JP2022155649A - 室圧制御装置とその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】風量の制御範囲が広く微小風量から大風量まで正確な制御が可能であり、コストも安価な室内気圧制御装置とその制御方法を提供する。【解決手段】換気対象室14に接続された排気を行う排気風路18と、排気風路18の途中に設けられた圧力制御ダンパ20を有する。換気対象室14の室内に設けられた室圧センサ22と外気圧センサ23との差圧信号に基づいて、圧力制御ダンパ20の開度を制御する圧力制御ダンパ制御部28を備える。圧力制御ダンパ20と並列に接続されたバイパス通路24と、バイパス風路24に設けられたモータダンパ26を備える。モータダンパ26の開度を制御するモータダンパ制御部30,32は、圧力制御ダンパ20の開度に基づいて開度を制御する。圧力制御ダンパ20の開度が20~70%の間では、圧力制御ダンパ20とモータダンパ26の風量比は、1:1に設定し、圧力制御ダンパ20の開度が85%以上では、モータダンパ26の開度を一定に維持する。【選択図】図1

Description

この発明は、室内空気圧の制御を行うクリーンルーム等の各種換気対象室に設ける室圧制御装置とその制御方法に関する。
従来、工業用クリーンルームやバイオクリーンルーム等の室圧制御を要する換気対象室として、空調機の給気ファンから供給される給気を搬送する給気風路には、内蔵する風量センサによる検出風量を指示された風量に維持するように自動操作する定風量装置(CAV)が設置されて定風量が換気対象室へ供給され、また、排気ファンに接続された排気風路として強制換気風路が設けられ、強制換気風路には、給排気量収支を調整するためのダンパ(PCD:プレッシャコントロールダンパ)が設けられている。換気対象室には室圧センサ(微差圧センサ)が設けられ、室圧センサによる室圧検出(基準点と室内圧との差圧値の検出)に基づいて、検出室圧を設定値に維持するようにダンパ(PCD)の開度を制御する。
しかし、換気対象室に複数の局所排気装置などが設置され、換気対象室内の工程進捗によって局所排気量が大きく変化する場合には、ダンパ(PCD)を通過させる通風量は、局所排気量が小さくなる場合には通風量が大きくなり、局所排気量が大きくなると通風量が小さくなる。ダンパ(PCD)は、大きく変化する通風量によらず、室圧をダンパ羽根による動作にて制御する必要がある。ところが、ダンパ(PCD)には、開度変更に対して通風量が非比例的に変化する特性がある。換気対象室に局所排気の風量変化により強制換気風路の大きな風量変動が生じると、ダンパ(PCD)の開度が大きく変更されることとなるが、それに伴い、ダンパ(PCD)の、給排気量収支の調整特性(ダンパ開度変更に対する通風量の変化率)が大きく変化する。ダンパ(PCD)の、給排気量収支の調整特性(ダンパ開度変更に対する通風量の変化率)が大きく変化すると、ダンパの羽根とダンパケーシングとの隙間が変化し、微小羽根開度では隙間のわずかな変化で通風抵抗が大きく変化して風量が大きく変化することとなり、最大羽根開度では羽根が少し変化しても通風抵抗がほとんど変化せず、風量がほとんど変化しないこととなる。このため、微小羽根開度や最大羽根開度近傍でのハンチングや応答性低下の要因となり、微小羽根開度や最大羽根開度近傍に対する制御が不安定となる。
一方、ダンパ(PCD)にはこのようなことが発生しない応答特性の良好な開度領域が存在する。例えば、圧力制御ダンパ(PCD)1台で圧力制御しながら風量制御も行うと、局所排気装置による風量変化により、応答特性の良好な開度領域の範囲を逸脱してしまうことがある。なお、このような用途で使用される圧力制御ダンパであるダンパ(PCD)は、単に手動で風量調整するボリュームダンパ(VD)にモータを付けたモータダンパ(MD)などと異なり、微差圧への高速追従性などの性能獲得のため非常に高価であり、大小のダンパ(PCD)をそれぞれの圧力センサでの動作計装系を保有すると、大幅にコストが掛かってしまう。
この問題を解決するため、ダンパの開度をあまり大きく変化しない範囲に維持するように室圧の基本的調整を行うことが考えられる。例えば、特許文献1に開示されている空調装置は、検出室圧に基づいて開度制御される第1バルブを介装した給気をするための分岐導風管に並べて、2本目の導風管に、給気通風量を調整する第2バルブを第1バルブに並列接続させて介装し、室圧センサによる検出室圧に基づいて、第1バルブを閉じたらそのあとに第2バルブを閉じるというシリーズ(直列動作)動作をする装置を有する室圧制御システムである。
特公平06-092835号公報
上記特許文献1の室圧制御システムは、制御特性が異なる2つのダンパを、各々の給気通路に並列に2か所に設けているだけであるので、通風量の微調整や、大風量時の調整が適切ではないものである。
