JP2022151239A - ワーク処理用シートおよび処理済みワーク製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】拡張から解放した後の復元性に優れたワーク処理用シート、および当該ワーク処理用シートを使用した処理済みワークの製造方法を提供する。【解決手段】基材と、基材の片面側に積層された粘着剤層とを備えたワーク処理用シートであって、基材について23℃にて引張速度200mm/minで引張試験を行ったときに、以下の式(I)により算出されるヒステリシスロスが、0.53J以下であるワーク処理用シート。【数1】TIFF2022151239000006.tif18151N:試験力(N)L:伸度(%)NL+1:L+1のときの試験力(N)L+1:次項の伸度(%)【選択図】なし

Description

本発明は、半導体素子等のワークの処理に使用することができるワーク処理用シート、および処理済みワークの製造方法に関するものである。
半導体装置の製造方法は、一般的に、ダイシングシート上において、半導体ウエハをダイシングして、複数の半導体チップを得るダイシング工程と、得られた半導体チップをダイシングシートから個々にピックアップするピックアップ工程とを含む。
上記ピックアップ工程では、半導体チップのピックアップを容易にするために、ダイシングシートにおける半導体チップが積層された面とは反対の面から、半導体チップを個々に突き上げることを行う場合がある。特に、上記ピックアップ工程では、ピックアップの際の半導体チップ同士の衝突を抑制するとともに、ピックアップを容易にするために、通常、ダイシングシートを拡張(エキスパンド)させて、半導体チップ同士を離間させることが行われる。そのため、ダイシングシートには、良好なエキスパンドを可能にする優れた柔軟性を有することが求められる。
特許文献1は、エキスパンド工程を前提としたダイシングテープであって、幅20mmのダイシングテープ試験片について初期チャック間距離100mm、23℃、および引張速度10mm/分の条件で行われる引張試験において歪み値20%で生ずる第1引張応力に対する、幅20mmのダイシングテープ試験片について初期チャック間距離100mm、23℃、および引張速度1000mm/分の条件で行われる引張試験において歪み値20%で生ずる第2引張応力の比の値が、1.4以上であるダイシングテープを開示している。
特開2019-16634号公報
また、特許文献1には、加熱温度100℃および加熱処理時間60秒の条件で行われる加熱処理試験における熱収縮率が2~30%であることも開示されている。これは、エキスパンド状態解除前に、ダイシングテープにおける半導体チップ保持領域より外側の部分を加熱して充分に収縮させるためである。これにより、エキスパンド状態解除後にダイシングテープ上のダイボンドフィルム付き半導体チップの離間距離が狭まることを抑制することができる。
ここで、半導体装置の種類等によっては、ダイシングシート上にて個片化された半導体チップ(ワーク)を転写シートに転写し、その転写シートを拡張することがある。そして、場合によっては、転写シートを拡張した状態で半導体チップに所望の処理、例えば加熱や検査等を行い、拡張を解放した後、転写シートから半導体チップをピックアップすることがある。この場合、転写シートは元の形状に復元することが望ましい。特許文献1に記載のダイシングテープは、かかる用途は全く考慮していないものである。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、拡張から解放した後の復元性に優れたワーク処理用シート、および当該ワーク処理用シートを使用した処理済みワークの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材の片面側に積層された粘着剤層とを備えたワーク処理用シートであって、前記基材について23℃にて引張速度200mm/minで引張試験を行ったときに、以下の式(I)により算出されるヒステリシスロスが、0.53J以下であることを特徴とするワーク処理用シートを提供する(発明1)。
Figure 2022151239000001

N:試験力(N)
L:伸度(%)
L+1:L+1のときの試験力(N)
+1:次項の伸度(%)
上記発明(発明1)に係るワーク処理用シートは、上記の物性を有することにより、拡張から解放した後の復元性に優れる。すなわち、ワークを保持した当該ワーク処理用シートを拡張し、次いで当該拡張を解放した後に、当該ワーク処理用シートは元の形状・大きさに復元する。
上記発明(発明1)においては、23℃での引張試験による前記基材の破断伸度が、500%以上、1500%以下であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)においては、前記基材における前記粘着剤層とは反対側の面の表面粗さ(Ra)が、0.01μm以上、5.00μm以下であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1~3)においては、前記基材が、熱可塑性エラストマーを含有することが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1~4)においては、前記基材が、熱可塑性エラストマーを含有する単層から構成されてもよいし(発明5)、熱可塑性エラストマーを含有する層を含む複数層から構成されてもよい(発明6)。
上記発明(発明1~6)においては、複数のワークを前記粘着剤層にて保持した状態において拡張され、当該拡張の状態から解放された後、前記ワークが前記粘着剤層からピックアップされる用途に使用されることが好ましい(発明7)。
第2に本発明は、前記ワーク処理用シート(発明1~7)を使用して処理済みワークを製造する方法であって、複数のワークを前記粘着剤層にて保持した状態で前記ワーク処理用シートを拡張する拡張工程と、前記ワーク処理用シートを拡張した状態で、前記ワークに所定の処理を施す処理工程と、前記ワーク処理用シートを前記拡張の状態から解放する解放工程と、前記解放の状態にある前記ワーク処理用シートの前記粘着剤層から、前記処理済みのワークをピックアップするピックアップ工程とを備えたことを特徴とする処理済みワーク製造方法を提供する(発明8)。
