JP2022178073A - 歪みセンサおよび動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】歪みセンサにおいて、折り返し部の十分な強度を確保しつつ、複数の抵抗線による歪みの検出精度を向上させることができる技術を提供する。【解決手段】歪みセンサは、絶縁層、第1導体層43、および第2導体層44を備える。絶縁層は、被検出体に固定される。第1導体層は、絶縁層の表面に形成される。第2導体層は、第1導体層の表面に積層される。第1導体層は、検出線パターンを有する。検出線パターンは、所定の方向に延びる複数の抵抗線と、抵抗線の端部を接続する折り返し部と、を含む。第2導体層は、折り返し部の表面に積層される。これにより、検出線パターンの折り返し部が、第2導体層で補強される。したがって、折り返し部にクラックが発生することを、抑制できる。また、第2導体層を積層することで、折り返し部の抵抗値が下がる。これにより、複数の抵抗線による歪みの検出精度を向上させることができる。【選択図】図5
Description
本発明は、歪みセンサおよび動力伝達装置に関する。
近年、ロボットの関節などに搭載される減速機の需要が急速に高まっている。従来の減速機については、例えば、特開2004-198400号公報に記載されている。この公報では、減速後の回転数で回転する可撓性外歯歯車に、歪みゲージが貼り付けられている。これにより、可撓性外歯歯車にかかるトルクの検出が可能となっている。
特開2004-198400号公報
歪みゲージは、互いに平行に延びる複数の抵抗線と、隣り合う抵抗線の端部を接続する折り返し部と、を含む検出線パターンを有する。歪みゲージは、複数の抵抗線の抵抗値の変化に基づいて、被検出体の歪みを検出する。この種の歪みゲージでは、歪みの検出精度を向上させるために、折り返し部の抵抗値を下げることが望ましい。折り返し部の抵抗値を下げるためには、例えば、複数の抵抗線の線幅よりも、折り返し部の線幅を大きくすることが考えられる。
しかしながら、減速機に用いられる可撓性外歯歯車は、周期的な撓み変形を繰り返す。このため、折り返し部の線幅を大きくすると、折り返し部の剛性が高くなることにより、折り返し部が撓みにくくなる。その結果、折り返し部の強度が下がる可能性がある。
本発明の目的は、歪みセンサにおいて、折り返し部の十分な強度を確保しつつ、複数の抵抗線による歪みの検出精度を向上させることができる技術を提供することである。
本願発明は、歪みセンサであって、被検出体に固定される絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された第1導体層と、前記第1導体層の表面に積層された第2導体層と、を備え、前記第1導体層は、所定の方向に延びる複数の抵抗線と、前記抵抗線の端部を接続する折り返し部と、を含む検出線パターンを有し、前記折り返し部の表面に前記第2導体層が積層される。
本願発明によれば、検出線パターンの折り返し部が、第2導体層で補強される。これにより、折り返し部の強度を確保できる。また、第2導体層を積層することで、折り返し部の抵抗値が下がる。これにより、複数の抵抗線による歪みの検出精度を向上させることができる。
以下、本願の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、本願では、動力伝達装置の中心軸と平行な方向を「軸方向」、動力伝達装置の中心軸に直交する方向を「径方向」、動力伝達装置の中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。ただし、上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。また、上記の「直交する方向」は、略直交する方向も含む。
また、本願において「回転数」とは、単位時間あたりに物体が回転する回数(回転速度)を意味する。
<1.第1実施形態>
<1-1.動力伝達装置の構成>
図1は、第1実施形態に係る動力伝達装置1の縦断面図である。図2は、図1のA-A位置から見た動力伝達装置1の横断面図である。この動力伝達装置1は、モータから得られる第1回転数の回転運動を、第1回転数よりも低い第2回転数に減速させつつ後段へ伝達する装置である。動力伝達装置1は、例えば、ロボットの関節に、モータとともに組み込まれて使用される。ただし、本発明の動力伝達装置は、アシストスーツ、無人搬送台車などの他の装置に用いられるものであってもよい。
<1-1.動力伝達装置の構成>
図1は、第1実施形態に係る動力伝達装置1の縦断面図である。図2は、図1のA-A位置から見た動力伝達装置1の横断面図である。この動力伝達装置1は、モータから得られる第1回転数の回転運動を、第1回転数よりも低い第2回転数に減速させつつ後段へ伝達する装置である。動力伝達装置1は、例えば、ロボットの関節に、モータとともに組み込まれて使用される。ただし、本発明の動力伝達装置は、アシストスーツ、無人搬送台車などの他の装置に用いられるものであってもよい。
図1および図2に示すように、本実施形態の動力伝達装置1は、インタナルギア10、フレックスギア20、波動発生器30、および歪みセンサ40を備えている。
インタナルギア10は、内周面に複数の内歯11を有する円環状のギアである。インタナルギア10は、動力伝達装置1が搭載される装置の枠体に、例えばねじ止めで固定される。インタナルギア10は、中心軸9と同軸に配置される。また、インタナルギア10は、フレックスギア20の後述する筒状部21の径方向外側に位置する。インタナルギア10の剛性は、フレックスギア20の筒状部21の剛性よりも、はるかに高い。このため、インタナルギア10は、実質的に剛体とみなすことができる。インタナルギア10は、円筒状の内周面を有する。複数の内歯11は、当該内周面において、周方向に一定のピッチで配列されている。各内歯11は、径方向内側へ向けて突出する。
フレックスギア20は、可撓性を有する円環状のギアである。フレックスギア20は、中心軸9を中心として回転可能に支持される。フレックスギア20は、筒状部21と平板部22とを有する。筒状部21は、中心軸9の周囲において、軸方向に筒状に延びる。筒状部21の軸方向の先端は、波動発生器30の径方向外側、かつ、インタナルギア10の径方向内側に位置する。筒状部21は、可撓性を有するため、径方向に変形可能である。特に、インタナルギア10の径方向内側に位置する筒状部21の先端部は、自由端であるため、他の部分よりも大きく径方向に変位可能である。
フレックスギア20は、複数の外歯23を有する。複数の外歯23は、筒状部21の軸方向の先端部付近の外周面において、周方向に一定のピッチで配列されている。各外歯23は、径方向外側へ向けて突出する。上述したインタナルギア10が有する内歯11の数と、フレックスギア20が有する外歯23の数とは、僅かに相違する。
