JP2022158902A - ワーク加工用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたエキスパンド性を有するワーク加工用シートを提供する。【解決手段】基材11と粘着剤層12とを備えるワーク加工用シート1であって、基材11が表面層111と背面層113と中間層112とを備え、短辺15mmの短冊状に基材11を裁断してなる試験片の破断伸度が、MDおよびCD方向についてそれぞれ600%以上であり、基材11をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される25%伸長時の引張応力に対する基材11をMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される25%伸長時の引張応力の比(R25%)が1.3以下であり、基材11をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される50%伸長時の引張応力に対する基材11をMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される50%伸長時の引張応力の比(R50%)が1.3以下であるワーク加工用シート。【選択図】図1
Description
本発明は、半導体ウエハ等のワークの加工に使用されるワーク加工用シートに関するものである。
シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウエハや各種パッケージ類は、大径の状態で製造され、チップに切断(ダイシング)され、剥離(ピックアップ)された後に、次の工程であるマウント工程に移される。この際、半導体ウエハ等のワークは、基材および粘着剤層を備える粘着シート(以下、「ワーク加工用シート」という場合がある。)上に積層された状態で、バックグラインド、ダイシング、洗浄、乾燥、エキスパンディング、ピックアップ、マウンティング等の加工が行われる。
上記ピックアップの工程では、チップのピックアップを容易にするために、ワーク加工用シートにおけるチップが積層された面とは反対の面から、チップを個々に突き上げることを行う場合がある。特に、ピックアップの際のチップ同士の衝突を抑制するとともに、ピックアップを容易にするために、通常、ワーク加工用シートを延伸(エキスパンド)させて、チップ同士を離間させることが行われる。そのため、ワーク加工用シートには、良好なエキスパンドを可能にする、優れた柔軟性を有することが求められる。
特許文献1には、優れたエキスパンド性を有するワーク加工用シートを提供することを目的として、基材層と表面層とを含むダイシング用基体フィルムであって、当該表面層が、所定のポリスチレン系樹脂と、所定のビニル芳香族炭化水素-共役ジエン炭化水素共重合体又はその水素添加物とを含有する基体フィルムが開示されている。
しかしながら、近年、半導体装置の微細化に伴い、ワーク加工用シートで取り扱うチップが益々微小なものとなっている。そのため、ワーク加工用シートには、そのような微小なチップに対しても良好なピックアップを可能にするために、従来のワーク加工用シートよりも優れたエキスパンド性が求められている。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、優れたエキスパンド性を有するワーク加工用シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるワーク加工用シートであって、前記基材が、前記粘着剤層に対して近位に位置する表面層と、前記粘着剤層に対して遠位に位置する背面層と、前記表面層と前記背面層との間に位置する中間層とを備え、短辺が15mmの短冊状に前記基材を裁断してなる試験片について、23℃の環境下で、チャック間距離100mm、引張速度200mm/minにて引張試験を行った場合に測定される破断伸度が、MD方向に引っ張る場合およびCD方向に引っ張る場合の両方について、600%以上であり、前記基材をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される25%伸長時の引張応力に対する、前記基材をMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される25%伸長時の引張応力の比(R25%)が、1.3以下であり、前記基材をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される50%伸長時の引張応力に対する、前記基材をMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される50%伸長時の引張応力の比(R50%)が、1.3以下であることを特徴とするワーク加工用シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係るワーク加工用シートは、基材が上述した3層を備えるものであるとともに、上述した破断伸度および引張応力の比の条件を満たすことにより、優れたエキスパンド性を有するものとなる。
上記発明(発明1)において、前記表面層、前記中間層および前記背面層の各々が、ポリオレフィン系樹脂および熱可塑性エラストマーを含有するとともに、前記表面層および前記背面層の各々が、帯電防止剤を含有することが好ましい(発明2)。
上記発明(発明2)において、前記中間層は、前記帯電防止剤を含有していないか、または、前記中間層は、前記表面層および前記裏面層の各々よりも少ない含有量(単位:質量%)で前記帯電防止剤を含有していることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1)において、前記表面層、前記中間層および前記背面層の各々が、ポリエチレンを含有し、前記中間層に含有されるポリエチレンは、前記表面層および前記背面層に含有される各々のポリエチレンとは、JIS K7210-1に準拠して測定されるメルトフローレート(MFR)が異なることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1~4)においては、ダイシングシートであることが好ましい(発明5)。
本発明に係るワーク加工用シートは、優れたエキスパンド性を有する。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1には、一実施形態に係るワーク加工用シートの断面図が示される。図1に示されるワーク加工用シート1は、基材11と、基材11における片面側に積層された粘着剤層12とを備える。
図1には、一実施形態に係るワーク加工用シートの断面図が示される。図1に示されるワーク加工用シート1は、基材11と、基材11における片面側に積層された粘着剤層12とを備える。
上記基材11は、図1に示されるように、粘着剤層12に対して近位に位置する表面層111と、粘着剤層12に対して遠位に位置する裏面層113と、表面層111と裏面層113との間に位置する中間層112とを備える。
本実施形態に係るワーク加工用シート1では、短辺が15mmの短冊状に基材11を裁断してなる試験片について、23℃の環境下で、チャック間距離100mm、引張速度200mm/minにて引張試験を行った場合に測定される破断伸度が、MD方向に引っ張る場合およびCD方向に引っ張る場合の両方について、600%以上である。
また、本実施形態に係るワーク加工用シート1では、基材11をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される25%伸長時の引張応力に対する、基材11をMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される25%伸長時の引張応力の比(R25%)が、1.3以下である。
さらに、本実施形態に係るワーク加工用シート1では、基材11をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される50%伸長時の引張応力に対する、前記基材をMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される50%伸長時の引張応力の比(R50%)が、1.3以下である。
一般的に、ワーク加工用シートは、当該シート上にてウエハのダイシングが行われ、続いて紫外線照射による粘着剤層の硬化が行われ、さらに、エキスパンドされた状態でチップのピックアップが行われる。通常、上記ダイシングの際には基材にも切り込みが入る。そのため、従来のワーク加工用シートは、エキスパンドを行った際に、非常に破断し易いものであった。
しかしながら、本実施形態に係るワーク加工用シート1は、基材11が上述した物性を満たすものであることにより、上述したようなダイシングを行った後であっても、エキスパンド工程において破断が生じ難い。特に、引張応力の比(R25%)および引張応力の比(R50%)がそれぞれ上記範囲となり、すなわち、MD方向に引っ張った場合とCD方向に引っ張った場合とで引張応力の差が比較的小さいことにより、基材11の一部分への応力の集中が抑制され、破断し難くなる。そのため、本実施形態に係るワーク加工用シート1は、優れたエキスパンド性を有する。
また、本実施形態における基材11が、表面層111、中間層112および裏面層113という3層を少なくとも備えるものであることにより、優れたエキスパンド性を確保しながらも、その他の所望の性能をワーク加工用シート1に付与し易いものとなる。例えば、後述する通り、表面層111や裏面層113に帯電防止剤を含有させることにより、優れた帯電防止性を付与させることができる。また、表面層111および裏面層113を、弾性率が比較的高い設計とすることにより、基材11の製膜時に、金属ロールへの貼り付きを抑制し、高い製膜性を付与することができる。
1.ワーク加工用シートの構成
(1)基材
本実施形態における基材11は、上述の通り、表面層111、中間層112および裏面層113を備える。これらの層の組成に関しては、基材11が上述した物性を満たすものとなる限り、特に限定されない。
(1)基材
本実施形態における基材11は、上述の通り、表面層111、中間層112および裏面層113を備える。これらの層の組成に関しては、基材11が上述した物性を満たすものとなる限り、特に限定されない。
