JP2022174599A - 液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッド - Google Patents

液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】 接合面から接着剤がはみ出てしまい、流路等に接着剤が流動してしまうことがある。接合面からの接着剤のはみ出しをより抑制することができる液体吐出ヘッドの製造方法および液体吐出ヘッドを提供することを目的とする【解決手段】 第1の基板131の第1の面4および第2の基板132の第2の面5の少なくともどちらか一方には、凹部151および複数の凸部121が形成されており、複数の凸部121から得られる複数の凸部間隔のうち少なくともいずれか1つは、次式で表されるdc[mm]以下であることを特徴とする。dc=0.17H0.75T0.40P-0.15ただし、第1の基板131および第2の基板132のヤング率は100GPa以上であり、T[μm]は基板の厚さであり、H[μm]は凸部121の高さであり、P[MPa]は接合時の圧力である【選択図】 図4

Description

本発明は、液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ヘッドに関する。
紙等の被記録媒体に液体を吐出して記録を行う記録装置は、吐出口から液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えている。液体吐出ヘッドは、一例として、用途の異なる複数の基板を積層することで形成されている。積層された複数の基板どうしを接合する際には、接着剤が使用される。
基板を接合する際に、接着剤の使用量が多かった場合や、接合のために基板を押圧することで基板が大きく撓んでしまう場合には、接合面から接着剤がはみ出て、流路等に接着剤が流動してしまうことがある。接着剤が流路に流動すると、その分だけ流路が接着剤により埋まり、液体の流動に影響が及んでしまう。
この問題に対し、特許文献1においては、流路の周囲に凹部(逃げ溝とも称す)を形成し、かつ、凹部の近傍に凸部を形成した液体吐出ヘッドを提案している。凹部を形成することで、接合面からはみ出た接着剤を凹部で留めることができ、流路等に接着剤が流動することを抑制することができる。また、凹部の周囲に凸部を形成することで、凸部が突っ張り棒の役割を果たし、基板の接合時に基板を押圧したとしても、基板が大きく撓んでしまうことを抑制することができる。これにより、接合時の基板の撓みによる接着剤のはみ出しを抑制することができる。
特許第5933146号公報
特許文献1では、凹部に沿って凸部が形成されているが、凹部が形成されていない領域には凸部が形成されていない。そのため、凸部が形成されていない部分の基板は、接合時の押圧により大きく撓んでしまう。その結果、接合面から接着剤がはみ出てしまい、流路等に接着剤が流動してしまうことがある。
本発明は、上記課題を鑑み、接合面からの接着剤のはみ出しをより抑制することができる液体吐出ヘッドの製造方法および液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、第1の面を有する第1の基板と、第2の面を有する第2の基板と、を備え、前記第1の面と前記第2の面とが接着剤により接合されている液体吐出ヘッドの製造方法において、第1の基板および第2の基板を用意する用意工程と、前記第1の面および前記第2の面の少なくともどちらか一方に接着剤を塗布する塗布工程と、前記第1の基板および前記第2の基板に圧力を加えて前記第1の面と前記第2の面とを接合する接合工程と、を有し、前記用意工程での前記第1の基板の前記第1の面および第2の基板の前記第2の面の少なくともどちらか一方には、凹部が形成されており、前記用意工程での前記第1の基板の前記第1の面および第2の基板の前記第2の面の少なくともどちらか一方には、複数の凸部が形成されており、前記複数の凸部のうち互いに隣り合う凸部同士の配置距離を凸部間隔としたときに、前記複数の凸部から得られる複数の前記凸部間隔のうち少なくともいずれか1つは、次式で表されるdc[mm]以下であることを特徴とする。
dc=0.17H0.750.40-0.15
ただし、前記第1の基板および前記第2の基板のヤング率は100GPa以上であり、T[μm]は前記第1の基板および前記第2の基板のうち厚みが小さい方の基板の厚さであり、H[μm]は前記凸部が形成されている前記第1の面または前記第2の面からの高さであり、P[MPa]は前記接合工程における前記圧力である。
本発明によれば、接合面からの接着剤のはみ出しをより抑制することができる液体吐出ヘッドの製造方法および液体吐出ヘッドを提供することができる。
液体吐出ヘッドの断面図。 液体吐出ヘッドの各製造工程における概略図。 図2に示す各工程のフローチャート。 凸部周りの拡大断面図。 凸部高さH[μm]と距離d[mm]との関係性を示す図。 基板厚さT[μm]と距離d[mm]との関係性を示す図。 プレス圧力P[PMa]と距離d[mm]との関係性を示す図。 第1の基板と第2の基板とを接合した際の平面透過図。 凸部の配置の他の例を示す図。 プレス圧力P[PMa]と凸部の強度との関係性を示す図。 流路開口部形状と凸部形状の例を示す図。 第2の実施形態に係る凸部を示す概略図。 第2の実施形態に係る凸部を示す概略図。
(第1の実施形態)
(液体吐出ヘッド)
図1は、本実施形態における液体吐出ヘッド1の断面図である。液体吐出ヘッド1は、主に、吐出口形成部材119、流路形成部材118、第1の基板131および第2の基板132から構成されている。吐出口形成部材119には、液体(インク)を吐出するための吐出口101が形成されている。流路形成部材118には、吐出口101に液体を流動するための流路102が形成されている。第1の基板131には、吐出口101から液体を吐出するための圧力を発生する圧力発生素子107、流路102と連通する第1の貫通孔2および詳しくは後述する凸部121が形成されている。第2の基板132には、第1の貫通孔2と連通する第2の貫通孔3および凹部151が形成されている。第1の基板131と第2の基板132とは、接着剤123により接合されている。
