JP2022151684A - スラリー組成物、電極、ならびにそれを含む二次電池および電気二重層キャパシタ - Google Patents

スラリー組成物、電極、ならびにそれを含む二次電池および電気二重層キャパシタ Download PDF

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Abstract

【課題】長期の充放電においても高い容量維持率を得ることが可能なリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタを提供すること。【解決手段】(a)バインダー、(b)溶媒および(c)フィラーを含むスラリー組成物であって、(a)バインダーが、一般式(1)で表される構造単位と、一般式(2)~(4)で表される構造単位のうち少なくとも1種と、を含み、一般式(1)~(4)で表される構造単位の合計を100モル%としたとき、一般式(1)で表される構造単位を0.3~15モル%含有するバインダーであり、(c)フィラーが、シリコン、ゲルマニウムおよびスズからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含むフィラーである、スラリー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、スラリー組成物、電極、ならびにそれを含む二次電池および電気二重層キャパシタに関するものである。
近年、ノート型パーソナルコンピューターや小型携帯端末の爆発的な普及に伴って、充電可能で、小型、軽量、高容量、高エネルギー密度であり、かつ高信頼性を有する二次電池への要求が強まっている。
また自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発も盛んに行われている。
特に、電池の中で最も高い理論エネルギーを有すると言われるリチウムイオン電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。現在広く使われているリチウムイオン電池は、正極と負極とがセパレーターおよび電解質層を介して接続され、密封された構成を有している。正極には、コバルト酸リチウムのようなリチウムを含む複合酸化物からなる正極活物質と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのバインダーとを含むペーストがアルミ箔上に塗布されてなる部材が用いられている。また、負極には、炭素系の活物質のようなリチウムイオン吸蔵放出可能な負極活物質と、PVDFやスチレン・ブタジエン・ゴム(SBR)などのバインダーとを含むペーストが銅箔上に塗布されてなる部材が用いられている。
リチウムイオン電池の性能を向上させるため、種々の改良が検討されている。例えば、リチウムイオン電池の容量をさらに大きくするために、負極活物質として、シリコン、ゲルマニウムまたはスズを用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、電池の充放電を繰り返した際の容量劣化を抑制するため、バインダーとして、特定のポリアミドイミド樹脂を用いることが提案されている(例えば、特許文献2~3参照)。
特開2009-199761号公報 特開2001-68115号公報 国際公開第2017/099172号
特許文献1に記載されているような、シリコン、ゲルマニウム、スズなどを用いた負極活物質は、十分に充電が行われたときと十分に放電が行われた時の体積の変化が大きい。そこで、活物質の体積変化に追随できるバインダー樹脂が必要となる。しかしなら、特許文献1に記載されているカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩では、樹脂の強度が未だ不足しており充放電サイクルにおいて十分な容量維持率を得ることができないという問題があった。
特許文献2に記載されている技術は銅箔との接着性を向上させるという点で有用であり、容量の低い炭素100%の負極には適用できるが、高容量のシリコン負極においては十分な容量維持率を得ることができないという問題があった。
特許文献3に記載されている技術では、長期における負極の劣化を抑えることが不十分であり、長期の容量維持率の向上の点で課題があった。
そこで本発明は、長期の充放電においても高い容量維持率を得ることが可能なリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、(a)バインダー、(b)溶媒および(c)フィラーを含むスラリー組成物であって、(a)バインダーが、下記一般式(1)で表される構造単位と、一般式(2)~(4)で表される構造単位のうち少なくとも1種と、を含み、一般式(1)~(4)で表される構造単位の合計を100モル%としたとき、一般式(1)で表される構造単位を1~15モル%含有するバインダーであり、(c)フィラーが、シリコン、ゲルマニウムおよびスズからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含むフィラー(以下、「(c1)フィラー」と称する場合がある。)である、スラリー組成物である。
Figure 2022151684000001
(一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1~6の2価の有機基を示す。R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示す。RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数4~50の3価の有機基を示す。Rは炭素数2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(5)で表される構造を含まない。nは1~7の整数を表す。)
Figure 2022151684000002
(一般式(2)中、R10は炭素数2~50の2価の有機基を示す。R13は炭素数4~50の4価の有機基を示す。)
Figure 2022151684000003
(一般式(3)中、R11は炭素数2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(5)で表される構造を含まない。R14は炭素数4~50の3価の有機基を示す。)
Figure 2022151684000004
(一般式(4)中、R12は炭素数2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(5)で表される構造を含まない。R15は2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(6)で表される構造を含まない。)
Figure 2022151684000005
(一般式(5)中、R16およびR17は、それぞれ独立に、炭素数1~6の2価の有機基を示す。R18~R21は、それぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示す。nは1~7の整数を表す。)
Figure 2022151684000006
(一般式(6)中、R22、R23は炭素数1~6の2価の有機基を示す。R24~R27は炭素数1~12の1価の有機基を示す。R28、R29は炭素数4~50の3価の有機基を示す。nは1~7の整数を表す。)
本発明のスラリー組成物をリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタの電極材料として用いることで、電池の繰り返し充放電による活物質の剥がれ、クラック、欠損を抑え、長期の充放電においても高い容量維持率を得ることが可能となる。
