JP2022162266A - 空気調和装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】適切な運転範囲で低能力運転を行うことができる空気調和装置を提供することを目的とする。【解決手段】空気調和装置において、空調対象空間の状況に応じて運転周波数が調節される圧縮機と、開度を調節可能な膨張弁と、圧縮機と膨張弁とを制御し、低能力運転を実行する制御装置と、を備え、制御装置は、低能力運転の前に、膨張弁の開度を小さくする移行運転を実行する構成とした。【選択図】図8
Description
本開示は、運転周波数が調節される圧縮機を備える空気調和装置に関するものである。
近年、住宅の高気密及び高断熱化が進んでいる。これにより、室内で発生する人体発熱及び機器発熱などの内部発熱によって、空気調和装置の負荷が低下する頻度が増えている。具体的には、空気調和装置の負荷が、定格能力に対し半分以下となる低負荷の発生頻度が増えている。空気調和装置の圧縮機の運転周波数には下限がある。そのため、圧縮機が下限周波数で運転することになる低負荷の場合には、圧縮機の運転と停止を繰り返す発停運転が発生する。圧縮機が発停運転すると、室内温度の変動による快適性の悪化、又は圧縮機の起動時に冷媒状態が安定しないことで発生するロスに起因する省エネ性の悪化が生じる。これらの課題を解決するため、特許文献1では、圧縮機を停止させるサーモオフ状態へ移行する前に、圧縮機を最低周波数で運転させて発停運転を回避、又は発停運転による影響を軽減する空気調和装置が提案されている。
特許文献1のように、空気調和装置が圧縮機の周波数を下限値付近まで急激に低下させている。この場合、冷凍サイクルの応答時間に応じた膨張弁開度が調整されない。よって、冷媒回路において目的の過熱度が確保できず、正常な運転範囲から外れてしまうことがある。
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、冷媒回路において目的の過熱度を確保し、適切な運転範囲で低能力運転を行うことができる空気調和装置を提供することを目的とする。
本開示に係る空気調和装置において、空調対象空間の状況に応じて運転周波数が調節される圧縮機と、開度を調節可能な膨張弁と、圧縮機と膨張弁とを制御し、低能力運転を実行する制御装置と、を備え、制御装置は、圧縮機の運転周波数が閾値よりも低下した場合に、膨張弁の開度を低下させる移行運転を実行した後、圧縮機の運転周波数を移行運転時の運転周波数よりも低下させる低能力運転を実行する構成とした。
本開示の空気調和装置では、低能力運転を実施する前に、膨張弁の開度を小さくする移行運転を実施している。これにより、本開示の空気調和装置は、冷凍サイクルにおける目的の過熱度を確保し、適切な運転範囲で低能力運転を行うことができる。
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ及び配置等は、本開示の範囲内で適宜変更することができる。
実施の形態1.
(空気調和装置100の構成)
図1は、実施の形態1に係る空気調和装置100の概略構成図である。図1に示すように、実施の形態1の空気調和装置100は、空調対象空間の外に配置される室外機1と、空調対象空間内に配置される室内機2とからなる。室外機1と室内機2とは、配管、及び電源線又は信号線等の配線によって接続されている。室外機1は、圧縮機11と、流路切替弁12と、室外熱交換器13と、膨張弁14と、室外ファン15と、第4温度センサ34と、第5温度センサ35と、を備えている。室内機2は、室内熱交換器21と、室内ファン22と、風向板23と、第1温度センサ31と、第2温度センサ32と、第3温度センサ33と、吸込み温度センサ36と、吹出し温度センサ37と、制御装置5と、を備えている。
(空気調和装置100の構成)
図1は、実施の形態1に係る空気調和装置100の概略構成図である。図1に示すように、実施の形態1の空気調和装置100は、空調対象空間の外に配置される室外機1と、空調対象空間内に配置される室内機2とからなる。室外機1と室内機2とは、配管、及び電源線又は信号線等の配線によって接続されている。室外機1は、圧縮機11と、流路切替弁12と、室外熱交換器13と、膨張弁14と、室外ファン15と、第4温度センサ34と、第5温度センサ35と、を備えている。室内機2は、室内熱交換器21と、室内ファン22と、風向板23と、第1温度センサ31と、第2温度センサ32と、第3温度センサ33と、吸込み温度センサ36と、吹出し温度センサ37と、制御装置5と、を備えている。
圧縮機11、流路切替弁12、室外熱交換器13、膨張弁14、及び室内熱交換器21は、配管により接続され、冷媒回路を構成する。空気調和装置100の冷媒回路に循環する冷媒は、例えば二酸化炭素、炭化水素若しくはヘリウム等の自然冷媒、HFC410A若しくはHFC407C等の塩素を含まない冷媒、又はR22若しくはR134a等のフロン系冷媒である。
圧縮機11は、低圧のガス冷媒を吸入して圧縮し、高圧のガス冷媒として吐出する流体機械である。圧縮機11としては、例えばレシプロ、ロータリー、スクロール又はスクリューなどの各種タイプの圧縮機11が用いられる。圧縮機11の運転周波数は、制御装置5によって制御される。
流路切替弁12は、室外熱交換器13が凝縮器として機能する冷房運転と、室外熱交換器13が蒸発器として機能する暖房運転とを切替える四方弁である。流路切替弁12は、冷房運転時は図1に実線で示されるように、圧縮機11から吐出される冷媒が室外熱交換器13に流入するよう切替えられる。流路切替弁12は、暖房運転時は図1に破線で示されるように、圧縮機11から吐出される冷媒が室内熱交換器21に流入するよう切替えられる。
