JP2022174765A - トナー - Google Patents

トナー Download PDF

Info

Publication number
JP2022174765A
JP2022174765A JP2021080709A JP2021080709A JP2022174765A JP 2022174765 A JP2022174765 A JP 2022174765A JP 2021080709 A JP2021080709 A JP 2021080709A JP 2021080709 A JP2021080709 A JP 2021080709A JP 2022174765 A JP2022174765 A JP 2022174765A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
water
polyvalent metal
area
metal salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021080709A
Other languages
English (en)
Inventor
茉貴 井村
Maki Imura
智代 宮階
Tomoyo Miyagai
健太郎 釜江
Kentaro Kamae
悠 西村
Yu Nishimura
伸 北村
Shin Kitamura
隆穂 柴田
Takao Shibata
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2021080709A priority Critical patent/JP2022174765A/ja
Priority to US17/661,168 priority patent/US20220373919A1/en
Publication of JP2022174765A publication Critical patent/JP2022174765A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/097Plasticisers; Charge controlling agents
    • G03G9/09783Organo-metallic compounds
    • G03G9/09791Metallic soaps of higher carboxylic acids
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/087Binders for toner particles
    • G03G9/08742Binders for toner particles comprising macromolecular compounds obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • G03G9/08755Polyesters
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/0802Preparation methods
    • G03G9/0804Preparation methods whereby the components are brought together in a liquid dispersing medium
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/0821Developers with toner particles characterised by physical parameters
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/0825Developers with toner particles characterised by their structure; characterised by non-homogenuous distribution of components
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/09Colouring agents for toner particles
    • G03G9/0902Inorganic compounds

