JP2022170558A - 光学素子、光学機器、撮像装置および光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子、光学機器、撮像装置および光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 環境温度が大きく変化しても透明基材の外周面から遮光膜が剥がれにくい光学素子を提供する。【解決手段】 光学素子10は、光学面11Aと光学面の外周縁に接する外周面11Cを有する第1透明基材11と、光学面12Aと光学面の外周縁に接する外周面12Cを有し第1透明基材の線膨張係数と異なる線膨張係数を有する第2透明基材12と、第1透明基材の光学面または第2透明基材の光学面と接触する接触面13Aと第1透明基材の光学面および第2透明基材の光学面と接触しない非接触面13Bを有し第1透明基材と第2透明基材を接合する透明樹脂層13と、第1透明基材の外周面と第2透明基材の外周面および前記透明樹脂層の非接触面を覆う遮光膜14を有する。非接触面を覆う遮光膜の第1部分14Aの厚みは、第1透明基材の外周面を覆う遮光膜の第2部分14Bの厚みおよび第2透明基材の外周面を覆う遮光膜の第3部分14Cの厚みより薄い。【選択図】 図1

Description

本開示は、光学素子、光学機器、撮像装置および光学素子の製造方法に関する。
複数の透明基材を透明樹脂で接合した接合レンズと呼ばれる光学素子が知られている。この光学素子は、色消し性能を有するレンズとして用いられ、デジタルカメラやビデオカメラなどの光学系の小型化・軽量化を実現している。
また、この種の光学素子のコバ部と呼ばれる外周部に遮光膜を設け、迷光を低減させることが知られている。特許文献1には、2つのレンズを接着剤で接合し、外周端部に遮光膜を設けた接合レンズを開示されている。
特開2015-108642号公報
しかしながら、2つの透明基材の線膨張係数が異なると、環境温度が大きく変化した際に透明基材の外周面から遮光膜が剥がれてしまうことがあった。
上記課題を解決するための第1の態様は、光学面と、前記光学面の外周縁に接する外周面と、を有する第1透明基材と、光学面と、前記光学面の外周縁に接する外周面と、を有し、前記第1透明基材の線膨張係数と異なる線膨張係数を有する第2透明基材と、前記第1透明基材の光学面または前記第2透明基材の光学面と接触する接触面と、前記第1透明基材の光学面および前記第2透明基材の光学面と接触しない非接触面と、を有し、前記第1透明基材と前記第2透明基材とを接合する透明樹脂層と、前記第1透明基材の外周面と、前記第2透明基材の外周面および前記透明樹脂層の非接触面と、を連続的に覆う遮光膜と、を有し、前記非接触面を覆う前記遮光膜の第1部分の厚みは、前記第1透明基材の外周面を覆う前記遮光膜の第2部分の厚みおよび前記第2透明基材の外周面を覆う前記遮光膜の第3部分の厚みより薄い、ことを特徴とする光学素子である。
上記課題を解決するための第2の態様は、光学面と、前記光学面の外周縁に接する外周面と、を有する第1透明基材と、光学面と、前記光学面の外周縁に接する外周面と、を有し、前記第1透明基材の線膨張係数と異なる線膨張係数を有する第2透明基材と、前記第1透明基材の光学面または前記第2透明基材の光学面と接触する接触面と、前記第1透明基材の光学面および前記第2透明基材の光学面と接触しない非接触面と、を有し、前記第1透明基材と前記第2透明基材とを接合する透明樹脂層と、前記第1透明基材の外周面および前記第2透明基材の外周面を覆う遮光膜と、を有し、前記非接触面の少なくとも一部は、前記遮光膜で覆われていないことを特徴とする光学素子である。
上記課題を解決するための第3の態様は、光学面と前記光学面の外周縁に接する外周面とを有する第1透明基材と、光学面と前記光学面の外周縁に接する外周面とを有し前記第1透明基材の線膨張係数と異なる線膨張係数を有する第2透明基材と、を用意する工程と、
前記第1透明基材の光学面および前記第2透明基材の光学面を接着剤で接合し、透明樹脂層を形成する工程と、前記第1透明基材の外周面と、前記第2透明基材の外周面および前記透明樹脂層の端面に遮光塗料を連続的に塗布し、前記遮光塗料を硬化させて遮光膜を形成する工程と、前記透明樹脂層の端面を覆う前記遮光膜の第1部分の厚みを、前記第1透明基材の外周面を覆う前記遮光膜の第2部分の厚みおよび前記第2透明基材の外周面を覆う前記遮光膜の第3部分の厚みより薄くする工程と、を有することを特徴とする光学素子の製造方法である。
上記課題を解決するための第4の態様は、光学面と前記光学面の外周縁に接する外周面とを有する第1透明基材と、光学面と前記光学面の外周縁に接する外周面とを有し前記第1透明基材の線膨張係数と異なる線膨張係数を有する第2透明基材と、を用意する工程と、前記第1透明基材の光学面および前記第2透明基材の光学面を接着剤で接合し、透明樹脂層を形成する工程と、前記透明樹脂層の端面に撥液性を有する材料を塗布する工程と、前記第1透明基材の外周面と、前記第2透明基材の外周面および前記透明樹脂層の端面に遮光塗料を塗布し、前記遮光塗料を硬化させて遮光膜を形成する工程と、を有することを特徴とする光学素子の製造方法である。
上記課題を解決するための第5の態様は、光学面と前記光学面の外周縁に接する外周面とを有する第1透明基材と、光学面と前記光学面の外周縁に接する外周面とを有し前記第1透明基材の線膨張係数と異なる線膨張係数を有する第2透明基材と、を用意する工程と、前記第1透明基材の光学面および前記第2透明基材の光学面を接着剤で接合し、透明樹脂層を形成する工程と、前記透明樹脂層の端面の算術平均粗さを1μm以上3μm以下の範囲にする工程と、前記第1透明基材の外周面と、前記第2透明基材の外周面および前記透明樹脂層の端面に遮光塗料を塗布し、前記遮光塗料を硬化させて遮光膜を形成する工程と、を有することを特徴とする光学素子の製造方法である。
本開示によれば、環境温度が大きく変化しても透明基材の外周面から遮光膜が剥がれにくい光学素子を提供することができる。
第1実施形態の光学素子を示す概略図である。 第1実施形態の変形例の光学素子を示す概略図である。 第2実施形態の光学素子を示す概略図である。 第3実施形態の光学素子を示す概略図である。 第3実施形態の変形例の光学素子を示す概略図である。 第4実施形態の光学素子を示す概略図である。 第5実施形態の撮像装置を示す概略図である。 第7実施形態の光学素子の製造方法を示す概略図である。 第8実施形態の光学素子の製造方法を示す概略図である。 第9実施形態の光学素子の製造方法を示す概略図である。 比較例の光学素子を示す概略図である。
以下、本開示の実施形態について説明する。
[光学素子]
(第1実施形態)
図1は第1実施形態の光学素子の概略図である。図1(a)はy方向から光学素子10を側面視して積層方向に切断した断面図であり、図1(b)は図1(a)の破線で囲んだ光学素子の端部を拡大した部分拡大図である。
光学素子10は、第1透明基材11と第2透明基材12と透明樹脂層13および遮光膜14と、を有する。光学素子10は、2つの透明基材が接着剤で接合される接合レンズと呼ばれるタイプの光学素子である。
第1透明基材11は、光学面11A,11Bと、光学面11A,11Bの外周縁と接する外周面11Cと、を有する。第1透明基材の光学面11Aは光入射面または光射出面の一方であり、第1透明基材の光学面11Bは光入射面または光射出面の他方である。第1透明基材の外周面11Cは、光学面11Aおよび11Bと連接しており、遮光膜14が設けられる。第1透明基材の外周面11Cはコバ部とも呼ばれる。
第2透明基材12は、光学面12A,12Bと、光学面12A,12Bの外周縁と接する外周面12Cと、を有する。第2透明基材の光学面12Aは光入射面または光射出面の一方であり、第2透明基材の光学面12Bは光入射面または光射出面の他方である。第2透明基材の外周面12Cは、光学面12Aおよび12Bと連接しており、遮光膜14が設けられる。第2透明基材の外周面12Cはコバ部とも呼ばれる。
