JP2022177624A - ダスト発生速度推定装置及びダスト発生速度推定方法 - Google Patents

ダスト発生速度推定装置及びダスト発生速度推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】常時稼働が可能であり、メンテナンス負荷が小さく、かつ、高い精度でダスト発生速度を推定することができるダスト発生速度推定装置を提供する。【解決手段】精錬炉の開口部で発生する燃焼火炎を含み、かつ、長さの異なる光路を複数設定し、該光路における注目波長における輻射スペクトルの分光輝度を光路ごとに取得する分光輝度取得部と、燃焼火炎の温度を推定する燃焼火炎温度推定部と、推定された燃焼火炎の温度における黒体輻射輝度を算出する黒体輻射輝度演算部と、分光輝度及び黒体輻射輝度の比率から分光放射率を算出する分光放射率演算部と、2つの分光放射率の比率である分光放射率比率を算出する分光放射率比率演算部と、予め求めておいた関係式に基づいて、ダストの発生速度を推定するダスト発生速度推定部と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示はダスト発生速度推定装置及びダスト発生速度推定方法に関する。
高炉から得られた溶鉄は転炉において精錬される。転炉での精錬過程では脱炭、脱珪等の処理が行われ、これらの進行に応じてメインランスの高さや、送酸速度、副原料の投入量などが制御される。このような転炉の制御において、従来から、転炉の燃焼火炎の発光スペクトルを利用する技術が知られている。
特許文献1、2は、高精度で精錬過程の脱炭等を推定するために、転炉排ガス煙道内に発光を分析し、煙道内の排ガス及びダストの成分濃度を算出する転炉排ガスの分析方法を開示している。
特許文献3は、対象物が発する光を分光情報として取得するイメージング分光装置と、対象物の2次元領域の画像を撮影する2次元撮像装置と、2次元撮像装置によって撮影された画像に基づいてイメージング分光装置が分光情報を取得する範囲を決定する演算装置と、を備える分光特性測定装置を開示している。また、特許文献3には、この技術を利用して、精錬炉から発生する火炎の分光特性を測定し、精錬炉の制御を行うことが記載されている。
特許文献4、5は、転炉の炉口から吹き出る炉口燃焼火炎の発光スペクトルを測定し、測定される580~620nmの範囲の波長における発光強度の時間変化を算出し、算出した発光強度の時間変化に基づいて炉内の状況変化を推定し、当該炉内の状況変化の推定に基づいて脱珪反応の終了時点や溶融鉄の炭素濃度を推定する技術を開示している。
特許文献6は、転炉の炉口部の光学特性についての情報を含む実績情報に基づいて、溶湯中炭素濃度を推定する技術を開示している。
特開昭62-90524号公報 特開昭62-90525号公報 国際公開第2019/168141号 特開2020-105610号公報 特開2020-105611号公報 国際公開第2019/220800号
ところで、転炉吹錬中に発生するダストの量は溶鉄全体の1%~数%にのぼるため、転炉操業において、ダストの発生量を低減することはコスト削減に直結する。しかしながら、これまでに提案されたダスト発生速度推定手段は、人手をかけてダスト量をサンプリングする手法や、集塵水や排ガス配管などでダスト量を連続的に測定する手法であり、通常の操業時に立ち入る頻度が少ないエリアにおいて、部品の定期的な交換や部品を取り外しての清掃を含むメンテナンスが必要であった。そのため、常時稼働させる転炉において、このような手間の大きい手法を常時行うことは困難であった。また、特許文献1~6の技術は、ダスト量(ダスト発生速度)を推定するものではなかった。
そこで本開示の目的は、上記実情を鑑み、常時稼働が可能であり、メンテナンス負荷が小さく、かつ、高い精度でダスト発生速度を推定することができるダスト発生速度推定装置及びダスト発生速度推定方法を提供することである。
