JP2022159769A - デオキシハロゲノグルコン酸誘導体及びその製造方法、並びに、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体及びその製造方法 - Google Patents

デオキシハロゲノグルコン酸誘導体及びその製造方法、並びに、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022159769A
JP2022159769A JP2021064164A JP2021064164A JP2022159769A JP 2022159769 A JP2022159769 A JP 2022159769A JP 2021064164 A JP2021064164 A JP 2021064164A JP 2021064164 A JP2021064164 A JP 2021064164A JP 2022159769 A JP2022159769 A JP 2022159769A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formula
acid derivative
represented
carbon atoms
deoxysulfonyloxygluconic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021064164A
Other languages
English (en)
Inventor
雅彦 関
Masahiko Seki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP2021064164A priority Critical patent/JP2022159769A/ja
Publication of JP2022159769A publication Critical patent/JP2022159769A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】新規な化合物であるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体、及びデオキシハロゲノグルコン酸誘導体及びその製造方法を提供する。【解決手段】式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体、及びそのスルホニルオキシをハロゲン置換したデオキシハロゲノグルコン酸誘導体である。JPEG2022159769000044.jpg5897[R1は、炭素数1~6のアルキル基等;R2は、炭素数1~6のアルキル基;R3は、炭素数1~12のアルキル基等である。]【選択図】なし

Description

本発明は、新規な化合物であるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体及びその製造方法、並びに、デオキシハロゲノグルコン酸誘導体の中間体として有用な、新規な化合物であるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体及びその製造方法に関する。
下記式(3A)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステル(以下、「AHM」とも称する。)は、例えば、糖尿病に代表される慢性疾患の治療に用いられるSGLT2阻害薬等の種々の医薬品の合成原料として用いられる有用な化合物である(非特許文献1)。
Figure 2022159769000001
非特許文献1には、トリフルオロ酢酸(TFA)を含有する無水酢酸(AcO)中に下記式(1)で表されるD-グルコノ-1,5-ラクトン(以下、「GLC」とも称する。)を混合して、下記式(2A)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコノ-1,5-ラクトン(以下、「ALC」とも称する。)を得た後、該ALCを、p-トルエンスルホン酸存在下でメタノールと反応させてAHMを得る方法が記載されている。
Figure 2022159769000002
Figure 2022159769000003
Tetrahedron 58 (2002) 6907-6911
本発明の目的は、新規な化合物であるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体及びその製造方法、並びに、新規な化合物であるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、塩基存在下、後述する式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体をスルホニル化及び臭素化することにより、後述する式(5)で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体を高収率で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一実施の形態に係るデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体は、下記式(4)で表される化合物である。
Figure 2022159769000004
前記式(4)において、Rは、炭素数1~6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基であり、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のハロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基である。
本発明の他の実施の形態に係るデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法は、塩基存在下、下記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体と下記式(6)で表されるスルホニル化剤とを接触させて、前記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体を製造することを含む。
Figure 2022159769000005
前記式(3)において、R及びRは、前記式(4)で表されるものと同義である。
Figure 2022159769000006
前記式(6)において、Rは、前記式(4)で表されるものと同義であり、X’は、ハロゲン原子である。
前記塩基は、アルキルアミン系の塩基、及び環状アミン系の塩基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、前記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体1モルに対して、前記塩基を0.001モル以上5.0モル以下使用することが好ましい。
前記式(6)で表されるスルホニル化剤は、アルキルスルホニルクロリド、ハロアルキルスルホニルクロリド、アリールスルホニルクロリド及びハロアリールスルホニルクロリドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、前記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体1モルに対して、前記式(6)で表されるスルホニル化剤を1.0モル以上5.0モル以下使用することが好ましい。
前記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体と前記式(6)で表されるスルホニル化剤との接触は、塩化メチレン、酢酸エチル及びアセトニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒を含む第1の反応溶媒中で実施することが好ましい。
本発明の他の実施の形態に係るデオキシハロゲノグルコン酸誘導体は、下記式(5)で表される化合物である。
Figure 2022159769000007
前記式(5)において、Rは、炭素数1~6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基であり、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Xは、ハロゲン原子である。
本発明の他の実施の形態に係るデオキシハロゲノグルコン酸誘導体の製造方法は、下記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体とハロゲン化剤とを接触させて、下記式(5’)で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体を製造することを含む。
Figure 2022159769000008
前記式(4)において、Rは、炭素数1~6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基であり、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Rは、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のハロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基である。
Figure 2022159769000009
前記式(5’)において、R及びRは、前記式(4)で表されるものと同義であり、X’’は、前記ハロゲン化剤由来のハロゲン原子である。
前記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体1モルに対して、前記ハロゲン化剤を1.0モル以上5.0モル以下使用することが好ましい。
前記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体と前記ハロゲン化剤との接触は、非プロトン性極性溶媒を含む第2の反応溶媒中で実施することが好ましい。
本発明の他の実施の形態に係るデオキシハロゲノグルコン酸誘導体の製造方法は、上述したデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘体の製造方法により前記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体を製造した後、得られた該式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体とハロゲン化剤とを接触させて、下記式(5’)に示すデオキシハロゲノグルコン酸誘導体を製造することを含む。
Figure 2022159769000010