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、風量の制御範囲が広く微小風量から大風量まで正確な制御が可能であり、コストも安価な室圧制御装置とその制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、換気対象室に対して一定の吸排気を行う室圧制御装置であって、前記換気対象室に対して給気を行う給気風路に備わる定風量ユニットと、前記換気対象室に接続された排気を行う排気風路とを備え、前記排気風路の途中に設けられ、給排気量収支を調整するための圧力制御ダンパ(PCD)と、前記換気対象室の室内に設けられた室圧センサと、室外に設けられた外気圧センサと、前記室圧センサと前記外気圧センサとの差圧信号に基づいて、検出室圧を設定値に維持するように前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度を制御する圧力制御ダンパ制御部とを備え、前記排気風路の前記圧力制御ダンパ(PCD)と並列に前記排気風路に接続されたバイパス通路と、前記バイパス通路に設けられたモータダンパと、前記モータダンパの開度を制御するモータダンパ制御部とを備え、前記モータダンパ制御部は、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度に基づいて、前記モータダンパの開度を制御するにあたり、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度と前記モータダンパの開度との間にレシオ・バイアス設定を行い、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度が応答特性の良好な開度領域である所定の開度の間では、前記圧力制御ダンパ(PCD)と前記モータダンパの風量比が概ね1:1になるように、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度と前記モータダンパの開度との間に比率(レシオ)設定し比例制御としてダンパ開度を制御し、前記モータダンパ制御部は、前記圧力制御ダンパ(PCD)の応答特性の良好な開度領域を超える開度割合以上では、前記モータダンパの開度を一定に維持(バイアス設定)し、前記圧力制御ダンパの(PCD)開度が応答特性の良好な開度領域を下回る開度以下では、前記モータダンパを閉じた状態に維持(バイアス設定)する室圧制御装置である。
前記室圧制御装置において、前記圧力制御ダンパ(PCD)の応答特性の良好な開度領域である所定の開度割合は、20~70%である。
さらに、前記モータダンパ制御部は、前記圧力制御ダンパ(PCD)制御部からの開度信号を基に、予め比率(レシオ)設定し比例制御する開度割合の間で、ダンパ開度%とその時の風量割合%とのダンパ流量特性として前記圧力制御ダンパ(PCD)流量特性と前記モータダンパの流量特性との中間をとって比例特性化するリニアライズ演算を行って、当該演算結果である平均化した合成流量特性により、前記圧力制御ダンパ(PCD)と前記モータダンパの風量比が概ね1:1になるように、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度と前記モータダンパの開度との間に比率(レシオ)設定し比例制御するものである。
また本発明は、換気対象室に対して一定の吸排気を行う室圧制御装置の制御方法であって、前記換気対象室に対して給気を行う給気風路に備わる定風量ユニットと、前記換気対象室に接続された排気を行う排気風路とを備え、前記換気対象室の排気風路の途中に、排気量収支を調整する圧力制御ダンパ(PCD)を設け、前記換気対象室の室内に設けられた室圧センサと、室外に設けられた外気圧センサの差圧信号に基づいて、検出室圧を設定値に維持するように前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度を制御するとともに、前記排気風路の前記圧力制御ダンパ(PCD)と並列に前記排気風路に接続されたバイパス通路を設け、前記バイパス通路に設けられたモータダンパの開度を、前記圧力制御ダンパの開度に基づいて制御するにあたり、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度と前記モータダンパの開度との間にレシオ・バイアス設定を行い、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度が応答特性の良好な開度領域である所定の開度割合の間では、前記圧力制御ダンパ(PCD)と前記モータダンパの風量比が概ね1:1になるように、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度と前記モータダンパの開度との間に比率(レシオ)設定し比例制御としてダンパ開度を制御し、前記圧力制御ダンパ(PCD)の応答特性の良好な開度領域を超える開度以上では、前記モータダンパの開度を一定に維持し、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度が応答特性の良好な開度領域を下回る開度以下では、前記モータダンパを閉じた状態に維持(バイアス設定)する室圧制御装置の制御方法である。
