JP2022165550A - 溶接部の超音波検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】未溶着部の未溶着長さを高い精度で測定することができる溶接部の超音波検査方法を提供する。【解決手段】溶接金属部、及び未溶着部に対して、斜角探傷法を基礎にして、第1超音波探触子の第1入射位置から、第1屈折角度で超音波を入射し、第2超音波探触子の第1入射位置とは異なる第2入射位置から、第1屈折角度とは異なる第2屈折角度で超音波を入射し、第1超音波探触子に基づく第1反射波と第2超音波探触子に基づく第2反射波とから、未溶着部の未溶着長さを測定する。【選択図】図7

Description

本発明は、超音波を用いて溶接部を検査する超音波検査方法に係り、特に未溶着長さを測定することができる超音波検査方法に関する。
一般に、被検査体の内部欠陥を検出する非破壊検査法の一つとして、超音波探傷法が様々な産業分野で多く用いられている。超音波探傷による欠陥検出は、超音波が欠陥で反射する現象を利用して行われている。
超音波探傷による欠陥検出は、超音波を送信・受信する超音波探触子を被検査体の表面に配置して、超音波探触子から超音波パルスを送信し、その反射波(反射エコーともいう)を超音波探触子で受信し、この受信した反射波を信号処理することで、被検査体の内部の欠陥の有無を判定している。
ところで、溶接構造物の溶接には、母材の板厚方向を完全に溶け込ます「完全溶け込み溶接」と、途中まで溶け込ます「部分溶け込み溶接」があるが、「部分溶け込み溶接」の場合、未溶着部が残ることになる。そして、溶接部に応力が加わる構造体の場合、母材に対する未溶着部の未溶着長さで静強度、疲労強度が変わってくる。
このため、溶接施工後の未溶着長さを確認したいという要請がある。未溶着長さを超音波探傷によって測定する方法としては、例えば、特開2004-333387号公報(特許文献1)に記載された技術(以下、従来技術という)が知られている。
特許文献1に記載の従来技術は、溶接部における溶け込み残り部分としてのスリット部へ超音波を導入している。そして、スリット部からの反射波により溶接状態の良否を判定する手段として、予め実製品と共通した人工欠陥試験体によるデータを作成し、これらのデータに基づいて、スリット高さの判定を行うための最適な超音波探触子の探傷位置を定めて測定することで、精度の良好な測定値が得られようにするものである。
そのための具体的手段として、予め、異なる高さのスリット部を付与した複数個の人工欠陥試験体を製作し、これら各試験体について、超音波探触子を特定位置からスリット部に対して接近・分離・移動させた時の複数のエコー高さを測定している。そして、これらの各試験体における複数位置でのエコー高さの測定結果をデータ化し、これらのデータのうち、溶接部の良否判定基準となる高さのスリット部を有する試験体の基準データを元に、他の試験体によるデータの値と基準データの値との差が明確に表れている部分での探触子の測定位置を決定している。
更に、この測定位置における各試験体のエコー高さを抽出したマスターデータを作成し、次いで、検査対象である実製品の溶接部に対して、先の探触子測定位置でのスリット部のエコー高さを測定して、この実製品におけるエコー高さの測定値をマスターデータと照合して溶接状態の良否を判定するようにしている。
特開2004-333387号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、あらかじめ試験体を用意して比較するマスターデータを取得する必要がある、また、溶接状態の良否を判定することはできるが、未溶着長さを算出することができなく、使い勝手が悪いという課題を有している。