本開示は、上記課題を解決するための一つの手段として、精錬炉の操業において発生するダストの発生速度を推定する装置であって、精錬炉の開口部で発生する燃焼火炎を含み、かつ、長さの異なる光路を複数設定し、前記光路における注目波長における輻射スペクトルの分光輝度を光路ごとに取得する分光輝度取得部と、分光輝度取得部が分光輝度を取得した時における燃焼火炎の温度を光路ごとに推定する燃焼火炎温度推定部と、推定された燃焼火炎の温度における注目波長の黒体輻射輝度を光路ごとに算出する黒体輻射輝度演算部と、分光輝度測定部により取得された分光輝度及び黒体輻射輝度演算部により算出された黒体輻射輝度の比率から分光放射率を光路ごとに算出する分光放射率演算部と、算出された分光放射率のうち2つを選択し、これらの比率である分光放射率比率を算出する分光放射率比率演算部と、予め求めておいた分光放射率比率とダスト発生速度との関係式に基づいて、ダストの発生速度を推定するダスト発生速度推定部と、を備える、ダスト発生速度推定装置を提供する。
上記ダスト発生速度推定装置において、光路は、該光路の延長線上に精錬炉のランスが含まれる光路と、光路の延長線上に精錬炉のランスが含まれない光路とを含むものであってもよい。
本開示は、上記課題を解決するための一つの手段として、上記のダスト発生速度推定装置により推定されたダスト発生速度に基づいて精錬炉の制御を行う、精錬炉を提供する。
本開示は、上記課題を解決するための一つの手段として、精錬炉の操業において発生するダストの発生速度を推定する方法であって、精錬炉の開口部で発生する燃焼火炎を含み、かつ、長さの異なる光路を複数設定し、該光路における注目波長における輻射スペクトルの分光輝度を光路ごとに取得する分光輝度取得工程と、分光輝度取得工程において分光輝度を取得した時における燃焼火炎の温度を光路ごとに推定する燃焼火炎温度推定工程と、推定された燃焼火炎の温度における注目波長の黒体輻射輝度を光路ごとに算出する黒体輻射輝度演算工程と、分光輝度測定工程において取得された分光輝度及び黒体輻射輝度演算工程において算出された黒体輻射輝度の比率から分光放射率を光路ごとに算出する分光放射率演算工程と、算出された分光放射率のうち2つを選択し、これらの比率である分光放射率比率を算出する分光放射率比率演算工程と、予め求めておいた分光放射率比率とダスト発生速度との関係式に基づいて、ダストの発生速度を推定するダスト発生速度推定工程と、を備える、ダスト発生速度推定方法を提供する。
上記ダスト発生速度推定方法において、光路は、光路の延長線上に精錬炉のランスが含まれる光路と、光路の延長線上に精錬炉のランスが含まれない光路とを含むものであってもよい。
本開示は、上記課題を解決するための一つの手段として、上記のダスト発生速度推定方法により推定されたダスト発生速度に基づいて精錬炉の制御を行う、精錬炉の制御方法を提供する。
本開示によれば、常時稼働が可能であり、メンテナンス負荷が小さく、かつ、高い精度でダスト発生速度を推定することができる。
ダスト発生速度推定装置100の模式図である。 実施例1における光路(1)~(3)を説明する図である。 実施例1における分光放射率比率と単位時間当たりのフィルター採取量との関係である。 実施例1における分光放射率比率から推定した単位時間当たりのフィルター採取量と、実際の単位時間当たりのフィルター採取量との関係である。 実施例2における分光放射率比率及び実測ダスト発生速度(インデックス値)と経過時間との関係である。
本発明者らは、精錬炉の開口部(炉口フレーム)に発生する燃焼火炎を分光器で分光測定したところ、輻射スペクトルが主であることを確認した。この輻射スペクトルの注目波長における測定輝度とPlanckの法則により計算される黒体輻射輝度との比率から、分光放射率を算出することができる。測定領域内に発光物が全く含まれなければ分光放射率の測定値は0となる一方、測定領域内が発光物で見た目上埋め尽くされていれば面発光と等しくなり、分光放射率の測定値は発光物の性質としての分光放射率に一致する。このように、測定される分光放射率は測定領域内における発光物(炉口燃焼火炎の場合、ダスト)の濃度に依存するものであるため、本発明者らは、分光放射率に基づいて、精錬炉におけるダストの発生速度が推定可能であると着想した。そして、本発明者らは当該着想の成否を確認するために、試験転炉を用いて、燃焼火炎の輻射スペクトルから算出された分光放射率とフィルターから採取したダスト発生量との関係を評価したところ、分光放射率とダスト発生量との間に良い相関があることを確認した。