平板部22は、ダイヤフラム部221と肉厚部222とを有する。ダイヤフラム部221は、筒状部21の軸方向の基端部から、径方向外側へ向けて平板状に広がり、かつ、中心軸9を中心として円環状に広がる。ダイヤフラム部221は、軸方向に僅かに撓み変形可能である。肉厚部222は、ダイヤフラム部221の径方向外側に位置する、円環状の部分である。肉厚部222の軸方向の厚みは、ダイヤフラム部221の軸方向の厚みよりも厚い。肉厚部222は、動力伝達装置1が搭載される装置の、駆動対象となる部品に、例えばねじ止めで固定される。
波動発生器30は、フレックスギア20の筒状部21に、周期的な撓み変形を発生させる機構である。波動発生器30は、カム31と可撓性軸受32とを有する。カム31は、中心軸9を中心として回転可能に支持される。カム31は、軸方向に視たときに楕円形の外周面を有する。可撓性軸受32は、カム31の外周面と、フレックスギア20の筒状部21の内周面との間に介在する。したがって、カム31と筒状部21とは、異なる回転数で回転できる。
可撓性軸受32の内輪は、カム31の外周面に接触する。可撓性軸受32の外輪は、フレックスギア20の内周面に接触する。このため、フレックスギア20の筒状部21は、カム31の外周面に沿った楕円形状に変形する。その結果、当該楕円の長軸の両端に相当する2箇所において、フレックスギア20の外歯23と、インタナルギア10の内歯11とが噛み合う。周方向の他の位置においては、外歯23と内歯11とが噛み合わない。
カム31は、直接または他の動力伝達機構を介して、モータに接続される。モータを駆動させると、カム31は、中心軸9を中心として第1回転数で回転する。これにより、フレックスギア20の上述した楕円の長軸も、第1回転数で回転する。そうすると、外歯23と内歯11との噛み合い位置も、周方向に第1回転数で移動する。また、上述の通り、インタナルギア10の内歯11の数と、フレックスギア20の外歯23の数とは、僅かに相違する。この歯数の差によって、カム31の1回転ごとに、外歯23と内歯11との噛み合い位置が、周方向に僅かにずれる。その結果、インタナルギア10に対してフレックスギア20が、中心軸9を中心として、第1回転数よりも低い第2回転数で回転する。したがって、フレックスギア20から、減速された第2回転数の回転運動を取り出すことができる。
<1-2.歪みセンサの構成>
歪みセンサ40は、動力伝達装置1の駆動時におけるフレックスギア20の歪みを検出するセンサである。本実施形態では、円形体であるフレックスギア20が、歪みセンサ40の被検出体となる。図1に示すように、歪みセンサ40は、円板状のダイヤフラム部221の円形の表面に、固定されている。
歪みセンサ40は、動力伝達装置1の駆動時におけるフレックスギア20の歪みを検出するセンサである。本実施形態では、円形体であるフレックスギア20が、歪みセンサ40の被検出体となる。図1に示すように、歪みセンサ40は、円板状のダイヤフラム部221の円形の表面に、固定されている。
図3は、歪みセンサ40の平面図である。図4は、ダイヤフラム部221および歪みセンサ40の部分断面図である。図3および図4に示すように、歪みセンサ40は、回路基板41を有する。本実施形態の回路基板41は、柔軟に変形可能な絶縁層42の表面に、導体が形成されたものである。図3に示すように、回路基板41は、中心軸9を中心とする円環状の本体部411と、本体部411から径方向外側へ向けて突出したフラップ部412とを有する。
図4に示すように、歪みセンサ40の回路基板41は、絶縁層42と、第1導体層43と、第2導体層44とを有する。絶縁層42は、絶縁体である樹脂からなる。第1導体層43および第2導体層44は、導体である金属からなる。第1導体層43は、絶縁層42の表面に形成される。第1導体層43の材料には、例えば、銅を含む合金またはクロムを含む合金が使用される。第2導体層44は、第1導体層43の表面に積層される。第2導体層44の材料には、例えば、銅、銀、または金が使用される。
回路基板41の製造時には、まず、絶縁層42の表面の全体に、第1導体層43を構成する金属の薄膜が形成される。そして、形成された金属の薄膜を、後述するトルク検出パターンPtおよび配線部46の形状に合わせて、部分的にエッチングする。これにより、第1導体層43が形成される。また、その後、絶縁層42および第1導体層43の表面に、第2導体層44を構成する金属の薄膜が形成される。そして、形成された金属の薄膜を、後述する第1折り返し部raおよび第2折り返し部rbの形状に合わせて、部分的にエッチングする。これにより、第2導体層44が形成される。その際、第2導体層44は、第1導体層43とは異なる金属材料により形成されるため、第1導体層43をエッチングすることなく、第2導体層44をエッチングすることができる。ただし、回路基板41の製造方法は、この例には限定されない。
図4に示すように、歪みセンサ40は、両面接着テープ47により、フレックスギア20のダイヤフラム部221に固定される。具体的には、ダイヤフラム部221の表面と、回路基板41の絶縁層42の裏面とが、両面接着テープ47を介して固定される。両面接着テープ47は、接着力を有する材料がテープ状に成形されて、形状を維持できる程度に硬化されたものである。このような両面接着テープ47を用いれば、流動性を有する接着剤を用いる場合よりも、ダイヤフラム部221に対する歪みセンサ40の固定作業が容易となる。また、作業者による固定作業のばらつきを低減できる。
なお、ダイヤフラム部221の変形を歪みセンサ40へ精度よく伝達するために、両面接着テープ47は、ベースフィルムを有さず、接着材料のみで構成されていることが好ましい。
<1-3.トルク検出パターンについて>
回路基板41には、トルク検出パターンPt、信号処理回路45、および配線部46が実装されている。トルク検出パターンPtは、本体部411に配置されている。信号処理回路45は、フラップ部412に配置されている。トルク検出パターンPtと信号処理回路45とは、配線部46により接続される。第1導体層43は、トルク検出パターンPtおよび配線部46を有する。
回路基板41には、トルク検出パターンPt、信号処理回路45、および配線部46が実装されている。トルク検出パターンPtは、本体部411に配置されている。信号処理回路45は、フラップ部412に配置されている。トルク検出パターンPtと信号処理回路45とは、配線部46により接続される。第1導体層43は、トルク検出パターンPtおよび配線部46を有する。
