JP2022165528A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低摩耗、低摩擦を有し、及びREACH規制をクリアする潤滑油組成物を提供することを目的とする。【解決手段】(A)潤滑油基油、(B)金属不活性化剤、及び(C)有機摩擦調整剤を含み、100℃における動粘度10~25mm2/sを有する潤滑油組成物であって、前記(B)成分が(B1)チアジアゾール化合物を含み、該(B1)成分は、チアジアゾールの五員環を成す炭素原子の各々に結合する硫黄原子含有置換基を有し、前記置換基の少なくとも1は硫黄原子を2つ以上有し、該(B1)成分の量が潤滑油組成物の全質量に対して0.01質量%以上0.15質量%未満であり、及び前記(C)成分が(C1)アミン系摩擦調整剤を含み、該(C1)成分の量が潤滑油組成物の全質量に対して0.05~0.3質量%である、前記潤滑油組成物。【選択図】なし

Description

本発明は潤滑油組成物、特に、自動車用として適用できる潤滑油組成物に関する。より詳細には、自動車用変速機用として好適な潤滑油組成物、自動車用ギヤ油用として好適な潤滑油組成物に関する。
潤滑油組成物は自動車用及び機械用など多岐の用途に使用されている。近年、自動車用潤滑油組成物の低粘度化が、省燃費化の観点から求められている。しかし潤滑油組成物の低粘度化は油膜形成能に影響を及ぼす。低粘度化は、本来省燃費を実現させるためのものであるが、従来の潤滑油組成物として使用されたものをそのまま低粘度化しても、油膜形成能に劣るため、かえって摩擦が高くなることによって、省燃費を実現できなくなる場合がある。また、低粘度化によって、油膜形成能が低下すると、金属同士の直接的な接触が起こる結果、十分な潤滑がおこなわれなくなり、その結果として摩耗が激しくなるため、潤滑油組成物としての機能を十分に果たさなくなる。さらに近年、EUの新たなREACH規制に伴って使用できる添加剤が制限され、従来の潤滑油組成物と同等以上の物性バランスを有する新たな潤滑油組成物が望まれている。
特許文献1には、自動車用ギヤ油として好適に使用される潤滑油組成物が記載されており、基油、粘度指数向上剤、モリブデン系摩擦調整剤、ホウ素含有分散剤、並びに硫黄系極圧剤、リン系極圧剤、及び硫黄-リン系極圧剤から選ばれる少なくとも2種の極圧剤、または硫黄-リン系極圧剤を含む潤滑油組成物が記載されている。特許文献1は、該潤滑油組成物は省燃費性と極圧性とを両立し、さらにはせん断安定性、酸化安定性、及び耐摩耗性を有すると記載している。
また特許文献2には、自動車用ギヤ油、特にディファレンシャルギヤ油として好適な潤滑油組成物が記載されている。特定の硫黄系極圧剤を含む潤滑油組成物が、低粘度化してもベアリング摩耗、ギヤ歯面におけるスコーリングの発生を抑制できることを記載している。
特開2016-190897号公報 特開2017-132875号公報
上記特許文献はいずれも、低粘度化に伴う省燃費性に加えて、低摩耗、低摩擦に加え、上記REACH規制に伴う添加剤の組み合わせについては課題として開示もなければ示唆もない。本発明者らは、低摩耗、低摩擦を有し、及び上記REACH規制をクリアする潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、添加剤を特定することで低摩耗、低摩擦を両立させ、REACH規制をクリアする潤滑油組成物を検討したところ、金属不活性化剤として特定構造のチアジアゾールの特定量、及びアミン系摩擦調整剤の特定量とを含有する潤滑油組成物が、低摩耗、低摩擦及びREACH規制をクリアすることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は、
(A)潤滑油基油、(B)金属不活性化剤、及び(C)有機摩擦調整剤を含み、100℃における動粘度10~25mm/sを有する潤滑油組成物であって、
前記(B)成分が(B1)チアジアゾール化合物を含み、該(B1)成分は、チアジアゾールの五員環を成す炭素原子の各々に結合する硫黄原子含有置換基を有し、前記置換基の少なくとも1は硫黄原子を2つ以上有し、該(B1)成分の量が潤滑油組成物の全質量に対して0.01質量%以上0.15質量%未満であり、及び
前記(C)成分が(C1)アミン系摩擦調整剤を含み、該(C1)成分の量が潤滑油組成物の全質量に対して0.05~0.3質量%である、前記潤滑油組成物を提供する。
本発明の好ましい態様は、以下の通りである。
(1)前記基油(A)が、下記(A1)成分、(A2)成分、及び(A3)成分の組み合わせである。
(A1)100℃における動粘度20mm/s以上40mm/s以下を有する基油、潤滑油組成物の全質量に対して50~70質量%、
(A2)100℃における動粘度8mm/s以上20mm/s未満を有する基油、潤滑油組成物の全質量に対して10~30質量%、及び
(A3)100℃における動粘度2mm/s以上8mm/s未満を有する基油、潤滑油組成物の全質量に対して10~30質量%。
(2)前記(B1)成分が、下記(1)、(2)又は(3)で表される化合物である。
Figure 2022165528000001
(上記式(1)~(3)において、R~Rは、互いに独立に、水素原子、または、炭素数1~30を有し、酸素原子、窒素原子もしくは硫黄原子を含んでよい、一価炭化水素基であり、a、b、c、d、e及びfは、互いに独立に、1~8の整数であり、但し、a及びbの少なくとも1は整数2以上であり、c及びdの少なくとも1は整数2以上であり、e及びfの少なくとも1は整数2以上である)。
(3)前記(B1)成分が、2,5-ビス(ヒドロカルビルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール及び2-メルカプト-5-ヒドロカルビルジチオ-1,3,4-チアジアゾールから選ばれる少なくとも1種を含む。
(4)前記(C)成分がさらにアミド系摩擦調整剤を含み、(C)成分の量が潤滑油組成物全質量に対して0.10~1.0質量%である。
(5)リン含有量が、潤滑油組成物の全質量に対して1,000~2,500質量ppmである。
(6)さらに極圧剤、摩耗防止剤、分散剤、及び流動点降下剤から選ばれる少なくとも1種を含む。
(7)変速機油用である潤滑油組成物。
(8)ギヤ油用である潤滑油組成物。
本発明の潤滑油組成物は、低摩擦を有し、且つ、ギヤ油に要求される摩耗防止性を有することができる。さらには、REACH規制をクリアする潤滑油組成物を与えることができる。本発明の潤滑油組成物は、特には、変速機用、及びギヤ油用として好適に使用することができる。
(A)潤滑油基油
本発明における潤滑油基油は特に限定されることはなく、潤滑油基油として従来公知のものが使用できる。潤滑油基油としては、鉱油系基油、合成系基油、及びこれらの混合基油が挙げられる。
鉱油系基油の製法は限定されるものではない。鉱油系基油としては、水素化精製油、触媒異性化油などに溶剤脱蝋または水素化脱蝋などの処理を施した高度に精製されたパラフィン系鉱油(高粘度指数鉱油系潤滑油基油)が好ましい。また、上記以外の鉱油系基油としては、例えば、潤滑油原料をフェノール、フルフラールなどの芳香族抽出溶剤を用いた溶剤精製により得られるラフィネート、シリカ-アルミナを担体とするコバルト、モリブデンなどの水素化処理触媒を用いた水素化処理により得られる水素化処理油などが挙げられる。例えば、100ニュートラル油、150ニュートラル油、500ニュートラル油などを挙げることができる。
合成系基油としては、例えば、メタン等の天然ガスからフィッシャー・トロプシュ合成で得られたワックス等の原料を水素化分解処理及び水素化異性化処理して得られる基油(いわゆるGTL基油)、ポリ-α-オレフィン基油、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリグリコールエステル、エステル、リン酸エステル、及び、シリコン油などを挙げることができる。なお、ポリ-α-オレフィン(PAO)基油は、特に制限されるものではないが、例えば1-オクテンオリゴマー、1-デセンオリゴマー、エチレン-プロピレンオリゴマー、イソブテンオリゴマー並びにこれらの水素化物を使用できる。好ましくは本発明の(A)潤滑油基油は少なくとも1のエステルを含むのがよい。エステルを含むことにより耐スコーリング性を向上することができる。
