JP2022151089A - インデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子、重合性組成物の製造方法及びフォトクロミック物品の製造方法 - Google Patents

インデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子、重合性組成物の製造方法及びフォトクロミック物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インデノ縮合ナフトピラン化合物と重合性化合物とを含む重合性組成物について、インデノ縮合ナフトピラン化合物の溶解性向上と重合性組成物の液寿命の向上とを可能にするための手段を提供すること。【解決手段】結晶化度が60.00%以上であり且つ融解曲線において温度200℃以下での最大融解率が25%以下であるインデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、インデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子、重合性組成物の製造方法及びフォトクロミック物品の製造方法に関する。
特許文献1には、インデノ縮合ナフトピラン化合物が開示されている。
米国特許第5645767号明細書
フォトクロミック化合物は、光応答性を有する波長域の光の照射下で発色し、非照射下では退色する性質(フォトクロミック性)を有する化合物である(例えば特許文献1参照)。近年、インデノ縮合ナフトピラン化合物のフォトクロミック化合物としての有用性が注目されている。
フォトクロミック化合物によってフォトクロミック性が付与された物品(フォトクロミック物品)としては、例えば、眼鏡レンズ等の光学物品を挙げることができる。フォトクロミック物品にフォトクロミック性を付与する方法としては、フォトクロミック化合物と重合性化合物とを含む重合性組成物を用いて基材上にフォトクロミック層を設ける方法、フォトクロミック化合物と重合性化合物とを含む重合性組成物を用いて基材を作製する方法等が挙げられる。
フォトクロミック化合物と重合性化合物とを含む重合性組成物には、
重合性組成物におけるフォトクロミック化合物の溶解性が高いこと;及び、
重合性組成物の経時的な品質低下が少ないこと(換言すれば液寿命が長いこと)、
が望まれる。
溶解性については、フォトクロミック化合物の溶解性を高めることができれば、上記重合性組成物におけるフォトクロミック化合物の分散粒径を小さくすることができる。フォトクロミック化合物の分散粒径の小径化は、重合性組成物を用いて形成された層及び/又は基材の光学的均質性を高めることに寄与し得るため、フォトクロミック物品の外観品質向上の観点から望ましい。
液寿命については、フォトクロミック物品を製造するために使用される重合性組成物が経時的な品質低下が少ないものであれば、重合性組成物を大量に調製しておき、必要量を適宜使用することにより、良好なフォトクロミック性能を示す眼鏡レンズを量産することが可能になるため、工業的観点から好ましい。
以上に鑑み、本発明の一態様は、インデノ縮合ナフトピラン化合物と重合性化合物とを含む重合性組成物について、インデノ縮合ナフトピラン化合物の溶解性向上と重合性組成物の液寿命の向上とを可能にするための手段を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、
結晶化度が60.00%以上であり且つ融解曲線において温度200℃以下での最大融解率が25%以下であるインデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子(以下、単に「粒子」とも記載する。)、
に関する。
本発明の一態様にかかるインデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子によれば、インデノ縮合ナフトピラン化合物と重合性化合物とを含む重合性組成物であって、組成物におけるインデノ縮合ナフトピラン化合物の溶解性が高く且つ液寿命が長い重合性組成物を提供することが可能になる。
実施例1の粒子について得られた融解曲線を示す。 実施例2の粒子について得られた融解曲線を示す。 比較例1の粒子について得られた融解曲線を示す。 比較例2の粒子について得られた融解曲線を示す。 比較例3の粒子について得られた融解曲線を示す。
[インデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子]
本発明の一態様は、インデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子に関する。上記粒子の結晶化度は60.00%以上であり且つ融解曲線において温度200℃以下での最大融解率(以下、「200℃以下での最大融解率」又は単に「最大融解率」とも記載する。)が25%以下である。
本発明者は、結晶化度が60.00%以上であって且つ最大融解率が25%以下であるインデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子は、安定性が高い結晶として微粒子の集合体の状態で存在している粒子であると考えている。かかる状態で存在する粒子は、重合性組成物の調製時の混合処理において与えられる衝撃によって解離し易く、液中に微粒子状に分散し易いため、高い溶解性を示すことができると本発明者は推察している。また、本発明者は、かかる粒子は集合体が解離した後に再凝集し難いことが、液寿命向上に寄与すると考えている。ただし、本明細書に記載されている推察に、本発明は限定されない。また、一形態では、上記粒子は、重合性化合物に対して高い溶解性を示すことができる。フォトクロミック化合物と重合性化合物とを含む重合性組成物におけるフォトクロミック化合物の溶解性を高める手段の1つとしては、溶剤を使用することが挙げられる。これに対し、フォトクロミック化合物の重合性化合物への溶解性を高めることができれば、重合性組成物の調製のための溶剤の使用量を低減することができる。溶剤の使用量を低減できることは、例えば、フォトクロミック化合物と重合性化合物とを含む重合性組成物を用いて基材上にフォトクロミック層を設ける際、重合性組成物に含まれる溶剤によって基材が変質することを抑制することができる点等の理由から望ましい。
以下、上記粒子について、更に詳細に説明する。
上記粒子は、インデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子である。インデノ縮合ナフトピラン化合物とは、置換基を有していてもよいインデノ縮合ナフトピランを構造中に含む化合物をいうものとする。インデノ縮合ナフトピランは、ナフトピランにインデノ基が縮合した構造を有する。置換基を有していてもよいインデノ縮合ナフトピランの構造としては、例えば、下記式Aの構造を挙げることができる。また、上記粒子は、置換基を有していてもよいインデノ縮合ナフトピランを1つのみ含む所謂単量体であることもでき、置換基を有していてもよいインデノ縮合ナフトピランを2つ以上含む所謂多量体であることもできる。多量体に含まれる複数のインデノ縮合ナフトピランは、それぞれ同一又は異なる置換基を有することができる。
