JP2022150547A - ハイブリッド車両の制御方法及び制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイブリッド車両のエンジン始動時に、エンジンとモータとの間の第1クラッチ及びモータと車輪との間の第2クラッチを的確に制御して、エンジン始動の応答性を確保しつつ、車両ショックを抑制する。【解決手段】ハイブリッド車両の制御システムにおいて、コントローラ20は、エンジン2の始動要求が発せられたときに、第2クラッチCL2を締結状態から所定のスリップ状態へ移行させ、この第2クラッチCL2の移行が完了した後に第1クラッチCL1の所定のスリップ状態又は締結状態への移行が完了するように、第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行を開始してから所定時間経過後に、第1クラッチCL1の解放状態から所定のスリップ状態又は締結状態への移行を開始し、第1及び第2クラッチCL1、CL2の制御中及び/又は制御後に、モータ4のクランキングによってエンジン2を始動させる。【選択図】図4

Description

本発明は、動力源としてのエンジン及びモータと、これらエンジンとモータとの間におけるトルクの伝達と遮断とを切り替える摩擦締結要素(クラッチ)と、を有するハイブリッド車両の制御方法及び制御システムに関する。
従来から、エンジン(内燃機関)と、車輪への動力伝達経路上においてエンジンの下流側に設けられたモータと、エンジンとモータとの間に断続可能に設けられた第1クラッチと、モータと車輪(駆動輪)との間に断続可能に設けられた第2クラッチと、を有するハイブリッド車両が知られている。このハイブリッド車両は、エンジンのトルクを用いずにモータのトルクを用いてハイブリッド車両を走行させる走行モード(EV走行モード)と、少なくともエンジンのトルクを用いてハイブリッド車両を走行させる走行モード(エンジン走行モード又はハイブリッド走行モード)と、を切り替え可能に構成されている。
例えば、特許文献1には、このようなハイブリッド車両に関して、モータ単独での走行中にエンジンを始動させる場合に、第2クラッチ(発進クラッチ)をスリップ制御しながらモータ回転数を上昇させ、モータ回転数が所定回転数に達したときに第1クラッチ(エンジンクラッチ)を締結する技術が開示されている。この技術では、モータの回転上昇による車速の変動及び第1クラッチの締結時のショックを抑制しつつ、スムーズなエンジン始動を図っている。
特開2000-255285号公報
上記のようなハイブリッド車両では、走行中において停止しているエンジンを始動させるときに、エンジンとモータとの間に設けられた第1クラッチが、解放状態から所定のスリップ状態又は締結状態へと移行される。こうすることで、第1クラッチを介してモータのトルクをエンジンに伝達して、モータのクランキングによってエンジンを始動させるようにしている。これに対して、モータと車輪との間に設けられた第2クラッチは、エンジンの始動時に、締結状態から所定のスリップ状態へと移行される。こうしているのは、動力源と車輪との間の第2クラッチを介したトルク伝達をできるだけ低減させて、このトルク伝達により車両に発生するショック(車両ショック)を抑制するためである。例えば、車両ショックには、走行しているハイブリッド車両の運動エネルギーがエンジン側に伝達されてエンジン始動に用いられることによる車両の減速がある。このような車両ショックを確実に抑制するためには、基本的には、第2クラッチの所定のスリップ状態への移行が、第1クラッチの所定のスリップ状態又は締結状態への移行よりも前に完了している必要がある。
しかしながら、第1及び第2クラッチの特性や走行条件などによっては、第2クラッチの所定のスリップ状態への移行が完了する前に、第1クラッチの所定のスリップ状態又は締結状態への移行が完了してしまう場合がある。この場合には、エンジン始動時に、第1及び第2クラッチを介してエンジンと車輪との間でトルク伝達されることで、車両ショックが発生してしまう可能性がある。このような問題に対処すべく、第2クラッチのスリップ量(第2クラッチの伝達トルク量に対応する)を検知し、検知されたスリップ量に応じて、第1クラッチを所定のスリップ状態又は締結状態に移行する制御を行う方法が考えられる。しかしながら、この検知を精度良く行うことは技術的に困難である。また、この検知に応じて第1クラッチを制御すると、当該第1クラッチの所定のスリップ状態又は締結状態への移行が遅れて、エンジン始動の応答性が悪化する傾向にある。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、ハイブリッド車両のエンジン始動時に、エンジンとモータとの間に設けられた第1クラッチ及びモータと車輪との間に設けられた第2クラッチのそれぞれを的確に制御することで、エンジン始動の応答性を確保しつつ、車両ショックを抑制することができるハイブリッド車両の制御方法及び制御システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、エンジンと、モータと、エンジンとモータとの間に断続可能に設けられた第1摩擦締結要素と、モータと車輪との間に断続可能に設けられた第2摩擦締結要素と、を有するハイブリッド車両の制御方法であって、ハイブリッド車両の走行中において停止しているエンジンの始動要求が発せられたときに、第2摩擦締結要素を締結状態から所定のスリップ状態へ移行させるように、当該第2摩擦締結要素を制御する工程と、第2摩擦締結要素の所定のスリップ状態への移行が完了した後に第1摩擦締結要素の所定のスリップ状態又は締結状態への移行が完了するように、第2摩擦締結要素の所定のスリップ状態への移行が開始してから所定時間経過後に、第1摩擦締結要素の解放状態から所定のスリップ状態又は締結状態への移行を開始するように、当該第1摩擦締結要素を制御する工程と、第1及び第2摩擦締結要素の制御中及び/又は制御後に、モータのクランキングによってエンジンを始動させるように、モータ及びエンジンを制御する工程と、を有することを特徴とする。