第1透明基材11および第2透明基材12は、透明な樹脂や、透明なガラスを用いることができる。本明細書において、透明とは、波長が400nm以上780nm以下の範囲の光の透過率が10%以上であることを示す。第1透明基材11および第2透明基材12は、ガラスを用いることが好ましく、例えば、珪酸ガラスや硼珪酸ガラス、リン酸ガラスに代表される一般的な光学ガラスや、石英ガラス、ガラスセラミックスを用いることができる。第1透明基材11および第2透明基材12の外形はz方向から平面視した際に円形であることが好ましい。図1において、第1透明基材11が凸面を有し、第2透明基材12が凹面を有し、その凸面と凹面とが、透明樹脂層13によって接合されている。ただし、第1透明基材11が凹面を有し、第2透明基材12が凸面を有していても良いし、第1透明基材11および第2透明基材12がともに平面で接合されていても構わない。
第1透明基材11の線膨張係数と第2透明基材12の線膨張係数は異なる。詳細は後述するが、第1透明基材11の線膨張係数と第2透明基材12の線膨張係数が異なることにより、遮光膜14が第1透明基材11の外周面11Cおよび/または第2透明基材の外周面12Cから剥がれやすくなる。ここで線膨張係数とは-30℃から70℃までの線膨張係数のことである。また、第2透明基材12の線膨張係数は第1透明基材11の線膨張係数の1.3倍以上であると遮光膜14が第1透明基材11の外周面11Cおよび/または第2透明基材の外周面12Cから剥がれやすくなる。また、第2透明基材12の線膨張係数は第1透明基材11の線膨張係数の1.5倍以上であると遮光膜14が第1透明基材11の外周面11Cおよび/または第2透明基材の外周面12Cからより剥がれやすくなる。また、第1透明基材11の線膨張係数と第2透明基材12の線膨張係数の差が30×10-7/℃以上であると、遮光膜14が第1透明基材11の外周面11Cおよび/または第2透明基材の外周面12Cから剥がれやすくなる。第1透明基材11の線膨張係数と第2透明基材12の線膨張係数の差が50×10-7/℃以上であると、遮光膜14が第1透明基材11の外周面11Cおよび/または第2透明基材の外周面12Cからより剥がれやすくなる。
透明樹脂層13は、第1透明基材の光学面11Aまたは第2透明基材の光学面12Aと接触する接触面13Aと、第1透明基材の光学面11Aおよび第2透明基材の光学面12Aと接触しない非接触面13Bと、を有する。光学素子10において、第1透明基材の光学面11Aおよび第2透明基材の光学面12Aの全面が接触面13Aと接触している。非接触面13Bは、接合樹脂層の外周面(端面)であり、遮光膜14と接触している。
透明樹脂層13は接着剤組成物の硬化物であり、その接着剤組成物には、光学的に透明であることに加えて、接着力が高く、硬化速度が速いことが求められる。接着剤組成物は硬化性樹脂と、重合開始剤と、を含有する。硬化性樹脂の種類は特に限定されず、例えば、メタアクリレート、アクリレート、ウレタンアクリレートといった光硬化性樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。光硬化性樹脂としては、具体的には、MSアーデル株式会社のUT20、HR154、HV153、V300、OPM55、協立化学産業株式会社のWORLD ROCK 5200LL、5210、5342、5517、3970、デンカ株式会社のOP-1020Z、1030Z、1050Z、1020K、1030K、1045K、1080L、1055H、1080L、株式会社スリーボンドのTB3030,3114,3170Dが挙げられる。また、東亞合成株式会社のLCR0628A、セメダイン株式会社のEP-001K、EP-160が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、具体的には、株式会社スリーボンドのTB3114、TB3113Bや、セメダイン株式会社のEP001K、EP160が挙げられる。透明度が高いという観点において、硬化物はアクリル樹脂を有することが好ましい。これらの接着剤組成物は硬化開始剤を含有し、熱あるいは紫外線によって硬化させることができる。また、接着剤組成物の硬化収縮の低減や光学特性の調整の観点から、接着剤組成物は無機粒子が混合分散されていてもよい。
透明樹脂層13の厚みは、接着力と光学性能とを両立する観点において、5μm以上15μm以下の範囲であることが好ましい。ここで透明樹脂層13の厚みとは、第1透明基材の光学面11Aまたは第2透明基材の光学面12Aの法線方向における透明樹脂層13の厚みである。透明樹脂層13の厚みが5μm未満であると、温度が大きく変化した際の第1透明基材11と第2透明基材12の線膨張係数差によって生じる歪により透明樹脂層13の屈折率が変動するおそれがある。一方、透明樹脂層13の厚みが15μmを超えると接着力が十分でなくなるおそれがある。また、透明樹脂層13の厚みの最大値と最小値の差は5μm以下であることが好ましい。透明樹脂層13内に発生する弾性率の差に起因した屈折率の変動を抑制するためである。
遮光膜14は、第1透明基材の外周面11Cと第2透明基材の外周面12Cおよび透明樹脂層の非接触面13Bを連続的に覆い、迷光を抑制するものである。遮光膜14は、第1透明基材の光学面11Bの一部、第2透明基材の光学面12Bの一部に設けられていてもよい。第1実施形態においては、遮光膜14は非接触面13Bの全面を覆っている。なお、遮光膜14はその遮光性能および/または美観を損なわない範囲で完全に覆われていない領域があっても構わない。遮光膜の性能は迷光を抑制できれば特段に制限はないが、波長400nmから波長700nmまで範囲の消衰係数の平均値である平均消衰係数が0.03以上0.15以下の範囲であることが好ましい。平均消衰係数が0.03以上であれば、遮光膜14と空気の界面で発生する反射光を小さくすることができる。また、平均消衰係数が0.15以下であれば、第1透明基材11および/または第2透明基材12と遮光膜14との界面で発生する反射光を小さくすることができる。より好ましい平均消衰係数は0.03以上0.10以下の範囲である。遮光膜14を構成する材料は特段に制限はないが、光学特性および第1透明基材11、第2透明基材12や透明樹脂層13との密着性の観点から、黒色の顔料や染料、屈折率調整用顔料などを含む、エポキシ樹脂であることが好ましい。
図11は比較例の光学素子の概略図である。図11(a)はy方向から光学素子10Xを側面視して積層方向に切断した断面図であり、図11(b)は図11(a)の破線で囲んだ光学素子の端部を拡大した部分拡大図である。
光学素子10Xは、第1透明基材11Xと第2透明基材12Xと透明樹脂層13Xおよび遮光膜14Xと、を有する。
第1透明基材11Xは、光学面11AX,11BXと、光学面11AX,11BXの外周縁と接する外周面11CXと、を有する。第1透明基材の光学面11AXは光入射面または光射出面の一方であり、第1透明基材の光学面11BXは光入射面または光射出面の他方である。
透明樹脂層13Xは、第1透明基材の光学面11AXまたは第2透明基材の光学面12AXと接触する接触面13AXと、第1透明基材の光学面11AXおよび第2透明基材の光学面12AXと接触しない非接合部13BXと、を有する。
遮光膜14Xは、第1透明基材の外周面11CXと第2透明基材の外周面12CXおよび透明樹脂層の非接触面13BXを覆っている。ここまでに示した光学素子10Xの構成は、第1実施形態の光学素子10と同様であるが、遮光膜14Xの厚みが一様である点が光学素子10と異なる。
本願発明者が鋭意検討した結果、第1透明基材と第2透明基材の線膨張係数が異なると、環境温度が大きく変化した(例えば、-30℃から60℃)際に、遮光膜が割れて第1透明基材の外周面および/または第2透明基材の外周面から剥がれうることを見出した。遮光膜14Xが第1透明基材の外周面11CXおよび/または第2透明基材の外周面12CXから剥がれると、外周面11CXおよび/または外周面12CXから光線が透明基材に侵入する。侵入した光線が乱反射した結果、光学素子10Xは不要光(フレア)が発生していた。本願発明者は、この現象が遮光膜14Xの厚みが一様であり、かつ、第1透明基材11Xと第2透明基材12Xの線膨張係数が異なるため、遮光膜14Xに亀裂や割れが入る箇所を制御できないことに依るものであることを見出した。
そこで第1実施形態の光学素子10においては、遮光膜14の厚みを部分的に異なる構成にした。具体的には、透明樹脂の非接触面13Bを覆う遮光膜の第1部分14Aの厚みt1を、第1透明基材の外周面11Cを覆う遮光膜の第2部分14Bの厚みt2および第2透明基材の外周面12Cを覆う遮光膜の第3部分14Cの厚みt3より薄くなる構成とした。このような構成を採ることにより光学素子10は、環境温度が大きく変化した際に、遮光膜14は第1透明基材の外周面11Cおよび/または第2透明基材の外周面12Cではなく、第1部分14Aが優先的に割れることになる。結果、第1透明基材の外周面11Cおよび/または第2透明基材の外周面12Cから光線が透明基材に侵入することがない。そのため環境温度が大きく変化しても光学特性が維持される光学素子を提供することができる。