本発明の目的は、マスターデータを準備する必要がなく、しかも未溶着部の未溶着長さを高い精度で測定することができる溶接部の超音波検査方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、同一位置の溶接金属部、及び未溶着部に対して、第1超音波探触子の第1入射位置から、第1屈折角度で超音波を斜め方向に入射し、第2超音波探触子の第1入射位置とは異なる第2入射位置から、第1屈折角度とは異なる第2屈折角度で超音波を斜め方向に入射し、第1超音波探触子に基づく第1反射波と第2超音波探触子に基づく第2反射波とから、未溶着部の未溶着長さを測定する、ことを特徴とする。
本発明によれば、マスターデータを準備する必要がなく、しかも未溶着部の未溶着長さを高い精度で測定することができる。
本発明における超音波探傷装置の構成を示す構成図である。 本発明における探傷条件設定の手順を示すフローチャート図である。 未溶着部を有する溶接構造物のうち、設計上で溶接変形が生じていない場合の断面を示す断面図である。 未溶着部を有する溶接構造物のうち、実際の溶接変形が生じている場合の断面を示す断面図である。 図3に示す溶接変形が生じていない未溶着部の超音波経路を示す説明図である。 図4に示す溶接変形が生じている未溶着部の超音波経路を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態になる溶接構造物と二つの超音波探触子の配置状態を示す上面図である。 図7に示す第1超音波探触子の超音波経路を模式的に示す説明図である。 図7に示す第2超音波探触子の超音波経路を模式的に示す説明図である。 図7に示す第1超音波探触子の探傷条件を設定する設定画面の例を示す説明図である。 図7に示す第2超音波探触子の探傷条件を設定する設定画面の例を示す説明図である。 図7に示す第1超音波探触子と第2超音波探触子の共通の探傷条件を設定する設定画面の例を示す説明図である。 未溶着長さの測定手順を示すフローチャート図である。 図7に示す第1超音波探触子と第2超音波探触子の探傷画像と、これらの画像を使用し未溶着長さを測定する測定画面の例を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態になる溶接構造物と、この例における超音波探触子の配置状態と、超音波経路を示す説明図である。 本発明の第3の実施形態になる溶接構造物と、この例における超音波探触子の配置状態と、超音波経路を示す説明図である。 図16に示す超音波探触子の位置決め治具を示す構成図である。 本発明の第4の実施形態になる溶接構造物と、この例における超音波探触子の配置状態を示す説明図である。 図18に示す超音波探触子の配置状態と超音波経路を模式的に示す説明図である。 本発明の第5の実施形態になる溶接構造物と、この例における超音波探触子の配置状態を示す説明図である。 図20に示す超音波探触子の配置状態と超音波経路を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
本発明の第1の実施形態になる溶接部の超音波検査方法について、図1~図14を用いて詳細に説明する。
図1には、本発明の第1の実施形態における超音波探傷装置の全体の構成を示している。図示のように、超音波探傷装置は、検査対象Smpに超音波を入射するアレイ型の超音波探触子10、超音波探傷制御部11、及び探傷画像を表示する機能や探傷条件を設定する機能を備えた表示部12で構成されている。
超音波探傷制御部11は、超音波探触子10からの入射波の位相や強度を設定する機能や、超音波探触子10からの反射波の強度や伝搬時間から未溶着部を検出する機能を備える演算部13、演算部13から入射波の遅延時間を制御する遅延時間制御部14、遅延時間制御部14からの制御信号に基づいて入射波を生成するためのパルサー15、超音波探触子10からの反射波を受信するレシーバ16、レシーバ16からの反射波に基づいた強度や伝搬時間等を収集して記憶するデータ収集部17等から構成されている。
アレイ型の超音波探触子10は、基本的には超音波を発生し、検査対象Smpから戻ってきた超音波を受信する複数個の圧電振動素子から構成され、検査対象Smpの探傷面に設置される。そして、超音波探傷制御部11から供給される駆動信号により超音波(入射波)を発生させ、これを検査対象Smp伝播させて現れる反射波を検知し、この反射波を超音波探傷制御部11に入力する。