(液体吐出ヘッドの製造方法)
図2は、本実施形態の液体吐出ヘッド1の各製造工程における概略図である。図3は、図2に示す各工程のフローチャートである。まず、表面に回路(不図示)や圧力発生素子107が形成された第1の基板131を用意する(用意工程)(図2(A)、図3のS1)。第1の基板131の材料としては、シリコンまたはシリコンと同等以上の弾性率を有するものが好適である。後述する接合工程(図2(F))において、基板の変形を生じにくくするためである。シリコンよりも大きい弾性率を有する材料としては、炭化シリコン、窒化シリコン、SUS,各種セラミック(アルミナ、サーメット、炭化ホウ素、ジルコニア、ムライト、窒化ガリウム、窒化アルミ)等が挙げられる。また、第2の基板132(図2(D))の材料も同様であり、シリコンまたはシリコンと同等以上の弾性率を有するものが好適である。
次に、第1の基板131の第1の面4から第1の基板131を削り、第1の基板131が所望の厚さになるようにしつつ、第1の貫通孔2を形成する(図2(b)、図3のS2)。第1の基板131を所望の厚さになるように薄くする加工手段としては、研削やフッ硝酸などの薬液によるウエットエッチングが挙げられる。第1の貫通孔2の形成手法としては、ドライエッチング、ウエットエッチング、レーザー、サンドブラスト法などが挙げられる。第1の面4とは、圧力発生素子107が形成される面の裏面のことである。
次に、第1の基板131の第1の面4に複数の凸部121を形成する(図2(c)、図3のS3)。凸部121を形成する方法としては、第1の貫通孔2が加工されている第1の基板131の第1の面4にマスクを形成し、エッチングする方法が挙げられる。マスクの形成手段としては、ドライフィルム状に加工したレジストをラミネートする方法や、スプレー塗布法によりレジストを形成する方法が挙げられる。なお、第1の貫通孔2を形成する前に、予め第1の基板131の第1の面4に凸部121をエッチングするためのマスクを形成しておいても良い。マスクとしては、熱安定性が高く、且つ、第1の貫通孔2の加工プロセスに対して安定である材料が好適である。そのような材料としては、レジストや剥離液に対して不溶である有機樹脂、気相成長法で成膜したシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などの無機膜が挙げられる。マスク越しに第1の基板131をエッチングして凸部121を加工した後は、剥離液や酸素プラズマアッシング、ドライエッチングなどの手法によりマスクを除去する。このとき、凸部121に付着したエッチング堆積物を除去するために、エッチング堆積物用の剥離液などを用いても良い。
凸部121の他の形成方法としては、気相成長法で成膜した膜をパターニングする方法が考えられる。材料としては、SiO、SiN、SiC、SiCN、SiOC、Al、Ti、W、Auなどが挙げられる。特に炭素を付与した膜はインクに対する耐性が向上するため、炭素を含む材料を使用することが好ましい。さらには、凸部121の他の形成方法として、ドライフィルムなどの感光性樹脂をパターニングすることや、永久レジスト膜などの有機膜をパターニングしたものでも良い。この方法は凸部を容易に高く形成することができる。
次に、凹部151が形成された第2の基板132を用意する(図2(d)、図3のS4)。凹部151は、余分な接着剤123を貯めることができる接着剤の逃げ溝として機能する。次に、第1の基板131の第1の貫通孔2と同様の方法で、第2の基板132に第2の貫通孔3を形成する。そして、第2の面5上に接着剤123を塗布する(塗布工程)(図2(e)、図3のS5)。第2の面5とは、第1の面4と接合される面のことである。
次に、第1の基板131と第2の基板132とを接合する(接合工程)(図2(f)、図3のS6)。第1の基板131と第2の基板132とをアライメント装置によって位置合わせをして、クランプ機構などにより基板を挟むことで仮固定する。そして、仮固定した第1の基板131および第2の基板132を接合装置に移す。接合装置内で所定の温度まで第1の基板131および第2の基板132を加温した後、所定の時間及び圧力で押圧することで接合する。これらの接合パラメータは接着材料に応じて適切に設定される。また接合部への気泡の混入を抑制することから真空中で接合することが好適である。
最後に、第1の基板131上に流路形成部材118および吐出口形成部材119を形成し、液体吐出ヘッド1が完成する(図2(g)、図3のS7)。例えば、ドライフィルムレジストを第1の基板131上に貼り合わせ、その後、露光・現像することによって流路形成部材118および吐出口形成部材119を形成する。
なお、上記の記載においては、第1の基板131に複数の凸部121が形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。即ち、第2の基板132に凸部121が形成されていてもよい。さらには、第1の基板131および第2の基板132の両方に凸部121が形成されていてよい。また、第2の基板132に凹部151が形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。即ち、第1の基板131に凹部151が形成されていてもよい。さらには、第1の基板131および第2の基板132の両方に凹部151が形成されていてよい。まとめると、2つの基板の接合面(第1の面4および第2の面5)に凸部121および凹部151が形成されていればよい。また、第2の基板132に接着剤123を塗布したが、第1の基板131に接着剤123を塗布してもよい。
(凸部の配置)
