JP2022172563A - 靴用洗濯機 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、靴を洗濯するための靴用洗濯機に関する。
例えば特許文献1には、スニーカー、上履き、などといった様々な靴の洗濯に用いられる靴用洗濯機が開示されている。ここに開示されている靴用洗濯機は、筐体内に外槽および内槽が配置されており、この内槽の底部に立設された回転軸の側面に主ブラシが設けられるとともに、内槽の底部に補助ブラシが設けられる。
このような構成において、洗濯するべき靴(具体的には、左の片靴および右の片靴)が内槽に入れられると、ここに水が溜められて、回転軸が回転される。すると、回転水流が形成されて内槽に入れられている靴が遊動し、該靴が主ブラシおよび補助ブラシによって擦り洗いされる。ブラシによる擦り洗いが終了し、すすぎなどが行われた後、内槽の水が排水された状態で内槽が高速回転される(脱水工程)。これによって、靴に含まれる水分が遠心力で振り切られてゆき、靴が脱水される。
ところで、一般に、靴のソール(靴底)は、例えばゴムのような水を通さない材質で形成されている。このため、脱水工程が行われる際に、靴がソールを内槽の周壁側に向けるような姿勢(外向き姿勢)となっていると、水分が十分に振り切られて行かず、靴の脱水が不十分となる虞がある。
従来においては、所定時間の脱水工程を経てもなお、靴の脱水が不十分であった場合、利用者が、内槽に入れられている靴の姿勢を、ソールが内槽の中心側に向くような姿勢(内向き姿勢)に直してから、追加の脱水を行わせなければならず、手間がかかっていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、靴が脱水に不適な姿勢となっていたために靴の脱水が不十分となってしまう、といった事態の発生を抑制することができる技術の提供を目的としている。
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明は、水が溜められる外槽と、前記外槽に収容される内槽と、前記内槽に設けられたブラシユニットと、前記内槽および前記ブラシユニットの回転を制御する制御部と、を備える靴用洗濯機であって、前記制御部が、前記内槽を、所定の脱水回転数で、所定の第1時間の間、回転させる第1脱水工程と、前記第1脱水工程の後に、前記ブラシユニットを所定のほぐし回転数で回転させるほぐし工程と、前記内槽を、前記脱水回転数で、前記第1時間よりも長い第2時間の間、回転させる第2脱水工程と、を実行することを特徴とする。
本発明の靴用洗濯機において、前記制御部が、前記第1脱水工程の後に、前記ほぐし工程を行うべきか否かを判定する判定工程、を実行し、前記判定工程において、前記第1脱水工程が行われる間の前記内槽の物理量の変化幅が所定の閾値以下である場合に、前記ほぐし工程を行うべきと判定する、ことが好ましい。
本発明の靴用洗濯機において、前記判定工程で用いられる前記内槽の物理量が、前記内槽の加速度である、ことが好ましい。
本発明の靴用洗濯機において、前記制御部が、前記ほぐし工程の後に、前記第1脱水工程および前記判定工程を繰り返す繰り返し工程、を実行することが好ましい。
本発明の靴用洗濯機において、2回目の前記ほぐし工程が行われた後は、前記繰り返し工程を行わずに前記第2脱水工程に進む、ことが好ましい。
本発明の靴用洗濯機において、前記判定工程で、前記ほぐし工程を行うべきではないと判定された場合、前記脱水回転数が維持されたまま、前記第1脱水工程と連続して前記第2脱水工程が行われる、ことが好ましい。
また、別の態様において、本発明は、水が溜められる外槽と、前記外槽に収容される内槽と、前記内槽に設けられたブラシユニットと、前記内槽および前記ブラシユニットの回転を制御する制御部と、を備える靴用洗濯機であって、前記内槽の加速度を検出する加速度センサ、を備え、前記制御部が、前記加速度センサの検出値に基づいて、前記内槽に収容されている靴が脱水に不適な姿勢となっているか否かを判定する、ことを特徴とする。
本発明の靴用洗濯機によると、第1脱水工程の後にほぐし工程が行われる。したがって、仮に、第1脱水工程が行われた段階で、靴が脱水に不適な姿勢(典型的には、ソールを内槽の周壁側に向けるような外向き姿勢)となっていたとしても、このほぐし工程で靴の姿勢が変更される可能性がある。したがって、靴が脱水に不適な姿勢のままで第2脱水工程が行われたために脱水が不十分になる、といった事態の発生が抑制される。
本発明の靴用洗濯機によると、第1脱水工程が行われる間の内槽の物理量の変化幅が所定の閾値以下である場合に、ほぐし工程を行うべきと判定する。第1脱水工程が行われる間の内槽の物理量の変化幅が比較的小さいということは、内槽およびここに収容されている靴の状態変化が乏しい、すなわち、靴から吹き飛ばされる水分の量が少ないことを意味している。このとき、靴は脱水に不適な姿勢となっている可能性が高い。このような場合に、ほぐし工程が行われることで、靴の姿勢が変更されることが期待できる。したがって、靴が脱水に不適な姿勢となっていたために靴の脱水が不十分になってしまう、といった事態の発生が効果的に抑制される。
本発明の靴用洗濯機によると、判定工程で用いられる内槽の物理量が、内槽の加速度である。内槽の加速度の変化幅が比較的小さいということは、内槽およびここに収容されている靴の総重量の変化が乏しい、すなわち、靴から吹き飛ばされる水分の量が少ないことを意味している。したがって、内槽の加速度の変化幅に基づいて、ほぐし工程を行うべきか否かを適切に判定することができる。
本発明の靴用洗濯機によると、ほぐし工程の後に、第1脱水工程および判定工程が繰り返される。すなわち、ほぐし工程の後に、もう一度、第1脱水工程が行われ、該第1脱水工程が行われる間の内槽の物理量の変化幅に基づいて、再度のほぐし工程を行うべきか否かが判定される。したがって、例えば、1回目のほぐし工程で靴の姿勢が適切に変更されなかった場合は、2回目のほぐし工程が行われることになり、靴が脱水に不適な姿勢のままで第2脱水工程が行われるという事態の発生を、十分に抑制することができる。
本発明の靴用洗濯機によると、2回目の前記ほぐし工程が行われた後は、繰り返し工程を行わずに第2脱水工程に進む。ほぐし工程が2回行われてもなお靴の姿勢が適切に変更されない場合は、それ以上ほぐし工程の回数を重ねても、靴の姿勢が変更される可能性は低い。すなわち、3回目以降のほぐし工程は、2回目までのほぐし工程に比べると、実効性に乏しい。ここでは、このような実効性に乏しいほぐし工程が行われることによって工程時間が不必要に長くなることが回避される。
