JP2022175830A - 翼構造体および翼構造体の製造方法 - Google Patents

翼構造体および翼構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐エロージョン性能を向上可能な翼構造体および翼構造体の製造方法を提供する。【解決手段】翼構造体は、FRPにより形成された翼本体と、前記翼本体の前縁の少なくとも一部を覆うように設けられるエロ―ジョン抑制層と、を備え、前記エロ―ジョン抑制層は、所定の表面粗さを有することで、前記エロ―ジョン抑制層上に形成される液膜を維持するように構成された溶射層を含む。【選択図】 図2

Description

本開示は、翼構造体および翼構造体の製造方法に関する。
風車翼などの高速流体中を移動する翼構造体は、空気中の異物(例えば、雨滴、塵埃など)が衝突して浸食され、前縁側に所謂エロージョンが発生することが知られている。このエロージョンから翼構造体を保護するために、翼構造体の前縁側に耐エロージョン用の保護膜を形成するなどの対応が取られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1には、風力タービンのローターブレードの前縁の少なくとも一部を覆う樹脂製の複数のシールドが、予め前縁に対応する形状に成形されており、これらの複数のシールドが、ローターブレードの長さ方向に互いに並んで配置され、ローターブレードに取り付けられることが開示されております。
国際公開第2018/219524号
翼構造体の前縁側に形成された耐エロージョン用の保護膜の表面に液滴が衝突し、液滴の衝突による衝撃圧により、上記保護膜にエロ―ジョンが発生するため、上記保護膜の耐エロージョン性能の向上が望まれている。なお、一般的に、翼構造体の空力性能の低下を避けるために、上記保護膜の表面は、凹凸のない平滑な状態に形成されている。
上述した事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態の目的は、耐エロージョン性能を向上可能な翼構造体および翼構造体の製造方法を提供することにある。
本開示の一実施形態にかかる翼構造体は、
FRPにより形成された翼本体と、
前記翼本体の前縁の少なくとも一部を覆うように設けられるエロ―ジョン抑制層と、を備え、
前記エロ―ジョン抑制層は、所定の表面粗さを有することで、前記エロ―ジョン抑制層上に形成される液膜を維持するように構成された溶射層を含む。
本開示の一実施形態にかかる翼構造体の製造方法は、
FRPにより形成された翼本体を準備するステップと、
前記翼本体の前縁の少なくとも一部を覆うように溶射層を溶射により設ける溶射層形成ステップと、
前記溶射層形成ステップの後に、前記溶射層の表面が二乗平均平方根高さRq=5~40μmの条件を満たすように、前記溶射層の表面処理を行う表面処理ステップと、備える。
本開示の少なくとも一実施形態によれば、耐エロージョン性能を向上可能な翼構造体および翼構造体の製造方法が提供される。
本開示の一実施形態にかかる翼構造体の平面図である。 図1に示される翼構造体の前縁近傍の概略断面図である。 エロ―ジョン過程を説明するための説明図である。 図3に示される潜伏期における材料の表面を説明するための説明図である。 図3に示される定常エロ―ジョン速度期における材料の表面を説明するための説明図である。 図3に示される最終エロ―ジョン期における材料の表面を説明するための説明図である。 濡れ性を説明するための説明図である。 面積比rと二乗平均平方根高さRqとの関係を説明するための説明図である。 本開示の一実施形態にかかる翼構造体の製造方法の一例を示すフロー図である。 本開示の一実施形態にかかる翼構造体を備える風力発電装置の概略構成図である。 本開示の一実施形態にかかる翼構造体の平面図である。 図11に示される翼構造体の前縁近傍の概略断面図である。
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
(翼構造体)
図1は、本開示の一実施形態にかかる翼構造体の平面図である。図2は、図1に示される翼構造体の前縁近傍の概略断面図である。図2では、翼本体の長さ方向(翼長方向)に直交する断面が概略的に示されている。
幾つかの実施形態にかかる翼構造体1は、図1に示されるように、翼本体2と、翼本体2の前縁21の少なくとも一部を覆うように設けられるエロ―ジョン抑制層3と、を備える。
(翼本体)
