JP5013631B2 - 重荷重用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、トラック・バスなどの比較的重い荷重の加わる車両に供する重荷重用空気入りラジアルタイヤ、とくに軽量で走行耐久性に優れた重荷重用空気入りラジアルタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
重荷重用空気入りラジアルタイヤは、乗用車用タイヤと比較すると、負荷荷重の大きい過酷な条件下での使用に耐える必要があるため、タイヤの骨格を形成するカーカスプライには、高強度のスチールコードを使用するのが通例である。
【0003】
ところで、近年では、環境保護および省エネルギーの観点から、自動車の低燃費化が進められ、それに伴いタイヤの軽量化が強く求められている。この要請に応えるために、最近では、重荷重用タイヤの分野においても、そのカーカスプライの補強材として、スチールコードを軽量な有機繊維コードに置き換える試みがなされている。
【0004】
例えば、特開昭63−57305号公報には、カーカスプライコードに比較的太径の芳香族ポリアミド繊維を用いた重荷重用空気入りラジアルタイヤが開示されている。ここでは、太径のプライコードを用いた場合、タイヤの走行時にカーカスへ繰り返し入力があると、該カーカスのプライコードの端部に応力が集中し易くなる結果、いわゆるプライ端セパレーションを誘発する不利があることから、プライコード端部での応力集中を緩和することを目的として、該カーカスプライを1対のビードコアの回りでタイヤの内側から外側に折り返 ビードフィラーに沿わせて配置し、その折り返し端を、スチールコードからなる第1補強層で覆い、さらに第1補強層を有機繊維からなる第2補強層で覆う、ビード構造が提案されている。
【0005】
このビード構造を採用したタイヤは、確かに、タイヤが完全に摩耗するまでの期間、カーカスのプライ端セパレーションによる故障を起こさずに走行することができる。
【0006】
しかし、近年では、省資源の観点から、磨耗したトレッド部分のみを新品に交換する、いわゆるリトレッドを1本のタイヤに対して1〜3回程度は施してタイヤを再利用することが、徐々に一般化する傾向にあり、そのために、カーカスのプライ端セパレーションをより一層抑制することが要請されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明の目的は、上記の芳香族ポリアミド繊維をカーカスプライに用いたタイヤで問題であった、カーカスのプライ端セパレーションをより一層抑制することによって走行耐久性を向上した、重荷重用空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記の問題を解決するための方途について、鋭意究明した。すなわち、従来のタイヤは、一般にカーカスプライの両端を一対のビードコアの回りで、それぞれタイヤの内側から外側に巻き返し、ビードコアの径方向外側に据えたビードフィラーに沿わせて配置しているが、カーカスプライの端末は、タイヤをリム組みした状態において、タイヤサイド部からリムフランジが離隔する位置に対して僅かに径方向内側に位置しているのが普通である。換言すると、カーカスプライの端末は、リムフランジによって固定される部分と撓み易いサイドウォール部との境界近傍に位置しているため、タイヤが回転するたびに、カーカスプライの端末に圧縮と引張りの入力が加わることになる。
【0009】
ここで、カーカスプライの端末における応力集中は、次式で表されるように、コード径が大きいほど大きくなるため、上述の公報に開示のビード部補強構造を採用したとしても、走行距離が長くなるに従ってカーカスプライの端末が徐々にタイヤ径方向内側に引抜け、各コードの先端に小さなセパレーションが発生し、このセパレーションがやがてタイヤ周方向に繋がり、タイヤ故障に至ることが判明した。
プライ端末での応力集中∝ tan(コード径/コード相互間距離)
【0010】
従って、タイヤの軽量化のためにカーカスに有機繊維コードを用いる場合、コード径がスチールコードより太径になるのは避けることができないから、リトレッドが許容される程度の長距離走行を当該タイヤで可能にするには、カーカスプライコードの端末を、伸長および圧縮が繰返される位置から外すことが、極めて有効な手段となり得るのである。この発明は、以上の知見に基づくものである。