遮光膜の第1部分14Aの厚みt1は、遮光膜の第2部分14Bの厚みt2の0.4倍以下であることが好ましい。遮光膜の第1部分14Aの厚みt1は、遮光膜の第3部分14Cの厚みt3の0.4倍以下であることが好ましい。遮光膜の第1部分14Aの厚みt1が、遮光膜の第2部分の厚みt2および第3部分の厚みt3の0.4倍以下であることにより、環境温度が変化した際に第1部分14Aをより選択的に割れやすくすることができる。より好ましい遮光膜の第1部分14Aの厚みt1は、遮光膜の第2部分の厚みt2および第3部分の厚みt3の0.2倍以下である。なお、遮光膜の各部分の厚みとは、それぞれの部分における平均膜厚を意味する。
遮光膜の第1部分14Aの厚みt1は2μm以上8μm以下の範囲であることが好ましい。十分な光吸収機能を発現させるためである。遮光膜の第2部分14Bの厚みt2および第3部分14Cの厚みt3は平均膜厚が5μm以上50μm以下の範囲であることが好ましい。第2部分14Bの厚みt2および第3部分14Cの厚みt3が50μm以下の場合、遮光膜の塗料を硬化した際に生じる応力によって、クラックや剥がれがより発生しにくくなる。また、第2部分14Bの厚みおよび第3部分14Cの厚みが5μm以上あることにより十分な遮光性能が得られる。
(第1実施形態の変形例)
図2は第1実施形態の変形例の光学素子の概略図である。図2(a)はy方向から光学素子10Bを側面視して積層方向に切断した断面図であり、図2(b)は図2(a)の破線で囲んだ光学素子の端部を拡大した部分拡大図である。
光学素子10Bは、接合樹脂層13と遮光膜14の形状が光学素子10と異なる。以下、光学素子10と異なる点に着目して光学素子10Bを説明する。
光学素子10Bの透明樹脂層13は、第1透明基材の光学面11Aおよび第2透明基材の光学面12AからX方向にはみ出して、その一部が遮光膜の第2部分14Bおよび遮光膜の第3部分14Cと接して設けられている。すなわち、透明樹脂層13の非接触面13Bは遮光膜の第1部分14Aのみならず、遮光膜の第2部分14Bおよび遮光膜の第3部分14Cと接して設けられている。
光学素子10Bにおいても、透明樹脂の非接触面13Bを覆う遮光膜の第1部分14Aの厚みt1が、第1透明基材の外周面11Cを覆う遮光膜の第2部分14Bの厚みt2および第2透明基材の外周面12Cを覆う遮光膜の第3部分14Cの厚みt3より薄い。このような構成を採ることにより光学素子10Bは、環境温度が大きく変化した際に、遮光膜14は第1透明基材の外周面11Cおよび/または第2透明基材の外周面12Cではなく、第1部分14Aが優先的に割れることになる。結果、第1透明基材の外周面11Cおよび/または第2透明基材の外周面12Cから光線が透明基材に侵入することがない。そのため環境温度が大きく変化しても光学特性が維持される光学素子を提供することができる。
(第2実施形態)
図3は第2実施形態の光学素子の概略図である。図3(a)はy方向から光学素子20を側面視して積層方向に切断した断面図であり、図3(b)は図3(a)の破線で囲んだ光学素子の端部を拡大した部分拡大図である。
光学素子20は、第1透明基材21と第2透明基材22と透明樹脂層23および遮光膜24と、を有する。光学素子20も第1実施形態の光学素子10と同様に、2つの透明基材が接着剤で接合される接合レンズと呼ばれるタイプの光学素子である。
第1透明基材21は、光学面21A,21Bと、光学面21A,21Bの外周縁と接する外周面21Cと、を有する。第1透明基材の光学面21Aは光入射面または光射出面の一方であり、第1透明基材の光学面21Bは光入射面または光射出面の他方である。第1透明基材の外周面21Cは、光学面21Aおよび21Bと連接しており、遮光膜24が設けられる。第1透明基材の外周面21Cはコバ部とも呼ばれる。
第2透明基材22は、光学面22A,22Bと、光学面22A,22Bの外周縁と接する外周面22Cと、を有する。第2透明基材の光学面22Aは光入射面または光射出面の一方であり、第2透明基材の光学面22Bは光入射面または光射出面の他方である。第2透明基材の外周面22Cは、光学面22Aおよび22Bと連接しており、遮光膜24が設けられる。第2透明基材の外周面22Cはコバ部とも呼ばれる。
透明樹脂層23は、第1透明基材の光学面21Aまたは第2透明基材の光学面22Aと接触する接触面23Aと、第1透明基材の光学面21Aおよび第2透明基材の光学面22Aと接触しない非接触面23Bと、を有する。光学素子20において、第1透明基材の光学面21Aおよび第2透明基材の光学面22Aの全面が接触面23Aと接触している。非接触面23Bは、接合樹脂層の外周面(端面)であり、その全面が露出している。非接触面23Bの厚み(Z方向の長さ)は0.5mm以下であることが好ましい。非接触面23Bから侵入する光線の量を多くさせないためである。より好ましい非接触面23Bの厚みは0.3mm以下である。また、2つの接触面23Aの距離である透明樹脂層23の厚みは、接着力と光学性能とを両立する観点において、5μm以上15μm以下の範囲であることが好ましい。
遮光膜24は、第1透明基材の外周面21Cおよび第2透明基材の外周面22Cを覆い、迷光を抑制するものである。遮光膜24は、第1透明基材の光学面21Bの一部、第2透明基材の光学面22Bの一部に設けられていてもよい。
第2実施形態の光学素子20においては、透明樹脂層23の非接触面の全面を遮光膜24で覆わない構成にした。この構成を採ることにより、光学素子20は、環境温度が大きく変化した際に、遮光膜の第1の部分24Bと、遮光膜の第2の部分24Cとが別々に伸び縮みしようとする。そのため、第1透明基材21と第2透明基材22の線膨張係数が異なっても、遮光膜24に大きな応力が生じることがない。結果、環境温度が大きく変化しても透明基材の外周面から遮光膜が割れや剥がれが生じにくい。そのため環境温度が大きく変化しても光学特性が維持される光学素子を提供することができる。
遮光膜の第1部分24Bと第2部分の24Cの厚みは、平均膜厚が5μm以上50μm以下の範囲であることが好ましい。第1部分24Bの厚みおよび第2部分24Cの厚みが50μm以下の場合、遮光膜の塗料を硬化した際に生じる応力によって、クラックや剥がれがより発生しにくくなる。また、第1部分24Bの厚みおよび第2部分24Cの厚みが5μm以上あることにより十分な遮光性能が得られる。
(第3実施形態)
図4は第3実施形態の光学素子の概略図である。図4(a)はy方向から光学素子30を側面視して積層方向に切断した断面図であり、図4(b)は図4(a)の破線で囲んだ光学素子の端部を拡大した部分拡大図である。図4(c)は、図4(b)においてy方向から平面視した部分をx方向から平面視した部分拡大図である。
光学素子30は、第1透明基材31と第2透明基材32と透明樹脂層33と遮光膜34および保護膜35と、を有する。光学素子30も第1実施形態の光学素子10と同様に、2つの透明基材が接着剤で接合される接合レンズと呼ばれるタイプの光学素子である。
第1透明基材31は、光学面31A,31Bと、光学面31A,31Bの外周縁と接する外周面31Cと、を有する。第1透明基材の光学面31Aは光入射面または光射出面の一方であり、第1透明基材の光学面31Bは光入射面または光射出面の他方である。第1透明基材の外周面31Cは、光学面31Aおよび31Bと連接しており、遮光膜34が設けられる。第1透明基材の外周面31Cはコバ部とも呼ばれる。
第2透明基材32は、光学面32A,32Bと、光学面32A,32Bの外周縁と接する外周面32Cと、を有する。第2透明基材の光学面32Aは光入射面または光射出面の一方であり、第2透明基材の光学面32Bは光入射面または光射出面の他方である。第2透明基材の外周面32Cは、光学面32Aおよび32Bと連接しており、遮光膜34が設けられる。第2透明基材の外周面32Cはコバ部とも呼ばれる。第2透明基材32の直径は第1透明基材31の直径より大きい。
