JP2022155375A - 光学積層体、光学積層体の製造方法、光学部材、光学装置、光学部材の製造方法、及び光学装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、低屈折率と防汚性とを両立させた光学積層体の提供を目的とする。【解決手段】 前記目的を達成するために、本発明の光学積層体10は、空隙層12と、カバー層13と、防汚層14とが、この順序で積層され、カバー層13は、金属、金属酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物及び有機無機ハイブリッド材料からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする。【選択図】 図1
Description
本発明は、光学積層体、光学積層体の製造方法、光学部材、光学装置、光学部材の製造方法、及び光学装置の製造方法に関する。
光学デバイスにおいては、例えば、全反射層として、低屈折率である空気層が利用されている。具体的には、例えば、液晶デバイスにおける各光学フィルム部材(例えば、導光板と反射板)は、空気層を介して積層される。しかしながら、各部材間が空気層により隔てられていると、特に部材が大型である場合等は、部材のたわみ等の問題が起こるおそれがある。また、デバイスの薄型化のトレンドにより、各部材の一体化が望まれている。このため、各部材を、空気層を介さずに粘接着剤で一体化させることが行われている(例えば特許文献1)。しかし、全反射の役割を果たす空気層が無くなると、光漏れなど光学特性が低下してしまうおそれがある。
そこで、空気層に代えて低屈折率層を用いることが提案されている。例えば、特許文献2では、導光板と反射板との間に導光板よりも低屈折率である層を挿入した構造が記載されている。低屈折率層としては、例えば、屈折率をなるべく空気に近い低屈折率とするために、空隙を有する空隙層が用いられる。
さらに、空隙層をデバイス中に導入するために、粘接着剤層との一体構成も提案されている(特許文献3)。
一方、光学部材、光学素子等の表面には、屈折率と厚みとを制御した反射防止層を形成することができる。空隙を有する空隙層は、前述のとおり低屈折率とすることができるので、反射防止層として利用できる。
しかしながら、空隙層を表面に配置すると汚れが付着しやすい。したがって、空隙層の表面をさらに防汚層で保護する必要がある。しかしながら、空隙層の表面に直接防汚層を形成しても、防汚性を付与できないおそれがある。
そこで、本発明は、低屈折率と防汚性とを両立させた光学積層体、光学積層体の製造方法、光学部材、光学装置、光学部材の製造方法、及び光学装置の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の光学積層体は、
空隙層と、カバー層と、防汚層とが、この順序で積層され、
前記カバー層は、金属、金属酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物及び有機無機ハイブリッド材料からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする。
空隙層と、カバー層と、防汚層とが、この順序で積層され、
前記カバー層は、金属、金属酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物及び有機無機ハイブリッド材料からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする。
本発明の光学積層体の製造方法は、
前記空隙層の少なくとも一方の面上に前記カバー層を形成するカバー層形成工程と、
前記カバー層における前記空隙層とは反対側の面上に防汚層を形成する防汚層形成工程とを含み、
前記カバー層形成工程において、真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)からなる群から選択される少なくとも一つの方法で前記カバー層を形成することを特徴とする前記本発明の光学積層体の製造方法である。
前記空隙層の少なくとも一方の面上に前記カバー層を形成するカバー層形成工程と、
前記カバー層における前記空隙層とは反対側の面上に防汚層を形成する防汚層形成工程とを含み、
前記カバー層形成工程において、真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)からなる群から選択される少なくとも一つの方法で前記カバー層を形成することを特徴とする前記本発明の光学積層体の製造方法である。
本発明の光学部材は、前記本発明の光学積層体を含むことを特徴とする。
本発明の光学装置は、前記本発明の光学部材を含むことを特徴とする。
本発明の光学部材の製造方法は、前記本発明の光学積層体の製造方法により前記本発明の光学積層体を製造する光学積層体製造工程を含むことを特徴とする、前記本発明の光学部材の製造方法である。
本発明の光学装置の製造方法は、前記本発明の光学部材の製造方法により前記本発明の光学部材を製造する光学部材製造工程を含むことを特徴とする、前記本発明の光学装置の製造方法である。
本発明によれば、低屈折率と防汚性とを両立させた光学積層体、光学積層体の製造方法、光学部材、光学装置、光学部材の製造方法、及び光学装置の製造方法を提供することができる。
つぎに、本発明について、例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により、なんら限定されない。
本発明の光学積層体は、例えば、前記空隙層の空隙率が30体積%以上であってもよい。
本発明の光学積層体は、例えば、前記カバー層が、ケイ素、アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、亜鉛スズ複合酸化物(ZTO)、インジウムスズ複合酸化物(ITO)、インジウム亜鉛複合酸化物(IZO)、ガリウム亜鉛複合酸化物(GZO)、及びポリシロキサンからなる群から選択される少なくとも一つを含んでいてもよい。
本発明の光学積層体は、例えば、前記カバー層の厚みが20nm以上であってもよい。
本発明の光学積層体において、例えば、前記カバー層は、真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)からなる群から選択される少なくとも一つの方法により形成される層であってもよい。
本発明の光学積層体において、例えば、前記空隙層は、ケイ素化合物の微細孔粒子同士が化学的に結合している多孔体であってもよい。
本発明の光学積層体は、例えば、パーフルオロポリエーテル基を有する有機シラン化合物を含んでいてもよい。
本発明の光学積層体は、例えば、ヘイズ値が10%未満であってもよい。
なお、本発明において、「上に」又は「面上に」は、上に、又は面上に直接接触した状態でもよいし、他の層等を介した状態でもよい。
本発明において、「粘接着層」は、粘着剤及び接着剤の少なくとも一方により形成された層をいう。また、本発明において、粘着剤と接着剤とをまとめて「粘接着剤」という場合がある。一般的に、粘着力又は接着力が比較的弱い剤(例えば、被接着物の再剥離が可能な剤)を「粘着剤」と呼び、粘着力又は接着力が比較的強い剤(例えば、被接着物の再剥離が不可能であるか、又はきわめて困難な剤)を「接着剤」と呼んで区別する場合がある。本発明において、粘着剤と接着剤とに明確な区別は無い。また、本発明において、「粘着力」と「接着力」とに明確な区別はない。
本発明において、「シート」と「フィルム」とに明確な区別は無い。一般に、厚みが比較的大きいものを「シート」と呼び、厚みが比較的小さいものを「フィルム」と呼んで区別する場合があるが、本発明では「シート」と「フィルム」とを明確に区別しない。
[1.光学積層体、光学部材および光学装置]
本発明の光学積層体は、前述のとおり、空隙層と、カバー層と、防汚層とが、この順序で積層され、前記カバー層は、金属、金属酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物及び有機無機ハイブリッド材料からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする。
