JP2022162665A - シート給送装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シートの搬送安定性を向上可能なシート給送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供する。【解決手段】シートを支持するシート支持面と、前記シート支持面に支持されたシートを給送する給送回転体と、前記給送回転体によって給送されたシートを1枚ずつに分離する分離部と、前記給送回転体によって給送されたシートを前記分離部に向けて案内する搬送ガイドと、を備え、前記搬送ガイドは、前記給送回転体によって給送されたシートを前記分離部に向けて案内する第1傾斜面及び第2傾斜面を有し、前記第2傾斜面の少なくとも一部は、シート搬送方向において前記第1傾斜面にオーバーラップする位置に配置され、前記シート搬送方向に直交する幅方向に視て、前記シート支持面と前記第2傾斜面とが成す前記給送回転体側の角度は、前記シート支持面と前記第1傾斜面とが成す前記給送回転体側の角度よりも大きい。【選択図】図3
Description
本発明は、シートを給送するシート給送装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
従来、ピックアップローラによって載置部に載置されたシートを給送し、分離前斜面によってシートを分離ニップ部に案内するシート給送装置が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1にシート給送装置は、載置部に積載されたシートが少なくなってくると、分離前斜面に摺接しながらシートが搬送される。すると、分離前斜面とシートとの間に摩擦が働き、シートの搬送抵抗が大きくなってしまう。搬送されるシートの剛性が高くなるほど搬送抵抗が大きくなるため、シートの種類によっては、ピックアップローラによる搬送力が搬送抵抗に負けて、安定してシートを搬送できなくなる虞がある。
そこで、本発明は、シートの搬送安定性を向上可能なシート給送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、シート給送装置において、シートを支持するシート支持面と、前記シート支持面に支持されたシートを給送する給送回転体と、前記給送回転体によって給送されたシートを1枚ずつに分離する分離部と、前記給送回転体によって給送されたシートを前記分離部に向けて案内する搬送ガイドと、を備え、前記搬送ガイドは、前記給送回転体によって給送されたシートを前記分離部に向けて案内する第1傾斜面及び第2傾斜面を有し、前記第2傾斜面の少なくとも一部は、シート搬送方向において前記第1傾斜面にオーバーラップする位置に配置され、前記シート搬送方向に直交する幅方向に視て、前記シート支持面と前記第2傾斜面とが成す前記給送回転体側の角度は、前記シート支持面と前記第1傾斜面とが成す前記給送回転体側の角度よりも大きい、ことを特徴とする。
本発明によると、シートの搬送安定性を向上できる。
〔全体構成〕
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。画像形成装置としてのプリンタ200は、電子写真方式のレーザビームプリンタである。本実施の形態において、シートは、普通紙及び厚紙等の紙、プラスチックフィルム、布、コート紙のような表面処理が施されたシート材、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート材等、サイズ及び材質の異なる多様なシートを含む。
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。画像形成装置としてのプリンタ200は、電子写真方式のレーザビームプリンタである。本実施の形態において、シートは、普通紙及び厚紙等の紙、プラスチックフィルム、布、コート紙のような表面処理が施されたシート材、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート材等、サイズ及び材質の異なる多様なシートを含む。
図1に示すように、シートに画像を形成する画像形成部19と、カセット給送部10と、マルチ給送装置100と、定着装置40と、を有している。画像形成部19は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(BK)の4色のトナー画像を形成する4つのプロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20BKと、スキャナユニット23と、を備えている。
