JP2022162973A - 保全管理装置、保全管理方法、及び保全管理プログラム - Google Patents

保全管理装置、保全管理方法、及び保全管理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】製造工程における損失を削減できる保全管理装置、保全管理方法、及び保全管理プログラムを提案する。【解決手段】保全管理装置50は、加工製品を製造する加工装置10の保全情報を決定する制御部51と、制御部51で決定された保全情報を出力する出力部53とを備える。制御部51は、加工装置の保全にかかる保全コストと、加工装置10に起因する故障コストとに基づいて、保全情報を決定する。故障コストは、加工装置が故障して停止することによって生じる機会損失を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、保全管理装置、保全管理方法、及び保全管理プログラムに関する。
従来、機器設備に定義された損失関数を用いて機器設備の保守予定時期を更新する方法が知られている。特許文献1に記載された方法において、機器が故障したときの損失を考慮した損失関数が決定されている。また、損失関数に基づいて損失を少なくするように保守予定時期が変更されている。
また、特許文献2では、部位別に故障発生時の被害額及び故障徴候見落確率を算出し、故障率、故障発生時の被害額及び故障徴候見落確率に基づいて部位別のリスクを見積もることによって保全方式の評価を行うことが記載されている。
特開2004-145496号公報 特開2004-152017号公報
製品の製造工程で用いられる加工装置は、製造工程における損失を少しでも多く削減できるように保全される。製造工程における損失を多く削減できるように、加工装置の保全を合理的に管理することが求められる。
そこで、本開示の目的は、製造工程における損失を合理的に削減できる保全管理装置、保全管理方法、及び保全管理プログラムを提案することにある。
上記課題を解決する本開示の一実施形態は、以下の通りである。
[1]加工製品を製造する加工装置の保全情報を決定する制御部と、
前記制御部で決定された前記保全情報を出力する出力部と
を備え、
前記制御部は、前記加工装置の保全にかかる保全コストと、前記加工装置に起因する故障コストとに基づいて、前記保全情報を決定し、
前記故障コストは、前記加工装置が故障して停止することによって生じる機会損失を含む、保全管理装置。
[2]前記制御部は、前記加工装置の保全後に前記加工装置が稼働した時間に対応する保全後稼働時間を引数とし、前記保全後稼働時間の逆数と前記保全コストとの積に比例する第1項と、前記保全後稼働時間と前記故障コストとの積に比例する第2項との和で表される損失関数を生成し、前記損失関数に基づいて前記保全情報を決定する、前記[1]に記載の保全管理装置。
[3]前記制御部は、前記損失関数の値が極小値となる場合又は極小値に対して所定値の範囲内となる場合の前記保全後稼働時間を、前記保全情報として算出する、前記[2]に記載の保全管理装置。
[4]前記制御部は、前記損失関数の第2項における前記故障コストを、前記機会損失に前記加工装置の稼働状況に基づく係数を乗じた値を含む形式で前記損失関数を生成する、前記[2]又は[3]に記載の保全管理装置。
[5]前記制御部は、前記損失関数の第2項における前記故障コストを、前記加工装置の特性因子に基づく係数を乗じた形式で前記損失関数を生成する、前記[2]から[4]までのいずれか一項に記載の保全管理装置。
[6]保全管理装置が、加工製品を製造する加工装置の保全情報を、前記加工装置の保全にかかる保全コストと、前記加工装置に起因する故障コストとに基づいて決定するステップと、前記保全管理装置が、決定した前記保全情報を出力するステップとを含み、
前記故障コストは、前記加工装置が故障して停止することによって生じる機会損失を含む、保全管理方法。
[7]プロセッサに、加工製品を製造する加工装置の保全情報を、前記加工装置の保全にかかる保全コストと、前記加工装置に起因する故障コストとに基づいて決定するステップと、決定した前記保全情報を出力するステップと
を実行させ、
前記故障コストは、前記加工装置が故障して停止することによって生じる機会損失を含む、保全管理プログラム。
本開示の一実施形態によれば、製造工程における損失が削減され得る。
一実施形態に係る保全管理システムの構成例を示すブロック図である。 加工装置としてのワイヤーソー装置の構成例を示す図である。 ワイヤーソー装置のガイドローラの構成例を示す平面図及び側面図である。 一実施形態に係る保全管理装置が生成する損失関数のグラフの一例を表す図である。 想定した稼働率より実際の稼働率が低くなった場合の保全コストを説明するための損失関数のグラフの一例を表す図である。 一実施形態に係る保全管理方法の手順例を示すフローチャートである。 加工装置の平均故障間隔を考慮した場合の損失関数のグラフの一例を表す図である。
(一実施形態に係る保全管理システム1の概要)
本開示の一実施形態に係る保全管理システム1(図1参照)又は保全管理装置50(図1参照)は、製品を製造する工場等に設置される加工装置10(図1又は図2参照)の保全を管理する。加工装置10は、製品を製造する少なくとも一部の工程において、受け入れた部材を加工し、加工製品として払い出す。
加工装置10は、加工中に故障して停止することがある。この場合、加工中だった加工製品は、不良品として払い出される。また、加工装置10が停止しない場合でも、加工製品が不良品として払い出されることがある。加工装置10の故障及び不良品の払い出しは、加工装置10において顕在化しやすい形で損失を生じさせる。加工装置10において顕在化しやすい形で損失を生じさせる故障は、陽故障とも称される。陽故障は、加工装置10において発見される故障であるともいえる。
一方で、加工装置10で払い出された加工製品が良品と判断されても、加工製品が後工程で更に加工されて得られる最終製品が不良品となることがある。この最終製品の不良品の中には加工装置10が払い出した加工製品の品質に起因することがある。最終製品における不良品の発生は、歩留まりを低下させる。つまり、加工装置10は、最終製品の歩留まりを低下させることがある。具体的には、加工装置10において同じ部品を使い続けた場合、その部品が劣化する。部品の劣化は、部品の性能の低下、又は、加工装置10の性能の低下を引き起こす。また、加工装置10を使い続けた場合、加工装置10の少なくとも一部が劣化する。加工装置10の劣化は、加工装置10の性能の低下を引き起こす。部品又は加工装置10の性能が低下した状態で加工装置10が加工を続けた場合、加工製品の品質が低下する。加工製品の品質の低下は、最終製品の歩留まりの低下を引き起こす。加工製品の品質に起因する歩留まりの低下は、加工装置10において顕在化しにくい形で損失を生じさせる。加工装置10において顕在化しにくい形で損失を生じさせる故障は、陰故障とも称される。陰故障は、加工装置10において発見されず、対象加工後の後工程で発見される故障であるともいえる。また、陽故障は、加工装置10の停止を引き起こす。加工装置10の停止によって、機会損失が生じる。機会損失は、加工装置10の稼働率に基づいて定まる。
本開示の一実施形態に係る保全管理システム1又は保全管理装置50は、陽故障に含まれる機会損失を考慮して、加工装置10の保全を管理できる。加工装置10の保全は、加工装置10の部品の交換、清掃又はグリスアップ等を含んでよい。保全管理システム1又は保全管理装置50は、加工装置10の保全の管理として、加工装置10の保全間隔又は保全頻度を決定してよいし、加工装置10の保全のタイミングを決定してもよい。言い換えれば、加工装置10の保全は、加工装置10の故障を修理するコストだけでなく加工装置10の停止によって生じる機会損失も考慮して管理される。このようにすることで、加工装置10に起因する損失が小さくされ得る。