基材11を構成する各層の材料としては、それらの層を形成することができるものである限り特に限定されず、例えば樹脂を使用することが好ましい。特に、より良好なエキスパンド性を実現し、切削片の発生も抑制し易いという観点から、ポリオレフィン系樹脂、および熱可塑性エラストマーの少なくとも一種を主材として使用することが好ましい。なお、表面層111と裏面層113とは、異なる組成であってもよく、全く同一の組成であってもよい。
(1-1)ポリオレフィン系樹脂
上述したポリオレフィン系樹脂の具体例は、特に限定されない。なお、本明細書において、ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィンを単量体とするホモポリマーもしくはコポリマー、またはオレフィンとオレフィン以外の分子とを単量体とするコポリマーであって重合後の樹脂におけるオレフィン単位に基づく部分の質量比率が1.0質量%以上である樹脂をいう。
上述したポリオレフィン系樹脂の具体例は、特に限定されない。なお、本明細書において、ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィンを単量体とするホモポリマーもしくはコポリマー、またはオレフィンとオレフィン以外の分子とを単量体とするコポリマーであって重合後の樹脂におけるオレフィン単位に基づく部分の質量比率が1.0質量%以上である樹脂をいう。
上記ポリオレフィン系樹脂を構成する高分子は直鎖状であってもよいし、側鎖を有していてもよい。また、当該高分子は、芳香環、脂肪族環を有していてもよい。
ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィン単量体としては、炭素数2~8のオレフィン単量体、炭素数3~18のα-オレフィン単量体、環状構造を有するオレフィン単量体などが例示される。炭素数2~8のオレフィン単量体としては、エチレン、プロピレン、2-ブテン、オクテンなどが例示される。炭素数3~18のα-オレフィン単量体としては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-オクタデセンなどが例示される。環状構造を有するオレフィン単量体としては、ノルボルネン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエンおよびテトラシクロドデセンならびにこれらの誘導体などが例示される。
ポリオレフィン系樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上述したポリオレフィン系樹脂の具体例の中でも、エチレンを主な重合単位として含むポリエチレンおよびプロピレンを主な重合単位として含むポリプロピレンの少なくとも一方を使用することが好ましい。
上記ポリプリピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレンおよびブロックポリプロピレンを使用することが好ましい。これらは、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。特に、ホモポリプロピレンとランダムポリプロピレンとを混合して使用することが好ましい。
上述したホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレンおよびブロックポリプロピレンとしては、それぞれ、上市されている市販品を用いてもよい。ホモポリプロピレンの市販品の例としては、いずれもプライムポリマー社製の製品名「プライムポリプロ E111G」、製品名「プライムポリプロ E-100GV」、製品名「プライムポリプロ E-100GPL」、製品名「プライムポリプロ E-200GP」等が挙げられる。ランダムポリプロピレンの市販品の例としては、いずれもプライムポリマー社製の製品名「プライムポリプロ B221WA」、製品名「プライムポリプロ B241」、製品名「プライムポリプロ E222」、製品名「プライムポリプロ E-333GV」等が挙げられる。ブロックポリプロピレンの市販品の例としては、いずれもプライムポリマー社製の製品名「プライムポリプロ E701G」、製品名「プライムポリプロ E702G」、製品名「プライムポリプロ E702MG」等が挙げられる。
上記ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンのいずれであってもよいし、これらの2種以上の混合物であってもよい。
特に、上記ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレンを使用することが好ましく、その市販品の例としては、三菱ケミカル社製の製品名「ノバテックLL」、プライムポリマー社製のネオゼックスシリーズやウルトラゼックスシリーズ等が挙げられる。
また、上記ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、1g/10min以上であることが好ましく、特に2g/10min以上であることが好ましく、さらには3g/10min以上であることが好ましい。また、上記メルトフローレートは、10g/10min以下であることが好ましく、特に9g/10min以下であることが好ましく、さらには8g/10min以下であることが好ましい。メルトフローレートがこれらの範囲であることにより、本実施形態に係るワーク加工用シート1がより良好なエキスパンド性を得易いものとなる。なお、上記メルトフローレートは、JIS K7210:2014に準拠して、温度190℃および荷重2.16kgにて測定したものである。
基材11を構成する層のいずれかがポリオレフィン系樹脂を含有する場合、当該層中におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、特に15質量%以上であることが好ましく、さらには20質量%以上であることが好ましい。また、上記含有量は、100質量%以下であることが好ましく、特に95質量%以下であることが好ましく、さらには90質量%以下であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂の含有量が上記範囲であることで、本実施形態に係るワーク加工用シート1がより良好なエキスパンド性を有し易いものとなる。
なお、表面層111、中間層112および背面層113のいずれもがポリエチレンを含有する場合、中間層112に含有されるポリエチレンは、表面層111および背面層113に含有される各々のポリエチレンとは、JIS K7210-1に準拠して測定されるメルトフローレートが異なることが好ましい。特に、中間層112に含有されるポリエチレンのメルトフローレートが、表面層111および背面層113に含有される各々のポリエチレンのメルトフローレートよりも大きいことが好ましい。これにより、本実施形態に係るワーク加工用シート1がより良好なエキスパンド性を得易いものとなる。
(1-2)熱可塑性エラストマー
前述した熱可塑性エラストマーとしては、上記ポリオレフィン系樹脂以外のものであって、基材11の形成を可能とするものである限り、特に限定されない。熱可塑性エラストマーの例としては、例えば、オレフィン系エラストマー、ゴムエラストマー、ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前述した熱可塑性エラストマーとしては、上記ポリオレフィン系樹脂以外のものであって、基材11の形成を可能とするものである限り、特に限定されない。熱可塑性エラストマーの例としては、例えば、オレフィン系エラストマー、ゴムエラストマー、ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述したエラストマーの中でも、良好なエキスパンド性を得易いという観点からは、オレフィン系エラストマーが好ましい。特に、表面層111および裏面層113の少なくとも一方が、オレフィン系エラストマーを含有することが好ましい。なお、本明細書において「オレフィン系エラストマー」とは、オレフィンまたはその誘導体(オレフィン系化合物)に由来する構造単位を含む共重合体であって、常温を含む温度域ではゴム状の弾性を有するとともに、熱可塑性を有する材料を意味する。
オレフィン系エラストマーの例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、ブテン・α-オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・ブテン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・ブテン・α-オレフィン共重合体およびエチレン・プロピレン・ブテン・α-オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むものが挙げられる。これらの中でも、エチレン・プロピレン共重合体が好ましい。
基材11を構成する層のいずれかがオレフィン系エラストマーを含有する場合、当該層中におけるオレフィン系エラストマーの含有量は、1質量%以上であることが好ましく、特に10質量%以上であることが好ましく、さらには15質量%以上であることが好ましい。また、上記含有量は、90質量%以下であることが好ましく、特に80質量%以下であることが好ましく、さらには70質量%以下であることが好ましい。オレフィン系エラストマーの含有量が上記範囲であることで、本実施形態に係るワーク加工用シート1がより良好なエキスパンド性を得易いものとなる。