本発明の光学積層体は、前述のとおり、空隙層と、カバー層と、防汚層とが、この順序で積層され、前記カバー層は、金属、金属酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物及び有機無機ハイブリッド材料からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする。
図1(a)の断面図に、本発明の光学積層体における構成の一例を示す。図示のとおり、この光学積層体10は、基材11上に空隙層12、カバー層13及び防汚層14がこの順序で形成されている。カバー層13は、前述のとおり、金属、金属酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物及び有機無機ハイブリッド材料からなる群から選択される少なくとも一つを含む。
また、図1(b)に、カバー層を含まない光学積層体における構成の一例を示す。図示のとおり、この光学積層体20は、カバー層13を含まず、空隙層12上に防汚層14が直接接触した状態で設けられていること以外は、図1(a)の光学積層体10と同じである。
前述のとおり、光学積層体において、図1(b)のように空隙層上に防汚層が直接接触した状態で設けられていると、防汚性を付与できないおそれがあった。これに対し、本発明者らは、空隙層上にカバー層を設け、さらにその上に防汚層を設けることで、低屈折率と防汚性とを両立できることを見出し、本発明に到達した。なお、本発明の光学積層体において低屈折率と防汚性とを両立できる理由は明らかではないが、例えば、カバー層によって空隙層表面の空隙を埋めることができるため、空隙層上に防汚層が直接接触した状態で設けられた場合と比較して防汚性が付与されやすいと考えられる。
本発明の光学積層体は、前述のとおり、前記空隙層、前記カバー層及び前記防汚層を含む。本発明の光学積層体は、前記空隙層、前記カバー層及び前記防汚層以外の他の層を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。例えば、前記他の層として、図1(a)のように基材11を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。また、例えば、基材11における空隙層12とは反対側の面上に他の層が設けされていてもよい。また、例えば、基材11、空隙層12、カバー層13及び防汚層14の各層の間に、さらに他の層を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記他の層は、例えば、粘接着層等であってもよい。
図1(a)において、基材11は、特に制限されず、例えば、フィルム等の基材であってもよい。前記基材は、例えば、熱可塑性樹脂製の基材、ガラス製の基材、シリコンに代表される無機基板、熱硬化性樹脂等で成形されたプラスチック、半導体等の素子、カーボンナノチューブに代表される炭素繊維系材料等が好ましく使用できるが、これらに限定されない。前記基材の形態は、例えば、フィルム、プレート等があげられる。前記熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等があげられる。基材11の厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm以上、20μm以上、又は30μm以上であってもよく、例えば、1000μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、又は100μm以下であってもよく、例えば、10μm~1000μm、10μm~500μm、又は10μm~100μmであってもよい。光学積層体の薄型の観点からは、基材11の厚みが大きすぎないことが好ましい。一方、光学積層体の強度の観点からは、基材11の厚みが小さすぎないことが好ましい。
図1(a)において、空隙層12は、前述のとおり、例えば、空隙率が30体積%以上であってもよい。以下、本発明の光学積層体における前記空隙層(以下、「本発明の空隙層」という場合がある。)について、例を挙げて説明する。ただし、本発明の空隙層は、これに限定されない。
本発明の空隙層は、例えば、空隙率が、前述のとおり30体積%以上であってもよいし、35体積%以上であってもよい。また、本発明の空隙層は、例えば、ピーク細孔径が50nm以下であってもよい。ただし、これは例示であって、本発明の空隙層は、これに限定されない。
前記空隙率は、例えば、30体積%以上、35体積%以上、38体積%以上、または40体積%以上であってもよく、90体積%以下、80体積%以下、または75体積%以下であってもよい。前記本発明の空隙層は、例えば、空隙率が60体積%以上の高空隙層であっても良い。
前記空隙率は、例えば、下記の測定方法により測定することができる。
(空隙率の測定方法)
空隙率の測定対象となる層が単一層で空隙を含んでいるだけならば、層の構成物質と空気との割合(体積比)は、定法(例えば重量および体積を測定して密度を算出する)により算出することが可能であるため、これにより、空隙率(体積%)を算出できる。また、屈折率と空隙率は相関関係があるため、例えば、層としての屈折率の値から空隙率を算出することもできる。具体的には、例えば、エリプソメーターで測定した屈折率の値から、Lorentz‐Lorenz’s formula(ローレンツ-ローレンツの式)より空隙率を算出する。
空隙率の測定対象となる層が単一層で空隙を含んでいるだけならば、層の構成物質と空気との割合(体積比)は、定法(例えば重量および体積を測定して密度を算出する)により算出することが可能であるため、これにより、空隙率(体積%)を算出できる。また、屈折率と空隙率は相関関係があるため、例えば、層としての屈折率の値から空隙率を算出することもできる。具体的には、例えば、エリプソメーターで測定した屈折率の値から、Lorentz‐Lorenz’s formula(ローレンツ-ローレンツの式)より空隙率を算出する。
本発明の空隙層は、例えば、後述するように、ゲル粉砕物(微細孔粒子)の化学結合により製造することができる。この場合、空隙層の空隙は、便宜上、下記(1)~(3)の3種類に分けることができる。
(1)原料ゲル自体(粒子内)が有する空隙
(2)ゲル粉砕物単位が有する空隙
(3)ゲル粉砕物の堆積により生じる粉砕物間の空隙
(1)原料ゲル自体(粒子内)が有する空隙
(2)ゲル粉砕物単位が有する空隙
(3)ゲル粉砕物の堆積により生じる粉砕物間の空隙
前記(2)の空隙は、ゲル粉砕物(微細孔粒子)のサイズ、大きさ等にかかわらず、前記ゲルを粉砕することにより生成された各粒子群を一つの塊(ブロック)とみなした際に、各ブロック内に形成されうる前記(1)とは別に粉砕時に形成される空隙である。また、前記(3)の空隙は、粉砕(例えば、メディアレス粉砕等)において、ゲル粉砕物(微細孔粒子)のサイズ、大きさ等が不ぞろいとなるために生じる空隙である。本発明の空隙層は、例えば、前記(1)~(3)の空隙を有することで、適切な空隙率およびピーク細孔径を有する。
また、前記ピーク細孔径は、例えば、5nm以上、10nm以上、または20nm以上であってもよく、50nm以下、40nm以下、または30nm以下であってもよい。空隙層において、空隙率が高い状態でピーク細孔径が大きすぎると、光が散乱して不透明になる。また、本発明において、空隙層のピーク細孔径の下限値は特に限定されないが、ピーク細孔径が小さすぎると、空隙率を高くしにくくなるため、ピーク細孔径が小さすぎないことが好ましい。本発明において、ピーク細孔径は、例えば、下記の方法により測定することができる。
(ピーク細孔径の測定方法)
細孔分布/比表面積測定装置(BELLSORP MINI/マイクロトラックベル社の商品名)を用いて、窒素吸着によるBJHプロットおよびBETプロット、等温吸着線を算出した結果から、ピーク細孔径を算出する。
細孔分布/比表面積測定装置(BELLSORP MINI/マイクロトラックベル社の商品名)を用いて、窒素吸着によるBJHプロットおよびBETプロット、等温吸着線を算出した結果から、ピーク細孔径を算出する。