エステルとしては、例えば、モノエステル、ジエステル、及びポリオールエステルが挙げられる。ジエステルとしては、二塩基酸エステルが挙げられ、炭素数2~30の二塩基酸エステルが好ましく、例えば、ジオクチルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、及びジトリデシルグルタレートを挙げることができ、特に、ジオクチルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペートが好ましく、これらの混合物を使用することもできる。ポリオールエステルとしては、炭素数が6~30のポリオールエステルが好ましく、例えば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、トリメチロールプロパンオレート、ペンタエリスリトール-2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネートを挙げることができる。これらは2種以上の混合物であってもよい。
上記潤滑油基油は1種単独でも良いし、2種以上の併用であってもよい。2種以上の潤滑油基油を併用する場合は、鉱油系基油同士、合成系基油同士、または鉱油系基油と合成系基油の組み合わせであってよく、その態様は限定されない。
本発明において(A)潤滑油基油は、(A1)100℃における動粘度が20mm/s以上40mm/s以下を有する基油、(A2)100℃における動粘度が8mm/s以上20mm/s未満を有する基油、及び(A3)100℃における動粘度が2mm/s以上8mm/s未満を有する基油の組み合わせであるのが好ましい。より詳細には、上記(A1)成分の量が潤滑油組成物の全質量に対して50~70質量%であり、上記(A2)成分の量が潤滑油組成物の全質量に対して10~30質量%であり、及び上記(A3)成分の量が潤滑油組成物の全質量に対して10~30質量%である。
(A1)基油の100℃における動粘度は、好ましくは25~37mm/sであり、より好ましくは28~35mm/sであり、さらに好ましくは30~33mm/sである。(A2)基油の100℃における動粘度は、好ましくは9~16mm/sであり、より好ましくは10~14mm/sである。(A3)基油の100℃における動粘度は、好ましくは2~6mm/sであり、より好ましくは3~5mm/sである。
(A1)成分の量は潤滑油組成物の全質量に対して、好ましくは52~66質量%、より好ましくは56~62質量%である。(A2)成分の量は潤滑油組成物の全質量に対して、好ましくは12~26質量%、より好ましくは14~24質量%、さらに好ましくは16~22質量%である。(A3)成分の量は潤滑油組成物の全質量に対して、好ましくは11~20質量%、より好ましくは12~16質量%である。該(A1)成分、(A2)成分、及び(A3)成分は好ましくは鉱油系基油であり、さらに好ましくはAPI基油分類でGroup Iの基油である。
(B)金属不活性化剤
本発明の潤滑油組成物は(B)金属不活性化剤を必須に含む。該金属不活性化剤として(B1)チアジアゾール化合物を含み、該(B1)成分が、チアジアゾールの五員環を成す炭素原子の各々に結合する硫黄原子含有置換基を有し、前記置換基の少なくとも1は硫黄原子を2つ以上有することを特徴とする。また、該(B1)成分の量は潤滑油組成物の全質量に対して0.01質量%以上0.15質量%未満である。該(B1)成分は吸着性が高く、当該高吸着性チアジアゾールを後述する(C)特定の有機摩擦調整剤と組み合わせて含むことにより、得られる潤滑油組成物の耐摩耗性、摩擦特性、耐腐食性を改良することができる。該(B1)成分において、硫黄原子含有置換基とは従来公知のチアジアゾール化合物が有するものであればよい。該(B1)成分としては、例えば、下記一般式(1)で示される1,3,4-チアジアゾール化合物、下記一般式(2)で示される1,2,4-チアジアゾール化合物、及び一般式(3)で示される1,4,5-チアジアゾール化合物が挙げられる。
Figure 2022165528000002
上記式(1)~(3)において、R~Rは、互いに独立に、水素原子、または炭素数1~30を有し、酸素原子、窒素原子もしくは硫黄原子を含んでよい、一価炭化水素基であり、a、b、c、d、e及びfは、互いに独立に、1~8の整数であり、但し、a及びbの少なくとも1は整数2以上であり、c及びdの少なくとも1は整数2以上であり、e及びfの少なくとも1は整数2以上である。好ましくは、a、b、c、d、e及びfは、互いに独立に、2~8の整数であり、より好ましくは2~6の整数であり、さらに好ましくは2~4の整数であり、更に好ましくは2である。
上記各式において、炭素数1~30の1価炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、及びアリールアルキル基を挙げることができる。酸素原子、窒素原子もしくは硫黄原子を含む一価炭化水素基とは、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。好ましくはノニル基、さらに好ましくはtert-ノニル基である。
(B1)成分としては、上記の中でも特に、一般式(1)で示される1,3,4-チアジアゾール化合物が好ましい。好ましくは、前記(B1)成分が上記式(1)で表され、Rは水素原子または炭素数1~30の1価炭化水素基であり、Rが水素原子のときaは1であり、Rが炭素数1~30の1価炭化水素基のときaは2であり、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基であり、bは1又は2であり、但しa及びbの少なくとも1は整数2である。
さらに好ましくは、2,5-ビス(ヒドロカルビルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、及び2-メルカプト-5-ヒドロカルビルジチオ-1,3,4-チアジアゾールから選ばれる化合物である。
より詳細には、2,5-ビス(ジオクチルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(ジ(2’-エチルヘキシル)ジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-ノニルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(ジメチルヘキシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(オクタデセニルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(メチルヘキサデセニルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(2-ヒドロキシオクタデシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(n-オクトキシカルボニルメチルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-5-(2-エチルヘキシルジチオ)-1,3,4-チアジアゾールが挙げられる。中でも、2,5-ビス(ジオクチルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(ジ(2’-エチルヘキシル)ジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ビス(tert-ノニルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-5-(tert-ノニルジチオ)-1,3,4-チアジアゾールが特に好ましい。
(B1)成分の量は、潤滑油組成物の全質量に対して0.01質量%以上0.15質量%未満であり、好ましくは0.02~0.12質量%であり、より好ましくは0.04~0.10質量%であり、さらに好ましくは0.06~0.09質量%である。(B1)成分の量が上記上限値超では、潤滑油組成物の摩耗が悪化する可能性がある。