このように構成された本発明では、エンジンの始動要求が発せられたときに、第2摩擦締結要素の所定のスリップ状態への移行を開始してから所定時間経過後に、第1摩擦締結要素の解放状態から所定のスリップ状態又は締結状態への移行を開始して、第2摩擦締結要素の所定のスリップ状態への移行が完了した後に第1摩擦締結要素の所定のスリップ状態又は締結状態への移行が完了するようにする。これにより、第1摩擦締結要素を介したモータからのトルク伝達によるエンジンの始動開始時に、動力源と車輪との間のトルク伝達を十分抑制可能な状態に第2摩擦締結要素を確実に設定しておくことができる。また、第1摩擦締結要素の所定のスリップ状態又は締結状態への移行開始は、第2摩擦締結要素の所定のスリップ状態への移行完了を待たずに、第2摩擦締結要素の移行開始から所定時間経過後に開始されるので、エンジン始動の応答性の悪化を抑制することができる。以上より、本発明によれば、エンジン始動の応答性を確保しつつ、車両ショックを抑制することができる。
本発明において、好ましくは、第1摩擦締結要素の制御により、第1摩擦締結要素の所定のスリップ状態又は締結状態への移行が開始してから当該移行が完了するまでに要した第1時間を取得する工程と、第2摩擦締結要素の制御により、第2摩擦締結要素の所定のスリップ状態への移行が開始してから当該移行が完了するまでに要した第2時間を取得する工程と、第1及び第2時間に基づき所定時間を補正し、この所定時間をエンジンの次回始動時に適用する工程と、を更に有する。
このように構成された本発明によれば、部品の劣化などによるばらつきに応じて変化する第1及び第2時間に基づき、所定時間を補正(更新)することができる。こうして補正された所定時間をエンジンの次回始動時に適用することで、エンジン始動の応答性確保と車両ショックの抑制を確実に両立できるようになる。
本発明において、好ましくは、第1及び第2摩擦締結要素は油圧により動作するように構成され、第1時間を取得する工程では、第1摩擦締結要素に付与された油圧を推定し、この推定した油圧に基づき、第1摩擦締結要素の所定のスリップ状態又は締結状態への移行の完了を判断して、第1時間を取得し、第2時間を取得する工程では、第2摩擦締結要素に付与された油圧を推定し、この推定した油圧に基づき、第2摩擦締結要素の所定のスリップ状態への移行の完了を判断して、第2時間を取得する。
このように構成された本発明によれば、第1及び第2摩擦締結要素の移行完了タイミングを的確に判断して、第1及び第2時間を精度良く求めることができる。
本発明において、好ましくは、第1摩擦締結要素は油圧により動作するように構成され、エンジンの始動要求が発せられたときに、第1摩擦締結要素を所定のスリップ状態又は締結状態へ移行させるための油圧を第1摩擦締結要素に付与する前に、第1摩擦締結要素を介したトルク伝達が発生しない程度の油圧を第1摩擦締結要素に事前に付与する工程を更に有する。
このように構成された本発明では、第1摩擦締結要素の油圧室への作動油の充填を事前に行っておく。これにより、第1摩擦締結要素を所定のスリップ状態又は締結状態へ移行させるための油圧を付与したときの第1摩擦締結要素の応答性を向上させることができる。
他の観点では、上記の目的を達成するために、本発明は、ハイブリッド車両の制御システムであって、エンジン及びモータと、エンジンとモータとの間に断続可能に設けられた第1摩擦締結要素と、モータと車輪との間に断続可能に設けられた第2摩擦締結要素と、エンジン、モータ、第1及び第2摩擦締結要素を制御するよう構成された制御装置と、を有し、制御装置は、ハイブリッド車両の走行中において停止しているエンジンの始動要求が発せられたときに、第2摩擦締結要素を締結状態から所定のスリップ状態へ移行させるように、当該第2摩擦締結要素を制御し、第2摩擦締結要素の所定のスリップ状態への移行が完了した後に第1摩擦締結要素の所定のスリップ状態又は締結状態への移行が完了するように、第2摩擦締結要素の所定のスリップ状態への移行が開始してから所定時間経過後に、第1摩擦締結要素の解放状態から所定のスリップ状態又は締結状態への移行を開始するように、当該第1摩擦締結要素を制御し、第1及び第2摩擦締結要素の制御中及び/又は制御後に、モータのクランキングによってエンジンを始動させるように、モータ及びエンジンを制御するよう構成される、ことを特徴とする。
このように構成された本発明によっても、エンジン始動の応答性を確保しつつ、車両ショックを抑制することができる。
本発明のハイブリッド車の制御方法及び制御システムによれば、ハイブリッド車両のエンジン始動時に、エンジンとモータとの間に設けられた第1クラッチ及びモータと車輪との間に設けられた第2クラッチのそれぞれを的確に制御することで、エンジン始動の応答性を確保しつつ、車両ショックを抑制することができる。
本発明の実施形態によるハイブリッド車両の概略構成図である。 本発明の実施形態によるハイブリッド車両の電気的構成を示すブロック図である。 エンジン始動時における第1及び第2クラッチの制御により発生し得る問題点についての説明図である。 本発明の実施形態による第1及び第2クラッチの制御の基本概念についての説明図である。 本発明の実施形態による始動制御を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態による始動制御を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるハイブリッド車両の制御方法及び制御システムを説明する。
