JP2022152718A - 超純水用多層管、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂、及び超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂セット - Google Patents

超純水用多層管、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂、及び超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂セット Download PDF

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Abstract

Figure 2022152718000001
【課題】カルシウム溶出量が小さく、機械的特性に優れる超純水用多層管を提供する。
【解決手段】
管状の複数の層を備える多層管であって、最内層を構成する第1のポリエチレン系樹脂層のポリエチレン系樹脂1が特定のMFR2.16及び密度でカルシウム濃度は100ppm以下、ESCRは10時間以上であり、その外層を構成する第2のポリエチレン系樹脂層のポリエチレン系樹脂2が特定のMFR21.6、MFR21.6/MFR2.16、及び密度で、特定の高分子量成分を特定量含有する、超純水用多層管。
【選択図】図1

Description

本発明は、超純水用多層管、及び超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂に関する。より具体的には、本発明は、超純水用配管材として使用される超純水用多層管、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂、及び超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂セットに関する。
従来より、半導体装置又は液晶表示装置等の精密デバイスの製造において、洗浄等の湿式工程で極めて高純度に精製された超純水が用いられている。金属イオン等が所定濃度以上水中に存在していると、ウエハ表面等に金属が吸着することで精密デバイスの品質に悪影響を及ぼすため、超純水中における不純物の制限が徹底して行われている。
超純水への不純物の混入は、超純水の輸送ラインを構成する配管においても生じる。配管の材質としては、ガスバリア性に優れたステンレス鋼等の金属が用いられたこともあるが、配管からの金属溶出の影響を考慮すると、樹脂を用いることが好ましいとされている。
超純水用配管材の材料に用いられる樹脂としては、化学的に不活性であり、ガスバリア性を有し且つ超純水への溶出性が極めて少ないフッ素樹脂が用いられている。例えば、半導体製造装置、液晶製造装置等に使用される配管として、フッ素樹脂を2層に積層したフッ素樹脂2重チューブが挙げられる。フッ素樹脂2重チューブとしては、内側層チューブが、耐食性、耐薬品性に優れたフッ素樹脂(例えば、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、または、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE))によって構成され、外側層チューブが、ガスの透過を抑制できるフッ素樹脂(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF))によって構成される配管が挙げられる。
また、特許文献1には、超純水の配管用の多層管であって、フッ素樹脂からなり、超純水に接触する第1の樹脂層と、ガス不透過性樹脂からなり、前記第1の樹脂層の外周面に設けられた第2の樹脂層とを備えることを特徴とする多層管が開示されている。さらに、第2の樹脂層の外周面に、前記第2の樹脂層を保護する第3の樹脂層が設けられ、当該第3の樹脂層としてポリエチレンが用いられることが開示されている。
超純水用配管材に用いられる樹脂の中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、半導体分野において、超純水製造装置内の配管や、超純水製造装置からユースポイントへの超純水の輸送用配管として実用化されているものの全てに用いられており、超純水用配管材における技術的標準となっている。
最近では、半導体チップの集積度向上に伴い回路パターンがますます微細化されてきており、低レベルの不純物に対してもより影響を受けやすくなっている。従って、超純水に対する要求水質は厳格化の一途をたどっている。例えば、半導体製造に使用される超純水の品質等に関する規格がSEMI F75として公表されており、2年ごとに更新されている。
特開2010-234576号公報
PVDF等のフッ素樹脂製配管は、他の一般的な配管に比べ、施工性及びコスト性において不利な点もある。しかしながら、超純水に対する要求水質の厳格化の背景において、フッ素樹脂製配管は要求水質を満たす配管として事実上唯一の選択肢となっている。
本発明者らは、敢えて、超純水用配管材の材料を代替することに着目した。例えば、一般的な配管材料として、施工性及びコスト性に優れるポリエチレン系樹脂が用いられている。しかしながら、配管材料として汎用されているポリエチレン系樹脂はチーグラー触媒といった塩素系触媒を用いた重合により合成されているため、重合後に触媒残渣を中和するためにステアリン酸カルシウム等の中和剤を混合する必要がある。更に、中和剤の中でもステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属石鹸は、塩素を中和する効果に加え、金型に対する滑剤効果も発現することから、ポリエチレンの重合触媒の種類に関係なく配管材表面の平滑性改良剤として配管材料へ混合することが一般的である。このため、一般的なポリエチレン系樹脂管は、輸送する水に中和剤に由来するカルシウムが多く溶出してしまうことから、超純水に求められる要求水質には遠く及ばない。
ポリエチレン系樹脂製多層管として、カルシウム量が極めて少ないポリエチレン系樹脂を管の最内層に用い、最内層の外層に耐久性の優れるポリエチレン系樹脂を積層することで、これまでPVDF等のフッ素樹脂製配管でしか成し得なかった程度までカルシウム溶出量を激減させつつ、長期にわたる高い耐圧性能を得ることは可能であると考えられた。しかし、管の最内層に用いるポリエチレン系樹脂は、極薄い層として用いればクリープ破壊は起こり難くなるものの、内圧使用環境下において、クリープ破壊とは別のクラック破壊が発生しやすく、積層した外層のポリエチレン系樹脂由来のカルシウム溶出が起きたり、最内層そのものが異物として混入するという新たな課題がある。
本発明は、カルシウム溶出量を低減し、且つ、圧力パイプシステムとして十分な機械的特性を備えた超純水用多層管、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂、及び超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂セットを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、ポリエチレン系樹脂製多層管に関し、多層管の最内層の超純水に接触するポリエチレン系樹脂層に用いるポリエチレン系樹脂について、カルシウム濃度を特定の範囲となるように制御することでカルシウム溶出量を大幅に抑制し、MFR、分子量、分子量分布、及び密度を特定の範囲となるように制御することで内圧環境下でのクラック破壊も抑制出来ることを見出した。更に、当該最内層の外側に、特定の高分子量成分を特定量含有し、特定のMFR、分子量、及び分子量分布を有するように制御されたポリエチレン系樹脂層を配置した積層構造をとることで安定した生産性と長期耐久性を発現できるポリエチレン系樹脂製多層管が得られることを見出し、本発明に到達した。