本発明の靴用洗濯機によると、ほぐし工程を行うべきではないと判定された場合、脱水回転数が維持されたまま、第1脱水工程と連続して第2脱水工程が行われるので、工程時間が不必要に長くなることが回避される。
本発明の靴用洗濯機によると、内槽の加速度を検出する加速度センサを備え、その検出値に基づいて、内槽に収容されている靴が脱水に不適な姿勢となっているか否かが判定される。したがって、内槽に収容されている靴が脱水に不適な姿勢となっている場合に、これを適切に検知することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<1.靴用洗濯機の構成>
実施形態に係る靴用洗濯機は、スニーカー、上履き、などといった様々な靴を洗濯するための装置であり、例えばコインランドリー店舗に設置される。この靴用洗濯機の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、靴用洗濯機100の全体を示す側断面図である。
実施形態に係る靴用洗濯機は、スニーカー、上履き、などといった様々な靴を洗濯するための装置であり、例えばコインランドリー店舗に設置される。この靴用洗濯機の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、靴用洗濯機100の全体を示す側断面図である。
靴用洗濯機100は、筐体1、筐体1に収容された外槽2、外槽2に収容された内槽3、内槽3の内部に設けられるブラシユニット4、内槽3およびブラシユニット4を回転させる駆動部5、内槽3の状態を検出するためのセンサである加速度センサ6、これらの各部を制御する制御部7、などを備える。
(筐体1)
筐体1は、内部に収容空間を形成する略直方体状の部材であり、その上面に形成される開口を閉鎖/開放するための蓋11が設けられている。また、筐体1には、利用者からの各種の操作を受け付けるための操作部12が配置される。
筐体1は、内部に収容空間を形成する略直方体状の部材であり、その上面に形成される開口を閉鎖/開放するための蓋11が設けられている。また、筐体1には、利用者からの各種の操作を受け付けるための操作部12が配置される。
(外槽2)
外槽2は、水を溜めるための貯留槽であり、筐体1の内部に、吊棒21によって弾性的に支持される。外槽2は、上面が開口するとともに底面が閉鎖される円筒状の部材であり、その中心軸を略鉛直に延在させるような姿勢で配置される。
外槽2は、水を溜めるための貯留槽であり、筐体1の内部に、吊棒21によって弾性的に支持される。外槽2は、上面が開口するとともに底面が閉鎖される円筒状の部材であり、その中心軸を略鉛直に延在させるような姿勢で配置される。
外槽2の上方には、一端が外部の給水設備などに接続される給水管22が、給水口を、外槽2の開口に臨ませるようにして、配置される。給水管22の途中部分には、給水バルブ221が設けられており、この給水バルブ221が開状態とされると、外部の給水設備などから供給される水が、給水管22を介して、内槽3ひいては外槽2に流入して、外槽2に溜められる。
また、外槽2の底部には、一端が外部の排水設備などに接続される排水管23の他端が、接続されている。排水管23の途中部分には、排水バルブ231が設けられており、この排水バルブ231が開状態とされると、外槽2内の水が、排水管23を介して排水される。
(内槽3)
内槽3は、いわゆる脱水槽であり、外槽2の内部に入れ子状に収容される。内槽3は、外槽2と同様、上面が開口するとともに底面が閉鎖される円筒状の部材であり、その中心軸が外槽2の中心軸と同軸になるような姿勢で、配置される。内槽3の周壁には、ほぼ全周にわたって多数の通水孔(図示省略)が穿孔されている。また、内槽3の内周壁の上部近傍には、バランスリング(図示省略)が設けられている。
内槽3は、いわゆる脱水槽であり、外槽2の内部に入れ子状に収容される。内槽3は、外槽2と同様、上面が開口するとともに底面が閉鎖される円筒状の部材であり、その中心軸が外槽2の中心軸と同軸になるような姿勢で、配置される。内槽3の周壁には、ほぼ全周にわたって多数の通水孔(図示省略)が穿孔されている。また、内槽3の内周壁の上部近傍には、バランスリング(図示省略)が設けられている。
(ブラシユニット4)
ブラシユニット4は、内槽3の内部に設けられ、ここに収容される靴を擦り洗いするための部材であり、基体部41と、主ブラシ部42と、補助ブラシ部43と、を備える。
ブラシユニット4は、内槽3の内部に設けられ、ここに収容される靴を擦り洗いするための部材であり、基体部41と、主ブラシ部42と、補助ブラシ部43と、を備える。
基体部41は、内槽3の内部に設けられる部材であり、ベース部411と、軸部412と、を備える。ベース部411は、内槽3の底面上に設けられる平板状の部材であり、平面視にて、内槽3の底面と同心となる位置に配置される。ベース部411の形状は、平面視にて円形状であってもよいし、平面視にて放射状に広がる形状であってもよい。軸部412は、ベース部411の中心からその法線方向に立設される細長い円筒状の部材であり、中心軸が内槽3の中心軸と同軸になるような姿勢で、配置される。
軸部412の外周面には、多数の毛状部材421が設けられている。各毛状部材421は、細長く弾力のある部材で形成され、軸部412の径方向(軸部412の外周面の法線方向)に起立して延在している。各毛状部材421の長さは、内槽3の内半径の約4分の3程度とされている。これら多数の毛状部材421が、内槽3に収容される靴を、内槽3の中心軸の側から擦り洗いするための主ブラシ部42を構成する。
多数の毛状部材421は、2列に分けられており、各列の毛状部材421は、軸部412の軸方向に沿って、軸部412の周方向に平面視にて180度の螺旋を描くようにして、スパイラル状に設けられている。一方の列と他方の列は、軸部412を挟んで対称に配列されており、同じ高さにある各列の毛状部材421は、軸部412を挟んで対向する位置に配置される。したがって、内槽3の収容空間における中心軸側の部分は、これら各列の毛状部材421によって、2つの空間に仕切られている。
ベース部411の上面には、多数の毛状部材431が満遍なく設けられている。各毛状部材431は、細長く弾力のある部材で形成され、ベース部411の上面の法線方向に起立して延在している。これら多数の毛状部材431が、内槽3に収容される靴を、内槽3の底面の側から擦り洗いするための補助ブラシ部43を構成する。