前記式(5’)において、R及びRは、前記式(4)で表されるものと同義であり、X’’は、前記ハロゲン化剤由来のハロゲン原子である。
本発明に係る実施形態によると、新規な化合物であるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体及びその製造方法、並びに、新規な化合物であるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体及びその製造方法が提供される。
以下、本発明に係る一実施の形態について詳細に説明する。
アザグルコース誘導体やチオグリコース誘導体等の出発原料として、下記式(5A-2)で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体((5S)-2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-ブロモ-D-グルコン酸メチルエステル、以下、「ABM」とも称する。)が有効な化合物と考えられている。
Figure 2022159769000011
ABMの製造方法として、下記式(3’)で表されるグルコン酸誘導体から直接的に合成する方法が検討されている。
Figure 2022159769000012
上記式(3’)において、R~R10は、アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基であり、それぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
しかしながら、上記式(3’)で表されるグルコン酸誘導体への位置選択的、かつ立体選択的な臭素基の導入が困難であり、これまでに該グルコン酸誘導体から直接的にABMを合成する方法は実現されていなかった。
本発明の一実施の形態に係るデオキシハロゲノグルコン酸誘導体の製造方法は、下記反応式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体から、下記式(4)で表される新規な化合物であるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体を製造中間体として経由し、下記式(5)で表される新規な化合物であるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体を製造することを含む。
Figure 2022159769000013
以下、式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体及びその製造方法、並びに、式(5)で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体及びその製造方法についてそれぞれ順に詳細を説明する。
[デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体]
本発明の一実施の形態に係るデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体は、下記式(4)で表される化合物(テトラアシルデオキシスルホニルオキシグルコン酸エステル系化合物)である。このデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体は、例えば、糖尿病に代表される慢性疾患の治療に用いられるSGLT2阻害薬等の種々の医薬品の合成原料として用いることができる。
Figure 2022159769000014
式(4)において、Rは、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基である。Rは、アルキル基である。Rは、アルキル基、ハロアルキル基、アラルキル基、又はアリール基である。Rは、それぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。中でも、Rは、それぞれ同一の基であることが好ましい。
は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数7~20のアラルキル基、又は炭素数6~20のアリール基である。前記アラルキル基又は前記アリール基は、それぞれ置換基を有してもよい。この置換基としては、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれるハロゲン基、又はニトロ基が挙げられる。該置換基は、好ましくは、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン基、又はニトロ基である。該置換基は、より好ましくは、メチル基、メトキシ基、ハロゲン基、又はニトロ基である。
は、より好ましくは、炭素数1~3のアルキル基、炭素数6~8のアリール基であり、中でも、メチル基、フェニル基が好適である。なお、Rがメチル基のとき、アシル基(-C(=O)R)は、アセチル基(Ac)であり、Rがフェニル基のとき、アシル基(-C(=O)R)は、ベンゾイル基(Bz)である。
は、炭素数1~6のアルキル基であり、より好ましくは、炭素数1~3のアルキル基であり、中でもメチル基が好適である。
は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のハロアルキル基、炭素数7~20のアラルキル基、又は炭素数6~20のアリール基である。前記アラルキル基又は前記アリール基は、それぞれ置換基を有してもよい。この置換基としては、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれるハロゲン基、又はニトロ基が挙げられる。該置換基は、好ましくは、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン基、又はニトロ基である。該置換基は、より好ましくは、メチル基、メトキシ基、ハロゲン基、又はニトロ基であり、中でも、メチル基、ハロゲン基が特に好ましい。また、ハロゲン基は、反応性を考慮すると、塩素原子が好適である。また、Rは、より好ましくは、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のハロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6~8のアリール基であり、具体的には、メチル基、ハロメチル基(特にクロロメチル基)、フェニル基、トリル基(特にp-トリル基)、トリクロロフェニル基(特に2,4,6-トリクロロフェニル基及び2,4,5-トリクロロフェニル基)が好適である。
[デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法]
前記のデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体は、塩基存在下、上記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体と上記式(6)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる。すなわち、本発明の一実施の形態に係るデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法は、塩基存在下、上記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体と上記式(6)で表されるスルホニル化剤とを接触させて、上記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体を製造することを含む。
<テトラアシルグルコン酸誘導体>
テトラアシルグルコン酸誘導体は、本製造方法の一目的物であるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法における一基質である。テトラアシルグルコン酸誘導体は、下記式(3)で表される化合物(テトラアシルグルコン酸エステル系化合物)である。
Figure 2022159769000015
式(3)において、RおよびRは、前記式(4)のものと同義である。
(好適なテトラアシルグルコン酸誘導体)
上記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体としては、その有用性を考慮すると、Rがメチル基であるテトラアセチルグルコン酸エステル誘導体、Rがフェニル基であるテトラベンゾイルグルコン酸エステル誘導体が好ましい。中でも、下記式(3A)又は(3B)で表される化合物をより好ましいものとして挙げることができる。
Figure 2022159769000016
式(3A)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステル)は、上記式(3)においてR及びRがともにメチル基である化合物である。式(3B)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-D-グルコン酸メチルエステル)は、上記式(3)においてRがフェニル基であり、Rがメチル基である化合物である。なお、式(3A)及び(3B)中の「Me」は、メチル基を表す。また、中でも、操作性が良い点で、式(3B)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体が特に好ましい。
<スルホニル化剤>
スルホニル化剤は、テトラアシルグルコン酸誘導体の水酸基に作用して、スルホニル基(-(O=S=O)-)を結合する(すなわち、スルホニル化する)反応剤である。スルホニル化剤は、下記式(6)で表される化合物である。
Figure 2022159769000017
前記式(6)において、Rは、前記式(4)のものと同義である。
X’は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、中でも、塩素原子が特に好ましい。
すなわち、式(6)で表されるスルホニル化剤としては、好ましくは、以下の化合物が挙げられる。
メタンスルホニルクロリド(「メシルクロリド」とも称する。式(6)においてRがメチル基であり、X’が塩素原子である化合物。)等のアルキルスルホニルクロリド;
クロロメタンスルホニルクロリド(「クロロメシルクロリド」とも称する。式(6)において、Rがクロロメチル基であり、Xが塩素原子である化合物。)等のハロアルキルスルホニルクロリド;
ベンゼンスルホニルクロリド(式(6)においてRがフェニル基であり、X’が塩素原子である化合物。)、p-トルエンスルホニルクロリド(式(6)において、Rがp-トリル基であり、X’が塩素原子である化合物。)等のアリールスルホニルクロリド;
