JP2022148743A - 導電性材料、成型品及び電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂密着性が良好な導電性材料、成型品及び電子部品を提供する。【解決手段】表面に樹脂を成型する、または、表面を樹脂で封止する導電性材料であって、表面が金属で構成され、表面の最小自己相関長さSalが5.0μm以下であり、表面積率Sratioが1.3以上である、導電性材料。【選択図】図5

Description

本発明は、導電性材料、成型品及び電子部品に関する。
樹脂成型を伴う電子部品にて、金属と樹脂との密着性の改善要望が近年増加しており、特に車載向けについては過酷なエンジンルーム周りでの電子化が進むことで、より一層の密着性向上が求められている。
一方、従来、樹脂封止型半導体装置におけるリードフレームとモールド樹脂との密着性を高めるために、リードフレームのめっき表面を粗化する技術が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
特開平6-29439号公報 特開平10-27873号公報 特開2006-93559号公報 特開2005-235926号公報
粗化めっきの樹脂密着性において、密着性の指標としてめっき表面にエポキシ樹脂をプリンカップ状にモールド成形し、その成形されたプリンカップのせん断強度を測定している。せん断強度は、粗化めっきと樹脂界面の破壊モードが樹脂の凝集破壊になる強度域で飽和することがわかっている。粗化めっきの表面粗さの指標として、レーザー顕微鏡によるRz(最大高さ=最大山高さと最大谷深さの和:JIS B 0601)や表面積率(Sratio=表面積/投影面積)などが用いられているが、いずれもせん断強度との関係から樹脂密着性を判断するには十分ではなかった。
具体的には、粗化めっきの凹凸の分布は、必ずしも一定ではないため、Rzのような線粗さで測定すると、測定位置による変動が大きくなる。これは、Rzを用いると、レーザー顕微鏡の走査画面(0.14mm×0.1mm)内で水平方向、垂直方向など測定方法でも数値が異なってしまうことに起因する。
また、粗化めっきの粗度の測定をRzから表面積率(Sratio=表面積/投影面積)という面の測定にしたことで、測定結果の安定化が得られる。加えて、特許文献4は、Sratioを1.3以上とすることでリードフレームとモールド樹脂との密着性を高める技術を開示している。しかしながら、本発明者は、粗化めっきの膜厚によっては、Sratioを1.3以上としたとしても十分な密着力を得ることができないことを見出した。
このように、導電性材料の金属表面の樹脂密着性の指標としてより適切なパラメータについては開発の余地があり、そのようなパラメータに基づいて金属表面が制御された樹脂密着性が良好な導電性材料の開発が望まれている。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、樹脂密着性が良好な導電性材料、成型品及び電子部品を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、導電性材料の金属表面の凹凸の密集度合いを示す粗度のパラメータ(Sal)及び表面積率Sratioを制御することで、上記課題を解決することができることを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明の実施形態は一側面において、表面に樹脂を成型する、または、表面を樹脂で封止する導電性材料であって、前記表面が金属で構成され、前記表面の最小自己相関長さSalが5.0μm以下であり、表面積率Sratioが1.3以上である導電性材料である。
本発明の導電性材料は一実施形態において、前記表面の最小自己相関長さSalが0.3~5.0μmである。
本発明の導電性材料は別の一実施形態において、前記導電性材料が基材と前記基材上に形成されためっき層とを含み、前記表面が前記めっき層である。
本発明の導電性材料は更に別の一実施形態において、前記めっき層が一種以上のめっき層で構成されている。
本発明の導電性材料は更に別の一実施形態において、前記めっき層は前記基材上に形成された第1めっき層を有し、前記第1めっき層が銅、銅合金、ニッケル及びニッケル合金のいずれか一種以上で構成されている。