本発明の一実施形態は、管状の複数の層を備える多層管であって、
最内層を構成する第1のポリエチレン系樹脂層に用いるポリエチレン系樹脂1が、下記特性(1)~(5)を満足するポリエチレン系樹脂であり、その外層を構成する第2のポリエチレン系樹脂層に用いるポリエチレン系樹脂2が、下記特性(a)~(d)を満足するポリエチレン系樹脂である、超純水用多層管を提供する。
特性(1):温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR2.16)が0.2g/10分以上6.0g/10分未満である。
特性(2):密度が0.920g/cm以上0.970g/cm以下である。
特性(3):カルシウム濃度が100ppm以下である。
特性(4):JIS K6922-2:1997に準拠して測定された環境応力き裂試験(ESCR)における50%亀裂発生時間(F50)が10時間以上である。
特性(5):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が20以上160以下である。
特性(a):温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(MFR21.6)が6g/10分以上25g/10分以下である。
特性(b):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が40以上250以下である。
特性(c):密度が0.945g/cm以上0.965g/cm以下である。
特性(d):高分子量成分としてMFR21.6が0.1g/10分以上1.0g/10分以下、密度が0.910g/cm以上0.935g/cm以下であるエチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体を20重量%以上50重量%以下含んでいる。
本発明の一実施形態の超純水用多層管において、超純水への有機成分の溶出抑制の観点から、前記ポリエチレン系樹脂1の密度が0.940g/cm以上0.970g/cm以下であってよい。
本発明の一実施形態の超純水用多層管において、管が内圧環境下で長期にわたり破損せず使用出来るという観点から、前記ポリエチレン系樹脂2が、更に下記特性(e)を満足するものであってよい。
特性(e):JIS K6774(1995)付属書1の全周ノッチ式引張クリープ試験に準拠して測定された、80℃、5MPaにおける破断時間(FNCT)が100時間以上である。
本発明の一実施形態の超純水用多層管において、第2のポリエチレン系樹脂層に含まれるカルシウムの移行による超純水へのカルシウム溶出をせき止める観点から、第1のポリエチレン系樹脂層の厚みが0.8mm以上であってよい。
また、本発明の一実施形態の超純水用多層管において、第1のポリエチレン系樹脂層自体の強度不足による影響を抑制する観点から、第1のポリエチレン系樹脂層の厚みが2.0mm以下であってよい。
本発明の一実施形態の超純水用多層管において、管の自重が重くなり過ぎない観点から、多層管の外径と多層管の合計層厚の最小値の比の値(SDR)が17以下であってよい。
本発明の一実施形態の超純水用多層管において、成形時に第1のポリエチレン系樹脂層と第2のポリエチレン系樹脂層との層界面の乱れを抑制する観点から、前記ポリエチレン系樹脂1のMFR21.6が、ポリエチレン系樹脂2のMFR21.6の1~10倍であってよい。
本発明の一実施形態の超純水用多層管において、外表面からの酸素の内部浸透を防止し、多層管の強度を向上させる観点、超純水中へのガス溶解を抑止する観点から、前記第2のポリエチレン系樹脂層の外側にガスバリア層を更に含むものであってよい。
また、本発明の他の実施形態は、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂であって、多層管の最内層に用いられる下記特性(1)~(5)を満足する、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂を提供する。
特性(1):温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR2.16)が0.2g/10分以上6.0g/10分未満である。
特性(2):密度が0.920g/cm以上0.970g/cm以下である。
特性(3):カルシウム濃度が100ppm以下である。
特性(4):JIS K6922-2:1997に準拠して測定された環境応力き裂試験(ESCR)における50%亀裂発生時間(F50)が10時間以上である。
特性(5):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が20以上160以下である。
また、本発明の他の実施形態は、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂であって、多層管の最内層の外層に用いられる下記特性(a)~(d)を満足する、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂を提供する。
特性(a):温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(MFR21.6)が6g/10分以上25g/10分以下である。
特性(b):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が40以上250以下である。
特性(c):密度が0.945g/cm以上0.965g/cm以下である。
特性(d):高分子量成分としてMFR21.6が0.1g/10分以上1.0g/10分以下、密度が0.910g/cm以上0.935g/cm以下であるエチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体を20重量%以上50重量%以下含んでいる。
また、本発明の他の実施形態は、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂セットであって、多層管の最内層に用いられる下記特性(1)~(5)を満足する、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂1と、多層管の最内層の外層に用いられる下記特性(a)~(d)を満足する、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂2を備える、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂セットを提供する。
特性(1):温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR2.16)が0.2g/10分以上6.0g/10分未満である。
特性(2):密度が0.920g/cm以上0.970g/cm以下である。
特性(3):カルシウム濃度が100ppm以下である。
特性(4):JIS K6922-2:1997に準拠して測定された環境応力き裂試験(ESCR)における50%亀裂発生時間(F50)が10時間以上である。
特性(5):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が20以上160以下である。
特性(a):温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(MFR21.6)が6g/10分以上25g/10分以下である。
特性(b):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が40以上250以下である。
特性(c):密度が0.945g/cm以上0.965g/cm以下である。
