JP2022161456A - ブレーキ装置及びエレベータ用巻上機 - Google Patents

ブレーキ装置及びエレベータ用巻上機 Download PDF

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Abstract

Figure 2022161456000001
【課題】エレベータ用巻上機に必要とされる制動力を備えつつ組立が容易となるブレーキ装置を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係るブレーキ装置は、回転軸の周方向に制動面を有し、制動面に回転軸の方向に凹部が形成されているブレーキドラムと、制動面に接触してブレーキドラムの動作を制動する、凹部の形状に対応して設けられたライニングを有するブレーキシューと、を備え、ライニングは、凹部の形状に対応する位置からずれた位置において制動面に接触するように構成されており、ブレーキシューは、ブレーキ動作に伴って制動面の方向へ移動しライニングが制動面に接触すると制動面に沿ってライニングが凹部の形状に対応する位置まで移動しブレーキドラムの動作を制動するブレーキ装置である。
【選択図】図4

Description

本開示は、ブレーキ装置及びエレベータ用巻上機に関する。
従来、エレベータ用巻上機に使用されるブレーキ装置では、エレベータ用巻上機の電動機の回転に伴い回転するブレーキドラムの制動面に対してライニングを押し付けることで制動するものがある。
エレベータ用巻上機のブレーキ装置において、制動力を高めるためにブレーキドラムに凹形接触部を設け、ライニングに凸形接触部を設けておき、凸形接触部に凹形接触部を嵌合させて制動するものがある。
特開2000-337407号公報
しかし、従来のブレーキ装置では、凸形接触部に凹形接触部を嵌合させて制動するため凹形接触部の位置を凸形接触部と嵌合する位置に設置する必要があり、高い組立精度が要求されるものとなっていた。
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、エレベータ用巻上機に必要とされる制動力を備えつつ組立が容易なブレーキ装置を得ることを目的とする。
本開示に係るブレーキ装置は、回転軸の周方向に制動面を有し、制動面に回転軸の方向に凹部が形成されているブレーキドラムと、制動面に接触してブレーキドラムの動作を制動する、凹部の形状に対応して設けられたライニングを有するブレーキシューと、を備え、ライニングは、凹部の形状に対応する位置からずれた位置において制動面に接触するように構成されており、ブレーキシューは、ブレーキ動作に伴って制動面の方向へ移動しライニングが制動面に接触すると制動面に沿ってライニングが凹部の形状に対応する位置まで移動しブレーキドラムの動作を制動するブレーキ装置である。
本開示に係るブレーキ装置によれば、エレベータ用巻上機に必要とされる制動力を備えつつ組立が容易となる。
実施の形態1に係るエレベータ用巻上機を含むエレベータ全体図 実施の形態1に係るエレベータ用巻上機の側面図 実施の形態1のブレーキ装置の正面図 図3のA-A断面図 実施の形態1に係るブレーキ装置が制動していない状態のブレーキドラムとブレーキシューの状態を示す図 実施の形態1に係るブレーキ装置のライニングが制動面に接触した状態を示す図 実施の形態1に係るブレーキ装置の制動状態を示す図 制動面にライニングが接触した状態の拡大図 実施の形態1のブレーキ装置の変形例を示す図
以下に、本開示の実施の形態について添付の図面を用いて説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。なお、以下に説明される実施の形態により本開示が限定されるものではない。
実施の形態1.
