JP2022151790A - 配線基板の製造方法及び配線基板 - Google Patents

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Tomoyuki Ishii
健央 高田
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【課題】ガラス基板の伝送特性や電気特性を確保しつつ、簡便に安価で製造できる配線基板の製造方法及び配線基板を提供する。【解決手段】配線基板の製造方法は、ガラス基板の一方の面から他方の面に向かってレーザ光を照射して、レーザ改質部を形成する工程Aと、前記ガラス基板の第一面に耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層を形成する工程Bと、前記第一面とは反対側の面をエッチングすることにより、前記レーザ改質部に貫通孔を形成するとともに、前記ガラス基板の第一面に対向する第二面を形成する工程Cと、前記耐フッ酸金属膜に付着したガラスのエッチング残差を除去する貫通孔処理工程Dと、前記貫通孔に貫通電極を形成する工程Eと、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、配線基板の製造方法及び配線基板に関する。
従来、例えば、LSI(Large-Scale Integration)の実装技術として、シリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)を用いた実装技術(TSV技術という)が知られている。貫通電極を有するシリコン基板は、例えば、インターポーザとして広く用いられている。インターポーザは、配線のデザインルールがそれぞれ異なるIC(Integrated Circuit)及びプリント基板のように、端子間距離が異なる基板同士を中継する基板である。
しかしながら、シリコン基板は高価であり、さらに、シリコン自体が半導体であるため、貫通電極について絶縁処理が必要となる。具体的には、TSV技術において、シリコン基板に貫通孔を形成した後に絶縁処理を行う必要があり、基板コストが高くなるという問題がある。そこで、例えば、インターポーザのコストを低減するために、安価で大面積のガラス基板に貫通孔(TGV:Through Glass Via)を形成した、貫通電極付ガラス基板が注目されている。
貫通電極付ガラス基板を採用する場合、TGV技術においては、ガラス基板に貫通孔を形成する必要がある。ガラス基板に貫通孔を形成するための技術としては、例えば、特許文献1に記載されているように、パルス発振YAGレーザの照射によって貫通孔を形成する技術が知られている。
また、特許文献2には、感光性ガラス基板に微細な孔を形成する方法が記載されている。特許文献2に記載の方法では、感光性ガラス基板上の所定位置にフォトマスクを配置して、紫外線を照射し、潜像を形成する。次に、感光性ガラス基板を加熱処理して潜像を結晶化させる。その後、潜像が形成された部分の中央に潜像より小さい加工先穴をレーザ光により形成する。次に、フッ化水素を用いてエッチングを行い、それにより結晶化された部分が選択的にエッチングされて孔が形成される。
さらに特許文献3には、板ガラス両面から相対向した同一軸心上の上下一対のコアドリルにより板ガラスに孔を形成する方法が記載されている。
一方で、特許文献4には、インダクタとキャパシタを組み合わせたLCフィルタをガラス基板に内蔵する方法が記載されている。キャパシタは、配線基板の多層構造と平行に、金属層、誘電体層、金属層を重ねる、MIM(Metal/Insulator/Metal)と呼ばれる構造が、ひとつの例となる。インダクタは、様々な形態が可能である。例えば多層配線基板の導体層に、他の配線と同様に加工し、渦巻き状にコイルを形成することも可能であるし、絶縁体層を挟んだ二つの導体層にそれぞれ配線を施し、さらに絶縁体層に貫通電極を形成し、両導電体層上の配線と貫通電極を接続することによって、絶縁体層をらせん状に巻く形態のコイルとして形成することも可能である。LCフィルタは、LC周波数フィルタともいい、インダクタ(L)とキャパシタ(C)を組み合わせて、共振現象を利用して、特定の周波数に関して電気信号を回路に流し、他の周波数に関しては遮断するものであり、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、ダイプレクサの機能を有するものをいう。
特開2000-61667号公報 特開2001-105398号公報 特開昭54-126215号公報 特開2021-166257号公報 国際公開第2019/235617号
ところで、ガラス基板に貫通孔を形成することにより、ガラス基板の機械的強度が低下する可能性がある。特に、厚さが300μm以下のガラスを採用した場合、機械的強度の低下の影響によって、回路など導電部を形成するときの搬送工程でガラス割れが発生するおそれがあり、ガラス基板の取扱いが困難となっている。
また、TSV技術においては、ドライエッチングを応用したBoschプロセスなどの手法が、シリコン基板に貫通孔を形成する方法として確立されている。しかしドライエッチングによるガラス基板への貫通孔の形成は、長時間を要し、実用的であるとは言い難い。特に、ガラス厚300μm以下への貫通孔の形成、並びにインターポーザを代表とする電子デバイス基板への応用は技術的な難易度は非常に高く実用的であるとは言い難い。
これに対し、特許文献5には、一方のガラス基板面に配線を形成した後に、貫通孔の形成とガラス基板の薄板化をエッチングにより同時に行うことで、より簡便にガラス厚300μm以下のガラスコアを有するガラスデバイスの製造方法が開示されている。特許文献5の技術によれば、ガラス基板をガラスキャリアでサポートした状態で、ガラスの薄板化と貫通孔の形成を同時に実施しているため、ガラス基板上に回路などを形成するときのガラス基板の取扱いのし易さが向上する。このため、安定的にガラス基板厚300μm以下の貫通電極付のガラスデバイスを形成することが可能である。
上述した製造方法によれば、耐フッ酸金属膜(例えば、クロム、ニッケル、ニッケルクロム膜)がエッチングストッパー層となり、フッ化水素溶液とガラス上に形成された配線のシード層が接して、シード層が腐食することを抑制し、耐フッ酸金属膜貫通孔の形状や寸法安定性が向上するという効果があるが、以下のような課題もある。
(1)フッ化水素溶液によるガラスのエッチング後には、耐フッ酸金属膜上にはフッ化水素溶液では除去できなかったガラスのエッチング残差が付着することがある。このエッチング残差は、耐フッ酸金属膜上に点在しており、残差が付着した状態でシード層を形成した場合、耐フッ酸金属膜とシード層との密着性が低下し、貫通孔を介する接続信頼性を低下させるおそれがある。
(2)また、エッチング残差を介して貫通孔が導通化されるため、貫通孔の導通化された部位の電気抵抗が増加し、配線基板の伝送特性や電気特性が劣化したり、および貫通孔に接続されるキャパシタや貫通孔を用いて形成されるインダクタ、それらを組み合わせたLCフィルタの伝送特性や電気特性が劣化するおそれがある。
(3)耐フッ酸金属膜の材料は例えばクロム、ニッケル、ニッケルクロムであり、シード層の材料である銅と比較して抵抗率が高いため、耐フッ酸金属膜自体が、貫通孔を介する配線および貫通孔に接続されるキャパシタや貫通孔を用いて形成されるインダクタ、それらを組み合わせたLCフィルタの伝送特性や電気特性の劣化の要因となる。
(4)耐フッ酸金属膜とシード層の密着性に関しても、密着性の確保のために、耐フッ酸金属膜に適した密着層形成など追加で実施する必要があり、それにより工程数が増加する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、ガラス基板の配線およびガラス基板内に内蔵された貫通孔に接続されるキャパシタや貫通孔を用いて形成されるインダクタ、それらを組み合わせたLCフィルタの伝送特性や電気特性を確保しつつ、簡便に安価で製造できる配線基板の製造方法及び配線基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、代表的な本発明の配線基板の製造方法の一つは、
ガラス基板の一方の面から他方の面に向かってレーザ光を照射して、レーザ改質部を形成する工程Aと、
前記ガラス基板の第一面に耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層を形成する工程Bと、
前記第一面とは反対側の面をエッチングすることにより、前記レーザ改質部に貫通孔を形成するとともに、前記ガラス基板の第一面に対向する第二面を形成する工程Cと、
前記耐フッ酸金属膜に付着したガラスのエッチング残差を除去する貫通孔処理工程Dと、
前記貫通孔に貫通電極を形成する工程Eと、
を有する、ことにより達成される。
さらに、代表的な本発明の配線基板の製造方法の一つは、
ガラス基板を支持体に接合する工程Xと、
前記ガラス基板と前記支持体双方の一方の面から他方の面に向かってレーザ光を照射して、レーザ改質部を形成する工程Aと、
前記ガラス基板の第一面に耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層を形成する工程Bと、
前記支持体を剥離除去する工程Yと、
前記第一面とは反対側の面をエッチングすることにより、前記レーザ改質部に貫通孔を形成するとともに、前記ガラス基板の第一面に対向する第二面を形成する工程Cと、
前記耐フッ酸金属膜に付着したガラスのエッチング残差を除去する貫通孔処理工程Dと、
前記貫通孔に貫通電極を形成する工程Eと、を有する、ことにより達成される。
さらに、代表的な本発明の配線基板の一つは、
ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層と、
前記ガラス基板の第一面に対向する第二面に形成された第二面配線層と、
前記第一面と前記第二面とを連通する貫通孔と、
前記耐フッ酸金属膜に向かう前記貫通孔内に形成され、前記第一面配線層と前記第二面配線層とを接続する貫通電極と、を有し、
前記耐フッ酸金属膜は、前記貫通孔から前記第一面に対して垂直方向にエッチングされている、ことにより達成される。
さらに、代表的な本発明の配線基板の一つは、
ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む下部電極および前記下部電極上に形成された誘電体層と前記誘電体層上に形成された上部電極を含むMIMコンデンサと、
