JP2021050775A - 配管 - Google Patents
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Abstract
【課題】カルシウム溶出量を低減し、施工性およびコスト性に優れた配管を提供する。【解決手段】超純水配管10は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするポリオレフィン系樹脂層21を備える。ポリオレフィン系樹脂層21は、配管内表面10aを形成する。ポリオレフィン系樹脂の球晶径が5.0μm以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、配管に関する。
従来より、半導体装置又は液晶表示装置等の精密デバイスの製造において、洗浄等の湿式工程で極めて高純度に精製された超純水が用いられている。金属イオン等が所定濃度以上水中に存在していると、ウエハ表面等に金属が吸着することで精密デバイスの品質に悪影響を及ぼすため、超純水中における不純物の制限が徹底して行われている。
超純水への不純物の混入は、超純水の輸送ラインを構成する配管においても生じる。配管の材質としては、ガスバリア性に優れたステンレス鋼等の金属が用いられたこともあるが、配管からの金属溶出の影響を考慮すると、樹脂を用いることが好ましいとされている。
超純水用配管の材料に用いられる樹脂としては、化学的に不活性であり、ガスバリア性を有し且つ超純水への溶出性が極めて少ないフッ素樹脂が用いられている。例えば、半導体製造装置、液晶製造装置等に使用される配管として、フッ素樹脂を2層に積層したフッ素樹脂2重チューブが挙げられる。
フッ素樹脂2重チューブとしては、内側層チューブが、耐食性、耐薬品性に優れたフッ素樹脂(例えば、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、または、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE))によって構成され、外側層チューブが、ガスの透過を抑制できるフッ素樹脂(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF))によって構成される配管が挙げられる。
また、特許文献1には、超純水の配管用の多層管であって、フッ素樹脂からなり、超純水に接触する第1の樹脂層と、ガス不透過性樹脂からなり、前記第1の樹脂層の外周面に設けられた第2の樹脂層とを備えることを特徴とする多層管が開示されている。
さらに、第2の樹脂層の外周面に、前記第2の樹脂層を保護する第3の樹脂層が設けられ、当該第3の樹脂層としてポリエチレンが用いられることが開示されている。
超純水用配管の材料に用いられる樹脂の中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、半導体分野において、超純水製造装置内の配管や、超純水製造装置からユースポイントへの超純水の輸送用配管として実用化されているものの全てに用いられており、超純水用配管における技術的標準となっている。
最近では、半導体チップの集積度向上に伴い回路パターンがますます微細化されてきており、低レベルの不純物に対してもより影響を受けやすくなっている。従って、超純水に対する要求水質は厳格化の一途をたどっている。例えば、半導体製造に使用される超純水の品質等に関する規格がSEMI F75として公表されており、2年ごとに更新されている。
PVDF等のフッ素樹脂製配管は、他の一般的な配管に比べ、施工性及びコスト性において不利な点もある。しかしながら、超純水に対する要求水質の厳格化の背景において、フッ素樹脂製配管は要求水質を満たす配管として事実上唯一の選択肢となっている。
本発明者は、敢えて、超純水配管の材料を代替することに着目した。例えば、一般的な配管材料として、施工性及びコスト性に優れるポリオレフィン系樹脂が用いられている。しかしながら、配管材料として汎用されているポリオレフィン系樹脂はチーグラー・ナッタ触媒といった塩素系触媒を用いた重合により合成されており、重合後に触媒残渣を中和するためにステアリン酸カルシウムやハイドロタルサイト等の中和剤を混合することが必要である。
このため、ポリオレフィン系樹脂管は輸送する水に中和剤に由来するカルシウムを溶出させてしまう。そして、このカルシウム溶出レベルは、超純水に求められる要求水質には遠く及ばない。
本発明は、カルシウム溶出量を低減し、施工性およびコスト性に優れた配管を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリオレフィン系樹脂管に関し、配管内壁側の超純水に接しているポリオレフィン樹脂の球晶径を特定の範囲となるように制御することで、カルシウム溶出量を大幅に抑制できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
