JP2022157542A - 横編機の選針装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】選針に必要な部分を大型化しなくても、針抜き編成でキャリッジ走行の高速化を可能にする。【解決手段】(a)に示すように段位置を複数設け、(b)に示すようなセレクター2A,2Bの尾部3A,3Bの形状の違いで二つの群A,Bに分けた編針を、同一の段位置に配置する。A群に属する編針を復帰させ、B群の編針を非選択の空針とすることによって、1x1針抜き編成用の選針が可能となる。隣接する編針は異なる群A,Bに属するので、同時に復帰させることはなく、復帰させる選針用バット1が同一の段位置となる編針の間隔を広げ、キャリッジの走行が高速になっても、選針アクチュエーターでの選針を可能にすることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、針床に並設される多数の編針を、動作に応じて選択するための、横編機の選針装置および方法に関する。
横編機は、針床の表面に沿って長手方向に往復走行するキャリッジで、針床に並設される編針を駆動して編地の編成などを行わせる。針床は、長手方向に直交する進退方向に延びて編針を摺動可能な状態で収容する針溝を有する。編針は、進退方向で歯口側先端となるフックと針溝から針床の表面への突出状態を変更可能な駆動用バットとを有する。キャリッジは、針溝から突出する駆動用バットに作用して編針を動作させるカムシステムを搭載する。編地の編成のための編針の動作は、ニット、タックおよびミスが基本となり、目移しなどが併用されることもある。カムシステムは、編針を動作に応じて選択するための選針装置を含む(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1の編針は、選針のためのセレクターを、進退方向の尾端に備える。セレクターは、被選針部として、針溝から針床の表面に突出する選針用バットを、進退方向に設定する複数の段位置のうちの一つに設けておく。選針装置は、復帰機構と選針アクチュエーターとを含む。選針アクチュエーターは、復帰機構がセレクターの復帰部に作用して、針溝から突出するように復帰させた選針用バットを、個別に押圧して針溝に沈めるか否かで、非選択か否かを決める。選針アクチュエーターは、選針すべき編針の間隔が狭くなると、選針の切換え時間が間に合わなくなる。このため、隣接する編針で選針用バットの段位置が同じだと、キャリッジの走行速度を低速にしなければならないので、段数を増やして編針毎に選針用バットの段位置を順次異ならせる。
横編機は、二枚ベッドとして対向する二つの針床を備えることで、表目と裏目とを有するリブ編地などを編成したり、各針床で編成する編地が編幅の両端で繋がるように給糸して筒状の編地を編成したりすることが可能となる。各針床を1層とする筒状の編地の編成は、前後の各針床においてそれぞれ1本おきの編針を用いる1x1針抜き編成で行う。たとえば、前針床の奇数番目の編針を主として前側の編地を編成するために用い、後針床の偶数番目の編針を主として後側の編地を編成するために用いる。さらに前後の針床は、一方の針床の編成用に用いられる編針に対向する他方の針床の編針を空針としており、この空針を目移しやリブ編み等を行うために用いる。少なくとも一方の針床で2層以上の編地を編成する場合は、1x1ではなく、空針を増やした針抜き編成を行う。
国際公開第2007/074944号
特許文献1の選針は、選針用バットをセレクターの進退方向に対して複数の異なる段位置の一つに設けることで、キャリッジの走行速度を高速にして、編成速度を高めることを可能にしている。ただし、編針の並設ピッチが細かいファインゲージでは、同じ段位置の選針用バットを有する編針の間隔が縮まり、選択を行う余裕がなくなるおそれがある。そのような場合に段数を増やして対応することは、選針用バットを設ける範囲が拡大し、選針装置およびそれを搭載するキャリッジの大型化を招いてしまう。キャリッジは、大型化すると重量も増加し、高速走行が困難になる。
針抜き編成は、編成に使用する編針と編成に使用しない空針とが設けられるので、隣接する編針を総て使用して編地を編成する総針編成に比較して、編目が粗くなってしまう。針抜き編成でも細かい編目の編地を編成するためには、編針の並設ピッチを細かくしておく必要がある。並設ピッチを細かくしてもキャリッジの走行速度を低下させないためには、選針用バットの位置の段数を増やして、同じ段位置の編針間に介在する編針の本数を増やす必要があり、選針に必要な部分が大型化してしまう。