本発明の潤滑油組成物は(B)成分として、上記(B1)成分以外の公知の金属不活性化剤をさらに含有することができる。例えば、ベンゾトリアゾール、1,3,4-チオジアゾリル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメートなどが挙げられる。ただし、本発明において(B)成分はリンを有する金属不活性化剤を包含しない。(B1)成分以外の金属不活性化剤の量は、本発明の効果を損ねない範囲において適宜調整されればよいが、潤滑油組成物中に0.05~0.5質量%で配合されることが好ましい。金属不活性化剤の量が上記上限値より多いと、潤滑油組成物の摩耗が悪化する可能性がある。
(C)有機摩擦調整剤
本発明の潤滑油組成物は有機摩擦調整剤を必須に含有する。有機摩擦調整剤とは金属を有しない摩擦調整剤のことを意味する。例えば、アミン系摩擦調整剤、アミド系摩擦調整剤、エステル系摩擦調整剤、及びエーテル系摩擦調整剤など、有機化合物により構成されるものである。
該有機摩擦調整剤を含むことにより、優れた耐摩耗性及び耐焼付き性を確保することができる。本発明において(C)成分は(C1)アミン系摩擦調整剤を必須に含む。
該(C1)アミン系摩擦調整剤の量は、潤滑油組成物の全質量に対して0.05~0.3質量%であることを特徴とする。好ましくは、潤滑油組成物の全質量に対して0.07~0.25質量%であり、より好ましくは0.09~0.22質量%であり、特に好ましくは0.10~0.20質量%であり、最も好ましくは0.12~0.18質量%である。
(C1)アミン系摩擦調整剤としては、脂肪族アミン化合物が好ましい。該脂肪族アミン化合物としては、例えば、炭素数1~30のアルキル基を有するアルキルアミン、炭素数2~30のアルケニル基を有するアルケニルアミン、炭素数1~30のアルキレン基を有するアルキレンジアミン、炭素数2~30を有するポリアミン、及び脂環式アミンを挙げることができる。
炭素数1~30のアルキル基を有するアルキルアミンにおいて、アルキル基は直鎖であってもよいし、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数4~28であり、より好ましくは炭素数6~25である。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン(ラウリルアミン)、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン(ステアリルアミン)、ドコシルアミン(ベヘニルアミン)、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジヘプタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、及びプロピルブチルアミンを挙げることができる。
炭素数2~30のアルケニル基を有するアルケニルアミンにおいて、アルケニル基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。アルケニル基の炭素数は、好ましくは炭素数4~28であり、より好ましくは炭素数6~25である。例えば、エテニルアミン、プロペニルアミン、ブテニルアミン、オクテニルアミン、及びオレイルアミンが挙げられる。
炭素数1~30のアルキレン基を有するアルキレンジアミンにおいて、アルキレン基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、及びブチレンジアミンが挙げられる。
炭素数2~30を有するポリアミンにおいてアルキレン基は、直鎖であっても分岐を有していてもよい。例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及び、ペンタエチレンヘキサミンが挙げられる。
脂環式アミンとしては、シクロヘキシルアミン等を挙げることができる。
(C)成分は、上記(C1)アミン系摩擦調整剤に併せて、アミド系摩擦調整剤を組み合わせるのが好ましい。アミド系摩擦調整剤の含有量は潤滑油組成物の全質量に対して、好ましくは0.01~0.50質量%、より好ましくは0.02~0.40質量%、さらに好ましくは0.04~0.30質量%、特に好ましくは0.06~0.20質量%、最も好ましくは0.08~0.15質量%である。有機摩擦調整剤の含有量が上記範囲より多いと、銅板腐食特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
アミド系摩擦調整剤としては、限定されることはないが、炭素数1~30のアルキル基を有する飽和脂肪酸アミド、炭素数2~30のアルケニル基を有する不飽和脂肪酸アミドを使用することが好ましい。これらは単独で使用してもよいし、混合して使用することもできる。
炭素数1~30のアルキル基を有する飽和脂肪酸アミドとしては、エタン酸アミド、プロパン酸アミド、ブタン酸アミド、オクタン酸アミド、デカン酸アミド、ドデカン酸アミド、ヘキサデカン酸アミド、オクタデカン酸アミド、ドコサン酸アミドを挙げることができる。炭素数1~30のアルキル基の炭素数として好ましくは炭素数4~28であり、より好ましくは炭素数6~25である。
炭素数2~30のアルケニル基を有する不飽和脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドを挙げることができる。炭素数2~30のアルケニル基の炭素数として好ましくは炭素数4~28であり、より好ましくは炭素数6~25である。
(C)成分の量は、潤滑油組成物中に好ましくは0.10~1.0質量%であり、より好ましくは0.12~0.80質量%であり、さらに好ましくは0.16~0.60質量%、特に好ましくは0.20~0.40質量%、最も好ましくは0.22~0.30質量%である。有機摩擦調整剤は1種単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。
該(C)成分は、エステル系摩擦調整剤及びエーテル系摩擦調整剤を、上述した(C)成分量を満たす範囲にてさらに含むことができる。
エステル系摩擦調整剤としては、脂肪酸エステル系摩擦調整剤が好ましい。脂肪酸としては、炭素数1~30のアルキル基または炭素数2~30のアルケニル基を有する脂肪酸が好ましい。アルケニル基は、直鎖であっても分岐を有していてもよいが、直鎖が好ましい。また、該脂肪酸エステルを調製するにあたり脂肪酸と反応させるアルコールは、1価アルコールでもよいし、多価アルコールでも良いが、多価アルコールであることが好ましい。例えば、2~10価の多価アルコールであり、より詳細には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3~15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3~15量体)、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2~8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)及びこれらの2~8量体、ペンタエリスリトール及びこれらの2~4量体、1,2,4-ブタントリオール、1,3,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,3,4-ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類、及びこれらの混合物等が挙げられる。
上記多価アルコールの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3~10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3~10量体)、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)及びこれらの2~4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,3,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,3,4-ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の2~6価の多価アルコール及びこれらの混合物等が好ましい。さらに、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及びこれらの混合物等がより好ましい。これらの中でもグリセリンが特に好ましい。