ここで、加工装置10は、第1部品11(図1参照)を含んで構成されるとする。加工装置10の陽故障又は陰故障は、第1部品11の摩耗又は変形等の劣化に起因して生じることがある。本実施形態に係る保全管理システム1又は保全管理装置50は、加工装置10の保全の管理として、第1部品11の交換間隔を決定できる。第1部品11の交換間隔は、加工装置10において第1部品11を新品に交換した後、次に第1部品11を新品に交換するまでの、加工装置10を稼働させた時間に対応する。保全管理システム1又は保全管理装置50は、部品の交換間隔の決定に限られず、部品の交換頻度を決定したり部品の交換タイミングを決定したりすることによって、加工装置10の保全を管理してよい。
また、加工装置10は、製造工場に多数設置されることがある。加工装置10の1台あたりの損失削減量が少しでも多くなることによって、製造工場全体としての損失削減量は無視できない程度に大きくなる。
以下、一実施形態に係る保全管理システム1及び保全管理装置50の構成例が説明される。
(システムの構成例)
図1に示されるように、一実施形態に係る保全管理システム1は、保全管理装置50と、操業系サーバ60と、非操業系サーバ70とを備える。
保全管理装置50は、制御部51と、通信部52と、出力部53と、入力部54とを備える。制御部51は、保全管理装置50の種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供する。制御部51は、後述するように、加工装置10の保全に関する情報を生成する。加工装置10の保全に関する情報は、保全情報とも称される。保全情報は、加工装置10の保全間隔、保全頻度、又は、保全のタイミングを含んでよい。保全情報は、保全の対象となる加工装置10の部品を特定する情報を含んでもよい。
制御部51は、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。プロセッサは、制御部51の種々の機能を実現するプログラムを実行しうる。プロセッサは、単一の集積回路として実現されてよい。集積回路は、IC(Integrated Circuit)とも称される。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。
制御部51は、記憶部を備えてよい。記憶部は、磁気ディスク等の電磁記憶媒体を含んでよいし、半導体メモリ又は磁気メモリ等のメモリを含んでもよい。記憶部は、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体を含んでよい。記憶部は、各種情報及び制御部51で実行されるプログラム等を格納する。記憶部は、制御部51のワークメモリとして機能してよい。記憶部の少なくとも一部は、制御部51とは別体として構成されてもよい。
通信部52は、操業系サーバ60又は非操業系サーバ70等の他装置と通信可能に接続される。通信部52は、加工装置10と通信可能に接続されてもよい。通信部52は、他装置とネットワークを介して通信可能に接続されてよい。通信部52は、他装置と有線又は無線で通信可能に接続されてよい。通信部52は、ネットワーク又は他装置に接続する通信モジュールを備えてよい。通信モジュールは、LAN(Local Area Network)等の通信インターフェースを備えてよい。通信モジュールは、赤外線通信又はNFC(Near Field communication)通信等の非接触通信の通信インターフェースを備えてもよい。通信モジュールは、4G又はLTE(Long Term Evolution)等の種々の通信方式による通信を実現してもよい。通信部52が実行する通信方式は上述の例に限られず、他の種々の方式を含んでもよい。
出力部53は、制御部51から取得した情報を出力する。出力部53は、加工装置10のオペレータ又は保全担当者に情報を通知するように出力してよい。出力部53は、表示デバイスを備えてよい。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ又は無機ELディスプレイ等を含んでよいが、これらに限られず、他のデバイスを含んでもよい。出力部53は、制御部51から取得した情報を、表示デバイスに文字又は画像等として表示し、情報を周囲に報知してよい。
出力部53は、LED(Light Emission Diode)又はハロゲンランプ等の光源を備えてよい。出力部53は、制御部51から取得した情報に基づいて光源を点灯又は点滅させることによって、周囲にいるオペレータ又は保全担当者等に情報を通知してよい。出力部53は、圧電ブザー若しくは電磁ブザー等のブザー、又は、所定の音声を発するスピーカ等を備えてよい。出力部53は、制御部51から取得した情報に基づいてブザーを鳴動させたりスピーカから音声を発生させたりすることによって、周囲にいるオペレータ又は保全担当者等に情報を通知してよい。
出力部53は、情報を加工装置10に出力してもよい。出力部53は、加工装置10と通信可能に接続されるように通信モジュールを備えてもよい。
入力部54は、保全管理装置50を管理するオペレータ又は保全担当者等による操作又は入力を受け付けるための入力デバイスを備える。入力デバイスは、例えば、キーボード又は物理キーを含んでもよいし、タッチパネル若しくはタッチセンサ又はマウス等のポインティングデバイスを含んでもよい。入力デバイスは、タッチパネル又はタッチセンサである場合、出力部53のディスプレイと一体に構成されてもよい。入力デバイスは、例えば、音声の入力を受け付けるマイク等を含んでもよい。入力部54は、入力デバイスとして、これらの例に限られず、他の種々のデバイスを含んでもよい。
操業系サーバ60は、工場全体の操業データを格納する。操業データは、加工装置10の稼働状況若しくは生産枚数等のデータ、加工装置10から払い出された加工製品若しくは最終製品の品質データ、又は、歩留まりデータ等を含んでよい。操業系サーバ60に保存されるデータには、例えば測定装置で測定されたデータが含まれてよい。操業系サーバ60は、加工装置10から操業データを取得する。操業系サーバ60は、操業データを保全管理装置50に出力する。操業系サーバ60は、保全管理装置50からの要求によって、格納しているデータを出力してもよい。操業系サーバ60は、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。プロセッサは、制御部51に含まれるプロセッサと同一又は類似に構成されてよい。
非操業系サーバ70は、労務費又は部品代等の加工装置10に関するデータを格納する。非操業系サーバ70は、データベースを構成してもよい。非操業系サーバ70は、格納しているデータを保全管理装置50に出力する。非操業系サーバ70は、保全管理装置50からの要求によって、格納しているデータを出力してもよい。非操業系サーバ70は、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。プロセッサは、制御部51に含まれるプロセッサと同一又は類似に構成されてよい。非操業系サーバ70は、データを格納する記憶部を含んでもよい。記憶部は、制御部51に含まれる記憶部と同一又は類似に構成されてよい。非操業系サーバ70は、加工装置10の装置部品若しくはその部品代、又は労務費を含む様々な情報を格納するデータベースを有する。非操業系サーバ70のデータベースは、保全データベース(保全DB)とも称される。