トルク検出パターンPtは、フレックスギア20にかかるトルクを検出するためのパターンである。図3に示すように、トルク検出パターンPtは、第1検出線パターンR1と、第2検出線パターンR2とを含む。
第1検出線パターンR1は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状または円環状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約360°の範囲に、第1検出線パターンR1が設けられている。
図5は、第1検出線パターンR1の部分拡大図である。図3および図5に示すように、第1検出線パターンR1は、複数の第1抵抗線r1と、複数の第1折り返し部raとを含む。複数の第1抵抗線r1は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第1抵抗線r1は、径方向および周方向に対して傾斜する方向に沿って、直線状に延びる。第1抵抗線r1は、フレックスギア20の径方向に対して、周方向一方側に傾斜している。径方向に対する第1抵抗線r1の傾斜角度は、例えば45°である。
第1折り返し部raは、周方向に隣り合う第1抵抗線r1の端部同士を接続する円弧状の部分である。複数の第1抵抗線r1は、径方向の内側と外側とで交互に、第1折り返し部raにより接続される。これにより、複数の第1抵抗線r1が、全体として直列に接続される。
第2検出線パターンR2は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状または円環状のパターンである。第2検出線パターンR2は、第1検出線パターンR1よりも、径方向内側に位置する。本実施形態では、中心軸9の周囲の約360°の範囲に、第2検出線パターンR2が設けられている。
図6は、第2検出線パターンR2の部分拡大図である。図3および図6に示すように、第2検出線パターンR2は、複数の第2抵抗線r2と、複数の第2折り返し部rbとを含む。複数の第2抵抗線r2は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第2抵抗線r2は、径方向および周方向に対して傾斜する方向に沿って、直線状に延びる。第2抵抗線r2は、フレックスギア20の径方向に対して、周方向他方側に傾斜している。径方向に対する第2抵抗線r2の傾斜角度は、例えば45°である。
第2折り返し部rbは、周方向に隣り合う第2抵抗線r2の端部同士を接続する円弧状の部分である。複数の第2抵抗線r2は、径方向の内側と外側とで交互に、第2折り返し部rbにより接続される。これにより、複数の第2抵抗線r2が、全体として直列に接続される。
図7は、第1検出線パターンR1および第2検出線パターンR2を含むホイートストンブリッジ回路Ctの回路図である。図7に示すように、ホイートストンブリッジ回路Ctは、第1検出線パターンR1、第2検出線パターンR2、および2つの固定抵抗Rsを含む。第1検出線パターンR1と第2検出線パターンR2とは、直列に接続される。2つの固定抵抗Rsは、直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの検出線パターンR1,R2の列と、2つの固定抵抗Rsの列とが、並列に接続される。また、第1検出線パターンR1および第2検出線パターンR2の中間点M1と、2つの固定抵抗Rsの中間点M2とが、電圧計Vtに接続される。
第1検出線パターンR1および第2検出線パターンR2の各抵抗値は、フレックスギア20にかかるトルクに応じて変化する。例えば、フレックスギア20に、中心軸9を中心として、周方向の一方側へ向かうトルクがかかると、第1検出線パターンR1の抵抗値が低下し、第2検出線パターンR2の抵抗値が増加する。一方、フレックスギア20に、中心軸9を中心として、周方向の他方側へ向かうトルクがかかると、第1検出線パターンR1の抵抗値が増加し、第2検出線パターンR2の抵抗値が低下する。このように、第1検出線パターンR1と第2検出線パターンR2とは、トルクに対して互いに逆向きの抵抗値変化を示す。
そして、第1検出線パターンR1および第2検出線パターンR2の各抵抗値が変化すると、第1検出線パターンR1および第2検出線パターンR2の中間点M1と、2つの固定抵抗Rsの中間点M2との間の電位差が変化するので、電圧計Vtの計測値vtが変化する。したがって、この電圧計Vtの計測値vtに基づいて、フレックスギア20にかかるトルクの向きおよび大きさを検出することができる。
図5に示すように、第1抵抗線r1の表面は、第1導体層43が露出している。これに対し、第1折り返し部raの表面には、第2導体層44が積層されている。このため、第1検出線パターンR1の第1折り返し部raは、第2導体層44により補強される。したがって、第1折り返し部raの強度を確保できる。フレックスギア20が楕円変形を繰り返しても、第1折り返し部raにクラックは発生しにくい。
第1検出線パターンR1の抵抗値のうち、トルクの検出に寄与する部分は、複数の第1抵抗線r1の抵抗値である。したがって、複数の第1折り返し部raの抵抗値が大きいと、トルクの検出精度が低下する。この点において、本実施形態のように、第1折り返し部raに第2導体層44を積層すれば、第1折り返し部raの抵抗値が下がる。これにより、第1検出線パターンR1の抵抗値のうち、複数の第1抵抗線r1の抵抗値が占める割合を大きくすることができる。したがって、トルクの検出精度を向上させることができる。
また、図5に示すように、第1折り返し部raの線幅daは、第1抵抗線r1の線幅d1と略同一である。このようにすれば、第1折り返し部raの線幅daが第1抵抗線r1の線幅d1よりも大きい場合と比べて、第1折り返し部raの剛性が低くなる。すなわち、第1折り返し部raの柔軟性が高くなる。したがって、第1折り返し部raにおけるクラックの発生を、より抑制できる。
なお、第1折り返し部raの線幅daと、第1抵抗線r1の線幅d1とは、必ずしも厳密に同一でなくてもよく、±10%程度の誤差があってもよい。すなわち、第1折り返し部raの線幅daは、第1抵抗線r1の線幅d1の90~110%程度の寸法であればよい。また、第1折り返し部raの線幅daは、第1抵抗線r1の線幅d1以下であってもよい。第1折り返し部raの線幅daを、第1抵抗線r1の線幅d1以下とすれば、第1折り返し部raの柔軟性がより高くなる。したがって、第1折り返し部raにおけるクラックの発生を、より抑制できる。
第2検出線パターンR2についても、同様である。すなわち、図6に示すように、第2抵抗線r2の表面は、第1導体層43が露出している。これに対し、第2折り返し部rbの表面には、第2導体層44が積層されている。このため、第2検出線パターンR2の第2折り返し部rbは、第2導体層44により補強される。したがって、第2折り返し部rbの強度を確保できる。フレックスギア20が楕円変形を繰り返しても、第2折り返し部rbにクラックは発生しにくい。