第1の態様の配管は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層を備える。ポリオレフィン系樹脂は、本発明のポリオレフィン系樹脂層の主成分である。
第1の態様の配管は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層を備える。ポリオレフィン系樹脂は、本発明のポリオレフィン系樹脂層の主成分である。
主成分とは、質量基準で最も含有量の多い成分をいう。ポリオレフィン系樹脂層におけるポリオレフィン系樹脂の含有量の下限は50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、80質量%がさらに好ましく、90質量%がさらに好ましいこともあり、95質量%がさらに好ましいこともある。
ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層は、配管内表面を形成する。ポリオレフィン系樹脂の球晶径が5.0μm以下である。
ポリオレフィン系樹脂を主成分とすることにより、施工性およびコスト性を向上することができる。
また、ポリオレフィン系樹脂の球晶径を5.0μm以下とすることにより、カルシウム溶出量を低減することができる。
第2の態様の配管は、第1の態様の配管であって、層は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して結晶化核剤マスターバッチを1.0重量部以上5.0重量部以下含む。
これにより、製造工程において同様の冷却方法を用いた場合でも、結晶化核剤マスターバッチを用いないときと比較して球晶径を小さくすることができる。
第3の態様の配管は、第1または第2の態様の配管であって、ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂である。
これにより、低分子量成分の含有量を抑制して超純水への有機成分の溶出を抑制することができる。
第4の態様の配管は、第1〜3のいずれかの態様の配管であって、ポリオレフィン系樹脂がPE100である。
これにより、超純水用の配管の長期耐久性を向上することができる。
本発明によれば、カルシウム溶出量を低減し、施工性およびコスト性に優れた配管を提供することが可能になる。
以下に、本発明にかかる配管の一例として実施の形態における超純水配管について説明する。
[配管層構成]
本実施の形態の超純水用配管(配管の一例)は、配管内表面を形成し、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするポリオレフィン系樹脂層を備える。必要に応じて、ポリオレフィン系樹脂層の外側に被覆樹脂層を設けても良い。
本実施の形態の超純水用配管(配管の一例)は、配管内表面を形成し、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするポリオレフィン系樹脂層を備える。必要に応じて、ポリオレフィン系樹脂層の外側に被覆樹脂層を設けても良い。
図1は、本実施の形態の超純水用配管の一例を示す模式断面図である。図2は、本実施の形態の超純水用配管の他の例を示す模式断面図である。
図1に示す超純水配管10は、ポリオレフィン系樹脂層21(層の一例)を備える。図2に示す超純水配管11は、最内層を構成するポリオレフィン系樹脂層21およびその外側に配置された被覆樹脂層22を有する。
図1に示す超純水配管10は、ポリオレフィン系樹脂層21によって形成されている。ポリオレフィン系樹脂層21は、超純水配管10の配管内表面10aを形成する。
また、図1に示す超純水配管10は、配管外表面10bもポリオレフィン系樹脂層21で形成されている。ポリオレフィン系樹脂層21は、超純水配管10を構成するように筒状に形成されている。
また、図2に示す超純水配管11では、ポリオレフィン系樹脂層21は、超純水配管11の配管内表面11aを形成する。図2に示す超純水配管11では、配管外表面11bは、被覆樹脂層22で形成されている。
ポリオレフィン系樹脂層21は、超純水配管11の最内層を構成するように筒状に形成されている。被覆樹脂層22はポリオレフィン系樹脂層21を覆うように筒状に形成されている。
また、図2に示す超純水配管11では、ポリオレフィン系樹脂層21の外側に被覆樹脂層22が一層のみ設けられているが、被覆樹脂層22の層数は特に限定されず、一層でもよいし、二層以上でもよい。
配管内表面10a、11aは、超純水配管10、11の内部の流路10c、11cに面しており、超純水と接触する可能性がある面ともいえる。
[ポリオレフィン系樹脂層]
ポリオレフィン系樹脂層21は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む。主成分とは、質量基準で最も含有量の多い成分をいう。主成分とは、少なくとも含有率が50%である成分である。ポリオレフィン系樹脂層におけるポリオレフィン系樹脂の含有量の下限は50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、80質量%がさらに好ましく、90質量%がさらに好ましいこともあり、95質量%がさらに好ましいこともある。
