JP2022154122A - 液体フィルター用濾材および液体フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】不織布であり、ナノメートルオーダー粒子の分散液中に含まれるサブミクロンオーダーの粗粒の分級濾過性能に優れ、かつ通液性を両立できる液体フィルター用濾材を提供する。【解決手段】熱可塑性繊維からなる湿式不織布であり、平均繊維径が100~300nm以下の第一繊維群と、平均繊維径が1~8μmの第二繊維群で形成され、第一繊維群の重量比率が濾材重量に対して20%~70%の範囲であり、第二繊維群は熱融着繊維を含んだ湿式不織布であり、空隙率が70%以上であり、濾材の平均孔径が0.35μm以下で、かつ濾材の最大孔径を平均孔径で除した値が3.5以下であることを特徴とする、液体フィルター用濾材。【選択図】なし

Description

本発明は、液体フィルター用濾材に関する。
工業分野において半導体・エレクトロニクス製品、ケミカル製品製造時にスラリー中に含まれる凝集物、未分散物といった異物を効果的に除去する技術が求められている。また、飲料品や食品業界においても原水の清澄化や製品を非加熱で除菌する目的でフィルターを使用した異物除去技術が用いられており、通常このような液体の濾過には有機繊維からなるスパンボンド不織布やメルトブロー不織布(例えば、特許第6390612号公報)や、ポリオレフィン膜が多く用いられてきた。
昨今ではデバイスの微小化、塗膜やフィルムの薄膜化に伴い、ナノメートルオーダーの分散質が非常に微細かつ均一に分散したスラリーが使用され、スラリー中の未分散物や凝集物といった粗粒を確実に取り除く分級濾過のニーズが高まっており、分散質の微細化に伴ってその除去ターゲット粗粒サイズもサブミクロンオーダーの微小領域に到達している。
しかしながら、従来の不織布濾材では、孔径分布が広く除去ターゲット粗粒のサイズよりも大きな孔径を含むため、ターゲット粗粒を十分に取り除けないという問題があった。また、孔径を小さくするため、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布にカレンダー加工を施して圧密化を図る方法や、メルトブロー不織布を積層して捕集率を上げる方法が検討されてきたが、孔径の均一性に欠けるため濾過精度を保つ目的で濾材厚みを大きくする必要があり、濾過抵抗が増大する懸念がある(例えば、特許文献2 特許第6560101号公報)。微細構造を形成する目的で電界紡糸法により濾材を得ることもできるが(例えば、特許文献3 特開2019-077962号公報)、製法の特性上、目付15g/m以上の濾材を得ることは難しく、目付が小さいことにより2次側に捕集物が抜け出るおそれがある。また、粗粒の除去率を上昇させるため、ポリオレフィン膜等を使用する方法もあるが(例えば、特許文献4 特開2017-127864号公報)、膜濾材は濾材密度が高く、開孔数が小さいことにより、分級濾過においては濾過対象外である分散質の微小粒子が濾材表面で凝集し、粗大粒子となるブリッジ現象の発生が懸念される。また、ゲル状異物等の不定形異物が混入した場合に急激な閉塞が起こり差圧上昇を招くという問題が懸念される。
特許第6390612号公報 特許第6560101号公報 特開2019-077962号公報 特開2017-127864号公報
本発明は、ナノメートルオーダー粒子の分散液中に含まれるサブミクロンオーダーの粗粒の分級濾過性能に優れ、かつ通液性を両立できる液体フィルター用濾材を提供することを課題とする。
すなわち本発明は、有機繊維の不織布からなる液体フィルター用濾材であって、該不織布は平均繊維径100~300nmの第一繊維群と平均繊維径1~8μmの第二繊維群とから構成され、該不織布において第一繊維群の重量が第一繊維群および第二繊維群の合計重量の20~70重量%を占め、該不織布は平均孔径が0.35μm以下であり、かつ最大孔径を平均孔径で除した値が3.5以下であることを特徴とする液体フィルター用濾材である。
本発明によれば、ナノメートルオーダー粒子の分散液中に含まれるサブミクロンオーダーの粗粒の分級濾過性能に優れ、かつ通液性を両立できる液体フィルター用濾材を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔有機繊維の不織布〕
有機繊維の不織布は、平均繊維径100~300nmの第一繊維群と平均繊維径1~8μmの第二繊維群とから構成される。
有機繊維の不織布において第一繊維群の繊維の重量は、第一繊維群および第二繊維群の繊維の合計重量の20~70重量%、好ましくは30~60重量%、さらに好ましくは40~60重量%を占める。第一繊維群の繊維の重量が20~70重量%であることで、濾材層内に均一な微細孔が形成される。第一繊維群の繊維の重量が20重量%未満であると、濾材層内の構造に粗密差が発生し、ターゲット粗粒が捕集されない箇所が生まれるおそれがある。他方、第一繊維群の繊維の重量が70重量%を超えると、濾材密度が増加し、非ターゲット粒子が濾過層で捕集されることにより目詰まりを起こすことが懸念される。
〔第一繊維群の繊維の平均繊維径〕
