JP2022174492A - ガラス板の製造装置及びガラス板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラスリボンを折割って被切出部をガラス板として切り出すに際し、被切出部の保持に失敗する可能性を減らすこと。【解決手段】縦姿勢で下方に搬送中のガラスリボン2を折割って幅方向に切断することで、ガラスリボン2から被切出部3をガラス板4として切り出す、ガラス板の製造装置1について、被切出部3を保持しながらガラスリボン2を折割る折割機構8を備え、折割機構8が、正規位置P1にある被切出部3を捉えて保持する保持部材10と、保持部材10による保持に先行して被切出部3の正規位置P1からの厚み方向への位置ずれを矯正する矯正部材11と、を備えるようにした。【選択図】図3
Description
本開示は、ガラス板の製造技術に関する。
周知のように、ガラス板を製造するための手法の一つとして、ダウンドロー法により成形したガラスリボンを縦姿勢で下方に搬送しながら折割ることで、ガラスリボンからガラス板を切り出す手法が挙げられる。特許文献1には、同手法の具体的な形態の一例が開示されている。
同文献に開示された形態では、まず、縦姿勢で下方に搬送中のガラスリボンの一方面に対して、幅方向に延びる切断予定線に沿ってスクライブ線を形成する。その後、ガラスリボンを他方面側から支点バーで支持した状態の下、支点バーを支点に切断予定線を含む部位を一方面側が凸となるように湾曲させる。これにより、切断予定線に沿ってガラスリボンを折割って切断する。
ガラスリボンを折割るにあたっては、当該ガラスリボンにおける切断予定線よりも下方に存する被切出部(ガラス板として切り出される部位)を折割アームに保持させる。折割アームは、被切出部における幅方向の一方側端部を保持するチャックと、他方側端部を保持するチャックとを備えている。各チャックは、端部を表裏から挟む一対の爪部を有する。一対の爪部は、端部を挟んで保持した閉状態と、端部の保持状態を解放して閉状態の時よりも幅方向外側に退避した開状態との切り換えが可能である。
上述の形態では、ガラスリボンの反りに起因して、折割アームによる被切出部の保持に失敗してしまう場合があった。詳述すると、反りによって被切出部が本来あるべき位置から許容範囲を超えて厚み方向に位置ずれを起こしていると、一対の爪部が被切出部の端部を捉えること(挟むこと)が不可能となる。その結果、被切出部の保持に失敗することがある。
以上の事情に鑑みて解決すべき技術的課題は、ガラスリボンを折割って被切出部をガラス板として切り出すに際し、被切出部の保持に失敗する可能性を減らすことである。
上記課題を解決するためのガラス板の製造方法は、縦姿勢で下方に搬送中のガラスリボンの被切出部を保持しながら折割る折割機構によりガラスリボンを折割って幅方向に切断することで、ガラスリボンからガラス板を製造するための方法であって、被切出部が正規位置にある場合、折割機構により被切出部を捉えて保持してガラスリボンを折割り、被切出部が、正規位置から厚み方向に位置ずれを生じていた場合、被切出部の位置を正規位置に矯正した後に、折割機構により被切出部を捉えて保持してガラスリボンを折割りすることを特徴とする。
本製造方法では、被切出部が正規位置から厚み方向に位置ずれを起こしている場合、折割機構が被切出部を捉えて保持するのに先行して、位置ずれを矯正している。そして、上述のごとく被切出部の位置ずれが矯正された後で、折割機構が被切出部を捉えることから、本製造方法では、折割機構によって確実に被切出部を保持できる。以上のことから、本製造方法によれば、ガラスリボンを折割って被切出部をガラス板として切り出すに際し、被切出部の保持に失敗する可能性を減らせる。
上記課題を解決するためのガラス板の製造装置は、縦姿勢で下方に搬送中のガラスリボンを折割って幅方向に切断することで、ガラスリボンから被切出部をガラス板として切り出すための装置であって、被切出部を保持しながらガラスリボンを折割る折割機構を備え、折割機構が、正規位置にある被切出部を捉えて保持する保持部材と、保持部材による保持に先行して被切出部の正規位置からの厚み方向への位置ずれを矯正する矯正部材と、を備えることを特徴とする。
本装置によれば、上記のガラス板の製造方法と同様の作用効果を享受できる。
上記の構成では、矯正部材が、被切出部の表裏で対となる一対のガイドを有し、一対のガイドは、正規位置を間に挟んだ状態で両ガイドが接近するのに伴って、被切出部の位置ずれを矯正することが好ましい。
