JP2022176575A - 画像形成装置、クリーニングブレード、及び感光体 - Google Patents

画像形成装置、クリーニングブレード、及び感光体 Download PDF

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Abstract

【課題】異常摩耗を抑制し、クリーニング性能を維持できる画像形成装置を提供すること。【解決手段】感光体と、前記感光体の表面に当接して前記感光体の表面に付着した付着物を除去する弾性部材を有するクリーニングブレードと、を有する画像形成装置であって、前記感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体の上に順次積層された感光層及び表面層と、を有し、前記表面層が、バインダー樹脂および粒子を有し、前記表面層のマルテンス硬度が150N/mm2以上180N/mm2未満であり、且つ弾性仕事率が35%以上45%未満であり、前記クリーニングブレードは、前記弾性部材が基材層と表面層とを有し、前記表面層が先端稜線部を有し、前記表面層が、前記弾性部材の前記先端稜線部を含む表面から100μmの深さまでの領域に、平均分散径が0.1μm以上5.0μm以下のポリシロキサン構造を有するドメインを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置、クリーニングブレード、及び感光体に関する。
従来、電子写真式の画像形成装置では、転写紙や中間転写体へトナー像を転写した後に、感光体の表面に付着した不必要な転写残トナーを、クリーニング装置によって除去している。クリーニング装置のクリーニング部材としては、簡単な構成でクリーニング性能も優れる短冊形状のクリーニングブレードを用いたもの知られている。
このクリーニングブレードは、ポリウレタンゴムなどの弾性体で構成されている。クリーニングブレードは、基端が支持部材で支持され、先端稜線部を感光体の周面に押し当て、感光体上に残留するトナーをせき止めて掻き落とし除去する。
また、近年の高画質化の要求に応えるべく、重合法等により形成された小粒径で球形に近いトナー(以下、重合トナーという)を用いた画像形成装置が知られている。この重合トナーは、従来の粉砕トナーに比べて転写効率が高いなどの特徴があり、上記の要求に応えることが可能である。
しかし、重合トナーは、クリーニングブレードを用いて感光体表面から除去しようとしても十分に除去することが困難であり、クリーニング不良が発生してしまうという問題を有している。これは、小粒径で且つ球形度に優れた重合トナーが、ブレードと感光体との間に形成される僅かな隙間をすり抜けるからである。
このような重合トナーのすり抜けを抑えるには、感光体とクリーニングブレードとの当接圧力を高めてクリーニング能力を高める必要がある。
例えば、特許文献1には、表面がイソシアネート化合物、フッ素化合物、及び、シリコーン化合物から選ばれる少なくとも1種が含浸処理することにより低摩擦処理された弾性ブレード(弾性体ブレード)と、この弾性ブレードの先端稜線部を覆う弾性ブレードよりも硬い紫外線硬化樹脂からなる表面層とで構成されたクリーニングブレードが記載されている。
特許文献2には、弾性ブレードに硬い表面層を設けて先端稜線部の硬度を高くする方法として、弾性ブレードの少なくとも先端稜線部に、鉛筆硬度B~6Hの皮膜硬度を有する樹脂からなる表面層を設けたクリーニングブレードが記載されている。
特許文献3には、シリコーンを含有した紫外線硬化材料を弾性ブレードに含浸させて膨潤させた後、紫外線照射処理してクリーニングブレードの少なくとも感光体と当接する当接部に弾性ブレードよりも硬い表面層を形成したものが記載されている。
また、特許文献4には、アクリレート重合体をクリーニングブレード表面から5μm以上100μm以下の深さまで含浸させた後、アクリレート重合体をクリーニングブレード表面に積層させ、紫外線照射処理してこの紫外線硬化材料を硬化させたクリーニングブレードが記載されている。
しかしながら、クリーニングブレードの当接圧を高めると、感光体とクリーニングブレードとの摩擦力が高まるため、クリーニングブレードの先端稜線部のめくれが生じる。また、このようなクリーニングブレードのめくれにより、局所的な摩耗(異常摩耗)や先端稜線部の欠落によるクリーニング不良(トナーを正常にクリーニングできない状態)が生じる。
本発明の課題は、異常摩耗を抑制し、良好なクリーニング性能を維持できる画像形成装置を提供することである。
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、感光体と、前記感光体の表面に当接して前記感光体の表面に付着した付着物を除去する弾性部材を有するクリーニングブレードと、を有する画像形成装置であって、前記感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体の上に順次積層された感光層及び表面層と、を有し、前記表面層が、バインダー樹脂および粒子を有し、前記表面層のマルテンス硬度が150N/mm以上180N/mm未満であり、且つ弾性仕事率が35%以上45%未満であり、前記クリーニングブレードは、前記弾性部材が基材層と表面層とを有し、前記表面層が先端稜線部を有し、前記表面層が、前記弾性部材の前記先端稜線部を含む表面から100μmの深さまでの領域に、平均分散径が0.1μm以上5.0μm以下のポリシロキサン構造を有するドメインを有することを特徴とする。
本発明の一態様によれば、異常摩耗を抑制し、良好なクリーニング性能を維持できる画像形成装置を提供することができる。
本実施形態に係るプリンタの概略構成図。 本実施形態における作像ユニットの概略構成図。 従来のクリーニングブレードにおける問題発生の概念図。 本発明に係るクリーニングブレードの一例が像担持体の表面に当接している状態の一例を示す拡大断面図。 本実施形態におけるクリーニングブレードの一例を示す斜視図。 寸法精度が良いクリーニングブレードの一例の模式図。 寸法精度が悪いクリーニングブレードの一例の模式図。 先端稜線部を含む表面から100μmの深さまでの領域を説明するための図(その1)。 先端稜線部を含む表面から100μmの深さまでの領域を説明するための図(その2)。 本実施形態における感光体の層構成(単層の感光層と表面層を設けた一例)を示す概念図。 本実施形態における感光体の層構成(積層の感光層と表面層を設けた一例)を示す概念図。 本実施形態における感光体の層構成(下引き層、積層の感光層、表面層を設けた一例)を示す概念図。 感光体表面摩擦係数の測定方法であるオイラーベルト法について説明する概略図。 本実施形態で電荷発生物質として使用したチタニルフタロシアニン粉末のX線回折スペクトル。 弾性ブレードの摩耗幅の測定箇所を示す模式図。
以下、本発明の実施の形態について、説明する。
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、感光体と、該感光体の表面に当接して該感光体の表面に付着した付着物を除去する弾性部材を有するクリーニングブレードと、を有する。
本実施形態の画像形成装置において、感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体の上に順次積層された感光層及び表面層と、を有する。感光体の表面層は、バインダー樹脂および粒子を有する。感光体の表面層のマルテンス硬度は、150N/mm以上180N/mm未満であり、且つ弾性仕事率が35%以上45%未満である。
本実施形態の画像形成装置において、クリーニングブレードは、弾性部材が基材層と表面層とを有し、該表面層が先端稜線部を有する。クリーニングブレードの表面層は、弾性部材の先端稜線部を含む表面から100μmの深さまでの領域に、平均分散径が0.1μm以上5.0μm以下のポリシロキサン構造を有するドメインを有する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す電子写真方式のプリンタの概略構成図である。以下、本実施形態の画像形成装置について、図1に示すプリンタ500を用いて説明する。
プリンタ500は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)用の四つの作像ユニット1Y、1C、1M、1Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY、C、M、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
四つの作像ユニット1の上方には、中間転写体としての中間転写ベルト14を備える転写ユニット60が配置されている。詳細は後述する各作像ユニット1Y、1C、1M、1Kが備える感光体3Y、3C、3M、3Kの表面上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト14の表面上に重ね合わせて転写される構成である。
また、四つの作像ユニット1の下方に、潜像形成手段としての光書込ユニット40が配設されている。光書込ユニット40は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、各作像ユニット1Y、1C、1M、1Kの感光体3Y、3C、3M、3Kに照射する。これにより、感光体3Y、3C、3M、3K上にY、C、M、K用の静電潜像が形成される。
なお、光書込ユニット40は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー41によって偏向させながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y、3C、3M、3Kに照射するものである。また、このような構成に代えて、LDEアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
光書込ユニット40の下方には、第一給紙カセット151、第二給紙カセット152が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット内には、それぞれ、記録媒体である転写紙Pが複数枚重ねられた紙束の状態で収容されており、一番上の転写紙Pには、第一給紙ローラ151a、第二給紙ローラ152aがそれぞれ当接している。
第一給紙ローラ151aが図示しない駆動手段によって図1中反時計回りに回転駆動すると、第一給紙カセット151内の一番上の転写紙Pが、鉛直方向に延在するように配設された給紙路153に向けて排出される。また、第二給紙ローラ152aが図示しない駆動手段によって図1中反時計回りに回転駆動すると、第二給紙カセット152内の一番上の転写紙Pが、給紙路153に向けて排出される。
給紙路153内には、複数の搬送ローラ対154が配設されている。給紙路153に送り込まれた転写紙Pは、これら搬送ローラ対154のローラ間に挟み込まれながら、給紙路153内を図1中下側から上側に向けて搬送される。
給紙路153の搬送方向におけるローラ対154の上流側には、レジストローラ対55が配設されている。レジストローラ対55は、転写紙Pを搬送ローラ対154から送られてくる転写紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の二次転写ニップに向けて送り出す。
図2は、四つの作像ユニット1のうちの一つの概略構成を示す構成図である。図2に示すように、作像ユニット1は、感光体としてのドラム状の感光体3を備えている。感光体3は、ドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
感光体3の周囲には、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置6、一次転写ローラ7、潤滑剤塗布装置10、及び除電ランプ(図示せず)等が配置されている。
帯電ローラ4は、帯電手段としての帯電装置が備える帯電部材である。帯電ローラ4は、感光体3に所定の距離を持って非接触で配置され、感光体3を所定の極性、所定の電位に帯電するものである。
帯電ローラ4によって一様帯電された感光体3の表面は、潜像形成手段である光書込ユニット40から画像情報に基づいてレーザ光Lが照射され静電潜像が形成される。なお、帯電ローラ6には、帯電ローラクリーナ8が接した状態で設けられ、帯電ローラ6に付着した異物がクリーニングされる。
現像装置5は、感光体3の表面上に形成された潜像をトナー像化する現像手段を構成する。現像装置5は、現像剤担持体としての現像ローラ51を有している。この現像ローラ51には、図示しない電源から現像バイアスが印加されるようになっている。現像装置5のケーシング内には、ケーシング内に収容された現像剤を互いに逆方向に搬送しながら攪拌する供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53が設けられている。
現像装置5には、現像ローラ51に担持された現像剤を規制するためのドクタ54も設けられている。供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53の二本スクリュによって撹拌、搬送された現像剤中のトナーは、所定の極性に帯電される。そして、現像剤は、現像ローラ51の表面上に汲み上げられ、汲み上げられた現像剤は、ドクタ54により規制され、感光体3と対向する現像領域でトナーが感光体3上の潜像に付着する。