(加工装置10の具体例:ワイヤーソー装置)
本実施形態において、加工装置10は、ワイヤーソー装置であると仮定する。ワイヤーソー装置としての加工装置10は、図2に示されるように、ワイヤー12を複数のローラ14間に並列かつ往復走行可能に張り渡したワイヤー群16を備える。加工装置10は、ワークWを保持し、ワイヤー群16に対しワークWを押し込む方向に移動させるワーク保持機構18を備える。加工装置10は、ワイヤー群16の、ワークWが押し込まれる領域にスラリーを供給する一対のノズル20を備える。加工装置10は、ワークWをワイヤー群16によって切断する。ワークWは、シリコン等のブロック(ブロック状に切断された単結晶インゴット)であるとする。加工装置10は、ワークWを切断して得られるシリコン等のスライスドウェーハを加工製品として払い出す。以下、加工装置10がワイヤーソー装置である場合、加工製品はスライスドウェーハであるとする。
ワイヤー12は、一組のワイヤーリール38A及び38Bに巻き付けられている。ワイヤー12は、一方のワイヤーリール38Aから、ガイドローラ32及びローラ14等を経て他方のワイヤーリール38Bまで張られている。
ワイヤーリール38A及び38Bはそれぞれ、駆動モータ36によって回転する。駆動モータ36が駆動してワイヤーリール38A及び38Bを回転させることで、ワイヤー12は、一方のワイヤーリール38Aから繰り出され、ガイドローラ32及びローラ14等を経て他方のワイヤーリール38Bまで走行できる。ワイヤー12は、ダンサアーム33及びダンサローラ34等を含む張力付与手段を経て走行する。ワイヤー12が張力付与手段を経て走行することによって、ワイヤー12に張力が付与される。ワイヤー12は、タッチローラ35を経て走行する。タッチローラ35は、ワイヤーリール38A及び38Bから繰り出されたり、ワイヤーリール38A及び38Bに巻き取られたりする際に移動するワイヤー12の位置に追従する。
ワイヤー12は、複数のローラ14を跨って複数回にわたって螺旋状に巻回されている。螺旋状に巻回されたワイヤー12は、ローラ14間でローラ軸方向Xに直交する方向に並列に並ぶワイヤー群16を構成している。ローラ14は、鋼製円筒の周囲にポリウレタン樹脂が圧入され、その表面に一定のピッチで溝が切られた構成となっているとする。ワイヤー12がローラ14の表面に切られた溝にはめ込まれることによって、ワイヤー群16は、安定して走行できる。
ワイヤー12の走行方向は、駆動モータ36の回転方向によって制御される。ワイヤー12は、一方向に走行するように制御されることも、必要に応じて往復走行するように制御されることもできる。ワイヤー12に付与される張力の大きさは、適宜設定されてよい。ワイヤー12の走行速度は、適宜設定されてよい。
ノズル20からワイヤー群16に供給されるスラリーは、スラリータンク40に貯蔵されており、スラリータンク40からスラリーを調温するスラリーチラー42を介してノズル20へと送り込まれる。
図3に示されるように、ガイドローラ32は、第1部品11を有する。第1部品11は、単に部品とも称される。本実施形態において、第1部品11は、ガイドローラ軸受けであるとする。後述するように、第1部品11は、ガイドローラ軸受けに限られず、他の部品であってよい。ガイドローラ32は、ガイドローラ軸受けの軸周りにはめ込まれる。ガイドローラ軸受けは、加工装置10に回転可能に取り付けられる。ガイドローラ軸受けにはめ込まれているガイドローラ32は、加工装置10に対して回転可能に取り付けられ、ワイヤー12の位置を規制しつつワイヤー12をスムーズに進行させることができる。
ワイヤーソー装置から払い出されたスライスドウェーハは、研磨等の工程で更に加工され、最終製品のウェーハとして出荷される。
(保全管理方法の例)
以下、保全管理装置50が加工装置10の保全を管理する方法が説明される。以下に説明される方法によって、第1部品11(ガイドローラ軸受け)の交換間隔が決定されるとする。
保全管理装置50は、交換にかかる管理コストと、加工装置10の故障によって生じる故障コストとに基づいて、第1部品11の交換間隔を決定する。第1部品11の交換間隔を長くするほど、管理コストは低減するものの、故障コストは増大する。逆に、第1部品11の交換間隔を短くするほど、故障コストは低減するものの、管理コストは増大する。加工装置10のランニングコストは、管理コストと故障コストとの和が小さいほど、低減され得る。したがって、保全管理装置50は、管理コストと故障コストとの和が小さくなるように、第1部品11の交換間隔を決定する。保全管理装置50は、管理コストと故障コストとの和が最小になるように、第1部品11の交換間隔を決定してもよい。
保全管理装置50は、以下に説明される方法によって、管理コストと故障コストとの和が小さくなるように、第1部品11の交換間隔を決定できる。
<管理コスト>
管理コストは、第1部品11(ガイドローラ軸受け)の交換にかかる費用である。交換にかかる費用は、交換費用とも称される。交換費用は、ガイドローラ軸受けの部品代を含む。交換費用は、交換作業の労務費を更に含む。交換費用は、交換作業中に加工装置10を停止することによって生じる機会損失を更に含む。機会損失は、仮に交換作業中に加工装置10が稼働したとすれば払い出すことができたはずのスライスドウェーハの価値に対応する。
<故障コスト>
故障コストは、陽故障による損失と、陰故障による損失とを含む。
<<陽故障による損失>>
陽故障は、所定の発生確率で発生する故障である。陽故障は、第1部品11に起因して発生し得る。第1部品11に起因する陽故障の発生確率は、第1部品11の状態に基づいて定まり得る。第1部品11の保全後の加工装置10の稼働時間が長くなるほど、第1部品11に起因する陽故障の発生確率が高くなるとする。第1部品11の保全後の加工装置10の稼働時間は、保全後稼働時間とも称される。第1部品11に起因する陽故障の発生確率は、保全後稼働時間に比例すると仮定する。
陽故障が発生していない間において損失となる金額はゼロである。しかし、陽故障が発生したタイミングで所定の金額の損失が発生する。陽故障が1回発生することによって損失となる金額は、陽故障が発生したタイミングにかかわらず一定である。陽故障が確率的に発生することから、陽故障による損失の金額の期待値が算出される。陽故障による損失の金額の期待値は、陽故障が1回発生することによって損失となる金額と、陽故障の発生確率との積で表される。陽故障の発生確率が保全後稼働時間に比例する場合、陽故障による損失の金額の期待値は、保全後稼働時間が長くなるほど増大する。
ここで、陽故障による損失は、陽故障による損失の金額の期待値によって表されるとする。陽故障による損失を低減するために、保全後稼働時間を短くすることが有効である。
<<陰故障による損失>>
陰故障は、陽故障と異なり、顕在的に発生する故障ではない。ワイヤーソー装置における陰故障は、ワイヤーソー装置から払い出されるスライスドウェーハの異常として顕在化する故障ではなく、最終製品となるウェーハの歩留まりの低下に対応する。陰故障による損失の金額は、最終製品となるウェーハの歩留まりの低下によって減少した最終製品の出荷額に対応する。
第1部品11の劣化は、最終製品となるウェーハの歩留まりを低下させ得るとともに、陰故障による損失の金額を増大させ得る。保全後稼働時間が長くなるほど、第1部品11の劣化が進むとともに、陰故障による損失の金額が増大し得る。
