JP2022178410A - フッ化物イオン電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容量特性が良好なフッ化物イオン電池を提供する。【解決手段】Cu系活物質と、BiF3とを含有する正極活物質層1を備える、フッ化物イオン電池10である。【選択図】図1

Description

本開示は、フッ化物イオン電池およびその製造方法に関する。
高電圧かつ高エネルギー密度な電池として、例えばLiイオン電池が知られている。Liイオン電池は、Liイオンと正極活物質との反応、および、Liイオンと負極活物質との反応を利用したカチオンベースの電池である。一方、アニオンベースの電池として、フッ化物イオン(フッ化物アニオン)の反応を利用したフッ化物イオン電池が知られている。例えば、特許文献1には、Ag、Co、Mn、Cu、W、およびVの少なくとも一種を含有する活物質と、活物質を被覆するフッ化物とを有する正極活物質材料を用いたフッ化物オン電池が開示されている。
特開2018-063905号公報
フッ化物イオン電池の正極活物質として用いられる銅(Cu)は、2電子反応が可能であるため、エネルギー密度の向上が図りやすいという利点がある。一方、Cuは、充放電中に凝集し粗大化しやすいため、充電時に内部までフッ化反応が進行せず、十分な容量特性が得られない場合がある。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、容量特性が良好なフッ化物イオン電池を提供することを主目的とする。
本開示においては、Cu系活物質と、BiFとを含有する正極活物質層を備える、フッ化物イオン電池を提供する。
本開示によれば、正極活物質層が、Cu系活物質およびBiFを含有することから、容量特性が良好なフッ化物イオン電池となる。
上記開示において、上記正極活物質層は、上記Cu系活物質が上記BiFで被覆された複合粒子を含有していてもよい。
上記開示においては、上記正極活物質層における、Biに対するCuのモル比(Cu/Bi)が、1以上3以下であってもよい。
上記開示においては、上記Cu系活物質が、金属元素の主成分としてCuを含有していてもよい。
上記開示においては、上記Cu系活物質が、さらにFを含有していてもよい。
上記開示においては、上記Cu系活物質の平均粒径が、100nm以下であってもよい。
また、本開示においては、Cu系活物質およびBiを含有する前駆体層を形成する前駆体層形成工程と、上記前駆体層にフッ化物イオンを導入し、Cu系活物質と、BiFとを含有する正極活物質層を形成する正極活物質層形成工程と、を有するフッ化物イオン電池の製造方法を提供する。
本開示によれば、Cu系活物質およびBiFを含有する正極活物質を形成するため、容量特性が良好なフッ化物イオン電池が得られる。
本開示においては、容量特性が良好なフッ化物イオン電池を提供できるという効果を奏する。
本開示におけるフッ化物イオン電池を例示する概略断面図である。 本開示におけるフッ化物イオン電池を例示する概略断面図である。 Cuの課題を説明する説明図である。 正極活物質層におけるCu系活物質およびBiFの関係を例示する概略断面図である。 本開示におけるフッ化物イオン電池の製造方法を例示する概略断面図である。 実施例1で得られたCuBiナノ粒子(初回充電前)に対するTEM-EDXの測定結果である。 実施例1で得られたCuBiナノ粒子(初回充電後)に対するTEM-EDXの測定結果である。 実施例1で得られた評価セルに対する充放電試験の結果である。 比較例1で得られた評価セルに対する充放電試験の結果である。 比較例2で得られた評価セルに対する充放電試験の結果である。
以下、本開示におけるフッ化物イオン電池およびその製造方法について、詳細に説明する。
A.フッ化物イオン電池
図1は、本開示におけるフッ化物イオン電池を例示する概略断面図である。図1に示すフッ化物イオン電池10は、正極活物質層1と、負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に配置された電解質層3と、正極活物質層1の集電を行う正極集電体4と、負極活物質層2の集電を行う負極集電体5と、を有する。本開示においては、正極活物質層1が、Cu系活物質と、BiFとを少なくとも含有する。
図2は、本開示におけるフッ化物イオン電池を例示する概略断面図であり、充電により負極活物質層が自己形成される電池を示している。図2(a)に示すフッ化物イオン電池10は、電解質層3および負極集電体5の間に負極活物質層を有さず、電解質層3および負極集電体5が直接接触している。電解質層3は、固体電解質として、2種類以上の金属元素を含む金属フッ化物(例えばPb2-xSn)を含有する。図2(a)に示されるフッ化物イオン電池10においては、初回充電時に、電解質層3と負極集電体5との界面で、金属フッ化物の脱フッ化反応が生じ、負極活物質(例えばPb)が生成する。その結果、図2(b)に示すように、負極活物質層2が自己形成される。