図4は、第1の基板131と第2の基板132とを接合した際の、凸部121周りの拡大断面図である。なお、図4は、図1および図2に示す図とは上下反転して図示しており、また、凹部151の図示は省略している。図4(a)は、比較例としての構成を示す図である。図4(b)は、本実施形態を示す図である。第1の基板131に形成された凸部121が第2の基板132と接触することで、凸部121は2つの基板の変形を抑制するための柱として機能する。これにより、第1の基板131と第2の基板132との接合時に加わる圧力により第1の基板131および第2の基板132が過度に変形してしまうことを抑制することができる。凸部121が2つの基板の接合面を支えることとなり、第1の基板131及び第2の基板132との間との距離(ギャップ)を略一定に保つことができる。これにより、第1の基板131と第2の基板132とのギャップが狭まることによる接合面からの接着剤123のはみ出し、延いては、接着剤が流路等に流動してしまうことを抑制することができる。ここで、接合面とは、第1の基板131の第1の面4および第2の基板132の第2の面5のことをいう。
しかしながら、図4(a)に示すように、互いに隣り合う凸部同士の配置間隔(凸部間隔)dが大きいと、凸部121が形成されていない部分の基板を支えるものが近くに何もないことになる。このため、接合工程において基板を押圧(プレス)した際に、第1の基板131と第2の基板132のどちらかが大きく変形してしまうことがある。なお、このとき、基板の変形量がより大きいのは、厚さが薄い方の基板であり、図4(a)においては、第2の基板132である。基板が大きく変形することにより、基板間のギャップが小さくなり、接着剤123が潰れ、接合面からの接着剤123のはみ出し量が大きくなってしまう。なお、凸部間隔dとは、互いに隣り合う2つの凸部の中心間の距離である。
そこで、本実施形態においては、図4(b)に示すように、凸部間隔dを距離dc以下にする(距離dcの求め方は後述する)。凸部間隔dを距離dc以下にすることで、適切な密度で凸部121を形成することができる。これにより、基板が大きく変形してしまうことを抑制することができる。その結果、接合面からの接着剤のはみ出しをより抑制することができる。なお、凸部間隔dが距離dcより大きい場合には、図4(a)のように基板が大きく変形する。基板が大きく変形するとは、基板同士がほぼ接触するほど(基板間の距離が1μm以下になるほど)変形する場合のことである。つまり、接合工程の際に基板をプレスしたとしても、凸部間隔dを距離dc以下にすることにより、第1の基板131と第2の基板132が接触するほど(基板間の距離が1μm以下になるほど)変形してしまうことを抑制することができる。なお、複数の凸部121が基板上に形成されているため、凸部間隔dは複数抽出することができるが、本発明においては、複数抽出される凸部間隔dのうち、少なくともいずれか1つの凸部間隔dが距離dc以下となっていればよい。しかしながら、基板の変形をより抑制する観点から、抽出されるすべての凸部間隔dが距離dc以下であることがより好ましい。
(凸部間隔)
前述した距離dcの計算式を導出するため、凸部高さ、基板の厚さおよび接合時のプレス圧力に対する距離dcの依存性について、発明者らは検証した。
第1の基板131として厚さ725μmの8インチ片面研磨シリコン基板、第2の基板132として厚さ625μmの8インチ両面研磨シリコン基板を使用した。そして、第1の基板131の第1の面4に凸部121として直径300μmの円柱を複数形成した。ここで、凸部高さH[μm]とは、第1の面4から凸部の頂点までの高さのことをいう。第2の基板132にベンゾシクロブテン樹脂を0.5μmの厚さで形成し、プレス圧力0.0636MPaで第1の基板131と第2の基板132とを接合した。そして、接合したものを赤外線顕微鏡や超音波顕微鏡で観察し、2つの基板間の距離(ギャップ)が1μm以下になっているか否かを確認した。凸部高さH[μm]を段階的に変化させて上記のことを繰り返すことで、凸部高さH[μm]と距離dc[mm]との関係性を調べた。
図5は、その検証結果(凸部高さH[μm]に対する距離d[mm]の依存性)を示す。図5に示すプロットは、実験結果を示している。図5に示す実線は、距離dc[mm]がHのべき乗関数Hα(α=0.75)の依存性を持つと仮定したモデルの計算結果を示している。凸部高さH[μm]が増加するとd[μm]も増加していく。本発明者らの検討によれば、図5に示すように、距離d[mm]はH[μm]のべき乗関数Hα(α=0.75)の依存性を持つと仮定したモデルで実験結果を説明できることが分かった(プロットと実線が一致していることが分かる)。
次に、第2の基板132の厚さT[μm]を変化させて、基板の厚さT[μm]と距離dc[mm]との関係性を調べた。第2の基板132として、第1の基板131の厚さを超えない範囲、即ち、厚さ150~625μmのシリコン基板を用意した。第1の基板131に形成される凸部高さHは2~9.5μmのものを用意した。他の条件は図5と同じ条件である。
図6は、その検証結果(基板厚さT[μm]に対する距離d[mm]の依存性)を示す。図6に示すプロットは、実験結果を示している。図6に示す実線は、距離dc[mm]がTのべき乗関数Tβ(β=0.4)の依存性を持つと仮定したモデルの計算結果を示している。なお、本発明において、基板厚さT[μm]とは、2つの基板(第1の基板131および第2の基板132)のうち薄い方の基板の平均厚さのことである。薄い方の基板の平均厚さをT[μm]として、以下説明する基板厚さT[μm]と距離dc[mm]の関係性を導出している。図6の条件下においては、第2の基板132の方が薄いため、基板厚さT[μm]として、第2の基板132の厚さを採用している。図6に示すように、基板厚さT[μm]が大きいほど距離d[mm]は増加する。本発明者らの検討によれば、図6に示すように、距離d[mm]はT[μm]のべき乗関数Tβ(β=0.4)の依存性を持つと仮定したモデルで実験結果を説明できることが分かった(プロットと実線が一致していることが分かる)。