2,4,6-トリクロロベンゼンスルホニルクロリド(「2,4,6-トリクロロベンゼンスルホン酸クロリド」とも称する。式(6)において、Rが2,4,6-トリクロロフェニル基であり、X’が塩素原子である化合物。)、2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニルクロリド(「2,4,5-トリクロロベンゼンスルホン酸クロリド」とも称する。式(6)において、Rが2,4,5-トリクロロフェニル基であり、X’が塩素原子である化合物。)等のハロアリールスルホニルクロリド等が挙げられる。以下、表1に、上述した好ましいスルホニル化剤をまとめる。
Figure 2022159769000018
スルホニル化剤としては、より好ましくは、メタンスルホニルクロリド、2,4,6-トリクロロベンゼンスルホニルクロリド、又は2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニルクロリドである。メタンスルホニルクロリドは、目的物であるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の収率を高め、また結晶性を向上させる点でより好ましい。2,4,6-トリクロロベンゼンスルホニルクロリド及び2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニルクロリドは、目的物の収率向上、結晶性の向上に加え、生成物の高い脱離能に起因する臭素化に対する反応性向上の点でより好ましい。
スルホニル化剤の使用量は、特に限定されるものではないが、上記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体1モルに対して、スルホニル化剤を1.0モル以上5.0モル以下使用すればよく、好ましくは、スルホニル化剤を1.0モル以上3.0モル以下使用する。
なお、前記のスルホニル化剤は、1種類のみを使用してもよく、複数の種類のスルホニル化剤を混合して使用してもよい。複数のスルホニル化剤を混合して使用する場合は、使用する複数のスルホニル化剤の合計量が前記の範囲を満足すればよい。
<塩基>
テトラアシルグルコン酸誘導体とスルホニル化剤とは、塩基存在下で接触させる。塩基は、スルホニル化剤がアシル基に作用してアシル基を外してしまう脱アシル反応を抑制するため、求核性が低く塩基性が高いものが好適である。塩基は、有機塩基が好ましく、中でも、アルキルアミン系の塩基、環状アミン系の塩基、又は芳香族アミン系の塩基等から選択すればよい。
アルキルアミン系の塩基は、好ましくは、炭素数1~5のアルキルアミン化合物であり、より好ましくは、トリエチルアミンである。環状アミン系の塩基は、環状構造中に窒素原子を含む化合物である。前記環状構造中に窒素原子を含む化合物としては、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N-メチルイミダゾール等が挙げられる。また、芳香族アミン系の塩基としては、N,N-ジエチルアニリンが挙げられる。塩基は、上述の点で、N-メチルイミダゾールが好適である。
なお、塩基は、後述する第1の反応溶媒としても機能し得るものであってもよい。上述の塩基のうち、例えば、ピリジンは、塩基としての機能に加えて、第1の反応溶媒としても機能し得る。
塩基の使用量は、特に限定されるものではないが、上記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体1モルに対して、塩基を0.001モル以上5.0モル以下使用すればよく、好ましくは、塩基を0.05モル以上3.0モル以下使用する。
なお、前記の塩基は、1種類のみを使用してもよく、複数の種類の塩基を混合して使用してもよい。複数の塩基を混合して使用する場合は、使用する複数の塩基の合計量が前記の範囲を満足すればよい。
<デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造法>
上述したように、本実施の形態に係る製造方法では、塩基存在下、テトラアシルグルコン酸誘導体とスルホニル化剤とを接触させて、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体を得る。塩基存在下、テトラアシルグルコン酸誘導体とスルホニル化剤とを接触させる際は、これらを均一に反応させるために第1の反応溶媒中で実施することが好ましい。
(第1の反応溶媒)
第1の反応溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-メチルTHF)、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ等のエ-テル類;アセトン等のケトン類;ジクロロメタン(塩化メチレン)、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF),N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド類等の有機溶媒や水を挙げることができる。これら溶媒は、単独で、又はこれらの混合溶媒として用いることができる。
第1の反応溶媒は、好ましくは、塩化メチレン、酢酸エチル、アセトニトリル、又はこれらの混合溶媒である。
第1の反応溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、上記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体1gに対して、第1の反応溶媒を1mL以上50mL以下使用すればよく、好ましくは、第1の反応溶媒を2mL以上30mL以下使用する。なお、第1の反応溶媒として混合溶媒を使用する場合には、混合溶媒の全量が前記範囲を満足すればよい。
(各成分を接触させる(混合する)方法)
各成分を接触させる方法は、特に制限されるものではない。例えば、攪拌機構を備えた反応容器内に、各成分を投入して混合してよい。各成分を混合することにより、塩基存在下、テトラアシルグルコン酸誘導体とスルホニル化剤とを接触させることができる。各成分を反応容器内に投入する手順は、特に制限されるものではない。
例えば、第1の反応溶媒中にテトラアシルグルコン酸誘導体を溶解させ、この溶解液と塩基と混合した後、これらの混合物とスルホニル化剤とを混合してもよい。この場合、溶解液と塩基との混合物にスルホニル化剤を滴下することにより、該混合物とスルホニル化剤とを混合してもよい。このとき、スルホニル化剤は、例えば、0.1時間以上1.0時間以内の時間をかけて滴下してもよい。スルホニル化剤を滴下するときの該混合物の温度は、0℃以上15℃以下としてよい。
また、例えば、第1の反応溶媒中にテトラアシルグルコン酸誘導体を溶解させた溶解液とスルホニル化剤と混合した後、これらの混合物と塩基とを混合してもよい。この場合、溶解液とスルホニル化剤との混合物に塩基を滴下することにより、該混合物と塩基とを混合してもよい。このとき、塩基は、例えば、0.5分から3分以下の時間をかけて前記の混合物に滴下してよい。
なお、スルホニル化剤は、例えば、0.5分以上3分以下の時間をかけて前記の溶解液に加えてもよい。また、スルホニル化剤を加えるときの溶解液の温度は、例えば、0℃以上15℃以下としてよい。スルホニル化剤を比較的短い時間で加えることにより、テトラアシルグルコン酸誘導体とスルホニル化剤との反応による急激な発熱を抑制することができる。
また、スルホニル化剤は、基質の消費量を見ながら段階的に加えてよい。また、スルホニル化剤と塩基とをともに、テトラアシルグルコン酸誘導体を溶解させた溶解液に加えてもよい。
上記の反応は、塩基存在下、テトラアシルグルコン酸誘導体とスルホニル化剤とを混合(接触)させることにより実施できる。このとき、これらの各成分を攪拌混合する際の反応温度は、例えば、-10℃以上50℃以下であればよく、好ましくは、0℃以上40℃以下である。
反応時間は、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体への転化率を確認し、反応が完結する時間に適宜決定すればよい。反応時間は、例えば、0.5時間以上10時間以下であればよく、好ましくは、1時間以上6時間以下とすることもできる。
反応終了後は、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体を精製することが好ましい。精製は、例えば、以下の方法で行うことができる。すなわち、反応液に水や有機溶媒を加えて希釈及び抽出を行い、有機層を分離し、分離された有機層を洗浄し、乾燥、濃縮等の処理を行う。この有機溶媒としては、クロロホルム、酢酸エチル等を用いてよい。有機層の洗浄には、例えば、水、食塩水等を用いてよい。このとき、pHを調整するために、酸(塩酸等)やアルカリを適宜加えてよい。有機層の乾燥には、例えば、硫酸マグネシウムを用いてよい。濃縮は、減圧処理により行ってよい。
反応液を濃縮することにより残渣が得られる。目的物が結晶化しやすいものである場合、残渣に酢酸エチル等を加えて結晶化し、濾過することにより目的物を精製してよい。また、目的物が結晶化しにくいものである場合、シリカゲルカラムを用いて目的物を精製してよい。
<デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体>
塩基存在下、テトラアシルグルコン酸誘導体とスルホニル化剤とを接触させると、下記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体が得られる。
Figure 2022159769000019
(好適なデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体)
好適な原料である式(3A)で表される化合物を基質として使用した場合、上記式(4’)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体として、下記式(4Aa)、(4Ab)、(4Ac)、(4Ad)、(4Ae)又は(4Af)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体(テトラアセチルデオキシスルホニルオキシグルコン酸エステル誘導体)を得ることができる。また、好適な原料である式(3B)で表される化合物を基質として使用した場合、上記式(4’)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体として、下記式(4Ba)、(4Bb)、(4Bc)、(4Bd)、(4Be)又は(4Bf)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体(d)を得ることができる。なお、式(4Aa)及び(4Ba)中の「Ms」は、メシロキシ基(-(O=S=O)CH)を示す。
Figure 2022159769000020