本発明のスラリー組成物は、(a)バインダー、(b)溶媒および(c)フィラーを含むスラリー組成物であって、(a)バインダーが、下記一般式(1)で表される構造単位と、一般式(2)~(4)で表される構造単位のうち少なくとも1種と、を含み、一般式(1)~(4)で表される構造単位の合計を100モル%としたとき、一般式(1)で表される構造単位を1~15モル%含有するバインダーであり、(c)フィラーが、シリコン、ゲルマニウムおよびスズからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含むフィラーである、スラリー組成物である。
Figure 2022151684000007
一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1~6の2価の有機基を示す。R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示す。RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数4~50の3価の有機基を示す。Rは炭素数2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(5)で表される構造を含まない。nは1~7の整数を表す。
Figure 2022151684000008
一般式(2)中、R10は炭素数2~50の2価の有機基を示す。R13は炭素数4~50の4価の有機基を示す。
Figure 2022151684000009
一般式(3)中、R11は炭素数2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(5)で表される構造を含まない。R14は炭素数4~50の3価の有機基を示す。
Figure 2022151684000010
一般式(4)中、R12は炭素数2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(5)で表される構造を含まない。R15は2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(6)で表される構造を含まない。
Figure 2022151684000011
一般式(5)中、R16およびR17は、それぞれ独立に、炭素数1~6の2価の有機基を示す。R18~R21は、それぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示す。nは1~7の整数を表す。
Figure 2022151684000012
一般式(6)中、R22、R23は炭素数1~6の2価の有機基を示す。R24~R27は炭素数1~12の1価の有機基を示す。R28、R29は炭素数4~50の3価の有機基を示す。nは1~7の整数を表す。
((a)バインダー)
本発明における(a)バインダーは樹脂であり、上記のとおり、一般式(1)で表される構造単位と、一般式(2)~(4)で表される構造単位のうち少なくとも1種と、を含み、一般式(1)~(4)で表される構造単位の合計を100モル%としたとき、一般式(1)で表される構造単位を1~15モル%含有するものである。
一般式(1)中、RおよびRは、樹脂の耐熱性の観点から炭素数1~3のアルキレン基であることが好ましい。RおよびRの好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基およびイソプロピレン基である。
~Rは、樹脂の耐熱性の観点から、炭素数1~6のアルキル基、シクロアルキル基またはフェニル基であることが好ましい。R~Rの好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基およびシクロヘキシル基であり、より好ましい具体例はメチル基およびフェニル基であり、最も好ましい具体例はメチル基である。
およびRはトリカルボン酸残基を表す。トリカルボン酸残基を与える酸成分としては、トリメリット酸、トリメシン酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸などを挙げることができるがこれらに限定されない。これらの酸は、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
は1~7の整数を表す。本発明に用いられる(c)フィラーとの分散性の観点から、nは好ましくは5~7の整数であり、より好ましくは5である。
はジアミン残基を表す。ジアミン残基を与えるアミン成分としては、3,5-ジアミノ安息香酸、3-カルボキシ-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルなどのカルボキシル基含有ジアミン、3-スルホン酸-4,4’-ジアミノジフェニルエーテルなどのスルホン酸含有ジアミン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)フルオレン、などのヒドロキシル基含有ジアミン、または、それらのヒドロキシル基がチオール基、アミノ基、カルボキシル基に置き換えられたアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’-ジアミノジフェニルスルヒド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、1,5-ナフタレンジアミン、2,6-ナフタレンジアミン、ビス(4-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3-アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’-テトラメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジ(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、あるいはこれらの芳香族環の水素原子の一部をアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、シクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンなどの脂肪族ジアミンなどを挙げることができるがこれらに限定されない。これらのアミンは、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
一般式(1)で表される構造単位は、シリコンと相互作用するシロキサン構造の両側を剛直で極性の高いイミド骨格で挟み込み、さらにその両側を、金属と相互作用するアミド構造とするものである。このような特定の構造単位を用いることで、(a)バインダー、と(c1)フィラーとの分散性が優れる。そのため、一般式(1)で表される構造単位が(a)バインダーの中に含まれることで、膨張・収縮の大きな負極活物質の充放電中の剥がれ、クラック、欠損が抑制され、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタの容量維持率が向上する。
一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂は、例えば、シロキサン骨格を有するジアミン1モルに対して、トリメリット酸2モルを加え、200℃以上に加熱することでジカルボン酸として得たものを、ジアミン化合物やジイソシアネート化合物などと縮合させて得ることができる。このとき、ジカルボン酸の構造で一旦単離して、縮合反応に使用しても良いし、ジカルボン酸を合成した反応液にジアミン化合物やジイソシアネート化合物などを後から添加して縮合反応を連続して行ってもよい。