上記発明(発明8)においては、複数のワークを前記ワーク処理用シートの粘着剤層に転写する転写工程を備えたことが好ましい(発明9)。
本発明に係るワーク処理用シートは、拡張から解放した後の復元性に優れる。また、本発明に係る処理済みワーク製造方法によれば、ワーク処理用シートが拡張から解放した後の復元性に優れるため、拡張から解放した後のワークのハンドリング性に優れる。
ヒステリシスロスを示す引張曲線のグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係るワーク処理用シートは、基材と、当該基材における片面側に積層された粘着剤層とを備える。本実施形態に係るワーク処理用シートにおいては、上記基材について23℃にて引張速度200mm/minで引張試験を行ったときに、以下の式(I)により算出されるヒステリシスロスが、0.53J以下である。
Figure 2022151239000002

N:試験力(N)
L:伸度(%)
L+1:L+1のときの試験力(N)
+1:次項の伸度(%)
なお、上記のヒステリシスロスは、基材について伸度が0%~100%~0%となるよう23℃にて引張試験を行い、当該伸度が100%時における試験力が10Nになるよう規格化したときの、伸度(%)-規格化試験力(N)のグラフにおける負荷曲線と除荷曲線とで囲まれる面積として得られるものである。具体的には、図1のグラフにおける負荷曲線と除荷曲線とで囲まれる網掛部の面積として得られる。上記のヒステリシスロスは、基材のMD方向(基材の製造時の流れ方向)およびCD方向(MD方向に直交する方向)のそれぞれについて満たすことが好ましい。上記引張試験の詳細は、後述する試験例に示す通りである。
本実施形態に係るワーク処理用シートは、上記の物性を有することにより、拡張から解放した後の復元性に優れる。すなわち、ワークを保持した当該ワーク処理用シートを拡張し、次いで当該拡張を解放した後に、当該ワーク処理用シートは元の形状・大きさに復元する。そのため、拡張を解放した後であっても、ワークの保持位置が正確に維持されており、ワークのハンドリングを良好に行うことができる。例えば、本実施形態に係るワーク処理用シートを拡張した状態で、当該ワーク処理用シート上のワークに対する所望の処理、例えば、加熱や検査等を良好に施し、次いで拡張を解放した後、当該ワーク処理用シートからワークを良好にピックアップすることができる。
なお、上記ワーク処理用シートにおける粘着剤層は、基材と比較して非常に柔らかいものであるため、ワーク処理用シートの引張物性は基材の引張物性が支配的である。したがって、本実施形態に係るワーク処理用シートでは、上記の通り基材のヒステリシスロスにより引張物性を規定しており、これはワーク処理用シートを規定していることと同一視することができる。
拡張から解放した後の復元性の観点から、上記ヒステリシスロスは、0.53J以下であり、0.528J以下であることが好ましく、特に0.526J以下であることが好ましい。ヒステリシスロスの下限値は特に限定されず、0Jであることが最も好ましいが、通常は0J以上であることが好ましく、特に0.15J以上であることが好ましく、さらには0.3J以上であることが好ましい。
本実施形態に係るワーク処理用シートにおいては、23℃での引張試験による上記基材の破断伸度が、500%以上であることが好ましく、540%以上であることがより好ましく、特に580%以上であることが好ましい。また、上記破断伸度は、1500%以下であることが好ましく、1400%以下であることがより好ましく、特に1300%以下であることが好ましい。破断伸度が上記の範囲内にあることで、ワーク処理用シートは拡張工程において良好に拡張することができ、また、前述したヒステリシスロスが満たされ易くなる傾向がある。上記の破断伸度は、基材のMD方向およびCD方向のそれぞれについて満たすことが好ましい。
本実施形態に係るワーク処理用シートにおいては、上記基材における上記粘着剤層とは反対側の面の表面粗さ(Ra)が、0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましく、特に0.05μm以上であることが好ましい。また、上記表面粗さ(Ra)は、5.00μm以下であることが好ましく、3.00μm以下であることがより好ましく、特に2.00μm以下であることが好ましい。なお、「基材における粘着剤層とは反対側の面」は、拡張工程において突き上げ治具を使用する場合、当該突き上げ治具が接触する面である。本明細書における表面粗さ(Ra)の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
上記表面粗さ(Ra)が上記の範囲内にあることで、ワーク処理用シートは、突き上げ治具等を使用した拡張工程において、良好に拡張することができる。
1.ワーク処理用シートの構成
(1)基材
本実施形態に係るワーク処理用シートの基材を構成する材料は、前述した物性(特に引張試験による物性)を満たすものであれば特に限定されない。当該物性を達成し易いという観点から、本実施形態における基材は、熱可塑性エラストマーを含有するものであることが好ましい。
本実施形態における基材は、単層から構成されてもよいし、複数層から構成されてもよい。本実施形態における基材が単層から構成される場合、当該単層の基材が熱可塑性エラストマーを含有するものであることが好ましく、特に熱可塑性エラストマーを主成分(全体の50%超を占める成分)とするものであることが好ましい。また、本実施形態における基材が複数層から構成される場合、少なくとも1層、好ましくは半数以上の層または半分以上の厚みの層、特に好ましくは全ての層が、熱可塑性エラストマーを含有することが好ましく、特に熱可塑性エラストマーを主成分とすることが好ましい。これにより、基材は前述した物性を満たし易くなる。
熱可塑性エラストマーとしては、ウレタン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、アミド系エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、前述した物性をより達成し易いという観点から、ウレタン系エラストマーまたはスチレン系エラストマーを使用することが好ましい。
