JP2022151106A - 圧電振動板および圧電振動デバイス - Google Patents

圧電振動板および圧電振動デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】高周波領域でのスプリアスを抑制することが可能な圧電振動板、およびそのような圧電振動板を備えた圧電振動デバイスを提供する。【解決手段】水晶振動板10において、振動部11の一主面および他主面に設けられた対向する3対の金属膜111a,112aが形成され、3対の金属膜111a,112aのそれぞれが平面視で同一の矩形状に形成され、当該3対の金属膜111a,112aによってそれぞれ振動領域が形成され、隣接する振動領域が、互いに逆向きの電位からなる電界で構成されるように、3対の金属膜111a,112aが電気的に直列に接続されている。【選択図】図8

Description

本発明は、圧電振動板およびこれを備えた圧電振動デバイスに関する。
例えばATカット水晶振動板等の厚みすべり振動にて動作する圧電振動板を備えた圧電振動デバイス(例えば圧電振動子、圧電発振器等)では、圧電振動板の表裏面に一対の励振電極が対向して形成され、当該励振電極に交流電圧が印加される構成になっている(例えば、特許文献1参照)。
上述したような圧電振動デバイスでは、製造誤差によって圧電振動板の振動部に生じた厚みの差(厚みムラ)等に起因して、圧電振動デバイスの主振動の近傍にスプリアスが発生する可能性がある。特に、高周波領域(例えば300MHz程度)では、僅かな厚みムラであったとしても、スプリアスの影響が大きくなり、圧電振動デバイスの特性に悪影響を及ぼすことが懸念される。
特開2010-252051号公報
本発明は上述したような実情を考慮してなされたもので、高周波領域でのスプリアスを抑制することが可能な圧電振動板、およびそのような圧電振動板を備えた圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、厚みすべり振動にて動作する振動部を有する圧電振動板であって、前記振動部の一主面および他主面に設けられた対向する一対の金属膜が、3以上の奇数個、形成され、奇数対の金属膜のそれぞれが平面視で同一の形状に形成され、当該奇数対の金属膜によってそれぞれ振動領域が形成され、隣接する振動領域が、互いに逆向きの電位からなる電界で構成されるように、奇数対の金属膜が電気的に直列に接続されていることを特徴とする。
上記構成によれば、振動部に設けられた奇数対の金属膜が、独立した振動状態で励振する。この際、製造誤差によって振動部に発生した厚みムラ等に起因して、奇数対の金属膜が僅かに異なる周波数帯で励振する。奇数対の金属膜が電気的に直列に接続されているので、異なる周波数帯の振動が取り除かれ(減衰され)、共通する周波数帯の振動が取り出され、振動部がその共通の周波数帯で励振する。このように、振動部に設けられた奇数対の金属膜が、互いにフィルターのように動作することによって、振動部の厚みムラ等に起因する振動を取り除くことができ、高周波領域でのスプリアスを抑制することができる。これに加え、高周波領域でのQ値を高めることができる。これにより、高周波領域において、振動部を所望の周波数帯で確実に励振させることができる。
上記構成において、前記各金属膜のうち、入力側および出力側の配線が接続される金属膜を除いて、隣接する2個の金属膜が、前記振動部の一主面および他主面のうち一方のみに設けられた接続部を介して接続されており、前記接続部の数は、金属膜の対の数よりも1だけ少なく、前記接続部は、前記振動部の一主面および他主面に交互に設けられていることが好ましい。このようにして、振動部に設けられた奇数対の金属膜を電気的に直列に接続することによって、高周波領域において、振動部を所望の周波数帯で確実に励振させることができる。
上記構成において、前記接続部は、前記振動部の中心に対して対称的な位置に設けられていることが好ましい。この構成によれば、接続部をバランスよく配置することによって、高周波領域でのスプリアス抑制効果を高めることができる。
上記構成において、前記各金属膜は、同一の厚みに形成されていることが好ましい。また、前記各金属膜は、前記振動部の外周部を除く平坦な領域に設けられていることが好ましい。振動部の外周部は、例えばエッチングによる結晶面や、機械加工による断面が現れるため、均一な厚みになりにくい。したがって、そのような外周部を避けた平坦な領域に金属膜を設けることによって、振動部に設けられた奇数対の金属膜の周波数帯をできる限り近づけることができる。これにより、高周波領域でのスプリアス抑制効果を高めることができる。
上記構成において、前記振動部と、当該振動部の外周を取り囲む外枠部と、前記振動部と前記外枠部とを連結する保持部とを備え、前記振動部と前記外枠部との間には、厚み方向に貫通する貫通部が設けられていることが好ましい。このような振動部と外枠部とが保持部によって連結された枠体付きの圧電振動板を用いた場合、圧電振動デバイスの小型化および低背化を図ることが可能であるが、そのような小型化および薄型化を図った圧電振動デバイスにおいて、高周波領域でのスプリアス抑制効果を高めることができる。