一般式(1)~(4)で表される構造単位の合計を100モル%としたとき、一般式(1)で表される構造単位の含有量は、0.3~15モル%であり、1~15モル%であることが好ましく、3~7モル%であることがより好ましい。この範囲にあることで、(c1)フィラーとの分散性が良好であり、高強度、高伸度を有するバインダーを得ることができる。
一般式(2)~(4)中、R10、R11およびR12はジアミン残基を表す。ジアミン残基を与えるアミン成分としては、Rと同様のものを挙げることができる。
(a)バインダーに含まれる一般式(1)~(4)で表される構造単位において、R、R10、R11およびR12のうち少なくとも1つは、当該R、R10、R11およびR12の各全量を100モル%としたときに、そのうち10モル%以上が一般式(7)で表される構造であり、かつ、当該R、R10、R11およびR12の合計量を100モル%としたときに、そのうちの30~70モル%、より好ましくは50~70モル%が一般式(7)で表される構造であることが好ましい。これらの構造単位がこの範囲の量で含まれることで、(a)バインダーがより高強度、高伸度のバインダーとなり、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタの容量維持率がより向上する。
Figure 2022151684000013
一般式(7)中、R30およびR31は、それぞれ独立に、ハロゲン原子または炭素数1~3の1価の有機基を示す。bおよびbは0~4の整数である。
(a)バインダーの強度をより高める点で、R30およびR31は、フッ素原子、炭素数1~3のアルキル基またはフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基またはフルオロアルキル基がより好ましい。また、(a)バインダーの溶媒への可溶性と高強度の両立という点で、bおよびbは好ましくは1または2である。さらに、(a)バインダーの強度をより高める点で、R30、R31はポリマー主鎖に対してオルソ位に結合していることが好ましい。
また、(a)バインダーの強度をより高める点で、一般式(7)中の2つのベンゼン環はパラ結合で連結されていることが特に好ましい。具体的には下記に示す構造のものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2022151684000014
(a)バインダーに含まれる一般式(1)~(4)で表される構造単位において、R、R10、R11およびR12のうち少なくとも1つは、当該R、R10、R11およびR12の各全量を100モル%としたときに、そのうち10モル%以上が一般式(9)で表される構造であり、かつ、当該R、R10、R11およびR12の合計量を100モル%としたときに、そのうちの20~40モル%、より好ましくは25~35モル%が一般式(9)で表される構造であることが好ましい。これらの構造単位がこの範囲の量で含まれることで、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタの充放電後の電極のクラック、欠損、基板からの剥がれが抑止され、容量維持率がより向上する。
Figure 2022151684000015
一般式(9)中、R33は、それぞれ独立に、ハロゲン原子または炭素数1~3の1価の有機基を示す。bは0~4の整数である。
(a)バインダーの強度をより高める点で、R33は、フッ素原子、炭素数1~3のアルキル基またはフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基またはフルオロアルキル基より好ましい。また、(a)バインダーの溶媒への可溶性と高強度の両立という点で、bは好ましくは1または2である。さらに、(a)バインダーの強度をより高める点で、R33はポリマー主鎖に対してオルソ位に結合していることが最も好ましい。
また、(a)バインダーの強度をより高める点で、一般式(9)中の2つのベンゼン環はメタ結合で連結されていることが特に好ましい。具体的には下記に示す構造のものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2022151684000016
これらのジアミンは、そのまま、あるいは対応するジイソシアネート化合物やトリメチルシリル化ジアミンとして使用することもできる。副生される水分がないという点で、ジイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
一般式(2)において、加熱処理後の被膜のシリコン系基板、ガラス基板との接着性を向上させるため、または洗浄などに用いられる酸素プラズマ、UVオゾン処理に対する耐性を高めるために、耐熱性を低下させない範囲で、R10にシロキサン構造が含まれていてもよい。そのような構造を与える具体例としては、ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p-アミノ-フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどが挙げられ、これらのジアミンを共重合成分として用いることができる。シロキサン構造を含むジアミンの残基であるようなR10の含有量は、R、R10、R11およびR12の合計を100モル%としたとき、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましく、2モル%以下がさらに好ましく、0.5モル%以下が特に好ましい。
また、一般式(1)、(3)および(4)において、R、R11およびR12は上記一般式(5)で表されるシロキサン構造を含まない。R、R11およびR12がこの構造を含んでいると、両端がイミドで挟まれていないシロキサン成分が増加し、一般式(1)の構造の効果が著しく妨げられる。
一般式(1)~(4)において、加熱処理後の被膜の金属基板との接着性を向上させるため、耐熱性を低下させない範囲で、R、R10、R11およびR12にポリアルキレンオキサイド基を有する脂肪族構造が含まれていてもよい。そのような構造を与えるジアミンの具体例として、ジェファーミン(登録商標)KH-511、ジェファーミンED-600、ジェファーミンED-900、ジェファーミンED-2003、ジェファーミンEDR-148、ジェファーミンEDR-176、ジェファーミンD-200、ジェファーミンD-400、ジェファーミンD-2000、ジェファーミンD-4000(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)などのジアミンがあげられ、これらのジアミンを共重合成分として用いることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。上記ジアミンの残基であるようなR10の含有量は、R、R10、R11およびR12の合計の1~30モル%が好ましい。
一般式(2)中、R13はテトラカルボン酸残基を表す。テトラカルボン酸残基を与える酸成分としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸や、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1.]ヘプタンテトラカルボン酸、ビシクロ[3.3.1.]テトラカルボン酸、ビシクロ[3.1.1.]ヘプト-2-エンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2.]オクタンテトラカルボン酸、アダマタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸などを挙げることができるがこれらに限定されない。これらの酸は、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