本開示のブレーキ装置について図1から図4に基づいて説明する。図1は、エレベータ用巻上機を含むエレベータの全体図である。図2は、エレベータ用巻上機の側面図である。図3は、エレベータ用巻上機が備えるブレーキ装置の正面図である。図4は、図3のA-A断面図である。
図1に示すように、エレベータは、エレベータが昇降する昇降路の頂部に設けられる機械室にエレベータ用巻上機1を備えている。また、エレベータは、エレベータ用巻上機1に巻き掛けられるロープ2と、ロープ2の一端に連結されるかご3と、ロープ2の他端にはそらせ車4を介して連結される釣合おもり5を備えている。
図2に示すように、エレベータ用巻上機1は、電動機6、綱車7、回転軸8、軸受9を備えている。電動機6は、回転式のモータであり、電気によって回転軸8を回転させる。綱車7は回転軸8に取り付けられており、エレベータのかご3を昇降させるためのロープ2が掛けられている。回転軸8は、軸受9によって回転可能に支持されている。電動機6によって、回転軸8及び綱車7が回転させられることにより、エレベータのかご3が昇降する。
図3に示すように、エレベータ用巻上機1には2つのブレーキ装置10が取り付けられているが、これに限定されるものではない。実施の形態1においては、ブレーキ装置10は、エレベータ用巻上機1を正面から見て左右の位置に2つ取り付けられている。ブレーキ装置10は、ブレーキドラム11の内側に配置され、ブレーキドラム11の内側から外側へ向けてライニング13を接触するものとなっている。なお、ブレーキ装置10の配置はこれに限定されるものではない。
図4に示すように、ブレーキ装置10は、ブレーキドラム11、ブレーキシュー12、ライニング13、フィールド21、アーマチュア22、制動ばね23、コイル24を備えている。ブレーキ装置10は、ブレーキドラム11に制動力を与える。ブレーキドラム11は、回転軸8の周方向に制動面14を有している。ブレーキドラム11は、回転軸8と共に回転する。
アーマチュア22とブレーキシュー12は互いに連結されている。したがって、ブレーキシュー12は、アーマチュア22と一体となって制動ばね23の弾性力によってブレーキドラム11側に移動可能となっている。ライニング13は、ブレーキシュー12を介して取り付けられている。また、コイル24はフィールド21に埋め込まれており、通電することで電磁石として機能する。
フィールド21は、エレベータ用巻上機1の本体に固定されている。制動ばね23は、フィールド21とアーマチュア22の間に縮められた状態で配置されている。また、制動ばね23は、フィールド21に設けられたくぼみに配置されている。これにより、制動ばね23は、アーマチュア22をフィールド21から離れる方向へ弾性力により押し出す。
コイル24に通電されていない状態において、アーマチュア22及びブレーキシュー12は制動ばね23によって押し出されてブレーキドラム11側に移動する。その結果、ブレーキシュー12に取り付けられたライニング13がブレーキドラム11に押し付けられる。これにより、ライニング13とブレーキドラム11の間の摩擦力によって、ブレーキドラム11に制動力が与えられる。
これとは逆にコイル24に通電すると、鉄などの金属からなるアーマチュア22をコイル24が電磁力によって吸引し、ブレーキシュー12及びアーマチュア22がフィールド21の方向に移動する。これにより、ライニング13がブレーキドラム11から離れるため、ブレーキ装置10の制動力が開放される。
図4に示すように、ブレーキドラム11の制動面14は、断面がV字状となる凹部15を有している。以下、凹部15はV字状であるとして説明するがこれに限られるものではない。
ブレーキドラム11は、回転軸8の回転方向の全周に渡って当該V字状の制動面14を有している。V字状は、言い換えれば回転軸8の方向における一方の端部(内側端部)から他方の端部(外側端部)へ向かってブレーキドラム11の外径が次第に大きくなり、その後外径が次第に小さくなるような形状である。また、V字状の制動面14は回転軸8の方向に対称な形状となっている。V字状に形成された制動面14は、2つの傾斜面により線対称に形成されている。傾斜面は、回転軸8の方向に対してある角度を有して形成される面である。なお、回転軸8の方向において制動面14の最も窪んだ位置(V字状の先端部分)は制動面14における中心位置又は凹部15の中心位置(図中の一点鎖線位置)とも称する。
ブレーキドラム11の制動面14の中心位置は、ブレーキドラム11の回転軸8の方向の内側から外側へ向かってブレーキドラム11の外径が大きくなり、その後外径が小さくなるように変化する点、すなわちブレーキドラム11の外径が最も大きくなる位置ともいえる。