クリーニング装置6は、トナー像を中間転写ベルト14に転写した後の感光体3上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段である。クリーニング装置6は、ファーブラシ101、クリーニングブレード62などを有している。クリーニングブレード62は、感光体3の表面移動方向に対してカウンタ方向で感光体3に当接している。なお、クリーニングブレード62の詳細については後述する。
一次転写ローラ7は、感光体3の表面上のトナー像を中間転写ベルト14に転写する一次転写手段としての一次転写装置が備える一次転写部材である。
潤滑剤塗布装置10は、クリーニング装置6がクリーニングした後の感光体3の表面上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段である。除電ランプ(図示せず)は、クリーニング後の感光体3の表面電位を除電する除電手段を構成する。潤滑剤塗布装置10は、固形潤滑剤103や潤滑剤加圧スプリング103a等を備え、固形潤滑剤103を感光体3上に塗布する塗布ブラシとしてファーブラシ101を用いている。
なお、潤滑剤塗布装置10は、本実施形態に係る画像形成装置の一部を構成する潤滑剤塗布部の一例である。
固形潤滑剤103は、ブラケット103bに保持され、潤滑剤加圧スプリング103aによりファーブラシ101側に加圧されている。そして、感光体3の回転方向に対して連れまわり方向に回転するファーブラシ101により固形潤滑剤103が削られて感光体3上に潤滑剤が塗布される。感光体への潤滑剤塗布により感光体3表面の摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持される。
本実施形態では、帯電装置の方式として、帯電ローラ4を感光体3に近接させた非接触の近接配置方式が用いられているが、帯電装置としては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)等の公知の構成を用いることができる。これらの帯電方式のうち、帯電効率が高くオゾン発生量が少なく、装置の小型化が可能である等のメリットを有する点で、接触帯電方式または非接触の近接配置方式が好ましい。
光書込ユニット40のレーザ光Lや除電ランプ等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の各種発光物を用いることができる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザは、照射エネルギーが高く、また600~800nmの長波長光を有するため、好適に使用される。
転写ユニット60は、中間転写ベルト14の他、ベルトクリーニングユニット162、第一ブラケット63、第二ブラケット64などを備えている。また、四つの一次転写ローラ7Y、7C、7M、7K、二次転写バックアップローラ66、駆動ローラ67、補助ローラ68、テンションローラ69なども備えている。
中間転写ベルト14は、これら8つのローラ部材に張架されながら、駆動ローラ67の回転駆動によって図1中反時計回りに無端移動する。四つの一次転写ローラ7Y、7C、7M、7Kは、このように無端移動する中間転写ベルト14を感光体3Y、3C、3M、3Kとの間に挟み込んでそれぞれ一次転写ニップを形成している。
そして、中間転写ベルト14の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト14は、その無端移動に伴ってY、C、M、K用の一次転写ニップを順次通過していく過程で、その表面に感光体3Y、3C、3M、3K上のY、C、M、Kトナー像を重ね合わせて一次転写する。これにより、中間転写ベルト14上に四色重ね合わせトナー像(以下、四色トナー像という)が形成される。
二次転写バックアップローラ66は、中間転写ベルト14のループ外側に配設された二次転写ローラ70との間に中間転写ベルト14を挟み込んで二次転写ニップを形成している。先に説明したレジストローラ対55は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを、中間転写ベルト14上の四色トナー像に同期させ得るタイミングで、二次転写ニップに向けて送り出す。
中間転写ベルト14上の四色トナー像は、二次転写バイアスが印加される二次転写ローラ70と二次転写バックアップローラ66との間に形成される二次転写電界や、ニップ圧の影響により、二次転写ニップ内で転写紙Pに一括二次転写される。そして、転写紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト14には、転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニングユニット162によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット162は、ベルトクリーニングブレード162aを中間転写ベルト14の表面に当接させており、これによって中間転写ベルト14上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
転写ユニット60の第一ブラケット63は、図示しないソレノイドの駆動のオンオフに伴って、補助ローラ68の回転軸線を中心にして所定の回転角度で揺動するようになっている。
プリンタ500は、モノクロ画像を形成する場合には、前述のソレノイドの駆動によって第一ブラケット63を図1中反時計回りに少しだけ回転させる。この回転により、補助ローラ68の回転軸線を中心にしてY、C、M用の一次転写ローラ7Y、7C、7Mを図1中反時計回りに公転させることで、中間転写ベルト14をY、C、M用の感光体3Y、3C、3Mから離間させる。
そして、四つの作像ユニット1Y、1C、1M、1Kのうち、K用の作像ユニット1Kだけを駆動して、モノクロ画像を形成する。これにより、モノクロ画像形成時にY、C、M用の作像ユニット1を無駄に駆動させることによる作像ユニット1を構成する各部材の消耗を回避することができる。
二次転写ニップの図1中上方には、定着ユニット80が配設されている。この定着ユニット80は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加圧加熱ローラ81と、定着ベルトユニット82とを備えている。
定着ベルトユニット82は、定着部材たる定着ベルト84、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ83、テンションローラ85、駆動ローラ86、温度センサ(図示せず)等を有している。そして、無端状の定着ベルト84は、加熱ローラ83、テンションローラ85及び駆動ローラ86によって張架しながら、図1中反時計回り方向に無端移動する。
この無端移動の過程で、定着ベルト84は加熱ローラ83によって裏面側から加熱される。このようにして加熱される定着ベルト84の加熱ローラ83への掛け回し箇所には、図1中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ81が表面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ81と定着ベルト84とが当接する定着ニップが形成されている。
定着ベルト84のループ外側には、温度センサ(図示せず)が定着ベルト84の表面と所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト84の表面温度を検知する。この検知結果は、定着電源回路(図示せず)に送られる。定着電源回路は、温度センサによる検知結果に基づいて、加熱ローラ83や加圧加熱ローラ81に内包される発熱源に対する電源の供給をオンオフ制御する。
上述した二次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト14から分離した後、定着ユニット80内に送られる。そして、定着ユニット80内の定着ニップに挟まれながら図1中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト84によって加熱され、押圧されることによりフルカラートナー像が転写紙Pに定着される。
このようにして定着処理が施された転写紙Pは、排紙ローラ対87のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ500本体の筺体の上面には、スタック部88が形成されており、排紙ローラ対87によって機外に排出された転写紙Pは、このスタック部88に順次スタックされる。
転写ユニット60の上方には、Y、C、M、Kトナーを収容する四つのトナーカートリッジ100Y、100C、100M、100Kが配設されている。トナーカートリッジ100Y、100C、100M、100K内のY、C、M、Kトナーは、作像ユニット1Y、1C、1M、1Kの現像装置5Y、5C、5M、5Kに適宜供給される。
これらトナーカートリッジ100Y、100C、100M、100Kは、作像ユニット1Y、1C、1M、1Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
次に、プリンタ500における画像形成動作を説明する。
操作部(図示せず)などからプリント実行の信号を受信したら、帯電ローラ4及び現像ローラ51にそれぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。同様に、光書込ユニット40及び除電ランプなどの光源にもそれぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。また、これと同期して、駆動手段としての感光体駆動モータ(図示せず)により感光体3が図1中矢印方向に回転駆動される。
感光体3が図1中矢印方向に回転すると、まず感光体3表面が、帯電ローラ4によって所定の電位に一様帯電される。そして、光書込ユニット40から画像情報に対応したレーザ光Lが感光体3上に照射され、感光体3表面上のレーザ光Lが照射された部分が除電され静電潜像が形成される。
静電潜像の形成された感光体3の表面は、現像装置5との対向部で現像ローラ51上に形成された現像剤の磁気ブラシによって摺擦される。このとき、現像ローラ51上の負帯電トナーは、現像ローラ51に印加された所定の現像バイアスによって、静電潜像側に移動し、トナー像化(現像)される。
各作像ユニット1において、同様の作像プロセスが実行され、各作像ユニット1Y、C、M、Kの各感光体3Y、C、M、Kの表面上に各色のトナー像が形成される。
このように、プリンタ500では、感光体3上に形成された静電潜像は、現像装置5によって、負極性に帯電されたトナーにより反転現像される。本実施形態では、N/P(ネガポジ:電位が低い所にトナーが付着する態様)の非接触帯電ローラ方式を用いた例について説明したが、これに限るものではない。
各感光体3Y、3C、3M、3Kの表面上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト14の表面上で重なるように、順次一次転写される。これにより、中間転写ベルト14上に四色トナー像が形成される。
中間転写ベルト14上に形成された四色トナー像は、第一給紙カセット151または第二給紙カセット152から給紙され、レジストローラ対55のローラ間を経て、二次転写ニップに給紙される転写紙Pに転写される。このとき、転写紙Pはレジストローラ対55に挟まれた状態で一旦停止し、中間転写ベルト14上の画像先端と同期を取って二次転写ニップに供給される。
トナー像が転写された転写紙Pは中間転写ベルト14から分離され、定着ユニット80へ搬送される。そして、トナー像が転写された転写紙Pが定着ユニット80を通過することにより、熱と圧力の作用でトナー像が転写紙P上に定着されて、トナー像が定着された転写紙Pはプリンタ500装置外に排出され、スタック部88にスタックされる。
一方、二次転写ニップで転写紙Pにトナー像を転写した中間転写ベルト14の表面は、ベルトクリーニングユニット162によって表面上の転写残トナーが除去される。また、一次転写ニップで中間転写ベルト14に各色のトナー像を転写した感光体3の表面は、クリーニング装置6によって転写後の残留トナーが除去され、潤滑剤塗布装置10によって潤滑剤が塗布された後、除電ランプで除電される。
プリンタ500の作像ユニット1は、図1に示すように感光体3と、プロセス手段として帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10などとが枠体2内に設け(収め)られている。そして、作像ユニット1は、プロセスカートリッジとしてプリンタ500本体から一体的に着脱可能となっている。
プリンタ500では、作像ユニット1がプロセスカートリッジとしての感光体3と各プロセス手段とを一体的に交換するようになっているが、この構成に限定されない。例えば、プリンタ500は、感光体3、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10のような単位で新しいものと交換するような構成でもよい。
次に、本実施形態のプリンタ500に好適なトナーについて説明する。
