JP2022166735A - 重合体粒子、重合体粒子の製造方法及び樹脂組成物 - Google Patents

重合体粒子、重合体粒子の製造方法及び樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2022166735A
JP2022166735A JP2021072139A JP2021072139A JP2022166735A JP 2022166735 A JP2022166735 A JP 2022166735A JP 2021072139 A JP2021072139 A JP 2021072139A JP 2021072139 A JP2021072139 A JP 2021072139A JP 2022166735 A JP2022166735 A JP 2022166735A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
group
compound
acryloyloxy
polymer particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021072139A
Other languages
English (en)
Inventor
牧人 中村
Makihito Nakamura
千登志 鈴木
Kazutoshi Suzuki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2021072139A priority Critical patent/JP2022166735A/ja
Publication of JP2022166735A publication Critical patent/JP2022166735A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】靭性に優れる樹脂組成物の硬化物が得られる重合体粒子、及びその製造方法を提供する。【解決手段】所定の1官能ウレタン(メタ)アクリレートに基づく構造単位を含有する重合体を含む、平均粒子径が50~500μmである重合体粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体粒子、該重合体粒子の製造方法及び該重合体粒子を含む樹脂組成物に関する。
樹脂はその構造により多様な物理的、化学的特性を示すものであり、工業用品や日用品等様々な分野で活用されている。例えば、エポキシ樹脂は、高い寸法安定性、絶縁性、耐水性、耐薬品性等の特長を有していることから、電子素子における絶縁材料や封止材料等として汎用されており、また、塗料や接着剤、複合材料等にも利用されている。さらに、3Dプリンタ等を用いた光学的立体造形による成形体を得るための造形材料としても使用されている。
一方で、エポキシ樹脂は、靭性が低く、脆性破壊を生じやすいという欠点を有している。このため、エポキシ樹脂の靭性を向上させる技術が検討されており、その一手段として、ゴム粒子等の改質剤をエポキシ樹脂に添加する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ゴム微粒子、硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物が開示されている。
特開2013-87124号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載のエポキシ樹脂組成物では、十分な靭性改善効果が得られず、更なる改善が求められている。
本発明は、このような課題を解決するものであり、靭性に優れる樹脂組成物の硬化物が得られる重合体粒子、該重合体粒子の製造方法、及び該重合体粒子を含む樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、ポリエーテル鎖及びウレタン結合を有する所定のウレタンアクリレートに基づく構造単位を含有する重合体を含む重合体粒子を用いることにより、靭性に優れる樹脂組成物の硬化物が得られることを見出したことに基づく。
本発明は、以下の手段を提供する。
[1] 1官能ウレタン(メタ)アクリレートに基づく構造単位を含有する重合体を含む、平均粒子径が50~500μmである重合体粒子であって、
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、下記(i)~(iii)の反応生成物から選ばれる1種以上の単量体である、重合体粒子。
(i)ポリエーテルモノオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
(ii)ポリエーテルモノオール、ジイソシアネート及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
(iii)ポリエーテルポリオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
[2] 前記重合体中に含まれる前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートに基づく構造単位の含有量は70質量%以上である、上記[1]に記載の重合体粒子。
[3] 前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、数平均分子量が3,000~30,000である、上記[1]又は[2]に記載の重合体粒子。
[4] 前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、ガラス転移温度が-55℃以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の重合体粒子。
[5] 前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、25℃における貯蔵弾性率E’(25℃)が70~450kPaである、上記[1]~[4]のいずれかに記載の重合体粒子。
[6] 上記[1]~[5]のいずれかに記載の重合体粒子と、樹脂とを含む、樹脂組成物。
[7] 前記重合体粒子の含有量が、前記樹脂100質量部に対して1~100質量部である、上記[6]に記載の樹脂組成物。
[8] 前記樹脂が、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記[6]又は[7]に記載の樹脂組成物。
[9] 上記[6]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
[10] 上記[9]に記載の硬化物を備えた物品。
[11] 1官能ウレタン(メタ)アクリレートを、水、界面活性剤及び開始剤の存在下で重合させて、平均粒子径が50~500μmである重合体粒子を得る、重合体粒子の製造方法であって、
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、下記(i)~(iii)の反応生成物から選ばれる1種以上の単量体である、重合体粒子の製造方法。
(i)ポリエーテルモノオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
(ii)ポリエーテルモノオール、ジイソシアネート及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
(iii)ポリエーテルポリオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
本発明によれば、靭性に優れる樹脂組成物の硬化物が得られる重合体粒子、該重合体粒子の製造方法、及び該重合体粒子を含む樹脂組成物を提供できる。
本明細書における用語及び表記についての定義及び意義を以下に示す。
「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の総称である。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
「官能基数」とは、特に断りのない限り、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数を意味する。「平均官能基数」とは、特に断りのない限り、化学式に基づく式量又は数平均分子量を1単位とする1分子中の平均の(メタ)アクリロイルオキシ基の数を意味する。
「1官能ウレタン(メタ)アクリレート」とは、1分子中の平均官能基数が実質的に1であるウレタン(メタ)アクリレートを意味し、1分子中の平均官能基数が0.7~1.4、好ましくは0.8~1.3であるウレタン(メタ)アクリレートを、1分子中に実質的に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート、すなわち、1官能ウレタン(メタ)アクリレートとみなす。
「等モル反応生成物」とは、反応する化合物のモル比が、実質的に1であることを意味し、該モル比が0.7~1.4、好ましくは0.8~1.3である反応生成物を、等モル反応生成物とみなす。
同様に、反応する基(又は化合物)の「モル数が等しい」とは、反応する基(又は化合物)のモル比が、実質的に1であることを意味し、該モル比が0.7~1.4、好ましくは0.8~1.3であるとき、反応する基(又は化合物)のモル数が等しいものとみなす。
「水酸基価」は、JIS K 1557:2007に準拠した測定により求められる。「水酸基価換算分子量」は、56100/(水酸基価)×(開始剤の活性水素の数)の式から算出した値である。
イソシアネート基含有化合物と水酸基含有化合物との反応における「NCOインデックス」とは、水酸基含有化合物の水酸基に対するイソシアネート基含有化合物のイソシアネート基の当量比を百倍した値である。
「分子量」とは、特に断りのない限り、化学式に基づく式量、又は、分子量分布が存在する化合物の場合は、数平均分子量を意味する。「数平均分子量」は、標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線に基づいて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して求められたポリスチレン換算分子量である。
[重合体粒子]
本発明の重合体粒子は、1官能ウレタン(メタ)アクリレートに基づく構造単位を含有する重合体を含む、平均粒子径が200~500μmである重合体粒子であって、
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、下記(i)~(iii)の反応生成物から選ばれる1種以上の単量体である。
(i)ポリエーテルモノオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
(ii)ポリエーテルモノオール、ジイソシアネート及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