本発明の室圧制御装置とその制御方法によれば、正確な室圧制御が可能であり、一台の圧力制御ダンパの適正な可変制御範囲を超えて室圧制御する場合でも、圧力制御ダンパに並列に設けられたモータダンパを、圧力制御ダンパの開度により制御することで、室内圧及び通風量の制御を良好に保つことができる。特に、非常に安価なモータダンパを用いて制御を行い、高価な圧力制御ダンパを、大風量用と小風量用の2台用いることなく、1台の圧力制御ダンパで広範囲に風量を効率よく調整することができ、装置全体としてのコストも安価にすることができる。
この発明の一実施形態の室圧制御装置の概略図である。 この実施形態の室圧制御装置の処理の流れを示す概念図である。
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1はこの発明の一実施形態の室圧制御装置10を示すものである。室圧制御装置10は、非定常で室内からの排気量が可変制御される換気対象室14に設けられ、給気風路13に備わる定風量ユニット(CAV)12により換気対象室14に対して、外気(OA)を温度調節した空調機(AHU)11から一定量の給気(SA)を行なうとともに、室内からの排気量を可変制御するものである。
換気対象室14には、排気ファン(EF)16により排気(EA)される排気風路18が接続されている。排気風路18の途中には、換気対象室14と排気ファン16の間に、給排気量収支を調整するための圧力制御ダンパ(PCD)20が設けられている。換気対象室14の室内には室圧センサ22が設けられ、室外には外気圧センサ23が設けられている。そして、室圧センサ22と外気圧センサ23との差圧信号に基づいて、検出室圧を設定値に維持するように圧力制御ダンパ20の開度が制御される。圧力制御ダンパ20単体の動作特性では、開度変更に対して通風量が非比例的に変化する特性があり、小開度域では圧力制御ダンパ最小動作あたりの可変風量値は大きく、大開度域では可変風量値は小さい。一般的に圧力制御ダンパ20の制御性が良い開度領域は、20%~70%である。
排気風路18には、圧力制御ダンパ20に並列に、バイパス風路24が設けられ、バイパス風路24にモータダンパ(MD)26が設置されている。モータダンパ26は圧力制御ダンパ20の開度に基づいて制御される。圧力制御ダンパ20の開度は、応答特性の良好な開度領域である所定の開度(上記20%~70%)の間では、圧力制御ダンパ20とモータダンパ26の風量比が概ね1:1になるように、圧力制御ダンパ20の開度とモータダンパ26の開度との間に比率(レシオ)設定し比例制御する。モータダンパ26の動作特性は、大開度域では可変風量値が大きく、相対的に少ない開度変化で大きく風量が変わる。
換気対象室14には、給気量を決定して一定量送風するための定風量ユニット(CAV)12を介して送られる給気(SA)(例えば15400m/h)のうち、空調機(AHU)11の温度制御性をよくするためなどで、排気の一部を還気(RA)として空調機(AHU)11に戻すための還気風路36が設けられている。還気風路36は、定風量ユニット(CAV)34を途中に設置して、一定風量の還気(RA)を定風量ユニット12の上流側へ戻す。また、風量が可変する局所排気風路38が複数系統設けられている。
さらに、室圧センサ22と外気圧センサ23との差圧信号に基づいて、検出室圧を設定値に維持するように圧力制御ダンパ20の開度を制御する圧力制御ダンパ制御部であるPCD制御部28が設けられている。PCD制御部28は、圧力制御ダンパ20の制御オプションとして、ダンパ開度割合を例えば4~20mAの電流値に割り当てた、圧力制御ダンパ20と同じ開度としてのアナログ信号を外部へ出力する。
また、この実施形態の室内気圧制御装置10は、入力信号の移動平均演算及びモータダンパ用レシオ・バイアス設定を行うモータダンパ制御部である調節器30が設けられている。さらに、モータダンパ26の風量特性補正用、もしくは圧力制御ダンパ20側の風量特性協調用、及びリニアライズ演算を行うモータダンパ制御部としての演算器32が設けられている。これにより、圧力制御ダンパ20の開度信号を、調節器30と演算器32で、入力値の移動平均演算処理、出力信号のレシオ・バイアス設定、リニアライズ演算処理を行い、モータダンパ26への制御信号としている。
次に、圧力制御ダンパ20の本体制御にアドオンするモータダンパ26の制御について、図2に基づいて説明する。先ず、換気対象室14の室内に設けられた室圧センサ22と、室外に設けられた外気圧センサ23からの各圧力信号が入力したPCD制御部28は、各圧力信号による差圧及び圧力制御ダンパ20の開度信号s1を、差圧との偏差に応じてパルス状のデジタル信号にして圧力制御ダンパ20へ出力する。