特性(d):高分子量成分としてMFR21.6が0.1g/10分以上1.0g/10分以下、密度が0.910g/cm以上0.935g/cm以下であるエチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体を20重量%以上50重量%以下含んでいる。
本発明によれば、カルシウム溶出量を低減し、且つ、圧力パイプシステムとして十分な機械的特性を備えた超純水用多層管、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂、及び超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂セットを提供することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態に係る超純水用多層管の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る超純水用多層管の他の一例を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の実施形態に係る超純水用多層管の他の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の超純水用多層管は、管状の複数の層を備える多層管であって、
最内層を構成する第1のポリエチレン系樹脂層に用いるポリエチレン系樹脂1が、下記特性(1)~(5)を満足するポリエチレン系樹脂であり、その外層を構成する第2のポリエチレン系樹脂層に用いるポリエチレン系樹脂2が、下記特性(a)~(d)を満足するポリエチレン系樹脂である、超純水用多層管である。
特性(1):温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR2.16)が0.2g/10分以上6.0g/10分未満である。
特性(2):密度が0.920g/cm以上0.970g/cm以下である。
特性(3):カルシウム濃度が100ppm以下である。
特性(4):JIS K6922-2:1997に準拠して測定された環境応力き裂試験(ESCR)における50%亀裂発生時間(F50)が10時間以上である。
特性(5):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が20以上160以下である。
特性(a):温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(MFR21.6)が6g/10分以上25g/10分以下である。
特性(b):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が40以上250以下である。
特性(c):密度が0.945g/cm以上0.965g/cm以下である。
特性(d):高分子量成分としてMFR21.6が0.1g/10分以上1.0g/10分以下、密度が0.910g/cm以上0.935g/cm以下であるエチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体を20重量%以上50重量%以下含んでいる。
本発明の超純水用多層管は、管状の複数の層を備える多層管であって、最内層を構成する第1のポリエチレン系樹脂層に用いるポリエチレン系樹脂1が前記特性(1)~(5)を満足し、最内層の外層を構成する第2のポリエチレン系樹脂層に用いるポリエチレン系樹脂2が前記特性(a)~(d)を満足することにより、カルシウム溶出量を低減し、且つ、圧力パイプシステムとして十分な機械的特性を備えるという効果を奏する。最内層を構成するポリエチレン系樹脂1のカルシウム濃度を特定の範囲となるように制御することで水中へのカルシウム溶出量を大幅に抑制することができ、ポリエチレン系樹脂1の分子量、分子量分布及び密度を特定の範囲とし、ESCRにおける50%亀裂発生時間を一定以上有するように制御することで、内圧環境下での最内層のクラック破壊も抑制可能になる。また、前記最内層の外層を構成するポリエチレン系樹脂として、特定の高分子量成分を特定量含有し、特定の分子量及び分子量分布を有するように制御されたポリエチレン系樹脂2を用いて、前記最内層に積層することで、多層管の安定した生産性と長期耐久性を発現でき、圧力パイプシステムとして十分な機械的特性を備えることが可能になる。
本発明の超純水用多層管によれば、超純水に対する厳格な要求水質を満たす配管として事実上唯一の選択肢となっているフッ素樹脂製配管材を代替することが可能になり、施工性及びコスト性に優れるという効果も奏する。
以下、本発明を、項目毎に、詳細に説明する。
なお、本発明において、ポリエチレンとは、エチレン単独重合体及びエチレンと後述のオレフィンとの共重合体の総称をいい、エチレン系重合体とも言い換えられる。また、ポリエチレン系樹脂とは、エチレン単独重合体又はエチレンと後述のオレフィンとの共重合体の単体である場合とこれらの混合物の樹脂組成物である場合が包含される。
また、本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。例えば、0.5~3.0mmとの表記は、0.5mm以上3.0mm以下であることを意味する。
[1.多層管の層構成]
本発明の超純水用多層管は管状の複数の層を備える多層管であって、最内層を構成する管状の第1のポリエチレン樹脂層と、前記第1のポリエチレン系樹脂層の外側に配置された、管状の第2のポリエチレン系樹脂層とを備える。以下、本発明の超純水用多層管の詳細について、図1~図3に示す超純水用多層管の例を挙げて説明する。
図1に示す超純水用多層管100は、第1のポリエチレン系樹脂層210と、第2のポリエチレン系樹脂層220とを備える。第1のポリエチレン系樹脂層210は超純水用多層管100の最内層を構成し、第2のポリエチレン系樹脂層220は、第1のポリエチレン系樹脂層210と接して外側に配置されている。第1のポリエチレン系樹脂層210と、第2のポリエチレン系樹脂層220とはそれぞれ管状である。第2のポリエチレン系樹脂層は、最内層である第1のポリエチレン系樹脂層210の外側に配置されていれば、図1のように最内層に接していてもよいし、接しておらず他の層を介して外側に配置されていてもよい。
また、第1のポリエチレン系樹脂層及び第2のポリエチレン系樹脂層はそれぞれ、単層であってもよく、複数積層された複層であってもよい。
図2に示す超純水用多層管100aは、第1のポリエチレン系樹脂層210aと第2のポリエチレン系樹脂層220とを備える。第1のポリエチレン系樹脂層210aは複層構造を有する。図示しないが、本発明の超純水用多層管は、単層構造を有する第1のポリエチレン系樹脂層と、複層構造を有する第2のポリエチレン系樹脂層とを備えてもよいし;複層構造を有する第1のポリエチレン系樹脂層と、複層構造を有する第2のポリエチレン系樹脂層とを備えてもよいし;第1のポリエチレン系樹脂層210と第2のポリエチレン系樹脂層220との間に別の層を備えていてもよい。
図3に示す超純水用多層管100bは、第1のポリエチレン系樹脂層210と、第2のポリエチレン系樹脂層220と、ガスバリア層300とを備える。ガスバリア層300は、第2のポリエチレン系樹脂層220の外側に配置されていればよい。ガスバリア層300は、超純水用多層管100bの最外層を構成してもよいし、ガスバリア層300のさらに外側に別の層を備えていてもよい。
[2.第1のポリエチレン系樹脂層およびポリエチレン系樹脂1]
第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン1種単独又は2種以上混合して用いられてもよく、更にエチレン-α-オレフィン共重合体を含み2種以上混合して用いられてもよい。ポリエチレン系樹脂の種類としてはESCRの観点から、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。これらの中でも、超純水への有機成分の溶出を抑制する観点から高密度ポリエチレンが好ましい。