第一繊維群の繊維の平均繊維径は100~300nm、好ましくは100~250nm、さらに好ましくは150~250nmである。第一繊維群の繊維として平均繊維径100~300nmの繊維を用いることにより、微細孔を有しかつ開孔数を多くすることによりができ、サブミクロンオーダーのターゲット粗粒を捕集しながらも非ターゲット粒子を通過させることができる。第一繊維群の繊維の平均繊維径が100nm未満であると、抄紙の際に抄紙網の目から繊維の脱離発生あるいは反対に凝集塊となり、所望の平均孔径が得られないおそれがある。第一繊維群の繊維の平均繊維径が300nmを超えると、孔径が増大しターゲット粗粒の捕集率が低下するおそれがある。
第一繊維群の繊維の繊維長は、好ましくは0.15~0.4mmである。該繊維長が0.15mm未満であると工程性が低下するおそれがあり好ましくない。他方、繊維長が0.4mmを超えると分散性不良により凝集繊維塊となりろ過効率や強度が低下するおそれがあり好ましくない。
第一繊維群の繊維の繊維径Dに対する繊維長Lの比L/Dは、好ましくは200~4000、さらに好ましくは800~2500である。
〔第二繊維群の繊維の平均繊維径〕
第二繊維群の繊維の平均繊維径は1~8μm、好ましくは2~8μmである。第二繊維群の繊維の平均繊維径が1μm未満であると濾材密度が増加し、捕集した粒子同士の距離が近づき濾材を閉塞するブリッジ現象が起こる恐れがある。他方、8μmを超えると最大孔径が増大する恐れがある。
平均繊維径は、透過型電子顕微鏡TEMで、倍率30000倍で単繊維断面写真を撮影
し測定することができる。その際、測長機能を有するTEMでは、測長機能を用いて測定することができる。また、測長機能の無いTEMでは、撮った写真を拡大コピーして、縮尺を考慮した上で定規にて測定すればよい。この際、単繊維の横断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、繊維径として、単繊維の横断面の外接円の直径を用いるものとする。
〔不織布の平均孔径〕
有機繊維の不織布の平均孔径は、好ましくは0.35μm以下であり、かつ最大孔径を平均孔径で除した値は好ましくは3.5以下である。濾過流量を安定させるためには、非ターゲット粒子を2次側へ通過させる必要があり、処理中にも不織布の空隙を保つことが肝要であるが、平均孔径および最大孔径を平均孔径で除した値を上記の範囲とすることで、ターゲット粗粒が2次側へ流出する確率を低減することができる。
〔不織布の空隙率〕
有機繊維の不織布の空隙率は、好ましくは70~80%である。空隙率が70%未満であると、圧力損失が増大し濾過流量が低下することに加え、濾材表面または内部に非ターゲット粒子が充填・凝集し濾材閉塞を起こすブリッジ現象が多発する。他方、空隙率が80%を超えると濾材内に大きな間隙が発生するためターゲット粗粒除去率の低下が起こる。空隙率を70~80%とすることにより、除去率を安定的に保ちつつ、濾過時の圧力損失を低減できる不織布内に空隙を作るために従来から比較的太い繊維を混ぜる手法がとられているが、本発明では、平均繊維径を1~8μmの第二繊維群を第一繊維群と併用することで、上記の空隙率と濾材強度を得ることができる。
〔不織布の厚さ〕
有機繊維の不織布の厚さは、好ましくは0.01~0.1mmである。濾材の厚さが0.1mmを超えると、カートリッジプロテクターやカプセルシェル内に濾材を格納する際に十分な濾過面積を確保できず、フィルター寿命が短期間化するおそれがあり好ましくない。他方、0.01mm未満であると取り扱い性が悪化して好ましくない。
〔湿式不織布〕
有機繊維の不織布は、湿式不織布であることが好ましい。湿式不織布は、スパンボンド法やメルトブロー法、エレクトロスピニング法等により作製された不織布と比較して、目付け、繊維径、通気度などのフィルター性能に関わる性質のばらつきが小さく、ろ過効率に優れることから好ましい。
〔濾材の密度、目付、ガーレ通気度〕
本発明の液体フィルター用濾材の密度は、好ましくは0.3~0.6g/cmである。密度が0.3g/cm未満であると、取扱い性が悪くなるおそれがあり好ましくない。他方、密度が0.6g/cmを超えると、高い濾過処理量が得られなくなるおそれがあり好ましくない。
本発明の液体フィルター用濾材の目付は、好ましくは10~30g/mである。この範囲の目付であることで、ターゲット粒子が流出する確率を低減し、かつ高流量を得ることができる。
本発明の液体フィルター用濾材のガーレ透気度は、好ましくは20秒/100cc以下である。20秒/100ccを超えると、濾過時の通液抵抗が大きいため十分な処理量が得られないおそれがあり好ましくない。
〔濾材の形状〕
本発明の液体フィルター用濾材の形状は、カートリッジ型またはカプセル型であること
が好ましい。例えば、濾材を円筒状とし、最内層のコア材と最外層のプロテクターとの間に、前記の液体フィルター用濾材をプリーツ状に配することが好ましい。その際、プリーツの折りピッチ(山と谷との距離)としては、5~30mmの範囲内であることが好ましい。また、コア材の径としては、10~200mmの範囲内であることが好ましい。
本発明によれば、上記の液体用フィルター用濾材を濾材として用いたカートリッジ型またはカプセル型の液体フィルターが提供される。
