JP2022153796A - 可変容量圧縮機およびその制御弁 - Google Patents

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明信 金井
Akinobu Kanai
健治 山本
Kenji Yamamoto
智洋 村上
Tomohiro Murakami
啓介 鈴木
Keisuke Suzuki
正明 利根川
Masaaki Tonegawa
領太 菅村
Ryota Sugamura
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Abstract

【課題】可変容量圧縮機に適用される制御弁において、弁体の作動安定性を確保するとともに抽気通路の開度を調整できる機構を簡易な構成にて実現する。【解決手段】制御弁1のボディ5は、ソレノイド3に近い側から順に吸入圧室20、制御圧室19、吐出圧室18を有する。ガイド孔28とは別に制御圧室19と吸入圧室20とを連通させる連通路46が設けられる。作動ロッド42が、ガイド孔28に摺動可能に挿通され、ソレノイド3の駆動力を弁体36に伝達する。この制御弁1は、連通路46の開度を変化させる開閉機構をさらに備える。【選択図】図2

Description

本発明は、可変容量圧縮機およびその制御弁に関する。
自動車用空調装置は、一般に、圧縮機、凝縮器、膨張装置、蒸発器等を冷凍サイクルに配置して構成される。圧縮機としては、エンジンの回転数によらず一定の冷房能力が維持されるように、冷媒の吐出容量を可変できる可変容量圧縮機(単に「圧縮機」ともいう)が用いられている。
圧縮機は、エンジンによって駆動される回転軸を有する。その回転軸に取り付けられた斜板に圧縮用のピストンが連結され、斜板の角度を変化させてピストンのストロークを変えることにより冷媒の吐出容量を調整する。斜板の角度は、圧縮機の制御室内に吐出冷媒の一部を導入し、ピストンの両面にかかる圧力の釣り合いを変化させることで連続的に変えられる。この制御室の圧力(以下「制御圧力」という)は、例えば圧縮機の吐出室と制御室との間に設けられた制御弁(電磁弁)により制御される。
圧縮機には、冷媒の循環路として、冷凍サイクルを循環させるための外部循環路のほか、圧縮機内を循環させるための内部循環路が設けられる。この内部循環路は、吐出室と制御室とを連通させる給気通路と、制御室と吸入室とを連通させる抽気通路を含む。一般に、給気通路は上述した制御弁を経る通路として構成され、抽気通路は圧縮機のハウジングに設けられた通路により構成される。このハウジングの通路には一般に、冷媒の排出量を必要最小限に抑えるためのオリフィスが設けられている。
制御弁は、駆動部としてのソレノイドに外部から電流を供給することで、その弁開度が調整される。空調装置の起動時には、ソレノイドに最大電流を流すことで弁部を閉状態として給気通路を遮断する。このとき、制御室からの冷媒の排出は、抽気通路のオリフィスを経由して継続される。このため、圧縮機の制御圧力を低くして斜板を回転軸に対して大きく傾けることができ、圧縮機を最大容量で運転させることができる。それにより、空調装置を機能させることができる。
ところで、圧縮機における内部循環は、冷凍サイクルにおける冷媒の循環にロスを生じさせるため、特に空調装置の運転時においてはその循環量を必要最小限に抑えることが望ましい。この観点からは抽気通路は小さいほうが好ましい。一方、空調装置の起動時には抽気通路からの冷媒の排出を促進して圧縮機を速やかに起動することが望ましい。この観点からは抽気通路の大きさをある程度確保する必要がある。この相反する要求を満たすためには、抽気通路の開度を可変できる機構が必要となる。
そこで、ハウジングに設ける抽気通路(第1抽気通路)のオリフィスを必要最小限の大きさとする一方、制御弁を経由するもう一つの抽気通路(第2抽気通路)を設け、第2抽気通路の開度を弁機構により調整する構成が提案されている(例えば特許文献1参照)。具体的には、制御弁のボディに吐出室に連通する圧力室(吐出圧室)と、制御室に連通する圧力室(制御圧室)と、吸入室に連通する圧力室(吸入圧室)が設けられる。そして、吐出圧室と制御圧室とを連通させる弁孔の開度を調整する給気弁と、制御圧室と吸入圧室とを連通させる連通路の開度を調整する抽気弁とが、共用のソレノイドにより開閉駆動される。給気弁の弁体の作動に応じて、抽気弁の開度(つまり第2抽気通路の開度)が調整される。
国際公開第2017/002784号
特許文献1の制御弁は、制御圧室と吸入圧室とが連通路を介して隣接配置される点で簡素な構成を実現している。しかしながら、その簡素な構成であるが故、ソレノイドの駆動力を弁体に伝達するロッドをガイドする部分がない。このため、制御弁の定常制御状態において弁体がふらつき、その作動安定性を確保し難い点で改善の余地があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、可変容量圧縮機に適用される制御弁において、弁体の作動安定性を確保するとともに抽気通路の開度を調整できる機構を簡易な構成にて実現することにある。
本発明のある態様は、吸入室、吐出室および制御室を有し、制御室の圧力を調整することにより吐出容量が可変となる可変容量圧縮機に適用される制御弁である。この制御弁は、吐出室に連通する吐出圧室と、制御室に連通する制御圧室と、吸入室に連通する吸入圧室と、吐出圧室と制御圧室とを軸線方向に連通させる弁孔と、弁孔と同軸状に設けられ、一端が制御圧室に開口し、他端が吸入圧室に開口するガイド孔と、を有するボディと、弁孔に接離して弁部を開閉する弁体と、供給電流値に応じた軸線方向の駆動力を発生するソレノイドと、ガイド孔に摺動可能に挿通され、ソレノイドの駆動力を弁体に伝達する作動ロッドと、吸入圧室の吸入圧力を感知し、その吸入圧力の大きさに応じて弁部の開閉方向の駆動力を発生する感圧部と、を備える。
ボディは、ソレノイドに近い側から順に吸入圧室、制御圧室、吐出圧室を有する。ガイド孔とは別に制御圧室と吸入圧室とを連通させる連通路が設けられる。この制御弁は、連通路の開度を変化させる開閉機構をさらに備える。
この態様では、ボディにおいてソレノイド側から順に吸入圧室、制御圧室、吐出圧室の配列を有するため、抽気弁と給気弁とが制御室を介して並設されることとなり、制御弁の構成が簡素化される。弁部(給気弁)の制御状態においては、弁体と一体に変位する作動ロッドがガイド孔に摺動して安定に支持される。また、開閉機構が連通路の開度(つまり抽気弁の開度)を変化させる。すなわち、この態様によれば、簡易な構成にて弁体の作動安定性を確保するとともに抽気通路の開度を調整できる。
