JP6009188B2 - ワーク加工用シート基材およびワーク加工用シート - Google Patents

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本発明は、半導体ウエハ等の被切断物(以下、「ワーク」と記載することがある)にダイシングなどの加工を行う際に、当該ワークが貼付、保持されるワーク加工用シートに用いられる基材に関し、また本発明はかかる基材を備えたワーク加工用シートに関する。
半導体ウエハなどのワークをダイシングし、得られたチップをダイボンドする一連の工程では、各種の粘着シートやフィルム状接着剤が用いられている。
たとえば、ダイシング工程に用いる粘着シートは、基材と感圧接着性を有する粘着剤層とからなり、半導体ウエハなどのワークをダイシングする際に、当該ワークを固定し、またダイシング後にはチップを保持するために用いられる。また、粘着シート上でダイシングされたチップを、該粘着シートから直接ピックアップしたり、またチップを、ピックアップ用粘着シートに転写した後に、ピックアップしたりすることがある。
また、ダイシング時のウエハ固定機能とダイボンド時のダイ接着機能とを同時に兼ね備えたダイシング・ダイボンド兼用シートも提案されている。ダイシング・ダイボンド兼用シートは、ウエハ保持機能とダイ接着機能とを兼ね備えた接着性樹脂層と、基材とからなる。接着性樹脂層は、ダイシング工程においては半導体ウエハやチップを保持し、ダイボンド時にはチップを固着するための接着剤として機能する。接着性樹脂層は、ダイシング時には、ウエハとともに切断され、切断されたチップと同形状の接着性樹脂層が形成される。ダイシング終了後、チップのピックアップを行うと、接着性樹脂層は、チップとともに剥離する。接着性樹脂層を伴ったチップを基板に載置し、加熱等を行い、チップと基板とを接着性樹脂層を介して接着する。このようなダイシング・ダイボンド兼用シートは、基材上に、ウエハ固定機能とダイ接着機能とを兼ね備えた接着性樹脂層が形成されてなる。
また、チップの表面に保護膜を形成するために、硬化性の樹脂層に半導体ウエハを貼付し、樹脂層を硬化させ、その後、半導体ウエハと樹脂層をダイシングし、硬化した樹脂層(保護膜)を有するチップを製造するプロセスも提案されている。このような保護膜形成用のシートは、剥離性基材上に保護膜となる接着性の樹脂層を有する。
以下、上記のようなダイシングシート、ピックアップ用粘着シート、ダイシング・ダイボンド兼用シート、保護膜形成用シートを総称して、「ワーク加工用シート」と呼ぶ。また、上記のような感圧接着性を有する粘着剤層や、ウエハ保持機能とダイ接着機能とを兼ね備えた接着性樹脂層および保護膜となる接着性の樹脂層を、単に「接着性樹脂層」と記載することがある。
このようなワーク加工用シートは、通常、基材としてポリオレフィン系フィルムまたはポリ塩化ビニル系フィルム等が使用されている。
ダイシング工程の具体的な手法として一般的なフルカットダイシングでは、回転する丸刃によってワークの切断が行われる。このとき、ワーク加工用シートが貼り付けられたワークが確実に切断されるように、ワークのみならず接着性樹脂層も切断され、さらに基材の一部も切断されることがある。
このとき、接着性樹脂層および基材を構成する材料からなるダイシング屑がワーク加工用シートから発生し、得られるチップがそのダイシング屑によって汚染される場合がある。そのようなダイシング屑の形態の一つに、糸状のダイシング屑がある。糸状のダイシング屑は、チップに付着し、ピックアップの際にチップに同伴してしまうことがある。
上記のような糸状のダイシング屑がチップに付着したままチップの封止を行うと、チップに付着する糸状のダイシング屑が封止の熱で分解し、この熱分解物がパッケージを破壊したり、得られるデバイスにて動作不良の原因となったりする。この糸状のダイシング屑は洗浄により除去することが困難であるため、糸状のダイシング屑の発生によってダイシング工程の歩留まりは著しく低下する。それゆえ、ワーク加工用シートを用いてダイシングを行う場合には、糸状のダイシング屑の発生を防止することが求められている。
また、複数のチップが硬化した樹脂で封止されているパッケージをワークとしてダイシングする場合には、半導体ウエハをダイシングする場合と比べ、より厚い刃幅のダイシングブレードが使用され、ダイシングの切り込み深さもより深くなる。このため、ダイシング時に切断除去される基材の量が半導体ウエハの場合よりも増えるため、糸状のダイシング屑の発生量も増加する。
一方、たとえばポリエステル樹脂のような軟化しにくいフィルムを基材に用いた場合には、ダイシング屑の発生は抑制される。しかしながら、このようなフィルムは引張り応力が高いためにエキスパンドを行うことが実質上不可能である。このため、ワークをチップ化した後、チップ間隔を離間することができず、チップのピックアップが困難になる。
ダイシング屑の発生を抑制することを目的として、特許文献1には、ダイシングシートの基材フィルムとして、電子線またはγ(ガンマ)線が1〜80Mrad照射されたポリオレフィン系フィルムを用いる発明が開示されている。当該発明では、電子線またはγ線の照射により基材フィルムを構成する樹脂が架橋し、基材の溶融が起こりにくくなるためダイシング屑の発生が抑制されると考えられる。
特許文献1においては、電子線またはγ線が照射されるポリオレフィン系フィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−アイオノマー共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリブテン等の樹脂が例示されている。
