており、これにより帯電ローラ30と感光ドラム1との接触状態を安定させている。しかし、このような構成では、帯電ローラ30の回転軸線方向において、帯電ローラ30の中央部の感光ドラム1に対する接触圧が端部の接触圧よりも低くなるため、帯電ローラ30の中央部でスリップが生じやすくなる。
そこで上記スリップを抑制するために、本実施形態に係る帯電ローラ30は、帯電ローラ30の回転軸線方向において、感光ドラム1との接触領域における中央部の外径が端部の外径よりも大きい構成である。また、このような構成では、帯電ローラ30の回転軸線方向の中央部付近で感光ドラム1に対する接触圧、即ち帯電ローラ30の負荷が大きくなる場合がある。そこで本実施形態では、帯電ローラ30の回転軸線方向において、炭素層34の中央部の厚みを端部の厚みよりも厚くしている。本実施形態に係る帯電ローラ30を備える画像形成装置Aのその他の構成は、第1実施形態に係る画像形成装置Aの構成と同様である。
図17に示す様に、本実施形態の帯電ローラ30は、炭素層34の厚みを、帯電ローラ30の外径に応じて、帯電ローラ30の回転軸線方向の端部から中央部に段階的に厚くなるように構成されている。このように帯電ローラ30の負荷がかかりやすい部分で強度が高い炭素層34を厚く被覆することにより、帯電ローラ30の割れや撓みを抑制することができる。
本実施形態のように帯電ローラ30の回転軸線方向の中央部を太らせる形状は、一般的にクラウン形状と称される。本実施形態において、クラウン形状のクラウン量は次のように規定している。即ち、まず東京光電子工業株式会社製のLASER MICRO GAUGE LMG D7により、全長が324mmの帯電ローラ30の回転軸線方向の中心部(図17に示す位置E2)と各端部から149.5mmの位置(位置E1、E3)の外径を測定する。次に、各測定値を次の式4に当てはめて、クラウン量Gを算出する。位置E1~E3の測定値は、帯電ローラ30の回転角度で0度、120度、240度の三点の外径を測定し、その平均値を測定値とした。本実施形態では、位置E1の外径が13.95mm、位置E2の外径が14.00mm、位置E3の外径が13.96mmであり、クラウン量は45μmであった。
(式4)
G=φE2-(φE1+φE3)/2
次に、帯電ローラ30の回転軸線方向における炭素層34の中央部の厚みを振って画像比率5%の画像を40万枚連続で形成した時の帯電ローラ30の中央部における表面の摩耗量を測定した結果について説明する。本測定に係る画像の形成は、23℃、5%RHの環境下でキヤノン株式会社製のフルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5500を使用して行った。
また帯電ローラ30の表面の摩耗量の測定は、図18に示す測定装置90を用いて行った。図18に示す様に、測定装置90は、帯電ローラ30の芯金31に接触して配置される二つのベアリング91と、モータ92と、ベアリング91に接触して配置され、モータ92の駆動力によって駆動するベルト93と、光センサ94を備える。光センサ94は、帯電ローラ30の回転方向の中央部と対向する位置に配置されている。モータ92が駆動すると、モータ92の駆動力がベルト93を介してベアリング91に伝達されてベアリング91が回転し、これに伴ってベアリング91に接触する芯金31が回転する。光センサ94は、回転する帯電ローラ30の表面に光を照射し、その反射光を受光して帯電ローラ30の表面の摩耗量を測定する。
図16(c)は、当該測定の結果を示す表である。図16(c)に示す様に、帯電ローラ30における感光ドラム1との接触領域に炭素層34を被覆することで、帯電ローラ30の表面の摩耗量を大幅に減少させることができることが判明した。また炭素層34の厚みを厚くする程、帯電ローラ30の表面の摩耗量が減少することが確認された。
1…感光ドラム(感光体)
30…帯電ローラ
31…芯金(支持体)
32…弾性層
33…中間層
33a…粒子
34…炭素層(テトラへドラルアモルファスカーボン層)
63…バネ(第1付勢部材、第2付勢部材)
A…画像形成装置

Claims (9)

  1. 感光体の表面に接触して配置され、該表面を帯電させる帯電ローラにおいて、
    導電性を有する支持体と、
    前記支持体の外周部に形成された弾性層と、
    前記弾性層の外周部に形成された樹脂製の中間層と、
    前記中間層の外周部に形成されたテトラへドラルアモルファスカーボン層と、
    を有することを特徴とする帯電ローラ。
  2. 前記中間層は、アクリル系樹脂、又は、ウレタン系樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の帯電ローラ。
  3. 前記テトラへドラルアモルファスカーボン層の厚みは、前記中間層の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電ローラ。
  4. 前記テトラへドラルアモルファスカーボン層の厚みは、0.5μm未満であることを特徴とする請求項3に記載の帯電ローラ。
  5. 前記中間層には、粒子が含有されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の帯電ローラ。
  6. 前記粒子の平均粒径は、前記中間層の厚み、及び、前記テトラへドラルアモルファスカーボン層の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の帯電ローラ。
  7. 前記テトラへドラルアモルファスカーボン層のビッカース硬度は、250以上、1500未満であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の帯電ローラ。
  8. 感光体と、
    前記感光体の表面を帯電させる請求項1乃至7のいずれか1項に記載の帯電ローラと、
    帯電された前記感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光部と、
    前記静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像部と、
    前記トナー像をシートに転写する転写部と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  9. 前記帯電ローラの一端部を前記感光体に向かって付勢する第1付勢部材と、前記帯電ローラの他端部を前記感光体に向かって付勢する第2付勢部材とを備え、
    前記帯電ローラの回転軸線方向において、前記テトラへドラルアモルファスカーボン層の両端部のそれぞれの厚みは、中央部の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
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