また、本発明の空隙層の厚みは、特に限定されないが、例えば、100nm以上、200nm以上、または300nm以上であってもよく、10000nm以下、5000nm以下、または2000nm以下であってもよい。
本発明の空隙層は、例えば、後述するように、多孔体ゲルの粉砕物を使用することで、前記多孔体ゲルの三次元構造が破壊され、前記多孔体ゲルとは異なる新たな三次元構造が形成されている。このように、本発明の空隙層は、前記多孔体ゲルから形成される層では得られない新たな孔構造(新たな空隙構造)が形成された層となったことで、空隙率が高いナノスケールの空隙層を形成することができる。また、本発明の空隙層は、例えば、前記空隙層がシリコーン多孔体である場合、例えば、ケイ素化合物ゲルのシロキサン結合官能基数を調整しつつ、前記粉砕物同士を化学的に結合する。ここで、「シリコーン多孔体」はシロキサン結合を含む高分子多孔体のことであり、例えば、シルセスキオキサンを構成単位として含む多孔体を含む。また、前記空隙層の前駆体として新たな三次元構造が形成された後に、結合工程で化学結合(例えば、架橋)されるため、本発明の空隙層は、例えば、前記空隙層が機能性多孔体である場合、空隙を有する構造であるが、十分な強度と可撓性とを維持できる。したがって、本発明によれば、容易且つ簡便に、空隙層を、様々な対象物に付与することができる。
本発明の空隙層は、例えば、後述するように、多孔体ゲルの粉砕物を含み、前記粉砕物同士が化学的に結合している。本発明の空隙層において、前記粉砕物同士の化学的な結合(化学結合)の形態は、特に制限されず、前記化学結合の具体例は、例えば、架橋結合等が挙げられる。なお、前記粉砕物同士を化学的に結合させる方法は、例えば、前述した空隙層の製造方法において、詳細に説明したとおりである。
前記架橋結合は、例えば、シロキサン結合である。シロキサン結合は、例えば、以下に示す、T2の結合、T3の結合、T4の結合が例示できる。本発明のシリコーン多孔体がシロキサン結合を有する場合、例えば、いずれか一種の結合を有してもよいし、いずれか二種の結合を有してもよいし、三種全ての結合を有してもよい。前記シロキサン結合のうち、T2およびT3の比率が多いほど、可撓性に富み、ゲル本来の特性を期待できるが、膜強度が脆弱になる。一方で、前記シロキサン結合のうちT4比率が多いと、膜強度が発現しやすいが、空隙サイズが小さくなり、可撓性が脆くなる。このため、例えば、用途に応じて、T2、T3、T4比率を変えることが好ましい。
本発明の空隙層が前記シロキサン結合を有する場合、T2、T3およびT4の割合は、例えば、T2を「1」として相対的に表した場合、T2:T3:T4=1:[1~100]:[0~50]、1:[1~80]:[1~40]、1:[5~60]:[1~30]である。
また、本発明の空隙層は、例えば、含まれるケイ素原子がシロキサン結合していることが好ましい。具体例として、前記シリコーン多孔体に含まれる全ケイ素原子のうち、未結合のケイ素原子(つまり、残留シラノール)の割合は、例えば、50%未満、30%以下、15%以下、である。
本発明の空隙層は、例えば、孔構造を有している。本発明において、孔の空隙サイズは、空隙(孔)の長軸の直径および短軸の直径のうち、前記長軸の直径を指すものとする。空孔サイズは、例えば、5nm~50nmである。前記空隙サイズは、その下限が、例えば、5nm以上、10nm以上、20nm以上であり、その上限が、例えば、50nm以下、40nm以下、30nm以下であり、その範囲が、例えば、5nm~50nm、10nm~40nmである。空隙サイズは、空隙構造を用いる用途に応じて好ましい空隙サイズが決まるため、例えば、目的に応じて、所望の空隙サイズに調整する必要がある。空隙サイズは、例えば、以下の方法により評価できる。
(空隙層の断面SEM観察)
本発明において、空隙層の形態は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察および解析できる。具体的には、例えば、前記空隙層を、冷却下でFIB加工(加速電圧:30kV)し、得られた断面サンプルについてFIB-SEM(FEI社製:商品名Helios NanoLab600、加速電圧:1kV)により、観察倍率100,000倍にて断面電子像を得ることができる。
本発明において、空隙層の形態は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察および解析できる。具体的には、例えば、前記空隙層を、冷却下でFIB加工(加速電圧:30kV)し、得られた断面サンプルについてFIB-SEM(FEI社製:商品名Helios NanoLab600、加速電圧:1kV)により、観察倍率100,000倍にて断面電子像を得ることができる。
(空隙サイズの評価)
本発明において、前記空隙サイズは、BET試験法により定量化できる。具体的には、細孔分布/比表面積測定装置(BELLSORP MINI/マイクロトラックベル社の商品名)のキャピラリに、サンプル(本発明の空隙層)を0.1g投入した後、室温で24時間、減圧乾燥を行って、空隙構造内の気体を脱気する。そして、前記サンプルに窒素ガスを吸着させることで、BETプロットおよびBJHプロット、吸着等温線を描き、細孔分布を求める。これによって、空隙サイズが評価できる。
本発明において、前記空隙サイズは、BET試験法により定量化できる。具体的には、細孔分布/比表面積測定装置(BELLSORP MINI/マイクロトラックベル社の商品名)のキャピラリに、サンプル(本発明の空隙層)を0.1g投入した後、室温で24時間、減圧乾燥を行って、空隙構造内の気体を脱気する。そして、前記サンプルに窒素ガスを吸着させることで、BETプロットおよびBJHプロット、吸着等温線を描き、細孔分布を求める。これによって、空隙サイズが評価できる。
本発明の空隙層は、例えば、前述のように孔構造(多孔質構造)を有していてもよく、例えば、前記孔構造が連続した連泡構造体であってもよい。前記連泡構造体とは、例えば、前記空隙層において、三次元的に、孔構造が連なっていることを意味し、前記孔構造の内部空隙が連続している状態ともいえる。多孔質体が連泡構造を有する場合、これにより、バルク中に占める空隙率を高めることが可能であるが、中空シリカのような独泡粒子を使用する場合は、連泡構造を形成できない。これに対して、本発明の空隙層は、ゾル粒子(ゾルを形成する多孔体ゲルの粉砕物)が三次元の樹状構造を有するために、塗工膜(前記多孔体ゲルの粉砕物を含むゾルの塗工膜)中で、前記樹状粒子が沈降・堆積することで、容易に連泡構造を形成することが可能である。また、本発明の空隙層は、より好ましくは、連泡構造が複数の細孔分布を有するモノリス構造を形成することが好ましい。前記モノリス構造は、例えば、ナノサイズの微細な空隙が存在する構造と、同ナノ空隙が集合した連泡構造として存在する階層構造を指すものとする。前記モノリス構造を形成する場合、例えば、微細な空隙で膜強度を付与しつつ、粗大な連泡空隙で高空隙率を付与し、膜強度と高空隙率とを両立することができる。それらのモノリス構造を形成するには、例えば、まず、前記粉砕物に粉砕する前段階の前記多孔体ゲルにおいて、生成する空隙構造の細孔分布を制御することが重要である。また、例えば、前記多孔体ゲルを粉砕する際、前記粉砕物の粒度分布を、所望のサイズに制御することで、前記モノリス構造を形成させることができる。
本発明の空隙層において、透明性を示すヘイズは、特に制限されず、その下限が、例えば、0.1%以上、0.2%以上、0.3%以上であり、その上限が、例えば、10%以下、5%以下、3%以下であり、その範囲が、例えば、0.1~10%、0.2~5%、0.3~3%である。
前記ヘイズは、例えば、以下のような方法により測定できる。
(ヘイズの評価)
空隙層(本発明の空隙層)を50mm×50mmのサイズにカットし、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所社製:HM-150)にセットしてヘイズを測定する。ヘイズ値については、以下の式より算出を行う。
