JP2022156642A - 多孔質吸音材及びその製造方法、並びに、吸音方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1000Hzにおいて優れた吸音率を得ることが可能な多孔質吸音材、当該多孔質吸音材を用いた吸音方法等を提供する。【解決手段】低密度領域及び高密度領域を備え、前記低密度領域及び前記高密度領域がエチレン・プロピレン・ジエンゴムを含有し、前記低密度領域の見かけ密度が0kg/m3を超え100kg/m3以下であり、前記高密度領域の見かけ密度が100kg/m3を超え400kg/m3以下である、多孔質吸音材。前記多孔質吸音材を用いて吸音する吸音工程を備え、前記吸音工程において、前記多孔質吸音材の前記高密度領域が前記低密度領域に対して音源側に位置する、吸音方法。【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質吸音材及びその製造方法、並びに、吸音方法等に関する。
従来、吸音材としては、グラスウール等の繊維材、ポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム等のフォーム材などが用いられている(「フォーム」は「発泡体」ともいう)。例えば、吸音材としては、プロピレン-エチレン共重合体を含み融解開始温度が60~100℃の範囲内であるプロピレン系樹脂を用いることが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
特許第5208818号
ところで、ヒトの可聴周波数領域は、個人差はあるものの通常20Hz程度から20000Hz程度までと言われている。そして、建築物内、各種車両内、航空機内等においてヒトが感じる不快音(特に、走行中の自動車室内に侵入する所謂ロードノイズ)を低減させるには、近年、低周波領域(例えば、1000Hz以下の周波数)の音を吸音材で吸音することが求められている。低周波領域の吸音特性を高めるには、吸音材を厚くする、又は、吸音材を重くすること(吸音材の質量密度を大きくすること)が効果的であるものの、これらの方法では、吸音材の用途及び/又は使用場所が制限されるという問題がある。そのため、吸音材に対しては、吸音特性を向上させることにより、吸音材を薄型化又は軽量化した場合であっても充分な吸音特性を維持することが求められる。
本発明の一側面は、1000Hzにおいて優れた吸音率を得ることが可能な多孔質吸音材を提供することを目的とする。本発明の他の一側面は、当該多孔質吸音材を用いた吸音方法を提供することを目的とする。本発明の他の一側面は、前記多孔質吸音材を得ることが可能な多孔質吸音材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、特定の見かけ密度の低密度領域及び高密度領域を備える多孔質吸音材に着目した上で、高密度領域が低密度領域に対して音源側に位置する状態で多孔質吸音材を用いることにより、1000Hzにおいて優れた吸音率を得ることができることを見出した。
本発明の一側面は、低密度領域及び高密度領域を備え、前記低密度領域及び前記高密度領域がエチレン・プロピレン・ジエンゴムを含有し、前記低密度領域の見かけ密度が0kg/mを超え100kg/m以下であり、前記高密度領域の見かけ密度が100kg/mを超え400kg/m以下である、多孔質吸音材に関する。
本発明の他の一側面は、上述の多孔質吸音材を用いて吸音する吸音工程を備え、前記吸音工程において、前記多孔質吸音材の前記高密度領域が前記低密度領域に対して音源側に位置する、吸音方法に関する。
本発明の他の一側面は、上述の多孔質吸音材の製造方法であって、組成が互いに異なる第1の未発泡体及び第2の未発泡体が互いに積層した状態で前記第1の未発泡体及び前記第2の未発泡体を発泡させることにより前記低密度領域及び前記高密度領域を得る工程を備え、前記第1の未発泡体及び第前記2の未発泡体がエチレン・プロピレン・ジエンゴム及び発泡剤を含有する、多孔質吸音材の製造方法に関する。
上述の多孔質吸音材及びその製造方法、並びに、吸音方法によれば、1000Hzにおいて優れた吸音率を得ることができる。また、優れた吸音特性が得られることから、吸音材を薄型化又は軽量化した場合であっても充分な吸音特性を維持することができる。
本発明の一側面によれば、1000Hzにおいて優れた吸音率を得ることが可能な多孔質吸音材を提供することができる。本発明の他の一側面によれば、当該多孔質吸音材を用いた吸音方法を提供することができる。本発明の他の一側面によれば、前記多孔質吸音材を得ることが可能な多孔質吸音材の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において、数値範囲を示す「~」の記号は、「~」の直前に記された数値以上から、「~」の直後に記された数値以下であることを示す。例えば「数値x~数値y」と記載してある場合(但し、x及びyは数値)」、「x以上、y以下」の範囲を意味する。数値範囲の「x以上」とは、x、及び、xを超える範囲を意味する。数値範囲の「y以下」とは、y、及び、y未満の範囲を意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本明細書において、組成物中の各成分の使用量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、低密度領域及び高密度領域を備える。低密度領域及び高密度領域は、エチレン・プロピレン・ジエンゴムを含有し、低密度領域の見かけ密度は、0kg/mを超え100kg/m以下であり、高密度領域の見かけ密度は、100kg/mを超え400kg/m以下である。
本実施形態に係る多孔質吸音材(低周波吸音材)によれば、高密度領域が低密度領域に対して音源側に位置する状態で多孔質吸音材を用いることにより、低周波領域において優れた吸音特性(吸音性)を得ることが可能であり、1000Hzにおいて優れた吸音率を得ることができる。本実施形態に係る多孔質吸音材によれば、JIS A 1405-2に準拠して測定される1000Hzの吸音率として0.40以上(好ましくは0.60以上)を得ることができる。
本実施形態に係る多孔質吸音材によれば、2000Hz以下の周波領域において優れた吸音特性を得ることも可能であり、例えば、2000Hzにおいて優れた吸音率を得ることができる。本実施形態に係る多孔質吸音材によれば、JIS A 1405-2に準拠して測定される2000Hzの吸音率として0.40以上(好ましくは0.60以上)を得ることができる。
本実施形態に係る多孔質吸音材において、0~8000Hzの周波領域における最大の吸音率の周波数(ピーク周波数)は、2000Hz以下、1800Hz以下、1500Hz以下、1200Hz以下、1000Hz以下、800Hz以下、又は、500Hz以下であってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材によれば、4000Hz以下の周波領域において優れた音響透過損失を得ることも可能であり、例えば、1000Hz、2000Hz又は4000Hzにおいて優れた音響透過損失を得ることができる。本実施形態に係る多孔質吸音材によれば、ASTM E2611-09に準拠して測定される1000Hz、2000Hz又は4000Hzの音響透過損失として10dB以上(好ましくは15dB以上、より好ましくは30dB以上)を得ることができる。
多孔質体中における音の伝搬方法としては、空気中を伝搬する空気伝搬;固体中を伝搬する固体伝搬等が挙げられる。空気伝搬では、伝搬中に、粘性損失、熱交換損失等により音が消失し得る。固体伝搬では、伝搬中に、固体の内部損失(エネルギー減衰)等により音が消失し得る。本実施形態に係る多孔質吸音材によれば、低密度領域及び高密度領域が上述の見かけ密度を有することにより、高密度領域が低密度領域に対して音源側に位置する状態で多孔質吸音材を用いた場合に、固体伝搬音が主に入射側の高密度領域において消失した上で、多孔質吸音材の全体において空気伝搬音及び固体伝搬音が好適に消失することから、優れた吸音特性を得ることができると推測される。但し、優れた吸音特性が得られる要因は当該内容に限定されない。
本実施形態に係る多孔質吸音材によれば、優れた吸音特性が得られることから、吸音材を薄型化又は軽量化した場合であっても充分な吸音特性を維持することができる。そのため、優れた吸音特性と、薄型化及び軽量化とを両立することが可能であり、吸音材の多種多様な用途及び使用場所を確保できる。また、本実施形態に係る多孔質吸音材によれば、単一材料として多孔質吸音材のみを用いることにより優れた吸音特性を得ることができる。本実施形態によれば、多孔質体の吸音への応用を提供することができる。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、吸音特性(特に、低周波領域の吸音特性)に優れることから、車両(自動車、鉄道等)、航空機、建造物、配管などにおける防音部材(吸遮音材)として好適に使用することができる。
本実施形態に係る多孔質吸音材の形状は、上述の特定の低密度領域及び高密度領域を備える限り特に限定されず、定形であってもよく、不定形であってもよい。多孔質吸音材の形状としては、シート状、柱状(円柱、多角柱等)、円錐状、多角錐状、棒状などが挙げられる。
高密度領域が低密度領域に対して音源側に位置する状態で多孔質吸音材を用いることが可能である限り、多孔質吸音材における低密度領域及び高密度領域の位置は特に限定されない。本実施形態に係る多孔質吸音材は、上述の特定の低密度領域を複数備えてよく、上述の特定の高密度領域を複数備えてよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、多孔質の低密度領域及び高密度領域を備える多孔質吸音材である。「多孔質」とは、ベース材料の中に多数の孔(空孔)を有する形態(例えば、発泡体である形態)を示しており、本明細書においては一つ一つの孔を「セル」と称する。セルは、必ずしも球形でなくてよく、不定形であってもよい。
多孔質吸音材に含まれるセルは、それぞれ独立して配置されている独立気泡構造のセル(独立セル)であってよく、複数のセルが互いに連通している連続気泡構造のセル(連続セル)であってもよい。多孔質吸音材は、独立セル及び連続セルからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよく、この場合、独立セルと連続セルの数的割合については特に限定されない。すなわち、多孔質吸音材(多孔質体)は、連続気泡構造又は半連続半独立気泡構造を有することができる。連続気泡構造は、連続気泡率が100%である構造をいう。半連続半独立気泡構造は、連続気泡率の下限が0%を超え(連続気泡率は10%以上)、かつ、連続気泡率の上限が100%未満である構造をいう。