エチレン-α-オレフィン共重合体としては、エチレンに対して、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン又は1-オクテン等のα-オレフィンを共重合させた共重合体が挙げられる。
第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1は、多層管の最内層に用いられる下記特性(1)~(5)を満足するポリエチレン系樹脂である。第1のポリエチレン系樹脂層が複層である場合、複数積層されている各層が前記特性(1)~(5)を満足するポリエチレン系樹脂1で形成されていればよく、各層に用いられるポリエチレン系樹脂1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
特性(1):温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR2.16)が0.2g/10分以上6.0g/10分未満である。
特性(2):密度が0.920g/cm以上0.970g/cm以下である。
特性(3):カルシウム濃度が100ppm以下である。
特性(4):JIS K6922-2:1997に準拠して測定された環境応力き裂試験(ESCR)における50%亀裂発生時間(F50)が10時間以上である。
特性(5):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が20以上160以下である。
特性(1):
第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1の流動性としては、表面平滑性を得る観点からMFR2.16が0.2g/10分以上を選択し、環境応力き裂抑制の観点から、MFR2.16が6.0g/10分未満を選択する。第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1のMFR2.16は、好ましくは4.0g/10分以下、より好ましくは3.0g/10分以下が挙げられる。
MFRは、溶融流動性を示す指標であり、重合体の分子量が大きくなると、この値が小さくなる。一方、分子量が小さくなると、この値は大きくなる。
特性(2):
第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1の密度は、超純水への有機成分の溶出抑制、および第2のポリエチレン系樹脂層に含まれるカルシウムの移行による超純水へのカルシウム溶出をせき止めるという観点から、密度0.920g/cm以上を選択し、好ましくは0.935g/cm以上、より好ましくは0.940g/cm以上が挙げられる。なお密度の上限値は、求めるMFR2.16におけるポリエチレン系樹脂の密度は製造が困難であるという観点から、0.970g/cmとし、0.960g/cm以下であってよい。
特性(3):
第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1のカルシウム濃度は100ppm以下である。当該カルシウム濃度が100ppmを超えると、超純水へのカルシウム溶出量が過度となり、超純水の要求水質を満たすことができなくなる恐れがある。超純水へのカルシウム溶出量をより抑制する観点から、第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1のカルシウム濃度としては、好ましくは60ppm以下、より好ましくは40ppm以下が挙げられる。第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1のカルシウム濃度は、低いほど超純水中へのカルシウム溶出量が少なくなることに鑑みると、最も好ましくは0ppmである。
特性(4):
第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1は、JIS K6922-2:1997に準拠して測定された環境応力き裂試験(ESCR)における50%亀裂発生時間(F50)が10時間以上である。
50%亀裂発生時間(F50)が10時間未満であると、耐環境応力き裂性に劣り、環境応力き裂による最内層のクラックが発生する恐れがある。最内層の耐環境応力き裂性の観点から、50%亀裂発生時間(F50)は好ましくは30時間以上、より好ましくは100時間以上である。
ESCR試験のF50は、ポリエチレン系樹脂の分子量によって調整することができ、MFRを下げると、上記F50を向上させることができる。
特性(5):
第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1のMFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値は、管形成時の加工性の観点から、20以上を選択し、好ましくは40以上、より好ましくは60以上が挙げられる。また超純水への有機成分の溶出抑制の観点から、MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値は160以下を選択し、好ましくは150以下、より好ましくは140以下が挙げられる。具体的な範囲としては、20~160、40~150、60~140が挙げられる。
MFR21.6/MFR2.16は分子量分布の指標となり、MFR21.6/MFR2.16が大きいほど分子量分布は広くなる。
第1のポリエチレン系樹脂層が、例えば図2の超純水用多層管100aの第1のポリエチレン系樹脂層210aのように複層構造を有する場合は、複層の第1のポリエチレン系樹脂層210aのうち最内層を構成するポリエチレン系樹脂におけるカルシウム濃度を、第1のポリエチレン系樹脂層210aのうち他方の層を構成するポリエチレン系樹脂より低くなるように設計してもよい。
なお、超純水配管に酸素を取り除く脱気装置が設けられることで、第1のポリエチレン系樹脂層中に酸化防止剤は不要となる。第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1に酸化防止剤を含ませないことによって、超純水中への有機成分の溶出をさらに抑制することができる。なお、ポリエチレン系樹脂1は酸化防止剤を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。酸化防止剤としては、従来公知のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤及びラクトン系酸化防止剤等が挙げられる。
第1のポリエチレン系樹脂層の厚みは特に限定されず、例えば0.5~3.0mmの範囲内で、第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2中のカルシウム濃度及び超純水用多層管全体の強度等を考慮して適宜決定することができる。第2のポリエチレン系樹脂層に含まれるカルシウムの移行による超純水へのカルシウム溶出をせき止める観点からは、第1のポリエチレン系樹脂層の厚みの下限としては0.8mm以上であることが好ましく、0.9mm以上であることがより好ましい。また、超純水用多層管全体において、第1のポリエチレン系樹脂層自体の強度不足による影響を抑制する観点からは、第1のポリエチレン系樹脂層の厚みの上限としては2.0mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1.2m以下であることがより好ましい。従って、第1のポリエチレン系樹脂層の厚みの具体的な範囲としては、0.5~3.0mm、0.5~2.0mm、0.5~1.5mm、0.5~1.2mm、0.8~3.0mm、0.8~2.0mm、0.8~1.5mm、0.8~1.2mm、0.9~3.0mm、0.9~2.0mm、0.9~1.5mm、0.9~1.2mmが挙げられる。
さらに、上述の第1のポリエチレン系樹脂層の厚みは、外径に対して管の内径を十分にとって超純水の輸送量を確保しやすくする観点から、後述するSDRの好ましい範囲を満たすように選択されることが好ましい。