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】優れたグロス及び帯電維持性を示した上で、薄紙コート紙においても優れた定着分離性を示すトナー。【解決手段】結着樹脂及び水溶性多価金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該結着樹脂の主成分が酸価1.0~30.0mgKOH/gのポリエステル樹脂であり、該水溶性多価金属塩が、特定の金属の塩化物、硝酸塩又は硫酸塩であり、該水溶性多価金属塩は25℃における水への溶解度が30~200g/100mLであり、該トナーの断面観察において、該水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積のうち、特定の面積を有するドメインの面積の割合が80~100面積%であり、該ドメインの全面積の割合をAt(面積%)とし、該トナーの蛍光X線分析で検出される原子に対する該多価金属原子の割合をFm(atomic%)としたとき下記式を満たすトナー。0.02≦At/Fm≦0.10【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真方式、静電記録方式、及び、静電印刷方式などに用いられるトナーに関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及するに従い、更なる高速化、高画質化はもちろんのこと、省エネルギー性能、スリープ状態からの復旧時間短縮、多種多様なメディアへの対応など、付加的な性能の向上も要求されている。
具体的には、印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、及び高生産性が要求されるようになってきている。例えば、厚紙から薄紙へ紙種が変更されても、紙種に合わせたプロセススピードの変更や定着器の加熱設定温度の変更を行わずに印刷が継続可能な、メディア等速性が求められている。優れたメディア等速性を得るという観点から、トナーには低温から高温まで幅広い温度範囲で適正に定着を完了することが求められている。そこで、特許文献1では、定着分離性の向上のためにトナーバインダーに架橋粒子を用いる方法が提案されている。
一方、多様なメディアに対して高品位な画像を提供することも求められている。デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯端末等によって取り込まれた画像データやポスター等のグラフィック画像を出力する際には、コート紙・アート紙のようなグロスの高い紙が用いられる。そのような高グロスのメディアに画像を出力した場合、画像のグロスが紙グロスに対して低いと、画像が沈んだ印象を受け、画質・質感を損なうことになる。したがって、このような用途に対しては、高グロスの画像を形成する必要がある。そこで、特許文献2では、グロス向上のために結晶性樹脂を添加したトナーが提案されている。
さらに、スリープ状態からの復旧時間を短縮可能なトナーとして、長時間のスリープ状態を通して帯電量の変化が少ない、帯電維持性に優れたトナーが求められている。そこで、特許文献3では、結晶性樹脂の分子運動性が抑制され、優れた帯電維持性を示すトナーが提案されている。
特開2011-034013号公報 特開2014-032242号公報 特開2019-219640号公報
特許文献1に記載のトナーは、定着ニップ出口のような大変形時に、歪み硬化性を発揮し、粘度が上昇し、定着フィルムとの接触面積が小さくなるため、定着分離性の向上が可能となる。しかしながら、トナーの架橋密度を大きくして、トナーの粘度を高めることによって、定着画像表面に凹凸が形成され、グロスが低下する場合がある。
一方、特許文献2に記載のトナーは、結晶性樹脂の溶融速度を制御することにより、幅広い温度領域にわたり高く安定したグロスを発揮できる。しかしながら、結晶性樹脂は非晶性樹脂に比べて体積抵抗が低いため、電荷の漏えいが生じやすい傾向にある。そのため、結晶性樹脂を結着樹脂として用いたトナーにおいては、帯電維持性が劣る場合がある。
また、特許文献3に記載のトナーは、結晶性樹脂の分子運動性が抑制され、優れた帯電維持性を示すことが可能である。しかしながら、極性の大きく異なる二種以上のモノマーユニットがブロック状に重合されている結晶性樹脂を用いた場合、結晶性樹脂とワックスが相溶し、定着時のワックスの染み出しが抑制される傾向にある。そのため、定着分離性が劣る場合がある。
以上のことから、定着分離性、高グロス、及び帯電維持性のすべてを満足することは困難であった。そこで、優れたグロス及び帯電維持性を示した上で、薄紙コート紙においても優れた定着分離性を示すトナーの開発が急務となっている。本開示は、優れたグロス及び帯電維持性を示した上で、薄紙コート紙においても優れた定着分離性を示すトナーを提供する。
本開示は、結着樹脂、及び水溶性多価金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂の主成分が、ポリエステル樹脂であり、
該ポリエステル樹脂の酸価が、1.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下であり、
該水溶性多価金属塩における多価金属が、Mg、Ca、Al、Fe及びZnからなる群より選択される少なくとも一の金属であり、
該水溶性多価金属塩が、該多価金属の、塩化物、硝酸塩又は硫酸塩であり、
該水溶性多価金属塩は25℃における水への溶解度が、30g/100mL以上200g/100mL以下であり、
透過型電子顕微鏡を用いた該トナーの断面観察において、該水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積のうち、0.002μm以上0.050μm以下の面積を有する該水溶性多価金属塩に由来するドメインの面積の割合が、80面積%以上100面積%以下であり、
該トナー粒子の断面の全面積のうち該水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積の割合をAt(面積%)とし、該トナーの蛍光X線分析で検出される原子に対する該多価金属原子の割合をFm(atomic%)としたとき、下記式(1)を満たすトナーに関する。
0.02≦At/Fm≦0.10 ・・・(1)
本開示は、優れたグロス及び帯電維持性を示した上で、薄紙コート紙においても優れた定着分離性を示すトナーを提供することができる。
加熱時におけるトナーのひずみ応力プロファイルの測定結果の一例
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。また、モノマーユニットとは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。さらに、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピークが観測される樹脂である。
本開示は、結着樹脂、及び水溶性多価金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであ
って、
該結着樹脂の主成分が、ポリエステル樹脂であり、
該ポリエステル樹脂の酸価が、1.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下であり、
該水溶性多価金属塩における多価金属が、Mg、Ca、Al、Fe及びZnからなる群より選択される少なくとも一の金属であり、
該水溶性多価金属塩が、該多価金属の、塩化物、硝酸塩又は硫酸塩であり、
該水溶性多価金属塩は25℃における水への溶解度が、30g/100mL以上200g/100mL以下であり、
透過型電子顕微鏡を用いた該トナーの断面観察において、該水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積のうち、0.002μm以上0.050μm以下の面積を有する該水溶性多価金属塩に由来するドメインの面積の割合が、80面積%以上100面積%以下であり、
該トナー粒子の断面の全面積のうち該水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積の割合をAt(面積%)とし、該トナーの蛍光X線分析で検出される原子に対する該多価金属原子の割合をFm(atomic%)としたとき、下記式(1)を満たすトナーに関する。
0.02≦At/Fm≦0.10 ・・・(1)
本発明者らは、グロス及び帯電維持性に優れ、且つ定着分離性に優れたトナーの検討を進めた。定着分離性を向上させるために、特許文献1に示されるように、トナー全体を強固に架橋すると、トナーの粘度が高くなり、定着画像表面に凹凸が形成され、高グロスと定着分離性を両立することができない。そこで、本発明者らは、トナー全体を強固に架橋させるのではなく、局所的に架橋させることが重要であると考えた。