ポリオレフィン系樹脂層21は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む。主成分とは、質量基準で最も含有量の多い成分をいう。主成分とは、少なくとも含有率が50%である成分である。ポリオレフィン系樹脂層におけるポリオレフィン系樹脂の含有量の下限は50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、80質量%がさらに好ましく、90質量%がさらに好ましいこともあり、95質量%がさらに好ましいこともある。
主成分であるポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、オレフィンに由来するモノマー単位を含有する重合体であればよい。例えば、ポリエチレン系樹脂、エチレン−カルボン酸アルケニルエステル共重合体樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂等が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
これらのポリオレフィン系樹脂の中でも、超純水用配管の強度等を向上させる観点から、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂が好ましい。また、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の中でも、低分子量成分の含有量を抑制して超純水への有機成分の溶出を抑制する観点からはポリエチレン系樹脂が好ましい。
ポリエチレン系樹脂としては特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
これらの中でも、超純水への有機成分の溶出を抑制する観点からは高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましい。高密度ポリエチレン(HDPE)の中でも、超純水用配管の長期耐久性を担保する観点から、PE100がより好ましい。
エチレン−カルボン酸アルケニルエステル共重合体樹脂におけるカルボン酸アルケニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、酢酸イソプロペニル、酢酸アリル等が挙げられ、好ましくは酢酸ビニルが挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレンに対して、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン又は1−オクテン等のα−オレフィンを共重合成分として数モル%程度の割合で共重合させた共重合体が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン及びランダムポリプロピレン等が挙げられる。ブロックポリプロピレン及びランダムポリプロピレンにおける共重合成分としては、通常エチレンが挙げられる。この中でも、超純水用配管の剛性、強度等をバランスよく発現させる観点からランダムポリプロピレンであることが好ましい。ポリブテン系樹脂としては、ポリブテン−1等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂層21は酸化防止剤を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。なお、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤及びラクトン系酸化防止剤等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂層21の主成分であるポリオレフィン系樹脂の球晶径は、カルシウム溶出を抑制する観点からは5.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以下であることがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂の球晶径が5.0μmを超えるとカルシウム溶出が大幅に増加し、超純水用配管としての実用に適う低溶出性を備えさせることができなくなる。
超純水配管11の配管内表面11aを形成する最内層のポリオレフィン系樹脂層21の外側に被覆樹脂層22を設ける場合の最内層のポリオレフィン系樹脂層21の厚みは特に限定されず、例えば0.5〜3.0mmの範囲内で、被覆樹脂層22に含まれるカルシウム濃度及び超純水用配管11全体の強度等を考慮して適宜決定することができる。