特開平5−211234号公報
しかしながら、電子線またはγ線の照射は、上記のような樹脂を一度フィルム状に成形した後に行われるため、製造工程が一つ増えることとなり、製造コストが一般の基材フィルムに比べ高くなる傾向にある。
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、電子線やγ線などの物理的なエネルギーを与えることなく、ワークのダイシング時に発生するダイシング屑、特に糸状のダイシング屑の発生を抑制する手段を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、下記の要旨を含む。
(1)ワーク加工用シートに用いられる基材であり、下記式にて示されるブロック共重合体を含む基材:
(高Tgブロック)−{(低Tgブロック)−(高Tgブロック)}n
ここで、
nは、1〜3の整数であり、
高Tgブロックは、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上の単量体単位からなるポリマーブロックであり、
低Tgブロックは、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃未満の単量体単位からなるポリマーブロックであり、
高Tgブロックのガラス転移温度と、低Tgブロックのガラス転移温度との差が、30℃以上であり、
ブロック共重合体の重合に用いる全単量体100質量%中、高Tgモノマーは25質量%以上含まれる。
(2)基材を構成するブロック共重合体を含むフィルムのヤング率が300MPa以下である(1)に記載の基材
(3)上記(1)または(2)に記載の基材の少なくとも片面に接着性樹脂層を有するワーク加工用シート。
(4)接着性樹脂層が感圧接着性を有する(3)に記載のワーク加工用シート。
(5)接着性樹脂層が、ダイ接着用である(3)に記載のワーク加工用シート。
(6)接着性樹脂層が、保護膜形成用である(3)に記載のワーク加工用シート。
本発明に係る基材およびワーク加工用シートによれば、電子線やγ線などの物理的なエネルギーを付与することなく、ワークのダイシング時に発生するダイシング屑を効果的に低減することができる。当該基材およびワーク加工用シートにおいては、電子線やγ線の処理を必要としないため、生産が容易である。
本発明の一実施形態に係るワーク加工用シートの断面図である。
以下、本発明に係る基材および該基材を備えたワーク加工用シートの実施の形態について、添付図面に基づいて説明する。
本発明に係る基材は、上記のダイシングシートやダイシング・ダイボンド兼用シートに代表されるワーク加工用シート1の基材2として用いられる樹脂製シートであり、ブロック共重合体を含む。この基材は、特に基材の一部が切断される工程を含むプロセスに用いられるワーク加工用シートの基材として好ましく用いられる。
<基材>
基材を構成するブロック共重合体は、下記式にて示される構造を有する。
(高Tgブロック)−{(低Tgブロック)−(高Tgブロック)}n
ここで、
nは、1〜3の整数であり、好ましくは1〜2の整数、特に好ましくは1であり、この場合には、該ブロック共重合体は、トリブロック共重合体である。
高Tgブロックは、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上、好ましくは50〜300℃、さらに好ましくは70〜200℃の単量体単位からなる重合鎖(ポリマーブロック)である。
ホモポリマーのTgが0℃以上の単量体としては、具体的には、下記の高Tgモノマーが挙げられる。なお、下記において、括弧内の数字は、ホモポリマーのTg(℃)を示す。
アクリル酸(103℃)、メタクリル酸(228℃)、アクリル酸メチル(10℃)、メタクリル酸メチル(105℃)、酢酸ビニル(32℃)、アクリルアミド(109℃)、スチレン(100℃)を以下では総称して高Tgモノマーと呼ぶ。これらの高Tgモノマーの中でも、特にメタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、酢酸ビニル、アクリルアミドが好ましく用いられる。このような高Tgモノマーを用いた場合には、ブロック共重合体において高Tgモノマー同士が静電的な相互作用を持ちにくく、ブロック共重合体の重合に用いる単量体中の高Tgモノマーの割合が増加しても、基材の柔軟性が維持されやすい。また、高Tgモノマーとしては、特に、反応性が低く、ホモポリマーのTgの高いメタクリル酸メチルが好ましい。
高Tgブロックは、上記高Tgモノマー1種の重合鎖からなるブロックであってもよく、また2種以上の高Tgモノマーを共重合した共重合ブロックであってもよい。1個の高Tgブロックの重合度は、好ましくは50〜1000、さらに好ましくは100〜500である。また、Foxの式から計算される高Tgブロックのガラス転移温度は、好ましくは50〜300℃、さらに好ましくは70〜200℃である。Foxの式は、下記式にて示される。したがって、高Tgブロックのガラス転移温度は、高Tgモノマーの種類および比率により制御することができる。具体的には、ホモポリマーのTgが高いモノマー成分の比率を高くすることで、高Tgブロックのガラス転移温度を高くできる。
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2・・・・(Foxの式)
Tg1,Tg2:モノマー成分1,2のホモポリマーのTg(K)