しかし、局所的な架橋として、無機微粒子を添加した場合、無機微粒子の周辺の樹脂は硬くなるものの、十分ではなく、定着ニップ通過後、トナーが引き延ばされたときに、歪み硬化性が発現しない。そこで、本発明者らは、トナー中で結着樹脂を局所的に強く架橋させることが重要であると考え、結着樹脂を局所的に強く架橋させる材料として、水溶性の金属塩に着目した。その結果、本発明者らは、水溶性の金属塩を用いて、結着樹脂であるポリエステル樹脂と水溶性の金属塩の架橋状態を制御することで、所望のトナーを得ることができることを見出した。
具体的には、水溶性の金属塩を用いることにより、金属塩表面に水分が吸着し、イオンの乖離が誘起されやすく、結着樹脂の酸性極性基との親和性を高めることができ、定着分離性が向上する。さらに水溶性の金属塩をトナー中でドメインとして存在させることで、局所的な架橋を実現し、高いグロスを維持して、定着分離性に優れたトナーとなることを見出した。さらに、トナー中で、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンの架橋を局所的にさせることで、帯電維持性が低下することなく、グロス及び定着分離性に優れたトナーとなることを見出した。
まず、水溶性多価金属塩について記載する。水溶性多価金属塩の多価金属は、Mg、Ca、Al、Fe及びZnからなる群より選択される少なくとも一の金属である。多価金属は、複数のポリエステル樹脂の分子鎖における酸性極性基と架橋すると考えられるため、多価金属の金属イオンを中心にポリエステル樹脂の分子鎖が密の状態になる。その結果、強い相互作用・分子間力を生じることができ、優れた定着分離性が得られる。
さらに、上記の多価金属の金属イオンは、ポリエステル樹脂の酸性極性基に対するイオン半径が大きいため、強固な局所的な架橋を実現し、高いグロスを維持することができる。水溶性多価金属塩における多価金属は、Mg、Ca、Al、Fe及びZnからなる群か
ら選択される少なくとも一である。多価金属は、Mg、Ca及びAlからなる群から選択される少なくとも一であることが好ましい。
水溶性多価金属塩は、多価金属の、塩化物、硝酸塩及び硫酸塩からなる群から選択される少なくとも一である。このような水溶性多価金属塩は樹脂成分との間に働く相互作用が低いため、トナー中に水溶性多価金属塩を局所的に存在させることができる。水溶性多価金属は、トナー中で、ポリエステル樹脂の酸性極性基と局所的に架橋し、ドメインを形成することによって、高いグロスを維持することができる。特に、水溶性多価金属塩は、多価金属の硫酸塩であることがより好ましい。
水溶性多価金属塩は、25℃における水への溶解度が30g/100mL以上200g/100mL以下である。ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンが架橋し、トナー粘度を高めることができ、優れた定着分離性が得られる。さらに、水への溶解度が30g/100mL以上という高い水溶性の金属塩を用いることにより、金属塩表面に水分が吸着し、イオンの乖離が誘起されやすくなる。その結果、ポリエステル樹脂の酸性極性基との親和性を高めることができ、優れた定着分離性が得られる。一方、溶解度が200g/100mL以下の金属塩を用いることで、高温高湿環境での吸湿性を抑制でき帯電維持性が良好になる。
また、水溶性多価金属塩の25℃における水への溶解度が50g/100mL以上であることが好ましい。これにより、金属塩表面への水分の吸着によるイオンの乖離が誘起されやすくなるため、定着分離性がより良化する。また、水溶性多価金属塩の25℃における水への溶解度が150g/100mL以下であることが好ましく、100g/100mL以下であることがより好ましい。これにより、高温高湿環境下における吸湿性を抑制することができ、帯電維持性がより良化する。
トナー粒子は、結着樹脂及び水溶性多価金属塩を含有する。結着樹脂は、主成分がポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。主成分とは、その含有割合が50質量%以上であることをいう。結着樹脂中のポリエステル樹脂の含有割合は、好ましくは70質量%~100質量%、より好ましくは80質量%~100質量%、さらに好ましくは90質量%~100質量%、さらにより好ましくは95質量%~100質量%である。上記効果を損なわない程度に、結着樹脂はポリエステル樹脂に加え、その他の樹脂を含有してもよい。その他の樹脂として下記の重合体などを用いることが可能である。
ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン-(メタ)アクリル系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とスチレン-(メタ)アクリル系共重合樹脂が混合、又は両者が一部反応したハイブリッド樹脂;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、以下の縮重合体が挙げられる。ポリエステル樹脂は、多価アルコール(2価又は3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価又は3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルと、の縮重合体が好ましい。
ここで、分岐ポリマーを作製する場合には、ポリエステル樹脂の分子内において部分架橋することが好ましい。そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステル樹脂の原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。すなわち、ポリエステル樹脂は、2価のアルコール、2価のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び3価以上のカルボン酸その酸無水物又はその低級アルキルエステルの縮重合体がより好ましい。3価以上のカルボン酸は、3価のカルボン酸及び4価のカルボン酸を含むことが好ましい。
ポリエステル樹脂の多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表されるビスフェノール及びその誘導体;
Figure 2022174765000001
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
式(B)で示されるジオール類が挙げられる。
Figure 2022174765000002
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。これらのうち、好ましくはグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが用いられる。これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独で又は複数を併用して用いることができる。
ポリエステル樹脂の多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル
酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n-ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独で又は複数を併用して用いることができる。
3価以上のカルボン酸として、架橋点をより形成しやすくする観点から、以下の、4価のカルボン酸が好ましい。1,1,2,2-エタンテトラカルボン酸、1,1,1,2-エタンテトラカルボン酸、1,1,3,3-ポリパンテトラカルボン酸、1,1,2,3-プロパンテトラカルボン酸、1,1,2,2-プロパンテトラカルボン酸、2-(カルボキシメチル)プロパン-1,1,3-トリカルボン酸、1,1,4,4-ブタンテトラカルボン酸、1,1,2,4-ブタンテトラカルボン酸、1,1,3,4-ブタンテトラカルボン酸、1,1,2,2-ブタンテトラカルボン酸、1,1,3,3-ブタンテトラカルボン酸、2,2,3,3-ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、1,1,5,5-ペンタンテトラカルボン酸、1,1,4,5-ペンタンテトラカルボン酸、1,1,3,5-ペンタンテトラカルボン酸、1,1,2,5-ペンタンテトラカルボン酸、1,1,4,4-ペンタンテトラカルボン酸、1,1,3,4-ペンタンテトラカルボン酸、1,1,2,4-ペンタンテトラカルボン酸、1,1,3,3-ペンタンテトラカルボン酸、1,1,2,3-ペンタンテトラカルボン酸、1,1,2,2-ペンタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ペンタンテトラカルボン酸、1,2,3,5-ペンタンテトラカルボン酸、3-(カルボキシメチル)ブタン-1,1,4-トリカルボン酸、2-(カルボキシメチル)ブタン-1,1,4-トリカルボン酸、2-メチルブタン-1,1,4,4-テトラカルボン酸、1,1,6,6-ヘキサンテトラカルボン酸、1,1,5,6-ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,5-ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,6-ヘキサンテトラカルボン酸、2-メチルペンタン-1,1,5,5-テトラカルボン酸、3-メチルペンタン-1,1,5,5-テトラカルボン酸、2,3-ジメチルブタン-1,1,4,4-テトラカルボン酸、1,1,7,7-ヘプタンテトラカルボン酸、1,1,8,8-オクタンテトラカルボン酸、1,1,9,9-ノナンテトラカルボン酸、1,1,10,10-デカンテトラカルボン酸、3,5-ビス(カルボキシメチル)-3,4,4,5-テトラメチルヘプタン二酸等。