プリンタ500に用いるトナーとしては、画質向上のために、高円形化、小粒径化がし易い懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法により製造された重合トナーを用いるのが好ましい。例えば、円形度が0.97以上で、体積平均粒径5.5μm以下の重合トナーを用いるのが好ましい。平均円形度が0.97以上で、体積平均粒径5.5μmのものを用いることにより、より高解像度の画像を形成することができる。
ここで、円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA-2000(東亜医用電子株式会社製、商品名)により計測した平均円形度である。
具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100~150mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1~0.5ml加え、さらに測定試料(トナー)を0.1~0.5g程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1~3分間分散処理し、分散液濃度が3千~1万個/μlとなるようにしたものを上述の分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。
体積平均粒径については、コールターカウンター法によって求めることが可能である。具体的には、コールターマルチサイザー2e型(コールター社製)によって測定したトナーの個数分布や体積分布のデータを、インターフェイス(日科機社製)を介してパーソナルコンピューターに送って解析するのである。
より詳しくは、1級塩化ナトリウムを用いた1%NaCl水溶液を電解液として用意する。そして、この電解水溶液100~150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1~5ml加える。さらに、これに被検試料としてのトナーを2~20mg加え、超音波分散器で約1~3分間分散処理する。
そして、別のビーカーに電解水溶液100~200mlを入れ、その中に分散処理後の溶液を所定濃度になるように加えて、上記コールターマルチサイザー2e型にかける。アパーチャーとしては、100μmのものを用い、50,000個のトナー粒子の粒径を測定する。
チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上32.0μm以下のトナー粒子を対象とする。
そして、「体積平均粒径=ΣXfV/ΣfV」という関係式に基づいて、体積平均粒径を算出する。但し、「X」は各チャンネルにおける代表径、「V」は各チャンネルの代表径における相当体積、「f」は各チャンネルにおける粒子個数である。
このような重合トナーにおいては、従来の粉砕トナーを感光体表面から除去するときと同じようにして従来のクリーニングブレードで除去しようとしても、その重合トナーを感光体表面から十分に除去しきれず、クリーニング不良が発生する。そこで、クリーニングブレードの感光体への当接圧を高めて、クリーニング性をアップしようとすると、クリーニングブレードが早期に摩耗してしまうという問題があった。
なお、図3は、従来のクリーニングブレードにおける問題発生の概念図である。また、クリーニングブレードと感光体との摩擦力が高まると、クリーニングブレードの感光体表面と当接している部分(ブレード先端稜線部)が、感光体の移動方向に引っ張られてめくれてしまう。クリーニングブレードの感光体と当接している部分がめくれると、異音や振動、ブレード先端稜線部の摩耗(エグレ摩耗)や欠落などの様々な問題が生じてしまう。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、クリーニングブレードの表面層が、先端稜線部を含む表面から100μmの深さまでの領域に、平均分散径が0.1μm以上5.0μm以下の、ポリシロキサン構造を有するドメイン(領域)を有する画像形成装置を見出した。
このような構成を有する画像形成装置では、感光体及びクリーニングブレードの異常摩耗とクリーニングブレード先端稜線部のめくれの発生が抑制されることが分かった。この画像形成装置では、さらに、長期に渡って、クリーニングブレードの先端稜線部の感光体に対する追随性を良好にして、良好なクリーニング性能を維持できることが分かった。
<クリーニングブレード>
ここで、本実施形態におけるクリーニングブレードの一例について、図4、図5を用いて説明する。図4は、クリーニングブレード62が感光体3の表面に当接している状態の説明図であり、図5は、クリーニングブレード62の斜視図である。
図4、図5において、クリーニングブレード62は、支持部材621、弾性部材624を有する。また、弾性部材624は、基材層(基材)622、表面層623を有する。本実施形態において、基材層622は短冊形状としている。さらに、クリーニングブレード62は、ブレード先端面62a、ブレード下面62b、先端稜線部62c(以下、当接部またはエッジ部という場合がある)を有する。
本実施形態において、弾性部材624を構成する基材層622の長手方向の面で、感光体3(被清掃部材)の進行方向(図4中、A、Bで示す回転方向)の下流側Bと対向する面を基材層622の下面という。また、基材層622の先端稜線部62cを含む被清掃部材の回転方向の上流側Aと対向する先端の面を基材層622の先端面という。
図4において、弾性部材624の長手方向の面で、被清掃部材の回転方向の下流側Bと対向する面は、ブレード下面62bに対応する。また、弾性部材624の先端稜線部62cを含む被清掃部材の回転方向の上流側Aと対向する先端の面は、ブレード先端面62aに対応する。
また、弾性部材624の被清掃部材の表面に当接する当接部は、弾性部材624の先端稜線部62cを含む。また、先端稜線部62cがめくれる場合や線圧が高い場合ではブレード先端面62aの一部も当接部になりうる。
なお、クリーニングブレード62は、本実施形態に係る画像形成装置の一部を構成するクリーニングブレードの一例である。また、クリーニングブレード62は、本実施形態に係るクリーニングブレードの一例でもある。
<弾性部材>
弾性部材624は、感光体3(被清掃部材)の表面に当接して該被清掃部材の表面に付着した付着物を除去する。弾性部材624は、基材層622と、表面層623とを少なくとも有し、さらに必要に応じて、その他の部を有する。
弾性部材624が、基材層622と、表面層623とを有することで、弾性部材624が、シロキサン系化合物、またはポリシロキサン構造を有するドメインを有する場合でも、弾性部材624の長手方向の寸法精度が良い。その理由は以下のように考えられる。
シロキサン系化合物を含有した単層のウレタンゴムだけで弾性部材を作製すると、弾性部材を使用に供する大きさに切断する際に、表面がシロキサン系化合物またはポリシロキサン構造を有するドメインに由来する低摩擦係数のために切断刃が滑ってしまう。これにより、シロキサン系化合物を含有した単層のウレタンゴムだけで作製した弾性部材は、寸法精度が出しにくい。
これに対して、本実施形態のように、弾性部材624が、基材層622と、シロキサン系化合物またはポリシロキサン構造を有するドメインを有する表面層623とを有する場合、基材層622側から切断刃を入れることができ、寸法精度のよい切断が可能になる。
長手方向の寸法精度が悪いと、ブレードを感光体に押し当てた時に長手方向の圧力の偏差が大きくなってしまう(寸法が長いところでは圧力が高く、短いところでは圧力が低くなる)。押し当てる圧力に偏差が大きいと、圧力が弱いところでトナーがすり抜けてしまい、画像品質が悪化してしまう。長手方向の偏差としては、例えば、100μm以下が好ましい。
図6に、寸法精度が良いクリーニングブレードの一例を示す。図6に示すクリーニングブレード62では、支持部材621の弾性部材624側と反対側の端部から、弾性部材624の先端稜線部62cまでの長さXが、長手方向で均一である。この場合、ブレードを感光体3に押し当てた時に長手方向の圧力の偏差が小さい。
図7に、寸法精度が悪いクリーニングブレードの一例を示す。図7に示すクリーニングブレード62では、支持部材621の弾性部材624側と反対側の端部から、弾性部材624の先端稜線部62cまでの長さXが、長手方向で不均一である。この場合、クリーニングブレード62を感光体3に押し当てた時に長手方向の圧力の偏差が大きい。
<<表面層>>
表面層623は、先端稜線部62cを有する。表面層623は、先端稜線部62cを含む表面から100μmの深さまでの領域に、平均分散径が0.1μm以上5.0μm以下のドメインを有する。表面層623において、ドメインは、先端稜線部62c以外の箇所に含有されていてもよい。なお、先端稜線部62cを含む表面は、前述のブレード下面62b(被清掃部材の回転方向の下流側Bと対向する面)に対応する。
ドメインは、ポリシロキサン構造を有する領域である。ポリシロキサン構造は、例えば、シロキサン系化合物に由来する。ドメインは、例えば、シロキサン系化合物が凝集して形成される。その際、ドメインを形成するシロキサン系化合物は、マトリックス成分と結合していてもよいしい、結合していなくてもよい。
シロキサン系化合物とは、シロキサン結合をもつ化合物のことを示しており、例えば、シリコーンである。シリコーンは、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、シリコーングリースなどの形態で存在する。シロキサン結合は炭素結合よりも結合エネルギーが大きく安定して存在できるという特徴を持ち、シロキサン系化合物は、表面自由エネルギーが小さく離型性や潤滑性に優れている。
シロキサン系化合物としては、シリコーンからなる化合物が好ましく、後述するシリコーンを用いることができる。
本実施形態において、ドメインの平均分散径は、0.1μm以上5.0μm以下であり、好ましくは0.5μm以上3.0μm以下である。
ドメインの平均分散径が0.1μm以上であると、分散径が大きいか相溶しにくいため、被清掃部材(例えば、感光体3)との摩擦力を低下する効果が発現しやすくなり、ブレード先端のめくれの発生を抑制することができる。また、ドメインの平均分散径が5.0μm以下であると、シロキサン系化合物の凝集部であるドメインが感光体表面に付着することによる汚染が抑制され、画像品質の悪化を防ぐことができる。
また、ドメインの平均分散径が0.5μm以上であると、よりブレード先端部のめくれをより抑制することができ、ブレードにトナーの入力が少なくなるような画像を連続で出力する状況でもブレードめくれをより抑制することができる。また、ドメインの平均分散径が3.0μm以下であると、一般的なトナーの粒径よりも小さい分散径であることで、トナーのブレード先端部への固着がより起こりにくくなる。
平均分散径の算出方法は、任意の先端稜線部62cを含む100μmの領域でドメインの分散径を100個以上測定し、個数平均値により求めることができる。例えば、ブレードを任意の箇所で切断し断面を露出させ、レーザ顕微鏡やSEMで先端稜線部62cを含む100μmの領域を撮影し、その画像から分散径を計測する。
分散径の計測には、ImageProなどの画像解析ソフトを用いて2値化画像から分散径を算出することもできる。このとき、観察画像のドメインがポリシロキサン構造を有することは、EDS(エネルギー分散型X線分析、Energy dispersive X-ray spectrometry)などを用いて確認することができる。
なお、先端稜線部62cを含む表面から100μmの深さまでの領域は、図8及び図9に示すような領域Yである。図8は、領域Yの位置を示す図であり、図9は、領域Yの拡大図である。図9中、符号Sは、ポリシロキサン構造を有するドメインを示す。
表面層623の平均厚みとしては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm以上800μm以下が好ましく、50μm以上500μm以下であることがより好ましい。
平均厚みが50μm以上あると、長期使用時に摩耗しても摩耗後に露出する面もポリシロキサン構造を有するドメインを有しており、摩耗しても感光体と接触する部分は常にポリシロキサン構造を有するドメインが存在し低摩擦係数を維持することができる。また、平均厚みが500μm以下であると、ポリシロキサン構造を有するドメインを有する表面層623の影響による加工時の寸法精度の悪化をより抑えることができる。
ここで、当接部の表面層623の平均膜厚は、当接部における表面層623の任意の箇所を10箇所測定した算術平均値により求めることができる。
当接部の表面層623の厚みの測定方法としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、当接部の表面層623を含む切断面を、マイクロスコープを用いて測定する方法などが挙げられる。具体的には、例えば、ブレード先端面62aを上向きにしてマイクロスコープで観察し、表面層623の厚みを測定する。
クリーニングブレード62の先端稜線部62cから20μmの位置で表面層623側から荷重1000μNの条件で測定した弾性部材624のマルテンス硬度HMは、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。弾性部材624のマルテンス硬度HM(荷重:1000μN)としては、0.3N/mm以上8.0N/mm以下が好ましく、0.5N/mm以上5.0N/mm以下であることがより好ましい。