本発明によれば、可変容量圧縮機に適用される制御弁において、弁体の作動安定性を確保するとともに抽気通路の開度を調整できる機構を簡易な構成にて実現できる。
実施形態に係る圧縮機を含む冷凍サイクルを概略的に表す図である。 制御弁の構成を示す断面図である。 図2の上半部に対応する部分拡大断面図である。 制御弁の制御特性を表す図である。 変形例1に係る制御弁の上半部拡大図である。 変形例2に係る制御弁の上半部拡大図である。 変形例2に係る制御弁の制御特性を表す図である。 変形例3に係る制御弁の構成を表す断面図である。 変形例4に係る制御弁の構成を表す断面図である。 変形例5に係る制御弁の構成および動作を表す図である。 変形例5に係る制御弁の構成および動作を表す図である。 変形例5に係る制御弁の構成および動作を表す図である。 変形例6に係る制御弁の上半部拡大図である。 変形例7に係る制御弁の構成を表す図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。また、以下の実施形態およびその変形例について、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
(冷凍サイクル)
図1は、実施形態に係る圧縮機を含む冷凍サイクルを概略的に表す図である。
圧縮機100は、自動車用空調装置の冷凍サイクルに設置されるクラッチ式の可変容量圧縮機である。圧縮機100は、冷凍サイクルを流れる冷媒を圧縮して高温・高圧のガス冷媒にして吐出する。そのガス冷媒は凝縮器111(外部熱交換器)にて凝縮され、さらに膨張装置113により断熱膨張されて低温・低圧の霧状の冷媒となる。この低温・低圧の冷媒が蒸発器115にて蒸発し、その蒸発潜熱により車室内空気を冷却する。蒸発器115で蒸発された冷媒は、再び圧縮機100へと戻されて冷凍サイクルを循環する。冷媒には例えば代替フロン(HFC-134a)が使用されるが、他の冷媒(HFO-1234yf等)を使用してもよい。圧縮機100は、そのハウジング内に冷媒を圧縮するための機構のほか、冷媒の内部循環を制御する制御弁1を備える。
(圧縮機)
圧縮機100のハウジングは、シリンダブロック102と、シリンダブロック102の前端側に接合されたフロントハウジング104と、シリンダブロック102の後端側に接合されたリアハウジング106とを組み付けて構成される。シリンダブロック102とリアハウジング106との間にはバルブプレート108が介装されている。シリンダブロック102は、その軸線周りに複数のシリンダ110を有する。シリンダブロック102とフロントハウジング104とに囲まれた空間に制御室112が形成されている。
リアハウジング106の内部に吸入室114、吐出室116および取付孔118が区画形成されている。制御弁1は、取付孔118に収容されるようにして圧縮機100に取り付けられる。制御弁1は、吐出室116から制御室112へ導入する冷媒の流量を調整するとともに、制御室112から吸入室114へ導出する冷媒の流量も調整する。
リアハウジング106には、また、蒸発器115側から吸入室114に冷媒を導入する冷媒入口120、吐出室116から凝縮器111へ向けて吐出冷媒を導出する冷媒出口122、吸入室114と取付孔118とを連通させる連通路124、取付孔118と連通する連通路126、吐出室116と取付孔118とを連通させる連通路128が設けられている。
シリンダブロック102には、連通路126と制御室112とを連通させる連通路180が設けられている。連通路128、制御弁1の内部通路、連通路126および連通路180が「給気通路」を構成する。シリンダブロック102には、また、制御室112と吸入室114とを連通させる連通路182が設けられている。連通路182の中途には、オリフィス184が設けられており、制御室112から吸入室114へ排出される冷媒の流量を制限している。連通路182は「第1抽気通路」として機能する。
制御室112には、その中心を貫通するように回転軸130が配置されている。回転軸130は、シリンダブロック102に設けられた軸受132と、フロントハウジング104に設けられた軸受134とによって回転自在に支持されている。回転軸130にはラグプレート136が固定されており、ラグプレート136に突設された支持アーム138等を介して斜板140が支持されている。
斜板140は、回転軸130の軸線に対して傾動可能となっており、複数のシリンダ110に摺動自在に配置されたピストン142にシュー144を介して連結されている。回転軸130は、その前端部分がフロントハウジング104を貫通して外部に延出しており、その先端部分にはブラケット146が螺着されている。また、回転軸130とフロントハウジング104との前端部分の隙間を外側からシールするようにリップシール148(シール部材)が設けられている。リップシール148は、回転軸130の周面に摺接しつつ、その周面に沿った冷媒ガスの漏洩を防止している。
フロントハウジング104の前端部分には軸受150が設けられ、プーリ152が回転自在に支持されている。プーリ152は、電磁クラッチ160を構成し、エンジン170の駆動力を回転軸130に伝達する。すなわち、回転軸130の前端部は、電磁クラッチ160および図示略のベルトを介してエンジン170(外部駆動源)に作動連結されている。
電磁クラッチ160は、プーリ152、電磁コイル162、アーマチュア164および板ばね166を有する。アーマチュア164は、ブラケット146に支持されている。電磁コイル162への通電によりアーマチュア164がプーリ152に接合されることで、エンジン170の駆動力が回転軸130に伝達される。電磁コイル162への通電を遮断すると、板ばね166の付勢力によりアーマチュア164がプーリ152から離間し動力伝達が遮断される。このように、電磁コイル162への通電制御によってエンジン170の駆動力が回転軸130に選択的に伝達される。
吸入室114は、バルブプレート108に設けられた吸入用リリーフ弁154を介してシリンダ110に連通する一方、冷媒入口120を介して蒸発器115の出口にも連通している。吐出室116は、バルブプレート108に設けられた吐出用リリーフ弁156を介してシリンダ110に連通する一方、冷媒出口122を介して凝縮器111の入口にも連通している。
