JP2022159075A - ばいじん処理方法及びばいじん処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】水銀を吸着した活性炭及び放射性物質を含むばいじんから水銀及び放射性物質を除去して減容化させることが可能なばいじん処理方法を提供する。【解決手段】放射性物質含有物を、塩素の存在下で溶融炉で溶融して、揮散させた放射性物質を含む排ガスを集じん装置で助剤及び活性炭吸着材に接触させることにより回収したばいじんを減容化処理するとともに、ばいじんに含まれる放射性物質を除去するばいじん処理方法であって、ばいじんに含まれる活性炭を分離する活性炭分離工程と、ばいじんを水に溶解して残存する固形物を回収する固液分離工程と、ばいじんを水に溶解した水溶液から放射性物質を吸着除去する放射性物質吸着工程と、を含む。【選択図】図2
Description
本発明は、ばいじん処理方法及びばいじん処理装置に関する。
原子力発電所等の核分裂反応を利用する機器等から漏洩した放射性物質で汚染された土壌や草木、海や河川等の自然環境を回復するために、放射性物質を含む被処理物から放射性物質を分離して濃縮する様々な方策が研究されてきた。
放射性物質の中でもセシウム134、セシウム137は水溶性で体内に取り込まれやすく健康への影響が大きいため、ヨウ素131と併せて主要三核種と言われている。特にセシウム137は、半減期が30年と長く、土壌に吸着されると容易に除染できない。
このような放射性物質で汚染された土壌、草木や廃材など、一時的に蓄積された大量の汚染物も、保管設備に限界があり、減容化する必要性に迫られている。例えば草木や廃材などの可燃物や下水処理場で発生した汚泥であれば、焼却処理して放射性物質が濃縮された焼却主灰や焼却飛灰として減容化した後に厳しい管理下で保管されているが、同様にそれらの保管設備の容量に限界がある。
特許文献1には、土壌を含む被処理物に含まれる放射性セシウムを溶融処理により分離濃縮する放射性セシウム分離濃縮方法が提案されている。当該放射性セシウム分離濃縮方法は、塩素系塩基度調整助剤を含む塩基度調整助剤を被処理物に添加する塩基度調整工程と、塩基度調整助剤が添加された被処理物を1200℃から1500℃に加熱して被処理物から放射性セシウムを揮散分離する分離工程と、前記分離工程で揮散分離された放射性セシウムを捕集する捕集工程と、を備えており、分離工程で放射性物質が除去された残物質は溶融スラグとして減容化される。
特許文献1に記載されたような放射性セシウム分離濃縮方法を採用して、放射性物質で汚染された焼却主灰や焼却飛灰、さらには土壌を溶融処理して放射性物質を揮散分離させるとともに、放射性物質が除去された残物質を溶融スラグとして減容化が可能になる。
例えば、特許文献1に記載されたような放射性セシウム分離濃縮方法を採用すれば、放射性物質で汚染された焼却主灰や焼却飛灰、さらには土壌を溶融処理して放射性物質を揮散分離させるとともに、放射性物質が除去された残物質を溶融スラグとして減容化できるようになる。そして、揮散分離により排ガスに含まれた放射性物質が集じん装置を介して灰処理ばいじん(以下、単に「ばいじん」と記す。)として分離されることにより、放射性物質を大幅に減容化できるようになり、保管設備を増設する必要性も薄れる。
そして、そのような放射性物質が濃縮されたばいじんをさらに減容化したいとの要望もあり、具体的な処理方法が検討されつつある。例えば、塩化物として回収された放射性物質が水溶性を示す性質に着目して、放射性物質を水に溶解させて分離する水処理設備を構築することが考えられる。
ところで、溶融処理で生じる排ガスには、重金属類やダイオキシン類が含まれる場合も想定される。特に沸点の低い水銀は集じん装置では完全には除去できないため、集じん装置の下流側の煙道に別途の水銀除去装置を設ける必要がある。
しかし、水銀除去装置を備えていない溶融炉等では、集じん装置にろ布を保護するための炭酸カルシウム等の助剤(剥離剤)に加えて活性炭の微粉末を噴射供給して水銀を吸着除去する必要があった。そして、当該活性炭の微粉末には水銀のみならずダイオキシン類も吸着される。
そのような集じん装置で分離されるばいじんから放射性物質を分離し、放射性物質が除去された残物質を例えば溶融炉で再溶融させて減容化する場合には、活性炭に吸着された水銀等の低沸点無機物質が溶融炉で揮散して濃縮される虞があった。