第2検出線パターンR2の抵抗値のうち、トルクの検出に寄与する部分は、複数の第2抵抗線r2の抵抗値である。したがって、複数の第2折り返し部rbの抵抗値が大きいと、トルクの検出精度が低下する。この点において、本実施形態のように、第2折り返し部rbに第2導体層44を積層すれば、第2折り返し部rbの抵抗値が下がる。これにより、第2検出線パターンR2の抵抗値のうち、複数の第2抵抗線r2の抵抗値が占める割合を大きくすることができる。したがって、トルクの検出精度を向上させることができる。
また、図6に示すように、第2折り返し部rbの線幅dbは、第2抵抗線r2の線幅d2と略同一である。このようにすれば、第2折り返し部rbの線幅dbが第2抵抗線r2の線幅d2よりも大きい場合と比べて、第2折り返し部rbの剛性が低くなる。すなわち、第2折り返し部rbの柔軟性が高くなる。したがって、第2折り返し部rbにおけるクラックの発生を、より抑制できる。
なお、第2折り返し部rbの線幅dbと、第2抵抗線r2の線幅d2とは、必ずしも厳密に同一でなくてもよく、±10%程度の誤差があってもよい。すなわち、第2折り返し部rbの線幅dbは、第2抵抗線r2の線幅d2の90~110%程度の寸法であればよい。また、第2折り返し部rbの線幅dbは、第2抵抗線r2の線幅d2以下であってもよい。第1折り返し部rbの線幅dbを、第2抵抗線r2の線幅d2以下とすれば、第2折り返し部rbの柔軟性がより高くなる。したがって、第2折り返し部rbにおけるクラックの発生を、より抑制できる。
また、第2導体層44には、第1導体層43よりも、比抵抗またはゲージ率が低い材料を使用することが望ましい。そうすれば、第2導体層44を積層することにより、第1折り返し部raおよび第2折り返し部rbの抵抗値を、より効果的に下げることができる。したがって、トルク検出パターンPtによるトルクの検出精度を、より向上させることができる。例えば、第1導体層43の材料を、Cu-Ni合金などの銅を含む材料とし、第2導体層44の材料を、銅とするとよい。あるいは、第1導体層43の材料を、クロムを含む材料とし、第2導体層44の材料を、金とするとよい。ただし、第1導体層43の材料は、クロム、窒化クロム、または酸化クロム等であってもよい。
<2.第2実施形態(角度検出パターン)>
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、歪みセンサ40における検出線パターンの形状のみが、上述した第1実施形態と異なる。他の構成については、第1実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、歪みセンサ40における検出線パターンの形状のみが、上述した第1実施形態と異なる。他の構成については、第1実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
図8は、第2実施形態に係る歪みセンサ40の平面図である。図8の例では、回路基板41に、角度検出パターンPθ、信号処理回路45、および配線部46が実装されている。角度検出パターンPθは、本体部411に配置されている。信号処理回路45は、フラップ部412に配置されている。角度検出パターンPθと信号処理回路45とは、配線部46により接続される。第1導体層43は、角度検出パターンPθおよび配線部46を有する。
角度検出パターンPθは、フレックスギア20に入力される回転運動の回転角度を検出するためのパターンである。図8に示すように、角度検出パターンPθは、4つの第3検出線パターンR3と、4つの第4検出線パターンR4とを含む。
4つの第3検出線パターンR3は、中心軸9の周囲において、周方向に等間隔に配列されている。本実施形態では、中心軸9の周囲の約45°の角度範囲に、1つの第3検出線パターンR3が広がっている。
図9は、第3検出線パターンR3の部分拡大図である。図8および図9に示すように、第3検出線パターンR3は、複数の第3抵抗線r3と、複数の第3折り返し部rcとを含む。複数の第3抵抗線r3は、径方向に微少な間隔をあけて、互いに平行に配列される。各第3抵抗線r3は、周方向に沿って円弧状に延びる。第3折り返し部rcは、径方向に隣り合う第3抵抗線r3の周方向の端部同士を接続する円弧状の部分である。複数の第3抵抗線r3は、周方向の一端と他端とで交互に、第3折り返し部rcにより接続される。これにより、複数の第3抵抗線r3が、全体として直列に接続される。
4つの第4検出線パターンR4は、第1検出線パターンR1と同心円状に、かつ、周方向において第3検出線パターンR3が配置されない領域に、配置される。本実施形態では、第3検出線パターンR3と、第4検出線パターンR4とが、周方向に交互に配列される。そして、4つの第3検出線パターンR3と、4つの第4検出線パターンR4とが、全体として、中心軸9を中心とする円環状に配列されている。
第4検出線パターンR4の部分拡大図は、第3検出線パターンR3と同様であるため、省略する。図8に示すように、第4検出線パターンR4は、複数の第4抵抗線r4と、複数の第4折り返し部rdとを含む。複数の第4抵抗線r4は、径方向に微少な間隔をあけて、互いに平行に配列される。各第4抵抗線r4は、周方向に沿って円弧状に延びる。第4折り返し部rdは、径方向に隣り合う第4抵抗線r4の周方向の端部同士を接続する円弧状の部分である。複数の第4抵抗線r4は、周方向の一端と他端とで交互に、第4折り返し部rdにより接続される。これにより、複数の第4抵抗線r4が、全体として直列に接続される。
図10は、4つの第3検出線パターンR3を含む第1ホイートストンブリッジ回路C1の回路図である。図10の例では、4つの第3検出線パターンR3を、R31,R32,R33,R34として区別して示している。第3検出線パターンR31,R32,R33,R34は、図8においてR31を1つ目として反時計回りにこの順に配列されている。
図10に示すように、4つの第3検出線パターンR31,R32,R33,R34は、第1ホイートストンブリッジ回路C1に組み込まれている。第3検出線パターンR31と第3検出線パターンR32とは、この順に直列に接続される。第3検出線パターンR34と第3検出線パターンR33とは、この順に直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの第3検出線パターンR31,R32の列と、2つの第3検出線パターンR34,R33の列とが、並列に接続される。また、第3検出線パターンR31および第3検出線パターンR32の中間点M11と、第3検出線パターンR34および第3検出線パターンR33の中間点M12とが、第1電圧計V1に接続される。