ヘイズ(%)=[拡散透過率(%)/全光線透過率(%)]×100(%)
空隙層(本発明の空隙層)を50mm×50mmのサイズにカットし、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所社製:HM-150)にセットしてヘイズを測定する。ヘイズ値については、以下の式より算出を行う。
ヘイズ(%)=[拡散透過率(%)/全光線透過率(%)]×100(%)
前記屈折率は、一般に、真空中の光の波面の伝達速度と、媒質内の伝播速度との比を、その媒質の屈折率という。本発明の空隙層の屈折率は、特に制限されず、その上限が、例えば、1.3以下、1.3未満、1.25以下、1.2以下、1.15以下であり、その下限が、例えば、1.05以上、1.06以上、1.07以上であり、その範囲が、例えば、1.05以上1.3以下、1.05以上1.3未満、1.05以上1.25以下、1.06以上1.2未満、1.07以上1.15以下である。
本発明において、前記屈折率は、特に断らない限り、波長550nmにおいて測定した屈折率をいう。また、屈折率の測定方法は、特に限定されず、例えば、下記の方法により測定できる。
(屈折率の評価)
アクリルフィルムに空隙層(本発明の空隙層)を形成した後に、50mm×50mmのサイズにカットし、これを粘着層でガラス板(厚み:3mm)の表面に貼合する。前記ガラス板の裏面中央部(直径20mm程度)を黒インクで塗りつぶして、前記ガラス板の裏面で反射しないサンプルを調製する。エリプソメーター(J.A.Woollam Japan社製:VASE)に前記サンプルをセットし、550nmの波長、入射角50~80度の条件で、屈折率を測定し、その平均値を屈折率とする。
アクリルフィルムに空隙層(本発明の空隙層)を形成した後に、50mm×50mmのサイズにカットし、これを粘着層でガラス板(厚み:3mm)の表面に貼合する。前記ガラス板の裏面中央部(直径20mm程度)を黒インクで塗りつぶして、前記ガラス板の裏面で反射しないサンプルを調製する。エリプソメーター(J.A.Woollam Japan社製:VASE)に前記サンプルをセットし、550nmの波長、入射角50~80度の条件で、屈折率を測定し、その平均値を屈折率とする。
本発明の空隙層の厚みは、特に制限されず、その下限が、例えば、0.05μm以上、0.1μm以上であり、その上限が、例えば、1000μm以下、100μm以下であり、その範囲が、例えば、0.05~1000μm、0.1~100μmである。
本発明の空隙層の形態は、特に制限されず、例えば、フィルム形状でもよいし、ブロック形状等でもよい。
図1(a)において、カバー層13は、金属、金属酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物及び有機無機ハイブリッド材料からなる群から選択される少なくとも一つを含む。以下、本発明の光学積層体に用いられるカバー層(以下「本発明のカバー層」という場合がある。)について、例を挙げて説明する。
本発明のカバー層において、前記金属は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、亜鉛、スズ、インジウム、ガリウム、鉛等が挙げられる。前記金属酸化物は、特に限定されないが、例えば、前述のとおり、酸化アルミニウム(例えばAl2O3)、亜鉛スズ複合酸化物(ZTO)、インジウムスズ複合酸化物(ITO)、インジウム亜鉛複合酸化物(IZO)、ガリウム亜鉛複合酸化物(GZO)等が挙げられる。本発明において、前記ケイ素酸化物は、例えば、SiOx(0<x≦2)で表される化合物である。前記ケイ素酸化物は、特に限定されないが、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)等が挙げられる。前記有機無機ハイブリッド材料は、特に限定されないが、例えば、ポリシロキサン樹脂、シルセスキオキサン樹脂等が挙げられる。ここで、本発明において「有機無機ハイブリッド材料」とは、同一分子内に有機成分と無機成分とが両方存在している材料のことである。
本発明のカバー層は、金属、金属酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物及び有機無機ハイブリッド材料からなる群から選択される少なくとも一つの成分以外の他の成分を、含んでいてもよいし含んでいなくてもよい。本発明のカバー層が前記他の成分を含む場合、その含有率は、特に限定されないが、例えば、10質量%以下、5質量%以下、又は1質量%以下あってもよく、下限値は特に限定されないが、例えば0質量%を超える数値である。
本発明のカバー層を形成する方法は、特に限定されないが、いわゆるドライプロセス(溶媒を用いない形成方法)が好ましい。具体的には、例えば、前述のとおり、真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)からなる群から選択される少なくとも一つの方法により形成してもよい。真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)を行う具体的な方法も特に限定されず、例えば、一般的な方法と同様又はそれに準じてもよい。
本発明のカバー層を形成する方法は、特に限定されない。例えば、金属、金属酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物及び有機無機ハイブリッド材料からなる群から選択される少なくとも一つの材料を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)からなる群から選択される少なくとも一つの方法により、ある程度以上の厚みのカバー層を形成することで、本発明のカバー層を形成することができる。
本発明のカバー層の厚みは、特に限定されないが、例えば、3nm以上、5nm以上、10nm以上、20nm以上、40nm以上、60nm以上、80nm以上、又は100nm以上であってもよく、例えば、200nm以下、又は150nm以下であってもよく、例えば、3~200nm、3~150nm、3~100nm、又は5~50nmであってもよい。光学積層体の薄型の観点からは、本発明のカバー層の厚みが大きすぎないことが好ましい。一方、カバー層を良好に形成する観点からは、本発明のカバー層の厚みが小さすぎないことが好ましい。
図1(a)において、防汚層14は、特に限定されない。以下、本発明の光学積層体における前記防汚層(以下「本発明の防汚層」について、例を挙げて説明する。
本発明の防汚層は、特に限定されないが、例えば、一般的な光学部材等に持ちいれられる防汚層と同様又はそれに準じてもよい。本発明の防汚層は、防汚成分として、例えば、前述のとおり、パーフルオロポリエーテル基を有する有機シラン化合物等を含んでいてもよい。また、本発明の防汚層は、前記防汚成分以外の他の成分を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。本発明の防汚層が前記他の成分を含む場合、その含有率は、特に限定されないが、例えば、50質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、又は1質量%以下であってもよく、下限値は特に限定されないが、例えば0質量%を超える数値である。
本発明の防汚層を形成する方法は、特に限定されないが、いわゆるドライプロセス(溶媒を用いない形成方法)が好ましい。具体的には、例えば、前述のとおり、真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)からなる群から選択される少なくとも一つの方法により形成してもよい。真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)を行う具体的な方法も特に限定されず、例えば、一般的な方法と同様又はそれに準じてもよい。