Figure 2022151089000001
(式A中、R~R10、AおよびA’は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
フォトクロミック化合物は、一例として、太陽光等の光の照射を受けて励起状態を経て、着色体に構造変換する。光照射を経て構造変換した後の構造を「着色体」と呼ぶことができる。これに対し、光照射前の構造を「無色体」と呼ぶことができる。ただし、無色体について「無色」とは、完全な無色に限定されるものではなく、着色体に対して色が薄い場合も包含される。インデノ縮合ナフトピラン化合物は、フォトクロミック化合物としての性質(フォトクロミック性)を示すことができる。インデノ縮合ナフトピラン化合物の構造に関する先の記載は、無色体に関する記載である。フォトクロミック化合物は、例えば紫外線に対してフォトクロミック性を示すことができる。
<結晶化度>
本発明及び本明細書における粒子の結晶化度は、粉末X線回折分析を行い得られた結果をハーマンス法(Hermans法)によって解析して下記式1から求められる値である。
式1:結晶化度Xc(%)=(Ic/(Ic+Ia))×100
式1中、Icは結晶質散乱積分強度であり、Iaは非晶質散乱積分強度である。結晶化度は、X線回折装置に備えられた解析ソフトを用いる方法等の公知の方法によって算出できる。
粉末X線回折分析の測定条件としては、例えば、以下の測定条件を挙げることができる。
ターゲット:Cu、X線管電流/電圧:40mA/45kV、走査範囲:2θ=4°~65°
上記粒子の結晶化度は60.00%以上であり、61.00%以上であることが好ましく、62.00%以上であることが更に好ましく、63.00%以上であることが一層好ましい。また、上記粒子の結晶化度は、例えば、80.00%以下、78.00%以下、75.00%以下、73.00%以下、70.00%以下、68.00%以下若しくは66.00%以下であることができ、又はここに例示した値を上回ることもできる。
<200℃以下での最大融解率>
本発明及び本明細書における200℃以下での最大融解率は、以下の方法によって求められるものとする。
測定対象の粒子の融点測定を実施する。融点測定は、固体試料の融点測定が可能な公知の構成の融点測定装置を用いて行うことができる。融点測定を実施すると融解曲線が得られる。融解曲線において、横軸は温度であり、例えば0℃以上の温度範囲で融解曲線を取得することができる。融解曲線において、縦軸は融解率である。融解曲線において200℃以下の温度範囲における融解率の最大値を、200℃以下での最大融解率(単位:%)とする。
上記粒子の200℃以下での最大融解率は、25%以下であり、24%以下であることが好ましく、23%以下であることがより好ましく、22%以下であることが更に好ましく、21%以下であることが一層好ましく、20%以下であることがより一層好ましい。上記最大融解率は、例えば、5%以上、7%以上、10%以上、12%以上若しくは14%以上であることができ、又はここに例示した値を下回ることもできる。
インデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子の結晶化度及び上記最大融解率は、インデノナフトピラン化合物の合成時の純度を高めること、粒子調製時に溶剤除去処理を施すこと等によって制御することができ、例えば、より高純度化すること及び溶剤をより多く除去することによって、結晶化度を高めることができ、200℃以下での最大融解率の値を低くすることができる。
先に記載したように、上記粒子は、微粒子の集合体であることができる。集合体の凝集状態の指標としては、会合度を挙げることができる。会合度は、集合体の状態の粒子サイズ(即ち二次粒子以上の高次粒子)の粒子サイズと一次粒子サイズとの比(集合体の状態の粒子サイズ/一次粒子サイズ)である。上記の各粒子サイズは、反射型の光学顕微鏡によって倍率100倍程度で粒子を観察して求めることができる。粒子サイズは、粒子の輪郭上の2点を結ぶ直線として最も長い直線の長さ(即ち長径)として求める。集合体の状態で存在する粒子を無作為に5つ抽出し、これら粒子についてそれぞれ求められた長径の算術平均を、集合体の状態の粒子サイズとする。一次粒子サイズは、無作為に抽出した5つの一次粒子について、それぞれ求められた長径の算術平均である。上記粒子の会合度は、50以上であることが好ましく、55以上であることがより好ましい。また、上記粒子の会合度は、例えば80以下、75以下又は70以下であることができる。会合度は、粒子調製時の加熱処理条件の調整、粉砕処理の実施等の公知の方法で制御できる。
[重合性組成物の製造方法]
本発明の一態様は、上記粒子を1種以上の重合性化合物と混合することを含む重合性組成物の製造方法に関する。
上記粒子は重合性組成物に高い溶解性をもって溶解することができる。これにより、上記重合性組成物におけるインデノ縮合ナフトピラン化合物の分散粒径を小さくすることが可能になる。また、上記粒子を用いて重合性組成物を製造することは、経時的な品質低下が少ない(即ち液寿命が長い)重合性組成物の提供を可能にすることにも寄与し得る。
<粒子>
上記重合性組成物の製造のために使用されるインデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子については、先に記載した通りである。
インデノ縮合ナフトピラン化合物は、フォトクロミック化合物としての性質(フォトクロミック性)を示すことができる。上記重合性組成物の製造方法においては、一形態ではフォトクロミック化合物として上記粒子の1種又は2種以上のみを使用することができ、他の一形態では上記粒子以外に1種以上のフォトクロミック化合物を併用することもできる。併用可能なフォトクロミック化合物としては、フォトクロミック性を示す公知の化合物を挙げることができる。具体例としては、フォトクロミック化合物としては、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物、インデノ縮合ナフトピラン化合物等のフォトクロミック性を示す公知の骨格を有する化合物を例示できる。フォトクロミック化合物の含有率は、重合性組成物の全成分の合計(100質量%)に対して、例えば0.1~15.0質量%程度であることができるが、この範囲に限定されるものではない。ここで、上記の全成分の合計とは、重合性組成物の調製のために溶剤が使用される場合には、溶剤を除く全成分の合計をいうものとする。重合性組成物の製造に使用されるフォトクロミック化合物の全量(100質量%)に対して、上記粒子の含有率は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。重合性組成物の製造に使用されるフォトクロミック化合物の全量(100質量%)に対して、上記粒子の含有率は、例えば、100質量%、100質量%以下、95質量%以下又は90質量%以下であることができる。