本発明の導電性材料は更に別の一実施形態において、前記めっき層は前記第1めっき層上に形成された第2めっき層を有し、前記第2めっき層がパラジウム、パラジウム合金、金及び金合金のいずれか一種以上で構成されている。
本発明の導電性材料は更に別の一実施形態において、前記一種以上のめっき層で構成された前記めっき層の厚みの総和が0.5~7.0μmである。
本発明の導電性材料は更に別の一実施形態において、前記基材が、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄及び鉄合金のいずれか一種で構成されている。
本発明の実施形態は別の一側面において、前記表面に樹脂が成型された、または、前記表面が樹脂で封止された本発明の実施形態に係る導電性材料を備えた成型品である。
本発明の実施形態は更に別の一側面において、本発明の実施形態に係る導電性材料を備えた電子部品である。
本発明の実施形態によれば、樹脂密着性が良好な導電性材料、成型品及び電子部品を提供することができる。
実施例に係る導電性材料のSratio-Spcの関係を示すグラフである。 実施例に係る導電性材料のSratio-Salの関係を示すグラフである。 実施例に係る導電性材料のSratio-シェア強度の関係を示すグラフである。 実施例に係る導電性材料のSpd-シェア強度の関係を示すグラフである。 実施例に係る導電性材料のSal-シェア強度の関係を示すグラフである。 実施例に係る導電性材料のSpc-シェア強度の関係を示すグラフである。
以下、本発明の導電性材料、成型品及び電子部品の実施形態について説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
<導電性材料の構成>
本発明の実施形態に係る導電性材料は、表面に樹脂を成型する、または、表面を樹脂で封止する導電性材料であり、表面が金属で構成された導電性材料であれば、その形態は特に限定されず、基材と基材上に形成されためっき層とを有するものであってもよく、金属製の基材のみでめっき層が形成されていないものであってもよい。
(基材)
基材としては、特に限定されないが、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄及び鉄合金のいずれか一種で構成されていてもよい。中でも導電率や強度の観点から、銅、銅合金が好ましく、さらにリン青銅、黄銅、コルソン銅、無酸素銅、タフピッチ銅などがより好ましい。具体的な銅合金の一例として銅開発協会(CDA)に規定される、C11000、C10200、C19400、C70250、C26000、C52100を基材として用いることができる。また、金属基材に樹脂層を複合させたものであっても良い。金属基材に樹脂層を複合させたものとは、例としてFPCまたはFFC基材上の電極部分などがある。
(めっき層)
基材上に形成されるめっき層としては、樹脂と密着する箇所に設けられるとその効果を発揮し、アンカー効果により基材と樹脂との密着状態を長期間に亘って保つことができる。めっき層は、樹脂と密着する箇所のみでなく、良好なはんだ付け性が求められる箇所にも設けられてもよい。
めっき層は、一種であってもよく、二種以上で構成されていてもよい。めっき層は、基材上に形成された第1めっき層を有し、第1めっき層が銅、銅合金、ニッケル及びニッケル合金のいずれか一種以上で構成されていてもよい。めっき層が二種以上で構成されていると、めっき層が一種で構成されている場合に対し、めっきの厚さが同じでも表面積率Sratioを上げることができる。また、例えば、ニッケルめっきの上に粗化ニッケルめっきを施すと粗化ニッケルめっきの表面の山(凸)が成長しやすい。
第1めっき層の平均厚さについては、特に制限するものではないが、例えば0.2~2μmで形成されていることが好ましい。粗化めっき層の平均厚さが0.2μm未満であると、樹脂密着性が低く長期信頼性に乏しくなる一方、2μm超であると生産性が低くなりやすい。また、生産性や効果の観点から、第1めっき層の平均厚さは、0.3~1.5μmであるのがより好ましく、0.5~1μmであるのが更により好ましい。