本発明の防汚層を形成する方法は、特に限定されない。例えば、金属、金属酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物及び有機無機ハイブリッド材料からなる群から選択される少なくとも一つの材料を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)からなる群から選択される少なくとも一つの方法により、本発明の防汚層を形成することができる。
本発明の防汚層の厚みは、特に限定されないが、例えば、3nm以上、4nm以上、5nm以上、又は10nm以上であってもよく、例えば100nm以下、75nm以下、又は50nm以下であってもよく、例えば3~100nm、3~50nm、又は4~50nmであってもよい。光学積層体の薄型の観点からは、防汚層14の厚みが大きすぎないことが好ましい。一方、防汚性の観点からは、防汚層14の厚みが小さすぎないことが好ましい。
また、本発明の光学積層体は、前記空隙層、前記カバー層及び前記防汚層以外の他の層を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記他の層は、前述のとおり、例えば、粘接着層等であってもよい。前記粘接着層が設けられる位置も特に限定されず、例えば、図1(a)において、基材11における空隙層12とは反対側の面上に他の層が設けられていてもよいし例えば、基材11、空隙層12、カバー層13及び防汚層14の各層間の1つ又は複数に設けられていてもよい。前記粘接着層は、特に限定されないが、例えば、粘着剤(粘着剤組成物)により形成された粘着層でもよい。本発明の光学積層体において、前記粘接着層の厚みは、特に限定されないが、3μm以上、5μm以上、又は10μm以上であり、例えば100μm以下、75μm以下、又は50μm以下であり、例えば3~100μm、3~50μm、又は5~25μmであってもよい。前記粘着剤は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー等が挙げられる。これらは、例えば、溶媒に溶解又は分散させて溶液又は分散液の形態とし、それを前記粘着剤(粘着剤組成物)として用いてもよい。前記溶媒としては、例えば、酢酸エチル等が挙げられ、1種類のみ用いても複数種類併用してもよい。前記溶液又は分散液中の溶質又は分散質(例えば、前記アクリル系ポリマー)の濃度は、例えば、10質量%以上、又は15質量%以上であってもよく、例えば、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、又は25質量%以下であってもよい。なお、本発明において、「(メタ)アクリル系ポリマー」は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、及び(メタ)アクリルアミドの少なくとも一種類のモノマーの重合体又は共重合体をいう。また、本発明において、(メタ)アクリル酸は、「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方」を意味し、「(メタ)アクリル酸エステル」は、「アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくとも一方」を意味する。前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸の直鎖又は分枝アルキルエステル等があげられる。前記(メタ)アクリル酸の直鎖又は分枝アルキルエステルにおいて、アルキル基の炭素数は、例えば、1以上、2以上、3以上、又は4以上であってもよく、例えば、18以下、16以下、14以下、12以下、10以下、又は8以下であってもよい。前記アルキル基は、例えば、1又は複数の置換基で置換されていても置換されていなくてもよい。前記置換基は、例えば、水酸基等が挙げられ、複数の場合は、同一でも異なっていてもよい。前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、例えば、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等が挙げられる。また、前記粘着剤は、一種類のみ用いてもよいし、複数種類併用してもよい。
なお、本発明の光学積層体は、前述のとおり、粘接着層を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
本発明の光学積層体は、例えば、前記光学積層体全体の光透過率が、80%以上であってもよい。また、例えば、前記光学積層体全体のヘイズが、前述のとおり10%未満であってもよいし、3%以下であってもよい。前記光学積層体全体のヘイズの下限値は、特に限定されないが、例えば、0以上又は0を超える数値である。なお、「光学積層体全体」は、例えば、図1(a)の光学積層体10であれば、基材11、空隙層12、カバー層13及び防汚層14を含む全体を意味する。前記光透過率は、例えば、82%以上、84%以上、86%以上、または88%以上であってもよく、上限は、特に限定されないが、理想的には100%であり、例えば、95%以下、92%以下、91%以下、または90%以下であってもよい。前記光学積層体のヘイズの測定は、例えば、前述した空隙層のヘイズの測定と同様の方法で行うことができる。また、前記光透過率は、波長550nmの光の透過率であり、例えば、以下の測定方法により測定することができる。
(光透過率の測定方法)
分光光度計U-4100(株式会社日立製作所の商品名)を用いて、前記積層体を、測定対象のサンプルとする。そして、空気の全光線透過率を100%とした際の前記サンプルの全光線透過率(光透過率)を測定する。前記全光線透過率(光透過率)の値は、波長550nmでの測定値をその値とする。
分光光度計U-4100(株式会社日立製作所の商品名)を用いて、前記積層体を、測定対象のサンプルとする。そして、空気の全光線透過率を100%とした際の前記サンプルの全光線透過率(光透過率)を測定する。前記全光線透過率(光透過率)の値は、波長550nmでの測定値をその値とする。
本発明の光学積層体において、前記粘接着層の粘着力又は接着力は、特に限定されないが、例えば、0.7N/25mm以上、0.8N/25mm以上、1.0N/25mm以上、または1.5N/25mm以上であってもよく、50N/25mm以下、30N/25mm以下、10N/25mm以下、5N/25mm以下、または3N/25mm以下であってもよい。本発明の光学積層体をその他の層と貼り合わせをした際の取扱い時の剥がれのリスクという観点からは、前記粘接着層の粘着力または接着力が低すぎないことが好ましい。また、貼り直しの際のリワークという観点からは、前記粘接着層の粘着力または接着力が高すぎないことが好ましい。前記粘接着層の粘着力または接着力は、例えば、以下のようにして測定することができる。
(粘着力または接着力の測定方法)
本発明の積層フィルム(樹脂フィルム基材上に、本発明の光学積層体が形成されたもの)を、50mm×140mmの短冊状にサンプリングを行い、前記サンプルをステンレス板に両面テープで固定する。PETフィルム(T100:三菱樹脂フィルム社製)にアクリル粘着層(厚み20μm)を貼合し、25mm×100mmにカットした粘着テープ片を、前記本発明の積層フィルムにおける、樹脂フィルムと反対側に貼合し、前記PETフィルムとのラミネートを行う。次に、前記サンプルを、オートグラフ引っ張り試験機(島津製作所社製:AG-Xplus)にチャック間距離が100mmになるようにチャッキングした後に、0.3m/minの引張速度で引っ張り試験を行う。50mmピール試験を行った平均試験力を、粘着ピール強度、すなわち粘着力とする。また、接着力も同一の測定方法で測定できる。本発明において、「粘着力」と「接着力」とに明確な区別はない。
本発明の積層フィルム(樹脂フィルム基材上に、本発明の光学積層体が形成されたもの)を、50mm×140mmの短冊状にサンプリングを行い、前記サンプルをステンレス板に両面テープで固定する。PETフィルム(T100:三菱樹脂フィルム社製)にアクリル粘着層(厚み20μm)を貼合し、25mm×100mmにカットした粘着テープ片を、前記本発明の積層フィルムにおける、樹脂フィルムと反対側に貼合し、前記PETフィルムとのラミネートを行う。次に、前記サンプルを、オートグラフ引っ張り試験機(島津製作所社製:AG-Xplus)にチャック間距離が100mmになるようにチャッキングした後に、0.3m/minの引張速度で引っ張り試験を行う。50mmピール試験を行った平均試験力を、粘着ピール強度、すなわち粘着力とする。また、接着力も同一の測定方法で測定できる。本発明において、「粘着力」と「接着力」とに明確な区別はない。