なお、4つのプロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20BKは、形成する画像の色が異なること以外は同じ構成である。そのため、プロセスカートリッジ20Yの構成及び画像形成プロセスのみを説明し、プロセスカートリッジ20M,20C,20BKの説明は省略する。
プロセスカートリッジ20Yは、感光ドラム21と、帯電ローラ22と、現像ローラ24と、を有している。感光ドラム21は、アルミシリンダの外周に有機光導電層を塗布して構成され、不図示の駆動モータによって回転する。また、画像形成部19には、駆動ローラ32及びテンションローラ35等に巻き掛けられた中間転写ベルト31が設けられ、中間転写ベルト31の内側には、一次転写ローラ26Y,26M,26C,26BKが設けられている。
定着装置40は、不図示のヒータによって加熱される定着フィルム41と、定着フィルム41に圧接する加圧ローラ42と、を有している。カセット給送部10は、プリンタ200の下部に設けられ、シートを収納するカセット11と、シートを給送する給送ローラ12と、を備えている。
次に、このように構成されたプリンタ200の画像形成動作について説明する。不図示のパソコン等から画像信号がスキャナユニット23に入力されると、スキャナユニット23から、画像信号に対応したレーザ光がプロセスカートリッジ20Yの感光ドラム21上に照射される。
このとき感光ドラム21は、帯電ローラ22により表面が予め所定の極性・電位に一様に帯電されており、スキャナユニット23からレーザ光が照射されることによって表面に静電潜像が形成される。感光ドラム21に形成された静電潜像は、現像ローラ24により現像され、感光ドラム21上にイエロー(Y)のトナー像が形成される。
同様にして、プロセスカートリッジ20M,20C,20BKの各感光ドラムにもスキャナユニット23からレーザ光が照射され、各感光ドラムにマゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(BK)のトナー像が形成される。各感光ドラム上に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ26Y,26M,26C,26BKにより中間転写ベルト31に転写され、駆動ローラ32によって回転する中間転写ベルト31により二次転写ローラ33まで搬送される。なお、各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト31上に一次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。
この画像形成プロセスに並行して、カセット給送部10又はマルチ給送装置100からシートが給送される。例えば、カセット給送部10のカセット11に収容されたシートは、給送ローラ12により送り出された後、搬送ローラ対13を介してレジストレーションローラ対14に搬送される。レジストレーションローラ対14のシート搬送方向における上流には、トップセンサ16が設けられており、トップセンサ16は、搬送されるシートの先端及び後端の位置を検出する。レジストレーションローラ対14により斜行が補正されたシートは、トップセンサ16の検出結果に基づいて所定の搬送タイミングで搬送される。そして、シートには、二次転写ローラ33に印加された二次転写バイアスによって、中間転写ベルト31上のフルカラーのトナー像が転写される。
トナー像が転写されたシートは、定着装置40の定着フィルム41及び加圧ローラ42によって所定の熱及び圧力が付与されて、トナーが溶融固着(定着)される。定着装置40を通過したシートは、排出ローラ対15によって排出トレイ51に排出される。図1に示す矢印CPは、カセット11から排出ローラ対15までのシートが搬送される搬送経路例である。
また、プリンタ200は、ジャム処理を行うために装置本体としてのプリンタ本体201に対して開閉可能に支持されるカバー70と、マルチ給送装置100と、を有している。カバー70は、プリンタ本体201に対して境界部70bにおいて分離可能となっており、カバー70を開けることで、ジャム処理が容易となる。
[マルチ給送装置]