ウレタン系エラストマーとは、一般に、長鎖ポリオール、ジイソシアネートおよび鎖延長剤を反応させて得られるものであり、長鎖ポリオールから誘導される構成単位を有するソフトセグメントと、ジイソシアネートと鎖延長剤との反応から得られるポリウレタン構造を有するハードセグメントとからなる。
ウレタン系エラストマーを、そのソフトセグメント成分として用いる長鎖ポリオールの種類によって分類すると、ポリエステル系ポリウレタンエラストマー、ポリエーテル系ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート系ポリウレタンエラストマーなどに分けられる。本実施形態に係るワーク処理用シートでは、これらのうち、前述した物性を達成し易いという観点から、ポリエステル系ポリウレタンエラストマーを使用することが好ましい。
上記長鎖ポリオールの例としては、ラクトン系ポリエステルポリオール、アジペート系ポリエステルポリオールなどのポリエステルポリオール;ポリプロピレン(エチレン)ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオール;ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。これらのうち、前述した物性を達成し易いという観点から、ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。
上記ジイソシアネートの例としては、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらのうち、前述した物性を達成し易いという観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートを使用することが好ましい。
上記鎖延長剤としては、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどの低分子多価アルコール、芳香族ジアミンなどが挙げられる。これらのうち、前述した物性を達成し易いという観点から、1,6-ヘキサンジオールを使用することが好ましい。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン-共役ジエン共重合体およびスチレン-オレフィン共重合体などが挙げられ、中でもスチレン-共役ジエン共重合体が好ましい。スチレン-共役ジエン共重合体の具体例としては、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-イソプレン-スチレン共重合体等の未水添スチレン-共役ジエン共重合体;スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン共重合体(SEPS:スチレン-イソプレン-スチレン共重合体の水素添加物)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS:スチレン-ブタジエン共重合体の水素添加物)等の水添スチレン-共役ジエン共重合体などを挙げることができる。スチレン系エラストマーは、水素添加物(水添物)でも未水添物であってもよいが、水素添加物であることが好ましい。上記の中でも、前述した物性を達成し易いという観点から、水添スチレン-共役ジエン共重合体が好ましく、特にスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)が好ましい。
本実施形態における基材が複数層から構成される場合、熱可塑性エラストマーを含有する層以外の層を構成する材料は、特に限定されないが、熱可塑性エラストマーを含有する層の引張物性を阻害しない材料が好ましい。
本実施形態における基材が複数層から構成される場合、2層~5層からなることが好ましく、特に3層~4層からなることが好ましく、さらには3層からなることが好ましい。基材が2層からなる場合には、2層とも熱可塑性エラストマーを含有する層であることが好ましい。基材が3層からなる場合には、2層以上が熱可塑性エラストマーを含有する層であることが好ましく、特に3層とも熱可塑性エラストマーを含有する層であることが好ましい。なお、基材中に熱可塑性エラストマーを含有する層が複数存在する場合、当該熱可塑性エラストマーは、同種のものであってもよいし、異種のものであってもよい。同種の場合、組成が同じであってもよいし、組成が異なっていてもよい。
粘着剤層との密着性を向上させる目的で、基材における粘着剤層を積層する面には、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施してもよい。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。
本実施形態における基材は、フィラー、滑剤、着色剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、フィラー等の各種添加剤を含有してもよい。特にフィラーまたは滑剤を含有することにより、前述した表面粗さ(Ra)を満たし易くすることができる場合がある。
フィラーは、無機系フィラーであってもよいし、有機系フィラーであってもよい。無機系フィラーは、球状等のものであってもよいし、不定形のものであってもよい。中でも、シリカフィラー、特に不定形のシリカフィラーを好ましく用いることができる。
滑剤としては、例えば、脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、エステル系滑剤、ポリエチレンワックス、流動パラフィン等が挙げられ、1種を単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
なお、本実施形態における粘着剤層が、活性エネルギー線により硬化する材料を含む場合、基材は活性エネルギー線に対する透過性を有することが好ましい。
本実施形態における基材の製造方法は、前述した物性を達成する基材を製造できる限り特に限定されない。例えば、Tダイ法、丸ダイ法等の溶融押出法;カレンダー法;乾式法、湿式法等の溶液法等によって、上述した材料をシート状に成形することで基材を製造することができる。各製造方法において、形成されるシートが接触する部材、例えば冷却ロール等の表面形状(粗さ)を制御することにより、得られる基材の表面粗さ(Ra)を調整することができる。