一般に、フォトクロミック化合物は、重合性化合物に対する溶解性が低い傾向がある。フォトクロミック化合物の溶解性の向上については、通常、溶剤を使用し、その使用量を多くするほど、フォトクロミック化合物と重合性組成物とを含む重合性組成物におけるフォトクロミック化合物の溶解性を高めることができる。ただし、先に記載したように溶剤によって基材の変質が起こり得る。また、フォトクロミック化合物と重合性化合物とを含む重合性組成物の調製において溶剤を使用する場合、通常、調製された重合性組成物を重合硬化させる際に溶剤成分を揮発させるために加熱処理が行われる。しかし、溶剤によっては揮発させるために高温の加熱処理を要し、かかる高温の加熱処理により基材の変質が起こり得る。また、溶剤揮発の際に面質不良が生じることもあり得る。以上の点を考慮すると、フォトクロミック化合物の重合性化合物への溶解性を向上させることによって、溶剤使用量を低減できることが望ましい。この点に関し、インデノ縮合ナフトピラン化合物は、上記粒子の形態であることにより、重合性化合物に対して高い溶解性を示すことができる。したがって、上記粒子を使用することによって、重合性組成物の調製に使用される溶剤量を低減することができ、溶剤フリーとすることもできる。使用可能な溶剤としては、かかる溶剤の存在下で重合性化合物の重合反応が進行し得るものであれば、任意の溶剤を使用できる。上記重合性組成物の調製時に使用する溶剤量は、組成物の調製に使用する全成分(溶剤を使用する場合には溶剤を含む。)の合計(100質量%)に対して、例えば10.0質量%以下、5.0質量%以下、3.0質量%以下、1.0質量%以下とすることができ、0質量%とすることもできる。
<重合性化合物>
上記重合性組成物の製造方法において上記粒子と混合される重合性化合物は、少なくとも1種であり、2種以上又は3種以上であることができ、また、例えば5種以下もしくは4種以下であることができる。本発明及び本明細書において、「重合性化合物」とは重合性基を有する化合物であり、「重合性組成物」とは1種以上の重合性化合物を含む組成物である。重合性基の具体例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等を挙げることができ、重合性化合物の具体例としては、(メタ)アクリレート等を挙げることができる。本発明及び本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートとを包含する意味で用いられる。「アクリレート」とは、1分子中にアクリロイル基を1つ以上有する化合物である。「メタクリレート」とは、1分子中にメタクリロイル基を1つ以上有する化合物である。(メタ)アクリレートについて、官能数は、1分子中に含まれるアクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群から選ばれる基の数である。本発明及び本明細書では、「メタクリレート」とは、(メタ)アクリロイル基としてメタクリロイル基のみを含むものをいうものとし、(メタ)アクリロイル基としてアクリロイル基とメタクリロイル基の両方を含むものはアクリレートと呼ぶ。アクリロイル基はアクリロイルオキシ基の形態で含まれていてもよく、メタクリロイル基はメタクリロイルオキシ基の形態で含まれていてもよい。以下に記載の「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを包含する意味で用いられ、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基とを包含する意味で用いられる。また、特記しない限り、記載されている基は置換基を有してもよく無置換であってもよい。ある基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1~6のアルキル基)、水酸基、アルコキシ基(例えば炭素数1~6のアルコキシ基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシ基等を挙げることができる。また、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。
(成分A)
一形態では、上記重合性組成物の製造方法において上記粒子と混合される重合性化合物は、1種以上の(メタ)アクリレートを含むことができる。(メタ)アクリレートの中で、フォトクロミック化合物の溶解性が低い傾向があるものとしては、分子量500以上の非環状のメタクリレートを挙げることができる。「分子量500以上の非環状のメタクリレート」を「成分A」とも呼ぶ。上記重合性組成物の製造方法は、フォトクロミック化合物と混合される重合性化合物が成分Aを含む場合にも、上記粒子の形態で混合することにより、インデノ縮合ナフトピラン化合物の成分Aへの溶解性を高めることができる。
本発明及び本明細書において、「非環状」とは、環状構造を含まないことを意味する。非環状のメタクリレートとは、環状構造を含まない単官能以上のメタクリレートをいうものとする。
成分Aは、単官能又は2官能以上のメタクリレートであることができ、2官能又は3官能メタクリレートであることが好ましく、2官能メタクリレートであることがより好ましい。成分Aとしては、ポリアルキレングリコールジメタクリレートを挙げることができる。ポリアルキレングリコールジメタクリレートは、下記式1:
Figure 2022151089000002
により示すことができ、Rはアルキレン基を表し、nはROで表されるアルコキシ基の繰り返し数を示し、2以上である。Rで表されるアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。nは、2以上であり、例えば30以下、25以下又は20以下であることができる。ポリアルキレングリコールジメタクリレートの具体例としては、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート等を挙げることができる。
成分Aの分子量は、500以上である。分子量が500以上の非環状の2官能メタクリレート(成分A)を後述する成分Bとともに含むことは、これら成分とフォトクロミック化合物とを含む重合性組成物から形成されるフォトクロミック層において、光照射を受けたフォトクロミック化合物が高濃度で発色できることに寄与し得ると推察される。なお、本発明及び本明細書において、重合体についての分子量は、化合物の構造解析により決定された構造式又は製造する際の原料仕込み比から算出した理論分子量を採用している。成分Aの分子量は、500以上であり、510以上であることが好ましく、520以上であることがより好ましく、550以上であることが好ましく、570以上であることがより好ましく、600以上であることが更に好ましく、630以上であることが一層好ましく、650以上であることがより一層好ましい。成分Aの分子量は、フォトクロミック層の高硬度化の観点からは、例えば2000以下、1500以下、1200以下、1000以下、又は800以下であることが好ましい。
成分Aは、重合性組成物の製造に使用される(メタ)アクリレートの中で最も多く含まれる成分であることができ、重合性組成物の製造に使用される重合性化合物の中で最も多く含まれる成分であることもできる。
(成分B)
上記重合性組成物の製造方法において上記粒子と混合される重合性化合物としては、環状構造及び分岐構造からなる群から選ばれる構造を含む2官能(メタ)アクリレートを挙げることもできる。「環状構造及び分岐構造からなる群から選ばれる構造を含む2官能(メタ)アクリレート」を、「成分B」とも呼ぶ。