式(4Aa)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-メシロキシ-D-グルコン酸メチルエステル)は、塩基存在下、式(3A)で表される化合物と式(6A)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる化合物である。
式(4Ab)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-クロロメシロキシ-D-グルコン酸メチルエステル)は、塩基存在下、式(3A)で表される化合物と式(6B)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる化合物である。
式(4Ac)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-ベンゼンスルホニルオキシ-D-グルコン酸メチルエステル)は、塩基存在下、式(3A)で表される化合物と式(6C)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる化合物である。
式(4Ad)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-(p-トルエンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステル)は、塩基存在下、式(3A)で表される化合物と式(6D)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる化合物である。
式(4Ae)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-(2,4,6-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステル)は、塩基存在下、式(3A)で表される化合物と式(6E)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる化合物である。
式(4Af)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-(2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステル)は、塩基存在下、式(3A)で表される化合物と式(6F)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる化合物である。
式(4Ba)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-メシロキシ-D-グルコン酸メチルエステル)は、塩基存在下、式(3B)で表される化合物と式(6A)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる化合物である。
式(4Bb)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-クロロメシロキシ-D-グルコン酸メチルエステル)は、塩基存在下、式(3B)で表される化合物と式(6B)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる化合物である。
式(4Bc)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-ベンゼンスルホニルオキシ-D-グルコン酸メチルエステル)は、塩基存在下、式(3B)で表される化合物と式(6C)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる化合物である。
式(4Bd)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-(p-トルエンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステル)は、塩基存在下、式(3B)で表される化合物と式(6D)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる化合物である。
式(4Be)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-(2,4,6-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステル)は、塩基存在下、式(3B)で表される化合物と式(6E)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる化合物である。
式(4Bf)で表される化合物(2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-(2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステル)は、塩基存在下、式(3B)で表される化合物と式(6F)で表されるスルホニル化剤とを接触させることにより得られる化合物である。
[デオキシハロゲノグルコン酸誘導体]
本発明の一実施の形態に係るデオキシハロゲノグルコン酸誘導体は、下記式(5)で表される化合物(テトラアシルデオキシハロゲノグルコン酸エステル系化合物)である。このデオキシハロゲノグルコン酸誘導体は、例えば、糖尿病に代表される慢性疾患の治療に用いられるSGLT2阻害薬等の種々の医薬品の合成原料として用いることができる。
Figure 2022159769000021
式(5)において、Rは、前記式(4)のものと同義である。Xは、好ましくは、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子であり、中でも、反応性や安定性を考慮すると、臭素原子であることがより好ましい。
[デオキシハロゲノグルコン酸誘導体の製造方法]
デオキシハロゲノグルコン酸誘導体は、上述したデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体をハロゲン化することにより得られる。すなわち、本発明の一実施の形態に係るデオキシハロゲノグルコン酸誘導体の製造方法は、上記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体とハロゲン化剤とを接触させて、デオキシハロゲノグルコン酸誘導体を製造することを含む。
<デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体>
デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体は、デオキシハロゲノグルコン酸誘導体の製造方法における基質である。デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体は、上記式(4)で表される化合物であり、詳細は、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体で述べたとおりである。
なお、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体は、前記のデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法で製造したものを単離精製して使用してもよく、精製することなく第1の反応溶媒等を留去したものを使用してもよい。また、上述したデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法以外の方法で合成されたものを使用してもよい。
<ハロゲン化剤>
ハロゲン化剤は、上記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体中の-O-(O=S=O)Rを該ハロゲン化剤由来のハロゲン原子に置換(以下、「ハロゲン化」とも称する。)する反応剤である。
ハロゲン化剤のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。中でも、反応性を考慮すると、ハロゲン原子としては、臭素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化剤としては、塩素化剤、臭素化剤、又はヨウ素化剤が挙げられ、好ましくは、臭素化剤である。
ハロゲン化剤は、ハロゲン原子を含む化合物であり、好ましくは、ハロゲン原子とアルカリ金属とを含むハロゲン化アルカリ金属、又は窒素原子を含む化合物である。
ハロゲン化アルカリ金属におけるアルカリ金属としては、反応性の高い、リチウム、ナトリウム、カリウム又はセシウムが好ましく、中でもリチウムが特に好ましい。すなわち、ハロゲン化アルカリ金属は、好ましくは、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、又はハロゲン化セシウムであり、中でもハロゲン化リチウムが特に好ましい。ハロゲン化剤である、好適なハロゲン化アルカリ金属を具体的に例示すると、臭化リチウム(リチウムブロミド)、臭化ナトリウム(ナトリウムブロミド)、臭化カリウム(カリウムブロミド)、又は臭化セシウム(セシウムブロミド)であり、より好ましくは、臭化リチウム(リチウムブロミド)である。
窒素原子を含むハロゲン化剤は、四級アンモニウム塩(四級アンモニウムハライド)が好ましく、テトラアルキルアンモニウムハライドがより好ましく、具体的には、テトラ-N-ブチルアンモニウムブロミドを含む。
ハロゲン化剤の使用量は、特に限定されるものではないが、式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体1モルに対して、ハロゲン化剤を1.0モル以上5.0モル以下使用すればよく、好ましくは、ハロゲン化剤を1.0モル以上3.0モル以下使用する。
<デオキシハロゲノグルコン酸誘導体の製造法>
上述したように、本実施の形態に係る製造方法では、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体とハロゲン化剤とを接触させて、デオキシハロゲノグルコン酸誘導体を得る。デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体とハロゲン化剤とを接触させる際は、これらを均一に反応させるために第2の反応溶媒中で実施することが好ましい。
(第2の反応溶媒)