室外熱交換器13は、例えばプレートフィンチューブ式の熱交換器であり、円管又は扁平管の内部を流通する冷媒と、室外ファン15により供給される空気との熱交換を行う。室外熱交換器13は、流路切替弁12と、膨張弁14との間に配置される。室外熱交換器13は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器として機能する。
膨張弁14は、冷媒を減圧させる弁である。膨張弁14は、制御装置5によって開度を調整可能な電子膨張弁である。膨張弁14は、室外熱交換器13と、室内熱交換器21との間に配置される。なお、図1において、膨張弁14は室外機1に配置されているが、室内機2に配置されてもよい。
室外ファン15は、空調対象空間外の空気を吸込み、室外熱交換器13を通過させて空調対象空間外に吹出す。室外ファン15は、例えばモータによって駆動されるプロペラファン、シロッコファン又はクロスフローファンである。室外ファン15の風量は、制御装置5によって室外ファン15の回転数が制御されることにより可変制御される。室外ファン15のモータがDCモータの場合、制御装置5は、電流値を変化させて回転数を制御することで、室外ファン15の風量を制御する。また、室外ファン15のモータがACモータの場合、制御装置5は、インバータ制御により電源周波数を変化させて回転数を制御することで、室外ファン15の風量を制御する。
室内熱交換器21は、例えばプレートフィンチューブ式の熱交換器であり、円管又は扁平管の内部を流通する冷媒と、室内ファン22により送風される空気との熱交換を行う。室内熱交換器21は、膨張弁14と、流路切替弁12との間に配置される。室内熱交換器21は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。
室内ファン22は、空調対象空間内の空気を吸込み、室内熱交換器21を通過させて空調対象空間内に吹出す。室内ファン22は、例えばモータによって駆動されるプロペラファン、シロッコファン又はクロスフローファンである。室内ファン22の風量は、制御装置5によって室内ファン22の回転数が制御されることにより制御される。室内ファン22のモータがDCモータの場合、制御装置5は、電流値を変化させて回転数を制御することで、室内ファン22の風量を制御する。また、室内ファン22のモータがACモータの場合、制御装置5は、インバータ制御により電源周波数を変化させて回転数を制御することで、室内ファン22の風量を制御する。
なお、図1では、1つの室内ファン22が、空気の流れにおいて室内熱交換器21の上流に配置されているが、目標の風量が得られるのであれば、室内ファン22の配置及び数は図1の例に限定されない。例えば、室内ファン22は、室内熱交換器21の下流に配置されてもよいし、複数の室内ファン22が室内熱交換器21の上流と下流とにそれぞれ配置されてもよい。
室内機2は、空調対象空間の壁に取り付けられる壁掛け式の室内機2である。室内機2の筐体には、吸込口20aと吹出口20bとが設けられ、吸込口20aと吹出口20bとを繋ぐ風路に室内ファン22と室内熱交換器21とが配置されている。室内ファン22により、空調対象空間の空気が吸込口20aから吸込まれ、室内熱交換器21によって冷却又は加熱されて、吹出口20bから空調対象空間に吹出される。
風向板23は、吹出口20bにおいて、水平方向と平行な回転軸に回動可能に設けられ、室内熱交換器21によって冷却又は加熱された空調空気の吹出し方向を上下方向に調節する。風向板23の角度は、回転軸に取り付けられた図示しないステッピングモータなどにより調節される。なお、風向板23の角度は、室内機2が空調対象空間の壁に設置された状態において、鉛直方向を0度とした場合の角度である。
第1温度センサ31は、室内熱交換器21と膨張弁14とを接続する配管に設けられ、冷房運転時において、室内熱交換器21の入口側の冷媒の温度を検出する。第2温度センサ32は、室内熱交換器21と流路切替弁12とを接続する配管に設けられ、冷房運転時において、室内熱交換器21の出口側の冷媒の温度を検出する。第3温度センサ33は、室内熱交換器21に設けられ、室内熱交換器21を流れる冷媒の温度を検出する。第4温度センサ34は、室外熱交換器13と膨張弁14とを接続する配管に設けられ、暖房運転時において、室外熱交換器13の入口側の冷媒の温度を検出する。第5温度センサ35は、室外熱交換器13と流路切替弁12とを接続する配管に設けられ、暖房運転時において、室外熱交換器13の出口側の冷媒の温度を検出する。第1温度センサ31、第2温度センサ32、第3温度センサ33、第4温度センサ34、及び第5温度センサ35により検出された冷媒温度は、制御装置5に送信される。
吸込み温度センサ36は、吸込口20aの周囲に配置され、空調対象空間から室内機2に吸込まれる空気の温度を検出する。吸込み温度センサ36により検出された吸込み空気温度は、制御装置5に送信される。なお、吸込み空気温度は、空調対象空間の温度、すなわち室内温度である。吹出し温度センサ37は、吹出口20bの周囲に設けられ、室内機2から空調対象空間に吹き出される空気の温度を検出する。吹出し温度センサ37により検出された吹出し空気温度は、制御装置5へ送信される。