(駆動部5)
駆動部5は、内槽3およびブラシユニット4を、その中心軸の回りで回転させるための機構である。駆動部5は、内槽3の下方に配置されたモータ51および動力分配部52を備える。モータ51の出力軸には第1プーリ511が、動力分配部52の入力軸には第2プーリ521が、それぞれ取り付けられており、第1プーリ511と第2プーリ521との間には、無端ベルト53が掛け回されている。これにより、モータ51から動力分配部52への動力の伝達を行うことができるようになっている。
駆動部5は、内槽3およびブラシユニット4を、その中心軸の回りで回転させるための機構である。駆動部5は、内槽3の下方に配置されたモータ51および動力分配部52を備える。モータ51の出力軸には第1プーリ511が、動力分配部52の入力軸には第2プーリ521が、それぞれ取り付けられており、第1プーリ511と第2プーリ521との間には、無端ベルト53が掛け回されている。これにより、モータ51から動力分配部52への動力の伝達を行うことができるようになっている。
動力分配部52は、クラッチ機構を備えており、プーリ511,521を通じてモータ51より入力される駆動力の出力先を切り換えて、モータ51の駆動力をブラシユニット4だけに伝達する回転モード(ブラシ回転モード)と、モータ51の駆動力を内槽3とここに設けられているブラシユニット4の両方に伝達する回転モード(一体回転モード)とを選択的に実現する。ブラシ回転モードでは、内槽3が回転せず、ブラシユニット4だけが軸部412の中心軸の回りで回転することになる。また、一体回転モードでは、内槽3およびブラシユニット4が中心軸の回りで一体的に(すなわち同じ回転数で)、回転することになる。
(加速度センサ6)
加速度センサ6は、内槽3の加速度を検出するセンサである。この靴用洗濯機100では、モータ51が、軸部の一端において外槽2の底面に間接的あるいは直接的に当接するように設けられており、加速度センサ6はこの軸部に取り付けられることで、外槽2を介して内槽3の加速度を検出する。加速度センサ6は、3軸加速度センサであり、直交する3方向(すなわち、内槽3の中心軸と平行な方向(鉛直方向)と、これと直交する面(水平面)内で直交する2軸に沿う各方向)の各加速度を検出する。加速度センサ6は、制御部7と電気的に接続されており、加速度センサ6で検出された検出値が、制御部7に入力されるようになっている。
加速度センサ6は、内槽3の加速度を検出するセンサである。この靴用洗濯機100では、モータ51が、軸部の一端において外槽2の底面に間接的あるいは直接的に当接するように設けられており、加速度センサ6はこの軸部に取り付けられることで、外槽2を介して内槽3の加速度を検出する。加速度センサ6は、3軸加速度センサであり、直交する3方向(すなわち、内槽3の中心軸と平行な方向(鉛直方向)と、これと直交する面(水平面)内で直交する2軸に沿う各方向)の各加速度を検出する。加速度センサ6は、制御部7と電気的に接続されており、加速度センサ6で検出された検出値が、制御部7に入力されるようになっている。
(制御部7)
制御部7について、図1に加え、図2を参照しながら説明する。図2は、制御部7のハードウェア構成および制御部7にて実現される機能構成を示すブロック図である。
制御部7について、図1に加え、図2を参照しながら説明する。図2は、制御部7のハードウェア構成および制御部7にて実現される機能構成を示すブロック図である。
制御部7は、例えばマイクロコンピュータなどで構成されており、中央演算処理装置であるCPU71、RAM等の揮発性記憶装置からなるメモリ72、ROM等の不揮発性記憶装置からなる記憶部73、加速度センサ6などとの通信を行う通信インターフェイス74、インターネットなどの通信ネットワークを介して外部機器と通信を行うためのネットワークインターフェースである通信部75、等を含んで構成される。記憶部73には、靴用洗濯機100において一連の動作を実行するためのプログラムP、該プログラムPの実行に用いられる各種のパラメータや制御フラグ、などが記憶される。
また、制御部7は、靴用洗濯機100が備える各部(具体的には、給水バルブ221、排水バルブ231、モータ51、動力分配部52、加速度センサ6、など)と接続されている。
制御部7には、動作制御部701、判定部702、などが実現される。これら各部701,702は、例えば、CPU71が記憶部73に記憶されたプログラムPをメモリ72に読み出して実行することによって実現される。もっとも、これら各機能部701,702の一部あるいは全部は、該機能を実現するための回路モジュールが実装されることにより実現されてもよい。
動作制御部701は、記憶部73に記憶されたプログラムPにしたがって、靴用洗濯機100が備える各部を制御して、後述する一連の動作を行わせる。
後に明らかになるように、靴用洗濯機100にて行われる一連の動作に含まれる工程の一つである脱水工程(図4のステップS7)では、水を含んだ靴が収容されている内槽3が、所定の脱水回転数で回転される。このとき、靴が脱水に不適な姿勢(すなわち、ソールによって水分の振り切りが妨げられるような姿勢であり、典型的には、ソールを内槽3の周壁側に向ける外向き姿勢)となっていると、水分が十分に振り切られて行かず、靴の脱水が不十分となる虞がある。
そこで、このような場合に、動作制御部701は、ほぐし工程(図5のステップS73)を行わせる。ほぐし工程は、内槽3に収容されている靴の姿勢を変更するための工程であり、具体的には、ブラシユニット4を所定のほぐし回転数で回転させる工程である。ほぐし工程によって靴の姿勢が変更されて、脱水に不適な姿勢ではなくなれば、それ以降は、靴の水分が十分に振り切られて行くこととなり、靴の脱水が不十分となることが回避される。
判定部702は、このほぐし工程を行うべきか否かを判定する。具体的には、判定部702は、水を含んだ靴が収容されている内槽3が所定の脱水回転数で回転される際の、内槽3の加速度の変化幅が、所定の閾値以下であるか否かを判断し、所定の閾値以下である場合に、内槽3に収容されている靴が脱水に不適な姿勢となっていて、その姿勢を変更するためのほぐし工程を行うべき、と判定する。
水を含んだ靴が収容されている内槽3が所定の脱水回転数で回転される際の、内槽3の加速度の変化幅は、内槽3およびここに収容されている靴の総重量の変化を反映している。すなわち、加速度は、内槽3およびここに収容されている靴の総重量の変化に伴って変化する物理量である。以下に説明するように、このような物理量の変化幅を見ることで、靴が脱水に不適な姿勢にあるか否かを判定することができる。