第2の反応溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;THF、2-メチルTHF、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ等のエ-テル類;アセトン等のケトン類;ジクロロメタン(塩化メチレン)、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル類;N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N、N-ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類等の有機溶媒;1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)等の非プロトン性極性溶媒;水を挙げることができる。これら溶媒は、単独で、又はこれらの混合溶媒として用いることができる。
第2の反応溶媒は、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを含むことが好ましい。1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンのような非プロトン性極性溶媒は、ハロゲン化反応を促進させることができるためである。
第2の反応溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、上記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体1gに対して、第2の反応溶媒を1mL以上30mL以下使用すればよく、好ましくは、第2の反応溶媒を2mL以上20mL以下使用する。なお、第2の反応溶媒として混合溶媒を使用する場合には、混合溶媒の全量が前記範囲を満足すればよい。
(各成分を接触させる(混合する)方法)
各成分を接触させる方法は、特に制限されるものではない。例えば、攪拌機構を備えた反応容器内に、各成分を投入して混合してよい。各成分を混合することにより、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体とハロゲン化剤とを接触させることができる。各成分を反応容器内に投入する手順は、特に制限されるものではない。例えば、第2の反応溶媒中にデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体を溶解させ、この溶解液とハロゲン化剤とを混合してもよい。
デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体とハロゲン化剤との反応は、これらを混合(接触)させることにより実施できる。これら成分を攪拌混合する際の反応温度は、例えば、10℃以上100℃以下であればよく、好ましくは、20℃以上60℃以下であればよい。
反応時間は、デオキシハロゲノグルコン酸誘導体への転化率を確認し、反応が完結する時間に適宜決定すればよい。反応時間は、例えば、0.5時間以上10時間以下とすればよく、好ましくは、1時間以上8時間以下とすることもできる。
反応終了後は、デオキシハロゲノグルコン酸誘導体を精製することが好ましい。精製は、例えば、反応液を有機溶媒等で希釈し、水層の抽出乃至有機層の分離を行い、分離された有機層を洗浄し、乾燥及び減圧濃縮によって残渣を得た後、この残渣をシリカゲルカラムに供することによって行うことができる。反応液の希釈には、例えば、飽和食塩水を用いてよい。有機溶媒には、例えば、酢酸エチルを用いてよい。洗浄には、例えば、水、飽和食塩水等を用いてよい。乾燥には、例えば、硫酸マグネシウムを用いてよい。また、精製されたものを有機溶媒に溶解させて攪拌及び濾過することによって不純物を除去した後、再結晶化して精製してもよい。
<デオキシハロゲノグルコン酸誘導体>
デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体とハロゲン化剤とを接触させると、式(5’)で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体が得られる。
Figure 2022159769000022
式(5’)において、R及びRは、式(4)で表されるものと同義である。X’’は、前記のハロゲン化剤由来のハロゲン原子である。
(好適なデオキシハロゲノグルコン酸誘導体)
好適な原料として、上述した式(4Aa)乃至(4Af)で表されるテトラアセチルデオキシスルホニルオキシグルコン酸エステル誘導体を使用した場合、上記(5’)式で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体として、下記式(5A-1)乃至(5A-3)で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体(テトラアセチルデオキシハロゲノグルコン酸エステル誘導体)を得ることができる。
また、上述した式(4Ba)乃至(4Bf)で表されるテトラベンゾイルデオキシスルホニルオキシグルコン酸エステル誘導体を使用した場合、上記(5’)式で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体として、下記式(5B-1)乃至(5B-3)で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体(テトラベンゾイルデオキシハロゲノグルコン酸エステル誘導体)を得ることができる。
Figure 2022159769000023
これらの中でも、ハロゲン化剤として臭素化剤を使用することで得られる、式(5A-2)で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体((5S)-2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-ブロモ-D-グルコン酸メチルエステル)、及び式(5B-2)で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体((5S)-2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-ブロモ-D-グルコン酸メチルエステル)が特に好適である。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。以下では、(I)テトラアセチルデオキシハロゲノグルコン酸エステル誘導体の製造に係る例(製造例1~2及び実施例1~5)、及び(II)テトラベンゾイルデオキシハロゲノグルコン酸エステル誘導体の製造に係る例(製造例3~4及び実施例6~7)をそれぞれ説明する。なお、下記の実施例は、例示的に示す具体例であって、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
(I)テトラアセチルデオキシハロゲノグルコン酸エステル誘導体の合成
ここでは、(i)原料であるテトラアセチルグルコン酸エステル誘導体を製造し(製造例1及び2)、(ii)該原料から、目的物の製造中間体としてのテトラアセチルデオキシスルホニルオキシグルコン酸エステル誘導体を合成し(実施例1~4)、(iii)該テトラアセチルデオキシスルホニルオキシグルコン酸エステル誘導体から、目的物としてのテトラアセチルデオキシハロゲノグルコン酸エステル誘導体を合成した(実施例5)。それぞれを順に説明する。
(i)原料の製造
<製造例1>
(テトラアセチルグルコノラクトン誘導体の合成)
以下の方法で、下記反応式(1)で表されるD-グルコノ-1,5-ラクトン(GLC)を使用して、下記反応式(2A)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコノ-1,5-ラクトン(ALC)を合成した。
Figure 2022159769000024
D-グルコノ-1,5-ラクトン(100g、0.56mmol、1.0eq)の無水酢酸(600mL)懸濁液に16℃でトリフルオロ酢酸(50mL)を滴下した(15分/16→24℃)した。滴下終了後25℃で3時間攪拌した。反応液を減圧濃縮後、トルエンで置換濃縮することにより(3x400mL)することにより、2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコノ-1,5-ラクトンを得た(200g、quant.)。
式(2A)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコノ-1,5-ラクトンのNMR分光の分析結果は、以下のとおりであった。
H-NMR(CDCl)δ:2.08-2.17(m,12H)、4.28-4.40(m,2H)、4.60-4.65(m,1H)、5.10-5.12(m,1H)、5.35-5.40(m,1H)、5.54-5.58(m,1H)。
<製造例2>
(テトラアセチルグルコン酸エステル誘導体の合成)
以下の方法で、下記反応式(2A)に示す2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコノ-1,5-ラクトン(ALC)を使用して、下記式(3A)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステル(AHM)を合成した。
Figure 2022159769000025
製造例1で得た2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコノ-1、5-ラクトンのメタノール(2L)溶液に、p-トルエンスルホン酸1水和物(3g、15mmol、0.027eq)を加え室温で1時間攪拌後、減圧濃縮した。濃縮残渣にヘプタン(500mL)を加えた後、15分加熱還流した。その後、25℃で1時間し析出した結晶を濾過することにより、2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステルを得た(211g、99.4%)。
式(3A)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステルについて得られた分析結果は、以下のとおりであった。
融点(以下、単に「Mp」とも称する。) 114-116℃。
IR νmax(KBr)1730cm-1
H-NMR(CDCl)δ:5.71-5.73(m,1H),5.30-5.31(m,1H),5.18-5.21(m,1H),4.12-4.14(m,2H),3.86-3.92(m,1H),3.74(s,3H),3.13(brs,1H),2.17,2.16,2.14,2.10-2.16(m,12H)。
(ii)製造中間体の合成
<実施例1>
以下の方法で、下記反応式(3A)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステル(AHM)を使用して、下記式(4Aa)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-メシロキシ-D-グルコン酸メチルエステルを合成した。
Figure 2022159769000026