独立セル又は連続セルを作製する方法としては、特に制限はなく、発泡により多孔質性を付与する場合、発泡剤、架橋剤等の種類又は添加量を調整する方法、発泡工程における加工条件を調整する方法、独立セルを形成しているセル間の膜(気泡膜)を機械的に破壊して一部又は全てのセル同士を繋げて連通化する方法などが挙げられる。通気度及び連続気泡構造は、例えば、得られた多孔質体(例えばシート状の発泡体)に等速二本ロール等により圧縮変形を加えることによって気泡膜を破壊することにより気泡が連通化されて得ることができる。また、発泡体(気泡体)の表面に無数の小孔を開けることによって気泡の連通化を促進させることができる。等速二本ロールの表面に無数の小さい針を設けるか、又は、無数の小さい針を設けたロールを等速二本ロールの前及び/又は後に配置することにより、発泡体(気泡体)の表面に小孔を開けることもできる。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、上述の特定の低密度領域及び高密度領域以外の領域を備えてよく、低密度領域及び高密度領域の間に配置された領域(例えば多孔質領域)、低密度領域に対して高密度領域とは反対側に配置された領域(例えば多孔質領域)、又は、高密度領域に対して低密度領域とは反対側に配置された領域(例えば多孔質領域)を備えてよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材では、低密度領域及び高密度領域の配列方向(例えば、後述の積層体の厚さ方向)の一方面に低密度領域が配置されてよく、低密度領域及び高密度領域の配列方向の他方面に高密度領域が配置されてよい。一方面及び他方面からなる群より選ばれる少なくとも一種は、平坦面、曲面、凹凸面等であってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、低密度領域及び高密度領域の間の界面が明確である態様であってよく、低密度領域及び高密度領域の間の界面が明確でない態様(例えば、密度のグラデーション(密度傾斜構造)を有する態様)であってよい。低密度領域及び高密度領域は、互いに当接してよく、互いに融着されていてよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、低密度領域である低密度層と、高密度領域である高密度層と、が互いに積層した積層構造を備えてよい。低密度層及び高密度層は互いに積層されており、低密度層及び高密度層は互いに当接してよい。本実施形態に係る多孔質吸音材は、低密度層及び高密度層の2層構造の積層体であってよい。本実施形態に係る多孔質吸音材は、低密度層及び高密度層以外の層を備えてよく、低密度層及び高密度層の間に配置された層、低密度層に対して高密度層とは反対側に配置された層、又は、高密度層に対して低密度層とは反対側に配置された層を備えてよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材が積層体である場合、低密度層の厚さ、高密度層の厚さ、又は、多孔質吸音材の厚さ(全厚)は、下記の範囲であってよい。厚さは、ISO 1923(1981)「発泡プラスチック及びゴム-線寸法の測定」に準じて測定することが可能であり、平均厚さであってよい。
低密度層の厚さは、優れた吸音率を得やすい観点から、0.1mm以上、0.3mm以上、0.5mm以上、0.8mm以上、1mm以上、1.5mm以上、2mm以上、2.5mm以上、2.5mm超、3mm以上、3.5mm以上、4mm以上、4.5mm以上、又は、5mm以上であってよい。低密度層の厚さは、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、5.5mm以上、6mm以上、6.5mm以上、7mm以上、7.5mm以上、8mm以上、8.5mm以上、又は、9mm以上であってよい。低密度層の厚さは、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、30mm以下、25mm以下、20mm以下、18mm以下、15mm以下、12mm以下、10mm以下、又は、9mm以下であってよい。低密度層の厚さは、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、8.5mm以下、8mm以下、7.5mm以下、7mm以下、6.5mm以下、6mm以下、5.5mm以下、又は、5mm以下であってよい。低密度層の厚さは、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、4.5mm以下、4mm以下、3.5mm以下、3mm以下、2.5mm以下、2.5mm未満、2mm以下、1.5mm以下、又は、1mm以下であってよい。これらの観点から、低密度層の厚さは、0.1~30mm、0.1~10mm、1~30mm、1~10mm、又は、3~8mmであってよい。
高密度層の厚さは、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、0.1mm以上、0.3mm以上、0.5mm以上、0.5mm超、0.8mm以上、又は、1mm以上であってよい。高密度層の厚さは、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、1mm超、1.5mm以上、2mm以上、2.5mm以上、2.5mm超、3mm以上、3.5mm以上、4mm以上、4.5mm以上、又は、5mm以上であってよい。高密度層の厚さは、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、5.5mm以上、6mm以上、6.5mm以上、7mm以上、7.5mm以上、8mm以上、8.5mm以上、又は、9mm以上であってよい。高密度層の厚さは、優れた吸音率を得やすい観点から、30mm以下、25mm以下、20mm以下、18mm以下、15mm以下、12mm以下、10mm以下、10mm未満、9mm以下、8.5mm以下、8mm以下、7.5mm以下、7mm以下、6.5mm以下、6mm以下、5.5mm以下、又は、5mm以下であってよい。高密度層の厚さは、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、4.5mm以下、4mm以下、3.5mm以下、3mm以下、2.5mm以下、2.5mm未満、2mm以下、1.5mm以下、又は、1mm以下であってよい。これらの観点から、高密度層の厚さは、0.1~30mm、0.1~10mm、1~30mm、1~10mm、又は、3~8mmであってよい。
低密度層の厚さに対する高密度層の厚さの比率A(高密度層の厚さ/低密度層の厚さ)は、下記の範囲であってよい。比率Aは、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、0.01以上、0.05以上、0.1以上、又は、0.11以上であってよい。比率Aは、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、0.15以上、0.2以上、0.4以上、0.5以上、0.8以上、又は、1以上であってよい。比率Aは、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、1超、1.5以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、又は、9以上であってよい。比率Aは、優れた吸音率を得やすい観点から、20以下、15以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、又は、1以下であってよい。比率Aは、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、1未満、0.8以下、0.5以下、0.4以下、0.2以下、0.15以下、又は、0.11以下であってよい。これらの観点から、比率Aは、0.01~20、0.1~20、0.01~10、0.1~10、又は、0.5~2であってよい。
多孔質吸音材の厚さは、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、1mm以上、3mm以上、5mm以上、8mm以上、10mm以上、12mm以上、15mm以上、18mm以上、又は、20mm以上であってよい。多孔質吸音材の厚さは、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点、及び、多孔質吸音材の質量を低減できる観点から、50mm以下、45mm以下、40mm以下、35mm以下、30mm以下、25mm以下、又は、20mm以下であってよい。多孔質吸音材の厚さは、多孔質吸音材の質量を更に低減できる観点から、15mm以下、又は、10mm以下であってよい。これらの観点から、多孔質吸音材の厚さは、1~50mm、10~50mm、1~20mm、5~40mm、又は、5~30mmであってよい。