制御装置5は、CPU、ROM、RAM、及びI/Oポート等を備えたマイクロコンピュータである。制御装置5は、リモコン等を介して入力される使用者からの指示と、第1温度センサ31、第2温度センサ32、第3温度センサ33、第4温度センサ34、第5温度センサ35、吸込み温度センサ36、及び吹出し温度センサ37の検出結果とに基づいて空気調和装置100全体の動作を制御する。なお、図1では、制御装置5が室内機2に設けられているが、室外機1に設けられてもよいし、室外機1及び室内機2にそれぞれ個別の制御装置5を設け、互いに通信する構成としてもよい。
(空気調和装置100の動作)
図2は、実施の形態1に係る空気調和装置100の制御ブロック図である。図2に示すように、空気調和装置100の制御装置5は、機能部として、運転制御部51と、風量制御部52と、風向制御部53とを有する。各機能部は、制御装置5がプログラムを実行することにより実現されるか、又は専用の処理回路により実現される。
図2は、実施の形態1に係る空気調和装置100の制御ブロック図である。図2に示すように、空気調和装置100の制御装置5は、機能部として、運転制御部51と、風量制御部52と、風向制御部53とを有する。各機能部は、制御装置5がプログラムを実行することにより実現されるか、又は専用の処理回路により実現される。
運転制御部51は、リモコン等を介して入力される設定情報と、第1温度センサ31、第2温度センサ32、第3温度センサ33、第4温度センサ34、第5温度センサ35、吸込み温度センサ36、及び吹出し温度センサ37の検出結果とに基づき、冷房運転及び暖房運転を実行する。入力される設定情報は、例えば冷房運転、暖房運転の設定、及び設定温度などである。運転制御部51は、設定情報と各温度センサの検出結果とに基づき、圧縮機11の運転周波数、流路切替弁12の切替え、膨張弁14の開度、及び室外ファン15の回転数を制御する。
風量制御部52は、リモコン等を介して入力される設定情報と、吸込み温度センサ36及び吹出し温度センサ37により検出された温度と、に基づき、室内ファン22の風量を制御する。風向制御部53は、リモコン等を介して入力される設定情報に基づき風向板23の角度を制御する。
(冷房運転)
空気調和装置100の冷房運転時の動作について説明する。冷房運転時においては、まず、圧縮機11で圧縮され、高温高圧の気体となった冷媒が凝縮器として機能する室外熱交換器13に流入する。冷媒は、室外熱交換器13にて高温高圧の気体から液体に相変化し、室外熱交換器13を通過する空気を加熱する。その後、冷媒は開度が小さく設定された膨張弁14にて減圧され、低温低圧の液体と気体が混在した二相状態になり、蒸発器として機能する室内熱交換器21に流入する。室内熱交換器21において、冷媒は、液体から気体に相変化し、室内熱交換器21を通過する空気を冷却する。その後、冷媒は圧縮機11に流入し、再度、高温高圧の気体となる。
空気調和装置100の冷房運転時の動作について説明する。冷房運転時においては、まず、圧縮機11で圧縮され、高温高圧の気体となった冷媒が凝縮器として機能する室外熱交換器13に流入する。冷媒は、室外熱交換器13にて高温高圧の気体から液体に相変化し、室外熱交換器13を通過する空気を加熱する。その後、冷媒は開度が小さく設定された膨張弁14にて減圧され、低温低圧の液体と気体が混在した二相状態になり、蒸発器として機能する室内熱交換器21に流入する。室内熱交換器21において、冷媒は、液体から気体に相変化し、室内熱交換器21を通過する空気を冷却する。その後、冷媒は圧縮機11に流入し、再度、高温高圧の気体となる。
図3は、実施の形態1に係る室内機2の冷房運転時の動作を示す図である。図3における矢印は冷媒の流れる向きを示す。冷房運転時には、制御装置5は、膨張弁14の開度を小さく設定する。これにより、室内熱交換器21に流入する冷媒の圧力は低下する。また、制御装置5は、第3温度センサ33によって検出される冷媒の蒸発温度と、第2温度センサ32によって検出される冷媒の出口温度との差から演算される過熱度が所定の値となるように、膨張弁14の開度を制御する。図3に示されるように、空調対象空間内の空気(A1)は、室内ファン22により、蒸発器として機能する室内熱交換器21へ供給される。室内熱交換器21は通過する空気を冷却する。その後、冷却された空調空気(B1)が、空調対象空間内に供給される。
図4は、実施の形態1に係る室内機2の冷房運転時の空気の状態変化を示す湿り空気線図である。図4の横軸は温度(℃)を表し、縦軸は絶対湿度(kg/kg´)を表している。図4中の点A1及び点B1は、図3中の(A1)及び(B1)の位置にそれぞれ対応している。図4に示すように、室内熱交換器21を通過した空気(A1)は、冷媒との熱交換により冷却除湿され、低温かつ相対湿度の高い状態となった後、絶対湿度が低下した状態(B1)となって、空調対象空間に給気として供給される。
(暖房運転)
空気調和装置100の暖房運転時の動作について説明する。暖房運転時においては、圧縮機11で圧縮され、高温高圧の気体となった冷媒が凝縮器として機能する室内熱交換器21に流入する。冷媒は、室内熱交換器21にて高温高圧の気体から液体に相変化し、室内熱交換器21を通過する空気を加熱する。その後、冷媒は開度を小さく設定された膨張弁14にて減圧され、低温低圧の液体と気体が混在した二相状態になり、蒸発器として機能する室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13において、冷媒は、液体から気体に相変化し、室外熱交換器13を通過する空気を冷却する。その後、冷媒は圧縮機11に流入し、再度、高温高圧の気体となる。