図1に示されるように、翼本体2は、翼根22から翼先端23に向かう翼長方向に沿って延在する。翼本体2は、前縁21と、後縁24と、前縁21と後縁24との間に延在する一面である圧力面25と、前縁21と後縁24との間に延在する他面である負圧面26と、を有する。前縁21および後縁24の夫々は、翼根22から翼先端23までに亘り延在する。
翼本体2は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などの繊維強化プラスチック材(FRP)により形成されている。図2に示されるように、翼本体2は、翼本体2の表面(前縁21の外表面)27の一部に、エロ―ジョン抑制層3により被覆される被溶射面27Aを有する。被溶射面27Aは、表面27のうちの、前縁21の少なくとも一部を含む面からなる。
(エロ―ジョン抑制層)
図2に示されるように、エロ―ジョン抑制層3は、溶射により翼本体2の(被溶射面27A)上に形成された溶射層3Aを含む。溶射層3Aは、基材である翼本体2の表面27に加熱された溶射材を吹き付けることで、翼本体2の表面27上に形成された皮膜からなる。該被膜は、溶射材が凝固し密着することにより形成される。エロ―ジョン抑制層3は、雨滴や塵などの液滴エロ―ジョンから翼本体2を保護するための保護層(最外層)として機能する。
(エロ―ジョン過程)
図3は、エロ―ジョン過程を説明するための説明図である。図3では、延性金属についての、液滴エロ―ジョンによる損傷量と時間との関係を模式的に示している。図3の縦軸は、液滴エロ―ジョンによる損傷量であり、該損傷量は、材料である延性金属の質量減少により示される。図3の横軸は、上記材料が液滴に曝された期間を示すばく露時間である。なお、液滴エロ―ジョンによる損傷度合いを示す上記材料の体積減少や損傷深さなどを図3の縦軸にしてもよい。また、単位面積当たりに衝突する液体の量や、単位面積当たりの液滴の衝突回数を図3の横軸にしてもよい。
図3に示されるように、エロージョンの過程は、大きく3つの領域(潜伏期T1、定常エロ―ジョン速度期T2、最終エロ―ジョン期T3)に分けられる。図4は、図3に示される潜伏期における材料の表面を説明するための説明図である。図5は、図3に示される定常エロ―ジョン速度期における材料の表面を説明するための説明図である。図6は、図3に示される最終エロ―ジョン期における材料の表面を説明するための説明図である。図4~図6では、液滴をDとし、液滴Dに曝される材料を4としている。
第1の領域である潜伏期T1では、図4に示されるように、液滴Dに曝される材料4の質量は大きく減少することはないが、材料4に弾性変形や塑性変形は生じている。塑性変形により平滑であった表面41には、小さな凹凸やくぼみが生じ、その結果として、表面41の不規則性が増し、応力集中の効果が働いて材料4の損傷は徐々に増大する。
第2の領域である定常エロ―ジョン速度期T2では、図3、図5に示されるように、潜伏期T1や最終エロ―ジョン期T3よりもエロージョン速度が速く、液滴エロ―ジョンにより材料4の表面41が急激に除去されてピット42が形成される。時間の経過に伴い、表面41には、多数のピット42が形成されるため、表面41が荒れてくる。
第3の領域である最終エロ―ジョン期T3では、定常エロ―ジョン速度期T2よりもエロージョン速度が減少する。エロージョン速度の減少の理由の一つとして、材料4の表面41が荒れてくるにつれ、深くなったピット42内に水Wが溜まり、ピット42内に溜まった水Wに液滴Dが衝突することで、液滴Dの衝撃を和らげる効果が作用することが考えられる。
本発明者らは、翼構造体1に液滴Dが打ち付けた場合に、エロ―ジョン抑制層3上に液滴Dにより形成された液膜W1を維持することで、液滴Dの衝突による衝撃圧を緩和できることを見出した。上述したエロ―ジョン抑制層3は、所定の表面粗さを有することで、エロ―ジョン抑制層3上に形成される液膜W1を維持するように構成された溶射層3Aからなる。
溶射層3Aの表面31は、所定の表面粗さを有する凹凸形状に設けられており、溶射層3Aに液滴Dが打ち付けた場合に、上記凹凸形状により液膜W1を維持できるようになっている。図示される実施形態では、溶射層3Aは、サーメットやCo(コバルト)基合金などのCo合金のような耐摩耗性に優れた材料で構成されているため、液滴Dにより上記凹凸形状が変形し難く、長期間に亘り液膜W1を維持可能な形状を保つことができる。