[3.第2のポリエチレン系樹脂層およびポリエチレン系樹脂2]
第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂としては特に限定されず、上述の第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂において挙げたものの中から適宜選択することができる。上述のポリエチレン系樹脂の中でも、低分子量成分の溶出を抑制する観点、及び/又は、薬剤により配管洗浄した際の耐久性の観点から、高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましい。第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂は、第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂と同種であってもよいし異種であってもよい。
第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2は、多層管の最内層の外層に用いられ、下記特性(a)~(d)を満足するポリエチレン系樹脂である。ポリエチレン系樹脂2は、下記特性(d)に示されるように、特定の高分子量成分を特定量含有する樹脂組成物である。第2のポリエチレン系樹脂層が複層である場合、複数積層されている各層が前記特性(a)~(d)を満足するポリエチレン系樹脂2で形成されていればよく、各層に用いられるポリエチレン系樹脂2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
特性(a):温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(MFR21.6)が6g/10分以上25g/10分以下である。
特性(b):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が40以上250以下である。
特性(c):密度が0.945g/cm以上0.965g/cm以下である。
特性(d):高分子量成分としてMFR21.6が0.1g/10分以上1.0g/10分以下、密度が0.910g/cm以上0.935g/cm以下であるエチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体を20重量%以上50重量%以下含んでいる。
特性(a):
第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2は、多層管の強度、押出成形性の観点から、MFR21.6が6g/10分以上25g/10分以下を選択する。ポリエチレン系樹脂2のMFR21.6は、好ましくは8g/10分以上20g/10分以下、より好ましくは10g/10分以上19g/10分以下が挙げられる。
特性(b):
第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2は、層間の密着性を向上させるため、分子量分布は広めの方が良く、MFR21.6/MFR2.16の値で40以上を選択する。一方MFR21.6/MFR2.16の値が大きすぎると、結果としてポリエチレン系樹脂2中に低分子量成分が多く存在することになり、成形時いわゆるメヤニ等が大量に発生し外観不良を引き起こす恐れがある点から、250以下を選択する。
MFR21.6/MFR2.16は、層間の密着性を向上させる観点から、好ましくは45以上、より好ましくは50以上が挙げられ、成形性と耐久性の観点から、好ましくは200以下、より好ましくは150以下が挙げられる。
特性(c):
第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2は、耐圧性の観点、低分子量成分の溶出を抑制する観点、及び/又は、薬剤により配管洗浄した際の耐久性の観点から、密度が0.945g/cm以上0.965g/cm以下を選択する。
第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2の密度は、エチレンにα-オレフィンが共重合した成分を相当量含有するという観点から、好ましくは0.960g/cm以下、より好ましくは0.955g/cm以下が挙げられる。一般的にα-オレフィンとエチレンとの共重合体は密度が低い。
特性(d):
第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2は、材料強度の観点から、高分子量成分としてMFR21.6が0.1g/10分以上1.0g/10分以下、密度が0.910g/cm以上0.935g/cm以下であるエチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体を20重量%以上50重量%以下含んでいる。
材料強度の観点から、高分子量成分としては、好ましくは0.1g/10分以上0.7g/10分以下、密度が0.915g/cm以上0.930g/cm以下が挙げられる。高分子量成分のMFR21.6が0.1g/10分未満の場合、ポリエチレン系樹脂組成物としてのポリエチレン系樹脂2において、高分子量成分が他分子量成分と相溶不良となり極端に材料強度が落ちる懸念がある。高分子量成分の含有比率については好ましくは25重量%以上50重量%以下、より好ましくは30重量%以上50重量%以下が挙げられる。高分子量成分が所定のMFR21.6、密度、含有量とならない場合、多層管の耐久性が不十分になり、長期使用時において多層管が破損する恐れがある。
特性(d’):
第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2は、特性(d)の高分子量成分を特定量含有すれば、他の相対的に低分子量成分については、特性(a)~(c)を満足するように適宜選択すればよく特に限定されるものではない。他の相対的に低分子量成分としては、エチレンの単独重合体又はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体を1種又は2種以上混合して用いることができる。
1種又は2種以上混合して用いられる相対的に低分子量成分の特性としては、例えば下記が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2は、相溶性の観点から、相対的に低分子量成分として、例えば、MFR2.16が5g/10分以上500g/10分以下、密度が0.950g/cm以上0.975g/cm以下であるエチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体を50重量%以上80重量%以下含んでいてもよい。
効率よく安定した生産が出来る観点から、1種又は2種以上混合して用いられる相対的に低分子量成分の特性としてはMFR2.16が好ましくは50g/10分以上300g/10分以下、密度が0.955g/cm以上0.973g/cm以下が挙げられる。
特性(e):
第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2は、JIS K6774(1995)付属書1の全周ノッチ式引張クリープ試験に準拠して測定された、80℃、5MPaにおける破断時間(FNCT)が100時間以上であることが、長期使用における管破損の危険性を下げるという観点から好ましい。当該破断時間(FNCT)は、より好ましくは200時間以上、さらに好ましくは300時間以上である。
なお、FNCTは材料の降伏応力以下における低速亀裂成長を測定する試験方法であるが、長期耐久性の低い材料はクリープ破壊するより遥かに短い時間で低速亀裂成長により破損することから、長期耐久性の指標として用いることが出来る。