空気調和装置100の暖房運転時の動作について説明する。暖房運転時においては、圧縮機11で圧縮され、高温高圧の気体となった冷媒が凝縮器として機能する室内熱交換器21に流入する。冷媒は、室内熱交換器21にて高温高圧の気体から液体に相変化し、室内熱交換器21を通過する空気を加熱する。その後、冷媒は開度を小さく設定された膨張弁14にて減圧され、低温低圧の液体と気体が混在した二相状態になり、蒸発器として機能する室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13において、冷媒は、液体から気体に相変化し、室外熱交換器13を通過する空気を冷却する。その後、冷媒は圧縮機11に流入し、再度、高温高圧の気体となる。
図5は、実施の形態1に係る室内機2の暖房運転時の動作を示す図である。暖房運転時には、制御装置5は、膨張弁14の開度を小さく設定する。これにより、室外熱交換器13に流入する冷媒の圧力は低下する。また、制御装置5は、第1温度センサ31によって検出される冷媒の出口温度と、第3温度センサ33によって検出される冷媒の凝縮温度との差から演算される過冷却度が所定の値となるように、膨張弁14の開度を制御する。図5に示されるように、空調対象空間内の空気(A2)は、室内ファン22により、凝縮器として機能する室内熱交換器21へ供給される。室内熱交換器21は通過する空気を加熱する。その後、加熱された空調空気(B2)が、空調対象空間に供給される。
図6は、実施の形態1に係る室内機2の暖房運転時の空気の状態変化を示す湿り空気線図である。図6の横軸は温度(℃)を表し、縦軸は絶対湿度(kg/kg´)を表している。図6中の点A2及び点B2は、図5中の(A2)及び(B2)の位置にそれぞれ対応している。図6に示すように、室内熱交換器21を通過した空気(A2)は、冷媒との熱交換により加熱され高温の状態(B2)となって、空調対象空間に給気として供給される。
図2を用いて説明したように、運転制御部51は、設定情報と各温度センサの検出結果とに基づき、圧縮機11の運転周波数を制御する。つまり、運転制御部51は、設定情報と空調対象空間の状況とに応じて、圧縮機11の運転周波数を調節する。具体的には、運転制御部51は、設定温度と、空調対象空間の温度、即ち吸込み温度センサ36が検出した室内温度とが近くなるにつれ、空調負荷が低くなったと判断して、圧縮機11の運転周波数を低下させる。制御装置5は、圧縮機11の運転周波数が低下すると、冷房運転及び暖房運転のそれぞれにおいて、低能力運転、移行運転、及びサーモオフ運転を実行する。なお、以下において詳細な説明は省略するが、低能力運転、移行運転、及びサーモオフ運転以外の運転を通常運転と呼称する。上述した各機能部の動作は、通常運転、低能力運転、移行運転、及びサーモオフ運転に共通するものである。次に、低能力運転、移行運転、及びサーモオフ運転の概要、並びに低能力運転、移行運転、及びサーモオフ運転に特有の各機能部の動作について説明する。
(移行運転、低能力運転、及びサーモオフ運転)
先ずは、冷房時の移行運転、低能力運転、及びサーモオフ運転について説明する。冷房時の低能力運転は、圧縮機11が下限値付近の運転周波数で動作している状態を指す。圧縮機は、下限値以下での運転を行った場合、潤滑油不足に陥り、軸焼き付けなどの故障を起こすことがある。圧縮機が下限値付近の運転周波数で動作している際に、空気調和装置100の空調能力は、最低空調能力である600W以下となる。一般的な空気調和装置の定格冷房能力は最低でも2.2kWであることから、600W以下の空調能力は、定格能力の27%程度に相当する。つまり、制御装置5は、冷房時の低能力運転において、空気調和装置100の空調能力を600W以下、又は定格能力に対して30%以下に制御する。
先ずは、冷房時の移行運転、低能力運転、及びサーモオフ運転について説明する。冷房時の低能力運転は、圧縮機11が下限値付近の運転周波数で動作している状態を指す。圧縮機は、下限値以下での運転を行った場合、潤滑油不足に陥り、軸焼き付けなどの故障を起こすことがある。圧縮機が下限値付近の運転周波数で動作している際に、空気調和装置100の空調能力は、最低空調能力である600W以下となる。一般的な空気調和装置の定格冷房能力は最低でも2.2kWであることから、600W以下の空調能力は、定格能力の27%程度に相当する。つまり、制御装置5は、冷房時の低能力運転において、空気調和装置100の空調能力を600W以下、又は定格能力に対して30%以下に制御する。
冷房時の移行運転は、通常運転から低能力運転への移行前に行われる運転である。具体的に、移行運転は、圧縮機11の運転周波数が閾値α以下になった場合に行われる。閾値αは、圧縮機11の運転周波数の下限値よりも大きい値である。つまり、制御装置5は、冷房の通常運転中に、圧縮機11の運転周波数が閾値α以下に低下した場合、移行運転及び低能力運転を連続して実行する。
冷房時のサーモオフ運転は、低能力運転中に、室内温度が冷房停止温度以下となった場合に行われる運転である。サーモオフ運転では、圧縮機11の運転が停止する。サーモオフ運転は、室内温度が冷房開始温度以上となった場合に解除される。サーモオフ運転が解除されると、圧縮機11が起動する。冷房停止温度及び冷房開始温度は、冷房の設定温度に基づいて算出される。
次に、暖房時の移行運転、低能力運転、及びサーモオフ運転について説明する。暖房時の低能力運転も、冷房時の低能力運転と同様に、圧縮機11の運転周波数が下限値付近で動作し、空気調和装置100の空調能力が600W以下、又は空調の定格能力に対して30%以下に制御された状態での運転を指す。