最後に、接合時のプレス圧力P[MPa]を変化させて、プレス圧力P[MPa]と距離dc[mm]との関係性を調べた。凸部高さH[μm]として4.5μmと9.5μmのものを用意した。他の条件は、図5と同じ条件である。
図7は、その検証結果(プレス圧力P[PMa]に対する距離d[mm]の依存性)を示す。図7に示すプロットは、実験結果を示している。図7に示す実線は、距離dc[mm]がPのべき乗関数P-γ(γ=0.15)の依存性を持つと仮定したモデルの計算結果を示している。図7に示すように、接合時の圧力Pが大きくなるほど距離dは減少していく。発明者らの検討によれば、図7に示すように、距離d[mm]はP[MPa]のべき乗関数P-γ(γ=0.15)の依存性を持つと仮定したモデルで実験結果を説明できることが分かった(プロットと実線が一致していることが分かる)。
以上の検証結果から、発明者によるとd[mm]は以下の式(1)で表現できることがわかった。
=C*Hα*tβ*P-γ (1)
ただし、Hは凸部高さ[μm]、T[μm]は接合する2つの基板のうち薄い方の厚さ[μm]、P[MPa]は接合時の圧力である。他のパラメータは定数であり、C=0.1694、α=0.75、β=0.4、γ=0.15である。よって、式(1)は次式(2)で表される。
dc=0.17H0.750.40-0.15 (2)
正確には、基板の弾性率が高いほど距離dcは小さくなる。したがって、距離dcは基板の弾性率にも依存することになる。上記の式(1)、(2)は、基板のヤング率が100G以上の場合に成り立つ式である。
接着剤を塗布した基板を接合する場合においては、例えば、プラズマ活性化接合のように自発的に接合が進むことはない。そのため、接着剤をある程度の圧力でプレスすることが必要である。さもないと、接合面にボイドが発生したり、接着剤が接合面になじまず、剥がれてしまう恐れがある。接合時にボイドを発生させず、且つ、二組の基板を密着させるには、少なくとも圧力Pは0.001MPa以上でプレスすることが必要である。
また、圧力Pは100MPa以下に抑えることが必要である。なぜなら過剰な圧力でプレスすると突起、及び、窪みが形成された基板が圧力によって割れてしまうためである。
従って、本発明における圧力Pの好適な範囲として、0.001MPa以上100MPa以下である。その時、好適なdcの範囲は上記の式(2)を用いては以下の式(3)で表せる
0.0017H^0.75T^0.40 ≦ dc ≦170H^0.75T^0.40 (3)
基板の変形をより抑制する観点に加えて、接合ボイドの抑制し、且つ、基板や凸部の割れ防止の観点から、抽出されるすべての凸部間隔dが式(3)の範囲にあることがより好ましい。
(流路と凸部との位置関係)
接合面における流路の開口と凸部121との位置関係について説明する。図8は、第1の基板と第2の基板とを接合した際の平面透過図である。なお、凹部151は省略して図示している。白抜きの細長い長方形で示されるものが第2の貫通孔3、破線で示されるものが第1の貫通孔2、一点鎖線で示されるのが基板の外縁(液体吐出ヘッドの外縁)141、長方形形状で示されるものが凸部121である。dcの距離は矢印で示している。
図8(A)は、流路(第2の貫通孔)3どうしの間にすべての凸部121が形成されている例を示す。凸部間隔である距離X1,X2、X3はdc以下に設計されている。凸部121を流路どうしの間に形成することで、特に流路周辺の基板の変形を抑制することができ、接着剤が流路に流動してしまうことを抑制することができる。
図8(B)は、基板の外縁141と流路3との間に凸部121を形成した例を示す。凸部間隔dである距離X4,X5、X6、X7は、いずれもdc以下に設計されている。外縁141と流路3との間の領域には、電極や駆動回路、ダイシングラインが設置されている。これらの領域には凹部(逃げ溝)が無い、もしくは少ないため、接着剤の逃げ場がない。したがって、この領域の接着剤が潰れると、流路まで流動してくる接着剤の量は多くなり、影響は深刻である。そこで、図8(b)のように、外縁141と流路との間に凸部121を形成することで、接着剤の流路への流動抑制に大きな効果がある。
図8(C)は、基板の外縁141に近い凸部121どうしを結んだときに形成される領域A(閉曲線A)の中に流路の開口3が全て含まれる。さらに領域Aの中で、凸部間隔dである距離X8,X9、X10、X11、X12、X13は全てdc以下である。このように凸部121を形成することで、少なくとも領域Aでは第1の基板131と第2の基板132の変形を大幅に抑制し、接着剤の接合面からの流動をより抑制することができる。
次に他の観点から、凸部と流路開口部との位置関係ついて説明する。製造工程では様々な要因でウエハ上に異物が混入することがある。もし異物が凸部の接合面(上面)上に発生すると、異物を核とした空隙(ボイド)になりやすい。ボイドが発生するとその部位を通過してインクが漏れてしまい吐出性能に悪影響を及ぼす。
凸部の接合面(上面)に発生する異物がボイドになりやすりことを考慮すると、凸部121は流路開口部から離れていることが好ましい。また、流路以外の凹部に対しても、離れていることが好ましい。なぜなら、もし流路開口部と凸部121が接触した状態で、凸部の接合面(上面)に異物ボイドが発生すると、凹部とボイドとが不所望に連通してしまう。その結果、凹部が接着剤でシールされなくなり、凹部が果たすべき機能が損なわれてしまう。
流路以外の凹部として、凹部が機能素子を格納・パッケージングする機能を有する場合は、凹部がボイドと連通するごとで各種気体が凹部へ侵入する。或いはインクが凹部に侵入する。その結果、機能素子が機能不全になる恐れがある。また、凹部が各種アライメントマーク(接合ズレ計測マークや接合アライメントマークなど)の機能を有する場合は、ボイドがアライメントマークの視認形状を変えてしまい認識できなくなる恐れがある。