前記ガラス基板の第一面に対向する第二面に形成された第二面配線層と、
前記第一面と前記第二面とを連通する貫通孔と、
前記耐フッ酸金属膜に向かう前記貫通孔内に形成され、前記下部電極と前記第二面配線層とを接続する貫通電極と、を有し、
前記耐フッ酸金属膜は、前記貫通孔から前記第一面に対して垂直方向にエッチングされている、ことにより達成される。
さらに、代表的な本発明の配線基板の一つは、
ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層と、
前記ガラス基板の第一面に対向する第二面に形成された第二面配線層と、
前記第一面と前記第二面とを連通する貫通孔と、
前記耐フッ酸金属膜に向かう前記貫通孔内に形成され、前記第一面配線層と前記第二面配線層とを接続する貫通電極と、を有し、前記第一面配線層と前記貫通電極と前記第二面配線層でソレノイドコイルが形成され、
前記耐フッ酸金属膜は、前記貫通孔から前記第一面に対して垂直方向にエッチングされている、ことにより達成される。
さらに、代表的な本発明の配線基板の一つは、
ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層と下部電極および前記下部電極上に形成された誘電体層と前記誘電体層上に形成された上部電極を含むMIMコンデンサと、
前記ガラス基板の第一面に対向する第二面に形成された第二面配線層と、
前記第一面と前記第二面とを連通する貫通孔と、
前記耐フッ酸金属膜に向かう前記貫通孔内に形成され、前記第一面配線層又は前記下部電極と前記第二面配線層とを接続する貫通電極と、を有し、前記第一面配線層と前記貫通電極と前記第二面配線層でソレノイドコイルが形成され、前記MIMコンデンサと前記ソレノイドコイルでLCフィルタが形成され、
前記耐フッ酸金属膜は、前記貫通孔から前記第一面に対して垂直方向にエッチングされている、ことにより達成される。
さらに、代表的な本発明の配線基板の一つは、
ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層と、
前記ガラス基板の第一面に対向する第二面に形成された第二面配線層と、
前記第一面と前記第二面とを連通する貫通孔と、
前記耐フッ酸金属膜に向かう前記貫通孔内に形成され、前記第一面配線層と前記第二面配線層とを接続する貫通電極と、を有し、
前記耐フッ酸金属膜は、前記貫通孔から前記第一面に対して垂直方向にエッチングされており、前記貫通孔内は前記貫通電極のみで構成されている、ことにより達成される。
さらに、代表的な本発明の配線基板の一つは、
ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層と、
前記ガラス基板の第一面に対向する第二面に形成された第二面配線層と、
前記第一面と前記第二面とを連通する貫通孔と、
前記耐フッ酸金属膜に向かう前記貫通孔内に形成され、前記第一面配線層と前記第二面配線層とを接続する貫通電極と、を有し、
前記耐フッ酸金属膜は、前記貫通孔から前記第一面に対して垂直方向にエッチングされており、前記貫通孔内は前記貫通電極および前記貫通孔内に充填された絶縁樹脂で構成されている、ことにより達成される。
本発明によれば、ガラス基板の配線およびガラス基板内に内蔵された貫通孔に接続されるキャパシタや貫通孔を用いて形成されるインダクタ、それらを組み合わせたLCフィルタの伝送特性や電気特性を確保しつつ、簡便に安価で製造できる配線基板の製造方法及び配線基板を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、第1実施形態に係る配線基板の製造方法にかかる工程を示す図である。 図2は、本実施形態により形成したキャパシタの断面図である。 図3は、本実施形態により形成できる配線基板の貫通孔における断面図である。 図4は、本実施形態により形成したインダクタの鳥瞰図である。 図5Aは、本実施形態により形成したコンフォーマル形態の貫通電極の断面図(a)と、その貫通電極を用いた配線基板の断面図(b)である。 図5Bは、本実施形態により形成したフィルド形態の貫通電極の断面図(a)と、その貫通電極を用いた配線基板の断面図(b)である。 図6は、本実施形態により形成した配線基板の貫通孔近傍における断面図である。 図7は、第2実施形態に係る配線基板の製造方法にかかる工程を示す図である。 図8は、第2実施形態により形成した配線基板の貫通孔近傍における断面図である。 図9は、比較例である配線基板の貫通孔近傍における断面図である。 図10は、第3実施形態に係る配線基板の製造方法にかかる工程を示す図である。 図11は、第4実施形態により形成した配線基板の貫通孔近傍における断面図である。 図12は、第7実施形態に係る配線基板の製造方法にかかる工程を示す図である。 図13は、第8実施形態に係る配線基板の製造方法にかかる工程を示す図である。
なお、本開示において、「面」とは、板状部材の面のみならず、板状部材に含まれる層について、板状部材の面と略平行な層の界面も指すことがある。また、「上面」、「下面」とは、板状部材や板状部材に含まれる層を図示した場合の、図面上の上方又は下方に示される面を意味する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る配線基板の製造方法にかかる工程を示す図である。図1を参照して、第1実施形態を説明する。
(工程1)
厚さ500μmの無アルカリガラスを用意し、超音波洗浄などで表面の汚染物を除去してガラス基板1とする。その後、図1(a)に示すように、ガラス基板1に対し、第一面1a側からレーザ光を照射し、貫通孔の起点となるレーザ改質部2を形成する。レーザ改質部2は、第一面1aから、例えば垂直方向に対向する面1bに向かって延在し、その端がガラス基板1に留まるように、レーザ光量を調整する。
なお、ここで用いるレーザの波長は535nm以下とするが、好ましいレーザの波長は355nm、以上535nm以下の範囲である。レーザの波長が355nm未満では十分なレーザ出力を得ることが難しく、安定的なレーザ改質が難しくなるおそれがある。一方、レーザの波長が535nmより大きくなると、照射スポットが大きくなり小範囲のレーザ改質の形成が難しくなり、また、熱の影響により改質加工ではなく、マイクロクラックが発生しガラス基板が割れやすくなる。
また、パルスレーザを用いる場合、レーザパルス幅はピコ秒からフェムト秒の範囲であることが望ましい。レーザパルス幅がナノ秒以上になると、1パルス当たりのエネルギー量の制御が困難となり、マイクロクラックが発生しガラス基板1が割れやすくなる。
また、レーザパルスのエネルギーは、ガラスの材質や、どのようなレーザ改質を形成するかに応じて好ましい値が選択され、例えば5μJ以上、150μJ以下の範囲であると好ましい。レーザパルスのエネルギーを増加させることで、それに比例するようにレーザ改質部の長さを長くすることが可能となる。
なお、本実施形態においては、ガラス基板の一方の面から他方の面に向かってレーザ光を照射して、レーザ改質部を形成する工程を工程Aと称する。工程Aは、上述の工程1に対応しているが、工程1の開示内容は工程Aを限定するものではない。
(工程2)
次に、ガラス基板1の第一面1aにスパッタ法などにより、耐フッ酸金属膜3を10nm以上、500nm以下の範囲で形成する。その後、耐フッ酸金属膜3上にスパッタ法および無電解めっき法などにより、銅被膜を100nm以上、500nm以下の範囲で成膜し、図1(b)に示すように、耐フッ酸金属膜3上にシード層4を形成する。耐フッ酸金属膜3の材料は、例えばクロム、ニッケル、ニッケルクロムから適宜選定する。
(工程3)
次に、ガラス基板1の第一面1aにパターンのフォトレジストを形成する。一例として昭和電工マテリアルズ社製のドライフォトレジスト(製品名RD1225)を用いて、第一面1a側のラミネートを行い、パターンを描画後、現像することにより、シード層4を露出させる。さらに、シード層4に給電し、2μm以上、10μm以下の厚さの電解銅めっきを行う。めっき後に不要なったドライフィルムレジストを溶解剥離し、シード層4をエッチングすることによって、図1(c)に示すように、耐フッ酸金属膜3とシード層4と銅層5とを積層した配線を、第一面1aに形成する。
ここで、第一面1aには、配線の他にキャパシタを形成しても良い。キャパシタについては、前述のように、二枚の導体板の間に誘電体を挟んだMIM構造とする。キャパシタの例としては、図2に示したように、ガラス基板1直上に、又はガラス基板1上に形成した絶縁樹脂層の上に、下電極6を形成し、下電極6の上に誘電体7を積層し、さらにその上に上電極8を積層したものである。下電極6と上電極8は、一般的に、前述の無電解ニッケルめっきやスパッタリング法などにより形成した薄い金属薄膜であるシード層と、そのシード層の上に形成した電解銅めっきなどの導電層からなる多層構造を有する。キャパシタのキャパシタンスは、誘電体7の誘電率と、下電極6に重なる上電極8の面積と、下電極6と上電極8との間隔により決定される。キャパシタは、ガラス基板1の第一面1aおよび第二面1b’のいずれの側にも設けることができる。
また、下電極6の形成位置は任意であるが、下電極6からガラス基板1の第二面1b’側に配線を接続する場合には、配線による電気抵抗抑制および配線長の短縮のため、図2に示したように、詳細を後述する貫通孔15直上に形成することが好ましい。
(工程4)
次に、一例として味の素ファインテクノ社製の絶縁樹脂9(製品名ABF-GXT31、32.5μm厚)を配線上にラミネートしプリキュア後に、レーザ加工によって絶縁樹脂9に対しブラインドビアを形成する。その後、デスミア処理を実施しレーザにより発生した残差物を除去し、スパッタ法および無電解めっき法により銅被膜を100nm以上、500nm以下の範囲で成膜し、シード層を形成する。シード層上に昭和電工マテリアルズ社製のドライフィルムレジスト(製品名RD1225)をラミネートして、パターンを描画後、現像する。シード層に給電し、2μm以上、10μm以下の厚さの電解銅めっきを行う。めっき後に不要となったドライフィルムレジストを溶解剥離し、シード層をエッチングして配線形成を行う。配線形成後にソルダーレジスト10を形成し、フォトリソグラフィー法などを用いてパターンニングし、図1(d)に示すように、第一面1a側の配線である第一面配線層11を形成する。また、外部接続端子12などの必要がある場合、開口部を設けてもよい。