マルテンス硬度が0.3N/mm以上であることで、クリーニングブレード62の先端稜線部62cが変形しにくく、該先端稜線部62cのめくれをより抑制することができ、8.0N/mm以下であることでブレード先端部の欠けをより抑制することができる。
マルテンス硬度(HM)の測定方法は、以下のとおりである。マルテンス硬度(HM)の測定には、例えば、硬度計(フィシャー・インストルメンツ社製、微小硬度計HM-2000)を用いる。
マルテンス硬度は、基材層622の先端面に、ビッカース圧子を1.0mNの力で10秒間押し込み、5秒間保持し、1.0mNの力で10秒間抜いて、測定する。測定位置は、弾性部材624の下面Sの先端稜線部62cから内側に20μm離れた位置とする。測定する方法としては、弾性部材624の先端を約1cm幅で切断し、下面Sが上を向くようにスライドガラス等に接着剤や両面テープで固定し、上述の測定位置を測定する。
弾性部材624の表面層623は、例えば、層構成樹脂成分と、ドメインを構成するポリシロキサン成分を有する。具体的には、表面層623において、ポリシロキサン成分が、層構成樹脂成分中に分散している。
言い換えれば、表面層623は、層構成樹脂成分を海とし、ポリシロキサン構造の凝集により形成されたドメインを島とする海島構造を有する。海島構造は、例えば、少なくとも、先端稜線部62cを含む表面から100μmの深さまでの領域に存在する。なお、層形成樹脂成分と、ポリシロキサン成分とは、化学結合によって結合していてもよいし、結合していなくてもよい。
表面層623において、領域Yの断面におけるドメインの面積割合は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。ドメインの面積割合としては、本発明の効果をより発揮できる点で、0.1%以上40%以下が好ましく、0.5%以上30%以下がより好ましく、1.0%以上20%以下がさらに好ましい。
領域の断面におけるドメインの面積割合は、例えば、以下の方法で求めることができる。ブレードを任意の箇所で切断し断面を露出させ、レーザ顕微鏡やSEMで先端稜線部62cを含む100μmの領域を撮影し、その画像からシロキサン系化合物の占める面積比率を算出する。ImageProなどの画像解析ソフトを用いて2値化画像から面積比率を算出することにより求めることができる。
表面層623は、例えば、以下の第2組成物を硬化させて得られる。第2組成物は、例えば、乳化状態である以下の第1組成物に、活性水素化合物からなる硬化剤を含有させたものである。
<<第1組成物>>
第1組成物は、以下の成分A及び成分Bの少なくともいずれか、並びに成分Cを含有する。
A:NCO末端変性シリコーンプレポリマー
B:シリコーンオイル
C:NCO末端ウレタンプレポリマー
[A:NCO末端変性シリコーンプレポリマー]
NCO末端変性シリコーンプレポリマーは、末端に少なくとも1つの水酸基を有する変性シリコーンに第1ポリイソシアネートを反応させた、末端がイソシアネート基となったプレポリマーである。
変性シリコーンは、末端に少なくとも1つの水酸基を有するシリコーンであり、市販されているものを用いることができる。変性シリコーンは、第1ポリイソシアネートと反応して末端にNCO基を有するプレポリマーを形成できるものから選択される。具体的には、変性シリコーンは、水酸基、アミノ基を末端に有するものであり、安定性の点から、水酸基変性シリコーンが好ましい。
変性シリコーンとしては、例えば、KF-6000、KF-6001、KF-6002、KF-6003、X-22-176F、X-22-176DX、X-22-176GX-A(いずれも信越シリコーン社製の市販品)などが挙げられる。末端の変性の種類としては、片末端、両末端、側鎖などがあるが、後述するように界面活性剤として機能させる効率の点から片末端変性がより好ましい。
第1ポリイソシアネートは、変性シリコーンの末端にウレタン結合を介して結合し、末端をイソシアネート基(NCO)とする化合物である。第1ポリイソシアネートの詳細は、後述する。
NCO末端変性シリコーンプレポリマーは、変性シリコーンと、第1ポリイソシアネートとの反応により得られる、末端にNCO基を有するシリコーンプレポリマーである。NCO末端変性シリコーンプレポリマーは、変性シリコーン側官能基の2倍当量程度の第1ポリイソシアネートを混合し、加熱攪拌することにより得ることができる。
[B:シリコーンオイル]
シリコーンオイルは、常温で液状のシリコーンオイル(オルガノポリシロキサン)であり、市販のものを用いることができる。
シリコーンオイルとしては、一般のポリオルガノシロキサンを用いることができる。シリコーンオイルはポリウレタン/ウレアマトリックス中に安定に分散させるため、マトリックスとの相溶性は乏しい方がより好ましい。このようなシリコーンオイルが、例えば、NCO末端変性シリコーンプレポリマーを界面活性剤としてNCO末端ウレタンプレポリマー中に乳化状態で分散される。
シリコーンオイルの中でも、ジメチルシリコーンがより好ましい。ジメチルシリコーンオイルは、最も汎用的なシリコーンオイルであり、各社の市販品を用いることができる。なお、上述した乳化の際、粘度が高いとより高エネルギーが必要となるため、1~10,000mPa・s/25℃程度のものが好適に用いられる。
[C:NCO末端ウレタンプレポリマー]
NCO末端ウレタンプレポリマーは、ポリオールと第2ポリイソシアネートとを反応させた、末端がイソシアネート基のプレポリマーである。
ポリオールは、例えば、分子量が500~4000のポリオールであり、ポリウレタン樹脂の製造に用いられる、いわゆる長鎖ポリオールである。ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが好適に用いられる。
第2ポリイソシアネートは、ポリオールの末端の水酸基と反応してウレタン結合を介して結合し、末端をイソシアネート基(NCO)とする化合物である。
第1ポリイソシアネート及び第2ポリイソシアネートとして用いるポリイソシアネート化合物は、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4´-ジイソシアネート、3,3´-メトキシ-4,4´-ジフェニルジイソシアネート、3,3´-ジメチルジフェニルメタン-4,4´-ジイソシアネート、キシリレン-1,4-ジイソシアネート、4,4´-ジフェニルプロパンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4´-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート等を挙げることができる。
ここで、第1ポリイソシアネート及び第2ポリイソシアネートは、硬化剤に対する反応性が、第1ポリイソシアネートの方が第2ポリイソシアネートより高くなるように選択することが好ましい。イソシアネート基(R-NCO)の反応性は、置換基Rの電子吸引性が大きいほど大きくなる。
具体的には、芳香族ポリイソシアネートの反応性は脂肪族ポリイソシアネートよりも大きく、側鎖のメチル基などの立体障害によって反応性は低下する。これらは、ウレタン関係の以下の文献から類推することができる。
・Hepburn,C.: Polyurethane Elastomers, Applied Science Publishers, (1982)
・Saunders J. H., Frisch K. C. : Polyurethanes : Chemistry and technology, Part1. Chemistry, New York : Interscience Publishers, 170 (1962)
・ポリウレタン樹脂ハンドブック、岩田敬二編、日刊工業新聞社 (1987)
・ポリウレタン樹脂塗料用硬化剤、高仲善明、色材協会誌、49 (1976)
このように、一般的には、芳香族ポリイソシアネートの方が脂肪族または脂環族ポリイソシアネートより硬化剤との反応性が高いので、例えば、第1ポリイソシアネートを芳香族ポリイソシアネートとし、第2ポリイソシアネートを脂肪族または脂環族ポリイソシアネートとすればよい。また、第1ポリイソシアネート及び第2ポリイソシアネートの両方とも、芳香族ポリイソシアネートまたは脂肪族または脂環族ポリイソシアネートとしてもよい。
具体的には、例えば、第1ポリイソシアネートとして芳香族ポリイソシアネートを用い、第2ポリイソシアネートとして脂肪族ポリイソシアネートを用いることができる。また、第1ポリイソシアネート及び第2ポリイソシアネートの両者を芳香族ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネートから選定することができる。
具体的には、第1ポリイソシアネートとしてキシリレンジイソシアネート(脂肪族高反応性)、第2ポリイソシアネートとしてジシクロヘキシルメタン4,4´-ジイソシアネート(脂肪族低反応性)などの組み合わせが例示できる。
NCO末端ウレタンプレポリマーは、ウレタン樹脂硬化物のマトリックスを形成する主成分であり、目的とする物性に応じて適宜合成もしくは市販品から選択することができる。例えば、分子量が500~4000のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの長鎖ポリオールに、ポリオール側水酸基の2倍当量程度の第2ポリイソシアネートを混合し、加熱攪拌することにより得られる。
また、NCO末端ウレタンプレポリマーは、NCO末端変性シリコーンプレポリマーの第1ポリイソシアネートとの相対的反応性の要件を満たせば、市販品から選択することができる。
第1組成物は、成分A及び成分Bの少なくともいずれか、並びに成分Cを含有するが、例えば、混合することにより乳化状態となるものである。
すなわち、成分AのNCO末端変性シリコーンプレポリマーは、界面活性剤として働き、成分Bのシリコーンオイルを成分CのNCO末端ウレタンプレポリマー中に乳化状態で保持することができる。つまり、シリコーンオイルの粒子の周りにNCO末端変性シリコーンプレポリマーが配位してミセルを形成し、これがNCO末端ウレタンプレポリマー中に分散している乳化物となる。
第1組成物は、上述したとおり、例えば、NCO末端ウレタンプレポリマーにNCO末端変性シリコーンプレポリマーおよびシリコーンオイルを分散させた乳化物とすることができる。分散装置としては、高速攪拌機、ホモジナイザーなどの一般的な乳化装置を用いることができる。
第1組成物は、NCO末端ウレタンプレポリマーにNCO末端変性シリコーンプレポリマーを分散させた後、シリコーンオイルを分散させると、速やかに、均一乳白色の分散液として製造することができる。
<<第2組成物>>
第2組成物は、乳化状態の第1組成物に、活性水素化合物からなる硬化剤を含有させたものである。
硬化剤は、NCO基と反応性を有する活性水素含有化合物であるが、具体的には多価ヒロドキシ化合物またはポリアミン化合物である。硬化剤として多価ヒドロキシ化合物を用いた場合には、マトリックス樹脂(層構成樹脂)は、ポリウレタン樹脂となる。また、硬化剤としてポリアミンを用いた場合には、マトリックス樹脂は、ポリウレタンウレア樹脂となる。
シェルとなるNCO末端シリコーンプレポリマーと硬化剤との反応を迅速に進めることは効果的であるため、シリコーンプレポリマーのNCO当量以上のポリアミンを含有する硬化剤が好適に用いられる。
多価ヒドロキシ化合物は、鎖長延長剤としてポリアミンと共に用いてもよい。また、硬化反応を適切に進めるため、公知のウレタン硬化触媒(アミン類、有機金属類)を併用することも出来る。
ここで、多価ヒドロキシ化合物としては、特に限定されないが、脂肪族多価アルコールが好適に用いられる。
脂肪族多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3-ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどが挙げられる。
ポリアミン化合物としては、4,4´-メチレンビス(2-クロロアニリン)、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンなどが挙げられる。
第2組成物は、所定の金型等で熱硬化させることにより、ポリウレタン/ウレア樹脂硬化物となる。
ここで、第2組成物は、NCO末端変性シリコーンプレポリマーと、NCO末端ウレタンプレポリマーと、NCO基と反応性を有する活性水素含有化合物である硬化剤を含有するので、NCO基と硬化剤とを反応させることにより、ポリウレタン樹脂硬化物となる。
また、NCO末端変性シリコーンプレポリマーの末端に付加している第1ポリイソシアネートと、NCO末端ウレタンプレポリマーの末端に付加している第2ポリイソシアネートとは、硬化剤に対する反応性が、第1ポリイソシアネートの方が第2ポリイソシアネートより高いものを用いることが好ましい。
その場合、ミセルを形成しているNCO末端変性シリコーンプレポリマーが先に硬化剤と反応し、シリコーンオイルがコアとなり、NCO末端変性シリコーンプレポリマーの硬化物がシェルとなるコアシェル構造が形成される。
すなわち、ミセルを形成しているNCO末端変性シリコーンプレポリマーが先に硬化剤と反応すると、シリコーンオイルがミセル内に固定化された擬似カプセルが生成する。その後、マトリックスとなるNCO末端ウレタンプレポリマーが硬化剤と反応して硬化するので、コアシェル構造がウレタン/ウレアマトリックス中に安定に分散した状態のウレタン樹脂硬化物となる。