斜板140の角度は、制御室112内でその斜板140を付勢するスプリング157、158の荷重や、斜板140につながるピストン142の両面にかかる圧力による荷重等がバランスした位置に保持される。この斜板140の角度は、制御室112内に吐出冷媒の一部を導入して制御圧力Pcを変化させ、ピストン142の両面にかかる圧力の釣り合いを変化させることによって連続的に変化させることができる。この斜板140の角度の変化によってピストン142のストロークを変えることにより、冷媒の吐出容量が調整される。定常制御時における制御室112内の圧力は、制御弁1により制御される。
以上のように構成された圧縮機100は、電磁クラッチ160が連結された状態で容量制御がなされる。電磁クラッチ160は、空調装置の使用時に接続され、空調装置を使用しないときは切断される。空調装置の使用中であっても、車両の急加速時や登坂走行時などエンジン170の動力を車両の推進力に振り向けたい高負荷時には電磁クラッチ160が切断され、圧縮機100の負荷トルクが一時的にカットされる。
圧縮機100は、蒸発器115側から吸入室114に導入された冷媒ガスをシリンダ110に導入して圧縮し、吐出室116から凝縮器111側へ高温・高圧の冷媒を吐出する。その吐出冷媒の一部は、制御弁1を介して制御室112内に導入され、圧縮機100の容量制御に供される。
圧縮機100には冷媒の循環路として、冷凍サイクルを循環させるための外部循環路のほか、圧縮機100内を循環させるための内部循環路が形成される。圧縮機100のシリンダ110に導入された冷媒の一部は、いわゆるブローバイガスとして、シリンダ110とピストン142とのクリアランスを通って制御室112へ漏れる。このブローバイガスも内部循環に寄与している。なお、本実施形態の制御室112はクランク室からなるが、変形例においてはクランク室内又はクランク室外に別途設けられた圧力室でもよい。
(制御弁)
図2は、制御弁1の構成を示す断面図である。
制御弁1は、圧縮機100の吸入圧力Psと大気圧との差圧(つまり吸入圧力のゲージ圧)を感知して動作し、吸入圧力Psを設定圧力に保つように、吐出室116から制御室112に導入する冷媒流量を制御するPs感知弁として構成されている。
制御弁1は、弁本体2とソレノイド3とをダイヤフラム4を介して軸線方向に組み付けて構成される。弁本体2は、圧縮機100の運転時に吐出冷媒の一部を制御室112へ導入するための第1の冷媒通路の開度を調整する弁部(第1弁部)と、制御室112の冷媒を114へ導出するための第2の冷媒通路の開度を調整する弁部(第2弁部)を含む。第1の冷媒通路は「給気通路」を構成し、第2の冷媒通路は「第2抽気通路」を構成する。各弁部および各冷媒通路の詳細については後述する。
ソレノイド3は、各弁部を開閉方向に駆動し、それらの開度を調整する。それにより、制御室112へ導入される冷媒流量と、制御室112から導出される冷媒流量とのバランスが調整される。弁本体2は、段付円筒状のボディ5、ボディ5の内部に設けられた弁部等を備えている。ダイヤフラム4は、弁本体2のボディ5と、ソレノイド3のボディ7との間に配置され、吸入圧力Psと大気圧との差圧を感知して軸線方向に変位する。ボディ5は「バルブボディ」として機能し、ボディ7は「ソレノイドボディ」として機能する。ダイヤフラム4は「感圧部」を構成し、「感圧部材」として機能する。
ボディ5の上端開口部にはポート12が設けられ、側部には上方からポート14,16が設けられている。ポート12は「吐出室連通ポート」として機能し、圧縮機100の吐出室116に連通する。ポート14は「制御室連通ポート」として機能し、圧縮機100の制御室112に連通する。ポート16は「吸入室連通ポート」として機能し、圧縮機100の吸入室114に連通する。ボディ5の下端部がボディ7の上端部に組み付けられている。
ボディ5には、上端側から順に吐出圧室18、制御圧室19、吸入圧室20が設けられている。吐出圧室18にポート12が設けられ、制御圧室19にポート14が設けられ、吸入圧室20にポート16が設けられている。言い換えれば、ポート12は吐出圧室18の一部を構成し、ポート14は制御圧室19の一部を構成し、ポート16は吸入圧室20の一部を構成する。ボディ5は、ソレノイド3に近い側から順に吸入室114に連通する吸入圧室20、制御室112に連通する制御圧室19、および吐出室116に連通する吐出圧室18が配置された構成を有する。
吐出圧室18と制御圧室19とを軸線方向に連通させるように弁孔22が設けられ、弁孔22の上流側端部に弁座24が設けられている。ポート12には、有底円筒状のフィルタ部材15が取り付けられている。フィルタ部材15は、ボディ5の内部への異物の侵入を抑制するためのメッシュを含む。
ボディ5において制御圧室19と吸入圧室20との隔壁を貫通するように、ガイド孔28が設けられている。すなわち、ガイド孔28の一端が制御圧室19に開口し、他端が吸入圧室20に開口する。弁孔22およびガイド孔28は、ボディ5の軸線に沿って同軸状に形成されている。吸入圧室20は、ボディ5の下方に向けて大きく開口し、その下端開口部がダイヤフラム4およびOリング37によって封止されている。吸入圧室20には、有底円筒状の開閉部材30がボディ5の軸線上に配置されている。
吐出圧室18にボール状の弁体36が配置されている。弁体36が上流側から弁座24に着脱することにより弁部を開閉する。弁体36が弁孔22に接離することにより弁部の開度が調整される。弁体36は、給気通路の開度を調整可能な「給気弁41」として機能する。吐出圧室18には、また、弁体36を閉弁方向に付勢するスプリング40(「第1付勢部材」として機能する)が介装されている。
ガイド孔28を軸線方向に貫通するように作動ロッド42が設けられている。作動ロッド42は、ステンレス鋼からなる円柱状の部材である。作動ロッド42は、弁体36と同軸状に設けられ、ガイド孔28に摺動可能に支持されている。作動ロッド42の上端部が弁孔22に挿通され、弁体36を下流側から支持する。作動ロッド42の下端部は、吸入圧室20に突出する。開閉部材30は、作動ロッド42の下端部を同軸状に収容しつつ、作動ロッド42とダイヤフラム4との間に介装される。なお、作動ロッド42および開閉部材30は、ソレノイド3の駆動力を弁体36へ伝達する「伝達部材」として機能する。
ボディ5の外周面には、制御弁1が圧縮機100の取付孔118に取り付けられた際に冷媒の漏洩を規制するための複数のシールリングが装着される。すなわち、ポート14の上方位置に環状溝21が周設され、Oリング31が嵌着されている。ポート14とポート16の中間位置に環状溝23が周設され、Oリング33が嵌着されている。ポート16の下方位置に環状溝25が周設され、Oリング35が嵌着されている。