一方で、分光放射率に基づくダスト発生速度の推定方法では、分光輝度の測定結果に影響を及ぼす因子を排除することが難しいことも知見した。例えば、(A)ダストを構成する粒子の種類や表面の状態が及ぼす分光放射率への影響や、(B)光路(集光部~炉口)上に浮遊するダストや水蒸気の影響、(C)光学系の補正因子(レンズの透過率や光ファイバー特性)による影響である。
そこで本発明者らは、実効的な光路長が異なる複数の測定点から得られる分光放射率の比を取ることで、これらの影響を排除し、推定精度を向上させることができることを知見した。本開示のダスト発生速度推定装置及びダスト発生速度推定方法はこのような知見に基づいて発明されたものである。以下、本開示のダスト発生速度推定装置及びダスト発生速度推定方法についてそれぞれ説明する。
[ダスト発生速度評価装置]
本開示のダスト発生速度評価装置について、一実施形態であるダスト発生速度評価装置100(以下において、「装置100」ということがある)を用いて説明する。図1に装置100の模式図を示した。
装置100は、精錬炉1の操業において発生するダストの発生速度を推定する装置であって、分光輝度取得部10と、ダスト発生速度を推定するための演算を行う演算部20を備える。
分光輝度取得部10は精錬炉1の開口部2で発生する燃焼火炎を含み、かつ、長さの異なる光路を複数設定し、該光路における注目波長における輻射スペクトルの分光輝度を光路ごとに取得するものである。設定される光路の数は2つのみでもよい。
分光輝度取得部10は、光取得部11と分光器12を備えるものであり、光取得部11と分光器12との間は光ファイバー等により接続されている。このような分光輝度取得部10は公知の構成である。
分光輝度取得部10は光路長の異なる複数の光路から注目波長における輻射スペクトルの分光輝度をそれぞれ取得するものであるため、光取得部11及び分光器12を複数備えるものであってもよい。図1では、光取得部11及び分光器12をそれぞれ2つずつ備える分光輝度取得部10を示している。これにより、光路ごとの注目波長の分光輝度を同時に測定することができる。一方で、光取得部11及び分光器12の数が1つである場合、光路ごとに分光輝度を順次測定することになるが、その測定間隔はできるだけ短くする必要がある。例えば、10秒以内である。分光輝度を順次測定する方法としては、複数の光路を機械的又は電子的に切り替える方法や、ステージを使用して分光輝度取得部10(又は光取得部11)を動かして測定する方法がある。
光取得部11は精錬炉の開口部2で発生する燃焼火炎の発光を取得できる位置に配置されていればよい。また光取得部11に集光レンズを用いて測定範囲を明確化することにより、分光輝度の取得精度を向上することができる。
分光輝度取得部10は精錬炉1の開口部2で発生する燃焼火炎から注目波長における輻射スペクトルの分光輝度を取得するものであり、通常、これらの情報を含む分光スペクトルを取得する。そして、分光輝度取得部10は分光輝度情報を演算部20に送信する。取得する分光スペクトルの波長範囲は、例えば350nm~1000nmである。
ここで、注目波長における輻射スペクトルについて説明する。燃焼火炎の発光から得られる分光スペクトルには輻射スペクトルや分子発光スペクトル、原子発光スペクトル等が含まれている。このうち、輻射スペクトルを含み、かつ、分子発光スペクトル及び原子発光スペクトルを含まない波長を選定する。例えば、輻射スペクトルのみを含む波長を選定する。このように選定された波長が注目波長である。例えば、FeOの生成及び消失に起因する分子発光スペクトル580nm~620nmや、Naの原子発光スペクトル589nm、Kの原子発光スペクトル767nm~770nmは、注目波長として好ましくない。ただし、分光器の波長分解能が高ければ上記領域でも分子発光や原子発光の影響を除外することも可能である。