図11は、4つの第4検出線パターンR4を含む第2ホイートストンブリッジ回路C2の回路図である。図11の例では、4つの第4検出線パターンR4を、R41,R42,R43,R44として区別して示している。第4検出線パターンR41は、図8において、第3検出線パターンR31と第3検出線パターンR34との間に位置する。また、第4検出線パターンR41,R42,R43,R44は、図8においてR41を1つ目として時計回りにこの順に配列されている。
図11に示すように、4つの第4検出線パターンR41、R42、R43、R44は、第2ホイートストンブリッジ回路C2に組み込まれている。第4検出線パターンR41と第4検出線パターンR42とは、この順に直列に接続される。第4検出線パターンR44と第4検出線パターンR43とは、この順に直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの第4検出線パターンR41,R42の列と、2つの第4検出線パターンR44,R43の列とが、並列に接続される。また、第4検出線パターンR41および第4検出線パターンR42の中間点M21と、第4検出線パターンR44および第4検出線パターンR43の中間点M22とが、第2電圧計V2に接続される。
動力伝達装置1の駆動時には、ダイヤフラム部221に、周方向に伸長する部分(以下「伸長部」と称する)と、周方向に収縮する部分(以下「収縮部」と称する)とが、発生する。具体的には、2つの伸長部と2つの収縮部とが、周方向に交互に発生する。すなわち、伸長部と収縮部とは、周方向に90°間隔で交互に発生する。そして、これらの伸長部および収縮部の発生する箇所が、上述した第1回転数で回転する。
第3検出線パターンR31,R32,R33,R34および第4検出線パターンR41、R42、R43、R44の各抵抗値は、ダイヤフラム部221の周方向の歪みに応じて変化する。例えば、上述した伸長部が、ある検出線パターンと重なるときには、その検出線パターンの抵抗値が増加する。また、上述した収縮部が、ある検出線パターンと重なるときには、その検出線パターンの抵抗値が低下する。
図8の例では、収縮部が第3検出線パターンR31,R33と重なるときには、伸長部が第3検出線パターンR32,R34と重なる。また、伸長部が第3検出線パターンR31,R33と重なるときには、収縮部が第3検出線パターンR32,R34と重なる。したがって、第1ホイートストンブリッジ回路C1では、第3検出線パターンR31,R33と、第3検出線パターンR32,R34とが、逆向きの抵抗値変化を示す。
また、図8の例では、収縮部が第4検出線パターンR41,R43と重なるときには、伸長部が第4検出線パターンR42,R44と重なる。また、伸長部が第4検出線パターンR41,R43と重なるときには、収縮部が第4検出線パターンR42,R44と重なる。したがって、第2ホイートストンブリッジ回路C2では、第4検出線パターンR41,R43と、第4検出線パターンR42,R44とが、逆向きの抵抗値変化を示す。
このため、第1電圧計V1および第2電圧計V2からは、それぞれ、周期的に変化する正弦波状の計測値v1,v2が出力される。この計測値v1,v2の周期Tは、上述した第1回転数の周期の1/2倍に相当する。また、第1電圧計V1の計測値v1の位相に対して、第2電圧計V2の計測値v2の位相が、第1回転数の1/8周期分(計測値v1,v2の1/4周期分)進んでいるか、それとも第1回転数の1/8周期分(計測値v1,v2の1/4周期分)遅れているかにより、入力される回転運動の向きを判断できる。
したがって、これらの2つのホイートストンブリッジ回路C1,C2の出力値に基づいて、フレックスギア20に入力される回転運動の回転角度を検出することができる。具体的には、例えば、第1電圧計V1および第2電圧計V2の各計測値v1,v2の組み合わせと、回転角度とを対応づけた関数テーブルを予め用意し、その関数テーブルに計測値v1,v2を入力することにより、回転角度を出力すればよい。
図9に示すように、第3抵抗線r3の表面は、第1導体層43が露出している。これに対し、第3折り返し部rcの表面には、第2導体層44が積層されている。このため、第3検出線パターンR3の第3折り返し部rcは、第2導体層44により補強される。したがって、第3折り返し部rcの強度を確保できる。フレックスギア20が楕円変形を繰り返しても、第3折り返し部rcにクラックは発生しにくい。
第3検出線パターンR3の抵抗値のうち、回転角度の検出に寄与する部分は、複数の第3抵抗線r3の抵抗値である。したがって、複数の第3折り返し部rcの抵抗値が大きいと、回転角度の検出精度が低下する。この点において、本実施形態のように、第3折り返し部rcに第2導体層44を積層すれば、第3折り返し部rcの抵抗値が下がる。これにより、第3検出線パターンR3の抵抗値のうち、複数の第3抵抗線r3の抵抗値が占める割合を大きくすることができる。したがって、回転角度の検出精度を向上させることができる。
また、図9に示すように、第3折り返し部rcの線幅dcは、第3抵抗線r3の線幅d3と略同一である。このようにすれば、第3折り返し部rcの線幅dcが第3抵抗線r3の線幅d3よりも大きい場合と比べて、第3折り返し部rcの剛性が低くなる。すなわち、第3折り返し部rcの柔軟性が高くなる。したがって、第3折り返し部rcにおけるクラックの発生を、より抑制できる。
なお、第3折り返し部rcの線幅dcと、第3抵抗線r3の線幅d3とは、必ずしも厳密に同一でなくてもよく、±10%程度の誤差があってもよい。すなわち、第3折り返し部rcの線幅dcは、第3抵抗線r3の線幅d3の90~110%程度の寸法であればよい。また、第3折り返し部rcの線幅dcは、第3抵抗線r3の線幅d3以下であってもよい。第3折り返し部rcの線幅dcを、第3抵抗線r3の線幅d3以下とすれば、第3折り返し部rcの柔軟性がより高くなる。したがって、第3折り返し部rcにおけるクラックの発生を、より抑制できる。
第4検出線パターンR4についても、同様である。すなわち、第4抵抗線r4の表面は、第1導体層43が露出している。これに対し、第4折り返し部rdの表面には、第2導体層44が積層されている。このため、第4検出線パターンR4の第4折り返し部rdは、第2導体層44により補強される。したがって、第4折り返し部rdの強度を確保できる。フレックスギア20が楕円変形を繰り返しても、第4折り返し部rdにクラックは発生しにくい。
