JP2022150418A - 磁区画像処理装置及び磁区画像処理方法 - Google Patents

磁区画像処理装置及び磁区画像処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電磁鋼板の歪みをより詳細に評価することが可能な磁区画像処理装置及び磁区画像処理方法を提供する。【解決手段】磁区画像を扱う磁区画像処理装置であって、基準となる強度である基準強度の刺激を試料に与えたときに得られる磁区画像である基準磁区画像と、前記基準強度よりも高い強度の刺激を前記試料に与えたときに得られる磁区画像である正磁区画像または前記基準強度よりも低い強度の刺激を前記試料に与えたときに得られる磁区画像である負磁区画像を取得する画像取得部と、前記基準磁区画像と前記正磁区画像と前記負磁区画像とに基づいて、応力が発生している領域である応力領域の分布を示す応力分布画像を生成する画像生成部を備えることを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、磁区画像を扱う磁区画像処理装置及び磁区画像処理方法に関する。
モータやソレノイド、トランス等の電子制御部品に用いられる電磁鋼板の内部に歪みが残留すると、電磁鋼板の磁区が複雑化して鉄損が増大するのにともなって電子制御部品の性能が劣化するので、電磁鋼板の内部の歪みを評価することは重要である。
特許文献1には、電磁鋼板の歪みを簡便かつ精緻に特定するために、電磁鋼板の複数の磁区画像を用いて算出される透磁率と、予め歪みが測定された基準鋼材の透磁率と歪みの関係とを用いて、電磁鋼板の歪みを特定する方法が開示される。なお電磁鋼板及び基準鋼材の透磁率は、複数の磁界下でそれぞれ取得される磁区画像を2値化処理することで磁区画像毎に数値化されるコントラストの変化量と、磁区画像取得時の磁界の変化量から算出される。
特許第5699883号公報
しかしながら特許文献1では、磁区画像毎に数値化されるコントラストの変化量を用いて透磁率を算出しているため、磁区画像全域の歪みの特定に留まっており、応力分布を評価するには至っていない。電子制御部品の性能を向上させるには、電子制御部品に用いられる電磁鋼板のより詳細な評価、特に応力分布を評価することが重要である。
そこで本発明の目的は、電磁鋼板等の磁性体を含む試料をより詳細に評価することが可能な磁区画像処理装置及び磁区画像処理方法を提供することである。
上記目的を達成するために本発明は、磁区画像を扱う磁区画像処理装置であって、基準となる強度である基準強度の刺激を試料に与えたときに得られる磁区画像である基準磁区画像と、前記基準強度よりも高い強度の刺激を前記試料に与えたときに得られる磁区画像である正磁区画像または前記基準強度よりも低い強度の刺激を前記試料に与えたときに得られる磁区画像である負磁区画像を取得する画像取得部と、前記基準磁区画像と、前記正磁区画像または前記負磁区画像とに基づいて、応力が発生している領域である応力領域の分布を示す応力分布画像を生成する画像生成部を備えることを特徴とする。
また本発明は、磁区画像を扱う磁区画像処理方法であって、基準となる強度である基準強度の刺激を試料に与えたときに得られる磁区画像である基準磁区画像と、前記基準強度よりも高い強度の刺激を前記試料に与えたときに得られる磁区画像である正磁区画像または前記基準強度よりも低い強度の刺激を前記試料に与えたときに得られる磁区画像である負磁区画像を取得する画像取得ステップと、前記基準磁区画像と、前記正磁区画像または前記負磁区画像とに基づいて、応力が発生している領域である応力領域の分布を示す応力分布画像を生成する画像生成ステップを備えることを特徴とする。
本発明によれば、電磁鋼板等の磁性体を含む試料をより詳細に評価することが可能な磁区画像処理装置及び磁区画像処理方法を提供することができる。
磁区画像処理装置の構成の一例を示す図 磁区画像撮像装置の構成の一例を示す図 磁区画像処理装置の機能ブロックの一例を示す図 実施例1の処理の流れの一例を示す図 差分画像の一例について説明する図 差分画像と応力領域の一例を示す図 実施例1の入出力画面の一例を示す図 実施例1の入出力画面の他の例を示す図 実施例2の処理の流れの一例を示す図
以下、添付図面に従って本発明に係る磁区画像処理装置及び磁区画像処理方法の実施例について説明する。なお本発明は、以下で説明される実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