一般式(3)中、R14はトリカルボン酸残基を表す。トリカルボン酸残基を与える酸成分としては、R、Rと同様のものを挙げることができる。
一般式(4)中、R15はジカルボン酸残基を表す。ジカルボン酸残基を与える酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,2‘-ビス(4-カルボキシ)ヘキサフルオロプロパン、2,2‘-ビス(4-カルボキシ)プロパン、ジフェニルケトンジカルボン酸などを挙げることができるが、これらに限定されない。より好ましい具体例としては、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。これらの酸は、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
また、一般式(4)において、R15が上記一般式(6)で表されるシロキサン構造を含んでいる場合、一般式(4)と一般式(1)は実質同じ構造を示すことになるため、R15は一般式(6)で表されるシロキサン構造を含まないものとする。
(a)バインダーは、一般式(1)~(4)で表される構造単位の合計を100モル%としたとき、一般式(4)で表される構造単位を20~50モル%、より好ましくは25~35モル%含有し、一般式(4)中、R15が一般式(8)で表される構造であることが好ましい。一般式(4)で表される構造単位がこの範囲の量で含まれることで、(a)バインダーがより高強度、高伸度のバインダーとなり、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタの容量維持率がより向上する。
Figure 2022151684000017
一般式(8)中、R32は、それぞれ独立に、ハロゲン原子または炭素数1~3の1価の有機基を示す。bは0~4の整数である。
(a)バインダーの強度をより高める点で、R32は、フッ素原子、炭素数1~3のアルキル基またはフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基またはフルオロアルキル基がより好ましい。また、(a)バインダーの強度をより高める点で、bは好ましくは0である。
(a)バインダーとして用いられる樹脂は、例えば下記に挙げた方法で合成されるが、これらに限定されない。すなわち、ジアミンを、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、ガンマブチロラクトン(GBL)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの溶媒に溶解し、テトラカルボン酸無水物、トリカルボン酸無水物またはその誘導体、ジカルボン酸またはその誘導体などを添加して反応させる方法が一般的である。反応温度は-20℃~250℃が一般的であるが、ポリイミド構造、ポリアミドイミド構造に関しては、加熱による脱水閉環が必要であるため、150℃~200℃が好ましい。反応時間は1分間~100時間が一般的であり、2時間~24時間が好ましい。反応中は窒素を流すなどして水分が系内に入らないようにすることが好ましい。
さらに、ジアミン化合物のアミノ基をイソシアネート基に置き換えたジイソシアネート化合物を、テトラカルボン酸二無水物、トリカルボン酸無水物、ジカルボン酸と、場合によってはスズ系触媒や塩基触媒の存在下に室温~200℃の温度範囲で1分~24時間反応させることで得ることもできる。この方法は副生される水分がないという点でより好ましい方法と言える。
また、本発明に用いられる樹脂は、重合終了後にメタノールや水など、樹脂に対する貧溶媒中にて沈殿化した後、洗浄、乾燥して得ても良い。再沈することで、重合時に用いたエステル化剤、縮合剤、および、酸クロライドによる副生成物や、樹脂前駆体の低分子量成分などが除去できるため、耐熱性が向上する利点がある。
(b)溶媒
本発明に好ましく用いられる(b)溶媒の具体例としては、エチレングリゴールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノ-ル、4-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトンなどが挙げられる。これらは単独あるいは混合して用いることができる。
(c)フィラー
本発明のスラリー組成物は、(c)フィラーとして、(c1)フィラー、すなわち、シリコン、ゲルマニウムおよびスズからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含むフィラーを含む。これらの元素は、(c1)フィラー中に5重量%以上含まれていることが好ましい。
シリコンを含む物質としては、例えば、(1)シリコン微粒子、(2)スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群より選ばれる金属の1種以上と、シリコンとの合金、(3)ホウ素、窒素、酸素および炭素からなる群より選ばれる元素の1種以上とシリコンとの化合物、および(4)(3)にさらに(2)に例示した金属を有するものなどが挙げられる。
(2)~(4)に示す物質の一例としては、SiB、SiB、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiN2O、SiOv(0<v≦2)あるいはLiSiOなどが挙げられる。
ゲルマニウムを含む物質としては、シリコンやスズとゲルマニウムとの合金などが挙げられる。スズを含む物質としては、SnOw(0<w≦2)、SnSiO、LiSnOあるいはMgSnなどが挙げられる。
フィラーの粒度分布におけるメディアン径(d50)は0.01~20μmが好ましい。充放電中の電極の欠損を抑え、高い容量維持率を維持する観点で、好ましくは1~10μmである。
また、フィラーの表面には、シランカップリング剤などによる処理が施されていてもよい。
充放電中の欠損を抑え、高い容量維持率を維持する観点で、本発明のスラリー組成物において、(a)バインダーの含有量は、(c)フィラー100重量部に対して1重量部以上が好ましく、3重量部以上がより好ましく、5重量部以上がより好ましい。また、電気抵抗を低減し、フィラーの充填量を増加させるためには20重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましく、12重量部以下が最も好ましい。
(その他の成分)
電気抵抗を低下させるために、本発明のスラリー組成物に、グラファイト、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、アセチレンブラックなどの導電性粒子を含有してもよい。これらの含有量は、負極活物質100重量部に対して0.1重量部以上20重量部以下が好ましい。
本発明のスラリー組成物は熱架橋剤を含有してもよい。熱架橋剤としては、メチロール化合物、メトキシメチロール化合物、ウレア化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物など、いずれの化合物でも好ましく用いることができる。とくに、膜物性向上の点でメトキシメチロール化合物が好ましく用いられる。
熱架橋剤の含有量は、(a)バインダー100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは3重量部以上であり、一方、好ましくは50重量部以下、より好ましくは40重量部以下である。この範囲にあると組成物の耐薬品性が向上するという利点がある。