(iii)ポリエーテルポリオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、架橋に寄与しない柔軟なグラフト鎖を有していることにより、ガラス転移温度が低く、-20~80℃の広範な温度域での貯蔵弾性率の温度依存性が小さく、また、残留歪が小さいという特長を有している。このため、1官能ウレタン(メタ)アクリレートに基づく構造単位を含有する重合体を含む重合体粒子を樹脂に添加した際に、該樹脂の靭性を良好に向上させることができるものと推測される。また、前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイルオキシ基は、重合がより速やかに進行する観点から、アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、上記(i)~(iii)の反応生成物(以下、「単量体1-1」、「単量体1-2」及び「単量体1-3」とも言う。)から選ばれる1種以上の単量体である。前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。
<単量体1-1>
単量体1-1は、(i)の反応生成物であり、ポリエーテルモノオール(i-1)及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)の等モル反応生成物であって、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
単量体1-1としては、式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022166735000001
式(1)中、Rは、1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する一価の有機基である。
12は、好ましくは炭素数2~8のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2~4のアルキレン基である。1分子中に存在する複数のR12は互いに同じであっても異なってもよい。1分子中に2種以上のR12が存在する場合、-OR12-の連鎖はブロックでもよく、ランダムでもよい。R12は、好ましくは、エチレン基、プロピレン基、1,2-ジメチルエチレン基及び1-エチルエチレン基から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、エチレン基及びプロピレン基から選ばれる1種以上である。
また、(OR12)は、1分子中に1個のエポキシ基及び該エポキシ基のエーテル結合以外のエーテル結合を有する単量体aに基づく単位であることも好ましい。単量体aに基づく単位は、好ましくは、式(11)で表される単位である。単量体aは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2022166735000002
式(11)中、R101は、-R103-O-R104で表される一価の基であり、R102は、水素原子又は-R105-O-R106で表される一価の基である。R103、R105は、それぞれ独立に、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキレン基であり、R104、R106は、それぞれ独立に、炭素数1~18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
103、R105のアルキレン基としては、それぞれ独立に、好ましくは、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基又はイソプロピレン基であり、より好ましくは、メチレン基又はエチレン基、さらに好ましくはメチレン基である。
104、R106の炭素数は、それぞれ独立に、好ましくは1~14、より好ましくは1~12、さらに好ましくは2~10である。
104、R106の直鎖のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-オクチル基、n-デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基が挙げられ、好ましくは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基又はn-ブチル基である。分岐のアルキル基は、前記直鎖のアルキル基中の水素原子(ただし、末端の炭素に結合する水素原子は除く。)がアルキル基で置換された構造を有する。置換するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。分岐のアルキル基としては、好ましくは2-エチルヘキシル基である。
単量体aとしては、好ましくは、式(12)で表される単量体である。
Figure 2022166735000003
式(12)中のR101及びR102は、式(11)中のR101及びR102と同じである。
式(12)で表される単量体としては、例えば、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、へキシルグリシジルエーテルが挙げられ、樹脂組成物の硬化物の靭性の観点から、好ましくは、ブチルグリシジルエーテル又は2-エチルヘキシルグリシジルエーテルである。
式(1)中、R13は、炭素数1~20のアルキル基である。R13は、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、より好ましくは、メチル基、エチル基又はブチル基、さらに好ましくはブチル基である。
aは、20~600の整数であり、好ましくは35~500の整数、より好ましくは65~250の整数である。
(ポリエーテルモノオール(i-1))
単量体1-1におけるポリエーテルモノオール(i-1)は、活性水素含有基を有し、かつ、活性水素の数が1個以上である開始剤に、アルキレンオキシド及び/又は前記単量体aを開環重合させて得られる、開始剤残基とポリエーテル鎖と開始剤の活性水素の数に対応する水酸基とを有する化合物である。
開始剤が有する活性水素含有基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、窒素原子に結合した水素原子を1個有するアミノ基が挙げられる。前記開始剤が有する活性水素含有基は、好ましくは、水酸基又はカルボキシ基、より好ましくは水酸基、さらに好ましくはアルコール性水酸基である。
活性水素の数が1個である開始剤としては、例えば、一価アルコール、一価フェノール、一価カルボン酸、窒素原子に結合した水素原子を1個有するアミン化合物等が挙げられる。前記開始剤は、好ましくは、一価脂肪族アルコール又は一価脂肪族カルボン酸、より好ましくは一価脂肪族アルコールである。また、目的のポリエーテルモノオールよりも低分子量のポリオキシアルキレンモノオールを開始剤として使用してもよい。
開始剤としての一価脂肪族アルコールの炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは2~8である。開始剤としての一価脂肪族アルコールの具体例としては、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール等が挙げられる。
開始剤としての一価脂肪族カルボン酸の炭素数は、カルボキシ基の炭素原子を含め、好ましくは2~20、より好ましくは2~8である。
アルキレンオキシド及び単量体aが開環重合する場合、両者の合計質量に対する単量体aの質量の割合は、樹脂組成物の硬化物の靭性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは10~80質量%である。
前記アルキレンオキシドの炭素数は、好ましくは2~8、より好ましくは2~4である。前記アルキレンオキシドの具体例としては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシドが挙げられる。
ポリエーテルモノオール(i-1)中のオキシアルキレン基は、好ましくは、オキシプロピレン基のみ、又は、オキシプロピレン基とそれ以外の基との組み合わせからなる。オキシプロピレン基以外のオキシアルキレン基は、好ましくはオキシエチレン基である。
ポリエーテルモノオール(i-1)中の全オキシアルキレン基に対するオキシプロピレン基の割合は、好ましくは50~100質量%、より好ましくは60~100質量%である。なお、開始剤が目的のポリエーテルモノオールよりも低分子量のポリオキシアルキレンモノオールである場合、開始剤中のオキシアルキレン基は得られたポリエーテルモノオールの中のオキシアルキレン基とみなす。
ポリエーテルモノオール(i-1)において、低水酸基価、すなわち、高分子量のポリオキシアルキレンモノオールは、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下に、開始剤に炭素数3以上のアルキレンオキシド、好ましくは、プロピレンオキシドを開環重合させて製造できる。
低水酸基価のポリオキシアルキレンモノオールとしては、水酸基価40mgKOH/g以下のポリオキシアルキレンモノオールが挙げられる。
オキシエチレン基を有する低水酸基価のポリオキシアルキレンモノオールは、オキシエチレン基を有する高水酸基価、例えば、水酸基価が50mgKOH/g以上のポリオキシアルキレンモノオールを開始剤とし、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下に、炭素数3以上のアルキレンオキシド、好ましくは、プロピレンオキシドを開環重合させて製造できる。
前記ポリエーテルモノオールにおいて、高水酸基価のポリオキシアルキレンモノオール及び開始剤である高水酸基価のポリオキシアルキレンモノオールは、水酸化カリウム等のアルカリ触媒を使用しても製造できる。
ポリオキシアルキレンモノオールの製造において、反応系内に投入される開始剤及びアルキレンオキシドには、通常、減圧脱気等により水分を除去した水分の少ないものが使用される。通常、ポリオキシアルキレンモノオールの製造における開始剤の水分量は、少ないほど好ましく、好ましくは500質量ppm以下、より好ましくは300質量ppm以下である。水分量が上記範囲内であると、水から生成するポリオキシアルキレンジオールの生成量が抑制され、結果的に、ポリオキシアルキレンジオールに起因する副生成物の生成量が抑制され、得られるポリオキシアルキレンモノオールの平均水酸基数の上限を1.2以下に調整しやすい。
単量体1-1の原料として用いるポリエーテルモノオール(i-1)の水分量は、少ないほど好ましく、ポリエーテルモノオール(i-1)に対して、好ましくは300質量ppm以下、より好ましくは250質量ppm以下、さらに好ましくは50~200質量ppmである。水分量が上記範囲内であると、水分とイソシアネート基含有化合物との副生物の生成が少なく、反応生成物である単量体1-1の安定性が向上する。さらに、樹脂組成物の経時的な外観の変化を抑制しやすく、また、高靭性の樹脂組成物の硬化物が得られやすい。
ポリエーテルモノオール(i-1)の1分子中の平均の水酸基数は、好ましくは0.80~1.20、より好ましくは0.90~1.10である。