陰故障による損失を低減するために、保全後稼働時間を短くすることが有効である。
<<小括>>
陽故障による損失及び陰故障による損失は、両方とも、保全後稼働時間を短くすることによって低減され得る。つまり、故障コストは、保全後稼働時間を短くすることによって低減され得る。
<損失関数>
以上述べてきたように、加工装置10において保全後稼働時間が長くされる場合、管理コストが低減されるものの故障コストが増大し得る。一方で、保全後稼働時間が短くされる場合、故障コストが低減されるものの管理コストが増大する。つまり、加工装置10の管理コストと故障コストとは、保全後稼働時間についてトレードオフの関係を有する。
保全管理装置50の制御部51は、管理コストと故障コストとの和を小さくするように保全後稼働時間を算出できる。管理コストと故障コストとの和は、損失関数として表される。損失関数は、例えば、以下の式(1)で表される。
Figure 2022162973000002
式(1)において、L(u)は、uで表される保全後稼働時間を引数とする損失関数の値である。式(1)の右辺第1項は、管理コストを表す。Cは、第1部品11を保全するためにかかる費用を表す定数であり、保全コストとも称される。保全コストは、第1部品11を交換するためにかかる交換費用を含む。第1部品11の管理コストは、保全後稼働時間の逆数に比例し、第1部品11の保全後稼働時間を長くするほど低減される。式(1)の右辺第2項は、故障コストを表す。Aは、陽故障による損失を表す定数であり、陽故障損失とも称される。A’は、陰故障による損失を表す定数であり、陰故障損失とも称される。uの上に-が付された記号は、陽故障に関する平均故障間隔を表す。uの上に-が付された記号は、以下の文章中で説明に用いられる場合、「u-」と表記されるとする。
Cは、第1部品11(ガイドローラ軸受け)の部品代と、第1部品11の定期交換作業の労務費と、機会損失の金額との和である。労務費は、労務費単価と定期交換の作業時間との積である。機会損失の金額は、単位時間当たりに払い出し可能なスライスドウェーハの価値を表す金額と作業時間との積である。
Aは、ワークWとして加工されるブロック1個の価値を表す金額と、第1部品11(ガイドローラ軸受け)の部品代と、加工装置10の修理作業及び第1部品11の交換作業の労務費と、機会損失の金額との和である。労務費は、労務費単価と修理及び交換の作業時間との積である。機会損失の金額は、単位時間当たりに払い出し可能なスライスドウェーハの価値を表す金額と修理及び交換の作業時間との積である。修理及び交換の作業時間は、定期交換の作業時間よりも長い。したがって、修理作業における労務費は、定期交換作業における労務費より高額になる。また、修理作業による機会損失の金額は、定期交換作業における機会損失の金額より高額になる。
A’は、歩留まりが仮に100%である場合の最終製品のウェーハの生産額と、最終製品のウェーハの歩留まりの低下率と、加工装置10が故障するまでの時間の二乗と、1/2との積である。ウェーハの歩留まりは、保全後稼働時間に比例する低下率で低下すると仮定した。最終製品のウェーハの歩留まりの低下率と、加工装置10が故障するまでの時間の二乗と、1/2との積は、加工装置10が故障するまでの累積の歩留まりの低下量を表す。
損失関数を表す式は、上述の式(1)に限られず、陽故障及び陰故障それぞれに対応する項を含む他の形式で表されてもよい。損失関数を表す式は、上述のC、A及びA’の少なくとも1つを含む式として表されてもよい。損失関数を表す式は、上述のC、A及びA’に限られず、他の定数を含む式として表されてもよい。
制御部51は、損失関数を表す式に含まれる、C、A及びA’等の定数の値を算出し、損失関数を生成する。制御部51は、各定数の値を算出するために必要なパラメータを取得する。各定数の値を算出するために必要なパラメータは、要素パラメータとも称される。制御部51は、加工装置10を構成する第1部品11等の部品に関する情報を要素パラメータとして取得してよい。部品に関する情報は、部品情報とも称される。制御部51は、加工装置10の修理作業又は部品交換作業等の保全作業を行うスタッフの労務管理に関する情報を要素パラメータとして取得してよい。スタッフの労務管理に関する情報は、労務管理情報とも称される。制御部51は、加工装置10の稼働状況若しくは生産枚数、又は最終製品のウェーハの歩留まりに関する情報を要素パラメータとして取得してよい。稼働状況若しくは生産枚数、又はウェーハの歩留まりに関する情報は、操業情報とも称される。制御部51は、部品情報、労務管理情報又は操業情報に基づいて、損失関数を表す式に含まれる各定数を算出し、損失関数を生成してよい。
部品情報、労務管理情報又は操業情報は、非操業系サーバ70の保全DBに格納されてよい。制御部51は、部品情報、労務管理情報又は操業情報を非操業系サーバ70の保全DBから要素パラメータとして取得してよい。保全管理装置50は、非操業系サーバ70と有線又は無線で通信可能に接続される通信デバイスを更に備えてよい。非操業系サーバ70は、外部装置から部品情報、労務管理情報又は操業情報を取得してデータベースに格納してもよい。非操業系サーバ70は、管理者、又は、加工装置10のオペレータ若しくは保全担当者等によって入力される部品情報、労務管理情報又は操業情報をデータベースに格納してもよい。
制御部51は、操業情報を操業系サーバ60から要素パラメータとして取得してよい。保全管理装置50は、操業系サーバ60と有線又は無線で通信可能に接続される通信デバイスを更に備えてよい。
制御部51は、各パラメータの値を算出するために必要な要素パラメータを、ユーザからの入力に基づいて取得してもよい。保全管理装置50は、入力部54によってユーザからの入力を受け付けてよい。
制御部51は、取得した要素パラメータに基づいて、損失関数を表す式に含まれる各定数の値を算出し、損失関数を生成する。本実施形態において、制御部51は、上述の式(1)の各定数の値を算出することによって、損失関数を生成する。
保全管理装置50は、損失関数の値(L(u))が小さくなるように、第1部品11の交換間隔を決定する。図4に、保全後稼働時間(u)と、損失関数の値(L(u))との関係を表すグラフが例示される。図4において、横軸は、保全後稼働時間(u)を表す。縦軸は、損失関数の値(L(u))を表す。損失関数の値(L(u))は、例えば実線のグラフのように表される。一点鎖線のグラフ及び破線のグラフはそれぞれ、式(1)の右辺第1項及び第2項の値を表す。右辺第1項は、管理コストに対応し、L(u)と表される。右辺第2項は、故障コストに対応し、L(u)と表される。L(u)=L(u)+L(u)が成立する。損失関数の値は、損失の大きさを金額ベースで換算して表される値に対応し得る。
図4に例示されるL(u)のグラフによれば、u=uとなる点において損失関数の値が極小値になることが示されている。極小値は、Lで表される。L=L(u)が成立する。損失関数が式(1)で表される場合、損失関数の値(L(u))が極小値(L)となるときの保全後稼働時間(u)は、以下の式(2)で表される。
Figure 2022162973000003
制御部51は、第1部品11の交換間隔をuに決定してよい。制御部51は、損失関数の値が極小値に対して所定値以内の増加にとどまる範囲で、第1部品11の交換間隔をuより長い間隔にしたり短い間隔にしたりしてもよい。このようにすることで、損失関数の誤差が緩和され得る。