また、めっき層は、第1めっき層上に形成された第2めっき層を有し、第2めっき層がパラジウム、パラジウム合金、金及び金合金のいずれか一種以上で構成されていてもよい。パラジウム、パラジウム合金、金及び金合金のいずれか一種以上で構成された第2めっき層は、主にはんだ濡れ性を改善するために形成される層であり、特に耐熱性やはんだ濡れ性の観点から、第1めっき層側から、パラジウム(またはパラジウム合金)めっき、金(または金合金)めっきの順に構成されるのが好ましい。
第2めっき層の平均厚さについては、特に制限するものではないが、コストや生産性、さらにはんだ濡れ性改善効果の観点から、薄く形成されることが好ましく、0.006~0.1μmで形成することができる。特に、耐熱性や省貴金属化の観点から、第2めっき層は、第1めっき層上に設けられた、平均厚さ0.005~0.05μmのパラジウム(またはパラジウム合金)めっき層、及び、パラジウム(またはパラジウム合金)めっき層上に設けられた、平均厚さ0.001~0.05μmの金(または金合金)めっき層からなるのが好ましい。また、パラジウム(またはパラジウム合金)めっき層の平均厚さは、0.01~0.03μmであるのがより好ましく、0.015~0.02μmであるのが更により好ましい。また、金(または金合金)めっき層の平均厚さは、0.003~0.03μmであるのがより好ましく、0.005~0.02μmであるのが更により好ましい。
めっき層が、第1めっき層上に形成された第2めっき層を有している場合、第1めっき層は、第2めっき層の下地層として効果を発揮するためニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金が好ましく、特にニッケル及びニッケル合金が好ましい。
また、一種以上のめっき層で構成されためっき層の厚みの総和が0.5~7.0μmであるのが好ましい。めっき層の厚みの総和が0.5μm以上であると、実装工程など加熱処理による基材からの金属拡散を防ぐバリア層の機能を備えるという効果があり、長期信頼性も向上する。めっき層の厚みの総和が7.0μm以下であると、曲げ加工時に割れにくいという効果がある。めっき層の厚みの総和は、0.5~4.0μmであるのがより好ましく、生産性を考慮すると0.5~2.0μmであるのが更により好ましい。
本発明の実施形態に係る導電性材料は、上述の金属で構成された表面について、表面積率Sratio(=表面積/投影面積)が1.3以上である。金属表面の線粗さの測定は、面内ばらつきの影響によって得られる粗度の数値が変動してしまうため、面で測定するパラメータを本発明者が検討したところ、表面積率Sratioが最も適当であることがわかった。表面積率Sratioが1.3以上であると、樹脂密着性が良好となる。
発明の実施形態に係る導電性材料は、上述の金属で構成された表面について、表面積率Sratioが1.5以上であるのが好ましく、1.6以上であるのがより好ましい。表面積率Sratioの上限については特に限定されないが、3.5以下であってもよく、3.0以下であってもよい。表面積率Sratioは、レーザー顕微鏡(例えば、キーエンス社製VK-X150)によって金属表面の複数箇所を測定し、その平均値を算出することで評価することができる。
本発明の実施形態に係る導電性材料は、上述の金属で構成された表面について、最小自己相関長さSalが5.0μm以下である。最小自己相関長さSalは、表面の自己相関が相関値s(0≦s<1)に減衰する最も近い横方向の距離を表し、ISO 25178に準拠して測定される。最小自己相関長さSalは、凹凸の密集度合いを示す指標でもあり、金属表面が平坦であるほど大きくなり、凸部が多いほど小さくなる。
本発明者は、後述の試験例でも示すように、樹脂密着性が低いとされる粗化Niめっきの粗度を表面積率Sratioで規定することで、粗度はばらつきが少ない数値が得られ、表面積率Sratioと樹脂密着性を構築する検討を実施した。樹脂密着性について、粗化Niめっきの膜厚と表面粗さを調整した検体を作製し、プリンカップによるせん断強度を測定した。サンプルについて、めっきの処理温度の調整及び撹拌による流量の調整を行うことで、同一の膜厚において表面粗さを調整することができる。これにより、粗化NiめっきのSratioが同じ範囲にあっても膜厚によってせん断強度が飽和する領域が異なることがわかった。