暖房時の移行運転も、冷房時の移行運転と同様に、暖房時の通常運転から低能力運転への移行前に行われる運転である。具体的に、移行運転は、圧縮機11の運転周波数が閾値β以下になった場合に行われる。閾値βは、圧縮機11の下限値の運転周波数よりも大きい値である。つまり、制御装置5は、暖房の通常運転中に、圧縮機11の運転周波数が閾値β以下に低下した場合、移行運転及び低能力運転を連続して実行する。
暖房時のサーモオフ運転も、冷房時のサーモオフ運転と同様に、低能力運転中に、室内温度が暖房停止温度以上となった場合に行われる運転である。サーモオフ運転では、圧縮機11の運転が停止する。サーモオフ運転は、室内温度が暖房開始温度以下となった場合に解除される。サーモオフ運転が解除されると、圧縮機11が起動する。暖房停止温度及び暖房開始温度は、暖房の設定温度に基づいて算出される。
実施の形態1における冷房時の移行運転及び低能力運転における制御について詳しく説明する。図7は、実施の形態1に係る冷房時の移行運転及び低能力運転における圧縮機11の運転周波数の制御を説明するための図である。図8は、実施の形態1に係る冷房時の移行運転及び低能力運転における膨張弁14の開度の制御を説明するための図である。図7及び図8では、低能力運転への移行前に、移行運転を行う場合を実線で示し、移行運転を行わない場合を比較例として破線で示している。また、図7及び図8の横軸にとられた時間は、同一の尺度で表されており、それぞれ対応しているものとする。制御装置5は、冷房時の通常運転中に、圧縮機11の運転周波数が閾値α以下に低下した場合に、冷房時の移行運転を第1の時間t1継続して実行する。更に、第1の時間t1経過後に、冷房時の低能力運転を少なくとも第2の時間t2は継続して実行する。
図7で示すように、運転制御部51は、移行運転において、所定の運転周波数に固定して圧縮機11を運転する。そして、運転制御部51は、低能力運転において、圧縮機11の運転周波数を低下させた後、低下後の運転周波数を維持して圧縮機11の運転を継続させる。この際、圧縮機11の運転周波数は、第3温度センサ33によって検出される蒸発温度と、第2温度センサ32によって検出される冷媒の出口温度との差から演算される過熱度が少なくとも移行運転の際よりも低くなるように設定される。また、図8で示すように、運転制御部51は、移行運転において、膨張弁14の開度を最小開度に絞る。そして、運転制御部51は、低能力運転において、膨張弁14の開度を移行運転で絞った最小開度に維持する。
更に、運転制御部51は、冷房時の低能力運転に移行後の第2の時間t2中は、低能力運転を継続する。換言すると、能力運転に移行後に第2の時間t2が経過するまでは室内温度が停止温度以下となっても冷房時のサーモオフ運転は行なわれない。低能力運転中の第2の時間t2経過後、室内温度が停止温度以下となった場合は、サーモオフ運転に移行する。また、低能力運転中に、圧縮機11の運転周波数が閾値αより大きくなった場合は、通常運転に移行する。比較例では、実施の形態1が移行運転を行っている第1の時間t1に相当する時間は、通常運転を行っている。
図9は、実施の形態1に係る冷房時の移行運転及び低能力運転における過熱度を説明するための図である。図10は、実施の形態1に係る冷房時の移行運転及び低能力運転における蒸発温度を説明するための図である。図9及び図10でも、図7及び図8と同様に、低能力運転への移行前に、移行運転を行う場合を実線で示し、移行運転を行わない場合を比較例として破線で示している。また、図9及び図10の横軸にとられた時間は、図7及び図8と同一の尺度で表されており、図7~図10はそれぞれ対応しているものとする。移行運転において、膨張弁14の開度を小さく絞ることによって、図9で示すように、移行運転及び低能力運転で過熱度が大きい運転状態が一定時間確保される。上述した移行運転が継続される第1の時間t1は、一定の過熱度が十分な時間確保できるまでの時間である。過熱度が確保されることで、図10で示すように、蒸発温度が一時的に低下する。
ところで、図7及び図8で示した比較例のように移行運転を行わない場合、即ち通常運転から低能力時運転への移行時に圧縮機11の運転周波数を低下させる制御のみを行う場合、図9で示すように、過熱度が低能力運転に移行直後に急低下することがある。この際に、液冷媒が圧縮機11に流入するため、圧縮機11破損のリスクが発生する。
これに対して、実施の形態11では、移行運転時に膨張弁14の開度を小さく絞ることで、過熱度を確保している。これにより、実施の形態11の空気調和装置100は、液冷媒の圧縮機11への流入を抑制している。
図11は、圧縮機の運転周波数と蒸発温度と顕熱能力及び潜熱能力との関係を示す図である。一般的に、低能力運転では、圧縮機の運転周波数が低いため、通常運転時と比較して冷媒流量が少なくなる。一方で、熱交換面積は同じであるため、風量及び過熱度を固定して考えた場合に、圧縮機の運転周波数が低くなるにつれ、図11に示すように蒸発温度が上がる。このため、蒸発温度が空調空気の露点温度よりも高くなり、潜熱処理量が少なくなることがあった。結果として、低能力運転時には室内の湿度が高くなってしまう傾向がある。