透明樹脂層33は、第1透明基材の光学面31Aまたは第2透明基材の光学面32Aと接触する接触面33Aと、第1透明基材の光学面31Aおよび第2透明基材の光学面32Aと接触しない非接触面33Bと、を有する。光学素子30において、非接触面33Bは遮光膜の一部および保護膜35が接している。2つの接触面33Aの間隔である透明樹脂層33の厚みは、接着力と光学性能とを両立する観点において、5μm以上15μm以下の範囲であることが好ましい。
保護膜35は、透明樹脂層の非接触面33Bの少なくとも一部に接して設けられる。保護膜35は透明樹脂層33を保護する役割を担う。製造プロセス中においては塵埃の付着の防止、製造後は水分の吸着を抑制する機能を有する。保護膜35の少なくとも一部には遮光膜の第1部分34Aが設けられる。保護膜35は撥液性を有する材料の硬化物である。遮光膜34の原料である遮光塗料や水分を弾く撥液機能を有しており、水分および/または油分に対する接触角が50°以上である。好ましい接触角は純水に対し80℃以上である。保護膜35の前駆体である撥液性を有する材料は特段に制限はなく、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂(フッ素樹脂)、アミノ樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、酸化チタンといった金型の離型膜に用いられる材料を用いることができる。接触角を大きくするという観点においてはフッ素系樹脂であることが好ましい。また、フルオロアルキル基のようなフッ素を含有する化合物といった撥水膜に用いられる材料を用いることができる。また、保護膜35は多孔質膜であることが好ましい。接触角を大きくすることができるためである。保護膜35は非接触面33Bの10面積%以上90面積%以下の範囲に設けられていることが好ましい。より好ましくは20面積%以上80面積%以下の範囲である。
遮光膜34は、第1透明基材の外周面31Cおよび第2透明基材の外周面32Cを覆い、迷光を抑制するものである。遮光膜34は、透明樹脂の非接触面33Bを覆う遮光膜の第1部分34Aと、透明基材の外周面31Cを覆う遮光膜の第2部分34Bおよび第2透明基材の外周面32Cを覆う遮光膜の第3部分34Cと、を有する。遮光膜の第2部分34Bおよび第3部分34Cは、保護膜35Bの一部を覆っていても構わない。また、遮光膜34は、第1透明基材の光学面31Bの一部、第2透明基材の光学面32Bの一部に設けられていてもよい。
図4(c)のように、遮光膜34Aは透明樹脂層の非接触面33Bの全面に形成されておらず、y方向から平面視した際に保護膜35が露出している部分を有する。換言すると、透明樹脂層の非接触面33Bの少なくとも一部は遮光膜34Aに覆われていない。また、第1部分34Aは、第2部分34Bおよび第3部分34Cと連続的に形成されていない。すなわち、第1部分34Aと第2部分34Bと第3部分34Cは、連続的に形成されていない部分を有する。
第3実施形態の光学素子30においては、環境温度が大きく変化した際に、遮光膜の第1の部分34Bと、第2の部分34Cとが別々に伸び縮みしようとする。そのため、第1透明基材31と第2透明基材32の線膨張係数が異なっても、遮光膜34に大きな応力が生じることがない。結果、環境温度が大きく変化しても透明基材の外周面から遮光膜が剥がれない。そのため環境温度が大きく変化しても光学特性が維持される光学素子を提供することができる。
(第3実施形態の変形例)
図5は、第3実施形態の光学素子の変形例を示す概略図であり、図4(c)で示したx方向から平面視した際の別の形態を示す概略図である。
図5(a)は、図4(c)で示した第3実施形態と同様に、第1部分34Aが、第2部分34Bおよび第3部分34Cと連続的に形成されていない。また、図5(b)は、第1部分34Aと第2部分34Bは連続的に形成されているが、第1部分34Aと第3部分34Cは連続的に形成されていない。これらの変形例は、環境温度が大きく変化した際に、遮光膜第2の部分34Bと、第3の部分34Cとが別々に伸び縮みしようとする。そのため、第1透明基材31と第2透明基材32の線膨張係数が異なっても、遮光膜34に大きな応力が生じることがない。結果、環境温度が大きく変化しても透明基材の外周面から遮光膜が剥がれない。そのため環境温度が大きく変化しても光学特性が維持される光学素子を提供することができる。さらに、図5(a)の例では、図4(c)の光学素子よりも透明樹脂層の非接触面33Bにおける遮光膜の第1部分34Aで覆われている面積が大きい。そのため、第3実施形態の光学素子30よりも非接触面33Bから入射する光線の量が少なく遮光性能に優れる。よって、光学素子をレンズとして光学系に組み込む際に光学系の設計自由度を高めることができる。
図5(c)および図5(d)は、第1部分34Aが第2部分34Bおよび第3部分34Cと連続的に形成されている。しかし、x方向から平面視した際に保護膜35が露出している部分を有する。透明樹脂層の非接触面33Bの少なくとも一部は遮光膜34Aに覆われておらず、第1部分34Aと第2部分34Bと第3部分34Cは、連続的に形成されていない部分を有する。図5(c)および図5(d)は、第1部分34Aが第2部分34Bおよび第3部分34Cと連続的に形成されている。しかし、y方向から平面視した際に保護膜35が露出している部分を有する。透明樹脂層の非接触面33Bの少なくとも一部は遮光膜34Aに覆われておらず、第1部分34Aと第2部分34Bと第3部分34Cは、連続的に形成されていない部分を有する。これらの変形例は、環境温度が大きく変化した際に、遮光膜34は第1透明基材の外周面31Cおよび/または第2透明基材の外周面32Cではなく、第3部分34Aが優先的に割れることになる。結果、第1透明基材の外周面31Cおよび/または第2透明基材の外周面32Cから光線が透明基材に侵入することがない。そのため環境温度が大きく変化しても光学特性が維持される光学素子を提供することができる。
(第4実施形態)
図6は第4実施形態の光学素子の概略図である。図6(a)はy方向から光学素子40を側面視して積層方向に切断した断面図であり、図6(b)は図6(a)の破線で囲んだ光学素子の端部を拡大した部分拡大図である。図6(c)は、図6(b)においてy方向から平面視した部分をx方向から平面視した部分拡大図である。
光学素子40は、第1透明基材41と第2透明基材42と透明樹脂層43と遮光膜44と、を有する。光学素子40も第1実施形態の光学素子10と同様に、2つの透明基材が接着剤で接合される接合レンズと呼ばれるタイプの光学素子である。
第1透明基材41は、光学面41A,41Bと、光学面41A,41Bの外周縁と接する外周面41Cと、を有する。第1透明基材の光学面41Aは光入射面または光射出面の一方であり、第1透明基材の光学面41Bは光入射面または光射出面の他方である。第1透明基材の外周面41Cは、光学面41Aおよび41Bと連接しており、遮光膜44が設けられる。第1透明基材の外周面41Cはコバ部とも呼ばれる。
第2透明基材42は、光学面42A,42Bと、光学面42A,42Bの外周縁と接する外周面42Cと、を有する。第2透明基材の光学面42Aは光入射面または光射出面の一方であり、第2透明基材の光学面42Bは光入射面または光射出面の他方である。第2透明基材の外周面42Cは、光学面42Aおよび42Bと連接しており、遮光膜44が設けられる。第2透明基材の外周面42Cはコバ部とも呼ばれる。
透明樹脂層43は、第1透明基材の光学面41Aまたは第2透明基材の光学面42Aと接触する接触面43Aと、第1透明基材の光学面41Aおよび第2透明基材の光学面42Aと接触しない非接触面43Bと、を有する。非接触面43Bは、その表面に凹凸構造を有し、算術平均粗さが1μm以上3μm以下の範囲であることが好ましい。算術平均粗さを大きくすることで水分および/または油分に対する接触角を大きくすることができ、1μm以上とすることで接触角が50°以上となる。そのような算術平均粗さを有する非接触面43Bに、遮光膜44の原料である遮光塗料を塗布するとその凹部に塗料が残り、硬化すると図6(c)に示すような島状の遮光膜の第1部分44Aを形成できる。非接触面43Bの算術平均粗さが3μmを超えると接合樹脂層43の厚みを十分に厚くする必要が生じ、接着力が十分でなくなるおそれがある。