超音波探傷制御部11は、超音波探触子10に超音波の送信(入射波)と受信(反射波)を行わせるもので、このため、上述した演算部13、遅延時間制御部14、パルサー15、レシーバ16、データ収集部17を備えている。パルサー15が駆動信号を超音波探触子10に供給し、これによって生じる反射波を超音波探触子10で受信してレシーバ16に送る処理を実行する。
このとき、演算部13は、遅延時間制御部14とパルサー15、レシーバ16、データ取集部17を制御して、これらを必要な動作が得られるように駆動する。先ず、遅延時間制御部14、パルサー15から出力される駆動信号のタイミングとレシーバ16による受信信号の入力タイミングの双方を制御し、これによりフェーズドアレイ方式による超音波探触子10の動作が得られるように機能させる。
アレイ型の超音波探触子10よるフェーズドアレイ方式の動作とは、超音波の焦点深さと入射角度(屈折角度)を制御して、入射波を送信し、且つ反射波を受信する動作のことであり、これによってレシーバ16からデータ収集部17に反射波の信号が供給されることになる。
データ収集部17は、供給された反射波の信号を処理し、演算部13での演算に必要なデータとして記憶する。演算部13は、超音波探触子10で得られた波形を遅延時間に応じて合成処理して、超音波の入射角度毎の波形を画像化処理して表示部12に供給し、探傷画像として表示させる動作を実行する。
次に、超音波探傷による未溶着長さを測定する場合の条件設定について、図2、図10~図12に基づき説明する。図10~図12は、以下に示す条件設定ステップに対応した設定画面を示している。
先ず、設計情報等を用いて事前に、使用する超音波探触子の周波数、素子サイズ、素子ピッチ、素子数、更に、屈折角度(探傷範囲)、焦点距離、同時励振数、座標算出に必要な音速等を決定しておく。そして、これに基づいて図2に示す超音波探傷装置の探傷条件設定ブロック20で決定された条件に沿って、図10~図12に示す設定を表示部12の画面上で実行する。尚、本実施形態では、超音波探触子を2個使用するため、図10、図11では、「設定タグ」(条件設定1、条件設定2)が2個設けられている。
図2、図10~図11においては条件設定タグ1、2にあるように、ステップS20では、探傷に用いる探触子を選択する。ステップS21では、検査対象の材料定数(音速)を設定する。ステップS22では、アレイ型の超音波探触子10で同時に励振する素子の数を設定する。ステップS23では、探傷範囲、すなわち、屈折角度(もしくは、リニア走査範囲)の最大値、最小値を設定する。また、探傷の細かさ(ピッチ)を設定する。ステップS24では、超音波の焦点深さ(探傷距離)を設定する。ステップS25では、超音波の取り込み路程を設定する。
また、図2、図12においては「設定タグ」(条件設定3)にあるように、ステップS26では、超音波の強さに関係するパルス電圧を設定する。ステップS27では、超音波の周波数に関係するパルス幅を設定する。ステップS28では、超音波を何回発生させるかに関係するバースト回数を設定する。ステップS29では、超音波の感度(ゲイン)のうち、ベースゲイン、プリアンプゲイン、デジタルゲインを設定する。また、表示モード等も設定する。
次に「部分溶け込み溶接」における課題について説明する。図3、図4に溶接構造物の断面を示している。図3は、未溶着部を有する溶接構造物のうち、設計上で溶接変形が生じていない場合の断面を示し、図4は、未溶着部を有する溶接構造物のうち、実際の溶接変形が生じている場合の断面を示している。
この例では、図3に示すように、母材A21(円筒)と母材B22(円筒)が、「レ型開先」の形状で溶接されている。この時、溶接金属23は母材B22の裏側(内周側)まで到達しておらず、未溶着部(いわゆるノッチとも称される)24を許容する設計となっている。しかしながら、実際には図4に示すように、熱収縮により母材B22が縮んで、母材A21を内側に押し込むことで変形して、未溶着部24の形状が設計上の形状から変化する。