【0011】
すなわち、この発明の要旨構成は、次のとおりである。なお、(1)(2)は本発明の参考例である。
(1)一対のビードコア間でラジアル方向に延びるゴム被覆コードによるプライからなり、各ビードコアの周りにそれぞれタイヤの内側から外側へ巻き返して伸びる上記プライの折り返し部を有するカーカスを骨格として、このカーカスのクラウン部の径方向外側に少なくとも1層のベルトを配置した重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、上記カーカスプライが芳香族ポリアミド繊維コードから成り、該カーカスプライの折り返し部をビードコアの径方向外側面に沿って、更に折り返され、該芳香族ポリアミド繊維コードが、原糸に下撚りを加えてから、該糸の2〜3本を引き揃えて、下撚りの方向とは逆向きに上撚りを加えた、双撚りコードであって、下記式によって定義される撚係数Ntが0.36〜0.52を満足し、上撚り数N1と下撚り数N2との比N1/N2が1.17〜1.70であり、該芳香族ポリアミド繊維コードの強力が930〜2000Nであることを特徴とする重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
記
【数4】
撚係数:Nt=N1×{0.1396×(0.9×D/2)/ρ}1/2×10−3
【外4】
N1:コードの上撚数(回/10cm)
D:コードの総dtex数
ρ:芳香族ポリアミド繊維の比重
【0012】
(2)一対のビードコア間でラジアル方向に延びるゴム被覆コードによるプライからなり、各ビードコアの周りにそれぞれタイヤの内側から外側へ巻き返して伸びる上記プライの折り返し部を有するカーカスを骨格として、このカーカスのクラウン部の径方向外側に少なくとも1層のベルトを配置した重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、上記カーカスプライが芳香族ポリアミド繊維コードから成り、該カーカスプライの折り返し部をその中間からビードコア側へ折り畳んでプライ端をビードコア近傍に配置され、該芳香族ポリアミド繊維コードが、原糸に下撚りを加えてから、該糸の2〜3本を引き揃えて、下撚りの方向とは逆向きに上撚りを加えた、双撚りコードであって、下記式によって定義される撚係数Ntが0.36〜0.52を満足し、上撚り数N 1 と下撚り数N 2 との比N 1 /N 2 が1.17〜1.70であり、該芳香族ポリアミド繊維コードの強力が930〜2000Nであることを特徴とする重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
記
【数5】
【外5】
【0013】
(3)一対のビードコア間でラジアル方向に延びるゴム被覆コードによるプライからなり、各ビードコアの周りにそれぞれタイヤの内側から外側へ巻き返して伸びる上記プライの折り返し部を有するカーカスを骨格として、このカーカスのクラウン部の径方向外側に少なくとも1層のベルトを配置した重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、上記カーカスプライが芳香族ポリアミド繊維コードから成り、該カーカスプライの折り返し部をその中間からビードコア側へ70°〜140°の角度で折り畳んでプライ端をビードコアの径方向外側面近傍に配置するとともに、この折り返し部とビードコアとの間に補強ゴムを配置され、該芳香族ポリアミド繊維コードが、原糸に下撚りを加えてから、該糸の2〜3本を引き揃えて、下撚りの方向とは逆向きに上撚りを加えた、双撚りコードであって、下記式によって定義される撚係数Ntが0.36〜0.52を満足し、上撚り数N1と下撚り数N2との比N1/N2が1.17〜1.70であり、該芳香族ポリアミド繊維コードの強力が930〜2000Nであることを特徴とする重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
記
【数6】
撚係数:Nt=N1×{0.1396×(0.9×D/2)/ρ}1/2×10−3
【外6】
N1:コードの上撚数(回/10cm)
D:コードの総dtex数
ρ:芳香族ポリアミド繊維の比重
