JP2022173179A - マーキングペン - Google Patents
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Abstract
【課題】多色又は複合マーキングペン用のマーキングペンリフィルとして、軸筒内に収納して筆記した際に、より多くの筆記距離が可能とするために、インク収容筒を軸筒内でより多くの容積が得られるような形状にする。【解決手段】軸筒14内に、インク貯留体2に収容されたインクの色や又は具備したペン先3が異なる複数のマーキングペン1を収納し、各々のマーキングペンのペン先3の先端を繰出機構により選択的に出没可能とする複合マーキングペンであって、インク貯留体2の断面形状は軸筒14が円形の中心点を軸に複数等分とした異形形状に形成し、マーキングペンのペン先3を、インク貯留体2の先端面の前記円形の中心点となる位置の近傍に配設した。【選択図】 図4
Description
本発明は、インク貯留体に収容されたインクの色や又は具備したペン芯の外径が異なる複数のマーキングペンリフィルを収納し、各々のマーキングペンのペン芯の先端を繰出機構により選択的に出没可能とする多色又は複合マーキングペンに関する。
従来より、軸筒内に、マーキングペンを複数本収納し、各々の筆記先端を選択的に出没可能とした多色マーキングペンは知られている。例えば特許文献1乃至特許文献2に示すように、従来の多色マーキングペンにおいては、マーキングペンのインクを収容するインク貯留体の断面形状は円形状に形成してあり、かつ小径にして、繰出機構を操作して筆記先端が軸筒の先端開口部より突出可能にして、筆記可能なものとなっている。
しかし、マーキングペンはインク消費量がボールペン等の他のペン先を用いた筆記具より多いため、単色のマーキングペンに近い筆記距離が得られるようにするためには、マーキングペンのインク収容部の容積を大きくする必要がある。
逆に、充分な筆記距離が確保できるようにインク貯留体の容積を多くすると、インク貯留体の幅径が太くなり、こうしたマーキングペンを複数収納する多色又は複合マーキングペンの軸筒は、従来のマーキングペンを収納したものの軸筒の外径よりはるかに太軸となる。筆記具の軸径は10mm~15mmが主流で、それ以上に軸径が太いものは好まれないという現実的な問題があり、多色又は複合マーキングペンにおける軸径を太軸とせずに、インク貯留体の容積をできるだけ多くすることができるかが重要な課題であった。
逆に、充分な筆記距離が確保できるようにインク貯留体の容積を多くすると、インク貯留体の幅径が太くなり、こうしたマーキングペンを複数収納する多色又は複合マーキングペンの軸筒は、従来のマーキングペンを収納したものの軸筒の外径よりはるかに太軸となる。筆記具の軸径は10mm~15mmが主流で、それ以上に軸径が太いものは好まれないという現実的な問題があり、多色又は複合マーキングペンにおける軸径を太軸とせずに、インク貯留体の容積をできるだけ多くすることができるかが重要な課題であった。
本発明の目的は、インクの色や又は具備したペン芯の外径が異なる複数のマーキングペンを収納し、各々のマーキングペンの筆記先端を繰出機構により選択的に出没可能とする多色又は複合マーキングペン用のマーキングペンにおいて、軸筒内に収納して筆記した際に、より多くの筆記距離が可能とするためにインク貯留体を前記軸筒内でより多くの容積が得られるような形状にすることと、筆記先端を前記軸筒の先端開口部より出没させる際に、出没に不具合が生ぜず、インク貯留体やペン芯に損傷が生じないような形状にすることにある。
軸筒内に、インク貯留体に収容されたインクの色や又は具備したペン先が異なる複数のマーキングペンを収納し、各々のマーキングペンのペン先の先端を繰出機構により選択的に出没可能とする複合マーキングペンであって、インク貯留体の断面形状は軸筒が円形の中心点を軸に複数等分とした異形形状に形成し、マーキングペンのペン先を、インク貯留体の先端面の前記円形の中心点となる位置の近傍に配設したマーキングペンである。ここでペン先が異なるとは、ペン芯の筆記部の外径の違いであったり、インク色や濃度が異なることを示す。また、インク貯留体の先端面の前記円形の中心点となる位置の近傍とは、インク貯留体の断面の重心位置から軸筒の中心位置に接近する側を示す。
また、インク貯留体に収納される前記インクは、着色剤、140℃以上の沸点を有する水溶性有機溶剤、及び水を含有するインク組成物、又は、着色剤、25℃において20Pa以下の飽和蒸気圧を有する水溶性有機溶剤、及び水を含有し、前記水溶性有機溶剤の含有量が前記インク組成物の全量を基準として50質量%以上であり、前記水の含有量が前記インクの全量を基準として5~45質量%である。