そして、図5に示すように、アレイ型の超音波探触子25を母材B22の表面に配置して、セクタスキャンで未溶着部24を探傷する場合を考える。尚、この場合は図3の形態を対象としており、設計上の形態である。
超音波経路100は、未溶着境界部(溶接金属23と未溶着部24の境界)24aに到達し、更に反射して超音波探触子25に戻る。同様に超音波経路101は、未溶着端部(未溶着部24の内周側の端部)24cに到達し、反射して超音波探触子25に戻る。
一方、超音波経路102は、未溶着途中部(未溶着部24の途中)24bに到達し、反射して超音波探触子25には戻らない。その結果、未溶着部24の両端を把握でき、未溶着長さが求まることになる。
ところが、上述のように、実際には図6に示すように、溶接時の熱収縮により母材B22が縮み、母材A21を押し込んで変形させるようになる。その結果、超音波の進行経路が変わるという現象が発生する。
例えば、超音波経路103は、未溶着境界部24aに到達し、更に反射して超音波探触子25に戻る。同様に超音波経路104は、未溶着端部24cに到達し、反射して超音波探触子25に戻る。更に、超音波経路105は、未溶着途中部24bに到達して反射するが、未溶着部24の形状(角度)が設計上の形状から変わっているため、超音波探触子25に戻ることがある。その結果、未溶着部24の両端を把握できなくなり、未溶着長さが求まらないことになる。
そこで、本実施形態では、図7~図9に示すように、同一位置の溶接金属部23、並びに未溶着部24に対して、斜角探傷法を基礎にして複数の入射位置(異なる位置)から、複数の屈折角度(異なる角度)で超音波を入射し、夫々の入射位置、及び屈折角度毎に、反射波を検出する方法を提案するものである。
更に具体的に説明すると、本実施形態は、同一位置の溶接金属23、及び未溶着部24に対して、第1超音波探触子25aの第1入射位置から、第1屈折角度で超音波を斜め方向に入射し、第2超音波探触子25bの第1入射位置とは異なる第2入射位置から、第1屈折角度とは異なる第2屈折角度で超音波を斜め方向に入射し、第1超音波探触子に基づく第1反射波と第2超音波探触子に基づく第2反射波とから、未溶着部の未溶着長さを測定する、ことを特徴としている。
図7において、母材B22の軸線(C)の方向で溶接金属23に対して、遠い側の位置の第1超音波探触子25aと、近い側の位置の第2超音波探触子25bを配置し、同一位置の溶接金属部23、並びに未溶着部24に対して、超音波探傷を実行するようにしている。尚、同一位置の溶接金属部23、並びに未溶着部24とは、特定の位置ではなく、超音波探傷される広がりを有した領域(同一領域)の概念である。
また、第1超音波探触子25aと第2超音波探触子25bは、別々の探触子として構成されて1つの筐体に収納されており、一体的な超音波探触子25として取り扱うことができる。
そして、第1超音波探触子25aと第2超音波探触子25bは、軸線(C)に沿って並べて配置されており、夫々の超音波探触子25a、25bは、溶接金属23に向けて、超音波を斜め方向で入射させている。この入射方法は良く知られているものである。
ここで、図8、図9にある通り、第1超音波探触子25aの超音波の入射位置は、第2超音波探触子25bの超音波の入射位置に対して、溶接金属23から遠い位置に設定され、また、第1超音波探触子25aの超音波の屈折角度(θa)は、第2超音波探触子25bの超音波の屈折角度(θb)に対して、大きい角度に設定されている。尚、屈折角度は、超音波探傷の分野で知られている屈折角度である。
このように、入射位置、及び屈折角度にかかわらず、常に反射波が検出されるか否かを確認することで、後述するように、検出された2つの反射波から、溶着部(溶接金属23)と未溶着部24の境界部24a、及び未溶着端部の端部24cからの反射波であるか、また、未溶着部24の途中部24bからの反射波であるかを判断することができる。その結果、未溶着部24の未溶着長さを正確に測定できるようになる。
