JP2022156283A - 空気入りタイヤおよびその製造方法 - Google Patents

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紗葵子 松本
Sakiko Matsumoto
隆充 茶谷
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Abstract

【課題】高速走行時の耐久性および操縦安定性を良好に発揮しながら、密着による引き出し不良を防止することを可能にした空気入りタイヤおよびその製造方法を提供する。【解決手段】トレッド部1におけるカーカス層4の外周側に配置された複数層のベルト層7の更に外周側にベルト補強層8を備えた空気入りタイヤにおいて、ベルト補強層8を、接着剤による処理が施されたナイロン繊維コードをコートゴムで被覆して構成し、コートゴムを構成するゴム組成物として、ゴム成分中に天然ゴムを20質量%以上含有するものを用い、接着剤としてラテックス成分中の天然ゴムラテックス比率が0.5質量%~5.0質量%であるものを使用し、ナイロン繊維コードのタック値を3.0N以下に設定する。【選択図】図1

Description

本発明は、ラテックス成分を含む接着剤による処理が施されたナイロン繊維コードをコートゴムで被覆して構成されたベルト補強層を備えた空気入りタイヤおよびその製造方法に関する。
空気入りタイヤは、一般的に、一対のビード部間にカーカス層が装架され、トレッド部におけるカーカス層の外周側に複数層のベルト層が配置され、更に、ベルト層の外周側にベルト補強層が配置された構造を有する。この構造において、ベルト補強層は、例えば、高速走行時のベルト層のせり上がりを抑制し、高速耐久性の改善に寄与する。
上述のベルト補強層は、ラテックス成分を含む接着剤、例えば、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス液(以下、RFL液と略称する)を含浸させるディップ処理が施された繊維コードにコートゴムを被覆し、これをベルト層の外周側にタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回して形成することができる。或いは、上述のベルト補強層は、並列配置された複数本の繊維コード(経糸)に粗いピッチで複数本の繊維コード(緯糸)を交錯させた織成物にラテックス成分を含む接着剤(例えばRFL液)を含浸させるディップ処理を施した簾織物にコートゴムを被覆し、これをベルト層の外周側に配置することで形成することができる。
いずれの場合も、ラテックス成分を含む接着剤(例えばRFL液)の含浸処理(ディップ処理)が施された繊維コードや簾織物は、その長手方向に巻き上げられて一時的に保管される(例えば、特許文献1を参照)。そのとき、ラテックス成分を含む接着剤は繊維コードまたは簾織物とコートゴムとの接着性を高めるための接着剤であるため、繊維コードまたは簾織物の材質やラテックス成分を含む接着剤の配合によっては、巻き上げられた繊維コードまたは簾織物が密着してしまい、引き出す際に不具合が生じる虞がある。そのため、タイヤ中における繊維コードや簾織物の接着性を損なうことなく、ベルト補強層としての性能を良好に発揮しながら、前述の密着による引き出し不良を防止するための対策が求められている。
特開2015‐117438号公報
本発明の目的は、高速走行時の耐久性および操縦安定性を良好に発揮しながら、密着による引き出し不良を防止することを可能にした空気入りタイヤおよびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間に装架された少なくとも1層のカーカス層と、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層と、前記ベルト層の外周側に配置されたベルト補強層とを有する空気入りタイヤにおいて、前記ベルト補強層は、接着剤による処理が施されたナイロン繊維コードをコートゴムで被覆して構成されており、前記コートゴムを構成するゴム組成物は、ゴム成分中に天然ゴムを20質量%以上含有し、前記接着剤に含まれるラテックス成分は、天然ゴムラテックスを0.5質量%~5.0質量%含有し、前記ナイロン繊維コードのタック値が3.0N以下であることを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤの製造方法は、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間に装架された少なくとも1層のカーカス層と、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層と、前記ベルト層の外周側に配置されたベルト補強層とを有する空気入りタイヤの製造方法において、接着剤による処理が施された前記ナイロン繊維コードにコートゴムを被覆して前記ベルト補強層を構成するにあたって、前記コートゴムを、ゴム成分中に天然ゴムを20質量%以上含有するゴム組成物で構成し、前記接着剤に含まれるラテックス成分は、天然ゴムラテックスを0.5質量%~5.0質量%含有し、前記ナイロン繊維コードのタック値を3.0N以下に設定することを特徴とする。