幾つかの実施形態にかかる翼構造体1は、図2に示されるように、上述した翼本体2と、上述したエロ―ジョン抑制層3とを備える。エロ―ジョン抑制層3は、所定の表面粗さを有することで、エロ―ジョン抑制層3上に形成される液膜W1を維持するように構成された溶射層3Aを含む。
上記の構成によれば、所定の表面粗さを有する溶射層3Aは、翼構造体1に液滴Dが打ち付けられたときに、該液滴Dによりエロ―ジョン抑制層3上に形成される液膜W1を維持できる。この場合には、エロ―ジョン抑制層3上に形成された液膜W1に液滴Dが衝突するので、液膜W1が形成されていないエロ―ジョン抑制層3に直に液滴Dが衝突する場合に比べて、液滴Dの衝突による衝撃圧を緩和できる。液滴Dの衝突による衝撃圧を緩和することで、エロ―ジョン抑制層3のエロ―ジョンの進展を抑制でき、ひいてはエロ―ジョン抑制層3に覆われた翼本体2の前縁21のエロ―ジョンの進展を抑制できる。つまり、翼構造体1は、エロ―ジョン抑制層3上に形成される液膜W1を維持し、該液膜W1により液滴Dの衝撃を減ずることで、耐エロージョン性能を向上可能である。
なお、FRPにより形成された翼本体2に溶射する場合には、金属材料により形成された翼本体2に溶射する場合に比べて、溶射層3Aの表面粗さが大きくなる傾向がある。このため、FRPにより形成された翼本体2は、金属材料により形成された翼本体2に比べて、溶射層3Aの表面31を、所定の表面粗さを有する凹凸形状に形成することが容易である。
幾つかの実施形態では、上述した溶射層3Aは、サーメット又はCo基合金などのCo合金により構成されている。なお、上記サーメットは、アルミナ、タングステンカーバイド、窒化珪素、炭化珪素、ジルコニア又はクロムカーバイトの少なくとも一つを含む。溶射層3Aは、耐食性、耐摩耗性及び高温強度に優れるCo基合金などにより構成されることが好ましい。或る実施形態では、溶射層3Aを構成するCo基合金は、Cr(クロム)、C(炭素)を少なくとも含み、残部がCoからなる。この溶射層3Aを構成するCo基合金は、Mo(モリブデン)、Si(ケイ素)、W(タングステン)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)の少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。上記の構成によれば、溶射層3Aは、サーメットやCo基合金などのCo合金のような耐熱性や耐摩耗性に優れた材料で構成されているため、高い耐エロージョン性能を発揮できる。なお、他の幾つかの実施形態では、上述した溶射層3Aは、サーメットやCo合金以外の材料により構成されていてもよい。
幾つかの実施形態では、上述した溶射層3Aの表面31の表面粗さは、二乗平均平方根高さRq=5~40μmの条件を満たす。上記の構成によれば、溶射層3Aの表面31を二乗平均平方根高さRq=5~40μmの条件を満たす粗さにすることで、溶射層3Aの表面31上に形成される液膜W1を効果的に維持できる。このため、該液膜W1により液滴Dの衝突による衝撃圧を緩和できる。
なお、溶射層3Aの表面31の表面粗さが小さすぎる(例えば、Rq<5μm)と、液膜W1の維持が困難になる虞がある。溶射層3Aの表面31の表面粗さが大きすぎる(例えば、Rq>40μm)と、溶射層3Aが受ける摩擦抵抗が増大するため、翼構造体1の空力性能の低下を招く虞がある。上述した溶射層3Aの表面31の表面粗さは、二乗平均平方根高さRq=10~30μmの条件を満たすことが好ましい。
(溶射層表面の濡れ性)
溶射層3Aの表面31上に液膜W1を維持できるかは、表面31の濡れ性に関係する。図7は、濡れ性を説明するための説明図である。図7に示されるように、固体43の表面44上に液滴Dが形成されると、固体43と液滴Dとの間の表面張力により、液滴Dの外縁部(接触線)の接線と表面44とが接触角を持つ平衡状態になる。上記接触角が小さいほど、濡れ性が良く、液体の親和性(付着しやすさ)が高い。図7中θwは、粗い面に対する接触角を表し、図7中θは、上記粗い面と同じ材質の平坦面に対する接触角を表している。図7に示されるように、接触角θ<90°の条件を満たす親水面では、その表面粗さが増加するにつれ、接触角θwが小さくなる傾向がある。これに対して、接触角θ>90°の条件を満たす疎水面では、その表面粗さが増加するにつれ、接触角θwが大きくなる傾向がある。
溶射層3Aの表面31の濡れ性は、溶射層3Aの上記所定の表面粗さを有する粗面に対する接触角をθwと定義し、溶射層3Aと同じ材質の平坦面に対する接触角をθと定義したときに、以下のWenzelの式(1)で表すことができる。