[装置構成]
図1は、本発明の実施形態によるハイブリッド車両の制御方法及び制御システムが適用されるハイブリッド車両の概略構成図である。
図1に示すように、ハイブリッド車両1は、主に、ハイブリッド車両1を駆動するためのトルクを発生するエンジン2(例えばガソリンエンジン)と、ハイブリッド車両1の動力伝達経路上においてエンジン2よりも下流側に設けられ、ハイブリッド車両1を駆動するためのトルクを発生するモータ4と、図示しないインバータ等を介してモータ4との間で電力の授受を行うバッテリ5と、ハイブリッド車両1の動力伝達経路上においてモータ4よりも下流側に設けられ、エンジン2及び/又はモータ4による回転速度を変速する変速機6と、変速機6からのトルクを下流側に伝達する動力伝達系8と、動力伝達系8からのトルクによって車輪12を駆動するドライブシャフト10と、当該車輪(駆動輪)12と、を有する。
エンジン2の出力軸とモータ4の回転軸とは、断続(断接)可能な第1クラッチCL1を介して軸AX1によって同軸状に連結されている。この第1クラッチCL1により、エンジン2とモータ4との間におけるトルクの伝達と遮断とを切り替えられるようになっている。例えば、第1クラッチCL1は、図示しないモータやソレノイドにより、クラッチ作動油流量及び/又はクラッチ作動油圧を連続的又は段階的に制御して、伝達トルク容量を変更可能な乾式多板クラッチや湿式多板クラッチなどによって構成されている。
モータ4の回転軸と変速機6の回転軸とは、軸AX2によって同軸状に連結されている。変速機6は、典型的には、サンギヤS1、リングギヤR1、ピニオンギヤP1(遊星歯車)及びキャリアC1を含む1つ以上のプラネタリギヤセットと、クラッチやブレーキ等の摩擦締結要素とを内部に備えており、車速やエンジン回転数などに応じてギヤ段(変速比)を自動的に切り替える機能を備えた自動変速機である。リングギヤR1はサンギヤS1と同心円上に配置され、ピニオンギヤP1はサンギヤS1及びリングギヤR1に噛み合うようにサンギヤS1とリングギヤR1との間に配置されている。キャリアC1は、ピニオンギヤP1を自転可能且つサンギヤS1の周りを公転可能に保持する。
また、変速機6は、断続(断接)な第2クラッチCL2を内部に備え、この第2クラッチCL2により、変速機6の上流側(エンジン2及びモータ4)と変速機6の下流側(車輪12など)との間におけるトルクの伝達と遮断とを切り替えられるようになっている。例えば、第2クラッチCL2も、図示しないモータやソレノイドにより、クラッチ作動油流量及び/又はクラッチ作動油圧を連続的又は段階的に制御して、伝達トルク容量を変更可能な乾式多板クラッチや湿式多板クラッチなどによって構成されている。
なお、第2クラッチCL2は、実際には、変速機6において種々のギヤ段を切り替えるために用いられる多数のクラッチによって構成される。また、図1では単純化のためプラネタリギヤセットを1つだけ示しているが、実際には変速機6は複数のプラネタリギヤセットを備えている。第2クラッチCL2により代表される複数のクラッチや図示しない複数のブレーキ等の摩擦締結要素を選択的に締結して、各プラネタリギヤセットを経由する動力伝達経路を切り換えることにより、例えば複数の前進変速段と1段の後退速段とを実現可能となっている。
動力伝達系8は、変速機6の出力軸AX3を介してトルクが入力される。動力伝達系8は、駆動力を左右一対の車輪12に対して分配するデファレンシャルギヤや、ファイナルギヤなどを含んで構成されている。
上記のハイブリッド車両1は、第1クラッチCL1の締結と解放とを切り替えることで、走行モードを切り替えることができる。すなわち、ハイブリッド車両1は、第1クラッチCL1を解放状態に設定して、エンジン2のトルクを用いずにモータ4のトルクを用いてハイブリッド車両1を走行させる第1走行モードと、第1クラッチCL1を締結状態に設定して、少なくともエンジン2のトルクを用いてハイブリッド車両1を走行させる第2走行モードと、を有する。第1走行モードは、所謂EV走行モードであり、第2走行モードは、エンジン2のトルクのみを用いてハイブリッド車両1を走行させるエンジン走行モード、及びエンジン2及びモータ4の両方のトルクを用いてハイブリッド車両1を走行させるハイブリッド走行モードを含む。
なお、第1及び第2クラッチCL1、CL2は、それぞれ、本発明における「第1摩擦締結要素」及び「第2摩擦締結要素」の一例に相当する。ただし、このような第1及び第2摩擦締結要素としてクラッチを用いることに限定はされない。
次に、図2は、本発明の実施形態によるハイブリッド車両の電気的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、コントローラ20には、エンジン2の回転数を検知するエンジン回転数センサSN1からの信号と、モータ4の回転数を検知するモータ回転数センサSN2からの信号と、ドライバによるアクセルペダルの踏込み量に対応するアクセル開度を検知するアクセル開度センサSN3からの信号と、ハイブリッド車両1の車速を検知する車速センサSN4からの信号と、ハイブリッド車両1の前後方向の加速度を検知する加速度センサSN5からの信号と、バッテリ5の充電状態を示すSOC(State of Charge)を検知するSOCセンサSN6からの信号と、が入力されるようになっている。