ポリエーテルモノオール(i-1)の水酸基価は、好ましくは1.6~18.1mgKOH/g、より好ましくは2.8~14.0mgKOH/g、さらに好ましくは3.1~11.2mgKOH/gである。
単量体1-1におけるポリエーテルモノオール(i-1)は、2種以上のポリエーテルモノオールの混合物であってもよい。この場合、各々のポリエーテルモノオールは、好ましくは、いずれもが上記範疇に含まれるポリオキシアルキレンモノオールである。
ポリエーテルモノオール(i-1)としては、例えば、式(1a)で表されるものが挙げられる。
Figure 2022166735000004
式(1a)中、R12、R13及びaは、式(1)中の同一の記号と同じである。
((メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2))
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)としては、好ましくは、脂肪族炭化水素基又は脂環族炭化水素基に結合したイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート、より好ましくはイソシアネートアルキル(メタ)アクリレートである。
イソシアネートアルキル基のイソシアネート基を除くアルキレン基の炭素数は、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)としては、例えば、式(1b)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022166735000005
式(1b)中、R11は、水素原子又はメチル基であり、好ましくは水素原子である。
sは、1~4の整数であり、好ましくは1~2の整数である。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)の具体例としては、2-イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、イソシアネートメチルメタクリレート等が挙げられる。市販品としては、例えば、「カレンズ(登録商標;以下、表記省略。)AOI」、「カレンズMOI」(以上、昭和電工株式会社製)が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)としては、例えば、式(1c)で表される化合物も挙げられる。
Figure 2022166735000006
式(1c)中、R11は、水素原子又はメチル基であり、好ましくは水素原子である。
14は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。
tは、1~8の整数であり、好ましくは1~4の整数、より好ましくは1~2の整数である。
uは、0~4の整数であり、好ましくは0~2の整数である。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)の具体例としては、2,2-(ビスアクリロイルオキシメチル)プロピルイソシアネート及び1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(商品名「カレンズBEI」、昭和電工株式会社製)が挙げられ、好ましくは1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートである。
単量体1-1としては、例えば、ポリエーテルモノオール(i-1)がポリオキシプロピレンモノオールである場合、好ましくは、式(1-1-1)、式(1-1-2)及び式(1-1-3)で表される化合物から選ばれる1種以上である。
Figure 2022166735000007
式(1-1-1)、式(1-1-2)及び式(1-1-3)中、m、n1及びn2は、それぞれ独立に、好ましくは20~600の整数、より好ましくは35~500の整数、さらに好ましくは65~250の整数である。
Buは、ブチル基である。
<単量体1-2>
単量体1-2は、(ii)の反応生成物であり、ポリエーテルモノオール(ii-1)、ジイソシアネート(ii-2)及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)の等モル反応生成物であって、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
単量体1-2としては、式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022166735000008
式(2)中、Rは、1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する1価の有機基である。
22は、好ましくは炭素数2~8のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2~4のアルキレン基である。1分子中に存在する複数のR22は互いに同じであっても異なってもよい。1分子中に2種以上のR22が存在する場合、-OR22-の連鎖はブロックでもよく、ランダムでもよい。R22は、好ましくは、エチレン基、プロピレン基、1,2-ジメチルエチレン基及び1-エチルエチレン基から選ばれ、より好ましくは、エチレン基及びプロピレン基から選ばれる1種以上である。
また、(OR22)は、式(1)における(OR12)と同様に、1分子中に1個のエポキシ基及び該エポキシ基のエーテル結合以外のエーテル結合を有する単量体aに基づく単位であることも好ましい。単量体aの好ましい態様は、単量体1-1の場合と同じである。
23は、炭素数1~20のアルキル基であり、好ましくは、炭素数2~8のアルキル基、より好ましくはブチル基である。
24は、ジイソシアネートから2個のイソシアネート基を除いた2価の基である。ジイソシアネートの例は、後述する。
bは、20~600の整数であり、好ましくは35~500の整数、より好ましくは65~250の整数である。
(ポリエーテルモノオール(ii-1))
ポリエーテルモノオール(ii-1)は、単量体1-1におけるポリエーテルモノオール(i-1)と同様であり、好ましい態様も同じである。
ポリエーテルモノオール(ii-1)としては、例えば、式(2a)で表されるものが挙げられる。
Figure 2022166735000009
式(2a)中、R22、R23及びbは、式(2)中の同一の記号と同じ意味である。
(ジイソシアネート(ii-2))
ジイソシアネート(ii-2)は、1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物である。
ジイソシアネート(ii-2)としては、無黄変性芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、及びこれらのジイソシアネートの各種変性体(イソシアネート基を2個有する変性体)が挙げられる。ジイソシアネートは、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
ジイソシアネート(ii-2)としては、樹脂組成物の硬化物の靭性の観点から、好ましくは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートから選ばれる1種以上である。
無黄変性芳香族ジイソシアネートの具体例としては、キシリレンジイソシアネート及びテトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
上記脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネートが挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート及び2,6-ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
ジイソシアネート(ii-2)としては、例えば、式(2b)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022166735000010
式(2b)中、R24は、式(2)中の同一の記号と同じ意味である。
上記ジイソシアネートとしては、樹脂組成物の硬化物の靭性の観点から、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。
((メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3))
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
イソシアネート基と反応する基としては、水酸基及び水素原子が結合した窒素原子を有するアミノ基等が挙げられる。イソシアネート基と反応する基における水酸基の数及び窒素原子に結合した水素原子の数は、好ましくは各1個である。また、イソシアネート基と反応する基としては、好ましくは、脂肪族炭化水素基又は脂環族炭化水素基に結合した水酸基である。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、ヒドロキシアルキル基の炭素数が8以下のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)としては、例えば、式(2c)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022166735000011
式(2c)中、R21は、水素原子又はメチル基であり、好ましくは水素原子である。
pは、1~4の整数であり、好ましくは1~2の整数である。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品としては、ライトエステルHO-250(N)、ライトエステルHOP(N)、ライトエステルHOA(N)、ライトエステルHOP-A(N)、ライトエステルHOB(N)(以上、共栄社化学株式会社製)、4-HBA(大阪有機化学工業株式会社製)が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)としては、例えば、式(2d)で表される化合物も挙げられる。
Figure 2022166735000012
式(2d)中、R21は、水素原子又はメチル基であり、好ましくは水素原子である。
25は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。
qは、1~8の整数であり、好ましくは1~4の整数、より好ましくは1~2の整数である。
rは、0~4の整数であり、好ましくは0~2の整数である。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)の具体例としては、2,2-(ビスアクリロイルオキシメチル)プロパン-1-オール及び1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エタン-1-オールが挙げられ、好ましくは1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エタン-1-オールである。