次に、図1乃至図3を用いて、シート給送装置としてのマルチ給送装置100について説明する。図2は、マルチ給送装置100を下側から視た斜視図である。マルチ給送装置100は、図1及び図2に示すように、カバー70又はプリンタ本体201に対して開閉可能に支持されるトレイ105と、ピックアップローラ101と、給送ローラ102と、分離ローラ103と、を有している。これらピックアップローラ101、給送ローラ102及び分離ローラ103の駆動構成と、ピックアップローラ101を昇降させるための昇降機構について詳しく説明する。
次に、図1乃至図3を用いて、シート給送装置としてのマルチ給送装置100について説明する。図2は、マルチ給送装置100を下側から視た斜視図である。マルチ給送装置100は、図1及び図2に示すように、カバー70又はプリンタ本体201に対して開閉可能に支持されるトレイ105と、ピックアップローラ101と、給送ローラ102と、分離ローラ103と、を有している。これらピックアップローラ101、給送ローラ102及び分離ローラ103の駆動構成と、ピックアップローラ101を昇降させるための昇降機構について詳しく説明する。
マルチ給送装置100は、駆動モータMの駆動力によって駆動される給送駆動ギア111と、給送駆動ギア111に噛合するカム駆動ギア110と、を有している。給送駆動ギア111は、給送ローラ軸102Aの一端部に固定されており、給送ローラ軸102Aの他端部には、給送ローラ102が固定されている。給送ローラ軸102Aには、昇降プレート106が回動可能に支持されており、昇降プレート106には、ピックアップローラ軸101Aが回転可能に支持されている。ピックアップローラ軸101Aには、給送回転体としてのピックアップローラ101が回転可能に支持されている。
給送ローラ軸102Aとピックアップローラ軸101Aとの間には、駆動ギア列116が設けられており、給送ローラ軸102Aの駆動力は、駆動ギア列116を介してピックアップローラ101に伝達される。昇降プレート106は、ピックアップローラ101がトレイ105に積載されたシートS(図3参照)に向けて付勢されるように、不図示のバネにより付勢されている。
カム駆動ギア110は、給送ローラ軸102Aと平行に延びるカム軸108Aに固定されており、カム軸108Aには、カム108が固定されている。また、カム軸108Aと給送ローラ軸102Aとの間には、カム軸108A及び給送ローラ軸102Aと平行に延びるアーム軸109Aが設けられており、アーム軸109Aには、アーム109が固定されている。アーム109は、カム108に押圧されることで回動すると共に、昇降プレート106の端部に設けられた当接部106aに当接可能に構成されている。なお、給送ローラ軸102A等のマルチ給送装置100の各軸は、シート搬送方向X(図3参照)に直交する幅方向Wに延びている。
カム108は、ホームポジションにおいてアーム109に当接しており、この時、カム108は、不図示の付勢部によって付勢された昇降プレート106の当接部106aからアーム109が押される力を受けている。これにより、ピックアップローラ101は、トレイ105から離間した位置で保持され、トレイ105にシートSを積載可能となっている。
また、給送ローラ102の下方には、分離ローラ軸103A及びローラホルダ107が配置されている。ローラホルダ107は、軸107aを中心にプリンタ本体201に対して回動可能に支持されており、分離ローラ軸103Aは、ローラホルダ107に固定されている。分離ローラ103は、トルクリミッタ104を介して分離ローラ軸103Aに取り付けられている。ローラホルダ107は、加圧ばね112によって上方に付勢されており、加圧ばね112の付勢力により、分離ローラ103は給送ローラ102に対して所定のニップ圧で当接している。給送ローラ102及び分離ローラ103は、分離部としての分離ニップNPを形成している。
図3は、シートSがトレイ105に満載された状態を示す図である。マルチ給送装置100からシートを給送する給送指示が出された場合、図2及び図3に示すように、駆動モータMが駆動される。すると、駆動モータMの駆動力を受けて、給送ローラ102及びピックアップローラ101が回転する。また、駆動モータMの駆動力によりカム軸108Aが回転することで、カム108がアーム109を押圧し、アーム109が回動する。アーム109が回動することで、アーム109が昇降プレート106の当接部106aから離脱すると、昇降プレート106は、不図示のばねの付勢力により給送ローラ軸102Aを中心に下方に回動する。