そのため、表面積率Sratioだけではなく、めっき表面の凹凸の形状にも着目し、凸の密度(Spd)、凸の形状(Spc)、凹凸の密集度合い(Sal)などのパラメータと、エポキシ樹脂のプリンカップによるせん断試験及び表面積率Sratioの関係を検討した。その結果、凹凸の密集度合いを示す最小自己相関長さSalの飽和領域(5.0μm以下)とせん断試験で破壊モードが凝集破壊する領域(せん断強度が飽和する領域(11MPa以上))が一致した。これは粗化Niめっきの膜厚に依存しない。このことから、凹凸の密集度合いを示す最小自己相関長さSalによって凝集破壊となる樹脂密着強度以上であるか否かを膜厚に寄らず適切に判断できることがわかった。そして、本発明の実施形態に係る導電性材料は、金属表面に対し、このような樹脂密着強度が適切に判断できる最小自己相関長さSalについて、その数値範囲を5.0μm以下に制御することで、安定的で良好な樹脂密着性を実現している。
本発明の実施形態に係る導電性材料は、最小自己相関長さSalの下限が0.3μm以上であると、耐久性が向上するため好ましい。なお、上述の検討では、粗化Niめっきについて検討しているが、半光沢Niめっきは樹脂密着性が一般的に低いということは技術常識であり、Niめっき以外の金属めっきであれば、当然にNiめっき以上の樹脂密着性を有すると言える。
本発明の実施形態に係る導電性材料は、上述の金属で構成された表面について、最小自己相関長さSalが1.0~5.0μmであるのが好ましく、2.0~5.0μmであるのがより好ましく、3.0~5.0μmであるのが更により好ましい。最小自己相関長さSalは、レーザー顕微鏡(例えば、キーエンス社製VK-X100)によって金属表面の複数箇所を測定し、その平均値を算出することで評価することができる。
<導電性材料の製造方法>
本発明の実施形態に係る導電性材料の製造方法の一例としては、基材上に、粗化めっきによりめっき層を形成する。めっき層の形成については、基材上に湿式(電気、無電解)めっきを用いて行う。
粗化めっき条件において、めっき温度を上げると最小自己相関長さSalが小さくなり、めっき温度を下げると最小自己相関長さSalが大きくなる。また、撹拌によるめっき液流量を上げると最小自己相関長さSalが小さくなり、撹拌によるめっき液流量を下げると最小自己相関長さSalが大きくなる。また、電流密度を上げると最小自己相関長さSalが小さくなり、電流密度を下げると最小自己相関長さSalが大きくなる。
上述の粗化めっき条件において、めっき温度を上げると表面積率Sratioが大きくなり、めっき温度を下げると表面積率Sratioが小さくなる。また、撹拌によるめっき液流量を上げると表面積率Sratioが大きくなり、撹拌によるめっき液流量を下げると表面積率Sratioが小さくなる。また、電流密度を上げると表面積率Sratioが小さくなり、電流密度を下げると表面積率Sratioが大きくなる。
また、粗化めっき層上に、更にパラジウム、パラジウム合金、金及び金合金のいずれか一種以上で構成された貴金属めっき層を形成してもよい。なお、貴金属めっき層は、粗化めっき層の表面性状(Sal、Sratio)が導電性材料の表面性状(Sal、Sratio)となるように、粗化めっき層の表面性状に影響を与えない程度の薄さに形成することが好ましい。
さらに、粗化めっき層または貴金属めっき層を形成後、すぐにそのままはんだ接合などの実装を行うことが好ましいが、長期保管や周辺環境が劣悪な箇所に晒される可能性があるときは、封孔処理を施すことが好ましい。封孔処理によって、長期にわたってはんだ濡れ性や樹脂密着性を確保することができる。特に封孔処理の成分に、還元性作用のある物質を適用することがより好ましく、例えばメルカプト基を保有する封孔処理剤を使用・実施することで、僅かに被覆している粗化めっき箇所の酸化を防止し、また還元性作用によりはんだ濡れ性を大きく改善することができる。
なお、封孔処理の種類や皮膜厚によっては、樹脂密着性を低下させる恐れがあるため、封孔処理時間を60秒以下、好ましくは30秒以下で処理し、被膜厚を適宜制御することが好ましい。また、封孔処理を実施することで、例えば高温高湿試験(85℃-85%-8時間)後のはんだ濡れ性の低下を大幅に抑制することができる。本発明の実施形態に係るめっき材料の封孔処理は公知の封孔処理剤及び処理方法を用いることができる。当該封孔処理としては、例えば、チオール化合物を有する被膜を形成してもよい。
