JP2022177662A - アンテナ装置及び通行ゲート - Google Patents
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Abstract
Description
通行ゲート1は、いわゆるウォークスルー決済に対応するもので、店舗において客が購入する商品についての精算(決済)を行うために用いられる。店舗にて、客は、自分が購入しようとする商品を商品棚等から取り出し、買い物袋に入れるようにする。商品にはRFID(Radio Frequency IDentifier)タグが付されている。客は、自分が購入しようとする商品を買い物袋に入れ終えると、会計のために商品の入った買い物袋を持ちながら通行ゲート1を通過する。
床部11は、通行ゲート1において客が通過する通路の床面となる部位である。床部11は、平面方向からみて長方形とされており、客が通過する際の通過方向DRに長方形の長手方向の辺が沿うようにされた向きで配置されている。
床部11は、上側の上面部11aと、当該上面部11aの下側のアンテナ装置部11bとを有する。上面部11aは、例えば樹脂などにより形成される。アンテナ装置部11bは、RFIDタグとの通信のために電波を放射するアンテナ装置が備えられる部位である。
その一方で、アンテナ装置部11bのアンテナは、読取空間よりも外側の空間(非読取対象空間)に存在するRFIDタグについては読み取らないようにすることが求められる。床部11の平面外側の空間に存在するRFIDタグも読み取り可能な状態であると、客が通行ゲート1を通過する際に、客が購入対象とする商品だけではなく、周囲の他の客が所持している商品や通行ゲート1の近傍にて陳列されている商品のRFIDタグまで読み取ってしまい、正常な精算が行えないことになる。
そのうえで、通行ゲート1の左右の側壁13の床部11側の面には、それぞれ、電波吸収板14を設けるようにされる。電波吸収板14は、電波吸収材により形成される板である。
電波吸収板14を設けることにより、アンテナ装置部11bのアンテナが、左右の非読取対象空間に存在するRFIDタグを読み取らないようにすることが可能となった。
本実施形態では、床面に配置した平面形状のアンテナ(アンテナ素子110)に対し、側壁13に電波吸収板14を設置した。上記もしたようにアンテナは床から天井に向かう法線方向に指向性を有するが、左右方向にも電波が幾分放射される。そこで、床面に接する側壁に電波吸収板14を設置することにより、左右方向における余分な電波放射を効率的に吸収し、通行ゲート1を通過しているものではない読み取り不要のRFIDタグの誤検出を防止できる。
図3は、アンテナ装置部11bを抜き出して平面方向からみた図である。アンテナ装置部11bは、3つのアンテナユニット100が左右方向に並ぶようにして配置されている。
なお、アンテナ装置部11bにおいて配置されるアンテナユニット100の数については特に限定されない。
具体的に、1の単位アンテナアレイ101における2つのアンテナ素子110は、一方が主アンテナとして機能し、他方が波形制御アンテナとして機能する。主アンテナとしてのアンテナ素子110には、所定周波数、所定出力(振幅)による波形の入力信号を与えて電波を放射させ、波形制御アンテナとしてのアンテナ素子110には、主アンテナに与えられる信号と同じ周波数と出力であって、かつ、主アンテナに与えられる信号に対して所定の位相差を有する波形の入力信号を与えるようにされる。これにより、主アンテナと波形制御アンテナとのそれぞれから放射される電波の合成波が所定の偏向を有するようにされる。アンテナユニット100においては、このように構成された主アンテナと波形制御アンテナとがおおむね線対称に配置されている。
本実施形態においては、単位アンテナアレイ101の特性として、前述のように、前後方向における電波放射に対して左右方向における電波放射のほうが強くなるように、2つのアンテナ素子110に供給する信号の電力と位相を設定してよい。本実施形態においては、1のアンテナユニット100において配置されるアンテナ素子110のうち、中央よりの2つのアンテナ素子110が主アンテナとして機能し、最も前と最も後ろに配置される2つのアンテナ素子110が波形制御アンテナとして機能する。
なお、1つのアンテナユニット100に備えられる単位アンテナアレイ101の数については特に限定されない。
そこで、本願の発明者等は、アンテナユニット100において前後方向に沿って配置される4つのアンテナ素子110のうち、最も前に位置するアンテナ素子110と最も後ろに位置するアンテナ素子110との一部を、遮蔽物で覆うことで、これらのアンテナ素子110から前方または後方に放射される電波の抑制を試みることとした。遮蔽物は、例えば遮蔽された部分からの電波の放射を抑制することが可能なように、アルミニウムや銅等の導体が用いられる。