また、インク貯留体の内部はインクが含浸された多孔体が収容され、多孔体の断面の外形形状はインク貯留体の収容される内形形状と相似に形成され、多孔体は気孔率が比較的低い密部及び前記密部の周囲に位置し気孔率が比較的高い疎部から構成されることが好ましい。
本発明は、前述したような構造のマーキングペンなので、多色マーキングペンとしてあるいは複合マーキングペンとして軸筒内に収容した際に、前記軸筒の限られた空間の中で、インク貯留体の容積を多くすることができるので、筆記時のインク消費量が多い異なるペン先を具備したものであっても、充分な筆記距離が得られる多色又は複合マーキングペンを提供することができる。
また、本発明のマーキングペンは、多色又は複合マーキングペンとして軸筒内に収納して、ペン先の先端を軸筒の先端開口部より出没させる際に、ペン先が軸筒の先端開口部の軸芯の近傍に位置するので、インク貯留体があまり撓むことなくペン先を軸筒の先端開口部より出没させることができるので、出没の動作に不具合が生じにくく、また無理な撓みによるマーキングペンの損傷も防ぐことができる。
また、キャップ等の装着又は複雑な機構若しくは加工なしで、長期間チップが外気に曝されてもカスレのない筆記線を形成可能で、且つインク漏れも抑制することが可能なマーキングペンとすることができる。
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。同部材、同箇所を示すものに対しては、同符号を付してある。
図1~図4に示す実施の形態のマーキングペンリフィル1は、断面の外形形状が半円状のインク貯留体2の先端にペン先であるペン芯3を具備した構造のものである。インク貯留体2の先端には、図3に示すように、ペン芯3側からインク貯留体2側に視認した際、半円の中心点Xで周側面4の端部がインク貯留体2の平面部5の面上に位置するように、小径の円筒状に構成されたペン芯3を保持する保持部6を設けてあり、該保持部6にペン芯3を嵌着してある。また、図2に示されたように保持部6の先端には保護パイプ7が接続されており、ペン芯3の筆記に対する応力を保護するものとなっている。
前記ペン芯3に使用される材料としては、植物繊維、又は動物繊維等の天然繊維、セルロース系、たんぱく質系、その他(天然ゴム、アルギン酸繊維等)の再生繊維、セルロース系、塩化ゴム系、塩酸ゴム系等の半合成繊維、およびポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリウレタン系スパンデックス、ポリフルオロエチレン系、ポリクラール系、ポリベンゾエート系等の合成繊維等を挙げることができる。
上記繊維の中でも合成繊維であるアクリロニトリル繊維、ポリアミド繊維、脂肪族ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維であることが望ましい。これらの繊維は、スライバー、フィラメントのどちらでも良く、繊維径(デニール)、及び丸形状や他の異形状等の断面形状は任意であり、適宜選択することができる。
また、繊維を接着硬化させるバインダー樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等を選択することができ、塩化メチレン、酢酸エステルなどの溶剤に溶解させて、集束した繊維を含浸させるものである。バインダー樹脂は、含浸した繊維と共に、加熱乾燥炉を通過させて溶剤を揮発させ、更に硬化させることで、繊維同士を接着させるものであり、濃度、種類は任意であり、適宜選択できる。
インク貯留体2はインク貯留体2の外径は、軸筒内径より若干小径に形成されている。
インク貯留体2の断面の外形形状及び内周面が半円状に形成されることで二本を円筒形状の軸筒に収容する際に、従来の円形に形成されたマーキングペンより筆記距離が長い効果を得ることができる。インク貯留体2内には、マーキングペン用インク11がインク貯留体の外周に沿って形成された多孔体50を介して収容されている。インク貯留体2の後端には、軸筒側と接続する接続部12を備えた尾栓13が挿着されている。
インク貯留体2の断面の外形形状及び内周面が半円状に形成されることで二本を円筒形状の軸筒に収容する際に、従来の円形に形成されたマーキングペンより筆記距離が長い効果を得ることができる。インク貯留体2内には、マーキングペン用インク11がインク貯留体の外周に沿って形成された多孔体50を介して収容されている。インク貯留体2の後端には、軸筒側と接続する接続部12を備えた尾栓13が挿着されている。
マーキングペンリフィル1は、多色又は複合マーキングペンの軸筒内に収納されて、接続部12を介して軸筒に具備された各種の繰出機構(図示せず)によりペン芯3の先端を軸筒の先端開口部15より出没可能に配設される。各種の繰出機構については、公知構造のものを用いる。