このようにすれば、矯正部材に備わった一対のガイドが正規位置を間に挟んだ状態で接近することで、両ガイド間に存在する被切出部が両ガイドにより正規位置へと誘導され、これに伴って位置ずれが矯正される。そして、上述のごとく被切出部の位置ずれが矯正された後で、保持部材が被切出部を捉えることから、保持部材によって確実に被切出部を保持できる。
上記の構成では、一対のガイドが最接近した際の相互間距離が、被切出部の厚み寸法よりも長いことが好ましい。
このようにすれば、一対のガイドが最接近した際においても、両ガイドによって被切出部が表裏から挟み込まれて拘束されることがない。そのため、両ガイドによる位置ずれの矯正に際し、被切出部が傷付くことを抑制できる。
上記の構成では、矯正部材が、上下複数段に備わっていることが好ましい。
このようにすれば、複数の矯正部材によって被切出部の位置ずれが矯正されることになるため、より確実に位置ずれを矯正できる。
上記の構成では、上段側の矯正部材から下段側の矯正部材へと順番に、一対のガイドを接近させていくことが好ましい。
このようにすれば、被切出部の全体の位置ずれを迅速に矯正する上で有利となる。これは、被切出部における上方側の部位の位置ずれを矯正するのに付随して、下方側の部位に発生し得る位置ずれが小さくなるためである。
上記の構成では、ガラスリボンの搬送速度に応じて、一対のガイドを接近させる速度が調節されることが好ましい。
このようにすれば、ガラスリボンの搬送速度が相対的に遅い場合には、一対のガイドを接近させる速度を遅くし、位置ずれの矯正に際してガイドと被切出部とが強く衝突することを防止できるため、被切出部が傷付くことを抑制できる。一方、ガラスリボンの搬送速度が相対的に速い場合には、一対のガイドを接近させる速度を速くし、被切出部の位置ずれの矯正を素早く実行できるため、結果として被切出部の迅速な切り出しに貢献することが可能となる。
上記の構成では、保持部材が、被切出部の幅方向端部を表裏から挟む一対の爪部を有したチャックを上下複数段に備え、矯正部材が、最上段のチャックよりも下方で、且つ、最下段のチャックよりも上方に配置されることが好ましい。
このようにすれば、被切出部の位置ずれが矯正された後、チャック(一対の爪部)によって円滑に被切出部の幅方向端部を挟むことができ、保持部材に被切出部を保持させることが可能となる。
上記の構成では、一対のガイドは、開閉動作が可能であると共に、被切出部の位置ずれの矯正に際して幅方向端部と接触し、一対のガイドは、閉動作により両ガイドが接近することで位置ずれを矯正しつつ、両ガイドが幅方向端部の表裏で対向した対向状態となり、開動作により両ガイドが離反しつつ、両ガイドの各々が被切出部のパスラインよりも幅方向外側に退避した退避状態となる、ことが好ましい。
このようにすれば、例えば、一対のガイドが被切出部の位置ずれの矯正を開始した時点から矯正後の被切出部の幅方向端部をチャック(一対の爪部)が挟み終わるまでの時点を除き、一対のガイドの各々を被切出部のパスラインよりも幅方向外側に退避した退避状態に置くことができる。そのため、被切出部を折割機構に搬入する際や、ガラスリボンを折割る際等に、ガイドと被切出部とが接触することを抑制できる。さらに、一対のガイドが位置ずれの矯正に際して被切出部の幅方向端部と接触するため、被切出部における幅方向端部以外の部位が傷付いたり、汚染されたりすることを防止しやすくなる。その結果、製造されるガラス板の品質を向上させる上で有利となる。
上記の構成では、上下方向に沿って観察した時に、一対の爪部よりも一対のガイドの方が長いことが好ましい。
このようにすれば、被切出部が正規位置から厚み方向に顕著に位置ずれしている場合でも、一対のガイドによって被切出部を正規位置に誘導でき、一対の爪部に幅方向端部を捉えさせること(挟ませること)が可能となる。これは、一対のガイドが一対の爪部よりも長いことで、一対の爪部が捉えられない位置にある幅方向端部についても、一対のガイドによれば捉えることができるためである。
上記の構成では、上下方向に沿った幅について、一対の爪部よりも一対のガイドの方が狭いことが好ましい。
このようにすれば、一対のガイドと被切出部とが接触し得る領域の上下方向に沿った幅をより狭くすることが可能となる。これにより、被切出部の傷付きや汚染を一層好適に回避できる。
上記の構成では、保持部材による被切出部の保持が完了した後、一対のガイドが開動作を行って退避状態となることが好ましい。
このようにすれば、保持部材による被切出部の保持が完了した後においては、一対のガイドが被切出部と接触することを防止できるため、一対のガイドがガラスリボンからの被切出部の切り出し等の邪魔になることを抑制できる。
本開示に係るガラス板の製造方法及びガラス板の製造装置によれば、ガラスリボンを折割って被切出部をガラス板として切り出すに際し、被切出部の保持に失敗する可能性を減らすことができる。