コントローラ20は、1つ以上のプロセッサ20a(典型的にはCPU)と、当該プロセッサ上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)や各種のデータを記憶するROMやRAMなどのメモリ20bと、を備えるコンピュータにより構成される。コントローラ20は、本発明における「制御装置」に相当し、また、本発明における「ハイブリッド車両の制御方法」を実行する。
具体的には、コントローラ20は、上述したセンサSN1~SN6からの検知信号に基づき、主に、エンジン2、モータ4、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2に対して制御信号を出力し、これらを制御する。例えば、コントローラ20は、エンジン2の点火時期、燃料噴射時期、燃料噴射量を調整する制御や、モータ4の回転数、トルクを調整する制御や、第1及び第2クラッチCL1、CL2の状態(締結状態、解放状態、スリップ状態)を切り替える制御などを行う。実際には、コントローラ20は、エンジン2の点火プラグや燃料噴射弁やスロットル弁などを制御し、インバータを介してモータ4を制御し、油圧制御回路を介して第1及び第2クラッチCL1、CL2を制御する。
[ハイブリッド車両の制御]
次に、本実施形態においてコントローラ20が行う制御内容について説明する。本実施形態では、コントローラ20は、エンジン2を停止した状態での走行中に、このエンジン2の始動要求が発せられたときに、エンジン2とモータ4との間に設けられた第1クラッチCL1を解放状態から所定のスリップ状態又は締結状態へと移行させる。こうすることで、第1クラッチCL1を介してモータ4のトルクをエンジン2に伝達して、モータ4によってエンジン2をクランキングすることでエンジン2を始動させるようにする。また、コントローラ20は、このようなエンジン2の始動時に、モータ4と車輪12との間に設けられた第2クラッチCL2を締結状態から所定のスリップ状態へと移行させる。こうすることで、動力源(特にエンジン2)と車輪12との間の第2クラッチCL2を介したトルク伝達をできるだけ低減させて、このトルク伝達によりハイブリッド車両1に発生するショック(車両ショック)を抑制するようにする。例えば、車両ショックには、走行しているハイブリッド車両1の運動エネルギーがエンジン2側に伝達されてエンジン始動に用いられることによる車両の減速がある。
ここで、図3を参照して、上述したエンジン始動時における第1及び第2クラッチCL1、CL2の制御により発生し得る問題点について説明する。図3は、横軸に時間を示し、縦軸に第1及び第2クラッチCL1、CL2の伝達トルク容量を示す。具体的には、図3の実線及び破線は、それぞれ、エンジン始動時において第1及び第2クラッチCL1、CL2の状態を切り替えるための制御(具体的には第1及び第2クラッチCL1、CL2に付与する油圧を変化させる制御)を行ったときの、第1及び第2クラッチCL1、CL2の伝達トルク容量を示す。この伝達トルク容量は、第1、第2クラッチCL1、CL2の状態(解放状態、締結状態、スリップ状態)に応じて変化する量である。なお、図3では、第1クラッチCL1をエンジン始動時に締結状態へと移行させる場合を例に挙げて説明する。
図3に示す制御例では、時刻t11において、第1クラッチCL1の解放状態から締結状態への移行が開始されると共に、第2クラッチCL2の締結状態から所定のスリップ状態への移行が開始される。この後、時刻t12において、第1クラッチCL1の解放状態から締結状態への移行が完了する一方で、この時刻t12よりも後の時刻t13において、第2クラッチCL2の締結状態から所定のスリップ状態への移行が完了する。すなわち、エンジン始動時において第1及び第2クラッチCL1、CL2の所定状態への移行動作を同時に開始すると、第1及び第2クラッチCL1、CL2の特性や走行条件などにより、第2クラッチCL2の締結状態から所定のスリップ状態への移行が完了する前に、第1クラッチCL1の解放状態から締結状態への移行が完了してしまう場合があるのである。
この場合には、エンジン始動時に、第1及び第2クラッチCL1、CL2を介してエンジン2と車輪12との間でトルク伝達されることで、車両ショックが発生してしまう可能性がある。このような問題に対処すべく、第2クラッチCL2のスリップ量(第2クラッチCL2の伝達トルク容量に対応する)を検知し、検知されたスリップ量に応じて、第1クラッチCL1を締結状態に移行する制御を開始する方法が考えられる。しかしながら、この検知を精度良く行うことは技術的に困難である。また、この検知に応じて第1クラッチCL1を制御すると、当該第1クラッチCL1の締結状態への移行が遅れて、エンジン始動の応答性が悪化する傾向にある。
したがって、本実施形態では、コントローラ20は、エンジン始動時において、第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行を開始してから所定時間経過後に、第1クラッチCL1の所定のスリップ状態又は締結状態への移行を開始することにより、第1クラッチCL1の所定のスリップ状態又は締結状態への移行が第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行が完了した後に確実に完了するようにする。こうすることで、エンジン始動の応答性を確保しつつ、車両ショックを抑制するようにする。
図4は、本実施形態による第1及び第2クラッチCL1、CL2の制御の基本概念についての説明図である。図4は、横軸に時間を示し、縦軸に第1及び第2クラッチCL1、CL2の伝達トルク容量を示す。具体的には、図4の実線及び破線は、それぞれ、エンジン始動時において第1及び第2クラッチCL1、CL2の状態を切り替えるための制御(具体的には第1及び第2クラッチCL1、CL2に付与する油圧を変化させる制御)を行ったときの、第1及び第2クラッチCL1、CL2の伝達トルク容量を示す。なお、図4では、第1クラッチCL1をエンジン始動時に締結状態へと移行させる場合を例に挙げて説明する。