w1,w2:モノマー成分1,2の重量分率
また、ブロック共重合体中に複数存在する高Tgブロックは、同一の組成であってもよく、異なっていてもよい。
低Tgブロックは、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃未満、好ましくは−120〜0℃、さらに好ましくは−80〜−10℃の単量体単位からなるポリマーブロックである。
ホモポリマーのTgが0℃未満の単量体としては、具体的には、下記の低Tgモノマーが挙げられる。なお、下記において、括弧内の数字は、ホモポリマーのTg(℃)を示す。
アクリル酸エチル(−24℃)、アクリル酸ブチル(−54℃)、メタクリル酸ブチル(−24℃)、アクリル酸ヘキシル(−57℃)、メタクリル酸ヘキシル(−5℃)、アクリル酸2−エチルヘキシル(−70℃)、エチレン(−125℃)、イソプレン(−73℃)、ブタジエン(−7℃)、塩化ビニリデン(−18℃)を以下では総称して低Tgモノマーと呼ぶ。これらの低Tgモノマーの中でも、高Tgモノマーとして好ましいメタクリル酸メチルとのブロック共重合が容易である、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく用いられ、ホモポリマーのTgが過度に低くないアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルが特に好ましい。
低Tgブロックは、上記低Tgモノマー1種の重合鎖からなるブロックであってもよく、また2種以上の低Tgモノマーを共重合した共重合ブロックであってもよい。低Tgブロックの重合度は、好ましくは200〜2000、さらに好ましくは300〜1000である。また、Foxの式から計算される低Tgブロックのガラス転移温度は、好ましくは−120〜0℃、さらに好ましくは−80〜−10℃である。低Tgブロックのガラス転移温度は、低Tgモノマーの種類および比率により制御することができる。具体的には、ホモポリマーのTgが低いモノマー成分の比率を高くすることで、低Tgブロックのガラス転移温度を低くできる。
また、nが2以上の場合、ブロック共重合体中に複数存在する低Tgブロックは、同一の組成であってもよく、異なっていてもよい。
また、Foxの式から計算される高Tgブロックのガラス転移温度と、低Tgブロックのガラス転移温度との差は、30℃以上であり、好ましくは80〜300℃、さらに好ましくは100〜250℃である。ここで、異なる組成の複数の高Tgブロックが存在する場合は、最も低いガラス転移温度を有する高Tgブロックの値を採用し、異なる組成の複数の低Tgブロックが存在する場合は、最も高いガラス転移温度を有する高Tgブロックの値を採用して、これらの差を上記のガラス転移温度の差とする。
ブロック共重合体の重合に用いる全単量体100質量%中、高Tgモノマーの割合は、25質量%以上であり、好ましくは30〜60質量%であり、さらに好ましくは、35〜60質量%である。高Tgモノマーの割合が少なすぎる場合には、両末端が高Tgブロックで構成されるブロック共重合体を基材に用いても、ダイシング屑の発生を抑制できない。基材におけるブロック共重合体を含むフィルムに、複数の種類のブロック共重合体が含まれる場合は、ブロック共重合体の重合に用いる全単量体100質量%中の高Tgモノマーの割合は、それらのものの平均である。
ブロック共重合体の重量平均分子量は、好ましくは3万以上、さらに好ましくは4万〜20万である。ブロック共重合体の分子量が高すぎる場合には、ブロック共重合体を有機溶剤に溶解した溶液の粘度が高くなり、製膜が困難になることがある。一方、ブロック共重合体の分子量が低すぎる場合には、造膜性に劣り、フィルム化できないことがある。
上記のようなブロック共重合体を基材の主成分として用いることで、基材には、十分なエキスパンド性が付与され、またダイシング時に基材の一部が切り込まれても、糸状のダイシング屑の発生は低減される。何ら理論的に制限されるものではないが、上記効果が奏される機構を本発明者らは次のように推定している。
すなわち、低Tgブロックの存在により、基材は柔軟性を有し、十分なエキスパンド性が得られる。しかし、低Tgブロック自体は溶融しやすく、基材の一部がダイシングブレードにより切り込まれると、その際の摩擦熱により溶融し、ブレードの回転により引き延ばされ、糸状の屑を発生するおそれがある。
しかし、高Tgブロックが、共重合体の両末端に存在することで、ブロック共重合体自体は軟化しつつも溶融し難い構造を有する。このため、基材は柔軟でありながらも、溶融しにくいという性質を示し、糸状屑の発生が抑制されると考えられる。
ブロック共重合体の製造方法は、特に限定はされないが、リビング重合法を用いることで、ブロック共重合体が得られやすい。高Tgモノマー、低Tgモノマーとして、上述した好ましいモノマーを選択した場合には、リビングラジカル重合法を用いることが好ましい。低Tgモノマーの重合または共重合を行い、低Tgブロックを製造した後、低Tgブロックの存在下で高Tgモノマーの重合または共重合を行うことで、両末端が高Tgブロックであり、中間ブロックが低Tgブロックのトリブロック共重合体が得られる。また、該トリブロック共重合体の存在下で、さらに低Tgモノマーの重合または共重合、およびその後の高Tgモノマーの重合または共重合を繰り返すことで、前記式におけるnを増加することができる。最終工程において、高Tgモノマーの重合または共重合を行うことで、両末端が高Tgブロックのマルチブロック共重合体が得られる。