製造例2で得た2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステル(757mg、2mmol)の酢酸エチル(4mL)溶液にトリエチルアミン(328mg、3.24mmol,1.62eq)、及びN,N-ジメチルアミノピリジン(5.4mg、0.044mmol,0.022eq)を加え、メタンスルホニルクロリド(458mg、4mmol)を5℃で15分かけて滴下した。同温で2時間攪拌後、水(10ml)、及びクロロホルム(10mL)を加えた。有機層を水洗(10mL)、硫酸マグネシウム上乾燥、減圧濃縮後、濃縮残渣へ酢酸エチルを加えて結晶化、濾過することにより、2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-メシロキシ-D-グルコン酸メチルエステルを得た(633mg、69.3%)。
式(4Aa)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-メシロキシ-D-グルコン酸メチルエステルについて得られた分析結果は、以下のとおりであった。
Mp 132-133℃。
IR νmax(KBr)1758、1738cm-1
H-NMR(CDCl)δ:5.31-5.55(m,1H)、5.28(s,1H)、4.97-4.973(m,1H)、4.28-4.38(m,2H)、3.75(s,3H)、3.09(s,3H)、2.10-2.18(m,12H)。
<実施例2>
以下の方法で、下記反応式(3A)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステル(AHM)を使用して、下記式(4Ab)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-クロロメシロキシ-D-グルコン酸メチルエステルを合成した。
Figure 2022159769000027
製造例2で得た2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステル(8.46g、22.37mmol、1.0eq)のピリジン(85mL)溶液に0℃以下でクロロメタンスルホニルクロリド(4.02g、26.8mmol、1.2eq)を加えた後25で1時間攪拌した。クロロメタンスルホニルクロリド(0.67g、4.47mmol、0.2eq、)を追加し、1時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(170mL)、水(170mL)に希釈した後、有機層を水洗(170mL)、希塩酸(3x160mL)、及び飽和食塩水(160mL)で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラム(酢酸エチル)で精製することにより、2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-クロロメシロキシ-D-グルコン酸メチルエステルを得た(9.93g、90%)。
式(4Ab)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-クロロメシロキシ-D-グルコン酸メチルエステルについて得られた分析結果は、以下のとおりであった。
Mp 61-64℃。
IR νmax(KBr)1750、1740cm-1
H-NMR(CDCl)δ:5.54-5.58(m,2H)、5.29-5.30(m,1H)、5.03-5.08(m,1H)、4.67(s,2H)、3.75(s,3H)、2.04-2.19(m,12H)。
<実施例3>
以下の方法で、下記反応式(3A)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステル(AHM)を使用して、下記式(4Ae)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-(2,4,6-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステルを合成した。
Figure 2022159769000028
製造例2で得た2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステル(1.00g、2.64mmol、1.0eq)のアセトニトリル(10mL)溶液を5℃まで冷却し、2,4,6-トリクロロベンゼンスルホン酸クロリド(1.00g、3.57mmol、1.3eq)を1分で加えた(発熱無し)。次いで、N-メチルイミダゾール(0.48g、5.84mmol、2.2eq)を滴下した(1分、5→7℃)後、25℃で3時間攪拌した。反応液を水(40mL)に希釈した後、酢酸エチル(2x30mL)で抽出、食塩水(2x30mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上乾燥後、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマト精製(n-ヘキサン/酢酸エチル=4:1)することにより、2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-(2,4,6-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステルを得た(0.90g、55%)。
式(4Ae)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-(2,4,6-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステルについて得られた分析結果は、以下のとおりであった。
IR νmax(KBr)1748cm-1
H-NMR(CDCl)δ:7.51(s,2H)、5.51-5.55(m,2H)、5.25-5.26(m,1H)、5.00-5.02(m,1H)、4.18-4.34(m,2H)、3.74(s,3H)、1.92-2.14(m,12H)。
<実施例4>
以下の方法で、下記反応式(3A)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステル(AHM)を使用して、下記式(4Af)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-(2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステルを合成した。
Figure 2022159769000029
製造例2で得た2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-D-グルコン酸メチルエステル(1.00g、2.64mmol、1.0eq)のアセトニトリル(10mL)溶液を5℃まで冷却し、2,4,5-トリクロロベンゼンスルホン酸クロリド(1.00g、3.57mmol、1.3eq)を1分間で加えた。次いで、反応液に、N-メチルイミダゾール(0.48g、5.84mmol、2.2eq)を滴下した(1分、5→7℃)。添加終了後25℃で5時間攪拌した。反応液を水(40mL)で希釈した後、酢酸エチル(2x30mL)で抽出、食塩水(2x30mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上乾燥後、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマト精製(n-ヘキサン/酢酸エチル=4:1)することにより2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-(2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステルを得た(0.85g、52%)。
式(4Af)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-(2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステルについて得られた分析結果は、以下のとおりであった。
Mp 89-90℃。
IR νmax(KBr)1748cm-1
H-NMR(CDCl)δ:8.09(s,1H)、7.67(s,1H)、5.49-5.51(m,2H)、5.26-5.27(m,1H)、4.95-4.96(m,1H)、4.18-4.34(m,2H)、3.71(s,3H),1.93-2.18(m,12H)。
(iii)目的物の合成
<実施例5>
以下の方法で、下記反応式(4Af)で表される2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-(2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステルを使用して、下記式(5A-2)で表される(5S)-2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-ブロモ-D-グルコン酸メチルエステルを合成した。
Figure 2022159769000030
実施例4で得た2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-(2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステル(0.50g、0.8mmol、1.0eq)の1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI、4mL)溶液に臭化リチウム(0.14g、1.6mmol、2.0eq)を加え、50℃で2時間攪拌した。反応液を飽和食塩水(30mL)に希釈した後、水層を酢酸エチル(2x20mL)抽出後、有機層を、飽和食塩水(3x20mL)洗浄、硫酸マグネシウム上乾燥後減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマト精製(n-ヘキサン/酢酸エチル=3:1)することにより無色オイル状の(5S)-2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-ブロモ-D-グルコン酸メチルエステルを得た(307mg、87%)。
式(5A-2)で表される(5S)-2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-5-デオキシ-5-ブロモ-D-グルコン酸メチルエステルについて得られた分析結果は、以下のとおりであった。
H-NMR(CDCl)δ:5.71-5.74(m,1H)、5.40-5.41(m,1H)、5.29-5.30(m,1H)、4.10-4.29(m,3H)、3.73(s,3H)、2.04-2.21(m,12H)。