一方、ソレノイド3は、ボディ7の内方に駆動機構を収容して構成される。すなわち、ボディ7は、上端部が縮径された段付円筒状のケース50と、ケース50の上端部に同軸状に圧入された段付筒状の接続部材51と、ケース50内に収容された円筒状のボビン52と、ボビン52に巻回された電磁コイル54と、ボビン52の内方に挿通された円筒状のスリーブ56と、ケース50の下端開口部を概ね封止するように設けられた端部材58と、ボビン52の下方にて端部材58に埋設されたカラー59を備える。スリーブ56は、非磁性材料からなる。ケース50、接続部材51およびカラー59は、磁性材料からなり、ソレノイド3の「ヨーク」を構成する。
ボディ7の内方に形成される作動空間60にプランジャ62およびコア64が配設されている。スリーブ56は、接続部材51に対して下方から挿入され、同軸状に固定されている。コア64は、上部の外径がやや小径化された段付円筒状をなし、その上部がスリーブ56の下部に挿通されるように組み付けられている。コア64は、スリーブ56と同軸状に固定されている。
コア64は、軸線方向の貫通孔66を有する。貫通孔66は、上半部がやや拡径された段付孔からなり、その大径部にスプリング68(「第2付勢部材」として機能する)を収容している。スプリング68は、電磁コイル54により生成される磁気回路の中に配置されることとなる。
プランジャ62は、円柱状をなし、スリーブ56に摺動可能に支持されている。プランジャ62は、コア64とダイヤフラム4との間に位置するように作動空間60に配置され、コア64と軸線方向に対向する。コア64とプランジャ62との間には、円板状のスペーサ70が配置されている。スペーサ70は、非磁性材料からなる。
スプリング68は、貫通孔66に設けられた段部とスペーサ70との間に介装される。スプリング68は、スペーサ70を介してプランジャ62を軸線方向に支持し、プランジャ62をコア64から離間する方向に付勢する。
ボディ5の下端面に環状溝27が設けられ、Oリング37が取り付けられている。接続部材51の上面とボディ5の下面との間にダイヤフラム4の外周縁部およびOリング37を挟むようにして、ボディ5が接続部材51に固定されている。それにより、ダイヤフラム4は、弁本体2側の吸入圧室20とソレノイド3側の作動空間60とを仕切るようにして、ボディ5とボディ7との間に介装される。Oリング37は、ダイヤフラム4とボディ5との間をシールすることで冷媒の外部漏れを防止する。
なお、ダイヤフラム4は、ポリイミドフィルム等の薄膜状の樹脂材もしくは金属薄板からなるものでもよい。
ボビン52からは電磁コイル54につながる一対の接続端子74が延出し、それぞれ端部材58を貫通して外部に引き出されている。同図には説明の便宜上、その一対の片方のみが表示されている。端部材58は、ケース50に内包されるソレノイド3内の構造物全体を下方から封止するように取り付けられている。端部材58は、耐食性を有する樹脂材のモールド成形(射出成形)により形成され、その樹脂材が電磁コイル54を外側から覆うように設けられている。端部材58の先端部がコネクタ接続部76とされ、そのコネクタ接続部76から接続端子74の先端部が引き出されている。このコネクタ接続部76に、外部電源とつながる図示しないコネクタが接続される。
端部材58には、作動空間60の内外を連通させる通気通路78が設けられている。通気通路78の一端は作動空間60に開口し、他端はコネクタ接続部76に開口している。外部の大気は、その通気通路78を介して作動空間60に導入される。端部材58の下部外周面に環状溝29が周設され、Oリング39が取り付けられている。Oリング39は、制御弁1が圧縮機100の取付孔118に取り付けられた際に、外部雰囲気がその取付孔118に侵入することを抑制する。
図3は、図2の上半部に対応する部分拡大断面図である。
ボディ5の上端部にはばね受け38が固定され、弁体36とばね受け38との間にスプリング40が介装されている。スプリング40は、弁体36を閉弁方向に付勢する。ボディ5におけるばね受け38の固定位置によってスプリング40の荷重が調整される。弁座24は、弁体36の着脱を容易にするよう、テーパ状に形成されている。
ボディ5は、その下半部が中央のガイド部44を残して外堀を形成するように段付凹状に形成されている。それにより、ポート16(横孔)と吸入圧室20とを直交させている。ガイド部44には、軸線に沿ってガイド孔28が貫通形成されている。このようにガイド部44の長さを十分に大きくすることで、作動ロッド42の摺動長さを大きくし、その作動安定性を確保している。また、ガイド部44の周囲に空間が形成されることで、吸入圧室20の大きさを十分に確保できる。開閉部材30の上端開口部がガイド部44の下面に近接しており、ガイド部44の下面は、開閉部材30の上方への変位を規制する「係止面」として機能する。
作動ロッド42の軸線に対してオフセットした位置に、制御圧室19と吸入圧室20とを連通させる連通路46が設けられている。連通路46は、ガイド孔28と平行に離隔し、制御圧室19と吸入圧室20との間の隔壁をガイド部44の位置にて貫通している。制御圧室19、連通路46および吸入圧室20は「第2抽気通路」を構成する。
開閉部材30は、作動ロッド42を介して弁体36と一体的変位する。開閉部材30の上端面が連通路46の開口端に接離することにより連通路46の開度を変化させる。また吸入圧力Psが低く、弁体36が全開状態となるときには、開閉部材30の上端面が連通路46の開口端に着座して連通路46を閉じる。開閉部材30は、第2抽気通路の開度を調整可能な「開閉機構」を構成し、「抽気弁43」として機能する。
ボディ5の下端部が拡径されており、接続部材51の上端開口部が拡径部17のテーパ面に向けて加締められることにより、ボディ5と接続部材51とがしっかりと固定されている。接続部材51の上面外周縁部と拡径部17の下面外周縁部との間にダイヤフラム4が挟まれ、固定されている。ダイヤフラム4は、ソレノイド3の上端開口部を封止し、ボディ7の内方に作動空間60を形成する。
(圧縮機の動作)
次に、図1~図3を参照しつつ制御弁1および圧縮機100の動作について説明する。