<単量体1-3>
単量体1-3は、(iii)の反応生成物であり、ポリエーテルポリオール(iii-1)及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iii-2)の等モル反応生成物であって、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iii-2)は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
単量体1-3としては、式(III)で表される化合物が好ましい。
-NH-C(=O)-Z ・・・(III)
式(III)中、Rは、1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する1価の有機基である。
は、ポリエーテルポリオールにおける水酸基の1個から、水素原子の1個を除いたポリエーテルポリオールの残基である。
単量体1-3としては、より好ましくは、式(3)で表される化合物である。
Figure 2022166735000013
式(3)中、Rは、式(III)中のRと同じである。
32は、好ましくは炭素数2~8のアルキレン基、より好ましくは炭素数2~4のアルキレン基である。1分子中に存在する複数のR32は、互いに同じであっても、異なってもよい。1分子中に2種以上のR32が存在する場合、-OR32-の連鎖は、ブロックでもよく、ランダムでもよい。R32は、好ましくは、エチレン基、プロピレン基、1,2-ジメチルエチレン基及び1-エチルエチレン基から選ばれる1種以上、より好ましくは、エチレン基及びプロピレン基から選ばれる1種以上である。
また、(OR32)は、式(1)における(OR12)と同様に、1分子中に1個のエポキシ基及び該エポキシ基のエーテル結合以外のエーテル結合を有する単量体aに基づく単位であることも好ましい。単量体aの好ましい態様は、単量体1-1の場合と同じである。
cは、20~600の整数であり、好ましくは35~500の整数、より好ましくは65~250の整数である。
(ポリエーテルポリオール(iii-1))
ポリエーテルポリオール(iii-1)は、活性水素含有基を有し、かつ活性水素の数が2個以上である開始剤に、アルキレンオキシド及び/又は上記単量体aを開環重合させて得られる、開始剤残基とポリエーテル鎖と開始剤の活性水素の数に対応する水酸基を有する化合物である。
前記アルキレンオキシドは、好ましくは炭素数2~4のアルキレンオキシドである。炭素数2~4のアルキレンオキシドの具体例として、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド及び2,3-ブチレンオキシドが挙げられる。
また、単量体aは、好ましくは、上記式(12)で表される単量体である。式(12)で表される単量体としては、例えば、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、へキシルグリシジルエーテルが挙げられ、樹脂組成物の硬化物の靭性の観点から、好ましくは、ブチルグリシジルエーテル又は2-エチルヘキシルグリシジルエーテルである。
アルキレンオキシド及び単量体aが開環重合する場合、両者の合計質量に対する単量体aの質量の割合は、樹脂組成物の硬化物の靭性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは10~80質量%である。
開始剤が有する活性水素含有基としては、水酸基、カルボキシ基及び窒素原子に結合した水素原子を有するアミノ基等が挙げられる。前記開始剤が有する活性水素含有基は、好ましくは水酸基、より好ましくはアルコール性水酸基である。
活性水素の数が2個以上である開始剤としては、水、多価アルコール、多価フェノール、多価カルボン酸及び窒素原子に結合した水素原子を2個以上有するアミン化合物が挙げられる。前記開始剤は、好ましくは、水又は2価脂肪族アルコール、より好ましくは2価脂肪族アルコールである。また、目的のポリエーテルポリオールよりも低分子量のポリオキシアルキレンポリオールを開始剤として使用してもよい。
開始剤としての2価脂肪族アルコールの炭素数は、好ましくは2~8である。開始剤としての2価脂肪族アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングルコール等のポリプロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオール(iii-1)中のオキシアルキレン基は、好ましくは、オキシプロピレン基のみ、又は、オキシプロピレン基とそれ以外の基との組み合わせからなる。オキシプロピレン基以外のオキシアルキレン基は、好ましくは、オキシエチレン基及びオキシテトラメチレン基から選ばれる1種以上である。ポリエーテルポリオールの中の全オキシアルキレン基に対するオキシプロピレン基の割合は、好ましくは50~100質量%、より好ましくは80~100質量%である。
なお、開始剤が目的のポリエーテルポリオールよりも低分子量のポリオキシアルキレンポリオールである場合、開始剤中のオキシアルキレン基は得られたポリエーテルポリオールの中のオキシアルキレン基とみなす。
ポリエーテルポリオール(iii-1)のうち、低水酸基価の、すなわち高分子量の、ポリオキシアルキレンポリオールは、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下に、開始剤に炭素数3以上のアルキレンオキシド、好ましくは、プロピレンオキシドを開環重合させて製造できる。
低水酸基価のポリオキシアルキレンポリオールとしては、水酸基価40mgKOH/g以下のポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオール(iii-1)のうち、オキシエチレン基を有する低水酸基価のポリオキシアルキレンポリオールは、オキシエチレン基を有する高水酸基価の、例えば水酸基価が50mgKOH/g以上の、ポリオキシアルキレンポリオールを開始剤とし、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下に、炭素数3以上のアルキレンオキシド、好ましくは、プロピレンオキシドを開環重合させて製造できる。
ポリエーテルポリオール(iii-1)のうち、高水酸基価のポリオキシアルキレンポリオール及び開始剤である高水酸基価のポリオキシアルキレンポリオールは、水酸化カリウム等のアルカリ触媒を使用しても製造できる。
ポリエーテルポリオール(iii-1)の1分子中の平均の水酸基数は、好ましくは1.60~2.00、より好ましくは1.70~2.00、さらに好ましくは1.80~1.96である。1分子中の平均の水酸基数が1.60~2.00であるポリエーテルポリオールを、ポリエーテルジオールという場合がある。
ポリエーテルポリオール(iii-1)の水酸基価は、好ましくは1.6~18.1mgKOH/g、より好ましくは2.8~14mgKOH/gである。
ポリエーテルポリオール(iii-1)は、2種以上のポリエーテルポリオールの混合物であってもよい。この場合、各々のポリエーテルポリオールは、好ましくは、いずれもが上記範疇に含まれるポリエーテルポリオールである。
ポリエーテルポリオール(iii-1)としては、例えば、式(3a)で表されるものが挙げられる。
Figure 2022166735000014
式(3a)中、R32及びcは、式(3)中の同一の記号と同じ意味である。
((メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iii-2))
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iii-2)は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iii-2)は、単量体1-1における(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)と同様であり、好ましい態様も同じである。
前記重合体中に含まれる前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートに基づく構造単位の含有量は、靭性に優れた樹脂組成物の硬化物を得る観点から、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートの分子量は、靭性に優れた樹脂組成物の硬化物を得る観点から、好ましくは3,000~30,000であり、より好ましくは4,000~25,000であり、さらに好ましくは5,000~20,000である。2種以上の単量体(1官能ウレタン(メタ)アクリレート)が併用される場合は、それぞれの分子量が上記範囲内であることが好ましい。
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、靭性に優れた樹脂組成物の硬化物を得る観点から、ガラス転移温度が、好ましくは-55℃以下であり、より好ましくは-85~-58℃であり、さらに好ましくは-80~-60℃である。
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、靭性に優れた樹脂組成物の硬化物を得る観点から、25℃における貯蔵弾性率E’(25℃)が、好ましくは70~450kPaであり、より好ましくは80~400MPaであり、さらに好ましくは85~350MPaである。
なお、前記1官能ウレタンアクリレートのガラス転移温度及び貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定により求められた値である。
前記重合体は、さらに、下記(iv)及び(v)の反応生成物(以下、「単量体2-1」及び「単量体2-2」とも言う。)から選ばれる1種以上である第2の単量体に基づく構造単位を含有してもよい。第2の単量体は、1種単独でも、2種以上併用されてもよい。
(iv)ポリエーテルポリオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物であり、前記ポリエーテルポリオールの水酸基のモル数と、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物のモル数とが等しい、反応生成物。
(v)ポリオール(A)、ポリイソシアネート及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の反応生成物であって、前記ポリオール(A)は、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(メタ)アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ヒマシ油系ポリオール及びポリオレフィンポリオールから選ばれる1種以上であり、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物であり、前記ポリオール(A)の水酸基、及び、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物のイソシアネート基と反応する基の合計モル数と、前記ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル数とが等しい、反応生成物。