図1は磁区画像処理装置1のハードウェア構成を示す図である。磁区画像処理装置1は、プロセッサ2、メモリ3、記憶装置4、ネットワークアダプタ5がシステムバス6によって信号送受可能に接続されて構成される。また磁区画像処理装置1は、ネットワーク9を介して磁区画像撮像装置10や磁区画像データベース11と信号送受可能に接続されるとともに、表示装置7と入力装置8が接続される。ここで、「信号送受可能に」とは、電気的、光学的に有線、無線を問わずに、相互にあるいは一方から他方へ信号送受可能な状態を示す。
プロセッサ2は、各構成要素の動作を制御したり、記憶装置4に格納されるプログラムを実行したりする装置である。メモリ3は、プロセッサ2が実行するプログラムや演算処理の途中経過を記憶するものである。記憶装置4は、プロセッサ2が実行するプログラムやプログラムの実行に必要なデータを格納する装置であり、具体的にはHHD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid state Drive)等である。ネットワークアダプタ5は、磁区画像処理装置1をLAN、電話回線、インターネット等のネットワーク9に接続するためのものである。プロセッサ2が扱う各種データはLAN(Local Area Network)等のネットワーク9を介して磁区画像処理装置1の外部と送受信されても良い。
表示装置7は、磁区画像処理装置1の処理結果等を表示する装置であり、具体的には液晶ディスプレイやタッチパネル等である。入力装置8は、操作者が磁区画像処理装置1に対して操作指示を行う操作デバイスであり、具体的にはキーボードやマウス、タッチパネル等である。マウスの代わりにトラックパッドやトラックボール等のポインティングデバイスが用いられても良い。
磁区画像撮像装置10は、磁区画像を撮像する装置であり、例えばカー(Kerr)顕微鏡や磁気力顕微鏡(MFM:Magnetic Force Microscope)、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)等である。磁区画像データベース11は、磁区画像撮像装置10によって撮像された磁区画像等を記憶するデータベースシステムである。
図2を用いて磁区画像撮像装置10の一例であるカー顕微鏡について説明する。図2に例示されるカー顕微鏡は、サンプルホルダ201と電磁コイル202、光源205、光検出器208、磁区画像生成部211、画像表示部217を備える。
サンプルホルダ201は、試料203を保持するとともにXYZ軸の3方向に移動可能なステージである。なお試料203は磁性体を含む材料であり、例えば電磁鋼板等の軟磁性体である。試料203には電磁コイル202によって所定の強度の磁場が印加される。
光源205は、試料203の表面にレーザー光206を照射する。レーザー光206は、可視光または紫外光等であり、試料法線204に対して45度傾けられて照射されたり、試料法線204と平行に照射されたりする。なお試料法線204は試料203の表面と直交する線である。
光検出器208は、試料203に照射されたレーザー光206が反射した反射光207を検出し、検出信号を磁区画像生成部211に送信する。磁性体に照射された光は、カー効果により偏光面が回転して反射する。そこでカー顕微鏡では、カー効果を用いて試料203の磁化の向きを検出し、磁区画像を取得する。なお磁化の向きが試料203の表面と平行であるときには縦カー効果や横カー効果を用いるために、試料法線204に対して45度傾けられたレーザー光206が照射される。また磁化の向きが試料法線204と平行であるときには極カー効果を用いるために、試料法線204と平行にレーザー光206が照射される。
磁区画像生成部211は、光検出器208から送信された検出信号を用いて磁区画像を生成する信号処理部212と、生成された磁区画像が記憶される記憶部214を有する。生成された磁区画像は画像表示部217に表示される。なお磁区画像生成部211は、図1に示される磁区画像処理装置1であっても良い。その場合、信号処理部212がプロセッサ2に、記憶部214が記憶装置4に、画像表示部217が表示装置7に、それぞれ相当する。
図3を用いて実施例1の機能ブロック図について説明する。なお図3に示される各機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられる専用のハードウェアで構成されても良いし、プロセッサ2上で動作するソフトウェアで構成されても良い。以降の説明では実施例1の各機能がソフトウェアで構成された場合について説明する。