〔第一繊維群の繊維〕
第一繊維群の繊維は、熱可塑性樹脂の繊維であり、ポリエステル繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、脂肪族ポリアミド繊維を例示することができる。なかでもポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維が好ましい。
ポリエステル繊維を形成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と称することもある。)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを例示することができる。また、イソフタル酸や5-スルホイソフタル酸金属塩等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ε-カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸縮合物、ジエチレングリコールやトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等のグリコール成分との共重合体を例示することができる。
マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、特開2009-091694号公報に記載された、バイオマスすなわち生物由来の物質を原材料として得られたモノマー成分を使用してなるポリエチレンテレフタレートであってもよい。さらには、特開2004-270097号公報や特開2004-211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。
ポリエステル繊維である場合、ポリエステル繊維は延伸糸、未延伸糸、半延伸糸いずれでもよい。また、伸度が60%未満でもよいし60%以上でもよい。なお、ポリエステル延伸糸は通常、伸度が60%未満であり、ポリエステル未延伸糸は通常、伸度が60%以上である。
ポリフェニレンスルフィド繊維を用いる場合、該繊維を形成するポリアリーレンスルフィドとして、以下のものを例えば使用することができる。すなわち、p-フェニレンスルフィド単位、m-フェニレンスルフィド単位、o-フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、分岐構造含有フェニレンスルフィド単位からなるものである。なかでも、p-フェニレンスルフィド単位を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましく、ポリ(p-フェニレンスルフィド)が特に好ましい。
ポリフェニレンスルフィド繊維は、延伸糸、未延伸糸、半延伸糸いずれでもよい。また、伸度が60%未満でもよいし60%以上でもよい。なお、ポリフェニレンスルフィド延伸糸は通常、伸度が60%未満であり、ポリフェニレンスルフィド未延伸糸は通常、伸度が60%以上である。
〔第一繊維群の繊維の製造方法〕
第一繊維群の繊維は公知の方法で得ることができるが、国際公開第2005/095686号パンフレットまたは国際公開第2008/130019号パンフレットに開示された方法で製造されたものが好ましい。すなわち、繊維形成性熱可塑性ポリマーからなる島成分と、前記の繊維形成性熱可塑性ポリマーよりもアルカリ水溶液に対して溶解し易いポリマー(以下、「易溶解性ポリマー」ということもある。)からなる海成分とを有する複合繊維にアルカリ減量加工を施し、前記海成分を溶解除去したものであることが好ましい。
ここで、海成分を形成するアルカリ水溶液易溶解性ポリマーの、島成分を形成する繊維形成性熱可塑性ポリマーに対する溶解速度比が200以上(好ましくは300~3000)であると、島分離性が良好となり好ましい。
海成分を形成する易溶解性ポリマーとしては、特に繊維形成性の良いポリエステル類、脂肪族ポリアミド類、ポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィン類を好ましい例としてあげることができる。さらに具体例をあげれば、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリアルキレングリコール系化合物と5-ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルが、アルカリ水溶液に対して溶解しやすく好ましい。ここでアルカリ水溶液とは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム水溶液などをいう。これ以外にも、海成分と、該海成分を溶解する溶液の組合せとしては、ナイロン6やナイロン66等の脂肪族ポリアミドに対するギ酸、ポリスチレンに対するトリクロロエチレン等やポリエチレン(特に高圧法低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン)に対する熱トルエンやキシレン等の炭化水素系溶媒、ポリビニルアルコールやエチレン変性ビニルアルコール系ポリマーに対する熱水を例としてあげることができる。
