JP2022152914A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイクル特性が良好な鉛蓄電池を提供する。【解決手段】鉛蓄電池は、交互に配置された複数の正極板31および複数の負極板32と、セパレータ40と、電解液と、を含む。セパレータは、有機繊維で構成された不織布を含む第1のセパレータ41と、ガラス繊維マットを含む第2のセパレータ42とを含む。正極板と正極板に隣接する負極板との間には、不織布とガラス繊維マットとが積層されるように配置されている。不織布の細孔Pfを水銀圧入法によって測定したときに、すべての細孔Pfの容積に占める、直径が0.01μm~15.0μmの範囲にある細孔Pfの容積の割合がVf(%)であり、ガラス繊維マットの細孔Pgを水銀圧入法によって測定したときに、すべての細孔Pgの容積に占める、直径が0.01μm~15.0μmの範囲にある細孔Pgの容積の割合がVg(%)であり、比Vf/Vgが、0.5~1.2の範囲にある。【選択図】図2

Description

本発明は、鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池は、車載用、産業用など、様々な用途で使用されている。鉛蓄電池は、正極板および負極板と、それらの間に配置されたセパレータとを含む。鉛蓄電池のセパレータには、様々な性能が要求される。そのため、様々なセパレータを用いた鉛蓄電池が従来から提案されている。
特許文献1(特開平10-40896号公報)は、「セパレータとして、微細ガラス繊維からなるマットと親水化処理された合成繊維不織布とを用いることを特徴とする密閉型鉛蓄電池。」を開示している。
特許文献2(国際公開第2013/046498号)は、「アクリロニトリル系繊維不織布セパレータとガラス繊維マットセパレータとの積層体を備え、前記アクリロニトリル系繊維不織布セパレータには直径0.5μm~2.0μmのアクリロニトリル系細繊維が少なくとも用いられていることを特徴とする電池用セパレータ構造体。」を開示している。
特開平10-40896号公報 国際公開第2013/046498号
しかしながら、上記従来の鉛蓄電池は、サイクル特性が充分ではない場合があった。特に、上記従来の鉛蓄電池は、高率放電を伴う充放電サイクルを行った場合に、サイクル寿命の低下が顕著であった。
本発明の一側面は、鉛蓄電池に関する。当該鉛蓄電池は、交互に配置された複数の正極板および複数の負極板と、セパレータと、電解液と、を含む鉛蓄電池であって、前記セパレータは、有機繊維で構成された不織布を含む第1のセパレータと、ガラス繊維マットを含む第2のセパレータとを含み、前記正極板と前記正極板に隣接する前記負極板との間には、前記不織布と前記ガラス繊維マットとが積層されるように配置されており、前記不織布の細孔Pfを水銀圧入法によって測定したときに、すべての前記細孔Pfの容積に占める、直径が0.01μm~15.0μmの範囲にある前記細孔Pfの容積の割合がVf(%)であり、前記ガラス繊維マットの細孔Pgを水銀圧入法によって測定したときに、すべての前記細孔Pgの容積に占める、直径が0.01μm~15.0μmの範囲にある前記細孔Pgの容積の割合がVg(%)であり、比Vf/Vgが、0.5~1.2の範囲にある。
本発明によれば、所定のサイクル特性が良好な鉛蓄電池が得られる。
本発明の一実施形態に係る鉛蓄電池の構成を模式的に示す断面図である。 図1に示した鉛蓄電池に用いられる極板群の一例の構成を模式的に示す断面図である。 図1に示した鉛蓄電池に用いられる極板群の他の一例の構成を模式的に示す断面図である。 実施例で製造された鉛蓄電池の特性を示すグラフである。
以下では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。なお、本明細書において、「数値A~数値B」という記載の範囲は、数値Aおよび数値Bを含み、「A以上でB以下」と読み替えることが可能である。
(鉛蓄電池)
本実施形態に係る鉛蓄電池は、交互に配置された複数の正極板および複数の負極板と、セパレータと、電解液と、を含む。セパレータは、有機繊維で構成された不織布を含む第1のセパレータと、ガラス繊維マットを含む第2のセパレータとを含む。当該不織布を、以下では「不織布(F)」と称する場合がある。正極板と前記正極板に隣接する前記負極板との間には、不織布(F)とガラス繊維マットとが積層されるように配置されている。不織布(F)の細孔Pfを水銀圧入法によって測定したときに、すべての細孔Pfの容積に占める、直径が0.01μm~15.0μmの範囲にある細孔Pfの容積の割合は、Vf(%)である。ガラス繊維マットの細孔Pgを水銀圧入法によって測定したときに、すべての細孔Pgの容積に占める、直径が0.01μm~15.0μmの範囲にある細孔Pgの容積の割合は、Vg(%)である。比Vf/Vgは、0.5~1.2の範囲にある。
「すべての細孔の容積」は、水銀圧入法によって測定される容積であり、すべての細孔の個々の容積の合計に相当する。「直径が0.01μm~15.0μmの範囲にある細孔の容積」は、水銀圧入法によって測定される容積であり、直径が0.01μm~15.0μmの範囲にあると判定された細孔の個々の容積の合計に相当する。
不織布やガラス繊維マットは、微細な繊維を絡み合わせることによって形成されている。そのため、不織布やガラス繊維マットには、多数の微小な空隙が存在している。そのような微小な空隙は、細孔とみなすことが可能である。すなわち、不織布およびガラス繊維マットは、大きさが異なる多数の細孔を含む多孔質構造を有する。そのような不織布およびガラス繊維マットについて細孔分布分析を行うことによって、細孔の直径の分布に関する情報が得られる。
ガラス繊維マットは、ガラス繊維で構成されたマットである。ガラス繊維マットは、吸収ガラスマット(AGM:Absorbed Glass Mat、または、Absorbent Glass Mat)と呼ばれるものであってもよい。そのため、この明細書では、ガラス繊維マットを吸収ガラスマットと読み替えることが可能である。