なお、低Tgモノマーの重合と、高Tgモノマーの重合を交互に行うと、高Tgモノマーの重合時に未反応の低Tgモノマーも重合し、高Tgブロックに低Tgモノマー単位が含まれることがあり、この逆もある。したがって、高Tgブロックには、5質量%未満の割合で低Tgモノマー単位が含まれていてもよく、また低Tgブロックには、5質量%未満の割合で高Tgモノマー単位が含まれていてもよい。
本発明の基材には、上記ブロック共重合体が含まれる。基材はブロック共重合体を含む単層フィルムであってもよく、またブロック共重合体を含むフィルムと他の樹脂フィルムとの積層体であってもよい。基材の厚みは、好ましくは20〜300μm、さらに好ましくは60〜200μmの範囲にある。基材の厚みが薄すぎると、ダイシングブレードにより基材が切り込まれると、その部分の厚みが極度に薄くなり、エキスパンドの際に断裂するおそれがある。厚すぎると引張りに対する力が昂進し、エキスパンド性が低下することがある。
基材が単層フィルムの場合、該フィルムは上記ブロック共重合体のみから構成されていてもよく、またポリオレフィンやポリ塩化ビニルなどの他の共重合体、フィラー、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤などが含まれていても良い。このような他の成分は、基材を構成する固形分100質量%中にたとえば50質量%以下の割合で配合することができる。本発明の前記ブロック共重合体に由来する効果を発揮させるためには、前記ブロック共重合体の、基材を構成する固形分中における割合は多いほど好ましく、基材を構成する固形分100質量%中に、前記ブロック共重合体は、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは50〜100質量%の割合で含まれ、特に好ましくは90〜100質量%の割合で含まれる。上記ブロック共重合体は、ブロック共重合体の重合に用いる単量体中の高Tgモノマーの割合を比較的多くすることができ、高Tgモノマーの割合の多寡により基材の特性を一定程度制御することができる。したがって、ブロック共重合体以外の他の共重合体等を添加して基材の特性を制御する必要性が小さく、製造方法の簡便化、配合の簡素化等が可能であり生産性に優れる。
このようなブロック共重合体を含むフィルムの製法は特に限定はされないが、前記ブロック共重合体、その他の添加剤および適当な溶剤または分散媒を混合し、得られた溶液または分散液を適当な塗工手段で塗工、乾燥して、ブロック共重合体を含むフィルムが得られる。または、一般的にフィルム製膜で用いられる溶融押出法、カレンダー法を用いても良い。
ブロック共重合体を含むフィルムのヤング率は、300MPa以下であることが好ましく、200〜100でMPaであることが好ましい。ブロック共重合体を含むフィルムのヤング率がこのような範囲にあることで、基材がブロック共重合体フィルムの単層フィルムである場合には、基材のエキスパンド性を向上させることが容易となる。また、基材がブロック共重合体を含むフィルムと他のフィルムとの積層体の場合には、ワーク加工用シートを用いてダイシングを行う際に、ブロック共重合体を含むフィルムを完全に切断しきらなかったときでも、残存したブロック共重合体を含むフィルムがエキスパンドの妨げとなり難い。
また、基材が積層体の場合には、上記ブロック共重合体と他の樹脂を共押出法により基材としても良い。または、上記のブロック共重合体を含むフィルムと、他の樹脂フィルムとを、ドライラミネーションや接着剤により一体化し、あるいはブロック共重合体を40〜90℃程度に加熱することにより軟化させて他の樹脂フィルムと貼りあわせて基材を得ることもできる。他の樹脂フィルムとしては、たとえば、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等のポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリイミドフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、フッ素樹脂フィルム、およびその水添加物または変性物等からなるフィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルム、共重合体フィルムも用いられる。他の樹脂フィルムとしては、25%伸長時の引張応力が100MPa以下の軟質フィルムを一層以上用いることが好ましい。軟質フィルムの25%伸長時の引張応力は、より好ましくは50MPa以下である。基材を、かかる軟質フィルムを用いた積層体とすることで、基材のエキスパンド性がいっそう向上する。
また、基材が積層体の場合には、ブロック共重合体を含むフィルム上に後述の接着性樹脂層を形成する。接着性樹脂層の直下の基材を構成する層は、ダイシング時にダイシングブレードにより切り込まれるが、接着性樹脂層の直下の基材を構成する層を、上記ブロック共重合体を含むフィルムとすることにより、ダイシング時に基材が切り込まれた場合であっても、発生するダイシング屑を効果的に低減することができる。ここで、「直下の」とは、本発明のダイシング屑を低減する効果を損なわない範囲で、後述するプライマーや剥離剤からなる層などを介している状態も含む。
なお、ブロック共重合体を含むフィルムには、前記単層基材と同様に他の共重合体、フィラー、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤などの他の成分が10質量%以下の割合で含まれていても良い。