ポリエステル系ポリマーの中でも、5-ナトリウムスルホイソフタル酸6~12モル%と分子量4000~12000のポリエチレングリコールを3~10重量%共重合させた固有粘度が0.4~0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。ここで、5-ナトリウムスルホイソフタル酸は親水性と溶融粘度向上に寄与し、ポリエチレングリコール(PEG)は親水性を向上させる。また、PEGは分子量が大きいほど、その高次構造に起因すると考えられる親水性増加作用があるが、反応性が悪くなってブレンド系になるため、耐熱性や紡糸安定性の面で問題が生じるおそれがある。また、共重合量が10重量%以上になると、溶融粘度が低下するおそれがある。
一方、島成分を形成する難溶解性ポリマーとしては、最終的にナノファイバーを形成するポリマーであり、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリオレフィン類、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などが好適な例としてあげられる。具体的には、機械的強度や耐熱性を要求される用途では、ポリエステル類では、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と称することもある。)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、これらを主たる繰返し単位とする、イソフタル酸や5-スルホイソフタル酸金属塩等の芳香族ジカルボン酸やアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸やε-カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸縮合物、ジエチレングリコールやトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等のグリコール成分等との共重合体が好ましい。また、ポリアミド類では、ナイロン6、ナイロン66等の脂肪族ポリアミド類が好ましい。一方、ポリオレフィン類は酸やアルカリ等に侵され難いことや、比較的低い融点のためにナノファイバーとして取り出した後のバインダー成分として使える等の特徴があり、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、無水マレイン酸などのビニルモノマーのエチレン共重合体等を好ましい例としてあげることができる。特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、イソフタル酸共重合率が20モル%以下のポリエチレンテレフタレートイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、等のポリエステル類、あるいは、ナイロン6、ナイロン66等の脂肪族ポリアミド類が、高い融点による耐熱性や力学的特性を備えているので、ポリビニルアルコール/ポリアクリロニトリル混合紡糸繊維からなる極細フィブリル化繊維に比べ、耐熱性や強度を要求される用途へ適用でき好ましい。なお、島成分は丸断面に限らず、三角断面や扁平断面などの異型断面であってもよい。
前記の海成分を形成するポリマーおよび島成分を形成するポリマーについて、製糸性および抽出後のナノファイバーの物性に影響を及ぼさない範囲で、必要に応じて、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂等の離型改良剤、等の各種添加剤を含んでいても差しつかえない。
前記の海島型複合繊維において、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。かかる関係にある場合には、海成分の複合重量比率が40%未満と少なくなっても、島同士の接合を防止しやすい。
好ましい溶融粘度比(海/島)は、1.1~2.0、特に1.3~1.5の範囲である。この比が1.1倍未満の場合には、溶融紡糸時に島成分が接合しやすくなり、一方2.0倍を超える場合には、粘度差が大きすぎるために紡糸調子が低下しやすい。
次に島数は、100以上(より好ましくは500~2000)であることが好ましい。また、その海島複合重量比率(海:島)は、20:80~80:20の範囲が好ましい。かかる範囲であれば、島間の海成分の厚みを薄くすることができ、海成分の溶解除去が容易となり、島成分のナノファイバーへの転換が容易になるので好ましい。ここで海成分の割合が80%を越える場合には海成分の厚みが厚くなりすぎ、一方20%未満の場合には海成分の量が少なくなりすぎて、島間に接合が発生しやすくなるおそれがある。