以下、実施形態に係るガラス板の製造装置および製造方法について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の説明で参照する各図面に表示したX方向、Y方向、及びZ方向は互いに直交する方向である。
図1を参照する。本実施形態に係るガラス板の製造方法には、ガラス板の製造装置1を用いる。ガラス板の製造装置1(以下、製造装置1と表記)は、縦姿勢で下方に搬送中のガラスリボン2を折割って幅方向(X方向)に切断することで、ガラスリボン2から被切出部3をガラス板4として切り出すための装置である。
ガラスリボン2は、ダウンドロー法(例えば、オーバーフローダウンドロー法等)により成形された帯状のガラスである。ガラスリボン2には幅方向に沿って切断予定線5が延びており、後に切断予定線5に沿ってガラスリボン2の一方面2a上にスクライブ線が形成される。上記の被切出部3とは、ガラスリボン2における切断予定線5よりも下方に存する部位である。被切出部3は、切断予定線5に沿ったガラスリボン2の折割りに伴って切り出され、矩形状のガラス板4となる。
ここで、以下の説明では、ガラスリボン2から切り出される前の被切出部3を「被切出部3」と表記し、ガラスリボン2から切り出された後の被切出部3を「ガラス板4」と表記して区別する。
ガラスリボン2は、幅方向中央に存する有効部6と、有効部6を間に挟んで幅方向両端にそれぞれ存する非有効部7とを含んでいる。有効部6は、後に製品ガラス板となる部位であり、非有効部7は、製品ガラス板とはならずに廃棄される部位である。有効部6の厚みは、一例として1.0mm以下である。なお、図1には有効部6と非有効部7との境界を二点鎖線で表示している。
製造装置1は、被切出部3を保持しながらガラスリボン2を折割るための折割機構8を備えている。折割機構8は、ガラスリボン2を折割るにあたって、ガラスリボン2における切断予定線5を含む部位を一方面2a側が凸となるように湾曲させ、当該部位に曲げ応力を作用させる機能を有する。
折割機構8は、ガラスリボン2を他方面2b側から支持して折割りの支点となる支点部材9と、被切出部3を保持した状態でガラスリボン2の一方面2a側から他方面2b側に向かって移動することで、切断予定線5を含む部位を湾曲させる保持部材10と、保持部材10による保持に先行して被切出部3の厚み方向(Z方向)における位置ずれを矯正する矯正部材11と、ガラスリボン2から切り出したガラス板4を廃棄する場合に、廃棄のために落下中のガラス板4の幅方向への変位を規制する規制部材12とを備えている。
折割機構8は、図示省略の昇降装置により上下方向(Y方向)に沿って昇降動作が可能となっている。折割機構8は、ガラスリボン2の折割時において、ガラスリボン2の下方への搬送速度と同じ速度でガラスリボン2に追従して降下する。これにより、ガラスリボン2の折割時には、折割機構8とガラスリボン2との上下方向における相対的な位置関係が変化しないようになっている。
支点部材9は、ガラスリボン2の幅方向に沿って長尺となるように形成されている。支点部材9は、ガラスリボン2の厚み方向に沿って所在位置の変更が可能である。具体的には、支点部材9は、ガラスリボン2の他方面2bに接触する接触位置と、ガラスリボン2から離反した待機位置との間を移動することが可能である。支点部材9は、ガラスリボン2の折割時には接触位置に存在すると共に、ガラスリボン2の折割時以外には待機位置に存在する。
保持部材10は下記の(1)~(3)の機能を有する。(1)ガラスリボン2の折割前および折割中に被切出部3を保持する機能、(2)ガラスリボン2の折割後にガラス板4を保持する機能、(3)必要に応じてガラス板4の保持状態を解放する機能。そして、ガラスリボン2から切り出したガラス板4に欠けや割れが存在する等、製品とする上での不良が存在する場合、保持部材10はガラス板4の保持状態を解放する。これにより、折割機構8からガラス板4を自由落下させて廃棄することが可能である。
保持部材10は、被切出部3における幅方向一方側と他方側とで対向する一対のアーム13,13を有する。一対のアーム13,13の各々は、上下方向に延びるアーム本体14と、上下複数段(本実施形態では上下五段)に配置された状態でアーム本体14に取り付けられたチャック15とを備えている。一対のアーム13,13の一方および他方に備わった複数のチャック15は、それぞれ被切出部3における幅方向一方側の端部3aの保持用および幅方向他方側の端部3aの保持用となる。