成分Bは、環状構造及び分岐構造からなる群から選ばれる構造を含む2官能(メタ)アクリレートである。成分Bとともに上記成分Aが含まれることは、これら成分とフォトクロミック化合物とを含む重合性組成物から形成されるフォトクロミック層において光照射を受けたフォトクロミック化合物が高濃度で発色可能であることに寄与し得ると推察される。成分Bは、一形態では1分子中に1つ以上の環状構造を含み分岐構造を含まず、他の一形態では1分子中に1つ以上の分岐構造を含み環状構造を含まず、また他の一形態では1分子中に1つ以上の環状構造と1つ以上の分岐構造とを含む。1分子中に含まれる環状構造及び分岐構造からなる群から選ばれる構造の数は、1つ以上であり、例えば1つ、2つ又は3つであることができ、1つ又は2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。上記分岐構造について、成分Bがメタクリロイル基を有する場合、メタクリロイル基に含まれる分岐構造は考慮されないものとする。
1つ以上の環状構造を含む成分Bは、一形態では、脂環式の2官能(メタ)アクリレートであることができる。脂環式の2官能(メタ)アクリレートは、例えば、R-(L)n1-Q-(L)n2-Rで表される構造を有する化合物であることができる。ここでQは二価の脂環式基を表し、R及びRはそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、L及びLはそれぞれ独立に連結基を表し、n1及びn2はそれぞれ独立に0又は1を表す。Qで表される二価の脂環式基としては、炭素数3~20の脂環式炭化水素基が好ましく、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、トリシクロデカニレン基、アダマンチレン基等を挙げることができる。L及びLで表される連結基としては、例えばアルキレン基を挙げることができる。アルキレン基は、例えば炭素数1~6のアルキレン基であることができる。
脂環式の2官能(メタ)アクリレートの具体例としては、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
1つ以上の分岐構造を含む成分Bは、一形態では、分岐アルキレン基を含む2官能(メタ)アクリレートであることができる。分岐アルキレン基の炭素数は、1以上、2以上、3以上又は4以上であることができる。また、分岐アルキレン基の炭素数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下又は5以下であることができる。一形態では、分岐アルキレン基は、第4級炭素(即ち4つの炭素と結合している炭素)を含むことができる。1つ以上の分岐構造を含む成分Bの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
成分Bの分子量は、特に限定されるものではないが、一形態では、例えば200~400の範囲であることができる。成分Bは、(メタ)アクリロイル基として、アクリロイル基のみを含んでもよく、メタクリロイル基のみを含んでもよく、アクリロイル基及びメタクリロイル基を含んでもよい。
上記重合性組成物の製造方法において、重合性化合物として成分A及び成分Bを使用する場合、重合性組成物の製造に使用される(メタ)アクリレートの全量(100質量%)に対して、成分Aの含有率は50.0量%以上であることが好ましく、60.0質量%以上であることがより好ましく、70.0質量%以上であることが更に好ましい。また、成分Aの上記含有率は、例えば、95.0質量%以下であることができ、90.0質量%以下であることもできる。成分Aは1種のみ使用してもよく、2種以上の成分Aを使用することもできる。2種以上の成分Aを使用する場合、上記含有率は、それら2種以上の成分Aの合計含有率である。この点は、成分B等の他の成分に関する含有率についても同様である。なお、本発明及び本明細書において、成分A及び成分Bのいずれにも該当する成分は、成分Aとみなすものとする。一方、成分Bの含有率は、重合性組成物の製造に使用される(メタ)アクリレートの全量(100質量%)に対して、1.0質量%以上であることができ、5.0質量%以上であることが好ましく、10.0質量%以上であることがより好ましい。また、成分Bの上記含有率は、例えば、30.0質量%以下であることができ、25.0質量%以下又は20.0質量%以下であることもできる。重合性組成物の製造に使用される重合性化合物としては、成分A、B以外の他の(メタ)アクリレートを使用してもよく、使用しなくてもよい。成分A、B以外の他の(メタ)アクリレートが使用される場合、その含有率は、重合性組成物の製造に使用される(メタ)アクリレートの全量(100質量%)に対して、10.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることがより好ましい。また、重合性組成物の製造に使用される重合性化合物としては、(メタ)アクリレート以外の重合性化合物を使用してもよく、使用しなくてもよい。重合性組成物の製造に使用される全成分の合計(100質量%)に対して、例えば80.0~99.9質量%の割合で(メタ)アクリレートを使用することができる。ここで、上記の全成分の合計とは、溶剤が使用される場合には溶剤を除く全成分の合計をいうものとする。
(成分C)
上記重合性組成物の製造方法において上記粒子と混合される重合性化合物としては、分子量400以下であって、下記式2:
Figure 2022151089000003
で表される(メタ)アクリレートを挙げることもできる。かかる(メタ)アクリレートを、「成分C」とも呼ぶ。
式2中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、mは1以上の整数を表す。mは、1以上であって、例えば、10以下、9以下、8以下、7以下又は6以下であることができる。
成分Cの分子量は、400以下であり、成分Cとフォトクロミック化合物とを含む重合性組成物から形成されるフォトクロミック層の発色濃度をより高める観点からは、350以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましく、250以下であることが更に好ましい。また、成分Cの分子量は、例えば、100以上、150以上又は200以上であることができる。
成分Cは、(メタ)アクリロイル基として、アクリロイル基のみを含んでもよく、メタクリロイル基のみを含んでもよく、アクリロイル基及びメタクリロイル基を含んでもよい。一形態では、成分Cは、(メタ)アクリロイル基としてアクリロイル基のみを含むことが好ましい。成分Cの具体例としては、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート等を挙げることができる。本発明者の検討によれば、フォトクロミック化合物とともに重合性化合物として成分Aと成分Cとを含む重合性組成物から形成されるフォトクロミック層では、光照射を受けたフォトクロミック化合物が高濃度で発色可能であり、かつフォトクロミック層が非照射下で優れた可視光透過性を示すことができる。
(成分D)