ウレタン樹脂硬化物(表面層623)中のシロキサン系化合物の含有量は、適宜選択することができるが、硬化物(表面層623)に対して、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
ウレタン樹脂硬化物中のシロキサン系化合物の含有量が0.1質量%以上であると、摩擦係数が小さくなり、先端稜線部62cのめくれを抑制することができる。ウレタン樹脂硬化物中のシロキサン系化合物の含有量が20質量%以下であると、シロキサン系化合物の成分が被清掃部材(例えば、感光体3)に移動して被清掃部材を汚染することを抑制することができる。
なお、シロキサン系化合物が、表面層623全体に一様に存在している場合、ウレタン樹脂硬化物中のシロキサン系化合物の含有量は、表面層623の任意の位置で測定して求めればよい。シロキサン系化合物が、先端稜線部62cを含む表面から100μmの深さまでの領域またはその付近に偏在している場合は、ウレタン樹脂硬化物中のシロキサン系化合物の含有量は、領域における含有量である。
<<基材層>>
弾性部材624の基材層622は、その形状、大きさ、材質、構造などについて、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
弾性部材624における基材層622の形状としては、例えば、平板状、短冊状、シート状、などが挙げられる。また、基材層622の形状としては、例えば、基材層622の厚み方向において対向する一対の板面と、板面と直交し、板面の面内方向において対向する二対の端面とを有する形状が挙げられる。
また、弾性部材624における基材層622の大きさは、例えば、被清掃部材の大きさに応じて適宜選択することができる。弾性部材624における基材層622の材質としては、高弾性が得られやすい点から、例えば、ポリウレタンゴム、ポリウレタンエラストマーなどが好適に用いられる。
弾性部材624における基材層622の構造としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1種の材質からなる単層構造、2種の異なる材質を一体成形した2層構造、数種の異なる材質を一体成形した多層構造などが挙げられる。
なお、弾性部材624において、2層以上を積層した基材層622を製造する際は、混合率の異なる原材料を各層が完全に硬化する前に、遠心成形金型に連続的に注入することにより、層間剥離が起こらないように一体的に成形することができる。
弾性部材624の基材層622の製造方法としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを用いてポリウレタンプレポリマーを調製し、該ポリウレタンプレポリマーに硬化剤、及び必要に応じて硬化触媒を加えて、所定の型内にて架橋し、炉内にて後架橋させたものを遠心成型によりシート状に成型後、常温放置、熟成したものを所定の寸法にて、平板状に裁断することにより、弾性部材624の基材層622が製造される。
ポリオール化合物としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。ポリオール化合物としては、例えば、高分子量ポリオール、低分子量ポリオール、などが挙げられる。
高分子量ポリオールとしては、例えば、アルキレングリコールと脂肪族二塩基酸との縮合体であるポリエステルポリオール;エチレンアジペートエステルポリオール、ブチレンアジペートエステルポリオール、ヘキシレンアジペートエステルポリオール、エチレンプロピレンアジペートエステルポリオール、エチレンブチレンアジペートエステルポリオール、エチレンネオペンチレンアジペートエステルポリオール等のアルキレングリコールとアジピン酸とのポリエステルポリオール等のポリエステル系ポリオール;カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンエステルポリオール等のポリカプロラクトン系ポリオール;ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール等のポリエーテル系ポリオール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
低分子量ポリオールとしては、例えば、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノン-ビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、3,3´-ジクロロ-4,4´-ジアミノジフェニルメタン、4,4´-ジアミノジフェニルメタン等の二価アルコール;1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシエトキシメチル)プロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の三価またはそれ以上の多価アルコール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化触媒としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、などが挙げられる。
硬化触媒の含有量は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上0.3質量%以下である。
基材層622のJIS-A硬度は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは60度以上であり、より好ましくは65度以上80度以下である。JIS-A硬度が、60度以上であると、ブレード線圧が得られやすく、感光体との当接部の面積が拡大しにくいため、クリーニング不良が発生しにくくなる。
ここで、基材層622のJIS-A硬度は、例えば、硬度計(高分子計器社製、マイクロゴム硬度計MD-1)などを用いて測定することができる。
基材層622の反発弾性率は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。ここで、基材層622の反発弾性率は、例えば、JISK6255規格に準拠し、23℃において、東洋精機製作所製No.221レジリエンステスタを用いて測定することができる。
基材層622の平均厚みは、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは1.0mm以上3.0mm以下である。
<支持部材>
クリーニングブレード62は、支持部材621と、該支持部材621に一端が連結されて、他端に所定長さの自由端部を有する平板状の弾性部材624と、を有するからなることが好ましい。クリーニングブレード62は、弾性部材624の自由端側の一端である先端稜線部を含む当接部が被清掃部材表面に長手方向に沿って当接するように配置される。
支持部材621としては、弾性部材624を支持する部材であれば、その形状、大きさ、及び材質等については、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。支持部材621の形状としては、例えば、平板状、短冊状、シート状、などが挙げられる。支持部材621の大きさとしては、被清掃部材の大きさに応じて適宜選択することができる。
支持部材621の材質としては、例えば、金属、プラスチック、セラミック、などが挙げられる。これらの中でも、強度の点から金属板が好ましく、ステンレススチール等の鋼板、アルミニウム板、リン青銅板が特に好ましい。
<感光体>
次に、本実施形態の画像形成装置における感光体について説明する。まず、感光体3における層構造について説明する。
感光体3は、導電性支持体91と、感光層92と、表面層93と、を有する。感光層92及び表面層93は、導電性支持体91の上に順次積層されている。感光体3の表面層93は、バインダー樹脂および粒子を有し、マルテンス硬さが150N/mm以上180N/mm未満であり、かつ、弾性仕事率が35%以上45%未満である。
感光体3は、導電性支持体91、感光層92、及び表面層93を有するものであれば、その他の層等が任意に組み合わされていてもよい。
なお、感光体3は、本実施形態に係る画像形成装置の一部を構成する感光体(被清掃部材)の一例である。また、感光体3は、本実施形態に係る感光体の一例でもある。
図10は、導電性支持体91上に、単層の感光層92と、表面層93とを設けた感光体の一例である。また、図11は、導電性支持体91上に電荷発生層921と電荷輸送層922とを積層した感光層92と、表面層93とを設けた感光体の一例である。さらに、図12は、導電性支持体91上に下引き層94を設け、電荷発生層921、電荷輸送層922を積層した感光層92と、表面層93とを設けた感光体の一例である。
導電性支持体91としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものを用いることができる。
このような導電性支持体としては、例えば、金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したものをもちいることができる。なお、この場合の金属酸化物としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、銅、金、銀、白金、スズ、インジウムなどの酸化物が挙げられる。
また、導電性支持体91として、金属または金属板を、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管なども用いることができる。この場合の金属としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどが挙げられる。
また、特開昭52-36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも、導電性支持体91として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、導電性支持体91として用いることができる。この場合の導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITO(酸化インジウムスズ)などの金属酸化物粉体などが挙げられる。
また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ-N-ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂などが挙げられる。
このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層が設けられたものも、導電性支持体91として好適に用いることができる。
次に、感光層92について説明する。感光層92は単層でも積層でもよい。まず、図11、図12に示す電荷発生層921と電荷輸送層922とからなる積層構成の感光層92について説明する。
電荷発生層921は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層921には、公知の電荷発生物質を用いることができる。
電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。これらの電荷発生物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態では、電荷発生物質として、アゾ顔料および/またはフタロシアニン顔料が好ましく用いられる。これらの中でも、下記[化1]で表されるアゾ顔料、または、チタニルフタロシアニン(特にCuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン)がより好ましく用いられる。
Figure 2022176575000002
電荷発生層921は、必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体91上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層921に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
結着樹脂の量は、特に制限されず、電荷発生物質100質量%に対して0~500質量%とすることができ、好ましくは10~300質量%である。
ここで用いられる溶剤としては、例えば、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。これらの中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が、溶剤として好適に用いられる。
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層921の膜厚は、0.01~5μm程度とすることができ、好ましくは0.1~2μmである。
電荷輸送層922は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層921上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