また、以下の理由から、制御部51は、第1部品11の交換間隔をuより長い間隔にしてよい。損失関数のグラフの変化率は、損失関数の値が極小となる、u=uとなる点でゼロとなる。損失関数のグラフの変化率は、u<uとなる点で負の値となり、u>uとなる点で正の値となる。損失関数のグラフの変化率は、損失関数(L(u))をuについて一次微分した関数で表される。L(u)を一次微分した関数は、uの2乗の逆数を含む。したがって、損失関数のグラフの変化率の絶対値は、u=u-Δuの点よりも、u=u+Δuの点で小さくなる。ここでΔuは、正の定数である。このことからすると、制御部51が第1部品11の交換間隔をu1より長くする場合の損失関数の値の極小値からの増加分は、制御部51が第1部品11の交換間隔をu1より短くする場合の損失関数の値の極小値の増加分よりも小さくなる。つまり、制御部51が第1部品11の交換間隔をuより長い間隔にすることによって、損失が増大しにくくなる。
損失関数が極小値となる場合のuの値は、損失関数をuについて一次微分した式がゼロになる場合のuの値に一致する。制御部51は、損失関数をuについて一次微分した式をあらかじめ生成してもよい。このようにすることで、損失関数の極小値が簡便に算出され得る。
制御部51は、決定した交換間隔と、第1部品11を前回交換したタイミングとに基づいて、第1部品11を次に交換するタイミングを決定してもよい。
制御部51は、決定した第1部品11の交換間隔、又は、第1部品11を次に交換するタイミングに関する情報を出力部53に出力させる。第1部品11の交換間隔、又は、第1部品11を次に交換するタイミングに関する情報は、第1部品11の交換情報とも称される。第1部品11の交換情報は、加工装置10の保全情報に含まれるとする。出力部53は、保全情報を視覚情報又は聴覚情報等として出力し、加工装置10の保全担当者に通知してよい。加工装置10の保全担当者は、第1部品11の保全情報に基づいて、加工装置10において第1部品11の交換作業を計画し実行してよい。
出力部53は、情報を加工装置10に出力してもよい。出力部53が情報を加工装置10に出力する場合、加工装置10は、取得した情報に基づいて、第1部品11の交換のタイミングを通知するアラームを出力してもよいし、加工装置10自身で第1部品11の交換のタイミングに合わせて停止してもよい。
陽故障損失は、加工装置10が故障によって停止することで生じる機会損失を含む。機会損失は、A1で表されるとする。陽故障損失は、加工装置10が故障によって不良製品を払い出すことによって生じる不良損失を含む。不良損失は、A2で表されるとする。陽故障損失は、故障した部品の交換費用を含む。交換費用は、A3で表されるとする。
機会損失は、加工装置10が停止する時間に基づいて定まる。また、機会損失は、加工装置10が停止しない場合における稼働状況に基づいて定まる。例えば、加工装置10が停止する前の所定期間における加工装置10の稼働率が高いほど、加工装置10の機会損失は増大する。
本実施形態において、加工装置10は、所定時間だけ停止すると仮定する。加工装置10が所定時間だけ停止する場合の機会損失がA1で表されるとする。また、上述したように、機会損失は、加工装置10の稼働状況に基づいても定まる。本実施形態において、加工装置10の稼働状況に基づく係数が定められるとする。加工装置10の稼働状況に基づく係数は、aで表されるとする。仮に、加工装置10の稼働率を100%と想定した場合の機会損失がA1で表される場合、aは、加工装置10の稼働率に対応する。仮に、加工装置10の稼働率を80%と想定した場合の機会損失がA1で表される場合、aは、加工装置10の稼働率に1.25(80%の逆数)を乗じた値に対応する。以上述べてきたようにaを定めることによって、加工装置10の機会損失は、aA1で表される。
以上のことから、本実施形態において、陽故障損失(A)は、以下の式(3)で表される。言い換えれば、損失関数の第2項における故障コストは、機会損失(A1)に加工装置10の稼働状況に基づく係数(a)を乗じた値を含む形式で表される。
Figure 2022162973000004
また、加工装置10の稼働状況に基づく係数(a)を反映した損失関数Laは、以下の式(4)で表される。
Figure 2022162973000005
以下の説明において、加工装置10の稼働率を100%と想定した場合の機会損失がA1で表されるとする。したがって、aは、加工装置10の稼働率に対応する。この場合、aは、0以上かつ1以下の値に設定される。
La(u,a)で表される損失関数の右辺第1項は、aを含まないので、La(u)と表されるとする。右辺第2項は、aを含むので、La(u,a)と表されるとする。以上の表記に基づいて、La(u,a)=La(u)+La(u,a)が成立する。
保全管理装置50は、損失関数の値(La(u,a))が小さくなるように、第1部品11の交換間隔を決定する。La(u,a)の値が極小値となるときのuの値は、以下の式(5)で表される。
Figure 2022162973000006
aが加工装置10の稼働率に対応することに鑑みれば、現時点の加工装置10の稼働率が、損失関数が生成された時点における稼働率の想定より低い場合、La(u,a)の値が極小値となるときのuの値は、大きくなる。逆に、現時点の加工装置10の稼働率が、損失関数が生成された時点における稼働率の想定より高い場合、La(u,a)の値が極小値となるときのuの値は、小さくなる。現時点の加工装置10の稼働率に応じて損失関数を変更することによって、現時点の加工装置10の稼働率に応じた、La(u,a)の値が極小値になるタイミングで加工装置10の保全を実行できる。
以下、加工装置10の稼働率が100%と想定されたものの実際の稼働率が低くなる場合における、La(u,a)の値の変化が説明される。図5に、加工装置10の稼働率が100%(a=1)と想定された場合の損失関数(La(u,1))のグラフ、及び、実際に加工装置10の稼働率が20%になった(a=0.2)場合の損失関数(La(u,0.2))のグラフが実線で示される。横軸は、保全後稼働時間(u)を表す。縦軸は、損失関数の値(La(u,a))を表す。一点鎖線のグラフは、式(4)の右辺第1項の値(La(u))を表す。破線のグラフは、式(4)の右辺第2項の値(La(u,a))を表す。
La(u,0.2)が極小値となるときのuの値は、u0.2で表される。この場合の極小値は、La0.2で表される。La(u,1)が極小値となるときのuの値は、uで表される。この場合の極小値は、Laで表される。uの値の大小関係は、u0.2>uとなっている。また、極小値の大小関係は、La0.2<Lとなっている。
加工装置10の稼働率が20%になった場合、保全管理装置50は、aに0.2を代入して、損失関数を現在の状態に合っているLa(u,0.2)に更新できる。保全管理装置50は、更新した損失関数(La(u,0.2))が極小値となるuの値に基づいて、第1部品11の交換間隔を当初想定されていた間隔(u)よりも長い間隔(u0.2)に更新できる。
損失関数及び交換間隔の更新によって、損失関数の値は、La0.2になった。仮に交換間隔が当初想定のuのままとされていた場合、現在の状態に合っている損失関数(La(u,0.2))の値は、Lとなる。Lは、La0.2よりLだけ大きい。交換間隔が更新されていれば、損失はLa0.2まで低減できていたはずである。交換間隔が稼働率を100%と想定して算出される間隔のままにされることによって、損失を削減する機会が失われることになる。言い換えれば、実際の稼働率に基づいて交換間隔を更新することによって、損失が削減され得る。
逆に、加工装置10の稼働率が想定よりも高くなる場合においても、実際の稼働率に基づいて交換間隔が更新されることによって損失が低減され得る。