被覆樹脂層22に含まれるカルシウム濃度の移行による超純水へのカルシウム溶出をせき止める観点からは、最内層のポリオレフィン系樹脂層21の厚みの下限としては0.8mm以上であることが好ましく、0.9mm以上であることがより好ましい。
また、超純水用配管11全体において、最内層のポリオレフィン系樹脂層21自体の強度不足による影響を抑制する観点からは、最内層のポリオレフィン系樹脂層21の厚みの上限としては2.0mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましい。
上述の最内層のポリオレフィン系樹脂層21の厚みは、SDR(基準外径/最小肉厚)が7〜17の範囲内で調整されることがより好ましい。
SDRが7以上であることは、外径に対して管の内径を十分にとって超純水の輸送量を確保しやすい点で好ましい。また、SDRが17以下であることは、被覆樹脂層22の厚みを確保して最内層のポリオレフィン系樹脂層21自体の強度不足を補い超純水用配管11全体として実用に適う強度を備えさせる点で好ましい。
[被覆樹脂層]
被覆樹脂層22の種類は特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂層でもよく、ガスバリア系樹脂からなるガスバリア系樹脂層でもよいし、これらの組み合わせでもよい。
被覆樹脂層22の種類は特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂層でもよく、ガスバリア系樹脂からなるガスバリア系樹脂層でもよいし、これらの組み合わせでもよい。
被覆樹脂層22としてポリオレフィン系樹脂層を設ける場合、ポリオレフィン系樹脂としては上述の最内層のポリオレフィン系樹脂21の主成分であるポリオレフィン系樹脂の中から適宜選択することができる。
上述のポリオレフィン系樹脂の中でも、低分子量成分の溶出を抑制する観点、及び/又は、薬剤により配管洗浄した際の耐久性の観点から、高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましい。
被覆樹脂層22のポリオレフィン系樹脂層の主成分であるポリオレフィン系樹脂は、最内層のポリオレフィン系樹脂層21の主成分であるポリオレフィン系樹脂と同種であってもよいし異種であってもよいが、両層が互いに接触して積層される場合は、両層の密着性を向上させて好ましい強度を発現させる観点からは、同種のポリオレフィン系樹脂であることがより好ましい。
被覆樹脂層22中のポリオレフィン系樹脂層は、酸化防止剤を含んでいることが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤及びラクトン系酸化防止剤等が挙げられる。
被覆樹脂層22中のポリオレフィン系樹脂層中の酸化防止剤の含有量としては、酸素の影響を抑制し好ましい強度を確保する観点から、例えば0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上が挙げられ、酸化防止剤の含有量の上限としては、例えば5重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下が挙げられる。
被覆樹脂層22としてガスバリア層を設ける場合、ガスバリア層は、最内層のポリオレフィン系樹脂層21の外側に積層されていれば良い。ガスバリア層は、超純水用配管11の最外層を構成しても良いし、ガスバリア層のさらに外側に別の層が設けられていても良い。
ガスバリア層は、超純水配管21の配管外表面11bからの酸素が最内層のポリオレフィン系樹脂層21、または必要に応じて設けられた外層のポリオレフィン系樹脂層の内部へ浸透することを防止するため、超純水用配管11の強度を向上させることができる。また、ガスバリア層を設けることは、超純水中へのガス溶解も良好に抑止することができる点でも好ましい。
ガスバリア層の材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、及びポリアクリロニトリル(PAN)等が挙げられ、好ましくは、ポリビニルアルコール(PVA)及びエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)が挙げられる。
ガスバリア層の厚みとしては、少なくともポリオレフィン系樹脂の酸化劣化による強度低下を抑制する程度のガスバリア性を確保し得る厚さであれば特に限定されないが、例えば50〜300μm、好ましくは100〜250μm、より好ましくは150〜250μmが挙げられる。
[結晶化核剤]
本実施の形態の超純水用配管10、11は、ポリオレフィン系樹脂層21の球晶径を制御するために必要に応じて結晶化核剤を添加しても構わない。なお、被覆樹脂層22としてポリオレフィン系樹脂層を設ける場合には、そのポリオレフィン系樹脂層にも結晶化核剤を添加してもよい。