図4に示すように、本実施形態では、コントローラ20は、時刻t21において、第2クラッチCL2の締結状態から所定のスリップ状態への移行を開始する一方で、この時刻t21から所定時間T0経過後の時刻t22において、第1クラッチCL1の解放状態から締結状態への移行を開始する。この後、時刻t23において、第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行が完了する一方で、この時刻t23の後の時刻t24において、第1クラッチCL1の締結状態への移行が完了する。すなわち、本実施形態によれば、第1クラッチCL1の締結状態への移行が完了する前に、第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行が完了している。
なお、図4では、エンジン始動時に第1クラッチCL1を締結状態へと移行させる制御を例に挙げたが、このような制御は、エンジン始動時に第1クラッチCL1を所定のスリップ状態へと移行させる場合にも適用される。
更に、本実施形態では、コントローラ20は、上記のように第1及び第2クラッチCL1、CL2を制御した場合に、第1クラッチCL1の所定のスリップ状態又は締結状態への移行を開始してから当該移行が完了するまでに要した第1時間(図4において符号T1を付した時間)を取得すると共に、第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行を開始してから当該移行が完了するまでに要した第2時間(図4において符号T2を付した時間)を取得する。そして、コントローラ20は、第1及び第2時間T1、T2に基づき所定時間T0を補正し、この所定時間T0をエンジン2の次回始動時に適用する。例えば、コントローラ20は、第2時間T2に対して所定の余裕時間(1つの例ではコントローラ20による演算の1サイクルの時間)を加算した時間と、第1時間T1に対して所定時間T0を加算した時間とが等しくなるように(これは、第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行が完了してから所定の余裕時間の経過後に、第1クラッチCL1の所定のスリップ状態又は締結状態への移行が完了するようにすることに相当する)、取得された第1及び第2時間T1、T2に基づき、次回適用すべき所定時間T0を算出する。これにより、部品の劣化などによるばらつきにより変化する第1及び第2時間T1、T2に応じて、所定時間T0を的確に補正(更新)することができる。こうして補正された所定時間T0をエンジン2の次回始動時に適用することで、エンジン始動の応答性確保と車両ショックの抑制を確実に両立できるようになる。
また、コントローラ20は、第1クラッチCL1を所定のスリップ状態又は締結状態へ移行させるために第1クラッチCL1に付与する油圧の制御を開始したタイミング(具体的には第1クラッチCL1の指示油圧の増加を開始したタイミング)から、第1クラッチCL1に付与された油圧(実油圧)が所定値以上になったタイミングまでの時間を、第1時間T1として求める。この場合、コントローラ20は、第1クラッチCL1の指示油圧に対する油圧挙動を示す所定のモデルを用いて、第1クラッチCL1の実油圧を推定する。他の例では、コントローラ20は、このような第1クラッチCL1の実油圧が所定値以上になったタイミングを用いる代わりに、第1クラッチCL1の差回転が所定回転数未満になったタイミングを用いて、第1時間T1を求めてもよい。この場合、第1クラッチCL1の差回転は、第1クラッチCL1のエンジン2側の軸AX1の回転数と第1クラッチCL1のモータ4側の軸AX1の回転数との差であり、エンジン2側の軸AX1の回転数はエンジン回転数センサSN1から取得され、モータ4側の軸AX1の回転数はモータ回転数センサSN2から取得される。更に他の例では、コントローラ20は、第1クラッチCL1の伝達トルク容量が所定値以上になったタイミングを用いて、第1時間T1を求めてもよい。例えば、第1クラッチCL1の伝達トルク容量は、第1クラッチCL1を駆動するソレノイドに供給されるソレノイド電流に基づき求められる。
また、コントローラ20は、第2クラッチCL2を所定のスリップ状態へ移行させるために第2クラッチCL2に付与する油圧の制御を開始したタイミング(具体的には第2クラッチCL2の指示油圧の低減を開始したタイミング)から、第2クラッチCL2に付与された油圧(実油圧)が所定値未満になったタイミングまでの時間を、第2時間T2として求める。この場合にも、コントローラ20は、第2クラッチCL2の指示油圧に対する油圧挙動を示す所定のモデルを用いて、第2クラッチCL2の実油圧を推定する。他の例では、コントローラ20は、このような第2クラッチCL2の実油圧が所定値未満になったタイミングを用いる代わりに、第2クラッチCL2の差回転が所定回転数以上になったタイミングを用いて、第2時間T2を求めてもよい。この場合、第2クラッチCL2の差回転は、第2クラッチCL2のモータ4側の軸AX2の回転数と第2クラッチCL2の車輪12側の軸AX3の回転数との差であり、モータ4側の軸AX2の回転数はモータ回転数センサSN2から取得され、車輪12側の軸AX3の回転数は車速センサSN4から取得される。更に他の例では、コントローラ20は、第2クラッチCL2の伝達トルク容量が所定値未満になったタイミングを用いて、第2時間T2を求めてもよい。例えば、第2クラッチCL2の伝達トルク容量は、第2クラッチCL2を駆動するソレノイドに供給されるソレノイド電流に基づき求められる。