具体的には、図8(第1測定モード)に示すように、第1超音波探触子25aからの超音波経路107は、未溶着境界部24aに到達し、更に反射して第1超音波探触子25aに戻る。同様に超音波経路108は、未溶着端部24cに到達し、反射して第1超音波探触子25aに戻る。更に、超音波経路109は、未溶着途中部24bに到達して反射するが、未溶着部24の角度が設計形状から変わっているため、第1超音波探触子25aに戻ることがある。これは図6で説明した通りである。
これに対して、図9(第2測定モード)に示すように、第2超音波探触子25bからの超音波経路110は、未溶着境界部24aに到達し、更に反射して超音波探触子25bに戻る。同様に超音波経路111は、未溶着端部24cの到達し、反射して第2超音波探触子25bに戻る。一方、超音波経路112は、未溶着途中部24bに到達し、この部分で反射するが、第2超音波探触子25bには戻らない。その結果、未溶着部24の未溶着境界部24aと未溶着端部24cの両端を把握でき、未溶着部24の未溶着長さが求まることになる。
次に、上述の方法で検出された反射波の演算処理について説明する。この反射波の演算処理は、図1に示す演算部13で実行されるが、この演算処理の条件や指示等の設定は、表示部12に設けた画面上で行うことができる。
例えば、グラフィカルユーザインタフェース等を用いることができ、これによって、図13に示す未溶着長さの測定フローを実行することができる。尚、これは第1の実施形態にあるように、2個の超音波探触子25a、25bを用いた例である。
先ず、ステップS30においては、2個の超音波探触子(探触子1、探触子2)の探傷条件を設定する。この設定は、図2の探傷条件設定ブロック20に示すものと同じである。
次に、ステップS31においては、検査すべき溶接構造物に2個の超音波探触子を設置する。超音波探触子の設置位置は、「開先」の設計情報等を考慮して、図8、図9に示す未溶着端部24cと未溶着境界部24aが存在する領域が含まれるように、探傷するのに必要十分な位置を予め求めておき、求められた場所に超音波探触子25を設置する。
次に、ステップS32においては、リニアスキャンで超音波探傷を行う。この超音波探傷では、第1超音波探触子25aで探傷を行って反射波のデータを収集した後に、第2超音波探触子25bで探傷を行って反射波のデータを収集する。これによって、夫々の反射波を個別に収集することができる。
次に、ステップS33においては、スキャンで取得した反射波に基づいて探傷画像を取得する。更に、ステップS34において、第1超音波探触子25aと第2超音波探触子25bによって得られた探傷画像を比較する。
次に、ステップS35においては、未溶着境界部24aと未溶着端部24cの反射波を抽出し、最後に、ステップS36においては、抽出した未溶着境界部24aと未溶着端部24cの反射波の座標から未溶着長さを測定する。
図14に探傷画像の表示例を示している。画面の左側に第1超音波探触子(探触子1)25aで取得した探傷画像Dpaを示しており、画面の右側には、第2超音波探触子(探触子2)25bで取得した探傷画像Dpbを表示している。これによって、探傷位置による反射波の相違を容易に判断することができる。
尚、周波数を同じに設定しておくと、第1超音波探触子25aと第2超音波探触子25bの反射波を同時に求めることはできないので、先ず、第1超音波探触子25aの反射波を求め、この後に第1超音波探触子25aの反射波を求めている。これらの反射波のデータは、図1に示すデータ収集部17に記憶される。
演算部13は、データ収集部17に記憶された、第1超音波探触子25aの反射波のデータと第2超音波探触子25bの反射波のデータとから、未溶着部24の未溶着長さを求めることができる。
図14において、左側の探傷画像Dpaには、溶接構造物の探傷領域の断面形状(図3と図4に示すもので、図4では変形した部分は破線で示している)と、入射波と反射波の超音波経路が示され、同様に、右側の探傷画像Dpbには、溶接構造物の探傷領域の断面形状と、入射波と反射波の超音波経路が示される。尚、必要に応じて破線で示すように超音波探触子を表示することも可能である。