本発明の光学積層体の用途は特に限定されないが、例えば、前記本発明の光学部材及び前記本発明の光学装置に使用できる。
本発明の光学部材は、特に限定されないが、例えば、前記本発明の光学積層体を含む光学フィルムでもよい。
本発明の光学装置(光学デバイス)は、特に限定されないが、例えば、画像表示装置でも照明装置でもよい。画像表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、マイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等があげられる。照明装置としては、例えば、有機EL照明等があげられる。
前記本発明の光学部材及び前記本発明の光学装置の用途及びその使用方法は、特に限定されないが、例えば、一般的な光学部材又は一般的な光学装置(例えば、前記各画像表示装置又は照明装置)と同様でもよい。
[2.光学積層体の製造方法、光学部材の製造方法、及び光学装置の製造方法]
本発明の光学積層体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして製造することができる。
本発明の光学積層体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして製造することができる。
図2(a)~(d)の工程断面図に、本発明の光学積層体の製造方法における工程の一例を示す。まず、図2(a)に示すとおり、基材11を準備する。基材11は特に限定されないが、例えば前述のとおりである。
つぎに、図2(b)に示すとおり、基材11の一方の面上に空隙層12を形成する(空隙層形成工程)。空隙層12の形成方法(製造方法)は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2019/065999号、国際公開第2019/065803号に記載された方法で製造することができる。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。より具体的には、空隙層12の形成方法は、例えば、空隙層形成用の塗工液を基材11の一方の面上に塗工し、乾燥させ、さらに、必要に応じて光照射、化学処理(例えば、架橋処理)等により硬化、架橋反応等をさせる方法でもよい。前記塗工液は、例えば、ゲル状化合物の粉砕物のゾル粒子液であってもよい。前記ゲル状化合物は、例えば、ケイ素酸化物(例えばシリカゲル等)であってもよい。前記ゲル状化合物の粉砕物のゾル粒子液を製造する方法は、特に制限されないが、例えば、国際公開第2019/065999号または国際公開第2019/065803号に記載された方法で製造することができる。また、前記ゾル粒子液は、例えば、後述する本願実施例の「参考例1」に記載の方法で製造することもできる。また、前記塗工液の塗工方法は特に限定されず、一般的な塗工方法を採用できる。前記塗工方法としては、例えば、スロットダイ法、リバースグラビアコート法、マイクログラビア法(マイクログラビアコート法)、ディップ法(ディップコート法)、スピンコート法、刷毛塗り法、ロールコート法、フレキソ印刷法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、リバースコート法等が挙げられる。これらの中で、生産性、塗膜の平滑性等の観点から、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ロールコート法、マイクログラビアコート法等が好ましい。
つぎに、図2(c)に示すとおり、空隙層12における、基材11と反対側の面上に、カバー層13を形成する(カバー層形成工程)。このカバー層形成工程においては、真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)からなる群から選択される少なくとも一つの方法でカバー層13を形成する。この方法は、特に限定されず、例えば、前述のとおり、一般的な真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)と同様又はそれらに準じてもよい。カバー層13の材質、厚み等については、例えば前述のとおりである。
さらに、図2(d)に示すとおり、図2(c)におけるカバー層13における空隙層12とは反対側の面上に、さらに防汚層14を形成し(防汚層形成工程)、本発明の光学積層体10を製造することができる。なお、図2(d)に示す光学積層体10は、図1(a)の光学積層体10と同じである。防汚層14の形成方法(製造方法)は、特に限定されないが、例えば、一般的な防汚層の形成方法と同様又はそれに準じてもよい。具体的には、例えば、前述のとおり、ドライプロセスで形成することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)等で形成することができる。この方法は、特に限定されず、例えば、前述のとおり、一般的な真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)と同様又はそれらに準じてもよい。防汚層14の材質、厚み等については、例えば前述のとおりである。
また、図1(a)の光学積層体10の製造方法は、例えば、長尺フィルム状の基材11を連続的に送り出しながら、前述の各工程を連続的に行ってもよい。
本発明の光学部材の製造方法及び本発明の光学装置の製造方法は、特に限定されない。例えば、本発明の光学部材は、前記本発明の光学積層体を任意の製造方法(例えば、前述の製造方法)で製造すること以外は、一般的な光学部材と同様の製造方法により製造できる。また、本発明の光学装置は、前記本発明の光学積層体を任意の製造方法(例えば、前述の製造方法)で製造すること以外は、一般的な光学装置と同様の製造方法により製造できる。
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
なお、以下の参考例、実施例および比較例において、各物質の部数(相対的な使用量)は、特に断らない限り、質量部(重量部)である。
[参考例1]
以下のようにして、空隙層(低屈折率層)形成用塗工液を調製した。
以下のようにして、空隙層(低屈折率層)形成用塗工液を調製した。
(1)ケイ素化合物のゲル化
2.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に、ケイ素化合物の前駆体であるメチルトリメトキシシラン(MTMS)を0.95g溶解させて混合液Aを調製した。この混合液Aに、0.01mol/Lのシュウ酸水溶液を0.5g添加し、室温で30分撹拌を行うことでMTMSを加水分解して、トリス(ヒドロキシ)メチルシランを含む混合液Bを生成した。
2.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に、ケイ素化合物の前駆体であるメチルトリメトキシシラン(MTMS)を0.95g溶解させて混合液Aを調製した。この混合液Aに、0.01mol/Lのシュウ酸水溶液を0.5g添加し、室温で30分撹拌を行うことでMTMSを加水分解して、トリス(ヒドロキシ)メチルシランを含む混合液Bを生成した。
5.5gのDMSOに、28重量%のアンモニア水0.38g、および純水0.2gを添加した後、さらに、前記混合液Bを追添し、室温で15分撹拌することで、トリス(ヒドロキシ)メチルシランのゲル化を行い、ゲル状ケイ素化合物を含む混合液Cを得た。
(2)熟成処理
前記「(1)ケイ素化合物のゲル化」で調製したゲル状ケイ素化合物を含む混合液Cを、そのまま、40℃で20時間インキュベートして、熟成処理を行った。
前記「(1)ケイ素化合物のゲル化」で調製したゲル状ケイ素化合物を含む混合液Cを、そのまま、40℃で20時間インキュベートして、熟成処理を行った。