なかでも、3,5-ビス(カルボキシメチル)-3,4,4,5-テトラメチルヘプタン二酸を用いることが好ましい。ポリエステル樹脂の構成成分のうち、3価以上(好ましくは3価及び4価、より好ましくは4価)のカルボン酸が重合したモノマーユニットの含有割合は、好ましくは1.0~10.0モル%であり、より好ましくは1.5~5.0モル%であり、さらに好ましくは2.0~4.0モル%である。また、ポリエステル樹脂の
構成成分のうち、3価以上(好ましくは3価及び4価、より好ましくは4価)のカルボン酸が重合したモノマーユニットの含有割合は、好ましくは1.0~20.0質量%であり、より好ましくは2.0~10.0質量%であり、さらに好ましくは3.0~8.0質量%である。
ポリエステル樹脂の製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述のアルコールモノマー及びカルボン酸モノマーを同時に仕込み、エステル化反応又はエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。ポリエステル樹脂の重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。特に、ポリエステル樹脂は、スズ系触媒を使用して重合されたポリエステル樹脂であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂の酸価は、1.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下である。酸価が1.0mgKOH/g以上であると、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンが架橋し、トナー粘度を高めることができ、優れた定着分離性が得られる。酸価が30.0mgKOH/g以下であると、高温高湿環境下における吸湿性を抑制することができ、帯電維持性が良化する。
また、ポリエステル樹脂の酸価が、5.0mgKOH/g以上であることが好ましい。これにより、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性高金属塩の金属イオンの架橋点が多くなり、定着分離性がより良化する。また、ポリエステル樹脂の酸価が、25.0mgKOH/g以下であることが好ましい。これにより、高温高湿環境下における吸湿性を抑制することができ、帯電維持性がより良化する。より好ましくは8.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下である。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナーの断面観察において、水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積のうち、0.002μm以上0.050μm以下の面積を有する水溶性多価金属塩に由来するドメインの面積の割合が、80面積%以上100面積%以下である。
なお、水溶性多価金属塩に由来するドメインとは、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンとが架橋することで形成されるドメインである。該ドメインは、TEMによるトナーの断面観察において、画像処理ソフト「ImageJ」により特定の閾値で二値化することで区別することが可能である。具体的な手順については後述する。
ドメインの面積割合が上記範囲であると、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンが架橋し、トナー粘度を高めることができ、優れた定着分離性が得られる。さらに、トナー中で、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンを局所的に架橋させると、高いグロスを維持することができる。
優れた定着分離性を示すためには、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンが架橋し、トナー粘度を高める必要がある。そのため、水溶性多価金属塩に由来するドメインがあまり大きくない状態で、ある程度分散して存在し、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンが架橋する必要がある。そのため、面積が0.050μm以下の水溶性多価金属塩に由来するドメインを形成することが必須である。
また、優れたグロスを示すためには、トナー中で、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンを局所的に架橋させる必要がある。そのため、水溶性多価金属塩に由来するドメインがある程度局在化してドメインを形成し、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンが架橋する必要がある。そのため、面積が0.002μm以上の水溶性多価金属塩に由来するドメインを形成することが必須である。
そして、この0.002μm以上0.050μm以下の面積を有する水溶性多価金属塩に由来するドメインの面積割合が、該ドメインの全面積のうち80面積%以上100面積%以下であることが必要である。これにより、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性高金属塩の金属イオンが架橋し、トナー粘度を高めることができ、さらに、トナー中で、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンを局所的に架橋させることができるため、定着分離性とグロスをともに良化させることができる。
また、0.002μm以上0.050μm以下の面積を有する水溶性多価金属塩に由来するドメインの面積割合が、該ドメインの全面積のうち、90面積%以上100面積%以下であることが好ましく、95面積%以上100面積%以下であることがより好ましい。これにより、結着樹脂を強固に局所的に架橋させることができ、定着分離性とグロス性がともにより良化する。
トナー粒子の断面に水溶性多価金属塩に由来するドメインを存在させる手段としては、次のような方法があげられる。トナー粒子中で水溶性多価金属塩がイオンサイズで分散せず、ドメインを形成する必要があるため、乾式でのトナーの製法が好ましく用いられる。例えば、粉砕法でのトナー製造時に水溶性多価金属塩を添加し、溶融混練時にドメインを形成させる方法などがあげられる。
粉砕法では、溶融混練の温度や滞留時間を調整することによって、ドメインを制御しうる。また、溶融混練の温度は、100℃以上160℃以下であることが好ましく、120℃以上140℃以下であることがより好ましい。溶融混錬の際の滞留時間は、好ましくは30~100秒であり、より好ましくは45~75秒である。
該ドメインの面積は、溶融混錬の温度を低くすることにより大きくすることができ、溶融混錬の温度を高くすることにより小さくすることができる。また、該ドメインの面積は、溶融混錬の滞留時間によっても、制御することができる。溶融混錬の滞留時間を長くすることにより大きくすることができ、溶融混錬の滞留時間を短くすることにより小さくすることができる。
また、透過型電子顕微鏡を用いたトナーの断面観察において、トナー粒子の断面の全面積のうち水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積の割合をAt(面積%)とし、トナーの蛍光X線分析(XRF)で検出される原子に対する該多価金属原子の割合をFm(atomic%)としたとき、下記式(1)を満たす。
0.02≦At/Fm≦0.10 ・・・(1)
上記式(1)を満足することは、トナーに含まれる全ての水溶性多価金属塩のうち、水溶性多価金属塩に由来するドメインを形成している金属塩の割合が高いことを示している。これにより、トナー中で、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンを局所的に架橋させ、ドメインを形成することによって、トナーのマクロな粘度を低く制御でき、高グロスを維持することができる。At/Fmが0.02未満の場合、架橋が細かく均一化してグロスが低下する。また、At/Fmが0.10以下であることによって、トナー中にドメインを均一に分散させることができ、トナー粘度を高められるため、定着分離性が向上する。
また、下記式(2)を満たすことが好ましい。
0.04≦At/Fm≦0.09 ・・・(2)