【0017】
(4)上記(1)ないし(3)のいずれかにおいて、扁平比が70%以下であることを特徴とする重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
【0018】
(5)上記(1)ないし(4)のいずれかにおいて、ビードコアに巻回したカーカスプライの外側にワイヤーチェーファーを配置したことを特徴とする重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1に、この発明の重荷重用空気入りタイヤの典型例を示す。図において、1は一対のビードコアであり、これらビードコア1間でトロイド状に跨がるカーカス2を骨格とし、このカーカス2のクラウン部の径方向外側に、複数層のベルト3およびトレッド4を配置して成る。なお、トレッド4には、タイヤの赤道面Oに沿って延びる複数本の周溝5、さらに必要に応じて、これら周溝5を横切る向きに延びる横溝を適宜配置してある。
【0020】
カーカス2は、タイヤの赤道面Oに対して、実質上直交する向きに延びる芳香族ポリアミド繊維コードの多数本をゴムで被覆したカーカスプライの1枚から成り、該カーカスプライをビードコア1のまわりでタイヤの内側から外側に巻き回して折り返した、折り返し部20を有する。なお、符号6は、ビードコア1のまわりに巻回したカーカスプライの外側に配置した、化学繊維コードまたはスチールコードからなるワイヤーチェーファーである。
【0021】
ここで、この折返し部20の端末20aを、伸長および圧縮が繰返される位置から外すことが肝要である。
すなわち、図1および図2に示すように、カーカス2の折返し部20をビードコア1の径方向外側面に沿って、さらに折返すことによって、その端末20aをタイヤ内側面に沿って延びるカーカス本体21とビードコア1との間に配置する。なお、図2(a)と同(b)との区別は、ワイヤーチェーファー6の設置域が異なる点にあり、図2(a)の例ではワイヤーチェーファー6をビードコア1のまわりでタイヤの外側域から内側域に配置し、一方図2(b)の例ではワイヤーチェーファー6をタイヤの外側域からビードコア付近までに配置した例である。
【0022】
この折返し部20の構造によって、カーカスプライの端末20aは、折返し部20を除くカーカス本体21の隣接域に配置される。そして、カーカスのカーカス本体21側では、主にタイヤ走行時の伸張側の入力が加わり圧縮側の入力が僅かであるから、この領域において端末20aを起点としたセパレーションは、未然に防止されるのである。
【0023】
ちなみに、ビードコア1の径方向外側には、高硬度ゴムによるスティフナー7を配置するのが通例であり、この発明のタイヤにおいても同様に設置するとよい。
【0024】
また、図3に示すように、カーカスプライの折返し部20を、その中間からビードコア1側へ折り畳み、プライの端末20aをビードコア1の近傍に配置すること、あるいは図4に示すように、カーカスプライの折返し部20を、その中間からビードコア1側へ折り曲げ、プライの端末20aをビードコア1の径方向外側近傍に配置すること、によっても、端末20aを起点としたセパレーションを未然に防止することが可能である。なお、図3(a)と同(b)および図4(a)と同(b)との区別は、図2の場合と同様である。
【0025】
すなわち、図3に示すビード部の構造は、カーカスプライの折返し部20を、その中間からビードコア1側へほぼ180 °折り曲げて、プライの端末20aをビードコア1の近傍、具体的には折返し部20の基部とビードコア1との間に挟まれた領域に配置したものである。このプライの端末20aが配置された領域は、いわゆる応力の中立域に相当するから、端末20aを起点としたセパレーションは未然に防止されるのである。
【0026】
次に、図4に示すビード部の構造は、カーカスプライの折返し部20を、その中間からビードコア1側へ好ましくは70〜140 °程度で折り曲げ、さらに好ましくは、この折返し部20とビードコア1との間に断面がほぼ三角形状の補強ゴム8を配設して、プライの端末20aをビードコア1の径方向外側近傍に配置したものである。従って、上記の図1または図2に示したビード構造と同様に、タイヤ走行時の伸張側の入力が加わり圧縮側の入力が僅かである領域に、プライの端末20aが配置されるから、端末20aを起点としたセパレーションは未然に防止される。ここで、折返し部20の折り曲げ角度を70〜140 °程度としたのは、折り返し部を起点としたセパレーションを未然に防ぎ、かつカーカスプライの耐引き抜け性を向上させるのに有利であるからである。