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、水銀を吸着した活性炭及び放射性物質を含むばいじんから水銀及び放射性物質を除去して減容化させることが可能なばいじん処理方法及びばいじん処理装置を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明によるばいじん処理方法の第一特徴構成は、放射性物質含有物を、塩素の存在下で溶融炉で溶融して、揮散させた放射性物質を含む排ガスを集じん装置で助剤及び活性炭吸着材に接触させることにより回収したばいじんを減容化処理するとともに、ばいじんに含まれる放射性物質を除去するばいじん処理方法であって、ばいじんに含まれる活性炭を分離する活性炭分離工程と、ばいじんを水に溶解して残存する固形物を回収する固液分離工程と、ばいじんを水に溶解した水溶液から放射性物質を吸着除去する放射性物質吸着工程と、を含む点にある。
放射性物質含有物を、塩素の存在下で溶融炉で溶融させることにより、溶融スラグから放射性物質が揮散分離されて排ガスとともに集じん装置に流入し、塩化物となった放射性物質や固体の微粒子となった重金属類が集じん装置でばいじんとして分離される。塩素の存在下とは、放射性物質含有物に塩素が含まれている場合や、放射性物質含有物に塩素を助剤として添加する場合を含めた概念である。ばいじんに含まれる活性炭が水銀やダイオキシン類とともに活性炭分離工程で分離除去され、水へ溶解することにより水溶性の放射性物質などが水に溶解し、溶解せずに残存する固形物が固液分離工程で回収され、溶解した放射性物質が放射性物質吸着工程で除去される。
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記活性炭分離工程は、湿式法である浮上選別法、浮遊選鉱法または比重分離法、乾式法である気流分級法または静電分離法の何れかが用いられる点にある。
ばいじんから活性炭を分離するために、湿式法である浮上選別法、浮遊選鉱法または比重分離法、乾式法である気流分級法または静電分離法の何れかを好適に用いることができ、水銀やダイオキシン類を吸着した活性炭をばいじんから分離することにより、その後のばいじんの減容化等の処理が容易になる。
同第三の特徴構成は、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、前記固液分離工程と前記放射性物質吸着工程との間、または前記放射性物質吸着工程の後に、水溶液のpHを調整することにより、水溶性の重金属類を不溶性の重金属類として除去する重金属除去工程をさらに備えている点にある。
酸性下で水に溶解することにより重金属類を溶解させることができ、固液分離工程の後で放射性物質吸着工程の前、或いは放射性物質吸着工程の後に、水溶液のpHを例えば中性に調整すれば、溶解した重金属類が不溶性となって析出する。例えば、重金属固定剤(キレート剤)を投入して金属錯体として分離し、或いは凝集剤を投入して凝集沈殿させることができる。
同第四の特徴構成は、上述した第三の特徴構成に加えて、前記放射性物質吸着工程で放射性物質が除去され、前記重金属除去工程で重金属類が除去された高濃度の塩水を蒸発乾固する濃縮工程をさらに含む点にある。
放射性物質及び重金属類が除去された後の水溶液は高濃度の塩水となっているため、環境保護の観点で河川への放流が困難となる。そのような場合でも濃縮工程で塩水を蒸発乾固することで減容化でき、その後の処理が容易になる。
同第五の特徴構成は、上述した第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記固液分離工程で回収した固形物を前記溶融炉で再度溶融する循環溶融工程を含む点にある。
固液分離工程で回収した固形物を溶融炉で再度溶融させることで、スラグとして減容化させることができる。
同第六の特徴構成は、上述した第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記放射性物質含有物は、焼却主灰、焼却飛灰及び/または除染で除去された土壌を粒度選別した細粒土壌である点にある。
放射性物質で汚染された焼却主灰、焼却飛灰及び/または除染で除去された土壌を粒度選別した細粒土壌が、処理対象として好適な放射性物質含有物となる。