本開示によれば、正極活物質層が、Cu系活物質およびBiFを含有することから、容量特性が良好なフッ化物イオン電池となる。上述したように、フッ化物イオン電池の正極活物質として用いられる銅(Cu)は、2電子反応(1つのCuに対し2つの電子が反応すること)が可能であるため、エネルギー密度の向上が図りやすいという利点がある。一方、Cuがフッ化するとCuFが生成するが、CuFは電子伝導性を有さず、フッ化物イオン伝導度も低い。そのため、図3に示すように、Cuの粒径が大きいと、充電時に内部までフッ化反応が進行しない。そのため、Cuの粒径は、小さいことが好ましく、特にナノサイズであることが好ましい。
また、Cuは、充放電中に凝集し、粗大化しやすい。具体的に、CuがCuFとなると体積が最大で1.5倍に膨張するが、膨張したCu粒子同士が接触すると、表面張力を下げるために、球状の塊に変化すると考えられる。そのため、例えばナノサイズのCuを用いたとしても、粗大化が生じると、充電時に内部までフッ化反応が進行しなくなる。これに対して、本開示においては、Cuの周囲に、BiFが存在することで、粒子の粗大化を抑制できる。その結果、容量特性が良好なフッ化物イオン電池となる。
BiFが存在することで、粒子の粗大化を抑制できる理由は、BiFが存在することで、Cu粒子同士の接触頻度を低減することができるためであると推測される。さらに、BiFは、CuFよりもフッ化物イオン伝導性が高いため、例えば反応温度が低い場合であっても、充放電がスムーズに進行し、容量特性が向上する。すなわち、本開示におけるフッ化物イオン電池は、比較的低温(例えば60℃)での容量特性が良好であるという利点がある。また、Biのフッ化脱フッ化電位は、Cuのフッ化脱フッ化電位より低いため、Cuが活物質として機能する際に、常に、BiFとして存在でき、上記効果を安定的に発揮できる。さらに、Biは単体で安定に存在し得るため、後述するCuBiナノ粒子を合成しやすいという利点もある。
1.正極活物質層
本開示における正極活物質層は、Cu系活物質と、BiFとを含有する層である。Cu系活物質は、Cuを少なくとも含有する。Cu系活物質は、金属元素として、Cuのみを含有していてもよく、Cuに加えて他の金属を含有していてもよい。他の金属としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタノイド金属が挙げられる。また、Cu系活物質は、Pbを含有していてもよく、Pbを含有していなくてもよい。
Cu系活物質は、金属元素の主成分としてCuを含有することが好ましい。「金属元素の主成分としてCuを含有する」とは、Cu系活物質における全ての金属元素において、Cuのモル割合が最も多いことをいう。Cu系活物質における全ての金属元素に対するCuの割合は、例えば50mol%以上であり、70mol%以上であり、90mol%以上であってもよい。Cu系活物質における金属元素の割合は、例えば、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析を行うことで確認することができる。
Cu系活物質は、Fを含有していてもよく、Fを含有していなくてもよい。Cu系活物質は、例えば、CuF(0≦x≦2)で表すことができる。xは、フッ化物イオン電池のSOC(state of charge)によって変動する。
Cu系活物質の形状は、粒子状であることが好ましい。Cu系活物質の平均粒径(D50)は、例えば100nm以下であり、65nm以下であってもよい。Cu系活物質の平均粒径が大きすぎると、充電時に内部までフッ化反応が進行せず、十分な容量特性が発揮されない可能性がある。一方、Cu系活物質の平均粒径(D50)は、例えば10nm以上であり、20nm以上であってもよい。Cu系活物質の平均粒径が小さすぎると、その製造が困難になる可能性がある。平均粒径(D50)は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察(例えば、n≧100)等により測定することができる。また、BET比表面積の測定値から算出することもできる。なお、CuがCuFとなると、体積が最大で1.5倍に膨張する。この点を考慮すると、Fを含有しないCu系活物質の平均粒径(D50)は、例えば65nm以下であることが好ましい。