また、良好なエキスパンド性を得易いという観点からは、スチレン系エラストマーを使用することも好ましい。特に、中間層112が、スチレン系エラストマーを含有することが好ましい。なお、本明細書において「スチレン系エラストマー」とは、スチレンまたはその誘導体(スチレン系化合物)に由来する構造単位を含む共重合体であって、常温を含む温度域ではゴム状の弾性を有するとともに、熱可塑性を有する材料を意味する。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン-共役ジエン共重合体およびスチレン-オレフィン共重合体などが挙げられ、中でもスチレン-共役ジエン共重合体が好ましい。スチレン-共役ジエン共重合体の具体例としては、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-イソプレン-スチレン共重合体等の未水添スチレン-共役ジエン共重合体;スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン共重合体(SEPS:スチレン-イソプレン-スチレン共重合体の水素添加物)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS:スチレン-ブタジエン共重合体の水素添加物)等の水添スチレン-共役ジエン共重合体などを挙げることができる。スチレン系熱可塑性エラストマーは、水素添加物(水添物)でも未水添物であってもよいが、水素添加物であることが好ましい。上記の中でも、良好なエキスパンド性を得易いという観点から、水添スチレン-共役ジエン共重合体が好ましく、特にスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)が好ましい。
スチレン系エラストマーにおけるスチレンまたはスチレン系化合物に由来する構造単位の含有量(スチレン比率)は、1質量%以上であることが好ましく、特に5質量%以上であることが好ましく、さらには10質量%以上であることが好ましい。また、上記構造単位の含有量は、優れた製膜性を達成し易いという観点から、80質量%以下であることが好ましく、特に70質量%以下であることが好ましく、さらには60質量%以下であることが好ましい。これにより、優れたエキスパンド性を達成し易くなる。
基材11を構成する層のいずれかがスチレン系エラストマーを含有する場合、当該層中におけるスチレン系エラストマーの含有量は、1質量%以上であることが好ましく、特に10質量%以上であることが好ましく、さらには15質量%以上であることが好ましい。また、上記含有量は、90質量%以下であることが好ましく、特に80質量%以下であることが好ましく、さらには70質量%以下であることが好ましい。スチレン系エラストマーの含有量が上記範囲であることで、本実施形態に係るワーク加工用シート1がより良好なエキスパンド性を得易いものとなる。
(1-3)帯電防止剤
基材11を構成する各層は、帯電防止剤を含有することも好ましい。特に、表面層111および裏面層113の各々が帯電防止剤を含有することが好ましい。これにより、本実施形態に係るワーク加工用シート1は、優れた帯電防止性を有し易いものとなり、ワーク加工用シート1から剥離シートやワークを分離する際における剥離帯電を良好に抑制することができる。
基材11を構成する各層は、帯電防止剤を含有することも好ましい。特に、表面層111および裏面層113の各々が帯電防止剤を含有することが好ましい。これにより、本実施形態に係るワーク加工用シート1は、優れた帯電防止性を有し易いものとなり、ワーク加工用シート1から剥離シートやワークを分離する際における剥離帯電を良好に抑制することができる。
なお、中間層112も帯電防止剤を含有してよいものの、ダイシング時の切削片の発生を抑制し易いという観点からは、中間層112は、帯電防止剤を含有していないか、または、中間層112は、表面層111および裏面層113の各々よりも少ない含有量(単位:質量%)で帯電防止剤を含有していることが好ましい。このように、帯電防止剤を含有していないか、またはその含有量が少ない中間層112が、表面層111と裏面層113との間に存在することにより、ダイシングの際に、ダイシングブレードが中間層112に到達した場合に、中間層112からの切削片の発生を良好に抑制することができる。
本実施形態における帯電防止剤は特に限定されず、公知のものを使用することができる。帯電防止剤の例としては、低分子型帯電防止剤や高分子型帯電防止剤等が挙げられるが、切削片の発生を抑制し易く、また、表面層111や裏面層113からのブリードアウトが生じ難いという観点から、高分子型帯電防止剤が好ましい。
高分子型帯電防止剤としては、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルポリオレフィンブロック共重合体など、ポリエーテルユニットを有する共重合体が挙げられ、これら共重合体にはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの金属塩や、イオン液体が含まれていても良い。
表面層111中における帯電防止剤の含有量は、3質量%以上であることが好ましく、特に5質量%以上であることが好ましく、さらには10質量%以上であることが好ましい。帯電防止剤の含有量が3質量%以上であることで、良好な帯電防止性を発揮し易いものとなる。また、表面層111中における帯電防止剤の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、特に35質量%以下であることが好ましく、さらには30質量%以下であることが好ましい。帯電防止剤の含有量が40質量%以下であることで、切削片の発生を抑制し易いものとなる。
裏面層113中における帯電防止剤の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、特に20質量%以上であることが好ましく、さらには30質量%以上であることが好ましい。帯電防止剤の含有量が10質量%以上であることで、良好な帯電防止性を発揮し易いものとなる。また、裏面層113中における帯電防止剤の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、特に45質量%以下であることが好ましく、さらには40質量%以下であることが好ましい。帯電防止剤の含有量が50質量%以下であることで、切削片の発生を抑制し易いものとなる。
なお、前述の通り、中間層112は、帯電防止剤を含有していないか、または、中間層112は、表面層111および裏面層113の各々よりも少ない含有量(単位:質量%)で帯電防止剤を含有していることが好ましい。中間層112が帯電防止剤を含有する場合、中間層112中におけるその含有量は、10質量%以下であることが好ましく、特に5質量%以下であることが好ましく、さらには3質量%以下であることが好ましい。中間層112中の帯電防止剤の含有量が5質量%以下であることで、切削片の発生を抑制し易いものとなる。なお、上記含有量の下限値としては、例えば、0.01質量%以上であってよい。
(1-4)酸変性樹脂
基材11を構成する各層は、酸変性樹脂を含有することも好ましい。特に、表面層111が、酸変性樹脂を含有することが好ましい。本明細書において「酸変性樹脂」とは、酸成分に由来する構造が高分子鎖に付加されたものを意味する。酸成分に由来する構造は、酸無水物の形態になっていてもよいし、カルボキシ基を有するものであってもよい。表面層111が上記のように酸変性樹脂を含有することにより、基材11と粘着剤層12との密着性が向上し、ピックアップ時に粘着剤がチップ側に残ることを抑制することができる。
基材11を構成する各層は、酸変性樹脂を含有することも好ましい。特に、表面層111が、酸変性樹脂を含有することが好ましい。本明細書において「酸変性樹脂」とは、酸成分に由来する構造が高分子鎖に付加されたものを意味する。酸成分に由来する構造は、酸無水物の形態になっていてもよいし、カルボキシ基を有するものであってもよい。表面層111が上記のように酸変性樹脂を含有することにより、基材11と粘着剤層12との密着性が向上し、ピックアップ時に粘着剤がチップ側に残ることを抑制することができる。
酸変性樹脂の主鎖としては、例えば、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン-アクリル系共重合体が好ましく挙げられる。かかる樹脂によれば、表面層111と粘着剤層12との密着性を向上し易いものとなる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1~4の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル等が好ましく挙げられる。中でも(メタ)アクリル酸エチルがより好ましく、特にアクリル酸エチルが好ましい。
表面層111が酸変性樹脂を含有する場合、表面層111中における酸変性樹脂の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、特に10質量%以上であることが好ましい。これにより、表面層111と粘着剤層12との密着性がより向上する。また、当該含有量は、30質量%以下であることが好ましく、特に25質量%以下であることが好ましく、さらには20質量%以下であることが好ましい。これにより、前述した物性を満たし易いものとなる。
(1-5)その他の成分
基材11を構成する層は、上述した成分以外のその他の成分を含有してもよい。特に、当該樹脂組成物には、一般的なワーク加工用シートの基材に用いられる成分を含有させてもよい。
基材11を構成する層は、上述した成分以外のその他の成分を含有してもよい。特に、当該樹脂組成物には、一般的なワーク加工用シートの基材に用いられる成分を含有させてもよい。
そのような成分の例としては、難燃剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、イオン捕捉剤等の各種添加剤が挙げられる。これらの添加剤の含有量としては、特に限定されないものの、基材が所望の機能を発揮する範囲とすることが好ましい。
(1-6)基材の表面処理
基材11における粘着剤層12が積層される面には、当該粘着剤層12との密着性を高めるために、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、粗面化処理(マット加工)等の表面処理が施されてもよい。粗面化処理としては、例えば、エンボス加工法、サンドブラスト加工法等が挙げられる。これらの中でも、コロナ処理を施すことが好ましい。
基材11における粘着剤層12が積層される面には、当該粘着剤層12との密着性を高めるために、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、粗面化処理(マット加工)等の表面処理が施されてもよい。粗面化処理としては、例えば、エンボス加工法、サンドブラスト加工法等が挙げられる。これらの中でも、コロナ処理を施すことが好ましい。