ライニング13は、ブレーキドラム11の制動面14の凹部15の形状に対応して設けられている。ここでは、ライニング13は、V字状の制動面14を形成する2つの面に接触してブレーキドラム11を制動するものとなっている。なお、回転軸8の方向において制動面14の凹部15の最も窪んだ位置に対応するライニング13の位置をライニング13の中心位置ともいう。ブレーキシュー12の形状は、ブレーキドラム11の制動面14の凹部15の形状に対応するV字状としているが、これに限られるものではなく、少なくともライニング13がブレーキドラム11の制動面14の凹部15の形状に対応する形状となっていればよい。
ライニング13は、ブレーキシュー12のV字状の形状を形成する2つの面のそれぞれに設けられている。この場合、ライニング13の中心位置は、回転軸8の方向においてブレーキシュー12のV字状を形成する位置を仮想の中心位置とする(図中の波線位置)。なお、ライニング13は、ブレーキシュー12のV字状に沿って設けてもよく、その場合、ライニング13の形状はV字状となる。
また、ブレーキ装置10は、ブレーキシュー12を回転軸8の方向へ変位させる変位手段16を備えている。変位手段16は、ブレーキシュー12を回転軸8の方向に変位させられるものであれば特に限定されない。変位手段16は、例えば弾性力によりブレーキシュー12を変位させるものであり、一例としてばねである。以下ばねを用いる場合について説明する。
ばねは、回転軸8の方向においてブレーキシュー12の側面に連結されている。ばねの一方の端部はエレベータ用巻上機1に固定され、他方の端部がブレーキシュー12に連結される。ばねはブレーキシュー12を回転軸8の方向の内側へ押し出すように配置されている。ばねがブレーキシュー12を回転軸8の方向の内側へ押し出す場合、ばねは縮めた状態でブレーキシュー12に連結されることとなる。これによりブレーキシュー12は、ばねが伸びようとする弾性力により回転軸8の方向へ変位することとなる。なお、ばねはブレーキシュー12に直接連結してもよいし別の部材を介して間接的に連結してもよい。
また、ばねは、ブレーキシュー12を回転軸8の方向の外側へ変位させるように配置してもよい。この場合は、ばねは伸ばした状態でブレーキシュー12に連結されることとなり、縮もうとする弾性力によりブレーキシュー12を変位させることとなる。
ばねによりブレーキシュー12は変位させられるため、ブレーキ装置10が制動していない状態のブレーキシュー12の中心位置は、V字状となっているブレーキドラム11の制動面14の中心位置に対してずれた位置となっている。すなわち、ライニング13が制動面14の凹部15の形状に対応する位置からずれた位置において制動面14に接触するように構成されている。変位手段16は、直線方向に伸縮可能なアームや棒状の機構等を用いてもよい。すなわち、変位手段16は、ブレーキシュー12に対して回転軸8の方向へ変位させる力を作用できるものであればばねに限定されない。また、変位手段16によりブレーキシュー12を回転軸8の方向に変位させる方向は回転軸8の方向のいずれの方向であってもよい。
また、ブレーキ装置10は、規制手段17を備えている。規制手段17は、例えばブレーキシュー12の回転軸8の方向への変位を規制するガイドである。規制手段17は、変位手段16と対向する位置に設けられており、ばねの弾性力を受けて回転軸8の方向へ変位したブレーキシュー12と接触し、ブレーキシュー12を規制している。すなわち、規制手段17は変位手段16により変位したブレーキシュー12が回転軸8の方向へさらに変位しないように規制するものである。これによりブレーキ動作の際にブレーキシュー12は、回転軸8の方向への変位を規制されて制動面14の方向へ移動することとなる。ガイドによりブレーキシュー12の変位を規制することでブレーキシュー12を制動面に対して所定の位置で接触させることができる。
なお、ばねがブレーキシュー12を回転軸8の方向の外側へ変位させるように配置されている場合は、ガイドはブレーキシュー12が回転軸8の方向の外側へ変位することを規制する位置に設けられることとなる。ガイドは、例えばブレーキシュー12に対してばねに隣接する位置に配置され、ブレーキシュー12が回転軸8の方向の外側へ変位しすぎないように規制する。
以上の説明ではばねは回転軸8の方向の外側に配置し、ガイドは同方向の内側に配置するとしたが、ばねを回転軸8の方向の内側に配置し、ガイドを同方向の外側に配置するようにしてもよい。