上記構成において、前記振動部と、当該振動部の外周を取り囲み、当該振動部よりも厚肉に形成された厚肉部とを備えていることが好ましい。この構成によれば、高周波化に対応させるために振動部を薄肉に形成した場合であっても、振動部の外周側に厚肉部が存在するため、振動部の機械的強度を確保することができる。
上記構成において、前記各金属膜は、金、銀、またはアルミニウムからなることが好ましい。この構成によれば、Au(金)は、300MHz以下の周波数領域、および300MHz以上500MHz以下の周波数領域における共振に適した電極荷重を有しており、圧晶振動板の各金属膜の材料として好適に用いることができる。また、Al(アルミニウム)は、300MHz以上500MHz以下の周波数領域、および500MHz以上の周波数領域における共振に適した電極荷重を有しており、圧晶振動板の各金属膜の材料として好適に用いることができる。
また、本発明は、上記いずれかの構成の圧電振動板を備えた圧電振動デバイスであってもよく、前記圧電振動板の前記振動部の一主面側を覆う第1封止部材と、前記圧電振動板の前記振動部の他主面側を覆う第2封止部材とが備えられ、前記第1封止部材と前記圧電振動板とが接合され、かつ前記第2封止部材と前記圧電振動板とが接合されることによって、前記圧電振動板の前記振動部が気密封止されることを特徴とする。上記構成の圧電振動板を備えた圧電振動デバイスによれば、上述した圧電振動板の作用効果と同様の作用効果が得られる。すなわち、振動部と外枠部とが連結部によって連結された枠体付きの圧電振動板を用いた場合、圧電振動デバイスの小型化および低背化を図ることが可能であるが、そのような小型化および薄型化を図った圧電振動デバイスにおいて、高周波領域でのスプリアス抑制効果を高めることができる。
本発明によれば、高周波領域でのスプリアスを抑制することが可能な圧電振動板、およびそのような圧電振動板を備えた圧電振動デバイスを提供することができる。
本実施形態にかかる水晶振動子の各構成を模式的に示した概略構成図である。 水晶振動子の第1封止部材の第1主面側の概略平面図である。 水晶振動子の第1封止部材の第2主面側の概略平面図である。 本実施形態にかかる水晶振動板の第1主面側の概略平面図である。 本実施形態にかかる水晶振動板の第2主面側の概略平面図である。 水晶振動子の第2封止部材の第1主面側の概略平面図である。 水晶振動子の第2封止部材の第2主面側の概略平面図である。 水晶振動板の振動部の第1主面に設けられた金属膜を示す概略平面図である。 水晶振動板の振動部の第2主面に設けられた金属膜を示す概略平面図である。 図8のX1-X1線断面図である。 変形例1にかかる金属膜を示す図8相当図である。 変形例1にかかる金属膜を示す図9相当図である。 変形例2にかかる金属膜を示す図8相当図である。 変形例2にかかる金属膜を示す図9相当図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、本発明を適用する圧電振動デバイスが水晶振動子である場合について説明する。
まず、本実施形態にかかる水晶振動子100の基本的な構造を説明する。水晶振動子100は、図1に示すように、水晶振動板(圧電振動板)10、第1封止部材20、および第2封止部材30を備えて構成されている。この水晶振動子100では、水晶振動板10と第1封止部材20とが接合され、水晶振動板10と第2封止部材30とが接合されることによって、略直方体のサンドイッチ構造のパッケージが構成される。すなわち、水晶振動子100においては、水晶振動板10の両主面のそれぞれに第1封止部材20および第2封止部材30が接合されることでパッケージの内部空間(キャビティ)が形成され、この内部空間に振動部11(図4、図5参照)が気密封止される。
本実施形態にかかる水晶振動子100は、例えば、1.0×0.8mmのパッケージサイズであり、小型化と低背化とを図ったものである。また、小型化に伴い、パッケージでは、キャスタレーションを形成せずに、後述するスルーホールを用いて電極の導通を図っている。また、水晶振動子100は、外部に設けられる外部回路基板(図示省略)に半田を介して電気的に接続されるようになっている。
次に、上記した水晶振動子100における水晶振動板10、第1封止部材20および第2封止部材30の各部材について、図1~図7を用いて説明する。なお、ここでは、接合されていないそれぞれ単体として構成されている各部材について説明を行う。図2~図7は、水晶振動板10、第1封止部材20および第2封止部材30のそれぞれの一構成例を示しているに過ぎず、これらは本発明を限定するものではない。