当該破断時間(FNCT)は、ポリエチレン系樹脂の分子量、α-オレフィン共重合量によって調整することができ、特にMFR21.6が1.0g/10分以下となる様な高分子量成分の分子量を上げたり(MFR21.6を小さくする)、α-オレフィン共重合量を増やしたり(密度を下げる)、高分子量成分の構成比率を増加させると、上記破断時間(FNCT)を向上させることができる。
多層構造を成すという成形法において、第1のポリエチレン系樹脂層が均一で、かつ、第2のポリエチレン系樹脂層との層界面の乱れも少なくするためには、第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1のMFR21.6が第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2のMFR21.6の1~10倍であることが好ましく、より好ましくは1~5倍が挙げられる。
また、第2のポリエチレン系樹脂層と第1のポリエチレン系樹脂層が互いに接触して積層される場合は、両層の密着性を向上させて好ましい強度を発現させる観点からは、同程度の密度となるポリエチレン系樹脂であることがより好ましい。
その場合、第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1の密度と第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2の密度の差は0.04g/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.02g/cm以下が挙げられる。
第2のポリエチレン系樹脂層に用いるポリエチレン系樹脂2は、長期使用における酸化劣化による管破損を抑制するという観点から酸化防止剤を含んでいることが好ましい。酸化防止剤としては、従来公知のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤及びラクトン系酸化防止剤等が挙げられる。第2のポリエチレン系樹脂層中の酸化防止剤の含有量としては、酸素の影響を抑制し好ましい強度を確保する観点から、例えば0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上が挙げられ、酸化防止剤の含有量の上限としては、例えば5重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下が挙げられる。
第2のポリエチレン系樹脂層に用いるポリエチレン系樹脂2は、本願の効果を損なわない範囲で、更に他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤等が挙げられる。
第2のポリエチレン系樹脂層の厚みは、管の種類により適宜設定されればよいものであり、特に限定されない。
さらに、上述の第1のポリエチレン系樹脂層の厚み、及び、第2のポリエチレン系樹脂層の厚みは、SDRが下記の好ましい範囲を満たすように適宜選択されることが好ましい。ここで、SDRとは、JIS K6761(2017)記載にある基準外径と最小肉厚の比(基準外径/最小肉厚)をいう。従って、本発明の多層管におけるSDRは、多層管の外径と多層管の合計層厚の最小値の比(多層管の外径/多層管の合計層厚の最小値)に相当する。後述するようなガスバリア層等、更に他の層を含む場合には、これらの層厚も含める。
SDRは、外径に対して管の内径を十分にとって超純水の輸送量を確保しやすくする観点から、例えば7以上、好ましくは9.5以上、より好ましくは10以上となるように調整することができる。また、SDRは、第2のポリエチレン系樹脂層の厚みを確保して第1のポリエチレン系樹脂層自体の強度不足を補い超純水用多層管全体として実用に適うより好ましい強度を備えさせる観点から、例えば20以下、好ましくは17以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは13以下となるように調整することができる。従って、SDR(基準外径/最小肉厚)の具体的な範囲としては、7~20、7~17、7~15、7~13、9.5~20、9.5~17、9.5~15、9.5~13、10~20、10~17、10~15、10~13が挙げられる。
[4.ガスバリア層]
本発明の超純水用多層管は、第2のポリエチレン系樹脂層の外側に更にガスバリア層を備えてもよい。ガスバリア層は、超純水用多層管の外表面からの酸素が第2のポリエチレン系樹脂層の内部、さらには第1のポリエチレン系樹脂層の内部へ浸透することを防止するため、超純水用多層管の強度を向上させることができる。また、ガスバリア層を備えることは、超純水中へのガス溶解も良好に抑止できる点でも好ましい。
ガスバリア層に用いられる材料としては、公知の材料を適宜選択して用いることができ、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、及びポリアクリロニトリル(PAN)等が挙げられ、好ましくは、ポリビニルアルコール(PVA)及びエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)が挙げられ、多層管のガスバリア性をより向上する観点からエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)が挙げられる。
ガスバリア層の厚みとしては、少なくともポリエチレン系樹脂の酸化劣化による強度低下を抑制する程度のガスバリア性を確保し得る厚さであれば特に限定されないが、例えば50~300μm、好ましくは100~250μm、より好ましくは150~250μmが挙げられる。
[5.超純水用多層管の用途]
本発明の超純水用多層管は、超純水の配管用の多層管であり、超純水の輸送に用いられる。具体的には、本発明の超純水用多層管は、超純水製造装置内の配管、超純水製造装置からユースポイントに超純水を輸送する配管、及びユースポイントからの超純水返送用配管等として用いることができる。なお、本発明における超純水の定義としては、25℃での比抵抗が10MΩ・cm以上、より厳密には25℃での比抵抗が15MΩ・cm以上、さらに厳密には25℃での比抵抗が18MΩ・cm以上と定める。
本発明の超純水用多層管は、超純水に対する要求水質が特に厳格な、原子力発電用水配管、若しくは、医薬品の製造工程、半導体素子又は液晶、より好ましくは半導体素子の製造工程における洗浄などの湿式処理工程で用いられる超純水の輸送配管であることが好ましい。当該半導体素子としても、より高い集積度を有するものが好ましく、具体的には、最小線幅65nm以下の半導体素子の製造工程で用いられることがより好ましい。半導体製造に使用される超純水の品質等に関する規格としては、例えばSEMI F75が挙げられる。
また、本発明の超純水用多層管はポリエチレン系樹脂製であるため、施工性に優れる。たとえば、比較的低温で、バット(突合せ)融着接合やEF(電気融着)接合といった融着施工を容易に行うことができる。
[6.超純水用多層管の製造]
本発明の超純水用多層管は、第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1と、第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂2と、必要に応じてガスバリア層を構成する樹脂等をそれぞれ用意し、超純水用多層管における各層の厚さが所定の厚さになるように共押出成形することにより製造することができる。本発明の超純水用多層管はポリエチレン系樹脂製であるため、安価に製造することができる。
第1のポリエチレン系樹脂層及び第2のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂は、いずれも、汎用されているチーグラー触媒やメタロセン触媒、クロム系触媒等による重合により合成することができる。
それぞれのポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂におけるカルシウム濃度の制御は、直接的には、ポリエチレン系樹脂の重合後に添加する中和剤の量の調整によって行うことができる。また、ポリエチレン系樹脂のMFRは、重合温度、重合圧力、水素添加量等で制御でき、密度は重合温度、重合圧力、α-オレフィンの共重合量で制御でき、分子量分布は、触媒種及び/又は重合プロセス(一段重合又は二段重合以上の多段重合)の調整によって行うことができる。単独重合においてはメタロセン触媒、チーグラー触媒、クロム系触媒の順で分子量分布が狭いものから広いものを製造でき、二段重合以上の多段重合やMFRの異なる材料をブレンドすることで分子量分布をより広くすることができる。
より具体的には、第1のポリエチレン系樹脂層に用いられるポリエチレン系樹脂1は、例えばチーグラー触媒を当業者によって適宜決定される量で用いて単独重合し、その後、カルシウム濃度換算で100ppm以下となる量の中和剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ハイドロカルサイト等)を加えることによって得ることができる。中和剤を加える場合、中和剤は、1種を単独で、または複数種を組み合わせて用いることができる。若しくは、中和剤を加えなくてもよい。また、第1のポリエチレン系樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂1は、上記のチーグラー触媒以外の重合触媒、例えばクロム系触媒又はメタロセン触媒を用いて重合してもよく、この場合、中和剤を加える必要はない。
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。
(1)ポリエチレン系樹脂1、ポリエチレン系樹脂2の適性評価
表1(ポリエチレン系樹脂1)、表2(ポリエチレン系樹脂2)に記載の樹脂を用い、各種要素試験を行い原料となるポリエチレン系樹脂の適正評価を行った。結果を表1、表2に示す。
(1-1)MFR2.16、MFR21.6
MFR2.16、MFR21.6は、190℃においてJIS K6922-2:1997に準じ、それぞれ荷重2.16kg、荷重21.6kgにて測定される値である。
MFR21.6/MFR2.16は、温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(MFR21.6)を温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレートMFR2.16で除して求めた。MFR21.6/MFR2.16は、分子量分布の指標となり、MFR21.6/MFR2.16が大きいほど分子量分布は広くなる。
(1-2)密度
JIS K6922-2:1997に準じて測定される値である。
(1-3)ESCR(耐環境応力き裂)
JIS K6922-2:1997に準じて測定される値である。なお、試験溶液としてイゲパールCO630 10%水溶液を使用した。
(1-4)FNCT(全周ノッチ式引張クリープ試験)
JIS K6774(1995)付属書1の全周ノッチ式引張クリープ試験に準拠し、80℃、5MPaで測定を行った。試験片は、JIS K6922-2(1997)表2の条件で作製した厚さ6mmで圧縮成形シートから切出し、全周にノッチを入れたもの(試験片厚み6mm、ノッチ深さ1mm、全周)を使用した。サンプルを浸漬する試験溶液はラウリル硫酸ナトリウム1%水溶液を用いた。80℃の界面活性剤水溶液の環境下にて5.0MPaの応力をかけた際に検体が破断するまでの時間を計測して、FNCTの破断時間とした。ポリエチレン系樹脂で製造されるパイプの20℃における一般的な耐用年数である30年以上を想定し、FNCTの目標値は80℃の界面活性剤水溶液の環境下にて5.0MPaの応力をかけた際に100時間以上破壊しないこととした。
最内層に用いられるポリエチレン系樹脂の成形適性、及び、耐久適性は、MFR2.16、MFR21.6/MFR2.16、密度、ESCRで確認し、MFR2.16、MFR21.6/MFR2.16において何れか一方でも特性(1)、特性(5)を外れるものを成形適性「×」、密度、ESCRが何れか一方でも特性(2)、特性(4)を外れるものを耐久適性「×」のように判断を行った。また、最内層の外層に用いられるポリエチレン系樹脂の成形適性、及び、耐久適性は、MFR21.6、MFR21.6/MFR2.16、密度、FNCTで確認し、MFR21.6、MFR21.6/MFR2.16において何れか一方でも特性(a)、特性(b)を外れるものを成形適性「×」、密度、FNCTが何れか一方でも特性(c)、特性(d)を外れるものを耐久適性「×」のように判断を行った。
また、ポリエチレン系樹脂1には、表1に記載のカルシウム濃度となるようにステアリン酸カルシウムを添加した。ポリエチレン系樹脂2には、表2に記載のカルシウム濃度となるようにステアリン酸カルシウムを添加した。
Figure 2022152718000002
上記表1に示すように、実施例1~4に比べ、比較例1~3は多層構造を有する超純水用多層管用の最内層の材料として、耐久性、あるいは成形性の面で要求性能を満足することが出来ず多層構造を成す超純水用多層管用の最内層の材料として不適であった。また、比較例4は、実施例1と比較してカルシウム含有濃度が高い点が異なる材料とした。
Figure 2022152718000003
上記表2に示すように、実施例5~7に比べ比較例5~8は多層構造を有する超純水用多層管用の外層用の材料として、耐久性、あるいは成形性の面で要求性能を満足することが出来ず多層構造を成す超純水用多層管用の外層用の材料として不適であった。
(2)超純水用多層管の作製
第1のポリエチレン系樹脂層及び第2のポリエチレン系樹脂層としては、表1及び表2にそれぞれ記載のポリエチレン系樹脂1及びポリエチレン系樹脂2を用いた。第2のポリエチレン系樹脂層用のポリエチレン系樹脂には酸化防止剤も第2のポリエチレン系樹脂層の0.3質量%となるように添加した。また、ガスバリア層用の樹脂としては、エチレンビニルアルコール共重合体を用いた。
ポリエチレン系樹脂1、ポリエチレン系樹脂2、及びエチレンビニルアルコール共重合体のそれぞれを、超純水用多層管において表3に示す厚さ及び多層管の外径と多層管の合計層厚の最小値の比の値(SDR=多層管の外径/多層管の合計層厚の最小値)となるように共押出成形した。なお、ガスバリア層の厚みは200μm、外径は60mmであった。
(3)超純水用多層管の性能評価
(3-1)カルシウム溶出量測定
得られた超純水用多層管を200mm長に切断し、内部に超純水を封入し、両端をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)により栓をし、外からワイヤー固定することで試験サンプルを得た。超純水としてはカルシウム濃度が測定器の検出限界以下となるものを使用した。試験サンプルを85℃±5℃の条件で7日間静置して溶出を行った。溶出後、試験サンプル内の水中のカルシウムの量を、ISP-MS装置(アジレント・テクノロジー社製、型番Agirent7500cs)を用いて測定した。なお、カルシウム溶出量の満たすべき基準値としては、SEMI F57規格に基づき15μg/m以下とした。結果を表3に示す。
(3-2)強度(内圧クリープ性能)測定
外径60mmの超純水用多層管を300mm長に切断し、両端を金属性の固定治具で封止し、試験サンプルを得た。JISK6761に記載の内圧クリープ試験法に則り、破壊に至る時間を測定し、耐用年数を導出した。なお、内圧クリープ性能試験により導出される耐用年数の満たすべき基準値としては、実用上必要とされる30年以上とした。結果を表3に示す。
Figure 2022152718000004
上記表3に示すように、実施例8~10に比べ比較例9は最内層に配置したポリエチレン系樹脂のカルシウム含有量が多いことから、純水中へのカルシウム溶出量は多くなりクリーン面で要求性能を満足することが出来ず、超純水用多層管として不適であった。
100、100a、100b 超純水用多層管