上述の製造方法の例では、基材の表面にめっき層を形成することで、導電性材料の表面の最小自己相関長さSal及び表面積率Sratioを制御する方法について説明したが、めっき層を形成せずに、当該表面特性を制御してもよい。例えば、基材の表面をエッチング、及び/または、サンドブラスト処理する方法、基材の表面をローラーやパンチのようなもので物理的に潰して凹凸をつける方法、または、基材上にCVDまたはスパッタなどにより化成皮膜等を形成する方法により、導電性材料の表面の最小自己相関長さSal及び表面積率Sratioを制御してもよい。
<導電性材料の用途>
本発明の実施形態に係る導電性材料の用途は特に限定しないが、樹脂との良好な密着性が必要な電子部品の材料として用いることができ、表面に樹脂が成型された、または、表面が樹脂で封止された成型品を構成することができる。また、特に、衝撃、温度、湿度等の要因から守るために表面を樹脂で固める樹脂成型、樹脂封止、または、モールド成型等を施す電子部品の材料として用いることができる。当該電子部品としては例えば、リードフレーム、バスバーモジュール等のような金属製の電子部品が挙げられる。本発明の実施形態に係るめっき材料は、このような表面に樹脂成型、樹脂封止、または、モールド成型が施された成型品としても、導電性材料の表面と樹脂との密着性が非常に良好であるため、例えば車載向けのエンジンルーム周りという過酷な環境下で使用される電子部品の材料として用いた場合でも、良好な耐久性が期待できる。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
<試験例1>
(基材の準備)
導電性基材(C11000:99.9%Cu)に対し、水酸化ナトリウムが50g/Lのアルカリ脱脂浴にてカソード電解脱脂を5A/dm2で60秒実施後、10%硫酸及びフッ化アンモニウム50g/Lの酸洗溶液にて30秒酸洗浄した。
(粗化めっき処理)
次に、電気めっきにて、めっき浴組成、めっき液温度、撹拌によるめっき液流量、電流密度及びめっき時間を調整することで、粗化めっき処理を行い、導電性基材の表面に、粗化めっき層を形成し、これによって導電性材料を作製した。粗化めっき層は、膜厚0.5μm、1.0μm、2.0μmのものをそれぞれ作製した。例として、後述の表面積率Sratioを1.418に制御しためっき処理の各条件を以下に示す。
・めっき浴組成:Niメタル分130g/L、ホウ酸25g/LでpH3.3であった。ここで、Niメタル分は、Ni塩としてスルファミン酸ニッケル四水和物及び塩化Niで構成されている。より具体的には、スルファミン酸ニッケル四水和物:Ni(NH2SO32・4H2O=294g/L(約300g/L)、Ni量で53.5g/L、塩化ニッケル六水和物:NiCl2・6H2O=約310g/L、Ni量で76.5g/Lである。
・めっき液温度:45℃
・撹拌によるめっき液流量:90L/min
・電流密度:10A/dm2
・めっき時間:43秒(膜厚1.0μm)
なお、各めっき膜厚の確認については、任意の5点について蛍光X線膜厚計(日立ハイテク社製 SFT9500)を使用し、コリメータ径0.2mm、各膜厚測定時間30秒での平均値とした。
<表面性状の評価試験>
(Spd、Spc)
作製した導電性材料の粗化めっき層の表面において、Spd(山の頂点密度)、Spc(山頂点の算術平均曲)をそれぞれ測定した。具体的には、キーエンス社製レーザー顕微鏡(VK-X150)を使用し、観察倍率2000倍、スポット径φ0.8mm、測定面積100μm×140μmで測定し、計5回の測定(n5)の平均値を算出した。
(Sal)
作製した導電性材料の粗化めっき層の表面において、Sal(最小自己相関長さ)を測定した。具体的には、キーエンス社製レーザー顕微鏡(VK-X150)を使用し、観察倍率2000倍、スポット径φ0.8mm、測定面積100μm×140μmで測定し、計5回の測定(n5)の平均値を算出した。
(Sratio)
作製した導電性材料の粗化めっき層の表面において、Sratio(表面積率)を測定した。具体的には、キーエンス社製レーザー顕微鏡(VK-X150)を使用し、観察倍率2000倍、スポット径φ0.8mm、測定面積100μm×140μmで測定し、計5回の測定(n5)の平均値を算出した。