cosθw=r・cosθ ・・・(1)
なお、上記式(1)におけるrは、平面に対する粗面の面積比を表しており、表面が荒い程、面積比rが大きくなる。面積比r=1.7以下が、上記式(1)の適用範囲になっている。
幾つかの実施形態では、上述した溶射層3Aの表面31の表面粗さは、上記式(1)において、面積比r=1.1~1.7を満たす。図8は、面積比rと二乗平均平方根高さRqとの関係を説明するための説明図である。図8では、面積比rを縦軸とし、二乗平均平方根高さRqを横軸としている。図8には、面積比rと二乗平均平方根高さRqとの関係を示す曲線Cが示されている。上記曲線Cは、数値シミュレーションにより、二乗平均平方根高さRqをパラメータとした表面粗さを構築し、該表面粗さの表面積を算出し、算出した表面積から面積比rを算出することで求められたものである。図8に示されるように、上記曲線Cは、Rq=10μm(r=1.1)を越えてから立ち上がり、単調増加している。また、図8では、r=1.7の条件を満たすときに、Rqが29μmになっている。このため、面積比r=1.1~1.7を満たすとは、二乗平均平方根高さRq=10~29μmを満たすと言い換えることができる。変曲点となるr=1.1からr=1.7の範囲で溶射層3Aの表面31の表面粗さを規定することで、適切な濡れ性を有し、表面31上に液膜W1を効果的に維持できる。
上記の構成によれば、溶射層3Aの表面31を上記式(1)において、r=1.1~1.7を満たす粗さにすることで、溶射層3Aの表面31上に形成される液膜W1を効果的に維持できる。このため、該液膜W1により液滴の衝突による衝撃圧を緩和できる。
図9は、本開示の一実施形態にかかる翼構造体の製造方法の一例を示すフロー図である。図9に示されるように、翼構造体1の製造方法100は、上述した翼本体2を準備する準備ステップS1と、翼本体2の前縁21の少なくとも一部を覆うように溶射層3Aを溶射により設ける溶射層形成ステップS2と、を備える。
(下地処理)
図9に示されるように、翼構造体1の製造方法100は、溶射層形成ステップS2の前に、翼本体2の被溶射面27Aが所定の表面粗さを有するように、被溶射面27Aの表面処理を行う下地処理ステップS3をさらに備えていてもよい。下地処理ステップS3では、ブラストやショットピーニングなどの機械的処理、レーザー加工などの熱的処理、エッチングなどのケミカル処理、又は研削などの機械加工のうちの、少なくとも1つを行うことで、被溶射面27Aに凹凸が形成される。或る実施形態では、下地処理ステップS3において、被溶射面27Aの表面粗さが、算術平均粗さRa=3.2~6.3μmの条件を満たすように、被溶射面27Aの表面処理が行われる。
幾つかの実施形態では、上述した翼構造体1の翼本体2は、エロ―ジョン抑制層3(溶射層3A)により被覆される被溶射面27Aを有する。この被溶射面27Aの表面粗さは、算術平均粗さRa=3.2~6.3μmの条件を満たす。上記の構成によれば、被溶射面27Aを算術平均粗さRa=3.2~6.3μmの条件を満たす粗さにすることで、被溶射面27Aに溶射により設けられた溶射層3Aは、被溶射面27Aの表面粗さが反映された好適な粗さ、すなわち、溶射層3A上に液膜W1を維持可能な粗さを有する表面31が形成される。
(溶射層の表面処理)
図9に示されるように、翼構造体1の製造方法100は、溶射層形成ステップS2の後に、溶射層3Aの表面31が所定の表面粗さを有するように、溶射層3Aの表面処理を行う表面処理ステップS4をさらに備えていてもよい。表面処理ステップS4では、ブラストやショットピーニングなどの機械的処理、レーザー加工などの熱的処理、エッチングなどのケミカル処理、又は研削などの機械加工のうちの、少なくとも1つを行うことで、溶射層3Aの表面31に凹凸が形成される。或る実施形態では、表面処理ステップS4において、溶射層3Aの表面31の表面粗さが、Rq=5~40μmの条件を満たすように、表面31の表面処理が行われる。なお、表面処理ステップS4では、溶射層3Aの表面31の表面粗さが、Rq=10~30μm、又はRq=10~29μmの何れかの条件を満たすように、表面31の表面処理が行われてもよい。
上記の方法によれば、溶射層3Aの表面処理を行い、溶射層3Aの表面31を液膜W1を維持可能な粗さ(例えば、Rq=5~40μm)にすることで、翼構造体1に打ち付けられた液滴により、溶射層3Aの表面31上に形成される液膜W1を効果的に維持できる。このため、液膜W1により液滴Dの衝突による衝撃圧を緩和できる。また、上記の方法によれば、溶射層3Aの形成後であっても、溶射層3Aの表面31を所定の粗さ(例えば、Rq=5~40μm)にできるため、溶射層3Aの形成後であっても耐エロージョン性能を向上可能である。