ブレーキシュー12は、ブレーキ動作に伴って制動面14の方向へ移動し、ライニング13が制動面14に接触すると制動面14に沿って移動する。その結果、ブレーキシュー12に設けられたライニング13が制動面14の凹部15の形状に対応する位置まで移動し2つのライニング13が制動面14に接触しブレーキドラム11の動作を制動することとなる。言い換えれば、ライニング13の中心位置が凹部15の中心位置からずれた状態でライニング13が制動面14に接触し、ライニング13の中心位置と凹部15の中心位置が一致する位置までブレーキシュー12が制動面14に沿って移動する。凹部15がV字状である場合は、V字状の制動面14を形成する2つの面にライニング13が接触する位置までブレーキシュー12が制動面14に沿って移動することとなる。
なお、ブレーキドラム11は、制動面14がV字状のものについて説明したが、凹部15を形成しておりライニング13により制動力が発生するものとなっていればよい。ライニング13及びブレーキシュー12の形状についても同様に当該凹部15に対応する形状となっていればよい。また、制動面14の形状は、V字状の他、U字状、またW字状等2個以上のV字状を有するものとしてもよい。また、V字状の先端部分が平坦となった形状であってもよい。
また、変位手段16は必ずしも用いる必要はなく、ライニング13が制動面14に接触していない状態においてブレーキドラム11の制動面14に対してブレーキシュー12がずれた位置となっていればよい。すなわち、ブレーキ装置10は、ライニング13の一部が制動面14に接触し、その後、ブレーキシュー12が制動面14に沿って動作し、ライニング13が制動面14の凹部15の形状に対応する位置で制動面14に接触しブレーキドラム11を制動するものであればよい。また、規制手段17についても必ずしも用いる必要はない。
続いて、ブレーキ装置10の動作について図5から図7を用いて説明する。図5から図7は、ブレーキ装置10の制動動作を説明する図である。図5から図7では、ブレーキ装置10の要部のみを示している。
図5は、ブレーキ装置10が制動していない状態のブレーキドラム11とブレーキシュー12の状態を示す図である。図6は、ライニング13が制動面14に接触した状態を示す図である。図7は、ブレーキ装置10の制動状態を示す図である。
図5では、ブレーキ装置10が制動していない状態を示す。図5に示すように、ライニング13の中心位置は、ブレーキドラム11の制動面14の凹部15の中心位置からずれた位置となっている。また、ばねは、弾性力によりブレーキシュー12を押し込み、ブレーキシュー12を回転軸8の方向の外側(紙面左側)から内側(紙面右側)へ変位させている。すなわち、ブレーキシュー12は、ブレーキドラム11に対して回転軸8の方向の内側へずれた状態となっている。
ブレーキシュー12は、ばねの弾性力により回転軸8の方向の内側へ変位し、側面が規制手段17であるガイドと接触している。
続いて図6を用いて説明する。制動ばね23によりアーマチュア22がフィールド21から離れる方向へ押し出されると、ブレーキシュー12はブレーキドラム11の制動面14の方向へ移動する。図6に示すように、ブレーキシュー12は制動面14の方向へ移動すると、一方のライニング13が制動面14に接触する。ライニング13が制動面14に接触するとブレーキドラム11の制動が行われる。このようにブレーキ装置10は、ブレーキシュー12がブレーキドラム11に対して回転軸8の方向の内側にずれた状態で制動ばね23により押し出され、ブレーキドラム11の制動面14に向かって移動し、ライニング13が制動面14に接触して制動動作をすることとなる。
ブレーキシュー12には制動面14の傾斜方向へ沿ってブレーキドラム11の制動面14の凹部15の中心へ向かう力が作用する。ブレーキシュー12は、一方のライニング13を介して制動面14から摩擦力を受けつつ凹部15の中心の方向へ移動し、回転軸8の方向の外側の他方のライニング13が制動面14に接触する。
図7に示すように他方のライニング13が制動面14に接触すると、両方のライニング13が制動面14に接触し、ブレーキシュー12の中心とブレーキドラム11の中心とが一致することとなる。すなわち、ライニング13の中心位置と凹部15の中心位置が一致することとなる。これは、縮んだ状態のばねの弾性力に対して制動ばね23がブレーキシュー12を押し出す力が上回るためである。また、ブレーキシュー12はガイドから離接してブレーキシュー12とガイドには隙間が形成されている。
このようにブレーキ装置10は、制動面14に形成されたV字状の凹部15を有するブレーキドラム11に対してライニング13を凹部15の形状に対応する位置で接触させて制動動作を行う。すなわち、ブレーキ装置10は、制動ばね23がブレーキシュー12を押し出す力によりブレーキシュー12が凹部15に沿って移動して2つのライニング13が制動面14に対して接触し適切にブレーキドラム11を制動することができる。そのためブレーキ装置10では、ブレーキシュー12とブレーキドラム11との距離を高精度に調整せずとも制動動作を行うことができる。したがって、ブレーキ装置10は、エレベータ用巻上機1に必要とされる制動力を備えつつ組立が容易なものとなる。