なお、上述のSpd、Spc、Sal及びSratioの測定は、レーザー顕微鏡を用いているが、レーザー顕微鏡による測定はサンプルの傾きや反りによって数値が変動する。そのため、サンプルに傾きがないように設置することが非常に重要になる。具体的には、サンプルの傾きや反りの角度は1度以下となるようにして測定するのが好ましい。
上述の導電性材料の粗化めっき層の表面性状の評価結果に基づき、表1及び図1に導電性材料のSratio-Spcの関係を示す表とグラフ、表2及び図2に導電性材料のSratio-Salの関係を示す表とグラフをそれぞれ示す。表1及び図1より、粗化めっき層の粗度において、Sratioの値が大きくなるにつれ、粗化めっきの凸の曲率を示すSpcも向上しているため、Sratioの値が大きくなると、粗化めっきの凸が鋭くなることがわかる。しかしながら、表2及び図2によれば、凹凸の密集度合いを示すSalはSratioが1.3を超えた付近である、5.0から飽和し始めている。このことからSratioが1.3までは、粗化めっきの凸が増えて凹凸が密集し、なおかつ、粗化めっきの凸の鋭利化によって表面積が増大することがわかる。Sratioが1.3を超えると粗化めっきの凸の数が飽和し始めるため、表面積の増大は粗化めっきの凸の成長による鋭利化が支配的になる。
Figure 2022148743000002
Figure 2022148743000003
<樹脂密着性の評価試験>
上述の導電性材料の表面に樹脂成型したものをサンプルとして、プリンカップモールド試験にてシェア強度を測定した。試験条件は、樹脂:日立化成社製GE-7470LA樹脂、プリンカップ底面の面積:10mm2、樹脂成型時間:120秒、モールドキュア:175℃で8時間とし、10回のせん断力測定(n10)の平均値を算出し、シェア強度とした。シェアはデイジー社製ボンドテスター(Series4000)にて、シェア速度100μm/秒にて測定した。
上述の導電性材料の粗化めっき層の表面性状及びシェア強度の評価結果に基づき、表3及び図3に導電性材料のSratio-シェア強度の関係を示す表とグラフ、表4及び図4に導電性材料のSpd-シェア強度の関係を示す表とグラフ、表5及び図6に導電性材料のSpc-シェア強度の関係を示す表とグラフ、表6及び図5に導電性材料のSal-シェア強度の関係を示す表とグラフをそれぞれ示す。
Figure 2022148743000004
Figure 2022148743000005
Figure 2022148743000006
Figure 2022148743000007
表3及び図3を参照して、粗化めっき層の膜厚0.5μmではSratioが1.3以上でプリンカップ成形樹脂のせん断試験による破壊モードが凝集破壊であることを確認した。しかしながら、粗化めっき層の膜厚1.0μmでは、樹脂の破壊モードが凝集破壊になる領域がSratio:1.5以上であった。Sratioが1.7以上の膜厚2.0μmではいずれも破壊モードが凝集破壊であることを確認した。このことから、Sratioでは、めっきの膜厚によって、せん断試験による破壊モードが凝集破壊になる領域が異なっていることがわかった。そのため、破壊モードが凝集破壊となる樹脂密着強度以上であるか否かは表面積率Sratioだけでは判断できない可能性がある。従って、表面積率Sratioだけではなく、凹凸形状のパラメータに着目することで、凹凸の密集を示すSalが粗化めっき層の膜厚に依存することなく5.0μm以下でいずれの導電性材料もせん断試験による破壊モードが凝集破壊になっていることがわかった(表6及び図5)。凹凸の密集度合いは、凹凸内に入り込む樹脂量に影響するため、アンカー効果にはSalが重要となっていると考えられる。
また、表3及び図3によれば、膜厚の変動に対してシェア強度が凝集破壊の基準である11MPa超となるSratioのばらつきが大きく、めっき層表面のSratioのみを制御しても、十分な密着性が得られるかは膜厚によって変わることがわかる。これは、表4及び図4に示すように、凸の頂点密度を表すSpdについても、シェア強度との関係から同様である。これに対し、表6及び図5によれば、めっき層の膜厚の変動に対してシェア強度11MPa超となるSalのばらつきが小さい。めっき層の膜厚に寄らずSalが5.0μm以下であれば凝集破壊を起こすこと(シェア強度11MPaを超えること)ができるため、Salが樹脂密着性の判断の指標として優れていることがわかる。