溶融紡糸に用いられる口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群(ピンレス)を有するものなど任意のものを用いることができる。例えば、中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島断面が形成されるといった紡糸口金でもよい。吐出された海島型複合繊維は冷却風により固化され、所定の引き取り速度に設定した回転ローラーあるいはエジェクターにより引き取られ未延伸糸(複屈折率Δnが0.05以下であることが好ましい。)を得る。この引き取り速度は特に限定されないが、200~5000m/分であることが好ましい。200m/分以下では生産性が低下するおそれがある。また、5000m/分以上では紡糸安定性が低下するおそれがある。
得られた繊維は、海成分を抽出後に得られる極細繊維の用途・目的に応じて、そのままカット工程あるいはその後の抽出工程に供してもよいし、目的とする強度・伸度・熱収縮特性に合わせるために、延伸工程や熱処理工程を経由して、カット工程あるいはその後の抽出工程に供することができる。延伸工程は紡糸と延伸を別ステップで行う別延方式でもよいし、一工程内で紡糸後直ちに延伸を行う直延方式を用いてもよい。
次に、かかる複合繊維を、島径Dに対する繊維長Lの比L/Dが例えば100~2500となるようにカットする。かかるカットは、数十本~数百万本単位に束ねたトウにしてギロチンカッターやロータリーカッターなどでカットすることが好ましい。
前記の繊維径Dを有する繊維は、前記複合繊維にアルカリ減量加工を施すことにより得られる。その際、アルカリ減量加工において、繊維とアルカリ液の比率(浴比)は0.1~5重量%であることが好ましく、さらには0.4~3重量%であることが好ましい。0.1%重量未満では繊維とアルカリ液の接触は多いものの、排水等の工程性が困難となるおそれがある。一方、5%重量以上では繊維量が多過ぎるため、アルカリ減量加工時に繊維同士の絡み合いが発生するおそれがある。なお、浴比は下記式にて定義する。
浴比(%)=(繊維質量(gr)/アルカリ水溶液質量(gr)×100)
また、アルカリ減量加工の処理時間は5~60分間であることが好ましく、さらには10~30分間であることが好ましい。5分間未満であるとアルカリ減量が不十分となるおそれがある。一方、60分間を超えると島成分までも減量されるおそれがある。
また、アルカリ減量加工において、アルカリ濃度は2~10重量%であることが好ましい。2%重量未満では、アルカリ不足となり、減量速度が極めて遅くなるおそれがある。一方、10重量%を越えるとアルカリ減量が進みすぎ、島部分まで減量されるおそれがある。
さらには、アルカリ減量加工の後、繊維の分散性を高めるために分散剤(例えば、高松油脂(株)製の型式YM-81)を繊維表面に、繊維重量に対して0.1~5.0重量%付着させることが好ましい。
なお、前記のカット工程とアルカリ減量工程の順序を逆にして、まずアルカリ減量加工を行った後、カットを行ってもよい。
〔第二繊維群の繊維〕
第二繊維群の繊維は、熱可塑性樹脂の繊維であり、好ましくはポリエステル繊維、ポリアミド繊維またはポリプロピレン繊維である。
第二繊維群は、熱融着性繊維を含むことが好ましい。この場合、第二繊維群における熱融着性繊維の含有量は、第二繊維群の繊維の合計重量を基準として、例えば20重量%以上以上、好ましくは30~100重量%である。
熱融着性繊維のうち、未延伸糸としては、紡糸速度が600~1500m/分で紡糸された未延伸ポリエステル繊維が好ましい。ポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレタレート、ポリブチレンテレフタレートが挙げられる。好ましくは生産性、水への分散性などの理由から、ポリエチレンテレフタレートやそれを主成分とする共重合ポリエステルが好ましい。
また、熱融着性繊維のうち、複合繊維としては、抄紙時のドライヤー温度により融着接着効果を発現するポリマー成分、たとえば非結晶性共重合ポリエステルが鞘部に配置され、これらのポリマーより融点が20℃以上高い他のポリマーが芯部に配置された芯鞘型複合繊維が好ましい。また、偏心芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維などの形態も使用できる。
ここで、上記の非結晶性共重合ポリエステルは、テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコールおよびジエチレングリコールを主成分として用いることがコスト面からも好ましい。
〔不織布の製造方法〕
湿式不織布を製造する方法としては、通常の長網抄紙機、短網抄紙機、丸網抄紙機などを用いて抄紙した後、熱処理することにより、熱融着繊維でナノファイバーを熱接着することが好ましい。その際、熱処理工程としては、抄紙工程後、ヤンキードライヤー、エアースルードライヤーのどちらでも可能である。また、熱処理の後、金属/金属ローラー、金属/ペーパーローラー、金属/弾性ローラーなどのカレンダー/エンボスを施してもよい。各層は1層ごとに湿式抄紙した後、積層してもよいし、多層抄きしてもよい。
以下、実施例を挙げて説明する。なお、重量%を「wt%」と表記することがある。
(1)平均繊維径
透過型電子顕微鏡TEM(測長機能付)を使用し、倍率30000倍で繊維断面写真を撮影し測定した。ただし、繊維径は、単繊維横断面におけるその外接円の直径を用いた。n数5の平均値を平均繊維径とした。