上記式(2)を満たすことは、トナーに含まれる全ての水溶性多価金属塩のうち、水溶性多価金属塩に由来するドメインを形成している金属塩の割合がより高いことを示す。そのため、金属イオンを局所的に架橋させることができ、グロスがさらに良化する。また、定着分離性もより向上する。At/Fmは、溶融混錬の滞留時間を長くすることにより大きくすることができ、溶融混錬の滞留時間を短くすることにより小さくすることができる。
At(面積%)は、好ましくは0.1~6.0であり、より好ましくは0.2~0.8である。Fm(atomic%)は、好ましくは1.0~75.0であり、より好ましくは3.0~15.0である。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナーの断面観察において、トナー粒子の全面積のうち、0.002μm以上0.050μm以下の面積を有する水溶性多価金属塩に由来するドメインの面積の割合が、0.10面積%以上5.00面積%以下であることが好ましく、0.25面積%以上2.00面積%以下であることがより好ましい。上記面積割合が0.10面積%以上であると、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性高金属塩の金属イオンの架橋点がより十分になるため、定着分離性がより向上する。一方、上記面積割合が5.00面積%以下であると、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンの架橋点が多くなりすぎることを抑制するため、グロスがより良化する。
トナー粒子の全面積のうち、0.002μm以上0.050μm以下の面積を有する水溶性多価金属塩に由来するドメインの面積の割合が、0.10面積%以上5.00面積%以下にする手段としては、以下の方法が挙げられる。例えば、粉砕法でのトナー製造時に水溶性多価金属塩を添加し、溶融混練の温度や滞留時間を調整する方法などがあげられる。溶融混練の温度は100℃~160℃であることが好ましい。
また、トナーの95℃におけるひずみ応力プロファイルにおいて、ひずみ200%における応力が、20kPa以上40kPa以下であることが好ましく、22kPa以上32kPa以下であることがより好ましい。トナーが定着ニップ通過後、最も引き延ばされるのが約200%である。したがって、トナーの95℃におけるひずみ応力プロファイルにおいて、ひずみ200%における応力が20kPa以上40kPa以下である場合、ポリエステル樹脂の酸性極性基と水溶性多価金属塩の金属イオンが局所的に架橋点を持ち、高温でのトナーのひずみに対する応力が適切な強さであることを示す。その結果、より優れた定着分離性及びグロスが得られる。
上記応力を20kPa以上40kPa以下とする手段として、例えば、粉砕法でのトナー製造時に水溶性多価金属塩を添加し、溶融混練の温度や滞留時間を調整する方法などがあげられる。
また、ポリエステル樹脂の酸価が5.0mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下であり、水溶性多価金属塩の多価金属がMg、Ca、Al、Fe及びZnからなる群から選択される少なくとも一である場合、上記応力を20kPa以上40kPa以下に調整しやすい。
好ましいトナーの構成を以下に詳述する。
[ワックス]
トナー粒子には、ワックスを含有させてもよい。ワックスとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス;
酸化ポリエチレンワックスなどの炭化水素系ワックスの酸化物またはそれらのブロック共重合物;
カルナバワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;
脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。
これらの中でも、トナーの低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックスや、カルナバワックスなどの脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。
トナーの定着分離性の観点から、炭化水素系ワックスがより好ましい。トナー粒子中のワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。ワックスの含有量が上記範囲であると、高温での耐ホットオフセット性がより向上する。
また、トナーの保存性と耐ホットオフセット性との両立の観点から、トナーの最大吸熱ピークのピーク温度に関して、以下を満足することが好ましい。すなわち、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が、50℃以上110℃以下であることが好ましい。
[着色剤]
トナー粒子は、必要に応じて着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤としては、顔料を単独で使用してもよく、染料と顔料とを併用してもよい。フルカラー画像の画質の観点から、染料と顔料とを併用することが好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.
アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及びトナー粒子への分散性の点から選択される。着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部~30.0質量部であることが好ましい。
[荷電制御剤]
トナー粒子は、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く、且つ一定の帯電量を安定して保持できる、芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし、外添してもよい。荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、0.2質量部~10.0質量部が好ましく、0.5質量部~10.0質量部がより好ましい。
[無機微粒子]
トナーは、必要に応じて外添剤として無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子又はそれらの複酸化物微粒子のような微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が、流動性改良及び帯電均一化のために好ましい。無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性を向上させる観点からは、外添剤としての無機微粒子は、比表面積が50m/g~400m/gであることが好ましい。また、耐久安定性を向上させる観点からは、外添剤としての無機微粒子は、比表面積が10m/g~50m/gであることが好ましい。流動性向上と耐久安定性とを両立させるために、比表面積が上記範囲の無機微粒子を併用してもよい。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部~10.0質量部であることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
[現像剤]
トナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、また、長期にわたり安定した画像を供給するために、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、それらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体;磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア);など、一般に公知のものを使用できる。
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際の磁性キャリアの混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%~15質量%であることが好ましく、4質量%~13質量%以下であることがより好ましい。
[トナー粒子の製造方法]
トナー粒子は、溶融混練法、乳化凝集法、溶解懸濁法など、公知のトナー粒子の製造方法で製造することができる。以下、粉砕法でのトナー製造手順について説明する。粉砕法では、トナー粒子の材料を溶融混錬し、粉砕して、トナー粒子を得る。溶融混練の温度は、100℃~160℃であることが好ましく、118℃~142℃であることがより好ましい。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂及び水溶性多価金属塩、並びに必要に応じてワックス、着色剤、荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に材料を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕する。その後、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級する。