圧縮機100の起動中は、制御弁1においてソレノイド3に制御電流が供給され、コア64とプランジャ62との間に吸引力が作用する。制御電流が空調の設定温度に応じて変化すると、弁体36は、吐出圧力Pdと制御圧力Pcとの差圧による力(つまり弁体36に作用する差圧による力)と、制御圧力Pcと吸入圧力Psとの差圧による力(つまり作動ロッド42に作用する差圧による力)と、吸入圧力Psと大気との差圧による力(つまりダイヤフラム4が吸入圧力Psと大気圧との差圧を感知することにより発生する力:「感圧駆動力」ともいう)と、スプリング40,68の合力と、ソレノイド3の吸引力とがバランスする位置へ変位する。それにより弁部の開度が調整され、その開度に応じた流量の冷媒が制御室に導入される。すなわち、圧縮機100は、制御電流に対応した容量運転状態となる。
圧縮機100の定常制御状態においては、弁体36,作動ロッド42,開閉部材30,ダイヤフラム4およびプランジャ62が作動連結状態を維持する。制御弁1のソレノイド3に供給される制御電流が一定の場合、ダイヤフラム4が吸入圧力Psと大気圧との差圧を感知して弁開度を制御する。例えば冷凍負荷が大きくなって吸入圧力Psと大気との差圧が大きくなった場合、弁体36が作動ロッド42,開閉部材30,ダイヤフラム4およびプランジャ62と一体となって下方へ変位する。このため、給気弁41の開度が小さくなる一方、抽気弁43の開度が大きくなり、圧縮機100は、吐出容量を増やすよう動作する。その結果、吸入圧力Psが低下して設定圧力に近づく。
逆に、冷凍負荷が小さくなって吸入圧力Psと大気圧との差圧が小さくなった場合は、弁体36および開閉部材30が上方へ変位し、給気弁41の開度が大きくなる一方、抽気弁43の開度が小さくなり、圧縮機100は、吐出容量を減らすよう動作する。その結果、吸入圧力Psが上昇して設定圧力に近づく。このようにして、制御弁1は、吸入圧力Psがソレノイド3によって設定された設定圧力Psetになるよう圧縮機100の吐出容量を制御する。
このとき、給気弁41の開度変化に伴って開閉部材30が連通路46の開口端に接離し、抽気弁43の開度を変化させる。すなわち、定常制御状態において、給気通路の開度可変状態において第2抽気通路の開度も変化する「可変クロス特性」が実現され、両通路の開度のバランスが調整される。
電磁クラッチ160の切断により圧縮機100への動力伝達が遮断されると、ソレノイド3への通電もオフにされる。
その後、電磁クラッチ160が連結され、圧縮機100が再び起動されると、制御弁1のソレノイド3に制御電流が供給される。このとき、スプリング68の付勢力に抗してコア64がプランジャ62を吸引する。このため、弁体36には相対的に閉弁方向の力が作用する。そのため、圧縮機100の起動直後から抽気通路の開度を大きくでき、制御室112から吸入室114への冷媒排出性能を高く維持できる。それにより、空調機能を速やかに発揮させることができる。
図4は、制御弁1の制御特性を表す図である。同図には、吸入圧力Psの変化に伴う給気通路および第2抽気通路の変化が示されている。横軸が吸入圧力Psを示し、縦軸が通路の開口面積を示す。図中の実線が給気通路の開口面積DC(つまり給気弁41の開度)を示し、一点鎖線が第2抽気通路の開口面積CS(つまり抽気弁43の開度)を示す。
図示のように、吸入圧力Psの上昇に伴って給気弁41の開度は小さくなり、抽気弁43の開度は大きくなる。逆に吸入圧力Psの下降に伴って給気弁41の開度は大きくなり、抽気弁43の開度は小さくなる。すなわち、制御弁1の制御時に給気通路の開度可変状態において第2抽気通路の開度も変化する(つまり、給気通路と抽気通路の開度が同時に可変状態となる)可変クロス特性が実現される。
以上に説明したように、本実施形態では、連通路46をガイド孔28に対してオフセットした位置に設ける一方、制御弁1の定常制御状態において、開閉部材30を弁体36とともに軸線方向に一体変位可能な構成とした。それにより、給気通路の開度可変状態において抽気通路の開度も変化する可変クロス特性が実現され、両通路の開度のバランスが調整される。本実施形態によれば、その可変クロス特性を開閉機構、つまり開閉部材30が連通路46の開口端に接離するという簡易な構成にて実現できる。
また、連通路46をガイド孔28とは別に成形するため、連通路46として好適な内径を有する直線状の孔を穿設するだけでよく、制御圧室19と吸入圧室20との隔壁を直線状に貫通させれば足りる。すなわち、連通路46の構造が弁体36や作動ロッド42の構造(外径など)に左右されることがないため、設計自由度が高い。連通路46を形成するために作動ロッド42に横孔などを成形する必要もなく、連通路46を簡易な構成にて実現できる。一方でガイド孔28については、抽気性能を考慮することなく、作動ロッド42を摺動可能に支持する機能を第一に形成できる。このため、ガイド孔28における摺動部の長さを十分に確保でき、作動ロッド42ひいては弁体36の作動安定性を良好に維持できる。
また、本実施形態では、制御圧室19と吸入圧室20とが隣接配置されるため、連通路46を短くでき、構成が簡素であり加工も容易である。制御圧室19と吸入圧室20とが隣接配置されることで、ガイド孔28の上流側と下流側との差圧を小さく抑えることもできる。このため、作動ロッド42とガイド孔28との間にシール部材やラビリンス構造を設けなくとも、両者の隙間への異物の侵入を抑制できる。すなわち、両者の隙間への異物の噛み込みを防止し、作動ロッド42の作動安定性を保ちやすい。
[変形例]
図5は、変形例1に係る制御弁の上半部拡大図である。
変形例1では、ボディ205(バルブボディ)が、第1ボディ206と第2ボディ208とを軸線方向に組み付けて構成される。第1ボディ206は、上記実施形態のボディ5の上部に対応し、ポート12および弁孔22を有する。第1ボディ206の内方に吐出圧室18が形成されている。
一方、第2ボディ208は、上記実施形態のボディ5の中間部および下部に対応し、ポート14およびポート16を有する。第2ボディ208の上端部に第1ボディ206が同軸状に圧入されている。なお、他の変形例においては、第1ボディ206と第2ボディ208とを溶接、ろう接、あるいは加締め等により接合してもよい。ポート14の内方には、第1ボディ206と第2ボディ208とに囲まれるように制御圧室19が形成される。
本変形例によれば、ボディ205を二部品で構成することで、上記実施形態よりも連通路46の加工が容易となる。すなわち、連通路46は制御圧室19と吸入圧室20とを連通させる孔であるためドリルで穿設されるところ、上記実施形態では構造上、吸入圧室20側から制御圧室19側に向けて穿設せざるを得ない。図3に示すように、連通路46は制御圧室19におけるポート14の部分につながることとなるが、ポート14が小孔であるため、ボディ5の軸線と直交する断面に対して面的な広がりを有しない。このため、穿設位置が少しでもずれると、連通路46とポート14とを連通させることができない。