もう一方の遮蔽物200は、アンテナユニット100において最も後ろに位置するアンテナ素子110を遮蔽対象として後ろ側から覆い、当該アンテナ素子110の前側を一部露出させるようにして設けられている。
つまり、アンテナユニット100における前方の単位アンテナアレイ101については、2つのアンテナ素子110のうちの前方のアンテナ素子110を遮蔽物200により遮蔽している。また、アンテナユニット100における後方の単位アンテナアレイ101については、2つのアンテナ素子110のうちの後方のアンテナ素子110を遮蔽物200により遮蔽している。
試験にあたり、試験者である本願の発明者は、図7に示す試験板300-1、300-2を用いた。試験板300-1は、ダイポールアンテナの方向を水平とした横向きのRFIDタグ301を18行×4列に配列させて設けた板である。各行は、10cm~180cmの範囲で10cmごとの高さとなるようにされている。
また、試験板300-2は、ダイポールアンテナの方向を垂直とした縦向きのRFIDタグ301を18行×5列に配列させて設けた板である。試験板300-2についても、各行は、10cm~180cmの範囲で10cmごとの高さとなるようにされている。
また、試験板300-1、300-2に設けられたRFIDタグ301ごとに付されている数は、RFIDタグ301に付された番号である。
そのうえで、本願の発明者は、アンテナ装置部11bにて配置されたアンテナユニット100における最も前のアンテナ素子110を遮蔽対象として、例えば前側から後ろにかけて所定長(例えば0.5cm)ごとに遮蔽幅を大きくしていくように変更しながら、遮蔽幅ごとにRFIDタグ301の読み取り状況を試験した。
同図によれば、読取対象空間に存在するM枚のRFIDタグ301の全てを正常に読み取り可能とされたうえで、非読取対象空間に存在するRFIDタグを読み取った数が最小となるのは、例えば遮蔽幅W1のときとなる。
また、アンテナ装置部11bの後端から所定の距離を隔てた位置にて試験板300-1、300-2を立て、アンテナ装置部11bにおける最も後ろのアンテナ素子110を遮蔽対象として試験を行った場合にも、同様の試験結果が得られた。
このような状態では、放射面111の露出している部分から放射される電波と、遮蔽された放射面111の部分から漏れ出した電波とが合成されるようになる。このような状態に応じて変化した単位アンテナアレイ101の特性が、図8の遮蔽幅W1に対応する試験結果を生じさせたことになる。
本実施形態の場合、アンテナユニット100において、中央寄りに配置された二つの主アンテナとしてのアンテナ素子110は完全に露出している。一方、主アンテナの入力信号に対して所定の位相差を有する入力信号が供給される2以上の波形制御アンテナとしてのアンテナ素子110は、それぞれ1/2以上の面積が遮蔽されている。2つの主アンテナとしてのアンテナ素子110のそれぞれには同位相の入力信号が供給され、2つの波形制御アンテナとしてのアンテナ素子110のそれぞれには同位相であって、主アンテナの入力信号に対しては所定の位相差を有する入力信号が供給される。
波形制御アンテナの遮蔽面積が小さすぎると効果が薄く、遮蔽面積が大きすぎると波形制御アンテナとしての機能が失われる。波形制御アンテナとしてのアンテナ素子110の面積全体の2/3~3/4程度を遮蔽することが好ましい。例えば、アンテナ素子110の面積全体の70%程度を遮蔽するのが最適であるとの結果が得られた。
本実施形態においては、アンテナユニット100が通過方向DRに沿って平行に3つ配置されているので、本実施形態の通行ゲート1には中央に6つの遮蔽されていない主アンテナが配置され、最も後ろ(通過者から見て入り口)と最も前(通過者から見て出口)に、一部が遮蔽された波形制御アンテナが3つずつ配置されることになる。
また、波形制御アンテナの遮蔽部分は、通行ゲート1の出入り口側である。すなわち、波形制御アンテナにおいて主アンテナに対して遠い側の部分が遮蔽されている。これによって、主アンテナと波形制御アンテナとが放射する電波の合成波の通行ゲート1の出入り口から通行ゲート1の外側への漏洩が減少し、通行ゲート1を通過しているものではない読み取り不要のRFIDタグの誤検出を防止できる。
また、本実施形態は遮蔽物200の配置によって合成波の状態を変更可能であり、アンテナユニット100自体については変更なく使用できるので、製造コストを抑えることができる。例えば、波形制御アンテナとしてのアンテナ素子110自体の面積や形状を変更すると、周波数や電力が主アンテナ側と整合しなくなり、合成波自体が変化してしまう可能性がある。本実施形態のように、波形制御アンテナを配置しつつ遮蔽物200により遮蔽することで、主アンテナと波形制御アンテナの形状や面積については実質的に同じとしたまま、すなわち、供給する入力信号の周波数と電力は同じとしたままで、最適な合成波を容易に得ることができる。