電荷輸送物質は、電子輸送物質と正孔輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7-トリニトロ-9-フルオレノン、2,4,5,7-テトラニトロ-9-フルオレノン、2,4,5,7-テトラニトロキサントン、2,4,8-トリニトロチオキサントン、2,6,8-トリニトロ-4H-インデノ〔1,2-b〕チオフェン-4-オン、1,3,7-トリニトロジベンゾチオフェン-5,5-ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、例えば、ポリ-N-ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ-γ-カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン-ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α-フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9-スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等が挙げられる。
これらの電荷輸送物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ-N-ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は、特に制限されず、結着樹脂100質量%に対して20~300質量%とすることができ、好ましくは40~150質量%である。
また、電荷輸送層922の膜厚は、特に制限されないが、解像度または応答性の点から、30μm以下とすることが好ましい。なお、電荷輸送層922の膜厚の下限値に関しては、使用するシステム(例えば、帯電電位等)により異なるが、5μm以上が好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが挙げられる。
本実施形態における感光体では、その電荷輸送層922中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものをそのまま使用することができ、その使用量は、結着樹脂に対して0~30質量%程度である。
レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、オリゴマー等が使用され、その使用量は結着樹脂に対して0~1質量%が適当である。
次に、図10に示す、感光層92が単層構成の場合について説明する。
感光層92としては、上述した電荷発生物質を結着樹脂中に分散した感光体が使用できる。単層の感光層92は、電荷発生物質、電荷輸送物質、および、結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成される。
また、必要により、感光層92に、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。結着樹脂としては、先に電荷輸送層922で挙げた結着樹脂をそのまま用いられるほかに、電荷発生層で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。
結着樹脂100質量%に対して、電荷発生物質の量は5~40質量%が好ましく、電荷輸送物質の量は0~190質量%が好ましく、より好ましくは50~150質量%である。
単層の感光層92は、電荷発生物質、結着樹脂とともに、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。
単層の感光層92の膜厚は、5~35μm程度が適当である。
また、本実施形態における感光体では、図12に示すように、導電性支持体91と感光層92との間に下引き層94を設けることができる。下引き層94は、通常、樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層92を溶剤で塗布することを考えると、通常の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
このような樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド-メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
また、下引き層94には、モアレ防止、残留電位の低減等のために、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
下引き層94は、前述の感光層92のような適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。さらに本実施形態では、下引き層94として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。
この他、下引き層94には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも好適に使用できる。下引き層94には、この他にも公知のものを用いることができる。
下引き層94の膜厚は、特に制限されないが、0~5μmであることが好ましい。
本実施形態における感光体3では、単層または積層の感光層92の上にバインダー樹脂および粒子を有し、マルテンス硬さが150N/mm以上180N/mm未満であり、かつ、弾性仕事率が35%以上45%未満である表面層93を積層する。
本実施形態で用いられる感光体3の表面層93は、少なくともバインダー樹脂および粒子を有する塗布液が塗布され、マルテンス硬さが150N/mm以上180N/mm未満であり、かつ、弾性仕事率が35%以上45%未満であるものが使用される。
表面層93は、少なくとも粒子とバインダー樹脂で構成される。バインダー樹脂としては、例えば、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂などの架橋樹脂が用いられる。
粒子としては、有機系粒子及び無機粒子が用いられる。
有機系粒子としては、例えば、フッ素含有樹脂粒子、ダイヤモンド粒子などが挙げられる。
無機粒子としては、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化珪素、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。無機粒子は、これらの中でも、酸化物が好ましく、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等がより好ましい。
表面層93中の無機粒子の濃度は、高いほど耐摩耗性が高くなる点で好ましいが、高すぎる場合には残留電位の上昇、保護層の書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。従って、表面層93中の無機粒子の濃度は、全固形分に対して50質量%以下程度であり、好ましくは30重量%以下にする。また、表面層93中の無機粒子の濃度の下限値は、特に制限されないが、通常、5重量%である。
また、これらの無機粒子は、少なくとも一種の表面処理剤で表面処理されることが可能である。また、無機粒子をこのように表面処理することは、無機粒子の分散性の面から好ましい。
無機粒子の分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤を使用することができるが、無機粒子の絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。
このような表面処理剤としては、例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理が無機粒子の分散性及び画像ボケの点からより好ましい。
シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。
表面処理量については、用いる無機粒子の平均一次粒径によって異なるが、3~30wt%程度が適量であり、好ましくは5~20wt%程度である。表面処理量が少な過ぎるいと無機粒子の分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす可能性がある。
これら無機粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
表面層93膜厚は、特に制限されないが、1.0~8.0μmの範囲であることが好ましい。
長期的に繰り返し使用される感光体は、機械的に耐久性が高く、摩耗しにくいものとする。しかし、実機内における、帯電部材などから、オゾン及びNOxガスなどが発生し、感光体の表面に付着する。これらの付着物が存在すると、画像流れが発生する。この画像流れを防止するためには、感光層92をある一定速度以上に摩耗する必要がある。
そこで、長期的な繰り返し使用を考慮した場合、表面層93は、少なくとも1.0μm以上の膜厚であることが好ましい。
また、表面層93膜厚が8.0μmよりも大きい場合は、残留電位上昇や微細ドット再現性の低下が考えられる。これら無機粒子は、適当な分散機を用いることにより分散できる。
また、分散液中での無機粒子の平均粒径は、表面層93の透過率の点から、1μm以下であることがこのましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
感光層92上に表面層93を設ける方法としては、例えば、浸漬塗工方法、リングコート法、スプレー塗工方法などが用いられる。このうち一般的な表面層93の製膜方法としては、微小開口部を有するノズルより塗料を吐出し、霧化することにより生成した微小液滴を感光層92上に付着させて塗膜を形成するスプレー塗工方法が用いられる。
ここで用いられる溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが挙げられる。
表面層93は、残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有してもよい。電荷輸送物質は、前述の電荷輸送層を用いることができる。
電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、表面層93中における濃度勾配を有していてもよい。
また、表面層93には、電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も好適に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される表面層93は、耐摩耗性に優れたものである。
高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルの中から選ばれる少なくとも一つの重合体であることが好ましい。これらの中でも、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが好ましい。
感光体3の表面層93の硬度は、マルテンス硬さ150N/mm以上180N/mm未満であり、且つ弾性仕事率(We/Wt値)が35%以上45%未満である。ここで、マルテンス硬さ及び弾性仕事率は、以下の条件で測定される。
評価装置:Fisherscope H-100
試験方法:負荷除荷繰り返し(1回)試験
圧子:マイクロビッカース圧子
最大荷重:9.8mN
負荷(除荷)時間:30秒
保持時間:5sec
マルテンス硬さ150N/mm未満の場合は、トナーが感光体表面に固着することが発生する場合があり、180N/mm以上の場合は、本実施形態で用いるクリーニングブレ―ドの局所摩耗を増大させてしまう。
また、弾性仕事率(We/Wt値)が35%未満の場合は、感光体軸方向で、画像面積率が変化した場合など、感光体摩耗スピードが変化し、摩耗ムラが発生しやすくなり、45%以上の場合は、感光体上に残留したトナーをクリーニングブレード62でクリーニングする際のクリーニング性が低下することがある。
このため、無機粒子の添加量や樹脂種により、硬度及び弾性仕事率を制御する。ポリカーボネート、ポリアリレートなどの樹脂は、樹脂骨格中に剛直な構造を取り込むことにより、硬度及び弾性仕事率が向上する。また、高分子電荷輸送物質を採用することにより、硬度及び弾性仕事率が向上する。
感光体3摩擦係数としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは、オイラーベルト法により測定した表面の摩擦係数が0.2以上である。ここで、オイラーベルト法とは、紙と感光体との間の摩擦係数を測定する方法であり、例えば、特開2010-134398号公報の段落0023に記載されている。具体的には、図13に示す測定装置を用いて感光体表面の摩擦係数を測定する。
図13のオイラーベルト法に基づく測定装置では、ベルト140を30mm×250mmの中厚上質紙(#6200ペーパー(T目))の紙片で構成する。ベルト140の両端に、フック140a、140bを取り付ける。フック140aには荷重(例えば、100gの重さの荷重)141を掛け、フック140bにはデジタルフォースゲージ142を設置する。そして、円筒状の感光体143を支持台144で固定する。