なお、本実施形態においては、前記ガラス基板の第一面に耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層を形成する工程を工程Bと称する。工程Bは、上述の工程2~4に対応しているが、工程2~4の開示内容は工程Bを限定するものではない。
(工程5)
次に、図1(e)に示すように、第一面配線層11上に、仮貼り用の接着剤13(例えば日東電工社製の製品名リバアルファ)を介してガラスキャリア14を貼り合わせる。ガラスキャリア14の厚さは、薄板化後の搬送性を鑑み0.7mm以上、10mm以下の範囲が望ましい。ガラス基板1の厚さによってガラスキャリア14の厚さは適宜設定して構わない。また、支持体としてガラスキャリア14を例示しているが、支持体はガラス製ではなくてもよく、金属製や樹脂製などでも良い。
(工程6)
次に第一面配線層11とは反対側のガラス基板1の面1bから、フッ化水素溶液でエッチングを行う。ガラス基板1の面1bは、フッ化水素溶液によってエッチングされ、図1(f)に示すように、ガラス基板1の第一面1aと平行に薄板化される。フッ化水素溶液がレーザ改質部2に接触すると、レーザ改質部2が優先的に溶解され、貫通孔15が形成される。これによって、ガラス基板1は、貫通孔15の形成と共に薄板化する。すなわち、ガラス基板1の薄板化と貫通孔15の形成とが、一つのエッチング処理で行われる。薄板化したガラス基板1の下面が、第二面配線層が形成される第二面1b’となる。
貫通孔15は、第二面1b’側の径(または断面積)が第一面1a側の径(または断面積)よりも大きい円錐台形状を有する。また、貫通孔15の断面形状はレーザ改質部の改質位置やフッ化水素溶液の濃度や処理温度などのエッチング条件の変更により、図3のように、前述の第一面1a側の径が第二面1b’側の径よりも小さくなるような(a)V字型や、第一面1a側および前記第二面1b’側のどちらか一方に断面極大値を有し、ガラス基板1の厚さをTとしたときに、第一面1aからの距離が0.4T以上~0.6T以下の範囲に断面極小値を有するような(b)X字型、および第一面1a側および第二面1b’側のどちらか一方に断面極大値を有し、ガラス基板1の厚さをTとしたときに、第一面1aからの距離が0より大きく、0.2T以下の範囲に断面極小値を有するような(c)くびれ型の形状に制御することができ、任意に決定することができる。
フッ化水素溶液によるエッチング量は、最終形態の配線基板の厚さに応じて適宜設定して構わない。例えば、工程1で用いたガラス基板1の厚さが400μmの場合、そのエッチング量は100μm以上、350μm以下の範囲であることが望ましい。
薄板化後のガラス基板1の厚さは、50μm以上、300μm以下が好ましい。また、フッ化水素溶液によるエッチング液は、フッ化水素溶液として、硝酸、塩酸及び硫酸からなる群から選ばれる1種以上の無機酸を含む。
フッ化水素酸濃度は例えば1.0wt%以上、6.0wt%以下であり、好ましくは2.0wt%以上、5.0wt%以下が望ましい。また、無機酸濃度は1.0wt%以上、20.0wt%以下の範囲であり、好ましくは3.0wt%以上、16.0wt%以下が望ましい。上記範囲に設定したフッ化水素溶液で、尚且つエッチングレートが1.0μm/min以下とすることが望ましい。エッチングの際のエッチング液の温度は、10℃以上、40℃以下が望ましい。
なお、本実施形態においては、前記第一面1aとは反対側の面1bをエッチングすることにより、前記レーザ改質部2に貫通孔15を形成するとともに、前記ガラス基板1の第一面1aに対向する第二面1b’を形成する工程を工程Cと称する。工程Cは、上述の工程6に対応しているが、工程6の開示内容は工程Cを限定するものではない。
(工程7:貫通孔処理工程)
さらに本実施形態においては、耐フッ酸金属膜3に付着したガラスのエッチング残差(ガラス残差ともいう)を除去するため、貫通孔処理工程として、表面改質処理を行う。より具体的には、貫通孔15に対してCFガス、酸素ガス、アルゴンガス、水素ガスなどを供給しつつ、プラズマを照射する(プラズマ処理を行う)ことで、耐フッ酸金属膜3に付着したガラスのエッチング残差を除去し、さらに耐フッ酸金属膜3の表面の濡れ性を高める。
表面改質処理としては、乾式法などガラスのエッチング残差が除去できる方法であれば、方式は特に指定されない。ただし、ガラスのエッチング残差のみを除去し、耐フッ酸金属膜3は除去しない選択性を有すると好ましい。貫通孔15は、第二面1b’側の径(または断面積)が第一面1a側の径(または断面積)よりも大きい円錐台形状を有するため、耐フッ酸金属膜3に対するプラズマの照射効率が向上し、ガラスのエッチング残差を除去しやすい。このようにすることで、耐フッ酸金属膜3からガラスのエッチング残差を除去することができるため、貫通孔部の接続信頼性の向上および伝送特性、電気特性の向上が可能となる。また、プラズマ処理により耐フッ酸金属膜3の濡れ性を高めることで、後工程における導体層形成時のめっき不良などを抑制できる。
その後、貫通孔15が形成された第二面1b’にスパッタ法などにより、貫通孔15の表面に銅被膜を100nm以上、500nm以下の範囲で成膜し、給電用のシード層16の形成を行う。貫通孔15が円錐台形状を有するため、直線的に飛散する成膜粒子を遮ることが抑制され、効率的にシード層の形成が可能になる。ただし、無電解めっき法によりシード層を形成してもよい。
なお、本実施形態においては、前記耐フッ酸金属膜に付着したガラスのエッチング残差を除去する工程を貫通孔処理工程Dと称する。貫通孔処理工程Dは、上述の工程7に対応しているが、工程7の開示内容は貫通孔処理工程Dを限定するものではない。
(工程8)
次に、工程3及び工程4と同様に、第二面1b’にドライフィルムレジストでパターン形成し、シード層16に給電し、2μm以上、10μm以下の厚さの電解銅めっきをし、銅層17を形成した後、不要となったドライフィルムレジストを溶解剥離して、図1(g)に示すように、貫通電極18を形成する。その後不要となったシード層16を除去し、絶縁樹脂9、もしくはソルダーレジスト10等の外層保護膜をコートすることで、図1(h)に示すように、第二面配線層19を形成する。また、外部接続端子12などの必要がある場合、開口部を設けてもよい。
なお、本実施形態においては、前記貫通孔に貫通電極を形成する工程を工程Eと称する。工程Eは、上述の工程8に対応しているが、工程8の開示内容は工程Eを限定するものではない。
ここで、第二面1b’には、配線の他にキャパシタ、インダクタを形成しても良い。インダクタについては、らせん状のコイルと同様の性能を、貫通孔15を備えたガラス基板1に内蔵することができる。図4は、2列に並んだ貫通孔15を有する平行平板状のガラス基板1を透明化して、ガラス基板1に形成された貫通孔15を使用してらせん状のコイルを形成した状態を例示している。具体的には、図示していないガラス基板1の表裏面(1a、1b’)において、らせん状のコイルを巻回する方向において隣接する貫通孔15の開口部同士を接続するように配線27を形成する。またガラス基板1の表裏面を連通する貫通孔15の内壁に導体層を形成し、貫通電極18とする。
この様にして、ガラス基板1の表裏面(1a、1b’)に形成された配線27を、貫通電極18によって順次、直列に接続することにより、らせん状のコイルを作製することができる。インダクタの特性は、たとえば巻き数を変えることで調整することができる。また、インダクタは前述の形態に限定されず、ガラス基板1の第一面配線層11および第二面配線層19に、他の配線と同様に加工し、渦巻き状にコイルを形成することも可能であるし、絶縁樹脂9を挟んだ二つの導体層にそれぞれ配線を施し、絶縁樹脂9にブラインドビアおよび貫通電極を形成し、両導体層上の配線を貫通電極により接続することによって、絶縁樹脂9をらせん状に巻く形態のコイルとして形成することも可能である。
また、貫通電極18は、図5Aに示すように、貫通孔15の側壁に沿って電解めっき膜の銅層17が形成され絶縁樹脂9が充填されたコンフォーマル形態、または図5Bに示すように、貫通孔15内部全体を電解めっき膜の銅層17で形成されたフィルド形態のどちらかを選択することができる。なお、図5Bに示すフィルド形態では貫通孔15内部全体が電気抵抗が低い銅層17で形成されているため、図5Aに示すコンフォーマル形態と比較して貫通電極18の電気特性や伝送特性を向上することができる。
また、図3のように、(b)X字型、(c)くびれ型の形状では径(断面)が極小となる位置が、第一面1aから第二面1b’側に移動するため、貫通電極18と第一面1a界面に発生する応力を、(a)V字型と比較して小さくすることができ、貫通孔15を介する接続信頼性を向上させることができる。
ここで、第二面1b’の給電用のシード層16は、その後の工程でフッ酸水素溶液によるエッチング処理がないことから、耐フッ酸金属膜3と異なる材料からなる金属層が形成される。耐フッ酸金属と異なる材料としては、Ti、Cu、無電解Ni等が例示され、そのような材料からなる、少なくとも1層以上の金属層が少なくとも貫通孔15の内周面に形成される。
材料、層数等は、上述のものに限られず、図1(h)に示すように、必要に応じて材料、積層数を設定して構わない。第一面配線層11、並びに第二面配線層19については、少なくとも一層以上積層されており、必要に応じて積層数を設定して構わない。また、第一面配線層11、並びに第二面配線層19のうち、絶縁樹脂9上に平面状(例えば渦巻き状)のスパイラルコイル素子(第一面配線層と貫通電極と第二面配線層とで形成されるソレノイドコイル)や前述のMIMキャパシタ素子(ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層と下部電極および前記下部電極上に形成された誘電体層と前記誘電体層上に形成された上部電極を含むMIMコンデンサ)を形成することもでき、またソレノイドコイルとMIMコンデンサとからなるLCフィルタを形成することもできる。また、上述の通り、外部接続端子12などの必要がある場合、開口部を設けてもよい。
(工程9)