PCD制御部28は、オプションとして同じ開度信号を、4~20mAのアナログ信号s2として、モータダンパ26の制御の演算を行う調節器30へ出力する。但し、元の圧力制御ダンパ20への出力がパルス所のデジタル信号を4~20mAのアナログ信号s2としているだけなので、出力された信号s2はステップ状の信号であり、調節器30により、平均化処理、例えば移動平均演算処理を行うことで、連続した傾きを変化させる連続した曲線に変換することができる。移動平均演算処理のサンプリング周期Hは1秒、サンプリング数Nは30であり、PCD制御部28からオプションで出力された階段状のアナログ開度信号s2(4~20mA)を連続した線として出力する。ここでは、1秒に30パルスで出てくるパルス状出力を、平均化して連続した直線にする処理を行っている。
さらに、調節器30では、モータダンパ26用のレシオ・バイアス設定を行う。図2のレシオ・バイアス設定図では、横軸は、PCD制御部28からの出力信号s2(アナログ開度信号s2が4~20mA)を0~100%に割り当て、縦軸は、モータダンパ26の開度である。モータダンパ26の制御は、小風量時である横軸の0~20%(アナログ開度信号s2が0~7.2mA)の間では、縦軸が0%とする。つまり、小風量時には、圧力制御ダンパ20のみで風量を制御する。そして風量が20%(7.2mA)から大風量(例えば70%)に至るまでは、圧力制御ダンパ20の開度に応じて、圧力制御ダンパ20とモータダンパ26の風量比率を概ね1:1(好ましくは50:50)を目標として比例動作を行う。モータダンパ26は、開度100%に近くなると、大きな開度変化であまり風量が変わらなくなるので、モータダンパ26制御は、大風量時である横軸70%~100%(アナログ開度信号s2が16.8~20mA)の間では、一定とする。例えば70%(最大でも85%)開度のままでそれ以上開かない。
即ち、モータダンパ制御部である調節器30は、圧力制御ダンパ20の開度に基づいて、モータダンパ26の開度を制御するにあたり、圧力制御ダンパ20の開度とモータダンパ26の開度との間でレシオ・バイアス設定を行い、圧力制御ダンパ20の開度が応答特性の良好な開度領域である上記の所定の開度の間では、圧力制御ダンパ20とモータダンパ26の風量比が概ね1:1になるように、圧力制御ダンパ20の開度とモータダンパ26の開度との間に比率(レシオ)設定し、比例制御としてダンパ開度を制御する。さらに、圧力制御ダンパ20の応答特性の良好な開度領域を超える開度割合以上では、モータダンパ26の開度を一定に維持(バイアス設定)し、調節器30は、圧力制御ダンパ20の開度が応答特性の良好な開度領域を下回る開度以下でも、モータダンパ26を閉じた状態に維持(バイアス設定)する。
調節器30から演算器32へは、上記の移動平均演算処理とレシオ・バイアス設定が行われた信号s3を出力する。出力された信号s3は、演算器32により、実際の圧力制御ダンパ20の流量特性と、モータダンパ26の流量特性のリニアライズ演算を行う。演算器32は、PCD制御部28からの開度信号を基に、予め比率(レシオ)設定し比例制御する開度割合の間で、ダンパ開度%とその時の風量割合%とのダンパ流量特性として圧力制御ダンパ20の流量特性とモータダンパ26の流量特性との中間をとって比例特性化するリニアライズ演算を行う。ここでは、実際の圧力制御ダンパ20の流量特性と、モータダンパ26の流量特性を各々リニアライズ演算処理部に入力し、平均化した直線に基づいて、モータダンパ26へ入力信号s4として出力する。
以上の信号処理により、圧力制御ダンパ20とモータダンパ26の合計風量値のリニアライズを可能とし、圧力制御ダンパ20の風量制御特性に相対するモータダンパ26の制御信号により風量の比例制御を行うことができる。
これにより、圧力制御ダンパ20の大開度側において、モータダンパ26の開度を、それ以上開かないようにし、並列に流す風量をできるだけ変動が無いようにして、圧力制御ダンパ20の最小動作あたりの可変風量を大きくし、制御性向上を図ることができる。さらに、システムとして圧力制御ダンパ20とモータダンパ26により、大風量時の圧力制御ダンパ20の開度を70%開度以下に収めることが可能となる。即ち、モータダンパ26が圧力制御ダンパ20と、風量の流量特性が異なっても、モータダンパ26が大風量(例えば9530m/h)が必要な時にも相当な風量を流しているので、圧力制御ダンパ20の好ましい開度である80%、より好ましく70%開度以内になっていて、良好な制御開度とすることができる。一方、小風量時では、モータダンパ26を使用せず開度をゼロとし、圧力制御ダンパ20のみに通風することとし、正確な制御を行うことができる。