ここで、幅方向一方側の端部3aを保持するための複数のチャック15と、幅方向他方側の端部3aを保持するための複数のチャック15とは、上述したガラス板4の廃棄に際して、本来的に同時にガラス板4の保持状態を解放する構成となっている。しかしながら、完全に同時にガラス板4の保持状態を解放することは極めて困難であるため、保持状態を解放するタイミングに不可避的にずれが生じる。このずれに起因して、ガラス板4が真下ではなく幅方向に変位しながら落下(斜めに落下)してしまう。本問題に対処するために、本製造装置1では折割機構8に規制部材12を設けている(規制部材12の詳細は後述)。
図2を参照する。保持部材10に備わった各チャック15は、被切出部3の端部3aを表裏から挟む一対の爪部16,16と、一対の爪部16,16に開閉動作を行わせるための駆動源となるシリンダ17とを有する。ここで、本実施形態では駆動源としてシリンダ17を採用しているが、これに限定されるものではなく、駆動源としてサーボモータ、電磁アクチュエータ等を採用してもよい。
一対の爪部16,16は、端部3aを挟んで保持した閉状態(図2に実線で示した状態)と、端部3aの保持状態を解放して閉状態の時よりも幅方向外側に退避した開状態(図2に二点鎖線で示した状態)と、の切り換えが可能である。開状態にある一対の爪部16,16は、被切出部3のパスライン(折割機構8への搬入時に被切出部3が通過するライン)よりも幅方向外側に存在する。一対の爪部16,16のそれぞれの先端には、被切出部3の端部3aと直接に接触する接触部16a(図2以外の図面では図示省略)が備わっている。接触部16aは、一例としてゴム等の弾性材で構成される。
一対の爪部16,16は、正規位置P1にある被切出部3(端部3a)を捉えて保持することが可能である。ここで「正規位置P1」とは、ガラスリボン2に反りが発生していない場合に、被切出部3が厚み方向において存在する位置である。一対の爪部16,16は、被切出部3の正規位置P1からの厚み方向への位置ずれが許容範囲内であれば、被切出部3を捉えて保持することが可能である。しかしながら、例えば、図2に二点鎖線で示した位置に被切出部3(端部3a)が存在する場合のように、反りに起因して被切出部3の位置ずれが許容範囲を超えていると、一対の爪部16,16は、被切出部3を捉えること(挟むこと)が不可能となる。本問題に対処するために、本製造装置1では折割機構8に矯正部材11を設けている(矯正部材11の詳細は後述)。
図1を参照する。アーム本体14は、X方向に延びる軸線を中心として回転動作が可能である。アーム本体14は、回転動作に伴って上下方向に平行な鉛直姿勢と、鉛直姿勢に対して傾いた傾斜姿勢とを取ることが可能であり、両姿勢の切り換えが可能である。ガラスリボン2の折割時には、各チャック15が被切出部3を保持した状態の下、アーム本体14の姿勢が鉛直姿勢から傾斜姿勢へと移行する。これによりアーム本体14がガラスリボン2の一方面2a側から他方面2b側に向かって移動し、これに伴ってガラスリボン2における切断予定線5を含む部位を湾曲させる。
矯正部材11は一対のアーム13,13の各々に取り付けられている。各アーム13において、矯正部材11は上下複数段(本実施形態では上下二段)に配置されている。一対のアーム13,13の一方と他方との間で、矯正部材11は同一の高さ位置に存在している。また、矯正部材11は、最上段のチャック15よりも下方で、且つ、最下段のチャック15よりも上方に配置されている。本実施形態においては、矯正部材11の数がチャック15の数よりも少なくなっている。
ここで、本実施形態の変形例として、各アーム13に単一の矯正部材11のみが配置されていてもよいし、上下三段以上の矯正部材11が配置されていてもよい。さらに、一対のアーム13,13の一方と他方との間で、矯正部材11の高さ位置がずれていてもよい。また、チャック15と矯正部材11との両者間における位置関係や数量関係が、本実施形態とは異なっていてもよい。加えて、チャック15と矯正部材11とが規則的に配置されていてもよい。一例として、二段のチャック15につき、一つの矯正部材11が配置される等である。また、最上段のチャック15よりも上に矯正部材11が配置されていてもよい。
図3を参照する。矯正部材11は、一対の爪部16,16が被切出部3(端部3a)を捉えて保持できるように、被切出部3の正規位置P1からの厚み方向への位置ずれを矯正する機能を有する。矯正部材11は、被切出部3の表裏で対となる一対のガイド18,18と、一対のガイド18,18に開閉動作を行わせるための駆動源となるシリンダ19とを有する。ここで、本実施形態では駆動源としてシリンダ19を採用しているが、これに限定されるものではなく、駆動源としてサーボモータ、電磁アクチュエータ等を採用してもよい。