本実施形態における基材の厚さは、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、特に25μm以上であることが好ましい。また、本実施形態における基材の厚さは、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、特に150μm以下であることが好ましい。基材の厚さが上記の範囲にあることにより、前述した物性が満たされ易くなり、また、優れたハンドリング性も得られる。
(2)粘着剤層
本実施形態における粘着剤層を構成する粘着剤としては、被着体(ワーク)に対して所望の粘着力を発揮することができる限り、特に限定されない。粘着剤層を構成する粘着剤の例としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、所望の粘着力を発揮し易いという観点から、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。
本実施形態における粘着剤層を構成する粘着剤は、活性エネルギー線硬化性の粘着剤であってもよいし、活性エネルギー線非硬化性の粘着剤であってもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、用途によって粘着力を大きく変化させたい場合には、活性エネルギー線硬化性の粘着剤を使用することが好ましい。この場合、活性エネルギー線の照射により粘着剤層を硬化させて、ワーク処理用シートの被着体に対する粘着力を容易に低下させることができる。特に、活性エネルギー線の照射によって、処理後のワークを当該ワーク処理用シートから容易に分離することが可能となる。上記のような必要がなければ、活性エネルギー線非硬化性の粘着剤を使用すればよい。
活性エネルギー線非硬化性のアクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル重合体と、架橋剤とを含有する粘着性組成物を架橋してなる粘着剤であることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。また、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、反応性官能基含有モノマーとを含有するものであることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられる。反応性官能基含有モノマーとしては、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー等が好ましく挙げられる。これらのモノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記架橋剤としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体が有する反応性官能基と反応するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。
本実施形態における粘着剤層の厚さは、用途に応じて適宜設定すればよいが、通常、1~100μmであることが好ましく、特に5~50μmであることが好ましく、さらには8~20μmであることが好ましい。粘着剤層の厚さが上記の範囲であることで、本実施形態に係るワーク処理用シートが所望の粘着性を発揮し易いものとなる。
(3)剥離シート
本実施形態に係るワーク処理用シートでは、粘着剤層における基材とは反対側の面(以下、「粘着面」という場合がある。)をワークに貼付するまでの間、当該面を保護する目的で、当該面に剥離シートが積層されていてもよい。
上記剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。当該プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。上記剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等を用いることができ、これらの中でも、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。
上記剥離シートの厚さについては特に制限はなく、例えば、20μm以上、250μm以下であってよい。
(4)その他
本実施形態に係るワーク処理用シートでは、粘着剤層における基材とは反対側の面に接着剤層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク処理用シートは、例えばダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。当該シートでは、接着剤層における粘着剤層とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに接着剤層をダイシングすることで、個片化された接着剤層が積層されたチップを得ることができる。当該チップは、この個片化された接着剤層によって、当該チップが搭載される対象に対して容易に固定することが可能となる。上述した接着剤層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂と低分子量の熱硬化性接着成分とを含有するものや、Bステージ(半硬化状)の熱硬化型接着成分を含有するもの等を用いることが好ましい。
また、本実施形態に係るワーク処理用シートでは、粘着剤層における粘着面に保護膜形成層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク処理用シートは、例えば保護膜形成兼ダイシング用シートとして使用することができる。このようなシートでは、保護膜形成層における粘着剤層とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに保護膜形成層をダイシングすることで、個片化された保護膜形成層が積層されたチップを得ることができる。当該ワークとしては、片面に回路が形成されたものが使用されることが好ましく、この場合、通常、当該回路が形成された面とは反対側の面に保護膜形成層が積層される。個片化された保護膜形成層は、所定のタイミングで硬化させることで、十分な耐久性を有する保護膜をチップに形成することができる。保護膜形成層は、未硬化の硬化性接着剤からなることが好ましい。