更に、表示画面のX軸(横軸)とY軸(縦軸)には、長さを表す「目盛り」が表示されている。この「目盛り」に重なるようにして、探傷画像DpaにはY軸に沿ったグリッド線200a、201aが表示され、探傷画像DpbにはY軸に沿ったグリッド線200b、201bが表示されている。
更に、探傷画像Dpa、Dpbには、はX軸に沿ったグリッド線202a、202b、203が表示されている。そして、これらのグリッド線が交わった領域に未溶着部のエコーが表示されるように、画像処理が施される。
図14の探傷画面Dpa、Dpbにおいて、エコー領域Eha-1、及びEha-2は、未溶着境界部24aからのエコー領域を示している。また、エコー領域Ehc-1、及びEhc-2は、未溶着端部24cからのエコー領域を示している。更に、エコー領域Ehb-1は、未溶着途中部24bからの反射波を示している。しかしながら、探傷画面Dpbには、未溶着途中部24bに相当するエコー領域は、第2超音波探触子25bで取得した探傷画像には発生していない。
そして、画面上で、例えば、マウスポインタMpを使用して、夫々のグリッド線をエコー領域に合せて移動して、エコー領域の位置を特定することができる。図14では、グリッド線200aは、未溶着境界部24aからのエコー領域の横方向の位置を示している。
超音波探触子25a(探触子1)と超音波探触子25b(探触子2)で取得した両方の画像に、夫々のエコー領域Eha-1、及びEha-2があるので、エコー領域Eha-2の横方向位置を示すグリッド線200bは、グリッド線200aと同期して移動できるようにしておくこともできる。
同じく、マウスポインタMpを使用して、未溶着端部24cからのエコー位置を特定する。図14では、グリッド線201aは、超音波探触子25a(探触子1)で取得した探傷画像における未溶着端部24cからのエコー領域Ehc-1を示している。
また、グリッド線201bは、超音波探触子25b(探触子2)で取得した探傷画像における未溶着端部24cからのエコー領域Ehc-2を示している。上述したように、グリッド線201aとグリッド線201bは、同期して移動できるようにしておくこともできる。
同様に、未溶着境界部24aと未溶着端部24cの縦方向位置を、グリッド線202a、202b、203で特定する。画面上の座標は、音速を使えば、実際の距離に換算できるので、この作業により未溶着長さが求まる。そして、求まった長さを、図14に示すように、画面上に表示することができる。これらの演算は、演算部13で容易に行うことができる。
尚、エコー領域は点ではなく、広がりを持っているので、例えば、マウスポインタMpをエコー領域の近傍に移動させたときに、ピークサーチなどの画像処理手法を用いて、自動的にエコー領域のピーク位置にグリッド線を移動させる機能を設けておくことも可能である。
このように、本実施形態では、同一位置の溶接金属部、及び未溶着部に対して、第1超音波探触子の第1入射位置から、第1屈折角度で超音波を斜め方向に入射し、第2超音波探触子の第1入射位置とは異なる第2入射位置から、第1屈折角度とは異なる第2屈折角度で超音波を斜め方向に入射し、第1超音波探触子に基づく第1反射波と第2超音波探触子に基づく第2反射波とから、未溶着部の未溶着長さを測定することを特徴としている。これによれば、未溶着部の未溶着長さを高い精度で測定することができる。
次に本発明の第2の実施形態について、図15を用いて説明する。この第2の実施形態は、図7に示すような別々の2個の超音波探触子25a、25bを用いるのではなく、大型のアレイ型超音波探触子25cを用いることを特徴としている。超音波探触子25cは、複数の超音波振動子を2つのグループに分割して、第1超音波探触子25aと第2超音波探触子25bを形成するものである。
アレイ型(Ultrasonic Phased Array)は、内部にある複数個の超音波振動子から発信するタイミング(遅延時間)を変えることによって、超音波の屈折角度、焦点を変化させることが可能となっている。これらの2個の探触子は、超音波探傷制御部11によって、上述した2個の超音波探触子25a、25bを用いた場合と同じ動作、機能を実現するものである。