本発明のスラリー組成物は、加熱処理後の被膜の、シリコン、窒化シリコン、酸化シリコンおよびリンシリケートガラスなどのシリコン系基板や、ITO基板との接着性をより高めるために、あるいは、洗浄などに用いられる酸素プラズマ、UVオゾン処理に対する耐性を高めるために、接着改良剤を含有することができる。接着改良剤としては、シランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミキレート剤などが挙げられる。好ましいシランカップリング剤の具体例としてはNN-フェニルアミノエチルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノエチルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノブチルトリメトキシシラン、N-フェニルアミノブチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
これら接着改良剤の含有量は、(a)バインダー100重量部に対して、0.01~15重量部が好ましい。
本発明のスラリー組成物は、界面活性剤を含有してもよく、基板との塗れ性を向上させることができる。界面活性剤としては、フロラード(商品名、住友3M(株)製)、メガファック(商品名、DIC(株)製)、スルフロン(商品名、旭硝子(株)製)などのフッ素系界面活性剤、KP341(商品名、信越化学工業(株)製)、DBE(商品名、チッソ(株)製)、グラノール(商品名、共栄社化学(株)製)、BYK(ビック・ケミー(株)製)などの有機シロキサン界面活性剤、ポリフロー(商品名、共栄社化学(株)製)などのアクリル重合物界面活性剤などが挙げられる。
(スラリー組成物の製造方法)
本発明のスラリー組成物は、(a)バインダー、(b)溶剤、(c)フィラーおよび必要に応じその他添加剤を、混合または混練することにより得ることができる。混合の場合は、上記各成分をガラス製のフラスコやステンレス製の容器等に入れて、メカニカルスターラーなどによって撹拌溶解させる方法、超音波で溶解させる方法、遊星式撹拌脱泡装置で撹拌溶解させる方法などが挙げられる。混練の場合は、プラネタリーミキサー、三本ロール、ボールミル、ホモジナイザーなどを用いて、上記各成分を混練する方法が挙げられる。混合・混練の条件については特に限定されない。
また、異物を除去するために、混合または混練後のスラリーを0.01μm~100μmのポアサイズのフィルターで濾過してもよい。このとき、フィラーの粒子径より大きな孔径の濾過フィルターを用いることが好ましい。濾過フィルターの材質には、SUS、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(NY)、ポリテトラフルオロエチエレン(PTFE)などがあるが、ポリエチレンやナイロンが好ましい。
(電極)
本発明の電極は、導電性基材または導電性の配線を有する絶縁基材の少なくとも片面に(a)バインダーおよび(c)フィラーを含む層を有する電極である。ここで、(a)バインダーおよび(c)フィラーについては、既に詳細に説明した通りである。この電極は、二次電池や電気二重層キャパシタにおける電極として利用できる。
このような電極は、例えば、本発明のスラリー組成物を、導電性基材や、導電性の配線が形成された絶縁性基材の少なくとも片面に塗布し、乾燥させることで作製できる。導電性基材、配線として好ましいのは、銅、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、金、銀やそれらの合金、カーボンなどであるが、これらに限定されない。特に、銅、アルミニウム、金、ニッケルおよびそれらのうちの2種以上を含んだ合金がより好ましい。絶縁性基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミド、ポリアミドイミド、エポキシといった有機物からなる基材や、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化チタン、酸化チタンおよび、それらが塗布面に形成された基材などが挙げられるが、これらに限定されない。
電極の作製方法は、詳細には例えば以下の通りである。まず、本発明のスラリー組成物を基材上に塗布する。塗布方法としてはロールコーター、スリットダイコーター、バーコーター、コンマコーター、スピンコーターなどを用いる方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が0.1~150μmであることが好ましい。
次に塗布した基板を乾燥して、樹脂組成物被膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、50℃~200℃の範囲で1分間~数時間行うことが好ましい。
耐熱性をさらに向上させるため、現像後に150℃~500℃の温度でキュアしても良い。高温の加熱やその繰り返しにより、素子の電気特性が変化する恐れや、基板の反りが大きくなる恐れがある場合は、加熱処理は250℃以下で行われることが好ましい。特に、一般式(1)~(4)で表される構造単位を含む樹脂は既に環状構造を有しているため、加熱処理温度を高温にして脱水閉環する必要がない。そのため、200℃以下の低温処理が可能である。
次に、本発明の電極を用いた二次電池および電気二重層キャパシタについて説明する。二次電池および電気二重層キャパシタは、正極および負極をセパレーターを介して複数積層させたものを、電解液と共に金属ケースなどの外装材に入れ、密封することで得ることができる。このとき、二次電池については負極に、電気二重層キャパシタについては正極および負極の少なくとも1つに、本発明の電極を使用する。
セパレーターの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンや、セルロース、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリイミドなどの微多孔フィルムや不織布などが挙げられる。耐熱性を上げるために、セパレーターの表面にセラミックなどのコーティングをしてもよい。
電解液に用いる溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動することができる媒質の役割を果たす。好ましい溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、非陽子性溶媒を挙げることができる。
電解液に用いる電解質の例としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ホウフッ化リチウム、過塩素酸リチウムなどのリチウム塩、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどのアンモニウム塩などが挙げられる。
以下、実施例等をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例中の組成物の評価は以下の方法により行った。
1)スラリー組成物に使用するバインダー溶液A~Uの膜物性(強度、伸度)の測定方法
バインダー溶液を8インチのシリコンウエハ上に回転塗布し、次いで、120℃のホットプレート(東京エレクトロン(株)製の塗布現像装置Act-8使用)で3分間ベークし、樹脂膜を得た。
この樹脂膜をイナートオーブンCLH-21CD-S(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下で5℃/分で200℃まで昇温し、200℃で1時間加熱処理を行なった後、5℃/minで50℃まで冷却した。続いてフッ酸に1~4分間浸漬して膜を基板から剥離し、風乾して加熱処理後の被膜を得た。回転塗布時の回転数は加熱処理後の樹脂膜厚が10μmになるよう調整した。
加熱処理後の被膜について、幅1cm、長さ約9cmの短冊状にカットしたものを、膜物性(強度および伸度)測定用試料とした。測定には“テンシロン”(RTM-100;オリエンテック製)を用い、強度、伸度については測定結果から上位5点の平均値を求めた。
2)スラリー組成物に使用するバインダー溶液E~I、L~Oのシリコンとの密着性