低密度領域の見かけ密度は、0kg/mを超え100kg/m以下である。低密度領域の見かけ密度は、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、10kg/m以上、20kg/m以上、25kg/m以上、又は、30kg/m以上であってよい。低密度領域の見かけ密度は、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、35kg/m以上、40kg/m以上、45kg/m以上、50kg/m以上、50kg/m超、55kg/m以上、60kg/m以上、65kg/m以上、70kg/m以上、75kg/m以上、又は、80kg/m以上であってよい。低密度領域の見かけ密度は、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、85kg/m以上、90kg/m以上、又は、95kg/m以上であってよい。低密度領域の見かけ密度が100kg/m以下であることにより、1000Hzにおける優れた吸音率が得られる。また、優れた軽量性(例えば、車載用途の軽量性)及び二次加工性が得られると共に、好適な連続気泡を得ることができる。低密度領域の見かけ密度は、優れた吸音率を得やすい観点から、95kg/m以下、90kg/m以下、85kg/m以下、又は、80kg/m以下であってよい。低密度領域の見かけ密度は、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、75kg/m以下、70kg/m以下、65kg/m以下、60kg/m以下、55kg/m以下、50kg/m以下、50kg/m未満、45kg/m以下、40kg/m以下、35kg/m以下、又は、30kg/m以下であってよい。これらの観点から、低密度領域の見かけ密度は、30~100kg/m、30~80kg/m、80~100kg/m、又は、50~90kg/mであってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材が積層体である場合、低密度領域(低密度層)の面密度は、下記の範囲であってよい。低密度領域の面密度は、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、0.01kg/m以上、0.05kg/m以上、0.08kg/m以上、0.10kg/m以上、又は、0.15kg/m以上であってよい。低密度領域の面密度は、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、0.20kg/m以上、0.24kg/m以上、0.25kg/m以上、0.30kg/m以上、0.35kg/m以上、又は、0.40kg/m以上であってよい。低密度領域の面密度は、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、0.45kg/m以上、又は、0.50kg/m以上であってよい。低密度領域の面密度は、0.55kg/m以上、0.56kg/m以上、0.60kg/m以上、0.70kg/m以上、0.72kg/m以上、0.75kg/m以上、又は、0.80kg/m以上であってよい。低密度領域の面密度は、優れた吸音率を得やすい観点から、1.00kg/m以下、1.00kg/m未満、0.90kg/m以下、0.80kg/m以下、0.75kg/m以下、0.72kg/m以下、0.70kg/m以下、0.60kg/m以下、0.56kg/m以下、0.55kg/m以下、0.50kg/m以下、0.45kg/m以下、又は、0.40kg/m以下であってよい。低密度領域の面密度は、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、0.45kg/m以下、0.40kg/m以下、0.35kg/m以下、0.30kg/m以下、0.25kg/m以下、0.24kg/m以下、0.20kg/m以下、又は、0.15kg/m以下であってよい。これらの観点から、低密度領域の面密度は、0.01~1.00kg/m、0.15~0.80kg/m、0.15~0.40kg/m、0.40~0.80kg/m、又は、0.20~0.50kg/mであってよい。
高密度領域の見かけ密度は、100kg/mを超え400kg/m以下である。高密度領域の見かけ密度は、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、110kg/m以上、120kg/m以上、130kg/m以上、又は、140kg/m以上であってよい。高密度領域の見かけ密度は、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、150kg/m以上、175kg/m以上、200kg/m以上、225kg/m以上、250kg/m以上、275kg/m以上、又は、300kg/m以上であってよい。高密度領域の見かけ密度が400kg/m以下であることにより、1000Hzにおける優れた吸音率が得られる。また、優れた軽量性(例えば、車載用途の軽量性)及び二次加工性が得られると共に、好適な連続気泡を得ることができる。高密度領域の見かけ密度は、優れた吸音率を得やすい観点から、375kg/m以下、350kg/m以下、325kg/m以下、又は、300kg/m以下であってよい。高密度領域の見かけ密度は、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、275kg/m以下、250kg/m以下、225kg/m以下、200kg/m以下、175kg/m以下、150kg/m以下、又は、140kg/m以下であってよい。これらの観点から、高密度領域の見かけ密度は、100kg/mを超え300kg/m以下、140~400kg/m、120~300kg/m、140~300kg/m、又は、120~200kg/mであってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材が積層体である場合、高密度領域(高密度層)の面密度は、下記の範囲であってよい。高密度領域の面密度は、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、0.01kg/m以上、0.05kg/m以上、0.10kg/m以上、0.14kg/m以上、0.15kg/m以上、0.20kg/m以上、0.30kg/m以上、0.40kg/m以上、0.40kg/m超、0.42kg/m以上、0.50kg/m以上、0.60kg/m以上、又は、0.70kg/m以上であってよい。高密度領域の面密度は、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、0.80kg/m以上、0.90kg/m以上、0.98kg/m以上、1.00kg/m以上、1.00kg/m超、1.10kg/m以上、1.20kg/m以上、1.26kg/m以上、1.30kg/m以上、1.40kg/m以上、又は、1.50kg/m以上であってよい。高密度領域の面密度は、優れた吸音率を得やすい観点から、3.00kg/m以下、2.75kg/m以下、2.50kg/m以下、2.25kg/m以下、2.00kg/m以下、1.75kg/m以下、1.60kg/m以下、又は、1.50kg/m以下であってよい。高密度領域の面密度は、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、1.40kg/m以下、1.30kg/m以下、1.26kg/m以下、1.20kg/m以下、1.10kg/m以下、1.00kg/m以下、1.00kg/m未満、0.98kg/m以下、0.90kg/m以下、0.80kg/m以下、又は、0.70kg/m以下であってよい。高密度領域の面密度は、0.60kg/m以下、0.50kg/m以下、0.42kg/m以下、0.40kg/m以下、0.40kg/m未満、0.30kg/m以下、0.20kg/m以下、0.15kg/m以下、又は、0.14kg/m以下であってよい。これらの観点から、高密度領域の面密度は、0.01~3.00kg/m、0.01~1.50kg/m、0.10~3.00kg/m、又は、0.10~1.00kg/mであってよい。
低密度領域の見かけ密度に対する高密度領域の見かけ密度の比率B(高密度領域の見かけ密度/低密度領域の見かけ密度)は、下記の範囲であってよい。比率Bは、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、0.1以上、0.5以上、1以上、1超、1.2以上、1.4以上、1.5以上、1.75以上、2以上、2.25以上、2.5以上、2.75以上、3以上、3.25以上、3.5以上、又は、3.75以上であってよい。比率Bは、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、4以上、4.25以上、又は、4.5以上であってよい。比率Bは、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、10以下、8以下、6以下、又は、5以下であってよい。比率Bは、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、4.5以下、4.25以下、4以下、3.75以下、3.5以下、3.25以下、又は、3以下であってよい。比率Bは、2.75以下、2.5以下、2.25以下、2以下、1.75以下、1.5以下、又は、1.4以下であってよい。これらの観点から、比率Bは、0.1~10、0.1~5、1~10、1~5、又は、1~3であってよい。
低密度領域の面密度に対する高密度領域の面密度の比率C(高密度領域の面密度/低密度領域の面密度)は、吸音率及び音響透過損失の好適なバランスを得やすい観点から、下記の範囲であってよい。比率Cは、0.1以上、0.2以上、0.5以上、0.75以上、1以上、1超、1.2以上、1.4以上、1.5以上、1.75以上、2以上、2.25以上、2.5以上、2.75以上、3以上、3.25以上、3.5以上、3.75以上、4以上、4.25以上、4.5以上、4.75以上、5以上、6以上、8以上、10以上、又は、15以上であってよい。比率Cは、20以下、18以下、16以下、15以下、10以下、8以下、6以下、5以下、4.75以下、4.5以下、4.25以下、4以下、3.75以下、3.5以下、3.25以下、3以下、2.75以下、2.5以下、2.25以下、2以下、1.75以下、1.5以下、1.4以下、1.2以下、1以下、1未満、0.75以下、0.5以下、又は、0.2以下であってよい。これらの観点から、比率Cは、0.1~20、0.1~16、又は、1~4であってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材の見かけ密度(多孔質吸音材の全体の見かけ密度)は、下記の範囲であってよい。多孔質吸音材の見かけ密度は、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、10kg/m以上、30kg/m以上、50kg/m以上、80kg/m以上、又は、85kg/m以上であってよい。多孔質吸音材の見かけ密度は、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、90kg/m以上、99kg/m以上、100kg/m以上、100kg/m超、110kg/m以上、120kg/m以上、130kg/m以上、138kg/m以上、140kg/m以上、150kg/m以上、180kg/m以上、200kg/m以上、又は、230kg/m以上であってよい。