本発明の目的は、選針に必要な部分を大型化しなくても、針抜き編成でキャリッジ走行の高速化が可能な、横編機の選針装置および方法を提供することである。
本発明は、長手方向に沿って一定のピッチで針溝が設けられる針床と、
各針溝に収容され、セレクターを備える編針と、
針床の長手方向に往復移動するキャリッジと、
を含む横編機で、
セレクターは、選針の対象となる被選針部、および被選針部を選針可能な状態に復帰させる復帰部を有して、
編針を針抜き編成用に選針可能な横編機の選針装置において、
編針は、
針抜き編成で選針の対象となる編針と空針との組合せに基づき、複数の群のいずれか一つに属するように分けられ、
各群に属する編針のセレクターの復帰部の形状を異ならせ、
隣接する針溝には、異なる群に属する編針が収容されるように配置しておき、
一つの群に属する編針のみ、セレクターの復帰部に作用して被選針部を選針が可能な状態に復帰させる復帰機構と、
復帰させた編針のセレクターの被選針部に作用させて、該編針を選針するか否かを個別に決定する選針アクチュエーターと、
を含むことを特徴とする横編機の選針装置である。
また本発明で、前記セレクターは、
前記被選針部として、前記針溝から前記針床の外部に突出可能な選針用バットを、針溝が延びる進退方向に設定する複数の段位置のうちの一つに有する、
ことを特徴とする。
また本発明で、前記編針は、二つの群に分けられて、
二つの群の一方と他方とに属して、前記セレクターの前記段位置が同一となる編針は、隣接して配置される、
ことを特徴とする。
また本発明で、前記編針は、二つの群に分けられて、
前記セレクターの前記段位置は奇数設けられ、
セレクターの段位置と属する群とがそれぞれ異なる編針が交互に隣接して配置される、
ことを特徴とする。
さらに本発明は、長手方向に沿って一定のピッチで針溝が設けられる針床、および
針床の長手方向に往復移動するキャリッジを
含む横編機の選針方法において、
編針を、針抜き編成での選針の対象となる編針と空針との組合せに基づいて複数の群に分け、
編針を選針可能に復帰させる復帰部の形状を各群で異ならせ、
隣接する針溝には、異なる群に属する編針が収容されるように配置し、
針抜き編成で選針対象となる群に属する編針のみを、復帰部の形状の違いに基づいて復帰させてから、復帰させた編針を個別に選針する、
ことを特徴とする横編機の選針方法である。
本発明によれば、編針を針抜き編成で選針の対象となる編針と空針との組合せに基づく複数の群に分ける。一つの群に属する編針を、セレクターの被選針部が選針可能になるように復帰機構を復帰部に作用させて、復帰させた編針を選針アクチュエーターで個別に選針する。他の群の編針は、復帰機構が復帰させないので、選針アクチュエーターでの選針を行わなくても、非選択の空針となり、全体としては針抜き編成用の選針が可能となる。選針を行う編針に対して隣接する編針は、異なる群に属するので、選針する編針と同時に復帰させることはない。復帰させて選針を行う編針の間隔が広がるので、キャリッジの走行の高速化が可能となり、選針に必要な部分の大型化を避けることができる。
また本発明によれば、復帰機構は、復帰させる群に属する編針のセレクターを、セレクターに設ける選針用バットが針溝から突出する状態に復帰させて、選針アクチュエーターの押圧による選針の対象とすることができる。
また本発明によれば、同一の段位置に選針用バットを有する二つの群に属する編針は、隣接するように配置される。復帰機構が一方の群の編針を復帰させ、他方の群の編針を復帰させないので、選針アクチュエーターは、復帰させた編針のみを選針することで1x1針抜き編成用の選針が可能となる。
また本発明によれば、セレクターの段位置と属する群とがそれぞれ異なる編針が交互に隣接して配置されるので、二つの群のうちの一方の群の編針のみを復帰させれば1×1の針抜き編成用の選針が可能となる。1x1針抜き編成で、同一の段位置で隣接する編針の間隔は、段位置の数となる奇数の2倍にすることができる。隣接する編針は、段位置も異なるので、全部の編針を復帰させて、総針編成用の選針も可能となる。