次に、図5を参照して、本実施形態によるエンジン2の始動制御について具体的に説明する。図5は、本実施形態による始動制御を示すタイムチャートである。図5において、グラフG1aはモータ回転数を示し、グラフG1bはエンジン回転数を示し、グラフG1cは車輪回転数(換言するとドライブシャフト10の回転数)を示し、グラフG1dはモータ4の目標回転数(モータ目標回転数)を示し、グラフG1fは第2クラッチCL2の伝達トルク容量を示し、グラフG1gは第1クラッチCL1の伝達トルク容量を示し、グラフG1hは第2クラッチCL2の実油圧を示し、グラフG1iは第2クラッチCL2の指示油圧を示し、グラフG1jは第1クラッチCL1の実油圧を示し、グラフG1kは第1クラッチCL1の指示油圧を示している。
ここでは、モータ4の余裕駆動力があり(換言するとモータ4がエンジン2を始動させるのに十分なトルクを発生可能な状態にある)、且つ、ハイブリッド車両1が始動要求後に加速状態となる場合に行われる制御を例に挙げて説明する。また、第1クラッチCL1をエンジン始動時に所定のスリップ状態へと移行させる場合を例に挙げる。
時刻t31において、エンジン2の始動要求が発せられると、コントローラ20は、締結状態にある第2クラッチCL2を所定のスリップ状態に移行すべく、第2クラッチCL2の指示油圧をステップ状に低下させる。これにより、第2クラッチCL2の実油圧が速やかに低下し、第2クラッチCL2の伝達トルク容量も速やかに低下する(矢印A1)。その結果、第2クラッチCL2が所定のスリップ状態へと移行する。
この後、時刻t32から時刻t33までの間、コントローラ20は、第1クラッチCL1の指示油圧を一時的にステップ状に上昇させる。この場合、コントローラ20は、第1クラッチCL1を介したトルク伝達が発生しない程度(つまり第1クラッチCL1の伝達トルク容量がほとんど変化しない程度)の油圧を、第1クラッチCL1に事前に付与する。こうすることで、第1クラッチCL1の油圧室への作動油の充填を事前に行っておくようにする。そして、コントローラ20は、時刻t33より一定期間、第1クラッチCL1の指示油圧を、低下させた油圧に維持した後、時刻t34において、第1クラッチCL1の指示油圧を上昇させる。これにより、第1クラッチCL1の伝達トルク容量が上昇し(矢印A2)、第1クラッチCL1が所定のスリップ状態へと移行する。
他方で、コントローラ20は、エンジン2の始動要求が発せられたときに(時刻t31以降)、目標駆動力に対応する目標加速度を実現すべく、モータ目標回転数を上昇させる。特に、コントローラ20は、動力伝達系8内のギヤ(典型的にはデファレンシャルギヤ)の状態を所定のガタ詰め状態(動力源側から車輪側へと動力が伝達されるような加速側のガタ詰め状態)に維持するために、モータ回転数が車輪回転数よりも高い差回転の状態が維持されるようにモータ目標回転数を設定してモータ4を制御する。そして、コントローラ20は、モータ4のクランキングによってエンジン2が始動して、エンジン回転数がモータ回転数と等しくなると、時刻t35より、第1及び第2クラッチCL1、CL2を締結状態に設定すべく、第1及び第2クラッチCL1、CL2の指示油圧を上昇させる。また、コントローラ20は、エンジン2の始動後において、モータ回転数の変化を制限しつつ、ある程度の時間をかけてモータ回転数(及びエンジン回転数)を車輪回転数と等しくするように、モータ目標回転数を設定する。
次に、図6を参照して、本実施形態によるエンジン2の始動制御の全体的な流れについて説明する。図6は、本実施形態による始動制御を示すフローチャートである。このフローは、コントローラ20によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS100において、コントローラ20は、各種情報を取得する。具体的には、コントローラ20は、少なくとも上記したセンサSN1~SN6から検出信号を取得する。
次いで、ステップS101において、コントローラ20は、現在停止しているエンジン2の始動要求が発せられているか否かを判定する。例えば、この始動要求は、ドライバがEVモードにおいて比較的大きな加速を要求している場合(つまり走行モードをEVモードからHVモードに切り替える必要があるような加速度をドライバが要求している場合)に発せられる。加えて、始動要求は、このようなドライバ要求以外に、パワートレイン等を含む制御システムから発せられる(以下では、この始動要求を適宜「システム要求」と呼ぶ)。このシステム要求は、車速や負荷やバッテリ状態やエンジン温度などに応じて、ハイブリッド車両1の走行モードをEVモードからHVモードに切り替えるべきである場合に発せられる。例えば、目標駆動力を実現するためにはモータ4の駆動力だけでは不足する場合や、バッテリ5を充電すべき場合(バッテリ5のSOCが所定値未満である場合)や、減速時にエンジン2によるエンジンブレーキを付与すべき場合などにおいて、システム要求が発せられる。
ステップS101において、始動要求が発せられたと判定されなかった場合(ステップS101:No)、コントローラ20は、本始動制御に係る処理を終了する。これに対して、始動要求が発せられたと判定された場合(ステップS101:Yes)、コントローラ20は、ステップS102に進む。ステップS102において、コントローラ20は、第2クラッチCL2の締結状態から所定のスリップ状態への移行を開始する。具体的には、コントローラ20は、第2クラッチCL2の作動油圧を制御するための指示油圧を低下させ始める。