多孔質吸音材の見かけ密度は、優れた吸音率を得やすい観点から、400kg/m以下、350kg/m以下、300kg/m以下、250kg/m以下、又は、230kg/m以下であってよい。多孔質吸音材の見かけ密度は、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、200kg/m以下、180kg/m以下、150kg/m以下、140kg/m以下、138kg/m以下、130kg/m以下、120kg/m以下、110kg/m以下、100kg/m以下、100kg/m未満、99kg/m以下、90kg/m以下、又は、85kg/m以下であってよい。これらの観点から、多孔質吸音材の見かけ密度は、10~400kg/m、80~400kg/m、10~250kg/m、80~250kg/m、又は、100~250kg/mであってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材が積層体である場合、多孔質吸音材の面密度(多孔質吸音材の全体の面密度)は、下記の範囲であってよい。多孔質吸音材の面密度は、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、0.10kg/m以上、0.30kg/m以上、0.50kg/m以上、0.80kg/m以上、又は、0.85kg/m以上であってよい。多孔質吸音材の面密度は、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、0.90kg/m以上、0.99kg/m以上、1.00kg/m以上、1.10kg/m以上、1.20kg/m以上、1.30kg/m以上、1.38kg/m以上、1.40kg/m以上、1.50kg/m以上、1.70kg/m以上、1.80kg/m以上、1.80kg/m超、2.00kg/m以上、2.20kg/m以上、又は、2.30kg/m以上であってよい。多孔質吸音材の面密度は、優れた吸音率を得やすい観点から、4.00kg/m以下、3.50kg/m以下、3.00kg/m以下、2.50kg/m以下、又は、2.30kg/m以下であってよい。多孔質吸音材の面密度は、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、2.20kg/m以下、2.00kg/m以下、1.80kg/m以下、1.80kg/m未満、1.70kg/m以下、1.50kg/m以下、1.40kg/m以下、1.38kg/m以下、1.30kg/m以下、1.20kg/m以下、1.10kg/m以下、1.00kg/m以下、0.99kg/m以下、0.90kg/m以下、又は、0.85kg/m以下であってよい。これらの観点から、多孔質吸音材の面密度は、0.10~4.00kg/m、0.80~4.00kg/m、0.10~2.50kg/m、0.80~2.50kg/m、又は、1.00~2.50kg/mであってよい。
見かけ密度(単位体積あたりの質量)は、JIS K 6767(1999)「発泡プラスチック-ポリエチレン-試験方法」に準じて測定することができる。見かけ密度は、発泡剤(例えば、有機系発泡剤又は無機系発泡剤)等の配合割合、加硫発泡時間、発泡温度などにより調整することができる。面密度(単位面積あたりの質量)は、見かけ密度と厚さとの積である。
低密度領域の通気度は、優れた吸音率を得やすい観点から、0.1cm/cm・s以上、0.2cm/cm・s以上、0.3cm/cm・s以上、0.4cm/cm・s以上、0.5cm/cm・s以上、0.6cm/cm・s以上、0.7cm/cm・s以上、0.8cm/cm・s以上、0.9cm/cm・s以上、又は、1cm/cm・s以上であってよい。低密度領域の通気度は、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、1.2cm/cm・s以上、1.5cm/cm・s以上、1.8cm/cm・s以上、又は、2cm/cm・s以上であってよい。低密度領域の通気度は、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、5cm/cm・s以下、4.5cm/cm・s以下、4cm/cm・s以下、3.5cm/cm・s以下、3cm/cm・s以下、2.5cm/cm・s以下、又は、2cm/cm・s以下であってよい。低密度領域の通気度は、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、1.8cm/cm・s以下、1.5cm/cm・s以下、1.2cm/cm・s以下、又は、1cm/cm・s以下であってよい。低密度領域の通気度は、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、0.9cm/cm・s以下、0.8cm/cm・s以下、0.7cm/cm・s以下、0.6cm/cm・s以下、0.5cm/cm・s以下、又は、0.4cm/cm・s以下であってよい。これらの観点から、低密度領域の通気度は、0.1~5cm/cm・s、0.1~2cm/cm・s、0.4~5cm/cm・s、0.4~2cm/cm・s、又は、0.5~1.5cm/cm・sであってよい。
高密度領域の通気度は、優れた吸音率を得やすい観点から、0.01cm/cm・s以上、0.03cm/cm・s以上、0.05cm/cm・s以上、0.08cm/cm・s以上、又は、0.1cm/cm・s以上であってよい。高密度領域の通気度は、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、0.15cm/cm・s以上、0.2cm/cm・s以上、0.25cm/cm・s以上、又は、0.3cm/cm・s以上であってよい。高密度領域の通気度は、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、2cm/cm・s以下、1.5cm/cm・s以下、1cm/cm・s以下、0.9cm/cm・s以下、0.8cm/cm・s以下、0.7cm/cm・s以下、0.6cm/cm・s以下、0.5cm/cm・s以下、0.4cm/cm・s以下、又は、0.3cm/cm・s以下であってよい。高密度領域の通気度は、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、0.25cm/cm・s以下、0.2cm/cm・s以下、0.15cm/cm・s以下、又は、0.1cm/cm・s以下であってよい。これらの観点から、高密度領域の通気度は、0.01~2cm/cm・s、0.1~2cm/cm・s、0.01~0.3cm/cm・s、又は、0.1~0.3cm/cm・sであってよい。
低密度領域の通気度に対する高密度領域の通気度の比率D(高密度領域の通気度/低密度領域の通気度)は、吸音率及び音響透過損失の好適なバランスを得やすい観点から、下記の範囲であってよい。比率Dは、0.01以上、0.05以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、又は、0.75以上であってよい。比率Dは、2以下、1.5以下、1以下、1未満、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.25以下、0.2以下、0.15以下、又は、0.1以下であってよい。これらの観点から、比率Dは、0.01~2、0.1~2、0.01~0.75、0.1~0.75、又は、0.15~0.5であってよい。
通気度は、実施例に記載の方法により測定することができる。通気度は、平均セル径、最大セル径、連続気泡の生成度合い、発泡剤(例えば、有機系発泡剤又は無機系発泡剤)等の配合割合、加硫発泡時間、発泡温度などにより調整することができる。
本実施形態に係る多孔質吸音材の平均セル径(多孔質吸音材の全体の平均セル径;平均孔径)は、下記の範囲であってよい。多孔質吸音材の平均セル径は、優れた吸音率を得やすい観点から、100μm以上、150μm以上、200μm以上、250μm以上、又は、270μm以上であってよい。多孔質吸音材の平均セル径は、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、280μm以上、290μm以上、300μm以上、320μm以上、350μm以上、360μm以上、400μm以上、又は、430μm以上であってよい。多孔質吸音材の平均セル径は、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、600μm以下、550μm以下、500μm以下、450μm以下、440μm以下、又は、430μm以下であってよい。多孔質吸音材の平均セル径は、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、400μm以下、360μm以下、350μm以下、320μm以下、300μm以下、290μm以下、280μm以下、又は、270μm以下であってよい。これらの観点から、多孔質吸音材の平均セル径は、100~600μm、300~600μm、200~450μm、250~450μm、270~430μm、又は、270~400μmであってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、セル径1000μm以上の気泡(セル)を有さなくてよい。本実施形態に係る多孔質吸音材の最大セル径(最大孔径)は、下記の範囲であってよい。多孔質吸音材の最大セル径は、優れた吸音率を得やすい観点から、600μm以上、650μm以上、700μm以上、又は、750μm以上であってよい。多孔質吸音材の最大セル径は、2000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点から、760μm以上、800μm以上、850μm以上、870μm以上、890μm以上、900μm以上、910μm以上、950μm以上、960μm以上、又は、970μm以上であってよい。多孔質吸音材の最大セル径は、優れた吸音率及び音響透過損失を得やすい観点から、1000μm未満、980μm以下、又は、970μm以下であってよい。多孔質吸音材の最大セル径は、1000Hzにおける優れた吸音率を得やすい観点、及び、更に優れた音響透過損失を得やすい観点から、960μm以下、950μm以下、910μm以下、900μm以下、890μm以下、870μm以下、850μm以下、800μm以下、760μm以下、又は、750μm以下であってよい。これらの観点から、多孔質吸音材の最大セル径は、600μm以上1000μm未満、700~970μm、又は、750~970μmであってよい。