(風力発電装置)
図10は、本開示の一実施形態にかかる翼構造体を備える風力発電装置の概略構成図である。幾つかの実施形態では、図10に示されるように、上述した翼構造体1は、風車翼1Aからなる。風力発電装置10は、少なくとも1つの風車翼1Aと、風車翼1Aが取り付けられるハブ11と、ハブ11の回転によって駆動される発電機(不図示)と、風車翼1A及びハブ11を含むロータ12(風車ロータ)を回転自在に支持するナセル13と、ナセル13を支持するタワー14と、グランドG上に設けられタワー14を支持するベース15と、を備える。
風力発電装置10は、放射状に配列されるようにハブ11に対して取り付けられる複数の風車翼1Aを備えていてもよい。換言すると、上述した少なくとも1つの風車翼1Aは、放射状に配列されるようにハブ11に対して取り付けられる複数の風車翼1Aを含んでいてもよい。複数の風車翼1Aの夫々は、翼根22がハブ11に固定され、翼先端23がハブ11を中心として翼根22よりも径方向における外側に位置している。タワー14およびベース15は、陸上又は洋上に立設される。なお、図10では、タワー14およびベース15が陸上に設置された場合を図示している。
風力発電装置10では、風を受けて風車翼1Aを含むロータ12が回転し、このロータ12の回転力が不図示の発電機に伝達されて、この発電機において電力が生成されるようになっている。
なお、本開示のかかる翼構造体1は、風車翼1A以外に適用可能である。例えば、或る実施形態では、翼構造体1は、航空機の翼からなる。翼構造体1が風車翼1Aや航空機の翼として用いられる場合には、翼構造体1の落雷対策が必要となる。
(翼構造体の落雷保護構造)
図11は、本開示の一実施形態にかかる翼構造体の平面図である。図12は、図11に示される翼構造体の前縁近傍の概略断面図である。図12では、翼本体の長さ方向(翼長方向)に直交する断面が概略的に示されている。
幾つかの実施形態では、図12に示されるように、上述した翼構造体1は、上述した翼本体2と、上述したエロ―ジョン抑制層3と、導電部5と、を備える。エロ―ジョン抑制層3は、上述した溶射層3Aと、翼本体2と溶射層3Aとの間に形成された中間層3Bと、を含む。中間層3Bは、溶射層3Aより電気抵抗率が小さい。導電部5は、図10に示されるように、中間層3BをグランドGに接続している。換言すると、中間層3Bは、導電部5を介してグランドGに電気的に接続されている。ここで、「グランド」とは、翼構造体1に発生した落雷電流などの電流が最終的に放電される場所を云う。
溶射層3Aに落雷した場合、溶射層3Aの直下に溶射層3Aよりも電気抵抗率が小さい中間層3Bが存在するため、溶射層3Aに帯電した落雷電流を速やかに中間層3Bおよび導電部5を介してグランドG側に流すことができる。これにより、落雷電流による溶射層3A、中間層3Bおよび翼本体2の損傷を抑制できる。なお、中間層3Bは、必ずしも溶射層3Aの全域に亘り設ける必要はないが、中間層3Bを溶射層3Aの全域に設けることで、溶射層3Aに帯電した落雷電流を中間層3Bを介して速やかにグランドG側へ流すことができる。
中間層3Bは、翼本体2の被溶射面27A上に設けられる。中間層3Bは、溶射層3Aの形成前に翼本体2の被溶射面27A上に形成される。中間層3Bも溶射層3Aと同様に、雨滴や塵などの液滴エロ―ジョンから翼本体2を保護するための保護層として機能する。中間層3Bは、様々な方法により形成可能である。例えば、溶射により中間層3Bを形成してもよいし、シート状に形成された中間層3Bを翼本体2の表面27に貼り付けてもよい。溶射層3Aは、中間層3B上に設けられる。中間層3Bの表面32に加熱された溶射材を吹き付けることで、中間層3Bの表面32上に形成された皮膜からなる。
上述した翼構造体1の製造方法100は、溶射層形成ステップS2よりも前に、翼本体2の前縁21の少なくとも一部を覆うように中間層3Bを設ける中間層形成ステップをさらに備えていてもよい。また、翼構造体1の製造方法100は、溶射層形成ステップS2よりも前に、中間層3Bが所定の表面粗さ(例えば、Ra=3.2~6.3μm)を有するように、中間層3Bの表面処理(下地処理)を行う表面処理ステップをさらに備えていてもよい。