図13の測定装置において、90°方向にデジタルフォースゲージ42を引っ張り、ベルト40が移動開始した時点の値Fを読み取り、下記の式(1)に代入して感光体表面摩擦係数μを算出する。
μ=ln(F/W)/(π/2)・・・(1)
ただし、
F:デジタルフォースゲージが示した値
W:荷重(この実験では100gの重さ)
π:円周率
である。
本実施形態の画像形成装置は、上述のように、表面層93のマルテンス硬度が150N/mm以上180N/mm未満であり、且つ弾性仕事率が35%以上45%未満である感光体3と、弾性部材624の先端稜線部62cを含む表面から100μmの深さまでの領域に平均分散径が0.1μm以上5.0μm以下のポリシロキサン構造を有するドメインを有するクリーニングブレード62とを有する。
このような構成により、本実施形態の画像形成装置では、感光体及びクリーニングブレードの異常摩耗とクリーニングブレード先端稜線部のめくれの発生を抑制することができる。また、本実施形態の画像形成装置では、長期に渡って、クリーニングブレードの先端稜線部の感光体に対する追随性を良好にして、良好なクリーニング性能を維持できる。
また、本実施形態の画像形成装置は、上述のように、クリーニングブレード62が、先端稜線部62cから表面の内側に20μm離れた位置で表面層623の側から荷重1000μNの条件で測定した弾性部材624のマルテンス硬度が0.3N/mm以上8.0N/mm以下である。
このような構成により、本実施形態の画像形成装置では、クリーニングブレード62の先端稜線部62cが変形しにくく、該先端稜線部62cのめくれをより抑制しながら、ブレード先端部の欠けをより抑制することができる。
また、本実施形態の画像形成装置では、上述のように、感光体3の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置10(潤滑剤塗布部)を有することで、感光体3の表面が摩耗しても低い摩擦係数を維持することができる。
さらに、本実施形態の画像形成装置では、上述のように、オイラーベルト法により測定した感光体3の表面の摩擦係数を0.2以上にすることで、クリーニングブレード62の先端稜線部62cのめくれを抑制しつつ、ブレード線圧が得られやすくなる。そのため、本実施形態の画像形成装置では、クリーニング不良が発生しにくくなる。
本実施形態のクリーニングブレードは、上述のように、弾性部材624の先端稜線部62cを含む表面から100μmの深さまでの領域に平均分散径が0.1μm以上5.0μm以下のポリシロキサン構造を有するドメインを有する。このような構成により、本実施形態のクリーニングブレードでは、前述の画像形成装置の一部を構成するクリーニングブレードで得られる効果がそのまま得られる。
具体的には、本実施形態のクリーニングブレードでは、感光体及びクリーニングブレードの異常摩耗とクリーニングブレード先端稜線部のめくれの発生を抑制することができる。また、本実施形態のクリーニングブレードでは、長期に渡って、クリーニングブレードの先端稜線部の感光体に対する追随性を良好にして、良好なクリーニング性能を維持できる。
また、本実施形態のクリーニングブレードは、上述のように、先端稜線部62cから表面の内側に20μm離れた位置で表面層623の側から荷重1000μNの条件で測定した弾性部材624のマルテンス硬度が0.3N/mm以上8.0N/mm以下である。このような構成により、本実施形態のクリーニングブレードでは、前述の画像形成装置の一部を構成するクリーニングブレードで得られる効果がそのまま得られる。
具体的には、本実施形態のクリーニングブレードでは、クリーニングブレード62の先端稜線部62cが変形しにくく、該先端稜線部62cのめくれをより抑制しながら、ブレード先端部の欠けをより抑制することができる。
本実施形態の感光体は、上述のように、表面層93のマルテンス硬度が150N/mm以上180N/mm未満であり、且つ弾性仕事率が35%以上45%未満である。このような構成により、本実施形態の感光体では、前述の画像形成装置の一部を構成する感光体で得られる効果がそのまま得られる。
具体的には、本実施形態の感光体では、感光体及びクリーニングブレードの異常摩耗とクリーニングブレード先端稜線部のめくれの発生を抑制することができる。また、本実施形態の感光体では、長期に渡って、クリーニングブレードの先端稜線部の感光体に対する追随性を良好にして、良好なクリーニング性能を維持できる。
また、本実施形態の感光体は、上述のように、オイラーベルト法により測定した感光体3の表面の摩擦係数を0.2以上にすることで、前述の画像形成装置の一部を構成する感光体で得られる効果がそのまま得られる。具体的には、本実施形態の感光体では、クリーニングブレード62の先端稜線部62cのめくれを抑制しつつ、ブレード線圧が得られやすくなる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、質量基準である。
<試験体(弾性部材)>
試験体として、基材層と表面層を有する弾性部材を作製した。弾性部材の基材層は、JIS-A硬度、23℃反発弾性率、マルテンス硬度(HM)が以下のウレタンゴムを遠心成形することにより作製した。
JIS-A硬度:75°
23℃反発弾性率:45%
マルテンス硬度(HM):0.9N/mm
JIS-A硬度、23℃反発弾性率、及びマルテンス硬度(HM)の各測定方法を、以下に示す。
<<基材層のJIS-A硬度>>
弾性部材の基材層の下面側のJIS-A硬度は、硬度計(高分子計器社製、マイクロゴム硬度計MD-1)を用い、JIS K6253に準じて、23℃で測定した。
<<基材層の反発弾性率>>
弾性部材の基材層の反発弾性率は、23℃で、反発弾性試験機(東洋精機製作所社製、No.221レジリエンステスタ)を用い、JIS K6255に準じて測定した。試料は、厚み4mm以上となるように厚み2mmのシートを2枚重ね合わせたものを用いた。
<<基材層のマルテンス硬度>>
弾性部材の基材層のマルテンス硬度は、前述の硬度計(フィシャー・インストルメンツ社製、微小硬度計HM-2000)を用いて測定した。
<表面層形成>
表面層を形成するための硬化性組成物に使用した材料を以下に示す。
[イソシアネート]
・MDI(4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート):東ソー製、ミリオネート(登録商標)MT
・水添MDI(ジシクロヘキシルメタン4,4´-ジイソシアナート):東京化成工業製
・TDI(2,4-トリレンジイソシアネート):東ソー製、コロネート(登録商標)T-100
・TODI(o-トリレンジイソシアネート):日本曹達製
[ポリオール]
・PTMG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール):三菱ケミカル製、PTMG1000
・PCL(ポリカプロラクトンジオール):ダイセル製、プラクセル(登録商標)220
[硬化剤]
・DETDA(ジエチルトルエンジアミン):三井化学ファイン社製、エタキュアー(登録商標)100
・DMTDA(ジメチルチオトルエンジアミン):三井化学ファイン、エタキュアー(登録商標)300
・BD(1,4-ブタンジオール):三菱ケミカル製
・TMP(トリメチロールプロパン):三菱ガス化学製
[シロキサン系化合物]
・片末端カルビノール変性シリコーンオイル:信越シリコーン製、X-22-176DX
・両末端カルビノール変性シリコーンオイル:信越シリコーン製、KF6000
・ジメチルシリコーンオイル:信越シリコーン製、KF96-3000cs
[NCO末端変性シリコーンプレポリマーの合成(プレポリマーA)]
下記表1に示すように、所望のNCO%となるように、イソシアネートと変性シリコーンオイルを混合し、60℃、90分間反応させ、NCO末端シリコーンプレポリマーA1及びA2を調製した。
Figure 2022176575000003
表1中、「176-DX」は、X-22-176DXを示す。
[NCO末端ウレタンプレポリマーの合成(プレポリマーB)]
下記表2に示すように、所望のNCO%となるように、イソシアネートとポリオールを混合し、スズ触媒(ジブチルチンジラウリレート)0.01gとともに、80℃、90分間反応させ、NCO末端ウレタンプレポリマーB1~B3を調製した。
Figure 2022176575000004
表2中、「PCL220」は、プラクセル220を表す。
[硬化剤の調製]
下記表3に示すように、硬化剤1~3を調製した。
Figure 2022176575000005
<クリーニングブレード1の作製>
プレポリマーA1、プレポリマーB、及びシリコーンオイルを表4に示す配合で混合し、ホモジナイザー(15000rpm)で撹拌し、第1組成物を得た。このときの撹拌条件を表4に示す。
80℃に加熱した、シリコーンオイルが乳化している第1組成物に、硬化剤1を添加したものを、基材層が形成されて125℃(硬化温度)に加温した遠心ドラム内で30分間反応させ、表面層を有するゴムシートを得た。第1組成物と硬化剤の混合はR値(NCO基/OH基モル比)が0.925になるように調整した。
得られたゴムシートの一部を、カラープリンター(リコー社製、RICOH Pro C9110)に搭載できるように短冊形状に切り出し、板金ホルダー(支持部材)に接着剤で固定した。このようにして、当接部に表面層が形成された弾性部材を有するクリーニングブレード1を作製した。このとき、ゴムシートは表面層を下向きにし、基材層側からカミソリ刃が当たるように切断した。
<クリーニングブレード2~9の作成>
クリーニングブレード1の作製において、第1組成物及び硬化剤、ホモジナイザーの時間、並びに硬化温度を、表4に示す第1組成物及び硬化剤、ホモジナイザーの時間、並びに硬化温度に変更した以外は、クリーニングブレード1と同様にして、クリーニングブレードを作製した。
Figure 2022176575000006
表4中、KF96は、KF96-3000csを示す。
作製したクリーニングブレード1~9について、ドメインの平均分散径とマルテンス硬度を、以下のように測定した。結果を表5に示す。
Figure 2022176575000007
<ポリシロキサン構造を有するドメインの平均分散径>
作製した弾性部材を長手方向に対して直交する面で輪切りにし、この断面を上向きにして、先端稜線部を含む100μmの領域をレーザ顕微鏡(オリンパス社製、OLS4100)で観察した。弾性部材を輪切りにする方法としては、弾性部材の長手方向の厚みが3mmとなるように、弾性部材の長手方向に対して垂直に剃刀を用いて切断した。その際、垂直スライサーを用いると、断面をよりきれいに切ることができる。
観察した画像について、ImagePro ver5.1を用いてドメインの平均分散径を計測した。断面において観察されるドメインの外周の2点を結ぶ線分であり、かつドメインの重心を通る線分の長さを2度刻みに測定した。測定した線分の長さの平均値をそのドメインの分散径とした。100個から200個のドメインの分散径を計測し、個数平均値を算出し、それを平均分散径とした。
<クリーニングブレードのマルテンス硬度>
クリーニングブレードの下面におけるクリーニングブレードのマルテンス硬度(HM)は、硬度計(フィシャー・インストルメンツ社製、微小硬度計HM-2000)を用い、ビッカース圧子を1.0mNの力で10秒間押し込み、5秒間保持し、1.0mNの力で10秒間抜いて、測定した。
測定位置は、ブレード下面の先端稜線部から20μmの位置とし、ビッカース圧子が表面層に接するようにして測定した。なお、測定箇所は両端の2cmの部分を除いた位置とした。
<画像形成装置の組み立て>
作製した上記ブレード1~9を、カラープリンター(リコー社製、RICOH Pro C9110)に取り付け、画像形成装置を組み立てた。なお、クリーニングブレードは、線圧:20g/cm、クリーニング角:79°となるように画像形成装置に取り付けた。
<感光体の作製>
以下の条件で、感光体1~8を作製した。
<感光体1>
[支持体]
アルミニウム製支持体(外径100mmΦ)素管を使用した。
[下引き層]
支持体上に乾燥後の膜厚が3.5μmになるように、下引き層塗工液を浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
(下引き層塗工液)
・アルキッド樹脂:大日本インキ化学工業社製、ベッコゾール(登録商標)1307-60-EL
・メラミン樹脂:大日本インキ化学工業社製、スーパーベッカミンG-821-60
・酸化チタン:石原産業社製、CR-EL
・メチルエチルケトン(質量比):アルキッド樹脂/メラミン樹脂/酸化チタン/メチルエチルケトン=3/2/20/100
[電荷発生層]
下引き層上にチタニル二ロシアニンを含む電荷発生層塗工液に浸漬塗工し、加熱乾燥させ、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷発生層塗工液)
・チタニル二ロシアニン
・ポリビニルブチラール(XYHL:UCC)
・2-ブタノン(質量比):チタニル二ロシアニン/ポリビニルブチラール/2-ブタノン=8/5/400
なお、図14に、使用したチタニルフタロシアニンの粉末X線回折スペクトルの例を示す。
[電荷輸送層]
この電荷発生層上に下記電荷輸送層用塗工液を用いて、浸積塗工し、加熱乾燥させ、膜厚25μmの電荷輸送層とした。
(電荷輸送層塗工液)
・電荷輸送層用塗工液ビスフェノールZ型ポリカーボネート