第4検出線パターンR4の抵抗値のうち、回転角度の検出に寄与する部分は、複数の第4抵抗線r4の抵抗値である。したがって、複数の第4折り返し部rdの抵抗値が大きいと、回転角度の検出精度が低下する。この点において、本実施形態のように、第4折り返し部rdに第2導体層44を積層すれば、第4折り返し部rdの抵抗値が下がる。これにより、第4検出線パターンR4の抵抗値のうち、複数の第4抵抗線r4の抵抗値が占める割合を大きくすることができる。したがって、回転角度の検出精度を向上させることができる。
また、第4折り返し部rdの線幅は、第4抵抗線r4の線幅と略同一である。このようにすれば、第4折り返し部rdの線幅が第4抵抗線r4の線幅よりも大きい場合と比べて、第4折り返し部rdの剛性が低くなる。すなわち、第4折り返し部rdの柔軟性が高くなる。したがって、第4折り返し部rdにおけるクラックの発生を、より抑制できる。
なお、第4折り返し部rdの線幅と、第4抵抗線r4の線幅とは、必ずしも厳密に同一でなくてもよく、±10%程度の誤差があってもよい。すなわち、第4折り返し部rdの線幅は、第4抵抗線r4の線幅の90~110%程度の寸法であればよい。また、第4折り返し部rdの線幅は、第4抵抗線r4の線幅以下であってもよい。第4折り返し部rdの線幅を、第4抵抗線r4の線幅以下とすれば、第4折り返し部rdの柔軟性がより高くなる。したがって、第4折り返し部rdにおけるクラックの発生を、より抑制できる。
また、第2導体層44には、第1導体層43よりも、比抵抗またはゲージ率が低い材料を使用することが望ましい。そうすれば、第2導体層44を積層することにより、第3折り返し部rcおよび第4折り返し部rdの抵抗値を、より効果的に下げることができる。したがって、角度検出パターンPθによる回転角度の検出精度を、より向上させることができる。例えば、第1導体層43の材料を、Cu-Ni合金などの銅を含む材料とし、第2導体層44の材料を、銅とするとよい。あるいは、第1導体層43の材料を、クロムを含む材料とし、第2導体層44の材料を、金とするとよい。ただし、第1導体層43の材料は、クロム、窒化クロム、または酸化クロム等であってもよい。
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態には限定されない。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態には限定されない。
<3-1.第1変形例>
上記の第2実施形態では、角度検出パターンPθにおいて、第3検出線パターンR3に含まれる複数の第3抵抗線r3と、第4検出線パターンR4に含まれる複数の第4抵抗線r4とが、それぞれ、周方向に延びていた。これは、ダイヤフラム部221の周方向の周期的な変形を検出するためである。しかしながら、動力伝達装置1の駆動時には、ダイヤフラム部221は、周方向だけではなく、径方向にも周期的に変形する。このため、図12のように、第3抵抗線r3および第4抵抗線r4の向きは、径方向であってもよい。すなわち、第3検出線パターンR3に含まれる複数の第3抵抗線r3と、第4検出線パターンR4に含まれる複数の第4抵抗線r4とは、それぞれ、径方向および周方向のいずれか一方向に延びていればよい。
上記の第2実施形態では、角度検出パターンPθにおいて、第3検出線パターンR3に含まれる複数の第3抵抗線r3と、第4検出線パターンR4に含まれる複数の第4抵抗線r4とが、それぞれ、周方向に延びていた。これは、ダイヤフラム部221の周方向の周期的な変形を検出するためである。しかしながら、動力伝達装置1の駆動時には、ダイヤフラム部221は、周方向だけではなく、径方向にも周期的に変形する。このため、図12のように、第3抵抗線r3および第4抵抗線r4の向きは、径方向であってもよい。すなわち、第3検出線パターンR3に含まれる複数の第3抵抗線r3と、第4検出線パターンR4に含まれる複数の第4抵抗線r4とは、それぞれ、径方向および周方向のいずれか一方向に延びていればよい。
<3-2.第2変形例>
上記の第1実施形態および第2実施形態の歪みセンサ40において、各検出線パターンの端部から延びる配線部46の表面にも、第2導体層44を積層してもよい。そのようにすれば、配線部46の抵抗値が下がる。したがって、第1抵抗線r1および第2抵抗線r2の抵抗値の変化、または、第3抵抗線r3および第4抵抗線r4の抵抗値の変化を、より精度よく検出できる。したがって、トルクまたは回転角度の検出精度を、より向上させることができる。
上記の第1実施形態および第2実施形態の歪みセンサ40において、各検出線パターンの端部から延びる配線部46の表面にも、第2導体層44を積層してもよい。そのようにすれば、配線部46の抵抗値が下がる。したがって、第1抵抗線r1および第2抵抗線r2の抵抗値の変化、または、第3抵抗線r3および第4抵抗線r4の抵抗値の変化を、より精度よく検出できる。したがって、トルクまたは回転角度の検出精度を、より向上させることができる。
<3-3.第3変形例>
上記の第1実施形態および第2実施形態では、抵抗線および折り返し部のうち、折り返し部のみに、第2導体層44が積層されていた。しかしながら、図13のように、抵抗線r5のうち、折り返し部reに隣接する隣接部分r51の表面にも、第2導体層44を積層してもよい。図13の例では、折り返し部reの表面と、抵抗線r5の隣接部分r51の表面とに、第2導体層44が積層されている。このようにすれば、折り返し部reおよび隣接部分r51が、第2導体層44で補強される。これにより、折り返し部reと抵抗線r5の境界部付近にクラックが発生することを、抑制できる。
上記の第1実施形態および第2実施形態では、抵抗線および折り返し部のうち、折り返し部のみに、第2導体層44が積層されていた。しかしながら、図13のように、抵抗線r5のうち、折り返し部reに隣接する隣接部分r51の表面にも、第2導体層44を積層してもよい。図13の例では、折り返し部reの表面と、抵抗線r5の隣接部分r51の表面とに、第2導体層44が積層されている。このようにすれば、折り返し部reおよび隣接部分r51が、第2導体層44で補強される。これにより、折り返し部reと抵抗線r5の境界部付近にクラックが発生することを、抑制できる。
図14のグラフは、図13の構造において、隣接部分r51の長さLを変えて、折り返し部reの内周部うち、最も応力が集中しやすい周方向の端部Eにかかる応力Sを解析した結果である。図14の横軸は、抵抗線r5の線幅wに対する隣接部分r51の長さLの比L/wを示す。図14の縦軸は、隣接部分r51の長さLが0のときの端部Eにかかる応力SをS0として、応力S0に対する応力Sの比S/S0を示す。図14の結果から、第2導体層44が積層される隣接部分r51の長さが0以下の場合と比べて、第2導体層44が積層される隣接部分r51の長さLを0よりも大きくすることで、端部Eにかかる応力Sを小さくできることが分かる。ただし、隣接部分r51の長さLが長すぎると、隣接部分r51の長さLが0の場合よりも、端部Eにかかる応力Sが大きくなる。第2導体層44が積層される隣接部分r51の長さLは、例えば、0よりも大きく、かつ、抵抗線r5の線幅wの2倍よりも小さくする(0<L/w<2)することが望ましい。