また、分光輝度取得部10において設定される光路の選定について説明する。原則として、精錬炉1の開口部2で発生する燃焼火炎を含み、かつ、長さの異なる光路であれば、何れの光路を選定してもよい。しかし、選定した光路の光路長にほとんど差がない場合、後述する分光放射率比率が1に近い値となり、それから算出されるダスト発生速度は精度が低くなる虞がある。また、転炉炉口の燃焼火炎中において、ダスト濃度(空間中に占める体積比率)は全体に均一とは考え難いことを考慮する必要がある。単純に考えれば、炉口の中心に近づくほどダストは高濃度、縁に近づくほどダストは低濃度であることが予想される。そこで、選定する光路としては、光路の延長線上に精錬炉1のランス3が含まれる光路(実効光路長:炉径の1/2)と、光路の延長線上に精錬炉1のランス3が含まれない光路とを選定することが好ましい。より好ましくは、光路の延長線上に精錬炉1のランス3が含まれる光路と、該光路をわずかにずらし、光路の延長線上に精錬炉1のランス3が含まれないが、ランス3に近接する光路(実効光路長:炉径~0.8×炉径、好ましくは実効光路長:炉径~0.9×炉径、より好ましくは実効光路長:炉径)と、を選定することである。これにより、光路差を有しつつ、ダスト濃度が実質的に同じ個所を測定することができる。
なお、本開示において、分光輝度取得部10は図1の形態に限定されない。例えば、バンドパスフィルター等の光学素子を用いて特定の波長の分光輝度を取得することができる光センサーを用いてもよい。
演算部20は分光輝度取得部10から送信された注目波長の分光輝度に基づいて、精錬炉の操業において発生するダストの発生速度を推定するものである。演算部20は、CPU、RAM、ROM、所定のインターフェース等を備える、公知のコンピュータである。
演算部20は、分光輝度取得部10が分光輝度を取得した時における燃焼火炎の温度を光路ごとに推定する燃焼火炎温度推定部と、推定された燃焼火炎の温度における注目波長の黒体輻射輝度を光路ごとに算出する黒体輻射輝度演算部と、分光輝度測定部により取得された分光輝度及び黒体輻射輝度演算部により算出された黒体輻射輝度の比率から分光放射率を光路ごとに算出する分光放射率演算部と、算出された分光放射率のうち2つを選択し、これらの比率である分光放射率比率を算出する分光放射率比率演算部と、予め求めておいた分光放射率比率とダスト発生速度との関係式に基づいて、ダストの発生速度を推定するダスト発生速度推定部と、を備える。
燃焼火炎温度推定部は、分光輝度取得部10が分光輝度を取得した時における燃焼火炎の温度を光路ごとに推定するである。光路ごとに燃焼火炎の温度を推定する理由は、燃焼火炎温度(輻射温度)は空間的にばらつくためである。分光輝度取得部10が分光スペクトルを得ている場合、その分光スペクトルから二色温度計の原理を用いて燃焼火炎の温度を推定することができる。また、別途、放射温度計を用いて燃焼火炎の温度を測定してもよい。この場合、分光輝度取得部10が分光輝度を取得した時と同時に燃焼火炎の温度を測定する必要がある。同時とは、完全に同時でなくてもよい。例えば誤差1秒以内であれば許容される。好ましくは分光スペクトルから二色温度計の原理を用いて燃焼火炎の温度を推定することである。
黒体輻射輝度演算部は、推定された燃焼火炎の温度における注目波長の黒体輻射輝度を光路ごとに算出するものである。注目波長の黒体輻射輝度はPlanckの法則を用いることにより算出することができる。
分光放射率演算部は、分光輝度測定部により取得された分光輝度(M)及び黒体輻射輝度演算部により算出された黒体輻射輝度(M)の比率から分光放射率(M/M)を光路ごとに算出するものである。