本発明においては、コートゴムがゴム成分中に天然ゴムを20質量%以上含有するのに対して、接着剤処理に用いる接着剤中のラテックス成分が天然ゴムラテックスを0.5質量%~5.0質量%含有するので、ナイロン繊維コードとコートゴムとを良好に接着することができる。その結果、ベルト補強層としての機能を良好に発揮できるので、高速耐久性および高速操縦安定性を良好に発揮することができる。その一方で、ナイロン繊維コードのタック値が3.0N以下に抑えられているので、タイヤ中におけるナイロン繊維コードの接着性を損なうことなく、製造時(ディップ処理後の巻き取り時)の密着による引き出し不良を防止することが可能になる。
尚、本発明において、「ナイロン繊維コードのタック値」は、東洋精機社製ピクマタックテスタを使用し、試験温度25℃、圧着荷重500g、圧着時間1秒、圧着速度50cm/min、剥離速度125cm/minの条件で、自着タックが17Nのコンパウンドを幅10mmの帯状にしてサンプルホルダーに巻き付け、経糸が前述のサンプルホルダーに巻き付けた帯状コンパウンドと垂直方向に並ぶよう測定対象のナイロン繊維コードからなる簾を配置し、前記条件に基づいて降下、圧着、上昇させることで測定されるものとする。尚、本発明における「ナイロン繊維コードのタック値」とは、前述のサンプルホルダーに巻き付けた帯状コンパウンドと接触する簾の幅10mmに含まれるナイロン繊維コードのタック値である。上述の説明における「自着タック」とは、ナイロン繊維コードのタック値と同条件で測定されるコンパウンド自体のタック値である。即ち、前述の説明における「測定対象のナイロン繊維コードからなる簾」をサンプルホルダーに巻き付けたものと同じコンパウンドに置き換えて測定されるタック値である。
本発明において、ナイロン繊維コード1本あたりの正量繊度D〔単位:dtex/本〕とベルト補強層におけるナイロン繊維コードの延長方向と直交する方向50mm当たりのナイロン繊維コードの打ち込み本数E〔単位:本/50mm〕との積A=D×Eが1.2×105dtex/50mm~1.8×105dtex/50mmであることが好ましい。このように積A、即ち、ベルト補強層における単位幅当たりのナイロン繊維コードの繊度を適度な範囲に設定することで、タイヤ中におけるナイロン繊維コードの接着性を損なうことなく、製造時(ディップ処理後の巻き取り時)の密着による引き出し不良を防止するには有利になる。
本発明においては、ナイロン繊維コードのタック値が0.5N~3.0Nであることが好ましい。このようにタック値を適度な範囲に設定することで、タイヤ中におけるナイロン繊維コードの接着性を損なうことなく、製造時(ディップ処理後の巻き取り時)の密着による引き出し不良を防止するには有利になる。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。図1において、符号CLはタイヤ赤道を示す。図1は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。以下、図1を用いた説明は基本的に図示の子午線断面形状に基づくが、各タイヤ構成部材はいずれもタイヤ周方向に延在して環状を成すものである。
左右一対のビード部3間にはタイヤ径方向に延びる複数本の補強コード(以下、カーカスコードという)を含むカーカス層4が装架されている。各ビード部には、ビードコア5が埋設されており、そのビードコア5の外周上に断面略三角形状のビードフィラー6が配置されている。カーカス層4は、ビードコア5の廻りにタイヤ幅方向内側から外側に折り返されている。これにより、ビードコア5およびビードフィラー6はカーカス層4の本体部(トレッド部1から各サイドウォール部2を経て各ビード部3に至る部分)と折り返し部(各ビード部3においてビードコア5の廻りに折り返されて各サイドウォール部2側に向かって延在する部分)とにより包み込まれている。カーカス層4を構成するカーカスコードとしては、例えばポリエステルコードが好ましく使用される。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図示の例では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コード(以下、ベルトコードという)を含み、かつ層間でベルトコードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、ベルトコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定されている。ベルト層7を構成するベルトコードとしては、例えばスチールコードが好ましく使用される。