図3には、内槽3に収容されている靴を、ソールが内槽3の中心軸側を向くような内向き姿勢(図1に示される姿勢)として、内槽3を720rpmの脱水回転数で回転させた場合の、回転時間と靴の重量との関係を測定した実験結果が示されている。ここに示されるように、靴が内向き姿勢の場合、靴の重量は回転時間が長くなるにつれて減少する。いうまでもなく、これは、靴から水分が次々に振り切られてくためである。
つまり、靴が脱水に不適な姿勢となっておらず、脱水が適切に進んでいる場合は、内槽3およびここに収容されている靴の総重量が回転時間に応じて比較的大きく減少し(図3)、これを反映して内槽3の加速度が比較的大きく変化する。一方で、靴が脱水に不適な姿勢となっていて、脱水が適切に進んでいない場合は、該総重量の減少幅が比較的小さいものとなり、これを反映して内槽3の加速度の変化幅も小さなものとなる。つまり、内槽3の加速度の変化幅が所定の閾値よりも小さい場合に、内槽3に収容されている靴が脱水に不適な姿勢となっていると推定することができ、判定部702は、このような場合にほぐし工程を行うべきと判定する。
この判定に用いられる閾値の具体的な値は、任意に規定することができる。上記の通り、脱水に不適な姿勢(不適姿勢)の典型は、ソールを内槽3の周壁側に向けるような外向き姿勢である。また、脱水に不適ではない姿勢(適当姿勢)の典型は、ソールを内槽3の中心軸側に向けるような内向き姿勢である。そして、外向き姿勢でも内向き姿勢でもない中間の姿勢を、不適姿勢と適当姿勢のどちらと見なすかは、ほぐし判定に用いる閾値によって変わってくる。すなわち、閾値が小さな値に設定されるほど、不適姿勢とみなされる姿勢の範囲が狭くなり、閾値が大きな値に設定されるほど、適当姿勢とみなされる姿勢の範囲が狭くなる。例えば、内槽3に収容される片靴の個数、各片靴の姿勢、などを様々に変えた組み合わせ条件を設定し、各組み合わせ条件の下で脱水実験や脱水シミュレーションを行って、加速度の変化幅と脱水良否との関係を収集し、これに基づいて、妥当と考えられる閾値を適宜に導出すればよい。
<2.靴用洗濯機の動作>
次に、靴用洗濯機100で行われる一連の工程について、図4を参照しながら説明する。図4は、該一連の工程の流れを示す図である。
次に、靴用洗濯機100で行われる一連の工程について、図4を参照しながら説明する。図4は、該一連の工程の流れを示す図である。
まず、利用者は、筐体1の蓋11を開けて、洗濯したい靴(具体的には、左の片靴および右の片靴)を内槽3に入れる。内槽3は、大人の靴であれば最大で2足程度(すなわち、片靴を最大で4個程度)、収容可能なサイズとされており、大人の靴であれば最大で2足程度を同時に洗濯することができる。上記のとおり、内槽3の収容空間における中心軸側の部分は、主ブラシ部42(具体的には、各列の毛状部材421)によって2つの空間に仕切られている。2個あるいは4個の片靴は、毛状部材421によって仕切られる2つの空間の一方側と他方側に分けて同数個ずつ入れられることが好ましい。
洗濯したい靴を内槽3に入れると、利用者は、筐体1の蓋11を閉じるとともに、コイン等を投入して、操作部12を介して洗濯開始の指示を入力する。
操作部12を介して洗濯開始の指示が入力されると、靴の洗濯に係る一連の動作が開始される。以下に説明する一連の動作は、動作制御部701が、記憶部73に記憶されたプログラムP、および、これに対応するパラメータなどを読み出し、該プログラムPにしたがって、靴用洗濯機100が備える各部を制御することによって実行される。
ステップS1:給水工程
まず、動作制御部701は、蓋11をロックした上で、給水バルブ221を開状態とする。すると、外部の給水設備などから供給される水が、給水管22を介して外槽2に収容されている内槽3に流入する。内槽3に流入した水は、ここに形成されている通水孔(図示省略)を通過して外槽2内に流出してここに溜められる。給水が開始されてから所定時間(例えば、1分)が経過して外槽2内の水位が所定の高さに達すると、動作制御部701は、給水バルブ221を閉状態として給水を停止させる。
まず、動作制御部701は、蓋11をロックした上で、給水バルブ221を開状態とする。すると、外部の給水設備などから供給される水が、給水管22を介して外槽2に収容されている内槽3に流入する。内槽3に流入した水は、ここに形成されている通水孔(図示省略)を通過して外槽2内に流出してここに溜められる。給水が開始されてから所定時間(例えば、1分)が経過して外槽2内の水位が所定の高さに達すると、動作制御部701は、給水バルブ221を閉状態として給水を停止させる。
なお、この給水工程が行われる前に、利用者からの指示に応じて、給水により内槽3に水を流入させてその内側をすすぎ洗いする工程(槽洗浄工程)が行われてもよい。
ステップS2:ブラシ回転洗い工程
続いて、動作制御部701は、洗剤を投入させるとともに、モータ51および動力分配部52を制御して、内槽3を回転させずにブラシユニット4だけを、所定の洗い回転数で、回転させる。これにより、内槽3に回転水流が形成されて靴が遊動し、該靴が主ブラシ部42および補助ブラシ部43によって擦り洗いされる。洗い回転数としては、113rpm程度が好適である。また、回転を継続させる時間は10分程度が好適である。
続いて、動作制御部701は、洗剤を投入させるとともに、モータ51および動力分配部52を制御して、内槽3を回転させずにブラシユニット4だけを、所定の洗い回転数で、回転させる。これにより、内槽3に回転水流が形成されて靴が遊動し、該靴が主ブラシ部42および補助ブラシ部43によって擦り洗いされる。洗い回転数としては、113rpm程度が好適である。また、回転を継続させる時間は10分程度が好適である。
ステップS3:排水および脱水工程
続いて、動作制御部701は、排水バルブ231を開状態として、外槽2に貯留されている水を排水させる。そして、動作制御部701は、モータ51および動力分配部52を制御して、内槽3とブラシユニット4を一体的に、所定の脱水回転数で、回転させる。すると、内槽3に収容されている靴が内槽3の中心軸の回りに高速で回転し、靴に含まれている水分が遠心力によって振り切られて通水孔から排出され、靴が脱水されていく。脱水回転数は、洗い回転数よりも高い回転数であり、720rpm程度が好適である。また、回転を継続させる時間は2分22秒程度が好適である。