【0027】
ちなみに、図3および4に示したカーカスの折返し部構造は、該折返し部をさらに折り曲げているから、カーカスプライのビードコアからの引き抜けにたいする耐性、いわゆる耐引き抜け性が良好になる効果も有する。
【0028】
以上のように、この発明に従うタイヤでは、カーカスのプライ端を圧縮入力の影響から離隔することができるが、カーカスの折返し部に働く圧縮入力自体を抑制するために、タイヤの扁平比を70%以下に制限することが好ましい。
【0029】
上述の通り、この発明においては、タイヤの軽量化を目的としているため使用するカーカスプライの枚数は1枚である。そして、該カーカスプライに用いる芳香族ポリアミド繊維のコードとしては、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドおよびポリ−m−フェニレンイソフタルアミドを挙げることができる。ちなみに、前者はデュポン社が商品名ケブラーでおよびアクゾーノーベル社が商品名トワロンで販売しており、後者は帝人社が商品名テクノーラで販売している。
【0030】
また、芳香族ポリアミド繊維コードの繊度は、タイヤに求められるカーカス強度および繊維の強度によって決定すればよい。その際、コードの繊度は、コードの製造に用いた原糸の繊度の算術和で定義するものとし、撚糸による繊度の増加は考慮しないものとする。ちなみに、原糸強度は22g/dtexであり、このような強度の大きい繊維を用いると、PETやPENのように芳香族ポリアミド繊維より強度の小さい繊維を用いる場合に比べて、コードサイズを小さめに設計することができる。
【0031】
次に、芳香族ポリアミド繊維コードの製造は、まず原糸に撚りを加え(これを下撚と言う)、次いでこの下撚り糸の2〜5本、好ましくは2〜3本を合わせてから下撚の方向とは逆向きに撚糸(これを上撚と言う)することによって得ることができる。上撚の数は次式によって定義される撚係数Ntが0.250〜0.600となるように、繊度に応じて決める。上撚りの撚係数が0.250未満ではコードの耐疲労性が低下し、一方0.600をこえるとコード強力が低下する。また、下撚の数は通常上撚数と同一にするが、上撚数の60%〜120%の範囲で変えることができる。
【数7】
【外7】
【0032】
とりわけ、芳香族ポリアミド繊維コードの撚係数Ntは0.36〜0.52、より好ましくは0.43〜0.47のものが有利に適合する。すなわち、撚係数Ntが0.36未満では、カーカスコードに必要な耐疲労性が確保できない。一方、撚係数Ntが0.52をこえると、コード強力が低下するために、カーカスにおける芳香族ポリアミド繊維コードの使用量を削減することが難しくなる上、コード径が大きくなるためにカーカスプライの厚みが増加し、ゴム使用量ひいてはタイヤ重量の増加をまねき、ビード部の耐久性を低下することになる。
【0033】
さらに、上撚り数N1 と下撚り数N2 との比N1 /N2 が1.17〜1.70、より好ましくは1.30〜1.55であることが、有利である。なぜなら、上記撚係数Ntが0.36〜0.52の範囲にあっても、比N1 /N2 が上記範囲外であると、カーカスプライコードの耐久性は確保できるが、コード強力の低下をまねくため、タイヤとしてのケース強度を確保するには、カーカスプライにおけるコードの打ち込み数を増加する必要があり、その結果、カーカスプライ側端において露出するコード本数が増加し、ここを起点とするセパレーションの回避は難しくなるからである。
【0034】
また、カーカスに適用する芳香族ポリアミド繊維コードには、780〜2000Nより好ましくは930〜1765Nの強力の範囲のものを使用することが有利である。すなわち、780N未満ではカーカスの強度が不足し、一方2000Nをこえると、コード径の増大を招いて、カーカスプライ端部を起点とするセパレーションの発生を効率良く抑制することが難しくなる。
【0035】
以上の芳香族ポリアミド繊維コードによる、すだれ状の織物にゴムを被覆してカーカスプライが得られるが、このコードとゴムとの接着方法は、次のような公知の方法を採用することができる。