実施例1では、画像取得部301と画像生成部302が備えられ、記憶装置4には磁区画像撮像装置10で撮像された所定の磁区画像が記憶される。以下、各構成部について説明する。
画像取得部301は、所定の磁区画像を、ネットワークアダプタ5を介して受信したり、記憶装置4から読み出したりすることによって取得する。画像取得部301によって取得される磁区画像は、例えば基準磁区画像や正磁区画像、負磁区画像である。基準磁区画像は、基準となる強度である基準強度の刺激が試料203に与えられたときに得られる磁区画像である。試料203に与えられる刺激は、例えばカー顕微鏡の電磁コイル202によって印加される磁場や、ヒータ等による加熱、光源から照射される光等である。正磁区画像は基準強度よりも高い強度の刺激を前記試料に与えたときに得られる磁区画像である。負磁区画像は基準強度よりも低い強度の刺激を前記試料に与えたときに得られる磁区画像である。
なお正磁区画像と負磁区画像は、基準磁区画像と同じ視野で撮像されることが好ましい。また正磁区画像が得られるときの刺激の強度と基準強度の差異と、基準強度と負磁区画像が得られるときの刺激の強度の差異とは等しいこと、すなわち次式が成り立つことが好ましい。
STpos-STref=STref-STneg … (式1)
ここでSTrefは基準強度、STposは正磁区画像が得られるときの刺激の強度、STnegは負磁区画像が得られるときの刺激の強度である。
画像生成部302は、基準磁区画像と、正磁区画像または負磁区画像に基づいて、試料203において応力が発生している領域である応力領域の分布を示す応力分布画像を生成する。応力分布画像は、例えば正磁区画像または負磁区画像から基準磁区画像が差分された差分画像を用いて生成される。応力領域では、試料203に与えられる刺激の強度が変化しても、磁区画像の画素値は変化しない、あるいは変化したとしても応力領域以外の領域である非応力領域よりも小さな変化である。すなわち正磁区画像または負磁区画像から基準磁区画像が差分された差分画像の画素値の絶対値が所定の閾値未満の領域では応力が発生している。なお閾値は、発生する応力の大きさに応じて設定される。
図4を用いて、実施例1の処理の流れの一例についてステップ毎に説明する。
(S401)
画像取得部301は、試料203に与えられる刺激の基準強度STrefを受信する。試料203に与えられる刺激は、例えば磁場であり、基準強度STrefは試料203の磁化曲線に基づいて設定され、例えば磁化曲線の特異点から、試料203に印加される磁場の基準強度STrefが設定されても良い。なお試料203の磁化曲線は、振動試料型磁力計(VSM:Vibrating Sample Magnetometer)を用いた測定やエプスタイン試験、単板磁気測定等によって予め取得される。またカー顕微鏡を用いて取得される複数の磁区画像から磁化曲線が取得されても良い。
(S402)
画像取得部301は、S401で受信した基準強度STrefの刺激が試料203に与えられたときの磁区画像である基準磁区画像Irefを取得する。基準磁区画像Irefは、カー顕微鏡等の磁区画像撮像装置10で新たに撮像されたり、磁区画像データベース11や記憶装置4に予め記憶されていたりする。
(S403)
画像取得部301は、試料203に与えられる刺激の強度の変化量ΔSTを受信する。強度の変化量ΔSTは、例えば入力装置8を介して操作者によって設定される。
(S404)
画像取得部301は、S403で受信した強度の変化量ΔSTを基準強度STrefに加算あるいは減算した強度STref±ΔSTの刺激が試料203に与えられたときの磁区画像である正磁区画像Iposあるいは負磁区画像Inegを取得する。正磁区画像Iposあるいは負磁区画像Inegは、カー顕微鏡等の磁区画像撮像装置10で新たに撮像されたり、磁区画像データベース11や記憶装置4に予め記憶されていたりする。
(S405)
画像生成部302は、S402で取得された基準磁区画像IrefとS404で取得された正磁区画像Iposあるいは負磁区画像Inegとを用いて、差分画像Ipos-IrefあるいはIneg-Irefを生成する。なおIpos-Irefを第一差分画像、Ineg-Irefを第二差分画像と呼ぶ。