幾つかの実施形態では、中間層3Bは、銅、銅合金、アルミ又はアルミ合金で構成されている。アルミ合金として、例えばジュラルミンを適用できる。中間層3Bをこのような電気抵抗率が小さい材料で構成することで、溶射層3Aに帯電した落雷電流をグランドG側へ容易に流すことができ、溶射層3Aに帯電した落雷電流の逃し効果を向上できる。また、中間層3Bを上記材料で構成することで、中間層3Bが溶射層3Aよりも硬度やヤング率が小さなものになるため、翼本体2への攻撃性が低く、翼本体2との密着性が高い。このような中間層3Bにより、溶射層3Aが翼本体2から剥離したり又は脱落するのを抑制できる。
幾つかの実施形態では、図11に示されるように、上述した溶射層3Aおよび上述した中間層3Bの夫々は、翼本体2の長さ方向(翼長方向)における翼本体2の翼先端23から翼本体2の長さの1/2までの領域の少なくとも一部に設けられている。エロージョンは周速に依存するため、例えば、風車翼1Aなどにおいて、翼本体2の翼先端23側は、翼本体2の翼根22側に比べて、エロージョンの影響を受け易い。上記の構成によれば、溶射層3Aおよび中間層3Bの夫々を、翼本体2の長さ方向における翼本体2の翼先端23から翼本体2の長さの1/2までの領域の少なくとも一部に設けることで、エロ―ジョンの影響を受けやすい領域の耐エロージョン性能を向上可能である。
なお、翼構造体1が中間層3Bを含まない構成の場合に、溶射層3Aを翼本体2の長さ方向(翼長方向)における翼本体2の翼先端23から翼本体2の長さの1/2までの領域の少なくとも一部に設けてもよい。
幾つかの実施形態では、上述した溶射層3Aおよび上述した中間層3Bの合計厚さが、200μm以上2000μm以下の条件を満たす。この場合には、溶射層3Aによる耐エロージョン性を確保しつつ、翼本体2の被溶射面27Aを覆う溶射層3Aおよび中間層3Bが厚くなり過ぎるのを抑制できる。なお、エロ―ジョン抑制層3の表面31と翼本体2の表面27との間で段差が生じないように厚さを高精度で調整することも可能であるため、エロ―ジョン抑制層3形成後においても翼構造体1の空力性能を高く維持できる。
溶射層3Aの厚さは、主として翼構造体1(風車翼1A)の先端周速によって決定され、中間層3Bの厚さは、主として電気抵抗率の必要性などで決定される。或る実施形態では、溶射層3Aの厚さは100~1000μmの範囲とし、中間層3Bの厚さは100~1000μmの範囲とする。これにより、溶射層3Aは、翼構造体1(風車翼1A)の先端周速周速に対抗し得る耐エロージョン性能と被膜強度を確保できる。中間層3Bは、電気抵抗率を低下させて必要な電気伝導性を確保する断面積を確保できる。
なお、翼構造体1が中間層3Bを含まない構成の場合に、溶射層3Aの厚さは100~1000μmの範囲としてもよい。
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
1)本開示の少なくとも一実施形態にかかる翼構造体(1)は、
FRPにより形成された翼本体(2)と、
前記翼本体(2)の前縁(21)の少なくとも一部を覆うように設けられるエロ―ジョン抑制層(3)と、を備え、
前記エロ―ジョン抑制層(3)は、所定の表面粗さを有することで、前記エロ―ジョン抑制層(3)上に形成される液膜を維持するように構成された溶射層(3A)を含む。
上記1)の構成によれば、所定の表面粗さを有する溶射層(3A)は、翼構造体(1)に液滴が打ち付けられたときに、該液滴によりエロ―ジョン抑制層(3)上に形成される液膜を維持できる。この場合には、エロ―ジョン抑制層(3)上に形成された液膜に液滴を衝突させることで、液膜が形成されていないエロ―ジョン抑制層(3)に直接液滴が衝突する場合に比べて、液滴の衝突による衝撃圧を緩和できる。液滴の衝突による衝撃圧を緩和することで、エロ―ジョン抑制層(3)のエロ―ジョンの進展を抑制でき、ひいてはエロ―ジョン抑制層(3)に覆われた翼本体(2)の前縁(21)のエロ―ジョンの進展を抑制できる。つまり、翼構造体(1)は、エロ―ジョン抑制層(3)上に形成される液膜を維持し、該液膜により液滴の衝撃を減ずることで、耐エロージョン性能を向上可能である。
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の翼構造体(1)であって、
前記溶射層(3A)の前記所定の表面粗さは、二乗平均平方根高さRq=5~40μmの条件を満たす。
上記2)の構成によれば、溶射層(3A)の表面(31)を二乗平均平方根高さRq=5~40μmの条件を満たす粗さにすることで、溶射層(3A)の表面(31)上に形成される液膜を効果的に維持できる。このため、該液膜により液滴の衝突による衝撃圧を緩和できる。