セパレータには、短絡を防止すること、および、電解液を保持することが求められる。ガラス繊維マットは、空隙率が高く、高い電解液保持能を有する。しかし、ガラス繊維マットだけでは短絡の防止が不充分になる。そのため、ガラス繊維マットと合成繊維不織布とを組み合わせて用いることが従来から提案されてきた。
特許文献1および特許文献2に記載の鉛蓄電池では、セパレータとして、合成繊維不織布とガラス繊維マットとが用いられている。合成繊維不織布とガラス繊維マットとを比較すると、一般的に、ガラス繊維マットの方が電解液との親和性が高い。そのため、合成繊維不織布とガラス繊維マットとを積層して用いると、ガラス繊維マットに多量の電解液が保持される一方で、合成繊維不織布に保持される電解液の量が少なくなりやすい。そのような電解液の偏りは、鉛蓄電池の内部抵抗の上昇やサイクル寿命の低下など、様々な特性低下を引き起こす原因となる。電解液の偏りを抑制するために、特許文献1および2に記載の鉛蓄電池では、電解液との親和性が高い合成繊維不織布として、アクリロニトリル系繊維不織布や、親水化処理された合成繊維不織布が用いられている。
特許文献1および2に開示されている発想は、不織布の材質を変えることによって合成繊維不織布の親水性を向上させるという発想である。しかしながら、そのような方法では、鉛蓄電池に現在求められている要求に充分に応えられない場合がある。例えば、不織布の材質を変えることによって合成繊維不織布の親水性を向上させる方法では、鉛蓄電池の使用によって不織布の表面の特性が変化した場合に、期待した効果が得られない場合がある。このような状況において、検討の結果、本願発明者らは、従来とは全く異なるアプローチによって、鉛蓄電池の特性を向上させる技術を見出した。本発明は、この新たな知見に基づく。
合成繊維不織布とガラス繊維マットとを含む従来のセパレータを用いた場合、サイクル特性が不充分な場合があった。充放電サイクル時に合成繊維不織布の膨張収縮や電極からのガス発生が生じることによって、セパレータ中の電解液が減少しやすくなる。ガラス繊維マットに比べて合繊繊維不織布の電解液の保持力は低いため、合成繊維不織布中の電解液が特に減少しやすい。その結果、鉛蓄電池の特性が大きく低下すると考えられる。
検討の結果、本願発明者らは、比Vf/Vgを0.5~1.2の範囲とすることによって、鉛蓄電池の特性(サイクル寿命など)を顕著に向上できることを見出した。すなわち、本実施形態では、不織布(F)における比較的小さい細孔の割合Vfが、ガラス繊維マットにおける比較的小さい細孔の割合Vgとは大きく異ならない。そのため、充放電サイクルを行っても、不織布(F)に保持される電解液量と、ガラス繊維マットに保持される電解液量とのバランスが維持されると考えられる。その結果、充放電サイクルによる電池性能の大幅な低下が抑制されると推測される。不織布(F)中の電解液量が維持されることによって、内部抵抗の上昇を抑制できる。内部抵抗の上昇の抑制によって、高率放電時のIRドロップの増大が抑制され、高率放電時の放電容量が維持される。そのため、内部抵抗の上昇の抑制は、高率放電を伴うサイクル特性の改善に特に高い効果を示す。
比Vf/Vgは、0.50以上であり、0.53以上、0.65以上、0.79以上、または0.86以上であってもよい。比Vf/Vgは、1.20以下であり、1.18以下、1.12以下、1.00以下、または0.86以下であってもよい。これらの下限と上限とは、矛盾がない限り任意に組み合わせることができる。例えば、比Vf/Vgは、0.50~1.20の範囲、0.53~1.20の範囲、0.65~1.20の範囲、0.79~1.20の範囲、または0.86~1.20の範囲にあってもよい。これらの範囲に関して、上限が下限以下とならない限り、上限を1.18、1.12、1.00、または0.86に置き換えてもよい。
比Vf/Vgは、好ましくは0.71~1.18の範囲にある。この構成によれば、高率放電を伴う充放電サイクルにおける寿命特性を特に向上できる。
比Vf/Vgは、Vfおよび/またはVgを変化させることによって変化させることができる。Vfは、例えば、不織布(F)を構成する有機繊維の径、および/または、不織布(F)の面密度(単位面積あたりの質量)を変えることによって変化させてもよい。有機繊維の径を小さくすることによってVfを大きくすることが可能であり、有機繊維の径を大きくすることによってVfを小さくすることが可能である。また、不織布(F)の面密度を大きくすることによってVfを大きくすることが可能であり、面密度を小さくすることによってVfを小さくすることが可能である。
同様に、Vgは、ガラス繊維マットを構成するガラス繊維の径、および/または、ガラス繊維マットの面密度(単位面積あたりの質量)を変えることによって変化させてもよい。ガラス繊維の径を小さくすることによってVgを大きくすることが可能であり、ガラス繊維の径を大きくすることによってVgを小さくすることが可能である。また、ガラス繊維マットの面密度を大きくすることによってVgを大きくすることが可能であり、面密度を小さくすることによってVgを小さくすることが可能である。
不織布(F)のVfは、35%以上、55%以上、または73%以上であってもよい。Vfは、100%以下、95%以下、85%以下、73%以下、または55%以下であってもよい。これらの下限と上限とは矛盾がない限り任意に組み合わせることができる。例えば、Vfは、35~100%の範囲、55~100%の範囲、73~100%の範囲にあってもよい。これらの範囲の上限を、下限以下とならない限り、95%、85%、73%、または55%に置き換えてもよい。
不織布(F)の平均厚さは、0.05mm~0.5mmの範囲(例えば0.1mm~0.3mmの範囲)にあってもよい。不織布(F)の平均厚さを0.1mm以上とすることによって、短絡を防止する効果を高めることができる。不織布(F)の平均厚さを0.3mm以下とすることによって、内部抵抗を低減できる。