8インチのシリコンウエハ上に樹バインダー溶液を回転塗布し、次いで、120℃のホットプレート(東京エレクトロン(株)製の塗布現像装置Act-8使用)で3分間ベークし樹脂膜を得た。この樹脂膜をイナートオーブンCLH-21CD-S(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下で5℃/分で200℃まで昇温し、200℃で1時間加熱処理を行なった後、5℃/minで50℃まで冷却した。回転塗布時の回転数は加熱処理後の樹脂膜厚が10μmになるよう調整した。
加熱処理後の被膜について、121℃、2気圧の飽和条件にて400時間加熱加湿処理した後に、2mm間隔で10行10列の碁盤目状の切り込みをいれ、“セロテープ”(登録商標)による引き剥がしによって100マスのうち何マス残ったかでシリコンとの密着性の評価を行った。
3)スラリー組成物A~Uの分散安定性評価
スラリー組成物A~U調製直後、および、室温で7日放置後の分散性を以下の基準で目視評価した。
A:全体が均質なペースト状であり、液状分離がなく、かつ、凝集物も認められない。
B:全体は略均質なペースト状であり、僅かな液状分離が認められるが、凝集物は認められない。
C:容器底部に少量の凝集物と、やや多くの液状分離とが認められる。
D:容器底部に粘土状の凝集物が多数認められ、液状分離も多く認められる。
4)容量維持率
本発明のスラリー組成物A~Uを用いて以下の手順に従い行った。
a)負極の作製
スラリー組成物A~Uを、電解銅箔上にドクターブレードを用いて塗布し、110℃ で30分間乾燥させ、ロールプレス機によりプレスして電極とした。さらに、この電極の塗布部を直径16mmの円形に打ち抜き、200℃、24時間の真空乾燥を行い、負極を作製した。
b)電極特性評価
充放電特性を測定する上では、HSセル(宝泉(株)製)を用い、リチウムイオン電池の組み立ては窒素雰囲気下でおこなった。セル内に、作製した負極を直径16mmの円形に打ち抜いたもの、セパレーターとなる多孔質フィルム(宝泉(株)製)を直径24mmに打ち抜いたもの、および、正極として、コバルト酸リチウム製の活物質をアルミ箔に焼成したもの(宝泉(株)製)を直径16mmに打ち抜いたもの、を順に重ねた。そこに、電解液としてMIRET 1(三井化学(株)製)1mLを注入した上で封入して、リチウムイオン電池を得た。
上記のようにして作成したリチウムイオン電池を、6mAの定電流で電池電圧が4.2 Vになるまで充電し、さらに4.2Vの定電圧で充電開始から計2時間30分に達するまで充電させた後、30分間休止させ、6mAの定電流で電池電圧が2.7Vになるまで放電させて、1サイクル目の充放電をおこなった。また、このあと99回同様の条件で充放電を繰り返し、計50サイクルについて、各サイクルの充電容量および放電容量を測定した。以下の式に従って、容量維持率を算出した。
50サイクル後の容量維持率(%)=(50サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
100サイクル後の容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100。
5)電極材の劣化評価
上記50サイクル後および100サイクル後の容量維持率評価後に、各電池を解体し、負極の状態を観察した。電極材のわれ、剥がれ、欠損の発生を確認した。いずれも発生していない場合を「なし」とし、いずれかが発生しているものはその内容を後述の表1に示した。
(シロキサン化合物の合成または調製)
合成例1
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、N,N-ビストリメチルシリルアミノプロピルジメチルクロロシラン296.1g(1.0mol)を仕込み、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液202.5gを55~60℃で3時間かけて滴下し、その温度で1時間撹拌を行なった。生じた塩をろ過後、分留にてトリメチルメトキシシランを除去し、水27gを加えて2時間還流した後反応液を蒸留し、シロキサン化合物aを得た。
合成例2
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、N-トリメチルシリルアリルアミン129.3g(1.0mol)、4%塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液0.98gを仕込み、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11-ドデカメチルヘキサシロキサン215.5g(0.5mol)を70~80℃で3時間かけて滴下し、その温度で1時間撹拌を行なった。その後、メタノール64.0gを添加し、1時間還流し、脱シリル化反応を行なった。
分留にてトリメチルメトキシシランを除去し、水27gを加えて2時間還流した後反応液を蒸留し、シロキサン化合物bを得た。
(シリコン含有ジカルボン酸の合成)
合成例3
乾燥窒素気流下、シロキサン化合物a(n=1)24.8g(0.1モル)をN-メチル-2-ピロリドン(東京化成(株)製、NMP)150gに溶解させた。ここに無水トリメリット酸(東京化成(株)製、TMA)38.4g(0.2モル)をNMP28.8gとともに加えて、200℃で4時間反応させた。反応終了後、室温に降温し、反応液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。さらに水2Lで3回洗浄を行い、集めた固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、下記のシリコン含有ジカルボン酸Si-Aを得た。
Figure 2022151684000018
(バインダー溶液の合成)
合成例4
乾燥窒素気流下、ジフェニルメタンジイソシアネート(東京化成(株)製、MDI)25.0g(0.1モル)をNMP150gに溶解させた。ここに酸成分として4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル(東京化成(株)製、DEDC)24.5g(0.095モル)、Si-A2.98g(0.005モル)をNMP24.7gとともに加えて200℃で6時間反応させ、樹脂濃度20%のバインダー溶液Aを得た。
合成例5
乾燥窒素気流下、シロキサン化合物a1.24g(0.005モル)をNMP10gに溶解させた。ここにTMA1.92g(0.01モル)をNMP5.0gとともに加えて、200℃で4時間反応させた。反応終了後、室温に降温し、MDI17.5g(0.07モル)、2,4-トリレンジイソシアネート(東京化成(株)製、TDI)5.22g(0.03モル)をNMP103.6gに溶解させた。ここに酸成分としてTMA17.3g(0.09モル)をNMP20.0gとともに加えて、120℃で2時間、140℃で2時間、160℃で2時間反応させ樹脂濃度20%のバインダー溶液Bを得た。
合成例6
MDI17.5g(0.07モル)、TDI5.22g(0.03モル)をNMP103.6gに溶解させるかわりにMDI17.5g(0.07モル)、o-トリジンジイソシアネート(東京化成(株)製、TODI)7.93g(0.03モル)をNMP114.4gに溶解させた以外は合成例5と同じにして樹脂濃度20%のバインダー溶液Cを得た。
合成例7
MDI17.5g(0.07モル)、TDI5.22g(0.03モル)をNMP103.6gに溶解させるかわりにMDI12.5g(0.05モル)、TODI13.2g(0.05モル)をNMP115.5gに溶解させた以外は合成例5と同じにして樹脂濃度20%のバインダー溶液Dを得た。
合成例8