遮光膜44は、第1透明基材の外周面41Cおよび第2透明基材の外周面42Cを覆い、迷光を抑制するものである。遮光膜44は、透明樹脂の非接触面43Bを覆う遮光膜の第1部分44Aと、透明基材の外周面41Cを覆う遮光膜の第2部分44Bおよび第2透明基材の外周面42Cを覆う遮光膜の第3部分44Cと、を有する。図6(c)は、図6(b)においてy方向から平面視した部分をx方向から平面視した部分拡大図である。図6(c)のように、遮光膜44Aは透明樹脂層の非接触面43Bの全面に形成されておらず、y方向から平面視した際に非接触面43Bが露出している部分を有する。つまり、透明樹脂層の非接触面43Bの少なくとも一部は遮光膜44Aに覆われていない。また、第1部分44Aは、第2部分44Bおよび第3部分44Cと連続的に形成されていない。すなわち、第1部分44Aと第2部分44Bと第3部分44Cは、連続的に形成されていない部分を有する。
第4実施形態の光学素子30においては、環境温度が大きく変化した際に、遮光膜の第2の部分44Bと、第3の部分44Cとが別々に伸び縮みしようとする。そのため、第1透明基材41と第2透明基材42の線膨張係数が異なっても、遮光膜44に大きな応力が生じることがない。結果、環境温度が大きく変化しても透明基材の外周面から遮光膜が剥がれない。そのため環境温度が大きく変化しても光学特性が維持される光学素子を提供することができる。
[光学機器]
(第5実施形態)
次に、第1実施形態乃至第4実施形態の光学素子の具体的な適用例について説明する。具体的な適用例としては、カメラやビデオカメラ用の光学機器(撮影光学系)を構成するレンズや液晶プロジェクター用の光学機器(投影光学系)を構成するレンズ等が挙げられる。また、DVDレコーダー等のピックアップレンズに用いることもできる。これらの光学系は、筐体内に配置された複数のレンズからなり、それらの複数のレンズの少なくとも1つを第1実施形態乃至第4実施形態のいずれかの光学素子とすることができる。
[撮像装置]
(第6実施形態)
図7は、第1実施形態の光学素子を用いた撮像装置の好適な実施形態の一例である、一眼レフデジタルカメラ600の構成を示している。図7において、カメラ本体602と光学機器であるレンズ鏡筒601とが結合されているが、レンズ鏡筒601はカメラ本体602に対して着脱可能ないわゆる交換レンズである。
被写体からの光は、レンズ鏡筒601の筐体620内の撮影光学系の光軸上に配置された複数のレンズ603、605などからなる光学系を介して撮影される。第1実施形態の光学素子は例えば、レンズ603、605に用いることができる。ここで、レンズ605は内筒604によって支持されて、フォーカシングやズーミングのためにレンズ鏡筒601の外筒に対して可動支持されている。
撮影前の観察期間では、被写体からの光は、カメラ本体の筐体621内の主ミラー607により反射され、プリズム611を透過後、ファインダレンズ612を通して撮影者に撮影画像が映し出される。主ミラー607は例えばハーフミラーとなっており、主ミラーを透過した光はサブミラー608によりAF(オートフォーカス)ユニット613の方向に反射され、例えばこの反射光は測距に使用される。また、主ミラー607は主ミラーホルダ640に接着などによって装着、支持されている。不図示の駆動機構を介して、撮影時には主ミラー607とサブミラー608を光路外に移動させ、シャッタ609を開き、撮像素子610がレンズ鏡筒601から入射して撮影光学系を通過した光を受光して撮影光像を結像するようにする。また、絞り606は、開口面積を変更することにより撮影時の明るさや焦点深度を変更できるよう構成される。
なお、ここでは、一眼レフデジタルカメラを用いて撮像装置を説明したが、第1実施形態乃至第4実施形態の光学素子はスマートフォンやコンパクトデジタルカメラなどにも同様に用いることができる。
[光学素子の製造方法]
続いて本開示の光学素子の製造方法について説明をする。
(第7実施形態)
本開示の第7実施形態に係る光学素子の製造方法は、第1実施形態の光学素子10および第2光学素子20を製造することが可能である。
図8は第7実施形態である光学素子の製造方法を示す概略図である。以下、第1実施形態の光学素子10の製造例を説明する。
まず、光学面11A,11Bと光学面の外周縁に接する外周面11Cとを有する第1透明基材11と、光学面12A,12Bと光学面の外周縁に接する外周面12Cとを有し第1透明基材11と線膨張係数が異なる第2透明基材12と、を用意する。第1透明基材11は、透明樹脂層13との密着性を向上させるため、光学面11Aに前処理をしておくことが好ましい。第2透明基材12は、透明樹脂層13との密着性を向上させるため、光学面12Aに前処理をしておくことが好ましい。それぞれの前処理は、オゾン処理であることが好ましい。オゾン処理することにより、接着剤が濡れ広がりやすくなるためである。また、シランカップリング剤を用いてカップリング処理をしてもよい。具体的なカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン等が挙げられる。
次に、図8(a)に示すように、第2透明基材の光学面12Aに透明樹脂層13の前駆体である未硬化の接着剤131を設ける。接着剤131を設ける手段は特に限定されず、例えば、ディスペンサーを用いることができる。接着剤131は硬化性樹脂と、重合開始剤と、を含有する。硬化性樹脂の種類は特に限定されず、例えば、メタアクリレート、アクリレート、ウレタンアクリレートといった光硬化型樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。本実施形態では紫外線硬化のアクリル樹脂を用いた。接着剤131は、第1透明基材の光学面11Aに設けても良いし、第1透明基材の光学面11Aおよび第2透明基材の光学面12Aに設けても良い。接着剤131は光硬化性の樹脂である。
次に、図8(b)に示すように、第1透明基材の光学面11Aと第2透明基材の光学面12Aと、を近づけて、接着剤131を第1透明基材及び第2透明基材の径方向に広げる。そして、接着剤131を第1透明基材の光学面11Aと第2透明基材の光学面12Aの間に充填する。接着剤131が所望の厚みになるまで、第1透明基材11に第2透明基材12を近づける。
次に、図8(c)に示すように、光源111を用いて、第1透明基材の光学面11Bから紫外線を照射し、接着剤131の硬化反応を開始させ、透明樹脂層13を形成する。透明樹脂層13は第1透明基材の光学面11Aと第2透明基材の光学面12Aを接合する。
次に、図8(d)に示すように、第1透明基材の外周面11C、第2透明基材の外周面12Cおよび透明樹脂層の端面に遮光膜14の前駆体である遮光塗料141を塗布する。遮光塗料141を塗布する手段は特に限定されず、ワイヤーを用いて塗布したり、ディスペンサーを用いて塗布しても良い。
次に、図8(e)に示すように、遮光塗料141を硬化させ遮光膜14を形成する。遮光膜を硬化させる手段は特に限定されず、熱処理しても良いし、室温(23℃±2℃)に放置して乾燥・硬化させても良い。このとき、遮光膜14の厚みは一様である。
最後に、図8(f)に示すようにレーザ加工機112を用いて、遮光膜14の透明樹脂層13の端面を覆う第1部分14Aの厚みを、第1透明基材11の外周面を覆う第2部分14Bおよび第2透明基材12の外周面を覆う第3部分14Cよりも薄くする。具体的には、レーザ光源112から出射されるレーザ光を遮光膜14の透明樹脂層13の端面を覆う部分に照射する。第1部分14Aの厚みはレーザ光の照射強度、照射時間、繰り返し周波数等によって制御することが可能である。ただし、第1部分14Aの厚みを薄くする手段はレーザ光に限定されず、切削等の機械加工でも良い。
以上の工程で第1実施形態の光学素子10を製造することができる。なお、第1部分の厚みを薄くする工程において、第1部分を除去し、遮光膜14を第2部分14Bと第3部分14Cとに分離することで、光学素子20を製造することができる。光学素子20は、透明樹脂層の端面である非接触面13Bの全面が露出される。
本実施形態においては、遮光塗料141を硬化させる工程と、第1部分14Aを薄くする工程を分けて行った。しかし、透明樹脂層の端面に塗布する遮光塗料141の量を少なくすることで、第1部分14Aを第2部分14Bおよび第3部分14Cより薄くすることも可能である。
(第8実施形態)
本開示の第8実施形態に係る光学素子の製造方法は、第3実施形態の光学素子30を製造することが可能である。図9は第8実施形態である光学素子の製造方法を示す概略図である。第7実施形態と異なる点を中心に説明する。