複数の正極板のそれぞれは、エキスパンド格子部(第1のエキスパンド格子部)を含む正極集電体を含んでもよく、複数の負極板のそれぞれは、エキスパンド格子部(第2のエキスパンド格子部)を含む負極集電体を含んでもよい。第1のエキスパンド格子部および第2のエキスパンド格子部はそれぞれ、周囲に枠骨がない格子体であってもよい。エキスパンド格子部は曲がりやすいため、短絡防止が特に重要になる。特に、周囲に枠骨がない格子体は、電極材料が膨張することによって正極板および負極板の周囲で短絡が生じやすい。そのため、エキスパンド格子部を含む集電体を用いる場合には、不織布(F)で構成された袋に、正極板および/または負極板を収容することが好ましい。
有機繊維は、アクリル系繊維を含む分割繊維を含んでもよい。分割繊維を用いることによって、比Vf/Vgを大きくすることが容易になる。アクリル系繊維を用いることによって、保液性を高めることができる。
アクリル系繊維は、アクリロニトリル単位を含むポリマー(アクリロニトリル系ポリマー)を用いて形成される繊維(アクリロニトリル系繊維)である。アクリロニトリル系ポリマーは、構成単位として、アクリロニトリル単位のみを含んでもよい。あるいは、アクリロニトリル系ポリマーは、アクリロニトリル単位と他の単量体単位とを含むコポリマーであってもよい。他の単量体単位は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。ポリマーに占めるアクリロニトリル単位の割合は、例えば、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、または85質量%以上であってもよい。アクリロニトリルと共重合される他の単量体の例には、アクリル酸、メタクリル酸、これらの誘導体、オレフィン系モノマー(酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど)などが含まれる。アクリル系繊維には、アクリル系繊維が含まれる。
アクリル系繊維を含む分割繊維は、市販の分割繊維であってもよいし、公知の方法で合成してもよい。アクリル系繊維を含む分割繊維は、例えば、アクリル系繊維の部分と他の繊維の部分とを含む複合繊維を紡糸することによって形成してもよい。複合繊維の他の繊維を構成するポリマーには、公知のポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレン、その他のポリマー)を用いてもよい。不織布(F)は、以下のように形成されてもよい。まず、複合繊維を含む繊維を抄紙することによってシートを得る。次に、そのシートに高圧水流を噴射して繊維を交絡させると同時に、複合繊維を分割する。このようにして、分割繊維(例えばアクリル系繊維の分割繊維)を含む不織布(F)が得られる。
不織布(F)を構成する有機繊維は、電解液中で離脱する成分を含有する繊維から当該成分が電解液中で離脱することによって形成された有機繊維を含んでもよい。そのような有機繊維を用いることによって、比Vf/Vgを大きくすることが容易になる。鉛蓄電池の製造に用いられる不織布(F)は、当該成分を含有する有機繊維を含んでもよいし、当該成分を含有する有機繊維のみで構成されてもよい。そのような不織布(F)を用いて鉛蓄電池を製造した場合、当該成分は時間と共に有機繊維から脱離する。当該成分が脱離することによって、微細な細孔の割合を高めることが可能である。電解液中に脱離する成分は、電解中に溶出する成分であってもよいし、電解液中で分解して有機繊維から離脱する成分であってもよい。そのような成分の例には、アセテートなどが含まれる。そのような成分を含む有機繊維には、市販の繊維を用いてもよいし、公知の方法で合成してもよい。
第1のセパレータは、不織布(F)で構成された複数の袋を含んでもよい。その場合、複数の正極板および複数の負極板から選ばれる一方の極板のそれぞれは、当該袋に収容されていてもよい。不織布(F)で構成された袋は、例えば、3辺が閉じられており、1辺が閉じられていない袋である。当該袋は、例えば、不織布(F)を重ね合わせて所定の箇所を熱溶着することによって形成してもよい。袋の閉じられていない一辺から、正極板および/または負極板が挿入できる。
第2のセパレータは、ガラス繊維マットで構成された複数の断面U字状マットを含んでもよい。そして、上記一方の極板のそれぞれを収容している上記袋は、断面U字状マットの内側に配置されていてもよい。あるいは、上記一方の極板ではない他方の極板のそれぞれが、断面U字状マットの内側に配置されていてもよい。断面U字状マットを、以下では単に「U字状マット」と称する場合がある。断面U字状マットは、別の観点では、2つ折りされたマットである。
本実施形態の鉛蓄電池は、制御弁式鉛蓄電池であってもよいし、他の鉛蓄電池(液式鉛蓄電池など)であってもよい。制御弁式は補水が不要であるという利点を有する。一方で、充放電を繰り返すことによって電解液が徐々に減少し、内部抵抗が増加するという問題が生じやすい。一般的に、有機繊維不織布とガラス繊維マットとを積層したセパレータを用いる場合、電解液の減少によって有機繊維不織布の電解液量が顕著に減少しやすい。そのため、制御弁式鉛蓄電池の場合には、本実施形態の構成が特に好ましい。
複数の正極板、複数の負極板、およびセパレータは、極板群を構成する。複数の正極板および複数の負極板は、負極板/正極板/負極板/正極板というように交互に配置される。すなわち、正極板と負極板とは、通常、1枚ずつ交互に配置される。正極板の数と負極板の数とは異なってもよい。通常、正極板および負極板のうちの一方の数は他方の数よりも1つ多い。例えば、正極板の数は負極板の数より1つ多くてもよい。あるいは、負極板の数は正極板の数より1つ多くてもよい。それらの場合、多い方の極板が、極板群の両端に配置されうる。正極板および負極板の数に限定はない。正極板の数および負極板の数は、それぞれ独立に、2~20の範囲(例えば3~16の範囲)にあってもよい。
正極板と正極板に隣接する負極板との間には、不織布(F)とガラス繊維マットとが積層されるように配置されている。これらは、正極板/不織布(F)/ガラス繊維マット/負極板という順に配置されてもよい。あるいは、これらは、正極板/ガラス繊維マット/不織布(F)/負極板という順に配置されてもよい。