尚、この超音波探触子25cの動作は第1の実施形態と同じであるので、ここでの説明は省略する。この実施形態によれば、設置作業が容易で、しかも取り扱いが簡単になるという作用、効果を奏することができる。
次に本発明の第3の実施形態について、図16、図17を用いて説明する。この第3の実施形態は、図7に示すような別々の2個の超音波探触子25a、25bを用いるのではなく、図16に示すように、実線で表示した1個の超音波探触子25aを、破線で表示した超音波探触子25aのように、同一位置の溶接金属23に対して接近、或いは離脱する構成とする。
これによって、図7の第1超音波探触子25aによる第1測定モードと、第2超音波探触子25bによる第2測定モードとを1個の超音波探触子25aで行うことができる。
このように、あたかも2個の超音波探触子を用いた場合と同じ動作、機能を実現することができる。尚、この超音波探触子25aの動作は第1の実施形態と同じであるので、ここでの説明は省略する。
図17は、超音波探触子25aを移動させるための探触子位置決定治具31を示しており、幅(W)は、超音波探触子25aが摺動して滑りながら移動できる幅に決められている。また、長さ(L)は、図7に示す配置関係が得られる長さにきめられている。これによって、超音波探触子25aの移動前と移動後の位置決めを正確に行うことができる。また、超音波探触子25aが1個で良いので、超音波探傷装置のコストが高くなるのを抑制することができる。
次に本発明の第4の実施形態について、図18、図19を用いて説明する。この第4の実施形態は、図7に示すように、超音波の送信、受信を1個の超音波探触子25a、或いは超音波探触子25bで共用して行うのではなく、図18、図19に示すように、送信、受信を分離して行う構成としている。
図18において、超音波探触子25atは送信専用の超音波探触子であり、超音波探触子25arは受信専用の超音波探触子である。同様に、超音波探触子25btは送信専用の超音波探触子であり、超音波探触子25brは受信専用の超音波探触子である。したがって、動作上では超音波探触子25atと超音波探触子25arが対となり、超音波探触子25btと超音波探触子25brが対となる。
そして、超音波探触子25atから送信された超音波は、反射波となって超音波探触子25arで受信される。同様に、超音波探触子25btから送信された超音波は、反射波となって超音波探触子25brで受信される。また、この超音波探触子25dの動作は第1の実施形態と同じであるので、ここでの説明は省略する。これによって、超音波探触子25dの感度を高めることができる。
尚、超音波探触子25atと超音波探触子25ar、及び超音波探触子25btと超音波探触子25brは、別々の4個の探触子として構成されて1つの筐体に収納されており、一体的な超音波探触子25dとして取り扱うことができる。
次に本発明の第5の実施形態について、図20、図21を用いて説明する。この第5の実施形態は、図18に示すような別々の4個の超音波探触子25at、25ar、25bt、25brを用いるのではなく、大型のアレイ型超音波探触子25et、25erの2個の超音波探触子を用いることを特徴としている。超音波探触子25et、25erは、図15に示すように、複数の超音波振動子を2つのグループに分割して、超音波探触子25atと超音波探触子25btを形成し、同様に超音波探触子25arと超音波探触子25brを形成するものである。
そして、超音波探触子25atから送信された超音波は、反射波となって超音波探触子25arで受信される。同様に、超音波探触子25btから送信された超音波は、反射波となって超音波探触子25brで受信される。本実施形態では、超音波探触子25eの動作は第1の実施形態と同じであるので、ここでの説明は省略する。
本実施形態においても、超音波探触子25dの感度を高めることができ、設置作業が容易で、しかも取り扱いが簡単になるという作用、効果を奏することができる。