更に、ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、ベルト補強層8が設けられている。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に配向する補強コード(以下、カバーコードという)を含む。ベルト補強層8において、カバーコードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°~5°に設定されている。ベルト補強層8としては、ベルト層7の幅方向の全域を覆うフルカバー層8aや、ベルト層7のタイヤ幅方向の両端部を局所的に覆う一対のエッジカバー層8bをそれぞれ単独で、またはこれらを組み合わせて設けることができる(図示の例では、フルカバー層8aおよびエッジカバー層8bの両方が設けられている)。ベルト補強層8を構成するカバーコードとしては、例えば有機繊維コードが好ましく使用される。本発明では、特にナイロン繊維コードが使用される。
本発明は、主として、上述のベルト補強層8に関するものであるので、タイヤの基本的な構造は他のタイヤ構成部材は、上述のものに限定されない。
本発明において、ベルト補強層8は、ラテックス成分を含む接着剤によるディップ処理が施されたナイロン繊維コードにコートゴムを被覆し、これをベルト層7の外周側にタイヤ周方向に沿って螺旋状に巻回することで形成される。或いは、ベルト補強層8は、並列配置された複数本のナイロン繊維コード(経糸)に粗いピッチで複数本のナイロン繊維コード(緯糸)を交錯させた織成物にラテックス成分を含む接着剤を含浸させるディップ処理を施した簾織物にコートゴムを被覆し、これをベルト層の外周側に配置することで形成される。換言すると、いずれの場合も、ベルト補強層8は、ラテックス成分を含む接着剤によるディップ処理が施されたナイロン繊維コードをコートゴムで被覆して構成されている。尚、上述のディップ処理に用いるラテックス成分を含む接着剤としては、例えば、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス液(以下、RFL液と略称する)、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン・ラテックス液が挙げられ、中でもRFL液を好適に用いることができる。以降の説明では、RFL液を例に説明を行うが、ラテックス成分を含む接着剤であれば後述のラテックス成分に関する条件を適用可能であり、それにより後述の効果を発揮することができる。
本発明のベルト補強層8に用いられるコートゴムは、ゴム成分中に天然ゴムを20質量%以上、好ましくは20質量%~60質量%含有するゴム組成物で構成される。このように適度な量の天然ゴムを含むことで、コートゴムとして良好なゴム物性を得ることができる。特に、後述のRFL液によるディップ処理が施されたナイロン繊維コードと良好な接着性を発揮するので、ベルト補強層としての機能を良好に発揮し、高速耐久性および高速操縦安定性を良好に発揮することができる。ゴム成分中の天然ゴムの割合が20質量%未満であると、接着性を確保することが難しくなる。
本発明のコートゴムにおいて、ゴム成分として、天然ゴム以外の合成ゴム(以下、他のゴムという)、例えばジエン系ゴムを配合することもできる。他のゴムとしては、ポリブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン‐ブタジエンゴム等のタイヤ用ゴム組成物に一般的に用いられるゴムを使用することができる。これら他のゴムのゴム成分中の配合量〔質量%〕は、上述の天然ゴムの残量であるので80質量%~0質量%、好ましくは80質量%~40質量%である。これら他のジエン系ゴムは、単独または任意のブレンドとして使用することができる。
本発明のベルト補強層8に用いられるRFL液は、レゾルシン(R)・ホルマリン(F)の初期縮合物(RF初期縮合物)とゴムラテックス(L)との水系混合液であり、ナイロン繊維コードとコートゴムとの接着性を向上する。