さらに無効チップ領域まで含めてウエハ内の全領域に凸部を形成し、ウエハ内で、再隣接凸部の中心間の距離がd以下であり、さらに再隣接凸部の中心間距離がdよりも大きな距離で凸部を置ける場所がないようにすることで、ウエハ内の全領域で第1の基板と第2の基板とのギャップを維持できる。その結果、チップ内部の流路に対して接着剤が流動することを一層に防止できる。
そこで、凸部121は、流路の開口部、或いは、流路以外の凹部の開口部と接触していないことが好ましく、より好適にはこれらの開口部から離れるほど良い。特にチップ外周付近は、一般的には凹部開口部が存在せず、且つ、凹部開口部から最も離れている位置になるため、凸部121を配置する場所として好ましい。
例えばウエハをチップ形状に小片化するために、切断するツール(ダイシングブレードやレーザーなど)が接触するラインであるチップ切断ライン(ダイシングラインなど)は、通常はチップ最外周部にあるため、凸部121を配置する位置として好ましい。図9に好ましい例を示す。ウエハ上においてチップ境界ライン141によって各チップ領域が分けられている。各チップではダイシングなどでチップ分離するために加工される領域(ダイシングライン)と、加工されない領域との境界部(ダイシングラインの境界部145)よりもチップ外側に凸部接合面146が配置されている。
製品用に使用される有効チップ領域148は、ウエハエッジ147からある程度離れたウエハ中心側に形成される。図9のように、有効チップのダイシングライン領域に凸部121が形成され、且つ、凸部間隔d(図7中に示される)は、dc(図7中に示される)以下で配置されていれば、有効チップでの基板変形を抑えられ、接着剤が潰れることを防止できる。
さらに、図9のように、有効チップ領域148よりもウエハエッジ147側に存在する無効チップ領域149についてもダイシングライン領域に凸部121を形成すれば、無効チップ領域149でも接着剤が潰れて有効チップ領域148まで流動してくることを抑制できるため好適である。
またダイシングラインに凸部121があると、チップ切断時に凸部121によって不具合を起こす可能性もあるため、ダイシングラインに隣接したチップ外周付近に凸部121を設置しても良い。さらには二組のダイシングラインが交わる交点に隣接したチップ各角部に設置してもよい。その場合は、チップ切断工程が凸部121による悪影響を受けることなく、且つ、チップ全体渡ってギャップを維持することができるため、好適である。
本発明の好ましい凸部形状について説明する。図5~7で調べたサンプルと同じ製法で作製した凸部付き基板とベアシリコン基板とを接着剤がない状態でプレスした。プレスは十分に強い圧力として0.063MPaで行い、プレス後の基板同士が接合した状態で凸部状態を赤外線顕微鏡で観察し、破壊の有無を観察した。その結果を図10に示す。
図10より、圧力が同じでも凸部の直径が小さいほど割れやすくなっている。径が大きいものは破壊されにくくφ100μm以上の凸部であれば破壊は観察されていない。凸部のような微小な構造体は一般に端部近傍が脆いため、接合面の径が小さい凸部では端部の影響が大きくなったため壊れてしまったものと推測される。
従って、凸部の接合面形状は、端部の影響を減らすために幅を広くした方が好ましく、接合面についてX方向とY方向の幅の両方を100μm以上にすることが好適である。このようにすることで、凸部がプレスで破壊されることを防止できる。
図11に流路開口部形状と凸部形状の例を示す。図11(a)のように凸部121が流路開口部3を取り囲んでしまうと好適ではない。なぜなら、第一の理由として、前述のように凸部接合面に発生しうる異物ボイドにより、流路開口部からリークを引き起こす可能性が高くなる為である。第二の理由として、接合したときに凸部121が追い出す接着剤が流路開口部3まで流動し閉塞しやすくなるためである。凸部接合面と接触する接着剤部分は接合時に追い出されてしまう。もし流路開口部3を取り囲んでしまうと全周囲方向から逃げ場がない接着剤が流路開口部3に向かって流動してしまう。
従って凸部121を流路開口部3の近くに配置する場合は、図11(a)のように凸部121が流路開口部3の周囲を連続的に取り囲む状況は避け、図11(b)に示すように、一部不連続部を設けることで、接着剤が流路開口部3側に流動しづらくなる。
さらに図11(c)のように流路開口部3の1辺のみに隣接させるように、凸部121の形状と位置を設定すれば、一層に接着剤の流動を抑えられるためより好適である。ここで隣接するとは、流路開口部を有する複数の辺のうちのある一辺が、凸部の全ての部分に対して最短になっているという意味である。
以上で議論したように、凸部121が第1の基板131と第2の基板132との変形による接近を防止するためには、凸部同士の間隔を小さくすることが有効であり、それは凸部の数を増やすことにつながる。また凸部121を壊さないようにするためには凸部の幅を増やすことが有効である。
一方で、異物が凸部の接合面以外の部分に発生した場合、第1の基板と第2の基板との接合面のギャップに異物が埋没させることができるため、異物ボイドの発生を抑えることができるのが、本発明のメリットの一つである。
異物が凸部接合面上に発生する確率は、第1の基板131と第2の基板132との接合面積に対する全凸部接合面の面積の比率Xに比例するものと考えられる。従って、凸部の数は基板同士のギャップを維持するのに必要な最小限の数にすることが好ましく、凸部の面積はプレス時に壊れない範囲で最小の面積にすることが好ましい。
Xが0.5以下に設計すれば、少なくとも異物が凸部に発生しない確率の方が、発生する確率よりも高くなるため好ましい。さらに異物が発生する確率は正規分布に従うと仮定し、標準偏差をσとすると、Xは0.317以下であれば異物が凸部に発生する確率を1σの範囲外に抑えられ、ボイド発生率を大きく減らせるので好ましい。Xが0.0027以下であれば3σの範囲外に抑えられるので、品質管理上から考えて高いレベルを達成できるので好ましい。