エステル系摩擦調整剤として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸から選択される脂肪酸もしくはその混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンから選択されるアルコールもしくはその混合物を反応させて得られるエステルを挙げることができる。エステルの構造としては、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルでもよく、水酸基の一部がエステル化されず水酸基のまま残存する部分エステルでもよい。中でも、炭素数16~20の脂肪酸とグリセリンの部分エステルが好ましい。
エステル系摩擦調整剤として、より好ましくは、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、エチレングリコールモノオレート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノラウレート等を挙げることができる。中でも、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンモノラウレートが特に好ましい。
さらには、エーテル系摩擦調整剤としては分子内に水酸基を2つ以上有するエーテル化合物が挙げられ、好ましくは(ポリ)グリセリンエーテル化合物である。例えば下記式(5)にて表される。
-O-(CH-CH(OH)-CH-O)-H (5)
上記式(5)において、Rは炭素数1~30の1価炭化水素基であり、例えば炭素数1~30のアルキル基、炭素数3~30のアルケニル基、炭素数6~30のアリール基、及び炭素数7~30のアラルキル基が挙げられる。該アルキル基及びアルケニル基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれであってもよい。pは1~10の整数である。特に好ましくはRは、(ポリ)グリセリンエーテル化合物の性能及び入手の容易さなどの観点から、炭素数8~20のアルキル基及びアルケニル基が好ましい。
炭素数1~30、好ましくは炭素数8~20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2-オクチルドデシル、2-ドデシルヘキサデシル、2-テトラデシルオクタデシル、16-メチルヘプタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、及びシクロオクチル等の基が挙げられる。
炭素数3~30、好ましくは炭素数8~20のアルケニル基としては、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、オクタデセニル基、オレイル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、メチルシクロペンテニル基、及びメチルシクロヘキセニル基等が挙げられる。
炭素数6~30のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、及びノニルフェニル基等が挙げられる。
炭素数7~30のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、メチルベンジル基、及びメチルフェネチル基等が挙げられる。
上記(ポリ)グリセリンエーテル化合物としては、例えば、グリセリンモノドデシルエーテル、グリセリンモノテトラデシルエーテル、グリセリンモノヘキサデシルエーテル(「キミルアルコール」と同じ。)、グリセリンモノオクタデシルエーテル(「バチルアルコール」と同じ。)、グリセリンモノオレイルエーテル(「セラキルアルコール」と同じ。)、ジグリセリンモノドデシルエーテル、ジグリセリンモノテトラデシルエーテル、ジグリセリンモノヘキサデシルエーテル、ジグリセリンモノオクタデシルエーテル、ジグリセリンモノオレイルエーテル、トリグリセリンモノドデシルエーテル、トリグリセリンモノテトラデシルエーテル、トリグリセリンモノヘキサデシルエーテル、トリグリセリンモノオクタデシルエーテル、及びトリグリセリンモノオレイルエーテルが挙げられる。
本発明の潤滑油組成物は、さらに(D)硫黄系極圧剤を含むことが好ましい。さらに詳細には(D1)硫化オレフィン、(D2)硫化油脂、及び(D3)硫化エステルから選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
硫化オレフィン及びポリサルファイドは下記一般式(4)で表される。なお、後述するように、硫化オレフィンはオレフィン類を硫化して得られるものであり、ポリサルファイドはオレフィン類以外の炭化水素原料を硫化して得られる。
11-Sx-(R12-S-)-R13 (4)
上記式(4)中、R11及びR13は互いに独立に、一価の炭化水素基であり、例えば炭素数2~20の、直鎖構造または分岐鎖を有する、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、及び、炭素数2~26の芳香族炭化水素基等を挙げることができる。より詳細には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ノニル基、ドデシル基、プロペニル基、ブテニル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、及びヘキシルフェニル基などがある。
上記式(4)中、R12は、炭素数2~20の、直鎖構造または分岐鎖を有する、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、及び炭素数6~26の芳香族炭化水素基等を挙げることができる。より詳細には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、及びフェニレン基などが挙げられる。
上記式(4)中、xは互いに独立に、1以上の整数であり、好ましくは1~8の整数である。xが小さいと極圧性が小さくなり、xが大きすぎると熱酸化安定性が低下する傾向にある。極圧性及び熱酸化安定性を共に得るためには、括弧内に示される単位におけるxが1~6の整数であるのが好ましく、より好ましくは2~4の整数であり、特に好ましくは2または3である。
硫化オレフィンとしては、例えば、ポリイソブチレン及びテルペン類などのオレフィン類を、硫黄その他の硫化剤で硫化して得られるものが挙げられる。
ポリサルファイド化合物としては、例えば、ジイソブチルジサルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジ-tert-ブチルポリサルファイド、及びジ-tert-ベンジルポリサルファイドなどが挙げられる。
硫化油脂は、油脂と硫黄との反応生成物であり、油脂としてラード、牛脂、鯨油、パーム油、ヤシ油、ナタネ油などの動植物油脂を使用し、これを硫化反応して得られるものである。この反応生成物は、単一のものではなく、種々の物質の混合物であり、化学構造そのものは明確でない。
硫化エステルは、上記油脂と各種アルコールとの反応により得られる脂肪酸エステルを硫化することにより得られるものである。硫化油脂と同様、化学構造そのものは明確でない。