さらに、図1(i)に示すように、工程5で仮貼りしていたガラスキャリア14を取り外し、貫通電極18によって導通した第一面配線層11及び第二面配線層19を両面に形成した配線基板20を完成させる。なお、工程9の後に工程4の方法で、配線基板20の表裏にさらに配線層を複数層形成してもよい。工程9の後ではガラスキャリア14を取り外しているため、配線層の両面同時形成が可能となり、片面形成と比較して工程の短縮化が可能となる。また、工程9では、ガラス基板1表裏に配線層が形成されているため、配線基板20の機械的強度がガラス基板1のみと比較して向上し、回路など導電部を形成するときの搬送工程でのガラス割れの発生を抑制できる。また、配線基板20には外部接続端子12を形成することも可能であり、さらに、外部接続端子12にはんだボール21を形成することも可能である。
(工程10)
図1(j)に示すように、配線基板20の片面または両面に既存の実装技術を用いて半導体チップ22、チップ部品23を搭載し、MIMコンデンサ、ソレノイドコイル、LCフィルタなどを搭載した高周波デバイス24を完成させる。
図6は、本実施形態により形成した配線基板の貫通孔近傍における断面図である。図6に示すように、ガラス基板1の第一面1a側において、貫通孔15を覆うようにして耐フッ酸金属膜3が形成され、その上方にシード層4が積層され、さらにその上方に銅層5が形成されている。また、ガラス基板1の貫通孔15の内周、耐フッ酸金属膜3の表面、及び第二面1b’側における貫通孔15の周囲には、給電用のシード層16が形成されている。
本実施形態によれば、表面改質処理により、耐フッ酸金属膜3に付着したガラスのエッチング残差が除去されているため、貫通孔15内に露出した耐フッ酸金属膜3と、シード層16とが完全に密着しており、これにより配線基板の第一面1aと第二面1b’間の伝送特性や電気特性を向上させることができる。そのため、ガラス基板1の配線およびガラス基板1内に内蔵された貫通孔15に接続されるキャパシタや貫通孔15を用いて形成されるインダクタ、それらを組み合わせたLCフィルタの伝送特性や電気特性を向上させることができる。
さらに本実施形態によれば、貫通電極18と銅層5との間に、耐フッ酸金属膜3を含む2層以上の導体層(シード層4)が形成されており、ガラス基板1の第一面1a上に耐フッ酸金属膜3を形成することで、銅層5の密着性を高めることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。図7は、第2実施形態に係る配線基板の製造方法にかかる工程を示す図である。第2実施形態においては、上述した第1実施形態に対して工程7(工程D)のみが異なり、工程1~6、工程8,9については共通するため、重複する説明は省略する。
(工程7:貫通孔処理工程(ドライエッチング処理))
本実施形態においては、耐フッ酸金属膜3に付着したガラスのエッチング残差を除去するとともに、耐フッ酸金属膜3の一部を除去すべく、ドライエッチング処理を行う。ドライエッチングとしては、乾式法など耐フッ酸金属膜が除去できる方法であれば、方式は特に指定されない。例えば、反応性イオンエッチングやスパッタエッチングが好適に用いられる。貫通孔15は、第二面1b’側の径(または断面積)が第一面1a側の径(または断面積)よりも大きい円錐台形状を有するため、イオンやスパッタが耐フッ酸金属膜3に届きやすくなる。このようにすることで、ガラスのエッチング残差および抵抗率が高い金属膜の一部を一度に除去することができるため、貫通孔部の接続信頼性の向上および伝送特性、電気特性の向上が可能となる。
ここで、貫通孔15の耐フッ酸金属膜3の厚さは貫通孔15以外の部分の厚さよりも薄くなっており、且つ貫通孔15の耐フッ酸金属膜3はドライエッチングにより、貫通孔端部から垂直(略垂直を含む)にエッチングされている。すなわち、耐フッ酸金属膜3に形成された有底開口3a(図8)の内周は、第一面1aに対して垂直である。
その後、貫通孔15が形成された第二面1b’にスパッタ法などにより、有底開口3aの内面及び貫通孔15の内表面に銅被膜を100nm以上、500nm以下の範囲で成膜し、給電用のシード層16の形成を行う。耐フッ酸金属膜3はドライエッチングにより、貫通孔15端部から第一面1aに対して垂直にエッチングされている。貫通孔15が円錐台形状であることも相まって、スパッタ法にてシード層16を形成する際に、直線的に飛散する成膜粒子を遮ることが抑制され、貫通孔15底部の成膜材料の付きまわり性が向上し、貫通孔15部のボイド発生が抑制され、貫通電極18の接続信頼性が向上する。ただし、無電解めっき法によりシード層16を形成してもよい。
なお、本実施形態においては、前記耐フッ酸金属膜3の一部を除去する工程を貫通孔処理工程Dと称する。貫通孔処理工程Dは、上述の工程7に対応しているが、工程7の開示内容は貫通孔処理工程Dを限定するものではない。
また、処理後の耐フッ酸金属膜3は、処理前に比べて50%以下の厚さであれば貫通孔15を介する電気特性の低下を抑制できる。しかし耐フッ酸金属膜3の厚さが50%を超えると、エッチング残差によっては十分に除去できず、金属との密着性の確保や良好な電気特性の確保を行えないおそれがある。
さらに本実施形態によれば、貫通電極18と銅層5との間に、耐フッ酸金属膜3を含む2層以上の導体層(シード層4)が形成されており、ガラス基板1の第一面1a上に耐フッ酸金属膜3を形成することで、銅層5の密着性を高めることができる。
図8は、本実施形態により形成した配線基板の貫通孔近傍における断面図である。
また、図9は、比較例である配線基板の貫通孔近傍における断面図である。図9の比較例の製造においては、工程7を実施しない以外、本実施形態と同じ工程により形成する。
図8に示すように、ガラス基板1の第一面1a側において、貫通孔15を覆うようにして耐フッ酸金属膜3が形成され、その上方にシード層4が積層され、さらにその上方に銅層5が形成されている。また、ガラス基板1の貫通孔15の内周、耐フッ酸金属膜3の表面、及び第二面側における貫通孔15の周囲には、給電用のシード層16が形成されている。
本実施の形態によれば、ドライエッチング処理工程により、耐フッ酸金属膜3の厚さは、貫通孔15の上縁内側の部位において、貫通孔15の上縁外側の部位よりも薄くなる。また、ドライエッチングの異方性により、耐フッ酸金属膜3は第一面1aに対して略直交するようにエッチングされる。
図9に示す比較例によれば、ドライエッチング処理工程を経ていないため、貫通孔15の上縁内周側において耐フッ酸金属膜3の下面に、ガラスのエッチング残差GERが残存している。比較例によれば、エッチング残差GERが、耐フッ酸金属膜3とシード層16との間に介在することで、貫通電極18における伝送特性や電気特性が悪化する。そのため、ガラス基板1の配線およびガラス基板1内に内蔵された貫通孔15に接続されるキャパシタや貫通孔15を用いて形成されるインダクタ、それらを組み合わせたLCフィルタの伝送特性や電気特性が悪化する。
これに対し本実施形態によれば、ドライエッチング処理工程により、耐フッ酸金属膜3の表面をエッチングしているため、比較例が有するようなガラスのエッチング残差GERを完全に除去することができ、それにより配線基板の第一面1aと第二面1b’間の伝送特性や電気特性を向上させることができる。そのため、ガラス基板1の配線およびガラス基板1内に内蔵された貫通孔15に接続されるキャパシタや貫通孔15を用いて形成されるインダクタ、それらを組み合わせたLCフィルタの伝送特性や電気特性を向上させることができる。
さらに、図9の比較例によれば、銅などと比較して電気抵抗が大きい耐フッ酸金属膜3が、膜厚が厚い状態で残存する。これに対し本実施形態によれば、耐フッ酸金属膜3の一部が除去されて薄肉となるから、配線基板の第一面1aと第二面1b’間の伝送特性や電気特性を向上させることができる。そのため、ガラス基板1の配線およびガラス基板1内に内蔵された貫通孔15に接続されるキャパシタや貫通孔15を用いて形成されるインダクタ、それらを組み合わせたLCフィルタの伝送特性や電気特性を向上させることができる。
<第3実施形態>
次に、図10は、第3実施形態に係る配線基板の製造方法にかかる工程を示す図である。図10を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態においては、上述した第1実施形態に対して工程1と工程6のみが異なり、工程2~5、工程7~10については共通するため、重複する説明は省略する。
(工程1)
厚さ130μmの無アルカリガラスを用意し、超音波洗浄などで表面の汚染物を除去してガラス基板1とする。その後、図10(a)に示すように、第一面と反対面1b上に、仮貼り用の接着剤25を介してガラス基板固定用ガラスキャリア26を貼り合わせる。ガラス基板固定用ガラスキャリア26の厚さは、加工時の搬送性を鑑み0.7mm以上、10mm以下の範囲が望ましい。ガラス基板1の厚さによってガラス基板固定用ガラスキャリア26の厚さは適宜設定して構わない。また、支持体としてガラス基板固定用ガラスキャリア26を例示しているが、支持体はガラス製ではなくてもよく、金属製や樹脂製などでも良い。
次に、ガラス基板1に対し、第一面1a側からレーザ光を照射し、貫通孔の起点となるレーザ改質部2を形成する。レーザ改質部2は、第一面1aから、例えば垂直方向に対向する面1bに向かって延在し、その端がガラス基板1を通過し、ガラス基板固定用ガラスキャリア26に留まるように、レーザ光量を調整する。
(工程6)
図10(f)に示すように、工程1で仮貼りしていたガラス基板固定用ガラスキャリア26を取り外し、ガラス基板1を露出させる。次に第一面配線層11とは反対側のガラス基板1の面1bから、フッ化水素溶液でエッチングを行う。ガラス基板1の面1bは、フッ化水素溶液によってエッチングされ、図10(g)に示すように、ガラス基板1の第一面1aと平行に薄板化される。フッ化水素溶液がレーザ改質部2に接触すると、レーザ改質部2が優先的に溶解され、貫通孔15が形成される。これによって、ガラス基板1は、貫通孔15の形成と共に薄板化する。すなわち、ガラス基板1の薄板化と貫通孔15の形成とが、一つのエッチング処理で行われる。薄板化したガラス基板1の下面が、第二面配線層が形成される第二面1b’となる。