まず、光学面31A,31Bと光学面の外周縁に接する外周面31Cとを有する第1透明基材31と、光学面32A,32Bと光学面の外周縁に接する外周面32Cとを有し第1透明基材31と線膨張係数が異なる第2透明基材32と、を用意する。第1透明基材31および第2透明基材32は、透明樹脂層33との密着性を向上させるため、第7実施形態と同様に前処理をしておくことが好ましい。
次に、図9(a)に示すように、第2透明基材の光学面32Aに透明樹脂層33の前駆体である未硬化の接着剤331を設ける。接着剤331を設ける手段および接着剤331の種類は第7実施形態と同様である。
次に、図9(b)に示すように、第1透明基材の光学面31Aと第2透明基材の光学面32Aと、を近づけて、接着剤331を第1透明基材及び第2透明基材の径方向に広げる。そして、接着剤331を第1透明基材の光学面31Aと第2透明基材の光学面32Aの間に充填する。接着剤331が所望の厚みになるまで、第1透明基材31に第2透明基材32を近づける。ここまでの工程は第7実施形態と同様であるが、接着剤331の一部が第1透明基材31の径の外側にまで延在している点は第7実施形態と異なる。
次に、図9(c)に示すように、光源311を用いて、第1透明基材の光学面31Bから紫外線を照射し、接着剤331の硬化反応を開始させ、透明樹脂層33を形成する。透明樹脂層33は第1透明基材の光学面31Aと第2透明基材の光学面32Aを接合する。ここで、接着剤331の一部が硬化することにより第1透明基材の光学面31Aまたは第2透明基材の光学面32Aと接触する接触面33Aが形成される。また、接着剤331の一部が硬化することにより第1透明基材の光学面31Aと第2透明基材の光学面32Aと接触しない非接触面33Bが形成される。非接触面33Bは透明樹脂層33の端部に形成される。
次に、図9(d)に示すように、透明樹脂層の非接触面33Bの一部に、保護膜35の前駆体である撥液性を有する材料35Aを塗布する。具体的には不図示のマスクを用いてスプレーコートする。撥液性を有する材料35Aを乾燥させることで保護膜35が形成される。非接触面33Bには保護膜35が設けられている部分と、保護膜35が設けられていない部分と、が形成されることになる。
次に、図9(e)に示すように、第1透明基材の外周面31Cと、第2透明基材の外周面32Cおよび透明樹脂層の端面である非接触面33Bに遮光膜34の前駆体である遮光塗料341を塗布する。遮光塗料341を塗布する手段は特に限定されず、ワイヤーを用いて塗布したり、ディスペンサーを用いて塗布しても良い。このとき遮光塗料341は保護膜35から弾かれ、非接触面33Bのうち保護膜35が形成されていない部分に設けられる。
次に、図9(f)に示すように、遮光塗料341を硬化させ遮光膜34を形成する。遮光膜を硬化させる手段は特に限定されず、熱処理しても良いし、室温(23℃±2℃)に放置して乾燥・硬化させても良い。このとき、遮光膜34は、透明樹脂層の端面である非接触面33Bの一部を覆う第1部分34Aと、第1透明基材の外周面31Cを覆う第2部分34Bと、第2透明基材の外周面32Cを覆う第3部分34Cと、に分離されて形成される。
以上の工程で第3実施形態の光学素子30を製造することができる。本実施形態においては、保護膜35は遮光塗料341を塗工する前に形成したが、撥液性を有する材料35Aを乾燥させる前に遮光塗料341を塗工しても構わない。
(第9実施形態)
本開示の第9実施形態に係る光学素子の製造方法は、第4実施形態の光学素子40を製造することが可能である。図10は第9実施形態である光学素子の製造方法を示す概略図である。第8実施形態と異なる点を中心に説明する。
まず、光学面41A,41Bと光学面の外周縁に接する外周面41Cとを有する第1透明基材41と、光学面42A,42Bと光学面の外周縁に接する外周面42Cとを有し第1透明基材41と線膨張係数が異なる第2透明基材42と、を用意する。第1透明基材41および第2透明基材42は、透明樹脂層43との密着性を向上させるため、第8実施形態と同様に前処理をしておくことが好ましい。
次に、図10(a)に示すように、第2透明基材の光学面42Aに透明樹脂層43の前駆体である未硬化の接着剤431を設ける。接着剤431を設ける手段および接着剤431の種類は第8実施形態と同様である。
次に、図10(b)に示すように、第1透明基材の光学面41Aと第2透明基材の光学面42Aと、を近づけて、接着剤431を第1透明基材及び第2透明基材の径方向に広げる。そして、接着剤431を第1透明基材の光学面41Aと第2透明基材の光学面42Aの間に充填する。接着剤431が所望の厚みになるまで、第1透明基材41に第2透明基材42を近づける。ここまでの工程は第8実施形態と同様である。
次に、図10(c)に示すように、第1光源411Aおよび第2光源411Bを用いて、接着剤431を硬化させる。
具体的には、まず、第1光源411Aおよび第2光源から出射される紫外線を、マスクMを介して接着剤431の端部に照射する。接着剤431の端部は、硬化後に非接触面43Bとなる部分である。このときの接着剤431の端部に到達する紫外線の総エネルギーを第1エネルギーとする。次に、マスクMを外し、第1エネルギーより大きい第2エネルギーを与えて接着剤431を本硬化させて、接触面43Aと非接触面43Bとを有する透明樹脂層43を形成する。このとき非接触面43BはマスクMによって第1エネルギーの紫外線が照射されなかった部分と、マスクMに遮蔽されず第1エネルギーの紫外線が照射された部分を有することになる。そのため、非接触面43Bには凹凸構造が形成される。非接触面43Bの算術平均粗さは1μm以上3μm以下である。
次に、図10(d)に示すように、第1透明基材の外周面41Cと、第2透明基材の外周面42Cおよび透明樹脂層の端面である非接触面43Bに遮光膜44の前駆体である遮光塗料441を塗布する。遮光塗料441を塗布する手段は特に限定されず、ワイヤーを用いて塗布したり、ディスペンサーを用いて塗布しても良い。このとき遮光塗料441は非接触面43Bの凹凸構造の凹部に優先的に設けられる。
次に、図10(e)に示すように、遮光塗料441を硬化させ遮光膜44を形成する。遮光膜を硬化させる手段は特に限定されず、熱処理しても良いし、室温(23℃±2℃)に放置して乾燥・硬化させても良い。このとき、遮光膜44は、透明樹脂層の端面である非接触面43Bの一部を覆う第1部分44Aと、第1透明基材の外周面41Cを覆う第2部分44Bと、第2透明基材の外周面42Cを覆う第3部分44Cと、に分離されて形成される。
以上の工程で第4実施形態の光学素子40を製造することができる。
以下、実施例を挙げて本開示をさらに具体的に説明をする。まず、実施例の評価方法について説明する。
(遮光膜の剥がれ評価)
製造した光学素子を環境試験箱に投入し、-30℃から60℃に90分かけて昇温し、60℃で10分保持した後、60℃から-30℃に90分かけて降温し10分保持する一連の動作を1サイクルとして、100サイクル繰り返した。その後、-30℃から20℃に50分かけて昇温し、20℃で10分保持した後、光学素子を環境試験箱から取り出し、遮光膜が透明基材の外周面から剥がれているか否かを目視および光学顕微鏡にて確認した。
(実施例1)
実施例1では、図1に示した形状の光学素子を図8に示した製造方法で作製した。
第1透明基材11には、株式会社オハラのS-FPL51(線膨張係数:131×10-7/℃)を用いた。第2透明基材12には、株式会社オハラのS-LAH60(線膨張係数:56×10-7/℃)を用いた。まず、図8(a)に示すように、第2透明基材12に未硬化の接着剤131としてアクリル系紫外線硬化樹脂を滴下した。
次に、図8(b)に示すように、第1透明基材11と第2透明基材12とを近づけて、接着剤131を押し広げることによって、第1透明基材11と第2透明基材12の間に接着剤131を充填した。このとき接着剤131の厚みは10μmになるように第1透明基材11と第2透明基材12の間隔を調整した。
続いて、図8(c)に示すように、光源111を用いて、第1透明基材11の光学面11Bから紫外線を接着剤131の全体に照射して、アクリル樹脂を有する透明樹脂層13を形成した。光源111には高圧水銀ランプ(EXECURE250、HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製)を用いた。紫外線の照射条件は、強度が10mW/cm、時間が200秒であった。