本発明において硫黄系極圧剤は活性硫黄を該極圧剤の質量に対して好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは16質量%以下、特に好ましくは12質量%以下で有することが好ましい。活性硫黄量が上記上限値超であると、金属腐食を起こすだけでなく、摩耗の発生を抑制することができなくなる。なお、活性硫黄量の下限値は、極圧性確保のためには、極圧剤の質量に対して1質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは2質量%以上であり、一層好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは8質量%以上であるのがよい。
ここで、活性硫黄量とはASTM D1662に規定される方法により測定されるものである。ASTM D1662に基づく活性硫黄量は、より詳細には以下の手順により測定することができる。
1.200ml用のビーカーに硫黄系添加剤(活性硫黄系極圧剤)50gと銅粉5gを入れ、スターラで攪拌しながら温度を150℃まで上げる。
2.150℃に達したら、さらに銅粉を5g加え、30分間攪拌する。
3.攪拌終了後、ASTM D130準拠の銅板をビーカーへ入れて浸漬させる。このとき、銅板に変色が見られたら、さらに銅粉を5g加えて30分間攪拌する(この操作を変色が認められなくなるまで続ける)。
4.銅板変色が認められなくなったら、ろ過により硫黄系添加剤中の銅粉を除去し、添加剤に含まれる硫黄量を測定する。
活性硫黄量は以下のように算出される。
活性硫黄量(質量%)=銅粉と反応前の硫黄量(質量%)-銅粉と反応後の硫黄量(質量%)
本発明の潤滑油組成物において上記(D)硫黄系極圧剤の含有量は限定されることはないが、潤滑油組成物全体の質量に対して好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは0.2質量%~12質量%、さらに好ましくは0.5質量%~10質量%、一層好ましくは1質量%~8質量%、特に好ましくは2質量%~6質量%、特に好ましくは3質量%~5質量%である。含有量が上記上限値を超えると摩耗発生は抑制できるがスラッジが発生するようになり、場合により金属腐食を発生させることがあるため好ましくない。
本発明の潤滑油組成物において、硫黄含有量は限定されることはないが、潤滑油組成物全体の質量に対して好ましくは0.3~5質量%、より好ましくは0.4~4質量%、さらに好ましくは0.5~3質量%である。含有量が上記上限値を超えると摩耗発生は抑制できるがスラッジが発生するようになり、場合により金属腐食を発生させることがあるため好ましくない。
(E)リン系極圧剤
本発明の潤滑油組成物はリン系極圧剤を含有することが好ましい。上記硫黄系極圧剤と併せてリン系極圧剤を後述する範囲の量で含有することにより、摩耗防止性とスコーリング防止性をバランス良く両立することができる。なお、本発明において、チオリン酸エステル等の硫黄及びリンを有する極圧剤は、上述した(D)硫黄系極圧剤でなく、(E)リン系極圧剤に包含される。また、本発明のリン系極圧剤はジチオリン酸亜鉛を包含しない。
リン系極圧剤は、特に限定されることはなく、従来公知のものであってよい。例えば、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、チオリン酸エステル、酸性チオリン酸エステル、チオ亜リン酸エステル、酸性チオ亜リン酸エステル、リン酸エステルのアミン塩、酸性リン酸エステルのアミン塩、酸性亜リン酸エステルのアミン塩、チオリン酸エステルのアミン塩、酸性チオリン酸エステルのアミン塩、及び酸性チオ亜リン酸エステルのアミン塩の中から選ばれる少なくとも1種であるのがよい。好ましくは、リン酸エステルのアミン塩、酸性リン酸エステルのアミン塩、チオリン酸エステルのアミン塩、及び酸性チオリン酸エステルのアミン塩の中から選ばれる少なくとも1種であるのがよい。
リン酸エステル及び酸性リン酸エステルは(RO)P(=O)(OH)3-aで表される。aは0、1、2、または3である。Rは互いに独立に、炭素数1~30の1価炭化水素基である。ここで、a=3の場合がリン酸エステル、a=1または2の場合が酸性リン酸エステル、a=0の場合がリン酸となる。
亜リン酸エステル及び酸性亜リン酸エステルは(RO)P(=O)(OH)2-bHで表される。bは0、1、または2である。Rは互いに独立に、炭素数1~30の1価炭化水素基である。ここで、b=2の場合が亜リン酸エステル、b=1の場合が酸性亜リン酸エステル、b=0の場合が亜リン酸となる。
チオリン酸エステル及び酸性チオリン酸エステルは(R)(R)(R)P(=X)で表される。R、R及びRは、互いに独立に、水素原子、または炭素数1~30の1価炭化水素基である。ここで、R、R及びRのうち1つまたは2つが水素原子の場合が酸性チオリン酸エステルとなり、3つが水素原子の場合はチオリン酸となる。X、X、X及びXは、互いに独立に、酸素原子または硫黄原子である。ただしX、X、X及びXのうち少なくとも1つは硫黄原子である。
チオ亜リン酸エステル及び酸性チオ亜リン酸エステルは(R)(R)P(=X)Hで表される。R及びRは、互いに独立に、水素原子または炭素数1~30の1価炭化水素基である。ここで、R及びRのうち1つが水素原子の場合が酸性チオ亜リン酸エステルとなり、2つが水素原子の場合はチオ亜リン酸となる。X、X及びXは、互いに独立に、酸素原子または硫黄原子である。ただし、X、X及びXのうち少なくとも1つは硫黄原子である。
上記において、炭素数1~30の1価炭化水素基とは、詳細には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソブチル基、イソヘキシル基、イソデシル基、イソオクタデシル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基、及びオレイル基等である。好ましくは炭素数4~20の一価炭化水素基である。
リン酸エステル及び酸性リン酸エステルは、好ましくはリン酸モノアルキルエステル、リン酸ジアルキルエステル、及びリン酸トリアルキルエステルであるのがよいが、これに限定されるものではない。
亜リン酸エステル及び酸性亜リン酸エステルは、好ましくは亜リン酸モノアルキルエステル及び亜リン酸ジアルキルエステルであるのがよいが、これに限定されるものではない。
チオリン酸エステル及び酸性チオリン酸エステルは、好ましくはチオリン酸モノアルキルエステル、チオリン酸ジアルキルエステル、及びチオリン酸トリアルキルエステルであるのがよいが、これに限定されるものではない。
チオ亜リン酸エステル及び酸性チオ亜リン酸エステルは、好ましくはチオ亜リン酸モノアルキルエステル及びチオ亜リン酸ジアルキルエステルであるのがよいが、これに限定されるものではない。
リン酸エステル、亜リン酸エステル、チオリン酸エステル、及びチオ亜リン酸エステルとして、さらに詳細には、リン酸モノオクチル、リン酸ジオクチル、リン酸トリオクチル、亜リン酸モノオクチル、亜リン酸ジオクチル、チオリン酸モノオクチル、チオリン酸ジオクチル、チオリン酸トリオクチル、チオ亜リン酸モノオクチル、チオ亜リン酸ジオクチル、リン酸モノドデシル、リン酸ジドデシル、リン酸トリドデシル、亜リン酸モノドデシル、亜リン酸ジドデシル、チオリン酸モノドデシル、チオリン酸ジドデシル、チオリン酸トリドデシル、チオ亜リン酸モノドデシル、チオ亜リン酸ジドデシル、リン酸モノオクタデセニル、リン酸ジオクタデセニル、リン酸トリオクタデセニル、亜リン酸モノオクタデセニル、亜リン酸ジオクタデセニル、チオリン酸モノオクタデセニル、チオリン酸ジオクタデセニル、チオリン酸トリオクタデセニル、チオ亜リン酸モノオクタデセニル、及びチオ亜リン酸ジオクタデセニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに、上記化合物のうち部分エステルになっているもののアルキルアミン塩及びアルケニルアミン塩も好適に使用することができる。すなわち、上記酸性リン酸エステルのアミン塩、上記酸性亜リン酸エステルのアミン塩、上記酸性チオリン酸エステルのアミン塩、及び上記酸性チオ亜リン酸エステルのアミン塩を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