上記重合性組成物の製造方法において上記粒子と混合される重合性化合物としては、非環状の3官能以上の(メタ)アクリレートを挙げることができる。成分Dは、重合性組成物の塗布適性、重合性組成物から形成されるフォトクロミック層と隣接層との密着性等の性能向上に寄与し得る。成分Dは、3~5官能の(メタ)アクリレートであることが好ましく、3官能又は4官能の(メタ)アクリレートであることがより好ましく、3官能(メタ)アクリレートであることが更に好ましい。成分Dの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。成分Dの分子量は、例えば200~400の範囲であることができるが、この範囲に限定されるものではない。成分Dは、(メタ)アクリロイル基として、アクリロイル基のみを含んでもよく、メタクリロイル基のみを含んでもよく、アクリロイル基及びメタクリロイル基を含んでもよい。一形態では、非環状の3官能以上の(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基としてメタクリロイル基のみを含むこと、即ちメタクリレートであることが好ましい。
(成分E)
上記重合性組成物の製造方法において上記粒子と混合される重合性化合物としては、粘度100cP(センチポアズ)以下であって、(メタ)アクリレート及びビニルエーテルからなる群から選択される重合性化合物を挙げることもできる。かかる重合性化合物を、「成分E」とも呼ぶ。成分Dは、重合性組成物の塗布適性、重合性組成物から形成されるフォトクロミック層と隣接層との密着性等の性能向上に寄与し得る。本発明及び本明細書における「粘度」は、温度25℃の大気雰囲気中で振動式粘度計によって測定される値である。成分Eの粘度は、100cP以下であり、70cP以下であることが好ましく、50cP以下であることがより好ましい。また、成分Eの粘度は、例えば、5cP以上又は10cP以上であることができる。成分Eの一形態である(メタ)アクリレートは、単官能~3官能であることができ、単官能~2官能であることが好ましい。また、成分Eの一形態である(メタ)アクリレートは、アリール基(例えばフェニル基)、アミド基等を含むことができる。本発明及び本明細書において、「ビニルエーテル」とは、1分子中に1個以上のビニル基及び1個以上のエーテル結合を有する化合物であり、1分子中にビニル基を2個以上有することが好ましく、2~4個有することがより好ましい。また、ビニルエーテルに含まれるエーテル結合の数は、1分子中、2~4個であることが好ましい。成分Eの分子量は、例えば150~250の範囲であることができるが、この範囲に限定されるものではない。成分Eの具体例としては、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(Ethoxylated)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールブチルエーテル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノナメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノビニルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、2-プロペノイックアシッド(Propenoic acid),2-[2-(エテニロキシ)エトキシ]エチルエステル、2-(2-エテノキシエトキシ)エチル2-メチルプロプ-2-エノエート等を挙げることができる。
上記重合性組成物の製造方法において、重合性化合物として成分A及び成分Cを使用する場合、重合性組成物の製造に使用される重合性化合物の全量を100質量%として、成分Aの含有率は、50.0質量%以上であることが好ましく、55.0質量%以上であることがより好ましく、60.0質量%以上であることが更に好ましい。また、成分Aの上記含有率は、90.0質量%以下、85.0質量%以下、80.0質量%以下又は75.0質量%以下であることができる。
成分Cについては、本発明者の検討によれば、成分Cの含有率が高くなるほど、この成分を含む重合性組成物から形成されたフォトクロミック層において、光照射を受けて発色した際のフォトクロミック化合物の発色濃度が高まる傾向が見られた。他方、本発明者の検討によれば、成分Cの含有率が高くなるほど、光照射後のフォトクロミック化合物の退色速度が遅くなる傾向も見られた。発色濃度の観点からは、成分Cの含有率は、重合性組成物の製造に使用される重合性化合物の全量を100質量%として、5.0質量%以上であることが好ましく、10.0質量%以上であることがより好ましく、15.0質量%以上であることがより好ましい。また、退色速度が遅くなることを抑制する観点からは、成分Cの上記含有率は、30.0質量%以下であることが好ましく、25.0質量%以下であることがより好ましい。
成分Dについては、重合性組成物の製造に使用される重合性化合物の全量を100質量%として、成分Dの含有率は、0質量%であってもよく、0質量%以上、0質量%超、1.0質量%以上、3.0質量%以上、5質量%以上又は7質量%以上であることもできる。成分Dの上記含有率は、例えば20.0質量%以下又は15.0質量%以下であることができる。一形態では、成分Dを、成分A及び成分Bとともに上記粒子との混合に付すことができる。
成分Eについては、重合性組成物の製造に使用される重合性化合物の全量を100質量%として、成分Eの含有率は、0質量%であってもよく、0質量%以上、0質量%超、1.0質量%以上、3.0質量%以上、5.0質量%以上又は7.0質量%以上であることもできる。成分Eの上記含有率は、例えば20.0質量%以下又は15.0質量%以下であることができる。一形態では、成分Eを、成分A及び成分Bとともに、又は更に成分Dとともに、重合性組成物の製造のために使用することができる。
上記重合性組成物の製造方法では、重合性組成物の全成分の合計(100質量%)に対して、重合性化合物の含有率は、例えば80.0質量%以上、85.0質量%以上又は90.0質量%以上であることができる。ここで、上記の全成分の合計とは、溶剤が使用される場合には溶剤を除く全成分の合計をいうものとする。また、重合性化合物の上記含有率は、例えば、99.0質量%以下、95.0質量%以下、90.0質量%以下又は85.0質量%以下であることができる。
<他の成分>
重合性組成物の成分としては、上記粒子及び重合性化合物に加えて、重合性組成物に通常含まれ得る各種添加剤の1種以上を挙げることができる。これら成分の1種以上は任意の割合で使用することができる。かかる添加剤の一例としては、重合反応を進行させるための重合開始剤を挙げることができる。