図5を用いて、差分画像の一例について説明する。図5には、正磁区画像Iposから基準磁区画像Irefが差分された第一差分画像Ipos-Irefが例示される。なお差分処理に先立って、正磁区画像Iposの視野と基準磁区画像Irefの視野が揃えられる。磁場の印加により磁化反転した領域は、正磁区画像Iposの画素値が基準磁区画像Irefの画素値よりも大きく、第一差分画像において白く変化した領域として表示される。また磁区が反転しない領域は、2つの磁区画像の画素値の差異が小さく、第一差分画像においてグレーの領域として表示される。なお第二差分画像Ineg-Irefでは、磁化反転した領域は黒く変化した領域として表示され、磁区が反転しない領域は、第一差分画像と同様に、グレーの領域として表示される。
(S406)
画像生成部302は、S405で生成された差分画像から応力領域を抽出できるか否かを判定する。すなわち差分画像において、画素値の絶対値が予め定められた閾値未満の領域が有る場合は応力領域が抽出できると判定されてS408へ処理が進められ、無い場合は抽出できないと判定されてS407を介してS404へ処理が戻される。
(S407)
画像取得部301は、S403で受信した強度の変化量ΔSTを変更する。例えば、変化量ΔSTに1未満の係数が乗じられる。
S407での強度の変化量ΔSTの変更は、S406において差分画像から応力領域が抽出できるようになるまで繰り返される。すなわちS407において正磁区画像あるいは負磁区画像が得られるときの刺激の強度を調整することにより、S406において差分画像から応力領域が抽出できるようにする。
(S408)
画像生成部302は、S405で生成された差分画像から抽出される応力領域の分布を示す応力分布画像を生成する。生成された応力分布画像は、表示装置7に表示されたり、記憶装置4に記憶されたりする。なお応力領域は、例えば試料203の表面形状を表すSEM画像や結晶の方位を表す結晶方位画像の上に重畳されても良い。
図6を用いて、差分画像と応力領域の一例について説明する。図6には、基準磁区画像Iref、第一差分画像Ipos-Iref、第二差分画像Ineg-Irefとともに、形状画像であるSEM画像に応力領域が重畳された画像が例示される。なお正磁区画像Iposあるいは負磁区画像Inegの画素値と基準磁区画像Irefの画素値との差異の絶対値が閾値未満の領域は、第一差分画像あるいは第二差分画像において点線で囲われた領域として示され、SEM画像において斜線部として示される。すなわち、SEM画像において斜線部で示される領域が応力領域であり、応力領域が重畳されたSEM画像が表示装置7に表示されることによって、操作者はSEM画像の視野内の応力領域の分布を容易に把握できる。
さらに第一差分画像あるいは第二差分画像では、磁場方向と画素値に基づいて磁区の方向が特定される。特定された磁区の方向は、図6に例示されるように第一差分画像あるいは第二差分画像において矢印によって表されても良い。
(S409)
画像生成部302は、S408で抽出された応力領域に関する特徴量を算出する。算出される特徴量は、例えば位置や面積、形状、割合であり、応力分布画像とともに表示装置7に表示されたり、記憶装置4に記憶されたりする。なお位置は応力領域の重心座標として、形状は応力領域の縦方向長さと横方向長さの比として、割合は応力領域の面積を視野の面積で除した値として表しても良い。応力領域に関する特徴量が表示されることにより、操作者は視野毎あるいは試料毎の応力領域を容易に比較できる。
図7を用いて、入出力画面の一例について説明する。図7に例示される入出力画面701は、条件表示部702と、基準磁区画像表示部703、第一差分画像表示部704、第二差分画像表示部705、応力分布画像表示部706、特徴量表示部707を有する。
条件表示部702には、応力分布画像の生成に係る条件として、例えば試料203の材料名、リファレンス磁場、磁場方向、+磁場、-磁場が表示される。なおリファレンス磁場は、試料203に与えられる基準強度の刺激であり、磁場方向はリファレンス磁場の方向、+磁場は基準強度よりも高い強度の刺激、-磁場は基準強度よりも低い強度の刺激である。
基準磁区画像表示部703には基準磁区画像が、第一差分画像表示部704には第一差分画像が、第二差分画像表示部705には第二差分画像が、応力分布画像表示部706には、応力分布画像がそれぞれ表示される。なお第一差分画像と第二差分画像には、図6に例示されるような矢印によって磁区の方向が示されても良い。
基準磁区画像と第一差分画像、第二差分画像、応力分布画像が同一画面に表示されることにより、操作者は各画像を対比しながら応力領域の状態を評価できる。特に第一差分画像と第二差分画像を応力分布画像と対比することで、応力領域の周囲の磁区方向を把握できるので、試料203をより詳細に評価することができる。なお第一差分画像と第二差分画像を応力分布画像と対比させる場合、応力領域の周囲の磁区方向をより把握しやすくするために(式1)が成り立つことが好ましい。