より詳細には、リン酸モノオクチルのアミン塩、リン酸ジオクチルのアミン塩、亜リン酸モノオクチルのアミン塩、チオリン酸モノオクチルのアミン塩、チオリン酸ジオクチルのアミン塩、チオ亜リン酸モノオクチルのアミン塩、リン酸モノドデシルのアミン塩、リン酸ジドデシルのアミン塩、亜リン酸モノドデシルのアミン塩、チオリン酸モノドデシルのアミン塩、チオリン酸ジドデシルのアミン塩、リン酸モノオクタデセニルのアミン塩、リン酸ジオクタデセニルのアミン塩、亜リン酸モノオクタデセニルのアミン塩、チオリン酸モノオクタデセニルのアミン塩、チオリン酸ジオクタデセニルのアミン塩、及びチオ亜リン酸モノオクタデセニルのアミン塩などが挙げられる。
なお、アミン塩のアミンはR10Nで表される。R、R及びR10は互いに独立に、水素原子または炭素数1~20の、直鎖構造または分岐鎖を有する、飽和または不飽和の脂肪族、芳香族、あるいは芳香脂肪族炭化水素基である。より詳細には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、ステアリル基及びオレイル基などが挙げられる。
上記リン系極圧剤は、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。組み合わせる場合には、例えば以下のような態様が挙げられるが、これらに限定されることはない。
(1)チオリン酸エステルアミン塩とリン酸エステルアミン塩
特に、アルキル基を有するチオリン酸エステルアミン塩とアルキル基を有するリン酸エステルアミン塩との組み合わせ、
(2)チオリン酸エステルアミン塩とリン酸エステル
特に、アルキル基を有するチオリン酸エステルアミン塩とアルキル基を有するリン酸エステルとの組み合わせ、
(3)リン酸エステルアミン塩とチオリン酸エステル
特に、アルキル基を有するリン酸エステルアミン塩とアルキル基を有するチオリン酸エステルとの組み合わせ、
(4)チオリン酸エステルとリン酸エステル
特に、アルキル基を有するチオリン酸エステルとアルキル基を有するリン酸エステルとの組み合わせ。
上記リン系極圧剤の添加量は潤滑油組成物全体の質量に対して1.5~6質量%、1.8~5質量%であり、好ましくは2~4質量%である。リン系極圧剤の量が上記上限値を超えると、歯面等におけるスコーリング防止性を悪化させる可能性があり、好ましくない。前記含有量が潤滑油組成物全体の質量に対して上記下限値以上であることにより、摩耗防止性能の向上に、より一層寄与する。リン系極圧剤の量が上記下限値未満では反応被膜の生成が不十分で摩耗防止性能が悪化する。
本発明の潤滑油組成物は上記(D)硫黄系極圧剤及び(E)リン系極圧剤以外の極圧剤を上記(D)及び(E)成分と併せてさらに含有することができる。例えばジチオリン酸亜鉛(ZnDTP(ZDDPともいう))を使用することができる。ZnDTPの含有量は、潤滑油組成物全体の質量に対して0.1~5質量%が好ましく、さらに好ましくは0.2~3質量%、一層好ましくは0.3~1質量%である。
(F)無灰分散剤
本発明において(F)無灰分散剤を含有することが好ましい。無灰分散剤は、従来公知のものであればよく、特に制限されるものでないが、ポリアルキレンコハク酸イミドまたはそのホウ素化物であることが好ましい。
無灰分散剤は、ホウ素を有さなくてもよいし、ホウ素を有していてもよい。例えば、直鎖構造または分枝構造を有する、炭素数40~400のアルキル基またはアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物またはその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドの変性品等が挙げられる。無灰分散剤は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、ホウ素化無灰分散剤を使用することもできる。ホウ素化無灰分散剤は潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤をホウ素化したものである。ホウ素化は一般に、含窒素化合物にホウ酸を作用させて、残存するアミノ基及び/またはイミノ基の一部または全部を中和することにより行われる。
上記アルキル基またはアルケニル基の炭素数は、好ましくは40~400であり、より好ましくは60~350である。アルキル基及びアルケニル基の炭素数が前記下限値未満であると、化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低下する傾向にある。また、アルキル基及びアルケニル基の炭素数が上記上限値を超えると、潤滑油組成物の低温流動性が悪化する傾向にある。上記アルキル基及びアルケニル基は、直鎖構造を有していても分枝構造を有していてもよい。好ましい態様としては、例えば、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマー、エチレンとプロピレンのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基または分枝状アルケニル基等が挙げられる。
コハク酸イミドには、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した、いわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した、いわゆるビスタイプのコハク酸イミドとがある。本発明の潤滑油組成物は、モノタイプ及びビスタイプのうちいずれか一方を含有してもよいし、あるいは双方を含有してもよい。
例えば、ホウ素化コハク酸イミドの製造方法としては、特公昭42-8013号公報及び同42-8014号公報、特開昭51-52381号公報、及び特開昭51-130408号公報等に開示されている方法等が挙げられる。具体的には例えば、アルコール類やヘキサン、キシレン等の有機溶媒、軽質潤滑油基油等にポリアミンとポリアルケニルコハク酸(無水物)にホウ酸、ホウ酸エステル、またはホウ酸塩等のホウ素化合物を混合し、適当な条件で加熱処理することにより得ることができる。このようにして得られるホウ素化コハク酸イミドに含まれるホウ素含有量は通常0.1~4質量%とすることができる。特に、アルケニルコハク酸イミド化合物のホウ素変性化合物(ホウ素化コハク酸イミド)は耐熱性、酸化防止性及び摩耗防止性に優れるため好ましい。
ホウ素化無灰分散剤中に含まれるホウ素含有量は、特に制限はないが、0.01~7質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~5質量%であることがより好ましい。ホウ素化無灰分散剤として好ましくはホウ素化コハク酸イミドであり、特にはホウ素化ビスコハク酸イミドが好ましい。ホウ素化無灰分散剤は、ホウ素/窒素質量比(B/N比)は特に制限されないが、0.1以上、好ましくは0.2以上を有するものであり、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.4以下を有するものが好ましい。
(F)成分は、潤滑油組成物中に0.1~2質量%有することが好ましく、より好ましく0.2~1.0質量%、更に好ましくは0.3~0.8質量%である。
なお、ホウ素化されたポリアルキレンコハク酸イミドを使用する場合、潤滑油組成物中に含まれるホウ素含有量は、特に限定されることはないが、60~400質量ppmであることが好ましく、100~380質量ppmであることがさらに好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、上記(A)~(F)成分に加えて、その他の公知の添加剤を含有することができる。例えば、有機摩擦調整剤以外の摩擦調整剤、摩耗防止剤、金属清浄剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、消泡剤、流動点降下剤、抗乳化剤、及び、防錆剤を挙げることができる。これらの添加剤は1種単独でも、2種以上の併用であってもよい。
有機摩擦調整剤以外の摩擦調整剤としては、モリブデンを有する摩擦調整剤を使用することができ、モリブデンを有する摩擦調整剤としては、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)及びモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等の有機モリブデン化合物、さらに米国特許第5,906,968号に記載されている三核モリブデン化合物を使用することができる。上記のモリブデンを有する摩擦調整剤は、潤滑油組成物中に、モリブデン含有量として30~800質量ppm配合することができる。