例えば、重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができ、ラジカル重合開始剤が好ましく、重合開始剤としてラジカル重合開始剤のみを含むことがより好ましい。また、重合開始剤としては、光重合開始剤又は熱重合開始剤を使用することができ、短時間で重合反応を進行させる観点から光重合開始剤が好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のベンゾインケタール;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン等のα-ヒドロキシケトン;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、1,2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のα-アミノケトン;1-[(4-フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタジオン-2-(ベンゾイル)オキシム等のオキシムエステル;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9、9’-アクリジニルヘプタン)等のアクリジン化合物:N-フェニルグリシン、クマリン等が挙げられる。 また、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体において、2つのトリアリールイミダゾール部位のアリール基の置換基は、同一で対称な化合物を与えてもよく、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン化合物と3級アミンとを組み合わせてもよい。 これらの中で、硬化性、透明性及び耐熱性の観点から、α-ヒドロキシケトン及びホスフィンオキシドが好ましい。重合開始剤の含有率は、重合性組成物の全成分の合計(100質量%)に対して、例えば0.1~5.0質量%の範囲であることができる。上記の全成分の合計とは、溶剤が使用される場合には溶剤を除く全成分の合計をいうものとする。
使用可能な添加剤としては、フォトクロミック化合物を含む組成物に通常添加され得る公知の添加剤、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤、シランカップリング剤等の添加剤を挙げることができる。これら添加剤としては、公知の化合物を使用することができる。
重合性組成物の製造時、以上説明した各種成分を同時又は任意の順序で順次添加して混合することができる。
上記粒子及び重合性化合物は、これら成分のみで、又はこれら成分に加えて1種以上の他の成分とともに混合することができる。混合方法としては、複数成分を混合させることができる各種混合方法を挙げることができる。
フォトクロミック化合物の溶解性の更なる向上の観点から好ましい混合方法としては、超音波ホモジナイザーによる混合を挙げることができる。超音波ホモジナイザー(ultrasonic homogenizer)とは、超音波振動によって液中にキャビテーション(cavitation)と呼ばれる圧力差による泡を発生させることができる装置である。発生した泡が消滅する際に衝撃波が発生し、この衝撃波によって重合性化合物と混合されたフォトクロミック化合物の粒子が砕かれ微細化していき、更に、超音波のエネルギーによって重合性化合物が加熱されることで分子運動が促進されるため微細化されたフォトクロミック化合物の粒子が重合性化合物中に分散し易くなると推察される。これらのことが、フォトクロミック化合物の重合性化合物への溶解性を更に高めること(具体的には組成物における分散粒径の更なる小径化)に寄与すると本発明者は推察している。ただし、本明細書に記載の推察は、本発明を限定するものではない。
超音波ホモジナイザーとしては、市販の超音波ホモジナイザーを使用することができる、市販品の一例としてはASONE社製THU-80及び新科産業有限会社製超音波反応装置SR-500HD-Tを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。超音波ホモジナイザーによる混合条件は、混合対象のフォトクロミック化合物及び重合性組成物の種類、組成物における各成分の濃度等に応じて設定すればよい。例えば、超音波ホモジナイザーの出力は80~500W、周波数は20~80kHz(好ましくは30~80kHz)、超音波ホモジナイザーによる超音波印加時間(以下において、「処理時間」とも記載する。)は5~240分間とすることができる。ただし、上記重合性組成物の製造方法における超音波ホモジナイザーによる混合条件は、上記範囲に限定されるものではない。
超音波ホモジナイザーによる混合時、一形態では重合性組成物の温度を温度制御手段によって制御することができる。また、他の一形態では、温度制御手段による温度制御なしに超音波ホモジナイザーによる混合を行うことができる。先に記載したように、超音波ホモジナイザーによる混合を実施すると、重合性組成物は超音波のエネルギーによって加熱されるため、温度制御手段による温度制御なしでも、混合時の重合性組成物の温度は混合前より上がり得る。フォトクロミック化合物の重合性化合物への溶解性を更に高める観点からは、温度制御手段による温度制御を行うことが好ましい。具体的には、超音波ホモジナイザーによる混合が行われている重合性組成物を加熱手段によって加熱することが好ましい。加熱手段としては、オイルバス、ウォーターバス、ヒーター等の公知の加熱手段を用いることができる。超音波ホモジナイザーによる混合は、例えば80℃以上の温度で行うことができ、90℃以上の温度で行うことが好ましく、100℃以上の温度で行うことがより好ましい。かかる温度は、例えば150℃以下、140℃以下、130℃以下又は120℃以下とすることができる。本発明及び本明細書において混合に関して記載する温度は、混合時の重合性組成物の最高到達温度である。一形態では、超音波ホモジナイザーによる混合は、オイルバスを使用して100℃以上の温度で行うことが好ましい。また、超音波ホモジナイザーによる混合時、例えばマグネチックスターラー等の撹拌手段を併用することもできる。かかる撹拌手段の併用によって、重合性組成物において液の対流を生じさせることができる。この点は、液温の均質化と超音波ホモジナイザーによる処理の均質化の観点から好ましい。
[フォトクロミック物品の製造方法]
本発明の一態様は、
上記製造方法によって重合性組成物を製造すること、及び
製造した重合性組成物を硬化させてフォトクロミック化合物を含有する硬化物を形成すること、
を含む、フォトクロミック物品の製造方法、
に関する。
本発明及び本明細書において、「フォトクロミック物品」とは、フォトクロミック化合物を含む物品をいうものとする。上記製造方法によって製造されるフォトクロミック物品は、先に記載した重合性組成物の製造方法によって製造された重合性組成物の硬化物に含まれるインデノ縮合ナフトピラン化合物によってフォトクロミック性が付与されたフォトクロミック物品であることができる。
上記硬化物は、一形態ではフォトクロミック化合物を含有する基材であることができ、他の一形態では基材上に直接又は間接的に設けられたフォトクロミック層であることができる。
フォトクロミック化合物を含有する基材は、先に記載した重合性組成物の製造方法によって製造された重合性組成物を注型重合等の公知の方法で重合硬化させて基材の形状に成形することによって得ることができる。