尚、本発明は上記したいくつかの実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。各実施例の構成について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
11…超音波探傷装置、12…表示部、13…演算部、14…遅延時間制御部、15…パルサー、17…レシーバ、17…データ収集部、21…母材A、22…母材B、23…溶接金属、24a…未溶着境界部、24b…未溶着途中部、24c…未溶着端部、25…超音波探触子、31…探触子位置決定治具、100~112…超音波経路。

Claims (7)

  1. 溶接構造物の同一位置の溶接金属、及び未溶着部に対して、
    第1超音波探触子の第1入射位置から、第1屈折角度で超音波を斜め方向に入射して第1反射波を受信し、
    第2超音波探触子の前記第1入射位置とは異なる第2入射位置から、前記第1屈折角度とは異なる第2屈折角度で超音波を斜め方向に入射して第2反射波を受信し、
    前記第1超音波探触子に基づく前記第1反射波と前記第2超音波探触子に基づく前記第2反射波とから、前記未溶着部の未溶着長さを測定する
    ことを特徴とする溶接部の超音波検査方法。
  2. 請求項1に記載の溶接部の超音波検査方法において、
    前記第1超音波探触子と前記第2超音波探触子の夫々は、超音波の送信機能と反射波の受信機能を共に備えている
    ことを特徴とする溶接部の超音波検査方法。
  3. 請求項2に記載の溶接部の超音波検査方法において、
    前記第1超音波探触子と前記第2超音波探触子は、アレイ型の超音波探触子の複数の超音波振動子を2つのグループに分割して形成されている
    ことを特徴とする溶接部の超音波検査方法。
  4. 溶接構造物の同一位置の溶接金属、及び未溶着部に対して、
    超音波探触子の第1入射位置から、第1屈折角度で超音波を斜め方向に入射して第1反射波を受信する第1測定モードを実行し、
    前記超音波探触子の前記第1入射位置とは異なる第2入射位置から、前記第1屈折角度とは異なる第2屈折角度で超音波を斜め方向に入射して第2反射波を受信する第2測定モードを実行し、
    前記第1測定モードで受信された前記第1反射波と前記第2測定モードで受信された前記第2反射波とから、前記未溶着部の未溶着長さを測定する
    ことを特徴とする溶接部の超音波検査方法。
  5. 請求項4に記載の溶接部の超音波検査方法において、
    前記超音波探触子は、超音波の送信機能と反射波の受信機能を共に備えている
    ことを特徴とする溶接部の超音波検査方法。
  6. 溶接構造物の同一位置の溶接金属、及び未溶着部に対して、
    送信用第1超音波探触子の第1入射位置から、第1屈折角度で超音波を斜め方向に入射し、
    前記送信用第1超音波探触子に対応した受信用第1超音波探触子で、前記送信用第1超音波探触子による第1反射波を受信し、
    送信用第2超音波探触子の前記第1入射位置とは異なる第2入射位置から、前記第1屈折角度とは異なる第2屈折角度で超音波を斜め方向に入射し、
    前記送信用第2超音波探触子に対応した受信用第2超音波探触子で、前記送信用第2超音波探触子による第2反射波を受信し、
    前記受信用第1超音波探触子で測定された前記第1反射波と前記受信用第2超音波探触子で測定された前記第2反射波とから、前記未溶着部の未溶着長さを測定する
    ことを特徴とする溶接部の超音波検査方法。
  7. 請求項6に記載の溶接部の超音波検査方法において、
    前記送信用第1超音波探触子と前記送信用第2超音波探触子は、アレイ型の超音波探触子の複数の超音波振動子を2つのグループに分割して形成され、
    前記受信用第1超音波探触子と前記受信用第2超音波探触子は、アレイ型の超音波探触子の複数の超音波振動子を2つのグループに分割して形成されている
    ことを特徴とする溶接部の超音波検査方法。
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