さらに本発明によれば、編針を針抜き編成での選針の対象となる編針と空針との組合せに基づいて複数の群に分け、一つの群に属する編針を選針可能に復帰させて選針する。他の群の編針を復帰させないで、選針の対象外の空針とすることによって、針抜き編成用の選針が可能となる。隣接する編針が異なる群に属するようにしておくので、連続して選針する必要は無く、選針する編針の間隔を広げ、キャリッジの走行の高速化が可能となり、選針に必要な部分の大型化を避けることもできる。
図1は、本発明の実施例1での段位置1),2),3),4),5),6),7)、8)に、A,Bの二つの群に分けられるセレクター2A,2Bの選針用バット1を配置する状態を簡略化して示す模式的な平面図、およびセレクター2A,2Bの側面図である。 図2は、図1のセレクター2A,2Bを復帰カム4A,4Bで復帰させる状態を示す側面図、および復帰カム4A,4Bと選針アクチュエーター5との配置を示す部分的な平面図である。 図3は、図2の復帰カム4A、4Bおよび選針アクチュエーター5を有する選針装置10を含むカム配置を示す平面図である。 図4は、本発明の実施例2でのセレクター22A,22Bの側面図、および復帰カム24A,24B,24Cの配置を示す平面図である。 図5は、本発明の実施例3での段位置1),2),3),4),5),6),7)に、A,Bの二つの群に分けられるセレクター2A,2Bの選針用バット1を配置する状態を簡略化して示す模式的な平面図である。
以下、図1から図3は、本発明の実施例1に関する。平面図の縦方向は針溝が延びる編針の進退方向で、上方は針床の歯口側を示し、下方は針床の尾部側を示す。横方向は針床の長手方向で、編針を収容する針溝が並設される方向となる。側面図は、上下の方向について平面図と同様に示し、左方を針床の表面側の方向、右方を針床の裏面側の方向としてそれぞれ示す。実施例1,3は、選針用バット1の段位置の配置を、図1(a),図5のように、A群とB群とに分けて、それぞれ示す。図1(b)は、A群とB群とに属する編針のセレクター2A,2Bをそれぞれ示す。セレクター2A,2Bは、被選択部としての選針用バット1を段位置1),2),3),4),5),6),7),8)のうちのいずれか一つに有することは同一であるけれども、復帰部としての尾部3A,3Bが異なる形状を有する。セレクター2A,2Bは、特許文献1の図4で示す編針1に対し、セレクター11の替わりに使用することができる。本願の各図で対応する部分は,同一の参照符を付して示し、重複する説明を省略する場合がある。また説明の便宜上、説明対象の図には記載されていない部分について、他の図に記載される参照符を付して言及する場合がある。
図1(a)に示す実施例1での段位置は8段設けられ、同一の段にA群とB群とが交互に配置される。本実施例1は、1x1針抜き編成用の選針を専用に、A群またはB群の一方のみを選針可能に復帰させ、他方を復帰させないことによって行う。前後の針床でそれぞれ復帰させるA群とB群との組合せは、A群とA群、B群とB群、A群とB群、およびB群とA群のいずれも可能である。一方の針床で、A群のみを選針可能にして、B群は選針可能にしないようにすると、A群の選針用バット1が同じ段位置、たとえば段位置1)となるのは、段数8の2倍である16番目毎となる。すなわち、同じ段位置の選針用バット1の間隔は、編針の並設ピッチの16倍となる。B群のみを選針可能にしても、B群の選針用バット1の間隔は、同様に、編針の並設ピッチの16倍となる。
本実施例1でA群に属する編針のセレクター2Aは、特許文献1のセレクター11と実質的に同一で、8段の段位置のいずれか一つに選針用バット1を設ける。尾部3Aは、復帰部となる。B群に属する編針のセレクター2Bは、被選針部である選針用バット1に関してはセレクター2Aと同一であるけれども、復帰部である尾部3Bの形状が異なる。すなわち、尾部3Bは尾部3Aより短く、かつ底面側に深くなるように形成されている。本実施例1は、復帰カムを除き、特許文献1に示すような選針装置を利用することができる。
セレクター2A,2Bは、特許文献1の図4に示すセレクター11と同様に、歯口に進退するフックを先端に有する針本体と駆動用バットを有するニードルジャックとの組合せ、および駆動用バットの針溝からの突出状態を制御するセレクトジャックを含んで、全体としての編針を形成する。セレクター2A,2Bには、選針用バット1が設けられる範囲よりも尾部方向および歯口方向の位置に、針溝から突出する上げバット2aおよび下げバット2bがそれぞれ設けられ、歯口方向の先端には先端部2cが設けられる。セレクター2A,2Bは、選針状態となると、上げバット2aへのカムの作用で、先端部2cがセレクトジャックを歯口の方向に押上げる。