以上述べてきたように、保全管理装置50は、管理コストと、機会損失を含む陽故障損失と、陰故障損失と、加工装置10の稼働率とに基づいて加工装置10の第1部品11の交換間隔を決定し、加工装置10の保全を管理できる。このようにすることで、加工装置10で生じる損失が小さくされ得る。
実施形態の一例として、加工装置10の稼働率を反映した機会損失に基づいて第1部品11の交換間隔が決定される構成例が説明された。保全管理装置50は、損失関数を生成せずに第1部品11の交換間隔を決定することもできる。保全管理装置50は、例えば、操業系サーバ60から加工装置10の稼働率に関するデータを取得し、加工装置10の稼働率を第1部品11の交換間隔にフィードバックしてもよい。
(機会損失を考慮して交換間隔を決定することによるコスト削減の確認)
以下、加工装置10のコスト削減の具体例が説明される。本例において、加工装置10の稼働率が100%である場合の平均故障頻度(u-)は、1年であるとする。部品の交換費用(C)は、200万円であるとする。加工装置10の稼働率が100%である場合の機会損失(A1)は、500万円であるとする。加工装置10の故障によって生じる不良損失(A2)は、100万円であるとする。加工装置10の部品の交換費用(A3)は、200万円であるとする。
上述の前提条件において、加工装置10の稼働率が100%であると想定した場合の部品の最適な定期交換間隔は0.71年(図5のuに対応)と算出される。ここで、加工装置10の実際の稼働率が20%である場合、部品の最適な定期交換間隔は1.00年(図5のu0.2に対応)と算出される。そうしてみると、稼働率が100%であるという想定のままで部品を0.71年で交換することによって、コストが増加する。部品を1.00年で交換する場合に比べて増加したコスト(図5のLに対応)は、24万円であった。言い換えれば、機会損失を考慮して第1部品11の交換間隔を決定することによって、24万円のコスト削減が実現できる。
(保全管理方法の手順例)
保全管理装置50の制御部51は、例えば図6に例示されるフローチャートの手順を含む保全管理方法を実行してよい。制御部51は、例示される保全管理方法を実行することによって、陰故障損失に基づいて加工装置10の第1部品11の交換間隔を決定し、加工装置10の保全を管理できる。保全管理方法は、制御部51に実行させる保全管理プログラムとして実現されてもよい。図6に示される手順は一例であり、適宜変更されてよい。
制御部51は、要素パラメータを取得する(ステップS1)。
制御部51は、損失関数の定数を設定する(ステップS2)。具体的には、制御部51は、ステップS1の手順で取得した要素パラメータの値に基づいて損失関数の定数を算出し、設定する。制御部51は、加工装置10の稼働率を想定し、損失関数の定数としてaの値を設定する。制御部51は、損失関数の定数として、A1、A2及びA3、並びに、C及びA’それぞれの値を設定してよい。
制御部51は、第1部品11の交換間隔を決定する(ステップS3)。具体的には、制御部51は、ステップS2の手順で定数が設定された損失関数の値が極小値になるときの第1部品11の保全後稼働時間を算出し、算出した値を第1部品11の交換間隔として決定してよい。
制御部51は、保全情報を出力する(ステップS4)。具体的には、制御部51は、ステップS3の手順で決定した第1部品11の交換間隔を保全情報として出力してよい。制御部51は、第1部品11を前回交換したタイミングを更に取得し、ステップS3の手順で決定した第1部品11の交換間隔と第1部品11を前回交換したタイミングとに基づいて、第1部品11を次に交換するタイミングを決定してもよい。制御部51は、第1部品11を次に交換するタイミングを保全情報として出力してもよい。制御部51は、保全情報を保全管理装置50の出力部53に出力してよい。出力部53は、取得した保全情報を、表示デバイスに表示したり音声出力デバイスで報知したりすることによって、加工装置10の保全担当者に通知してよい。制御部51は、保全情報を加工装置10に出力してもよい。加工装置10は、取得した保全情報に基づいて、第1部品11の交換のタイミングを通知するアラームを出力してもよいし、加工装置10自身で第1部品11の交換のタイミングに合わせて停止してもよい。
制御部51は、加工装置10の稼働率が変化したか判定する(ステップS5)。制御部51は、加工装置10の稼働率が変化した場合(ステップS5:YES)、ステップS2の手順に戻り、損失関数の定数としてaの値を更新する。制御部51は、加工装置10の稼働率が変化していない場合(ステップS5:NO)、図6のフローチャートの手順の実行を終了する。制御部51は、ステップS5の判定手順を繰り返してもよい。
制御部51は、ステップS5の判定手順において、稼働率の変化量に閾値を設定し、稼働率が閾値より大きく変化した場合に、ステップS2の手順に戻って損失関数の定数としてaの値を更新してもよい。閾値は、稼働率の変化がコストに及ぼす影響の大きさに基づいて定められてよい。コストに及ぼす影響が少ない段階で稼働率の変化を部品の交換間隔にフィードバックすることは、管理負担を増大させる。稼働率の変化量に閾値を設定することによって、部品の交換間隔の管理負担が低減され得る。
以上述べてきたように、本実施形態に係る保全管理方法及び保全管理プログラムによれば、加工装置10の稼働率を反映した機会損失に基づいて、加工装置10の第1部品11の交換間隔が決定され得る。このようにすることで、加工装置10の保全コストが削減され得る。その結果、製造工場における損失が小さくされ得る。
加工装置10は、製造工場に多数設置されることがある。加工装置10の1台あたりの損失削減量が少しでも多くされることによって、製造工場全体としての損失削減量は、十分に大きくなり得る。
また、保全管理装置50は、品質データが変化したり加工装置10の状態が変化したりした場合に、損失関数を生成しなおすのではなく、加工装置10の稼働率(a)の値を変更するだけで損失関数を更新できる。これによって、損失関数の生成のために必要となる演算の負荷が削減され得る。つまり、保全管理装置50の制御部51の負荷が軽減され得る。その結果、保全管理装置50は、加工装置10の稼働率を簡便に損失関数にフィードバックすることができる。
また、保全管理装置50は、加工装置10の部品の定期交換を実施した後のタイミングにおいて、管理コストと故障コストとを再計算し、最適定期交換間隔を延長したり短縮したりしてよい。
また、保全管理装置50は、最適定期交換間隔よりも短い間隔で、最適定期交換間隔を再計算してよい。保全管理装置50は、最適定期交換間隔の再計算結果に基づいて定まるコストが、再計算前のコストに対して所定の閾値以上減少する場合に最適定期交換間隔を更新してもよい。このようにすることで、最適定期交換間隔の管理の煩雑さが低減され得る。
(他の実施形態)
<ワイヤーソー装置以外の装置、又は、ガイドローラ軸受け以外の部品への適用>
以上説明してきた実施形態において、第1部品11は、ガイドローラ軸受けに対応する。第1部品11は、ガイドローラ軸受けに限られず、ガイドローラ32、ダンサローラ34、又は、タッチローラ35等の他の部品に対応してもよい。保全管理装置50は、第1部品11の交換間隔として、ガイドローラ軸受けの交換間隔を決定するだけに限られず、ガイドローラ32、ダンサローラ34、又は、タッチローラ35等の他の部品の交換間隔を決定し、加工装置10の保全を管理してもよい。