好ましい一例では、複数の不織布(F)の袋を含む第1のセパレータと、複数のU字状マットを含む第2のセパレータが用いられる。この場合のセパレータの配置の第1~第4の例を以下に説明する。第1の例では、正極板は不織布(F)の袋に収容され、当該袋はU字状マットの内側に配置される。負極板は、不織布(F)の袋の内側およびU字状マットの内側には配置されない。第2の例では、負極板は不織布(F)の袋に収容され、当該袋はU字状マットの内側に配置される。正極板は、不織布(F)の袋の内側およびU字状マットの内側には配置されない。第3の例では、正極板は不織布(F)の袋に収容され、負極板はU字状マットの内側に配置される。第4の例では、負極板は不織布(F)の袋に収容され、正極板はU字状マットの内側に配置される。
なお、正極板と正極板に隣接する負極板との間に、不織布(F)とガラス繊維マットとが積層されるように配置される限り、極板群の構成は上記の構成に限定されない。不織布(F)の形態およびガラス繊維マットの形態は、それぞれ独立に、シート、袋、および断面U字状体のいずれかであってもよい。
(比Vf/Vgの評価)
不織布(F)のVf(%)、および、ガラス繊維マットのVg(%)は、水銀圧入法による細孔分析によって測定される。測定されたVfおよびVgから、比Vf/Vgを求めることができる。割合VfおよびVgは、未使用のセパレータ(第1および第2のセパレータ)を用いて測定してもよい。あるいは、割合VfおよびVgは、鉛蓄電池から取り出したセパレータを用いて測定してもよい。
セパレータ(第1および第2のセパレータ)を鉛蓄電池から取り出して測定する場合、セパレータは、満充電状態の鉛蓄電池から取り出される。鉛蓄電池から取り出したセパレータは、測定に先立って、洗浄および乾燥される。洗浄および乾燥は、次の手順で行われる。まず、鉛蓄電池から取り出したセパレータを純水(洗浄液)中に1時間浸漬し、それによってセパレータ中の硫酸を除去する。次に、洗浄液からセパレータを取り出し、当該セパレータを25℃の環境下に16時間以上静置することによって、乾燥させる。このようにして得られたセパレータについて、測定を行う。
不織布(F)のVfは、具体的には、以下のようにして測定する。まず、第1のセパレータを構成する不織布(F)の一部(例えば、溶着がなされていない中央部近傍)を100mm×100mmのサイズにカットしてサンプルを得る。得られたサンプルの細孔分布を、水銀ポロシメータ(株式会社島津製作所製、オートポアIV9510)を用いて測定する。測定された細孔分布から、Vfが求められる。なお、測定の圧力範囲は、0.5psia(3447Pa)~約60,000psia(約419MPa)の範囲とする。0.5psia(3447Pa)は、直径360μmの細孔に対応する。約60,000psia(約419MPa)は、直径0.003μmの細孔に対応する。そのため、上記の圧力範囲は、細孔の直径が0.003μm~360μmの範囲に相当する。
ガラス繊維マットのVgは、具体的には、以下のようにして測定する。まず、第2のセパレータを構成するガラス繊維マットの一部(例えば、極板の中央部近傍と接触する部分)を10mm×10mmのサイズにカットしてサンプルを得る。そのサンプルを用いることを除いて、不織布(F)の細孔分布測定と同様の条件で、当該サンプルの細孔分布を測定する。測定された細孔分布からVgが求められる。
(不織布(F)の平均厚さ)
不織布(F)の平均厚さには、任意に選択された等間隔の10点の厚さの平均値を用いる。各点の厚さは、例えば、JIS B7502:2016(マイクロメータ)に規定する外側マイクロメータ(0~25mm)を用いて測定する。
液式の鉛蓄電池の満充電状態とは、JIS D 5301:2019の定義によって定められる。より具体的には、25℃±2℃の水槽中で、定格容量として記載の数値(単位をAhとする数値)の0.2倍の電流(A)で、15分ごとに測定した充電中の端子電圧(V)または20℃に温度換算した電解液密度が3回連続して有効数字3桁で一定値を示すまで、鉛蓄電池を充電した状態を満充電状態とする。また、制御弁式の鉛蓄電池の場合、満充電状態とは、25℃±2℃の気槽中で、定格容量に記載の数値(単位をAhとする数値)の0.2倍の電流(A)で、2.23V/セルの定電流定電圧充電を行い、定電圧充電時の充電電流が定格容量に記載の数値(単位をAhとする数値)の0.005倍の値(A)になった時点で充電を終了した状態である。
満充電状態の鉛蓄電池は、既化成の鉛蓄電池を満充電したものをいう。鉛蓄電池の満充電は、化成後であれば、化成直後でもよく、化成から時間が経過した後に行ってもよい(例えば、化成後で、使用中(好ましくは使用初期)の鉛蓄電池を満充電してもよい)。
本発明の鉛蓄電池の構成の例について以下に説明する。なお、以下で説明する構成部材には、上述した構成部材を用いてもよい。本発明に特徴的な構成部材以外の構成部材には、公知の構成部材を適用してもよい。
(セパレータ)
セパレータは、有機繊維で構成された不織布(F)を含む第1のセパレータと、ガラス繊維マットを含む第2のセパレータとを含む。第1のセパレータは、その大部分(例えば80質量%以上)が不織布(F)で構成されてもよいし、不織布(F)のみで構成されてもよい。第2のセパレータは、その大部分(例えば80質量%以上)がガラス繊維マットで構成されてもよいし、ガラス繊維マットのみで構成されてもよい。
(不織布(F))
不織布(F)は有機繊維によって構成される。第1のセパレータの70質量%以上(例えば80質量、90質量%以上、または95質量%以上)は有機繊維である。第1のセパレータは、有機繊維のみからなるものであってもよい。有機繊維の例には、合成繊維(ポリオレフィン繊維、アクリル系繊維、ポリエステル繊維など)、天然由来の成分を含む繊維などが含まれる。ポリオレフィン繊維の例には、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維が含まれる。ポリエステル繊維の例には、ポリエチレンテレフタレート繊維などが含まれる。天然由来の成分を含む繊維の例には、パルプ繊維(例えばセルロース繊維)が含まれる。第1のセパレータは、有機繊維以外の成分、例えば耐酸性の無機粉体、結着剤としてのポリマーなどを含んでもよい。