(1-7)基材の製法
本実施形態における基材11の製造方法は特に限定されず、例えば、Tダイ法、丸ダイ法等の溶融押出法;カレンダー法;乾式法、湿式法等の溶液法などを使用することができる。これらの中でも、効率良く基材を製造する観点から、溶融押出法を採用することが好ましく、特にTダイ法を採用することが好ましい。
本実施形態における基材11の製造方法は特に限定されず、例えば、Tダイ法、丸ダイ法等の溶融押出法;カレンダー法;乾式法、湿式法等の溶液法などを使用することができる。これらの中でも、効率良く基材を製造する観点から、溶融押出法を採用することが好ましく、特にTダイ法を採用することが好ましい。
また、基材11を溶融押出法により製造する場合、各層を構成する成分をそれぞれ混練し、得られた混練物から直接、または一旦ペレットを製造したのち、公知の押出機を用いて、複数層を同時に押し出して製膜すればよい。
(1-8)基材の物性
本実施形態における基材11は、前述した通り、短辺が15mmの短冊状に基材11を裁断してなる試験片について、23℃の環境下で、チャック間距離100mm、引張速度200mm/minにて引張試験を行った場合に測定される破断伸度が、MD方向に引っ張る場合およびCD方向に引っ張る場合の両方について、600%以上である。
本実施形態における基材11は、前述した通り、短辺が15mmの短冊状に基材11を裁断してなる試験片について、23℃の環境下で、チャック間距離100mm、引張速度200mm/minにて引張試験を行った場合に測定される破断伸度が、MD方向に引っ張る場合およびCD方向に引っ張る場合の両方について、600%以上である。
ここで、より優れたエキスパンド性を達成し易いという観点からは、上記破断伸度は、MD方向に引っ張る場合およびCD方向に引っ張る場合の両方について、特に650%以上であることが好ましく、さらには700%以上であることが好ましい。なお、上記破断伸度の上限値については特に限定されず、例えば、MD方向に引っ張る場合およびCD方向に引っ張る場合の両方について、1000%以下であってもよく、特に800%以下であってもよい。
また、より優れたエキスパンド性を達成し易いという観点から、上記試験片をMD方向に引っ張る場合における破断伸度は、650%以上であることが好ましく、さらには700%以上であることが好ましく、特に800%以上であることが好ましい。なお、当該破断伸度の上限値については特に限定されず、例えば、1000%以下であってもよく、特に800%以下であってもよい。
さらに、より優れたエキスパンド性を達成し易いという観点から、上記試験片をCD方向に引っ張る場合における破断伸度は、650%以上であることが好ましく、さらには700%以上であることが好ましく、特に800%以上であることが好ましい。なお、当該破断伸度の上限値については特に限定されず、例えば、1000%以下であってもよく、特に800%以下であってもよい。
なお、以上の破断伸度の測定方法の詳細は後述する試験例に記載の通りである。
また、本実施形態における基材11は、前述した通り、基材11をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される25%伸長時の引張応力に対する、基材11をMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される25%伸長時の引張応力の比(R25%)が、1.3以下である。
ここで、より優れたエキスパンド性を達成し易いという観点からは、上記引張応力の比(R25%)は、1.25以下であることが好ましく、特に1.2以下であることが好ましい。なお、上記引張応力の比(R25%)の下限値については特に限定されず、例えば、0.8以上であってもよく、特に0.9以上であってもよい。
また、本実施形態における基材11は、前述した通り、基材11をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される50%伸長時の引張応力に対する、基材11をMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される50%伸長時の引張応力の比(R50%)が、1.3以下である。
ここで、より優れたエキスパンド性を達成し易いという観点からは、上記引張応力の比(R50%)は、1.25以下であることが好ましく、特に1.2以下であることが好ましい。なお、上記引張応力の比(R50%)の下限値については特に限定されず、例えば、0.8以上であってもよく、特に0.9以上であってもよい。
また、さらに優れたエキスパンド性を達成し易いという観点から、基材11をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される10%伸長時の引張応力に対する、基材11をMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される10%伸長時の引張応力の比(R10%)は、1.5以下であることが好ましく、特に1.4以下であることが好ましく、さらには1.3以下であることが好ましい。なお、上記引張応力の比(R10%)の下限値については特に限定されず、例えば、0.8以上であってもよく、特に0.9以上であってもよい。
また、基材11をそのMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される10%伸長時の引張応力は、6.5MPa以上であることが好ましく、特に8MPa以上であることが好ましく、さらには10MPa以上であることが好ましい。また、上記引張応力は、20MPa以下であることが好ましく、特に15MPa以下であることが好ましく、さらには13MPa以下であることが好ましい。上記引張応力がこれらの範囲であることで、上述した引張応力の比(R10%)を満たし易いものとなる。
また、基材11をそのMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される25%伸長時の引張応力は、7MPa以上であることが好ましく、特に9MPa以上であることが好ましく、さらには10MPa以上であることが好ましい。また、上記引張応力は、20MPa以下であることが好ましく、特に15MPa以下であることが好ましく、さらには13MPa以下であることが好ましい。上記引張応力がこれらの範囲であることで、上述した引張応力の比(R25%)を満たし易いものとなる。
また、基材11をそのMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される50%伸長時の引張応力は、8MPa以上であることが好ましく、特に9MPa以上であることが好ましく、さらには10MPa以上であることが好ましい。また、上記引張応力は、20MPa以下であることが好ましく、特に15MPa以下であることが好ましく、さらには13MPa以下であることが好ましい。上記引張応力がこれらの範囲であることで、上述した引張応力の比(R50%)を満たし易いものとなる。
また、基材11をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される10%伸長時の引張応力は、6.5MPa以上であることが好ましく、特に7MPa以上であることが好ましく、さらには10MPa以上であることが好ましい。また、上記引張応力は、20MPa以下であることが好ましく、特に15MPa以下であることが好ましく、さらには13MPa以下であることが好ましい。上記引張応力がこれらの範囲であることで、上述した引張応力の比(R10%)を満たし易いものとなる。
また、基材11をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される25%伸長時の引張応力は、7MPa以上であることが好ましく、特に8MPa以上であることが好ましく、さらには10MPa以上であることが好ましい。また、上記引張応力は、20MPa以下であることが好ましく、特に15MPa以下であることが好ましく、さらには13MPa以下であることが好ましい。上記引張応力がこれらの範囲であることで、上述した引張応力の比(R25%)を満たし易いものとなる。
また、基材11をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される50%伸長時の引張応力は、7.5MPa以上であることが好ましく、特に7MPa以上であることが好ましく、さらには10MPa以上であることが好ましい。また、上記引張応力は、20MPa以下であることが好ましく、特に15MPa以下であることが好ましく、さらには13MPa以下であることが好ましい。上記引張応力がこれらの範囲であることで、上述した引張応力の比(R50%)を満たし易いものとなる。
なお、以上の引張応力の測定方法の詳細は後述する試験例に記載の通りである。
(1-9)基材の各層の厚さ
本実施形態における表面層111の厚さは、1μm以上であることが好ましく、特に2μm以上であることが好ましく、さらには4μm以上であることが好ましい。また、表面層111の厚さは、10μm以下であることが好ましく、特に8μm以下であることが好ましく、さらには4μm以下であることが好ましい。表面層111の厚さが上記範囲であることで、ワーク加工用シート1が優れたエキスパンド性を達成し易くなるとともに、ワーク加工用シート1に所望の性能を付与し易いものとなる。
本実施形態における表面層111の厚さは、1μm以上であることが好ましく、特に2μm以上であることが好ましく、さらには4μm以上であることが好ましい。また、表面層111の厚さは、10μm以下であることが好ましく、特に8μm以下であることが好ましく、さらには4μm以下であることが好ましい。表面層111の厚さが上記範囲であることで、ワーク加工用シート1が優れたエキスパンド性を達成し易くなるとともに、ワーク加工用シート1に所望の性能を付与し易いものとなる。
本実施形態における中間層112の厚さは、40μm以上であることが好ましく、特に50μm以上であることが好ましく、さらには60μm以上であることが好ましい。また、中間層112の厚さは、100μm以下であることが好ましく、特に90μm以下であることが好ましく、さらには80μm以下であることが好ましい。中間層112の厚さが上記範囲であることで、ワーク加工用シート1が優れたエキスパンド性を達成し易くなるとともに、ワーク加工用シート1に所望の性能を付与し易いものとなる。