(3)粉砕処理
前記「(2)熟成処理」で熟成処理した前記混合液C中のゲル状ケイ素化合物を、スパチュラを用いて数mm~数cmサイズの顆粒状に砕いた。次いで、前記混合液Cにイソプロピルアルコール(IPA)を40g添加し、軽く撹拌した後、室温で6時間静置して、ゲル中の溶媒および触媒をデカンテーションした。同様のデカンテーション処理を3回行うことにより、溶媒置換し、混合液Dを得た。次いで、前記混合液D中のゲル状ケイ素化合物を粉砕処理(高圧メディアレス粉砕)した。粉砕処理(高圧メディアレス粉砕)は、ホモジナイザー(エスエムテー社製、商品名「UH-50」)を使用し、5ccのスクリュー瓶に、混合液D中のゲル状化合物1.85gおよびIPAを1.15g秤量した後、50W、20kHzの条件で2分間の粉砕で行った。
前記「(2)熟成処理」で熟成処理した前記混合液C中のゲル状ケイ素化合物を、スパチュラを用いて数mm~数cmサイズの顆粒状に砕いた。次いで、前記混合液Cにイソプロピルアルコール(IPA)を40g添加し、軽く撹拌した後、室温で6時間静置して、ゲル中の溶媒および触媒をデカンテーションした。同様のデカンテーション処理を3回行うことにより、溶媒置換し、混合液Dを得た。次いで、前記混合液D中のゲル状ケイ素化合物を粉砕処理(高圧メディアレス粉砕)した。粉砕処理(高圧メディアレス粉砕)は、ホモジナイザー(エスエムテー社製、商品名「UH-50」)を使用し、5ccのスクリュー瓶に、混合液D中のゲル状化合物1.85gおよびIPAを1.15g秤量した後、50W、20kHzの条件で2分間の粉砕で行った。
この粉砕処理によって、前記混合液D中のゲル状ケイ素化合物を粉砕することにより、前記混合液Dを、粉砕物のゾル液である混合液D’とした。この混合液D’に含まれる粉砕物の粒度バラツキを示す体積平均粒子径を、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計(日機装社製、UPA-EX150型)にて確認したところ、0.50~0.70であった。さらに、このゾル液(混合液D’)0.75gに対し、光塩基発生剤(和光純薬工業株式会社:商品名WPBG266)の1.5重量%濃度MEK(メチルエチルケトン)溶液を0.062g、ビス(トリメトキシシリル)エタンの5%濃度MEK溶液を0.036gの比率で添加し、目的物である空隙層形成用塗工液を得た。
[実施例1]
参考例1で製造した空隙層形成用塗工液を、厚み30μmのアクリルフィルム(基材)上に塗工し、さらに100℃で2分間加熱することにより乾燥させて空隙層を形成した。形成した空隙層は、屈折率が1.18の超低屈折率層であった。なお、本実施例、以下の各実施例及び各比較例において、空隙層の屈折率は、前述の測定方法により測定した。
参考例1で製造した空隙層形成用塗工液を、厚み30μmのアクリルフィルム(基材)上に塗工し、さらに100℃で2分間加熱することにより乾燥させて空隙層を形成した。形成した空隙層は、屈折率が1.18の超低屈折率層であった。なお、本実施例、以下の各実施例及び各比較例において、空隙層の屈折率は、前述の測定方法により測定した。
さらに、形成した前記空隙層上に、真空蒸着法で厚み20nmのSiO2層を形成した。なお、前記SiO2層は、本発明の光学積層体における「カバー層」に該当する。前記カバー層の形成における真空蒸着法は、既知の真空蒸着装置を用いて行った。以下の各実施例でのカバー層の形成における真空蒸着法も同様である。さらに、形成した前記カバー層の面上に、オプツールUD509(ダイキン工業株式会社の商品名)中の固形成分を真空蒸着法により蒸着させて、厚み7nmの防汚層を形成した。なお、前記防汚層の形成における真空蒸着法は、既知の真空蒸着装置を用いて行った。以下の各実施例及び比較例でのカバー層の形成における真空蒸着法も同様である。以上のようにして、目的とする本発明の光学積層体を製造した。この光学積層体は、前記基材(アクリルフィルム)上に、前記空隙層と、前記カバー層と、前記防汚層とが、この順序で積層されている。
なお、本実施例と以下の各実施例及び比較例で防汚層の形成に用いたオプツールUD509(ダイキン工業株式会社)は、パーフルオロポリエーテル変性トリメトキシシラン(前記固形成分)の20重量%溶液であり、19F-NMRでの分析結果によれば、おおむね下記のとおりの構造及び組成を有すると推測される。
オプツールUD509のパーフルオロポリエーテル変性トリメトキシシランの推定構造は、下記化学式(1)のとおりである。パーフルオロポリエーテル基の構成比は、19F-NMRでのピーク強度比から算出した。
オプツールUD509の溶媒の質量比は、19F-NMRでの分析結果によれば、下記のとおりと推測される。
ノナフルオロイソブチルエチルエーテル(iB)
ノナフルオロブチルエチルエーテル(B)
iB:B=63:37(質量比、概算)
ノナフルオロイソブチルエチルエーテル(iB)
ノナフルオロブチルエチルエーテル(B)
iB:B=63:37(質量比、概算)
また、オプツールUD509は、前記パーフルオロポリエーテル変性トリメトキシシラン及び前記溶媒以外の他の成分(構造不明)を含むと推測される。
[実施例2]
前記カバー層として、厚み20nmのSiO2層に代えて厚み20nmのSi層を真空蒸着法で形成したことと、前記防汚層の厚みを7nmから5nmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の光学積層体を得た。
前記カバー層として、厚み20nmのSiO2層に代えて厚み20nmのSi層を真空蒸着法で形成したことと、前記防汚層の厚みを7nmから5nmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の光学積層体を得た。
[実施例3]
前記カバー層として、厚み20nmのSiO2層に代えて厚み20nmのSi層を真空蒸着法で形成したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の光学積層体を得た。言い換えると、前記防汚層の厚みを5nmから7nmに変更したこと以外は、実施例2と同様にして本実施例の光学積層体を得た。
前記カバー層として、厚み20nmのSiO2層に代えて厚み20nmのSi層を真空蒸着法で形成したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の光学積層体を得た。言い換えると、前記防汚層の厚みを5nmから7nmに変更したこと以外は、実施例2と同様にして本実施例の光学積層体を得た。
[実施例4]
前記カバー層(SiO2層)の厚みを20nmから10nmに変更したことと、前記防汚層の厚みを7nmから5nmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の光学積層体を得た。
前記カバー層(SiO2層)の厚みを20nmから10nmに変更したことと、前記防汚層の厚みを7nmから5nmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の光学積層体を得た。
[実施例5]
前記カバー層(Si層)の厚みを20nmから10nmに変更したこと以外は、実施例3と同様にして本実施例の光学積層体を得た。
前記カバー層(Si層)の厚みを20nmから10nmに変更したこと以外は、実施例3と同様にして本実施例の光学積層体を得た。
[実施例6]
前記カバー層として、厚み20nmのSiO2層に代えて厚み10nmのZTO層を真空蒸着法で形成したことと、前記防汚層の厚みを7nmから5nmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の光学積層体を得た。
前記カバー層として、厚み20nmのSiO2層に代えて厚み10nmのZTO層を真空蒸着法で形成したことと、前記防汚層の厚みを7nmから5nmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の光学積層体を得た。
[比較例1]
前記カバー層(厚み20nmのSiO2層)を形成せず、前記空隙層の面上に直接前記防汚層を形成したこと以外は実施例1と同様にして本比較例の光学積層体を製造した。