本実施形態にかかる水晶振動板10は、図4、図5に示すように、水晶からなる圧電基板であって、その両主面(第1主面101、第2主面102)が平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施形態では、水晶振動板10として、厚みすべり振動を行うATカット水晶板が用いられている。図4、図5に示す水晶振動板10では、水晶振動板10の両主面101,102が、XZ´平面とされている。このXZ´平面において、水晶振動板10の短手方向(短辺方向)に平行な方向がX軸方向とされ、水晶振動板10の長手方向(長辺方向)に平行な方向がZ´軸方向とされている。なお、ATカットは、人工水晶の3つの結晶軸である電気軸(X軸)、機械軸(Y軸)、および光学軸(Z軸)のうち、Z軸に対してX軸周りに35°15′だけ傾いた角度で切り出す加工手法である。ATカット水晶板では、X軸は水晶の結晶軸に一致する。Y´軸およびZ´軸は、水晶の結晶軸のY軸およびZ軸からそれぞれ概ね35°15′傾いた(この切断角度はATカット水晶振動板の周波数温度特性を調整する範囲で多少変更してもよい)軸に一致する。Y´軸方向およびZ´軸方向は、ATカット水晶板を切り出すときの切り出し方向に相当する。
水晶振動板10の両主面101,102には、一対の励振電極(第1励振電極111、第2励振電極112)が形成されている。水晶振動板10は、略矩形に形成された振動部11と、この振動部11の外周を取り囲む外枠部12と、振動部11と外枠部12とを連結することで振動部11を保持する保持部13とを有している。すなわち、水晶振動板10は、振動部11、外枠部12および保持部13が一体的に設けられた構成となっている。保持部13は、振動部11の+X方向かつ-Z´方向に位置する1つの角部のみから、-Z´方向に向けて外枠部12まで延びている(突出している)。そして、振動部11と外枠部12との間には、水晶振動板10の厚み方向に貫通する貫通部(スリット)10aが設けられている。本実施形態では、水晶振動板10には、振動部11と外枠部12とを連結する保持部13が1つのみ設けられており、貫通部10aが振動部11の外周囲を囲うように連続して形成されている。
第1励振電極111は振動部11の第1主面101側に設けられ、第2励振電極112は振動部11の第2主面102側に設けられている。本実施形態では、第1、第2励振電極111,112それぞれが3個の金属膜(電極膜)111a,112aを有しており、3対の金属膜111a,112aによってそれぞれ振動領域が形成されるようになっている。このような第1、第2励振電極111,112を有する振動部11の詳細については後述する。
第1励振電極111、第2励振電極112には、これらの励振電極を外部電極端子に接続するため入出力用の引出配線(第1引出配線113、第2引出配線114)が接続されている。入力側の第1引出配線113は、第1励振電極111から引き出され、保持部13を経由して、外枠部12に形成された接続用接合パターン14に繋がっている。出力側の第2引出配線114は、第2励振電極112から引き出され、保持部13を経由して、外枠部12に形成された接続用接合パターン15に繋がっている。
水晶振動板10の両主面(第1主面101、第2主面102)には、水晶振動板10を第1封止部材20および第2封止部材30に接合するための振動板側封止部がそれぞれ設けられている。第1主面101の振動板側封止部としては振動板側第1接合パターン121が形成されており、第2主面102の振動板側封止部としては振動板側第2接合パターン122が形成されている。振動板側第1接合パターン121および振動板側第2接合パターン122は、外枠部12に設けられており、平面視で環状に形成されている。
また、水晶振動板10には、図4、図5に示すように、第1主面101と第2主面102との間を貫通する5つのスルーホールが形成されている。具体的には、4つの第1スルーホール161は、外枠部12の4隅(角部)の領域にそれぞれ設けられている。第2スルーホール162は、外枠部12であって、振動部11のZ´軸方向の一方側(図4、図5では、-Z´方向側)に設けられている。第1スルーホール161の周囲には、それぞれ接続用接合パターン123が形成されている。また、第2スルーホール162の周囲には、第1主面101側では接続用接合パターン124が、第2主面102側では接続用接合パターン15が形成されている。
第1スルーホール161および第2スルーホール162には、第1主面101と第2主面102とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、スルーホールそれぞれの内壁面に沿って形成されている。また、第1スルーホール161および第2スルーホール162それぞれの中央部分は、第1主面101と第2主面102との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。振動板側第1接合パターン121の外周縁は、水晶振動板10(外枠部12)の第1主面101の外周縁に近接して設けられている。振動板側第2接合パターン122の外周縁は、水晶振動板10(外枠部12)の第2主面102の外周縁に近接して設けられている。なお、本実施形態では、第1主面101と第2主面102との間を貫通する5つのスルーホールが形成されている例を挙げたが、スルーホールを形成せずに、第1封止部材20の側面の一部を切り欠き、当該切り欠かれた領域の内壁面に電極が被着したキャスタレーションを形成してもよい(第2封止部材30についても同様)。