本実施形態における裏面層113の厚さは、2μm以上であることが好ましく、特に4μm以上であることが好ましく、さらには8μm以上であることが好ましい。また、裏面層113の厚さは、40μm以下であることが好ましく、特に30μm以下であることが好ましく、さらには25μm以下であることが好ましい。裏面層112の厚さが上記範囲であることで、ワーク加工用シート1が優れたエキスパンド性を達成し易くなるとともに、ワーク加工用シート1に所望の性能を付与し易いものとなる。
(2)粘着剤層
本実施形態における粘着剤層12を構成する粘着剤としては、被着体に対する十分な粘着力(特に、ワークの加工を行うために十分となるような対ワーク粘着力)を発揮することができる限り、特に限定されない。粘着剤層12を構成する粘着剤の例としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、所望の粘着力を発揮し易いという観点から、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。
本実施形態における粘着剤層12を構成する粘着剤としては、被着体に対する十分な粘着力(特に、ワークの加工を行うために十分となるような対ワーク粘着力)を発揮することができる限り、特に限定されない。粘着剤層12を構成する粘着剤の例としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、所望の粘着力を発揮し易いという観点から、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。
本実施形態における粘着剤層12を構成する粘着剤は、活性エネルギー線硬化性を有しない粘着剤であってもよいものの、活性エネルギー線硬化性を有する粘着剤(以下、「活性エネルギー線硬化性粘着剤」という場合がある。)であることが好ましい。粘着剤層12が活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることで、活性エネルギー線の照射により粘着剤層12を硬化させて、ワーク加工用シート1の被着体に対する粘着力を容易に低下させることができる。特に、活性エネルギー線の照射によって、加工後のワークを当該ワーク加工用シート1から容易に分離することが可能となる。
粘着剤層12を構成する活性エネルギー線硬化性粘着剤としては、活性エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とするものであってもよいし、活性エネルギー線非硬化性ポリマー(活性エネルギー線硬化性を有しないポリマー)と少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とするものであってもよい。また、活性エネルギー線硬化性粘着剤は、活性エネルギー線硬化性を有するポリマーと、少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物であってもよい。
上記活性エネルギー線硬化性を有するポリマーは、側鎖に活性エネルギー線硬化性を有する官能基(活性エネルギー線硬化性基)が導入された(メタ)アクリル酸エステル重合体(以下「活性エネルギー線硬化性重合体」という場合がある。)であることが好ましい。この活性エネルギー線硬化性重合体は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系重合体と、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物とを反応させて得られるものであることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。さらに、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
上述した官能基含有モノマー単位を有するアクリル系重合体は、官能基含有モノマーとともに、その他のモノマーを重合させてなるものであってよい。このような官能基含有モノマーおよびその他のモノマー、ならびに上述した不飽和基含有化合物としては、公知のものを使用することができ、例えば国際公開第2018/084021号に開示されるものを使用することができる。
上記活性エネルギー線硬化性重合体の重量平均分子量は、1万以上であることが好ましく、特に15万以上であることが好ましく、さらには20万以上であることが好ましい。また、当該重量平均分子量は、150万以下であることが好ましく、特に100万以下であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
上述した活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分としては、例えば、不飽和基含有化合物を反応させる前の上記アクリル系重合体を使用することができる。
上記活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分としてのアクリル系重合体の重量平均分子量は、1万以上であることが好ましく、特に15万以上であることが好ましく、さらには20万以上であることが好ましい。また、当該重量平均分子量は、150万以下であることが好ましく、特に100万以下であることが好ましい。
また、上述した少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を使用することができる。
なお、活性エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させるための活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、当該粘着剤に対して、光重合開始剤を添加することが好ましい。また、当該粘着剤には、活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分またはオリゴマー成分や、架橋剤等を添加してもよい。
本実施形態における粘着剤層12の厚さは、1μm以上であることが好ましく、特に3μm以上であることが好ましく、さらには5μm以上であることが好ましい。また、粘着剤層12の厚さは、70μm以下であることが好ましく、特に30μm以下であることが好ましく、さらには15μm以下であることが好ましい。粘着剤層12の厚さが上述した範囲であることで、本実施形態に係るワーク加工用シート1が所望の粘着性を発揮し易いものとなる。
(3)剥離シート
本実施形態に係るワーク加工用シート1では、粘着剤層12における基材11とは反対側の面(以下、「粘着面」という場合がある。)をワークに貼付するまでの間、当該面を保護する目的で、当該面に剥離シートが積層されていてもよい。
本実施形態に係るワーク加工用シート1では、粘着剤層12における基材11とは反対側の面(以下、「粘着面」という場合がある。)をワークに貼付するまでの間、当該面を保護する目的で、当該面に剥離シートが積層されていてもよい。
上記剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。当該プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。上記剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等を用いることができ、これらの中でも、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。
上記剥離シートの厚さについては特に制限はなく、例えば、16μm以上、250μm以下であってよい。
(4)その他
本実施形態に係るワーク加工用シート1では、粘着剤層12における基材11とは反対側の面に接着剤層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク加工用シート1は、ダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。当該シートでは、接着剤層における粘着剤層12とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに接着剤層をダイシングすることで、個片化された接着剤層が積層されたチップを得ることができる。当該チップは、この個片化された接着剤層によって、当該チップが搭載される対象に対して容易に固定することが可能となる。上述した接着剤層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂と低分子量の熱硬化性接着成分とを含有するものや、Bステージ(半硬化状)の熱硬化型接着成分を含有するもの等を用いることが好ましい。
本実施形態に係るワーク加工用シート1では、粘着剤層12における基材11とは反対側の面に接着剤層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク加工用シート1は、ダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。当該シートでは、接着剤層における粘着剤層12とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに接着剤層をダイシングすることで、個片化された接着剤層が積層されたチップを得ることができる。当該チップは、この個片化された接着剤層によって、当該チップが搭載される対象に対して容易に固定することが可能となる。上述した接着剤層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂と低分子量の熱硬化性接着成分とを含有するものや、Bステージ(半硬化状)の熱硬化型接着成分を含有するもの等を用いることが好ましい。