正極活物質層におけるCu系活物質の含有量は、例えば30重量%以上であり、50重量%以上であってもよく、70重量%以上であってもよい。
BiFは、通常、Cu系活物質の粗大化防止材として機能する。例えば図4(a)に示すように、BiFは、Cu系活物質を被覆していてもよい。すなわち、正極活物質層は、Cu系活物質がBiFで被覆された複合粒子を含有していてもよい。Cu系活物質の表面に対する、BiFの被覆率は、例えば20%以上であり、50%以上であってもよく、70%以上であってもよい。一方、BiFの被覆率は、100%であってもよい。被覆率の測定方法としては、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)およびX線光電子分光法(XPS)が挙げられる。複合粒子におけるBiFの平均厚さは、例えば0.5nm以上であり、1nm以上であってもよく、10nm以上であってもよい。一方、複合粒子におけるBiFの平均厚さは、例えば30nm以下であり、20nm以下であってもよい。BiFの平均厚さの測定方法としては、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)が挙げられる。
一方、例えば図4(b)に示すように、BiFおよびCu系活物質は、それぞれ、粒子であってもよい。すなわち、正極活物質層は、Cu系活物質の粒子と、BiFの粒子とを含有していてもよい。BiFの粒子の平均粒径(X)は、Cu系活物質の粒子の平均粒径(Y)よりも小さいことが好ましい。Cu系活物質の粒子同士の隙間に、BiFの粒子が配置されやすくなるからである。Yに対するXの比率(X/Y)は、例えば0.5以下であり、0.3以下であってもよく、0.1以下であってもよい。
正極活物質層における、Biに対するCuのモル比をCu/Biとする。Cu/Biは、特に限定されないが、例えば0.1以上であり、1以上であってもよい。Cu/Biが小さすぎると、相対的にCu系活物質の割合が小さくなり、体積エネルギー密度が低くなる可能性がある。一方、Cu/Biの値は、例えば10以下であり、3以下であってもよい。Cu/Biが大きすぎると、Cu系活物質の粗大化を十分に抑制できない可能性がある。正極活物質層が、上述した複合粒子を含有する場合、Cu/Biは、1以上3以下であることが好ましい。
正極活物質層は、導電材を含有していてもよい。導電材の添加により、正極活物質層の電子伝導性が向上する。導電材としては、例えば炭素材料が挙げられる。炭素材料としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブが挙げられる。
正極活物質層における導電材の割合は、例えば1重量%以上であり、5重量%以上であってもよい。導電材の割合が少なすぎると、良好な電子伝導パスが形成されない可能性がある。一方、正極活物質層における導電材の割合は、例えば20重量%以下であり、15重量%以下であってもよい。導電材の割合が多すぎると、相対的に正極活物質の割合が少なくなり、エネルギー密度が低下する可能性がある。
正極活物質層は、電解質を含有していてもよい。電解質の添加により、正極活物質層のイオン伝導性が向上する。電解質は、固体電解質であってもよく、液体電解質(電解液)であってもよい。電解質については、後述する「2.電解質層」に記載する内容と同様である。正極活物質層は、バインダーを含有していてもよい。バインダーとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダーが挙げられる。また、正極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
2.電解質層
本開示における電解質層は、正極活物質層の正極集電体とは反対側に配置される層である。電解質層に含まれる電解質は、固体電解質であってもよく、液体電解質(電解液)であってもよい。
固体電解質としては、例えば、金属元素およびフッ素元素を含有する無機固体電解質が挙げられる。無機固体電解質は、金属元素を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。無機固体電解質は、例えば、La、Ce等のランタノイド元素を含むフッ化物、Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属元素を含むフッ化物、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類元素を含むフッ化物が挙げられる。