一方、基材上に直接又は間接的にフォトクロミック層を設ける場合、基材としては、フォトクロミック物品の種類に応じて選択した基材を使用することができる。フォトクロミック物品は、一形態では、光学物品であることができる。光学物品には、眼鏡レンズ、ゴーグル用レンズ、サンバイザーのバイザー(ひさし)部分、ヘルメットのシールド部材等の各種物品が包含される。基材の一例として、眼鏡レンズ基材は、プラスチックレンズ基材又はガラスレンズ基材であることができる。ガラスレンズ基材は、例えば無機ガラス製のレンズ基材であることができる。レンズ基材としては、軽量で割れ難く取扱いが容易であるという観点から、プラスチックレンズ基材が好ましい。プラスチックレンズ基材としては、(メタ)アクリル樹脂をはじめとするスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR-39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する硬化性組成物を硬化した硬化物(一般に透明樹脂と呼ばれる。)を挙げることができる。レンズ基材としては、染色されていないもの(無色レンズ)を用いてもよく、染色されているもの(染色レンズ)を用いてもよい。レンズ基材の屈折率は、例えば、1.60~1.75程度であることができる。ただしレンズ基材の屈折率は、上記範囲に限定されるものではなく、上記の範囲内でも、上記の範囲から上下に離れていてもよい。本発明及び本明細書において、屈折率とは、波長500nmの光に対する屈折率をいうものとする。また、レンズ基材は、屈折力を有するレンズ(いわゆる度付レンズ)であってもよく、屈折力なしのレンズ(いわゆる度なしレンズ)であってもよい。基材表面には、その上に一層以上の層を形成する前に、基材表面の清浄化等のために、アルカリ処理、UVオゾン処理等の公知の前処理の1つ以上を任意に施すことができる。
眼鏡レンズは、単焦点レンズ、多焦点レンズ、累進屈折力レンズ等の各種レンズであることができる。レンズの種類は、レンズ基材の両面の面形状により決定される。また、レンズ基材表面は、凸面、凹面、平面のいずれであってもよい。通常のレンズ基材及び眼鏡レンズでは、物体側表面は凸面、眼球側表面は凹面である。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。フォトクロミック層は、通常、レンズ基材の物体側表面上に設けることができるが、眼球側表面上に設けてもよい。
先に記載した重合性組成物の製造方法によって製造された重合性組成物を基材の表面上に直接又は一層以上の他の層を介して間接的に塗布し、塗布された組成物に硬化処理を施すことによって、上記組成物が硬化した硬化層としてフォトクロミック層を形成することができる。上記の他の層としては、フォトクロミック層と基材との密着性を向上させるためのプライマー層を挙げることができる。そのようなプライマー層は公知である。重合性組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ディップコート法等の公知の塗布方法を採用することができ、塗布の均一性の観点からはスピンコート法が好ましい。硬化処理は、光照射及び/又は加熱処理であることができ、短時間で硬化反応を進行させる観点からは光照射が好ましい。硬化処理条件は、重合性組成物に含まれる各種成分(重合性化合物、重合開始剤等)の種類や重合性組成物の組成に応じて決定すればよい。こうして形成されるフォトクロミック層の厚さは、例えば5~80μmの範囲であることが好ましく、20~60μmの範囲であることがより好ましい。
上記のフォトクロミック層を有するフォトクロミック物品は、フォトクロミック層に加えて一層以上の機能性層を有してもよく、有さなくてもよい。機能性層の具体例としては、耐久性向上のための保護層、反射防止層、撥水性又は親水性の防汚層、防曇層等の光学物品の機能性層として公知の層を挙げることができる。
フォトクロミック物品の一形態は、眼鏡レンズである。また、フォトクロミック物品の一形態としては、ゴーグル用レンズ、サンバイザーのバイザー(ひさし)部分、ヘルメットのシールド部材等を挙げることもできる。これら物品はフォトクロミック化合物を含有することで防眩機能を発揮することができる。
また、眼鏡レンズがフォトクロミック物品であることにより、かかる眼鏡レンズを備えた眼鏡は、例えば屋外では眼鏡レンズに含まれるフォトクロミック化合物が太陽光の照射を受けて発色することでサングラスのように防眩効果を発揮することができ、屋内に戻るとフォトクロミック化合物が退色することで透過性を回復することができる。眼鏡について、フレーム等の構成については、公知技術を適用することができる。
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし本発明は実施例に示す実施形態に限定されるものではない。
[実施例1、2、比較例1~3]
先に記載の式Aで表される同じ構造のインデノ縮合ナフトピラン化合物について、合成時の純度調整方法及び/又は粒子調製時の溶剤除去処理の処理条件等を変更し、実施例1、2、比較例1~3の各粒子を得た。
各粒子について、先に記載した方法によって結晶化度及び融解曲線における200℃以下での最大融解率を求めた。
詳しくは、結晶化度については、各粒子の試料約10mgをSi製無反射板に充填し、X線回折装置としてスペクトリス PANalytical事業部製X’Pert PROMPDを使用してX線回折分析を行い、得られた結果を上記装置に備えられた解析ソフトによってハーマンス法(Hermans法)により解析して先に示した式1によって結晶化度を算出した。X線回折分析の測定条件は、ターゲット:Cu、X線管電流/電圧:40mA/45kV、走査範囲:2θ=4°~65°、とした。
融解曲線は、BUCHI社製融点測定装置M-565を使用して画像解析法による融点測定を行って取得した。上記融点測定装置はサンプル導入管を3つ有し、各粒子の融点測定では、3つのサンプル導入管部にそれぞれ粒子を導入して、各サンプル導入管内の粒子について融解曲線を得た。こうして得られた3本の融解曲線における200℃以下での融解率の最大値を、200℃以下での最大融解率とした。実施例1~5の粒子について得られた融解曲線を図1~5に示す。
また、実施例1、実施例2、比較例2、3の各粒子については、先に記載した方法によって会合度の測定も実施した(反射型の光学顕微鏡の倍率:100倍)。会合度は、実施例1では58、実施例2では64、比較例2では9、比較例3では24.3であった。
[溶解性の評価]
実施例1、2、比較例1~3の各粒子について、以下の方法によって溶解性を評価した。
<重合性組成物の調製>
ガラス製容器内で、ポリエチレングリコールジメタクリレート(上記式1中、n=14、Rはエチレン基、分子量736)85質量部とトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(分子量332)15質量部を混合して重合性化合物の混合物を得た。