続いて、図8(d)に示すように、第1透明基材の外周面11C、第2透明基材の外周面12Cおよび透明樹脂層の端面に遮光膜14の前駆体である遮光塗料141を塗布した。ナイロン製のワイヤーを遮光塗料141の入った容器に浸し、遮光塗料141を有するワイヤーの先端を第1透明基材の外周面11C、第2透明基材の外周面12Cおよび透明樹脂層の端面に接触させた。その後、透明基材の外周面を1周するようにワイヤーを動かした。遮光塗料はキヤノンオプトロン社製のGT-1000を用いた。
次に、図8(e)に示すように、遮光塗料141を熱処理して遮光膜14を形成した。熱処理条件は温度が120℃、時間が2時間であった。
最後に、図8(f)に示すように、レーザ加工機112を用いて遮光膜14の透明樹脂層13の端面を覆う第1部分14Aの厚みを、第1透明基材11の外周面を覆う第2部分14Bおよび第2透明基材12の外周面を覆う第3部分14Cよりも薄くした。具体的には、第1の部分の厚みが4μm、第2部分および第3部分の厚みが20μmとなるようにした。以上の工程により実施例1の光学素子10を得た。
実施例1の光学素子10について、遮光膜の剥がれ評価を行ったが、剥がれは確認されなかった。
(実施例2)
実施例2では、図3に示した形状の光学素子を図8に示した製造方法で作製した。図8(e)に示した遮光膜を得る工程までは実施例1と同様の手順で行った。
最後に、図8(f)に示すように、レーザ加工機112を用いて遮光膜34の透明樹脂層33の端面を覆う第1部分を除去した。透明樹脂層23の端面である非接触面23Bはその全面が露出された。遮光膜の厚みは、第2部分24Bおよび第3部分24Cの厚みが20μmであった。以上の工程により実施例2の光学素子20を得た。
実施例2の光学素子20について、遮光膜の剥がれ評価を行ったが、剥がれは確認されなかった。
(実施例3)
実施例3では、図4に示した形状の光学素子を図9に示した製造方法で作製した。
第1透明基材31には、株式会社オハラのS-FPL51(線膨張係数:131×10-7/℃)を用いた。第2透明基材32には、株式会社オハラのS-LAH60(線膨張係数:56×10-7/℃)を用いた。まず、図9(a)に示すように、第2透明基材32に未硬化の接着剤331としてアクリル系紫外線硬化樹脂を滴下した。
次に、図9(b)に示すように、第1透明基材31と第2透明基材32とを近づけて、接着剤331を押し広げることによって、第1透明基材31と第2透明基材32の間に接着剤331を充填した。このとき接着剤31の厚みは15μmになるように第1透明基材31と第2透明基材32の間隔を調整した。このとき接着剤331の一部は第1透明基材31の径の外側にまで延在した。
続いて、図9(c)に示すように、光源311を用いて、第1透明基材31の光学面31Bから紫外線を接着剤331の全体に照射して、アクリル樹脂を有する透明樹脂層33を形成した。光源311には高圧水銀ランプ(EXECURE250、HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製)を用いた。紫外線の照射条件は、強度が10mW/cm、時間が200秒であった。接着剤331が硬化することにより、第1透明基材の光学面31Aまたは第2透明基材の光学面32Aと接触する接触面33Aと、第1透明基材の光学面31Aと第2透明基材の光学面32Aと接触しない非接触面33Bと、が形成された。非接触面33Bは透明樹脂層33の端部に形成された。
続いて、図9(d)に示すように、透明樹脂層の非接触面33Bに、保護膜35の前駆体である撥液性を有する材料35Aを塗布した。撥液性を有する材料35Aとしては、フッ素樹脂を含有したコーティング剤であるハーベス社製のDS―5210を用いた。また、塗布に際しては透明樹脂層の非接触面33Bの全面ではなく一部に塗布できるよう、不図示のマスクを介してスプレーコートした。乾燥させることで保護膜35が形成された。
続いて、図9(e)に示すように、第1透明基材の外周面31C、第2透明基材の外周面32Cおよび透明樹脂層の非接触面に遮光膜34の前駆体である遮光塗料341を塗布した。ナイロン製のワイヤーを遮光塗料341の入った容器に浸し、遮光塗料341が浸されたワイヤーの先端を第1透明基材の外周面31C、第2透明基材の外周面32Cおよび透明樹脂層の非接触面34Bに接触させた。その後、透明基材の外周面を1周するようにワイヤーを動かした。遮光塗料はキヤノンオプトロン社製のGT-1000を用いた。
最後に、図9(f)に示すように、遮光塗料341を熱処理して遮光膜34を形成した。熱処理条件は温度が120℃、時間が2時間であった。この熱処理を行うことにより、遮光膜34は、非接触面33Bの一部を覆う第1部分34Aと、第1透明基材の外周面31Cを覆う第2部分34Bと、第2透明基材の外周面32Cを覆う第3部分34Cと、に分離されて形成された。以上の工程により実施例3の光学素子30を得た。
実施例3の光学素子30について、遮光膜の剥がれ評価を行ったが、剥がれは確認されなかった。
(実施例4)
実施例4では、図6に示した形状の光学素子を図10に示した製造方法で作製した。
第1透明基材41には、株式会社オハラのS-FPL53(線膨張係数:145×10-7/℃)を用いた。第2透明基材42には、株式会社オハラのS-LAH60(線膨張係数:73×10-7/℃)を用いた。まず、図10(a)に示すように、第2透明基材42に未硬化の接着剤431としてアクリル系紫外線硬化樹脂を滴下した。
続いて、図10(b)に示すように、第1透明基材41と第2透明基材42とを近づけて、接着剤431を押し広げることによって、第1透明基材41と第2透明基材42の間に接着剤431を充填した。このとき接着剤41の厚みは5μmになるように第1透明基材41と第2透明基材42の間隔を調整した。このとき接着剤431の一部は第1透明基材41の径の外側にまで延在した。
続いて、図10(c)に示すように、第1光源411Aおよび第2光源411Bを用いて、接着剤431を硬化させた。第1光源411Aおよび第2光源411Bともに、高圧水銀ランプ(EXECURE250、HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製)を用いた。まず、第1光源411Aおよび第2光源から出射される紫外線を、マスクMを介して接着剤431の端部に照射し、仮硬化させた。このときの照射条件は、強度が10mW/cm、時間が30秒であった。
続いて、マスクMを外し、接着剤431の全体に紫外線を照射することで本硬化させ、接触面43Aと非接触面43Bとを有する透明樹脂層43を形成した。このときの照射条件は、強度が10mW/cm、時間が260秒であった。結果、非接触面43Bには凹凸構造が形成された。非接触面43Bの算術平均粗さは1.2μmであった。
続いて、図10(d)に示すように、第1透明基材の外周面41C、第2透明基材の外周面42Cおよび透明樹脂層の非接触面44Bに遮光膜44の前駆体である遮光塗料441を塗布した。ナイロン製のワイヤーを遮光塗料441の入った容器に浸し、遮光塗料441が浸されたワイヤーの先端を第1透明基材の外周面41C、第2透明基材の外周面42Cおよび透明樹脂層の非接触面44Bに接触させた。その後、透明基材の外周面を1周するようにワイヤーを動かした。遮光塗料はキヤノンオプトロン社製のGT-1000を用いた。
最後に、図10(e)に示すように、遮光塗料441を熱処理して遮光膜44を形成した。熱処理条件は温度が120℃、時間が2時間であった。この熱処理を行うことにより、遮光膜44は、非接触面43Bの一部を覆う第1部分44Aと、第1透明基材の外周面41Cを覆う第2部分44Bと、第2透明基材の外周面42Cを覆う第3部分44Cと、に分離されて形成された。以上の工程により実施例4の光学素子40を得た。
実施例4の光学素子40について、遮光膜の剥がれ評価を行ったが、剥がれは確認されなかった。
(比較例1)
比較例1では、図11に示した形状の光学素子を図8(a)乃至図8(e)に示した製造方法で作製した。実施例1とは図8(f)に示した工程を行わなかった点のみが異なる。
遮光膜14Xの厚みは一様であり、その厚みは20μmであった。
比較例1の光学素子10Xについて、遮光膜の剥がれ評価を行ったが、第1透明基材11外周面11CXの一部において剥がれが確認された。