第1封止部材20は、図2、図3に示すように、1枚のATカット水晶板から形成された直方体の基板であり、この第1封止部材20の第2主面202(水晶振動板10に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。なお、第1封止部材20は振動部を有するものではないが、水晶振動板10と同様にATカット水晶板を用いることで、水晶振動板10と第1封止部材20の熱膨張率を同じにすることができ、水晶振動子100における熱変形を抑制することができる。また、第1封止部材20におけるX軸、Y軸およびZ´軸の向きも水晶振動板10と同じとされている。
第1封止部材20の第1主面201(水晶振動板10に面しない外方の主面)には、図2に示すように、配線用の第1、第2端子22,23と、シールド用(アース接続用)の金属膜28とが形成されている。配線用の第1、第2端子22,23は、水晶振動板10の第1、第2励振電極111,112と、第2封止部材30の外部電極端子32とを電気的に接続するための配線として設けられている。第1、第2端子22,23は、Z´軸方向の両端部に設けられており、第1端子22が、+Z´方向側に設けられ、第2端子23が、-Z´方向側に設けられている。第1、第2端子22,23は、X軸方向に延びるように形成されている。第1端子22および第2端子23は、略矩形状に形成されている。
金属膜28は、第1、第2端子22,23の間に設けられており、第1、第2端子22,23とは所定の間隔を隔てて配置されている。金属膜28は、第1封止部材20の第1主面201の第1、第2端子22,23が形成されていない領域のうち、ほとんど全ての領域に設けられている。金属膜28は、第1封止部材20の第1主面201の+X方向の端部から-X方向の端部にわたって設けられている。
第1封止部材20には、図2、図3に示すように、第1主面201と第2主面202との間を貫通する6つのスルーホールが形成されている。具体的には、4つの第3スルーホール211が、第1封止部材20の4隅(角部)の領域に設けられている。第4、第5スルーホール212,213は、図2、図3の+Z´方向および-Z´方向にそれぞれ設けられている。
第3スルーホール211および第4、第5スルーホール212,213には、第1主面201と第2主面202とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、スルーホールそれぞれの内壁面に沿って形成されている。また、第3スルーホール211および第4、第5スルーホール212,213それぞれの中央部分は、第1主面201と第2主面202との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。そして、第1封止部材20の第1主面201の対角に位置する2つの第3スルーホール211,211(図2、図3の+X方向かつ+Z´方向の角部に位置する第3スルーホール211と、-X方向かつ-Z´方向の角部に位置する第3スルーホール211)の貫通電極同士が、金属膜28によって電気的に接続されている。また、-X方向かつ+Z´方向の角部に位置する第3スルーホール211の貫通電極と、第4スルーホール212の貫通電極とが、第1端子22によって電気的に接続されている。+X方向かつ-Z´方向の角部に位置する第3スルーホール211の貫通電極と、第5スルーホール213の貫通電極とが、第2端子23によって電気的に接続されている。
第1封止部材20の第2主面202には、水晶振動板10に接合するための封止部材側第1封止部としての封止部材側第1接合パターン24が形成されている。封止部材側第1接合パターン24は、平面視で環状に形成されている。また、第1封止部材20の第2主面202では、第3スルーホール211の周囲に接続用接合パターン25がそれぞれ形成されている。第4スルーホール212の周囲には接続用接合パターン261が、第5スルーホール213の周囲には接続用接合パターン262が形成されている。さらに、接続用接合パターン261に対して第1封止部材20の長軸方向の反対側(-Z´方向側)には接続用接合パターン263が形成されており、接続用接合パターン261と接続用接合パターン263とは配線パターン27によって接続されている。封止部材側第1接合パターン24の外周縁は、第1封止部材20の第2主面202の外周縁に近接して設けられている。