本発明によるばいじん処理装置の第一の特徴構成は、放射性物質含有物を、塩素の存在下で溶融炉で溶融して、揮散させた放射性物質を含む排ガスを集じん装置で助剤及び活性炭吸着材に接触させることにより回収したばいじんを減容化処理するとともに、ばいじんに含まれる放射性物質を除去するばいじん処理装置であって、ばいじんに含まれる活性炭を分離する活性炭分離装置と、ばいじん含まれる放射性物質を水に溶解させる溶解装置と、ばいじんを水に溶解して残存する固形物を回収する固液分離装置と、ばいじんを水に溶解した水溶液から放射性物質を吸着除去する放射性物質吸着装置と、を含む点にある。
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記活性炭分離装置は、湿式法を採用した浮上選別装置、浮遊選鉱装置または比重分離装置、乾式法を採用した気流分級装置または静電分離装置の何れかで構成されている点にある。
同第三の特徴構成は、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、前記固液分離装置と前記放射性物質吸着装置との間、または前記放射性物質吸着装置の後に、水溶液のpHを調整することにより、水溶性の重金属類を不溶性の重金属類として除去する重金属除去装置をさらに備えている点にある。
同第四の特徴構成は、上述した第三の特徴構成に加えて、前記放射性物質吸着装置で放射性物質が除去され、前記重金属除去装置で重金属類が除去された高濃度の塩水を蒸発乾固する濃縮装置をさらに含む点にある。
同第五の特徴構成は、上述した第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記固液分離装置で回収した固形物を前記溶融炉で再度溶融する循環溶融機構を含む点にある。
同第六の特徴構成は、上述した第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記放射性物質含有物は、焼却主灰、焼却飛灰及び/または除染で除去された土壌を粒度選別した細粒土壌である点にある。
以上説明した通り、本発明によれば、水銀を吸着した活性炭及び放射性物質を含むばいじんから水銀及び放射性物質を除去して減容化させることが可能なばいじん処理方法及びばいじん処理装置を提供することができるようになった。
以下、本発明によるばいじん処理方法及びばいじん処理装置の実施形態を説明する。
[放射性物質含有物の処理システムの構成]
図1には、ばいじん処理装置が組み込まれた放射性物質含有物の処理システム1が示されている。当該処理システム1は、溶融炉2と、二次燃焼室3と、空気予熱器4と、減温塔6と、第1集じん装置7と、第2集じん装置8と、中和物回収装置9と、触媒反応塔10と、誘引送風機13と、煙突14と、第1集じん装置7及び第2集じん装置8で捕捉されたばいじんを処理するばいじん処理装置20を備えている。
図1には、ばいじん処理装置が組み込まれた放射性物質含有物の処理システム1が示されている。当該処理システム1は、溶融炉2と、二次燃焼室3と、空気予熱器4と、減温塔6と、第1集じん装置7と、第2集じん装置8と、中和物回収装置9と、触媒反応塔10と、誘引送風機13と、煙突14と、第1集じん装置7及び第2集じん装置8で捕捉されたばいじんを処理するばいじん処理装置20を備えている。
主にセシウムCsやストロンチウムSr等、核分裂反応を利用する機器から漏洩した放射性物質を含有する焼却主灰、焼却飛灰等の溶融対象物が、放射性物質の揮散を促進する塩素を含む助剤や融点降下剤と共に溶融炉2に投入される。溶融炉2に投入される放射性物質含有物は、放射性物質で汚染された草木や廃材或いは下水汚泥等を焼却炉で焼却処理したことにより発生する焼却主灰、焼却飛灰に限るものではなく、除染で除去された土壌を粒度選別した粒径0.075mm以下の細粒土壌が含まれる場合もある。細粒土壌に放射性物質が高濃度に取り込まれているからである。
塩素を含む助剤として塩化カルシウム、塩素を含むプラスチックや樹脂、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化鉄等の材料が好適に用いられるが、溶融対象物に必要量の塩素が含まれている場合には、塩素を含む助剤を添加する必要はない。
融点降下剤としてカルシウム化合物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ素化合物、鉄化合物が好適に用いられる。例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、ほう砂、ホウ酸、酸化第一鉄、四酸化三鉄、酸化第二鉄等の塩基度調整剤が融点降下剤となる。