一対のガイド18,18は、正規位置P1を間に挟んだ状態で両ガイド18,18が接近するのに伴って、被切出部3の位置ずれを矯正する。本実施形態では、一対のガイド18,18の各々における形状が直方体状になっている。
詳述すると、一対のガイド18,18は、被切出部3の端部3aの表裏で対向した対向状態(図3に実線で示す状態)と、被切出部3のパスラインよりも幅方向外側に退避した退避状態(図3に二点鎖線で示す状態)と、の切り換えが可能である。そして、一対のガイド18,18は、閉動作により退避状態から対向状態へと移行することで、両ガイド18,18が相互に接近しつつ位置ずれを矯正する。このとき、ガイド18は、被切出部3の端部3aと接触しながら当該被切出部3を正規位置P1へと誘導する。なお、上下二段に配置された矯正部材11のうち、上段側の矯正部材11から下段側の矯正部材11へと順番に一対のガイド18,18が接近し、退避状態から対向状態へと移行する構成となっている。
一対のガイド18,18を接近させる速度は、ガラスリボン2の搬送速度に応じて調節が可能である。例えば、ガラスリボン2の搬送速度が相対的に速い場合には、一対のガイド18,18を接近させる速度を速くし、ガラスリボン2の搬送速度が相対的に遅い場合には、一対のガイド18,18を接近させる速度を遅くすることが可能である。また、一対のガイド18,18を退避状態から対向状態へと移行させるタイミングについても調節が可能である。例えば、ガラスリボン2の折割りにあたって折割機構8に被切出部3を搬入するに際し、被切出部3の全体(上下方向の全長)の搬入が完了した後で、一対のガイド18,18が退避状態から対向状態へと移行する構成であってもよい。この他、一対のガイド18,18が配置された高さ位置を被切出部3が通過した時点で、一対のガイド18,18が退避状態から対向状態へと移行する構成であってもよい。
一対のガイド18,18が最接近した際の相互間距離D(対向状態での相互間距離)は、被切出部3(有効部6)の厚み寸法よりも長くなっている。これにより、一対のガイド18,18が最接近した際においても、一対のガイド18,18の少なくとも一方と、被切出部3の端部3aとの相互間には、隙間が確保された状態となる。ここで、上記の相互間距離Dは、被切出部3の厚み寸法を基準として、3倍~50倍の距離であることが好ましい。これは、一対のガイド18,18により被切出部3の端部3aが表裏から拘束されることを防止しつつも、的確に被切出部3を正規位置P1へと誘導する観点からである。
上述のとおり被切出部3の位置ずれの矯正が完了すると、一対の爪部16,16が開状態から閉状態へと移行し、一対の爪部16,16が被切出部3を保持する。一対の爪部16,16が被切出部3を保持した後には、一対のガイド18,18が開動作により対向状態から退避状態へと移行し、両ガイド18,18が相互に離反しつつ幅方向外側へと退避する。なお、上下二段に配置された矯正部材11のうち、上段側の矯正部材11から下段側の矯正部材11へと順番に一対のガイド18,18が離反し、対向状態から退避状態へと移行する構成となっている。
図2~図4を参照する。上下方向に沿って観察した時(Y方向から観察した時)、爪部16とガイド18との比較において、爪部16の長さL1よりもガイド18の長さL2の方が長くなっている。ここで、長さL2は、長さL1を基準として、1倍超、5倍以下の長さであることが好ましい。一方、上下方向に沿った幅については、爪部16の幅W1よりもガイド18の幅W2の方が狭くなっている。ガイド18の幅W2は、例えば50mm~200mmとすることが好ましい。なお、図4においては、一対の爪部16,16の開状態、及び、一対のガイド18,18の退避状態を実線で示すと共に、一対の爪部16,16の閉状態、及び、一対のガイド18,18の対向状態を二点鎖線で示している。
ここで、本実施形態の変形例として、被切出部3の位置ずれの矯正に際して、下段側の矯正部材11から上段側の矯正部材11へと順番に一対のガイド18,18が接近する構成であってもよいし、上下複数段の矯正部材11において同時に一対のガイド18,18が接近する構成であってもよい。さらに、一対の爪部16,16が被切出部3を保持した後において、下段側の矯正部材11から上段側の矯正部材11へと順番に一対のガイド18,18が離反する構成であってもよいし、上下複数段の矯正部材11において同時に一対のガイド18,18が離反する構成であってもよい。
また、本実施形態の別の変形例として、被切出部3が正規位置P1から厚み方向へ位置ずれを起こしていない場合には、矯正部材11(一対のガイド18,18)が稼働しない構成であってもよい。すなわち、位置ずれを起こしている場合のみ、或いは、位置ずれが許容範囲を超える場合にのみ、矯正部材11が稼働する構成としてもよい。