本実施の形態の超純水用配管10、11は、ポリオレフィン系樹脂層21の球晶径を制御するために必要に応じて結晶化核剤を添加しても構わない。なお、被覆樹脂層22としてポリオレフィン系樹脂層を設ける場合には、そのポリオレフィン系樹脂層にも結晶化核剤を添加してもよい。
結晶化核剤を添加することで樹脂の結晶化温度が上昇し、成形を行った際に微細な結晶を得ることができる。結晶化核剤としては無機系核剤および有機系核剤のどちらを用いてもよい。
無機系核剤としてはたとえば炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、二酸化ケイ素、膨張化黒鉛、シルセスキオキサン(POSS)、多層カーボンナノチューブ、モンモリロナイト、バーミキュライト、タルク、ハロイサイトなどが挙げられる。
有機系核剤としてはたとえば安息香酸アルミニウム、リン酸エステル金属塩、ベンジリデンソルビトール、超高分子量ポリエチレン、サイザル繊維、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、アントラセン、フタル酸カリウム、ジナトリウム−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシラート、1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、亜鉛グリセロレート、2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−(ソジオオキシ)−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン−6−オキシドなどが挙げられる。
結晶化核剤の添加部数としては特に限定されないが、適切な核剤効果を発現する観点から、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し0.01重量部以上2.0重量部以下が好ましい。
結晶化核剤のポリオレフィン系樹脂への分散性を良好にする観点から、結晶化核剤としては、結晶化核剤マスターバッチを使用することが好ましい。結晶化核剤マスターバッチとしては理研ビタミン社製リケマスターや東京インキ社製PEX STU−39などが挙げられる。
結晶化核剤マスターバッチの添加量としては特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し1.0重量部以上5.0重量部以下が好ましく、1.0重量部以上4.0重量部以下がより好ましい。
[超純水配管の用途]
本発明にかかる実施の形態の超純水配管10、11は、超純水の輸送に用いられる。具体的には、本発明にかかる実施の形態の超純水配管10、11は、超純水製造装置内の配管、超純水製造装置からユースポイントに超純水を輸送する配管、及びユースポイントからの超純水返送用配管等として用いることができる。
本発明にかかる実施の形態の超純水配管10、11は、超純水の輸送に用いられる。具体的には、本発明にかかる実施の形態の超純水配管10、11は、超純水製造装置内の配管、超純水製造装置からユースポイントに超純水を輸送する配管、及びユースポイントからの超純水返送用配管等として用いることができる。
本発明にかかる実施の形態の超純水配管10、11は、超純水に対する要求水質が特に厳格な、原子力発電用水配管、若しくは、医薬品の製造工程、半導体素子又は液晶、より好ましくは半導体素子の製造工程における洗浄などの湿式処理工程で用いられる超純水の輸送配管であることが好ましい。
当該半導体素子としても、より高い集積度を有するものが好ましく、具体的には、最小線幅65nm以下の半導体素子の製造工程で用いられることがより好ましい。半導体製造に使用される超純水の品質等に関する規格としては、例えばSEMI F75が挙げられる。
また、本発明にかかる実施の形態の超純水配管10、11はポリオレフィン系樹脂製であるため、施工性に優れる。たとえば、比較的低温で、バット(突合せ)融着接合やEF(電気融着)接合といった融着施工を容易に行うことができる。
[超純水配管の製造]
本発明にかかる実施の形態超純水用配管10、11は、配管内表面10a、11aを形成するポリオレフィン系樹脂層21の主成分であるポリオレフィン系樹脂、および必要に応じて外側の被覆樹脂層22を構成する被覆樹脂をそれぞれ用意し、各層の厚さが所定の厚さになるように共押出成形することにより製造することができる。本発明にかかる実施の形態の超純水用配管10、11はポリオレフィン系樹脂製であるため、安価に製造することができる。
本発明にかかる実施の形態超純水用配管10、11は、配管内表面10a、11aを形成するポリオレフィン系樹脂層21の主成分であるポリオレフィン系樹脂、および必要に応じて外側の被覆樹脂層22を構成する被覆樹脂をそれぞれ用意し、各層の厚さが所定の厚さになるように共押出成形することにより製造することができる。本発明にかかる実施の形態の超純水用配管10、11はポリオレフィン系樹脂製であるため、安価に製造することができる。