また、無機固体電解質は、La、Ba、Pb、Sn、CaおよびCeの少なくとも一種を含有するフッ化物であることが好ましい。無機固体電解質の具体例としては、La1-xBa3-x(0≦x≦1)、Pb2-xSn(0≦x≦2)、Ca2-xBa(0≦x≦2)、Ce1-xBa3-x(0≦x≦1)が挙げられる。上記xは、それぞれ、0よりも大きくてもよく、0.3以上であってもよく、0.5以上であってもよく、0.9以上であってもよい。また、上記xは、それぞれ、1よりも小さくてもよく、0.9以下であってもよく、0.5以下であってもよく、0.3以下であってもよい。無機固体電解質の形状は、例えば粒子状が挙げられる。
電解液は、例えば、フッ化物塩および溶媒を含有する。フッ化物塩としては、例えば、無機フッ化物塩、有機フッ化物塩、イオン液体が挙げられる。無機フッ化物塩としては、例えば、XF(Xは、Li、Na、K、RbまたはCsである)が挙げられる。有機フッ化物塩のカチオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン等のアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。電解液におけるフッ化物塩の濃度は、例えば0.1mol/L以上、6mol/L以下である。
溶媒としては、例えば、R-O(CHCHO)-R(RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数4以下のアルキル基、または、炭素数4以下のフルオロアルキル基であり、nは2~10の範囲内である)で表されるグライム、エチレンカーボネート(EC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネートが挙げられる。電解液は、アルカリ金属アミド塩を含有していてもよい。
3.負極活物質層
本開示における負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有する層である。また、負極活物質層は、導電材、バインダーおよび電解質の少なくとも一つをさらに含有していてもよい。
負極活物質としては、例えば、金属単体、合金、金属酸化物、および、これらのフッ化物が挙げられる。負極活物質に含まれる金属元素としては、例えば、La、Ca、Al、Eu、Li、Si、Ge、Sn、In、V、Cd、Cr、Fe、Zn、Ga、Ti、Nb、Mn、Yb、Zr、Sm、Ce、Mg、Pbが挙げられる。
また、負極活物質として、黒鉛、コークス、カーボンナノチューブ等の炭素材料、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェン等のポリマー材料を用いることもできる。導電材、電解質およびバインダーについては、上記「1.正極活物質層」に記載した材料と同様の材料を用いることができる。
また、上述したように、本開示においては、電解質層に含まれる固体電解質の脱フッ化反応により、負極活物質層を自己形成してもよい。また、負極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
4.その他の構成
本開示におけるフッ化物イオン電池は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および、負極活物質層の集電を行う負極集電体を有していてもよい。正極集電体および負極集電体の形状としては、例えば、箔状、メッシュ状、多孔質状が挙げられる。また、フッ化物イオン電池は、正極活物質層および負極活物質層の間に、セパレータを有していてもよい。セパレータを設けることで、より安全性の高い電池が得られる。
5.フッ化物イオン電池
本開示におけるフッ化物イオン電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。また、本開示におけるフッ化物イオン電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型が挙げられる。
B.フッ化物イオン電池の製造方法
図5は、本開示におけるフッ化物イオン電池の製造方法を例示する概略断面図である。図5に示すフッ化物イオン電池の製造方法では、まず、Cu系活物質およびBiを含有する前駆体層1Xを有する中間構造体11を作製する(図5(a))。前駆体層1Xは、例えば、Cu系活物質がBiで被覆された複合粒子を含有する。また、中間構造体11は、前駆体層1Xの他に、負極活物質層2、電解質層3、正極集電体4および負極集電体5を有する。次に、中間構造体11を充電することで、前駆体層1Xにフッ化物イオンを導入し、Cu系活物質と、BiFとを含有する正極活物質層1を形成し、フッ化物イオン電池10が得られる(図5(b))。