すなわち、芳香族ポリアミド繊維コードをエポキシ化合物あるいはブロックドイソシアネート化合物を含む第1液で処理した後、レゾルシンとホルマリンと各種ラテックスと苛性ソーダおよび/またはアンモニア水とを含む第2液(以下、RFL液と示す)で処理する二浴型の接着方法、あるいはトリアリルシアヌレート、レゾルシン、ホルマリンおよびアンモニア水から生成する液とRFL液との混合液で処理する一浴型の接着方法、p−クロロフェノールおよびホルマリンから生成する2,6−ビス(2′,4′−ジヒドロキシフェニルメチル)−4−クロルフェノールを主成分とする反応生成物、レゾルシン、ホルマリンおよびアンモニア水からなる液を、RFL液に混合した液で処理する一浴型の接着方法、あるいは特開昭60−72972号公報で開示されている、多価フェノールポリサルファイド、レゾルシンならびにホルマリンの縮合物をアルカリ下で熟成した液と、RFL液とを混合した液で処理する一浴型の接着方法などがある。
【0036】
上記の構造のカーカス2のクラウン部の径方向外側に配置する、ベルト3は、タイヤの赤道面Oに対して傾斜して延びかつ隣接相互で平行に配列した多数本のスチールコードまたはテキスタイルコードをゴムで被覆した、プライの複数枚を、その積層プライ間でコードが互いに交差する配置で重ね合わせた構造、またはタイヤの赤道面Oに沿って延びる多数本のスチールコードまたはテキスタイルコードをゴムで被覆した、プライの複数枚を重ね合わせた構造、のいずれかの構造あるいは両者の組み合わせ構造から成る。
【0037】
【実施例】
以下に、実施例に従って、この発明をさらに具体的に説明するが、この発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
参考例1〜4および発明例5、6
繊度が3330dtexの芳香族ポリアミド繊維原糸にZ方向の下撚りを15回/10cmで与えた、下撚り糸を、3本合わせてからS方向に21回/10cmの上撚りを施すことによって、3330dtex/3の芳香族ポリアミド繊維コードを作製した。この芳香族ポリアミド繊維コードを用いてカーカスプライに供する、すだれ状織物を形成し、次いで織物を接着力付与のためにエポキシ化合物を含む第一液で熱処理した後、RFL液に浸漬し再び熱処理した。かくして得られた接着処理済の織物に、カレンダーロールを用いて両面からゴムをコーティングした。このゴム被覆織物をカーカスプライに用いて、図2〜4に示したタイヤ構造に従う、サイズ:285/60R22.5のトラック・バス用ラジアルタイヤを製造した。すなわち、該カーカスプライを一対のビードコア1の間にタイヤ赤道面に対しほぼ90°の角度でトロイダル状に配列し、さらにそれぞれのビードコア1の回りに内側から外側に巻き返し、引続き該カーカスプライをビードコア1側へ種々の形態で折り曲げて、図2〜4に示した折返し部構造を持つ、ラジアルタイヤを作製した。
【0038】
比較例1および2また、比較のために、従来の方法に従って、参考例1〜4および発明例5、6と同様のカーカスプライを用いて、同サイズのトラック・バス用ラジアルタイヤを作製した。すなわち、上記カーカスプライを一対のビードコアの間にタイヤ赤道面に対しほぼ90度の角度でトロイダル状に配列し、さらにそれぞれのビードコアの回りにタイヤ内側から外側に巻き返すところまでは参考例1〜4および発明例5、6と同じにし、該カーカスプライをビードコア上のビードフィラーのタイヤ幅方向外側に沿って巻き上げた。
【0039】
なお、ビード部を補強する目的で、3枚の1400dtex/2のナイロン補強層(カーカスプライコードに対するナイロンコードの傾斜角度:52°)を層間でコードが互いに交錯する配置で積層した、ワイヤーチェーファー6を設置した。
【0040】
かくして得られたタイヤは、まずビード部の耐久性について評価を行った。すなわち、各タイヤを9.00×22.5のリムに組み込んで最高空気圧に調整したのち、タイヤを、JATMAに規定の最大負荷能力の200%に対応する負荷荷重および速度:60km/hの条件下でドラム上で回転させ、カーカスプライ端またはワイヤチェーファー端にセパレーションが発生して振動が大きくなり試験の中断を余儀なくされるまでのドラム走行距離を測定した。かくして得られた距離を、比較例1の走行距離を100とした時の指数として、表1に示す。この値が大きいほど、ビード部の耐久性に優れていることを表す。