融点降下剤としてカルシウム化合物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ素化合物、鉄化合物が好適に用いられる。例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、ほう砂、ホウ酸、酸化第一鉄、四酸化三鉄、酸化第二鉄等の塩基度調整剤が融点降下剤となる。
溶融炉2では、1200℃から1500℃の高温環境下で放射性物質含有物が溶融され、その際に水銀や重金属類の塩化物、アルカリ塩が揮散されるとともに、塩素を含む助剤により塩化物となった塩化セシウム(CsCl)や塩化ストロンチウム(SrCl2)などの放射性物質が揮散されて排ガスとともに二次燃焼室に流下し、残余の固形物が溶融炉2で溶融されてスラグとして回収される。溶融炉2として特に溶融方式が限定されるものではなく回転式表面溶融炉等が好適に用いられる。
溶融炉2から排出された排ガスは、二次燃焼室3で未燃ガス成分が二次燃焼されて約1100℃になって煙道を流下して、溶融炉2に供給される燃焼用空気を予熱する空気予熱器4、減温塔6を通過して、集じん装置7,8の入口でダイオキシン類の再合成を抑制することができる160~200℃程度の温度領域まで減温される。
第1集じん装置7及び第2集じん装置8として、ろ布に炭酸カルシウム等の剥離剤をスプレーコーティングしたバグフィルタが用いられる。さらに水銀を吸着除去するために活性炭微粉末が集じん装置7,8に噴射供給される。
排ガスが減温塔6等を通過して160~200℃程度に減温されることにより放射性物質を含む塩類、鉱物元素、重金属類が固体の微粒子となり、排ガスとともに第1集じん装置7及び第2集じん装置8に流入してばいじんとして捕捉される。第1集じん装置7及び第2集じん装置8を冗長設置しているのは、一方が故障した場合に備えて信頼性を確保するためである。第1集じん装置7及び第2集じん装置8は直列接続されていても並列接続されていてもよい。
溶融飛灰であるばいじんには、塩化セシウム(CsCl)や塩化ストロンチウム(SrCl2)などの放射性物質の塩類、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化第二鉄(FeCl3)等の塩類、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化第二鉄(Fe2O3)等の鉱物元素、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、ヒ素(As)、水銀(Hg)等の元素を含む重金属化合物類、剥離剤としてろ布に噴霧された炭酸カルシウム(CaCO3)、水銀吸着のために噴霧された活性炭粉末Cが含まれる。活性炭粉末Cには排ガスに含まれる水銀やダイオキシン類が吸着されている。
中和物回収装置9もバグフィルタで構成され、排ガスとともに中和剤である消石灰がバグフィルタに吹き込まれることにより、排ガスに含まれる塩化水素等の腐食性ガス成分が塩化カルシウム等としてろ布に捕捉される。中和物回収装置9で捕捉された塩化カルシウム(CaCl2)等の中和物は、塩素を含む助剤として溶融炉2に循環供給され、余剰の中和物は外部に取り出されて処理される。
触媒反応塔10には、チタンやバナジウム等の触媒金属を備えており、第1集じん装置7及び第2集じん装置8を通り抜けた排ガスに含まれるダイオキシン類が触媒金属との触媒反応により分解される。
触媒反応塔10を通過した排ガスは、下流に設けられた誘引送風機13を介して煙突14から排気される。
図2及び図3に示すように、ばいじん処理装置20は、第1集じん装置7及び第2集じん装置8で捕捉された溶融飛灰であるばいじんの減容化を図る高度処理装置であり、ばいじんに含まれる活性炭を分離除去する活性炭分離装置21と、活性炭が分離されたばいじんに含まれる放射性物質を水に溶解させる溶解装置22と、溶解装置22を経た水溶液から固形物を回収する固液分離装置24と、固液分離装置24で固形物が分離された水溶液から放射性物質を吸着除去する放射性物質吸着装置26とを備えている。
当該放射性物質含有物の処理システム1は、少なくとも上述した溶融炉2と、集じん装置7,8と、触媒反応塔10と、ばいじん処理装置20とを備えている必要があり、固液分離装置24で回収した固形物を溶融炉2で再度溶融するために搬送する循環機構25を備えていることが好ましい。