本実施の形態のマーキングペンリフィル1において、2つのインクの色の異なった、例えば黒色、赤色のマーキングペンリフィル1、1’を多色マーキングペンの軸筒14内に収納すると、図4に示すように、一点鎖線で示した軸筒14の先端開口部15の近傍に各々のマーキングペンリフィル1、1’のペン芯3、3’が位置する。
図5~図7は、他の実施の形態のマーキングペン21である。符号については図1~図4の実施形態と共通の要素は同じである。マーキングペン21は断面形状が一般的な多色マーキングペンの軸筒の内径より外径が若干小径な円形を中心点Pを軸に3等分した扇形状、所謂銀杏形状のインク貯留体22の先端に、前記実施の形態と同様に、ペン芯3を具備した構造のものである。ペン芯3は、前記実施の形態のペン芯3と同様の材料であるが、ペン芯の外径が0.5mm,1mm,1.5mmと互いに異なるものが抱持されている。
インク貯留体22の先端には、図6に示すように、扇形々状の中心点Pの近傍で、周側面24の一部がインク貯留体22の各平面部25、26の面上に位置するように、小径の円筒状に構成された保持部6を設けてあり、該保持部6にペン芯3を嵌着してある。それ以外は、前記実施の形態のマーキングペンリフィル1と同様に形成してあり、インク貯留体22には、マーキングペン用インク11がインク貯留体22の外周に沿って形成された多孔体50を介して収容されている。インク貯留体22の後端には、尾栓13を挿着してある。
本実施の形態のマーキングペン21は、図7に示されたように前記実施の形態のマーキングペンリフィル1と同様に、軸筒内に、異なるペン芯3の外径を収納してなる複合マーキングペンとして軸筒14内に収納すると、図7に示すように、一点鎖線で示した軸筒14の先端開口部15の近傍に各々のマーキングペン21、21’、21”のペン芯23、23’、23”が位置する。
上記の実施形態におけるマーキングペン用インク11において、インク貯留体22に収納されるマーキングペン用インクは、着色剤、140℃以上の沸点を有する水溶性有機溶剤、及び水を含有するマーキングペン用インクであることが好ましい。または、インク貯留体22に収納されるマーキングペン用インクは、着色剤、25℃において20Pa以下の飽和蒸気圧を有する水溶性有機溶剤、及び水を含有するマーキングペン用インクであることが好ましい。上記何れかのマーキングペン用インクにおいて、水溶性有機溶剤の含有量がマーキングペン用インクの全量を基準として50質量%以上であり、水の含有量がマーキングペン用インクの全量を基準として5~45質量%であってもよい。このようなマーキングペン用インクが収納された中芯を備えた出没式筆記具であれば、キャップ等を別途装着したり、又は開口部に開閉蓋のような複雑な機構を設けたりしなくても、長期間、ペン先を外気に曝してもその筆記線を掠れされることなく使用することが可能となる。なお、この出没式筆記具において、マーキングペン用インクは、25℃において5.0~30.0mPa・sの粘度を有してもよい。
マーキングペン用インク11に含まれる水溶性有機溶剤は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエタノールアミン、及び、600以下の平均分子量を有するポリエチレングリコールからなる群より選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。マーキングペン用インクが、これらの水溶性有機溶剤を含むことにより、ペン先を長時間空気中に曝露した後であってもカスレのない筆記線の形成が可能な筆記具が一層得られやすくなる。なお、上記マーキングペン用インクにおいて、着色剤は、酸性染料、塩基性染料、直接染料、界面活性剤分散型顔料、及び自己分散型顔料からなる群より選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
インク貯留体22に収納されるマーキングペン用インク11は、着色剤、140℃以上の沸点を有する水溶性有機溶剤、及び水を含有するマーキングペン用インク組成物であることが好ましい。または、インク貯留体22に収納されるマーキングペン用インク11は、着色剤、25℃において20Pa以下の飽和蒸気圧を有する水溶性有機溶剤、及び水を含有するインク組成物であることが好ましい。何れかのマーキングペン用インク11において、水溶性有機溶剤の含有量がインクの全量を基準として50質量%以上であり、水の含有量がマーキングペン用インクの全量を基準として5~45質量%であってもよい。この場合も、上述した出没式筆記具と同様の効果を奏することができる。なお、このマーキングペンにおいて、マーキングペン用インクは、25℃において5.0~30.0mPa・sの粘度を有してもよい。