(2)平均繊維長
走査型電子顕微鏡(SEM)により、海成分溶解除去前の極細短繊維(短繊維A)を基盤上に寝かせた状態とし、20~500倍で繊維長Lを測定した。その際、SEMの測長機能を活用して繊維長Lを測定した。n数5の平均値を平均繊維長とした。
(3)目付け
JIS P8124(紙のメートル坪量測定方法)に基づいて目付を測定した。
(4)厚さ
JIS P8118(紙及び板紙の厚さと密度の測定方法)に基づいて厚みを測定した。測定荷重は75g/cmとした。n数5の平均値を求め、厚さとした。
(5)ガーレ透気度
JIS P8117(紙および板紙の透気度試験方法)に基づいて測定した。
(6)溶融粘度
乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットした。そのデータをもとに、せん断速度-溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000sec-1の時の溶融粘度を読み取った。
(7)平均孔径、最大孔径
PMI社製パームポロメーターにより測定した。
(8)SiOスラリー濾過速度
平均粒子径450nmに調整されたSiOスラリー(重量濃度10%)と平均粒子径20nmに調整されたスラリー(重量濃度10%)を100:1の割合で混合したものをφ47mmの濾材に通液した際の濾過速度を計測した。
(9)SiOスラリー濁度除去率
平均粒子径450nmに調整されたSiOスラリー(重量濃度10%)と平均粒子径15nmに調整されたスラリー(重量濃度10%)を100:1の割合で混合したものをφ47mmの濾材に通液し、濾過前後の濁度をセムコーポレーション製 ポータブル濁度系CT100を使用して測定した。
(10)濾過後SiOスラリーの粒子径分布ピーク比
平均粒子径450nmに調整されたSiOスラリー(重量濃度10%)と平均粒子径15nmに調整されたスラリー(重量濃度10%)を100:1の割合で混合したものをφ47mmの濾材に通液し、濾過前後の液中の粒子径分布をマルバーン製ゼータサイザーナノにより測定し、粒子径15nm付近と粒子径450nm付近とのピーク比率を読み取った。濾過前液の15nmピーク比率は20%、450nmピーク比率は79%であった。
(11)濾過後SiOスラリーのメンブレン濾過速度
平均粒子径450nmに調整されたSiOスラリー(重量濃度10%)と平均粒子径15nmに調整されたスラリー(重量濃度10%)を100:1の割合で混合したものをφ47mmの濾材に通液し、濾過後の液をさらにミリポア製 φ47mm親水性PVDFメンブレンフィルター(濾過精度0.22μm)に通液した際の濾過速度を計測した。
〔実施例1〕
島成分にポリエチレンテレフタレート、海成分にポリエチレングリコールを4重量%、5-ナトリウムスルホイソフタル酸を9mol%共重合した改質ポリエチレンテレフタレートを使用し、海:島=50:50、島数=1440の海島型複合未延伸糸を、紡糸温度290℃、紡糸速度1000m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。得られた未延伸糸を、延伸倍率4.0倍でローラー延伸し、次いで180℃で熱セットし、海島型複合延伸糸として巻き取った。これを繊維長0.2mmにカットしてアルカリ減量することにより、平均繊維径200nmのナノファイバーAを得た。
第一繊維群として前記ナノファイバーAを濾材重量に対して60wt%となるよう配合し、第二繊維群として繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)×繊維長3mmの低融点ポリエチレンテレフタレート繊維(非ナノファイバーB)を濾材重量に対して40wt%となるように配合してスラリーを作製した。上記を使用して分散剤・消泡剤を適量添加して、分散させたスラリーを湿式抄紙し、ニップローラーでの脱水後、巻き取った。引き続いて、ベルト式乾燥機に巻出しながら導入し、加熱収縮によりバインダー間のネットワークを形成して構造固定したのち、一定の張力にて巻き取り、目付19.0g/mの不織布濾材を得た(表1)。上記の方法で作製した不織布濾材の厚みは0.047mmとなり、密度は0.408g/cmとなり、空隙率は70%であった。また、不織布濾材の平均孔径は0.24μmとなり、最大孔径は0.62μmであった。得られた不織布濾材を2枚積層して得た液体フィルター用濾材のSiOスラリーの濾過速度は1.40mL/minであり、濁度除去率は95%であり、15nmピーク比率は98%となった。濾過後SiOスラリーをメンブレン濾過した際の濾過速度は234.4mL/minであった。結果を表2に示す。
〔実施例2〕