ここで、「分光放射率」とは、分光放射率の絶対的な値及び分光放射率に比例する値の両方を包含する概念である。分光放射率に比例する値を用いたとしても、ダストの発生速度の評価に与える影響が少ないからである。分光放射率に比例する値とは、分光放射率の絶対的な値と測定系に依存する所定の係数との積である。具体的には、注目波長における「黒体輻射の分光輝度」の温度依存係数(相対値)の理論式をPlanckの法則に従って計算し、その理論式に「測定した輻射温度(燃焼火炎温度)」を代入することで得られた温度依存係数で「測定で得られた分光輝度」を割れば、分光放射率に比例する値を取得できる。ただし、測定系に依存する係数を予め黒体炉を用いて求め、分光放射率の絶対的な値を得ることにより、評価精度が向上する。例えば、予め装置100と同一の構成の装置を用いて、標準黒体炉における減衰率等を求めておくことにより、分光放射率の絶対的な値を得ることができる。
分光放射率比率演算部は、算出された分光放射率のうち2つを選択し、これらの比率である分光放射率比率を算出するものである。
ダスト発生速度推定部は、予め求めておいた分光放射率比率とダスト発生速度との関係式に基づいて、ダストの発生速度を推定するものである。
分光放射率演算部により算出された分光放射率は、集光範囲内の平均の分光放射率である。分光放射率は、分光輝度取得部10により注目波長の分光輝度を取得した際における集光範囲内に占める発光体(ダスト)の量を示すものであり、ダスト量が多ければ分光放射率が大きくなり、ダスト量が小さければ分光放射率は小さくなる。光路長が長ければ集光範囲内に占める発光体の量が増えるため分光放射率は大きくなる一方、光路長が短ければ分光放射率は小さくなる関係があり、前後のダスト同士の重なりが無視できる場合、光路長と測定される分光放射率は比例する。一方で、空間に占めるダストの体積割合が大きくなると、ダスト同士の重なりが無視できなくなり、測定される分光放射率とダスト発生速度は比例しなくなる。このように、比例関係からの外れ度合い、すなわち非線形性の大きさは、ダストの体積割合に相関する。
ダスト同士の重なりが無視できるかは、集光範囲の奥行(光路長)にも依存する。奥行が長く、集光範囲に存在するダスト量が多いほど、ダスト同士の重なりの影響は強くなるためである。そこで、装置100では、集光範囲の奥行が異なる複数個所の分光輝度を測定し、奥行の比と比較することで、ダスト同士の重なりの影響の大きさを測定可能である。そして、2つの光路に基づく分光放射率比率を算出し、これからダスト発生速度を推定している。このように、ダスト同士の重なりに基づくダスト発生速度の非線形性を用いて、分光放射率比率を算出している。これにより上記した(A)ダストを構成する粒子の種類や表面の状態が及ぼす分光放射率への影響や、(B)光路(集光部~炉口)上に浮遊するダストや水蒸気の影響を排除するものである。また、(C)光学系の補正因子(レンズの透過率や光ファイバー特性)による影響も排除することできる。
複数の類似した光路を選択すると、上記した(A)ダストを構成する粒子の種類や表面の状態が及ぼす分光放射率への影響や、(B)光路(集光部~炉口)上に浮遊するダストや水蒸気の影響は各光路で等しいとみなせるため、比をとることで(A)、(B)の因子を排除することができる。さらに、分光輝度取得部10、光取得部11に用いる機器構成を同一とすることで(C)の因子を排除することができ、これにより、測定系の詳細な補正が不要となる。また、分光輝度取得部10、光取得部11を同一の機器構成としなくても、既知の光学特性を持つ機器を組み合わせて構成すれば、測定系の詳細な補正が不要となる。
上記した通り、分光放射率比率からダスト発生速度を推定する際、予め求めておいた分光放射率比率とダスト発生速度との関係式を用いる。このような実験式(関係式)は、実験的に又はシミュレーションにより求めることができる。例えば、分光放射率比率と精錬炉1の炉径・炉口付近のガス通過速度とを変数とした実験式を用いてもよい。ガス通過速度は上吹き・底吹き送酸量に基づくガス発生速度(ガス発生量)と同等であるため、当該実験式においてガス発生速度を変数として用いてもよい。