多孔質吸音材の平均セル径及び最大セル径は、多孔質吸音材の任意断面の画像の画像解析により測定することが可能であり、多孔質吸音材が連続セルを含む場合であっても、同様の方法で多孔質吸音材の平均セル径及び最大セル径を測定することができる。平均セル径は、100個の気泡のセル径の平均値であってよく、最大セル径は、100個の気泡のセル径のセル径の最大値であってよい。多孔質吸音材の平均セル径及び最大セル径は、発泡剤(例えば、有機系発泡剤又は無機系発泡剤)等の配合割合、加硫発泡時間、発泡温度などにより調整することができる。
本実施形態に係る多孔質吸音材における低密度領域及び高密度領域は、ベース材料として、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)を含有する。
ベース材料(EPDM)の含有量は、多孔質吸音材の全質量を基準として下記の範囲であってよい。ベース材料の含有量は、優れた吸音特性が得られやすい観点から、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、又は、35質量%以上であってよい。ベース材料の含有量は、優れた吸音特性が得られやすい観点から、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、又は、40質量%以下であってよい。これらの観点から、ベース材料の含有量は、10~90質量%であってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、充填剤を含有してよい。充填剤を用いることにより、多孔質吸音材を補強することができる。また、多孔質吸音材を製造する際の加工性を向上させること等もできる。充填剤としては、無機充填剤(無機フィラー)を用いることができる。充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填剤の構成材料としては、金属材料、酸化物(酸化亜鉛を除く)、窒化物、炭酸塩、金属水酸化物、炭素系材料、タルク、ケイ酸及びその塩類(例えば、アルミニウムシリケート)、クレー、雲母粉、ベントナイト等が挙げられる。金属材料としては、金属単体、金属の混合体、合金等が挙げられる。無機充填剤は、金属材料、酸化物、及び、炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
無機充填剤は、金属材料を含む金属フィラーであってよい。金属フィラーは、金属材料からなるフィラーであってよい。金属材料としては、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銀(Ag)、金(Au)、これらの金属を含む合金等が挙げられる。合金としては、センダスト(Fe-Si-Al合金)、鉄合金(センダストを除く。例えばステンレス)、タングステン合金等が挙げられる。無機充填剤は、センダスト、亜鉛単体等であってよい。
酸化物としては、酸化ケイ素(シリカ)、一酸化鉛、これらの酸化物を含む複合酸化物等が挙げられる。窒化物としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、これらの窒化物を含む複合窒化物等が挙げられる。炭酸塩としては、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム等が挙げられる。金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。炭素系材料としては、アセチレンブラック、カーボンブラック(ファーネスブラック、ケッチェンブラック等)などが挙げられる。無機充填剤は、優れた加工性が得られやすい観点から、炭酸カルシウム及びカーボンブラックからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
充填剤の含有量は、ベース材料100質量部に対して下記の範囲であってよい。充填剤の含有量は、多孔質吸音材の優れた強度が得られやすい観点から、10質量部以上、20質量部以上、30質量部以上、50質量部以上、70質量部以上、90質量部以上、又は、100質量部以上であってよい。充填剤の含有量は、ベース材料中での分散性、加工性、及び、多孔質吸音材の外観に優れやすい観点から、200質量部以下、180質量部以下、150質量部以下、120質量部以下、又は、110質量部以下であってよい。これらの観点から、充填剤の含有量は、10~200質量部であってよい。
充填剤の含有量は、多孔質吸音材の全質量を基準として下記の範囲であってよい。充填剤の含有量は、優れた吸音特性が得られやすい観点から、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、又は、35質量%以上であってよい。充填剤の含有量は、優れた吸音特性が得られやすい観点から、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、又は、40質量%以下であってよい。これらの観点から、充填剤の含有量は、10~90質量%であってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、老化防止剤を含有してよい。老化防止剤を用いることにより、耐熱性(高温保持した際の変質を抑制する特性)を向上させることができる。老化防止剤としては、アミン化合物(イミダゾール化合物に該当する化合物を除く)、イミダゾール化合物(イミダゾール環を有する化合物)、モノフェノール化合物(アミン化合物又はイミダゾール化合物に該当する化合物を除く)等が挙げられる。老化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
老化防止剤は、アミン化合物として、芳香族アミン化合物(例えば芳香族第二級アミン化合物)を含んでよく、ジフェニルアミン化合物を含んでよい。アミン化合物としては、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン等が挙げられる。
老化防止剤は、イミダゾール化合物として、ベンズイミダゾール化合物(ベンズイミダゾール環を有する化合物)を含んでよい。ベンズイミダゾール化合物は、金属塩(例えば亜鉛塩)であってもよい。イミダゾール化合物としては、2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩等が挙げられる。
低密度領域及び高密度領域からなる群より選ばれる少なくとも一種は、優れた耐熱性を得やすい観点から、ジフェニルアミン化合物を含有してよく、ジフェニルアミン化合物及びベンズイミダゾール化合物を含有してよい。
老化防止剤の含有量は、ベース材料100質量部に対して下記の範囲であってよい。老化防止剤の含有量は、優れた耐熱性を得やすい観点から、0.1質量部以上、0.2質量部以上、0.3質量部以上、0.5質量部以上、0.7質量部以上、0.9質量部以上、又は、1質量部以上であってよい。老化防止剤の含有量は、優れた耐熱性を得やすい観点から、5質量部以下、4質量部以下、3質量部以下、2質量部以下、1.8質量部以下、1.5質量部以下、1.2質量部以下、又は、1.1質量部以下であってよい。これらの観点から、老化防止剤の含有量は、0.1~5質量部であってよい。
老化防止剤の含有量は、多孔質吸音材の全質量を基準として下記の範囲であってよい。老化防止剤の含有量は、優れた耐熱性を得やすい観点から、0.1質量%以上、0.15質量%以上、0.2質量%以上、0.25質量%以上、0.3質量%以上、又は、0.35質量%以上であってよい。老化防止剤の含有量は、優れた耐熱性を得やすい観点から、1質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、0.6質量%以下、0.5質量%以下、0.45質量%以下、又は、0.4質量%以下であってよい。これらの観点から、老化防止剤の含有量は、0.1~1質量%であってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、軟化剤を含有してよい。軟化剤を用いることにより、加工性を向上させることができる。軟化剤としては、乾性油類又は動植物油類(例えば、アマニ油)、石油系オイル類(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等)、アスファルト類、低分子量ポリマー類、有機酸エステル類(例えば、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)等のフタル酸エステル;リン酸エステル;高級脂肪酸エステル;アルキルスルホン酸エステル)、増粘付与剤などが挙げられる。軟化剤は、優れた発泡加工性が得られやすい観点から、石油系オイル類を含んでよい。軟化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