得られたトナー粒子はそのままトナーとして用いてもよい。必要に応じて、トナー粒子の表面に外添剤を外添処理してトナーを得てもよい。外添処理する方法としては、分級さ
れたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
各種物性の測定方法について以下に説明する。
[樹脂の酸価の測定]
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。結着樹脂の酸価はJIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間静置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)である。
[トナーからのポリエステル樹脂の分離]
トナーに含まれる各材料の溶剤への溶解度の差を利用して、トナーから各材料を分離することができる。
第一分離:23℃のメチルエチルケトン(MEK)にトナーを溶解させ、可溶分(非晶性ポリエステル)と不溶分(結晶性ポリエステル、離型剤、着色剤、無機微粒子など)を分離する。
第二分離:100℃のMEKに、第一分離で得られた不溶分(結晶性ポリエステル、離型剤、着色剤、無機微粒子など)を溶解させ、可溶分(結晶性ポリエステル、離型剤)と不溶分(着色剤、無機微粒子など)を分離する。
第三分離:23℃のクロロホルムに、第二分離で得られた可溶分(結晶性ポリエステル、離型剤)を溶解させ、可溶分(結晶性ポリエステル)と不溶分(離型剤)を分離する。
[溶解度の測定]
温度25℃における水に対する溶解度は、25℃に保持した水100mL中に溶解する水溶性多価金属塩の量(g)を測定する。
[トナーの断面観察]
まず、光硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分に分散させた後、紫外線を照射してエポキシ樹脂を硬化させる。得られた硬化物を、ダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用いて切断し、厚さ100nmの薄片状のサンプルを作製する。上記サンプルに四酸化ルテニウムを用い染色を施した後、透過型電子顕微鏡(TEM)(商品名:電子顕微鏡Tecnai TF20XT、FEI社製)を用い、加速電圧120kVの条件でトナーの断面
を観察してTEM画像を得る。この際、トナー粒子の断面としては、後述するトナー粒子の個数平均粒径(D1)の測定法に従い、同トナーを測定した際の個数平均粒径(D1)の0.9倍~1.1倍の長軸径を有するものを選択する。
なお、観察した画像から水溶性多価金属塩に由来するドメインを、画像処理ソフト「ImageJ」(https://imagej.nih.gov/ij/より入手可能)を使用し、以下のように二値化することで抽出する。観察した画像を「Image-Adjust-Threshold」を選択し、表示されたダイヤログボックスでトナー粒子の断面全体が抽出されるように閾値を設定し、二値化する。同じ画像を同様の手順で、閾値のみを変更することで、水溶性多価金属塩に由来するドメインのみが抽出されるようにし、二値化を行う。具体的には、閾値を120/255段階に設定してドメインを抽出する。上記設定により観察されるドメインを、水溶性多価金属塩に由来するドメインとする。
二値化した画像において、[Analyze-Analyze Particle]で
、ドメインの面積を設定し、0.002μm以上0.050μm以下のドメインの面積の合計を算出する。なお、面積の測定には、画像処理ソフト「Image-Pro Plus (Media Cybernetics社製)」を用いることができる。また、トナー粒子の面積、及びトナー粒子の断面に存在する水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積を算出する。算出した値から、トナー粒子の断面の全面積のうち水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積の割合At(面積%)、及び水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積のうち0.002μm以上0.050μm以下のドメインの面積の割合を算出する。100個のトナー粒子を観察しその相加平均値を採用する。
[蛍光X線分析方法(XRF)]
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナーを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約39mmに成型したペレットを用いる。
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からその濃度を算出する。算出式は以
下の通りである。
トナー中の原子に対する多価金属原子の割合Fm[atomic%]=(トナー中の多価金属原子の含有量[kcps])/(トナー中の原子の含有量[kcps])×100
蛍光X線分析法では、各元素の含有量が既知の酸化物粒子を用いて、蛍光X線分析装置で検量線をそれぞれ作成しておき、この検量線を用いて複合酸化物粒子中の各元素の含有量を求めるものである。
[トナー中に含まれる水溶性多価金属塩の同定]
23℃のクロロホルムにトナーを溶解させる。水を加えた後、十分に撹拌し、静置してから分液する。得られた水相について、蛍光X線分析を行うことで、トナーに含まれる水溶性多価金属塩を同定することができる。同定した水溶性多価金属塩に基づき、上記Fmの分析や、溶解度の測定を行う。
[トナーの95℃におけるひずみ応力プロファイル測定方法]
測定装置としては、精密万能試験機「オートグラフ AG-X」((株)島津製作所製)を用いる。測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー0.5gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、1分間加圧し、厚さ約2mm、幅約6mmに成型したペレットを用いる。
引張速度210mm/分及びチャック間距離7mm、測定温度95℃の条件で測定を行い、図1に示すようなひずみ応力プロファイルを得る。得られたひずみ応力プロファイルにおいて、ひずみ200%における応力を算出する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の処方において、部は特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1]
<非晶性樹脂A1の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:29.7部(0.07モル;多価アルコール総モル数に対して40.0mol%)
・ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:40.8部(0.13モル;多価アルコール総モル数に対して60.0mol%)
・テレフタル酸:30.4部(0.195モル;多価カルボン酸総モル数に対して97.5mol%)
・3,5-ビス(カルボキシメチル)-3,4,4,5-テトラメチルヘプタン二酸(D1):1.66部(0.005モル;多価カルボン酸総モル数に対して2.37mol%)
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を投入した。そして、モノマー総量100部に対して、触媒として2-エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒)を1.0部添加した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2.5時間反応させた。さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第一反応工程)。
・無水トリメリット酸:0.04部(0.0002モル;多価カルボン酸総モル数に対して0.13mol%)
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持
したまま、15時間反応させ、ASTM D36-86に従って測定した反応物の軟化点
が95℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた(第2反応工程)。このようにして、非晶性ポリエステル樹脂である非晶性樹脂A1を得た。得られた非晶性樹脂A1の軟化点(Tm)は98℃、酸価は11.3mgKOH/gであった。
<非晶性樹脂A2~A5の製造例>
非晶性樹脂A1の製造例において、多価アルコールモノマー及び多価カルボン酸モノマーの種類及び量を表1に記載のものに変更した以外は同様にして非晶性樹脂A2~A5を得た。得られた非晶性樹脂の物性を、表1に示す。
〈トナー1の製造例〉