3)幾つかの実施形態では、上記1)又は2)に記載の翼構造体(1)であって、
前記溶射層(3A)の前記所定の表面粗さを有する粗面に対する接触角をθwと定義し、前記溶射層(3A)と同じ材質の平坦面に対する接触角をθと定義したときに、前記溶射層(3A)の前記所定の表面粗さは、下記式(1):
cosθw=r・cosθ
において、r=1.1~1.7を満たす。
上記3)の構成によれば、溶射層(3A)の表面(31)を上記式(1)において、r=1.1~1.7を満たす粗さにすることで、溶射層(3A)の表面(31)上に形成される液膜を効果的に維持できる。このため、該液膜により液滴の衝突による衝撃圧を緩和できる。
4)幾つかの実施形態では、上記1)から3)までの何れかに記載の翼構造体(1)であって、
前記翼本体(2)は、前記エロ―ジョン抑制層(3)により被覆される被溶射面(27A)を有し、
前記被溶射面(27A)の表面粗さは、算術平均粗さRa=3.2~6.3μmの条件を満たす。
上記4)の構成によれば、被溶射面(27A)を算術平均粗さRa=3.2~6.3μmの条件を満たす粗さにすることで、被溶射面(27A)に溶射により設けられた溶射層(3A)は、被溶射面(27A)の表面粗さが反映された好適な粗さ、すなわち、溶射層(3A)上に液膜を維持可能な粗さを有する表面(31)が形成される。
5)幾つかの実施形態では、上記1)から4)までの何れかに記載の翼構造体(1)であって、
前記溶射層(3A)は、
アルミナ、タングステンカーバイド、窒化珪素、炭化珪素、ジルコニア又はクロムカー
バイトの少なくとも一つを含むサーメット、
又は、
Co合金により構成された。
上記5)の構成によれば、溶射層(3A)は、サーメットやCo合金のような耐熱性や耐摩耗性に優れた材料で構成されているため、高い耐エロージョン性能を発揮できる。
6)幾つかの実施形態では、上記1)から5)までの何れかに記載の翼構造体(1)であって、
前記エロ―ジョン抑制層(3)は、
前記翼本体(2)と前記溶射層(3A)との間に形成され、前記溶射層(3A)より電気抵抗率が小さい中間層(3B)をさらに含み、
前記翼構造体(1)は、前記中間層(3B)をグランドに電気的に接続する導電部(5)をさらに備える。
上記6)の構成によれば、耐エロージョン膜である溶射層(3A)と翼本体(2)との間に電気抵抗率が小さい中間層(3B)を設けることで、溶射層(3A)に帯電した落雷電流を、中間層(3B)を介してグランド側へ速やかに流すことができ、これにより、落雷電流による溶射層(3A)、中間層(3B)および翼本体(2)の損傷を抑制できる。
7)幾つかの実施形態では、上記6)に記載の翼構造体(1)であって、
前記溶射層(3A)および前記中間層(3B)の夫々は、前記翼本体(2)の長さ方向における前記翼本体(2)の翼先端(23)から前記翼本体(2)の長さの1/2までの領域の少なくとも一部に設けられた。
エロージョンは周速に依存するため、翼本体(2)の翼先端(23)側は、翼本体(2)の翼根(22)側に比べて、エロージョンの影響を受け易い。上記7)の構成によれば、溶射層(3A)および中間層(3B)の夫々を、翼本体(2)の長さ方向における翼本体(2)の翼先端(23)から翼本体(2)の長さの1/2までの領域の少なくとも一部に設けることで、エロ―ジョンの影響を受けやすい領域の耐エロージョン性能を向上可能である。
8)幾つかの実施形態では、上記6)又は7)に記載の翼構造体(1)であって、
前記溶射層(3A)および前記中間層(3B)の合計厚さが、200μm以上2000μm以下の条件を満たす。
上記8)の構成によれば、溶射層(3A)および中間層(3B)の合計厚さが、200μm以上2000μm以下の条件を満たす。この場合には、溶射層(3A)による耐エロージョン性を確保しつつ、翼本体(2)の被溶射面(27A)を覆う溶射層(3A)および中間層(3B)が厚くなり過ぎるのを抑制できる。なお、エロ―ジョン抑制層(3)の表面(31)と翼本体(2)の表面(27)との間で段差が生じないように厚さを高精度で調整することも可能であるため、エロ―ジョン抑制層(3)形成後においても翼構造体(1)の空力性能を高く維持できる。
9)本開示の少なくとも一実施形態にかかる翼構造体(1)の製造方法は、
FRPにより形成された翼本体(2)を準備するステップと、
前記翼本体(2)の前縁(21)の少なくとも一部を覆うように溶射層(3A)を溶射により設ける溶射層形成ステップと、