また、低能力運転時に除湿量を確保する方法として、室内機の風量を低下させ、膨張弁の開度を小さくすることが考え得る。これにより、過熱度が大きく確保され、冷媒の蒸発温度を低下させ、熱交換器の一部で冷却除湿を行うことが可能になる。しかしながら、熱交換器の一部で冷却除湿を発生させたとしても、結露発生量が少ないと熱交換器表面で水分が滞留する可能性もあり、実際の室内湿度が低下するのには時間がかかってしまう。加えて、蒸発温度が下がることによって、低能力運転時の効率が低下する課題が発生する。
これに対して、実施の形態11では、移行運転で膨張弁14の開度を小さく絞ることで、蒸発温度を低下させている。これにより、除湿量が確保され、除湿を促進することができる。したがって、空気調和装置100の快適性を維持することができる。
続いて、実施の形態1における暖房時の移行運転及び低能力運転における制御について詳しく説明する。図12は、実施の形態1に係る暖房時の移行運転及び低能力運転における圧縮機11の運転周波数の制御を説明するための図である。図13は、実施の形態1に係る暖房時の移行運転及び低能力運転における膨張弁14の開度の制御を説明するための図である。図12及び図13では、低能力運転への移行前に、移行運転を行う場合を実線で示し、移行運転を行わない場合を比較例として破線で示している。また、図12及び図13の横軸にとられた時間は、同一の尺度で表されており、それぞれ対応しているものとする。制御装置5は、暖房時の通常運転中に、圧縮機11の運転周波数が閾値β以下に低下した場合に、暖房時の移行運転を第3の時間t3継続して実行する。更に、第3の時間t3経過後に、暖房時の低能力運転を少なくとも第4の時間t4は継続して実行する。
図12で示すように、運転制御部51は、移行運転において、移行運転の開始から第5の時間t5経過後、圧縮機11の運転周波数を増加させる。このように、移行運転中に、圧縮機11の運転周波数を増加させる運転状態を事前運転と呼称する。事前運転は、第6の時間t6継続される。第6の時間t6経過後、運転制御部51は、事前運転を解除し、圧縮機11の運転周波数を事前運転の開始前のレベルに戻す。そして、運転制御部51は、低能力運転において、圧縮機11の運転周波数を低下させた後、低下後の運転周波数を維持して圧縮機11の運転を継続させる。この際、圧縮機11の運転周波数は、第2温度センサ32によって検出される冷媒の出口温度と、第3温度センサ33によって検出される冷媒の凝縮温度との差から演算される過冷却度が少なくとも移行運転の際よりも低くなるように設定される。または、圧縮機11の運転周波数は、第4温度センサ34によって検出される冷媒の入口温度と、第5温度センサ35によって検出される冷媒の出口温度との差から演算される過熱度が少なくとも移行運転の際よりも低くなるように設定される。
また、図13で示すように、運転制御部51は、事前運転時に膨張弁14の開度を大きくする。運転制御部51は、事前運転が解除されると、冷房時と同様に膨張弁14の開度を最小開度に絞る。そして、運転制御部51は、低能力運転において、膨張弁14の開度を移行運転で絞った最小開度に維持する。比較例では、移行運転を行っている第3の時間t3に相当する時間は、通常運転を行っている。
また、図14は、実施の形態1に係る暖房時の移行運転における風向の制御を説明するための図である。図14に示すように、風向制御部53は、事前運転時に、風向が通常運転時よりも下向き、又は少なくとも90°未満になるように風向板23の角度を調整する。更に、この際に、風量制御部52は、室内ファン22の風量を増加させる。
図15は、実施の形態1に係る暖房時の低能力運転における風向の制御を説明するための図である。風向制御部53は、事前運転が解除されると、図15に示すように、風向が移行運転時よりも水平寄り、又は少なくとも90°以上になるように、風向板23の角度を調整する。更に、この際に、風量制御部52は、室内ファン22の風量を事前運転の開始前のレベルに戻す。そして、低能力運転において、風向制御部53は風向板23の角度を水平寄りで維持させ、風量制御部52は室内ファン22の風量を低下させた状態で維持させる。
更に、運転制御部51は、暖房時の低能力運転に移行後の第4の時間t4中は、低能力運転を継続する。換言すると、低能力運転に移行後の第4の時間t4が経過するまでは室内温度が停止温度以上となっても暖房時のサーモオフ運転は行なわれない。低能力運転中の第4の時間t4経過後、室内温度が停止温度以下となった場合は、サーモオフ運転に移行する。また、低能力運転中に、圧縮機11の運転周波数が閾値βより大きくなった場合は、通常運転に移行する。
図16は、実施の形態1に係る暖房時の移行運転及び低能力運転における過熱度を説明するための図である。図17は、実施の形態1に係る暖房時の移行運転及び低能力運転における凝縮温度を説明するための図である。図16及び図17でも、図12及び図13と同様に、低能力運転への移行前に、移行運転を行う場合を実線で示し、移行運転を行わない場合を比較例として破線で示している。また、図16及び図17の横軸にとられた時間は、図12及び図13と同一の尺度で表されており、図12、図13、図16及び図17はそれぞれ対応しているものとする。移行運転において、膨張弁14の開度を小さく絞ることによって、図16で示すように、過熱度が大きい運転状態が一定時間確保される。移行運転が継続される第3の時間t3は、一定の過熱度が十分な時間確保できるまでの時間である。また、図17で示すように、事前運転において、圧縮機11の運転周波数及び風量を増加させることによって、凝縮温度が一時的に上昇する。その後、圧縮機11の運転周波数及び室内ファン22の風量を事前運転の開始前のレベルに戻し、膨張弁14の開度を最小開度に絞ったことによって、凝縮温度が低下する。