また、非読取対象空間にて生じたこのような現象は、読取対象空間においても同様に生じている。このため、読取対象空間においても、水平に近い姿勢状態にあるRFIDタグが読み取られにくい状況となる。
つまり、遮蔽幅W1によりアンテナ素子110を遮蔽した段階では、RFIDタグについて読み取りやすい向きと読み取りにくい向きとで偏りが生じる。このため、非読取対象空間においては、読み取りやすい向きのRFIDタグを誤って読み取りやすくなる一方で、読取対象空間においては、読み取りにくい向きのRFIDタグが読み取り不可となりやすい状況が生じる。
なお、同図においては、アンテナ装置部11bにおける各アンテナユニット100において導体片103を設けた例が示されているが、例えば、アンテナ装置部11bにおける一部のアンテナユニット100において導体片103を設ける場合があってよい。
なお、例えば通行ゲート1に天井部分を設けたうえで、アンテナユニット100を備えるアンテナ装置部11bは天井部分に設けられてもよい。この場合、アンテナ装置部11bは天井部分のみに設けられてもよいし、床部11と天井部分との両方に設けられてもよい。
なお、本実施形態のように遮蔽物200や導体片103が設けられるアンテナユニット100は、ウォークスルー決済に対応する通行ゲート1以外にも適用されてよい。例えば、本実施形態のアンテナユニット100は、例えば商品倉庫などにおいてピップアップされた商品を運搬するのに用いられる商品収容コンテナなどに適用することができる。また、本実施形態のアンテナユニット100の構成は、例えば客などが店舗外に商品を持ち出すこと検知するシステム、入出荷される物品を検品するシステム、書籍の自動貸し出しに対応するシステム等にも適用が可能である。また、本実施形態のアンテナユニット100の構成は、例えば店舗、倉庫、物流の貨物船・列車・トラックなどにて多数存在する物品のうちから取り出された物品をベルトコンベアなどにより搬送する際に、ベルトコンベアにより搬送される物品に付されたRFIDを読み取るようにされたシステムに適用可能である。
上記のようにウォークスルー決済以外の用途に対応するシステムにアンテナユニット100を適用する場合には、アンテナユニット100における単位アンテナアレイ101の数や1の単位アンテナアレイ101におけるアンテナ素子110の数は、適用されるシステムに応じて適宜変更されてよい。また、単位アンテナアレイ101間の配列位置関係や、単位アンテナアレイ101におけるアンテナ素子110の配列方向等も、適用されるシステムに応じて適宜変更されてよい。
なお、本実施形態において遮蔽対象となるアンテナ素子は、パッチアンテナ以外の形式のアンテナであってもよい。
Claims (7)
- 複数のアンテナ素子を有し、前記アンテナ素子のそれぞれに所定の特性に応じた電力と位相とが設定された単位アンテナアレイと、
前記単位アンテナアレイにおける複数のアンテナ素子のうちの一部のアンテナ素子を、所定部分を除いて電磁波を隠蔽するように設けられる導体による遮蔽物と
を備えるアンテナ装置。 - 前記一部のアンテナ素子に対応する所定の位置に対して設けられる導体片を備える
請求項1に記載のアンテナ装置。 - 前記導体片は、単位アンテナアレイにより放射される電波の波長に基づく所定長の辺を有する方形である
請求項2に記載のアンテナ装置。 - 前記単位アンテナアレイにおける前記複数のアンテナ素子はそれぞれ円偏波により電波を放射するパッチアンテナである
請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ装置。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置における1以上の前記単位アンテナアレイが配置されるアンテナ装置部を、通行者が通過する通路に対応する位置に設けるようにされた
通行ゲート。 - 前記アンテナ装置部の単位アンテナアレイにおける複数のアンテナ素子は、通行者の通過方向に沿うように配置され、
前記遮蔽物は、前記アンテナ装置部におけるアンテナ素子のうち、前記通過方向において最端に配置されたアンテナ素子に対して設けられる
請求項5に記載の通行ゲート。 - 前記アンテナ装置部を通行ゲートの通路に対応して設けられる床または天井に配置し、
前記通路に沿った側面に電波吸収材が設けられる
請求項5または6に記載の通行ゲート。
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