特徴量表示部707には、応力領域に関する特徴量として、例えば位置や面積、形状、割合が表示される。第一差分画像あるいは第二差分画像から複数の応力領域が抽出される場合、抽出された応力領域の数に応じて、複数の特徴量表示部707が表示される。すなわち、応力領域に関する特徴量は、抽出された応力領域毎に算出されて表示される。
図8を用いて、入出力画面の他の例について説明する。図8に例示される入出力画面801は、図7の画面と同様に、条件表示部702と、基準磁区画像表示部703、応力分布画像表示部706、特徴量表示部707を有するとともに、形状画像表示部802と結晶方位画像表示部803を有する。図7の画面と同じ構成については説明を省略する。
形状画像表示部802には試料203の形状を表す形状画像、例えばSEM画像が、結晶方位画像表示部803には試料203の結晶の方位を表す結晶方位画像がそれぞれ表示される。なお形状画像や結晶方位画像は別装置で撮像される解析画像であり、ネットワークアダプタ5を介して取得される。形状画像表示部802や結晶方位画像表示部803には、応力領域が重畳された形状画像や結晶方位画像が表示されても良い。図8に例示される形状画像では、応力領域が点線で囲われた領域として示される。
図8に例示される入出力画面801のように、別装置で撮像される解析画像が応力分布画像と同一画面に表示されることにより、操作者は解析画像と対比させながら応力領域の状態を評価でき、応力が発生した原因の推定や解明が容易に行える。
以上説明した処理の流れにより、試料203の磁区画像の視野における応力領域の分布を示す応力分布画像が生成され、表示される。操作者は、表示される応力分布画像に基づいて磁性体を含む試料をより詳細に評価することができる。なお応力分布画像は、複数の視野において生成されても良い。複数の視野において応力分布画像が生成されることにより、試料203の様々な領域において、より詳細な評価が行われる。
実施例1では、差分画像から応力領域が抽出できない場合、正磁区画像あるいは負磁区画像が得られるときの刺激の強度を調整して、応力領域が抽出できるようにすることについて説明した。実施例2では、応力領域が抽出できない場合、応力領域以外の領域、すなわち応力が発生していない非応力領域を評価することについて説明する。なお磁区画像処理装置1のハードウェア構成と機能ブロック図は実施例1と同じであるので説明を省略する。
図9を用いて、実施例2の処理の流れの一例についてステップ毎に説明する。なお実施例1と同じ処理には同じステップ番号を付与し、説明を簡略化する。
(S401)~(S405)
実施例1と同様に、基準磁区画像Irefと、正磁区画像Iposあるいは負磁区画像Inegが取得され、基準磁区画像Irefと正磁区画像Iposあるいは負磁区画像Inegとの差分画像が生成される。
(S906)
画像生成部302は、S405で生成された差分画像から応力領域を抽出できるか否かを判定する。すなわち差分画像において、画素値の絶対値が予め定められた閾値未満の領域が有る場合は応力領域が抽出できると判定されてS408へ処理が進められ、無い場合は抽出できないと判定されてS907へ処理が進められる。
(S907)
画像生成部302は、磁区画像の画素値に基づいて非応力領域を評価する。例えば、基準磁区画像の画素値と、正磁区画像あるいは負磁区画像の画素値とを対比することにより、非応力領域において、各磁区の面積の変化量を算出したり、磁区を囲う磁壁の移動方向を求めたりする。
(S408)
実施例1と同様に、応力領域の分布を示す応力分布画像が生成され、表示装置7に表示されたり、記憶装置4に記憶されたりする。なお応力領域は、SEM画像等の上に重畳されても良い。
(S909)
画像生成部302は、S408で抽出された応力領域に関する特徴量を算出したり、S907で非応力領域を評価した結果を特徴量としたりする。応力領域に関する特徴量は、実施例1と同様に算出される。
以上説明した処理の流れにより、応力領域が抽出される場合は実施例1と同様に生成される応力分布画像が表示され、応力領域が抽出されない場合は非応力領域の評価結果が表示される。操作者は、表示される応力分布画像や非応力領域の評価結果に基づいて磁性体を含む試料をより詳細に評価することができる。