次いで、ステップS103において、コントローラ20は、第1クラッチCL1を介したトルク伝達が発生しない程度(つまり第1クラッチCL1の伝達トルク容量がほとんど変化しない程度)の油圧を、第1クラッチCL1に事前に付与(プリチャージ)する。こうすることで、第1クラッチCL1の油圧室への作動油の充填を事前に行っておく。コントローラ20は、このような油圧のプリチャージを行った後、第1クラッチCL1の指示油圧を所定圧まで低下させ、この所定圧を維持する。
次いで、ステップS104において、コントローラ20は、第2クラッチCL2を所定のスリップ状態へ移行させる制御を開始してから(ステップS102)、事前に設定された所定時間が経過したか否かを判定する。その結果、コントローラ20は、所定時間が経過したと判定された場合(ステップS104:Yes)、ステップS105に進む。これに対して、コントローラ20は、所定時間が経過したと判定されなかった場合(ステップS104:No)、ステップS104に戻る。この場合、コントローラ20は、所定時間が経過するまで、ステップS104の判定を繰り返す。
次いで、ステップS105において、コントローラ20は、第1クラッチCL1の所定のスリップ状態への移行を開始する。具体的には、コントローラ20は、第1クラッチCL1の作動油圧を、上記のように一定に維持された所定圧から上昇させ始める。なお、エンジン始動時に、第1クラッチCL1をスリップ状態に移行させることに限定はされず、他の例では、第1クラッチCL1を、スリップ状態を介さずに締結状態に移行させてもよい。
このような第1及び第2クラッチCL1、CL2の制御により、第1及び第2クラッチCL1、CL2の所定のスリップ状態への移行が完了すると、コントローラ20は、ステップS106に進む。このステップS106において、コントローラ20は、第1クラッチCL1の所定のスリップ状態への移行を開始してから当該移行が完了するまでに要した第1時間を取得すると共に、第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行を開始してから当該移行が完了するまでに要した第2時間を取得する。上述したように、例えば、コントローラ20は、第1及び第2クラッチCL1、CL2の指示油圧に対する実油圧を所定のモデルから推定し、この推定した実油圧に基づき、第1及び第2時間を求める。
次いで、ステップS107において、コントローラ20は、第1及び第2時間に基づき、所定時間を補正する。こうして補正された所定時間は、本実施形態による始動制御を次回行うときにステップS104の判定において適用される。例えば、コントローラ20は、第2時間に対して所定の余裕時間(1つの例ではコントローラ20による演算の1サイクルの時間)を加算した時間と、第1時間に対して所定時間を加算した時間とが等しくなるように(これは、第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行が完了してから所定の余裕時間の経過後に、第1クラッチCL1の所定のスリップ状態又は締結状態への移行が完了するようにすることに相当する)、取得された第1及び第2時間に基づき、次回適用すべき所定時間を求める。
他方で、上記のステップS106、S107の処理と並行して、ステップS108において、コントローラ20は、モータ4のクランキングによりエンジン2を始動させるようにモータ4を制御する。そして、エンジン2が始動すると、コントローラ20は、ステップS109に進む。
次いで、ステップS109において、コントローラ20は、スリップ状態にある第1及び第2クラッチCL1、CL2を締結状態に移行するように、第1及び第2クラッチCL1、CL2を制御する。具体的には、コントローラ20は、第1及び第2クラッチCL1、CL2の作動油圧を制御するための指示油圧を上昇させる。この後、コントローラ20は、本始動制御に係る処理を終了する。
[作用及び効果]
次に、本発明の実施形態によるハイブリッド車両の制御方法及び制御システムの作用及び効果について説明する。
本実施形態によれば、コントローラ20は、エンジン2の始動要求が発せられたときに、第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行が完了した後に第1クラッチCL1の所定のスリップ状態又は締結状態への移行が完了するように、第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行を開始してから所定時間経過後に、第1クラッチCL1の解放状態から所定のスリップ状態又は締結状態への移行を開始する。これにより、第1クラッチCL1を介したモータ4からのトルク伝達によるエンジン2の始動開始時に、動力源と車輪12との間のトルク伝達を十分抑制可能な状態に第2クラッチCL2を適切に設定しておくことができる。また、第1クラッチCL1の所定のスリップ状態又は締結状態への移行開始は、第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行完了を待たずに、第2クラッチCL2の移行開始から所定時間経過後に開始されるので、エンジン始動の応答性の悪化を抑制することができる。以上より、本実施形態によれば、エンジン始動の応答性を確保しつつ、車両ショックを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、コントローラ20は、第1クラッチCL1の所定のスリップ状態又は締結状態への移行を開始してから当該移行が完了するまでに要した第1時間を取得すると共に、第2クラッチCL2の所定のスリップ状態への移行を開始してから当該移行が完了するまでに要した第2時間を取得し、これら第1及び第2時間に基づき所定時間を補正する。これにより、部品の劣化などによるばらつきを加味して、所定時間を補正(更新)することができる。こうして補正された所定時間をエンジン2の次回始動時に適用することで、エンジン始動の応答性確保と車両ショックの抑制を確実に両立できるようになる。