微細な細孔への電解液の浸透性、および、細孔内における電解液の保持性を高めるために、有機繊維の親水性は高い方が好ましい。その観点では、親水化処理されていないポリオレフィン繊維よりも親水性が高い有機繊維を用いることが好ましい。例えば、親水基(水酸基やカルボキシル基など)を含有する単量体を用いた重合体(例えば共重合体)を用いてもよいし、親水化処理を行った有機繊維を用いてもよい。親水化処理には公知の親水化処理を用いてもよい。親水化処理されていないポリオレフィン繊維よりも親水性が高い有機繊維の例には、アクリル系繊維、ポリエチレンテレフタレート系繊維(PET系繊維)などが含まれる。好ましい有機繊維の一例は、親水基を含有する単量体とアクリロニトリルとを用いて合成される共重合体である。
有機繊維は、分割繊維であってもよい。分割繊維を用いることによって、割合Vfを大きくしやすくなる。
不織布(F)を構成する有機繊維のうち、分割された分割繊維の平均繊維径は、0.01μm~1.0μmの範囲(例えば0.01μm~0.75μmの範囲)にあってもよい。不織布(F)を構成する有機繊維の平均繊維径は、0.5μm~15μmの範囲(例えば0.5μm~10μmの範囲)にあってもよい。平均繊維径を9μm以下とすることによって、割合Vfを大きくしやすくなる。有機繊維の平均繊維径は、任意の100本の繊維について、その長さ方向に垂直な任意の断面の最大径を求め、100個の数値の平均値として求めればよい。なお、分割繊維については、分割後のそれぞれの繊維を1本の繊維として扱う。例えば、10本に分割された分割繊維については、10本の繊維として扱う。
不織布(F)の面密度は、40g/m~90g/mの範囲(例えば50g/m~80g/mの範囲)にあってもよい。不織布(F)を構成する有機繊維の平均繊維径を0.5μm~10μmの範囲とし、不織布(F)の面密度を50g/m~80g/mの範囲とすることによって、割合Vfを大きくしやすくなる。
(ガラス繊維マット)
ガラス繊維マットは、例えば、ガラス繊維を用いて形成されたシート(例えば不織布)である。ガラス繊維マットの全体がガラス繊維で形成されていてもよい。あるいは、ガラス繊維マットは、主成分としてガラス繊維を含んでもよい。第2のセパレータにおけるガラス繊維の含有率は、90質量%以上または95質量%以上であってもよい。第2のセパレータは、ガラス繊維以外の成分、例えば、有機繊維、耐酸性の無機粉体、結着剤としてのポリマーなどを含んでもよいが、それらの含有率は、通常、20質量%以下(例えば10質量%以下や5質量%以下)である。
ガラス繊維の平均繊維径は、0.1μm~30μmの範囲にあってもよく、0.5μm~15μmの範囲にあってもよい。ガラス繊維の平均繊維径は、任意の100本の繊維について、その長さ方向に垂直な任意の断面の最大径を求め、100個の数値の平均値として求めればよい。
ガラス繊維マットの面密度は、100g/m~250g/mの範囲(例えば100g/m~200g/mの範囲)にあってもよい。
(正極板)
正極板は、正極集電体と、正極集電体上に配置された正極電極材料とを含む。正極電極材料は、正極集電体に保持されている。正極電極材料は、正極板から正極集電体を除いた部分である。正極集電体は、鉛または鉛合金の鋳造や、鉛または鉛合金シートの加工によって形成できる。加工方法の例には、エキスパンド加工や打ち抜き(パンチング)加工などが含まれる。
正極集電体に用いる鉛合金としては、耐食性および機械的強度の点で、Pb-Ca系合金、Pb-Ca-Sn系合金が好ましい。正極集電体は、組成の異なる鉛合金層を有してもよく、合金層は複数でもよい。芯金には、Pb-Ca系合金やPb-Sb系合金を用いることが好ましい。
正極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する正極活物質(二酸化鉛もしくは硫酸鉛)を含む。正極電極材料は、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。
正極板は、以下の方法で作製してもよい。まず、正極集電体に、正極ペーストを充填し、熟成および乾燥することによって未化成の正極板を作製する。この未化成の正極板を化成することによって、正極板が得られる。正極ペーストは、鉛粉、添加剤、水、および硫酸などを含む材料を混合することによって調製される。
(負極板)
鉛蓄電池の負極板は、負極集電体と、負極電極材料とで構成されている。負極電極材料は、負極板から負極集電体を除いた部分である。
負極集電体は、鉛または鉛合金の鋳造によって形成してもよく、鉛または鉛合金シートを加工することによって形成してもよい。加工方法の例には、エキスパンド加工や打ち抜き(パンチング)加工などが含まれる。
負極集電体に用いる鉛合金は、Pb-Sb系合金、Pb-Ca系合金、Pb-Ca-Sn系合金のいずれかであってもよい。これらの鉛もしくは鉛合金は、更に、他の添加元素を含んでもよく、Ba、Ag、Al、Bi、As、Se、およびCuからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含んでもよい。
負極電極材料は、酸化還元反応によって容量を発現する負極活物質(鉛または硫酸鉛)を含む。負極電極材料は、防縮剤、炭素質材料(カーボンブラックなど)、硫酸バリウムなどを含んでもよい。負極電極剤量は、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。
充電状態の負極活物質は、海綿状鉛であるが、未化成の負極板は、通常、鉛粉を用いて作製される。
負極板は、以下の方法で作製してもよい。まず、負極集電体に、負極ペーストを充填し、熟成および乾燥することによって未化成の負極板を作製する。この未化成の負極板を化成することによって、負極板が得られる。負極ペーストは、例えば、鉛粉、有機防縮剤、および必要に応じて各種添加剤を含む材料に、水と硫酸とを加えて混練することによって作製できる。熟成工程では、室温より高温かつ高湿度の環境下において、未化成の負極板を熟成させることが好ましい。