以上より、実施例1~4の光学素子によれば、環境温度が大きく変化しても透明基材の外周面から遮光膜が剥がれにくい光学素子を提供することができることが分かった。
10、20、30、40 光学素子
11、21、31、41 第1透明基材
11A、11B、21A、21B、31A、31B、41A、41B 第1透明基材の光学面
11C、21C、31C、41C 第1透明基材の外周面
12、22、32、42 第2透明基材
12A、12B、22A、22B、32A、32B、42A、42B 第2透明基材の光学面
12C、22C、32C、42C 第1透明基材の外周面
13、23、33、43 透明樹脂層
13A、23A、33A、43A 透明樹脂層の接触面
13B、23B、33B、43B 透明樹脂層の非接触面
14、24、34、44 遮光膜
14A、34A、44A 遮光膜の第1部分
14B、24B、34B、44B 遮光膜の第2部分
14C、24C、34C、44C 遮光膜の第3部分
35 保護膜
600 一眼レフデジタルカメラ(撮像装置)
601 レンズ鏡筒(交換レンズ、光学機器)
602 カメラ本体
603 レンズ(光学素子)
604 内筒
605 レンズ(光学素子)
606 絞り
607 主ミラー
608 サブミラー
609 シャッタ
610 撮像素子
611 プリズム
621 筐体

Claims (20)

  1. 光学面と、前記光学面の外周縁に接する外周面と、を有する第1透明基材と、
    光学面と、前記光学面の外周縁に接する外周面と、を有し、前記第1透明基材の線膨張係数と異なる線膨張係数を有する第2透明基材と、
    前記第1透明基材の光学面または前記第2透明基材の光学面と接触する接触面と、前記第1透明基材の光学面および前記第2透明基材の光学面と接触しない非接触面と、を有し、前記第1透明基材と前記第2透明基材とを接合する透明樹脂層と、
    前記第1透明基材の外周面と、前記第2透明基材の外周面および前記透明樹脂層の非接触面と、を連続的に覆う遮光膜と、を有し、
    前記非接触面を覆う前記遮光膜の第1部分の厚みは、前記第1透明基材の外周面を覆う前記遮光膜の第2部分の厚みおよび前記第2透明基材の外周面を覆う前記遮光膜の第3部分の厚みより薄い、
    ことを特徴とする光学素子。
  2. 前記第1部分の厚みをt1、前記第2部分の厚みをt2、前記第3部分の厚みをt3としたときに、
    前記t1が、前記t2の0.4倍以下であり、かつ、前記t3の0.4倍以下である請求項1に記載の光学素子。
  3. 光学面と、前記光学面の外周縁に接する外周面と、を有する第1透明基材と、
    光学面と、前記光学面の外周縁に接する外周面と、を有し、前記第1透明基材の線膨張係数と異なる線膨張係数を有する第2透明基材と、
    前記第1透明基材の光学面または前記第2透明基材の光学面と接触する接触面と、前記第1透明基材の光学面および前記第2透明基材の光学面と接触しない非接触面と、を有し、前記第1透明基材と前記第2透明基材とを接合する透明樹脂層と、
    前記第1透明基材の外周面および前記第2透明基材の外周面を覆う遮光膜と、を有し、
    前記非接触面の少なくとも一部は、前記遮光膜で覆われていないことを特徴とする光学素子。
  4. 前記非接触面の全面が露出している請求項3に記載の光学素子。
  5. 前記非接触面の厚みが0.5mm以下である請求項4に記載の光学素子。
  6. 前記光学素子は保護膜を有し、
    前記遮光膜および前記保護膜が、前記非接触面に設けられている請求項3に記載の光学素子。
  7. 前記保護膜が、フッ素樹脂を有する請求項6に記載の光学素子。
  8. 前記保護膜が、多孔質膜である請求項6に記載の光学素子。
  9. 前記非接触面の一部が露出され、
    前記非接触面の一部に遮光膜が設けられ、
    前記非接触面の算術平均粗さが、1μm以上3μm以下の範囲である請求項3に記載の光学素子。
  10. 前記第2透明基材の線膨張係数が、前記第1透明基材の線膨張係数の1.3倍以上である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学素子。
  11. 前記第2透明基材の線膨張係数が、前記第1透明基材の線膨張係数の1.5倍以上である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学素子。
  12. 前記透明樹脂層の厚みが、5μm以上15μm以下である請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光学素子。
  13. 前記透明樹脂層は、アクリル樹脂を有する請求項1乃至12のいずれか1項に記載の光学素子。
  14. 筐体と、前記筐体内に少なくとも1つのレンズを有する光学系を備える光学機器であって、
    前記レンズの少なくとも1つが請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光学素子であることを特徴とする光学機器。
  15. 筐体と、前記筐体内に少なくとも1つのレンズを有する光学系と、前記光学系を通過した光を受光する撮像素子と、を備える撮像装置であって、
    前記レンズの少なくとも1つが請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光学素子であることを特徴とする撮像装置。
  16. 前記撮像装置がカメラであることを特徴とする請求項15に記載の撮像装置。
  17. 光学面と前記光学面の外周縁に接する外周面とを有する第1透明基材と、光学面と前記光学面の外周縁に接する外周面とを有し前記第1透明基材の線膨張係数と異なる線膨張係数を有する第2透明基材と、を用意する工程と、
    前記第1透明基材の光学面および前記第2透明基材の光学面を接着剤で接合し、透明樹脂層を形成する工程と、
    前記第1透明基材の外周面と、前記第2透明基材の外周面および前記透明樹脂層の端面に連続的に遮光塗料を塗布し、前記遮光塗料を硬化させて遮光膜を形成する工程と、
    前記透明樹脂層の端面を覆う前記遮光膜の第1部分の厚みを、前記第1透明基材の外周面を覆う前記遮光膜の第2部分の厚みおよび前記第2透明基材の外周面を覆う前記遮光膜の第3部分の厚みより薄くする工程と、
    を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  18. 前記第1部分の厚みを、前記第2部分の厚みおよび前記第3部分の厚みより薄くする工程において、
    前記透明樹脂層の端面を露出させ、前記遮光膜を前記第2部分と前記第3部分と、に分離する請求項17に記載の光学素子の製造方法。
  19. 光学面と前記光学面の外周縁に接する外周面とを有する第1透明基材と、光学面と前記光学面の外周縁に接する外周面とを有し前記第1透明基材の線膨張係数と異なる線膨張係数を有する第2透明基材と、を用意する工程と、
    前記第1透明基材の光学面および前記第2透明基材の光学面を接着剤で接合し、透明樹脂層を形成する工程と、
    前記透明樹脂層の端面の一部に撥液性を有する材料を塗布する工程と、
    前記第1透明基材の外周面と、前記第2透明基材の外周面および前記透明樹脂層の端面に遮光塗料を塗布し、前記遮光塗料を硬化させて遮光膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  20. 光学面と前記光学面の外周縁に接する外周面とを有する第1透明基材と、光学面と前記光学面の外周縁に接する外周面とを有し前記第1透明基材の線膨張係数と異なる線膨張係数を有する第2透明基材と、を用意する工程と、
    前記第1透明基材の光学面および前記第2透明基材の光学面を接着剤で接合し、透明樹脂層を形成する工程と、
    前記透明樹脂層の端面の算術平均粗さを1μm以上3μm以下の範囲にする工程と、
    前記第1透明基材の外周面と、前記第2透明基材の外周面および前記透明樹脂層の端面に遮光塗料を塗布し、前記遮光塗料を硬化させて遮光膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
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