活性炭分離装置21として、例えば湿式法であれば、活性炭粒子表面と無機粒子表面の親水性、疎水性の違いを活用し、乾燥状態のばいじんを水に入れて攪拌し所定時間放置することで活性炭粒子のみを浮上させて掻寄機などで活性炭粒子のみを選択的に回収して分離する浮上選別装置を用いることができ、ばいじんが湿潤状態である場合には、ばいじんを水に入れて微細気泡と接触させることで疎水性の活性炭粒子のみを気泡に付着させて分離する浮遊選鉱装置(泡沫分離装置)を用いることができる。また、湿式の遠心分離装置など回転体を用いた比重分離装置を用いることができる。
活性炭分離装置21として、例えば乾式法であれば、活性炭粒子と無機粒子の粒径の違いを活用し、回転体もしくは羽根により空気の旋回流を作って粒子に遠心力を働かせ、両者の遠心力の違いにより分離回収を行う気流分級装置を用いることができる。
また、活性炭粒子と無機粒子の導電性の違いを活用し、ロータ電極と静電電極との間に静電界を発生させて両者の導電性の違いにより分離回収を行う静電分離装置を用いることができる。
図2及び図3では、活性炭分離装置21として乾式法を採用し、溶解装置22の前段に配置した態様を示している。活性炭分離装置21として湿式法を適用する場合は、活性炭分離装置21は溶解装置22の前段または後段の何れに配置してもよく、溶解装置22と同一装置で構成してもよい。
ばいじん処理装置20には、固液分離装置24と放射性物質吸着装置26との間(図3参照。)、または放射性物質吸着装置26の後段(図2参照。)に、水溶液のpHを調整することにより水溶性の重金属類を不溶性の重金属類として除去する重金属除去装置28をさらに備えている。
放射性物質吸着装置26には放射性物質吸着剤が充填された吸着塔が設けられており、放射性物質吸着剤により放射性物質が吸着除去される。重金属類及び放射性物質が除去された高濃度の塩水を蒸発乾固する濃縮装置29をさらに備えている。濃縮装置29の熱源として煙道を通過する排ガスの保有熱を利用することができる。例えば、空気予熱器4と減温塔6の間や、水銀吸着塔の下流側に廃熱回収装置を備え、回収した廃熱を熱源に利用することができる。なお、濃縮装置29を、集じん装置7,8の上流側に設置され、高濃度の塩水の一部を供給して噴霧する減温塔6で構成することも可能である。
[放射性物質含有物の処理方法及びばいじんの減容化処理方法の構成]
上述した放射性物質含有物の処理システム1により本発明の放射性物質含有物の処理方法が実行される。以下詳述する。
上述した放射性物質含有物の処理システム1により本発明の放射性物質含有物の処理方法が実行される。以下詳述する。
上述した溶融炉2で、放射性物質含有物から放射性物質を揮散させる溶融処理工程が実行され、第1集じん装置7及び第2集じん装置8で、溶融処理工程で揮散させた放射性物質を含む排ガスから放射性物質を含むばいじんを回収する集じん工程が実行される。
また、触媒反応塔10で、ダイオキシン類を分解するダイオキシン分解工程が実行される。
さらに、ばいじん処理装置20で、ばいじんを減容化する減容化工程が実行される。
活性炭分離装置21により、ばいじんに含まれる活性炭を分離する活性炭分離工程が実行され、分離された活性炭及び活性炭に吸着された水銀やダイオキシン類は産廃処理され、或いは水銀が分離回収された後に産廃処理される。
活性炭分離装置21により、ばいじんに含まれる活性炭を分離する活性炭分離工程が実行され、分離された活性炭及び活性炭に吸着された水銀やダイオキシン類は産廃処理され、或いは水銀が分離回収された後に産廃処理される。
次に、溶解装置22で、ばいじんに含まれる放射性物質を水に溶解させる溶解工程が実行され、固液分離装置24で、溶解工程を経た水溶液に溶解せずに残存する固形物を回収する固液分離工程が実行され、放射性物質吸着装置26で、固液分離工程を経た水溶液から放射性物質を吸着除去する放射性物質吸着工程が実行される。なお、湿式の活性炭分離工程を採用する場合には、活性炭分離工程は溶解工程の前段で実行してもよく、溶解工程における固液分離工程の前段で実行してもよい。従って、活性炭分離工程と溶解工程の順序は特に限定されるものではない。さらには、湿式の活性炭分離工程を採用する場合には、溶解装置22に浮上した活性炭粒子の回収機能(掻寄機等)を付加することにより、活性炭分離工程と溶解工程を同一装置内で実行してもよい。