210、210a 第1のポリエチレン系樹脂層
220 第2のポリエチレン系樹脂層
300 ガスバリア層

Claims (11)

  1. 管状の複数の層を備える多層管であって、
    最内層を構成する第1のポリエチレン系樹脂層に用いるポリエチレン系樹脂1が、下記特性(1)~(5)を満足するポリエチレン系樹脂であり、その外層を構成する第2のポリエチレン系樹脂層に用いるポリエチレン系樹脂2が、下記特性(a)~(d)を満足するポリエチレン系樹脂である、超純水用多層管。
    特性(1):温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR2.16)が0.2g/10分以上6.0g/10分未満である。
    特性(2):密度が0.920g/cm以上0.970g/cm以下である。
    特性(3):カルシウム濃度が100ppm以下である。
    特性(4):JIS K6922-2:1997に準拠して測定された環境応力き裂試験(ESCR)における50%亀裂発生時間(F50)が10時間以上である。
    特性(5):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が20以上160以下である。
    特性(a):温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(MFR21.6)が6g/10分以上25g/10分以下である。
    特性(b):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が40以上250以下である。
    特性(c):密度が0.945g/cm以上0.965g/cm以下である。
    特性(d):高分子量成分としてMFR21.6が0.1g/10分以上1.0g/10分以下、密度が0.910g/cm以上0.935g/cm以下であるエチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体を20重量%以上50重量%以下含んでいる。
  2. 前記ポリエチレン系樹脂1の密度が0.940g/cm以上0.970g/cm以下である、請求項1に記載の超純水用多層管。
  3. 前記ポリエチレン系樹脂2が、更に下記特性(e)を満足する、請求項1又は2に記載の超純水用多層管。
    特性(e):JIS K6774(1995)付属書1の全周ノッチ式引張クリープ試験に準拠して測定された、80℃、5MPaにおける破断時間(FNCT)が100時間以上である。
  4. 第1のポリエチレン系樹脂層の厚みが0.8mm以上である、請求項1~3のいずれかに記載の超純水用多層管。
  5. 第1のポリエチレン系樹脂層の厚みが2.0mm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の超純水用多層管。
  6. 多層管の外径と多層管の合計層厚の最小値の比の値(SDR)が17以下である、請求項1~5のいずれかに記載の超純水用多層管。
  7. 前記ポリエチレン系樹脂1のMFR21.6が、ポリエチレン系樹脂2のMFR21.6の1~10倍である、請求項1~6のいずれかに記載の超純水用多層管。
  8. 前記第2のポリエチレン系樹脂層の外側にガスバリア層を更に備える、請求項1~7のいずれかに記載の超純水用多層管。
  9. 超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂であって、多層管の最内層に用いられる下記特性(1)~(5)を満足する、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂。
    特性(1):温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR2.16)が0.2g/10分以上6.0g/10分未満である。
    特性(2):密度が0.920g/cm以上0.970g/cm以下である。
    特性(3):カルシウム濃度が100ppm以下である。
    特性(4):JIS K6922-2:1997に準拠して測定された環境応力き裂試験(ESCR)における50%亀裂発生時間(F50)が10時間以上である。
    特性(5):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が20以上160以下である。
  10. 超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂であって、多層管の最内層の外層に用いられる下記特性(a)~(d)を満足する、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂。
    特性(a):温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(MFR21.6)が6g/10分以上25g/10分以下である。
    特性(b):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が40以上250以下である。
    特性(c):密度が0.945g/cm以上0.965g/cm以下である。
    特性(d):高分子量成分としてMFR21.6が0.1g/10分以上1.0g/10分以下、密度が0.910g/cm以上0.935g/cm以下であるエチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体を20重量%以上50重量%以下含んでいる。
  11. 超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂セットであって、多層管の最内層に用いられる下記特性(1)~(5)を満足する、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂1と、多層管の最内層の外層に用いられる下記特性(a)~(d)を満足する、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂2を備える、超純水用多層管用ポリエチレン系樹脂セット。
    特性(1):温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR2.16)が0.2g/10分以上6.0g/10分未満である。
    特性(2):密度が0.920g/cm以上0.970g/cm以下である。
    特性(3):カルシウム濃度が100ppm以下である。
    特性(4):JIS K6922-2:1997に準拠して測定された環境応力き裂試験(ESCR)における50%亀裂発生時間(F50)が10時間以上である。
    特性(5):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が20以上160以下である。
    特性(a):温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(MFR21.6)が6g/10分以上25g/10分以下である。
    特性(b):MFR21.6とMFR2.16の比(MFR21.6/MFR2.16)の値が40以上250以下である。
    特性(c):密度が0.945g/cm以上0.965g/cm以下である。
    特性(d):高分子量成分としてMFR21.6が0.1g/10分以上1.0g/10分以下、密度が0.910g/cm以上0.935g/cm以下であるエチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体を20重量%以上50重量%以下含んでいる。
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