化成は、鉛蓄電池の電槽内の硫酸を含む電解液中に、未化成の負極板を含む極板群を浸漬させた状態で極板群を充電することによって行ってもよい。化成は、鉛蓄電池の組み立て前または極板群の組み立て前に行ってもよい。化成によって、海綿状鉛が生成する。
(電解液)
電解液は、硫酸を含む水溶液であり、Naイオン、Liイオン、Mgイオン、およびAlイオンからなる群より選択される少なくとも一種などを含んでもよい。電解液は、必要に応じてゲル化させてもよい。
電解液の20℃における比重は、例えば、1.10g/cm3以上である。電解液の20℃における比重は、1.35g/cm3以下であってもよい。なお、これらの比重は、既化成で満充電状態の鉛蓄電池の電解液についての値である。
(外装体)
鉛蓄電池は、外装体を含む。外装体は、極板群および電解液を収容する電槽と、電槽の開口部に蓋をする蓋部とを含んでもよい。電槽は、複数のセル室を含んでもよい。1つのセル室に1つの極板群が配置されてもよい。鉛蓄電池が制御弁式鉛蓄電池(VRLA電池)である場合、外装体は制御弁を含む。制御弁は、通常、蓋部に配置される。制御弁は、外装体の内圧が高くなったとき(例えば所定値以上となったとき)に開いて、外装体内のガスを外部に放出する。制御弁には、鉛蓄電池に用いられている公知の制御弁を用いることができる。
本発明に係る実施形態の例について、図面を参照しながら以下に説明する。以下で説明する例の構成要素には、上述した構成要素を適用できる。また、以下で説明する例は、上述した記載に基づいて変更できる。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。また、以下で説明する実施形態において、本発明の鉛蓄電池に必須ではない構成要素は省略してもよい。
図1は、制御弁式鉛蓄電池の一例の構造の一部を模式的に示す断面図である。図1に示す鉛蓄電池1は、極板群30、電解液(図示せず)、および外装体(電槽10および蓋12)を含む。電槽10には、極板群30および電解液が収容されている。電槽10の上部開口は、蓋12によって封じられている。
電槽10は、複数(図1の例では3個)の互いに独立したセル室10Rに区分されている。各セル室10Rには、1つの極板群30が収容されている。蓋12は、セル室10R毎に独立した排気弁(制御弁)13を有する。セル室10Rの内圧が所定の上限値を超えると、排気弁13が開き、セル室10R内のガスの一部を外部に放出する。セル室10Rの内圧が上限値以下では、排気弁13は閉じており、正極板31で発生した酸素は、同じセル室10R内の負極板32で還元されて水を生成する。
なお、制御弁式鉛蓄電池の構造は、上記に限定されない。図1には、各セル室10Rに排気弁13が配置される一例を示した。しかし、制御弁式鉛蓄電池は、排気弁13の数がセル室10Rの数よりも少ない構造を有してもよい。その場合、制御弁式鉛蓄電池の蓋は、各セル室と連通する一括排気室を有してもよい。当該一括排気室には、セル室の数より少数(例えば1個)の排気弁が配置されてもよい。
極板群30の一例の断面図を図2に示す。なお、以下の図では、正極集電体および負極集電体の図示を省略している。図2の極板群30は、正極板31、負極板32、およびセパレータ40を含む。セパレータ40は、不織布(F)を含む第1のセパレータ41と、ガラス繊維マットを含む第2のセパレータ42とを含む。第1のセパレータ41を構成する不織布(F)は、上述した特徴を有する。
第1のセパレータ41は、不織布(F)で構成された複数の袋41aを含む。それぞれの袋41aには、1つの正極板31が収容されている。袋41aは、正極板31の約2倍の大きさを有する不織布(F)をその中央で折って、重ね合わされた2つの辺の部分を接着することによって形成してもよい。2つの辺の接着は、例えば、加熱による溶着によって行ってもよい。
第2のセパレータ42は、ガラス繊維マットで構成された複数のU字状マット(断面U字状マット)42aを含む。それぞれのU字状マット42aの内側には、袋41aおよびそれに収容された正極板31が配置されている。
U字状マット42aは、1枚のマットを折り曲げ部42bで折り曲げることによって形成されている。U字状マット42aは、所定の断面(図1に示す断面)がU字状の形状を有する。所定の断面は、折り曲げ部42bが延びる方向に対して垂直な断面である。別の観点では、U字状マット42aは、折り曲げ部42bで折り曲げられることによって重ね合わされたマットである。なお、U字状マット42aの内側とは、折り曲げ部42bを介してつながっている2つのシート状部の間の空間を意味する。
複数の負極板32のそれぞれの上部には、上方に突出する集電用の耳部(図示せず)が設けられている。複数の正極板31のそれぞれの上部にも、上方に突出する集電用の耳部(図示せず)が設けられている。そして、負極板32の耳部同士は負極用ストラップ(図示せず)によって連結されて一体化されている。同様に、正極板31の耳部同士も正極用ストラップ(図示せず)によって連結されて一体化されている。負極用ストラップは、外部端子となる負極柱(図示せず)に接続されている。正極用ストラップは、外部端子となる正極柱(図示せず)に接続されている。
極板群30は、袋41aおよびU字状マット42aおよびに収容された正極板31と、負極板32とを交互に配置することによって構成されている。その結果、正極板31と正極板31に隣接する負極板32との間には、不織布(F)とガラス繊維マットとが積層されるように配置される。図2では、5つの正極板31と6つの負極板32とを含む極板群30を示している。負極板32の数は、正極板31の数よりも1つ多い。負極板32は、極板群30の両端に配置されている。上述したように、正極板31の数および負極板32の数は変更されうる。さらに、正極板31の位置と負極板32の位置とを入れかえてもよい。すなわち、負極板32が袋41aおよびU字状マット42aに収容されてもよい。
極板群30の他の一例の断面図を図3に示す。図3に示す極板群30は、正極板31、負極板32、およびセパレータ40の配置のみが図2に示す極板群30とは異なるため、重複する説明は省略する。