この点、本変形例では、ボディ205を第1ボディ206と第2ボディ208とにより構成し、両者の間に制御圧室19として広い空間を形成する。そして、連通路46をその広い空間につなげている。このため、吸入圧室20側から制御圧室19側に向けてドリルで穿設するとしても、連通路46の穿設位置の位置決めが不要になり、連通路46の加工が容易となる。また、第1ボディ206と第2ボディ208とが組み付けられる前は第2ボディ208の上方が開放されているため、制御圧室19側から吸入圧室20側に向けてドリルで穿設して連通路46を成形することもできる。
なお、本図では、給気弁41の閉弁後に開閉部材30がなお下方にストロークすることで、抽気弁43が全開となった状態が示されている。この状態は、ダイヤフラム4が給気弁41を閉弁させる位置を超えてさらに同方向(その閉弁方向)へ変位すること(以下「オーバーストローク」ともいう)により生じる。このオーバーストロークは、吸入圧力Psが高いときに、その吸入圧力Psによりダイヤフラム4が付勢されることで生じる。このとき、作動ロッド42に作用する差圧(Pc-Ps)により開閉部材30が付勢されてダイヤフラム4のオーバーストロークに追従することで、抽気弁43の開度がさらに増大する。この作動ロッド42に差圧(Pc-Ps)が作用する構造は、開閉部材30をダイヤフラム4に追従させるよう付勢する「付勢構造」として機能する(実施形態および他の変形例についても同様)。
図6は、変形例2に係る制御弁の上半部拡大図である。
変形例2では、ボディ215に形成されたガイド部44の長さ(つまりガイド孔28の長さ)は上記実施形態と同様であるが、ガイド部44の周囲に外堀構造は設けられていない。一方、ポート16と吸入圧室20とを連通させる連通穴217が、ガイド孔28と平行に設けられている。
また、連通路247が、連通穴217とは干渉しない位置にてガイド孔28と平行に設けられており、制御圧室19と吸入圧室20とを連通させている。連通路247は、上記実施形態の連通路46と同様、作動ロッド42の軸線に対してオフセットしているが、連通路46よりも流路断面(内径)が大きい。
開閉部材230は、上方に向けて外径が大きくなるテーパ形状を有し、その上端面にて連通路247を開閉することができる。開閉部材230が連通路247の開口端に接離することで可変クロス特性を実現できる。
ボディ215と開閉部材230との間にスプリング233(「付勢部材」および「付勢構造」として機能する)が介装されている。具体的には、開閉部材230の内周面に段差部234が設けられており、スプリング233が吸入圧室20の底部と段差部234との間に介装されている。スプリング233は、作動ロッド42に外挿されている。
本変形例によれば、スプリング233の付勢力により開閉部材230をダイヤフラム4に常に追従させ易くなる。このため、吸入圧力Psが高い状態で給気弁41が閉弁したとき、弁体36が弁座24に着座した後も開閉部材230をダイヤフラム4のオーバーストロークに追従させることができ、抽気弁43の開度をより大きくして抽気性能を高めることができる。
なお、連通路247の流路断面は、上記実施形態の連通路46の流路断面とオリフィス184の流路断面を合わせた程度の断面積を有するように設定してもよい。給気弁41の定常制御時において、抽気弁43の開度として、連通路46の開度とオリフィス184の開度を合わせた程度の開度が得られるよう連通路247の大きさを設定してもよい。それにより、圧縮機100における連通路182(第1抽気通路)を小さくするか、もしくは省略することもできる。
図7は、変形例2に係る制御弁の制御特性を表す図である。横軸が吸入圧力Psを示し、縦軸が通路の開口面積を示す。図中の実線が給気通路の開口面積DC(給気弁41の開度)を示し、一点鎖線が第2抽気通路の開口面積CS(抽気弁43の開度)を示す。
本変形例においても、吸入圧力Psの上昇に伴って給気弁41の開度は小さくなり、抽気弁43の開度は大きくなる。逆に吸入圧力Psの下降に伴って給気弁41の開度は大きくなり、抽気弁43の開度は小さくなる。すなわち、可変クロス特性が実現される。また、吸入圧力Psが所定圧力以上になると、上述したオーバーストロークが生じ、抽気弁43の開度をより大きくできる。ソレノイド3への供給電流値を変更することで、この「所定圧力」を変化させることができ、可変クロス特性を変化させることができる。
図8は、変形例3に係る制御弁の構成を表す断面図である。図8(A)は制御弁の上半部拡大図である。図8(B)は図8(A)のA部拡大図である。
変形例3では、ボディ235において、連通路46の開口端とは別に、連通路46と吸入圧室20とを連通させる連通孔238が設けられている。連通孔238は、ガイド部44の側面に開口し、その孔径は連通路46の通路断面よりも十分に小さい。連通孔238は、抽気弁43の開閉状態にかかわらず制御圧室19から吸入圧室20への冷媒の漏洩を許容する「オリフィス」として機能する。
本変形例によれば、給気弁41の全開時(つまり抽気弁43の閉弁時)においても、第2抽気通路を介した最低限の冷媒の排出が可能となる。このような構成を採用することで、圧縮機100に設ける第1抽気通路と、制御弁1に設ける第2抽気通路との大きさの調整について設計自由度が高まる。
図9は、変形例4に係る制御弁の構成を表す断面図である。図9(A)は制御弁の上半部拡大図である。図9(B)は図9(A)のB部拡大図である。
変形例4では、ボディ245において、ガイド部44の下面に連通路46の開口端と連通するスリット246(切欠き)が設けられている。スリット246は、開閉部材30がガイド部44に着座する抽気弁43の閉弁時においても連通路46と吸入圧室20とを連通させる。
本変形例によれば、変形例3と同様に、給気弁41の全開時(つまり抽気弁43の閉弁時)においても、第2抽気通路を介した最低限の冷媒の排出が可能となる。このような構成を採用することで、第1抽気通路と第2抽気通路との大きさの調整について設計自由度が高まる。
図10~図12は、変形例5に係る制御弁の構成および動作を表す図である。各図の上段は制御弁の上半部拡大図である。各図の下段は上段のC部拡大図である。図10は給気弁および抽気弁の定常制御状態を示し、図11は給気弁および抽気弁の閉弁状態を示し、図12は給気弁の閉弁かつ抽気弁の開弁状態(オーバーストローク状態)を示す。