MDI17.5g(0.07モル)、TDI5.22g(0.03モル)をNMP103.6gに溶解させるかわりにTODI18.5g(0.07モル)、TDI5.22g(0.03モル)、をNMP107.6gに溶解させた以外は合成例5と同じにして樹脂濃度20%のバインダー溶液Eを得た。
合成例9
シロキサン化合物a1.24g(0.005モル)のかわりにシロキサン化合物b(n=5)2.73g(0.005モル)、MDI17.5g(0.07モル)、TDI5.22g(0.03モル)をNMP103.6gに溶解させるかわりにTODI18.5g(0.07モル)、TDI5.22g(0.03モル)、をNMP113.5gに溶解させた以外は合成例5と同じにして樹脂濃度20%のバインダー溶液Fを得た。
合成例10
乾燥窒素気流下、KF-8010(n=9;信越化学(株)製ジアミノシロキサン)1.72g(0.002モル)をNMP10gに溶解させた。ここにTMA0.768g(0.004モル)をNMP5.0gとともに加えて、200℃で4時間反応させた。反応終了後、室温に降温し、MDI25.0g(0.1モル)をNMP112.8gに溶解させた。ここに酸成分としてTMA17.9g(0.093モル)をNMP20.0gとともに加えて、120℃で2時間、140℃で2時間、160℃で2時間反応させ樹脂濃度20%のバインダー溶液Gを得た。
合成例11
MDI17.5g(0.07モル)、TDI5.22g(0.03モル)をNMP103.6gに溶解させるかわりにMDI5.0g(0.02モル)、TDI13.9g(0.08モル)をNMP88.3gに溶解させた以外は合成例5と同じにして樹脂濃度20%のバインダー溶液Hを得た。
合成例12
MDI17.5g(0.07モル)、TDI5.22g(0.03モル)をNMP103.6gに溶解させるかわりにMDI2.50g(0.01モル)、TODI23.8g(0.09モル)をNMP117.9gに溶解させた以外は合成例5と同じにして樹脂濃度20%のバインダー溶液Iを得た。
合成例13
乾燥窒素気流下、MDI25.0g(0.1モル)をNMP120gに溶解させた。ここに酸成分としてTMA18.2g(0.0945モル)、Si-A0.298g(0.0005モル)をNMP20.6gとともに加えて120℃で2時間、140℃で2時間、160℃で2時間反応させ樹脂濃度20%のバインダー溶液Jを得た。
合成例14
TMA18.2g(0.0945モル)、Si-A0.298g(0.0005モル)をNMP20.6gとともに加えるかわりに、TMA17.9g(0.093モル)、Si-A1.19g(0.002モル)をNMP22.9gとともに加える以外は合成例13と同じにして樹脂濃度20%のバインダー溶液Kを得た。
合成例15
TMA18.2g(0.0945モル)、Si-A0.298g(0.0005モル)をNMP20.6gとともに加えるかわりに、TMA16.3g(0.085モル)、Si-A5.96g(0.01モル)をNMP35.6gとともに加える以外は合成例13と同じにして樹脂濃度20%のバインダー溶液Lを得た。
合成例16
TMA18.2g(0.0945モル)、Si-A0.298g(0.0005モル)をNMP20.6gとともに加えるかわりに、TMA15.4g(0.08モル)、Si-A8.94g(0.015モル)をNMP43.9gとともに加える以外は合成例13と同じにして樹脂濃度20%のバインダー溶液Mを得た。
合成例17
TMA18.2g(0.0945モル)、Si-A0.298g(0.0005モル)をNMP20.6gとともに加えるかわりに、TMA14.4g(0.075モル)、Si-A11.9g(0.02モル)をNMP51.8gとともに加える以外は合成例13と同じにして樹脂濃度20%のバインダー溶液Nを得た。
合成例18
TMA17.3g(0.09モル)をNMP20.0gとともに加えるかわりにTMA12.1g(0.063モル)、テレフタル酸4.49g(0.027モル)をNMP17.1gとともに加える以外は合成例5と同じにして樹脂濃度20%のバインダー溶液Oを得た。
合成例19
シロキサン化合物a1.24g(0.005モル)のかわりにシロキサン化合物b2.73g(0.005モル)、TMA17.3g(0.09モル)をNMP20.0gとともに加えるかわりにTMA12.1g(0.063モル)、テレフタル酸4.49g(0.027モル)をNMP23.1gとともに加える以外は合成例5と同じにして樹脂濃度20%のバインダー溶液Pを得た。
合成例20
乾燥窒素気流下、ジアミノジフェニルメタン(東京化成(株)製、MDA)8.92g(0.045モル)、2,4-トルエンジアミン(東京化成(株)製、TDA)6.11g(0.05モル)、シロキサン化合物a1.24g(0.005モル)をNMP150gに溶解させた。ここに酸成分としてODPA30.1g(0.097モル)をNMP21.5gとともに加えて、60℃で4時間、200℃で6時間反応させ樹脂濃度20%のバインダー溶液Qを得た。
合成例21
乾燥窒素気流下、MDI20.0g(0.08モル)、TDI3.48g(0.02モル)、シロキサン化合物a1.24g(0.005モル)をNMP110gに溶解させた。ここに酸成分としてTMA17.3g(0.09モル)をNMP26.4gとともに加えて、120℃で2時間、140℃で2時間、160℃で2時間反応させ樹脂濃度20%のバインダー溶液Rを得た。
合成例22
乾燥窒素気流下、TODI18.5g(0.07モル)、TDI5.22g(0.03モル)をNMP120gに溶解させた。ここに末端封止剤として2-ブタノンオキシム(東京化成(株)製)0.871g(0.01モル)をNMP10gとともに加えて、70℃で2時間反応させ、さらに、酸成分としてTMA18.3g(0.095モル)をNMP8.12gとともに加えて、120℃で2時間、140℃で2時間反応させ樹脂濃度20%のバインダー溶液Sを得た。
合成例23
乾燥窒素気流下、アミン成分として4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(東京化成(株)製、DDS)24.8g(0.1モル)をNMP180gに溶解させた。ここに酸成分としてODPA30.4g(0.098モル)をNMP26.4gとともに加えて、200℃で6時間反応させ樹脂濃度20%のバインダー溶液Tを得た。
合成例24:負極活物質の合成
粒径約10μmの天然黒鉛50g(富士黒鉛(株)製、CBF1)とナノシリコン粉末60g(アルドリッチ社製)と、カーボンブラック10g(三菱化学(株)製、3050)を混合し、ボールミル中600回転で12時間よく分散させ、その後、80℃で12時間真空乾燥してSi-C系の負極活物質を得た。
合成例25:スラリー組成物A~Tの調製
合成例24で得た負極活物質87重量部、固形分濃度20%のバインダー溶液A~T50重量部、導電助剤としてアセチレンブラック3重量部を、26.7重量部のNMPと混合して攪拌し、スラリー組成物A~Tを得た。
実施例1~14、比較例1~6
スラリー組成物A~Tを用いた評価結果を表1に示す。
Figure 2022151684000019

Claims (9)

  1. (a)バインダー、(b)溶媒および(c)フィラーを含むスラリー組成物であって、
    (a)バインダーが、下記一般式(1)で表される構造単位と、一般式(2)~(4)で表される構造単位のうち少なくとも1種と、を含み、一般式(1)~(4)で表される構造単位の合計を100モル%としたとき、一般式(1)で表される構造単位を0.3~15モル%含有するバインダーであり、
    (c)フィラーが、シリコン、ゲルマニウムおよびスズからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含むフィラーである、
    スラリー組成物。
    Figure 2022151684000020