図3に示す極板群30では、正極板31がU字状マット42aの内側に配置され、負極板32が袋41aに収容されている。そして、U字状マット42aに収容された正極板31と、袋41aに収容された負極板32とが交互に配置されている。負極板32の数は、正極板31の数よりも1つ多い。負極板32は、極板群30の両端に配置されている。上述したように、正極板31の数および負極板32の数は変更されうる。また、正極板31と負極板32とを入れかえてもよい。すなわち、負極板32がU字状マット42aの内側に配置され、正極板31が袋41aに収容されてもよい。
極板群30において、任意の正極板31の正極電極材料と、当該正極板31に隣接する負極板32の負極電極材料とを結ぶ直線上には、不織布(F)とガラス繊維マットとの積層体が存在する。
本発明に係る鉛蓄電池を以下にまとめて記載する。
(1)交互に配置された複数の正極板および複数の負極板と、
セパレータと、
電解液と、を含む鉛蓄電池であって、
前記セパレータは、有機繊維で構成された不織布を含む第1のセパレータと、ガラス繊維マットを含む第2のセパレータとを含み、
前記正極板と前記正極板に隣接する前記負極板との間には、前記不織布と前記ガラス繊維マットとが積層されるように配置されており、
前記不織布の細孔Pfを水銀圧入法によって測定したときに、すべての前記細孔Pfの容積に占める、直径が0.01μm~15.0μmの範囲にある前記細孔Pfの容積の割合がVf(%)であり、
前記ガラス繊維マットの細孔Pgを水銀圧入法によって測定したときに、すべての前記細孔Pgの容積に占める、直径が0.01μm~15.0μmの範囲にある前記細孔Pgの容積の割合がVg(%)であり、
比Vf/Vgが、0.5~1.2の範囲にある、鉛蓄電池。
(2)前記比Vf/Vgは、0.71~1.18の範囲にある、上記(1)に記載の鉛蓄電池。
(3)前記不織布の平均厚さは、0.1mm~0.3mmの範囲にある、上記(1)または(2)に記載の鉛蓄電池。
(4)前記複数の正極板のそれぞれは、第1のエキスパンド格子部を含む正極集電体を含み、前記複数の負極板のそれぞれは、第2のエキスパンド格子部を含む負極集電体を含む、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の鉛蓄電池。
(5)前記有機繊維は、アクリル系繊維を含む分割繊維を含む、上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の鉛蓄電池。
(6)前記有機繊維は、前記電解液中で離脱する成分を含有する繊維から前記成分が前記電解液中で離脱することによって形成された有機繊維を含む、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の鉛蓄電池。
(7)前記第1のセパレータは、前記不織布で構成された複数の袋を含み、前記複数の正極板および前記複数の負極板から選ばれる一方の極板のそれぞれは、前記袋に収容されている、上記(1)~(6)のいずれか1つに記載の鉛蓄電池。
(8)前記第2のセパレータは、前記ガラス繊維マットで構成された複数の断面U字状マットを含み、前記一方の極板のそれぞれを収容している前記袋は、前記断面U字状マットの内側に配置されている、上記(7)に記載の鉛蓄電池。
(9)前記第2のセパレータは、前記ガラス繊維マットで構成された複数の断面U字状マットを含み、前記一方の極板ではない他方の極板のそれぞれは、前記断面U字状マットの内側に配置されている、上記(7)に記載の鉛蓄電池。
(10)制御弁式鉛蓄電池である、上記(1)~(9)のいずれか1つに記載の鉛蓄電池。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
(鉛蓄電池A1~A12およびC1~C3の作製)
以下の方法によって、鉛蓄電池A1~A12およびC1~C3を作製した。
(a)負極板の作製
原料の鉛粉と、有機防縮剤であるリグニンと、硫酸バリウムと、カーボンブラックとを、適量の硫酸水溶液と混合して、負極ペーストを得た。各材料は、有機防縮剤の含有量が0.1質量%、硫酸バリウムの含有量が0.4質量%、カーボンブラックの含有量が0.2質量%となるように混合した。次に、負極ペーストを、Pb-Ca-Sn合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、さらに熟成乾燥することによって、未化成の負極板を得た。
(b)正極板の作製
原料の鉛粉と硫酸水溶液とを混合することによって、正極ペーストを得た。正極ペーストを、Pb-Ca-Sn合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、さらに熟成乾燥することによって、未化成の正極板を得た。
(c)セパレータの準備
セパレータとして、アクリル系繊維を含む有機繊維の不織布を用いて形成された袋状セパレータ(袋状セパレータ)と、ガラス繊維マットを用いて形成されたU字状マットを準備した。この実施例では、上記のVf、Vg、およびVf/Vgの値が変化するようにセパレータおよびガラス繊維マットを選択することによって、表1に示す複数の鉛蓄電池を作製した。この実施例では、Vfは、不織布を構成する全繊維における分割繊維の割合と種類とを変えることによって変化させた。具体的には、Vfを大きくする場合には、単繊維と比較して分割繊維を多くした、および/または、分割繊維に含まれるアセテートの割合を3質量%以上とした。Vgは、ガラス繊維の繊維径を変えることによって変化させた。具体的には、Vgを大きくする場合には、ガラス繊維の繊維径を小さくした。
表1の鉛蓄電池の製造において、不織布に用いた有機繊維の平均繊維径は、0.5~15μmの範囲で変化させた。また、不織布の面密度は、40~90g/mの範囲で変化させた。U字状マットを構成するガラス繊維の平均繊維径は、0.1~30μmの範囲で変化させた。ガラス繊維の面密度は、100~200g/mの範囲で変化させた。
(d)鉛蓄電池の作製