圧力制御ダンパ20の小開度域での運用を極力回避可能であり、圧力制御ダンパ20の大開度域での運用も回避することができる。そして、圧力制御ダンパ20とモータダンパ26の合計風量値を比例特性化し、室内気圧の比例制御を容易に可能にする。また、この実施形態の室内気圧制御装置10は、スタンドアロンPCDに対してもアドオンが容易に可能である。その他、制御盤内収納スペースが増加し、制御盤収納機器を増やすことができ、ダンパ最小動作あたりの可変風量は大きく、ダンパ最小制御風量が大きい。
ここで、室内気圧制御装置10の風量の一例について説明する。換気対象室14の入口に、定風量ユニット12から一定風量、例えば15400m/hが給気されるとすると、換気対象室14から局所排気風路38には、図示しない局所排気装置により、工程に応じて、例えば1720~9070m/hの範囲で変化して局所排気が行われる。還気風路36には、定風量ユニット34により、例えば4150m/hが一定風量で吸引され還気が行われる。排気風路18には、例えば2180~9530m/hの範囲で変化して排気が行われ、圧力制御ダンパ20が1台しかない場合には、変化した排気風量のなかで、それぞれの排気量における室圧制御として圧力制御ダンパ20を流れる風量により換気対象室14の排気を微調整して、室圧を一定に維持することとなる。
一方、排気ファン16の送風能力は一定であるが、本実施形態では、排気風路18に設けられた圧力制御ダンパ20とモータダンパ26により風量が調節される。この風量2180~9530m/hは、圧力制御ダンパ20の制御性補償範囲を超えるものであるが、モータダンパ26にも並行で可変割合の排気風量の一部を受け持たせ、圧力制御ダンパ20とモータダンパ26両方で2180~9530m/hを流すものである。
この実施形態の室内気圧制御装置10とその制御方法によれば、圧力制御ダンパ20を1台として、並列には安価なモータダンパ26にも通風し、主に圧力制御ダンパ20で圧力制御して、換気対象室14の局所排気による風量変化が大きく発生しても、応答特性の良好な範囲を保持することができる。圧力制御ダンパ20と、並列したモータダンパ26の合計風量の比例特性化を達成し、小風量~大風量をカバーし、環境品質逸脱リスクを排除することができる。さらに、一台の圧力制御ダンパ20の適正な可変制御範囲を超えて室圧制御する場合に、圧力制御ダンパ20に並列にモータダンパ26を設け、圧力制御ダンパ20の開度によりモータダンパ26を制御することで、圧力制御ダンパ20制御を良好に保つことができる。圧力制御ダンパ20は、風量制御特性が良好な中間開度域を常時使用することができる。また、非常に安いモータダンパ26を用いて、非常に高価な圧力制御ダンパ20を大風量と小風量2台用いることなく、1台で23~100%風量を効率よく調整することができる。
なお、この発明の室内気圧制御装置とその制御方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。圧力制御ダンパとモータダンパは、適宜の装置を用いることができ、最適な開度も、適宜設定可能なものである。
10 室内気圧制御装置
11 空調機(AHU)
13 給気風路
12,34 定風量ユニット(CAV)
14 換気対象室
16 排気ファン(FF)
18 排気風路
20 圧力制御ダンパ(PCD)
22 室圧センサ
23 外気圧センサ
24 バイパス風路
26 モータダンパ(MD)
28 PCD制御部
30 調節器
32 演算器
38 局所排気風路

Claims (6)

  1. 換気対象室に対して一定の吸排気を行う室圧制御装置であって、
    前記換気対象室に対して給気を行う給気風路に備わる定風量ユニットと、前記換気対象室に接続された排気を行う排気風路とを備え、
    前記排気風路の途中に設けられ、給排気量収支を調整するための圧力制御ダンパ(PCD)と、前記換気対象室の室内に設けられた室圧センサと、室外に設けられた外気圧センサと、前記室圧センサと前記外気圧センサとの差圧信号に基づいて、検出室圧を設定値に維持するように前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度を制御する圧力制御ダンパ制御部とを備え、
    前記排気風路の前記圧力制御ダンパ(PCD)と並列に前記排気風路に接続されたバイパス通路と、前記バイパス通路に設けられたモータダンパと、前記モータダンパの開度を制御するモータダンパ制御部とを備え、
    前記モータダンパ制御部は、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度に基づいて、前記モータダンパの開度を制御するにあたり、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度と前記モータダンパの開度との間にレシオ・バイアス設定を行い、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度が応答特性の良好な開度領域である所定の開度の間では、前記圧力制御ダンパ(PCD)と前記モータダンパの風量比が概ね1:1になるように、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度と前記モータダンパの開度との間に比率(レシオ)設定し比例制御としてダンパ開度を制御し、