<3-4.第4変形例>
図15は、動力伝達装置1を備えたロボット100の部分縦断面図である。図15の例では、動力伝達装置1が、ロボット100の関節に組み込まれている。波動発生器30のカム31は、モータ90の出力軸91に固定されている。インタナルギア10は、モータ90を支持するモータケース92に固定される。フレックスギア20は、ロボット100のアーム93に固定される。モータ90を駆動させると、インタナルギア10に対してフレックスギア20が、減速後の第2回転数で回転する。これにより、モータケース92に対してアーム93を、第2回転数で回転させることができる。
図15は、動力伝達装置1を備えたロボット100の部分縦断面図である。図15の例では、動力伝達装置1が、ロボット100の関節に組み込まれている。波動発生器30のカム31は、モータ90の出力軸91に固定されている。インタナルギア10は、モータ90を支持するモータケース92に固定される。フレックスギア20は、ロボット100のアーム93に固定される。モータ90を駆動させると、インタナルギア10に対してフレックスギア20が、減速後の第2回転数で回転する。これにより、モータケース92に対してアーム93を、第2回転数で回転させることができる。
<3-5.他の変形例>
上記の第1実施形態では、トルク検出パターンPtが、2つの検出線パターンR1,R2を含んでいた。そして、ホイートストンブリッジ回路Ctは、2つの検出線パターンR1,R2と、2つの固定抵抗Rsとで構成される、ハーフブリッジ回路となっていた。しかしながら、第1実施形態の構造において、トルク検出パターンPtが、4つの検出線パターンを含んでいてもよい。そして、ホイートストンブリッジ回路Ctを、当該4つの検出線パターンで構成されるフルブリッジ回路としてもよい。
上記の第1実施形態では、トルク検出パターンPtが、2つの検出線パターンR1,R2を含んでいた。そして、ホイートストンブリッジ回路Ctは、2つの検出線パターンR1,R2と、2つの固定抵抗Rsとで構成される、ハーフブリッジ回路となっていた。しかしながら、第1実施形態の構造において、トルク検出パターンPtが、4つの検出線パターンを含んでいてもよい。そして、ホイートストンブリッジ回路Ctを、当該4つの検出線パターンで構成されるフルブリッジ回路としてもよい。
上記の第1実施形態の歪みセンサ40は、検出線パターンとして、トルク検出パターンPtのみを有していた。また、上記の第2実施形態の歪みセンサ40は、検出線パターンとして、角度検出パターンPθのみを有していた。しかしながら、歪みセンサ40は、トルク検出パターンPtおよび角度検出パターンPθの両方を有していてもよい。
また、上記の第1実施形態および第2実施形態では、回路基板41の片面のみに、検出線パターンが設けられていた。すなわち、上記の第1実施形態および第2実施形態では、絶縁層42の片面のみに、第1導体層43および第2導体層44が形成されていた。しかしながら、回路基板41の両面に、検出線パターンが設けられていてもよい。すなわち、絶縁層42の両面に、第1導体層43および第2導体層44が形成されていてもよい。
また、歪みセンサ40は、トルク検出パターンPtおよび角度検出パターンPθ以外の検出線パターンを有していてもよい。例えば、歪みセンサ40は、温度を検出するための検出線パターンや、フレックスギア20の軸方向の歪みを検出するための検出線パターンを有していてもよい。
また、上記の第1実施形態および第2実施形態では、信号処理回路45が、回路基板41に実装されていた。しかしながら、信号処理回路45は、回路基板41の外部に設けられていてもよい。
また、上記の実施形態のフレックスギア20では、ダイヤフラム部221が、筒状部21の基端部から径方向外側へ向けて広がっていた。しかしながら、ダイヤフラム部221は、筒状部21の基端部から径方向内側へ向けて広がるものであってもよい。
また、上記の実施形態では、歪みセンサ40の被検出体が、フレックスギア20であった。しかしながら、歪みセンサ40の被検出体は、フレックスギア20には限られない。例えば、太陽輪と、太陽輪の周囲において自転しながら公転する複数の遊星輪と、を有する遊星減速機において、複数の遊星輪が内接するリングに、本発明に係る歪みセンサを取り付けてもよい。この場合、リングの円形の表面に、回路基板を固定すればよい。すなわち、本発明における被検出体は、遊星減速機のリングであってもよい。
その他、歪みセンサおよび動力伝達装置の細部の構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更してもよい。また、上記の各実施形態および各変形例に登場した要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
本願は、歪みセンサおよび動力伝達装置に利用できる。
1 動力伝達装置
9 中心軸
10 インタナルギア
20 フレックスギア
21 筒状部
22 平板部
23 外歯
30 波動発生器
40 歪みセンサ
41 回路基板
42 絶縁層
43 第1導体層
44 第2導体層
45 信号処理回路
46 配線部
47 両面接着テープ
221 ダイヤフラム部
411 本体部
412 フラップ部
Ct ホイートストンブリッジ回路
C1 第1ホイートストンブリッジ回路
C2 第2ホイートストンブリッジ回路
Pt トルク検出パターン
Pθ 角度検出パターン
R1 第1検出線パターン
R2 第2検出線パターン
R3 第3検出線パターン
R4 第4検出線パターン
Vt 電圧計
V1 第1電圧計
V2 第2電圧計
r1 第1抵抗線
r2 第2抵抗線
r3 第3抵抗線
r4 第4抵抗線
ra 第1折り返し部
rb 第2折り返し部
rc 第3折り返し部
rd 第4折り返し部
9 中心軸
10 インタナルギア
20 フレックスギア
21 筒状部
22 平板部
23 外歯
30 波動発生器
40 歪みセンサ
41 回路基板
42 絶縁層
43 第1導体層
44 第2導体層
45 信号処理回路
46 配線部
47 両面接着テープ
221 ダイヤフラム部
411 本体部
412 フラップ部
Ct ホイートストンブリッジ回路
C1 第1ホイートストンブリッジ回路
C2 第2ホイートストンブリッジ回路
Pt トルク検出パターン