マーキングペン用インク11に含まれる水溶性有機溶剤は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエタノールアミン、及び、600以下の平均分子量を有するポリエチレングリコールからなる群より選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。マーキングペン用インクが、これらの水溶性有機溶剤を含むことにより、ペン先を長時間空気中に曝露した後であってもカスレのない筆記線の形成が可能な筆記具が一層得られやすくなる。なお、上記マーキングペン用インクにおいて、着色剤は、酸性染料、塩基性染料、直接染料、界面活性剤分散型顔料、及び自己分散型顔料からなる群より選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。
ここで、上述したマーキングペン用インク11のインク組成物について説明する。このインク組成物としては、着色剤、140℃以上の沸点を有する水溶性有機溶剤、及び水を含有するマーキングペン用インクを用いることができる。ここでいう沸点は1気圧(101325Pa)における通常沸点を指す。また、水溶性有機溶剤とは、20℃における水への溶解度が例えば15g/100mL以上、好ましくは30g/100mL以上である有機溶剤である。なお、上記マーキングペン用インク11は、140℃以上の沸点を有する水溶性有機溶剤に代えて、25℃において20Pa以下の飽和蒸気圧を有する水溶性有機溶剤を含有していてもよい。
上記水溶性有機溶剤は、アルコール又はそのアルキルエーテルであることが好ましい。上記アルコールは、多価アルコールであることが好ましく、2価アルコール又は3価アルコールであることがより好ましい。上記水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ジエチレングリコール、トリエタノールアミン、1,3-ブチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリオキシアルキレンエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ジメチルトリグリコール、N-エチルジエタノールアミン、モノ-n-ブチルジエタノールアミン、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、及び、コハク酸ビスエトキシジグリコール等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
上記水溶性有機溶剤は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエタノールアミン、及び、600以下の平均分子量を有するポリエチレングリコールからなる群より選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。マーキングペン用インク11が上記水溶性有機溶剤を含むことにより、ペン先を長時間空気中に曝露した後であってもカスレのない筆記線の形成が可能な筆記具が一層得られやすくなる。なお、上記ポリエチレングリコールの平均分子量は150以上であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤として2価アルコール及び3価アルコールの両方を含有することが好ましく、さらに、3価アルコールとしてグリセリンを含むことがより好ましい。マーキングペン用インクがグリセリンを含むことにより、さらに、浸透面への筆記線の裏抜けを抑制できる傾向がある。
マーキングペン用インク11がグリセリンと併せて2価アルコールを含むことにより、グリセリンによる裏抜け抑制効果を得ることができる。このような2価アルコールとして、エチレングリコールを用いることが好ましい。マーキングペン用インクが上記混合溶剤を含む場合、水溶性有機溶剤全量に対する、グリセリンの含有量は70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。また、水溶性有機溶剤全量に対する、グリセリンの含有量は5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。なお、水溶性有機溶剤全量に対するグリセリンの含有量は30質量%以上であってもよく、50質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよい。
本実施形態に係るマーキングペン用インクにおいて、上記水溶性有機溶剤の含有量は、マーキングペン用インクの全量を基準として、50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。マーキングペン用インクが上記水溶性有機溶剤を50質量%以上含有することにより、ペン先を長時間空気中に曝露した後であってもカスレのない筆記線の形成が可能な筆記具を得ることができる。上記水溶性有機溶剤の含有量は、例えば、マーキングペン用インクの全量を基準として、90質量%以下であることができる。