昇降プレート106が下方に回動することで、ピックアップローラ101はトレイ105に積載された最上位のシートStに当接する。これにより、シートStは、ピックアップローラ101により給送され、搬送ガイド121によって分離ニップNPへ向けて案内される。搬送ガイド121は、ピックアップローラ101によって給送されたシートを1枚ずつに捌きながら案内する機能もある。
このとき、複数枚のシートが分離ニップNPに進入すると、シートStが給送ローラ102によってシート搬送方向Xに搬送される一方で、他のシートは分離ローラ103から受ける摩擦力によってシート搬送方向Xへの移動を妨げられる。言い換えると、トルクリミッタ104のトルク値は、重なり合うシート間の摩擦力に打ち克って分離ローラ103の回転を規制することが可能な大きさに設定される。
一方、分離ニップNPにシートStのみが進入した場合、シートStから分離ローラ103が受ける力によってトルクリミッタ104が滑り、分離ローラ103は給送ローラ102に追従して回転する。分離ニップを抜けたシートStは、シート搬送方向Xの下流に設けられた搬送ローラ対13(図1参照)により更に搬送される。分離ニップNPから搬送ローラ対13に向けて搬送されるシートは、センサ120(図1参照)によって検知される。
シートStの先端が分離ニップNPに到達した後、再びアーム109が昇降プレート106の当接部106aを押圧することで昇降プレート106が上方側に揺動し、ピックアップローラ101はシートSから離間する。これにより、シートStの下のシートSが続けて送り出されることが防がれる。そして、給送駆動ギア111の回転によって昇降プレート106の昇降動作が繰り返されることで以上の動作が繰り返され、トレイ105に積載されたシートSが1枚ずつ分離しながら給送される。
なお、ピックアップローラ101は、昇降プレート106を付勢する不図示のばねにより、図3の破線で示す下位置まで揺動可能であり、下位置において、トレイ105上の最後のシートまで給送可能である。
また、本実施の形態では、給送ローラ102及び分離ローラ103によって形成される分離ニップNPにおいてシートを1枚ずつに分離していたが、これに限定されない。例えば、分離ローラ103に代えて、シート搬送方向Xとは反対方向にシートを搬送するように駆動力が入力されるリタードローラを適用してもよい。また、分離ローラ103に代えて、パッド状の摩擦部材を用いてもよい。また、ピックアップローラ101や給送ローラ102の代わりに、回転するベルトにシートを吸着させながら搬送するように構成してもよい。
[搬送ガイド]
次に、ピックアップローラ101によって給送されたシートを分離ニップNPに案内する搬送ガイド121について詳述する。なお、以下では、トレイ105が所定の開位置に位置している。図3乃至図5に示すように、搬送ガイド121は、第1傾斜面としての第1斜面部121aと、第2傾斜面としての第2斜面部121bと、を有している。第1斜面部121aは、幅方向Wにおいてシート搬送領域(搬送路)の略全幅に亘って設けられている。
次に、ピックアップローラ101によって給送されたシートを分離ニップNPに案内する搬送ガイド121について詳述する。なお、以下では、トレイ105が所定の開位置に位置している。図3乃至図5に示すように、搬送ガイド121は、第1傾斜面としての第1斜面部121aと、第2傾斜面としての第2斜面部121bと、を有している。第1斜面部121aは、幅方向Wにおいてシート搬送領域(搬送路)の略全幅に亘って設けられている。
第2斜面部121bは、第1斜面部121aと一体に形成される3つのリブ121C,121L,121Rから構成される。第2斜面部121bを構成する3つのリブ121C,121L,121Rは、シート搬送方向Xにおいて第1斜面部121aにオーバーラップするように配置されている。なお、3つのリブ121C,121L,121Rは、少なくとも一部がシート搬送方向Xにおいて第1斜面部121aにオーバーラップするように配置されていればよい。
また、搬送ガイド121には、シート搬送方向Xにおいて分離ローラ103にオーバーラップするように配置され、分離ニップNPにシートを案内する金属プレート117が取り付けられている。金属プレート117は、分離ニップNPの直前まで延出できるように薄肉のプレート形状に形成されており、金属材料によって構成されることで剛性が確保されている。第1リブとしてのリブ121Cは、金属プレート117が搬送ガイド121に取り付けられているために、リブ121L,121Rよりもシート搬送方向Xにおいて短い。