つまり、溶融処理工程で溶融スラグから揮散分離された放射性物質を含む排ガスが集じん工程を経ることによりばいじんとして回収される。ばいじんが除去された排ガスは、ダイオキシン分解工程でダイオキシン類が分解される等、無害化処理された後に大気に放出される。
上述したように、集じん工程で回収されたばいじんには、放射性物質の塩化物、アルミニウムや鉄などの酸化物である鉱物元素、鉛などの重金属類の化合物が含まれる。減容化工程に含まれる溶解工程で放射性物質が水に溶解され、固液分離工程で水に溶解せずに残存する固定物が除去され、放射性物質吸着工程で水に溶解した放射性物質が吸着除去される。
溶解工程では、水にpH調整剤が添加されて酸性に調整されることにより、放射性物質に加えて重金属類が可溶化状態に調整される。つまり、放射性物質、重金属、一部の塩類が水に溶解される。
図2に示すように、固液分離工程では、溶解工程を経た水溶液のpHが酸性に維持されることにより、不溶性のシリカ系薬剤(剥離剤)や鉱物元素が、水溶性の重金属類及び放射性物質から分離される工程である。通常、酸性に調整して重金属類とセシウムなどの水溶性物質を可溶化し、不溶性のシリカ系助剤またはアルミナ系助剤を分離する。また鉛などアルカリに調整して水溶性セシウムとともに可溶化し、不溶性のシリカ系助剤またはアルミナ系助剤を分離してもよい。
前段の固液分離装置24Aでは、例えばフィルタプレスやスクリュープレス等の脱水機が用いられ、後段の固液分離装置24Bでは、水溶液に凝集剤を添加することで、不溶性の炭酸カルシウム(剥離剤)や鉱物元素が凝集沈殿されて固液分離装置24(24C)で脱水される。なお、固液分離装置24(24A)で脱水してもよい。
固液分離工程で回収された固形物は、循環機構25により溶融炉2に搬送されて、溶融炉2で再度溶融する循環溶融工程が実行される。不溶性の鉱物元素等が溶融炉で再度溶融されてスラグ化されることで、さらなるばいじんの減容化が可能になる。
放射性物質吸着装置26で、固液分離工程を経た水溶液から放射性物質を吸着除去する放射性物質吸着工程が実行され、ゼオライト、フェロシアン化合物、ケイチタン酸塩等の吸着物質に吸着された放射性物質は厳重な管理下で域外(県外)の保管設備に保管される。
図2に示すように、放射性物質が除去された水溶液は、金属キレートが充填された重金属除去装置28に送られて、pH調整剤によって中性に調整されることにより、金属キレートに重金属類が捕捉される重金属除去工程が実行される。金属キレートに捕捉された重金属類は山元還元されて再利用され、或いは産廃処理される。
重金属除去工程で重金属類が除去された高濃度の塩水は、濃縮装置29に送られて濃縮工程が実行され、蒸発乾固される。濃縮装置29の熱源として、上述したように煙道を通過する排ガスの保有熱を利用することができる。なお、濃縮工程として、高濃度の塩水の一部を集じん装置7の上流側に設置した減温塔6に供給して噴霧することにより濃縮してもよい。
図3に示すように、重金属除去工程として、固液分離工程を経た水溶液に対してpH調整剤を添加して酸性から中性に調整することにより、溶解工程において酸性下で溶解した重金属類を凝集沈殿させることも可能になる。この場合、pH調整剤に加えて凝集剤を添加することが好ましい。この場合、重金属除去工程の後に放射性物質吸着工程が実行される。
つまり、重金属除去工程は、固液分離工程と放射性物質吸着工程との間、または放射性物質吸着工程の後に、水溶液のpHを調整することにより、水溶性の重金属類を不溶性の重金属類として除去する工程である。
酸性下で溶解工程を実行することにより重金属類を溶解させることができ、固液分離工程の後で放射性物質吸着工程の前、或いは放射性物質吸着工程の後に、水溶液のpHを例えば中性に調整すれば、溶解した重金属類が不溶性となって析出する。重金属固定剤(キレート剤)を投入して金属錯体として分離し、或いは凝集剤を投入して凝集沈殿させることができる。
上述した実施形態は本発明の一例であり、該記載により本発明の範囲が限定されることを意図するものではなく、本発明の作用効果が奏される範囲で適宜構成を変更設計することができることは言うまでもない。
1:放射性物質含有物の処理システム
2:溶融炉
3:二次燃焼室
4:空気予熱器
6:減温塔
7:第1集じん装置
8:第2集じん装置
9:中和物回収装置
10:触媒反応塔
11:水銀吸着塔
20:ばいじん処理装置
21:活性炭分離装置