第2の単量体は、2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートであり、第1の単量体を架橋させる架橋性単量体として作用し得る。第1の単量体に基づく構造単位及び第2の単量体に基づく構造単位を含む重合体粒子は、該重合体粒子を含む樹脂組成物の硬化物の靱性を優れたものとする。
第2の単量体の分子量は、硬化物の靱性をより優れたものとする観点から、好ましくは6,000~60,000であり、より好ましくは8,000~40,000であり、さらに好ましくは10,000~34,000である。
<単量体2-1>
単量体2-1は、(iv)の反応生成物であり、ポリエーテルポリオール(iv-1)及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iv-2)の反応生成物であって、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iv-2)は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物であり、ポリエーテルポリオール(iv-1)の水酸基のモル数と、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iv-2)のモル数とが等しい。
単量体2-1としては、式(IV)で表される化合物が好ましい。
-NHC(=O)-Z-C(=O)NH-R ・・・(IV)
式(IV)中、Rは、1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する1価の有機基である。
Zは、ポリエーテルポリオール(iv-1)における水酸基の2個から、水素原子の2個を除いたポリエーテルポリオール(iv-1)の残基である。
単量体2-1としては、式(4)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2022166735000015
式(4)中、Rは、式(IV)中のRと同様である。
42は、炭素数2~8のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~4のアルキレン基であることがより好ましい。1分子中に存在する複数のR42は、互いに同じであっても異なっていてもよい。1分子中に2種以上のR42が存在する場合、-OR42-の連鎖は、ブロックでもよく、ランダムでもよい。R42は、エチレン基、プロピレン基、1,2-ジメチルエチレン基及び1-エチルエチレン基から選ばれる1種以上が好ましく、エチレン基及びプロピレン基から選ばれる1種又は2種がより好ましい。
また、(OR42)は、式(1)における(OR12)と同様に、前記単量体aに基づく単位であることも好ましい。単量体aの好ましい態様は、単量体1-1の場合と同じである。
dは、20~600の整数である。dは、35~500の整数が好ましく、65~250の整数がより好ましい。
ポリエーテルポリオール(iv-1)は、単量体1-3におけるポリエーテルポリオール(iii-1)と同様であり、好ましい態様も同じである。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iv-2)は、単量体1-1における(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)と同様であり、好ましい態様も同じである。
<単量体2-2>
単量体2-2は、(v)の反応生成物であり、ポリオール(A)、ポリイソシアネート(v-1)及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(v-2)の反応生成物であって、ポリオール(A)は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(メタ)アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ヒマシ油系ポリオール及びポリオレフィンポリオールから選ばれる1種以上であり、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(v-2)は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物であり、ポリオール(A)の水酸基、及び、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(v-2)のイソシアネート基と反応する基の合計モル数と、ポリイソシアネート(v-1)のイソシアネート基のモル数とが等しい。
単量体2-2としては、式(5)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022166735000016
式(5)中、Rは、1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する1価の有機基である。
52は、炭素数2~8のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~4のアルキレン基であることがより好ましい。1分子中に存在する複数のR52は、互いに同じであっても異なってもよい。1分子中に2種以上のR52が存在する場合、-OR52-の連鎖はブロックでもよくランダムでもよい。R52は、エチレン基、プロピレン基、1,2-ジメチルエチレン基及び1-エチルエチレン基から選ばれる1種以上が好ましく、エチレン基及びプロピレン基から選ばれる1種又は2種がより好ましい。
また、(OR52)は、式(1)における(OR12)と同様に、前記単量体aに基づく単位であることも好ましい。単量体aの好ましい態様は、単量体1-1の場合と同じである。
54は、ジイソシアネートから2個のイソシアネート基を除いた2価の基である。ジイソシアネートとしては、単量体1-2におけるジイソシアネートと同様であり、好ましい態様も同じである。
eは、20~600の整数である。eは、35~500の整数が好ましく、65~250の整数がより好ましい。
ポリオール(A)のうち、ポリテーテルポリオールは、単量体1-3におけるポリエーテルポリオール(iii-1)と同様であり、好ましい態様も同じである。
ポリオール(A)における、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(メタ)アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリオレフィンポリオールは、特開2020-37689号公報の[0016]~[0028]に記載のものを特に限定なく使用できる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエーテルポリオール中に(メタ)アクリレート単量体に基づく単位を有する重合体が分散したポリマーポリオールを使用することもできる。ポリマーポリオールは、市販品であってもよく、例えば、「アルティフロー(登録商標)」シリーズ、「シャープフロー(登録商標)」シリーズ(以上、三洋化成工業株式会社社製)、「エクセノール(登録商標)」シリーズ(AGC株式会社製)等が挙げられる。
ポリイソシアネート(v-1)は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。ポリイソシアネートとしては、1分子中に2個又は3個のイソシアネート基を有する化合物が好ましく、ジイソシアネートがより好ましい。ジイソシアネートとしては、単量体1-2におけるジイソシアネート(ii-2)と同様であり、好ましい態様も同じである。
ポリイソシアネート(v-1)の具体例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。樹脂組成物の硬化物の伸びと強度の調整のしやすさの観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートが好ましい。
前記重合体が第2の単量体に基づく構造単位を含有する場合、該重合体中に含まれる前記第2の単量体に基づく構造単位の含有量は、靭性に優れた樹脂組成物の硬化物を得る観点から、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
本発明の重合体粒子は、靭性に優れた樹脂組成物の硬化物を得る観点から、前記重合体を好ましくは70質量%以上含み、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上含む。
本発明の重合体粒子は、平均粒子径が50~500μmであり、好ましくは80~450μmであり、より好ましくは100~400μmであり、さらに好ましくは150~380μmである。前記重合体粒子の平均粒子径が50μm以上であると混合する樹脂中により均一に混合されやすく、500μm以下であると重合体粒子の会合などが起こりにくくより安定性が高い。
なお、本明細書における平均粒子径は、画像解析から得られた粒子径の算術平均値であり、具体的には実施例に記載の方法で求めることができる。
[重合体粒子の製造方法]
本発明の重合体粒子の製造方法は、1官能ウレタン(メタ)アクリレートを、水、界面活性剤及び開始剤の存在下で重合させて、平均粒子径が50~500μmである重合体粒子を得る方法であって、前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、前記(i)~(iii)の反応生成物から選ばれる1種以上の単量体である。
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは[重合体粒子]の項で説明したものを用いることができる。
前記界面活性剤は、特に限定されず、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これらのうち、所望の平均粒子径の重合体粒子を形成しやすい観点から、陰イオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。
陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアンモニウム酢酸塩類、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩類、アルキルトリメチルアンモニウム塩類、ジアルキルジメチルアンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩類、オキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類等が挙げられる。