その後、コイル24がアーマチュア22を吸引すると、アーマチュア22がフィールド21側へ移動し、ライニング13が制動面14から離れる。ライニング13が制動面14から離れると、制動ばね23がブレーキシュー12を押し出す力が制動面14に作用しなくなり、ばねはブレーキシュー12を回転軸8の方向の内側へ押し出すこととなる。
その結果、ブレーキ装置10は図5に示す状態に戻り、ブレーキシュー12はばねの弾性力により変位させられブレーキシュー12の中心位置とブレーキドラム11の中心位置とがずれた位置となる。すなわち、ライニング13の中心位置と凹部15の中心位置とがずれた状態となる。
ここで、ライニング13が制動面14に接触する際の力の作用について説明する。図8は、ライニング13が制動面14に接触した状態の拡大図である。図8に示すように回転軸8の方向の内側(紙面右側)のライニング13がブレーキドラム11の制動面14に接触すると鉛直方向へF1の力が作用する。ここで制動面14に対して垂直な方向へ作用する力はF2とする。
従来のような、制動面14が平面であるブレーキドラム11に対してF0の力によりライニング13を押し付けていた場合と同じ力を与えるとすると、F1はF0の半分の値となる。これはブレーキドラム11が有するV字状の制動面14の左右の面に対して均等に力が作用するためである。
ブレーキドラム11の制動面14と鉛直方向とが形成する角度をαとすると、F2と水平方向とが形成する角度がαとなる。そうすると、F2はF1をsinαで割った値により表すことができる。F1とF2の関係より、F2はF1よりも大きい値となる。V字状の制動面14に対して両方のライニング13が接触すると、両方のライニング13から制動面14に対してF2の力を作用することとなる。すなわち、ブレーキシュー12は、ブレーキドラム11に対してF2を2倍した値の力を作用することとなる。F2はF1よりも大きいことからF2を2倍した値はF0よりも大きくなる。したがってF0の値を超える力がブレーキドラム11に対して作用することとなる。
このようにブレーキ装置10は、エレベータ用巻上機1に必要とされる制動力を発揮することができる。
以上のように、ブレーキ装置10は、回転軸8の周方向に制動面14を有し、制動面14に回転軸8の方向に凹部15が形成されているブレーキドラム11と、制動面14に接触してブレーキドラム11の動作を制動する、凹部15の形状に対応して設けられたライニング13を有するブレーキシュー12と、を備え、ライニング13は、凹部15の形状に対応する位置からずれた位置において制動面14に接触するように構成されており、ブレーキシュー12は、ブレーキ動作に伴って制動面14の方向へ移動しライニング13が制動面14に接触すると制動面14に沿ってライニング13が凹部15の形状に対応する位置まで移動しブレーキドラム11の動作を制動するものである。これによりエレベータ用巻上機1に必要とされる制動力を備えつつ組立が容易なブレーキ装置10を得ることができる。
また、ブレーキ装置10は、凹部15の形状に対応する位置からずれた位置でライニング13を制動面14に接触させて制動を行う。すなわち、ライニング13の制動面14への接触を分散して行うので、ライニング13がブレーキドラム11に接触する際の衝撃を和らげることができ接触時の衝撃音を低減することができる。
また、ブレーキ装置10は、ブレーキドラム11の制動面14をV字状としたので制動面14の傾斜によりブレーキドラム11に作用する力を大きくすることができる。これによりブレーキシュー12とブレーキドラム11との間のストロークの調整幅を大きくすることができ、ブレーキ調整作業を省力化することができる。
なお、ブレーキドラム11は凹部15が形成された制動面14を有するものとして以上説明したが、図9に示すように、制動面14の形状とライニング13(ブレーキシュー12)の形状の関係は逆にしても成り立つのはもちろんである。すなわち、制動面14において回転軸の方向に凸部を形成し、ライニング13を当該凸部の形状に対応する形状となるようにブレーキシュー12に設けるようにしてもよい。