22:溶解装置(水溶解槽)
24:固液分離装置
24A:固液分離装置(脱水機)
24B:固液分離装置(凝集沈殿槽)
24C:固液分離装置(脱水機)
25:循環機構
26:放射性物質吸着装置(セシウム吸着塔)
28:重金属除去装置(重金属キレート塔)
29:濃縮装置
2:溶融炉
3:二次燃焼室
4:空気予熱器
6:減温塔
7:第1集じん装置
8:第2集じん装置
9:中和物回収装置
10:触媒反応塔
11:水銀吸着塔
20:ばいじん処理装置
21:活性炭分離装置
22:溶解装置(水溶解槽)
24:固液分離装置
24A:固液分離装置(脱水機)
24B:固液分離装置(凝集沈殿槽)
24C:固液分離装置(脱水機)
25:循環機構
26:放射性物質吸着装置(セシウム吸着塔)
28:重金属除去装置(重金属キレート塔)
29:濃縮装置
Claims (12)
- 放射性物質含有物を、塩素の存在下で溶融炉で溶融して、揮散させた放射性物質を含む排ガスを集じん装置で助剤及び活性炭吸着材に接触させることにより回収したばいじんを減容化処理するとともに、ばいじんに含まれる放射性物質を除去するばいじん処理方法であって、
ばいじんに含まれる活性炭を分離する活性炭分離工程と、
ばいじんを水に溶解して残存する固形物を回収する固液分離工程と、
ばいじんを水に溶解した水溶液から放射性物質を吸着除去する放射性物質吸着工程と、
を含むばいじん処理方法。 - 前記活性炭分離工程は、湿式法である浮上選別法、浮遊選鉱法または比重分離法、乾式法である気流分級法または静電分離法の何れかが用いられる請求項1記載のばいじん処理方法。
- 前記固液分離工程と前記放射性物質吸着工程との間、または前記放射性物質吸着工程の後に、水溶液のpHを調整することにより、水溶性の重金属類を不溶性の重金属類として除去する重金属除去工程をさらに備えている請求項1または2記載のばいじん処理方法。
- 前記放射性物質吸着工程で放射性物質が除去され、前記重金属除去工程で重金属が除去された高濃度の塩水を蒸発乾固する濃縮工程をさらに含む請求項3記載のばいじん処理方法。
- 前記固液分離工程で回収した固形物を前記溶融炉で再度溶融する循環溶融工程を含む請求項1から4の何れかに記載のばいじん処理方法。
- 前記放射性物質含有物は、焼却主灰、焼却飛灰及び/または除染で除去された土壌を粒度選別した細粒土壌である請求項1から5の何れかに記載のばいじん処理方法。
- 放射性物質含有物を、塩素の存在下で溶融炉で溶融して、揮散させた放射性物質を含む排ガスを集じん装置で助剤及び活性炭吸着材に接触させることにより回収したばいじんを減容化処理するとともに、ばいじんに含まれる放射性物質を除去するばいじん処理装置であって、
ばいじんに含まれる活性炭を分離する活性炭分離装置と、
ばいじん含まれる放射性物質を水に溶解させる溶解装置と、
ばいじんを水に溶解して残存する固形物を回収する固液分離装置と、
ばいじんを水に溶解した水溶液から放射性物質を吸着除去する放射性物質吸着装置と、
を含むばいじん処理装置。 - 前記活性炭分離装置は、湿式法を採用した浮上選別装置、浮遊選鉱装置または比重分離装置、乾式法を採用した気流分級装置または静電分離装置の何れかで構成されている請求項7記載のばいじん処理装置。
- 前記固液分離装置と前記放射性物質吸着装置との間、または前記放射性物質吸着装置の後に、水溶液のpHを調整することにより、水溶性の重金属類を不溶性の重金属類として除去する重金属除去装置をさらに備えている請求項7または8記載のばいじん処理装置。
- 前記放射性物質吸着装置で放射性物質が除去され、前記重金属除去装置で重金属が除去された高濃度の塩水を蒸発乾固する濃縮装置をさらに含む請求項9記載のばいじん処理装置。
- 前記固液分離装置で回収した固形物を前記溶融炉で再度溶融する循環溶融機構を含む請求項7から10の何れかに記載のばいじん処理装置。
- 前記放射性物質含有物は、焼却主灰、焼却飛灰及び/または除染で除去された土壌を粒度選別した細粒土壌である請求項7から11の何れかに記載のばいじん処理装置。
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2022
- 2022-03-25 JP JP2022049835A patent/JP2022159075A/ja active Pending
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