第2封止部材30は、図6、図7に示すように、1枚のATカット水晶板から形成された直方体の基板であり、この第2封止部材30の第1主面301(水晶振動板10に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。なお、第2封止部材30においても、水晶振動板10と同様にATカット水晶板を用い、X軸、Y軸およびZ´軸の向きも水晶振動板10と同じとすることが望ましい。
この第2封止部材30の第1主面301には、水晶振動板10に接合するための封止部材側第2封止部としての封止部材側第2接合パターン31が形成されている。封止部材側第2接合パターン31は、平面視で環状に形成されている。封止部材側第2接合パターン31の外周縁は、第2封止部材30の第1主面301の外周縁に近接して設けられている。
第2封止部材30の第2主面302(水晶振動板10に面しない外方の主面)には、水晶振動子100の外部に設けられる外部回路基板に電気的に接続する4つの外部電極端子32が設けられている。外部電極端子32は、第2封止部材30の第2主面302の4隅(隅部)にそれぞれ位置する。
第2封止部材30には、図6、図7に示すように、第1主面301と第2主面302との間を貫通する4つのスルーホールが形成されている。具体的には、4つの第6スルーホール33は、第2封止部材30の4隅(角部)の領域に設けられている。第6スルーホール33には、第1主面301と第2主面302とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、第6スルーホール33それぞれの内壁面に沿って形成されている。このように第6スルーホール33の内壁面に形成された貫通電極によって、第1主面301に形成された電極と、第2主面302に形成された外部電極端子32とが導通されている。また、第6スルーホール33それぞれの中央部分は、第1主面301と第2主面302との間を貫通した中空状態の貫通部分となっている。また、第2封止部材30の第1主面301では、第6スルーホール33の周囲には、それぞれ接続用接合パターン34が形成されている。
上記構成の水晶振動板10、第1封止部材20、および第2封止部材30を含む水晶振動子100では、水晶振動板10と第1封止部材20とが振動板側第1接合パターン121および封止部材側第1接合パターン24を重ね合わせた状態で拡散接合され、水晶振動板10と第2封止部材30とが振動板側第2接合パターン122および封止部材側第2接合パターン31を重ね合わせた状態で拡散接合されて、図1に示すサンドイッチ構造のパッケージが製造される。これにより、パッケージの内部空間、つまり、振動部11の収容空間が気密封止される。
この際、上述した接続用接合パターン同士も重ね合わせられた状態で拡散接合される。そして、接続用接合パターン同士の接合により、水晶振動子100では、第1励振電極111、第2励振電極112、外部電極端子32の電気的導通が得られるようになっている。具体的には、第1励振電極111は、第1引出配線113、配線パターン27、第4スルーホール212、第1端子22、第3スルーホール211、第1スルーホール161、および第6スルーホール33を順に経由して、外部電極端子32に接続される。第2励振電極112は、第2引出配線114、第2スルーホール162、第5スルーホール213、第2端子23、第3スルーホール211、第1スルーホール161、および第6スルーホール33を順に経由して、外部電極端子32に接続される。また、金属膜28は、第3スルーホール211、第1スルーホール161、および第6スルーホール33を順に経由して、アース接続(グランド接続、外部電極端子32の一部を利用)されている。
水晶振動子100において、各種接合パターンは、複数の層が水晶板上に積層されてなり、その最下層側からTi(チタン)層とAu(金)層とが蒸着またはスパッタリングにより形成されているものとすることが好ましい。また、水晶振動子100に形成される他の配線や電極も、接合パターンと同一の構成とすれば、接合パターンや配線および電極を同時にパターニングでき、好ましい。一方、水晶振動板10の振動部11の第1、第2励振電極111,112(金属膜111a,112a)は、Al(アルミニウム)層が蒸着またはスパッタリングにより形成された構成になっている。
上述のように構成された水晶振動子100では、水晶振動板10の振動部11を気密封止する封止部(シールパス)115,116は、平面視で、環状に形成されている。シールパス115は、上述した振動板側第1接合パターン121および封止部材側第1接合パターン24の拡散接合(Au-Au接合)によって形成され、シールパス115の外縁形状および内縁形状が略八角形に形成されている。同様に、シールパス116は、上述した振動板側第2接合パターン122および封止部材側第2接合パターン31の拡散接合(Au-Au接合)によって形成され、シールパス116の外縁形状および内縁形状が略八角形に形成されている。