上記実施例1の第二繊維群に繊度0.6dtex(平均繊維径7.4μm)×繊維長5mmのポリエチレンテレフタレート繊維(非ナノファイバーC)を加え、前記ナノファイバーAを濾材重量に対して60wt%となるように配合し、非ナノファイバーBおよび非ナノファイバーCの合計である第二繊維群を濾材重量に対して40wt%となるように配合したスラリーを作製し、実施例1と同様に抄紙することで目付19.8g/mの不織布濾材を得た。上記の方法で作製した不織布濾材の厚みは0.055mmとなり、密度は0.362g/cmとなり、空隙率は73%であった。また、不織布濾材の平均孔径は0.28μmであり、最大孔径は0.79μmであった(表1)。得られた不織布濾材を2枚積層して得た液体フィルター用濾材のSiOスラリーの濾過速度は1.47mL/minであり、濁度除去率は92%であり、15nmピーク比率は85%となり、濾過後SiOスラリーをメンブレン濾過した際の濾過速度は230.8mL/minであった。結果を表2に示す。
〔実施例3〕
上記実施例1で用いた第一繊維群の配合を濾材重量に対して40wt%とした。また、第二繊維群として、繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)×繊維長0.3mmのポリエチレンテレフタレート繊維(非ナノファイバーD)と、前記非ナノファイバーBの合計が濾材重量に対して60wt%となるように配合したスラリーを作製し、実施例1と同様に抄紙することで目付21.8g/mの不織布濾材を得た。上記の方法で作製し
た不織布濾材の厚みは0.054mmとなり、密度は0.401g/cmとなり、空隙率は70%であった。また、不織布濾材の平均孔径は0.30μmであり、最大孔径は0.97μmであった(表1)。得られた不織布濾材を2枚積層して得た液体フィルター用濾材のSiOスラリーの濾過速度は1.60mL/minであり、濁度除去率は90%であり、15nmピーク比率は69%となり、濾過後SiOスラリーをメンブレン濾過した際の濾過速度は194.8mL/minであった。結果を表2に示す。
〔比較例1〕
上記実施例1で用いた第一繊維群の配合を濾材重量に対して30wt%とした。また、第二繊維群として、繊度1.7dtex(平均繊維径12.6μm)×繊維長5mmのポリエチレンテレフタレート繊維(非ナノファイバーE)と、繊度1.7dtex(平均繊維径12.6μm)×繊維長5mmの低融点ポリエチレンテレフタレート繊維(非ナノファイバーF)の合計が濾材重量に対して70wt%となるように配合(非ナノファイバーEと非ナノファーバーFとの重量比率を4:3とした)したスラリーを作製し、実施例1と同様に抄紙することで目付29.3g/mの不織布濾材を得た。上記の方法で作製した不織布濾材の厚みは0.110mmとなり、密度は0.266g/cmとなり、空隙率は80%であった。また、不織布濾材の平均孔径は0.45μmであり、最大孔径は3.21μmであった(表1)。得られた不織布濾材を2枚積層して得た液体フィルター用濾材のSiOスラリーの濾過速度は5.98mL/minであり、濁度除去率は19%であり、15nmピーク比率は28%となり、濾過後SiOスラリーをメンブレン濾過した際の濾過速度は2.9mL/minであった。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
上記実施例1で用いた第一繊維群に平均繊維径700nm×繊維長0.5mmのナノファイバーGを加え、第一繊維群として、上記ナノファイバーAと、ナノファイバーGを合計した重さが不織布濾材重量に対して30wt%となるように配合(ナノファイバーAとナノファイバーGとの重量比率を1:1とした)し、第二繊維群として、前記非ナノファイバーBと前記非ナノファイバーDを合計した重さが70%となるように配合(非ナノファイバーBと非ナノファイバーDとの重量比率を3:4とした)したスラリーを作製し、実施例1と同様に抄紙することで目付29.5g/mの不織布濾材を得た。上記の方法で作製した不織布濾材の厚みは0.071mmとなり、密度は0.414g/cmとなり、空隙率は70%であった。また、不織布濾材の平均孔径は0.73μmであり、最大孔径は2.15μmであった(表1)。得られた不織布濾材を2枚積層して得た液体フィルター用濾材のSiOスラリーの濾過速度は37.9mL/minであり、濁度除去率は6%であり、15nmピーク比率は21%となり、濾過後SiOスラリーをメンブレン濾過した際の濾過速度は3.5mL/minであった。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
実施例1においてナノファイバーAを平均繊維径400nm×繊維長0.4mmのナノファイバーHに変更し、第一繊維群としてナノファイバーHを濾材重量に対して60wt%となるように配合し、第二繊維群として平均繊維径1.2μm×0.4mmの未延伸ポリエチレンテレフタレート(非ナノファイバーI)と、前記非ナノファイバーBの合計が濾材重量に対して40wt%となるように配合(非ナノファイバーIと非ナノファイバーBとの重量比率を1:1とした)したスラリーを作製し、実施例1と同様に抄紙することで目付20.7g/mの不織布濾材を得た。上記の方法で作製した不織布濾材の厚みは0.044mmとなり、密度は0.475g/cmとなり、空隙率は65%であった。また、不織布濾材の平均孔径は0.45μmであり、最大孔径は1.18μmであった(表1)。得られた不織布濾材を2枚積層して得た液体フィルター用濾材のSiOスラリーの濾過速度は4.10mL/minであり、濁度除去率は25%であり、15nmピーク比率は27%となり、濾過後SiOスラリーをメンブレン濾過した際の濾過速度は2.9mL/minであった。結果を表2に示す。