第2斜面部121bを構成する3つのリブ121C,121L,121Rは、幅方向Wにおいて所定の間隙を存して並設されている。リブ121Cは、幅方向Wにおいて搬送路若しくは搬送ガイド121の中央部に設けられており、幅方向Wにおいてピックアップローラ101に重なるように配置されている。
幅方向Wにおいて、リブ121Lはリブ121Cの一方側に配置され、リブ121Rはリブ121Cの他方側に配置されている。第2リブとしてのリブ121L及び第3リブとしてのリブ121Rは、幅方向Wにおいてピックアップローラ101に重ならない位置に配置されている。言い換えれば、第2斜面部121bは、幅方向Wにおいてリブ121Lからリブ121Rまでの間の領域ARに配置されており、領域ARの少なくとも一部は、幅方向Wにおいてピックアップローラ101に重なるように配置されている。
また、本実施の形態では、領域ARの幅方向Wにおける長さL1は、ピックアップローラ101の幅方向Wにおける長さL2の2倍よりも短い。
L1<L2×2・・・・・(1)
L1<L2×2・・・・・(1)
また、幅方向Wにおいて、ピックアップローラ101の端面101aからリブ121Lまでの長さ並びにピックアップローラ101の端面101bからリブ121Rまでの長さは共に長さL3である。すなわち、領域ARの幅方向Wにおける長さL1は、ピックアップローラ101の幅方向Wにおける長さL2と長さL3の2倍の長さを足したものである。
L1=L2+L3×2・・・・・(2)
L1=L2+L3×2・・・・・(2)
上記式(1)(2)より、以下の式(3)が導かれる。
L2>L3×2・・・・・(3)
なお、本実施の形態では、長さL3は、7mmに設定されているが、例えば長さL3を10mm以下の値に設定してもよい。
L2>L3×2・・・・・(3)
なお、本実施の形態では、長さL3は、7mmに設定されているが、例えば長さL3を10mm以下の値に設定してもよい。
また、本実施の形態では、リブ121Cとリブ121Lとの間の距離L4並びにリブ121Cとリブ121Rとの間の距離L5は、幅方向Wにおけるピックアップローラ101の長さL2よりも短い。このため、シートがリブ121C,121L,121Rを通過する際に、シートが湾曲してリブ121C,121L,121Rの間において第1斜面部121aに接触し難くなっている。これにより、シートと搬送ガイド121との間の摩擦を低減し、搬送抵抗を低減することができる。
図3に示すように、トレイ105のシート支持面105aは、シート搬送方向Xにおける下流に向かうにしたがって下方に傾斜している。一方で、第1斜面部121a及び第2斜面部121bは、シート搬送方向Xにおける下流に向かうにしたがって上方に傾斜している。
ここで、図8(a)(b)に示す比較例と比較しながら本実施の形態の搬送ガイド121を説明する。図8(a)(b)に示すように、比較例における搬送ガイド1121は、第2斜面部121bを有しておらず、第1斜面部121aのみ有している。
図8(a)に示すように幅方向Wに視て、シート支持面105aと第1斜面部121aとが成すピックアップローラ101側の角度は、角度θ1である。図3に示すように幅方向Wに視て、シート支持面105aと第2斜面部121bとが成すピックアップローラ101側の角度は、角度θ1よりも大きい角度θ2である。角度θ1と角度θ2との差は、第1斜面部121aと第2斜面部121bとが成す角度αである。
そして、図3に示すように、シート搬送方向Xにおける第2斜面部121bの上流端121bQは、シート搬送方向Xにおける第1斜面部121aの上流端121aUよりも下方に配置されている。また、シート搬送方向Xにおける第2斜面部121bの下流端121bJは、シート搬送方向Xにおいて分離ニップNPよりも上流の位置で第1斜面部121aに合流する。また、トレイ105から搬送ガイド121へ引っ掛かりなくシートを受け渡すために、第1斜面部121aの上流端121aU及び第2斜面部121bの上流端121bQは、シート支持面105aの下流端105aTよりも下方に配置される。また、幅方向Wに視て、シート支持面105aの延長線LNは、第1斜面部121a及び第2斜面部121bに交差している。