貫通孔15は、第二面1b’側の径(または断面積)が第一面1a側の径(または断面積)よりも大きい円錐台形状を有する。また、貫通孔15の断面形状はレーザ改質部の改質位置やフッ化水素溶液の濃度や処理温度などのエッチング条件の変更により、図3のように、前述の第一面1a側の径が第二面1b’側の径よりも小さくなるような(a)V字型や、第一面1a側および前記第二面1b’側のどちらか一方に断面極大値を有し、ガラス基板1の厚さをTとしたときに、第一面1aからの距離が0.4T以上~0.6T以下の範囲に断面極小値を有するような(b)X字型、および第一面1a側および第二面1b’側のどちらか一方に断面極大値を有し、ガラス基板1の厚さをTとしたときに、第一面1aからの距離が0より大きく、0.2T以下の範囲に断面極小値を有するような(c)くびれ型の形状に制御することができ、任意に決定することができる。
ここで、ガラス基板固定用ガラスキャリア26にガラス基板1を形成してから、レーザ改質部を形成し、フッ化水素溶液によるエッチング前にガラス基板固定用ガラスキャリア26を取り外すことにより、ガラス基板1のレーザ改質部2は深さ方向に対して全面に形成されるため、第1実施形態と比較して改質部の深さばらつきが低減される。そのため、フッ化水素溶液によるエッチング後に形成される貫通孔の径のばらつきが抑制され、加工精度が向上する。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態においては、上述した第1実施形態および第2実施形態に対して工程7(工程D)のみが異なり、工程1~6、工程8~10については共通するため、重複する説明は省略する。
(工程7:貫通孔処理工程(ドライエッチング処理))
本実施形態においては、耐フッ酸金属膜3に付着したガラスのエッチング残差を除去するとともに、貫通した開口が形成されるまで耐フッ酸金属膜3を除去すべく、ドライエッチングを行う。ドライエッチングとしては、乾式法など耐フッ酸金属膜が除去できる方法であれば、方式は特に指定されない。例えば、反応性イオンエッチングやスパッタエッチングが好適に用いられる。このようにすることで、ガラスのエッチング残差および抵抗率が高い金属膜を一度に除去することができるため、貫通孔部の接続信頼性の向上および伝送特性、電気特性の向上が可能となる。
その後、貫通孔15が形成された第二面1b’にスパッタ法などにより、貫通開口3bの内周面及び貫通孔12の内表面に銅被膜を100nm以上、500nm以下の範囲で成膜し、給電用のシード層16の形成を行う。耐フッ酸金属膜3はドライエッチングにより、貫通孔端部から第一面1aに対して垂直にエッチングされている。貫通孔15が円錐台形状であることも相まって、スパッタ法にてシード層を形成する際に、直線的に飛散する成膜粒子を遮ることが抑制され、貫通孔15底部の成膜材料の付きまわり性が向上し、貫通孔15部のボイド発生が抑制され、貫通電極18の接続信頼性が向上する。ただし、無電解めっき法によりシード層16を形成してもよい。
本実施形態においては、第2実施形態に対して、耐フッ酸金属膜3のエッチング時間を長くしている。このため、貫通孔15に露出した耐フッ酸金属膜3が貫通して開口が形成され、その裏面側にあるシード層4が露出する。これにより、給電用のシード層16が貫通孔15の内周に形成されるとともに、耐フッ酸金属膜3の貫通した開口の内側、及びシード層4の表面まで形成される。
図11は、本実施形態により形成した配線基板の貫通孔近傍における断面図である。本実施形態のドライエッチング処理工程によれば、ガラスのエッチング残差および抵抗率が高い耐フッ酸金属膜3を一度に除去することができるため、貫通電極18の接続信頼性の向上および伝送特性、電気特性の向上が可能となる。そのため、ガラス基板の配線およびガラス基板内に内蔵された貫通孔に接続されるキャパシタや貫通孔を用いて形成されるインダクタ、それらを組み合わせたLCフィルタの伝送特性や電気特性を向上させることができる。
言い換えると、ガラス基板1の第一面1a側のシード層4と、第二面1b’側から貫通孔15を通って延在する給電用のシード層16とが、例えば共通する素材同士で耐フッ酸金属膜3を介することなく直接接続されるため、貫通電極18の伝送特性、電気特性がさらに向上する。そのため、ガラス基板の配線およびガラス基板内に内蔵された貫通孔に接続されるキャパシタや貫通孔を用いて形成されるインダクタ、それらを組み合わせたLCフィルタの伝送特性や電気特性を向上させることができる。また、耐フッ酸金属膜3を除去するため、耐フッ酸金属膜3との密着性確保のための、密着層形成などを追加で実施する必要がなくなり、工程数の増加を抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態のドライエッチング処理工程を経ることにより、貫通孔15部の耐フッ酸金属膜3は、貫通孔15の上端から第一面1aに対して垂直にエッチングされた貫通開口3bを有する。このことにより、スパッタ法にてシード層を形成した場合の貫通孔底部の成膜材料の成膜材料の付きまわり性が向上し、貫通孔部のボイド発生が抑制され、貫通電極18の接続信頼性が向上する。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態においては、上述した第3実施形態に対して工程7(工程D)のみが異なり、工程1~6、工程8~10については共通する。また、工程7は第2実施形態の工程7と共通する。そのため、重複する説明は省略する。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態を説明する。第6実施形態においては、上述した第3実施形態に対して工程7(工程D)のみが異なり、工程1~6、工程8~10については共通する。また、工程7は第4実施形態の工程7と共通する。そのため、重複する説明は省略する。
<第7実施形態>
図12は、第7実施形態に係る配線基板の製造方法にかかる工程を示す図である。第7実施形態は、第1実施形態における工程1のレーザ改質工程をガラス基板1に支持体を張り付け後に行う点で異なっている。以下、図12を参照して、第7実施形態を説明する。
(工程1)
厚さ500μmの無アルカリガラスを用意し、超音波洗浄などで表面の汚染物を除去してガラス基板1とする。
さらに、ガラス基板1の第一面1aにスパッタ法などにより、耐フッ酸金属膜3を10nm以上、500nm以下の範囲で形成する。その後、耐フッ酸金属膜3上にスパッタ法および無電解めっき法などにより、銅被膜を100nm以上、500nm以下の範囲で成膜し、図12(a)に示すように、耐フッ酸金属膜3上にシード層4を形成する。耐フッ酸金属膜3の材料は、例えばクロム、ニッケル、ニッケルクロムから適宜選定する。
(工程2)
次に、ガラス基板1の第一面1aにパターンのフォトレジストを形成する。一例として昭和電工マテリアルズ社製のドライフォトレジスト(製品名RD1225)を用いて、第一面1a側のラミネートを行い、パターンを描画後、現像することにより、シード層4を露出させる。シード層4に給電し、2μm以上、10μm以下の厚さの電解銅めっきを行う。めっき後に不要なったドライフィルムレジストを溶解剥離し、シード層4をエッチングすることによって、図12(b)に示すように、耐フッ酸金属膜3とシード層4と銅層5とを積層した配線を、第一面1aに形成する。
ここで、第一面1aには、配線の他にキャパシタを形成しても良い。キャパシタについては、前述のように、二枚の導体板の間に誘電体を挟んだMIM構造とする。キャパシタの例としては、図2に示したように、ガラス基板1直上に、又はガラス基板1上に形成した絶縁樹脂層の上に、下電極6を形成し、下電極6の上に誘電体7を積層し、さらにその上に上電極8を積層したものである。下電極6と上電極8は、一般的に、前述の無電解ニッケルめっきやスパッタリング法などにより形成した薄い金属薄膜であるシード層と、そのシード層の上に形成した電解銅めっきなどの導電層からなる多層構造を有する。キャパシタのキャパシタンスは、誘電体7の誘電率と、下電極6に重なる上電極8の面積と、下電極6と上電極8との間隔により決定される。キャパシタは、ガラス基板1の第一面1aおよび第二面1b’のいずれの側にも設けることができる。
また、下電極6の形成位置は任意であるが、下電極6からガラス基板1の第二面1b’側に配線を接続する場合には、配線による電気抵抗抑制および配線長の短縮のため、図2に示したように、貫通孔15直上に形成することが好ましい。
(工程3)
次に、一例として味の素ファインテクノ社製の絶縁樹脂9(製品名ABF-GXT31、32.5μm厚)を配線上にラミネートしプリキュア後に、レーザ加工によって絶縁樹脂9に対しブラインドビアを形成する。その後、デスミア処理を実施しレーザにより発生した残差物を除去し、スパッタ法および無電解めっき法により銅被膜を100nm以上、500nm以下の範囲で成膜し、シード層を形成する。シード層上に昭和電工マテリアルズ社製のドライフィルムレジスト(製品名RD1225)をラミネートして、パターンを描画後、現像する。シード層に給電し、2μm以上、10μm以下の厚さの電解銅めっきを行う。めっき後に不要となったドライフィルムレジストを溶解剥離し、シード層をエッチングして配線形成を行う。配線形成後にソルダーレジスト10を形成し、フォトリソグラフィー法などを用いてパターンニングし、図12(c)に示すように、第一面1a側の配線である第一面配線層11を形成する。また、外部接続端子12などの必要がある場合、開口部を設けてもよい。
なお、本実施形態においては、前記ガラス基板の第一面に耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層を形成する工程を工程Bと称する。工程Bは、上述の工程1~3に対応しているが、工程1~3の開示内容は工程Bを限定するものではない。
(工程4)
次に、図12(d)に示すように、第一面配線層11上に、仮貼り用の接着剤13(例えば日東電工社製の製品名リバアルファ)を介してガラスキャリア14を貼り合わせる。ガラスキャリア14の厚さは、薄板化後の搬送性を鑑み0.7mm以上、10mm以下の範囲が望ましい。ガラス基板1の厚さによってガラスキャリア14の厚さは適宜設定して構わない。また、支持体としてガラスキャリア14を例示しているが、支持体はガラス製ではなくてもよく、金属製や樹脂製などでも良い。
(工程5)
次に、図12(e)に示すように、ガラス基板1の第一面1aとは反対側の面1bからレーザを照射し、ガラス基板1に対し貫通孔の起点となるレーザ改質部2を形成する。レーザ改質部2は、工程1で形成した耐フッ酸金属膜3に対して垂直に形成し、下端が、ガラス基板1の内部に留まるように、レーザ光量を調整する。使用するレーザについては、第1の実施形態と同様である。