2.ワーク処理用シートの製造方法
本実施形態に係るワーク処理用シートの製造方法は特に限定されない。例えば、剥離シート上に粘着剤層を形成した後、当該粘着剤層における剥離シートとは反対側の面に基材の片面を積層することで、ワーク処理用シートを得ることが好ましい。
上述した粘着剤層の形成は、公知の方法により行うことができる。例えば、粘着剤層を形成するための粘着性組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗布液を調製する。そして、剥離シートの剥離性を有する面(以下、「剥離面」という場合がある。)に上記塗布液を塗布する。続いて、得られた塗膜を乾燥させることで、粘着剤層を形成することができる。
上述した塗布液の塗布は公知の方法により行うことができ、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等により行うことができる。なお、塗布液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、粘着剤層を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。また、剥離シートは工程材料として剥離してもよいし、被着体に貼付するまでの間、粘着剤層を保護していてもよい。
粘着剤層を形成するための粘着性組成物が前述した架橋剤を含有する場合には、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えることにより、または加熱処理を別途設けることにより、塗膜内のポリマー成分と架橋剤との架橋反応を進行させ、粘着剤層内に所望の存在密度で架橋構造を形成することが好ましい。さらに、上述した架橋反応を十分に進行させるために、粘着剤層と基材とを貼り合わせた後、例えば23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行ってもよい。
3.ワーク処理用シートの物性
本実施形態に係るワーク処理用シートは、後述する復元性評価の試験例で得られる復元率が、99.7%以上であることが好ましく、99.8%以上であることがより好ましく、特に99.9%以上であることが好ましく、さらには100%であることが好ましい。本実施形態に係るワーク処理用シートは、前述した物性を有することにより、上記のように優れた復元率を達成することができる。
4.ワーク処理用シートの使用方法
本実施形態に係るワーク処理用シートは、当該ワーク処理用シートを拡張した状態で、当該ワーク処理用シート上の複数のワークに対して、所望の処理を施すのに好適に使用することができる。処理後のワークは、拡張状態を解放させた後のワーク処理用シート、またはその後さらに拡張させたワーク処理用シートからピックアップすることができる。本実施形態に係るワーク処理用シートは、拡張から解放した後の復元性に優れるため、ワークの保持位置が正確に維持されており、上記のピックアップを正確に行うことができる。
ワークとしては、個片化されたものであることが好ましく、当該ワーク処理用シート上でダイシング等により個片化されたものであってもよいし、別の工程で個片化されたワークを当該ワーク処理用シートに転写したものであってもよい。個片化されたワークの種類としては、半導体素子、半導体チップ、半導体パッケージ、半導体部材、ガラス部材等が挙げられ、LED素子、チップLED等も含まれる。個片化される前のワークとしては、例えば、半導体ウエハやガラス板等が挙げられる。
ワーク処理用シートの拡張は、突き上げ治具を有する公知のエキスパンダーを使用して行うことが好ましいが、これに限定されるものではない。この突き上げ治具は、ワーク処理用シートの基材における上記粘着剤層とは反対側の面に接触し、当該ワーク処理用シートを突き上げることにより、当該ワーク処理用シートを拡張(エキスパンド)することができる。
所望の処理としては、例えば、加熱処理、検査、加熱下での検査等の他、蒸着、スパッタリング、ベーキング等の処理が挙げられる。例えば加熱下での検査の場合、本実施形態に係るワーク処理用シートは、十分に拡張することができるため、ワーク同士の間の距離を比較的大きく取ることができ、それにより、各ワークの検査を所望の温度で遂行することができる。
本実施形態に係るワーク処理用シートは、例えば、エキスパンドシートおよびピックアップシートを兼ねた転写シートとして使用することができる他、ダイシングシート、ダイシング・ダイボンディングシート、保護膜形成用シート等として使用することもできる。
5.処理済みワーク製造方法
本実施形態に係るワーク処理用シートを使用することにより、処理済みワークを製造することができる。本発明の一実施形態に係る処理済みワーク製造方法は、複数のワークを粘着剤層にて保持した状態でワーク処理用シートを拡張する拡張工程と、当該ワーク処理用シートを拡張した状態で、上記ワークに所望の処理を施す処理工程と、当該ワーク処理用シートを拡張の状態から解放する解放工程と、解放の状態にあるワーク処理用シートの粘着剤層から、上記処理済みのワークをピックアップするピックアップ工程とを備えている。ワーク処理用シートの粘着剤層に複数のワークを保持させるにあたり、複数のワークを当該粘着剤層に転写する転写工程を備えていてもよい。また、ワーク処理用シートの粘着剤層に複数のワークを保持させるにあたり、当該ワーク処理用シートにて個片化前のワークに対してダイシングを行うダイシング工程を備えていてもよい。
上記の転写工程、ダイシング工程、拡張工程、解放工程およびピックアップ工程は、それぞれ公知の方法により行うことができる。処理工程における具体的な処理は特に限定されず、例えば前述した処理を行うことができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、基材における粘着剤層とは反対の面側や、基材と粘着剤層との間には、その他の層が設けられてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)粘着性組成物の調製
アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)80質量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)20質量部とを、溶液重合法により重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。この(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量(Mw)を後述する方法により測定したところ、80万であった。
得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部(固形分換算;以下同じ)と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(東ソー社製,製品名「コロネートL」)5質量部とを溶媒中で混合し、粘着性組成物の塗布液を得た。
(2)粘着剤層の形成
上記工程(1)で得られた粘着性組成物の塗布液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面がシリコーン系剥離剤により剥離処理された剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET381031」,厚さ:38μm)の剥離処理面に塗布し、得られた塗膜を100℃で1分間乾燥させた。これにより、剥離シートにおける剥離面上に、厚さ10μmの粘着剤層が形成されてなる積層体を得た。
(3)基材の作製
原料樹脂として、熱可塑性エラストマーであるポリエステル系ポリウレタンエラストマー(硬度(JIS-A):90,密度:1.12g/cm)を用意した。単層インフレーション製膜装置(トミイ機械工業社製,製品名「IF1000-55S-TWRJ」)の口径50mmの押出機に上記熱可塑性エラストマー(ペレット)を供給し、溶融混練した。そして、温度205℃の単層ダイスに導いて押し出し、厚さ30μmのポリエステル系ポリウレタンエラストマーからなる基材を得た。
(4)ワーク処理用シートの作製
上記工程(3)で得られた基材の片面と、上記工程(2)で得られた積層体における粘着剤層側の面とを貼り合わせることで、ワーク処理用シートを得た。なお、実施例1のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のMD方向について行った。
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・測定装置:東ソー社製,HLC-8320
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK gel superH-H
TSK gel superHM-H
TSK gel superH2000
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
〔実施例2〕
(1)基材の作製
原料樹脂として、熱可塑性エラストマーとしてのポリエステル系ポリウレタンエラストマー(硬度(JIS-A):92,密度:1.24g/cm)、フィラーとして、不定形シリカを用意した。
単層インフレーション製膜装置(トミイ機械工業社製,製品名「IF1000-55S-TWRJ」)の口径100mmの押出機に上記の熱可塑性エラストマー(ペレット)およびフィラーを供給し、溶融混練した。そして、温度205℃の単層ダイスに導いて押し出し、厚さ100μmのポリエステル系ポリウレタンエラストマー(不定形シリカ含有)からなる基材を得た。
(2)ワーク処理用シートの作製
上記工程(1)で得られた基材の片面と、実施例1の工程(2)で得られた積層体における粘着剤層側の面とを貼り合わせることで、ワーク処理用シートを得た。なお、実施例2のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のMD方向について行った。
〔実施例3〕
(1)基材の作製
本実施例では、3層構造の基材を作製した。それにあたり、原料樹脂として、以下の3種類を用意した。
(a)粘着剤層に接する側の層(第1層)
熱可塑性エラストマーとしてのスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)
(b)中間層(第2層)
熱可塑性エラストマーとしてのスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)
(c)粘着剤層側とは反対側の層(第3層)
熱可塑性エラストマーとしてのスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)
上記の各樹脂(ペレット)を単軸押出機(東芝機械社製,製品名「TEM-50」,50φmm,L/D=32)のホッパーに投入し、押出機温度をC1:210℃、C2:230℃、C3:230℃、C4:230℃、C5:230℃のように設定し、550mm幅Tダイ(温度設定:230℃,リップ開度0.3mm)から共押出しした。押し出された溶融樹脂を、冷却ロールを備えた巻き取り機(冷却ロール:700mm幅×φ350mm,ロール温度30℃)にて冷却固化し、厚さ145μmの基材を得た。この基材において、第1層の厚さは1μm、第2層の厚さは138μm、第3層の厚さは6μmであった。
(2)ワーク処理用シートの作製
上記工程(1)で得られた基材の第1層側の面と、実施例1の工程(2)で得られた積層体における粘着剤層側の面とを貼り合わせることで、ワーク処理用シートを得た。なお、実施例3のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のCD方向について行った。
〔実施例4〕
実施例3のワーク処理用シートは、実施例3のワーク処理用シートと同じものである。ただし、実施例4のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のMD方向について行った。