以上述べた通り、粗化Niめっきの粗度を表面積率Sratioという指標で制御することで、ばらつきが小さく安定した数値化ができたが、表面積率Sratioだけでは樹脂密着性が判断できないことがわかった。樹脂密着性には表面積率Sratioだけではなく、凹凸の密集度合いが非常に重要である。エポキシ樹脂とアンカー効果を発生させるには、凹凸を密集させて樹脂が凹凸内に入る量を増やすことが必要になる。Sratioが1.3までは粗化めっきの凸が増えることと粗化めっきの凸の鋭利化によってめっき表面積が増大するが、Sratioが1.3以上になると粗化めっきの凹凸の密集が飽和し始めるため、表面積の増加は粗化めっきの凸の成長と鋭利化が支配的になる。そして、粗化めっきの膜厚に依存することなく、表面積率Sratioは1.3以上かつ、凹凸の密集度合いが飽和するSal:5.0μm以下の領域において、プリンカップモールドによるせん断試験の破壊モードが凝集破壊になり、強度も飽和する。従って、粗化めっきの粗度は膜厚に関わらず、表面積率Sratio:1.3以上、且つ、凹凸の密集度合いSal:5.0μm以下に設定することで、樹脂密着性が担保できる。
なお、上述の実施例では、粗化Niめっきについて検討しているが、半光沢Niめっきは樹脂密着性が一般的に低いということは技術常識であり、Niめっき以外の金属めっきであれば、当然にNiめっき以上の樹脂密着性を有すると言える。例えば、以下の表7に示すように、表面が粗化Niめっきである場合と、銅材(純銅材)の表面または銅材(純銅材)の表面をエッチングで表面粗さを制御したものとを対比すると、それぞれ同程度の粗度(Rz、Sratio)であっても粗化Niめっきの樹脂密着性(シェア強度で対比)が非常に低いことがわかる。また、粗化Niめっきではなく、半光沢Niめっきであっても、半光沢Niめっきは、銅材(エッチング処理なし)の表面と対比すると、それぞれ同程度の粗度(Rz、Sratio)であっても、半光沢Niめっきの樹脂密着性(シェア強度で対比)が非常に低いことがわかる。
Figure 2022148743000008

Claims (10)

  1. 表面に樹脂を成型する、または、表面を樹脂で封止する導電性材料であって、
    前記表面が金属で構成され、
    前記表面の最小自己相関長さSalが5.0μm以下であり、表面積率Sratioが1.3以上である、導電性材料。
  2. 前記表面の最小自己相関長さSalが0.3~5.0μmである、請求項1に記載の導電性材料。
  3. 前記導電性材料が基材と前記基材上に形成されためっき層とを含み、
    前記表面が前記めっき層である、請求項1または2に記載の導電性材料。
  4. 前記めっき層が一種以上のめっき層で構成された、請求項3に記載の導電性材料。
  5. 前記めっき層は前記基材上に形成された第1めっき層を有し、
    前記第1めっき層が銅、銅合金、ニッケル及びニッケル合金のいずれか一種以上で構成された、請求項4に記載の導電性材料。
  6. 前記めっき層は前記第1めっき層上に形成された第2めっき層を有し、
    前記第2めっき層がパラジウム、パラジウム合金、金及び金合金のいずれか一種以上で構成された、請求項5に記載の導電性材料。
  7. 前記一種以上のめっき層で構成された前記めっき層の厚みの総和が0.5~7.0μmである、請求項4~6のいずれか一項に記載の導電性材料。
  8. 前記基材が、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄及び鉄合金のいずれか一種で構成された、請求項3~7のいずれか一項に記載の導電性材料。
  9. 前記表面に樹脂が成型された、または、前記表面が樹脂で封止された請求項1~8のいずれか一項に記載の導電性材料を備えた成型品。
  10. 請求項1~8のいずれか一項に記載の導電性材料を備えた電子部品。
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