図1を参照する。規制部材12は、廃棄されるガラス板4が真下ではなく幅方向に変位しながら落下した場合においても、チャック15(一対の爪部16,16)および矯正部材11(一対のガイド18,18)と、ガラス板4との衝突を防止する機能を有する。換言すれば、落下中のガラス板4の方向を適切にする機能を有する。規制部材12は一対のアーム13,13の各々に取り付けられている。各アーム13には単一の規制部材12のみが配置されている。各アーム13において、規制部材12は最下段のチャック15よりも上方に配置されている。一対のアーム13,13の一方に取り付けられた規制部材12と、他方に取り付けられた規制部材12とは対になっており、同一の高さ位置に存在している。落下中のガラス板4の幅方向への変位を規制するにあたり、一対のアーム13,13の一方および他方に取り付けられた規制部材12は、それぞれガラス板4における幅方向一方側の端面4aおよび幅方向他方側の端面4aと接触する。本実施形態においては、規制部材12として、ガラス板4の端面4aと接触する周面20aを有したローラー20を採用している。
図4を参照する。規制部材12は、落下中のガラス板4の幅方向への変位を規制するための規制位置(図4に二点鎖線で示す位置)と、規制位置に対して幅方向外側に離反した離反位置(図4に実線で示す位置)と、の間の移動が可能である。規制部材12は、ガラス板4を落下させるに際し、保持部材10によるガラス板4の保持状態を解放する直前に、離反位置から規制位置に移動する。一方、ガラス板4を落下させて廃棄が完了すると、規制部材12は、規制位置から離反位置に復帰する。なお、規制位置および離反位置は、いずれも被切出部3のパスラインよりも幅方向外側に位置している。これにより、ガラス板4が幅方向に変位することなく真下に落下した場合には、ガラス板4の端面4aと規制部材12とは接触しない。
規制位置に移動した規制部材12は、開状態にある一対の爪部16,16、及び、退避状態にある一対のガイド18,18よりも幅方向内側において、ガラス板4の端面4aとの接触が可能である。詳述すると、規制部材12(ローラー20)が規制位置に移動した際には、ローラー20における周面20a上の一箇所20aa(周面20a上で最も幅方向内側に存在する箇所)が、開状態にある一対の爪部16,16、及び、退避状態にある一対のガイド18,18よりも幅方向内側に存在する状態となる。そして、当該状態の下でガラス板4の端面4aとの接触が可能になっている。本実施形態では、開状態にある一対の爪部16,16の最も幅方向内側の位置と、退避状態にある一対のガイド18,18の最も幅方向内側の位置が、幅方向において同一となっている(勿論、同一でない場合もある)。なお、開状態にある一対の爪部16,16、及び、退避状態にある一対のガイド18,18を基準として、上記の一箇所20aaが幅方向内側に突出した突出寸法Aは、15mm以上とすることが好ましい。これは、落下中のガラス板4と、一対の爪部16,16及び一対のガイド18,18との衝突を的確に防止する観点からである。
ここで、本実施形態の変形例として、一対のアーム13,13の各々に、上下複数段の規制部材12が配置されていてもよい。この場合でも、一対のアーム13,13の一方に取り付けられた各規制部材12と、他方に取り付けられた各規制部材12とがそれぞれ対となり、同一の高さ位置に存在することが好ましい。このとき、上下に複数対が存在することになるが、複数対の相互間で規制部材12,12同士の離間距離(X方向に沿った離間距離)は等しくてもよいし、異なっていてもよい。離間距離を異ならせる場合、上方側で対となっている規制部材12,12同士ほど、離間距離が短くてもよいし、逆に長くてもよい。
また、本実施形態の別の変形例として、規制部材12が常に定位置に存在する構成であってもよい。つまり、規制部材12が規制位置に固定され、移動が不可能であっても構わない。さらに、規制部材12としてローラー20以外の部材を採用してもよい。
以下、上記の製造装置1の動作(製造装置1を用いたガラス板の製造方法)を時系列の順で説明する。
ガラスリボン2の搬送に伴って被切出部3が折割機構8に到達すると、折割機構8がガラスリボン2に追従して降下し始める。そして、図5に示すように、上下二段の矯正部材11の各々において、一対のガイド18,18が退避状態から対向状態に移行する。このとき、上段側の矯正部材11が下段側の矯正部材11に先行して一対のガイド18,18を対向状態に移行させる。各矯正部材11にて一対のガイド18,18が対向状態に移行すると、被切出部3の正規位置P1からの厚み方向への位置ずれが矯正される。