このように拡散接合によってシールパス115,116が形成された水晶振動子100において、第1封止部材20と水晶振動板10とは、1.00μm以下のギャップを有し、第2封止部材30と水晶振動板10とは、1.00μm以下のギャップを有する。つまり、第1封止部材20と水晶振動板10との間のシールパス115の厚みが、1.00μm以下であり、第2封止部材30と水晶振動板10との間のシールパス116の厚みが、1.00μm以下(具体的には、本実施形態のAu-Au接合では0.15μm~1.00μm)である。なお、比較例として、Snを用いた従来の金属ペースト封止材では、5μm~20μmとなる。
次に、本実施形態にかかる水晶振動板10の振動部11について、図8~図10を参照して説明する。図8は、水晶振動板10の振動部11の第1主面に設けられた金属膜111a(第1励振電極111)を示し、図9は、振動部11の第2主面に設けられた金属膜112a(第2励振電極112)を示す。図9では、上方から透視した金属膜112aを実線で示しており、金属膜111aは図示していない。
図8~図10に示すように、水晶振動板10の振動部11の一主面および他主面には、振動部11を挟んで対向する一対の金属膜111a,112aが形成されている。本実施形態では、振動部11に3対の金属膜111a,112aが設けられている。対向して設けられた一対の金属膜111a,112aは、平面視で同一の矩形状に形成され、同一の厚みに形成されている。
振動部11の一主面側に設けられた3個の金属膜111aは、平面視で同一の矩形状に形成され、同一の厚みに形成されている。隣接する2個の金属膜111a,111aは所定の間隔を隔てて配置されている。図8の右端側の金属膜111aと中央の金属膜111aは接続部111bを介して接続されている。接続部111bは、図8の金属膜111aの上下方向の中央部に設けられている。一方、左端側の金属膜111aと中央の金属膜111aは接続されておらず、離間して設けられている。左端側の金属膜111aには、入力側の第1引出配線113が接続されている。このように、各金属膜111aのうち、入力側の第1引出配線113が接続される金属膜111aを除いて、隣接する2個の金属膜111a,111aが、接続部111bを介して接続されている。
また、振動部11の他主面側に設けられた3個の金属膜112aは、平面視で同一の矩形状に形成され、同一の厚みに形成されている。隣接する2個の金属膜112a,112aは所定の間隔を隔てて配置されている。図9の平面視で左端側の金属膜112aと中央の金属膜112aは接続部112bを介して接続されている。接続部112bは、図9の金属膜112aの上下方向の中央部に設けられている。一方、平面視で右端側の金属膜112aと中央の金属膜112aは接続されておらず、離間して設けられている。右端側の金属膜112aには、出力側の第2引出配線114が接続されている。このように、各金属膜112aのうち、出力側の第2引出配線114が接続される金属膜112aを除いて、隣接する2個の金属膜112a,112aが、接続部112bを介して接続されている。
水晶振動板10の振動部11に設けられた3対の金属膜111a,112aは、独立した振動状態で励振する。つまり、3対の金属膜111a,112aによってそれぞれ独立した振動領域が形成される。そして、隣接する振動領域が、互いに逆向きの電位からなる電界で構成されるように、3対の金属膜111a,112aが電気的に直列に接続されている。この場合、中央の一対の金属膜111a,112aによって形成される振動領域と、両端側の一対の金属膜111a,112aによって形成される振動領域とが、逆向きの電位からなる電界で構成される。このように、3対の金属膜111a,112aが独立した振動状態で励振するように、振動部11の一主面側における隣接する金属膜111a,111aの間隔、および振動部11の他主面側における隣接する金属膜112a,112aの間隔が設定されている。
本実施形態によれば、水晶振動板10の振動部11に設けられた3対の金属膜111a,112aが、独立した振動状態で励振する。この際、製造誤差によって振動部11に発生した厚みムラ等に起因して、3対の金属膜111a,112aが僅かに異なる周波数帯で励振する。3対の金属膜111a,112aが電気的に直列に接続されているので、異なる周波数帯の振動が取り除かれ(減衰され)、共通する周波数帯の振動が取り出され、振動部11がその共通の周波数帯で励振する。このように、振動部11に設けられた3対の金属膜111a,112aが、互いにフィルターのように動作することによって、振動部11の厚みムラ等に起因する振動を取り除くことができ、高周波領域でのスプリアスを抑制することができる。これに加え、高周波領域でのQ値を高めることができる。これにより、高周波領域において、振動部11を所望の周波数帯で確実に励振させることができる。