図10に示すように、変形例5では、抽気弁43としてスプール弁を採用した点で上記実施形態と異なる。すなわち、開閉部材250は、ガイド部44において下方(吸入圧室20の内方)に突出する突出部45よりも大きな外径を有する。開閉部材250の上面には、その外周縁に沿って上方に突出する環状嵌合部252が設けられている。環状嵌合部252の内径は、突出部45の外径よりやや大きい。環状嵌合部252の内側には環状凹部が形成されている。
このような構成により、開閉部材250の作動による抽気弁43の開閉時に突出部45の下端部が環状嵌合部252に挿抜される。すなわち、抽気弁43は、突出部45が開閉部材250に挿抜されるにより開閉され、また開閉部材250が突出部45に接離することにより開度が調整されるスプール弁として構成される。
定常制御状態においては、突出部45が環状嵌合部252に挿通された状態となり、両者間のクリアランスCLは可能な限り小さく設定される。このため、抽気弁43は、微少漏れのみ生じる程度の閉弁状態となる。このクリアランスCLは、環状嵌合部252と突出部45との嵌め合い公差によりクリアランスシールが実現される程度のものでもよい。クリアランスCLによる第2抽気通路の開口面積は、圧縮機100のオリフィス184の開口面積と比較して無視できる程度の大きさとしてもよい。
図11に示すように、給気弁41および抽気弁43の閉弁状態においては、給気弁41を介した冷媒の流通は遮断される。また、抽気弁43においても、突出部45が環状嵌合部252に挿通された状態を保つため、抽気弁43の開度は定常制御状態と同様となる。
図12に示すように、給気弁41の閉弁後に開閉部材250がオーバーストロークすると、環状嵌合部252が突出部45から離脱する。このとき、作動ロッド42は、差圧(Pc-Ps)を受けて開閉部材250に追従し、弁体36からは離間することとなる。抽気弁43は、連通路46における開度で第2抽気通路における冷媒の流通を許容する。
すなわち、本変形例によれば、給気弁41の閉弁後に抽気弁43が開く特性が実現される。本変形例では実質的に上述した可変クロス特性は実現されない。なお、他の変形例においては、クリアランスCLを十分に大きくすることで、定常制御時に給気通路の開度可変状態において第2抽気通路も一定開度で開く特性(「固定クロス特性」ともいう)を実現してもよい。さらに、例えば環状嵌合部252の上端開口部のテーパ部を大きくするなどしてクリアランスCLの大きさを軸線方向に変化させることで、可変クロス特性を実現できるようにしてもよい。なお、可変クロス特性と固定クロス特性とを特に区別しない場合には、単に「クロス特性」ともいう。
図13は、変形例6に係る制御弁の上半部拡大図である。
変形例6では、連通路46がボディ265ではなく、作動ロッド262に設けられている点で上記実施形態と異なる。すなわち、作動ロッド262は、有底段付円筒状をなし、内部に軸線に沿って延びる連通路46を有する。作動ロッド262の下端が開口している。作動ロッド262の上部には、制御圧室19と連通路46とを連通させる連通孔264(横孔)が設けられている。作動ロッド262の上端部が縮径されて弁孔22に挿通され、弁体36と一体に接合(溶接等)されている。
ボディ265と開閉部材260との間にスプリング263(「付勢部材」として機能する)が介装されている。具体的には、開閉部材260の内周面に段差部268が設けられており、スプリング263が開閉部材260の上半部に挿通される態様で、ガイド部44の下面と段差部268との間に介装されている。
本変形例においても、給気弁41の閉弁後、開閉部材260がダイヤフラム4のオーバーストロークに追従することで、抽気弁43が全開状態となる。スプリング263の付勢力により、ダイヤフラム4のオーバーストロークに対して開閉部材260を追従させ易くなる。このとき、抽気弁43の開度は、開閉部材260のストロークに応じた可変状態となる。すなわち、開閉部材260は、連通路46の開度を変化させる「開閉機構」として機能する。開閉部材260に作用する差圧(Pc-Ps)およびスプリング263は、開閉部材260をダイヤフラム4の側に付勢する「付勢構造」として機能する。
本変形例では、開閉部材260の底部が連通路46の開口端を開閉することになる。開閉部材260の上端はガイド部44の下面に着脱するが、開閉部材260が連通路46を開放した状態では、ガイド部44から十分に離間した状態となる。すなわち、開閉部材260の上端開口部の開度(ガイド部44からの離間量)が、抽気弁43の開度に応じた冷媒流量に影響を与えることはない。
本変形例によれば、給気弁41が閉じた後に抽気弁43が開くので、上述した可変クロス特性は得られないが、ソレノイド3の駆動力により給気弁41および抽気弁43の開度を個別に可変させることはできる。また、連通路46を作動ロッド262の内部に設けたため、ガイド孔228における摺動部の長さを十分に確保でき、作動ロッド262ひいては弁体36の作動安定性を良好に維持できる。
さらに、上記実施形態と同様に、制御圧室19と吸入圧室20とが隣接配置されるため、ガイド孔228の上流側と下流側との差圧を小さく抑えることもできる。このため、作動ロッド262とガイド孔228との隙間への異物の噛み込みを防止し、作動ロッド262の作動安定性を保ちやすい。
図14は、変形例7に係る制御弁の構成を表す図である。図14(A)は制御弁の上半部拡大図である。図14(B)は図14(A)のD部拡大図である。本図は給気弁の閉弁かつ抽気弁の開弁状態(オーバーストローク状態)を示す。
変形例7では、ボディ275に形成されたガイド部274の突出部277の外径および連通路276の内径が上記実施形態よりも大きくされている。また、本変形例は、抽気弁43としてスプール弁を採用した点で上記実施形態と異なる。
開閉部材270は、上方に向けて外径が大きくなるテーパ形状を有し、その上面の外周縁に沿って上方に突出する環状嵌合部272が設けられている。一方、ガイド部274の下面には、連通路276と連通する切欠き279が設けられている。切欠き279の幅は、連通路276の直径よりも大きい。開閉部材270の環状嵌合部272の内径は、ガイド部274の突出部277の外径よりもやや大きい。環状嵌合部272の内側には環状凹部が形成されている。
このような構成により、開閉部材270の作動による抽気弁43の開閉時に突出部277の下端部が環状嵌合部272に挿抜される。すなわち、抽気弁43は、突出部277が開閉部材270に挿抜されるにより開閉され、また開閉部材270が突出部277に接離することにより開度が調整されるスプール弁として構成される。
定常制御状態においては、突出部277が環状嵌合部272に挿通された状態となるが、両者間に所定のクリアランスCL2が形成される。このクリアランスCL2による抽気弁43の開口面積は、切欠き279の開口面積よりも小さいが、上記実施形態のオリフィス184の流路断面と同程度に設定されている。