保全管理装置50は、1つの部品だけではなく2つ以上の部品の組み合わせた部品群について交換間隔を決定し、加工装置10の保全を管理してもよい。例えば、加工装置10を構成する第1部品11以外の部品は、第2部品とも称される。保全管理装置50は、第1部品11と第2部品とを組み合わせた部品群について交換間隔を決定してもよい。第1部品11がガイドローラ軸受けである場合、第2部品はガイドローラ32であってもよい。部品群に含まれる2つ以上の部品の組み合わせは、上述の例に限られない。
以上説明してきた実施形態において、加工装置10は、ワイヤーソー装置に対応する。加工装置10は、ワイヤーソー装置に限られず、研磨装置等の他の装置に対応してもよい。保全管理装置50は、加工装置10として、ワイヤーソー装置の保全を管理するだけでなく、研磨装置等の他の装置の保全を管理してもよい。加工装置10が他の装置である場合、加工製品はスライスドウェーハ以外の物品に対応する。
(損失関数以外の関数における陰故障損失の考慮)
以上説明してきた実施形態に係る保全管理装置50は、加工装置10の保全と、機会損失との関係を損失関数によって定式化し、損失関数の値を小さくすることによって加工装置10の保全を管理する。保全管理装置50は、損失関数に限られず、他の関数によって加工装置10の保全と損失との関係を定式化してもよい。保全管理装置50は、例えば特開2004-152017号公報に記載されている、加工装置10の故障率、故障発生時の被害額及び故障徴候見落確率に基づく関数において機会損失を考慮した関数を生成して加工装置10の保全を管理してもよい。
<加工装置10の個別の状況に基づく保全管理>
上述してきたように、加工装置10又は加工装置10で用いられている部品の適切な保全間隔を算出するために、管理コストと故障コスト(陽故障コスト及び陰故障コスト)とを含む損失関数モデルが用いられる。故障コストは、加工装置10が故障した時の損失と故障が発生する確率とに基づいて定式化される。故障コストは、加工装置10の優劣、又は、加工装置10が稼働している環境の差異に応じて変動し得る。加工装置10の優劣、又は、加工装置10が稼働している環境の差異を考慮しない損失関数モデルが用いられる場合、加工装置10がまだ故障しない可能性が高いタイミングで保全されることが起こり得る。また、加工装置10を保全するまでに加工装置10が故障してしまうことが起こり得る。以下、加工装置10の優劣、又は、加工装置10が稼働している環境の差異に応じた故障コストの変動を考慮した損失関数モデルを用いることによって、加工装置10の保全間隔の適正化と保全コストの低減とを実現する構成が説明される。
保全管理装置50は、工程に設置されている複数の加工装置10のそれぞれの平均故障間隔(u-)を、各加工装置10の保全実績のデータを統計的に処理した結果に基づいて、一律に設定する。しかし、各加工装置10は、異なる状況で稼働している。例えば、加工装置10は、異なる環境で稼働している。加工装置10が稼働している環境は、加工装置10が設置されている場所の温度若しくは湿度等の空気の環境、又は、加工装置10が接続されている冷却水の供給系統若しくは加工に用いる材料の供給系統等の付帯設備の環境等を含んでよい。また、各加工装置10は、個体差を有し得る。加工装置10の個体差は、例えば加工装置10の製造時の出来栄え、加工装置10の仕様、加工装置10の通算稼働時間、又は、加工装置10の保全履歴等の種々の事項によって生じ得る。異なる状況で稼働している加工装置10の故障しやすさは、それぞれ異なる。つまり、加工装置10毎に、平均故障間隔が異なり得る。
そこで、保全管理装置50は、各加工装置10の平均故障間隔が各加工装置10の環境の相違又は個体差等の特性因子に応じて異なるとみなして、各加工装置10の平均故障間隔を考慮した損失関数を加工装置10毎に設定してよい。
ここで、加工装置10は、第1加工装置と第2加工装置とを含むとする。保全管理装置50は、第1加工装置及び第2加工装置それぞれの平均故障間隔の初期値を算出する。保全管理装置50は、第1加工装置及び第2加工装置それぞれを稼働させたときの稼働データを取得する。保全管理装置50は、第1加工装置及び第2加工装置それぞれについて、保全してから故障するまでの稼働時間を推定する。保全管理装置50は、推定した稼働時間と平均故障間隔の初期値との比較に基づいて、第1加工装置及び第2加工装置それぞれの平均故障間隔を更新する。具体的に、保全管理装置50は、推定した稼働時間が平均故障間隔の初期値よりも長い場合に平均故障間隔を初期値よりも長くし、推定した稼働時間が平均故障間隔の初期値よりも短い場合に平均故障間隔を初期値よりも短くする。このようにすることで、第1加工装置及び第2加工装置それぞれの平均故障間隔が異なる値に更新され得る。
保全管理装置50は、第1加工装置及び第2加工装置それぞれについて損失関数モデルの数式を設定する。保全管理装置50は、損失関数モデルの式(1)の右辺第2項に含まれる平均故障間隔(u-)の値を更新する代わりに、以下の式(6)に示されるように、右辺第2項の係数を補正するための補正係数bを導入した損失関数モデルLbを生成する。
Figure 2022162973000007
式(6)において、平均故障間隔(u-)は、その初期値から変更されないとする。実際の平均故障間隔が初期値と異なる状態は、補正係数bによって表される。例えば平均故障間隔が初期値からp倍の値になった状態は、補正係数bを1/(p^2)にすることによって損失関数モデルに反映される。
保全管理装置50は、平均故障間隔(u-)を長くする場合に、平均故障間隔(u-)の値を変更する代わりに、補正係数bの値を1よりも小さい値に設定する。逆に、保全管理装置50は、平均故障間隔(u-)を短くする場合に、平均故障間隔(u-)の値を変更する代わりに、補正係数bの値を1よりも大きい値に設定する。このようにすることで、損失関数モデルLbにおいて、加工装置10の優劣、又は、加工装置10が稼働している環境が反映される。
Lb(u,b)で表される損失関数の右辺第1項は、bを含まないので、Lb(u)と表されるとする。右辺第2項は、bを含むので、Lb(u,b)と表されるとする。以上の表記に基づいて、Lb(u,b)=Lb(u)+Lb(u,b)が成立する。
以下、加工装置10の平均故障間隔が初期値より長い場合における、Lb(u,b)の値の変化が説明される。図7に、加工装置10の平均故障間隔が初期値のままであると想定された場合の損失関数(Lb(u,1))のグラフ、及び、加工装置10の平均故障間隔が初期値より長くなって補正係数bが0.8になった場合の損失関数(Lb(u,0.8))のグラフが実線で示される。横軸は、保全後稼働時間(u)を表す。縦軸は、損失関数の値(Lb(u,b))を表す。一点鎖線のグラフは、式(6)の右辺第1項の値(Lb(u))を表す。破線のグラフは、式(6)の右辺第2項の値(Lb(u,b))を表す。
Lb(u,0.8)が極小値となるときのuの値は、u0.8で表される。この場合の極小値は、Lb0.8で表される。Lb(u,1)が極小値となるときのuの値は、uで表される。この場合の極小値は、Lbで表される。uの値の大小関係は、u0.8>uとなっている。また、極小値の大小関係は、Lb0.8<Lbとなっている。
加工装置10の平均故障間隔が初期値より長くなって補正係数bが0.8になった場合、保全管理装置50は、bに0.8を代入して、損失関数を現在の状態に合っているLb(u,0.8)に更新できる。保全管理装置50は、更新した損失関数(Lb(u,0.8))が極小値となるuの値に基づいて、第1部品11の交換間隔を当初想定されていた間隔(u)よりも長い間隔(u0.8)に更新できる。