また、基材が積層体の場合、基材全体の厚さは、上述したとおりの範囲が好ましいが、ブロック共重合体を含むフィルムの厚みとしては、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。
基材の接着性樹脂層と接する面には接着性樹脂層との密着性を向上するために、コロナ処理を施したりプライマー等の他の層を設けてもよい。さらに基材から接着性樹脂層を剥離し、チップ等に接着性樹脂層を転写する場合には、接着性樹脂層と基材との間での剥離を容易にするため、基材表面に剥離処理を施しても良い。この場合、基材の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは25〜35mN/mである。剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
上記の剥離剤を用いて基材の表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布することもできるが、ブロック共重合体を含むフィルムの熱による変形等を防ぐ観点から、紫外線硬化性の剥離剤を用いることが好ましい。
<接着性樹脂層>
本発明のワーク加工用シート1は、上記した基材2の少なくとも片面に接着性樹脂層3を有する。基材が、積層体である場合には、ブロック共重合体を含むフィルム上に接着性樹脂層が形成される。ワーク加工用シートにおける接着性樹脂層は、シートの用途に応じて様々な機能を有する樹脂の中から適宜に選択される。
(感圧接着性樹脂層)
ワーク加工用シートをダイシングシートとして用いる場合には、接着性樹脂層が再剥離性を有する感圧性接着剤層(粘着剤層)からなることが好ましい。前記した基材は、比較的軟質であり、エキスパンド性に優れており、かつ、基材が特定のブロック共重合体を含むため、ダイシングブレードが基材を切り込んだ場合であっても糸状のダイシング屑の発生が起こりにくい。
ダイシングシートは、半導体ウエハなどのワークをダイシングしチップ化する際に、ワークならびにダイシングにより生成するチップを保持しておくために使用される。したがって、ダイシング後にチップを剥離できる程度の適度な再剥離性を有することが求められる。このような粘着剤層は、従来より公知の種々の感圧性接着剤(粘着剤)により形成され得る。粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤が用いられる。これらの中でも粘着力の制御が容易なアクリル系粘着剤が特に好ましい。
アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル重合体を主剤とする。(メタ)アクリル酸エステル重合体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ミリスチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸ベンジルなどの芳香族(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどの脂環族(メタ)アクリル酸エステル(以下、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族(メタ)アクリル酸エステル、脂環族(メタ)アクリル酸エステルを併せて、エステル構造に炭化水素のみが付加した(メタ)アクリル酸エステルということがある。)と、必要に応じて、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシブチル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−3−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有化合物;アクリルアミドなどのアミド基含有化合物;スチレン、ビニルピリジンなどの芳香族化合物などの重合性単量体から選ばれる1種以上の単量体の単独重合体または共重合体などが挙げられる。また、(メタ)アクリルは、アクリルとメタクリルの両者を含む意味で用いる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体におけるエステル構造に炭化水素のみが付加した(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位の含有割合は、10〜98質量%が好ましく、20〜95質量%がより好ましく、50〜93質量%がさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量は、10万〜250万が好ましく、20万〜150万がより好ましく、30万〜100万が特に好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
これらの粘着剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの粘着剤のうち、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。特に、上記の(メタ)アクリル酸エステル重合体を、ポリイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、キレート系架橋剤などの架橋剤の1種以上で架橋させて得られるアクリル系粘着剤が好ましい。