また、本実施形態に係るワーク加工用シート1では、粘着剤層12における粘着面に保護膜形成層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク加工用シート1は、保護膜形成兼ダイシング用シートとして使用することができる。このようなシートでは、保護膜形成層における粘着剤層12とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに保護膜形成層をダイシングすることで、個片化された保護膜形成層が積層されたチップを得ることができる。当該ワークとしては、片面に回路が形成されたものが使用されることが好ましく、この場合、通常、当該回路が形成された面とは反対側の面に保護膜形成層が積層される。個片化された保護膜形成層は、所定のタイミングで硬化させることで、十分な耐久性を有する保護膜をチップに形成することができる。保護膜形成層は、未硬化の硬化性接着剤からなることが好ましい。
2.ワーク加工用シートの製造方法
本実施形態に係るワーク加工用シート1の製造方法は特に限定されない。例えば、剥離シート上に粘着剤層12を形成した後、当該粘着剤層12における剥離シートとは反対側の面に基材11の片面を積層することで、ワーク加工用シート1を得ることが好ましい。
本実施形態に係るワーク加工用シート1の製造方法は特に限定されない。例えば、剥離シート上に粘着剤層12を形成した後、当該粘着剤層12における剥離シートとは反対側の面に基材11の片面を積層することで、ワーク加工用シート1を得ることが好ましい。
上述した粘着剤層12の形成は、公知の方法により行うことができる。例えば、粘着剤層12を形成するための粘着性組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗布液を調製する。そして、剥離シートの剥離性を有する面(以下、「剥離面」という場合がある。)に上記塗布液を塗布する。続いて、得られた塗膜を乾燥させることで、粘着剤層12を形成することができる。
上述した塗布液の塗布は公知の方法により行うことができ、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等により行うことができる。なお、塗布液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、粘着剤層12を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。また、剥離シートは工程材料として剥離してもよいし、被着体に貼付するまでの間、粘着剤層12を保護していてもよい。
粘着剤層12を形成するための粘着性組成物が前述した架橋剤を含有する場合には、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えることにより、または加熱処理を別途設けることにより、塗膜内のポリマー成分と架橋剤との架橋反応を進行させ、粘着剤層12内に所望の存在密度で架橋構造を形成することが好ましい。さらに、上述した架橋反応を十分に進行させるために、粘着剤層12と基材11とを貼り合わせた後、例えば23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行ってもよい。
3.ワーク加工用シートの使用方法
本実施形態に係るワーク加工用シート1は、半導体ウエハ等のワークの加工のために使用することができる。すなわち、本実施形態に係るワーク加工用シート1の粘着面をワークに貼付した後、ワーク加工用シート1上にてワークの加工を行うことができる。当該加工に応じて、本実施形態に係るワーク加工用シート1は、バックグラインドシート、ダイシングシート、エキスパンドシート、ピックアップシート等として使用されることとなる。ここで、ワークの例としては、半導体ウエハ、半導体パッケージ等の半導体部材、ガラス板等のガラス部材が挙げられる。
本実施形態に係るワーク加工用シート1は、半導体ウエハ等のワークの加工のために使用することができる。すなわち、本実施形態に係るワーク加工用シート1の粘着面をワークに貼付した後、ワーク加工用シート1上にてワークの加工を行うことができる。当該加工に応じて、本実施形態に係るワーク加工用シート1は、バックグラインドシート、ダイシングシート、エキスパンドシート、ピックアップシート等として使用されることとなる。ここで、ワークの例としては、半導体ウエハ、半導体パッケージ等の半導体部材、ガラス板等のガラス部材が挙げられる。
本実施形態に係るワーク加工用シート1は、前述した通り、優れたエキスパンド性を示す。そのため、本実施形態に係るワーク加工用シート1は、上述したワーク加工用シートの中でも、特にダイシングシート、エキスパンドシートまたはピックアップシートとして使用することが好適である。
なお、本実施形態に係るワーク加工用シート1が前述した接着剤層を備える場合には、当該ワーク加工用シート1は、ダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。さらに、本実施形態に係るワーク加工用シート1が前述した保護膜形成層を備える場合には、当該ワーク加工用シート1は、保護膜形成兼ダイシング用シートとして使用することができる。
また、本実施形態に係るワーク加工用シート1における粘着剤層12が、前述した活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成される場合には、使用の際に、次のような活性エネルギー線の照射することも好ましい。すなわち、ワーク加工用シート1上にてワークの加工が完了し、加工後のワークをワーク加工用シート1から分離する場合に、当該分離の前に粘着剤層12に対して活性エネルギー線を照射することが好ましい。これにより、粘着剤層12が硬化して、加工後のワークに対する粘着シートの粘着力が良好に低下し、加工後のワークの分離が容易となる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、本実施形態に係るワーク加工用シート1における基材11と粘着剤層12との間、または基材11における粘着剤層12とは反対側の面には、他の層が積層されていてもよい。また、表面層111における中間層112とは反対側の面、表面層111と中間層112との間、中間層112と裏面層113との間、および、裏面層113における中間層112とは反対側の面には、それぞれ他の層が積層されていてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)基材の作製
ランダムポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製,製品名「ノバテック FX3B」)45質量部、オレフィン系熱可塑性エラストマー(日本ポリプロ社製,製品名「ウェルネクス RFX4V」)16質量部、酸変性樹脂(SK functional polymer社製,製品名「BONDINE LX4110」,アクリル酸エチル含有量:5質量%,酸成分量:3質量%)15質量部、および帯電防止剤(三洋化成社製,製品名「ペレクトロンPVH」)25質量部を、各々乾燥させた後、二軸混錬機にて混錬することで、表面層用のペレットを得た。
(1)基材の作製
ランダムポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製,製品名「ノバテック FX3B」)45質量部、オレフィン系熱可塑性エラストマー(日本ポリプロ社製,製品名「ウェルネクス RFX4V」)16質量部、酸変性樹脂(SK functional polymer社製,製品名「BONDINE LX4110」,アクリル酸エチル含有量:5質量%,酸成分量:3質量%)15質量部、および帯電防止剤(三洋化成社製,製品名「ペレクトロンPVH」)25質量部を、各々乾燥させた後、二軸混錬機にて混錬することで、表面層用のペレットを得た。
また、ランダムポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製,製品名「ノバテック FX3B」)28質量部、オレフィン系熱可塑性エラストマー(日本ポリプロ社製,製品名「ウェルネクス RFX4V」)39質量部、およびスチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製,製品名「タフテックH1041」,スチレン・エチレン/ブチレン・スチレン共重合体,スチレン比率:30wt%)33質量を、各々乾燥させた後、二軸混錬機にて混錬することで、中間層用ペレットを得た。
さらに、オレフィン系熱可塑性エラストマー(日本ポリプロ社製,製品名「ウェルネクス RFX4V」)70質量部、および帯電防止剤(三洋化成社製,製品名「ペレクトロンPVH」)30質量部を、各々乾燥させた後、二軸混錬機にて混錬することで、裏面層用のペレットを得た。
上記の通り得られた3種のペレットを用いて、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって共押出成形し、厚さ4μmの表面層と、厚さ64μmの中間層と、厚さ12μmの裏面層とが順に積層されてなる3層構造の基材を得た。
(2)粘着性組成物の調製
アクリル酸n-ブチル62質量部と、メタクリル酸メチル10質量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル28質量部とを、溶液重合法により重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。続いて、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体を構成するアクリル酸2-ヒドロキシエチルに対して80モル%に相当する量の2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)を添加するとともに、スズ含有触媒としてのジブチル錫ジラウレート(DBTDL)を、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して0.13質量部の量で添加した。その後、50℃で24時間反応させることで、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。当該活性エネルギー線硬化型重合体の重量平均分子量を後述の方法によって測定したところ、50万であった。