本開示によれば、Cu系活物質およびBiFを含有する正極活物質を形成するため、容量特性が良好なフッ化物イオン電池が得られる。特に、前駆体層が、Cu系活物質がBiで被覆された複合粒子を含有する場合、前駆体層の作製後にBiをフッ化し、BiFを作成することで、BiFコートの破損を抑制することができる。例えば、Cu系活物質が予めBiFで被覆された複合粒子を用いた場合、正極活物質層の作製時に、BiFコートが、他の材料(例えば導電材)と衝突することで破損する可能性がある。これに対して、前駆体層の作製後にBiをフッ化し、BiFを作成することで、BiFコートの破損を抑制できる。
1.前駆体層形成工程
本開示における前駆体層形成工程は、Cu系活物質およびBiを含有する前駆体層を形成する工程である。
前駆体層は、Cu系活物質およびBiを含有する。前駆体層は、Cu系活物質がBiで被覆された複合粒子を含有していてもよい。前駆体層形成工程における複合粒子は、通常、フッ素を含有しない。複合粒子の合成方法としては、例えば、Cu系活物質およびBi単体の混合物に対して、熱プラズマ処理を行う方法が挙げられる。また、前駆体層は、Cu系活物質の粒子と、Bi粒子とを含有していてもよい。Cu/Biの値、Cu系活物質の平均粒径、および、その他の事項については、上記「A.フッ化物イオン電池」に記載した内容と同様である。
前駆体層は、導電材、バインダーおよび電解質の少なくとも一つをさらに含有していてもよい。これらの点については、上記「A.フッ化物イオン電池」に記載した内容と同様である。
なお、本開示においては、上述した複合粒子の製造方法であって、Cu系活物質およびBi(Bi単体)の混合物に対して熱プラズマ処理を行う熱プラズマ処理工程を有する、複合粒子の製造方法を提供することもできる。また、本開示においては、Cu系活物質がBi(Bi単体)で被覆された複合粒子を提供することもできる。Cu系活物質の表面に対するBiの被覆率は、例えば20%以上であり、50%以上であってもよく、70%以上であってもよい。一方、Biの被覆率は、100%であってもよい。複合粒子におけるBiの平均厚さは、例えば0.5nm以上であり、1nm以上であってもよく、10nm以上であってもよい。一方、複合粒子におけるBiの平均厚さは、例えば30nm以下であり、20nm以下であってもよい。
2.正極活物質層形成工程
正極活物質層形成工程は、上記前駆体層にフッ化物イオンを導入し、Cu系活物質と、BiFとを含有する正極活物質層を形成する工程である。
CuおよびBiを比較すると、Biのフッ化電位が、Cuのフッ化電位よりも低いため、充電時に、まずBiのフッ化反応が生じ、次にCuのフッ化反応が生じる。一方、放電時に、Cuの脱フッ化反応が生じるが、Biの脱フッ化反応は生じない。
前駆体層にフッ化物イオンを導入する方法は、特に限定されないが、充電可能な中間構造体を作製し、充電処理を行う方法が挙げられる。中間構造体は、例えば図5(a)に示すように、初回充電前のフッ化物イオン電池であってもよい。充電条件は、特に限定されず、少なくともBiのフッ化反応が生じるように設定する。正極活物質層におけるCu系活物質は、Fを含有していてもよく、Fを含有していなくてもよい。また、この工程により得られる正極活物質層については、上記「A.フッ化物イオン電池」に記載した内容と同様である。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
[実施例1]
(CuBiナノ粒子の合成)
Cu粉末とBi粉末とを原料として、熱プラズマ法を用いてCuBiナノ粒子を合成した。Cu/Biのモル比は、2.66とした。また、CuBiナノ粒子の表面をTEM-EDXで測定した。その結果を図6(a)、(b)に示す。図6(a)、(b)に示すように、CuBiナノ粒子は、CuおよびBiが分相しており、CuがBiで被覆された複合粒子であることが確認された。また、CuBiナノ粒子におけるCuの平均粒径は38nmであった。
(正極合材の作製)
正極活物質として上記CuBiナノ粒子、固体電解質としてPb1.2Sn0.8、導電材としてカーボン粉末を用い、混合し、正極合材を得た。
(評価セルの作製)
1cmのセラミックス製の型にPb1.2Sn0.8を250mg秤量し、1ton/cmでプレスして固体電解質層を形成した。得られた固体電解質層の片側に正極合材10mgを入れ、1ton/cmでプレスすることで正極活物質層を作製した。正極活物質層および固体電解質層の表面に、それぞれ、正極集電体(Pt箔)および負極集電体(Pt箔)を配置し、4ton/cmでプレスした。このようにして、1cmのペレット型の評価セルを作製した。なお、充電時に、CuBiナノ粒子はフッ化され、CuF(0≦x≦2)およびBiFが形成される。また、充電時に、固体電解質層の負極集電体側の領域で脱フッ化反応が生じることで、負極活物質層が自己形成される。