以下では、比較例と比較しつつ本実施の形態の搬送ガイド121の作用効果を説明する。図6及び図8(a)は、1枚の厚紙であるシートStを搬送する場合の力の関係を示す図である。図6及び図8(a)に示すように、ピックアップローラ101は、トレイ105のシート支持面105aに支持されたシートStに点Pにおいて当接し、シートStに対して搬送力Fを与える。搬送力Fは、図6及び図8(a)において同等である。
シートStの先端は、搬送ガイド121に当接しながら分離ニップNPへ向かう。ここで、比較例では、図8(a)に示すように、シートStの先端が第1斜面部121aと当接点G’で当接する。搬送力Fのベクトル起点を当接点G’として、第1斜面部121aの水平方向と垂直方向に搬送力Fを分解すると、搬送力Fの水平成分はガイド登坂搬送力Fs’となり、搬送力Fの垂直成分は垂直抗力N’となる。
同様に、本実施の形態では、図6に示すように、シートStの先端が第2斜面部121bと当接点Gで当接する。搬送力Fのベクトル起点を当接点Gとして、第2斜面部121bの水平方向と垂直方向に搬送力Fを分解すると、搬送力Fの水平成分はガイド登坂搬送力Fsとなり、搬送力Fの垂直成分は垂直抗力Nとなる。
ここで、角度θ2が角度θ1よりも角度αだけ大きいため、ガイド登坂搬送力Fsはガイド登坂搬送力Fs’よりも大きい。
Fs>Fs’・・・・・(4)
Fs>Fs’・・・・・(4)
次に、本実施の形態並びに比較例におけるシートStの搬送ガイド121に対する搬送抵抗を説明する。シートと搬送ガイド121との間の摩擦係数を摩擦係数μとすると、比較例における搬送抵抗は、図8(a)に示すように、搬送抵抗μN’となる。また、本実施の形態における搬送抵抗は、図6に示すように、搬送抵抗μNとある。これらの搬送抵抗はμN,μN’は、ガイド登坂搬送力Fs,Fs’とは反対方向に働く。
ここでも、角度θ2が角度θ1よりも角度αだけ大きいため、N<N’であり、搬送抵抗μN’は搬送抵抗μNよりも大きい。
μN<μN’・・・・・(5)
μN<μN’・・・・・(5)
シートStが搬送ガイド121に沿って搬送されるための力の余裕である搬送マージンは、(ガイド登坂搬送力)-(搬送抵抗)で表される。本実施の形態の搬送マージンは、Fs-μNであり、比較例の搬送マージンは、Fs’-μN’である。よって、本実施の形態並びに比較例の搬送マージンを比較すると、上述の式(4)(5)により、
Fs-μN>>Fs’-μN’・・・・・(6)
となる。上記式(6)から、本実施の形態では、比較例よりも厚紙を少数枚搬送する際の搬送性能を向上できる。また、図3に示すように、第2斜面部121bの下流端121bJは、第1斜面部121aに合流するため、搬送ガイド121においてシートStをスムーズに案内することができる。
Fs-μN>>Fs’-μN’・・・・・(6)
となる。上記式(6)から、本実施の形態では、比較例よりも厚紙を少数枚搬送する際の搬送性能を向上できる。また、図3に示すように、第2斜面部121bの下流端121bJは、第1斜面部121aに合流するため、搬送ガイド121においてシートStをスムーズに案内することができる。
また、比較例では第2斜面部121bが設けられていないため、図8(b)に示すように、シートStの幅方向Wにおける全域が第1斜面部121aに当接する。このため、シートStと搬送ガイド1121との間の摩擦が大きくなり、シートStの搬送抵抗が大きくなる。
これに対し、本実施の形態では、図5に示すように、第2斜面部121bを搬送ガイド121の幅方向Wにおける中央部にのみ設けたので、シートStの先端の幅方向Wにおける両端部は、第1斜面部121aとの間に空隙Cを存している。このため、シートStと搬送ガイド121との間の摩擦を低減でき、シートStの搬送抵抗を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、長さL3(図4参照)を7mmに設定したが、長さL3を3mm~10mm程度に設定すれば、搬送マージン向上に対して高い効果を発揮することができる。
また、比較例の第1斜面部121aやトレイ105の傾斜角度を緩やかにしてガイド登坂搬送力を向上する構成も考えられるが、この場合、第1斜面部121aの幅方向Wにおける全域にシートが当接するので、搬送抵抗が大きくなる。このため、このような構成に比しても、本実施の形態の方が搬送マージンを増大し、シートの搬送安定性を向上することができる。また、上記構成は、昇降プレート106が大型化すると共に、プリンタ200の設置面積が増大してしまう。