図示のように、給気弁41の閉弁後に開閉部材270がオーバーストロークすると、開閉部材270が突出部277から大きく離脱する。このとき、作動ロッド42は、差圧(Pc-Ps)を受けて開閉部材270に追従し、弁体36からは離間する。抽気弁43は、連通路276における開度で第2抽気通路における冷媒の流通を許容する。
本変形例によれば、抽気弁43がスプール弁とされ、その閉弁状態においてもクリアランスCL2がオリフィスとして機能する。このクリアランスCL2による第2抽気通路の開口面積が、上記実施形態のオリフィス184の流路断面と同程度に設定されているため、圧縮機100における連通路182(第1抽気通路)を省略することができる。
なお、本変形例では、給気弁41の閉弁後に抽気弁43の開度が拡大するように構成したため、上述したクロス特性は実現されない。他の変形例においては、クリアランスCL2の大きさを十分に確保することで、固定クロス特性を実現してもよい。さらにクリアランスCL2の長さ(つまり環状嵌合部272において突出部277を挿抜させる部分の長さ)や形状を変更することで、可変クロス特性を実現してもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
上記実施形態では、制御弁1として、冷媒圧力としての吸入圧力Psと大気圧との差圧を感知して動作するPs感知弁を例示した。変形例においては、作動空間60を密閉空間として真空状態とし、吸入圧力Psの絶対圧を感知させてもよい。
上記実施形態では、「感圧部材」としてダイヤフラム4を採用し、これにより「感圧部」を構成する例を示した。他の変形例においては、ダイヤフラムに代えてベローズを採用してもよい。
上記実施形態では、圧縮機100としてクラッチ式を採用する例を示した。変形例においては、クラッチレス式の圧縮機を採用してもよい。
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
1 制御弁、2 弁本体、3 ソレノイド、4 ダイヤフラム、5 ボディ、12 ポート、14 ポート、16 ポート、18 吐出圧室、19 制御圧室、20 吸入圧室、22 弁孔、24 弁座、28 ガイド孔、30 開閉部材、36 弁体、40 スプリング、41 給気弁、42 作動ロッド、43 抽気弁、44 ガイド部、46 連通路、50 ケース、54 電磁コイル、62 プランジャ、64 コア、68 スプリング、100 圧縮機、111 凝縮器、112 制御室、113 膨張装置、114 吸入室、115 蒸発器、116 吐出室、118 取付孔、124 連通路、126 連通路、128 連通路、130 回転軸、140 斜板、142 ピストン、160 電磁クラッチ、170 エンジン、180 連通路、182 連通路、184 オリフィス、205 ボディ、228 ガイド孔、230 開閉部材、233 スプリング、235 ボディ、236 弁体、238 連通孔、240 スプリング、242 作動ロッド、245 ボディ、246 スリット、250 開閉部材、260 開閉部材、262 作動ロッド、263 スプリング、264 連通孔、265 ボディ。

Claims (8)

  1. 吸入室、吐出室および制御室を有し、前記制御室の圧力を調整することにより吐出容量が可変となる可変容量圧縮機に適用される制御弁であって、
    前記吐出室に連通する吐出圧室と、前記制御室に連通する制御圧室と、前記吸入室に連通する吸入圧室と、前記吐出圧室と前記制御圧室とを軸線方向に連通させる弁孔と、前記弁孔と同軸状に設けられ、一端が前記制御圧室に開口し、他端が前記吸入圧室に開口するガイド孔と、を有するボディと、
    前記弁孔に接離して弁部を開閉する弁体と、
    供給電流値に応じた軸線方向の駆動力を発生するソレノイドと、
    前記ガイド孔に摺動可能に挿通され、前記ソレノイドの駆動力を前記弁体に伝達する作動ロッドと、
    前記吸入圧室の吸入圧力を感知し、その吸入圧力の大きさに応じて前記弁部の開閉方向の駆動力を発生する感圧部と、
    を備え、
    前記ボディは、前記ソレノイドに近い側から順に前記吸入圧室、前記制御圧室、前記吐出圧室を有し、
    前記ガイド孔とは別に前記制御圧室と前記吸入圧室とを連通させる連通路が設けられ、
    前記連通路の開度を変化させる開閉機構をさらに備えることを特徴とする制御弁。
  2. 前記連通路が前記ガイド孔と離隔していることを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
  3. 前記開閉機構は、前記吸入圧室に配設された開閉部材を有し、
    前記弁部の制御状態において、前記開閉部材が前記作動ロッドを介して前記弁体と一体に変位し、前記弁部の開度変化に伴って前記連通路の開口端に接離し、前記連通路の開度を変化させることを特徴とする請求項2に記載の制御弁。
  4. 前記連通路が前記作動ロッドを貫通するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の制御弁。
  5. 前記開閉機構は、前記吸入圧室に配設された開閉部材を有し、
    前記開閉部材は、前記感圧部と一体的に変位し、前記弁部が閉じた後に前記連通路を開放し、前記連通路の開度を変化させることを特徴とする請求項4に記載の制御弁。
  6. 前記開閉機構は、前記吸入圧室に配設された開閉部材を有し、
    前記感圧部が、前記吸入圧力の大きさに応じて変位する感圧部材を含み、
    前記感圧部材の変位により前記弁部が閉じた後に、前記感圧部材がさらに同方向に変位可能であり、
    前記開閉部材を前記感圧部材の側に付勢して前記感圧部材の変位に追従させる付勢構造をさらに備えることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の制御弁。
  7. 前記弁部の閉弁後、前記吸入圧力の上昇に伴って前記連通路の開度がさらに大きくなる特性を有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の制御弁。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の制御弁を備えることを特徴とする可変容量圧縮機。
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