また、水晶振動板10の各金属膜111a,112aのうち、入力側および出力側の第1、第2引出配線113,114が接続される金属膜111a,112aを除いて、隣接する2個の金属膜111a,111a(112a,112a)が、振動部11の一主面および他主面のうち一方のみに設けられた接続部111b(112b)を介して接続されており、接続部111b,112bの数は、金属膜111a,112aの対の数よりも1だけ少なくなっている。そして、接続部111b,112bは、振動部11の一主面および他主面に交互に設けられている。本実施形態では、振動部11の一主面および他主面に交互に設けられた2つの接続部111b,112bによって、3対の金属膜111a,112aが電気的に直列に接続されている。このようにして、振動部11に設けられた3対の金属膜111a,112aを電気的に直列に接続することによって、高周波領域において、振動部11を所望の周波数帯で確実に励振させることができる。
また、本実施形態では、水晶振動板10の各金属膜111a,112aが、Al(アルミニウム)によって形成されている。ここで、周波数帯においてそれぞれ共振に適した電極荷重があり、例えばAu(金)、Ag(銀)、Al(アルミニウム)等が挙げられる。300MHz以下の周波数領域においては、例えばAu(金)等が適しており、300MHz以上500MHz以下の周波数領域においては、例えばAu(金)、Al(アルミニウム)等が適している。500MHz以上の周波数領域においては、例えばAl(アルミニウム)等が適している。つまり、Au(金)は、300MHz以下の周波数領域、および300MHz以上500MHz以下の周波数領域における共振に適した電極荷重を有しており、水晶振動板10の各金属膜111a,112aの材料として好適に用いることができる。また、Al(アルミニウム)は、300MHz以上500MHz以下の周波数領域、および500MHz以上の周波数領域における共振に適した電極荷重を有しており、水晶振動板10の各金属膜111a,112aの材料として好適に用いることができる。
また、本実施形態では、水晶振動板10の各金属膜111a,112aが、振動部11の外周部を除く平坦な領域に設けられている。振動部11の外周部は、例えばエッチングによる結晶面や、機械加工による断面が現れるため、均一な厚みになりにくい。したがって、そのような外周部を避けた平坦な領域に金属膜111a,112aを設けることによって、振動部11に設けられた3対の金属膜111a,112aの周波数帯をできる限り近づけることができる。これにより、高周波領域でのスプリアス抑制効果を高めることができる。
本実施形態では、水晶振動板10は、振動部11と、当該振動部11の外周を取り囲む外枠部12と、振動部11と外枠部12とを連結する保持部13とを備え、振動部11と外枠部12との間には、厚み方向に貫通する貫通部10aが設けられている構成になっている。このような振動部と外枠部とが保持部によって連結された枠体付きの水晶振動板10を用いた場合、水晶振動子100の小型化および低背化を図ることが可能であるが、そのような小型化および薄型化を図った水晶振動子100において、高周波領域でのスプリアス抑制効果を高めることができる。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
上述した金属膜111a,112aの対の数は一例であって、3以上の奇数個であれば特に限定されない。例えば、図11、図12に示す変形例1のように、5対の金属膜111a,112aを水晶振動板10の振動部11の一主面および他主面に設けてもよい。あるいは、図13、図14に示す変形例2のように、7対の金属膜111a,112aを水晶振動板10の振動部11の一主面および他主面に設けてもよい。図11、図12に示す変形例1では、振動部11の一主面および他主面に交互に設けられた4つの接続部111b,112bによって、5対の金属膜111a,112aが電気的に直列に接続されている。図13、図14に示す変形例2では、振動部11の一主面および他主面に交互に設けられた6つの接続部111b,112bによって、7対の金属膜111a,112aが電気的に直列に接続されている。
上述した金属膜111a,112aの形状は一例であって、一対の金属膜111a,112aが同一の形状であれば特に限定されない。例えば、金属膜111a,112aの形状を、角部が曲率を帯びた略矩形状や、長円形状、楕円形状としてもよい。このような形状にすれば、金属膜111a,112aが角部のない形状になるため、スプリアスの発生を抑制することができる。
また、入力側の第1引出配線113および出力側の第2引出配線114の形状は、一端から他端まで同一の幅である形状に限らず、電極膜111a,112a側の一端から、振動部11の外周側の他端に向かってテーパ状に拡幅するような形状であってもよい。このような形状にすれば、第1、第2引出配線113,114の導通抵抗を下げつつ、その振動状態を小さく抑えることができる。