図2は、セレクター2A,2Bの復帰および選択の動作を説明する。図2(a)および図2(b)は、セレクター2A,2Bの尾部3A,3Bに復帰カム4A,4Bを作用させ、選針可能に復帰させた状態を実線で、選針可能に復帰させない状態を破線で、それぞれ示す。実線のような選針可能な状態では、選針用バット1が針溝から針床の表面側に突出する。図2(c)に示す選針アクチュエーター5は、針床の表面に沿って走行するキャリッジで、針床の表面に対向するカム板に設けられる。選針アクチュエーター5には、段位置に対応する数の選針爪6が設けられる。選針爪6は、たとえばソレノイドで電気的に駆動され、復帰させた状態の選針用バット1を押圧するか否かを切替えることができる。選針可能な状態の選針用バット1を押圧しなければ、選針の状態となり、押圧すれば、非選針の状態となる。復帰させなかった編針は、総て非選針の状態となる。復帰カム4A,4Bは、主として針床の表面側に臨むキャリッジに搭載されるけれども、針床の裏面側に臨む。このため、キャリッジは、針床の尾端の外部に表面側から裏面側に延長される部分を有し、復帰カム4A,4Bはその部分に設けられる。復帰カム4A,4Bは、セレクター2A,2Bの尾部3A,3Bを針床の裏面側から表面側へ押し上げるように作用する。復帰カム4Aは復帰カム4Bよりも進退方向の尾端側に配置され、尾部3Aを押し上げる位置の高さは、復帰カム4Bが尾部3Bを押し上げる高さよりも高くなるようにしている。図2(c)に示すように、復帰カム4A,4Bは、進退方向に並設され、相互に独立して、尾部3A,3Bに対する押し上げが可能である。本実施例1は、復帰カム4A,4Bのうちの一方のみの押し上げで、1x1の針抜き編成用の選針のための復帰を行う。
図3は、図2の復帰カム4A、4Bを復帰機構として有し、選針アクチュエーター5を有する選針装置10を含み、キャリッジで針床の表面側に臨むカム板でのカム配置を示す。このカム配置は、復帰カム4A,4Bを除き、特許文献1の図1と同様である。選針装置10は、二つの選針アクチュエーター5で2段階の選針を、歯口の方向への高さが異なる上げカム11,12がセレクター2A,2Bの上げバット2aを押上げて行う。たとえば、図左側の復帰カム4A,4Bの中間位置付近の編針に対し、キャリッジが図の左方に移動すると、一つ目の選針アクチュエーター5で、選針用バット1が選針爪6による選針を受ける。選針用バット1が選針爪6による押圧を受けないと選針されている状態となり、上げバット2aは低い上げカム11の作用で押上げられ、先端部2cはセレクトジャックを中間高さのHポジションまで押上げる。二つ目の選針アクチュエーター5では、一つ目で選針されている選針用バット1のみが選針の対象となる。二つ目の選針アクチュエーター5で選針されると、セレクター2A,2Bの上げバット2aは高い上げカム12の作用で押し上げられ、先端部2cはセレクトジャックを最高高さのAポジションまで押上げる。セレクター2A,2Bで押上げられないセレクトジャックは、基底位置のBポジションに留まる。下げカム13は、下げバット2bに作用して、選針用バット1が選針アクチュエーター5による選針が可能な基底位置にセレクター2A,2Bを戻す。
セレクトジャック制御機構20のプレッサーやカムは、セレクトジャックへの押圧を介して、ニードルジャックに設ける駆動用バットを針溝から針床の表面側に突出させるか否かを制御する。針溝から突出する駆動用バットは、駆動カム30の作用を受け、編針を動作させる。駆動カム30が編成用のカムの場合、セレクトジャックの三つのポジションは、ニット、タックおよびミスに対応させることができる。左右両端側の選針アクチュエーター5は一つしか設けられていないけれども、キャリッジが一方に走行して後側となって抜ける際に一つ目の選針を行い、キャリッジが反転して他方に走行して前側となる際に二つ目の選針を行うことは、特許文献1と同様である。