以上、本発明の磁区画像処理装置及び磁区画像処理方法について2つの実施例を説明した。本発明の磁区画像処理装置及び磁区画像処理方法は上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、上記実施例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。
1:磁区画像処理装置、2:プロセッサ、3:メモリ、4:記憶装置、5:ネットワークアダプタ、6:システムバス、7:表示装置、8:入力装置、9:ネットワーク、10:磁区画像撮像装置、11:磁区画像データベース、201:サンプルホルダ、202:電磁コイル、203:試料、204:試料法線、205:光源、206:レーザー光、207:反射光、208:光検出器、211:磁区画像生成部、212:信号処理部、214:記憶部、217:画像表示部、301:画像取得部、302:画像生成部、701:入出力画面、702:条件表示部、703:基準磁区画像表示部、704:第一差分画像表示部、705:第二差分画像表示部、706:応力分布画像表示部、707:特徴量表示部、801:入出力画面、802:形状画像表示部、803:結晶方位画像表示部

Claims (10)

  1. 磁区画像を扱う磁区画像処理装置であって、
    基準となる強度である基準強度の刺激を試料に与えたときに得られる磁区画像である基準磁区画像と、前記基準強度よりも高い強度の刺激を前記試料に与えたときに得られる磁区画像である正磁区画像または前記基準強度よりも低い強度の刺激を前記試料に与えたときに得られる磁区画像である負磁区画像を取得する画像取得部と、
    前記基準磁区画像と、前記正磁区画像または前記負磁区画像とに基づいて、応力が発生している領域である応力領域の分布を示す応力分布画像を生成する画像生成部を備えることを特徴とする磁区画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の磁区画像処理装置であって、
    前記刺激は前記試料に印加される磁場であり、
    前記基準強度は、前記試料を用いて予め取得される磁化曲線に基づいて設定されることを特徴とする磁区画像処理装置。
  3. 請求項2に記載の磁区画像処理装置であって、
    前記磁化曲線の特異点から前記基準強度が設定されることを特徴とする磁区画像処理装置。
  4. 請求項1に記載の磁区画像処理装置であって、
    前記刺激は、磁場の印加、加熱、光照射のいずれかによって前記試料に与えられることを特徴とする磁区画像処理装置。
  5. 請求項1に記載の磁区画像処理装置であって、
    前記正磁区画像から前記基準磁区画像が差分された第一差分画像と、前記負磁区画像から前記基準磁区画像が差分された第二差分画像とが同一画面に表示されることを特徴とする磁区画像処理装置。
  6. 請求項5に記載の磁区画像処理装置であって、
    前記第一差分画像と前記第二差分画像には、磁区の方向を示す矢印が表示されることを特徴とする磁区画像処理装置。
  7. 請求項5に記載の磁区画像処理装置であって、
    前記基準強度がSTref、前記正磁区画像が得られるときの刺激の強度がSTpos、前記負磁区画像が得られるときの刺激の強度がSTnegであるとき、
    STpos-STref=STref-STneg
    であることを特徴とする磁区画像処理装置。
  8. 請求項1に記載の磁区画像処理装置であって、
    前記画像生成部は、前記応力領域が抽出されない場合、応力が発生していない非応力領域を評価することを特徴とする磁区画像処理装置。
  9. 請求項8に記載の磁区画像処理装置であって、
    前記画像生成部は、前記非応力領域において、磁区の面積の変化量を算出する、または磁区を囲う磁壁の移動方向を求めることを特徴とする磁区画像処理装置。
  10. 磁区画像を扱う磁区画像処理方法であって、
    基準となる強度である基準強度の刺激を試料に与えたときに得られる磁区画像である基準磁区画像と、前記基準強度よりも高い強度の刺激を前記試料に与えたときに得られる磁区画像である正磁区画像または前記基準強度よりも低い強度の刺激を前記試料に与えたときに得られる磁区画像である負磁区画像を取得する画像取得ステップと、
    前記基準磁区画像と、前記正磁区画像または前記負磁区画像とに基づいて、応力が発生している領域である応力領域の分布を示す応力分布画像を生成する画像生成ステップを備えることを特徴とする磁区画像処理方法。
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