ポリオレフィン系樹脂の重合触媒としてはチーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、クロム触媒が挙げられ、種類は特に限定されないが、多段重合を行い、長期耐久性を担保するという観点から、チーグラー・ナッタ触媒またはメタロセン触媒を用いて重合することが好ましく、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合することがより好ましい。
チーグラー・ナッタ触媒を用いてポリオレフィン系樹脂を重合する際は、塩素系触媒を当業者によって適宜決定される量で用いて、多段重合、好ましくは二段重合し、その後、塩素系触媒を中和するための中和剤と、好ましくは酸化防止剤も併せて加える。
中和剤としては、たとえばステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸亜鉛に代表される脂肪酸金属塩およびハイドロタルサイト類が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
以下の材料を用意した。
(ポリオレフィン系樹脂)
HE222W (日本ポリエチレン社製)
(結晶化核剤マスターバッチ)
リケマスター CN−002 (理研ビタミン社製)
(ポリオレフィン系樹脂)
HE222W (日本ポリエチレン社製)
(結晶化核剤マスターバッチ)
リケマスター CN−002 (理研ビタミン社製)
(1)ポリオレフィン系樹脂シートの作成
下記表1に示す配合に従い、ポリオレフィン系樹脂ペレット50gおよび所定量の結晶化核剤マスターバッチをラボプラストミル(東洋精機社製 KF−100)に投入し、200℃・100rpmの条件で3分間混練した。その後、混練物を200℃・3分間熱プレスして180mm*180mm*1mmのシート状に賦形し、更に下記のように実施例1〜3、比較例1、2における冷却方法に従い、シートの冷却を行った。なお、結晶化核剤マスターバッチは、実施例3においてのみ2.5重量%添加された。
・実施例1:急冷:予め0℃に冷やしておいた金属板にシートを挟み込み、30分間放置
・実施例2、3:水冷:水道水を循環させた油圧水冷プレス機にてシートを10分間冷却
・比較例1:徐冷:室温にてシートを1時間空冷
・比較例2:超徐冷:シートを熱プレス機に挟み込んだまま熱プレス機の電源を切り、一晩放置
冷却を終えたシートについては、170mm*80mm*1mmの形に裁断した。本実施例では、管形状ではなくシートで評価を行った。
下記表1に示す配合に従い、ポリオレフィン系樹脂ペレット50gおよび所定量の結晶化核剤マスターバッチをラボプラストミル(東洋精機社製 KF−100)に投入し、200℃・100rpmの条件で3分間混練した。その後、混練物を200℃・3分間熱プレスして180mm*180mm*1mmのシート状に賦形し、更に下記のように実施例1〜3、比較例1、2における冷却方法に従い、シートの冷却を行った。なお、結晶化核剤マスターバッチは、実施例3においてのみ2.5重量%添加された。
・実施例1:急冷:予め0℃に冷やしておいた金属板にシートを挟み込み、30分間放置
・実施例2、3:水冷:水道水を循環させた油圧水冷プレス機にてシートを10分間冷却
・比較例1:徐冷:室温にてシートを1時間空冷
・比較例2:超徐冷:シートを熱プレス機に挟み込んだまま熱プレス機の電源を切り、一晩放置
冷却を終えたシートについては、170mm*80mm*1mmの形に裁断した。本実施例では、管形状ではなくシートで評価を行った。
(2)カルシウム溶出促進
裁断したポリオレフィン系樹脂シートを丸めてテフロン(登録商標)容器に入れ、超純水210mLを投入した後にテフロン(登録商標)容器の蓋を閉じ、容器を常温・2h・170rpm条件にて振とうすることで予備洗浄を実施した。予備洗浄後は超純水を捨て、再度210mLの超純水を封入したのち、80℃のオーブン内で5日間放置し、溶出促進を行った。
裁断したポリオレフィン系樹脂シートを丸めてテフロン(登録商標)容器に入れ、超純水210mLを投入した後にテフロン(登録商標)容器の蓋を閉じ、容器を常温・2h・170rpm条件にて振とうすることで予備洗浄を実施した。予備洗浄後は超純水を捨て、再度210mLの超純水を封入したのち、80℃のオーブン内で5日間放置し、溶出促進を行った。
(3)カルシウム溶出量評価
溶出後の試験サンプル内の水中のカルシウムの量を、ICP分光分析装置(日立ハイテクノロジー社製 SPS−5100)を用いて測定した。なおカルシウム溶出量の満たすべき基準値としては、SEMI F75規格に基づき20μg/m2とした。結果を表1に示す。
溶出後の試験サンプル内の水中のカルシウムの量を、ICP分光分析装置(日立ハイテクノロジー社製 SPS−5100)を用いて測定した。なおカルシウム溶出量の満たすべき基準値としては、SEMI F75規格に基づき20μg/m2とした。結果を表1に示す。
(4)球晶径評価