エポキシ系架橋剤としては、(1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N',N'−テトラグリジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアネート、m−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−ジグリシジルアニリン、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
ポリイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素化トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート及びその水添体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマー、ポリメチロールプロパン変性TDIなどが挙げられる。
架橋剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。架橋剤の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
さらに、ワーク加工用シートをダイシングシートとして用いる場合、粘着剤層は、エネルギー線硬化や加熱発泡、水膨潤などにより接着力を制御できる粘着剤であってもよい。エネルギー線硬化型粘着剤層は、従来より公知のガンマ線、電子線、紫外線、可視光等のエネルギー線の照射により硬化する種々のエネルギー線硬化型粘着剤により形成され得るが、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。
エネルギー線硬化型粘着剤としては、例えばアクリル系粘着剤に、多官能エネルギー線硬化樹脂を混合した粘着剤が挙げられる。多官能エネルギー線硬化樹脂としては、エネルギー線重合性の官能基を複数有する低分子化合物、ウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。また、側鎖にエネルギー線重合性の官能基を有する重合体を含む粘着剤も用いることができる。このようなエネルギー線重合性官能基としては(メタ)アクリロイル基が好ましい。
このようなダイシングシートは、半導体加工に汎用されていたものであり、ダイシング時にはウエハを固定し、またダイシングにより生成したチップが飛散しない程度の接着力を有する。ダイシング工程終了後には、チップをピックアップする。この際、突き上げピンや吸引コレットなどを用いて、ダイシングシートからチップをピックアップする。また、粘着剤層がエネルギー線硬化性を有する場合には、粘着剤層にエネルギー線を照射し、粘着力を低下させることで、チップのピックアップがより容易になる。また、チップのピックアップ時には、チップ同士の間隔を離間するために、ダイシングシートにチップが固定された状態でダイシングシートをエキスパンドすることが好ましい。エキスパンドによりチップ間隔が離間し、チップの認識が容易になり、またチップ同士の接触による破損も低減され歩留りも向上する。
(フィルム状接着剤)
さらに、本発明のワーク加工用シートは、ダイシング時のウエハ固定機能とダイボンド時のダイ接着機能とを同時に兼ね備えたダイシング・ダイボンド兼用シートであってもよい。この場合、接着性樹脂層を、感圧接着性を有し、又は加熱により軟化して被着体に付着する性状とすることで、ダイシング工程において半導体ウエハやチップを保持することができる。そして、ダイボンド時にはチップを固着するための接着剤として機能する。接着性樹脂層は、ダイシング時には、ウエハとともに切断され、切断されたチップと同形状の接着性樹脂層が形成される。ダイシング終了後、チップのピックアップを行うと、接着性樹脂層は、チップとともに基材から剥離する。接着性樹脂層を伴ったチップを基板に載置し、加熱等を行い、チップと、基板や他のチップ等の被着体とを接着性樹脂層を介して接着する。このようなダイシング・ダイボンド兼用シートは、基材上に、ウエハ固定機能とダイ接着機能とを兼ね備えた、接着性樹脂層が形成されてなる。このようなウエハ固定機能とダイ接着機能とを兼ね備えた接着性樹脂層は、たとえばバインダー樹脂と、エポキシ接着剤を含み、また必要に応じ、エネルギー線硬化型化合物および硬化助剤等を含む。接着性樹脂層のチップへの転写を容易にするため、ダイシング・ダイボンド兼用シートにおける基材は剥離処理されていることが好ましい。なお、接着性樹脂層付チップのピックアップ時には、前記と同様にエキスパンドを行うことが好ましい。
(保護膜形成用シート)
さらに、ワーク加工用シートは、チップの裏面に保護膜を形成するための保護膜形成用シートであってもよい。この場合、接着性樹脂層に半導体ウエハを貼付し、接着性樹脂層を硬化させ、その後、半導体ウエハと樹脂層をダイシングし、硬化した樹脂層(保護膜)を有するチップを得る。このような保護膜形成用のシートは、剥離性基材上に保護膜となる接着性の樹脂層を有する。保護膜となる接着性樹脂層は、たとえばバインダー樹脂と、エポキシ接着剤および硬化助剤を含み、また必要に応じフィラー等が含まれていても良い。
<ワーク加工用シート>
本発明のワーク加工用シート1における接着性樹脂層3の厚みは、その用途により様々であり、ダイシングシートとして用いる場合は、30〜200μm程度であり、またダイシング・ダイボンド兼用シートとして用いる場合には、50〜300μm程度である。
接着性樹脂層3は、上記基材2の片面に直接塗工して形成してもよく、また剥離フィルム上に接着性樹脂層を形成した後、これを基材上に転写してもよい。