陰イオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム石けん等の脂肪酸ソーダ石けん類;ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類;アルファスルホ脂肪酸エステル塩類;アルキルエーテル硫酸塩類;アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム類;アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム類;ジアルキルスルホコハク酸塩類;アルキルリン酸塩類;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等が挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボキシベタイン類等が挙げられる。
前記界面活性剤の含有量は、所望の平均粒子径の重合体粒子を形成しやすい観点から、1官能ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対して、好ましくは0.01~20質量部であり、より好ましくは0.1~15質量部であり、さらに好ましくは0.5~10質量部である。
前記開始剤としては、ラジカル重合開始剤が挙げられる。ラジカル重合開始剤としては特に制限はないが、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、重合反応の制御の観点から、波長380nm以下の紫外照射により使用できるものが好ましい。光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤としては、例えば、国際公開第2018/173896号の段落[0147]~[0151]に記載されているものが挙げられる。
光重合開始剤としては、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させる水素引抜型光重合開始剤が好ましい。水素引抜型光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4-メチル-ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-[2-((メタ)アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイルギ酸メチルが挙げられる。
また、光重合開始剤としては、光に対する高い感応性の観点からは、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光開始剤が好ましい。
光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱重合開始剤は、(メタ)アクリレートの重合に用いられる公知の熱重合開始剤を公知の手法で用いることができ、例えば、2,2’-アゾビスブチロニトリル等のアゾ化合物;過酸化ベンゾイル、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート等の過酸化物等が挙げられる。熱重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記開始剤の含有量は、適度な重合速度の観点から、1官能ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対して、好ましくは0.001~20質量部であり、より好ましくは0.01~15質量部であり、さらに好ましくは0.1~10質量部である。
重合方法としては、乳化重合法が好適であり、例えば、反応容器中に、水、1官能ウレタン(メタ)アクリレート、界面活性剤及び開始剤を加え混合し、得られたエマルジョンに紫外線を照射して重合させる方法が挙げられる。
紫外線の照射量は、好ましくは0.01~10J/cmであり、より好ましくは0.05~9.5J/cmであり、さらに好ましくは0.1~9J/cmである。上記照射量が0.01J/cm以上であると重合が十分に進み、10J/cm以下であると、より短時間で所望の重合体粒子を得ることができる。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、上述した本発明の重合体粒子と、樹脂とを含む。したがって、靭性に優れる硬化物を得ることができる。
前記樹脂を含む硬化性組成物に単量体を含む溶液を添加して硬化物を形成させる際、前記樹脂の硬化条件と前記単量体を含む溶液の硬化条件が異なる場合がある。この場合には、それぞれの条件下で、多段階で硬化させる必要がある。一方、本発明の樹脂組成物は、あらかじめ粒子状にした前記(i)~(iii)の反応生成物から選ばれる1種以上の単量体を添加することにより、取り扱いが簡便であるだけでなく、1段階で硬化物を得ることができる。
前記重合体粒子の含有量は、前記樹脂100質量部に対して好ましくは1~100質量部であり、より好ましくは1~70質量部であり、さらに好ましくは5~40質量部であり、よりさらに好ましくは5~30質量部である。前記重合体粒子の含有量が、前記樹脂100質量部に対して1質量部以上であると硬化物の靭性をより良好にすることができ、100質量部以下であると硬化物の強度を十分に保つことができる。
本発明で用いられる樹脂は、特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。これらのうち、本発明の効果を得る観点から、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、及びフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
前記エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーであり、特に限定されず公知の物を使用することができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、カテコールジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、4-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ化合物;1,2-プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物;1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド等の脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、取り扱い容易性等の観点から、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
前記エポキシ樹脂の含有量は、硬化物の強度、靭性がより良好となる観点から、樹脂組成物全量に対して、好ましくは60~99質量%であり、より好ましくは70~98質量%であり、さらに好ましくは80~97質量%である。
本発明の樹脂組成物がエポキシ樹脂を含む場合、該樹脂組成物はさらにエポキシ樹脂硬化剤を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、公知のものを用いることができ、エポキシ樹脂の種類及び樹脂組成物の硬化物の用途等に応じて、例えば、アミン類、イミダゾール類、酸無水物、カチオン重合開始剤等が挙げられる。これらのうち、良好な硬化性等の観点から、好ましくはカチオン重合開始剤が用いられる。
カチオン重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤又は熱カチオン重合開始剤が好適に用いられる。
光重合開始剤を用いる場合、樹脂組成物を高温にすることなく、迅速に硬化させることができ、該樹脂組成物の周辺への熱ダメージを与えることがない。光重合開始剤としては、重合反応の制御の観点から、波長380nm以下の紫外照射により使用できるものが好ましい。
一方、熱重合開始剤を用いる場合、紫外線や可視光等の照射が困難な箇所でも、加熱等により樹脂組成物を硬化させることができる。熱重合開始剤としては、重合反応の制御の観点から、50~120℃の範囲内での加熱により使用できるものが好ましい。
<光カチオン重合開始剤>
光カチオン重合開始剤は、光を吸収するカチオン部と、酸の発生源となるアニオン部とが対になった構成を有し、光酸発生剤とも呼ばれる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、良好な硬化性の観点から、好ましくはスルホニウム塩系化合物が用いられる。スルホニウム塩系化合物としては、例えば、(4-ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩、4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル-4-ビフェニリルフェニルスルホニウム塩、トリ-p-トリルスルホニウム塩等のアリールスルホニウム塩等が挙げられ、好ましくはトリアリールスルホニウム塩が用いられる。
光カチオン重合開始剤の具体例としては、(4-ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル-4-ビフェニリルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル]-4-ビフェニリルフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニルスルホニウム] ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル-4-ビフェニリルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4-(2-チオキサントニルチオ)フェニル]フェニル-2-チオキサントニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
また、例えば、商品名「CPI(登録商標;以下、表記省略。)-101A」、「CPI-100P」、「CPI-110P」、「CPI-200K」(以上、サンアプロ株式会社製)、商品名「CYRACURE UVI-6990」、「CYRACURE UVI-6992」(以上、ダウ・ケミカル社製)、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・オルネクス株式会社製)、商品名「CD-1010」、「CD-1011」、「CD-1012」(以上、アルケマ社製);商品名「イルガキュア(登録商標;以下、表記省略。) 264」(BASF社製)、商品名「CIT-1682」(日本曹達株式会社製)、商品名「PHOTOINITIATOR 2074」(ローディアジャパン株式会社製)等の市販品が好適に用いられる。
<熱カチオン重合開始剤>