前記溶射層形成ステップの後に、前記溶射層(3A)の表面(31)が二乗平均平方根高さRq=5~40μmの条件を満たすように、前記溶射層(3A)の表面処理を行う表面処理ステップと、備える。
上記9)の方法によれば、溶射層(3A)の表面処理を行い、溶射層(3A)の表面(31)を二乗平均平方根高さRq=5~40μmの条件を満たす粗さにすることで、翼構造体(1)に打ち付けられた液滴により、溶射層(3A)の表面(31)上に形成される液膜を効果的に維持できる。このため、該液膜により液滴の衝突による衝撃圧を緩和できる。また、上記9)の方法によれば、溶射層(3A)の形成後であっても、溶射層(3A)の表面(31)を所定の粗さ(二乗平均平方根高さRq=5~40μmの条件を満たす粗さ)にできるため、溶射層(3A)の形成後であっても耐エロージョン性能を向上可能である。
1 翼構造体
1A 風車翼
2 翼本体
3 エロ―ジョン抑制層
3A 溶射層
3B 中間層
4 材料
5 導電部
10 風力発電装置
11 ハブ
12 ロータ
13 ナセル
14 タワー
15 ベース
21 前縁
22 翼根
23 翼先端
24 後縁
25 圧力面
26 負圧面
27 (翼本体の)表面
27A 被溶射面
31 (溶射層の)表面
32 (中間層の)表面
41,44 表面
42 ピット
43 固体
100 翼構造体の製造方法
C 曲線
D 液滴
G グランド
Ra 算術平均粗さ
Rq 二乗平均平方根高さ
S1 準備ステップ
S2 溶射層形成ステップ
S3 下地処理ステップ
S4 表面処理ステップ
T1 潜伏期
T2 定常エロ―ジョン速度期
T3 最終エロ―ジョン期
W 水
W1 液膜
r 面積比
θ 平坦面に対する接触角
θw 粗面に対する接触角

Claims (9)

  1. FRPにより形成された翼本体と、
    前記翼本体の前縁の少なくとも一部を覆うように設けられるエロ―ジョン抑制層と、を備え、
    前記エロ―ジョン抑制層は、所定の表面粗さを有することで、前記エロ―ジョン抑制層上に形成される液膜を維持するように構成された溶射層を含む、
    翼構造体。
  2. 前記溶射層の前記所定の表面粗さは、二乗平均平方根高さRq=5~40μmの条件を満たす、
    請求項1に記載の翼構造体。
  3. 前記溶射層の前記所定の表面粗さを有する粗面に対する接触角をθwと定義し、前記溶射層と同じ材質の平坦面に対する接触角をθと定義したときに、前記溶射層の前記所定の表面粗さは、下記式(1):
    cosθw=r・cosθ
    において、r=1.1~1.7を満たす、
    請求項1又は2に記載の翼構造体。
  4. 前記翼本体は、前記エロ―ジョン抑制層により被覆される被溶射面を有し、
    前記被溶射面の表面粗さは、算術平均粗さRa=3.2~6.3μmの条件を満たす、
    請求項1乃至3の何れか1項に記載の翼構造体。
  5. 前記溶射層は、
    アルミナ、タングステンカーバイド、窒化珪素、炭化珪素、ジルコニア又はクロムカー
    バイトの少なくとも一つを含むサーメット、
    又は、
    Co合金により構成された、
    請求項1乃至4の何れか1項に記載の翼構造体。
  6. 前記エロ―ジョン抑制層は、
    前記翼本体と前記溶射層との間に形成され、前記溶射層より電気抵抗率が小さい中間層をさらに含み、
    前記翼構造体は、前記中間層をグランドに電気的に接続する導電部をさらに備える、
    請求項1乃至5の何れか1項に記載の翼構造体。
  7. 前記溶射層および前記中間層の夫々は、前記翼本体の長さ方向における前記翼本体の翼先端から前記翼本体の長さの1/2までの領域の少なくとも一部に設けられた、
    請求項6に記載の翼構造体。
  8. 前記溶射層および前記中間層の合計厚さが、200μm以上2000μm以下の条件を満たす、
    請求項6又は7に記載の翼構造体。
  9. FRPにより形成された翼本体を準備するステップと、
    前記翼本体の前縁の少なくとも一部を覆うように溶射層を溶射により設ける溶射層形成ステップと、
    前記溶射層形成ステップの後に、前記溶射層の表面が二乗平均平方根高さRq=5~40μmの条件を満たすように、前記溶射層の表面処理を行う表面処理ステップと、備える、
    翼構造体の製造方法。
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