また、本実施形態によれば、コントローラ20は、エンジン2の始動要求が発せられたときに、第1クラッチCL1を所定のスリップ状態又は締結状態へ移行させるための油圧を第1クラッチCL1に付与する前に、第1クラッチCL1を介したトルク伝達が発生しない程度の油圧を第1クラッチCL1に事前に付与する。こうすることで、第1クラッチCL1の油圧室への作動油の充填を事前に行っておく。これにより、第1クラッチCL1を所定のスリップ状態又は締結状態へ移行させるための油圧を付与したときの第1クラッチCL1の応答性を向上させることができる。
1 ハイブリッド車両
2 エンジン
4 モータ
5 バッテリ
6 変速機
8 動力伝達系
12 車輪
20 コントローラ(制御装置)
CL1 第1クラッチ(第1摩擦締結要素)
CL2 第2クラッチ(第2摩擦締結要素)

Claims (5)

  1. エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータとの間に断続可能に設けられた第1摩擦締結要素と、前記モータと車輪との間に断続可能に設けられた第2摩擦締結要素と、を有するハイブリッド車両の制御方法であって、
    前記ハイブリッド車両の走行中において停止している前記エンジンの始動要求が発せられたときに、前記第2摩擦締結要素を締結状態から所定のスリップ状態へ移行させるように、当該第2摩擦締結要素を制御する工程と、
    前記第2摩擦締結要素の前記所定のスリップ状態への移行が完了した後に前記第1摩擦締結要素の所定のスリップ状態又は締結状態への移行が完了するように、前記第2摩擦締結要素の前記所定のスリップ状態への移行が開始してから所定時間経過後に、前記第1摩擦締結要素の解放状態から前記所定のスリップ状態又は締結状態への移行を開始するように、当該第1摩擦締結要素を制御する工程と、
    前記第1及び第2摩擦締結要素の制御中及び/又は制御後に、前記モータのクランキングによって前記エンジンを始動させるように、前記モータ及び前記エンジンを制御する工程と、
    を有することを特徴とするハイブリッド車両の制御方法。
  2. 前記第1摩擦締結要素の制御により、前記第1摩擦締結要素の前記所定のスリップ状態又は締結状態への移行が開始してから当該移行が完了するまでに要した第1時間を取得する工程と、
    前記第2摩擦締結要素の制御により、前記第2摩擦締結要素の前記所定のスリップ状態への移行が開始してから当該移行が完了するまでに要した第2時間を取得する工程と、
    前記第1及び第2時間に基づき前記所定時間を補正し、この所定時間を前記エンジンの次回始動時に適用する工程と、
    を更に有する請求項1に記載のハイブリッド車両の制御方法。
  3. 前記第1及び第2摩擦締結要素は油圧により動作するように構成され、
    前記第1時間を取得する工程では、前記第1摩擦締結要素に付与された油圧を推定し、この推定した油圧に基づき、前記第1摩擦締結要素の前記所定のスリップ状態又は締結状態への移行の完了を判断して、前記第1時間を取得し、
    前記第2時間を取得する工程では、前記第2摩擦締結要素に付与された油圧を推定し、この推定した油圧に基づき、前記第2摩擦締結要素の前記所定のスリップ状態への移行の完了を判断して、前記第2時間を取得する、
    請求項2に記載のハイブリッド車両の制御方法。
  4. 前記第1摩擦締結要素は油圧により動作するように構成され、
    前記エンジンの前記始動要求が発せられたときに、前記第1摩擦締結要素を前記所定のスリップ状態又は締結状態へ移行させるための油圧を前記第1摩擦締結要素に付与する前に、前記第1摩擦締結要素を介したトルク伝達が発生しない程度の油圧を前記第1摩擦締結要素に事前に付与する工程を更に有する、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の制御方法。
  5. ハイブリッド車両の制御システムであって、
    エンジン及びモータと、
    前記エンジンと前記モータとの間に断続可能に設けられた第1摩擦締結要素と、
    前記モータと車輪との間に断続可能に設けられた第2摩擦締結要素と、
    前記エンジン、前記モータ、前記第1及び第2摩擦締結要素を制御するよう構成された制御装置と、を有し、
    前記制御装置は、
    前記ハイブリッド車両の走行中において停止している前記エンジンの始動要求が発せられたときに、前記第2摩擦締結要素を締結状態から所定のスリップ状態へ移行させるように、当該第2摩擦締結要素を制御し、
    前記第2摩擦締結要素の前記所定のスリップ状態への移行が完了した後に前記第1摩擦締結要素の所定のスリップ状態又は締結状態への移行が完了するように、前記第2摩擦締結要素の前記所定のスリップ状態への移行が開始してから所定時間経過後に、前記第1摩擦締結要素の解放状態から前記所定のスリップ状態又は締結状態への移行を開始するように、当該第1摩擦締結要素を制御し、
    前記第1及び第2摩擦締結要素の制御中及び/又は制御後に、前記モータのクランキングによって前記エンジンを始動させるように、前記モータ及び前記エンジンを制御するよう構成される、
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御システム。
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