熱カチオン重合開始剤は、加熱により酸を発生して、エポキシ化合物の重合反応を開始させる化合物であり、熱を吸収するカチオン部と、酸の発生源となるアニオン部とが対になった構成を有する。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱カチオン重合開始剤の具体例としては、4-ヒドロキシフェニル-メチル-ベンジルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ヒドロキシフェニル-メチル-(2-メチルベンジル)スルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ヒドロキシフェニル-メチル-1-ナフチルメチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、p-メトキシカルボニルオキシフェニル-ベンジル-メチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂硬化剤の含有量は、適度な硬化速度の観点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001~20質量部、より好ましくは0.01~15質量部、さらに好ましくは0.1~10質量部である。
〔他の成分〕
樹脂組成物は、良好な取り扱い性、硬化物の靭性の観点から、上記重合体粒子、樹脂、及び必要に応じて配合されるエポキシ樹脂硬化剤以外に、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、顔料や染料等の着色剤、シランカップリング剤、粘着付与樹脂、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、防錆剤、老化防止剤、吸湿剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、消泡剤、充填材等が挙げられる。樹脂組成物中のこれらの他の成分は、本発明の効果を損なわない範囲内の含有量で配合し得る。
なお、樹脂組成物は、溶剤を含んでいてもよいが、乾燥性や硬化時の周辺部材の劣化抑制等の観点から、特に、立体造形用である場合等は、含まないことが好ましい。溶剤の含有量は、樹脂組成物100質量部中、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物は、重合体粒子、樹脂、並びに必要に応じて配合されるエポキシ樹脂硬化剤、及び他の成分を、自公転式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル等の公知の混合装置を使用して均一に混合することにより製造できる。樹脂組成物中の各配合成分は、同時に混合してもよく、逐次添加により混合してもよい。
[樹脂組成物の硬化物]
本発明の硬化物は、上述した本発明の樹脂組成物に光照射又は加熱処理を施すことにより速やかに硬化し、硬化物が得られる。
樹脂組成物に光を照射して硬化させる場合、光重合開始剤の光吸収能に応じて、光源を適宜設定することができ、例えば、紫外線発光ダイオード(LED)、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、アーク灯、エキシマランプ、エキシマレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、レーザと非線形光学結晶とを組み合わせたレーザシステム、高周波誘起紫外線発生装置等を光源として使用できる。積算光量は、例えば、0.01~5J/cm程度とする。
光を照射した後に、さらに加熱処理を施してもよい。加熱処理を施すことにより、より良好に硬化させることができる。通常、加熱温度は40~200℃程度、加熱時間は1分~15時間程度とする。また、室温(15~25℃程度)で1~48時間程度静置することでも、硬化性が良好になり得る。
樹脂組成物に加熱処理を施して硬化させる場合、通常、加熱温度は40~250℃程度、加熱時間は5分~24時間程度とする。好ましくは、加熱温度が高い場合は加熱時間を短くし、加熱温度が低い場合は加熱時間を長くする。
[用途]
樹脂組成物の用途としては、例えば、電子素子における絶縁材料や封止材料、接着剤、粘着剤、塗料等が挙げられる。また、3Dプリンタ等を用いた光学的立体造形による成形体を得るための造形材料にも好適に用いることができる。
樹脂組成物の硬化物を備えた物品及び硬化物の用途としては、例えば、前記塗料による硬化塗膜を備えた金属、樹脂フィルム、ガラス、紙及び木材等の各種基材;半導体素子、有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機薄膜太陽電池素子等の表面保護膜、ハードコート、防汚膜及び反射防止膜等;レンズ、プリズム、フィルター、光導波路、導光板、光拡散板、回折素子等の各種光学部材;層間絶縁体;プリント配向基板用保護絶縁膜;注型材料等が挙げられる。
このような物品及び用途において、本発明の樹脂組成物の硬化物の優れた特性、すなわち、高靭性を良好に発揮し得る。
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により限定されるものではない。
〔原料化合物〕
製造例1及び例1~5で使用した原料化合物の詳細は、以下のとおりである。
・DMC-TBA:亜鉛へキサシアノコバルテート-tert-ブチルアルコール錯体
・AOI:2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート;「カレンズAOI」、昭和電工株式会社社製
・ラジカル重合開始剤:2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン;「イルガキュア 1173」、BASF社製;光ラジカル重合開始剤
・界面活性剤:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを主成分とし、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルグルコキシド及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む界面活性剤、有効成分29%、「ファミリーフレッシュ」、花王株式会社製;陰イオン界面活性剤
・エポキシ樹脂A-1:ビスフェノールAジグリシジルエーテル;東京化成工業株式会社製
・エポキシ樹脂A-2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂;「jER(登録商標)828」、三菱ケミカル株式会社製
・エポキシ樹脂硬化剤:パーフルオロアルキル基を有する特殊リン系アニオンのトリアリールスルホニウム塩;「CPI-200K」、サンアプロ株式会社製;光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)、50質量%プロピレンカーボネート溶液
・ゴム粒子とエポキシ樹脂の混合物:ビスフェノールA型エポキシ樹脂100質量部に対して、粒子径0.3μmの架橋アクリルゴム粒子20質量部を分散配合させたマスターバッチ型樹脂;「アクリセット(登録商標)BPA328」、株式会社日本触媒製
・アクリルゴム粒子:平均粒子径10μmのアクリル系粒子、「エポスター(登録商標)MA1010」、株式会社日本触媒製
[製造例1]重合体粒子の製造
撹拌機及び窒素導入管を備えた耐圧反応器内に、DMC-TBA 0.2g、及び開始剤であるn-ブタノール30gを入れ、窒素雰囲気下、130℃で、プロピレンオキシド 3970gを一定の速度で7時間かけて投入した。耐圧反応器の内圧低下が止まったことを確認し、ポリオキシプロピレンモノオール(水酸基価5.6mgKOH/g、水酸基価換算分子量10,000、平均水酸基数1.08)4000gを得た。
撹拌機及び窒素導入管を備えた反応容器内に、前記ポリオキシプロピレンモノオール964.9g、AOI 13.1g(NCOインデックス100)、及び2-エチルヘキサン酸ビスマスの25質量%トルエン溶液0.08gを入れ、70℃で3時間撹拌して、1官能ウレタンアクリレート(数平均分子量16,000、ガラス転移温度-69℃、E’(25℃)150kPa)を得た。
ビーカーに得られた1官能ウレタンアクリレート10質量部、イオン交換水90質量部、界面活性剤0.5質量部、及びラジカル重合開始剤(イルガキュア 1173)0.5質量部を加え混合し、エマルジョンを得た。得られたエマルジョンを撹拌機で撹拌しながら、照度7mW/cmのケミカルランプを20分間照射し、1官能ウレタンアクリレートを硬化した。
次いで、濾紙でろ過したのち、アセトンで洗浄、風乾させることで1官能ウレタンアクリレートを硬化した平均粒子径350μmの重合体粒子を得た。
なお、製造例1において得られた1官能ウレタンアクリレートの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、下記の測定条件で測定した。
<測定条件>
・使用機器:「HLC-8120GPC」、東ソー株式会社製
・使用カラム:下記の2種のカラムを順に直列で連結
「TSKgel(登録商標) G7000HXL」、東ソー株式会社製、1本
「TSKgel(登録商標) GMHXL」、東ソー株式会社製、2本
・カラム温度:40℃
・検出器:示差屈折率(RI)検出器
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:0.8mL/分
・試料濃度:0.5質量%
・試料注入量:100μL
・標準試料:ポリスチレン
また、1官能ウレタンアクリレートのガラス転移温度、及び貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定により、以下のようにして求めた。
1官能ウレタンアクリレート100質量部に、光ラジカル重合開始剤(「イルガキュア 819」、BASF社製)0.3質量部を加えて遊星式撹拌機で混合した。得られた混合液を、窒素ガス雰囲気下、コンベア型UV照射機(株式会社オーク製作所製;水銀キセノンランプ、照度100mW/cm、積算光量3J/cm)を用いて、1官能ウレタンアクリレートの硬化物試料(ホモポリマー;長さ15mm、幅5mm、厚さ2mm)を得た。
硬化物試料について、動的粘弾性測定装置(「EXSTAR TMA/SS6100」、株式会社日立ハイテクサイエンス製;引張モード、温度範囲:-80~130℃、昇温速度:3℃/min、測定周波数:1Hz、歪み:1%)にて、貯蔵弾性率(25℃)、及び損失弾性率を測定し、ピークにおける温度をガラス転移温度とした。
製造例1で得られた重合体粒子の平均粒子径は、株式会社キーエンス製マイクロスコープ VHX-1000により測定した。具体的には、製造例1で得られた重合体粒子5gをスライドガラス上に載せて、さらに重合体粒子をカバーガラスで覆った。カバーガラスの上方より上記マイクロスコープを用いて観察した。得られた観察画像から、任意の10個の重合体粒子の粒子径を測定し、平均値を算出した。
〔例1〕