なお、本実施形態においては、ガラス基板の一方の面から他方の面に向かってレーザ光を照射して、レーザ改質部を形成する工程を工程Aと称する。工程Aは、上述の工程5に対応しているが、工程5の開示内容は工程Aを限定するものではない。
(工程6)
次に、第一面配線層11とは反対側のガラス基板1の面1bから、フッ化水素溶液でエッチングを行う。レーザ改質部2が形成されていない部分のガラスはフッ化水素溶液によってエッチングされ、図12(f)に示すように、ガラス基板1の第一面1aと平行に薄板化される。フッ化水素溶液がレーザ改質部2に接触すると、レーザ改質部2が優先的に溶解され、貫通孔15が形成される。これによって、ガラス基板1は、貫通孔15の形成と共に薄板化する。すなわち、ガラス基板1の薄板化と貫通孔15の形成とが、一つのエッチング処理で行われる。薄板化したガラス基板1の下面が、第二面配線層が形成される第二面1b’となる。使用するフッ化水素溶液については、第1の実施形態と同様である。
なお、本実施形態においては、前記第一面1aとは反対側の面をエッチングすることにより、前記レーザ改質部に2貫通孔15を形成するとともに、前記ガラス基板1の第一面1aに対向する第二面1b’を形成する工程を工程Cと称する。工程Cは、上述の工程6に対応しているが、工程6の開示内容は工程Cを限定するものではない点も第1の実施形態の場合と同様である。
(工程7:貫通孔処理工程)
さらに本実施形態においては、耐フッ酸金属膜3に付着したガラスのエッチング残差(ガラス残差ともいう)を除去するため、貫通孔処理工程として、表面改質処理を行う。より具体的には、貫通孔15に対してCFガス、酸素ガス、アルゴンガス、水素ガスなどを供給しつつ、プラズマを照射する(プラズマ処理を行う)ことで、耐フッ酸金属膜3に付着したガラスのエッチング残差を除去し、さらに耐フッ酸金属膜3の表面の濡れ性を高める。このようにすることで、ガラスのエッチング残差を除去することができるため、貫通孔部の接続信頼性の向上および伝送特性、電気特性の向上が可能となる。
その後、貫通孔15が形成された第二面1b’にスパッタ法などにより、貫通孔15の内表面に銅被膜を100nm以上、500nm以下の範囲で成膜し、給電用のシード層16の形成を行う。貫通孔15が円錐台形状を有するため、直線的に飛散する成膜粒子を遮ることが抑制され、効率的にシード層の形成が可能になる。ただし、無電解めっき法によりシード層を形成してもよい。
なお、本実施形態においては、前記耐フッ酸金属膜に付着したガラスのエッチング残差を除去する工程を貫通孔処理工程Dと称する。貫通孔処理工程Dは、上述の工程7に対応しているが、工程7の開示内容は貫通孔処理工程Dを限定するものではない。
本実施形態においても、図6の実施形態と同様に、表面改質処理により、耐フッ酸金属膜3に付着したガラスのエッチング残差が除去されているため、貫通孔15内に露出した耐フッ酸金属膜3と、シード層16とが完全に密着しており、これにより配線基板の第一面1aと第二面1b’間の伝送特性や電気特性を向上させることができる。そのため、ガラス基板1の配線およびガラス基板1内に内蔵された貫通孔15に接続されるキャパシタや貫通孔15を用いて形成されるインダクタ、それらを組み合わせたLCフィルタの伝送特性や電気特性を向上させることができる。
さらに本実施形態によれば、貫通電極18と銅層5との間に、耐フッ酸金属膜3を含む2層以上の導体層(シード層4)が形成されており、ガラス基板1の第一面1a上に耐フッ酸金属膜3を形成することで、銅層5の密着性を高めることができる。
(工程8)
次に、工程2及び工程3と同様に、第二面1b’にドライフィルムレジストでパターン形成し、シード層16に給電し、2μm以上、10μm以下の厚さの電解銅めっきをし、銅層17を形成した後、不要となったドライフィルムレジストを溶解剥離して図12(g)に示すように、貫通電極18を形成する。その後不要となったシード層16を除去し、絶縁樹脂9、もしくはソルダーレジスト10等の外層保護膜をコートすることで、図12(h)に示すように、第二面配線層19を形成する。また、外部接続端子12などの必要がある場合、開口部を設けてもよい。上述のように貫通電極18、第二面配線層19等についても、第1実施形態と同様である。
なお、本実施形態においては、前記貫通孔に貫通電極を形成する工程を工程Eと称する。工程Eは、上述の工程8に対応しているが、工程8の開示内容は工程Eを限定するものではない。
ここで、第二面1b’には、配線の他にキャパシタ、インダクタを形成しても良い。インダクタについては、らせん状のコイルと同様の性能を、貫通孔15を備えたガラス基板1に内蔵することができる。図4は、2列に並んだ貫通孔15を有する平行平板状のガラス基板1を透明化して、ガラス基板1に形成された貫通孔15を使用してらせん状のコイルを形成した状態を例示している。具体的には、図示していないガラス基板1の表裏面(1a、1b’)において、らせん状のコイルを巻回する方向において隣接する貫通孔15の開口部同士を接続するように配線27を形成する。またガラス基板1の表裏面を連通する貫通孔15の内壁に導体層を形成し、貫通電極18とする。
この様にして、ガラス基板1の表裏面(1a、1b’)に形成された配線27を、貫通電極18によって順次、直列に接続することにより、らせん状のコイルを作製することができる。インダクタの特性は、たとえば巻き数を変えることで調整することができる。また、インダクタは前述の形態に限定されず、ガラス基板1の第一面配線層11および第二面配線層19に、他の配線と同様に加工し、渦巻き状にコイルを形成することも可能であるし、絶縁樹脂9を挟んだ二つの導体層にそれぞれ配線を施し、絶縁樹脂9にブラインドビアおよび貫通電極を形成し、両導体層上の配線を貫通電極により接続することによって、絶縁樹脂9をらせん状に巻く形態のコイルとして形成することも可能である。
また、貫通電極18は、図5Aに示すように、貫通孔15の側壁に沿って電解めっき膜の銅層17が形成され絶縁樹脂9が充填されたコンフォーマル形態、または図5Bに示すように、貫通孔15内部全体を電解めっき膜の銅層17で形成されたフィルド形態のどちらかを選択することができる。なお図5Bに示すフィルド形態では貫通孔15内部全体が電気抵抗が低い銅層17で形成されているため、図5Aに示すコンフォーマル形態と比較して貫通電極18の電気特性や伝送特性を向上することができる。
ここで、第二面1b’の給電用のシード層16は、その後の工程でフッ酸水素溶液によるエッチング処理がないことから、耐フッ酸金属膜3と異なる材料からなる金属層が形成される。耐フッ酸金属と異なる材料としては、Ti、Cu、無電解Ni等が例示され、そのような材料からなる、少なくとも1層以上の金属層が少なくとも貫通孔15の内周面に形成される。
材料、層数等は、上述のものに限られず、図12(h)に示すように、必要に応じて材料、積層数を設定して構わない。第一面配線層11、並びに第二面配線層19については、少なくとも一層以上積層されており、必要に応じて積層数を設定して構わない。また、第一面配線層11、並びに第二面配線層19のうち、絶縁樹脂9上に平面状(例えば渦巻き状)のスパイラルコイル素子(コイル)や前述のMIMキャパシタ素子を形成することもできる。また、上述の通り、外部接続端子12などの必要がある場合、開口部を設けてもよい。
(工程9)
さらに、図12(i)に示すように、工程5で仮貼りしていたガラスキャリア14を取り外し、貫通電極18によって導通した第一面配線層11及び第二面配線層19を両面に形成した配線基板20を完成させる。なお、工程9の後に工程3の方法で、配線基板20の表裏にさらに配線層を複数層形成してもよい。工程9の後ではガラスキャリア14を取り外しているため、配線層の両面同時形成が可能となり、片面形成と比較して工程の短縮化が可能となる。また、工程9では、ガラス基板1表裏に配線層が形成されているため、配線基板20の機械的強度がガラス基板1のみと比較して向上し、回路など導電部を形成するときの搬送工程でのガラス割れの発生を抑制できる。また、配線基板20には外部接続端子12を形成することも可能であり、さらに、外部接続端子12にはんだボール21を形成することも可能である。
(工程10)
図12(j)に示すように、配線基板20の片面および両面に既存の実装技術を用いて半導体チップ22、チップ部品23を搭載し、高周波デバイス24を完成させる。
<第8実施形態>
次に、図13は、第8実施形態に係る配線基板の製造方法にかかる工程を示す図である。図13を参照して、第8実施形態を説明する。第8実施形態は、第3実施形態における工程1のレーザ改質工程をガラス基板1に支持体を張り付け後に行う点で異なっている。そのため、上述した第3実施形態に対して工程1と工程6のみが異なり、工程2~5、工程7~10(については共通するため、重複する説明は省略する。
(工程1)
厚さ130μmの無アルカリガラスを用意し、超音波洗浄などで表面の汚染物を除去してガラス基板1とする。その後、図13(a)に示すように、第一面と反対1b上に、仮貼り用の接着剤25を介してガラス基板固定用ガラスキャリア26を貼り合わせる。ガラス基板固定用ガラスキャリア26の厚さは、加工時の搬送性を鑑み0.7mm以上、10mm以下の範囲が望ましい。ガラス基板1の厚さによってガラス基板固定用ガラスキャリア26の厚さは適宜設定して構わない。また、支持体としてガラス基板固定用ガラスキャリア26を例示しているが、支持体はガラス製ではなくてもよく、金属製や樹脂製などでも良い。工程Xは、上述の工程1に対応しているが、工程1の開示内容は工程Xを限定するものではない。
(工程6)
図13(e)に示すように、ガラス基板1の第一面1aとは反対側の面1bからレーザを照射し、貫通孔の起点となるレーザ改質部2を形成する(工程A)。レーザ改質部2は、第一面の反対面1bから、例えば垂直方向に対向する面1aに向かって延在し、その端がガラス基板1を通過し、ガラス基板固定用ガラスキャリア26に留まるように、レーザ光量を調整する。使用するレーザについては、第1の実施形態と同様である。その後、上述のように第一面配線層を形成する工程(工程B)を実行する。