鉛蓄電池は、定格電圧が12V、定格3時間率容量が60Ahとなるように作製した。鉛蓄電池の1つの極板群は、正極板11枚と負極板12枚とを含む。各正極板を、袋状セパレータに収容し、さらにそれらを、U字状マットの内側に配置した。次に、負極板と、セパレータに収容された正極板とを交互に積層することによって、極板群を形成した。極板群をポリプロピレン製の電槽に電解液(硫酸水溶液)とともに収容して、電槽内で化成を施した。このようにして、制御弁式鉛蓄電池(電池A1~A12およびC1~C3)を作製した。満充電状態の鉛蓄電池における電解液の20℃における比重は1.28であった。
(作製された鉛蓄電池の比Vf/Vgの評価)
作製された満充電後の鉛蓄電池からセパレータを取り出し、上述した方法でVfおよびVgを測定した。そして、比Vf/Vgを算出した。
(作製された鉛蓄電池のサイクル寿命の評価)
作製された鉛蓄電池について、高率放電を含む充放電サイクルを行うことによって、高率放電でのサイクル寿命を評価した。充放電サイクルにおいて、放電は、放電電流150Aで13分間行った。充電は、5段定電流充電方式で行った。具体的には、以下の方法で充電を行った。まず、0.2CAで定電流充電を行い、充電電圧が切替電圧に到達したら充電電流を0.1CAに低減した。充電電流の低減によって充電電圧が下がるが、充電電圧が再び切替電圧に到達したら充電電流を0.05CAに低減した。充電電圧が再び切替電圧に到達したら、充電電流を0.025CAに低減した。充電電圧が再び切替電圧に到達したら、充電電流を0.025CAに維持したまま2.5時間充電を続けた。このようにして、5段階の充電を行った。切替電圧は、14.4Vとした。なお、1Cは定格容量として記載の数値(Ah)の電流(A)を意味する。
上記の充放電サイクルの初期、および、25サイクル毎に、放電電流150Aで電池電圧が8.4Vになるまで放電した時の放電容量を測定した。そして、放電容量が初期の放電容量の80%となったときのサイクル数を寿命サイクル数とした。電池C3の寿命サイクル数を100%として、他の電池の寿命サイクル数を相対評価した。
鉛蓄電池の評価結果を表1に示す。なお、電池C1~C3の製造に用いられたセパレータおよびガラス繊維マットは、従来用いられてきたセパレータおよびガラス繊維マットである。
Figure 2022152914000002
表1のデータを、図4に示す。表1および図4に示すように、比Vf/Vgが0.5~1.2の範囲にある場合には、サイクル寿命が顕著に向上した。サイクル寿命がより向上する点で、比Vf/Vgは、好ましくは0.71~1.18の範囲にあり、より好ましくは、0.79~1.12の範囲にある。
本発明は、鉛蓄電池に利用でき、例えば、制御弁式鉛蓄電池に利用できる。本発明の制御弁式鉛蓄電池は、無停電電源装置(UPS)のような据置用の制御弁式鉛蓄電池として用いてもよいが、その用途は特に限定されない。
1 :鉛蓄電池
10 :電槽
10R :セル室
12 :蓋
13 :排気弁
30 :極板群
31 :正極板
32 :負極板
40 :セパレータ
41 :第1のセパレータ
41a :袋
42 :第2のセパレータ
42a :U字状マット
42b :折り曲げ部

Claims (10)

  1. 交互に配置された複数の正極板および複数の負極板と、
    セパレータと、
    電解液と、を含む鉛蓄電池であって、
    前記セパレータは、有機繊維で構成された不織布を含む第1のセパレータと、ガラス繊維マットを含む第2のセパレータとを含み、
    前記正極板と前記正極板に隣接する前記負極板との間には、前記不織布と前記ガラス繊維マットとが積層されるように配置されており、
    前記不織布の細孔Pfを水銀圧入法によって測定したときに、すべての前記細孔Pfの容積に占める、直径が0.01μm~15.0μmの範囲にある前記細孔Pfの容積の割合がVf(%)であり、
    前記ガラス繊維マットの細孔Pgを水銀圧入法によって測定したときに、すべての前記細孔Pgの容積に占める、直径が0.01μm~15.0μmの範囲にある前記細孔Pgの容積の割合がVg(%)であり、
    比Vf/Vgが、0.5~1.2の範囲にある、鉛蓄電池。
  2. 前記比Vf/Vgは、0.71~1.18の範囲にある、請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記不織布の平均厚さは、0.1mm~0.3mmの範囲にある、請求項1または2に記載の鉛蓄電池。
  4. 前記複数の正極板のそれぞれは、第1のエキスパンド格子部を含む正極集電体を含み、
    前記複数の負極板のそれぞれは、第2のエキスパンド格子部を含む負極集電体を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  5. 前記有機繊維は、アクリル系繊維を含む分割繊維を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  6. 前記有機繊維は、前記電解液中で離脱する成分を含有する繊維から前記成分が前記電解液中で離脱することによって形成された有機繊維を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  7. 前記第1のセパレータは、前記不織布で構成された複数の袋を含み、
    前記複数の正極板および前記複数の負極板から選ばれる一方の極板のそれぞれは、前記袋に収容されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
  8. 前記第2のセパレータは、前記ガラス繊維マットで構成された複数の断面U字状マットを含み、
    前記一方の極板のそれぞれを収容している前記袋は、前記断面U字状マットの内側に配置されている、請求項7に記載の鉛蓄電池。
  9. 前記第2のセパレータは、前記ガラス繊維マットで構成された複数の断面U字状マットを含み、
    前記一方の極板ではない他方の極板のそれぞれは、前記断面U字状マットの内側に配置されている、請求項7に記載の鉛蓄電池。
  10. 制御弁式鉛蓄電池である、請求項1~9のいずれか1項に記載の鉛蓄電池。
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