以上のように、本実施の形態では、搬送ガイド121の幅方向Wにおける中央部に第2斜面部121bを設けた。これにより、第2斜面部121bに沿って搬送されるためのシートの搬送力(ガイド登坂搬送力)を向上しつつ、シートの搬送抵抗を低減できる。また、シートの幅方向Wにおける両端部が第1斜面部121aに対して浮くので、搬送抵抗をより低減できる。これらより、搬送マージンを向上でき、特に剛性の高いシートでも搬送安定性を向上できる。
また、第2斜面部121bが配置される領域ARの幅方向Wにおける長さL1を、ピックアップローラ101の幅方向Wにおける長さL2の2倍よりも短く設定した。これにより、特に剛性の高いシート(厚紙)を搬送する際に、シートが湾曲して第2斜面部121bのリブとリブとの間において第1斜面部121aに当接して搬送抵抗が大きくなることを抑制できる。
[変形例]
図7は、本実施の形態の変形例を示す斜視図である。図7に示すように、変形例では、搬送ガイド121は、第1ガイド部材121Hと、第1ガイド部材121Hに着脱可能に支持される第2ガイド部材121Uと、を有している。第1斜面部121aは、第1ガイド部材121H及び第2ガイド部材121Uに設けられ、第2斜面部121bは、第2ガイド部材121Uのみに設けられている。
図7は、本実施の形態の変形例を示す斜視図である。図7に示すように、変形例では、搬送ガイド121は、第1ガイド部材121Hと、第1ガイド部材121Hに着脱可能に支持される第2ガイド部材121Uと、を有している。第1斜面部121aは、第1ガイド部材121H及び第2ガイド部材121Uに設けられ、第2斜面部121bは、第2ガイド部材121Uのみに設けられている。
そして、分離ローラ103に近い位置に設けられる第2ガイド部材121Uを第1ガイド部材121Hから取り外すことで、分離ローラ103の交換等のメンテナンス性を向上することができる。
<その他の実施の形態>
なお、上述の実施の形態では、第2斜面部121bを3つのリブ121C,121L,121Rによって構成したが、これに限定されない。例えば、第2斜面部121bを2つや4つ以上のリブから構成してもよく、1つの突起部から構成してもよい。
なお、上述の実施の形態では、第2斜面部121bを3つのリブ121C,121L,121Rによって構成したが、これに限定されない。例えば、第2斜面部121bを2つや4つ以上のリブから構成してもよく、1つの突起部から構成してもよい。
また、第2斜面部121bを、例えばポリアセタール樹脂等の摩擦係数の小さな材料から形成してもよい。これにより、更にシートの搬送抵抗を低減することができる。
また、既述のいずれの形態においても、電子写真方式のプリンタ200を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式やオフセット印刷方式の画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。また、ADF(Auto Document Feeder)やオプションフィーダ等に設けられるシート給送装置に本発明を適用してもよい。
19:画像形成部/100:シート給送装置(マルチ給送装置)101:給送回転体(ピックアップローラ)/105a:シート支持面/NP:分離部(分離ニップ)/121:搬送ガイド/121a:第1傾斜面(第1斜面部)/121aU,121bQ:上流端/121b:第2傾斜面(第2斜面部)/121bJ:下流端/121C:リブ、第1リブ/121H:第1ガイド部材/121L:リブ、第2リブ/121R:リブ、第3リブ/121S:第2ガイド部材/200:画像形成装置(プリンタ)/AR:領域/L1,L2:長さ/L4,L5:距離/LN:延長線/W:幅方向/X:シート搬送方向/θ1,θ2:角度
Claims (11)
- シートを支持するシート支持面と、
前記シート支持面に支持されたシートを給送する給送回転体と、
前記給送回転体によって給送されたシートを1枚ずつに分離する分離部と、
前記給送回転体によって給送されたシートを前記分離部に向けて案内する搬送ガイドと、を備え、
前記搬送ガイドは、前記給送回転体によって給送されたシートを前記分離部に向けて案内する第1傾斜面及び第2傾斜面を有し、
前記第2傾斜面の少なくとも一部は、シート搬送方向において前記第1傾斜面にオーバーラップする位置に配置され、
前記シート搬送方向に直交する幅方向に視て、前記シート支持面と前記第2傾斜面とが成す前記給送回転体側の角度は、前記シート支持面と前記第1傾斜面とが成す前記給送回転体側の角度よりも大きい、