(II)テトラベンゾイルデオキシハロゲノグルコン酸エステル誘導体の合成
ここでは、(i)原料であるテトラベンゾイルグルコン酸エステル誘導体を製造し(製造例3及び4)、(ii)該原料から、目的物の製造中間体としてのテトラベンゾイルデオキシスルホニルオキシグルコン酸エステル誘導体を合成し(実施例6)、(iii)該テトラベンゾイルデオキシスルホニルオキシグルコン酸エステル誘導体から、目的物としてのテトラベンゾイルデオキシハロゲノグルコン酸エステル誘導体を合成した(実施例7)。それぞれを順に説明する。
(i)原料の合成
<製造例3>
(テトラベンゾイルグルコノラクトン誘導体の合成)
以下の方法で、下記反応式(1)で表されるD-グルコノ-1,5-ラクトン(GLC)を使用して、下記反応式(2B)で表される2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-D-グルコノ-1,5-ラクトンを合成した。
Figure 2022159769000031
D-グルコノ-1,5-ラクトン(50g、280mmol、1.0eq)のクロロホルム溶液(500mL)にピリジン(111g、1.40mol、5.0eq)を加え内温0℃まで冷却した。この溶液に、ベンゾイルクロライド(197g、1.40mol、5.0eq)を滴下した(1時間/0-9℃)。滴下途中攪拌困難になったため、クロロホルム(300mL)追加した。その後、25℃で5時間攪拌した。
反応液を1N塩酸(1L)に希釈した後分液し、有機層を飽和重曹水(500mL)、飽和食塩水(500mL)で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウム上乾燥、減圧濃縮した。濃縮残渣にトルエン(1L)を加え、固体を70~80℃で溶解させた。その後、25℃で1時間攪拌し、析出した固体を濾過した。ろ取した固体をトルエン(200mL)、及びヘキサン(200mL)で洗浄後、減圧乾燥(減圧、55℃、3hr)することにより、2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-D-グルコノ-1,5-ラクトンを得た(93g、56%)。
一夜母液を室温で静置し析出した結晶を濾過、乾燥することにより、目的物の2番晶を得た(36g)。1番晶、2番晶の合計:129g(77%)。
式(2B)で表される2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-D-グルコノ-1,5-ラクトンについて得られた分析結果は、以下のとおりであった。
Mp 178-179C。
IR νmax(Nujol)1755、1720cm-1
H-NMR(CDCl)δ:6.75-8.50(m,20H)、5.40-6.50(m,3H)、4.40-5.40(m,3H)。
<製造例4>
(テトラベンゾイルグルコン酸エステル誘導体の合成)
以下の方法で、下記反応式(2B)に示す2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-D-グルコノ-1,5-ラクトンを使用して、下記式(3B)で表される2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-D-グルコン酸メチルエステルを合成した。
Figure 2022159769000032
製造例3で得た2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-D-グルコノ-1,5-ラクトン(90g、151mmol)のメタノール(1.5L)溶液に室温で4N HCl-ジオキサン(20mL)を加えた。25oCで2時間攪拌後反応液を減圧濃縮した。濃縮残渣に酢酸エチル(200mL)に溶解後、飽和重曹水(200mL×2)、飽和食塩水(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上乾燥、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラム(n-ヘキサン/酢酸エチル=3:1)で精製することにより、2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-D-グルコン酸メチルエステルを得た(71g、75%)。
式(3B)で表される2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-D-グルコン酸メチルエステルについて得られた分析結果は、以下のとおりであった。
IR νmax(Nujol)1750、1720cm-1
H-NMR(CDCl)δ:7.00-8.25(m,20H)、5.40-6.50(m,3H)、4.00-4.60(m,4H)、3.60(s,3H)。
(ii)製造中間体の合成
<実施例6>
以下の方法で、下記反応式(3B)で表される2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-D-グルコン酸メチルエステルを使用して、下記式(4Bf)で表される2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-(2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステルを合成した。
Figure 2022159769000033
製造例4で得た2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-D-グルコン酸メチルエステル(30g、47.9mmol、1.0eq)のアセトニトリル(300mL)溶液に5℃で2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニルクロリド(17.4g、62.2mmol、1.3eq、)、及びN-メチルイミダゾール(8.6g、105.3mmol、2.2eq)を加えた後25℃で2時間攪拌した。
反応液を濾過後、母液を減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマト精製(n-ヘキサン/酢酸エチル=20:1→4:1)することにより、2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-(2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステルを得た(31.2g、75%)。
式(4Bf)で表される2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-(2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステルについて得られた分析結果は、以下のとおりであった。
IR νmax(KBr)1724cm-1
H-NMR(CDCl)δ:7.00-8.25(m,22H)、5.20-6.30(m,4H)、4.50-4.80(m,2H)、3.60(s,3H)。
(iii)目的物の合成
<実施例7>
以下の方法で、下記反応式(4Bf)で表される2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-(2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステルを使用して、下記式(5B-2)で表される(5S)-2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-ブロモ-D-グルコン酸メチルエステルを合成した。
Figure 2022159769000034
実施例6で得た2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-(2,4,5-トリクロロベンゼンスルホニル)オキシ-D-グルコン酸メチルエステル(30g、34.5mmol、1.0eq)の1,3-ジメチルイミダゾリジノン(180mL)溶液にLiBr(6.00g、69.0mmol、2.0eq)を加え50℃で4時間攪拌した。
反応液を飽和食塩水、酢酸エチル(各400mL)で希釈後、有機層を飽和食塩水で洗浄した(200mL×3)。有機層を硫酸マグネシウム上乾燥後、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトで精製(n-ヘキサン/酢酸エチル=10:1→4:1)で精製することにより、(5S)-2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-ブロモ-D-グルコン酸メチルエステルの粗体を得た(19.8g、77.3%)を得た。
本品をヘキサン(50mL)で分散攪拌後、濾過、減圧乾燥(40℃/4hr)することにより固体を得た(16.2g、81.9%(精製収率))。得られた固体(15g)をメタノール(15mL)にて加熱還流溶解後、ゆっくり25℃まで冷却し1時間同温で攪拌した後、濾過、乾燥することにより、白色結晶の目的物の純品を得た(11.2g、75%(精製収率))。
式(5B-2)で表される(5S)-2,3,4,6-テトラ-O-ベンゾイル-5-デオキシ-5-ブロモ-D-グルコン酸メチルエステルについて得られた分析結果は、以下のとおりであった。
Mp 116-118℃。
IR νmax(KBr)1738、1727、1718cm-1
H-NMR(CDCl)δ:6.70-8.30(m,20H)、5.50-6.50(m,3H)、3.80-5.00(m,3H)、3.60(s,3H)。
実施例1~4及び6に係る製造条件及び測定結果を下記表2にまとめる。また、実施例5及び7に係る製造条件及び測定結果を下記表3にまとめる。
Figure 2022159769000035
Figure 2022159769000036

Claims (12)

  1. 下記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体:
    Figure 2022159769000037
    前記式(4)において、
    は、炭素数1~6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基であり、
    は、炭素数1~6のアルキル基であり、
    は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のハロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基である。
  2. 請求項1に記載のデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法であって、
    塩基存在下、