また図13(f)に示すように、工程1で仮貼りしていたガラス基板固定用ガラスキャリア26を取り外し(剥離除去し)、ガラス基板1を露出させる(工程Y)。次に第一面配線層11とは反対側のガラス基板1の面1bから、フッ化水素溶液でエッチングを行う(工程C)。ガラス基板1の面1bは、フッ化水素溶液によってエッチングされ、図13(g)に示すように、ガラス基板1の第一面1aと平行に薄板化される。フッ化水素溶液がレーザ改質部2に接触すると、レーザ改質部2が優先的に溶解され、貫通孔15が形成される。これによって、ガラス基板1は、貫通孔15の形成と共に薄板化する。すなわち、ガラス基板1の薄板化と貫通孔15の形成とが、一つのエッチング処理で行われる。薄板化したガラス基板1の下面が、第二面配線層が形成される第二面1b’となる。貫通孔15は、第二面1b’側の径(または断面積)が第一面1a側の径(または断面積)よりも大きい円錐台形状を有する。その後、上述のように貫通孔処理工程(工程D)と、貫通電極形成工程(工程E)を実行する。
また、貫通孔15の断面形状はレーザ改質部の改質位置やフッ化水素溶液の濃度や処理温度などのエッチング条件の変更により、図3のように、前述の第一面1a側の径が第二面1b’側の径よりも小さくなるような(a)V字型や、第一面1a側および前記第二面1b’側のどちらか一方に断面極大値を有し、ガラス基板1の厚さをTとしたときに、第一面1aからの距離が0.4T以上~0.6T以下の範囲に断面極小値を有するような(b)X字型、および第一面1a側および第二面1b’側のどちらか一方に断面極大値を有し、ガラス基板1の厚さをTとしたときに、第一面1aからの距離が0より大きく、0.2T以下の範囲に断面極小値を有するような(c)くびれ型の形状に制御することができ、任意に決定することができる。
ここで、ガラス基板固定用ガラスキャリア26にガラス基板1を形成してから、レーザ改質部を形成、フッ化水素溶液によるエッチング前にガラス基板固定用ガラスキャリア26を取り外すことにより、ガラス基板1のレーザ改質部2は深さ方向に対して全面に形成されるため、第1実施形態と比較して改質部の深さばらつきが低減される。そのため、フッ化水素溶液によるエッチング後に形成される貫通孔の径のばらつきが抑制され、加工精度が向上する。
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態を説明する。第9実施形態においては、上述した第7実施形態に対して工程7(工程D)のみが異なり、工程1~6、工程8~10については共通する。また、工程7は第2実施形態の工程7と一致する。そのため、重複する説明は省略する。
<第10実施形態>
次に、本発明の第10実施形態を説明する。第10実施形態においては、上述した第7実施形態に対して工程7(工程D)のみが異なり、工程1~6、工程8~10については共通する。また、工程7は第4実施形態の工程7と一致する。そのため、重複する説明は省略する。
<第11実施形態>
次に、本発明の第11実施形態を説明する。第11実施形態においては、上述した第8実施形態に対して工程7(工程D)のみが異なり、工程1~6、工程8~10については共通する。また、工程7は第2実施形態の工程7と一致する。そのため、重複する説明は省略する。
<第12実施形態>
次に、本発明の第11実施形態を説明する。第12実施形態においては、上述した第8実施形態に対して工程7(工程D)のみが異なり、工程1~6、工程8~10については共通する。また、工程7は第4実施形態の工程7と一致する。そのため、重複する説明は省略する。
(比較試験1)
本発明者らは、エッチング前における膜厚が500nmである耐フッ酸金属膜に対して、エッチング率を変えた場合における抵抗の低減率を、貫通電極の長さごとに求めた。その結果を、表1に示す。
Figure 2022151790000002
ここで、エッチング率とは、エッチング前の耐フッ酸金属膜の膜厚をAとし、エッチング後の耐フッ酸金属膜の平均膜厚をBとしたとき、(1-B/A)×100で表される値である。一方、抵抗低減率とは、エッチング率0%の時の、貫通電極を挟んだ第一面配線層と第二面配線層との間の電気抵抗値を100とした場合において、各エッチング率における電気抵抗値が低下した割合を負値で示したものである。
表1の結果によれば、貫通電極の長さに関わらず、エッチング率0%を超えて増大するにつれて、抵抗低減効果が高くなることがわかる。また、貫通電極の長さが短いほど、抵抗低減効果が高いことがわかる。
ただし、エッチング率が50%を下回ると、ガラスのエッチング残差が耐フッ酸金属膜に残存する恐れがある。このため、エッチングを行う場合には、エッチング率を50%以上とすることが望ましい。
図6に示す第1実施形態(または第3実施形態、第7実施形態、第8実施形態)は、図9に示す比較例と同様にエッチング率0%であるが、比較例は耐フッ酸金属膜にガラスのエッチング残差が残存するため、第1実施形態より電気抵抗値は高くなる。また、図8に示す第2実施形態(または第5実施形態、第9実施形態、第11実施形態)においては、エッチング率0%を超え、エッチング率100%未満である。ここで、ガラスのエッチング残差除去と、ウェットエッチング処理工程の工数低減と、抵抗低減率とのバランスを考慮する場合、エッチング率は70%~90%とすることが望ましい。
一方、図11に示す第4実施形態(または第6実施形態、第10実施形態、第12実施形態)においては、エッチング率100%となる。ドライエッチング処理工程の工数低減よりも抵抗低減率確保を優先する場合には、エッチング率100%とすることが望ましい。ただし、エッチング率100%とする場合、耐フッ酸金属膜の背面側にある銅被膜のダメージを極力抑えるため、ドライエッチング処理工程の時間などの適正条件については、シミュレーションや実験等で予め定めることが望ましい。
(比較試験2)
本発明者らは、エッチング前における膜厚が500nmである耐フッ酸金属膜に対して、エッチング率を変えた場合における、貫通孔15直上に形成したMIMキャパシタ、貫通電極18を配線の一部として使用したソレノイドコイルのQ値の変化率、上述のMIMキャパシタとソレノイドコイルを直列に接続して構成されたLCフィルタの共振周波数部のSパラメータ(S21)の変化率を求めた。ただし、貫通孔長を100μmとした。その結果を表2に示す。
Figure 2022151790000003
ここで、Q値増加率とは、エッチング率0%の時の、MIMキャパシタおよびソレノイドコイルのQ値を100とした場合において、各エッチング率におけるQ値が向上した割合を正値で示したものである。また、S21値低減率とは、エッチング率0%の時の、共振周波数でのLCフィルタのSパラメータ(S21)値を100とした場合において、各エッチング率におけるSパラメータ(S21)値が低下した割合を負値で示したものである。
表2の結果によれば、エッチング率0%を超えて増大するにつれて、MIMキャパシタおよびソレノイドコイルのQ値向上効果が高くなることがわかる。また、LCフィルタのSパラメータ(S21)値もエッチング率0%を超えて増大するにつれて、低下しており、急峻なフィルタ特性となっていることがわかる。
ただし、エッチング率が50%を下回ると、ガラスの残差が耐フッ酸金属膜に残存する恐れがある。このため、エッチング率を50%以上とすることが望ましい。
図6に示す比較例は、エッチング率0%である。これに対し、図8に示す第2実施形態(または第5実施形態、第9実施形態、第11実施形態)においては、エッチング率0%を超え、エッチング率100%未満である。ここで、ガラスの残差除去と、ウェットエッチング処理の工数低減と、抵抗低減率とのバランスを考慮する場合、エッチング率は70%~90%とすることが望ましい。
一方、図11に示す第4実施形態(または第6実施形態、第10実施形態、第12実施形態)においては、エッチング率100%となる。ウェットエッチング処理の工数低減よりも抵抗低減率確保を優先する場合には、エッチング率100%とすることが望ましい。ただし、エッチング率100%とする場合、耐フッ酸金属膜の背面側にある銅被膜のダメージを極力抑えるため、ウェットエッチング処理の処理液や時間などの適正条件については、シミュレーションや実験等で予め定めることが望ましい。
(実施例1と比較例1との比較)
本発明者らは、第1実施形態にかかる配線基板(実施例1)と、貫通孔の径を第一面側と第二面側とで略同じとした配線基板(比較例1)とを、それぞれ20個だけ準備した。実施例1と比較例1とは、貫通孔の形状のみが異なり、それ以外の製造工程及び構造を共通とした。
実施例1と比較例1とに対して、貫通電極の導通試験を行ったところ、比較例1において、導通不良が10%程度生じた。これに対し、実施例1では、導通不良を0.5%以下に抑えることができた。その理由は、実施例1では貫通孔が、第一面側において径が小さい円錐台形状であるため、例えばスパッタ法により貫通孔内にシード層を形成する際に、成膜材料の粒子が貫通孔の内周及び底部に付着しやすいからである。以上の結果より、貫通孔が円錐台形状である他の実施形態においても、導通不良を抑止する効果があることは明らかである。
(実施例2と比較例2との比較)
本発明者は、第1実施形態にかかる配線基板(実施例2)と、耐フッ酸金属膜3を用いることなくシード層4をガラス基板に直接密着させた配線基板(比較例2)とを、それぞれ20個だけ準備した。実施例2と比較例2とは、耐フッ酸金属膜の有無以外、製造工程及び構造を共通とした。
実施例2と比較例2とをクロスカット試験に供試し、シード層4の剥がれ率(n/100)を求めた。その結果、耐フッ酸金属膜3を有しない配線基板のうち、25%にシード層4の剥がれが確認された。一方、本実施形態では、シード層4の剥がれがなく(剥がれ率:0%)、耐フッ酸金属膜3がシード層4の剥がれ抑止に効果があることを確認できた。以上の結果より、他の実施形態においても、耐フッ酸金属膜3がシード層4の剥がれ抑止に効果があることは明らかである。
(実施例3、4との比較例3との比較)
本発明者らは、実施例3として第2実施形態の配線基板(エッチング率70%)と、実施例4として第4実施形態の配線基板(エッチング率100%)と、比較例3として図6の配線基板(エッチング率0%)とを、それぞれ50個準備し、これらを熱冷衝撃試験機に取り付けて、比較試験を行った。
かかる比較試験において、-40℃~+125℃の範囲で配線基板の雰囲気温度を変動させることを1サイクルとし、これを1000サイクル繰り返し、その後に貫通電極の導通確認を行った。その結果、比較例3の配線基板では30%の導通不良が生じたが、エッチング率70%の配線基板では導通不良は5%程度に抑えられた。その理由は、スパッタ法により貫通孔底部の成膜材料の付きまわり性が向上し、シード層16にボイドなどの欠陥が生じることを抑制でき、強いシード層16により耐フッ酸金属膜3とガラス基板1との分離を抑制できるからである。