上述した接続部111b,112bの位置は一例であって、上記以外の位置に接続部111b,112bを設けてもよい。なお、接続部111b,112bを振動部11の中心に対して平面視で点対称となる位置に設けることで、接続部111b,112bをバランスよく配置することができ、高周波領域でのスプリアス抑制効果を高めることができる。
上記実施形態では、水晶振動板10は、振動部11と、外枠部12と、振動部11と外枠部12とを連結する保持部13とを備え、振動部11と外枠部12との間に貫通部10aが設けられた構成であったが、水晶振動板をこれ以外の構成としてもよい。例えば、水晶振動板を、振動部と、当該振動部の外周を取り囲み、当該振動部よりも厚肉に形成された厚肉部とを備えている構成としてもよい。このような構成にすれば、高周波化に対応させるために振動部を薄肉に形成した場合であっても、振動部の外周側に厚肉部が存在するため、振動部の機械的強度を確保することができる。
また、水晶振動板10に、振動部11と外枠部12とを連結する保持部13が2つ以上設けられていてもよい。
上記実施形態では、本発明を水晶振動子100に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば水晶発振器等にも本発明を適用してもよい。
上記実施形態では、水晶振動子100として、水晶振動板10が第1封止部材20および第2封止部材30の間に挟まれたサンドイッチ構造の水晶振動子を用いたが、これ以外の構造の水晶振動子100を用いてもよい。例えば、凹部を有するベースの内部に水晶振動板10を収容し、当該ベースに蓋を接合した構造の水晶振動子を用いてもよい。
上記実施形態では、第1封止部材20および第2封止部材30を水晶板によって形成したが、これに限定されるものではなく、第1封止部材20および第2封止部材30を、例えば、ガラスによって形成してもよい。
10 水晶振動板(圧電振動板)
11 振動部
12 外枠部
13 保持部
100 水晶振動子(圧電振動デバイス)
111a,112a 金属膜
111b,112b 接続部

Claims (10)

  1. 厚みすべり振動にて動作する振動部を有する圧電振動板であって、
    前記振動部の一主面および他主面に設けられた対向する一対の金属膜が、3以上の奇数個、形成され、
    奇数対の金属膜のそれぞれが平面視で同一の形状に形成され、当該奇数対の金属膜によってそれぞれ振動領域が形成され、隣接する振動領域が、互いに逆向きの電位からなる電界で構成されるように、奇数対の金属膜が電気的に直列に接続されていることを特徴とする圧電振動板。
  2. 請求項1に記載の圧電振動板において、
    前記各金属膜のうち、入力側および出力側の配線が接続される金属膜を除いて、隣接する2個の金属膜が、前記振動部の一主面および他主面のうち一方のみに設けられた接続部を介して接続されており、
    前記接続部の数は、金属膜の対の数よりも1だけ少なく、前記接続部は、前記振動部の一主面および他主面に交互に設けられていることを特徴とする圧電振動板。
  3. 請求項2に記載の圧電振動板において、
    前記接続部は、前記振動部の中心に対して対称的な位置に設けられていることを特徴とする圧電振動板。
  4. 請求項1~3のいずれか1つに記載の圧電振動板において、
    前記各金属膜は、同一の厚みに形成されていることを特徴とする圧電振動板。
  5. 請求項1~4のいずれか1つに記載の圧電振動板において、
    前記各金属膜は、前記振動部の外周部を除く平坦な領域に設けられていることを特徴とする圧電振動板。
  6. 請求項1~5のいずれか1つに記載の圧電振動板において、
    前記振動部と、当該振動部の外周を取り囲む外枠部と、前記振動部と前記外枠部とを連結する保持部とを備え、前記振動部と前記外枠部との間には、厚み方向に貫通する貫通部が設けられていることを特徴とする圧電振動板。
  7. 請求項1~6のいずれか1つに記載の圧電振動板において、
    前記振動部と、当該振動部の外周を取り囲み、当該振動部よりも厚肉に形成された厚肉部とを備えていることを特徴とする圧電振動板。
  8. 請求項1~7のいずれか1つに記載の圧電振動板において、
    前記各金属膜は、金、銀、またはアルミニウムからなることを特徴とする圧電振動板。
  9. 圧電振動デバイスであって、
    請求項1~8のいずれか1つに記載の圧電振動板を備えたことを特徴とする圧電振動デバイス。
  10. 請求項9に記載の圧電振動デバイスにおいて、
    前記圧電振動板の前記振動部の一主面側を覆う第1封止部材と、
    前記圧電振動板の前記振動部の他主面側を覆う第2封止部材とが備えられ、
    前記第1封止部材と前記圧電振動板とが接合され、かつ前記第2封止部材と前記圧電振動板とが接合されることによって、前記圧電振動板の前記振動部が気密封止されることを特徴とする圧電振動デバイス。
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