Xをこのような範囲まで小さくするためには、凸部の数を減らすことが有効である。そのため、式(1)や式(2)のうち、凸部高さHを高くすることで、dcを増大させることが有効である。
また、本発明では接着剤が押しつぶされて流路へ接着剤が流動することが殆どないので接着剤を厚くしやすい。接着剤を厚くできるので凸部高さHも高くしても、基板間のギャップが接着剤不足により充填できない不具合も殆どない。
凸部高さHを高くするほど、上記のように異物が凸部のない領域に発生させやすくなるが、同時に接合面のギャップが増大するため、より大きな異物が発生しても接着剤の中に埋没させやすくなる。これらはより大きな異物が発生しても、それがボイドになりにくくできることを意味する。このように、本発明は、接着剤の流路への流動を抑制することと、異物が引き起こすボイドの発生を抑制することを両立可能である。
凸部として効果を発現するためには、Hとしては0.5μm以上が好ましいが、前記のように、凸部間の距離を広げることを考えると、より好適な範囲として3μmよりも大きいことが好ましい。一方で凸部が高くなりすぎると、ギャップを充填すべき接着剤の量が膨大になり、接着剤応力増大によるウエハ反りの増大でその後の加工プロセスを流動できなくなることや、ウエハが割れることが懸念される。したがって、Hは150μm以下が好ましい。
接着剤123の厚さとしては、少なくともインク開口部の周囲を封止してリーク抑制できる厚さであることが好ましい。また、凸部高さHと同じ厚さで転写すれば、第1の基板と第2の基板との間をほぼ充填できるため好適である。ただし、凸部高さよりも厚くしすぎてしまうと、余剰の接着剤が流路に流動してしまうため好ましくない。
本実施の形態では、第1の基板の接合面に凸部121を形成し、第2の基板の接合面には接着剤を形成した例を示したが、この構成に限定されずに第1の基板側に接着剤、第2の基板側に凸部121を形成しても良い。また接着剤を転写する面は、凸部121がない側の基板ではなく、凸部121のある側の基板側であってもよい。
(第2の実施形態)
図13に、第2の実施形態の基板接合体及び液体吐出ヘッドの製造方法を示す。実施の形態1と同じ手法を用いて、第1の基板131と第2の基板132を作製する。
第1の基板131に第一の流路112と第1の貫通孔2を形成し、さらに接合面に凸部121が形成される。一方、第2の基板132の接合面側に第三の流路114を形成する。この時、第三の流路114以外にも凹部形状の逃げ溝151を形成する。その後、第2の基板132側に接着剤123を塗布し、第1の基板と第2の基板とを接合する。
第2の基板132の逃げ溝151は、第1の基板131の凸部121が接合したときに凸部121の体積だけ接着剤を追い出してしまう。追い出された接着剤が流動して、流路へはみ出してしまうことを防止する機能を有する。
逃げ溝151は凸部121の体積分を吸収できれば良いため、大きくする必要がない。少なくとも凸部121の接合面積と同等の開口面積があれば好適である。また、凸部121が接合する面に逃げ溝151を形成することが好ましい。
なぜなら、凸部121に対向した位置に逃げ溝151があることによって、第一のメリットとして接着剤123が凸部121に押されたときに逃げ溝151に入っていきやすいことがある。また第二のメリットとして、逃げ溝開口部152と凸部接合面155を重ねることができるためチップ面積をシュリンクしやすい。特に凸部接合面155の中に逃げ溝開口部152を収めるようにすれば、逃げ溝のために確保すべき追加スペースは不要になる。
少なくとも逃げ溝開口部152に凸部接合面155が収まらないくらいに、逃げ溝開口部152の大きさを小さくする必要がある。そうしないと、凸部121が逃げ溝151内に落ちてしまい、凸部として機能できなくなる恐れがある。
図13に逃げ溝と凸部との相対位置と形状関係の例を示す。図13(a)に示すように凸部接合面155の内部に逃げ溝開口部152が入っていれば、追加スペースを確保する必要がないためチップシュリンク上有利である。
また、図13(b)に示すように逃げ溝151が複数に分割されていてもよい。その場合、図11(a)のように単一の溝がある場合に比べて、凸部接合面155が第2の基板側から受ける圧力をより均一化できる。そのため、凸部接合面155の一部に荷重が集中して凸部121が壊れるリスクを低減できる。
さらに図13(c)のように逃げ溝開口部152は凸部接合面155よりもはみ出していてもよく、少なくとも、逃げ溝開口部152の一部が凸部接合面155に接触していれば良い。なぜなら、凸部によってプレスされることで、接触している逃げ溝開口部分に接着剤が効率的に流動し、逃げ溝全体に接着剤が流動していくためである。逃げ溝151のどこかが凸部121に接触していれば良いので、逃げ溝151をより大きくできるメリットがある。
本発明の逃げ溝151は凸部の接合面に局所的に形成すればよいため、逃げ溝面積を大きくする必要がない。そのため、基板強度が低下する恐れが少ない。また本発明では、前述のとおり凸部は流路開口部から遠い位置に形成することが好ましいため、逃げ溝151も流路から離れた部分に形成される。(図10(e)で第三の流路114から離れた位置に形成される。)そのため、加工工程中に基板が受けるダメージなどで第三の流路114と逃げ溝151との間を跨ぐようなクラックが発生してしまうリスクが少ない。
逃げ溝151は第三の流路114と同時に加工しても良く、別々に加工してもよい。また凸部121と逃げ溝151は、別々の基板に独立して形成されるため製法上簡便に形成できる。逃げ溝151の製法については実施の形態1で説明した流路の製法を使用できる。また接着剤を塗布する側は、第2の基板132側としたが、第1の基板131側でもよい。同じ効果が期待できる。塗布方法も実施の形態1で説明したものが使用できる。
本実施の形態によって、凸部121により基板間の接着剤が潰されることを防止しつつ、凸部121が追い出す接着剤の流動も防止できるため、より一層に流路開口部への接着剤流動を抑えることができる。