・非晶性樹脂A1: 100.0部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃): 5.0部・カーボンブラック: 10.0部
・硫酸マグネシウム: 1.5部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数1500rpm、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて、平均滞留時間60秒で混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティ(F-300、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を11000rpm、分散ローター回転数を7200rpmとした。
・トナー粒子: 100部
・シリカ微粒子A:ヘキサメチルジシラザンで表面処理したヒュームドシリカ
(個数基準におけるメジアン径(D50)が120nm): 4部
・小粒径無機微粒子:イソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子
(個数基準におけるメジアン径(D50)が10nm): 1部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数1900rpm、回転時間10minで混合し、ネガ帯電性を示すトナー1を得た。
<トナー2~31の製造例>
トナー1の製造例において、非晶性樹脂Aの種類、水溶性多価金属塩の種類及び添加量、混錬温度を表2の通りとなるように変更した以外はトナー1の製造例と同様の操作を行い、トナー2~31を得た。得られた物性を表3に示す。
<磁性キャリア1の製造例>
・個数平均粒径0.30μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am/kg)のマグネタイト1
・個数平均粒径0.50μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am/kg)のマグネタイト2
上記の材料それぞれ100部に対し、4.0部のシラン化合物(3-(2-アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内にて100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を処理した。
・フェノール:10質量%
・ホルムアルデヒド溶液:6質量%
(ホルムアルデヒド40質量%、メタノール10質量%、水50質量%)
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト1 :58質量%
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト2 :26質量%
上記材料100部と、28質量%アンモニア水溶液5部、及び水20部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温し、3時間保持して重合反応させて、生成するフェノール樹脂を硬化させた。その後、硬化したフェノール樹脂を30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体分散型の球状の磁性キャリア1を得た。体積基準の50%粒径(D50)は、34.21μmであった。
<二成分系現像剤1の製造例>
92.0部の磁性キャリア1と8.0部のトナー1をV型混合機(V-20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
<二成分系現像剤2~31の製造例>
二成分系現像剤1の製造例において、表4のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2~31を得た。
[評価]
上記二成分系現像剤1を用いて、評価を行った。画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C5560改造機を用い、ブラックの現像器に二成分系現像剤1を入れた。装置の改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、及び、レーザーパワーを自由に設定できるように変更した。画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力し、紙上におけるFFh画像上のトナーの載り量が所望になるようにVDC、V、及びレーザーパワーを調整して、後述の評価を行った。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。以下の評価方法に基づいて評価し、その結果を表5に示す。
<高温高湿環境下での薄紙の定着分離性>
上記改造複写機を用いて、上端部に4.0mm余白を設けた、トナー載り量が1.20mg/cmの全面ベタ画像を未定着で作製した。次に、改造定着機によってプロセススピード348mm/秒で、上記未定着画像を定着させた。定着分離性の評価は、100℃から5℃ずつ定着温度を上昇させ、巻き付きが発生した温度に5℃下げた温度を定着分離温度とした。試験環境は、高温高湿環境(30℃/80%RH)とした。定着画像の転写材は、A4サイズのパールコートN(73g/m)(三菱製紙株式会社)を用いた。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:定着分離温度が150℃を超える
B:定着分離温度が150℃
C:定着分離温度が145℃
D:定着分離温度が140℃以下
<グロス性>
上記改造複写機を用いて、トナー載り量が0.45mg/cmの全面ベタ画像を未定着で作製した。次に、改造定着機によってプロセススピード348mm/秒、定着温度195℃で、上記未定着画像を定着させた。定着画像の転写材は、A4サイズのmondiカラーコピー紙(300.0g/m)(mondi社)を用いた。上記定着画像のうち、ホットオフセットが発生しなかった画像について、ハンディ光沢度計グロスメーターPG-3D(日本電色工業製)を用いて、光の入射角60°の条件にて各画像の任意の点3カ所の平均値を測定し、グロス値とした。評価結果を表3に示す。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:グロス値が20以上
B:グロス値が15以上20未満
C:グロス値が10以上15未満
D:グロス値が10未満
<高温高湿環境下での帯電維持率>
紙:GFC-081(81.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社)紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
定着試験環境:高温高湿環境:温度30℃/湿度80%RH(以下「H/H」)
プロセススピード:377mm/sec
静電潜像担持体上のトナーを金属円筒管と円筒フィルターを用いて吸引捕集することにより、トナーの摩擦帯電量を算出した。具体的には、静電潜像担持体上のトナーの摩擦帯電量は、ファラデー・ケージ(Faraday-Cage)によって測定した。ファラデー・ケージとは、同軸の2重筒のことで内筒と外筒は絶縁されている。この内筒の中に電荷量Qの帯電体を入れたとすると、静電誘導によりあたかも電荷量Qの金属円筒が存在するのと同様になる。この誘起された電荷量をエレクトロメーター(ケスレー6517A ケスレー社製)で測定し、内筒中のトナー質量M(kg)で電荷量Q(mC)を割ったもの(Q/M)をトナーの摩擦帯電量とした。
トナーの摩擦帯電量(mC/kg)=Q/M
まず、静電潜像担持体上に上記評価画像を形成し、中間転写体に転写される前に、静電潜像担持体の回転を止め、静電潜像担持体上のトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、[初期のQ/M]を測定した。引き続き、H/H環境において評価機内に現像器を入れたまま2週間放置させた後、放置前と同様の操作を行い、放置後の静電潜像担持体上の単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)を測定した。上記の初期の静電潜像担持体上の単位質量当たりのQ/Mを100%とし、放置後の静電潜像担持体上の単位質量当たりのQ/Mの維持率([放置後のQ/M]/[初期のQ/M]×100)を算出して以下の基準で判断した。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:維持率が95.0%以上
B:維持率が90.0%以上95.0%未満
C:維持率が85.0%以上90.0%未満
D:維持率が85.0%未満
<実施例2~23及び比較例1~8>
実施例2~23として、それぞれ二成分系現像剤2~23を用い、比較例1~8として、それぞれ二成分系現像剤24~31を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表5に示す。
Figure 2022174765000003