ことを特徴とするシート給送装置。 - 前記シート支持面は、前記シート搬送方向における下流に向かうにしたがって下方に傾斜しており、
前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面は、前記シート搬送方向における下流に向かうにしたがって上方に傾斜している、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。 - 前記幅方向に視て、前記シート支持面の延長線は、前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面に交差する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート給送装置。 - 前記第2傾斜面は、前記第1傾斜面に一体に形成される複数のリブから構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。 - 前記複数のリブは、前記幅方向において前記給送回転体に重なるように配置される第1リブと、前記幅方向において前記第1リブの一方側に配置される第2リブと、前記幅方向において前記第1リブの他方側に配置される第3リブと、を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート給送装置。 - 前記第2リブ及び前記第3リブは、前記幅方向において前記給送回転体に重ならない位置に配置される、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート給送装置。 - 前記第1リブと前記第2リブとの間の距離並びに前記第1リブと前記第3リブとの間の距離は、前記幅方向における前記給送回転体の長さよりも短い、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のシート給送装置。 - 前記第2傾斜面が配置される領域の少なくとも一部は、前記幅方向において前記給送回転体に重なるように配置され、
前記第2傾斜面が配置される前記領域の前記幅方向における長さは、前記給送回転体の前記幅方向における長さの2倍よりも短い、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート給送装置。 - 前記シート搬送方向における前記第2傾斜面の上流端は、前記シート搬送方向における前記第1傾斜面の上流端よりも上方に配置され、
前記シート搬送方向における前記第2傾斜面の下流端は、前記シート搬送方向において前記分離部よりも上流の位置で、前記第1傾斜面に合流する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート給送装置。 - 前記搬送ガイドは、第1ガイド部材と、前記第1ガイド部材に着脱可能に支持される第2ガイド部材と、を有し、
前記第1傾斜面は、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材に設けられ、
前記第2傾斜面は、前記第2ガイド部材に設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシート給送装置。 - 請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置から給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021067581A JP2022162665A (ja) | 2021-04-13 | 2021-04-13 | シート給送装置及び画像形成装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022162665A true JP2022162665A (ja) | 2022-10-25 |
Family
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022162665A (ja) |
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2021
- 2021-04-13 JP JP2021067581A patent/JP2022162665A/ja active Pending
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