図4は、図4(a)および図4(b)で実施例1と同様な1x1針抜き選針を行うためのセレクター22A,22Bの側面構成、および図4(c)で復帰機構としての復帰カム24A,24B,24Cの平面構成をそれぞれ示す。復帰動作を行う復帰カム24Cは、実施例1の復帰カム4A,4Bと同様に、針床の裏面側に設けられ、セレクター22A,22Bの尾部23A,23Bの両方を一旦復帰させるように押し上げる。尾部23A,23Bは、進退方向で異なる位置に針床の表面側に突出する部分としての復帰バット25A,25Bを有する。解除動作を行う復帰カム24A,24Bは、針床の表面側に設けられて、復帰バット25A,25Bをそれぞれ押圧し、破線で示すように針溝に沈めることができる。破線で示すような状態では、選針爪6の押圧が不可能である。復帰カム24A,24Bの一方による押圧で、対応する尾部23A,23Bの一方を針溝に沈め、復帰を解除させて非選針にすることができる。
なお、復帰バット25A,25Bは、突出量を大きくして、針溝に沈む状態でも、先端が、復帰させた尾部23A,23Bの平坦な部分よりも、針溝の表面側に突出するようにしておく。また、本実施例2の尾部23A,23Bは、実施例1の尾部3A,3Bのような形状を上下反転させた形状、すなわち進退方向の長さが異なり、針溝の表面側への突出量が異なるような形状に替えてもよい。また、実施例1の尾部3A,3Bの形状に替えて、本実施例2の尾部23A,23Bのような形状を、上下反転させた形状にしてもよい。
図5は、実施例3として、実施例1や実施例2と異なる選針用バット1の配置を示す。本実施例3でも、実施例1や実施例2と同様なセレクター2A,2B;22A,22Bや復帰カム4A,4B;24A,24B,24Cを使用することができる。選針用バット1の配置での段位置は奇数の7段設けられ、隣接する針溝にはA群とB群とが交互に配置されるとともに、段位置も一段ずつずれて配置される。同一の段位置にA群とB群とが交互に並ぶように配置されるので、一方の群のみを復帰させることによって、1x1針抜き編成で選針を行う編針間の間隔は、段位置の数となる奇数の2倍、すなわち、群の数である2と段数である7との積の14に広げることができる。段数が偶数であると、A群とB群とを交互に配置しても、同一の段位置には段数だけ離れて同じ群に属する編針が配置されてしまい、編針間の間隔が段数だけになり、奇数の場合のような2倍にはならない。本実施例3は、復帰カム4A,4B;24A,24Bで二つの群のセレクター2A,2B;22A,22Bを同時に復帰させて、総針編成用の選針も可能にする。ただし、総針編成用の選針では、同一の段位置で隣接する編針間の間隔は、段数に対応する7になる。
以上説明している実施例1、実施例2および実施例3は、長手方向に沿って一定のピッチで針溝が設けられる針床と、各針溝に収容され、セレクター2A,2B;22A,22Bを備える編針と、針床の長手方向に往復移動するキャリッジとを含む横編機に適用される。セレクター2A,2B;22A,22Bは、選針の対象となる被選針部としての選針用バット1、および被選針部を選針可能な状態に復帰させる復帰部としての尾部3A,3B;23A,23Bを備える。横編機の選針装置は、復帰機構と選針アクチュエーター5とを含む。この選針アクチュエーター5は、選針爪6で選針用バット1を押圧して選針を行う。しかしながら、本発明は、選針アクチュエーターとして、電磁的な吸着と釈放とで選針を行うものにも適用することができる。このような選針アクチュエーターは、セレクターの尾部に設ける接極子を被選針部とする。被選針部が吸着面に吸着して、セレクターを針溝内で浮上させることが復帰状態となり、吸着を解除して針溝に沈めることが選針状態となっている。ただし、吸着して針溝内を浮上している状態を選針状態、吸着が解除されて針溝に沈む状態を非選針状態とすれば、接極子に対する吸着とその解除は、選針用バット1に対する選針爪6による非押圧と押圧とに対応させ、同様の動作を行わせることができる。電磁的な選針の対象となるセレクターにも、複数の群で形状が異なる復帰部を設け、実施例1のセレクター2A,2Bの上げバット2aや下げバット2bと同様なバットを設け、復帰機構はA群とB群とに分けて接極子を吸着面に吸着させれば、基本的には図3と同様な選針装置で選針が可能となる。たとえば国際公開第2011/027543号に開示されているような選針装置では、セレクターの尾部に設ける接極子を、進退方向について2段に設けているので、二つの群に分けて復帰させる本発明を適用して、さらに選針する編針間の間隔を広げることができる。