以上、本発明のワーク加工用シートについて、接着性樹脂層の代表的な組成と用途について概説したが、本発明のワーク加工用シートにおける接着性樹脂層は上記のものに限定されることはなく、またその用途も特に限定されない。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「ブロック共重合体を含むフィルムまたは基材のヤング率」は以下のように測定し、「ダイシング屑」および「エキスパンド性」は以下のように評価した。
(ブロック共重合体を含むフィルムまたは基材のヤング率)
ブロック共重合体を含むフィルムまたは基材のヤング率は、万能引張試験機(オリエンテック社製テンシロンRTA−T−2M)を用いて、JIS K7161:1994に準拠して、23℃、湿度50%の環境下において引張速度200mm/分で測定した。実施例1〜4および比較例1については、得られた基材について試験を行い、実施例5については、エチレン・メタクリル酸共重合体フィルムと積層させる前のブロック共重合体を含むフィルムについて試験を行った。また、比較例2および3で用いた基材についても参考のためヤング率を測定した。
(ダイシング屑)
実施例および比較例で作成したワーク加工用シートの接着性樹脂層をシリコンウエハに貼付した後、ダイシング装置(DISCO社製,DFD−651)にセットし、以下の条件でダイシングを行った。
・ワーク(被着体):シリコンウエハ
・ワークサイズ:6インチ、厚さ 350μm
・ダイシングブレード:ディスコ社製 NBC-ZH 2050 27HECC
・ブレード回転数:30,000rpm
・ダイシングスピード:80mm/秒
・切り込み深さ:基材フィルム表面より20μmの深さまで切り込み
・ダイシングサイズ:10mm×10mm
上記条件でダイシング後、基材フィルム側から紫外線を照射(160mJ/cm)して、切断されたチップを剥離した。縦及び横のダイシングラインのうち、それぞれの中央付近における縦の1ライン及び横の1ラインに発生した糸状屑の個数を、デジタル顕微鏡(キーエンス社製,VHX−100,倍率:100倍)を用いてカウントした。糸状屑の個数が0〜10個のものを良好、11個以上のものを不良として評価した。
(エキスパンド性)
上記条件でダイシングおよび紫外線照射を行った後、エキスパンド装置(SE−100 JCM社製)を用いて、5mm/sの速さで引き落としエキスパンドを行った。エキスパンド性について、エキスパンドが可能な引き落とし量(長さ)の最大値を基準として評価を行った。引き落とし量の最大値が長いほど、エキスパンド性に優れている。
(実施例1)
(接着性樹脂)
2-エチルヘキシルアクリレート40質量部、酢酸ビニルモノマー40質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20質量部からなる共重合体100gに対して33.6gメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを反応させて得られたポリマー100質量部と、紫外線硬化型反応開始剤3質量部と、架橋剤(イソシアネート系)1質量部とを配合し、接着性樹脂組成物を得た。
(基材)
ブロック共重合体の重合に用いる全単量体100質量%中のメタクリル酸メチルの割合が30質量%であり、両末端がポリメタクリル酸メチルブロック(高Tgブロック)であり、中間ブロックがポリアクリル酸ブチルブロック(低Tgブロック)である、重量平均分子量が50000のトリブロック共重合体(株式会社クラレ社製、LA−2250)をメチルエチルケトンで溶解させ混合物を作成した。なお、以下の実験例においても同様に、ポリメタクリル酸メチルブロックが高Tgブロックであり、ポリアクリル酸ブチルブロックが低Tgブロックである。
上記の混合溶液を、第1の剥離フィルム(リンテック社製、SP−PET381031、表面が剥離処理された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)上に乾燥後の厚さが80μmとなるように塗布し、100℃で3分間加熱し、ブロック共重合体を含むフィルムのみからなる基材を形成した。
(ワーク加工用シート)
接着性樹脂組成物を、第2の剥離フィルム(リンテック社製、SP−PET381031)の剥離処理された面上に厚さ10μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱した。次いで、得られた接着性樹脂層と基材フィルムと貼合し、第1および第2の剥離フィルムを剥離し、基材上に接着性樹脂層を有するワーク加工用シートを作成した。
得られたワーク加工用シートを用いて、「ダイシング屑」および「エキスパンド性」の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
基材を構成するトリブロック共重合体として、ブロック共重合体の重合に用いる全単量体100質量%中のメタクリル酸メチルの割合が30質量%であり、両末端がポリメタクリル酸メチルブロックであり、中間ブロックがポリアクリル酸ブチルブロックである、重量平均分子量が80000のトリブロック共重合体(株式会社クラレ社製、LA−2550)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ワーク加工用シートを作成した。結果を表1に示す。
(実施例3)