〔比較例4〕
市販の親水性PVDF製メンブレンフィルター(精度0.22μm)を用意した。このメンブレンフィルターの目付は74g/mであり、厚みは0.130mmであり、密度は0.573g/cmであり、空隙率は68%であった。平均孔径は0.20μmであり、最大孔径は0.46μmであった(表1)。上記メンブレンフィルターを使用したときのSiOスラリーの濾過速度は1.67mL/minであり、濁度除去率は94%であり、15nmピーク比率は92%となり、濾過後SiOスラリーをメンブレン濾過した際の濾過速度は182.9mL/minであった。結果を表2に示す。
Figure 2022154122000001
Figure 2022154122000002
以下、表2に記載の結果を説明する。実施例1~3は、SiOスラリーの濁度除去率が90%以上となり、15nmピーク比率がおよそ70%以上となり、450nmピーク比率が25%以下に低下している。また、濾過後SiOスラリーをメンブレン濾過した際の濾過速度が190mL/minを上回ることから、スラリー中の粗大粒子(粒径450nm)が効果的に除去されていることを示す良好な結果が得られた。比較例1は繊維径200nmのナノファイバーを使用しているが第二繊維群の非ナノファイバーの繊維径が8μmを超えるため、濾材の最大孔径が増大し、濁度除去率が低く、450nmピーク比率が低下していない。濾過後SiOスラリーをメンブレン濾過した際の濾過速度が大幅に小さいことからも、粗大粒子の除去性能が低いことが示された。比較例2は第一繊維群中の繊維径200nmのナノファイバーAの割合を20%以下としたことから除去性能が低下した。比較例3は第一繊維群に平均繊維径が300nmより大きい繊維を使用し、繊維径1.2μmの非ナノファイバーIを使用し濾過精度向上を図ったものであるが、空隙率が70%以下となり濾過速度の低下が起きた。また、除去性能の向上には至らなかった。比較例4にて市販のメンブレンフィルターを用いて同様の濾過試験を実施した結果、SiOスラリーの濾過速度および濁度除去率は、本発明の実施例1~3と同等であり、濾過後SiOスラリーをメンブレン濾過した際の濾過速度は本発明の実施例1~3が上回る結果となった。以上より、平均繊維径が100~300nmのナノファイバーAと平均繊維径が1~8μmの非ナノファイバーである第二繊維群から構成され、第一繊維群の重量比率が濾材重量に対して20~70%の範囲内にある濾材は、平均孔径0.35μm以下かつ最大孔径を平均孔径で除した値が3.5以下の微細かつ均一な構造を保ちながらも、空隙構造を保持しているため、サブミクロンオーダーの除去ターゲット粗粒とナノメートルオーダーの非ターゲット粒子との混合液を濾過した際、非ターゲット粒子を通過させながらターゲット粗粒を効率的に捕集する分級濾過性能に優れ、非ターゲット粒子の凝集を防ぎながら濾過処理が可能であることにより、メンブレンフィルターと同等あるいはそれを上回る濾過精度を有することが示された。
本発明の液体フィルター用濾材およびそれを用いた液体フィルターは、研磨スラリーや半導体プロセス等、ナノメートルオーダー粒子が分散したスラリーに含まれる、凝集物等のサブミクロン粗粒を捕集する用途に好適に用いられるが、食品・飲料・製薬・電子材料等工業製品の製造プロセスなどにも用いてもよい。

Claims (9)

  1. 有機繊維の不織布からなる液体フィルター用濾材であって、該不織布は平均繊維径100~300nmの第一繊維群と平均繊維径1~8μmの第二繊維群とから構成され、該不織布において第一繊維群の重量が第一繊維群および第二繊維群の合計重量の20~70重量%を占め、該不織布は平均孔径が0.35μm以下であり、かつ最大孔径を平均孔径で除した値が3.5以下であることを特徴とする液体フィルター用濾材。
  2. 不織布の空隙率が70~80%である、請求項1に記載の液体フィルター用濾材。
  3. 不織布の厚さが0.01~0.1mmである、請求項1および2のいずれかに記載の液体フィルター用濾材。
  4. ガーレ透気度が20秒/100cc以下である、請求項1~3のいずれかに記載の液体フィルター用濾材。
  5. 第一繊維群が、ポリエステル繊維および/またはポリプロピレン繊維からなる、請求項1~4のいずれかに記載の液体フィルター用濾材。
  6. 第二繊維群が、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維またはポリプロピレン繊維からなる、請求項1~5のいずれかに記載の液体フィルター用濾材。
  7. 第二繊維群が熱融着性繊維を含む、請求項6に記載の液体フィルター用濾材。
  8. 不織布が湿式不織布である、請求項7に記載の液体フィルター用濾材。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の液体フィルター用濾材を濾材として用いた、カートリッジ型またはカプセル型の液体フィルター。
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