軟化剤の含有量は、ベース材料100質量部に対して下記の範囲であってよい。軟化剤の含有量は、優れた発泡加工性が得られやすい観点から、1質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、10質量部以上、20質量部以上、又は、30質量部以上であってよい。軟化剤の含有量は、優れた発泡加工性が得られやすい観点から、100質量部以下、90質量部以下、80質量部以下、70質量部以下、60質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、又は、30質量部以下であってよい。これらの観点から、軟化剤の含有量は、1~100質量部であってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、脂肪酸を含有してよい。脂肪酸は、加工助剤として用いることができる。脂肪酸を用いることにより加工性を向上させることができる。脂肪酸は、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことができる。脂肪酸の炭素数は、8~30、10~20、又は、15~18であってよい。脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等が挙げられる。脂肪酸は、優れた発泡加工性が得られやすい観点から、ステアリン酸を含んでよい。脂肪酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪酸の含有量は、ベース材料100質量部に対して下記の範囲であってよい。脂肪酸の含有量は、優れた発泡加工性が得られやすい観点から、1質量部以上、2質量部以上、又は、3質量部以上であってよい。脂肪酸の含有量は、優れた発泡加工性が得られやすい観点から、10質量部以下、8質量部以下、5質量部以下、又は、3質量部以下であってよい。これらの観点から、脂肪酸の含有量は、1~10質量部であってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、目的に応じて、任意の他の添加剤を含有してよい。添加剤としては、滑剤、可塑剤、気泡核剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、防カビ剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、発泡体であってよく、発泡剤を含有する発泡性組成物を発泡させることにより得ることができる。本実施形態に係る発泡性組成物は、多孔質吸音材の含有成分と、発泡剤とを含有することができる。発泡性組成物を発泡させて発泡体を得る際の発泡倍率(発泡前後の密度比。発泡後は見かけ密度)は、5~30倍であってよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材は、他の素材と複合一体化させて用いることもできる。例えば、多孔質吸音材(シート状の多孔質吸音材等)をゴムシート、樹脂シート、織布、不織布、石膏ボード、木製ボード、金属板等と貼り合わせて一体化して用いることもできる。
本実施形態に係る多孔質吸音材の製造方法に特に制限はない。本実施形態に係る多孔質吸音材の製造方法では、低密度領域及び高密度領域を積層することにより多孔質吸音材を得てよく、低密度領域及び高密度領域を熱融着することにより多孔質吸音材を得てよい。
本実施形態に係る多孔質吸音材の製造方法の一例は、組成が互いに異なる第1の未発泡体及び第2の未発泡体が互いに積層した状態で第1の未発泡体及び第2の未発泡体を発泡させることにより低密度領域及び高密度領域を得る発泡工程(発泡体作製工程)を備えてよい。第1の未発泡体及び第2の未発泡体は、互いに当接してよい。
第1の未発泡体は、低密度領域を得るための未発泡体である。第2の未発泡体は、高密度領域を得るための未発泡体である。第1の未発泡体及び第2の未発泡体は、発泡性組成物であり、ベース材料(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)及び発泡剤を含有する。第1の未発泡体及び第2の未発泡体の組成(発泡性組成物の組成)は互いに異なり、例えば、発泡剤の種類(分解温度の異なる発泡剤等)、発泡剤の含有量などが互いに異なる。未発泡体における発泡時のガスの発生量、発生速度等を異ならせることにより、低密度領域及び高密度領域を得ることができる。第1の未発泡体及び第2の未発泡体は、必要に応じて、充填剤、老化防止剤、加工助剤、軟化剤、架橋剤、架橋促進剤、発泡助剤等を含有してよい。
発泡工程では、発泡性組成物を加熱することにより発泡性組成物を発泡させることができる。発泡工程では、閉じた型枠内で発泡性組成物を発泡させる発泡方法、発泡性組成物を自由に膨張発泡させる発泡方法等を行うことができる。発泡させる発泡性組成物は、例えば、発泡性組成物をシート状に成形することにより得られるシート体であってもよい。閉じた型枠内で発泡性組成物を発泡させる発泡方法としては、発泡性組成物を金属型枠内に納めた後、金属型枠ごと加熱プレスの熱盤間に配置することにより発泡させる方法を用いることができる。また、発泡性組成物を自由に膨張発泡させる発泡方法としては、発泡性組成物を、そのままオーブン内に配置し加熱して発泡させる方法を用いることができる。
発泡体の発泡倍率、見かけ密度、通気度、平均セル径、最大セル径等は、発泡体を製造するときの各種成分の配合比率;混練、発泡等の条件などにより調整することができる。但し、同じ製造方法又は装置を用いた場合においても、発泡現象は、微妙な因子(例えば、ある工程から次の工程に進むまでの経過時間の違い)に左右されやすい傾向があると共に、作動原理が同じであるものの装置の大きさ等に左右されやすい傾向があるため、全く同じ属性を有する発泡体が得られづらいこともあり、その場合には、当該技術分野における通常の知識を有する作業者によって配合組成又は加工条件を調整することができる。
本実施形態に係る多孔質吸音材の製造方法は、発泡工程の前に、ベース材料(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)及び発泡剤を混合することにより発泡性組成物を得る組成物作製工程を備えてよい。
組成物作製工程は、ベース材料を素練りして素練り物(素練りされたベース材料)を得る素練り工程と、素練り物と、発泡剤以外の添加剤(充填剤、老化防止剤、軟化剤、加工助剤等)と、を混合して第1混練物を得る第1混練工程と、第1混練物と発泡剤とを混合して発泡性組成物(第2混練物)を得る第2混練工程と、をこの順に有してよい。ベース材料の種類又は物性によっては素練り工程を省略することもできる。第2混練工程では、発泡剤以外に、発泡助剤、架橋剤、架橋促進剤、架橋遅延剤等を添加してよい。
発泡剤としては、分解してガスを発生する固体化合物;加熱すると気化する液体;加圧下でベース材料に溶解させ得る不活性な気体等に分類されるが、これらのいずれも用いることができる。発泡剤としては、有機系発泡剤、無機系発泡剤等が挙げられる。発泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機系発泡剤としては、アゾ系化合物、N-ニトロソ系化合物、ヒドラジド系化合物、セミカルバジド系化合物、フッ化アルカン、トリアゾール系化合物等が挙げられる。
アゾ系化合物としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン等が挙げられる。N-ニトロソ系化合物としては、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DTP)、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソテレフタルアミド、トリニトロソトリメチルトリアミン等が挙げられる。ヒドラジド系化合物としては、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホニルヒドラジド、2,4-トルエンジスルホニルヒドラジド、p,p-ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)エーテル、ベンゼン-1,3-ジスルホニルヒドラジド、アリルビス(スルホニルヒドラジド)等が挙げられる。セミカルバジド系化合物としては、p-トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等が挙げられる。フッ化アルカンとしては、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン等が挙げられる。トリアゾール系化合物としては、5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾール等が挙げられる。
無機系発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩;炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩;亜硝酸ナトリウム、亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩;水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素塩;アジド類などが挙げられる。
発泡剤は、優れた発泡性が得られやすい観点から、有機系発泡剤を含んでよく、アゾ系化合物及びN-ニトロソ系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよく、アゾジカルボンアミド(ADCA)及びN,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DTP)からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
発泡剤の使用量は、ベース材料100質量部に対して下記の範囲であってよい。発泡剤の使用量は、優れた発泡性が得られやすい観点から、1質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、8質量部以上、10質量部以上、12質量部以上、15質量部以上、又は、17質量部以上であってよい。発泡剤の使用量は、過剰な発泡による多孔質吸音材の剛性の低下を抑制しやすい観点から、30質量部以下、25質量部以下、20質量部以下、又は、17質量部以下であってよい。これらの観点から、発泡剤の使用量は、1~30質量部であってよい。
発泡助剤としては、尿素系化合物(例えば尿素)、サリチル酸系化合物、安息香酸系化合物等が挙げられる。
架橋剤としては、硫黄、硫黄化合物類(ポリスルフィド、4,4’-ジチオジモルホリン等)、セレン、有機過酸化物類(クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等)、ポリアミン類、オキシム類(p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンジオキシム等)、ニトロソ化合物類(例えば、p-ジニトロソベンジン)、アンモニウム塩類(例えば、安息香酸アンモニウム)、金属酸化物(酸化マグネシウム等)などが挙げられる。金属酸化物は、充填剤の作用も有してよい。
架橋剤の含有量は、ベース材料100質量部に対して下記の範囲であってよい。架橋剤の含有量は、発泡と架橋のバランス化の観点から、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、1.5質量部以上、又は、2質量部以上であってよい。架橋剤の含有量は、発泡と架橋のバランス化の観点から、10質量部以下、8質量部以下、5質量部以下、又は、2質量部以下であってよい。これらの観点から、架橋剤の含有量は、1~10質量部であってよい。