損失関数及び交換間隔の更新によって、損失関数の値は、Lb0.8になった。Lb0.8は、仮に交換間隔が当初想定のuのままとされていた場合の損失関数の値よりも小さい。したがって、実際の平均故障間隔に基づいて交換間隔を更新することによって、損失が削減され得る。
逆に、加工装置10の平均故障間隔が初期値よりも短くなる場合においても、実際の平均故障間隔に基づいて交換間隔が更新されることによって損失が低減され得る。
以上述べてきたように、保全管理装置50は、管理コストと、機会損失を含む陽故障損失と、陰故障損失と、加工装置10の平均故障間隔とに基づいて加工装置10の第1部品11の交換間隔を決定し、加工装置10の保全を管理できる。このようにすることで、加工装置10で生じる損失が小さくされ得る。
実施例として、加工装置10としてのワイヤーソー装置の平均故障間隔を考慮して交換間隔が更新される場合が説明される。ワイヤーソー装置の平均故障間隔が初期値から更新されて0.7年に設定されたとする。ワイヤーソー装置の部品交換等の保全の費用が200万円かかるとする。また、ワイヤーソー装置が故障した時の機会損失及び製品不良による損失が800万円であるとする。保全管理装置50は、ワイヤーソー装置の平均故障間隔が0.7年に設定されていることに基づいて、ワイヤーソー装置の交換間隔を0.7年に設定する。
ここで、ワイヤーソー装置の現状の平均故障間隔が0.7年より長い間隔に延びているとする。このときに、ワイヤーソー装置の交換間隔が0.7年に設定されたままでは、保全のタイミングが早すぎる。保全のタイミングが早すぎる場合、損失関数の右辺第1項の管理コストが高くなる。その結果、全体として損失が大きくなる。そこで、保全管理装置50は、補正係数bを小さくすることによって損失関数の右辺第2項の故障コストを小さくする。そして、補正係数bを0.8にした場合、損失関数が最小値となる交換間隔は0.8年になったとする。交換間隔が0.7年から0.8年に延ばされることによって、交換間隔が0.7年に設定されたままの場合と比較して、コストが全体として60万円削減された。
逆に、ワイヤーソー装置の現状の平均故障間隔が0.7年より短くなっている場合には、補正係数bを大きくすることによって、コストが全体として削減され得る。
保全管理装置50は、各加工装置10について、平均故障間隔の設定の見直し、すなわち補正係数bの見直しを繰り返してよい。繰り返し見直された補正係数bの値は、ある範囲に収束し得る。具体的には、補正係数bが小さい値に設定されすぎた場合に、加工装置10が交換間隔より早く故障の予兆を出したり故障してしまったりし得る。逆に、補正係数bが大きい値に設定されすぎた場合に、加工装置10が交換間隔になっても故障の予兆を全く出さなかったり全く故障しなかったりし得る。
保全管理装置50は、補正係数bの値の見直しを繰り返した結果に基づいて、補正係数bが大きくなる方向に更新される確率が所定の確率未満になったときの補正係数bの値を上限とし、補正係数bが小さくなる方向に更新される確率が所定の確率未満になったときの補正係数bの値を下限とする安定領域を設定してよい。所定の確率は、適宜設定されてよい。保全管理装置50は、補正係数bが安定領域の範囲内に収束したときに、補正係数bが安定領域外になりにくいように補正係数bを更新するか判定してよい。例えば、保全管理装置50は、補正係数bを安定領域内で変更する場合、加工装置10を保全した後に次に保全するまでの1回のサイクルの稼働データに基づいて補正係数bを変更してよい。保全管理装置50は、補正係数bを安定領域外に変更する場合、加工装置10を保全した後に次に保全するまでの複数回のサイクルの稼働データに基づいて補正係数bを変更してよい。
保全管理装置50は、加工装置10を保全した後に次に保全するまでの複数回のサイクルの稼働データの平均値等の統計値を算出し、統計値の算出結果に基づいて補正係数bの値を見直してもよい。
保全管理装置50は、加工装置10の稼働率に関する係数aと、加工装置10の平均故障間隔に関する係数bとを両方とも反映した損失関数(Lab(u,a,b))を生成して加工装置10の保全を管理してもよい。
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について装置を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
本開示に含まれるグラフは、模式的なものである。スケールなどは、現実のものと必ずしも一致しない。
本開示に係る実施形態によれば、製造工程における損失が削減され得る。
1 保全管理システム
10 加工装置(11:第1部品(ガイドローラ軸受け)、12:ワイヤー、14:ローラ、16:ワイヤー群、18:ワーク保持機構、20:ノズル、32:ガイドローラ、33:ダンサアーム、34:ダンサローラ、35:タッチローラ、36:駆動モータ、38:ワイヤーリール、40:スラリータンク、42:スラリーチラー、W:ワーク(ブロック)、X:ローラ軸方向)
50 保全管理装置(51:制御部、52:通信部、53:出力部、54:入力部)
60 操業系サーバ
70 非操業系サーバ(保全DB)

Claims (7)

  1. 加工製品を製造する加工装置の保全情報を決定する制御部と、
    前記制御部で決定された前記保全情報を出力する出力部と
    を備え、
    前記制御部は、前記加工装置の保全にかかる保全コストと、前記加工装置に起因する故障コストとに基づいて、前記保全情報を決定し、
    前記故障コストは、前記加工装置が故障して停止することによって生じる機会損失を含む、
    保全管理装置。
  2. 前記制御部は、
    前記加工装置の保全後に前記加工装置が稼働した時間に対応する保全後稼働時間を引数とし、前記保全後稼働時間の逆数と前記保全コストとの積に比例する第1項と、前記保全後稼働時間と前記故障コストとの積に比例する第2項との和で表される損失関数を生成し、
    前記損失関数に基づいて前記保全情報を決定する、請求項1に記載の保全管理装置。
  3. 前記制御部は、前記損失関数の値が極小値となる場合又は極小値に対して所定値の範囲内となる場合の前記保全後稼働時間を、前記保全情報として算出する、請求項2に記載の保全管理装置。
  4. 前記制御部は、前記損失関数の第2項における前記故障コストを、前記機会損失に前記加工装置の稼働状況に基づく係数を乗じた値を含む形式で前記損失関数を生成する、請求項2又は3に記載の保全管理装置。
  5. 前記制御部は、前記損失関数の第2項における前記故障コストを、前記加工装置の特性因子に基づく係数を乗じた形式で前記損失関数を生成する、請求項2から4までのいずれか一項に記載の保全管理装置。
  6. 保全管理装置が、加工製品を製造する加工装置の保全情報を、前記加工装置の保全にかかる保全コストと、前記加工装置に起因する故障コストとに基づいて決定するステップと、
    前記保全管理装置が、決定した前記保全情報を出力するステップと
    を含み、
    前記故障コストは、前記加工装置が故障して停止することによって生じる機会損失を含む、
    保全管理方法。
  7. プロセッサに、
    加工製品を製造する加工装置の保全情報を、前記加工装置の保全にかかる保全コストと、前記加工装置に起因する故障コストとに基づいて決定するステップと、
    決定した前記保全情報を出力するステップと
    を実行させ、
    前記故障コストは、前記加工装置が故障して停止することによって生じる機会損失を含む、
    保全管理プログラム。
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