アクリル酸n-ブチル62質量部と、メタクリル酸メチル10質量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル28質量部とを、溶液重合法により重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。続いて、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体を構成するアクリル酸2-ヒドロキシエチルに対して80モル%に相当する量の2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)を添加するとともに、スズ含有触媒としてのジブチル錫ジラウレート(DBTDL)を、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して0.13質量部の量で添加した。その後、50℃で24時間反応させることで、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。当該活性エネルギー線硬化型重合体の重量平均分子量を後述の方法によって測定したところ、50万であった。
上記で得られた、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部(固形分換算,以下同じ)と、光重合開始剤としての2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(BASF社製,製品名「オムニラッド127」)2質量部と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(東ソー社製,製品名「コロネートL」)1質量部とを溶媒中で混合し、粘着性組成物の塗布液を得た。
(3)粘着剤層の形成
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン系の剥離剤層が形成されてなる剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET381031」)の剥離面に対して、上記工程(2)で得られた粘着性組成物の塗布液を塗布し、加熱により乾燥させることで、剥離シート上に、厚さ5μmの粘着剤層が形成されてなる積層体を得た。
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン系の剥離剤層が形成されてなる剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET381031」)の剥離面に対して、上記工程(2)で得られた粘着性組成物の塗布液を塗布し、加熱により乾燥させることで、剥離シート上に、厚さ5μmの粘着剤層が形成されてなる積層体を得た。
(4)粘着シートの作製
上記工程(1)で得られた基材における表面層側の面にコロナ処理を施した後、当該コロナ処理面と、上記工程(3)で得られた積層体における粘着剤層側の面とを貼り合わせることで、ワーク加工用シートを得た。
上記工程(1)で得られた基材における表面層側の面にコロナ処理を施した後、当該コロナ処理面と、上記工程(3)で得られた積層体における粘着剤層側の面とを貼り合わせることで、ワーク加工用シートを得た。
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・測定装置:東ソー社製,HLC-8320
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK gel superH-H
TSK gel superHM-H
TSK gel superH2000
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
<測定条件>
・測定装置:東ソー社製,HLC-8320
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK gel superH-H
TSK gel superHM-H
TSK gel superH2000
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
〔実施例2〕
表面層および裏面層用の樹脂としての低密度ポリエチレン(宇部興産社製,製品名「F244N」,メルトフローレート:2g/10min)および中間層用の樹脂としての低密度ポリエチレン(宇部興産社製,製品名「F522A」,低密度ポリエチレン,メルトフローレート:5g/10min)を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって共押出成形し、厚さ21μmの表面層と、厚さ28μmの中間層と、厚さ21μmの裏面層とが順に積層されてなる3層構造の基材を得た。当該基材を使用した以外は、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
表面層および裏面層用の樹脂としての低密度ポリエチレン(宇部興産社製,製品名「F244N」,メルトフローレート:2g/10min)および中間層用の樹脂としての低密度ポリエチレン(宇部興産社製,製品名「F522A」,低密度ポリエチレン,メルトフローレート:5g/10min)を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって共押出成形し、厚さ21μmの表面層と、厚さ28μmの中間層と、厚さ21μmの裏面層とが順に積層されてなる3層構造の基材を得た。当該基材を使用した以外は、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
〔実施例3〕
ランダムポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製,製品名「ノバテック FX3B」)28質量部、オレフィン系熱可塑性エラストマー(日本ポリプロ社製,製品名「ウェルネクス RFX4V」)45質量部、および帯電防止剤(三洋化成社製,製品名「ペレクトロンPVH」)30質量部を、各々乾燥させた後、二軸混錬機にて混錬することで、表面層用のペレットを得た。
ランダムポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製,製品名「ノバテック FX3B」)28質量部、オレフィン系熱可塑性エラストマー(日本ポリプロ社製,製品名「ウェルネクス RFX4V」)45質量部、および帯電防止剤(三洋化成社製,製品名「ペレクトロンPVH」)30質量部を、各々乾燥させた後、二軸混錬機にて混錬することで、表面層用のペレットを得た。
また、ランダムポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製,製品名「ノバテック FX3B」)38質量部、およびオレフィン系熱可塑性エラストマー(日本ポリプロ社製,製品名「ウェルネクス RFX4V」)62質量部を、各々乾燥させた後、二軸混錬機にて混錬することで、中間層用ペレットを得た。
さらに、オレフィン系熱可塑性エラストマー(日本ポリプロ社製,製品名「ウェルネクス RFX4V」)65質量部、および帯電防止剤(三洋化成社製,製品名「ペレクトロンPVH」)35質量部を、各々乾燥させた後、二軸混錬機にて混錬することで、裏面層用のペレットを得た。
上記の通り得られた3種のペレットを用いて、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって共押出成形し、厚さ4μmの表面層と、厚さ68μmの中間層と、厚さ8μmの裏面層とが順に積層されてなる3層構造の基材を得た。当該基材を使用した以外は、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
〔比較例1〕
エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)(三井・デュポンポリケミカル社製,製品名「ニュクレルN0903HC」)を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって押出成形することで、厚さ80μmのEMAAフィルムを得た。当該EMAAフィルムを基材として使用した以外は、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)(三井・デュポンポリケミカル社製,製品名「ニュクレルN0903HC」)を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって押出成形することで、厚さ80μmのEMAAフィルムを得た。当該EMAAフィルムを基材として使用した以外は、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
〔比較例2〕
比較例1と同様に作製したEMAAフィルムの片面に対し、下記の条件で電子線照射を行った。この電子線照射後のEMAAフィルムを基材として用いるとともに、当該基材における電子線照射を行った面に対して粘着剤層を積層した以外は、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
電子線照射の照射条件
照射量:110kGy
照射回数:1回
積算照射量:110kGy
比較例1と同様に作製したEMAAフィルムの片面に対し、下記の条件で電子線照射を行った。この電子線照射後のEMAAフィルムを基材として用いるとともに、当該基材における電子線照射を行った面に対して粘着剤層を積層した以外は、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
電子線照射の照射条件
照射量:110kGy
照射回数:1回
積算照射量:110kGy
〔試験例1〕(破断伸度の測定)
実施例および比較例で作製した基材を15mm×150mmの試験片に裁断した。このとき、150mmの辺が基材のMD方向(基材の製造時の流れ方向)と平行となり、且つ、15mmの辺が基材のCD方向(上記MD方向に垂直な方向)と平行となるように裁断を行った(以下、当該試験片を、「MD方向試験片」という場合がある)。そして、当該MD方向試験片について、JIS K7127:1999に準拠して、破断伸度を測定した。