・下記[化2]の電荷輸送物質
Figure 2022176575000008
・テトラヒドロフラン(質量比):ポリカーボネート/電荷輸送物質/テトラヒドロフラン=1/1/10
[表面層]
この電荷輸送層上に、下記表面層塗布液1を用いて、スプレー塗工し、5分間指触乾燥を実施した。その後、130度で20分乾燥を加え、5μmの表面層を設けた。これにより感光体1を得た。
(表面層塗布液1)
・下記[化3]の電荷輸送物質:8部
Figure 2022176575000009
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2040):2部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2050):8部
・添加剤(BASFジャパン社製、Irganox1076):1.5部
・シリカ粒子(信越化学工業社製、KMPX100):2部
・テトラヒドロフラン:400部
<感光体2>
下記表面層塗布液2を用いる以外は感光体1と同様にして、感光体2を得た。
(表面層塗布液2)
・上記[化3]の電荷輸送物質:7.5部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2040):2部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2050):8部
・添加剤(BASFジャパン社製、Irganox1076):1部
・フッ素粒子(三井デュポンフロロケミカル社製、MPE-056):2部
・テトラヒドロフラン:400部
<感光体3>
下記表面層塗布液3を用いる以外は感光体1と同様にして、感光体3を得た。
(表面層塗布液3)
・上記[化3]の電荷輸送物質:8部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2050):5部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2080):5部
・添加剤(BASFジャパン社製、Irganox1076):1部
・アルミナ粒子(AA03:住友化学社製):2部
・テトラヒドロフラン:500部
<感光体4>
下記表面層塗布液4を用いる以外は感光体1と同様にして、感光体4を得た。
(表面層塗布液4)
・上記[化3]の電荷輸送物質:7.5部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2050):5部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2080):5部
・添加剤(BASFジャパン社製、Irganox1076):1.5部
・アルミナ粒子(AA03:住友化学社製):2部
・テトラヒドロフラン:500部
<感光体5>
下記表面層塗布液5を用いる以外は感光体1と同様にして、感光体5を得た。
(表面層塗布液5)
・上記[化3]の電荷輸送物質:7部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2050):5部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2080):5部
・添加剤(BASFジャパン社製、Irganox1076):1.5部
・アルミナ粒子(AA03:住友化学社製):2部
・シリコーンオイル(信越化学工業社製、KF-50-100CS):0.005部
・テトラヒドロフラン:500部
<感光体6>
下記表面層塗布液6を用いる以外は感光体1と同様にして、感光体6を得た。
(表面層塗布液6)
・上記[化3]の電荷輸送物質:6.5部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2040):2部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2050):8部
・添加剤(BASFジャパン社製、Irganox1076):1.5部
・フッ素粒子(三井デュポンフロロケミカル社製、MPE-056):2部
・シリコーンオイル(信越化学工業社製、KF-50-100CS):0.005部
・テトラヒドロフラン:400部
<感光体7>
下記表面層塗布液7を用いる以外は感光体1と同様にして、感光体7を得た。
(表面層塗布液7)
・上記[化3]の電荷輸送物質:7部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2040):10部
・添加剤(BASFジャパン社製、Irganox1076):1.5部
・アルミナ粒子(AA03:住友化学社製):2部
・シリコーンオイル(信越化学工業社製、KF-50-100CS):0.005部
・テトラヒドロフラン:400部
<感光体8>
下記表面層塗布液8を用いる以外は感光体1と同様にして、感光体8を得た。
(表面層塗布液8)
・上記[化3]の電荷輸送物質:6部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2050):2部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネートのバインダー樹脂(帝人化成社製、パンライト(登録商標)TS-2080):8部
・添加剤(BASFジャパン社製、Irganox1076):1.5部
・アルミナ粒子(AA03:住友化学社製):2部
・シリコーンオイル(信越化学工業社製、KF-50-100CS):0.005部
・テトラヒドロフラン:550部
<感光体の摩擦係数>
感光体表面の摩擦係数は、前述のオイラーベルト法により測定した感光体表面の摩擦係数を用いた。
表6に、作製した感光体1~8について、表面の硬度(マルテンス硬さ)と、弾性仕事率(We/Wt値)および摩擦係数を測定した結果を示す。
Figure 2022176575000010
次に、検証実験を行った画像形成装置の構成について説明する。
作製した上記ブレード1~9と、作製した上記感光体1~8を、表7に示す組み合わせで、カラープリンター(リコー製、RICOH PRO C9110)に搭載し、実施例1~9、比較例1~4の画像形成装置を作製した。この画像形成装置で、40万枚の実機通紙試験を、以下の条件で実施した。
・使用用紙:NBSリコー製、My Paper A4
・使用ステーション:ブラック
・出力画像:画像面積率0%、50%、100%(同一チャート内画像面積率が異なる画像を出力する。)
・潤滑剤塗布手段:実施例7のみ、潤滑剤塗布手段を用いない機構に改造して検証実験を行った。
Figure 2022176575000011
表7に示す実施例1~9、比較例1~4について、以下の項目を評価した。
<クリーニング不良>
縦帯パターン(紙進行方向に対して)43mm幅、及び3本チャートの条件で、出力20枚(A4横)後の画像を目視で確認し、下記の評価基準でクリーニング不良を評価した。
(評価基準)
良:未発生
可:端部のみ発生
不可:全面に発生
<ブレードエッジの観察>
マイクロスコープ(キーエンス社製、デジタルマイクロスコープVHX-100)を用い、目視でブレードエッジを観察し、下記の評価基準で評価した。
(評価基準)
良:クリーニングブレードの全域でエッジ部の欠けやトナー固着が無い
可:エッジ部に微小な欠けまたはトナー固着がある
不可:エッジ部に明らかな欠け又はトナー固着がある
<ブレードエッジの摩耗幅>
図15に示すようにブレード先端面側からみた摩耗幅を、マイクロスコープ(キーエンス社製、デジタルマイクロスコープVHX-100)を用い、別途同様に塗工した弾性ブレードの断面により測定した。試料は、日進EM製SEM試料作製用トリミングカミソリを用いて断面を切断したものとした。ブレードエッジの摩耗幅を、下記の評価基準で評価した。
(評価基準)
良:摩耗幅が50μm未満
可:摩耗幅が50μm以上、100μm未満
不可:摩耗幅が100μm以上
<感光体の表面観察>
目視及びレーザーテック社製リアルカラーコンフォーカル顕微鏡OPTELICS H1200を用い、下記の評価基準で評価した。
(評価基準)
良:感光体表面の全域でキズやトナー固着が無い
可:感光体表面の一部に微小なキズやトナー固着がある
不可:感光体表面の全域に明らかなキズやトナー固着がある
・感光体摩耗評価
<感光体の膜厚減少量>
画像面積が0%、50%、100%で連続出力した部分のうち、任意の5点の膜厚を渦電流式膜厚計(フィッシャー・インストルメンツ社製、FISHERSCOPE(登録商標)MMS)で測定し、初期からの膜厚減少量を示した。
良:膜厚減少量が1μm未満
可:膜厚減少量が1μm以上、3μm未満
不可:膜厚減少量が3μm以上
結果を、表8に示す。
Figure 2022176575000012
表8より、実施例1~9では、長期に渡って、良好なクリーニング性能を維持し、且つ、感光体及びクリーニングブレードの異常摩耗の発生、クリーニングブレード先端稜線部のめくれを抑制できた。
一方、比較例1~4では、クリーニング評価において、良好な結果が得られず、異常摩耗の発生が見られた。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
1 作像ユニット(プロセスカートリッジ)
2 枠体
3 感光体
4 帯電ローラ
5 現像装置
6 クリーニング装置
7 一次転写ローラ
8 帯電ローラクリーナ
10 潤滑剤塗布装置
14 中間転写ベルト
60 転写ユニット
62 クリーニングブレード
62a ブレード先端面
62b ブレード下面
62c 先端稜線部
621 支持部材
622 基材層
623 表面層
624 弾性部材
80 定着ユニット
91 導電性支持体
92 感光層
921 電荷発生層
922 電荷輸送層
93 表面層
94 下引き層
101 ファーブラシ
103 固形潤滑剤
140 ベルト
140a、140b フック
141 荷重
142 デジタルフォースゲージ
143 感光体
144 支持台
162 ベルトクリーニングユニット
162a ベルトクリーニングブレード
500 プリンタ
621 支持部材
特開2010-191378号公報 特許第3602898号公報 特開2004-233818号公報 特開2011-138110号公報

Claims (8)

  1. 感光体と、
    前記感光体の表面に当接して前記感光体の表面に付着した付着物を除去する弾性部材を有するクリーニングブレードと、を有する画像形成装置であって、
    前記感光体は、
    導電性支持体と、
    前記導電性支持体の上に順次積層された感光層及び表面層と、を有し、
    前記表面層が、バインダー樹脂および粒子を有し、
    前記表面層のマルテンス硬度が150N/mm以上180N/mm未満であり、且つ弾性仕事率が35%以上45%未満であり、
    前記クリーニングブレードは、
    前記弾性部材が基材層と表面層とを有し、
    前記表面層が先端稜線部を有し、
    前記表面層が、前記弾性部材の前記先端稜線部を含む表面から100μmの深さまでの領域に、平均分散径が0.1μm以上5.0μm以下のポリシロキサン構造を有するドメインを有することを特徴とする、画像形成装置。
  2. 前記クリーニングブレードは、
    前記先端稜線部から前記表面の内側に20μm離れた位置で前記表面層の側から荷重1000μNの条件で測定した前記弾性部材のマルテンス硬度が、0.3N/mm以上8.0N/mm以下である、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記感光体の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部を有する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. オイラーベルト法により測定した前記感光体の表面の摩擦係数が、0.2以上である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置。
  5. 感光体の表面に当接して前記感光体の表面に付着した付着物を除去する弾性部材を有するクリーニングブレードであって、
    前記弾性部材が基材層と表面層を有し、
    前記表面層が先端稜線部を有し、
    前記表面層が、前記弾性部材の前記先端稜線部を含む表面から100μmの深さまでの領域に、平均分散径が0.1μm以上5.0μm以下のポリシロキサン構造を有するドメインを有することを特徴とする、クリーニングブレード。
  6. 前記先端稜線部から前記表面の内側に20μm離れた位置で前記表面層の側から荷重1000μNの条件で測定した前記弾性部材のマルテンス硬度が、0.3N/mm以上8.0N/mm以下である、請求項5に記載のクリーニングブレード。
  7. 導電性支持体と、前記導電性支持体の上に順次積層された感光層及び表面層と、を有する感光体であって、
    前記表面層が、バインダー樹脂および粒子を有し、
    前記表面層のマルテンス硬度が150N/mm以上180N/mm未満であり、且つ弾性仕事率が35%以上45%未満であることを特徴とする、感光体。
  8. オイラーベルト法により測定した表面の摩擦係数が0.2以上である、請求項7に記載の感光体。
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