    前記モータダンパ制御部は、前記圧力制御ダンパ(PCD)の応答特性の良好な開度領域を超える開度割合以上では、前記モータダンパの開度を一定に維持(バイアス設定)し、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度が応答特性の良好な開度領域を下回る開度以下でも、前記モータダンパを閉じた状態に維持(バイアス設定)することを特徴とする室圧制御装置。
  2. 前記室圧制御装置において、前記圧力制御ダンパ(PCD)の応答特性の良好な開度領域である所定の開度割合は、20~70%であることを特徴とする請求項1に記載の室圧制御装置。
  3. 前記モータダンパ制御部は、前記圧力制御ダンパ制御部からの開度信号を基に、予め比率(レシオ)設定し比例制御する開度割合の間で、ダンパ開度%とその時の風量割合%とのダンパ流量特性として前記圧力制御ダンパ(PCD)の流量特性と前記モータダンパの流量特性との中間をとって比例特性化するリニアライズ演算を行って、
    当該演算結果である平均化した合成流量特性により、前記圧力制御ダンパ(PCD)と前記モータダンパの風量比が概ね1:1になるように、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度と前記モータダンパの開度との間に比率(レシオ)設定し比例制御する請求項1又は2に記載の室圧制御装置。
  4. 換気対象室に対して一定の吸排気を行う室圧制御装置の制御方法であって、
    前記換気対象室に対して給気を行う給気風路に備わる定風量ユニットと、前記換気対象室に接続された排気を行う排気風路とを備え、
    前記換気対象室の排気風路の途中に、排気量収支を調整する圧力制御ダンパ(PCD)を設け、前記換気対象室の室内に設けられた室圧センサと、室外に設けられた外気圧センサの差圧信号に基づいて、検出室圧を設定値に維持するように前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度を制御するとともに、前記排気風路の前記圧力制御ダンパ(PCD)と並列に前記排気風路に接続されたバイパス通路を設け、
    前記バイパス通路に設けられたモータダンパの開度を、前記圧力制御ダンパの開度に基づいて制御するにあたり、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度と前記モータダンパの開度との間にレシオ・バイアス設定を行い、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度が応答特性の良好な開度領域である所定の開度割合の間では、前記圧力制御ダンパ(PCD)と前記モータダンパの風量比が概ね1:1になるように、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度と前記モータダンパの開度との間に比率(レシオ)設定し比例制御としてダンパ開度を制御し、
    前記圧力制御ダンパ(PCD)の応答特性の良好な開度領域を超える開度以上では、前記モータダンパの開度を一定に維持(バイアス設定)し、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度が応答特性の良好な開度領域を下回る開度以下でも、前記モータダンパを閉じた状態に維持(バイアス設定)することを特徴とする室圧制御装置の制御方法。
  5. 前記圧力制御ダンパ(PCD)の応答特性の良好な開度領域である所定の開度割合は、20~70%であり、この開度割合の間では、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度と前記モータダンパの開度との間に比率(レシオ)設定し比例制御する請求項4に記載の室圧制御装置の制御方法。
  6. 前記圧力制御ダンパ(PCD)制御部からの開度信号を基に、予め比率(レシオ)設定し比例制御する開度割合の間で、ダンパ開度%とその時の風量割合%とのダンパ流量特性として、前記圧力制御ダンパ(PCD)流量特性と前記モータダンパの流量特性との中間をとって比例特性化するリニアライズ演算を行って、当該演算結果である平均化した合成流量特性により、前記圧力制御ダンパ(PCD)と前記モータダンパの風量比が概ね1:1になるように、前記圧力制御ダンパ(PCD)の開度と前記モータダンパの開度との間に比率(レシオ)設定し比例制御する請求項4又は5に記載の室圧制御装置の制御方法。
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