RF初期縮合物には、レゾルシンとホルマリンを水に溶解し、これに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を加えてレゾルシンとホルマリンとを反応させたレゾール型、或いは、シュウ酸、塩酸等の酸性触媒下でレゾルシンとホルマリンとを反応させたノボラック型がある。本発明のRFL液においては、これらのうちのいずれを用いてもよい。
RF初期縮合物に混合するゴムラテックス(L)は、コートゴムを構成するゴムの種類に応じて適宜選択することができる。具体的には、コートゴムを構成するゴムの種類に応じて、例えばビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマー(VP)ラテックス、スチレン‐ブタジエン共重合体(SBR)ラテックス、天然ゴムラテックス等を、ゴムラテックスとして用いることができる。本発明においては、前述のようにコートゴムが天然ゴムを含有するため、ゴムラテックスとして天然ゴムラテックスを用いることが好ましい。尚、ゴムラテックスの全量が天然ゴムラテックスである必要はなく、天然ゴムラテックス以外に、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンターポリマー(VP)ラテックスを適宜混合して用いることができる。
本発明のRFL液に含まれるラテックス成分に占める天然ゴムラテックスの含有率は0.5質量%~5.0質量%、好ましくは1.0質量%~4.0質量%である。このように、RFL液中のラテックス成分が適量の天然ゴムラテックスを含有することで、前述の天然ゴムを含有するコートゴムとナイロン繊維コードとの接着性が良好になる。その結果、ベルト補強層8としての機能を良好に発揮できるので、高速耐久性および高速操縦安定性を良好に発揮することができる。RFL液中のラテックス成分に占める天然ゴムラテックスの含有率が0.5質量%未満であると、コートゴムとナイロン繊維コードとの接着性を確保することができず、高速耐久性が低下する。RFL液中のラテックス成分に占める天然ゴムラテックスの含有率が5.0質量%を超えると、RFL液の含浸処理(ディップ処理)が施された後のナイロン繊維コード(簾織物)がその長手方向に巻き上げられて一時的に保管される際に密着が生じて引き出し不良が生じやすくなる。また、ディップ粕が生じやすくなる虞がある。その結果、タイヤにおいては、高速耐久性・高速操安性・歩留まりが悪化する虞がある。
本発明のベルト補強層8に用いられるカバーコードは、前述のように、ナイロン繊維コードである。ナイロン繊維としては、ナイロン66繊維、ナイロン6繊維、ナイロン46を用いることができ、特に、ナイロン66繊維が好ましい。カバーコード(ナイロン繊維コード)1本あたりの正量繊度D〔単位:dtex/本〕と、ベルト補強層8におけるカバーコード(ナイロン繊維コード)の延長方向と直交する方向50mm当たりのカバーコード(ナイロン繊維コード)の打ち込み本数Ec〔単位:本/50mm〕との積A=D×Ecは、好ましくは1.2×105dtex/50mm~1.8×105dtex/50mm、好ましくは1.3×105dtex/50mm~1.7×105dtex/50mmである。上述の積Aは、ベルト補強層8における単位幅当たりのカバーコード(ナイロン繊維コード)の繊度であるので、これが上述の範囲を満たすことで、耐久性と制動性能を向上することができ、結果的に、高速操縦安定性とを向上するには有利になる。また、単位幅当たりのカバーコード(ナイロン繊維コード)の繊度が適度に抑制されるので、コード間にゴムが入り込みやすくなり、接着性を向上することもできる。積Aが1.2×105dtex/50mm未満であると、高速操縦安定性が悪化する虞がある。積Aが1.8×105dtex/50mmを超えると、コード間にゴムが入り込みにくくなり、接着性を確保することが難しくなる。尚、上述の正量繊度Dおよび打ち込み本数Ecの個々の範囲は、積Aが上述の範囲を満たしていれば特に限定されない。
本発明においては、更に、ナイロン繊維コードのタック値が3.0N以下、好ましくは0.5N~3.0Nに設定される。尚、通常、ナイロン繊維コードに上述のディップ処理を施した後、ナイロン繊維コードに付着したRFL液を乾燥させるドライ工程が行われるが、このドライ工程における温度(ドライ温度)を調整することで、上述のタック値を設定することができる。具体的には、ドライ温度を上昇させるほど、タック値を低下させることができる。本発明のタック値を得るためには、ドライ温度を、例えば150℃~170℃に設定するとよい。このようにタック値を適度に低減することで、タイヤ中の接着力を損なうことなく、前述の密着による引き出し不良を防ぎ、加工性を向上させることができる。