ところで、図12及び図13で示した比較例のように移行運転を行わない場合、即ち通常運転から低能力時運転への移行時に圧縮機11の運転周波数を低下させる制御のみを行う場合、図16で示すように、過熱度が低能力運転に移行直後に急低下することがある。この際に、液冷媒が圧縮機11に流入するため、圧縮機11破損のリスクが発生する。
これに対して、実施の形態11では、移行運転時に膨張弁14開度を小さく絞ることで、過熱度を確保している。これにより、実施の形態11の空気調和装置100は、液冷媒の圧縮機11への流入を抑制している。
また、暖房時の事前運転では、圧縮機11の運転周波数及び室内ファン22の風量を増加させることで凝縮温度を一時的に上昇させた際に、風向を下向きに制御している。これにより、図14で示すように、利用者Pの足元へ温風を供給し、空気調和装置100の快適性を向上させることができる。
更に、暖房時の事前運転の解除後において、風向を移行運転よりも水平に近い角度にしている。また、低能力運転において、室内ファン22の風量及び膨張弁14の開度を維持している。これにより、図15で示すように、移行運転時及び低能力運転時において、利用者Pに体温よりも温度が低い空気を供給することを抑制している。このように、空気調和装置100は、移行運転時及び低能力運転時における快適性を維持することができる。
図18は、実施の形態1に係る冷房時の空気調和装置100の動作を示すフローチャートである。図18を用いて、冷房時における空気調和装置100の動作について説明する。先ず、通常運転中に、所定の周期で、圧縮機11の運転周波数が閾値α以下になったか否かが判定される(S1)。圧縮機11の運転周波数が閾値αよりも大きい場合(S1:NO)、空気調和装置100は、通常運転を続行する。圧縮機11の運転周波数が閾値α以下の場合(S1:YES)、制御装置5は、移行運転を実行する。移行運転では、運転制御部51は、膨張弁14の開度を最小開度に制御する(S2)。
移行運転が第1の時間t1行われた後、制御装置5は、低能力運転を実行する。この際に、運転制御部51は、圧縮機11の運転周波数を低下させ、膨張弁14の開度を最小開度で維持する(S3)。
図19は、実施の形態1に係る暖房時の空気調和装置100の動作を示すフローチャートである。図19を用いて、暖房時における空気調和装置100の動作について説明する。先ず、通常運転中において、所定の周期で、圧縮機11の運転周波数が閾値β以下になったか否かが判定される(S11)。圧縮機11の運転周波数が閾値βよりも大きい場合(S11:NO)、空気調和装置100は、通常運転を続行する。圧縮機11の運転周波数が閾値β以下の場合(S11:YES)、制御装置5は、移行運転を実行する。移行運転では、制御装置5は、第5の時間t5の経過後に事前運転を実行する。事前運転では、運転制御部51は、一時的に圧縮機11の運転周波数を増加させ、膨張弁14の開度を大きくする。同時に、風量制御部52は、風量を増加させるように室内ファン22を制御し、風向制御部53は、風向が下向きになるように風向板23を制御する(S12)。その後、事前運転が解除されると、運転制御部51は、圧縮機11の運転周波数を事前運転の開始前のレベルに戻し、膨張弁14の開度を最小開度に絞る。同時に、風量制御部52は、室内ファン22の風量を事前運転の開始前のレベルに戻し、風向制御部53は、風向板23の向きを水平寄りに調整する(S13)。
移行運転が第3の時間t3行われた後、制御装置5は、低能力運転を実行する。この際に、運転制御部51は、圧縮機11の運転周波数を低下させると共に、膨張弁14の開度を最小開度で維持する(S14)。
実施の形態1の空気調和装置100では、低能力運転を実施する前に、膨張弁14の開度を小さくする移行運転を実施している。これにより、本開示の空気調和装置100は、冷凍サイクルにおける過熱度を確保し、適切な運転範囲で低能力運転を行うことができる。よって、実施の形態1の空気調和装置100では、例えば、冷房及び暖房運転の低能力運転において過熱度が低下することで、液冷媒が圧縮機11に流入するようなリスクが低減されている。したがって、空気調和装置100の信頼性を向上させることができる。
また、実施の形態1では、低能力運転に移行後、所定の第2の時間及び第4の時間が経過するまでは、サーモオフ運転が行われない。図20は、実施の形態1に係る暖房時の移行運転及び低能力運転における圧縮機11の周波数と室温との関係を示す図である。図20では、低能力運転への移行前に、移行運転を行う場合を実線で示し、移行運転を行わない場合を比較例として破線で示している。概して、空調対象空間が高気密に保たれた室内である場合、圧縮機の運転周波数を制御した後に、急激な温度の変化が現れることがある。この場合、比較例では、圧縮機の暖房停止温度と、暖房開始温度とを交互に満たすことになり、発停運転が発生することがある。これに対して、実施の形態1では、低能力運転中の第4の時間t4は、サーモオフ運転が行われないため、このような室内の急激な温度変化に伴う、圧縮機11の発停運転が発生することを抑制することができる。なお、冷房時についての説明は省略するが、冷房時でも同様に、圧縮機11の発停運転が発生することを抑制することができる。
また、実施の形態1では、移行運転において、膨張弁14の開度は、最小開度に絞られている。これにより、低能力運転において過熱度を最大限確保することができる。