一方で、ダスト発生速度が低く空間中のダスト濃度が小さい領域では、分光放射率は光路長の長さのみに比例するため、ダストの空間濃度を求めることはできない。また、空間中のダスト濃度が大きすぎると、集光範囲全体にダストが存在する形となって飽和してしまう(均一な面発光とほぼ同等になる)。そのため、光路ごとの分光放射率の比率はほぼ1となり変化しなくなる。このように、本開示の手法は中間的なダスト濃度領域に有効なものである。
中間的なダスト濃度領域は、炉の大きさ、送酸条件を含む各種吹錬条件のみならず、ダストの性状、粒子径分布等にも依存するため、操作可能な条件のみで決定できず、炉ごとに固有の値になると考えられる。そのため、中間的なダスト濃度領域を特定することは困難であり、実際に測定して実験式を作る必要がある。本発明者らは、少なくとも炉径が0.5m以上6.5m以下の範囲であり、かつダスト濃度が1g/m以上200g/m以下の領域で本開示の手法が有効であることを知見した。
ここで、分光放射率比率の範囲について説明する。分光放射率比率に用いた2つの分光放射率に係るそれぞれの光路を光路A、光路Bとし、光路の長い方を光路Aとしたとき、分光放射率比率は光路A、Bの長さの比率(B/A)~1未満の範囲となる。好ましくは1未満であって、B/A~B/A+(1-B/A)×0.9の範囲である。当該範囲内に含まれる分光放射率比率に基づいてダスト発生速度を推定することにより、精度よくダスト発生速度を推定することができる。
以上、一実施形態である装置100を用いて本開示のダスト発生速度推定装置について説明した。本開示のダスト発生速度推定装置は、燃焼火炎の所定の波長の分光輝度を取得し、その分光輝度に基づいてダスト発生速度を推定するものである。従って、従来のダスト発生速度推定手法とは異なり、常時稼働が可能な構成である。また、本開示のダスト発生速度推定装置は、精錬炉の開口部で発生する燃焼火炎の発光を取得できる位置に測定装置が配置されていればよいため設置位置の自由度が高く、操業者が容易にアクセスできる位置に設置可能である。本開示のダスト発生速度推定装置は、燃焼火炎の分光輝度を取得する部分(光取得部)のみをメンテナンスすればよく、取り外す必要もないため、メンテナンス負荷も小さい。例えば、光取得部付近のダストをエアダスター等で吹き飛ばす程度で良く、必要なメンテナンス頻度は約1回/日以下に低減できる。また、光取得部にダストが付着・堆積しないように工夫することで、例えば1回/月以下などさらなる頻度低減も可能である。従って、従来手法と比較して大幅にメンテナンス負荷を小さくすることができる。さらに、本開示のダスト発生速度推定装置は、注目波長における輻射スペクトルの分光輝度に基づく分光放射率を複数取得し、これらから分光放射率比率を算出している。本発明者らは、ガス発生速度が高い領域(中間的なダスト濃度領域)において、分光放射率比率とダスト発生速度との間には高い相関があることを見出している。従って、分光放射率比率を用いることにより、高い精度でダスト発生速度を推定することができる。以上、本開示のダスト発生速度推定装置によれば、常時稼働が可能であり、メンテナンス負荷が小さく、かつ、高い精度でダスト発生速度を推定することができる。
[精錬炉]
本開示の精錬炉は、本開示のダスト発生速度推定装置により推定されたダスト発生速度に基づいて精錬炉の制御を行うものである。精錬炉とは溶鉄を精錬する炉であり、例えば、転炉である。精錬炉の制御とは、例えばダスト発生速度を低減するように精錬炉の制御を行うことである。具体的な手段としては、例えば精錬炉のランスの高さを変更することや、上吹き・底吹き送酸量を変更すること、副原料の投入タイミングや投入速度を変更すること等を挙げることができる。本開示の精錬炉によれば、ダスト発生量を低減することが可能である。
[ダスト発生速度評価方法]