続いて、動作制御部701は、排水バルブ231を開状態として、外槽2に貯留されている水を排水させる。そして、動作制御部701は、モータ51および動力分配部52を制御して、内槽3とブラシユニット4を一体的に、所定の脱水回転数で、回転させる。すると、内槽3に収容されている靴が内槽3の中心軸の回りに高速で回転し、靴に含まれている水分が遠心力によって振り切られて通水孔から排出され、靴が脱水されていく。脱水回転数は、洗い回転数よりも高い回転数であり、720rpm程度が好適である。また、回転を継続させる時間は2分22秒程度が好適である。
ステップS4:給水工程
続いて、動作制御部701は、給水バルブ221を開状態として、外槽2に対する給水を開始させる。
続いて、動作制御部701は、給水バルブ221を開状態として、外槽2に対する給水を開始させる。
ステップS5:すすぎ工程
給水が開始されてから所定時間(例えば、1分)が経過して外槽2内の水位が所定の高さに達すると、動作制御部701は、モータ51および動力分配部52を制御して、内槽3を回転させずにブラシユニット4だけを、所定のすすぎ回転数で、回転させる。これにより、内槽3に収容されている靴が、主ブラシ部42および補助ブラシ部43によって擦り洗いされながら、すすがれていく。すすぎ回転数は、洗い回転数と同じ値とすることができる。回転を継続させる時間は1分45秒程度が好適である。また、このすすぎ工程の間、動作制御部701は、所定時間(例えば30秒程度)、給水バルブ221を開状態に維持して、注水すすぎを行う。
給水が開始されてから所定時間(例えば、1分)が経過して外槽2内の水位が所定の高さに達すると、動作制御部701は、モータ51および動力分配部52を制御して、内槽3を回転させずにブラシユニット4だけを、所定のすすぎ回転数で、回転させる。これにより、内槽3に収容されている靴が、主ブラシ部42および補助ブラシ部43によって擦り洗いされながら、すすがれていく。すすぎ回転数は、洗い回転数と同じ値とすることができる。回転を継続させる時間は1分45秒程度が好適である。また、このすすぎ工程の間、動作制御部701は、所定時間(例えば30秒程度)、給水バルブ221を開状態に維持して、注水すすぎを行う。
ステップS6:排水工程
続いて、動作制御部701は、排水バルブ231を開状態として、外槽2に貯留されている水を排水させる。
続いて、動作制御部701は、排水バルブ231を開状態として、外槽2に貯留されている水を排水させる。
ステップS7:脱水工程
ステップS6の排水工程が開始されてから所定時間(例えば30秒程度)が経過して、外槽2内の水が排水されると、動作制御部701は、脱水工程を行わせる。この脱水工程に係る一連の工程ついて、図5を参照しながら説明する。図5は、脱水工程に係る一連の工程の流れを示す図である。
ステップS6の排水工程が開始されてから所定時間(例えば30秒程度)が経過して、外槽2内の水が排水されると、動作制御部701は、脱水工程を行わせる。この脱水工程に係る一連の工程ついて、図5を参照しながら説明する。図5は、脱水工程に係る一連の工程の流れを示す図である。
ステップS71:第1脱水工程
第1脱水工程では、動作制御部701は、モータ51および動力分配部52を制御して、内槽3とブラシユニット4を一体的に、所定の脱水回転数で、所定の第1脱水時間の間、回転させる。これにより、靴に含まれている水分が遠心力によって振り切られて通水孔から排出され、靴が脱水されていく。上記の通り、脱水回転数は、洗い回転数よりも高い値であり、720rpm程度が好適である。
第1脱水工程では、動作制御部701は、モータ51および動力分配部52を制御して、内槽3とブラシユニット4を一体的に、所定の脱水回転数で、所定の第1脱水時間の間、回転させる。これにより、靴に含まれている水分が遠心力によって振り切られて通水孔から排出され、靴が脱水されていく。上記の通り、脱水回転数は、洗い回転数よりも高い値であり、720rpm程度が好適である。
第1脱水工程が行われる間、加速度センサ6が、内槽3の加速度を検出して、検出値を判定部702にリアルタイムで送出する。つまり、第1脱水工程は、靴の脱水を進めるための工程であるとともに、ほぐし工程を行うべきか否かの判定に用いられるデータである加速度の変化幅を取得するための工程でもある。したがって、第1脱水時間は、判定に必要なデータを取得するために必要十分な時間とされることが好ましい。具体的には、第1脱水時間は、1分30秒程度が好適である。
ステップS72:判定工程
第1脱水工程が終了すると、続いて、判定部702が、ほぐし工程を行うべきか否かを判定する。具体的には、第1脱水工程が行われる間、加速度センサ6が、内槽3の加速度を検出して、検出値を判定部702にリアルタイムで送出してしており、判定部702は、第1脱水工程が行われる間の内槽3の加速度の変化幅が、所定の閾値以下である場合に、内槽3に収容されている靴が、脱水に不適な姿勢(不適姿勢)となっており、ほぐし工程を行うべきと判定する。
第1脱水工程が終了すると、続いて、判定部702が、ほぐし工程を行うべきか否かを判定する。具体的には、第1脱水工程が行われる間、加速度センサ6が、内槽3の加速度を検出して、検出値を判定部702にリアルタイムで送出してしており、判定部702は、第1脱水工程が行われる間の内槽3の加速度の変化幅が、所定の閾値以下である場合に、内槽3に収容されている靴が、脱水に不適な姿勢(不適姿勢)となっており、ほぐし工程を行うべきと判定する。
判定工程において、ほぐし工程を行うべきであると判定された場合(ステップS72でYES)、ほぐし工程(ステップS73)に進む。一方、判定工程において、ほぐし工程を行うべきでないと判定された場合(ステップS72でNO)、ほぐし工程を行わずに、最終脱水工程である第2脱水工程(ステップS75)に進む。
ただし、動作制御部701は、判定工程の判定結果が出るまで、内槽3およびブラシユニット4の回転数を所定の脱水回転数に維持しており、ほぐし工程を行うべきと判定された場合に限って、その回転数を低下させる。つまり、ほぐし工程を行うべきでないと判定された場合、内槽3およびブラシユニット4の回転数が所定の脱水回転数に維持されたまま、第1脱水工程と連続して第2脱水工程が行われることになる。
ステップS73:ほぐし工程
ほぐし工程では、動作制御部701は、モータ51および動力分配部52を制御して、内槽3を回転させずにブラシユニット4だけを、所定のほぐし回転数で、回転させる。これにより、内槽3に収容されている靴が、主ブラシ部42および補助ブラシ部43に当たってその姿勢および位置を変更される。ほぐし回転数は、洗い回転数と同じ値、あるいは、洗い回転数よりも小さい値とすることができる。また、回転を継続させる時間は10秒程度が好適である。