本実施形態に係るマーキングペン用インクは水を含有し、水の含有量は、マーキングペン用インクの全量を基準として、5~45質量%であり、好ましくは5~40質量%であり、より好ましくは5~35質量%であり、さらに好ましくは5~25質量%である。本実施形態に係るマーキングペン用インクは吸湿性を有する水溶性有機溶剤を50質量%以上含有し、筆記具中のマーキングペン用インクが吸湿するとインク漏れが発生する可能性がある。吸湿性によるインク漏れの問題は水溶性有機溶剤としてエチレングリコール又はグリセリン等、特にエチレングリコールを用いたときに顕著である。しかし、マーキングペン用インクに水を5質量%以上含有させておくことにより、その後の吸湿を抑制し、長期間に亘ってインク漏れの発生を抑制することができる。また、水の含有量が45質量%以下であることにより、ペン先を長時間外気に曝露した後であってもカスレのない筆記線の形成が可能な筆記具を得やすくなる。
なお、水溶性有機溶剤全量に対するグリセリンの含有量が70質量%以上である場合、水の含有量は、マーキングペン用インクの全量を基準として、35~45質量%であることが好ましい。マーキングペン用インクが水を35質量%以上含有することにより、グリセリン含有量が大きい場合であっても、マーキングペン用インクの粘度の増加を抑えることができ、マーキングペンにおけるマーキングペン用インクの排出がしやすくなる。
本実施形態に係るマーキングペン用インクにおいて、着色剤は、酸性染料、塩基性染料、直接染料、界面活性剤分散型顔料、及び自己分散型顔料からなる群より選択された少なくとも1種を含むことができる。着色剤の含有量は、マーキングペン用インクの全量を基準として、例えば、0.5~5.0質量%であることができる。
本実施形態に係るマーキングペン用インクは、本実施形態で得られる効果を損なわない範囲で、上記成分に加えて、上記水溶性有機溶剤及び水以外の溶剤、防腐剤、pH調整剤、増粘剤、防腐剤(防黴剤)、潤滑剤、及び界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。上記マーキングペン用インクは、樹脂を含有しないことが好ましい。また、不揮発分は、上記マーキングペン用インクの全量を基準として、0.1~10質量%であることが好ましく、0.1~5.0質量%であることがより好ましい。マーキングペン用インクが樹脂を含有しないことにより、又は、不揮発分が10質量%以下であることにより、ペン先を長時間空気中に曝露した後であってもカスレのない筆記線の形成が可能な筆記具を得やすくなる。
本実施形態に係るマーキングペン用インクの粘度は、25℃において、5.0~30.0mPa・sであることが好ましい。また、上記粘度は、マーキングペン用インクを直液式マーキングペンに用いる場合には、25℃において、5.0~100.0mPa・sであることが好ましい。
本実施形態でのマーキングペン用インクは、上記水溶性有機溶剤、着色剤及び水、必要に応じて添加剤を、例えば、ディゾルバー、ヘンシェルミキサー及びホモミキサーなどの攪拌機を用いて混合することにより得られる。攪拌機の攪拌条件は特に制限されないが、たとえば、ディゾルバー攪拌機を用いて、回転数100~1000rpmで30~180分間攪拌することにより、各成分が均一に分散したマーキングペン用インクを得ることができる。
図8は、図6のマーキングペン21に用いられるインク貯留体22に収容される多孔体50を示した長手方向に対し垂直な断面図である。外形及び収容内部が扇形形状に形成されたインク貯留体22に収容される多孔体50は、インク貯留体22と相似形状に形成される。なお、多孔体50は多色又は複合マーキングペンのみならず、外形が非円形に形成された単色用のマーキングペンにも適用することもできる。
多孔体50は、中心点P近傍に位置する密部51と、周辺側に位置する疎部52とで構成される。多孔体50はインク貯留体22の内部で、ペン芯3から後端までの略全長にわたって収容され、マーキングペン用インク11を含浸している。疎部52は、密部51と比較して、気孔率が高くそのため繊維間距離が疎となっている。これにより疎部52は、中綿50のマーキングペン用インク11を含浸する機能を主として担っている。一方、密部51は、疎部52と比較して、気孔率が低くそのため繊維間距離が密となっているため、毛管力が密部51より高い。これにより密部51は、ペン先3へマーキングペン用インク11を送出する機能を主として担っている。