接合した後は、実施の形態1と同様な方法で接着剤を硬化して、接合基板の上に吐出口形成部材を形成して液体吐出ヘッドが完成する。
第1の基板として、フォトリソグラフィ工程により、8インチシリコン基板(厚さ:730μm)の表面(ミラー面)上にアルミの配線、酸化シリコン薄膜の層間絶縁膜、窒化タンタルのヒータ薄膜パターン、外部の制御部と導通させるコンタクトパッドを形成した。
第1の基板の表面に厚さ180μmの紫外線硬化テープを保護テープとして張り合わせ、第1の基板の第1の面4を研削装置によって基板厚さ500μmまで薄加工した。その後、研削した面を平滑化するためにCMP装置によって研磨した。CMP装置でコロイダルシリカを主成分とするスラリーとポリウレタン系の研磨パッドを用いて平滑化した後に、アンモニア8重量%、過酸化水素水8重量%、純水84重量%との混合液からなる洗浄液を用いて研磨面を洗浄してスラリーを除去した。
その後、第1の基板の第1の面4側に凸部用マスクを形成した。凸部用マスクは実施の形態1で説明した凸部を加工するためのマスクである。材料はポリアミド樹脂をスピン塗布法によって厚さ2μmで基板全体に塗布し、250℃1Hの熱処理によって硬化させた。その後、ノボラック系レジストをその上に塗布し、両面アライメント露光装置により露光をし、現像装置によって現像してレジストをパターニングした。レジスト越しにOガスとCFガスを放電させたプラズマを用いてドライエッチングを実施し、凸部用マスクを加工した。エッチング後、レジストを除去し、凸部用マスクが完成した。
次に、第二の流路を加工するためのレジストマスクを、上記と同じ手段で第1の基板の裏面側に形成した。その後、第二の流路となる溝をエッチング加工した。エッチングとして、SFガスによるエッチングとCFガスによる堆積を繰り返すボッシュプロセスを用いた。平均の溝深さが300μmになったらエッチングを停止した。保護テープに紫外線を照射して除去した後、ヒドロキシルアミンを主成分とする剥離液でレジストやエッチング堆積物を除去した。
次にウエハ裏面側に保護テープを張り合わせ、表面側にレジストマスクを形成し、基板の表側から複数のホールから構成された第一の流路をドライエッチングにより加工した。エッチング後、保護テープを除去し、剥離液によりレジストや堆積物を除去した。
第1の基板の表面側に再度保護テープをラミネートし、基板裏面側に形成されている凸部用マスク越しに、ボッシュプロセスを用いて3μmの深さを加工して、接合面に凸形状から構成された凸部を形成した。部形成後に、酸素プラズマによるアッシングにより、凸部用マスクを除去した。凸部は図に示すような配置で形成した。
第2の基板として、厚さ300μmの表裏面がミラー加工されたシリコン基板を準備した。接着剤としてベンゾシクロブテン樹脂溶液を用いて、第2の基板の表面に3μmの厚さで塗布した。その後、第2の基板を100℃4分の条件でベークして接着剤中の溶剤を揮発させた。
次に、第1の基板と第2の基板とを接合アライメント装置を用いてアライメントして、ウエハ端部の2か所をクランプ治具で加圧することで仮固定した。仮固定した試料を接合装置内に移し、真空中で150℃まで昇温し3000N 5min間加圧接合した後、試料を冷却して接合装置から取り出した。その後、試料は別途窒素雰囲気中のオーブン内で、250℃1時間の熱処理を実施して硬化させた。
その後、第1の基板側に保護テープを形成し、第2の基板の裏面側に第三の流路を加工するためのレジストマスクを形成する。ボッシュプロセスを用いて第三の流路を加工していく。第三の流路を加工後、底部に暴露された接着剤層をCF4とO2の混合ガスをRF放電させることで、ドライエッチング加工して第二の流路と第三の流路とを連通させる。保護テープを除去したあと、ヒドロキシルアミンを主成分とする剥離液でレジストやエッチング堆積物を除去した。
第1の基板表面に、エポキシ樹脂から構成されたネガ型のドライフィルムを張り合わせ、露光と現像することにより、吐出口形成部材の壁を形成した。さらにその上からドライフィルムを張り合わせ、露光、現像することにより、吐出口形成部材の天板を形成した。オーブン中で試料を200℃1時間の条件で熱処理することにより、吐出口形成部材を硬化させて、液体吐出ヘッドを作製した。
1 液体吐出ヘッド
4 第1の面
5 第2の面
121 凸部
123 接着剤
131 第1の基板
132 第2の基板
151 凹部

Claims (20)

  1. 第1の面を有する第1の基板と、第2の面を有する第2の基板と、を備え、
    前記第1の面と前記第2の面とが接着剤により接合されている液体吐出ヘッドの製造方法において、
    第1の基板および第2の基板を用意する用意工程と、
    前記第1の面および前記第2の面の少なくともどちらか一方に接着剤を塗布する塗布工程と、
    前記第1の基板および前記第2の基板に圧力を加えて前記第1の面と前記第2の面とを接合する接合工程と、
    を有し、
    前記用意工程での前記第1の基板の前記第1の面および前記第2の基板の前記第2の面の少なくともどちらか一方には、凹部および複数の凸部が形成されており、
    前記複数の凸部のうち互いに隣り合う凸部同士の配置距離を凸部間隔としたときに、前記複数の凸部から得られる複数の前記凸部間隔のうち少なくともいずれか1つは、次式で表されるdc[mm]以下であることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
    dc=0.17H0.750.40-0.15
    ただし、前記第1の基板および前記第2の基板のヤング率は100GPa以上であり、T[μm]は前記第1の基板および前記第2の基板のうち厚みが小さい方の基板の厚さであり、H[μm]は前記凸部が形成されている前記第1の面または前記第2の面から該凸部の頂点までの高さであり、P[MPa]は前記接合工程における前記圧力である。