摩耗防止剤としては、従来公知のものを使用することができる。中でも、リンを有する摩耗防止剤が好ましく、特には下記式で示されるジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)が好ましい。
Figure 2022165528000003
上記式において、R及びRは、各々、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子または炭素数1~26の1価炭化水素基である。1価炭化水素基としては、炭素数1~26の第1級(プライマリー)または第2級(セカンダリー)アルキル基;炭素数2~26のアルケニル基;炭素数6~26のシクロアルキル基;炭素数6~26のアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基;またはエステル結合、エーテル結合、アルコール基またはカルボキシル基を含む炭化水素基である。R及びRは、好ましくは炭素数2~12の、第1級または第2級アルキル基、炭素数8~18のシクロアルキル基、炭素数8~18のアルキルアリール基であり、各々、互いに同一であっても異なっていてもよい。特にはジアルキルジチオリン酸亜鉛が好ましく、第1級アルキル基は、炭素数3~12を有することが好ましく、より好ましくは炭素数4~10である。第2級アルキル基は、炭素数3~12を有することが好ましく、より好ましくは炭素数3~10である。上記ジチオリン酸亜鉛は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、ジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)を組み合わせて使用してもよい。
摩耗防止剤を使用する場合は、潤滑油組成物中に、通常0.1~3質量%で、好ましくは0.2~1質量%で配合される。なお、潤滑油組成物中におけるリン量は、限定されないが、1,000~2,500質量ppmであることが好ましく、1,200~2,300質量ppmであることがより好ましく、1,500~2,000質量ppmであることが最も好ましい。
金属清浄剤としては、公知のものが使用できる。例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を有する清浄剤を使用することができる。アルカリ金属またはアルカリ土類金属としては、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びバリウムを使用することが好ましい。
金属清浄剤としては、例えば、ナトリウムサリシレート、ナトリウムスルホネート、ナトリウムフェネート、ナトリウムカルボキシレート、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート、カルシウムフェネート、カルシウムカルボキシレート、マグネシウムサリシレート、マグネシウムスルホネート、マグネシウムフェネート、及びマグネシウムカルボキシレートが挙げられる。これらのうち、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート、カルシウムフェネート、カルシウムカルボキシレート、マグネシウムサリシレート、マグネシウムスルホネート、マグネシウムフェネート、及びマグネシウムカルボキシレートが好ましく、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネート、マグネシウムサリシレート、及びマグネシウムスルホネートがより好ましい。これら金属清浄剤は、1種単独であっても、2種以上の併用であってもよい。2種以上を併用する場合は、同一の種類(たとえば、カルシウムサリシレート)で塩基価が異なるものを使用することもできる。また、併用する場合は、カルシウムサリシレート、カルシウムスルホネートから選ばれる1種と、マグネシウムサリシレート、マグネシウムスルホネートから選ばれる1種とを混合するように、カルシウム清浄剤とマグネシウム清浄剤との併用であってもよい。
上記金属清浄剤の塩基価は、5~450mg/KOH・gが好ましく、70~400mg/KOH・gがより好ましく、100~400mg/KOH・gが最も好ましい。
酸化防止剤は潤滑油に一般的に使用されているものであればよく、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。例えば、フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が、アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル-α-ナフチルアミン、アルキルフェニル-α-ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン等が挙げられる。酸化防止剤は、通常、潤滑油組成物中に0.1~5質量%で配合される。
粘度指数向上剤は、公知のものを使用することができる。粘度指数向上剤として、例えば、ポリメタアクリレート、分散型ポリメタアクリレート、オレフィンコポリマー(ポリイソブチレン、エチレン-プロピレン共重合体)、分散型オレフィンコポリマー、ポリアルキルスチレン、スチレン-ブタジエン水添共重合体、スチレン-無水マレイン酸エステル共重合体、星状イソプレン等を含むものが挙げられる。さらに、少なくともポリオレフィンマクロマーに基づく繰返し単位と炭素数1~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに基づく繰返し単位とを主鎖に含む櫛形ポリマーを用いることもできる。
粘度指数向上剤は通常、上記ポリマーと希釈油とから成る。低粘度化を図る必要がない場合には、特に限定されないが、0.001~20質量%添加することが好ましく、0.1~20質量%添加することがより好ましく、1~15質量%添加することが好ましい。ただし、低粘度化を図る場合には、添加しないことが好ましく、添加する場合であっても潤滑油組成物中に0.001~1質量%とすることが好ましく、0.001~0.5質量とすることがより好ましい。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が1,000~10万mm/sのシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo-ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。消泡剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物中に0.001~1質量%で配合される。
流動点降下剤としては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタクリレート系のポリマー等が使用できる。流動点降下剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物中に0.01~3質量%で配合されることが好ましい。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。抗乳化剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物中に0.01~5質量%で配合されることが好ましい。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。防錆剤の含有量は、限定されることはないが、潤滑油組成物中に0.01~5質量%で配合されることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、100℃の動粘度が10~25mm/sであり、12~22mm/sであることが好ましく、15~20mm/sであることが好ましい。