〔実施例5〕
巻き取り機における冷却ロールの種類を変更する以外、実施例3と同様にして基材、そしてワーク処理用シートを作製した。なお、実施例5のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のCD方向について行った。
〔実施例6〕
実施例6のワーク処理用シートは、実施例5のワーク処理用シートと同じものである。ただし、実施例6のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のMD方向について行った。
〔実施例7〕
(1)基材の作製
原料樹脂として、熱可塑性エラストマーとしてのポリエステル系ポリウレタンエラストマー(硬度(JIS-A):88,密度:1.12g/cm)を用意した。単層インフレーション製膜装置(トミイ機械工業社製,製品名「IF1000-55S-TWRJ」)の口径100mmの押出機に上記の熱可塑性エラストマー(ペレット)を供給し、溶融混練した。そして、温度205℃の単層ダイスに導いて押し出し、厚さ100μmのポリエステル系ポリウレタンエラストマーからなる基材を得た。
(2)ワーク処理用シートの作製
上記工程(1)で得られた基材の第1層側の面と、実施例1の工程(2)で得られた積層体における粘着剤層側の面とを貼り合わせることで、ワーク処理用シートを得た。なお、実施例7のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のMD方向について行った。
〔実施例8〕
基材の原料樹脂を、熱可塑性エラストマーであるポリエステル系ポリウレタンエラストマー(硬度(JIS-A):92,密度:1.24g/cm)に変更する以外、実施例7と同様にしてワーク処理用シートを作製した。なお、実施例8のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のMD方向について行った。
〔実施例9〕
基材の原料樹脂として、熱可塑性エラストマーであるポリエステル系ポリウレタンエラストマー(硬度(ASTM D2240):97,密度:1.22g/cm)に変更する以外、実施例7と同様にしてワーク処理用シートを作製した。なお、実施例9のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のMD方向について行った。
〔比較例1〕
(1)基材の作製
本例では、3層構造の基材を作製した。それにあたり、原料樹脂として、以下の3種類を用意した。
(a)粘着剤層に接する側の層(第1層)
熱可塑性エラストマーとしてのスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)
(b)中間層(第2層)
熱可塑性エラストマーとしてのスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)
(c)粘着剤層側とは反対側の層(第3層)
ポリエチレン樹脂
上記の各樹脂(ペレット)を単軸押出機(東芝機械社製,製品名「 TEM-50 」,50φmm,L/D=32)のホッパーに投入し、押出機温度をC1:210℃、C2:230℃、C3:230℃、C4:230℃、C5:230℃のように設定し、550mm幅Tダイ(温度設定:230℃,リップ開度0.3mm)から共押出しした。押し出された溶融樹脂を、冷却ロールを備えた巻き取り機(冷却ロール:700mm幅×φ350mm,ロール温度30℃)にて冷却固化し、厚さ100μmの基材を得た。この基材において、第1層の厚さは2μm、第2層の厚さは94μm、第3層の厚さは4μmであった。
(2)ワーク処理用シートの作製
上記工程(1)で得られた基材の第1層側の面と、実施例1の工程(2)で得られた積層体における粘着剤層側の面とを貼り合わせることで、ワーク処理用シートを得た。なお、比較例1のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のMD方向について行った。
〔比較例2〕
第2層の厚さを93μm、第3層の厚さを5μmに変更し、巻き取り機における冷却ロールの種類を変更する以外、比較例1と同様にして基材、そしてワーク処理用シートを作製した。なお、比較例2のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のMD方向について行った。
〔比較例3〕
第2層の厚さを91μm、第3層の厚さを7μmに変更し、巻き取り機における冷却ロールの種類を変更する以外、比較例1と同様にして基材、そしてワーク処理用シートを作製した。なお、比較例3のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のMD方向について行った。
〔比較例4〕
第2層の厚さを88μm、第3層の厚さを10μmに変更し、巻き取り機における冷却ロールの種類を変更する以外、比較例1と同様にして基材、そしてワーク処理用シートを作製した。なお、比較例4のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のMD方向について行った。
〔比較例5〕
(1)基材の作製
ポリ塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製,製品名「TH-1000」,平均重合度:1000)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、テレフタル酸エステル系可塑剤A(テレフタル酸ジ(2-エチルヘキシル),ADEKA社製,製品名「アデカサイザーD-810」,分子量:391)10質量部と、アジピン酸エステル系可塑剤としてアジピン酸ポリエステルB1(ADEKA社製,製品名「アデカサイザーPN―7160」,重量平均分子量:800,可塑化効率値:1.00)20質量部およびアジピン酸エステルモノマーC(新日本理化社製,製品名「サンソサイザーDINA」,分子量398)5質量部と、着色剤としてフタロシアニンブルー系着色剤(大日精化工業社製,製品名「DA EP4610 ブルー」)0.13質量部およびキナクリドンレッド系着色剤(大日精化工業社製,製品名「DA P4121 レッド」)0.03質量部と、安定剤として少量のバリウムマグネシウム系安定剤とからなる混合物を、180℃にてバンバリーミキサーを用いて混練した。得られた混錬物をカレンダーロールで圧延し、厚さ80μmのポリ塩化ビニル系樹脂からなる基材を得た。