被切出部3の位置ずれが矯正された後には、図6に示すように、保持部材10に備わった各チャック15において、一対の爪部16,16が開状態から閉状態に移行する。なお、開状態から閉状態への移行は全てのチャック15で同時に行われる。これにより、各チャック15における一対の爪部16,16が、正規位置P1にある被切出部3を捉えて保持する。そして、各チャック15を介して被切出部3が保持部材10に保持された状態となる。このとき、矯正部材11は一対のガイド18,18の対向状態を維持する。
被切出部3が保持部材10に保持された後には、図7に示すように、上下二段の矯正部材11の各々において、一対のガイド18,18が対向状態から退避状態に復帰する。このとき、上段側の矯正部材11が下段側の矯正部材11に先行して一対のガイド18,18を退避状態に復帰させる。その後、図示省略のスクライブ機構(ガラスリボン2の一方面2a上を転動するカッターホイール等を備える)によって切断予定線5に沿ってガラスリボン2の一方面2a上にスクライブ線が形成される。
スクライブ線が形成された後には、支点部材9が待機位置から接触位置に移動してガラスリボン2の他方面2bに接触する。さらに、アーム本体14の姿勢が鉛直姿勢から傾斜姿勢へと移行する。これに伴って、ガラスリボン2における切断予定線5を含む部位が湾曲し、ガラスリボン2が切断予定線5に沿って折割られる。この時点でガラスリボン2から被切出部3がガラス板4として切り出される。切り出されたガラス板4は、当該ガラス板4に欠けや割れ等の不良が存在しない場合には、保持部材10によって下流工程に受け渡される。
一方、図8に示すように、ガラス板4に製品とする上での不良が存在する場合には、当該ガラス板4は下流工程に受け渡されることなく廃棄される。なお、図8に示した例においては、ガラス板4が破損しており、ガラス板4の下部(同図に二点鎖線で示す箇所)が欠落している。以下、ガラスリボン2から切り出したガラス板4を廃棄する場合における製造装置1の動作を説明する。
ガラス板4を廃棄する場合には、まず、図9に示すように、一対のアーム13,13の各々に取り付けられた規制部材12(ローラー20)が幅方向内側に動き、離反位置から規制位置へと移動する。これにより、ガラス板4を落下させて廃棄するための準備が整えられる。
規制部材12(ローラー20)が離反位置から規制位置に移動した後には、図10に示すように、保持部材10に備わった各チャック15において、一対の爪部16,16が閉状態から開状態に移行する。なお、閉状態から開状態への移行は全てのチャック15で同時に行われる。これにより、各チャック15によるガラス板4の保持状態が解放され、ひいては保持部材10によるガラス板4の保持状態が解放される。これに伴って、ガラス板4が折割機構8から落下していく。
ガラス板4の保持状態を解放するに際しては、既述のとおり、全てのチャック15において完全に同時にガラス板4の保持状態を解放することは極めて困難である。そのため、同時の解放が困難なことに起因して、図10に示すように、ガラス板4が幅方向に変位しながら落下してしまう場合がある。この場合、規制部材12が、開状態にある一対の爪部16,16、及び、退避状態にある一対のガイド18,18よりも幅方向内側でガラス板4の端面4aと接触する。これにより、落下中のガラス板4と、一対の爪部16,16及び一対のガイド18,18との衝突が防止され、結果としてチャック15および矯正部材11の破損が回避される。以上のとおり、ガラス板4を落下させて廃棄が完了すると、製造装置1は、新たなガラス板4をガラスリボン2から切り出すための動作を開始する。
ここで、上記の実施形態に対しては、以下のような変形例を適用することも可能である。例えば、上記の実施形態における矯正部材11に代えて、図11~図14に示すような矯正部材11を用いてもよい。図11~図14に示す矯正部材11では、一対のガイド18,18の各々における形状が、それぞれ円柱状、三角柱状、半円柱状、鍵状になっている。
また、上記の実施形態の別の変形例として、保持部材10がチャック15に代えて、被切出部3の表面を吸着して保持する吸着パッドを備えていてもよい。この場合、矯正部材11により被切出部3の位置ずれが矯正されることで、吸着パッドが被切出部3を確実に保持できるようになる。
また、矯正部材11として、一対のガイド18,18により、被切出部3の位置ずれを矯正する以外にも、例えば、被切出部3が正規位置P1からずれた場合において、被切り出部3の一方面2aまたは他方面2b側を押すことにより正規位置P1に戻すような部材を用いてもよい。