上記で得られた重合性化合物の混合物に、実施例及び比較例の各粒子及び重合開始剤を添加し、超音波ホモジナイザーによる混合を実施した。重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IGM Resin B.V.社製Omnirad819))を使用した。重合性化合物の混合物100質量部に対して、上記の各粒子を2.25質量部添加し、重合開始剤は0.8質量部添加した。超音波ホモジナイザーによる混合は、周波数20kHz、出力80W、処理時間9分で実施した。超音波ホモジナイザーによる混合時、マグネチックスターラーを併用した。詳しくは、超音波ホモジナイザーとしては、ASONE社製THU-80を使用した。ASONE社製THU-80は、超音波発振器と振動子を備えた超音波ホモジナイザーである。混合は、容器をマグネチックスターラー上に配置し、容器内のフォトクロミック化合物、重合性化合物及び重合開始剤の混合物に振動子を差し込み、超音波発振器から超音波を発振させて振動子によって容器内の混合物に超音波振動を加えることによって実施した。この際、マグネチックスターラーによって磁力を利用して容器内の混合物中の回転子を回転させて混合物を撹拌することも実施した。混合時、加熱手段としてオイルバスを使用し、容器内の混合物の加熱も実施した(最高到達温度:118℃)。
以上により、重合性組成物を調製した。
<分散粒径の測定>
上記の混合終了から2時間後、液温が下がった状態で重合性組成物から粒度分布測定用の試料液を採取し、採取した試料液中の粒子の粒度分布測定を実施した。粒度分布計としては、大塚電子社製ゼータ電位・粒径測定システムELSZ-2を使用した。
上記粒度分布計によって測定された試料液中の分散粒径(平均粒径)が小さいほど、調製された重合性組成物におけるインデノ縮合ナフトピラン化合物の重合性化合物への溶解性が高いと評価することができる。
以下の評価基準により、分散性を評価した。
A:分散粒径が100nm以下
B:分散粒径が100nm超
[液寿命の評価]
実施例1、2、比較例2、3の各粒子について、各粒子を用いて調製された重合性組成物の液寿命を、以下の方法によって評価した。
<眼鏡レンズの作製>
上記で調製した重合組成物から調製当日及び調製N日後にそれぞれ一部を取り出し、以下の方法によってフォトクロミック層を有する眼鏡レンズを作製した。
プラスチックレンズ基材(HOYA社製商品名EYAS;中心肉厚2.5mm、半径75mm、S-4.00)を10質量%水酸化ナトリウム水溶液(液温60℃)に5分間浸漬処理した後に純水で洗浄し乾燥させた。その後、上記重合組成物をスピンコート法により塗布した。スピンコートは、特開2005-218994号公報に記載の方法により行った。その後、プラスチックレンズ基材上に塗布された上記組成物に対して窒素雰囲気中(酸素濃度500ppm以下)で紫外線(波長405nm)を照射し、この組成物を硬化させてフォトクロミック層を形成した。形成されたフォトクロミック層の厚さは40μmであった。
こうして、フォトクロミック層を有する眼鏡レンズを作製した。
<フォトクロミック層の性能評価>
各眼鏡レンズのフォトクロミック層の表面に対して、キセノンランプを使用してエアロマスフィルターを介して15分間(900秒)、光照射し、フォトクロミック層中のフォトクロミック化合物を発色させた。この発色時の透過率(測定波長:550nm)を大塚電子工業社製分光光度計により測定した。上記光照射は、JIS T7333:2005に規定されているように放射照度および放射照度の許容差が下記表1に示す値となるように行った。
Figure 2022151089000004
上記の透過率(以下、「発色時透過率」と記載する。)を、重合組成物の調製当日の重合性組成物を用いてフォトクロミック層を形成した眼鏡レンズ(初期サンプル)と、調製N日後の重合組成物を用いてフォトクロミック層を形成した眼鏡レンズ(経時サンプル)で比較し、経時サンプルの発色時透過率から初期サンプルの発色時透過率を引いた値が1(%)以内に収まる最長の日数Nを液寿命として表2に示す。日数Nが長いほど、重合性組成物の経時的な品質低下が少ないということができる。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2022151089000005
表2に示す結果から、実施例1、2の粒子が重合性化合物への溶解性に優れること及び実施例1、2の粒子を用いて調製された重合性組成物は液寿命が長いことが確認できる。
例えば、上記実施例で調製された重合性組成物を基材上に塗布して光照射によって硬化させることにより、基材上にフォトクロミック層を形成することができる。
最後に、前述の各態様を総括する。
一態様によれば、結晶化度が60.00%以上であり且つ融解曲線において温度200℃以下での最大融解率が25%以下であるインデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子が提供される。
上記粒子によれば、インデノ縮合ナフトピラン化合物が重合性化合物に高い溶解性で溶解した重合性組成物であって且つ液寿命が長い重合性組成物を製造することが可能になる。
一形態では、上記粒子の会合度は、50以上であることができる。
一態様によれば、上記製造方法によって重合性組成物を製造すること及び製造した重合性組成物を硬化させてフォトクロミック化合物を含有する硬化物を形成すること、を含むフォトクロミック物品の製造方法が提供される。
一形態では、上記硬化物はフォトクロミック層であることができ、上記フォトクロミック物品の製造方法は、上記フォトクロミック層を基材上に直接または間接的に形成することを含むことができる。
一形態では、上記フォトクロミック物品は、眼鏡レンズであることができる。
一形態では、上記フォトクロミック物品は、ゴーグル用レンズであることができる。
一形態では、上記フォトクロミック物品は、サンバイザーのバイザー部分であることができる。
一形態では、上記フォトクロミック物品は、ヘルメットのシールド部材であることができる。
本明細書に記載の各種態様および形態は、任意の組み合わせで2つ以上を組み合わせることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、眼鏡、ゴーグル、サンバイザー、ヘルメット等の技術分野において有用である。

Claims (9)

  1. 結晶化度が60.00%以上であり且つ融解曲線において温度200℃以下での最大融解率が25%以下である、インデノ縮合ナフトピラン化合物の粒子。
  2. 会合度が50以上である、請求項1に記載の粒子。
  3. 請求項1又は2に記載の粒子を1種以上の重合性化合物と混合することを含む、重合性組成物の製造方法。
  4. 請求項3に記載の製造方法によって重合性組成物を製造すること、及び
    製造した重合性組成物を硬化させてフォトクロミック化合物を含有する硬化物を形成すること、
    を含む、フォトクロミック物品の製造方法。
  5. 前記硬化物はフォトクロミック層であり、
    前記フォトクロミック層を基材上に直接又は間接的に形成することを含む、請求項4に記載のフォトクロミック物品の製造方法。
  6. 前記フォトクロミック物品は眼鏡レンズである、請求項4又は5に記載のフォトクロミック物品の製造方法。
  7. 前記フォトクロミック物品はゴーグル用レンズである、請求項4又は5に記載のフォトクロミック物品の製造方法。
  8. 前記フォトクロミック物品はサンバイザーのバイザー部分である、請求項4又は5に記載のフォトクロミック物品の製造方法。
  9. 前記フォトクロミック物品はヘルメットのシールド部材である、請求項4又は5に記載のフォトクロミック物品の製造方法。
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