    (一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1~6の2価の有機基を示す。R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示す。RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数4~50の3価の有機基を示す。Rは炭素数2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(5)で表される構造を含まない。nは1~7の整数を表す。)
    Figure 2022151684000021
    (一般式(2)中、R10は炭素数2~50の2価の有機基を示す。R13は炭素数4~50の4価の有機基を示す。)
    Figure 2022151684000022
    (一般式(3)中、R11は炭素数2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(5)で表される構造を含まない。R14は炭素数4~50の3価の有機基を示す。)
    Figure 2022151684000023
    (一般式(4)中、R12は炭素数2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(5)で表される構造を含まない。R15は2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(6)で表される構造を含まない。)
    Figure 2022151684000024
    (一般式(5)中、R16およびR17は、それぞれ独立に、炭素数1~6の2価の有機基を示す。R18~R21は、それぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示す。nは1~7の整数を表す。)
    Figure 2022151684000025
    (一般式(6)中、R22およびR23は、それぞれ独立に、炭素数1~6の2価の有機基を示す。R24~R27は、それぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示す。R28およびR29は、それぞれ独立に、炭素数4~50の3価の有機基を示す。nは1~7の整数を表す。)
  2. (a)バインダーに含まれる一般式(1)~(4)で表される構造単位において、R、R10、R11およびR12のうち少なくとも1つは、当該R、R10、R11およびR12の各全量を100モル%としたときに、そのうち10モル%以上が一般式(7)で表される構造であり、かつ、当該R、R10、R11およびR12の合計量を100モル%としたときに、そのうちの30~70モル%が一般式(7)で表される構造である、請求項1に記載のスラリー組成物。
    Figure 2022151684000026
    (一般式(7)中、R30およびR31は、それぞれ独立に、ハロゲン原子または炭素数1~3の1価の有機基を示す。bおよびbは0~4の整数である。)
  3. (a)バインダーが、一般式(1)~(4)で表される構造単位の合計を100モル%としたとき、一般式(4)で表される構造単位を20~50モル%含有し、一般式(4)中、R15が一般式(8)で表される構造である、請求項1に記載のスラリー組成物。
    Figure 2022151684000027
    (一般式(8)中、R32は、それぞれ独立に、ハロゲン原子または炭素数1~3の1価の有機基を示す。bは0~4の整数である。)
  4. (a)バインダーに含まれる一般式(1)~(4)で表される構造単位において、R、R10、R11およびR12のうち少なくとも1つは、当該R、R10、R11およびR12の各全量を100モル%としたときに、そのうち10モル%以上が一般式(9)で表される構造であり、かつ、当該R、R10、R11およびR12の合計量を100モル%としたときに、そのうちの20~40モル%が一般式(9)で表される構造である、請求項1~3のいずれかに記載のスラリー組成物。
    Figure 2022151684000028
    (一般式(9)中、R33は、それぞれ独立に、ハロゲン原子または炭素数1~3の1価の有機基を示す。bは0~4の整数である。)
  5. 一般式(1)中、nが5~7の整数である請求項1~4のいずれかに記載のスラリー組成物。
  6. 導電性基材または導電性の配線を有する絶縁基材の少なくとも片面に(a)バインダーおよび(c)フィラーを含む層を有する電極であって、
    (a)バインダーが、下記一般式(1)で表される構造単位と、一般式(2)~(4)で表される構造単位のうち少なくとも1種と、を含み、一般式(1)~(4)で表される構造単位の合計を100モル%としたとき、一般式(1)で表される構造単位を0.3~15モル%含有するバインダーであり、
    (c)フィラーが、シリコン、ゲルマニウムおよびスズからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含むフィラーである、
    電極。
    Figure 2022151684000029
    (一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1~6の2価の有機基を示す。R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示す。RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数4~50の3価の有機基を示す。Rは炭素数2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(5)で表される構造を含まない。nは1~7の整数を表す。)
    Figure 2022151684000030
    (一般式(2)中、R10は炭素数2~50の2価の有機基を示す。R13は炭素数4~50の4価の有機基を示す。)
    Figure 2022151684000031
    (一般式(3)中、R11は炭素数2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(5)で表される構造を含まない。R14は炭素数4~50の3価の有機基を示す。)
    Figure 2022151684000032
    (一般式(4)中、R12は炭素数2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(5)で表される構造を含まない。R15は2~50の2価の有機基を示し、下記一般式(6)で表される構造を含まない。)
    Figure 2022151684000033
    (一般式(5)中、R16およびR17は、それぞれ独立に、炭素数1~6の2価の有機基を示す。R18~R21は、それぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示す。nは1~7の整数を表す。)
    Figure 2022151684000034
    (一般式(6)中、R22およびR23は、それぞれ独立に、炭素数1~6の2価の有機基を示す。R24~R27は、それぞれ独立に、炭素数1~12の1価の有機基を示す。R28およびR29は、それぞれ独立に、炭素数4~50の3価の有機基を示す。nは1~7の整数を表す。)
  7. 一般式(1)中、nが5~7の整数である請求項6に記載の電極。
  8. 請求項6または7に記載の電極を含む二次電池。
  9. 請求項6または7に記載の電極を含む電気二重層キャパシタ。
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