架橋促進剤としては、チアゾール類(2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等)、ジチオカルバミン酸類(例えば、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸塩)、グアニジン類(ジフェニルグアニジン、ジ-o-トリルグアニジン等)、スルフェンアミド類(ベンゾチアジル-2-ジエチルスルフェンアミド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等)、チウラム類(テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等)、キサントゲン酸類(イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛等)、アルデヒドアンモニア類(アセトアルデヒドアンモニア、ヘキサメンチレンテトラミン等)、アルデヒドアミン類(n-ブチルアルデヒドアニリン、ブチルアルデヒドモノブチルアミン等)、チオウレア類(ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等)、酸化亜鉛などが挙げられる。
架橋促進剤の含有量は、ベース材料100質量部に対して下記の範囲であってよい。架橋促進剤の含有量は、発泡と架橋のバランス化の観点から、1質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、4質量部以上、5質量部以上、又は、8質量部以上であってよい。架橋促進剤の含有量は、発泡と架橋のバランス化の観点から、20質量部以下、15質量部以下、10質量部以下、又は、8質量部以下であってよい。これらの観点から、架橋促進剤の含有量は、1~20質量部であってよい。
架橋遅延剤としては、有機酸(無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸等)、アミン類(N-ニトロソ-ジフェニルアミン、N-ニトロソ-フェニル-β-ナフチルアミン等)などが挙げられる。
本実施形態に係る多孔質吸音材の製造方法は、発泡工程の後、発泡体を機械的に圧縮する圧縮工程(圧縮連通化工程)を備えてよい。圧縮工程では、発泡体を機械的に圧縮することにより、発泡体中に含まれる独立セルの一部又は全部を連続セルとなすことができる。圧縮工程では、発泡体を圧縮して、発泡体中に含まれているセル(例えば独立セル)の壁の一部を機械的な方法で破壊して、複数のセルが互いに連通している連続セルを増やすよう連通化させることができる。圧縮工程では、プレス機、二本ロール等を用いて発泡体を圧縮することにより実施できる。発泡体にかける圧力又はプレスの回数は、目的とする発泡体に応じて調整できる。
上述の素練り工程から圧縮工程に至るまでの過程は、工程毎に分けて実施することが可能であり、一部又は全部の工程を連続して実施してもよい。一部又は全部の工程を連続して実施する場合には、これらの工程を連続して行うことが可能な連続装置を用いることができる。
本実施形態に係る吸音方法は、本実施形態に係る多孔質吸音材を用いて吸音する吸音工程を備える。本実施形態に係る吸音方法では、吸音対象の音の伝達経路に多孔質吸音材を配置することにより吸音することが可能であり、多孔質吸音材の高密度領域が低密度領域に対して音源側に位置してよい。
吸音工程では、吸音対象の音を吸音可能であり、特定の周波領域の音を吸音することができる。吸音対象の周波領域は、8000Hz以下、4000Hz以下、2000Hz以下、又は、1000Hz以下であってよい。吸音工程では、例えば、1000Hz以下の音を吸音することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明の内容を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<使用材料>
(ベース材料)
エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM):三井化学株式会社製、商品名「EMB-EPT4021」
(充填剤)
炭酸カルシウム:丸尾カルシウム株式会社製、商品名「重質炭酸カルシウム」、破砕状
カーボンブラック:旭カーボン株式会社、商品名「#50」
(老化防止剤)
老化防止剤A:芳香族第二級アミン化合物(N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
老化防止剤B:芳香族第二級アミン化合物(4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン)、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラックCD」
老化防止剤C:ベンズイミダゾール化合物(2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩)、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラックMBZ」
(加工助剤)
ステアリン酸:日油株式会社製、商品名「粉末ステアリン酸さくら」
(軟化剤)
パラフィン系プロセスオイル:日本サン石油株式会社製、商品名「SUNPAR150」
(架橋剤)
硫黄:株式会社東知製、商品名「アルファグランS-50EN」、硫黄マスターバッチ
(架橋促進剤)
ジチオカルバミン酸塩:大内新興株式会社製、商品名「ノクセラーEZ」、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛
チウラム類:大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーTT」、テトラメチルチウラムジスルフィド
酸化亜鉛粉末:堺化学工業株式会社製、商品名「酸化亜鉛二種」
(発泡剤)
アゾジカルボンアミド:三協化成株式会社製、商品名「セルマイクC-1」
(発泡助剤)
尿素:永和化成工業株式会社製、商品名「セルペースト101」
<多孔質吸音材(発泡体)の製造>
(実施例1)
ロール温度40℃のミキシングロール(7インチ、回転数:25rpm)を用いてEPDM(ベース材料)100質量部を5分間素練りした。その後、このEPDMに対して、炭酸カルシウム40質量部、カーボンブラック10質量部、老化防止剤Aを1質量部、加工助剤3質量部及び軟化剤30質量部を添加した後に15分間混練した。続いて、ロール温度を70℃に上げることにより熱入れを3分間行った後、ロール温度を40℃に下げた。そして、架橋剤2質量部、ジチオカルバミン酸塩(架橋促進剤)2質量部、チウラム類(架橋促進剤)1質量部、酸化亜鉛粉末(架橋促進剤)5質量部、発泡剤17質量部及び発泡助剤1.5質量部を添加した後に10分間混練することにより、低密度層用の発泡前の発泡性組成物Aを得た。
ロール温度40℃のミキシングロール(7インチ、回転数:25rpm)を用いてEPDM(ベース材料)100質量部を5分間素練りした。その後、このEPDMに対して、炭酸カルシウム40質量部、カーボンブラック10質量部、老化防止剤Aを1質量部、加工助剤3質量部及び軟化剤30質量部を添加した後に15分間混練した。続いて、ロール温度を70℃に上げることにより熱入れを3分間行った後、ロール温度を40℃に下げた。そして、架橋剤2質量部、ジチオカルバミン酸塩(架橋促進剤)2質量部、チウラム類(架橋促進剤)1質量部、酸化亜鉛粉末(架橋促進剤)5質量部、発泡剤8質量部及び発泡助剤1.5質量部を添加した後に10分間混練することにより、高密度層用の発泡前の発泡性組成物Bを得た。
続いて、ロール温度40℃のミキシングロール(7インチ、回転数:25rpm)を用いて上述の各発泡性組成物を厚さ5mmのシート状に成形することにより10cm角の低密度層用のシートA及び高密度層用のシートBを得た。これらのシート1枚ずつを互いに重ね合わせた後、凹部を有する金型(凹部形状:12mm(高さ)×10cm×10cm)の凹部内の中央に配置した。プレス機を用いて110℃、45kgf/cm、40分の条件で一次発泡を行うことにより一次発泡体を得た。
一次発泡体を金型内から取り出した後、160℃の熱風循環式オーブン内で20分間加熱することによって二次発泡を行うことにより二次発泡体を得た。ロール間隔を20mmに設定した二本ロールの間に二次発泡体を3回通過させることにより気泡の連通化を行った。低密度層及び高密度層の境界部分を含むようにスライス加工を行うことにより、低密度層(厚さ:5mm)及び高密度層(厚さ:5mm)を有するシート状の多孔質吸音材(積層体。全厚:10mm)を得た。
(実施例2)
スライス加工において低密度層の厚さを7mmに調整すると共に高密度層の厚さを3mmに調整したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(実施例3)
スライス加工において低密度層の厚さを9mmに調整すると共に高密度層の厚さを1mmに調整したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(実施例4)
スライス加工において低密度層の厚さを3mmに調整すると共に高密度層の厚さを7mmに調整したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(実施例5)
スライス加工において低密度層の厚さを1mmに調整すると共に高密度層の厚さを9mmに調整したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(実施例6)
発泡性組成物Bの調製に際して発泡剤の添加量を4質量部に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(実施例7)
発泡性組成物Aの調製に際して発泡剤の添加量を12質量部に変更こと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(実施例8)
発泡性組成物Aの調製に際して発泡剤の添加量を20質量部に変更し、ジチオカルバミン酸塩(架橋促進剤)の添加量を1.5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(実施例9)