    下記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体と下記式(6)で表されるスルホニル化剤とを接触させて、前記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体を製造することを含む、
    デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法:
    Figure 2022159769000038
    前記式(3)において、
    及びRは、前記式(4)で表されるものと同義であり、
    Figure 2022159769000039
    前記式(6)において、
    は、前記式(4)で表されるものと同義であり、
    X’は、ハロゲン原子である。
  3. 前記塩基は、アルキルアミン系の塩基、及び環状アミン系の塩基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、
    請求項2に記載のデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法。
  4. 前記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体1モルに対して、前記塩基を0.001モル以上5.0モル以下使用する、
    請求項3に記載のデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法。
  5. 前記式(6)で表されるスルホニル化剤は、アルキルスルホニルクロリド、ハロアルキルスルホニルクロリド、アリールスルホニルクロリド及びハロアリールスルホニルクロリドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、
    請求項2~4のいずれか1項に記載のデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法。
  6. 前記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体1モルに対して、前記式(6)で表されるスルホニル化剤を1.0モル以上5.0モル以下使用する、
    請求項5のいずれか1項に記載のデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法。
  7. 塩化メチレン、酢酸エチル及びアセトニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒を含む第1の反応溶媒中、前記式(3)で表されるテトラアシルグルコン酸誘導体と前記式(6)で表されるスルホニル化剤とを接触させる、
    請求項2~6のいずれか1項に記載のデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体の製造方法。
  8. 下記式(5)で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体:
    Figure 2022159769000040
    前記式(5)において、
    は、炭素数1~6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基であり、
    は、炭素数1~6のアルキル基であり、
    Xは、ハロゲン原子である。
  9. 下記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体とハロゲン化剤とを接触させて、下記式(5’)で表されるデオキシハロゲノグルコン酸誘導体を製造することを含む、
    デオキシハロゲノシグルコン酸誘導体の製造方法:
    Figure 2022159769000041
    前記式(4)において、
    は、炭素数1~6のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基であり、
    は、炭素数1~6のアルキル基であり、
    は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のハロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基であり、
    Figure 2022159769000042
    前記式(5’)において、
    及びRは、前記式(4)で表されるものと同義であり、
    X’’は、前記ハロゲン化剤由来のハロゲン原子である。
  10. 前記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体1モルに対して、前記ハロゲン化剤を1.0モル以上5.0モル以下使用する、
    請求項9に記載のデオキシハロゲノグルコン酸誘導体の製造方法。
  11. 非プロトン性極性溶媒を含む第2の反応溶媒中、前記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体と前記ハロゲン化剤とを接触させる、
    請求項9又は10に記載のデオキシハロゲノグルコン酸誘導体の製造方法。
  12. 請求項2~7に記載の方法により前記式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体を製造した後、
    得られた該式(4)で表されるデオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体とハロゲン化剤とを接触させて、下記式(5’)に示すデオキシハロゲノグルコン酸誘導体を製造することを含む、
    デオキシハロゲノグルコン酸誘導体の製造方法:
    Figure 2022159769000043
    前記式(5’)において、
    及びRは、前記式(4)で表されるものと同義であり、
    X’’は、前記ハロゲン化剤由来のハロゲン原子である。
JP2021064164A 2021-04-05 2021-04-05 デオキシハロゲノグルコン酸誘導体及びその製造方法、並びに、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体及びその製造方法 Pending JP2022159769A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021064164A JP2022159769A (ja) 2021-04-05 2021-04-05 デオキシハロゲノグルコン酸誘導体及びその製造方法、並びに、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021064164A JP2022159769A (ja) 2021-04-05 2021-04-05 デオキシハロゲノグルコン酸誘導体及びその製造方法、並びに、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022159769A true JP2022159769A (ja) 2022-10-18

Family

ID=83641552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021064164A Pending JP2022159769A (ja) 2021-04-05 2021-04-05 デオキシハロゲノグルコン酸誘導体及びその製造方法、並びに、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022159769A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2583660C (en) Indoline compound and process for producing the same
RU2727151C2 (ru) Способы получения цитотоксических производных бензодиазепина
WO2008001718A1 (fr) Agent de fluoration déshydroxylé
JP2018518489A (ja) アプレミラスト及びその中間体の調製方法
WO2015106624A1 (zh) 2,4(1h,3h)-嘧啶二酮衍生物及其制备方法
JP2013521224A (ja) ピリピロペン誘導体の製造法
CN114591194A (zh) 一种对位官能团化芳胺化合物及其合成方法
KR101728443B1 (ko) 2-아미노니코틴산벤질에스테르 유도체의 제조 방법
JP2022159769A (ja) デオキシハロゲノグルコン酸誘導体及びその製造方法、並びに、デオキシスルホニルオキシグルコン酸誘導体及びその製造方法
CN109415383A (zh) 制备艾日布林的方法及其中间体
JPS6148830B2 (ja)
CN105884747A (zh) 一种制备布鲁顿酪氨酸激酶(btk)激酶抑制剂的制备方法
JP4899385B2 (ja) 3−アミノメチルオキセタン化合物の製法
KR100899325B1 (ko) 1-옥사세팔로스포린-7α-메톡시-3-클로로메틸 유도체의제조 방법
JP7420550B2 (ja) 2-ヒドロキシ-2-(パーフルオロアルキル)マロン酸エステル誘導体の製造方法、並びに2-(トリメチルシリルオキシ)-2-(パーフルオロアルキル)マロン酸エステル誘導体及び5-ヒドロキシ-5-(パーフルオロアルキル)ピリミジン-2,4,6(1h,3h,5h)-トリオンとそれらの製造方法
JP2018172297A (ja) 硫黄架橋二糖化合物の製造方法
JP2010083799A (ja) 1,2,4−オキサジアゾール誘導体の製造方法、及び(メタ)アクリレート誘導体の製造方法
JP4552939B2 (ja) 2−置換−3−(4−テトラヒドロピラニル)−3−オキソプロパン酸エステル及びその製法
KR102660070B1 (ko) 세포독성 벤조다이아제핀 유도체의 제조 방법
WO2006003974A1 (ja) 環状ジアミン誘導体の製造法
JP5034277B2 (ja) 3−(n−アシルアミノ)−3−(4−テトラヒドロピラニル)−2−オキソプロパン酸エステル及び3−(n−アシルアミノ)−3−(4−テトラヒドロピラニル)−2−オキソプロパノヒドラジドの製造方法
JPH0812658A (ja) シドノン類の製造法
JP2022106045A (ja) N-(4-ハロゲノベンジル)ピコリンアミド誘導体の製造方法
JP2022135241A (ja) テトラアシルグルコノラクトン誘導体の製造方法
JP2010083798A (ja) ω−ヒドロキシ長鎖脂肪酸誘導体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240219