ほぐし工程では、動作制御部701は、モータ51および動力分配部52を制御して、内槽3を回転させずにブラシユニット4だけを、所定のほぐし回転数で、回転させる。これにより、内槽3に収容されている靴が、主ブラシ部42および補助ブラシ部43に当たってその姿勢および位置を変更される。ほぐし回転数は、洗い回転数と同じ値、あるいは、洗い回転数よりも小さい値とすることができる。また、回転を継続させる時間は10秒程度が好適である。
ステップS74:繰り返し判定工程
続いて、動作制御部701は、2回目のほぐし工程が行われたか否かを判断する。2回目のほぐし工程が行われていないと判断された場合(すなわち、ほぐし回数の実行回数が1回である場合)、動作制御部701は、もう一度、第1脱水工程(ステップS71)および判定工程(ステップS72)を繰り返す(繰り返し工程)。一方、2回目のほぐし工程が行われたと判断された場合(すなわち、ほぐし回数の実行回数が2回である場合)、動作制御部701は、繰り返し工程を行わずに、第2脱水工程(ステップS75)に進む。
続いて、動作制御部701は、2回目のほぐし工程が行われたか否かを判断する。2回目のほぐし工程が行われていないと判断された場合(すなわち、ほぐし回数の実行回数が1回である場合)、動作制御部701は、もう一度、第1脱水工程(ステップS71)および判定工程(ステップS72)を繰り返す(繰り返し工程)。一方、2回目のほぐし工程が行われたと判断された場合(すなわち、ほぐし回数の実行回数が2回である場合)、動作制御部701は、繰り返し工程を行わずに、第2脱水工程(ステップS75)に進む。
ステップS75:第2脱水工程
第2脱水工程では、動作制御部701は、モータ51および動力分配部52を制御して、内槽3とブラシユニット4を一体的に、所定の脱水回転数で、所定の第2脱水時間の間、回転させる。これにより、靴に含まれている水分が遠心力によって振り切られて通水孔から排出され、靴が脱水されていく。ただし、第2脱水時間は、第1脱水時間よりも長い時間であり、2分程度が好適である。
第2脱水工程では、動作制御部701は、モータ51および動力分配部52を制御して、内槽3とブラシユニット4を一体的に、所定の脱水回転数で、所定の第2脱水時間の間、回転させる。これにより、靴に含まれている水分が遠心力によって振り切られて通水孔から排出され、靴が脱水されていく。ただし、第2脱水時間は、第1脱水時間よりも長い時間であり、2分程度が好適である。
<3.靴の姿勢毎の脱水工程>
上述した通り、靴用洗濯機100では、実際に行われる脱水工程(ステップS7)の流れは、靴の姿勢によって異なるものとなる。この点について、図5に加え、図6を参照しながら説明する。図6は、靴の姿勢毎の脱水工程の流れを説明するための図である。
上述した通り、靴用洗濯機100では、実際に行われる脱水工程(ステップS7)の流れは、靴の姿勢によって異なるものとなる。この点について、図5に加え、図6を参照しながら説明する。図6は、靴の姿勢毎の脱水工程の流れを説明するための図である。
(ケース1)
脱水工程の開始段階で、内槽3に収容されている靴が、脱水に不適ではない姿勢(適当姿勢)であった場合、1回目の第1脱水工程に基づく判定工程で、ほぐし工程を行うべきでないと判定される。したがって、回転数が所定の脱水回転数に維持されたまま、1回目の第1脱水工程と第2脱水工程とが連続的に行われる。
脱水工程の開始段階で、内槽3に収容されている靴が、脱水に不適ではない姿勢(適当姿勢)であった場合、1回目の第1脱水工程に基づく判定工程で、ほぐし工程を行うべきでないと判定される。したがって、回転数が所定の脱水回転数に維持されたまま、1回目の第1脱水工程と第2脱水工程とが連続的に行われる。
このように、脱水工程の開始段階で、内槽3に収容されている靴が適当姿勢であった場合は、そのままの状態で、第1脱水工程および第2脱水工程が進行するので、靴が十分に脱水され、脱水ムラも生じにくい。
(ケース2)
脱水工程の開始段階で、内槽3に収容されている靴が、脱水に不適な姿勢(不適姿勢)であった場合、1回目の第1脱水工程に基づく判定工程で、ほぐし工程を行うべきと判定され、1回目のほぐし工程が行われる。この1回目のほぐし工程で、靴の姿勢が適当姿勢に変更されたとする。この場合、その後の2回目の第1脱水工程に基づく判定工程では、ほぐし工程を行うべきでないと判定される。したがって、回転数が所定の脱水回転数に維持されたまま、2回目の第1脱水工程と第2脱水工程とが連続的に行われる。
脱水工程の開始段階で、内槽3に収容されている靴が、脱水に不適な姿勢(不適姿勢)であった場合、1回目の第1脱水工程に基づく判定工程で、ほぐし工程を行うべきと判定され、1回目のほぐし工程が行われる。この1回目のほぐし工程で、靴の姿勢が適当姿勢に変更されたとする。この場合、その後の2回目の第1脱水工程に基づく判定工程では、ほぐし工程を行うべきでないと判定される。したがって、回転数が所定の脱水回転数に維持されたまま、2回目の第1脱水工程と第2脱水工程とが連続的に行われる。
このように、脱水工程の開始段階で内槽3に収容されている靴が不適姿勢であっても、1回目のほぐし工程によって適当姿勢に変更されれば、ケース1と同様、靴が適当姿勢となっている状態で、第1脱水工程および第2脱水工程が進行する。したがって、靴が十分に脱水され、脱水ムラも生じにくい。
(ケース3)
一方で、1回目のほぐし工程で、靴の姿勢が適当姿勢に変更されなかった場合、2回目の第1脱水工程に基づく判定工程で、ほぐし工程を行うべきと判定され、2回目のほぐし工程が行われる。2回目のほぐし工程が行われた後は、引き続いて第2脱水工程が行われる。つまり、この場合は、2回目のほぐし工程によって靴が適当姿勢に変更されたか否かに拘わらず、第2脱水工程が行われることになる。
一方で、1回目のほぐし工程で、靴の姿勢が適当姿勢に変更されなかった場合、2回目の第1脱水工程に基づく判定工程で、ほぐし工程を行うべきと判定され、2回目のほぐし工程が行われる。2回目のほぐし工程が行われた後は、引き続いて第2脱水工程が行われる。つまり、この場合は、2回目のほぐし工程によって靴が適当姿勢に変更されたか否かに拘わらず、第2脱水工程が行われることになる。
2回目のほぐし工程によって靴が適当姿勢に変更されていたとすると、靴が適当姿勢となっている状態で、第2脱水工程が進行する。この場合、靴が十分に脱水され、脱水ムラも生じにくい。