本開示のダスト発生速度推定方法は、精錬炉の操業において発生するダストの発生速度を推定する方法であって、精錬炉の開口部で発生する燃焼火炎を含み、かつ、長さの異なる光路を複数設定し、該光路における注目波長における輻射スペクトルの分光輝度を光路ごとに取得する分光輝度取得工程と、分光輝度取得工程において分光輝度を取得した時における燃焼火炎の温度を光路ごとに推定する燃焼火炎温度推定工程と、推定された燃焼火炎の温度における注目波長の黒体輻射輝度を光路ごとに算出する黒体輻射輝度演算工程と、分光輝度測定工程において取得された分光輝度及び黒体輻射輝度演算工程において算出された黒体輻射輝度の比率から分光放射率を光路ごとに算出する分光放射率演算工程と、算出された分光放射率のうち2つを選択し、これらの比率である分光放射率比率を算出する分光放射率比率演算工程と、予め求めておいた分光放射率比率とダスト発生速度との関係式に基づいて、ダストの発生速度を推定するダスト発生速度推定工程と、を備える。本開示のダスト発生速度推定方法の内容は、本開示のダスト発生速度推定装置において説明したため、ここでは説明を省略する。
[精錬炉の制御方法]
本開示の精錬炉の制御方法は、本開示のダスト発生速度推定方法により推定されたダスト発生速度に基づいて精錬炉の制御を行うものである。本開示の精錬炉の制御方法の内容は、本開示の精錬炉において説明したため、ここでは説明を省略する。
以下、本開示について、実施例を用いてさらに説明する。
[実施例1]
2t規模の小型転炉を用いてダスト発生速度を推定した。光路は(1)~(3)の光路を用いた(図2参照)。
(1)光路の延長線上にランスが含まれないが、ランスに近接する光路(実効光路長:炉径)
(2)光路の延長線上にランスが含まれる光路(実効光路長:炉径の1/2)
(3)光路の延長線上にランスが含まれない光路(実効光路長:炉径の1/4)
なお、(1)の実効光路長は厳密には炉径と同じ長さではないが、計算を簡易にするために炉径と同じ長さであるとみなしている。
ここで、分光輝度取得部にはすべて同一の光学系(集光レンズ等)を用いた。また、分光輝度取得部は、注目波長700nmの分光輝度を取得した。燃焼火炎の温度は波長700nmと900nmの輝度比に基づく二色温度計の原理を用いて推定した。そして、算出した分光輝度と黒体輻射輝度の比率から、光路ごとに分光放射率を算出し、分光放射率比率(2)/(1)、(3)/(1)を算出した。さらに、転炉の排ガスを一定時間間隔でサンプリングしてフィルターに通してダストを採取した。
図3に分光放射率比率と単位時間当たりのフィルター採取量との関係を示した。同図において、○印は分光放射率比率(2)/(1)、×印は分光放射率比率(3)/(1)を表わす。また、図4に、分光放射率比率(2)/(1)から推定した単位時間当たりのフィルター採取量と、実際の単位時間当たりのフィルター採取量との関係を示した。ここで、分光放射率比率から単位時間当たりのフィルター採取量への換算は図3の近似直線の式を用いた。
図3より、分光放射率比率とフィルター採取量との間には、いずれも強い相関があることが確認できた。また、図4より、分光放射率比率から推定したフィルター採取量と、実際のフィルター採取量との間にも強い相関があることが確認できた。単位時間当たりのフィルター採取量はダスト発生速度に相関するものである。従って、本開示によれば、高い精度でダスト発生速度を推定可能であることが分かった。
[実施例2]
300t規模の転炉を用いてダスト発生速度を評価し、その評価に基づいて転炉の操業を制御した。光路は上記の(1)、(2)を用いた。ここで、分光輝度取得部にはすべて同一の光学系(集光レンズ等)を用いた。また、分光輝度取得部は、注目波長700nmの分光輝度を取得した。燃焼火炎の温度は波長700nmと900nmの輝度比に基づく二色温度計の原理を用いて推定した。そして、算出した分光輝度と黒体輻射輝度の比率から、光路ごとに分光放射率を算出し、分光放射率比率(2)/(1)を算出した。実測ダスト発生速度(インデックス値)は、集塵水から採取されたダスト量から算出した。