上述の本発明の空気入りタイヤを製造する際、ベルト補強層8は、ナイロン繊維コードにレゾルシン・ホルマリン・ラテックス混合液によるディップ処理を施し、ディップ処理後のナイロン繊維コードにコートゴムを被覆して構成される。このとき、コートゴムとして、ゴム成分中に天然ゴムを20質量%以上含有するゴム組成物を使用し、RFL液として、ラテックス成分中に天然ゴムラテックスを0.5%~5.0%含有するものを使用し、ナイロン繊維コードのタック値を3.0N以下に設定することで、上述の本発明の空気入りタイヤを製造することができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
タイヤサイズが195/65R15であり、図1に示す基本構造を有し、ベルト補強層について、コートゴムの配合、ベルト補強層を構成するナイロン繊維コード1本あたりの正量繊度D〔単位:dtex/本〕とナイロン繊維コードの延長方向と直交する方向50mm当たりのナイロン繊維コードの打ち込み本数E〔単位:本/50mm〕との積A、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス混合液中のラテックス成分に含まれる天然ゴムラテックスの割合(NRラテックス比率)、ナイロン繊維コードのタック値を表1のように設定した従来例1、比較例1~4、実施例1~4の空気入りタイヤ(試験タイヤ)を作製した。
表1の「タック値」は、東洋精機社製ピクマタックテスタを使用し、試験温度25℃、圧着荷重500g、圧着時間1秒、圧着速度50cm/min、剥離速度125cm/minの条件で、自着タックが17Nのコンパウンドを幅10mmの帯状にしてサンプルホルダーに巻き付け、経糸が前述のサンプルホルダーに巻き付けた帯状コンパウンドと垂直方向に並ぶよう測定対象のナイロン繊維コードからなる簾を配置し、前記条件に基づいて降下、圧着、上昇させることで測定した。尚、この測定では、前述のサンプルホルダーに巻き付けた帯状コンパウンドと接触する簾の幅10mmに含まれるナイロン繊維コードのタック値を評価に用いた。上述の説明における「自着タック」とは、ナイロン繊維コードのタック値と同条件で測定されるコンパウンド自体のタック値である。即ち、前述の説明における「測定対象のナイロン繊維コードからなる簾」をサンプルホルダーに巻き付けたものと同じコンパウンドに置き換えて測定されるタック値である。
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、引き出し不良の有無、高速耐久性、高速操縦安定性、歩留まりを評価し、その結果を表1に併せて示した。
引き出し不良の有無
各試験タイヤを製造する際に、RFL液の含浸処理(ディップ処理)が施されたナイロン繊維コード(簾織物)を巻き取った後、再度ナイロン繊維コード(簾織物)を引き出す際の引き出し不良(密着)の有無を確認した。評価結果は、引き出し不良(密着)が生じた場合を「有」、引き出し不良(密着)が生じなかった場合を「無」と示した。
高速操縦安定性
各試験タイヤをリムサイズ15×7Jのホイールに組み付けて、試験車両に装着し、空気圧を230kPaに設定し、2名乗車相当の荷重を負荷し、速度120km/hの条件で、操縦安定性について舗装路からなるテストコースにてテストドライバーによる官能評価を行った。評価結果は、従来例1の測定値を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど高速操縦安定性が優れていることを意味する。
高速耐久性
各試験タイヤをリムサイズ15×7Jのホイールに組み付けて、ドラム表面が平滑な鋼製のドラム試験機(直径:1707mm)を用い、周辺温度38±3℃、試験内圧220kPa、走行速度120km/hの条件で、JATMA最大荷重の88%を負荷し、20分間走行させた後、20分毎に速度を10km/hずつ加速し、タイヤが破壊するまでの総走行距離を測定した。評価結果は、従来例1の測定値を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどタイヤが破壊するまでの総走行距離が大きく、高速耐久性に優れることを意味する。尚、この指数値が「97」以上であれば、従来レベルの十分な高速耐久性が得られたことを意味する。
歩留まり率
各試験タイヤをそれぞれ100本製造し、加硫故障の有無を目視で調べ、加硫故障が発生しなかったタイヤ数をカウントした。評価結果は、加硫故障が発生しなかったタイヤ数の各試験タイヤの製造数(100本)に対する割合(%)で示した。この値が大きい程、加硫故障が発生したタイヤ数が小さく、生産性が優れていることを意味する。尚、この値が95%以上であれば、十分な生産性が得られたことを意味する。