【0041】
さらに、上記の各供試タイヤにおける重量およびビード部発熱温度を測定するとともに、カーカスコードのビードコアからの引き抜けに対する耐性(耐プライコード引き抜け性)についても評価した。その結果を表1に示す。
【0042】
なお、タイヤ重量は、比較例1のタイヤ重量を100としたときの指数にて表示し、その指数が小さいほど軽量であることを示す。
【0043】
耐プライコード引き抜け性は、上記と同様にリム組したタイヤに対して、水圧による耐久性試験を行ったのち、タイヤを解剖してビードコアへの巻き付きにずれのあるプライコードについて検査した。そして、引き抜けがない場合は◎、プライの一部コードにずれがある場合は〇および引き抜けがあった場合は×として評価した。
【0044】
ビード部発熱温度は、上記と同様のドラム試験を2時間行って、その直後のカーカスプライ端付近における温度を、予め埋め込んだ熱電対にて測定し、比較例1の測定値を100としたときの指数にて表示した。この指数が小さいほど、温度が低いことを示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】
この発明によれば、カーカスプライコードに芳香族ポリアミド繊維コードを用いた1層のカーカスプライを有する重荷重用ラジアルタイヤにおいて、カーカスプライの端末の位置を応力が集中する領域から外すことにより、従来タイヤに比較して耐プライ端セパレーション性が大幅に改善されたタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のタイヤの幅方向断面を示す図である。
【図2】 ビード部の折返し部の構造を示す図である。
【図3】 ビード部の折返し部の構造を示す図である。
【図4】 ビード部の折返し部の構造を示す図である。
【符号の説明】
1 ビードコア
2 カーカス
3 ベルト
4 トレッド
5 周溝
6 ワイヤーチェーファー
7 スティフナー
8 補強ゴム
20 折返し部
20a 端末
21 カーカス本体
Claims (3)
- 一対のビードコア間でラジアル方向に延びるゴム被覆コードによるプライからなり、各ビードコアの周りにそれぞれタイヤの内側から外側へ巻き返して伸びる上記プライの折り返し部を有するカーカスを骨格として、このカーカスのクラウン部の径方向外側に少なくとも1層のベルトを配置した重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、
上記カーカスプライが芳香族ポリアミド繊維コードから成り、
該カーカスプライの折り返し部をその中間からビードコア側へ70°〜140°の角度で折り畳んでプライ端をビードコアの径方向外側面近傍に配置するとともに、この折り返し部とビードコアとの間に補強ゴムを配置され、
該芳香族ポリアミド繊維コードが、原糸に下撚りを加えてから、該糸の2〜3本を引き揃えて、下撚りの方向とは逆向きに上撚りを加えた、双撚りコードであって、
下記式によって定義される撚係数Ntが0.36〜0.52を満足し、
上撚り数N1と下撚り数N2との比N1/N2が1.17〜1.70であり、
該芳香族ポリアミド繊維コードの強力が930〜2000Nであることを特徴とする重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
記
【数3】
撚係数:Nt=N1×{0.1396×(0.9×D/2)/ρ}1/2×10−3
【外3】
N1:コードの上撚数(回/10cm)
D:コードの総dtex数
ρ:芳香族ポリアミド繊維の比重 - 請求項1において、扁平比が70%以下であることを特徴とする重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
- 請求項1または2において、ビードコアに巻回したカーカスプライの外側にワイヤーチェーファーを配置したことを特徴とする重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
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