前記カバー層(厚み20nmのSiO2層)を形成せず、前記空隙層の面上に直接前記防汚層を形成したこと以外は実施例1と同様にして本比較例の光学積層体を製造した。
[比較例2]
前記カバー層及び前記防汚層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして本比較例の光学積層体を製造した。言い換えると、防汚層を形成しなかったこと以外は比較例1と同様にして本比較例の光学積層体を製造した。
前記カバー層及び前記防汚層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして本比較例の光学積層体を製造した。言い換えると、防汚層を形成しなかったこと以外は比較例1と同様にして本比較例の光学積層体を製造した。
以上のようにして製造した各実施例及び各比較例の光学積層体に対し、防汚性を測定した。また、参考データとして、球形ドメインの大きさを測定した。前記防汚性及び球形ドメインの大きさの測定は、下記の試験方法(測定方法)により行った。また、これらの試験結果(測定結果)を、下記表1にまとめて示す。
[防汚性試験方法]
<測定方法>
協和界面科学株式会社製接触角計(商品名DMo-602)を用いて、直径1.0mmのn-ヘキサデカンの液滴を針先に作った。この液滴を、前記各実施例及び前記各比較例の光学積層体における基材と反対側の最表面に接触させ、接触角を測定した。ヘキサデカンの接触角が大きい(すなわち、ヘキサデカンの液滴を弾きやすい)ほど防汚性が高いと判定した。
<測定方法>
協和界面科学株式会社製接触角計(商品名DMo-602)を用いて、直径1.0mmのn-ヘキサデカンの液滴を針先に作った。この液滴を、前記各実施例及び前記各比較例の光学積層体における基材と反対側の最表面に接触させ、接触角を測定した。ヘキサデカンの接触角が大きい(すなわち、ヘキサデカンの液滴を弾きやすい)ほど防汚性が高いと判定した。
[球形ドメインの大きさの測定方法]
前記各実施例及び前記各比較例の光学積層体の、基材と反対側の最表面を、SEM(走査型電子顕微鏡)により、倍率10万倍で撮像した。その像を、ImageJ(オープンソース)で解析し、10個のドメインをピックアップした。それら10個のドメインを球形ドメインとみなしてそれぞれ直径(nm)を算出し、さらに、それらの直径(nm)の平均を算出し、少数点第一位を四捨五入した数値を、球形ドメインの大きさとした。なお、比較例2における球形ドメインは空隙層の成分で形成された球形ドメインである。実施例1~6及び比較例1の球形ドメインは、空隙層の成分で形成された球形ドメインを核として、その周りを防汚層の成分が包んで形成されたものである。
前記各実施例及び前記各比較例の光学積層体の、基材と反対側の最表面を、SEM(走査型電子顕微鏡)により、倍率10万倍で撮像した。その像を、ImageJ(オープンソース)で解析し、10個のドメインをピックアップした。それら10個のドメインを球形ドメインとみなしてそれぞれ直径(nm)を算出し、さらに、それらの直径(nm)の平均を算出し、少数点第一位を四捨五入した数値を、球形ドメインの大きさとした。なお、比較例2における球形ドメインは空隙層の成分で形成された球形ドメインである。実施例1~6及び比較例1の球形ドメインは、空隙層の成分で形成された球形ドメインを核として、その周りを防汚層の成分が包んで形成されたものである。
前記表1に示したとおり、カバー層を有する実施例の光学積層体は、いずれもヘキサデカンの液滴の接触角が40°以上と高かったことから、防汚性が付与されていたことが確認できた。これに対し、比較例のいずれもヘキサデカンの液滴の接触角が23°と低かったことから、実施例の光学積層体よりも防汚性が劣っていたことが確認された。また、空隙層上に直接防汚層を設けた比較例1の光学積層体も、防汚層を設けなかった比較例2の光学積層体も、接触角は全く変わらなかった。このことから、空隙層上にカバー層を設けずに直接防汚層を設けても、防汚性は付与されなかったことが確認された。また、球形ドメインの大きさ(平均径)が大きいほど接触角が大きい(防汚性が高い)傾向があったことから、カバー層が空隙層表面の空隙を埋めて平坦化し、これにより防汚層を設けた際の防汚性が向上していると推測される。
以上、説明したとおり、本発明によれば、低屈折率と防汚性とを両立させた光学積層体、光学積層体の製造方法、光学部材、光学装置、光学部材の製造方法、及び光学装置の製造方法を提供することができる。本発明の用途は特に限定されない。例えば、本発明の光学装置は、特に限定されず、画像表示装置、照明装置等が挙げられる。前記画像表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ等が挙げられる。前記照明装置としては、例えば、有機EL照明等が挙げられる。さらに、本発明の光学積層体の用途は、本発明の光学部材および光学装置に限定されず任意であり、広範な用途に使用可能である。
10、20 光学積層体
11 基材
12 空隙層
13 カバー層
14 防汚層
11 基材
12 空隙層
13 カバー層
14 防汚層
Claims (13)
- 空隙層と、カバー層と、防汚層とが、この順序で積層され、
前記カバー層は、金属、金属酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物及び有機無機ハイブリッド材料からなる群から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする光学積層体。 - 前記空隙層の空隙率が30体積%以上である請求項1記載の光学積層体。
- 前記カバー層が、ケイ素、アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、亜鉛スズ複合酸化物(ZTO)、インジウムスズ複合酸化物(ITO)、インジウム亜鉛複合酸化物(IZO)、ガリウム亜鉛複合酸化物(GZO)、及びポリシロキサンからなる群から選択される少なくとも一つを含む請求項1又は2に記載の光学積層体。
- 前記カバー層の厚みが5nm以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学積層体。
- 前記カバー層は、真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)からなる群から選択される少なくとも一つの方法により形成される層である、請求項1から4のいずれか一項に記載の光学積層体。
- 前記空隙層は、ケイ素化合物の微細孔粒子同士が化学的に結合している多孔体である、請求項1から5のいずれか一項に記載の光学積層体。
- 前記防汚層は、パーフルオロポリエーテル基を有する有機シラン化合物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の光学積層体。
- ヘイズ値が10%未満である、請求項1から7のいずれか一項に記載の光学積層体。
- 前記空隙層の少なくとも一方の面上に前記カバー層を形成するカバー層形成工程と、
前記カバー層における前記空隙層とは反対側の面上に防汚層を形成する防汚層形成工程とを含み、
前記カバー層形成工程において、真空蒸着法、スパッタリング法、及び化学気相成長法(CVD)からなる群から選択される少なくとも一つの方法で前記カバー層を形成することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の光学積層体の製造方法。 - 請求項1から8のいずれか一項に記載の光学積層体を含むことを特徴とする光学部材。
- 請求項10記載の光学部材を含むことを特徴とする光学装置。
- 請求項9記載の製造方法により請求項1から8のいずれか一項に記載の光学積層体を製造する光学積層体製造工程を含むことを特徴とする、請求項10記載の光学部材の製造方法。
- 請求項12記載の製造方法により請求項10記載の光学部材を製造する光学部材製造工程を含むことを特徴とする、請求項11記載の光学装置の製造方法。
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