製造例1で得られた重合体粒子11質量部、エポキシ樹脂A-1 100質量部、及びエポキシ樹脂硬化剤(CPI-200K)6.7質量部(固形分3.35質量部)を加えて混合し、例1の樹脂組成物を製造した。
〔例2〕
製造例1で得られた重合体粒子11質量部、エポキシ樹脂A-2 100質量部、及びエポキシ樹脂硬化剤(CPI-200K)6.7質量部(固形分3.35質量部)を加えて混合し、例2の樹脂組成物を製造した。
〔例3〕
エポキシ樹脂A-1 100量部、及びエポキシ樹脂硬化剤(CPI-200K)6.7質量部(固形分3.35質量部)を加えて混合し、例3の樹脂組成物を製造した。
〔例4〕
ゴム粒子とエポキシ樹脂の混合物(アクリセット(登録商標)BPA328)66.6質量部、エポキシ樹脂A-1 44.4質量部、及びエポキシ樹脂硬化剤(CPI-200K)6.7質量部(固形分3.35質量部)を加えて混合し、例4の樹脂組成物を製造した。
〔例5〕
アクリルゴム粒子(エポスター(登録商標)MA1010)11質量部、エポキシ樹脂A-2 100質量部、及びエポキシ樹脂硬化剤(CPI-200K)6.7質量部(固形分3.35質量部)を加えて混合し、例5の樹脂組成物を製造した。
[評価]
例1~5で製造した各樹脂組成物を用いて試験体を作製し、下記の各試験による評価を行った。表1に評価結果を示す。例1及び2は実施例であり、例3~5は比較例である。
〔試験体の作製〕
ポリエチレンフィルムを貼り付けた型に、樹脂組成物を流し込み、ポリエチレンフィルムを貼り付けたガラス板のポリエチレンフィルム側を樹脂組成物に接するように重ね合わせた。窒素ガス雰囲気下、コンベア型UV照射機(株式会社オーク製作所製;水銀キセノンランプ、照度100mW/cm、積算光量3J/cm)にて、ガラス板側から紫外線を照射し、12時間静置後、両面のポリエチレンフィルムを剥がし、長さ90mm、幅5mm、厚さ200μmの樹脂組成物の硬化物の試験体を得た。
〔引張試験〕
引張試験機(テンシロン万能試験機「RTG-1310」、株式会社エー・アンド・デイ製;引張速度300mm/分、チャック間距離20mm)にて、試験体の引張試験を行い、引張強度(TS)及び破断伸びを測定した。引張強度が大きく、破断伸びが大きいほど、高靭性であると言える。引張強度と破断伸びは、下記の基準により評価した。
(引張強度)
A:35MPa以上
B:35MPa未満
(破断伸び)
A:破断伸びが5%以上
B:破断伸びが5%未満
Figure 2022166735000017
本発明の重合体粒子を含む樹脂組成物の硬化物は、靱性に優れることがわかる。

Claims (11)

  1. 1官能ウレタン(メタ)アクリレートに基づく構造単位を含有する重合体を含む、平均粒子径が50~500μmである重合体粒子であって、
    前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、下記(i)~(iii)の反応生成物から選ばれる1種以上の単量体である、重合体粒子。
    (i)ポリエーテルモノオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
    (ii)ポリエーテルモノオール、ジイソシアネート及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
    (iii)ポリエーテルポリオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
  2. 前記重合体中に含まれる前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートに基づく構造単位の含有量は70質量%以上である、請求項1に記載の重合体粒子。
  3. 前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、数平均分子量が3,000~30,000である、請求項1又は2に記載の重合体粒子。
  4. 前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、ガラス転移温度が-55℃以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体粒子。
  5. 前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、25℃における貯蔵弾性率E’(25℃)が70~450kPaである、請求項1~4のいずれか1項に記載の重合体粒子。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の重合体粒子と、樹脂とを含む、樹脂組成物。
  7. 前記重合体粒子の含有量が、前記樹脂100質量部に対して1~100質量部である、請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 前記樹脂が、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6又は7に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項6~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  10. 請求項9に記載の硬化物を備えた物品。
  11. 1官能ウレタン(メタ)アクリレートを、水、界面活性剤及び開始剤の存在下で重合させて、平均粒子径が50~500μmである重合体粒子を得る、重合体粒子の製造方法であって、
    前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、下記(i)~(iii)の反応生成物から選ばれる1種以上の単量体である、重合体粒子の製造方法。
    (i)ポリエーテルモノオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
    (ii)ポリエーテルモノオール、ジイソシアネート及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
    (iii)ポリエーテルポリオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
JP2021072139A 2021-04-21 2021-04-21 重合体粒子、重合体粒子の製造方法及び樹脂組成物 Pending JP2022166735A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021072139A JP2022166735A (ja) 2021-04-21 2021-04-21 重合体粒子、重合体粒子の製造方法及び樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021072139A JP2022166735A (ja) 2021-04-21 2021-04-21 重合体粒子、重合体粒子の製造方法及び樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022166735A true JP2022166735A (ja) 2022-11-02

Family

ID=83851581

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021072139A Pending JP2022166735A (ja) 2021-04-21 2021-04-21 重合体粒子、重合体粒子の製造方法及び樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022166735A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI572684B (zh) 硬塗膜之製備方法
US10196469B2 (en) Active energy ray curable resin composition, and cured product
SG186878A1 (en) Photocurable composition for imprint and method for formation of pattern using the composition
CN105452908A (zh) 硬涂层叠体及其制造方法
JP2012180487A (ja) 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物
JP6543974B2 (ja) 光学的立体造形用活性エネルギー線重合性樹脂組成物、及び立体造形物
JP2014231574A (ja) ウレタン(メタ)アクリレート、硬化性組成物および硬化物
JPWO2016121815A1 (ja) 易解体性樹脂薄膜形成組成物及び易解体性樹脂薄膜
EP3858876B1 (en) Curable resin composition, cured product, and three-dimensional object
JP6596852B2 (ja) 硬化性樹脂組成物および積層構造体
JP2022166735A (ja) 重合体粒子、重合体粒子の製造方法及び樹脂組成物
JP7003453B2 (ja) ウレタン(メタ)アクリレート樹脂
JP2020040869A (ja) 合わせガラスの中間膜用樹脂組成物、合わせガラス用中間膜、合わせガラスの中間膜用フィルム材、合わせガラス、合わせガラスの製造方法、画像表示装置、耐衝撃部材用樹脂組成物、耐衝撃膜及び耐衝撃膜用フィルム材
JP2019157092A (ja) 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、およびそれを用いたコーティング剤、ならびにシート
TWI490248B (zh) 自由基聚合性樹脂、自由基聚合性樹脂組成物及其硬化物
JP2022139803A (ja) 硬化性樹脂組成物及びその硬化物
JP2021102676A (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物及び立体造形物
TWI708808B (zh) 光學物品用活性能量射線硬化型樹脂組成物、硬化物及光學片
JP2005097373A (ja) エネルギー線硬化型樹脂組成物及びこれを用いた塗料
JP7458574B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物及び立体造形物
KR102645754B1 (ko) 필름의 제조 방법 및 필름
JP2011213833A (ja) 不飽和ウレタンオリゴマー、硬化性樹脂組成物、透明積層体およびその製造方法
JP6281188B2 (ja) ウレタン(メタ)アクリレート及びこれを含有する光硬化型樹脂組成物
JP6766969B2 (ja) 活性エネルギー線硬化性組成物、及び、それを用いたフィルム
JP7230395B2 (ja) 硬化物及び立体造形物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240209