いずれにしても、編針は、復帰部となる尾部3A,3B;23A,23Bの形状が異なる二つの群のいずれか一つに属する。各実施例で、隣接する針溝には、異なる群に属する編針が収容されるように配置される。復帰カム4A,4B;24A,24B,24Cを含む復帰機構は、一つの群に属する編針のみ、復帰部に作用して被選針部を選針が可能な状態に復帰させる。選針アクチュエーターは、復帰させた編針の被選針部に作用して、編針を選針するか否かを個別に決定する。他の群の編針は、復帰機構が復帰させないので、選針アクチュエーターでの選針を行わなくても、非選択の空針となり、全体としては1x1針抜き編成用の選針が可能となる。なお、少なくとも一方の針床で、2層以上の編地を編成するための針抜き編成の場合でも、選針の対象となる編針と空針との組合せに基づき、複数の群に分ければ良い。たとえば、一方の針床を2層で他方の針床を1層で、針抜き編成で編地を編成する場合は三つの群、両方の針床を2層にする場合は四つの群に分ければ良い。さらに二枚ベッドの横編機に限らず、前後で上下二段ずつの針床を備える四枚ベッドの横編機でも、針抜き編成に関して、編針を複数の群に分ける本発明を適用することができる。いずれにしても、隣接する編針は異なる群に属し、復帰させて選針を行う編針の間隔が広がるので、キャリッジの高速走行が可能となる。選針の対象となる編針から、同一の段位置で同じ群に属して次に選針する編針までの間隔を広げられるので、選針に必要な部分の大型化を避けることができる。
1 選針用バット
2A,2B,22A,22B セレクター
3A,3B,23A,23B 尾部
4A,4B,24A,24B,24C 復帰カム
5 選針アクチュエーター
6 選針爪
10 選針装置
20 セレクトジャック制御機構
25A,25B 復帰バット
30 制御カム

Claims (5)

  1. 長手方向に沿って一定のピッチで針溝が設けられる針床と、
    各針溝に収容され、セレクターを備える編針と、
    針床の長手方向に往復移動するキャリッジと、
    を含む横編機で、
    セレクターは、選針の対象となる被選針部、および被選針部を選針可能な状態に復帰させる復帰部を有して、
    編針を針抜き編成用に選針可能な横編機の選針装置において、
    編針は、
    針抜き編成で選針の対象となる編針と空針との組合せに基づき、複数の群のいずれか一つに属するように分けられ、
    各群に属する編針のセレクターの復帰部の形状を異ならせ、
    隣接する針溝には、異なる群に属する編針が収容されるように配置しておき、
    一つの群に属する編針のみ、セレクターの復帰部に作用して被選針部を選針が可能な状態に復帰させる復帰機構と、
    復帰させた編針のセレクターの被選針部に作用させて該編針を選針するか否かを個別に決定する選針アクチュエーターと、
    を含むことを特徴とする横編機の選針装置。
  2. 前記セレクターは、
    前記被選針部として、前記針溝から前記針床の外部に突出可能な選針用バットを、針溝が延びる進退方向に設定する複数の段位置のうちの一つに有する、
    ことを特徴とする請求項1記載の横編機の選針装置。
  3. 前記編針は、二つの群に分けられて、
    二つの群の一方と他方とに属して、前記セレクターの前記段位置が同一となる編針は、隣接して配置される、
    ことを特徴とする請求項2記載の横編機の選針装置。
  4. 前記編針は、二つの群に分けられて、
    前記セレクターの前記段位置は奇数設けられ、
    セレクターの段位置と属する群とが異なる前記編針が交互に隣接して配置される、
    ことを特徴とする請求項2記載の横編機の選針装置。
  5. 長手方向に沿って一定のピッチで針溝が設けられる針床、および
    針床の長手方向に往復移動するキャリッジを
    含む横編機の選針方法において、
    編針を、針抜き編成で選針の対象となる編針と空針との組合せに基づいて複数の群に分け、
    編針を選針可能に復帰させる復帰部の形状を各群で異ならせ、
    隣接する針溝には、異なる群に属する編針が収容されるように配置し、
    針抜き編成で選針対象となる群に属する編針のみを、復帰部の形状の違いに基づいて復帰させてから、復帰させた編針を個別に選針する、
    ことを特徴とする横編機の選針方法。
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