  2. 複数の前記凸部間隔のすべてが前記dc以下である請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記第1の基板および前記第2の基板には複数の流路が形成されており、
    前記凸部は、前記複数の流路の間の領域に形成されている請求項1または2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 第1の基板と第2の基板との接合面積に対する、前記複数の凸部の接合部面積の総和の比率は、0.5以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 第1の基板と第2の基板との接合面積に対する、前記複数の凸部の接合部面積の総和の比率は、0.317以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 第1の基板と第2の基板との接合面積に対する、前記複数の凸部の接合部面積の総和の比率は、0.0027以上である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記凸部のうち少なくとも一部が、前記凹部の開口部と接触していないことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記凸部は、前記凹部開口部の周囲を囲んでいないことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記第1の基板と前記第2の基板との接合基板は、チップ領域を有し、
    前記凸部のうち少なくとも一つは、前記凹部開口部よりもチップ領域外側に配置されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  10. 前記第1の基板と前記第2の基板による接合基板はチップ領域を有し、
    前記凸部のうち少なくとも一部は、前記凹部開口部よりもチップ領域外側に配置され、且つ、それらを結んだ線で形成される閉曲線Aは、前記チップ領域内のすべての凹部開口部を囲み、
    且つ、閉曲線Aの内部では、隣接する前記凸部との距離をdよりも広くして凸部を置ける場所がないことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  11. 前記第1の基板と前記第2の基板による接合基板は、複数のチップ領域を有し、前記複数のチップ領域に渡って、隣接する前記凸部との距離をdよりも広くして凸部を置ける場所がないことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  12. 前記第1の基板と前記第2の基板による接合基板は複数のチップ領域を有し、
    前記複数のチップ領域を小片化するための切断領域が前記チップ領域の周囲に設けられており、
    前記凸部のうち少なくとも一部は前記切断領域の上に形成されている請求項1ないし11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  13. 前記凸部の接合面の幅は100μm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  14. 前記凸部の高さは0.5μmよりも大きい請求項1ないし13のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  15. 前記凸部の高さは3μmよりも大きい請求項1ないし13のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  16. 前記凸部の高さは150μm以下である請求項1ないし13のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  17. 前記凸部は、前記第1の基板をエッチング加工することによる形成する請求項1ないし16のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  18. 前記第1の基板と前記第2の基板の材料は、シリコン、炭化シリコン、窒化シリコン、SUS、アルミナ、サーメット、炭化ホウ素、ジルコニア、ムライト、窒化ガリウム、窒化アルミから選ばれる請求項1ないし17のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  19. 前記圧力Pは、0.001MPa以上100MPa以下である請求項1ないし18のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  20. 第1の面を有する第1の基板と、第2の面を有する第2の基板と、を備え、
    前記第1の面と前記第2の面とが接着剤により接合されている液体吐出ヘッドにおいて、
    前記第1の基板の前記第1の面および前記第2の基板の前記第2の面の少なくともどちらか一方には、凹部および複数の凸部が形成されており、
    前記複数の凸部のうち互いに隣り合う凸部同士の配置距離を凸部間隔としたときに、前記複数の凸部から得られる複数の前記凸部間隔のうち少なくともいずれか1つは、次式で表されるdc[mm]の範囲であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
    0.0017H0.750.40 ≦ dc ≦170H0.750.40
    ただし、前記第1の基板および前記第2の基板のヤング率は100GPa以上であり、T[μm]は前記第1の基板および前記第2の基板のうち厚みが小さい方の基板の厚さであり、H[μm]は前記凸部が形成されている前記第1の面または前記第2の面から該凸部の頂点までの高さである。
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