また、上記の実施形態においては、規制部材12が、落下中のガラス板4の端面4aと接触することでガラス板4の幅方向(X方向)への変位を規制しているが、幅方向以外の方向への変位を規制する場合もある。規制部材12は、落下中のガラス板4と接触することでガラス板4の横方向への変位を規制するものであればよい。ここで言う「横方向」とは、上下方向(Y方向)に直交する方向を意味する。従って、Z方向や、X方向およびZ方向と交差する方向は、「横方向」に含まれる。具体例を一つ挙げると、規制部材12によりガラス板4のZ方向への変位を規制する場合、規制部材12がガラス板4の主面(表裏面)との接触により変位を規制する構成とすればよい。
1 ガラス板の製造装置
2 ガラスリボン
3 被切出部
3a 被切出部の端部
4 ガラス板
8 折割機構
10 保持部材
11 矯正部材
15 チャック
16 爪部
18 ガイド
D 相互間距離
L1 爪部の長さ
L2 ガイドの長さ
P1 正規位置
W1 爪部の幅
W2 ガイドの幅
2 ガラスリボン
3 被切出部
3a 被切出部の端部
4 ガラス板
8 折割機構
10 保持部材
11 矯正部材
15 チャック
16 爪部
18 ガイド
D 相互間距離
L1 爪部の長さ
L2 ガイドの長さ
P1 正規位置
W1 爪部の幅
W2 ガイドの幅
Claims (12)
- 縦姿勢で下方に搬送中のガラスリボンの被切出部を保持しながら折割る折割機構により前記ガラスリボンを折割って幅方向に切断することで、前記ガラスリボンからガラス板を製造する、ガラス板の製造方法であって、
前記被切出部が正規位置にある場合、前記折割機構により前記被切出部を捉えて保持して前記ガラスリボンを折割り、前記被切出部が、前記正規位置から厚み方向に位置ずれを生じていた場合、前記被切出部の位置を正規位置に矯正した後に、前記折割機構により前記被切出部を捉えて保持して前記ガラスリボンを折割りすることを特徴とするガラス板の製造方法。 - 縦姿勢で下方に搬送中のガラスリボンを折割って幅方向に切断することで、前記ガラスリボンから被切出部をガラス板として切り出す、ガラス板の製造装置であって、
前記被切出部を保持しながら前記ガラスリボンを折割る折割機構を備え、
前記折割機構が、正規位置にある前記被切出部を捉えて保持する保持部材と、前記保持部材による保持に先行して前記被切出部の前記正規位置からの厚み方向への位置ずれを矯正する矯正部材と、を備えることを特徴とするガラス板の製造装置。 - 前記矯正部材が、前記被切出部の表裏で対となる一対のガイドを有し、
前記一対のガイドは、前記正規位置を間に挟んだ状態で両ガイドが接近するのに伴って、前記被切出部の位置ずれを矯正する請求項2に記載のガラス板の製造装置。 - 前記一対のガイドが最接近した際の相互間距離が、前記被切出部の厚み寸法よりも長い請求項3に記載のガラス板の製造装置。
- 前記矯正部材が、上下複数段に備わっている請求項3又は4に記載のガラス板の製造装置。
- 上段側の前記矯正部材から下段側の前記矯正部材へと順番に、前記一対のガイドを接近させていく請求項5に記載のガラス板の製造装置。
- 前記ガラスリボンの搬送速度に応じて、前記一対のガイドを接近させる速度が調節される請求項3~6のいずれかに記載のガラス板の製造装置。
- 前記保持部材が、前記被切出部の幅方向端部を表裏から挟む一対の爪部を有したチャックを上下複数段に備え、
前記矯正部材が、最上段の前記チャックよりも下方で、且つ、最下段の前記チャックよりも上方に配置される請求項3~7のいずれかに記載のガラス板の製造装置。 - 前記一対のガイドは、開閉動作が可能であると共に、前記被切出部の位置ずれの矯正に際して前記幅方向端部と接触し、
前記一対のガイドは、
閉動作により両ガイドが接近することで位置ずれを矯正しつつ、両ガイドが前記幅方向端部の表裏で対向した対向状態となり、
開動作により両ガイドが離反しつつ、両ガイドの各々が前記被切出部のパスラインよりも幅方向外側に退避した退避状態となる、
請求項3~8にいずれかに記載のガラス板の製造装置。 - 上下方向に沿って観察した時に、前記一対の爪部よりも前記一対のガイドの方が長い請求項9に記載のガラス板の製造装置。
- 上下方向に沿った幅について、前記一対の爪部よりも前記一対のガイドの方が狭い請求項8~10のいずれかに記載のガラス板の製造装置。
- 前記保持部材による前記被切出部の保持が完了した後、前記一対のガイドが開動作を行って退避状態となる請求項9~11のいずれかに記載のガラス板の製造装置。
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