ここで、集塵水から採取されたダスト量とは、集塵水を所定間隔でサンプリングした際の「サンプリングした集塵水中に含まれるダスト重量とサンプリング水量の比」である。このようなダスト量は、例えば「JIS K 0102 14.1 懸濁物質」を改良した濾過分析により取得することができる。通常、上記の「JIS K 0102 14.1 懸濁物質」では適量を濾過機に注ぎ入れるものであるが、幅広い粒径分布を持つダストでは代表性が得られないため、採取したサンプルを全量濾過して、ダスト量を得ている。
図5に、分光放射率比率及び実測ダスト発生速度(インデックス値)と経過時間との関係を示した。ここで、図5の2分の時点で、ダスト発生速度を低減するように、転炉の操業(ランス高さ及び送酸速度)を制御した。
図5より、分光放射率比率の経時変化を観察しながら、操縦者が転炉の操業を制御することにより、ダスト発生速度を低減することができることが確認できた。
1 精錬炉
2 開口部
3 ランス
10 分光輝度取得部
11 光取得部
12 分光器
20 演算部
100 ダスト発生速度評価装置

Claims (6)

  1. 精錬炉の操業において発生するダストの発生速度を推定する装置であって、
    前記精錬炉の開口部で発生する燃焼火炎を含み、かつ、長さの異なる光路を複数設定し、前記光路における注目波長における輻射スペクトルの分光輝度を前記光路ごとに取得する分光輝度取得部と、
    前記分光輝度取得部が前記分光輝度を取得した時における前記燃焼火炎の温度を前記光路ごとに推定する燃焼火炎温度推定部と、
    推定された前記燃焼火炎の温度における前記注目波長の黒体輻射輝度を前記光路ごとに算出する黒体輻射輝度演算部と、
    前記分光輝度測定部により取得された分光輝度及び前記黒体輻射輝度演算部により算出された黒体輻射輝度の比率から分光放射率を前記光路ごとに算出する分光放射率演算部と、
    算出された分光放射率のうち2つを選択し、これらの比率である分光放射率比率を算出する分光放射率比率演算部と、
    予め求めておいた分光放射率比率とダスト発生速度との関係式に基づいて、前記ダストの発生速度を推定するダスト発生速度推定部と、
    を備える、ダスト発生速度推定装置。
  2. 前記光路は、光路の延長線上に前記精錬炉のランスが含まれる光路と、光路の延長線上に前記精錬炉の前記ランスが含まれない光路とを含む、請求項1に記載のダスト発生速度推定装置。
  3. 請求項1又は2に記載のダスト発生速度推定装置により推定されたダスト発生速度に基づいて前記精錬炉の制御を行う、精錬炉。
  4. 精錬炉の操業において発生するダストの発生速度を推定する方法であって、
    前記精錬炉の開口部で発生する燃焼火炎を含み、かつ、長さの異なる光路を複数設定し、該光路における注目波長における輻射スペクトルの分光輝度を前記光路ごとに取得する分光輝度取得工程と、
    前記分光輝度取得工程において前記分光輝度を取得した時における前記燃焼火炎の温度を前記光路ごとに推定する燃焼火炎温度推定工程と、
    推定された前記燃焼火炎の温度における前記注目波長の黒体輻射輝度を前記光路ごとに算出する黒体輻射輝度演算工程と、
    前記分光輝度測定工程において取得された分光輝度及び前記黒体輻射輝度演算工程において算出された黒体輻射輝度の比率から分光放射率を前記光路ごとに算出する分光放射率演算工程と、
    算出された分光放射率のうち2つを選択し、これらの比率である分光放射率比率を算出する分光放射率比率演算工程と、
    予め求めておいた分光放射率比率とダスト発生速度との関係式に基づいて、前記ダストの発生速度を推定するダスト発生速度推定工程と、
    を備える、ダスト発生速度推定方法。
  5. 前記光路は、光路の延長線上に前記精錬炉のランスが含まれる光路と、光路の延長線上に前記精錬炉の前記ランスが含まれない光路とを含む、請求項4に記載のダスト発生速度推定方法。
  6. 請求項4又は5に記載のダスト発生速度推定方法により推定されたダスト発生速度に基づいて前記精錬炉の制御を行う、精錬炉の制御方法。
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