[比較例1]
正極活物質としてCuナノ粒子(平均粒径29nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレット型の評価セルを作製した。
[比較例2]
特開2018-063905号公報の実施例と同様にして、熱プラズマ法により、LaFで被覆したCuナノ粒子を合成した。この粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレット型の評価セルを作製した。
[評価]
実施例1で得られた評価セルに対して、充放電試験を行った。なお、正極側でフッ化反応が生じ、負極側で脱フッ化反応が生じる過程を充電とし、正極側で脱フッ化反応が生じ、負極側でフッ化反応が生じる過程を放電とした。評価セルは、密閉容器に配置し、真空引きしながら充放電を行った。充放電条件は、レート:0.05C、電圧範囲:1.3~0.3V(対極Pb)、温度:60℃とした。
初回充電後における、フッ化されたCuBiナノ粒子のTEM-EDX測定の結果を図7(a)、(b)に示す。図7(a)、(b)に示すように、フッ化されたCuBiナノ粒子は、CuF(0<x≦2)がBiFで被覆された複合粒子であることが確認された。また、フッ化されたCuBiナノ粒子におけるCuFの平均粒径は50nmであった。すなわち、初回充電により、Cuの平均粒径は約1.3倍に増加した。一方、特に図示しないが、比較例1で用いたCuは、初回充電により、平均粒径が約3.1倍に増加した。このように、Cu系活物質と、BiFとが共存することで、粒子の粗大化を抑制できることが確認された。
実施例1で得られた評価セルに対する充放電試験の結果を図8に示す。また、比較例1、2で得られた評価セルに対して、同様の条件で充放電を行った。その結果を図9、図10に示す。また、充放電試験により求められた容量の結果を表1に示す。
Figure 2022178410000002
図8~図10および表1に示されるように、実施例1は、比較例1、2よりも容量特性が良好であることが確認された。図8の初回充電時において、充電開始から約300mAh/gまでは、CuBiナノ粒子におけるBiがBiFになる反応が生じている。一方、約300mAh/gから950mAh/gまでは、CuBiナノ粒子におけるCuがCuF(0<x≦2)になる反応が生じている。Cuのフッ化に伴う充電容量(650mAh/g)は、比較例1、2に比べて、十分に大きいものであった。一方、初回放電時に、BiFの脱フッ化反応は生じていないことが確認された。また、放電容量においても、実施例1は、比較例1、2に比べて、十分に大きかった。このように、Cu系活物質と、BiFとが共存することで、良好な容量特性が得られることが確認された。
1 … 正極活物質層
2 … 負極活物質層
3 … 電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
10 … フッ化物イオン電池

Claims (7)

  1. Cu系活物質と、BiFとを含有する正極活物質層を備える、フッ化物イオン電池。
  2. 前記正極活物質層は、前記Cu系活物質が前記BiFで被覆された複合粒子を含有する、請求項1に記載のフッ化物イオン電池。
  3. 前記正極活物質層における、Biに対するCuのモル比(Cu/Bi)が、1以上3以下である、請求項2に記載のフッ化物イオン電池。
  4. 前記Cu系活物質が、金属元素の主成分としてCuを含有する、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のフッ化物イオン電池。
  5. 前記Cu系活物質が、さらにFを含有する、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のフッ化物イオン電池。
  6. 前記Cu系活物質の平均粒径が、100nm以下である、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のフッ化物イオン電池。
  7. Cu系活物質およびBiを含有する前駆体層を形成する前駆体層形成工程と、
    前記前駆体層にフッ化物イオンを導入し、Cu系活物質と、BiFとを含有する正極活物質層を形成する正極活物質層形成工程と、
    を有するフッ化物イオン電池の製造方法。
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