一方、2回目のほぐし工程によって靴が適当姿勢に変更されなかったとしても、3回目のほぐし工程が行われることなく、第2脱水工程が進行する。この場合、靴が不適姿勢となっている状態で第2脱水工程が進行するので、靴が十分に脱水されない虞がある。しかしながら、ほぐし工程が2回行われてもなお、靴が適当姿勢に変更されない場合、それ以上ほぐし工程の回数を重ねても、靴の姿勢が変更される可能性は低い。すなわち、3回目以降のほぐし工程は、2回目までのほぐし工程に比べると、実効性に乏しい。ここでは、このような実効性に乏しいほぐし工程が行われることによって工程時間が不必要に長くなることが回避される。
<4.効果>
上記の実施形態に係る靴用洗濯機100は、水が溜められる外槽2と、外槽2に収容される内槽3と、内槽3に設けられたブラシユニット4と、内槽3およびブラシユニット4の回転を制御する制御部7と、を備える。制御部7は、内槽3を、所定の脱水回転数で、所定の第1時間の間、回転させる第1脱水工程(ステップS71)と、第1脱水工程の後に、ブラシユニット4を所定のほぐし回転数で回転させるほぐし工程(ステップS73)と、内槽3を、脱水回転数で、第1時間よりも長い第2時間の間、回転させる第2脱水工程(ステップS75)と、を実行する。
上記の実施形態に係る靴用洗濯機100は、水が溜められる外槽2と、外槽2に収容される内槽3と、内槽3に設けられたブラシユニット4と、内槽3およびブラシユニット4の回転を制御する制御部7と、を備える。制御部7は、内槽3を、所定の脱水回転数で、所定の第1時間の間、回転させる第1脱水工程(ステップS71)と、第1脱水工程の後に、ブラシユニット4を所定のほぐし回転数で回転させるほぐし工程(ステップS73)と、内槽3を、脱水回転数で、第1時間よりも長い第2時間の間、回転させる第2脱水工程(ステップS75)と、を実行する。
この構成によると、第1脱水工程の後にほぐし工程が行われるので、仮に、第1脱水工程が行われた段階で、靴が脱水に不適な姿勢(典型的には、ソールを内槽の周壁側に向けるような外向き姿勢)となっていたとしても、このほぐし工程で靴の姿勢が変更される可能性がある。したがって、靴が脱水に不適な姿勢のままで第2脱水工程が行われたために脱水が不十分になる、といった事態の発生が抑制される。
また、上記の実施形態に係る靴用洗濯機100は、制御部7が、第1脱水工程の後に、ほぐし工程を行うべきか否かを判定する判定工程(ステップS72)、を実行し、判定工程において、第1脱水工程が行われる間の内槽3の物理量の変化幅が所定の閾値以下である場合に、ほぐし工程を行うべきと判定する。
第1脱水工程が行われる間の内槽3の物理量の変化幅が比較的小さいということは、内槽3およびここに収容されている靴の状態変化が乏しい、すなわち、靴から吹き飛ばされる水分の量が少ないことを意味している。このとき、靴は脱水に不適な姿勢となっている可能性が高い。このような場合に、ほぐし工程が行われることで、靴の姿勢が変更されることが期待できる。したがって、靴が脱水に不適な姿勢となっていたために靴の脱水が不十分になってしまう、といった事態の発生が効果的に抑制される。
また、上記の実施形態に係る靴用洗濯機100は、判定工程で用いられる内槽3の物理量が、内槽3の加速度である。
内槽3の加速度の変化幅が比較的小さいということは、内槽3およびここに収容されている靴の総重量の変化が乏しい、すなわち、靴から吹き飛ばされる水分の量が少ないことを意味している。したがって、内槽3の加速度の変化幅に基づいて、ほぐし工程を行うべきか否かを適切に判定することができる。また、内槽3の加速度の変化は、センサなどを用いて比較的簡易に検出することができるので、簡易な構成で、ほぐし工程を行うべきかの判定を行うことができる。
また、上記の実施形態に係る靴用洗濯機100は、制御部7が、ほぐし工程の後に、第1脱水工程および判定工程を繰り返す繰り返し工程、を実行する。
この構成によると、ほぐし工程の後に、もう一度、第1脱水工程が行われ、該第1脱水工程が行われる間の内槽3の物理量の変化幅に基づいて、再度のほぐし工程を行うべきか否かが判定される。したがって、例えば、1回目のほぐし工程で靴の姿勢が適切に変更されなかった場合は、2回目のほぐし工程が行われることになり、靴が脱水に不適な姿勢のままで第2脱水工程が行われるという事態の発生を、十分に抑制することができる。
また、上記の実施形態に係る靴用洗濯機100では、2回目のほぐし工程が行われた後は、繰り返し工程を行わずに第2脱水工程に進む。
ほぐし工程が2回行われてもなお靴の姿勢が適切に変更されない場合は、それ以上ほぐし工程の回数を重ねても、靴の姿勢が変更される可能性は低い。すなわち、3回目以降のほぐし工程は、2回目までのほぐし工程に比べると、実効性に乏しい。ここでは、このような実効性に乏しいほぐし工程が行われることによって工程時間が不必要に長くなることが回避される。
また、上記の実施形態に係る靴用洗濯機100は、判定工程で、ほぐし工程を行うべきではないと判定された場合、脱水回転数が維持されたまま、第1脱水工程と連続して第2脱水工程が行われる。
この構成によると、工程時間が不必要に長くなることが回避される。
また、上記の実施形態に係る靴用洗濯機100は、内槽3の加速度を検出する加速度センサ6、を備え、制御部7が、加速度センサ6の検出値に基づいて、内槽3に収容されている靴が脱水に不適な姿勢となっているか否かを判定する。
この構成によると、内槽3に収容されている靴が脱水に不適な姿勢となっている場合に、これを適切に検知することができる。
<5.他の実施形態>
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
例えば、上記の実施形態においては、脱水工程(ステップS7)において、ほぐし工程を行うべきか否かを判定する判定工程を行っていたが、これを省略してもよい。具体的には、図7に示されるように、上述した第1脱水工程を行い(ステップS701)、続いて、上述したほぐし工程を行い(ステップS702)、その後、上述した第2脱水工程を行う(ステップS703)ものとしてもよい。
また、上記の実施形態においては、1回目のほぐし工程が行われた後、第1脱水工程および判定工程を繰り返す繰り返し工程が行われるものとしたが、このような繰り返し工程を行わないものとしてもよい。すなわち、ほぐし工程の実行回数を最大で1回として、1回目のほぐし工程が行われた後は、第2脱水工程に進むものとしてもよい。