実施例および比較例で作製した基材を15mm×150mmの試験片に裁断した。このとき、150mmの辺が基材のMD方向(基材の製造時の流れ方向)と平行となり、且つ、15mmの辺が基材のCD方向(上記MD方向に垂直な方向)と平行となるように裁断を行った(以下、当該試験片を、「MD方向試験片」という場合がある)。そして、当該MD方向試験片について、JIS K7127:1999に準拠して、破断伸度を測定した。
具体的には、MD方向試験片を、引張試験機(島津製作所製,製品名「オートグラフAG-Xplus 100N」)にて、チャック間距離100mmに設定した後、23℃の環境下、200mm/minの速度で、基材の長辺方向(MD方向)に試験片を引っ張る引張試験を行い、破断伸度(%)を測定した。その結果を、MD方向に係る破断伸度として表2に示す。
また、MD方向とCD方向とを入れ替えた以外は、上記と同様にして基材を裁断することで、試験片を得た(以下、当該試験片を、「CD方向試験片」という場合がある)。そして、当該CD方向試験片についても、上記と同様にして破断伸度(%)を測定した。その結果を、CD方向に係る破断伸度として表2に示す。
〔試験例2〕(引張応力およびその比の測定)
試験例1と同様に作製したMD方向試験片について、JIS K7127:1999に準拠して、引張試験機(島津製作所製,製品名「オートグラフAG-Xplus 100N」)を用いて、チャック間距離を100mmとし、23℃の環境下、200mm/minの速度で、MD方向試験片を長辺方向(MD方向)に引っ張る引張試験を行い、引張伸度(%)を0%から150%まで上昇させたときの、引張応力(MPa)の変動を測定した。そして、引張伸度(%)が10%、25%および50%の伸長時における引張応力(MPa)を記録した。これらの引張応力を、MD方向に係る引張応力として表2に示す。
試験例1と同様に作製したMD方向試験片について、JIS K7127:1999に準拠して、引張試験機(島津製作所製,製品名「オートグラフAG-Xplus 100N」)を用いて、チャック間距離を100mmとし、23℃の環境下、200mm/minの速度で、MD方向試験片を長辺方向(MD方向)に引っ張る引張試験を行い、引張伸度(%)を0%から150%まで上昇させたときの、引張応力(MPa)の変動を測定した。そして、引張伸度(%)が10%、25%および50%の伸長時における引張応力(MPa)を記録した。これらの引張応力を、MD方向に係る引張応力として表2に示す。
さらに、試験例1と同様に作製したCD方向試験片について、上記と同様に、長辺方向(CD方向)に引っ張る引張試験を行い、引張伸度(%)を0%から150%まで上昇させたときの、引張応力(MPa)の変動を測定した。そして、引張伸度(%)が10%、25%および50%の伸長時における引張応力(MPa)を記録した。これらの引張応力を、CD方向に係る引張応力として表2に示す。
そして、10%伸長時におけるCD方向に係る引張応力に対する、10%伸長時におけるMD方向に係る引張応力の比(R10%)を算出した。同様に、25%伸長時についての引張応力の比(R25%)、および50%伸長時についての引張応力の比(R50%)を算出した。これらの結果も表2に示す。
〔試験例3〕(エキスパンド性の評価)
グラインダー(ディスコ社製,製品名「DFG8540」)を用いて、厚さが350μmとなるまで、6インチシリコンウエハの片面を研削した。当該研削面に対し、ラミネーターを用いて、実施例および比較例にて製造したワーク加工用シートから剥離シートを剥離して露出した粘着剤層の露出面を貼付した。
グラインダー(ディスコ社製,製品名「DFG8540」)を用いて、厚さが350μmとなるまで、6インチシリコンウエハの片面を研削した。当該研削面に対し、ラミネーターを用いて、実施例および比較例にて製造したワーク加工用シートから剥離シートを剥離して露出した粘着剤層の露出面を貼付した。
貼付から20分後、ダイシング装置(ディスコ社製,製品名「DFD6362」)を用いて、以下のダイシング条件でダイシングを行うことで、シリコンウエハをチップに個片化した。
ダイシング条件
チップサイズ:5mm×5mm
カッティング高さ
Z1:0.135mm
Z2:0.060mm
ブレード:以下のZ1およびZ2,ともにディスコ社製
Z1:製品名「ZH05-SD3000-50DD」
Z2:製品名「NBC-SD3000-50BB」
ブレード回転数
Z1:30000rpm
Z2:45000rpm
切削スピード:20mm/sec
切削水量:1.0L/min
切削水温度:20℃
ダイシング条件
チップサイズ:5mm×5mm
カッティング高さ
Z1:0.135mm
Z2:0.060mm
ブレード:以下のZ1およびZ2,ともにディスコ社製
Z1:製品名「ZH05-SD3000-50DD」
Z2:製品名「NBC-SD3000-50BB」
ブレード回転数
Z1:30000rpm
Z2:45000rpm
切削スピード:20mm/sec
切削水量:1.0L/min
切削水温度:20℃
その後、紫外線照射装置(リンテック社製,製品名「RAD-2000」)を用いて、ワーク加工用シートの粘着剤層に対し、基材を介して、窒素雰囲気下で紫外線を照射し(光量160mJ/cm2)、粘着剤層を硬化させた。
その後、ダイシングによって得られたチップおよびリングフレームが貼付されたワーク加工用シートを、エキスパンド装置(ヒューグルエレクトロニクス社製,製品名「HS-1840」)に設置し、リングフレームを1mm/secの速さで、ワーク加工用シートが破断するまで引き落としを行った。そして、破断時の引き落とし量(mm)を記録した。なお、装置の引き落とし限界(80mm)に達しても破断しなかったものについては、「>80mm」と記録した。さらに、以下の基準に基づいて、エキスパンド性を評価した。破断時の引き落とし量および評価結果を表2に示す。
〇:破断時の引き落とし量が、20mm以上であった。
×:破断時の引き落とし量が、20mm未満であった。
〇:破断時の引き落とし量が、20mm以上であった。
×:破断時の引き落とし量が、20mm未満であった。
表2から明らかなように、実施例で製造したワーク加工用シートは、優れたエキスパンド性を示した。
本発明のワーク加工用シートは、半導体ウエハ等のワークの加工に好適に使用することができる。
1…ワーク加工用シート
11…基材
111…表面層
112…中間層
113…裏面層
12…粘着剤層
11…基材
111…表面層
112…中間層
113…裏面層
12…粘着剤層
Claims (5)
- 基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるワーク加工用シートであって、
前記基材が、前記粘着剤層に対して近位に位置する表面層と、前記粘着剤層に対して遠位に位置する背面層と、前記表面層と前記背面層との間に位置する中間層とを備え、
短辺が15mmの短冊状に前記基材を裁断してなる試験片について、23℃の環境下で、チャック間距離100mm、引張速度200mm/minにて引張試験を行った場合に測定される破断伸度が、MD方向に引っ張る場合およびCD方向に引っ張る場合の両方について、600%以上であり、
前記基材をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される25%伸長時の引張応力に対する、前記基材をMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される25%伸長時の引張応力の比(R25%)が、1.3以下であり、
前記基材をそのCD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される50%伸長時の引張応力に対する、前記基材をMD方向に引っ張る引張試験を行った場合に測定される50%伸長時の引張応力の比(R50%)が、1.3以下である
ことを特徴とするワーク加工用シート。 - 前記表面層、前記中間層および前記背面層の各々が、ポリオレフィン系樹脂および熱可塑性エラストマーを含有するとともに、
前記表面層および前記背面層の各々が、帯電防止剤を含有する
ことを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。 - 前記中間層は、前記帯電防止剤を含有していないか、または、
前記中間層は、前記表面層および前記裏面層の各々よりも少ない含有量(単位:質量%)で前記帯電防止剤を含有している
ことを特徴とする請求項2に記載のワーク加工用シート。 - 前記表面層、前記中間層および前記背面層の各々が、ポリエチレンを含有し、
前記中間層に含有されるポリエチレンは、前記表面層および前記背面層に含有される各々のポリエチレンとは、JIS K7210-1に準拠して測定されるメルトフローレート(MFR)が異なる
ことを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。 - ダイシングシートであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のワーク加工用シート。
Priority Applications (3)
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---|---|---|---|
TW111102733A TW202239586A (zh) | 2021-03-31 | 2022-01-22 | 工件加工用片 |
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CN202210122678.1A CN115141569A (zh) | 2021-03-31 | 2022-02-09 | 工件加工用片 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021060043 | 2021-03-31 | ||
JP2021060043 | 2021-03-31 |
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JP (1) | JP2022158902A (ja) |
-
2022
- 2022-01-19 JP JP2022006073A patent/JP2022158902A/ja active Pending
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