以上が本開示の実施の形態の説明であるが、上記の実施の形態の構成に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で様々な変形又は組み合わせが可能である。例えば、移行運転においては、膨張弁14の開度は、最小開度に絞られるものとして説明したが、膨張弁14の開度を移行運転開始前の開度よりも減少させればよく、最小開度以外に制御してもよい。
また、運転制御部51は、低能力運転において移行運転よりも室外ファン15の風量を低下させるようにしてもよい。更に、風量制御部52は、移行運転において膨張弁14の開度が最小開度に制御される際に、室内ファン22の風量を移行運転開始前のレベルよりも低下させてもよい。加えて、低能力運転において室内ファン22の風量を更に低下させるようにしてもよい。
一般的に、空調能力が小さい低能力運転においては、冷凍サイクル全体の効率を高めるよりも、風量を小さくすることで運転効率が上昇することが知られている。低能力運転において移行運転よりも室内ファン22及び室外ファン15の風量を低下させた場合、低能力運転時における省エネルギー化を実現させることができる。
また、冷房時の移行運転では、室内ファン22の風量を下げることで、除湿量を更に多くすることができる。また、暖房時の移行運転及び低能力運転では、室内ファン22の風量を下げることで、吹出し温度を維持することができ、利用者にとっての冷風感が緩和される。よって、空気調和装置100の快適性と省エネルギー化とを両立させることができる。
なお、移行運転において膨張弁14の開度を調節する際に、既に膨張弁14が最小開度となっていた場合に限定して、室内ファン22及び室外ファン15の風量を低減させるようにしてもよい。
また、実施の形態1においては、低能力運転では、膨張弁14の開度を固定することとしたが、膨張弁14の開度を調整することとしてもよい。
また、暖房時の事前運転の一部又は全部の制御を省略してもよい。
また、実施の形態1においては、低能力運転を圧縮機11の運転周波数が下限値付近で動作し、空気調和装置100の空調能力が600W以下、又は空調の定格能力に対して30%以下に制御された状態での運転として説明した。また、移行運転への移行を判定するために、低能力運転を行っている際に示される、圧縮機11の下限値付近の運転周波数よりも大きい値の運転周波数を閾値として用いるものとして説明した。しかしながら、これらの運転状態の指標、及び閾値は一例であり、適宜、変更又は調整を行うようにしてもよい。例えば、移行運転への移行を、吸込み温度センサ36が検出した室内温度と、吹出し温度センサ37が検出した吹出温度との差が所定の温度以下であることを条件に判定するようにしてもよい。
1 室外機、2 室内機、5 制御装置、11 圧縮機、12 流路切替弁、13 室外熱交換器、14 膨張弁、15 室外ファン、20a 吸込口、20b 吹出口、21 室内熱交換器、22 室内ファン、23 風向板、31 第1温度センサ、32 第2温度センサ、33 第3温度センサ、34 第4温度センサ、35 第5温度センサ、36 吸込み温度センサ、37 吹出し温度センサ、51 運転制御部、52 風量制御部、53 風向制御部、100 空気調和装置。
Claims (9)
- 空調対象空間の状況に応じて運転周波数が調節される圧縮機と、
開度を調節可能な膨張弁と、
前記圧縮機と前記膨張弁とを制御し、低能力運転を実行する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記圧縮機の運転周波数が閾値よりも低下した場合に、前記膨張弁の開度を低下させる移行運転を実行した後、前記圧縮機の運転周波数を前記移行運転時の運転周波数よりも低下させる前記低能力運転を実行する
空気調和装置。 - 前記制御装置は、
前記低能力運転において、前記圧縮機の運転を継続し、
前記空調対象空間の温度に関わらず、前記低能力運転を続行させる
請求項1に記載の空気調和装置。 - 前記制御装置は、
前記低能力運転において、前記膨張弁の開度を固定する
請求項1又は2に記載の空気調和装置。 - 前記空調対象空間に空気を送る室内ファンを更に備え、
前記制御装置は、
冷房時の前記移行運転において、前記室内ファンの風量を低下させる
請求項1~3の何れか1項に記載の空気調和装置。 - 前記空調対象空間に空気を送る室内ファンと、
前記室内ファンから前記空調対象空間へ吹出される空気の向きを変える風向板と、を更に備え、
前記制御装置は、
暖房時の前記移行運転において、前記膨張弁の開度を小さくする前に、前記圧縮機の運転周波数を上昇させると共に、前記風向板を下向きに設定する
請求項1~3の何れか1項に記載の空気調和装置。 - 前記制御装置は、
暖房時の前記移行運転において、前記圧縮機の運転周波数を上昇させている間は、前記室内ファンの風量を増加させる
請求項5に記載の空気調和装置。 - 前記制御装置は、
前記移行運転において、
前記圧縮機の運転周波数を上昇させた後、前記圧縮機の運転周波数を低下させると共に、前記風向板を水平に設定する
請求項5又は6に記載の空気調和装置。 - 前記空調対象空間に空気を送る室内ファンと、
前記空調対象空間に設けられた室外ファンと、を更に備え、
前記制御装置は、
前記低能力運転において、前記室内ファンと前記室外ファンとの風量を前記移行運転よりも低下させる
請求項1~3の何れか1項に記載の空気調和装置。 - 前記制御装置は、
前記移行運転において、前記膨張弁の開度を最小開度に設定する
請求項1~8の何れか1項に記載の空気調和装置。
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