基材を構成するトリブロック共重合体として、ブロック共重合体の重合に用いる全単量体100質量%中のメタクリル酸メチルの割合が30質量%であり、両末端がポリメタクリル酸メチルブロックであり、中間ブロックがポリアクリル酸ブチルブロックである、重量平均分子量が50000のトリブロック共重合体(株式会社クラレ社製、LA−2250)と、ブロック共重合体の重合に用いる全単量体100質量%中のメタクリル酸メチルの割合が50質量%であり、両末端がポリメタクリル酸メチルブロックであり、中間ブロックがポリアクリル酸ブチルブロックである、重量平均分子量が50000のトリブロック共重合体(株式会社クラレ社製、LA−4285)との等量混合物(メタクリル酸メチルのブロック共重合体の重合に用いる全単量体100質量%中の割合の平均が40質量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ワーク加工用シートを作成した。結果を表1に示す。
(実施例4)
基材を構成するトリブロック共重合体として、ブロック共重合体の重合に用いる全単量体100質量%中のメタクリル酸メチルの割合が50質量%であり、両末端がポリメタクリル酸メチルブロックであり、中間ブロックがポリアクリル酸ブチルブロックである、重量平均分子量が50000のトリブロック共重合体(株式会社クラレ社製、LA−4285)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ワーク加工用シートを作成した。結果を表1に示す。
(実施例5)
(積層基材)
ブロック共重合体の重合に用いる全単量体100質量%中のタクリル酸メチルの割合が50質量%であり、両末端がポリメタクリル酸メチルブロックであり、中間ブロックがポリアクリル酸ブチルブロックである、重量平均分子量が50000のトリブロック共重合体(株式会社クラレ社製、LA−4285)をメチルエチルケトンで溶解させ混合物を作成した。
上記の混合溶液を、第1の剥離フィルム(リンテック社製、SP−PET381031)上に乾燥後の厚さが30μmとなるように塗布し、100℃で3分間加熱しブロック共重合体を含むフィルムを形成した。
次いで、厚さ60μmのエチレン・メタクリル酸共重合体フィルム(25%伸長時の引張応力:7.8MPa)と前記ブロック共重合体フィルムとを60℃に加熱して積層し基材を得た。
(ワーク加工用シート)
上記基材のブロック共重合体を含むフィルム側に、接着性樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ワーク加工用シートを作成した。結果を表1に示す。
(比較例1)
基材を構成するトリブロック共重合体として、ブロック共重合体の重合に用いる全単量体100質量%中のメタクリル酸メチルの割合が20質量%であり、両末端がポリメタクリル酸メチルブロックであり、中間ブロックがポリアクリル酸ブチルブロックである、重量平均分子量が50000のトリブロック共重合体(株式会社クラレ社製、LA−2140e)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ワーク加工用シートを作成した。結果を表1に示す。
(比較例2)
基材として、厚さ80μmのエチレン・メタクリル酸共重合体フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、ワーク加工用シートを作成した。結果を表1に示す。
(比較例3)
基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、ワーク加工用シートを作成した。結果を表1に示す。
Figure 0006009188
1:ワーク加工用シート
2:基材
3:接着性樹脂層

Claims (6)

  1. ワーク加工用シートに用いられる基材であり、下記式にて示されるブロック共重合体を含む基材:
    (高Tgブロック)−{(低Tgブロック)−(高Tgブロック)}n
    ここで、
    nは、1〜3の整数であり、
    高Tgブロックは、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上であるメタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、酢酸ビニルおよびアクリルアミドからなる群から選択される1種以上の高Tgモノマーの単量体単位からなるポリマーブロックであり、
    低Tgブロックは、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃未満であるアクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルからなる群から選択される1種以上の低Tgモノマーの単量体単位からなるポリマーブロックであり、
    高Tgブロックのガラス転移温度と、低Tgブロックのガラス転移温度との差が、30℃以上であり、
    ブロック共重合体の重合に用いる全単量体100質量%中、高Tgモノマーは25質量%以上含まれる。
  2. 基材を構成するブロック共重合体を含むフィルムのヤング率が300MPa以下である請求項1に記載の基材
  3. 請求項1または2に記載の基材の少なくとも片面に接着性樹脂層を有するワーク加工用シート。
  4. 接着性樹脂層が感圧接着性を有する請求項3に記載のワーク加工用シート。
  5. 接着性樹脂層が、ダイ接着用である請求項3に記載のワーク加工用シート。
  6. 接着性樹脂層が、保護膜形成用である請求項3に記載のワーク加工用シート。
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