Pθ 角度検出パターン
R1 第1検出線パターン
R2 第2検出線パターン
R3 第3検出線パターン
R4 第4検出線パターン
Vt 電圧計
V1 第1電圧計
V2 第2電圧計
r1 第1抵抗線
r2 第2抵抗線
r3 第3抵抗線
r4 第4抵抗線
ra 第1折り返し部
rb 第2折り返し部
rc 第3折り返し部
rd 第4折り返し部
Claims (14)
- 被検出体に固定される絶縁層と、
前記絶縁層の表面に形成された第1導体層と、
前記第1導体層の表面に積層された第2導体層と、
を備え、
前記第1導体層は、
所定の方向に延びる複数の抵抗線と、前記抵抗線の端部を接続する折り返し部と、を含む検出線パターン
を有し、
前記折り返し部の表面に前記第2導体層が積層される、歪みセンサ。 - 請求項1に記載の歪みセンサであって、
前記折り返し部の表面と、前記抵抗線の前記折り返し部に隣接する隣接部分の表面とに、前記第2導体層が積層される、歪みセンサ。 - 請求項2に記載の歪みセンサであって、
前記隣接部分の長さは、前記抵抗線の線幅の2倍よりも小さい、歪みセンサ。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の歪みセンサであって、
前記折り返し部の線幅は、前記抵抗線の線幅と略同一である、歪みセンサ。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の歪みセンサであって、
前記折り返し部の線幅は、前記抵抗線の線幅以下である、歪みセンサ。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の歪みセンサであって、
前記第2導体層の材料は、前記第1導体層の材料よりも、比抵抗が低い、歪みセンサ。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の歪みセンサであって、
前記第2導体層の材料は、前記第1導体層の材料よりも、ゲージ率が低い、歪みセンサ。 - 請求項6または請求項7に記載の歪みセンサであって、
前記第1導体層の材料は、銅を含む材料またはクロムを含む材料であり、
前記第2導体層の材料は、銅、銀、または金である、歪みセンサ。 - 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の歪みセンサであって、
前記第1導体層は、
前記被検出体にかかるトルクを検出するための前記検出線パターンを含むトルク検出パターン
を有し、
前記抵抗線は、径方向および周方向に対して傾斜する方向に沿って延びる、歪みセンサ。 - 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の歪みセンサであって、
前記第1導体層は、
前記被検出体に入力される回転運動の回転角度を検出するための前記検出線パターンを含む角度検出パターン
を有し、
前記抵抗線は、周方向または径方向に延びる、歪みセンサ。 - 請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の歪みセンサであって、
前記第1導体層は、
前記検出線パターンの端部から延びる配線部
を有し、
前記配線部の表面に前記第2導体層が積層される、歪みセンサ。 - 請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の歪みセンサと、
前記被検出体である円形体と、
を備える、動力伝達装置。 - 請求項12に記載の動力伝達装置であって、
前記円形体は、
軸方向に筒状に延びる可撓性の筒状部と、
前記筒状部の外周面に設けられた複数の外歯と、
前記筒状部の軸方向の端部から径方向外側または径方向内側に向けて広がる平板状のダイヤフラム部と、
を有し、
前記歪みセンサは、前記ダイヤフラム部に固定される、動力伝達装置。 - 請求項12または請求項13に記載の動力伝達装置と、
前記動力伝達装置から出力される回転数で回転するアームと、
を備えたロボット。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021084600A JP2022178073A (ja) | 2021-05-19 | 2021-05-19 | 歪みセンサおよび動力伝達装置 |
CN202210533568.4A CN115366131A (zh) | 2021-05-19 | 2022-05-17 | 应变传感器、动力传递装置以及机器人 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021084600A JP2022178073A (ja) | 2021-05-19 | 2021-05-19 | 歪みセンサおよび動力伝達装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022178073A true JP2022178073A (ja) | 2022-12-02 |
Family
ID=84060556
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021084600A Pending JP2022178073A (ja) | 2021-05-19 | 2021-05-19 | 歪みセンサおよび動力伝達装置 |
Country Status (2)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022178073A (ja) |
CN (1) | CN115366131A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2023013371A (ja) * | 2021-07-16 | 2023-01-26 | 日本電産シンポ株式会社 | 外歯歯車、波動減速機、およびロボット |
-
2021
- 2021-05-19 JP JP2021084600A patent/JP2022178073A/ja active Pending
-
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- 2022-05-17 CN CN202210533568.4A patent/CN115366131A/zh active Pending
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CN115366131A (zh) | 2022-11-22 |
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