発泡性組成物Aの調製に際して発泡剤の添加量を12質量部に変更し、発泡性組成物Bの調製に際して発泡剤の添加量を4質量部に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(実施例10)
低密度層用のシートA及び高密度層用のシートBの厚さを10mmに変更し、凹部を有する金型として金型(凹部形状:24mm(高さ)×10cm×10cm)を用い、スライス加工において低密度層の厚さを10mmに調整すると共に高密度層の厚さを10mmに調整したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(実施例11)
発泡性組成物A及び発泡性組成物Bの調製に際して、1質量部の老化防止剤Aに代えて、2質量部の老化防止剤B及び1質量部の老化防止剤Cを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(比較例1)
シートAを用いず、シートBを厚さ10mmに成形し、スライス加工において厚さを10mmに調整したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(比較例2)
シートAを用いず、発泡性組成物Bの調製に際して発泡剤の添加量を4質量部に変更し、シートBを厚さ10mmに成形し、スライス加工において厚さを10mmに調整したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(比較例3)
シートBを用いず、発泡性組成物Aの調製に際して発泡剤の添加量を20質量部に変更すると共にジチオカルバミン酸塩(架橋促進剤)の添加量を1.5質量部に変更し、シートAを厚さ10mmに成形し、スライス加工において厚さを10mmに調整したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(比較例4)
シートBを用いず、発泡性組成物Aの調製に際して発泡剤の添加量を12質量部に変更し、シートAを厚さ10mmに成形し、スライス加工において厚さを10mmに調整したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(比較例5)
発泡性組成物Aの調製に際して発泡剤の添加量を20質量部に変更すると共にジチオカルバミン酸塩(架橋促進剤)の添加量を1.5質量部に変更し、発泡性組成物Bの調製に際して発泡剤の添加量を3質量部に変更すると共にチウラム類(架橋促進剤)の添加量を2質量部に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(比較例6)
発泡性組成物Aの調製に際して発泡剤の添加量を15質量部に変更し、発泡性組成物Bの調製に際して発泡剤の添加量を13質量部に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
(比較例7)
発泡性組成物Aの調製に際して発泡剤の添加量を7質量部に変更すると共にチウラム類(架橋促進剤)の添加量を1.5質量部に変更し、発泡性組成物Bの調製に際して発泡剤の添加量を3質量部に変更すると共にチウラム類(架橋促進剤)の添加量を2質量部に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、シート状の多孔質吸音材を得た。
<物性測定>
下記に示す手順で、低密度層、高密度層及び多孔質吸音材(低密度層と高密度層との積層体)の密度及び厚さを測定し、低密度層及び高密度層の通気度を測定し、多孔質吸音材のセル径を測定した。結果を表1及び表2に示す。
(密度)
低密度層、高密度層及び多孔質吸音材の見かけ密度をJIS K 6767(1999)「発泡プラスチック-ポリエチレン-試験方法」に準じて測定した。具体的には、測定対象から縦2cm、横2cmの板状の試験片を切り出した後、その試験片の質量を測定して、単位体積あたりの質量(見かけ密度)を算出した。また、上述の見かけ密度と厚さとの積を面密度として算出した。
(厚さ)
ISO 1923(1981)「発泡プラスチック及びゴム-線寸法の測定」に準じて、低密度層、高密度層及び多孔質吸音材の厚さを測定した。具体的には、測定面積が約10cmとなるダイヤルゲージを用いて厚さを測定した。
(通気度)
通気性試験機(商品名:KES-F8-AP1、カトーテック株式会社製)を用いて、通気度の程度を表す尺度として、低密度層及び高密度層の通気抵抗R(Pa・s/m)を定常流差圧測定方式により測定した。具体的には、低密度層及び高密度層を厚さ5mmに調整した後、シリンダー状の通気路の内部を塞ぐように測定対象を通気路の中央に配置した。測定対象の厚さが5mmを超える場合には、スライス加工により厚さを調整し、測定対象の厚さが5mm未満である場合には、複数の層を積層して厚さを調整した。その後、一定の通気量Vの状態で、通気路内の一端側の圧力P1と、通気路内の他端側の圧力P2との圧力差を測定した。次式より通気抵抗Rを求めた。
R=(P1-P2)/V
[P1及びP2は圧力(Pa)を示し、Vは単位面積当たりの通気量(m/m・s)を示す。通気抵抗R(Pa・s/m)は、通気度C(m/Pa・s)に対して、C=1/Rの関係を有する。]
(セル径)
多孔質吸音材の平均セル径(セル径の平均値)及び最大セル径(セル径の最大値)を測定した。具体的には、卓上走査電子顕微鏡(JCM6000Plusネオスコープ、日本電子株式会社製)を用いて、多孔質吸音材の気泡部の画像を取り込み、その画像を画像解析ソフト(Mac-View、株式会社マウンテック製)に基づいて画像解析(円相当径への換算)することによりセル径(μm)を算出した。多孔質吸音材の100個の気泡部のセル径を取得した後、100個のセル径の算術平均値を平均セル径(μm)として得た。また、100個のセル径のうちの最大値を最大セル径として得た。
<評価>
下記に示す手順で多孔質吸音材の耐熱温度、吸音率及び音響透過損失を評価した。結果を表1及び表2に示す。
(耐熱温度)
多孔質吸音材を用いて10cm角の3つの試験片を得た後、試験片を80℃、110℃又は150℃のそれぞれに200時間保管した。続いて、試験片を24℃、50RH%に24時間以上静置した後、試験片の外観変化及び吸音率が加熱前後で変わらなかった最高温度を耐熱温度として得た。試験片の外観変化として、発泡体の溶融がないこと、試験前後でサイズ変化がないこと、欠損がないこと、及び、変色しないことを観察した。
(吸音率)
音響管(株式会社小野測器製、SR-4100)を使用し、JIS A 1405-2に準拠して吸音率を測定した。具体的には、φ29mmの打ち抜き刃で多孔質吸音材を打ち抜いて円柱状の試験片を作製した。この試験片を用いて周波数0Hz~8000Hzの範囲の吸音率を測定した。低密度層及び高密度層を備える多孔質吸音材を用いて試験片を作製する場合、試験片の高密度層が低密度層に対して音源側に位置する状態で吸音率を測定した。1000Hz及び2000Hzにおける吸音率を得ると共に、測定範囲内において吸音率が最大となる周波数を「ピーク周波数」として得た。1000Hzの吸音率が0.40以上である場合を良好であると判断した。
(音響透過損失)
ブリュエル・ケアー製の音響管システム(PULSEアナライザ; ハードウェア:Type3160-A-042,3050-A-060; ソフトウェア:PULSE Labshop、MS1023)を使用し、ASTM E2611-09に準拠して音響透過損失を測定した。具体的には、φ29mmの打ち抜き刃で多孔質吸音材を打ち抜いて円柱状の試験片を作製した。低密度層及び高密度層を備える多孔質吸音材を用いて試験片を作製する場合、試験片の高密度層が低密度層に対して音源側に位置する状態で吸音率を測定した。この試験片を用いて周波数0Hz~10000Hzの範囲の音響透過損失を測定し、1000Hz、2000Hz及び4000Hzにおける音響透過損失(単位:dB)を得た。
Figure 2022156642000001
Figure 2022156642000002


Claims (10)

  1. 低密度領域及び高密度領域を備え、
    前記低密度領域及び前記高密度領域がエチレン・プロピレン・ジエンゴムを含有し、
    前記低密度領域の見かけ密度が0kg/mを超え100kg/m以下であり、
    前記高密度領域の見かけ密度が100kg/mを超え400kg/m以下である、多孔質吸音材。
  2. 当該多孔質吸音材の平均セル径が250~450μmである、請求項1に記載の多孔質吸音材。
  3. セル径1000μm以上の気泡を有さない、請求項1又は2に記載の多孔質吸音材。
  4. 当該多孔質吸音材の面密度が1.70kg/m以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質吸音材。
  5. 前記低密度領域及び前記高密度領域からなる群より選ばれる少なくとも一種が、ジフェニルアミン化合物を更に含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の多孔質吸音材。
  6. 前記低密度領域及び前記高密度領域からなる群より選ばれる少なくとも一種が、ジフェニルアミン化合物及びベンズイミダゾール化合物を更に含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の多孔質吸音材。
  7. 前記低密度領域である低密度層、及び、前記高密度領域である高密度層の2層構造の積層体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の多孔質吸音材。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の多孔質吸音材を用いて吸音する吸音工程を備え、
    前記吸音工程において、前記多孔質吸音材の前記高密度領域が前記低密度領域に対して音源側に位置する、吸音方法。
  9. 前記吸音工程において1000Hz以下の音を吸音する、請求項8に記載の吸音方法。
  10. 請求項1~7のいずれか一項に記載の多孔質吸音材の製造方法であって、
    組成が互いに異なる第1の未発泡体及び第2の未発泡体が互いに積層した状態で前記第1の未発泡体及び前記第2の未発泡体を発泡させることにより前記低密度領域及び前記高密度領域を得る工程を備え、
    前記第1の未発泡体及び前記第2の未発泡体がエチレン・プロピレン・ジエンゴム及び発泡剤を含有する、多孔質吸音材の製造方法。

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