ウルトラミクロトームを用いてポリオレフィン系樹脂シートの切片(厚み15μm)を作成し、偏光顕微鏡(オリンパス社製 BH2シリーズ・BHSP)を用いて観察を行った。得られた画像の球晶の直径を5点測定し、それらの平均値をポリオレフィン系樹脂シートの球晶径として定義した。
ウルトラミクロトームを用いてポリオレフィン系樹脂シートの切片(厚み15μm)を作成し、偏光顕微鏡(オリンパス社製 BH2シリーズ・BHSP)を用いて観察を行った。得られた画像の球晶の直径を5点測定し、それらの平均値をポリオレフィン系樹脂シートの球晶径として定義した。
図3は、実施例1のサンプルに関する球晶サイズの偏光顕微鏡観察画像である。図3では、5点の測定結果が、r1=2.3μm、r2=2.8μm、r3=3.0μm、r4=3.8μm、r5=5.3μmとなり、平均値である3.4μmが球晶径となる。また、図3には、L0=50μmの長さが示されている。他の実施例および比較例についても同様に球晶径を求めた。
上記表に示すように、ポリオレフィン系樹脂シートを作成する際、熱プレス後に急激な冷却を実施した条件ほど球晶径が小さくなった(実施例1、2、比較例1、2)。これは、急激に冷却すればするほど結晶成長の起点となる核の生成率が上がり、球晶が速やかに成長するためと考えられる。
さらに、球晶径が小さいほどカルシウム溶出量も抑制されることが明らかになった。特に、球晶径が5.0μmを下回るとカルシウム溶出量が基準値である20μg/m2を下回った。
このような結果が得られた理由として、以下のように考えられる。すなわち、一般にポリオレフィン系樹脂の内部に存在する成分は自由体積の存在する非晶部の中を拡散するが、図4に示すように球晶径が小さい方が、各非晶部が微細化されるためにカルシウム成分の拡散距離が長くなり、その結果超純水へと溶出しにくくなったと考えられる。
図4(a)は、球晶径が大きい場合に溶出成分Cが溶出する際の拡散距離D1(点線参照)を示す模式図である。図4(b)は、球晶径が小さい場合の溶出成分Cが溶出する際の拡散距離D2(点線参照)を示す模式図である。
図4(a)に示す拡散距離D1と図4(b)に示す拡散距離D2を比較すると、球晶径が小さいほうがカルシウム成分の拡散距離が長くなっているため、超純水に溶出し難いと考えられる。
また、ポリオレフィン系樹脂に結晶化核剤マスターバッチを添加したシート(実施例3)では同じ冷却方法にて結晶化核剤マスターバッチを添加していないシート(実施例2)と比較して球晶径が小さくなり、カルシウム溶出量もそれに応じて抑制された。結晶化核剤マスターバッチが結晶成長の起点となる核の発生を促進したためと考えられる。
本発明の配管は、カルシウム溶出量を低減し、施工性およびコスト性に優れた効果を有し、超純水用の配管などとして有用である。
10、11 超純水用配管(配管の一例)
10a、11a 配管内表面
10b、11b 配管外表面
21 ポリオレフィン系樹脂層(層の一例)
22 被覆樹脂層
10a、11a 配管内表面
10b、11b 配管外表面
21 ポリオレフィン系樹脂層(層の一例)
22 被覆樹脂層
Claims (4)
- ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層を備え、
前記層は、配管内表面を形成し、
前記ポリオレフィン系樹脂の球晶径が5.0μm以下である、配管。 - 前記層は、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して結晶化核剤マスターバッチを1.0重量部以上5.0重量部以下含む、
請求項1に記載の配管。 - 前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂である、
請求項1または2に記載の配管。 - 前記ポリオレフィン系樹脂がPE100である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の配管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019174004A JP2021050775A (ja) | 2019-09-25 | 2019-09-25 | 配管 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2019174004A Pending JP2021050775A (ja) | 2019-09-25 | 2019-09-25 | 配管 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2021050775A (ja) |
-
2019
- 2019-09-25 JP JP2019174004A patent/JP2021050775A/ja active Pending
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