多孔体50は、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート等の巻縮繊維で構成される。密部51の気孔率(断面において、繊維の実質部分を除いた空隙の占める割合をいう。以下同じ。)は65~85%、好ましくは70~80%である。一方、疎部52の気孔率は75~95%、好ましくは80~90%である。このような気孔率の範囲内で、疎部52の気孔率を、密部51の気孔率より高くなるように設定する。疎部52の気孔率は、密部51の気孔率よりも3%以上高いことが望ましく、特に5~20%高いことがより望ましい。このように気孔率を設定することで、疎部52にマーキングペン用インク11を含浸する機能を主として担わせつつ、密部51によってペン先3へインクが誘導される。
多孔体50において、軸心に垂直な断面に占める密部51の面積の割合は、疎部52によるマーキングペン用インク11の包蔵量を確保する観点からは15%以下が望ましく、両端へのインク送出を確保する観点からは5%以上が望ましい。
多孔体50の形成の一例としては、太さ3デニールのポリエステル繊維を使用し、密部51は、気孔率75%となるようにポリエステル繊維を圧縮し束ね、所定の密部の割合となるように重量を量り取った。一方、疎部52は、気孔率85%となるようにポリエステル繊維を圧縮し束ね、所定の疎部52の割合となるように重量を量り取り、これで密部51をくるみ、ポリプロピレン製のインク貯留体22に充填した。
なお、上記下中綿の密部及び疎部の気孔率は、あらかじめ下記のように検証しておいた。すなわち、中綿を上記円筒に充填した状態で、中綿に硬化樹脂(商品名:SCANDIPLEX、スキャンディア)を充填し、硬化後に切削して観察面としての中綿断面を露出させた。観察試料台に貼り付け、走査型電子顕微鏡(製品名:S-3400N、日立ハイテクフィールディング)を使用して観察しやすい任意の倍率(10~100倍)にて中綿断面を観察した。さらに観察した領域を画像データとして取り込み、その画像を画像解析ソフト(ソフト名:IMAGEJ、開発元:NATIONAL INSTITUTES OF HEALTH)で画像処理を行い、空間部の面積率を求め、これを気孔率とした。
1、21 マーキングペン
2、22 インク貯留体
3 ペン芯
4,24 周側面
5,25 平面部
6 保持部
7 保護パイプ
11 マーキングペン用インク
13 尾栓
14 軸筒
15 先端開口部
50 多孔体
51 密部
52 疎部
2、22 インク貯留体
3 ペン芯
4,24 周側面
5,25 平面部
6 保持部
7 保護パイプ
11 マーキングペン用インク
13 尾栓
14 軸筒
15 先端開口部
50 多孔体
51 密部
52 疎部
Claims (3)
- 軸筒内に、インク貯留体に収容されたインクの色や又は具備したペン先が異なる複数のマーキングペンを収納し、各々のマーキングペンのペン先の先端を繰出機構により選択的に出没可能とする複合マーキングペンであって、インク貯留体の断面形状は軸筒が円形の中心点を軸に複数等分とした異形形状に形成し、マーキングペンのペン先を、インク貯留体の先端面の前記円形の中心点となる位置の近傍に配設したことを特徴とするマーキングペン。
- 前記インク貯留体に収納される前記インクは、着色剤、140℃以上の沸点を有する水溶性有機溶剤、及び水を含有するインク組成物、又は、着色剤、25℃において20Pa以下の飽和蒸気圧を有する水溶性有機溶剤、及び水を含有し、前記水溶性有機溶剤の含有量が前記インク組成物の全量を基準として50質量%以上であり、前記水の含有量が前記インク組成物の全量を基準として5~45質量%である請求項1記載のマーキングペン。
- インク貯留体の内部はインクが含浸された多孔体が収容され、多孔体の断面の外形形状はインク貯留体の収容される内形形状と相似に形成され、前記多孔体は気孔率が比較的低い密部及び前記密部の周囲に位置し気孔率が比較的高い疎部から構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のマーキングペン。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021079402A Withdrawn JP2022173179A (ja) | 2021-05-08 | 2021-05-08 | マーキングペン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022173179A (ja) |
-
2021
- 2021-05-08 JP JP2021079402A patent/JP2022173179A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A761 | Written withdrawal of application |
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