さらに、エッチング率100%の配線基板では導通不良は2%程度に抑えられた。その理由は、エッチング率100%の配線基板の場合、エッチング率100%未満の配線基板に比べて、抵抗率が比較的高い耐フッ酸金属膜が完全に除去された状態でシード層が形成されるため、貫通孔部の表裏の接続部がすべて(ほぼ)同じ材料となり、貫通孔部の接続信頼性の向上および伝送特性、電気特性がより向上するからである。なお、その構造上の同一性より、実施例3の実験結果は第5実施形態、第9実施形態、第11実施形態にも適用され、実施例4の実験結果は第6実施形態、第10実施形態、第12実施形態にも適用されることは明らかである。
1・・・ガラス基板、
2・・・レーザ改質部、
3・・・耐フッ酸金属膜、
4・・・シード層、
5・・・銅層、
6・・・下電極、
7・・・誘電体、
8・・・上電極、
9・・・絶縁樹脂、
10・・・ソルダーレジスト、
11・・・第一面配線層、
12・・・外部接続端子、
13・・・接着剤、
14・・・ガラスキャリア、
15・・・貫通孔、
16・・・シード層、
17・・・銅層、
18・・・貫通電極、
19・・・第二面配線層、
20・・・配線基板、
21・・・はんだボール、
22・・・半導体チップ、
23・・・チップ部品、
24・・・高周波デバイス、
25・・・接着剤、
26・・・ガラス基板固定用ガラスキャリア、
27・・・配線、
GER・・・エッチング残差

Claims (21)

  1. ガラス基板の一方の面から他方の面に向かってレーザ光を照射して、レーザ改質部を形成する工程Aと、
    前記ガラス基板の第一面に耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層を形成する工程Bと、
    前記第一面とは反対側の面をエッチングすることにより、前記レーザ改質部に貫通孔を形成するとともに、前記ガラス基板の第一面に対向する第二面を形成する工程Cと、
    前記耐フッ酸金属膜に付着したガラスのエッチング残差を除去する貫通孔処理工程Dと、
    前記貫通孔に貫通電極を形成する工程Eと、
    を有する、
    ことを特徴とする配線基板の製造方法。
  2. ガラス基板を支持体に接合する工程Xと、
    前記ガラス基板と前記支持体双方の一方の面から他方の面に向かってレーザ光を照射して、レーザ改質部を形成する工程Aと、
    前記ガラス基板の第一面に耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層を形成する工程Bと、
    前記支持体を剥離除去する工程Yと、
    前記第一面とは反対側の面をエッチングすることにより、前記レーザ改質部に貫通孔を形成するとともに、前記ガラス基板の第一面に対向する第二面を形成する工程Cと、
    前記耐フッ酸金属膜に付着したガラスのエッチング残差を除去する貫通孔処理工程Dと、
    前記貫通孔に貫通電極を形成する工程Eと、を有する、
    ことを特徴とする配線基板の製造方法。
  3. 前記貫通孔処理工程Dにおいて、前記ガラスのエッチング残差に対してプラズマ処理を行う、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板の製造方法。
  4. 前記貫通孔処理工程Dにおいて、ドライエッチング処理により前記耐フッ酸金属膜に付着した前記ガラスのエッチング残差を除去するとともに、前記耐フッ酸金属膜の一部を除去する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板の製造方法。
  5. 前記貫通孔処理工程Dにおいて、ドライエッチング処理により前記耐フッ酸金属膜に付着した前記ガラスのエッチング残差を除去するとともに、貫通した開口が形成されるまで前記耐フッ酸金属膜を除去する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板の製造方法。
  6. 前記工程Aを前記工程Bの前に実行する、
    ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
  7. 前記工程Bを前記工程Aの前に実行する、
    ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
  8. 前記工程Bの後であって前記工程Cの前に、前記第一面配線層にキャリアを貼り付ける、
    ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
  9. 前記貫通孔処理工程Dにおいて、前記貫通孔にスパッタ法にてシード層を形成する、
    ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
  10. ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層と、
    前記ガラス基板の第一面に対向する第二面に形成された第二面配線層と、
    前記第一面と前記第二面とを連通する貫通孔と、
    前記耐フッ酸金属膜に向かう前記貫通孔内に形成され、前記第一面配線層と前記第二面配線層とを接続する貫通電極と、を有し、
    前記耐フッ酸金属膜は、前記貫通孔から前記第一面に対して垂直方向にエッチングされている、
    ことを特徴とする配線基板。
  11. ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む下部電極および前記下部電極上に形成された誘電体層と前記誘電体層上に形成された上部電極を含むMIMコンデンサと、
    前記ガラス基板の第一面に対向する第二面に形成された第二面配線層と、
    前記第一面と前記第二面とを連通する貫通孔と、
    前記耐フッ酸金属膜に向かう前記貫通孔内に形成され、前記下部電極と前記第二面配線層とを接続する貫通電極と、を有し、
    前記耐フッ酸金属膜は、前記貫通孔から前記第一面に対して垂直方向にエッチングされている、
    ことを特徴とする配線基板。
  12. ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層と、
    前記ガラス基板の第一面に対向する第二面に形成された第二面配線層と、
    前記第一面と前記第二面とを連通する貫通孔と、
    前記耐フッ酸金属膜に向かう前記貫通孔内に形成され、前記第一面配線層と前記第二面配線層とを接続する貫通電極と、を有し、前記第一面配線層と前記貫通電極と前記第二面配線層でソレノイドコイルが形成され、
    前記耐フッ酸金属膜は、前記貫通孔から前記第一面に対して垂直方向にエッチングされている、
    ことを特徴とする配線基板。
  13. ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層と下部電極および前記下部電極上に形成された誘電体層と前記誘電体層上に形成された上部電極を含むMIMコンデンサと、
    前記ガラス基板の第一面に対向する第二面に形成された第二面配線層と、
    前記第一面と前記第二面とを連通する貫通孔と、
    前記耐フッ酸金属膜に向かう前記貫通孔内に形成され、前記第一面配線層又は前記下部電極と前記第二面配線層とを接続する貫通電極と、を有し、前記第一面配線層と前記貫通電極と前記第二面配線層でソレノイドコイルが形成され、前記MIMコンデンサと前記ソレノイドコイルでLCフィルタが形成され、
    前記耐フッ酸金属膜は、前記貫通孔から前記第一面に対して垂直方向にエッチングされている、
    ことを特徴とする配線基板。
  14. ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層と、
    前記ガラス基板の第一面に対向する第二面に形成された第二面配線層と、
    前記第一面と前記第二面とを連通する貫通孔と、
    前記耐フッ酸金属膜に向かう前記貫通孔内に形成され、前記第一面配線層と前記第二面配線層とを接続する貫通電極と、を有し、
    前記耐フッ酸金属膜は、前記貫通孔から前記第一面に対して垂直方向にエッチングされており、前記貫通孔内は前記貫通電極のみで構成されている
    ことを特徴とする配線基板。
  15. ガラス基板の第一面に形成された耐フッ酸金属膜と銅層とを含む第一面配線層と、
    前記ガラス基板の第一面に対向する第二面に形成された第二面配線層と、
    前記第一面と前記第二面とを連通する貫通孔と、
    前記耐フッ酸金属膜に向かう前記貫通孔内に形成され、前記第一面配線層と前記第二面配線層とを接続する貫通電極と、を有し、
    前記耐フッ酸金属膜は、前記貫通孔から前記第一面に対して垂直方向にエッチングされており、前記貫通孔内は前記貫通電極および前記貫通孔内に充填された絶縁樹脂で構成されている
    ことを特徴とする配線基板。
  16. 前記貫通電極は前記耐フッ酸金属膜を貫通していない、
    ことを特徴とする請求項10~15のいずれか一項に記載の配線基板。
  17. 前記貫通電極は前記耐フッ酸金属膜を貫通して、前記銅層に接続されている、
    ことを特徴とする請求項10~15のいずれか一項に記載の配線基板。
  18. 前記貫通孔は、前記第一面側の径が第二面側の径よりも小さい、
    ことを特徴とする請求項10~17のいずれか一項に記載の配線基板。
  19. 前記貫通孔は、前記第一面側および前記第二面側のどちらか一方に断面極大値を有し、前記ガラス基板の厚さをTとしたとき、前記第一面からの距離が0.4T以上~0.6T以下の範囲に断面極小値を有する、
    ことを特徴とする請求項10~17のいずれか一項に記載の配線基板。
  20. 前記貫通孔は、前記第一面側および前記第二面側のどちらか一方に断面極大値を有し、前記ガラス基板の厚さをTとしたとき、前記第一面からの距離が0より大きく、0.2T以下の範囲に断面極小値を有する、
    ことを特徴とする請求項10~17のいずれか一項に記載の配線基板。
  21. 前記耐フッ酸金属膜は、クロム、ニッケル、ニッケルクロムの少なくとも一つからなる、
    ことを特徴とする請求項10~20のいずれか一項に記載の配線基板。
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