この場合、ブレーキ装置10は、回転軸8の周方向に制動面14を有し、制動面14に回転軸8の方向に凸部18が形成されているブレーキドラム11と、制動面14に接触してブレーキドラム11の動作を制動する、凸部18の形状に対応して設けられたライニング13を有するブレーキシュー12と、を備え、ライニング13は、凸部18の形状に対応する位置からずれた位置において制動面14に接触するように構成されており、ブレーキシュー12は、ブレーキ動作に伴って制動面14の方向へ移動しライニング13が制動面14に接触すると制動面14に沿ってライニング13が凸部18の形状に対応する位置まで移動しブレーキドラム11の動作を制動するものである。これによりエレベータ用巻上機1に必要とされる制動力を備えつつ組立が容易なブレーキ装置10を得ることができる。
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示のブレーキ装置10は、実施の形態1で説明した形態には限られず、本開示の内容の一部を示すものである。本開示のブレーキ装置10は、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、適宜、組み合わせる等、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 エレベータ用巻上機、2 ロープ、3 かご、4 そらせ車、5 釣合おもり、6 電動機、7 綱車、8 回転軸、9 軸受、10 ブレーキ装置、11 ブレーキドラム、12 ブレーキシュー、13 ライニング、14 制動面、15 凹部、16 変位手段、17 規制手段、18 凸部、21 フィールド、22 アーマチュア、23 制動ばね、24 コイル

Claims (11)

  1. 回転軸の周方向に制動面を有し、前記制動面に前記回転軸の方向に凹部が形成されているブレーキドラムと、
    前記制動面に接触して前記ブレーキドラムの動作を制動する、前記凹部の形状に対応して設けられたライニングを有するブレーキシューと、を備え、
    前記ライニングは、前記凹部の形状に対応する位置からずれた位置において前記制動面に接触するように構成されており、
    前記ブレーキシューは、ブレーキ動作に伴って前記制動面の方向へ移動し前記ライニングが前記制動面に接触すると前記制動面に沿って前記ライニングが前記凹部の形状に対応する位置まで移動し前記ブレーキドラムの動作を制動するブレーキ装置。
  2. 前記凹部は、V字状に形成されている請求項1に記載のブレーキ装置。
  3. 前記凹部は、前記回転軸の方向に対称な形状となっている請求項1又は2に記載のブレーキ装置。
  4. 前記ライニングは、当該ライニングの中心位置が前記凹部の中心位置からずれた位置において前記制動面に接触する請求項1から請求項3の何れか1項に記載のブレーキ装置。
  5. 前記凹部は、V字状に形成されており、
    前記ブレーキシューは、前記ライニングが前記制動面に接触するとV字状の前記凹部を形成する2つの面に前記ライニングが接触する位置まで前記制動面に沿って移動し前記ブレーキドラムの動作を制動する請求項4に記載のブレーキ装置。
  6. 前記ブレーキシューを前記回転軸の方向に変位させる変位手段を更に備え、
    前記ライニングは、前記変位手段により前記ブレーキシューが変位することで前記凹部の形状に対応する位置からずれた位置において前記制動面に接触するように構成されている請求項1から請求項5の何れか1項に記載のブレーキ装置。
  7. 前記変位手段は、弾性力により前記ブレーキシューを前記回転軸の方向に変位させる請求項6に記載のブレーキ装置。
  8. 前記変位手段は、ばねである請求項7に記載のブレーキ装置。
  9. 前記ブレーキシューの前記回転軸の方向への変位を規制する規制手段を更に備え、
    前記規制手段は、前記変位手段により変位した前記ブレーキシューの変位を規制し、
    前記ブレーキシューは、前記規制手段により前記回転軸の方向への変位を規制されて前記制動面の方向へ移動する請求項6から請求項8の何れか1項に記載のブレーキ装置。
  10. 回転軸の周方向に制動面を有し、前記制動面に前記回転軸の方向に凸部が形成されているブレーキドラムと、
    前記制動面に接触して前記ブレーキドラムの動作を制動する、前記凸部の形状に対応して設けられたライニングを有するブレーキシューと、を備え、
    前記ライニングは、前記凸部の形状に対応する位置からずれた位置において前記制動面に接触するように構成されており、
    前記ブレーキシューは、ブレーキ動作に伴って前記制動面の方向へ移動し前記ライニングが前記制動面に接触すると前記制動面に沿って前記ライニングが前記凸部の形状に対応する位置まで移動し前記ブレーキドラムの動作を制動するブレーキ装置。
  11. 請求項1から請求項10の何れか1項に記載のブレーキ装置を備えるエレベータ用巻上機。
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