Figure 2022156283000002
表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、SIR20
・SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol1502
・CB:カーボンブラック、日鉄カーボン社製ニテロン#2001S
・アロマオイル:シェルルブリカンツジャパン社製エキストラクト4号S
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
・亜鉛華:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・加硫促進剤:大内新興化学工業社製ノクセラーCZ‐G
・硫黄:四国化成工業社製ミュークロンOT‐20(硫黄含有量:80質量%)
表1から判るように、実施例1~4のタイヤは、従来例1との対比において、高速操縦安定性および高速耐久性を良好に発揮しながら、引き出し不良を防止し、且つ、歩留まり率を改善した。一方、比較例1は、RFL液中のラテックス成分に含まれる天然ゴムラテックスの割合が多すぎるため、引き出し不良が発生し、歩留まり率が悪化し、高速耐久性が悪化した。比較例2は、RFL液中のラテックス成分に含まれる天然ゴムラテックスの割合が少なすぎるため、タイヤ中におけるナイロン繊維コードの接着性が十分に得られず、高速耐久性が悪化した。比較例3は、コートゴムにおける天然ゴムの配合量が少ないため、タイヤ中におけるナイロン繊維コードの接着性が十分に得られず、高速耐久性が悪化した。比較例4は、ナイロン繊維コードのタック値が大きすぎるため、引き出し不良が発生し、歩留まり率が悪化し、高速耐久性が悪化した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
CL タイヤ赤道

Claims (4)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間に装架された少なくとも1層のカーカス層と、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層と、前記ベルト層の外周側に配置されたベルト補強層とを有する空気入りタイヤにおいて、
    前記ベルト補強層は、接着剤による処理が施されたナイロン繊維コードをコートゴムで被覆して構成されており、
    前記コートゴムを構成するゴム組成物は、ゴム成分中に天然ゴムを20質量%以上含有し、
    前記接着剤に含まれるラテックス成分は、天然ゴムラテックスを0.5質量%~5.0質量%含有し、
    前記ナイロン繊維コードのタック値が3.0N以下であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ナイロン繊維コード1本あたりの正量繊度D〔単位:dtex/本〕と前記ベルト補強層における前記ナイロン繊維コードの延長方向と直交する方向50mm当たりの前記ナイロン繊維コードの打ち込み本数E〔単位:本/50mm〕との積A=D×Eが1.2×105dtex/50mm~1.8×105dtex/50mmであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ナイロン繊維コードのタック値が0.5N~3.0Nであることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間に装架された少なくとも1層のカーカス層と、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に配置された複数層のベルト層と、前記ベルト層の外周側に配置されたベルト補強層とを有する空気入りタイヤの製造方法において、
    接着剤による処理が施された前記ナイロン繊維コードにコートゴムを被覆して前記ベルト補強層を構成するにあたって、
    前記コートゴムを、ゴム成分中に天然ゴムを20質量%以上含有するゴム組成物で構成し、
    前記接着剤に含まれるラテックス成分は、天然ゴムラテックスを0.5質量%~5.0質量%含有し、
    前記ナイロン繊維コードのタック値を3.0N以下に設定することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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