潤滑油組成物中の硫黄含有量は0.3~5質量%が好ましく、0.4~4質量%がより好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。
潤滑油組成物中のリン含有量は1,000~2,500質量ppmが好ましく、1,100~2,000質量ppmがより好ましく、1,200~1,500質量ppmがさらに好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、特に限定されることはないが、自動車用潤滑油として好適に使用することができる。また、本発明の潤滑油組成物は、特に、変速機油用潤滑油、ギヤ油用潤滑油として好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例の潤滑油組成物を構成する各成分は以下の通りである。
(A)潤滑油基油
(A1)鉱油(40℃の動粘度=500mm/s、100℃の動粘度=31mm/s)
(以下、鉱油1と称する)
(A2)鉱油(40℃の動粘度=111mm/s、100℃の動粘度=12mm/s)
(以下、鉱油2と称する)
(A3)鉱油(40℃の動粘度=20mm/s、100℃の動粘度=4mm/s)
(以下、鉱油3と称する)
(B)金属不活性化剤
(B1)2,5-ビス(tert-ノニルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール
(B2)下記式で表される化合物(参考例用)
Figure 2022165528000004
尚、参考例で使用した上記化合物は、REACH規制対象となる化合物である。
(C)有機摩擦調整剤
(C1)オレイルアミン
(C2)オレイン酸アミド
(D)硫黄系極圧剤
低活性硫化オレフィン(活性硫黄量11質量%)
(E)リン系極圧剤
(E1)チオリン酸エステルアミン塩(炭素数4~12のアルキル基を有するものの混合物)
(E2)リン酸エステルアミン塩(炭素数4~12のアルキル基を有するものの混合物)
(F)無灰分散剤
ポリイソブテニルコハク酸イミド(ビスイミドタイプ、ポリブテニル基の分子量2,000、窒素1.7質量%)
(G)その他の添加剤
流動点降下剤(PMA)
実施例1~9及び比較例1~6
表2及び3に示す量(質量部)の各成分を混合して潤滑油組成物を調製した。
得られた組成物について、以下の試験を行った。結果を表2及び3に示す。
(1)動粘度は、ASTM D 445に準拠する方法にて40℃及び100℃にて測定した。
(2)粘度指数は、ASTM D 2270に準拠して測定した。
(3)トラクション係数
MTMトラクション試験機を用い、油温40℃、面圧1.0GPa、周速2.5m/s、SSR 5%の条件で試験を行いトラクション係数を測定した。トラクション係数は0.06以下であれば良好である。
(4)LFW-1
LFW-1ブロックオンリング摩擦試験機を用い、油温120℃、荷重20lbf、回転数1000rpm、時間60分の条件で試験を行い、試験終了後の摩耗痕径を測定した。摩耗痕幅は0.5mm以下であれば良好である。
(5)Four-ball(摩耗痕径の測定方法)
ASTM D4172で規定される四球摩耗試験機を用い、油温40℃、荷重40kgf、回転数100rpm、時間60分の条件で試験を行い、試験終了後の摩耗痕径を測定した。摩耗痕径は0.5mm以下であれば良好である。
(6)銅板腐食
ASTM D 130に準じて油温120℃、時間180分の条件で銅板腐食試験をおこない、下記に従い評価をした。下記銅板腐食標準の変色番号で1~2であれば良好である。
Figure 2022165528000005
(7)防錆性
JIS K 2246に準拠する湿潤試験方法に従いさび発生試験を行った。湿潤状態に48時間保持した後の試験片について同規格6.4項に準じ下記方法でさび発生度を測定した。
測定板の測定面に当たる部分に、幅約0.5mmの刻み線で一辺が5mmの正方形の碁盤目100個を刻んだものを用意した。試験片に測定板を重ね合わせ、肉眼で1点以上のさびが発生した碁盤目の数を数え、下記に従う等級で表示した。
[さび発生度]
A級:0%
B級:1~10%
C級:11~25%
D級:26~50%
E級:51%以上
さび発生度がA級~B級であれば良好である。
Figure 2022165528000006
Figure 2022165528000007
上記表1及び2に示す通り、本発明の潤滑油組成物は、低摩擦を有し、且つ、優れた摩耗防止性を有し、さらに銅板防腐食性、及び、防錆性を有する。本発明は、REACH規制をクリアする潤滑油組成物を与えることができ、特には、変速機用及びギヤ油用として好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. (A)潤滑油基油、(B)金属不活性化剤、及び(C)有機摩擦調整剤を含み、100℃における動粘度10~25mm/sを有する潤滑油組成物であって、
    前記(B)成分が(B1)チアジアゾール化合物を含み、該(B1)成分は、チアジアゾールの五員環を成す炭素原子の各々に結合する硫黄原子含有置換基を有し、前記置換基の少なくとも1は硫黄原子を2つ以上有し、該(B1)成分の量が潤滑油組成物の全質量に対して0.01質量%以上0.15質量%未満であり、及び
    前記(C)成分が(C1)アミン系摩擦調整剤を含み、該(C1)成分の量が潤滑油組成物の全質量に対して0.05~0.3質量%である、前記潤滑油組成物。
  2. 前記基油(A)が、下記(A1)成分、(A2)成分、及び(A3)成分の組み合わせである、請求項1記載の潤滑油組成物
    (A1)100℃における動粘度20mm/s以上40mm/s以下を有する基油、潤滑油組成物の全質量に対して50~70質量%、
    (A2)100℃における動粘度8mm/s以上20mm/s未満を有する基油、潤滑油組成物の全質量に対して10~30質量%、及び
    (A3)100℃における動粘度2mm/s以上8mm/s未満を有する基油、潤滑油組成物の全質量に対して10~30質量%。
  3. 前記(B1)成分が、下記式(1)、(2)又は(3)で表される化合物である、請求項1又は2記載の潤滑油組成物
    Figure 2022165528000008
    (上記式(1)~(3)において、R~Rは、互いに独立に、水素原子、または、炭素数1~30を有し、酸素原子、窒素原子もしくは硫黄原子を含んでよい、一価炭化水素基であり、a、b、c、d、e及びfは、互いに独立に、1~8の整数であり、但し、a及びbの少なくとも1は整数2以上であり、c及びdの少なくとも1は整数2以上であり、e及びfの少なくとも1は整数2以上である)。
  4. 前記(B1)成分が、2,5-ビス(ヒドロカルビルジチオ)-1,3,4-チアジアゾール及び2-メルカプト-5-ヒドロカルビルジチオ-1,3,4-チアジアゾールから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  5. 前記(C)成分がさらにアミド系摩擦調整剤を含み、(C)成分の量が潤滑油組成物全質量に対して0.10~1.0質量%である、請求項1~4のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  6. リン含有量が、潤滑油組成物の全質量に対して1,000~2,500質量ppmである、請求項1~5のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  7. さらに極圧剤、摩耗防止剤、分散剤、及び流動点降下剤から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~6のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  8. 変速機油用である、請求項1~7のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  9. ギヤ油用である、請求項1~7のいずれか1項記載の潤滑油組成物。

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