また、上記の実施形態においては、2回目のほぐし工程が行われた後は、第1脱水工程および判定工程を繰り返す繰り返し工程を行わないものとした。すなわち、ほぐし工程の実行回数は最大で2回としていた。しかしながら、ほぐし工程の最大実行回数は3回以上であってもよい。すなわち、n回目(nは2以上の任意の整数)のほぐし工程が行われたと判断された場合に、それ以上の繰り返し工程を行わないものとしてもよい。
また、上記の実施形態において、判定部702は、第1脱水工程が行われる間の内槽3の加速度の変化幅が所定の閾値以下である場合に、ほぐし工程を行うべきと判定するものとしたが、いうまでもなく、第1脱水工程が開始された直後、内槽3の回転数が所定の脱水回転数に到達するまでの微小な時間帯における加速度の変化は、閾値と比較される変化幅としては除外されるべきである。すなわち、閾値と比較される変化幅としては、内槽3の回転数が所定の脱水回転数に到達した後の時間帯での変化幅が用いられるべきである。
また、上記の実施形態において、判定部702は、第1脱水工程が行われる間の内槽3の加速度の変化幅に基づいて、ほぐし工程を行う必要があるか否かを判定するものとしたが、この判定に用いる物理量は加速度に限られるものではない。上記の通り、靴が脱水に不適な姿勢となっていて、脱水が適切に進んでいない場合は、靴を収容している内槽3の状態変化が乏しくなる。したがって、第1脱水工程が行われる間の内槽3の状態変化に伴って変化するような様々な物理量(すなわち、内槽3の状態変化を反映して変化するような様々な物理量)を用いて、靴が脱水に不適な姿勢となっているか否か、ひいては、ほぐし工程を行う必要があるか否かを、判定することができる。簡易かつ十分な精度で判定を行うためには、内槽3およびここに収容されている靴の総重量の変化に伴って変化するような物理量を用いることも好ましい。具体的には例えば、内槽3の振動、変位、速度、傾き、振動振幅、振動周期、固有振動数、などを、判定に用いる物理量として採用することができる。また、内槽3およびここに収容されている靴の総重量を直接に計測することが可能であれば、該総重量を、判定に用いる物理量として採用してもよい。
また、いうまでもなく、上記の実施形態において、判定に用いる物理量を取得するためのセンサは、加速度センサ6に限られるものではない。例えば、内槽3の変位、速度、傾き、などを直接あるいは間接に検知するセンサであってもよい。また例えば、加速度、変位、速度、などに基づいて、内槽3の振動値を出力する振動センサであってもよい。
また、上記の実施形態においては、判定部702が、加速度センサ6の検出値に基づいて、内槽3に収容されている靴が脱水に不適な姿勢となっていると判定していた。具体的には、第1脱水工程が行われる間の内槽3の加速度の変化幅が所定の閾値以下である場合に、内槽3に収容されている靴が脱水に不適な姿勢となっていると判定していた。そして、このような判定がなされた場合に、ほぐし工程が行われるものとされていた。しかしながら、このような判定がなされた場合に、必ずしもほぐし工程が行われなくともよい。例えば、判定部702が、加速度センサ6の検出値に基づいて、内槽3に収容されている靴が脱水に不適な姿勢となっていると判定した場合に、アラームの鳴動やランプの点灯などによってその旨を利用者に報知するものとしてもよい。
上記の実施形態において、靴用洗濯機100はコインランドリー店舗に設置されるものとしたが、靴用洗濯機は家庭用のものであってもよい。
1 筐体
2 外槽
3 内槽
4 ブラシユニット
41 基体部
42 主ブラシ部
43 補助ブラシ部
5 駆動部
6 加速度センサ
7 制御部
701 動作制御部
702 判定部
100 靴用洗濯機
S7 脱水工程
S71,S701 第1脱水工程
S72 判定工程
S73,S702 ほぐし工程
S74 繰り返し判定工程
ステップS75,S703 第2脱水工程
2 外槽
3 内槽
4 ブラシユニット
41 基体部
42 主ブラシ部
43 補助ブラシ部
5 駆動部
6 加速度センサ
7 制御部
701 動作制御部
702 判定部
100 靴用洗濯機
S7 脱水工程
S71,S701 第1脱水工程
S72 判定工程
S73,S702 ほぐし工程
S74 繰り返し判定工程
ステップS75,S703 第2脱水工程
Claims (7)
- 水が溜められる外槽と、前記外槽に収容される内槽と、前記内槽に設けられたブラシユニットと、前記内槽および前記ブラシユニットの回転を制御する制御部と、を備える靴用洗濯機であって、
前記制御部が、
前記内槽を、所定の脱水回転数で、所定の第1時間の間、回転させる第1脱水工程と、
前記第1脱水工程の後に、前記ブラシユニットを所定のほぐし回転数で回転させるほぐし工程と、
前記内槽を、前記脱水回転数で、前記第1時間よりも長い第2時間の間、回転させる第2脱水工程と、
を実行することを特徴とする、靴用洗濯機。 - 請求項1に記載の靴用洗濯機において、
前記制御部が、
前記第1脱水工程の後に、前記ほぐし工程を行うべきか否かを判定する判定工程、
を実行し、
前記判定工程において、
前記第1脱水工程が行われる間の前記内槽の物理量の変化幅が所定の閾値以下である場合に、前記ほぐし工程を行うべきと判定する、
ことを特徴とする、靴用洗濯機。 - 請求項2に記載の靴用洗濯機において、
前記判定工程で用いられる前記内槽の物理量が、前記内槽の加速度である、
ことを特徴とする、靴用洗濯機。 - 請求項2または3に記載の靴用洗濯機において、
前記制御部が、
前記ほぐし工程の後に、前記第1脱水工程および前記判定工程を繰り返す繰り返し工程、
を実行することを特徴とする、靴用洗濯機。 - 請求項4に記載の靴用洗濯機において、
2回目の前記ほぐし工程が行われた後は、前記繰り返し工程を行わずに前記第2脱水工程に進む、
ことを特徴とする、靴用洗濯機。 - 請求項2から5のいずれかに記載の靴用洗濯機において、
前記判定工程で、前記ほぐし工程を行うべきではないと判定された場合、前記脱水回転数が維持されたまま、前記第1脱水工程と連続して前記第2脱水工程が行われる、
ことを特徴とする、靴用洗濯機。 - 水が溜められる外槽と、前記外槽に収容される内槽と、前記内槽に設けられたブラシユニットと、前記内槽および前記ブラシユニットの回転を制御する制御部と、を備える靴用洗濯機であって、
前記内槽の加速度を検出する加速度センサ、
を備え、
前記制御部が、
前記加速度センサの検出値に基づいて、前記内槽に収容されている靴が脱水に不適な姿勢となっているか否かを判定する、
ことを特徴とする、靴用洗濯機。
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