表中、酸価の単位は、mgKOH/gである。また、略称は以下の通り。
BPA-PO:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物
BPA-EO:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物
TPA:テレフタル酸
D1:3,5-ビス(カルボキシメチル)-3,4,4,5-テトラメチルヘプタン二酸D2:1,1,6,6-ヘキサンテトラカルボン酸
無水TMA:無水トリメリット酸
Figure 2022174765000004

表中、酸価の単位はmgKOH/gであり、溶解度は25℃における水への溶解度g/100mLである。
Figure 2022174765000005

表中、Atはトナー粒子の断面の全面積のうち水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積の割合(面積%)であり、Fmはトナーの蛍光X線分析で検出される原子に対する多価金属原子の割合(atomic%)である。面積%は、トナー粒子の断面の全面積のうち、0.002μm以上0.050μm以下の面積を有する前記水溶性多価金属塩に由来するドメインの面積の割合である。ひずみ応力は、トナーの95℃におけるひずみ応力プロファイルにおいて、ひずみ200%における応力(kPa)である。
Figure 2022174765000006
Figure 2022174765000007


Claims (7)

  1. 結着樹脂、及び水溶性多価金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結着樹脂の主成分が、ポリエステル樹脂であり、
    該ポリエステル樹脂の酸価が、1.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下であり、
    該水溶性多価金属塩における多価金属が、Mg、Ca、Al、Fe及びZnからなる群より選択される少なくとも一の金属であり、
    該水溶性多価金属塩が、該多価金属の、塩化物、硝酸塩又は硫酸塩であり、
    該水溶性多価金属塩は25℃における水への溶解度が、30g/100mL以上200g/100mL以下であり、
    透過型電子顕微鏡を用いた該トナーの断面観察において、該水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積のうち、0.002μm以上0.050μm以下の面積を有する該水溶性多価金属塩に由来するドメインの面積の割合が、80面積%以上100面積%以下であり、
    該トナー粒子の断面の全面積のうち該水溶性多価金属塩に由来するドメインの全面積の割合をAt(面積%)とし、該トナーの蛍光X線分析で検出される原子に対する該多価金属原子の割合をFm(atomic%)としたとき、下記式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
    0.02≦At/Fm≦0.10 ・・・(1)
  2. 透過型電子顕微鏡を用いた前記トナーの断面観察において、前記トナー粒子の全面積のうち、0.002μm以上0.050μm以下の面積を有する前記水溶性多価金属塩に由来するドメインの面積の割合が、0.10面積%以上5.00面積%以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナーの95℃におけるひずみ応力プロファイルにおいて、ひずみ200%における応力が、20kPa以上40kPa以下である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記水溶性多価金属塩における前記多価金属が、Mg、Ca及びAlからなる群から選択される少なくとも一である請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記水溶性多価金属塩が、前記多価金属の硫酸塩である請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記ポリエステル樹脂の酸価が5.0mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下である請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 0.002μm以上0.050μm以下の面積を有する前記水溶性多価金属塩に由来する前記ドメインの面積割合が、前記水溶性多価金属塩に由来する前記ドメインの全面積のうち、90面積%以上100面積%以下である請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
JP2021080709A 2021-05-12 2021-05-12 トナー Pending JP2022174765A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021080709A JP2022174765A (ja) 2021-05-12 2021-05-12 トナー
US17/661,168 US20220373919A1 (en) 2021-05-12 2022-04-28 Toner

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021080709A JP2022174765A (ja) 2021-05-12 2021-05-12 トナー

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022174765A true JP2022174765A (ja) 2022-11-25

Family

ID=84102734

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021080709A Pending JP2022174765A (ja) 2021-05-12 2021-05-12 トナー

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20220373919A1 (ja)
JP (1) JP2022174765A (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
US20220373919A1 (en) 2022-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108107691B (zh) 调色剂
EP3093713B1 (en) Toner
US6335137B1 (en) Electrophotographic toner and electrophotographic image forming method and apparatus using the toner
JP4742936B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、及びその製造方法
JP6532315B2 (ja) トナー
JPWO2003001302A1 (ja) トナー用ポリエステル樹脂、トナー用ポリエステル樹脂の製造方法及びそれを用いたトナー
JP6739978B2 (ja) トナー
JP6700779B2 (ja) トナー
JP2019020690A (ja) トナー
JP4378210B2 (ja) 磁性微粒子分散型樹脂キャリア及び二成分系現像剤
JP2022174765A (ja) トナー
JP7175748B2 (ja) シアントナー
JP6371619B2 (ja) トナー及び二成分現像剤
JP7419111B2 (ja) トナー
JP7318482B2 (ja) トナー
JP7309477B2 (ja) トナーの製造方法
JP7493963B2 (ja) トナー及びトナーの製造方法
EP4250013A1 (en) Toner and two-component developer
JP2019008145A (ja) トナーの製造方法
JP7129185B2 (ja) トナー
JP2005250443A (ja) ポリエステル系粉砕トナーおよびトナー用バインダー樹脂
JP4933214B2 (ja) 黒トナー及びこれを用いた二成分系現像剤
JP2023143732A (ja) トナー及び二成分系現像剤
JP2022174943A (ja) トナー
JP2023145106A (ja) トナー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240508