(2)ワーク処理用シートの作製
上記工程(1)で得られた基材の片面と、実施例1の工程(2)で得られた積層体における粘着剤層側の面とを貼り合わせることで、ワーク処理用シートを得た。なお、比較例5のワーク処理用シートにおいては、後述する引張試験は基材のMD方向について行った。
〔試験例1〕(表面粗さの測定)
実施例および比較例で作製した基材における粘着剤層が積層されない側の面の表面粗さ(Ra)を、JIS B601:2001に準拠して、光干渉顕微鏡(Veeco社製,製品名「表面形状測定装置WYKO NT110」)を用いて測定した。このとき、測定条件PSI、倍率50倍とし、測定ポイント5箇所の平均値を表面粗さの値とした。結果を表1に示す。
〔試験例2〕(ヒステリシスロス測定)
実施例および比較例で作製した基材を、幅15mm×長さ150mmに裁断し、これを試験片とした。試験片の延伸可能部が100mmになるように、引張・圧縮試験機(エー・アンド・デイ社製,製品名「テンシロン」)に設置した。そして、23℃の温度下、引張速度200mm/minで、伸度が0%→100%→0%となるよう引張試験を行い、当該伸度が100%時における試験力が10Nになるよう規格化した。得られたグラフから、以下の式(I)によりヒステリシスロスを算出した。結果を表1に示す。
Figure 2022151239000003

N:試験力(N)
L:伸度(%)
L+1:L+1のときの試験力(N)
+1:次項の伸度(%)
また、上記と同様にして引張試験行い、基材が破断したときの破断伸度(%)を測定した。結果を表1に示す。
〔試験例3〕(復元性評価)
実施例および比較例で作製したワーク処理用シートを、エキスパンド装置(JCM社製,製品名「SE-100」)の6インチリングフレームに貼付し、ワーク処理用シートの中央部に2cm角の格子を描いた。そして、突き上げ治具である6インチステージを、突き上げ高さ34mm、突き上げ速さ5mm/sで突き上げてワーク処理用シートを拡張し、30秒間維持した。その後、突き上げ治具を元の位置に戻して、応力を解放した。応力解放から1分後における格子の辺長を測定し、以下の式から拡張率(%)を算出した。なお、測定はワーク処理用シートの基材のMD方向およびCD方向のそれぞれについて行い、それらの平均値を拡張率(%)とした。結果を表1に示す。
復元率(%)={1-(応力解放後の辺長-拡張前の辺長)/拡張前の辺長}×100
また、上記の復元率(%)に基づいて、以下の基準により復元性を評価した。結果を表1に示す。
〇:復元率が99.7%以上であった。
×:復元率が99.7%未満であった。
Figure 2022151239000004
表1から分かるように、実施例で作製したワーク処理用シートは、拡張から解放した後の復元性に優れるものであった。
本発明に係るワーク処理用シートは、当該ワーク処理用シートを拡張した状態で、当該ワーク処理用シート上の複数のワークに対して加熱や検査等の処理を施し、その後、ワークをピックアップする用途に使用するのに好適である。

Claims (9)

  1. 基材と、前記基材の片面側に積層された粘着剤層とを備えたワーク処理用シートであって、
    前記基材について23℃にて引張速度200mm/minで引張試験を行ったときに、以下の式(I)により算出されるヒステリシスロスが、0.53J以下である
    ことを特徴とするワーク処理用シート。
    Figure 2022151239000005

    N:試験力(N)
    L:伸度(%)
    L+1:L+1のときの試験力(N)
    +1:次項の伸度(%)
  2. 23℃での引張試験による前記基材の破断伸度が、500%以上、1500%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のワーク処理用シート。
  3. 前記基材における前記粘着剤層とは反対側の面の表面粗さ(Ra)が、0.01μm以上、5.00μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のワーク処理用シート。
  4. 前記基材が、熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のワーク処理用シート。
  5. 前記基材が、熱可塑性エラストマーを含有する単層から構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のワーク処理用シート。
  6. 前記基材が、熱可塑性エラストマーを含有する層を含む複数層から構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のワーク処理用シート。
  7. 複数のワークを前記粘着剤層にて保持した状態において拡張され、当該拡張の状態から解放された後、前記ワークが前記粘着剤層からピックアップされる用途に使用されることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のワーク処理用シート。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載のワーク処理用シートを使用して処理済みワークを製造する方法であって、
    複数のワークを前記粘着剤層にて保持した状態で前記ワーク処理用シートを拡張する拡張工程と、
    前記ワーク処理用シートを拡張した状態で、前記ワークに所定の処理を施す処理工程と、
    前記ワーク処理用シートを前記拡張の状態から解放する解放工程と、
    前記解放の状態にある前記ワーク処理用シートの前記粘着剤層から、前記処理済みのワークをピックアップするピックアップ工程と
    を備えたことを特徴とする処理済みワーク製造方法。
  9. 複数のワークを前記ワーク処理用シートの粘着剤層に転写する転写工程を備えたことを特徴とする請求項8に記載の処理済みワーク製造方法。
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